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2020年6月 6日 (土)

沢田研二 「バイ・バイ・ララバイ」

from『act#3 NINO ROTA』、1991

Nino1

1. 8 1/2
2. 時は過ぎてゆく
3. カザノヴァ
4. 天使の噂
5. 忘れ難き魅惑
6. ヴォラーレ
7. 道化師の涙
8. バイ・バイ・ララバイ
9. カビリア~夜よ
10. ジェルソミーナ
11. SARA
12. 夢の始まり
13. 8 1/2

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さぁ、ジュリーの誕生月1発目の更新です。
今年の全国ツアー中止は本当に残念ですが、『キネマの神様』主演決定のビッグニュースもありました。
とにかく今は、コロナ禍を乗り越えた先の楽しみを妄想しつつ皆で踏ん張ってゆきましょう!

拙ブログではこの6月を久々の『ACT月間』とします。
映像未鑑賞のまま『CD大全集』の音源のみで書く無謀なスタイルは今回もそのまま。至らぬ点は多々ありましょうが、そこは先輩方のコメントで補完して頂こうという他力本願(汗)。
候補各曲それぞれについて色々とテーマを考え、更新できそうな4曲のお題をピックアップしCDに編集、通勤時間に聴き込んでいます。

慌しい日々が戻ってきましたので週に一度きりの更新、しかも短めの文量にはなりそうですが、この4曲を6月内に書いていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

まず今日は『NINO LOTA』から。
とても有名な曲ですね・・・映画『太陽がいっぱい』主題曲のカバー、「バイ・バイ・ララバイ」を採り上げます!

Nino5

みなさま、今日6月6日が「何の日」かご存知ですか?
カレンダーの記載を見たことがないですし、あまり知られていないのでしょうが、「楽器の日」なんです。

楽譜業界では毎年この日にちなんで前後の期間に「音楽書祭り」というフェアを開催しています。
各出版社がそれぞれ数点のタイトルを選出、プレゼント応募要項を記したフェア用の帯をつけて全国店舗展開させるのですが、例年5月中旬から展開スタートとなるところ、今年は緊急事態宣言による全国的な店舗臨時休業の影響があり、今月に入ってようやく対象商品の流通が始まったばかり。

ちなみに、何故6月6日が楽器の日かというと

Img7311

緊急事態宣言は解除となったものの、不要不急の外出は控え自宅で過ごす、というのが皆の認識。
そんな中、「家でもできる新しい趣味を持つ」世間の動きも出てきているようで、例えば今はプラモデルの売上が伸びているのだそうです。
対して楽器や楽譜は基本的には人に教えて貰う「習い事」の面が強く、町の音楽教室なども未だ自粛中というケースも多くて苦戦しています。
でもね、ギターやウクレレ、鍵盤はしっかりしたスコアが手元にあれば、充分「独学」できるものです。
6歳の6月6日というのはともかくとして・・・この機会にみなさま、是非楽器を始めてみてはいかがでしょうか。
アコギやウクレレ、電子鍵盤は最初に格安のものを購入しても大きな問題はありませんから(ただし、エレキギターの格安ものはチューニングが合わないなどのトラブルがあり得ます)

何故こんな話をしているのか・・・実は今日のお題「バイ・バイ・ララバイ」の原曲である「太陽がいっぱい」は、僕が中学でギターを覚えた時、懸命に練習してマスターした曲のひとつなのです。
他に「マルセリーノの歌」「鉄道員」などを一緒に覚えました。今考えると、初心者がいきなり手をつけるには結構な難易度の高いスコアから始めたんですよね。

僕の場合は、父親が母親の誕生日に買ってきたアコギを横取りするという形で(母親がなかなか手にとらなかったので)ギターを始めました。
父は一緒にスタンダードな有名曲を収載した曲集も買ってきていたんですけど、そのスコアが初心者向きかどうかまでは考えなかったみたい。TAB譜表記も無い五線譜で、指弾きのアルペジオ・アレンジです。
これを素人の僕が独学で一からトライするというのは大変な試みでしたが、そこはほら、「ギターが弾けるようになれば女子にモテるであろう」という10代の少年の下心が為せるひたむきな努力ですよ(笑)。
結果、女子にモテることはなかったものの、弾けば「おおお~!」と周囲に感心されるような有名曲を弾きこなせるようになったわけです。

