« 2020年6月 | トップページ

2020年7月

2020年7月 4日 (土)

ザ・タイガース 「コットン・フィールズ」

from『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』

Soundsincolosseum

disc-1
1. ホンキー・トンク・ウィメン
2. サティスファクション
3. スージーQ
4. アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー
5. ルート66!
6. ドック・オヴ・ザ・ベイ
7. ザ・ビージーズ・メドレー
8. ルーキー・ルーキー
9. コットン・フィールズ
10. 監獄ロック
11. トラベリン・バンド
12. ラレーニア
13. ホワッド・アイ・セイ
disc-2
1. 都会
2. ザ・タイガース・オリジナル・メドレー
3. スマイル・フォー・ミー
4. 散りゆく青春
5. 美しき愛の掟
6. 想い出を胸に
7. ヘイ・ジュテーム
8. エニーバディズ・アンサー
9. ハートブレイカー
10. 素晴しい旅行
11. 怒りの鐘を鳴らせ
12. ラヴ・ラヴ・ラヴ

------------------

本日7月4日は、長い間格別に親しくさせて頂いていたタイガースファンの先輩、真樹さんの命日です。
早いものでもう丸2年が経ちました。

お会いしてお話する時、普段は聞き上手な真樹さんが一転会話をリードしてくださるのはやはりザ・タイガースの話題で、特に田園コロシアムLIVEについてはご自身が歴史的なステージに立ち合われたということもあり、詳しくお話を聞かせて頂いたものでした。
真樹さんに限らず、「タイガースのLIVEと言えばまず田コロ」というのは多くの先輩方がそう仰います。
後追いファンの僕などは、72年1月24日武道館が最も感動的なステージだったのではないかと当初は思いがちでしたが、そう単純な話ではないと徐々に分かってきました。とは言え実際の肌の感覚は持ち得ませんから、一生懸命それぞれのステージを想像するしかないんですけどね。

今日は他でもないその田園コロシアムLIVE音源『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』から、彼等の重要な洋楽カバー・レパートリーである「コットン・フィールズ」を採り上げ、今年のこの日に捧げたいと思います。
よろしくお願い申し上げます。


「コットン・フィールズ」は元々アメリカのトラディショナル(歌・レッドベリー)なのだそうです。

Cottonfields 

↑ 『カントリー&ウエスタン名曲全集』より


ただ、ジュリーはこの曲の前のMCで「ロックンロール」だと紹介しているんですね。
当時この曲がロック・ナンバーとして認知されていたのは、60年代末からのカントリー・ロック・ブームによりアメリカのみならず世界中のロック・バンド、アーティストが土着的なメロディーのトラッド・ソングをカバーしロックへと昇華させた・・・「コットン・フィールズ」もその1曲であったということでしょう。

リアルタイムのタイガース・ファンのみなさまは、彼等の洋楽カバーを先に聴いてからカバー元の音源を知る、というパターンが多かったと想像します。
僕はタイガースもジュリーも後追いで、自分が既に知っている様々な洋楽のカバーも「こんな曲をやっていたんだなぁ」という感じで聴いていました。
ただ、中にはみなさまと同じようにタイガース(またはジュリーのソロ)から遡ってカバー元を知った曲もあります。「コットン・フィールズ」は特にCCRのヴァージョンがとても有名らしいですが、僕にとっては正に「タイガースが先」のパターンでした。

恥ずかしながら、僕は実はCCRを本格的に聴き始めたのがここ数年のことで。
タイガース・レパートリーにはCCRのカバー(或いはCCRがカバーしたことで有名になったロック・スタンダード)がかなり多いですよね。
「コットン・フィールズ」以外だと、「スージーQ」「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」「トラヴェリン・バンド」「グッド・ゴリー・ミス・モリー」・・・他にもあるかなぁ?
「スージーQ」はローリング・ストーンズが歌っていたのでずっと前から知っていたけど、残りの曲は2008年の「ジュリー堕ち」以降に遡って知識を得ていった曲です。「グッド・ゴリー・ミス・モリー」なんて、瞳みのる&二十二世紀バンドのLIVEセットリスト入りを体感して初めて「名曲」として意識したほどでした。

いずれにしても、「タイム・オン・マイ・サイド」をローリング・ストーンズのカバーとして演奏していたように(この曲はストーンズもカバー)、タイガースにとっては「コットン・フィールズ」も「CCRのカバー」なる認識だったのではないでしょうか。

僕はここ数年CCRの勉強を急ピッチで進め、『マルディ・グラ』以外のアルバムをすべて聴きました。
「コットン・フィールズ」は『ウィリー・アンド・プアボーイズ』というアルバムに収録されています(こちら)。
CDだと一瞬分かりにくいのですが、『ウィリー・アンド・プアボーイズ』 はレコード両面で収録楽曲が(ジャンル的に)対を成す面白い構成の名盤。A面3曲目「コットン・フィールズ」は、B面3曲目「ミッドナイト・スペシャル」とトラディショナル・カバーの括りで対となっています。

