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2019年12月28日 (土)

沢田研二 「ZOKKON」

from『A WONDERFUL TIME.』、1982

Wonderfultime 

1. ”おまえにチェック・イン”
2. PAPER DREAM
3. STOP WEDDING BELL
4. WHY OH WHY
5. A WONDERFUL TIME
6. WE BEGAN TO START
7. 氷づめのHONEY
8. ZOKKON
9. パフューム
10. 素肌に星を散りばめて

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2019年、ラスト更新です。

まずはお知らせから。
ザ・タイガースのファンのみなさまならご存知、あの1・24の重要登場人物でもいらっしゃる坂田さんが、ブログを開設されました。
坂田さんは、2012年のピーさんとタローさん(&スーパースター)のジョイント・コンサート中野公演で何と僕のお隣の席にいらして、その時まず僕の顔を覚えてくださり(本当に僥倖でした。一緒にいらしていた綺麗な奥様が、少し離れた席に来場していたサリーさんとお話するのを目の前で拝見したりとか)、その後坂田さんの青山でのLIVE(ゲストでタローさんも参加)で色々とお話させて頂いて以来、望外のご縁を賜りました。
ブログの開設もメールで知らせてくださって(熱で寝込んでいる僕に、「ウィルスなんかダイナマイトでふっとばせ!」とエールもくださいました)、これは僕としても微力ながら広く皆様に案内しなければ・・・と、ここでご紹介させて頂く次第です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて本題です。
2019年も残り僅か・・・ということはすなわち、ジュリーの2020年お正月LIVE『名福東阪阪東・寡黙なROCKER』開幕がもうすぐにまで迫っているという。
僕は今回残念ながら初日名古屋公演には参加せず、10日の東京国際フォーラム公演までセットリストのネタバレ我慢を敢行しますが、「ジュリー自身の作詞・作曲作品がかなりの比重を占める」と予想しているのは前回「AZAYAKANI」の記事中で書いた通り。
今日は”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ第2弾として、これもやはりジュリー作詞・作曲のナンバー「ZOKKON」を採り上げ、賑やかな名曲にあやかって今年を締めくくりたいと思います。

僕にとって2019年は仕事が忙しかった1年でした。
中でも大変だったのは、本社ビルの移転に伴う資料本スコアの取捨・整理を一手に任されたことです。
勤務先の会社は昭和42年創業、しかも「とにかく新刊を矢継ぎ早に出す」ことが宿命づけられている楽譜業界の出版社ですから、地下資料室に残されている50数年ぶんの資料本の単体冊数たるや・・・眩暈がするほどでした。
90年代に入社した僕がこれまで目にしたことの無かったスコアもたくさんありまして、それを早急なスキャン化が必要なもの、今後その可能性があるもの、不要廃棄処分のものと自分の判断で選別のうえ保管作業までしていかねばならず、責任重大にして労力も莫大(本って纏めるととても重いですからね)。
ただ僕は元来スコアフェチですから、未知の資料を吟味する作業というのは大変ではありましたがさほど苦ではなかったです。

ジュリーのギター・スコアやピアノ・スコアも点数は少ないながらすべて発掘。最終版は82年ながら、当然「今後の可能性」アリとして大切な保管組としました。
で、ジュリー単体のスコアではないけれど、言わば「関連商品」と呼ぶべきもの・・・混載のオムニバス以外に、こんなスコアも発掘したのです。

Zokkon1

ジュリーファンの先輩方ならばピンと来たはず。
そう、ジュリーはシブがき隊のファースト・アルバムに2曲の楽曲を提供しているんですよね。

1982年と言えば、ジュリーが「作曲家」として完全覚醒した時期。僕もジュリーの彼等への楽曲提供したこと自体は数年前に知っていましたが、こうしてスコアを見て曲調を把握する機会は初めてでした。
そしてまず驚愕。
これまで僕は、てっきりジュリーは作曲のみの提供で作詞は森雪之丞さんなのだろう、と勝手に思い込んでいたのです。ところがジュリーは提供2曲いずれも作詞・作曲まで1人で担っていたのですねぇ。
先輩方としては「何をいまさら」と仰りたいところでしょう。これは完全に僕の勉強不足でした。

でこうなると、音符やコードだけでなく歌詞についてもじっくり吟味しつつスコアを読み解きたくなるのは必然。すると

Zokkon2

Zokkon3

こ、これは・・・!
2曲とも明快に「ZOKKON」系ではないですか!

オラオラ・モードな口調でイキがって迫っているけれど、内心目の前の彼女にはメロメロにしてお手上げ。そんな主人公がすっかり舞い上がってすったもんだしている、という「バカ・ロック」(←念のため書きますが、この表現は最上級の褒め言葉ですからね!)な仕上がり。
その上で詞曲には時代にジャストな「流行歌」エッセンスがあります。正に「ZOKKON」系列なんですよ。
もちろん各曲それぞれバラエティーに富みキーも違います。「Weather Girl」は短調の進行ですし、「ハートでCOME ON!」の詞には「ZOKKON」以上に「氷づめのHONEY」を連想させるフレーズが登場。
ただ、ジュリー渾身の「バカ・ロック」はやはり「ZOKKON」に集約されまると思いますから、この曲がボス的位置なんですよね。

