サリー&シロー 「花咲く星」
from『トラ70619』、1970
1. 自由の哲学
2. 花咲く星
3. YS-11
4. しま模様の空
5. 愛についての一考察
6. 羊大学校歌 1番
7. 愛の意識
8. 羊大学校歌 2番
9. 白い街
10. 羊大学校歌 3番
11. マザー・ネイチャー
12. サンシャイン・フォー・ユア・スマイル
13. どうにかなるさ
14. 自由の哲学・エンディング
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ブログ更新、長い夏休みを頂いてしまいました。
9月中旬には復帰できる時間もできていたのですが、毎度お馴染みのギックリ腰発症(汗)により、しばらくおとなしくしていた次第です。
まさか復帰最初の更新がシローさんの追悼記事になろうとは・・・思いもかけなかった突然のお別れでした。
今日は、僕がシローさんのヴォーカル曲で一番好きな、サリー&シローのアルバム『トラ70619』収録の「花咲く星」をお題に借りまして、僕なりのシローさんの思い出を書き留めておきたいと思います。
訃報があってすぐに、ジュリーファンの盟友・YOKO君からもメールが来ました。
「ジュリーファンにならずタイガースも知らずにいたら、シローは”沙悟浄の人”のイメージだけだっただろうね」
これは、僕らにとっては本当にそうなんです。
ドラマ『西遊記』ドンピシャの世代。その後同窓会期の「色つきの女でいてくれよ」の大ヒットがあり初めてそこで”沙悟浄の人”が昔ザ・タイガースというバンドにいたんだ、という認識を持ったと。
そのあたりは以前「つみ木の城」の記事で書きましたのでご参照下さい。
ジュリーファンになって、遡ってタイガースを知り、シローさんの美声を知り、その人生を知り、闘病中であることを知り・・・2012年1.24日本武道館、いわゆる”ほぼ虎”ツアー千秋楽にサプライズでシローさんが登場した際には、普段ジュリーのLIVEで「ジュリー!」と声を上げたことすら無かった僕が思わず「シロー!」と涙ながらに絶叫してしまったという。
当時その話をYOKO君にしたら
「瀬戸口さんのシャウトって、NHK的にはアウトなんじゃないの?」
と言われたっけ・・・(その日のステージが後日NHKで放映されることはもう分かっていました)。
この時は2013年の完全再結成時とは違い、シローさんが飛び入りで1曲歌うというのは会場のお客さんにとって真にサプライズでしたよね。
後追いファンながら、2011年からのザ・タイガーズ再結成への道程に間に合った僕は、2012年の「若葉のころ」、2013年の「イエスタデイ」と、シローさんの生の歌声を2曲体感することができました。今もハッキリ記憶に残っているシーンです。
2012年は支えられながらも歩いて入場したシローさんですが、2013年は最後まで車椅子。
ファンが体調を心配していたのは事実ですが、まさかこんなに突然旅立ってしまわれるとは・・・。
メンバーでは最年少。実兄のサリーさんはもちろんのこと、「弟」に先立たれてしまったお兄さん達タイガースのメンバーの心中いかばかりでしょう。
ピーさんは先日の西成でのイベントで、シローさんへの思いを語られたそうです(こちら)。
訃報を伝えるニュースはそのほとんどが、「タレント」としてのシローさんを採り上げていました。
でも僕らは知っています。シローさんが素晴らしいヴォーカリストであったことを。
後期タイガースではジュリーとの「2枚看板」で、アルバム『自由と憧れと友情』には3曲のリード・ヴォーカル曲が収録されています。
また、僕は世代的に詳しく知らないのですが、YOKO君が普段からライヴ活動でおつきあいしている年長の音楽仲間の先輩方は今回のシローさんの訃報を受け、口々に「野生の馬」の思い出を語ったのだそうです。
さらに、シローさんが稀有なロック・パーソンであることを証明する作品こそ、サリー&シロー『トラ70619』。
感情を抑えた、いわば「無機的」なシローさんの美声で訥々と歌われる2曲目「花咲く星」は、あの時代を象徴する反戦歌であり、今こんな時代だからこそ再評価されるべき名曲。
作詞の山上路夫さんがここで使った「花」のフレーズは、ジュリーがずっと後に「届かない花々」や「泣きべそなブラッド・ムーン」の自作詞でとてもよく似たニュアンスで採用しています。
僕は初めて「花咲く星」を聴いた時、「あぁ、このアレンジはジョージ・ハリスンの「イズント・イット・ア・ピティ」をお手本にしているな」と思いました。
結構長い間そう決めつけていました。
ある時ふと『サリー&シロー』のリリース日を見て、「えっ、ジョージの『オール・シングス・マスト・パス』(「イズント・イット・ア・ピティ」収録のアルバム)よりこっちの方が先じゃないか!」と仰天したものです。
70年代が幕を開けたあの時期、シローさんは確実に「ロック」の最先端に身を置き立っていたのですよ。
シローさん、今まで本当にお疲れさまでした。
これからは天国でゆったりと、得意の薀蓄を語りながらタイガースのお兄さん達の活躍を見守ってください。
僕は今、シローさんがタイガース時代に「好きなシンガー」として名前を挙げていらしたドノヴァンの勉強を始めています。今さらながら、なるほどシローさんと大いに通じるものがあると感心しているところです。
少しでもシローさんの知識に追いつくよう頑張ります。
シローさんが旅立たれた頃は本当に暑かったですが、もうすっかり涼しくなりました。
ふと、晴れた空を見上げてしまう季節ですね・・・。
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