« 沢田研二 「素敵な気分になってくれ」 | トップページ | 沢田研二 「Beautiful World」 »

2020年5月17日 (日)

沢田研二 「サンセット広場」

from『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』、1978

Love

1. TWO
2. 24時間のバラード
3. アメリカン・バラエティ
4. サンセット広場
5. 想い出をつくるために愛するのではない
6. 赤と黒
7. 雨の日の挽歌
8. 居酒屋
9. 薔薇の門
10. LOVE(抱きしめたい)

------------------

いやぁ、昨日のジュリー界は予期せぬビッグニュースに沸き立ちましたね!
映画『キネマの神様』公式サイト
志村さんのこと、今の世の中の状況のこと、色々なことがある中でとても暖かな、素敵なニュースでした。

森本千絵さんの旦那さんがこの映画のプロデューサーさんとのこと。そんな繋がりがあってジュリーにオファーがあったのだそうです。
千絵さんがご結婚されてから6年・・・2014年『三年想いよ』ツアーの大宮公演でのジュリーのMCが、「千絵さんの結婚式を振り返る」大長編だったことを思い出して、当時の自分のレポを読み返してみました(こちら←MCのトコだけ読んでね!)。

本当に、人と人の繋がりって不思議です。特にジュリーを見ているとそう思うことが多いのです。

この映画は何をおいても観るしかない!
今は大変な時期だけど、乗り越えた先の楽しみがまたひとつ増えましたね。

それでは「元気の出るジュリー・ナンバー」更新シリーズ、今回と次回の2曲は「ほのぼの系」を用意しました。
歌の内容以前に曲調やリズム、アレンジが既に癒し系という名曲です。
何も考えずにお昼にボ~ッと聴くもよし、夜のお休み前に疲れた身体をリフレッシュさせて明日の活力とするもよし・・・まず今日はアルバム『LOVE ~愛とは不幸をおそれないこと』から、「サンセット広場」を採り上げたいと思います。

濃厚な情念渦巻く異色のアルバム、僕は大好物ですが「ちょっと苦手」と仰る先輩方がいらっしゃるのも事実。
しかしながらその中にひょいと挿し込まれた肩肘張らない明るさ、軽快さを持つこの曲はアルバムの中でも好き、という方は多いのではないでしょうか。
だって、ジュリー自身がたぶんそうだから(笑)。
「アルバムの中ではこの歌が好き」と、何かのラジオ音源で聞いたのか、先輩にそう教えて頂いたのだったか・・・僕の記憶も加齢とともに怪しくはなっていますが、確かジュリーはそんなふうに言っていたのでしたね。
おつき合い頂くみなさま、今日は是非この愉快な名曲「サンセット広場」に癒されてくださいませ。


『ジュリー祭り』以前の、僕にとっては”第一次ジュリー堕ち期”となった2005年に盟友・YOKO君と競い合うようにして聴いたポリドール期の名盤の数々。
アルバムを新たに聴く度に夜な夜な彼と電話でアルバムの感想を語り合う日々だったわけですが、『LOVE ~愛とは不幸をおそれないこと』についての会話は平日深夜にまで及び、特に濃かった!
普段クールなYOKO君がこの名盤にはテンションが上がり、「トラボルタ」「トラボルタ」と連呼しながら阿久さんの詞に大ウケの様子で「イチオシ」していたのが「サンセット広場」でした。

トラボルタと言えば映画『サタデー・ナイト・フィーバー』。
僕は映画それ自体は詳しく語れません。ここで書いておきたいのは、ビージーズの「ナイト・フィーバー」などが収録されたこの映画のサントラが世界のロックに与えた影響。いわゆる「ディスコ・ミュージック」の大流行です。
キャリアのある大御所バンドもこぞって「新たな開拓」とばかりに採り入れ、その後のヒットに繋げました。
このサントラなくしてストーンズの「ミス・ユー」も、ウイングスの「グッドナイト・トゥナイト」も、キンクスの「スーパーマン」も生まれていなかったのではないでしょうか。

「サンセット広場」がディスコ・ミュージックかと言えば、まぁ広義にはそうかもしれませんが、大野さんが明確にそこを志したのは「アメリカン・バラエティ」の方でしょう。これはストーンズの「ミス・ユー」に着想を得ている、というのが僕の推測です。

「アメリカン・バラエティ」と「サンセット広場」は、アルバム曲順が繋がっているという以上に面白い関係です。
例えば阿久さんの歌詞。
サンセット広場で待ちぼうけを食っている女の子を「トラボルタ気どって」ナンパしに来る男の子には、「アメリカン・バラエティ」の主人公のイメージが重なります。
前曲で豪快に持ち上げておいて、次曲で散々なまでに落とす。
いかにも阿久さんらしい手法ではありませんか。

「サンセット広場」の歌の舞台はアメリカなのでしょうが、もし同じシチュエーションが日本で起こっていたら・・・声をかけてきた男の子はトラボルタではなく(無理なのに)ジュリーを気取って「アメリカン・バラエティ」ばりの迫り方をしたかもしれませんね。
OKすることはないよ、お嬢さん(笑)。
ジュリーは唯一無二の男。
鳩の数ほど男はいても、「ジュリーみたいな男」なんていやしないのですから。

