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2020年5月14日 (木)

沢田研二 「素敵な気分になってくれ」

from『JULIE CM SONG COLLECTION』

Cmcollection

SIDE-A
1. アルファ クリエーション
2. 素敵な気分になってくれ
3. 渚のラブレター
4. I DO LOVE YOU
5. I am I(俺は俺)
SIDE-B
1. あなたに今夜はワインをふりかけ
2. 愛は炎
3. 二人なら翔べるのに
4. RED SUMMER
5. 熱い想いだけ

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ゴダイゴのギタリスト、浅野孝巳さんが亡くなられました。
コロナ禍によりゴダイゴのツアーが中断されていた最中での訃報はあまりに突然で悲しく、驚いています。

小学生の時、初めて自分で買ったレコードがゴダイゴ『ガンダーラ』のシングル盤でした。続けて『モンキー・マジック』のシングル盤も買い、当時は楽器のことはまったく分からなかったけれど、Aメロで浅野さんのキレッキレのカッティング・フレーズだけが残る一瞬の箇所がとても好きになりました。

3年前の5月、浅野さんと依知川伸一さんのデュオ・ユニット『あさいち』のLIVEに行き、初めて浅野さんのギターを生で聴くことができました(その時のことは、こちらの記事で少し書いています)。
ディナー形式のイベントでしたから、浅野さんは演奏前にお客さんの食事のテーブルを回ってくださり、乾杯もしてくださいました。
幼い頃にテレビで観て憧れていたレジェンドと実際にグラスを合わせて頂けた夜・・・忘れられません。

浅野さんと言えば、「JC-120」というローランド社のギター・アンプ開発に尽力されたことも有名です。
初心者から上級者まで、使い手の技量を問わない万能な奴。スマートなボディなのに、メチャメチャ頑丈な奴。どことなくキュートなその愛称は「ジャズコ」。
貧乏学生時代に利用していた格安の音楽スタジオではマーシャルを置いていない部屋はいくつかあったけど、ジャズコはどの部屋にも必ずありました。
10代でバンドを始めてから、ずっとお世話になり続けています。

心より浅野さんのご冥福をお祈り申し上げます。



今週は今日木曜日が休みのDYNAMITEです。
本来ならば正に昨夜、ジュリーの全国ツアー『Help!Help!Help!Help!』が開幕していたはずで、余韻に浸りながら仕事に励んでいたのでしょうね・・・。

このよ
うな状況になって今つくずく思うのは、久々のお正月LIVEに1度きりとは言え無事参加できていて本当に良かったなぁ、と。
同時に、地方にお住まいの方や、それぞれの事情で参
加が叶わなかったファンのみなさまの現在の心情いかばかりか、とも想像します。
ジュ
リーのLIVEからやむを得ず遠ざかるというのは・・・中でも、もう50年から「毎年」のこととして過ごしてこられた長いファンの先輩方は本当に辛いでしょう。
せめて、とい
うには物足りないかもしれませんが、今日はまず今年のお正月LIVE『名福東阪阪東・寡黙なROCKER』・・・僕が参加した1月10日の東京国際フォーラム公演でのジュリーのMCを少しだけ振り返ることから始めたいと思います。

現在の緊急事態宣言下の毎日で僕ら
は、平時ならあまり耳にすることのない「自粛」という言葉をテレビなどでしょっちゅう聞いていますが、意味こそ違えどジュリーがはからずもお正月LIVEで「自粛」に言及しました。

その頃巷で大きな話題となっていたのは、例のゴーン氏逃亡事
件です。
「綴りは違うのかもしれないけど、名前がゴーン(GONE=行ってしまった)
ってのが・・・」
と、冗談を交えつつ色々とその話をしてくれたのですが、ジュリーが抱いた
素朴な疑問というのが

「これだけの不祥事ですよ。何でニッサンはコ
マーシャルを自粛しないの?」

と。
楽器を入れる箱に入って逃げたらしい、とのことで
「(普段から楽器運搬に関わる身として言うと)そんなところに人が入っちゃダメですよ!」と笑わせてくれたり。
で、何よりこの件については「CMのOBとして言わせて貰う
!」と力説するジュリー。
そう、ジュリーにとってもファンにとっても「ニ
ッサンと言えばブルーバードのCM!」なのですね~。