で、この弾き始め最初期にマスターした曲って、その後何年経とうがスラスラ弾けるんです。
ある程度弾けるようになってから覚えた曲は数年のブランクがあると「え~と、どうだったっけかな」と仕切り直すのですが、先述の3曲などは身体が覚えていて指が勝手に動くという。
懸命に一から練習する、というのは尊いこと。
これか
らそれを体得、経験を積めるみなさまが羨ましいくらいです。
楽器に興味のある方は是非この機に始めてみて下さい。苦労はしますが「極端に易し過ぎない」スコアを選ぶのが僕の個人的なお勧めです。

おっと、すみません長々と。
この機にその「太陽がいっぱい」のスコアを改めて探してみたところ、さすがは有名曲、ニーズに応じてキーもアレンジ解釈も様々なパターンが見つかりました。

Img7357

↑『映画音楽の巨匠/ニーノ・ロータの世界』より。ピアノ・ソロ、4分の3、ハ短調

Img7356

↑『魅惑のポピュラー・ギター名曲選』より。ギター・ソロ、8分の6、イ短調(TAB譜の方の初っ端のルート音採譜がいきなり間違ってる・・・!正しくは6弦ではなく5弦の開放です)

Img7355

↑『映画音楽名曲全集』より。メロ譜、4分の3、ニ短調

どうやらオリジナル・キーはニ短調のようで(僕も最初に覚えたのはニ短調でした。鍵盤やウクレレだと簡単ですが、ギターだとセーハやハイ・ポジションのフォーム率が高くて初心者には難しいキーだったのです)、ジュリーの「バイ・バイ・ララバイ」もそうです。

あくまで『CD大全集』音源のみの感想ですが、ACTシリーズ全体に共通する独特のジュリー・ヴォーカルの色気が特に際立っていると思う作品は、まず『SALVADOR DALI』、次いで『NINO ROTA』。その『NINO ROTA』の中でも「バイ・バイ・ララバイ」には「禁断の色気」とも言うべき危うい官能すら感じます。
これは原曲と映画『太陽がいっぱい』のイメージを持ちつつ加藤直さんの日本語詞を聴くからなのでしょうね。

もしも君が 今目覚めたなら
   Dm

この世  は   とても 退屈だろう
   F#dim  D7-9      Gm    C7       F

だから言わない 今さら さよならを ♪
    E♭       Dm         A7            Dm

実際のACT映像でこの曲がどんなシーンで歌われるのかを僕は知りません。しかしこの加藤さんの詞を耳にするとどうしても脳裏に浮かんでくるのは、『太陽がいっぱい』でのトムとフィリップの船上対決シーンです。
二度と動かぬ眠りについたフィリップを見つめるトム。彼の胸にあるのは果たして憎しみと妬みだけだったのだろうか、憧れや不可解な愛情がありはしなかっただろうか、と観る者を戸惑わせます。
『太陽がいっぱい』は、ホモ・セクシャルを盛り込んだとした先駆けの作品と言われることがあるのだそうで、とすればあのシーンはドラマ『七人の刑事』の「哀しきチェイサー」や映画『太陽を盗んだ男』にも引き継がれているのかなぁ、と。
僕は今週カミさんの勧めでドラマ版『火花』を毎日2話ずつ観賞し昨日全話観終えたばかりで、たとえ明快に性的な描写は無くとも、2人の魅力的な男性が登場し、それぞれの野望遂げられぬ道をひた走る物語とは、そんなふうに見えるものなのかと考えてしまったり。

僕はジュリーの「バイ・バイ・ララバイ」の声の色気にそれを感じたわけですが、感性の鈍い僕に映像無しでそこまで思わせるジュリーって・・・本人は意図しないところでやっぱり「魔性」なのでしょうか。
加えて、特にACTシリーズのジュリー・ヴォーカルはワルツと相性が良いことも再確認したのでした。