田園コロシアムの音源と比較しますと、2番歌詞部の割愛はあるものの、タイガースは基本このCCRの音源を踏襲し演奏していると分かります。ショート・ヴァージョンにアレンジされたカバーですね。
CCRはイ長調 ですが、タイガースは嬰ヘ長調に移調しています。タローさんの間奏リード・ギターがいかにもタイガース、というガレージ感を押し出しているものの、サリーさんのベースやジュリーのヴォーカル・ラインはCCRのヴァージョンにかなり忠実。
シローさんの音がよく聴き取れないのですが、もしアコギ・ストロークであれば完璧です。

ただ、ピーさんのドラムだけがCCRとはずいぶん違うんです。
そこでもうひとつ、「コットン・フィールズ」のカバー音源例で挙げておきたいのがビーチ・ボーイズのアルバム・ヴァージョン。リリースはCCRと同時期で、やはりカントリー・ブーム全盛期に採り上げたことになります。

僕はビーチ・ボーイズについても最近になってようやく熱心に聴いていて(若い頃に有名な『ペット・サウンズ』だけ聴いたけどその時はあまりピンと来ず。数年前に『フレンズ』というアルバムを聴いて感動、その後ほぼ全時代のアルバムを集めました)、ズバリ60年代末から70年代前半のアルバムが気に入っています。
「コットン・フィールズ」は『20/20』という69年のアルバムに収録(ただし、シングルはドラムスも含めアレンジが全然違っていて、一般的にはそちらの方が有名。残念ながらYou Tubeではスネア・ドラムが特徴的なアルバム・ヴァージョンは探ししきれませんでした)。
このビーチ・ボーイズのアルバム・ヴァージョンではドラムが1小節内のスネアの打点を1打と2打に分け、これで一気に「サーフ・ロック」のノリが出ます。
そして、田コロでのピーさんの演奏もそうなんですよ(打点配置は「2・1」で、ビーチ・ボーイズの「1・2」とは逆)。

タイガース全体としては一世を風靡したCCRヴァージョンのカバーとして採り上げながらも、ピーさんは独自に原曲や多くのカバー音源を研究したのか、または原点回帰のベンチャーズ・ビートが合う曲だと判断したのか・・・とにかく他メンバーとは異なるヴァリエーションを提示していますね。
今もなお研究熱心なピーさんのことです。近い将来「アメリカン・トラッド」の括りの中、「タイガース・ファンならご存知の歌」ということで、新たに日本語詞或いは漢詩を載せた「コットン・フィールズ」を、二十二世紀バンドとのLIVEで披露してくれるかもしれません。

タイガース、CCR、ビーチ・ボーイズいずれを聴いても、「コットン・フィールズ」はコーナス・ワークが重要な曲なのだと分かります。
タイガースのハーモニーの素晴らしさはCCR、ビーチボーイズにも負けていません。
その上でジュリーの主旋律のインパクトが強烈。
少なくとも後期タイガースについては、間違いなくヴォーカルのジュリーがステージ・バランサーです。
タイガースでLIVEを重ねるうち、鳴っているすべての音を聴き分けるセンスが磨かれたのでしょうか・・・1.24武道館でも演奏メンバーが溢れる思いのあまりテンポを乱しそうになった時、いち早く立て直したり。
そんなジュリーですから、「コットン・フィールズ」の「コーラス・ワークを聴かせたい箇所」では無意識にでも自分の声だけが前に出過ぎないように、と配慮していると思うのです。それでこの存在感なのですからね。

それと、3つのヴァージョン中BPMが一番速いのがタイガースの演奏です。
それによりキメのコーラス部でテンポをグッと落としている効果が明快となりますし、ドラムのフィル一発で速いテンポに切り替えるあたりには、バンドの稽古量が窺えます。
当時タイガースは猛烈に忙しかったのは当然として、メンバーそれぞれの考え方の違いも大きくなってきた時期だったと想像します。それでも田園コロシアムでの「コットン・フィールズ」を聴けば、ステージに向け全員が集まりリハーサルを重ねてきた・・・そんな光景が目に浮かびます。
よそ見していたりうわの空のメンバーがいたら、決して出来ない演奏なのです。

先日、コメントにてmomo様がタイガースの田園コロシアムLIVEを「長い刹那」(act『ELVIS PRESLEY』「愛していると言っておくれ」でジュリーの日本語詞に登場するフレーズ)と例えていらっしゃいました。
現実体感の無い僕は想像でしか言えないのですが、それはタイガース・オリジナル・ナンバーよりむしろここで採り上げられている洋楽カバーを聴き込み、それぞれの歌が当時(世間的に)どのようなスタンスであったかを理解してこそ得られる感覚なのかな、と思います。
来年のこの日もまた『サウンズ・イン・コロシアム』から洋楽カバーの記事を書けたら、と考えています。

70082206

↑ 『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』パンフレットより


それでは、申し訳ありませんがしばらくの間(ブログ更新の)夏休みを頂きます。

勤務先の8月〆の本決算作業がひと段落してから再始動しますので、次回更新は9月中旬になるかなぁ。
復帰1発目のお題曲はたぶんこれになるかな?という目星はつけているのですが、流動的です。

僕の故郷、九州ではまた大変な災害が起こりました。
本当に試練の大きい1年となっています。暑さの厳しい夏に向け、万全の備えと注意を払ってゆきましょう。
みなさまのご無事をお祈りしています。

| | コメント (8)

« 2020年6月 | トップページ