ここでちょっと話が逸れますが・・・先日僕は「横浜銀蠅の完全再結成を楽しみにしている」と書きました(本当なら昨日東京公演が開催されていたはずでした)。
80年代当時、横浜銀蠅の中で特に女性人気が高かったのがリード・ギターのJonnyさん。Jonnyさんはソロ・デビューも果たし、弟分である嶋大輔さん、杉本哲太さんも出演したドラマ『茜さんのお弁当』主題歌、自身作詞・作曲の「ジェームス・ディーンのように」(名曲です!)は、いきなりのシングル・ヒットとなりました。
この曲、Jonnyさんは当初ジェームス・ディーンではなく「トラボルタのように」というタイトルで考えていたのを、途中で変更したのだそうです。
印象的な「ジミーのように♪」というコーラス・パートは元々『サタデー・ナイト・フィーバー』をモチーフとして「トニーのように♪」と作っていたのでしょう。

トラボルタがカッコイイ男であることは間違いありませんが、「トラボルタ」なる片仮名の語感が日本人としてはちょっと野暮ったいと言うか、会話するぶんには良いけど歌の歌詞やタイトルとするにはハードルが高そうな名前、というのはごく自然な感覚。
ただそこを平然と打ち砕いてくる・・・どんな語感にも囚われないのが阿久さんなわけで。

トラボルタ気どっても無理なのに
F            D7                 Gm 

フィーバーなんて古い言葉
B♭m             Am        Gm

マジで使って口説いてる ♪
           C              F

突如耳に飛び込んでくる「トラボルタ」のフレーズが逆に迫力の語感となり、初聴時の僕らを貫きます(YOKO君もそこにヤラレたわけです笑)。
しかも「サンセット広場」がリリースされた78年って、それこそディスコ・ブーム、フィーバー大全盛ですよね?
それなのに「フィーバー」を「ダサい」ならまだしも「古い」言葉であるとブッた斬る自由さ、過激さよ。
歌謡曲を通して時代の移ろいの速さを見つめる阿久さんならではの描写だと思います。

そんなラジカルな詞に、とびきり可愛らしいメロディーをつけてきた大野さん。
70年代後半の阿久=大野コンビ(当時はおもに「詞先」の製作だったそうですね)の素晴らしい意味での「詞曲不一致」は、鉄人バンド期の祈り歌(こちらは曲先)にも負けていませんよ~。
言葉もメロディーも、双方の身勝手さ(←絶賛しているんですよ!)に臆することなく主張しているという。

頻度はさほど高くはありませんが、大野さんは「ほのぼの系」の作曲も大得意としています。
『太陽にほえろ!』サントラにも「仲間のテーマ」のような曲があったり、ジュリー・ナンバーにも、阿久さんとの70年代三部作で探せば「ラム酒入りのオレンジ」→「女はワルだ」→「サンセット広場」がそのパターン。
もっと前だと74年の「ママとドキドキ」、あと作曲ではなく編曲ですが76年の「ロ・メロメロ」も加えることができるでしょうか。
「ブロードウェイ風」と言えばよいのかな・・・阿久さんとのコンビでアルバム全曲を任されるようになり、大野さんの「ほのぼの系」もド派手なシングル路線とは違った形で一層研ぎ澄まされていったのではないでしょうか。

結果「サンセット広場」では詞曲それぞれの個性のぶつかり合いからマジックがかかり、とても愉快な癒し系の名曲として聴き手に届けられることとなりました。
もちろん単体で聴いても名曲ですけど、ここは「アメリカン・バラエティ」~「サンセット広場」という流れを楽しむ意味でも、アルバム通して聴くことをお勧めいたします。

トラボルタを気どった男の子の動向。
ディスコからブロードウェイへのメロディー散策。
詞曲ともに味わい深さが増すと思いますよ~。

そして、「本当にイイ男はここにおるで!」と歌っているかのようなジュリー・ヴォーカルの俯瞰力も見えてくるのです。


それでは次回更新・・・今度は90年代。
リズム・アレンジに癒しの特徴を持つ「ほのぼの系」ジュリー・ナンバーがお題です。
しばしのお待ちを!


|

« 沢田研二 「素敵な気分になってくれ」 | トップページ | 沢田研二 「Beautiful World」 »

瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

DY様 こんばんは。

非常事態宣言は週明けのも解除とか情報があるようですが、大規模ライブの解禁はまだ先になりそうですね。席を一つ置きとか全員マスクで声援無しとか、ライブじゃないし・・・。

ザ・アメリカな隙さえあれば取り合えずナンパせずにいられない軽い男が似合い過ぎて。
でもアルバム全体は「黒」のイメージなんですよね。「黒い」というよりは「濃い」かな?
そこが時には「苦手」と感じる部分もある気がします。

投稿: nekomodoki | 2020年5月23日 (土) 23時52分

nekomodoki様

ありがとうございます!

とりあえあずこちらでも非常事態宣言は解除となりましたが、音楽イベントの通常開催までの道のりはまだ厳しそうですね・・・。
確かに「声援なし」のジュリーLIVEなど想像もできません。
ジュリーに限らずですが、早く普通に大ホールの公演を満員で開催できる日が戻るとよいのですが・・・。

『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』がちょっと苦手、と仰る先輩は多いです。
僕は大好物なんですけど、阿久さんの詞は特にこのアルバムでは「身勝手な男」満載な感じがして女性としては受け入れにくいのかなぁとも考えたり。
「黒い」より「濃い」というのはアルバムの特色ピタリの表現ですね!

投稿: DYNAMITE | 2020年5月26日 (火) 13時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 沢田研二 「素敵な気分になってくれ」 | トップページ | 沢田研二 「Beautiful World」 »