ということで今日は「自宅で過ごすことが多いこの機に楽器をはじめてみよう!」「男同士の愛憎」という本筋から逸れまくった2つのテーマで(笑)このお題を書かせて頂きました。
次回更新はもうちょっと楽曲そのものに突っ込んだ内容になるかと思います。

お題は、『CD大全集』の中でもこれまた大好物の作品『ELVIS PRESLEY』から。
この1、2年で僕はずいぶんプレスリーの曲を勉強しました。プレスリーのオリジナルも、ACTでのジュリーのカバーも大好きなナンバーをお届けいたします。
更新まで1週間ほどお待ちくださいませ。

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ACTを楽曲的に掘り下げる!」カテゴリの記事

コメント

DY様、こんにちは。
自粛期間の4月5月には怒涛の更新をありがとうございました。

act月間、楽しみにしていました♪
「家で楽器」とも「男同士の愛憎」とも関係なく聴きましたよ(笑)
「火花」はいいドラマでした。

actニーノ・ロータはフェリーニの世界をテーマにしていて、この曲も夜の番をする「月」を歌っています。あちこちに月が出てきます。
ニーノ・ロータの曲は根っから官能的な要素があるし、声の相性もいいし、ジュリーの独壇場ですね。普通に、曲調のうねりに素直に歌っているでしょう?
ジュリーは技術的にも心情的にもそう歌える歌手で、そこが凄いしステキなの。何でもかんでも自分勝手に歌ったり、そうしか歌えない歌手が多いと思いません?
おおらかでひねたところがなくて、でも何かを隠しているような感じがあるニーノ・ロータの曲をジュリーの歌声は寄り添い、微妙に変化しながら表現していてステキです。哀愁かなと思うと肉感的だったり。楽々と歌って官能的に聴こえてしまう♪

actはジュリー40代、男盛りの滴るような歌声を堪能できます。
歌声に身をゆだねて聴く快楽です。

投稿: momo | 2020年6月10日 (水) 15時47分

momo様

ありがとうございます!
(コメント文中の修正もさせて頂きました。お知らせありがとうございました)

仰る通り、ジュリーは既存の詞とメロディーに忠実に歌う人なんですよね。まず作詞者、作曲者に対する自然なリスペクトがあり、そのうえでどう表現するかを考えていて、歌手として1段進んだところから歌に向かっていると感じます。
できそうで、できないことですよね。

なるほど『NINO ROTA』は「月」がキーワードですか。
あと、この曲には「ピエロ」というフレーズが出てきます。CD大全集ではこの曲の前に「道化師の涙」が収録されていて、映像では「道化師=ピエロ」がどう繋がるんだろう?と思いながら聴きました。

一般でも仕事の実力も体力も盛りと言われる40代、ジュリーがactを演じるには一番よい時期だったのかもしれませんね。

投稿: DYNAMITE | 2020年6月12日 (金) 15時33分

DY様 こんばんは。

「太陽がいっぱい」
中学生くらいの時リバイバルで見ました。
ラストシーンが衝撃だったなぁ。
『NINO LOTA』はactseriesの中でも一番ゴージャスな舞台でしたね。
「月ーに憑ーかれたピエロいつまでも」
の歌いだしで
(?なんか聴いた曲だな?)
すぐに映画に結びつかなかったのが情けない。
太陽につかもうとして挫折した日蔭育ちの主人公に月が囁く子守唄・・・だったんですね。

投稿: nekomodoki | 2020年6月13日 (土) 22時27分

nekomodoki様

ありがとうございます!

実は僕も初めて聴いた時は一瞬「これは?」とは思いました。
演奏&歌い出しのスタート箇所が凝っているんですよね。ACTシリーズではこのようなヴァース配置のアレンジの妙がいくつか見られます。

『NINO ROTA』の舞台は豪華だった、とのお話は先輩方からよく聞きます。
お好きな作品は人によって違うのですが、多数決だと『NINO ROTA』が一番ですかね~。
次が『BORIS VIAN』かなぁ?

投稿: DYNAMITE | 2020年6月14日 (日) 10時26分

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