ということで今日採り上げる「元気
の出るジュリー・ナンバー」は、日本においては初期の佐野元春さんが伊藤銀次さんと共に開拓し確立させた「ピアノ・ロック」の流れを汲むバリバリのビート系「素敵な気分になってくれ」です。よろしくおつき合いください。


ジュリー出演CMは数あれど、タイガース時代の明治チョコレートは別格として、ブルーバードのCMはジュリー本人も特に思い入れが強いのではないでしょうか。
楽曲が在りもののタイアップではなく、しっかりとCM商品のコンセプトに沿って作り込まれている・・・まぁそれだけなら昭和の時代はジュリーに限らずそうした業界の熱量は高かったわけですが、加えてブルーバードの場合はシーズンごとにどんどん新曲を作っていった、というのがね。しかも名曲揃いときています。
いつだったか、大宮公演のMCでジュリーが突然「I am I(俺は俺)」の話をしてくれたこともあったなぁ。

「素敵な気分になってくれ」は一連の作品の中でもCMシリーズ自体が車の売れ行きとともに絶好調のタイミングで製作され、作曲が新星・大沢誉志幸さん、作詞がエキゾティクス期ジュリーの最重要女流作詞家である三浦徳子さん。歌うは完全にロック・シンガー覚醒を遂げたジュリーとなれば、名曲にならない方がおかしいです。

そうした製作・演者双方の時代的なテンションの高さは、以前に大分の先輩から授かった貴重な資料『快走通信 1982』からも読み取ることができます。

Kaiso821

Kaiso822

Kaiso823

Kaiso824 

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ブルーバードとは「街一番のイイ男が、街一番のイイ女を乗せて走る車」ということになりましょうが、自らを指して「一番のイイ男」なんて歌うとなると「そんな気になりきっている」高揚した普通の男のストーリーとなるはず。
でもジュリーが歌えばそこは「真実」ですからね!
自分がとびきりのイイ男であることに何の疑問も無く物語が展開していくという。個人としてのジュリー本人がどう考えていたかはともかく、歌い手・ジュリーはブルーバードのCMが謳う「スーパースター」にドンピシャの男だったのですな~。
三浦さんもそこは当然心得ていて

恋する女は 世界のためにある ♪
   E♭     B♭    A♭          E♭

恋の相手の方も最高に「イイ女」であると同時に、こちら(歌い手)もそれに見合う「世界のためにある」ほどのイイ男でなければこの詞は成立しませんから。
凡庸たる身には一生かけても辿り着けない境地です。

では、大沢さんの曲はどうでしょうか。
これはジュリー、大好きな感じだと思うんです。と言うのもイントロ冒頭のリフと音階移動が、「気になるお前」や「お前は魔法使い」を連想させるんですよね(勝手に脳内で指笛とカウベルを鳴らすと「おまえのハートは札つきだ」にも相当似てるけど)。
「素敵な気分になってくれ」は、「sus4」や「add9」によるクリシェ・ラインの音をホンキー・トンクなピアノが受け持ち、さらにブラスを噛ませるアレンジがいかにも82年という時代を反映していて、ジュリーと縁深い佐野元春さんの影響も大と見ました。

