沢田研二 「透明な孔雀」
from『告白-CONFESSION-』、1987
1. 女びいき
2. 般若湯
3. FADE IN
4. STEPPIN' STONES
5. 明星 -Venus-
6. DEAR MY FATHER
7. 青春藪ん中
8. 晴れた日
9. 透明な孔雀
10. 護り給え
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ツアー後半のインフォ&申込用紙が届きましたね。
実は、以前に全体のスケジュールを知った段階で、オーラス渋谷3daysのいずれかに音楽仲間を大勢誘う予定でいたのです。ところが、まさかの枚数制限!
ジュリー人気を改めて痛感しますが・・・場合によっては参加者によって日にちを分けるなど何かしらの工夫が要りそう・・・とりあえず仲間に知らせてみます。
さて、そのツアー・タイトルでもある今年の新譜『Help!Help!Help!Help!』のリリースも近づき日常への気合も入るところ、今日は『既に採譜を終えているジュリー・ナンバー』シリーズ第3弾として更新。
アルバム『告白-CONFESSION』から「透明な孔雀」を採り上げます。よろしくお願い申し上げます。
『ジュリー祭り』で本格堕ちした僕は凄まじい勢いで未聴のアルバムを大人買いしました。
廃盤のものも根気よく中古でゲットしたりして猛勉強したわけですが、『架空のオペラ』と、いわゆる「CO-CoLO期3部作」についてはなかなか入手に至らず。音源だけは先輩方のご好意ですぐに聴けたものの、「正規の形で持っていない」引け目もあったのか、CO-CoLOの3枚はリピートする回数が少ない状況が続いていました。
数年前のリマスター再発以降はそんなこともなくなりましたが、「あまり頻繁には聴いていない」当時のことを今思えば、3枚の中で特にも好感を持っていたアルバムは『告白-CONFESSION』でした(現在は『TRUE BLUE』がメチャクチャ好きになっています)。
CO-CoLO期で一番聴き易い、とっつき易いイメージ・・・何故そう感じたのかな?
『ジュリー祭り』で生体感した「明星」が収録されているというのもあっただろうし、全10曲の収録バランスが好みだったというのもあるでしょう。でもやはり僕の世代にとってこのアルバムの音作りは、80年代中盤の怒涛のMTV時代を連想させてくれる・・・そこが根幹ではないかと思っています。
「後追い聴き」ならではの想いなんですけどね。
CO-CoLO期は洋楽だとAORに例えられることが多いようですが、残念ながら僕はあまりAORは詳しくなくて。
3枚それぞれ特徴がある中で『告白-CONFESSION-』は凄く洋楽MTV時代に近いエッセンスを持つアルバム、という気がしています。音の感触が、ティアーズ・フォー・フィアーズ、カーズといったあたりのシングル・ヒットMV映像を連想させるのです。
もちろんそれはCO-CoLO以外の邦楽バンド、アーティストが影響を受け80年代の音として確立させています。
ジュリーと縁の深い人だと、佐野元春さんや大沢誉志幸さんは僕もリアルタイムで聴くことがありましたから、そのイメージですね。
彼等がジュリーと関わったエキゾティクス期はさほどでもないのに、CO-CoLOになって一気にそれっぽくなった、というのが面白いなぁと思います。
そう言えば「青春藪ん中」のキーボード・フレーズがヴァン・ヘイレン「ジャンプ」(84年)へのオマージュだったりして、『告白-CONFESSION-』の場合は、ニューヨーク録音からくる洋楽テイストという要素は大きかったのかもしれません。
さて、記事お題の「透明な孔雀」。
個人的にはアルバムの中で一番好きな曲です。竹内正彦さんの作曲は正に「アルバム提供、この1曲!」で、入魂度の高いポップなナンバー。
So surprised 君が遠すぎて
A Dmaj7
I'm so sad 声も届かない
A Dmaj7
この世の悩みは生きがい
A Dmaj7
昔 話 みたいだね ♪
Bm7 E7 A