メロディーとジュリーのヴォーカルで個人的に一番好きな箇所は、Aメロの出だしです。

情熱という 名前の ♪
E♭  Gm7   Cm  A♭m

「名前の」の「の~♪」のジュリーの高音がなんとも言えずクセになりませんか?
実はここ、理屈上でも聴き手にとって「引っかかりのある」一時的な転調音なのです。

この曲はキーが変ホ長調なので、メロディー中「ラ」「シ」「ミ」の3音には自然に♭がつきますが、ここでは「ソ」をフラットさせています。
コード進行としても普通なら「A♭」とするところ、大沢さんが当てたのは「A♭m」。それ自体は珍しくない手法とは言え、そこに向かってパ~ンと跳ね上がる高音を配したのが大沢さんの素晴らしさだと思います。
ただし、この音が曲中メロディー最高音というわけではなくて、例えばすぐ後のAメロ2回し目、「パーティーで♪」の「で~♪」もジュリーの高音が冴えますよね(こちらは調号に忠実な王道のメロディー)。ここがナチュラルの「ソ」の音で、音階としては1行目語尾より半音高い。
それでも僕には「ソ♭」を歌うロングトーンこそが曲中で最もジュリーの高音の魅力を引き出している、と感じられるのですが・・・いかがでしょうか。

最後に。
僕はカセット『JULIE CMソング・コレクション』を正式な形では持たず、先輩から授かった音源のみを所有する状況ですが、これは「アルバム」として考えてもなかなか聴き応えのある作品ではないでしょうか。
リリースの時期は様々なのに不思議な統一感がありますし、楽曲バランスも収録配置も素晴らしい。
お題の「素敵な気分になってくれ」の2曲目収録は曲調と合っていてズバリ!だと思いますし、A面とB面で時代背景がガラリと変わる面白さは、当時実際カセットを購入した先輩方なら実感されたことでしょう。
B面頭が「あなたに今夜はワインをふりかけ」ってのがまた、いかにも強力なアルバム構成という感じです。ここはリリース年代順を崩してきていますから、製作サイドの「狙った」配置だったんじゃないかな。

僕としてはせめてリマスターのクリアな音でのCD再発を切望しますが、難しいのでしょうかねぇ・・・。


それでは次回、次々回更新お題2曲の「元気の出るジュリー・ナンバー」は、またまた曲の雰囲気を変えてみようと思います。
ゴリゴリのビート系ではなく、「微笑ましい曲調」とでも言いましょうか。のんびり、ほのぼのと聴ける・・・ジュリーの歌声はもちろんだけど、メロディーやアレンジ、或いはリズムが既に癒し系、という2曲を用意しています。

それぞれ、70年代と90年代の名曲。まず次回は70年代の方から書いていきますよ~。
お楽しみに!

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コメント

CD再発に一票!最近 カセットレコーダーで再生しましたが のびてました…。CD再発を言ったらキリがありませんね。

投稿: クリングル | 2020年5月14日 (木) 23時10分

クリングル様

ありがとうございます!

さすがはクリングル様、実物をお持ちですか~。

ただ仰る通り、テープはのびますからね・・・。
「素敵な気分になってくれ」をはじめ、この作品でしか聴けない曲もありますし、CD再発して欲しいですよね。本当に、ジュリー関連の再発は言い出したらキリがありませんが・・・。

投稿: DYNAMITE | 2020年5月15日 (金) 12時47分

DY様 こんにちは。

これ、テープだけの販売だったような・・。
持ってないんですよね。でも曲は知ってます。
CDで再発・・・無理だろうなぁ。
「キネマの神様」
志村けんさんが亡くなって、この映画のことがクローズアップされた時、もしかしたらこの映画で共演するはずだったんじゃ?とも思ったんですが、映画自体どうなるのかと。
そしてらまさかの主役代役。
コントではいつも息ぴったりのふたりでしたから全く違和感ないんですが。
今年は正月公演行けただけで一年あとは冬眠してるしかないかと思ってたので飛び起きました。

投稿: nekomodoki | 2020年5月18日 (月) 16時13分

nekomodoki様

ありがとうございます!

仰る通り、カセットテープのみの発売だったようですね。
まんだらけ海馬店さんで実物が売られているのを見たことがあります。僕にはちょっと手が出せない高値でしたが・・・(泣)。

本当に、このままさいたる情報も無いまま次のLIVEスケジュール待ちかなぁ、と思っていたところにドデカいニュースでした。
僕も朝起きてPCを開いたらいきなり「沢田研二」の文字が目に飛び込んできて一気に目が覚めましたよ~。
主演映画、楽しみですね!

投稿: DYNAMITE | 2020年5月19日 (火) 09時03分

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