76年の「夕なぎ」事件(?)から約10年が経ち、当時は「ロック」とはまだ縁遠く「歌謡曲寄り」のイメージだった「maj7(メジャーセブン)」というコードが、こんなにも尖ったロック・ナンバーと融合するまでになりました。
ロックの進歩は本当に速いですね。
「透明な孔雀」は、ジュリーの詞がさらに素晴らしい。
ただし僕がこの詞の魅力に格別に惹かれたのは、近年のジュリーの『PRAY FOR JAPAN』作品群との比較に気がついてからです。
2012年『3月8日の雲』以後のジュリーの創作姿勢、特に作詞について「CO-CoLO期」と比較されている先輩は僕の周囲にも多いですし、僕自身もそうです。
どうしてそうしてしまうのか・・・ひとつには、ジュリー独特の「彼岸」「此岸」についての考え方、思弁性が挙げられるのではないでしょうか。
もちろん同じ題材でも現在のジュリーのアプローチはCO-CoLO期とは異なりますが、独特のフレーズ選択でメロディーに載せてくる作詞センスは不変です。
「透明な孔雀」でジュリーは、「この世」では遠い存在であり結ばれ得ぬ「マイ・エンジェル」に
「それなら僕を黄泉の国に連れていってくれ」
と歌うわけです。突き抜けていますよね。
何より、ビート・ロックには一見不釣合いな「黄泉の国」「来世」などというフレーズがこうも心地良いとは・・・やはりヴォーカルの実力が為せるところなのかな。
『告白-CONFESSION-』は、そんなジュリーのヴォーカルをとっても異色の1枚と言えます。当時流行した「英語的な日本語」発音を採りいれた曲が目立つのです。
ラ行で舌を巻き、さらには「たちつてと」が「つぁ、つぃ、つ、つぇ、つぉ」に近くなるという。ただ「透明な孔雀」ではそんな発声パターンも極力抑えられ、ジュリーはとても自然に歌っているように聴こえます。
「ウマが合う」メロディーだったのではないでしょうか。
「透明な孔雀」と歌詞中で讃えられる魅惑的女性のモデルについて、僕自身は明快に把握はできていないのですが、山口小夜子さんの『パンドラの箱』パンフレットにジュリーのこの詞の寄稿があったのだとか(keinatumeg様の記事で知りました)。
ずいぶん遅れてきたジュリーファンである僕は、様々なロックのキーパーソンや時代の申し子のような人物が、過去に何らかの形でジュリーと結びついていたことを「そうだったのか!」と驚きをもって知るケースが多く、レコード時代から集めていたスティーリー・ダンのアルバム・ジャケットに登場している山口さん(名盤『Aja~彩(エイジャ)』)も、そんなお1人です。
亡くなられてから、もう10年以上経つのですね・・・。
それでは、オマケです!
87年のジュリーのショットを数枚どうぞ~。
以上、『Keep On Running』パンフレットより
以上、『不協和音 Vol.6』より
以上、『ANZUCHI』パンフレットより
メガネスーパーさんのCMは、「ジュリー」ではなく「沢田さん」と表記しているのがなかなか興味深いです。
ターゲットを働く中高年とする工夫だったのかな。
それでは次回更新から、ジュリーの新譜『Help!Help!Help!Help!』収録2曲の考察記事に取り組みます。
今年はどんな曲で、僕らに何を考えさせてくれるのでしょうか。楽しみです!
そうそう、関東圏では「ジュリーの新譜は毎年銀座山野楽器さんに直接買いに行っている」というファンのみなさまも多いかと思いますが、現在お店が改装中で例年とは様子が変わっており、CD売り場も従来とはフロアが異なります。
そんな状況下ですので、念のため在庫を問い合わせてからお出かけになることをお勧めします。
新型コロナウィルスのニュースが毎日続いています。
僕は「風邪ひいた~!」などと言いながら仕事をするのは日常茶飯事ですが、今そんなことをしたら例えただの風邪だとしても大顰蹙必至。
本当に気をつけなければ・・・。
皆様も充分ご注意ください。そして、5月にはすっかり収束していることを切に願います。
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