同い年の男性ジュリーファンの友人が、かつてヤマハさんから出版されていた『A WOUDERFUL TIME.』のマッチング・エレクトーン・スコアを持っていて見せて貰えているので、「ZOKKON」とシブがき隊2曲はスコア比較としても非常に興味深い類似を楽しめました。

シブがき隊のファースト・アルバム『ボーイズ&ガールズ』は82年7月リリース、一方「ZOKKON」がシングル「”おまえにチェック・イン”」のB面としてリリースされたのは同年5月(アルバム『A WOUDERFUL TIME.』は6月)。とすれば「ZOKKON」とシブがき隊への提供2曲はほぼ同時期に作詞・作曲されたと考えられます。
ここで、拙ブログ得意の「勝手な推測」(妄想、邪推とも言う笑)が炸裂。

「ZOKKON」は元々、ジュリーがシブがき隊アルバムのオファーを受けて作った曲のひとつではなかったか?

という。
シブがき隊には翌83年の「ZOKKON 命(LOVE)」というヒット・シングルがありましたし(こちらの作詞が森さん)、そもそも「ZOKKON」なるタイトル・フレーズがデビュー時の彼等のイメージにピッタリ、という後づけ要因もあります(ちなみに上記スコアは彼等のサード・アルバム『夏・ZOKKON』までの全曲を収載)。

ところがジュリーはシブがき隊のために作った曲の中で「ZOKKON」の出来を大いに気に入り、自らの次シングル曲としてプリプロにかけたのではないでしょうか。
福岡の先輩から授かった80年代のラジオ音源でジュリーは「シングルのA面とB面は、最初はどちらもA面のつもりで作って、その上で皆で話し合っていずれをA面にするか決めている」と語っていました。結果的には彗星のごとく登場した大沢誉志幸さん作曲の「”おまえにチェック・イン”」にA面の座を譲りましたが、当時ジュリー・シングルの流れは「ス・ト・リ・ッ・パ・-」「麗人」と自作曲が続いており、そこで今度は作曲のみならず作詞も自ら手がけた「ZOKKON」で勝負!とジュリーが考えた、というのはあながち無理な推測でもないような気がするのですが・・・深読みですかねぇ。

ともあれ「ZOKKON」は、元気で脳天気で愛すべき名曲です。長いファンの先輩方にとっては「セトリ率高め」のイメージもあるかもしれません。
しかし『ジュリー祭り』堕ちの僕は、この曲をまだ生で聴けていないんです(と言うかアルバム『A WONDERFUL TIME.』の中では「”おまえにチェック・イン”」しか生で聴いたことがありません)。
お正月、期待したいです!


さて、来年も今年ほどではないにせよ忙しそうなので、ライトな文量&内容の記事が続くと思いますが、更新はなるべくマメにやっていこうと思っています。
今年はとにかく約半年間のブログ放置状態がありましたから・・・いつも読んでくださっているみなさまには本当に申し訳なかったです。
2020年はそんなことがないよう頑張ります。

春に発症した五十肩ともつきあいながらバッタバタで駆けた2019年も、もうあと少しで終ります。
今日からは9日間の冬休みに入りました。実感する連休のありがたみ・・・ひさしぶりにゆっくり過ごしたいです。

それではみなさま、風邪、インフルエンザ等に気をつけて、よいお年をお迎えください。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

DY様の考察通り「ZOKKON」と 当時 個人的には「氷づめのHONEY」もシブがき隊に提供~落選したのでは?と思ってました…

投稿: クリングル | 2019年12月29日 (日) 00時13分

クリングル様

ありがとうございます!

なるほど、僕の場合は「シブがき隊のために作っていたものを気に入って自分の曲として採用」という推測でしたが、クリングル様は「シブがき隊のプリプロから差し戻されたものを自分で採用」とのことで、これまた大いに考えられるパターンですね!

もしそうだとすると、結果的に「ZOKKON」のフレーズだけ持っていかれたことになり、ジュリーファンとしてはちょっと悔しい気もしますが。

投稿: DYNAMITE | 2019年12月29日 (日) 13時09分

DY様 こんばんは。

2019もあと3時間ですね。

「ZOKKON」
ジュリーらしい曲だなぁ、とは思ってましたが、シブがき隊との関係までは気づきませんでした。
結構ほかの人にも楽曲提供してましたよね。
ジャニーさんはジュリーがお気に入りだったようですし。
スカッと聴ける歌だし、ジュリーも好きだと思います。
では良いお年を!

投稿: nekomodoki | 2019年12月31日 (火) 21時00分

nekomodoki様

ありがとうございます!

この時期のジュリーは楽曲提供全盛期ですよね。やはり自作の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」の大ヒットが業界的には大きかったのかなぁと思います。

アルバム『A WONDERFUL TIME.』収録曲ではこの「ZOKKON」と「素肌~」がセトリ率高め、と後追い勉強しています。
僕はいずれも未体験ですが、そろそろ来るのでは・・・?

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿: DYNAMITE | 2020年1月 1日 (水) 12時43分

DY様
 こんばんは。またしてもずいぶん遅れてのコメントお許し下さいませ。
 一つ前の「AZAYAKANI」では楽曲に対する個人的好き嫌いではやや否定的にコメントしましたが、「ZOKKON」はいいですね、タイトルのローマ字表記もあまり気にならないですし(笑)。1曲前の「氷づめのHONEY」が申し訳ないけど全然好きじゃないんで反動?のように名曲です。
 アルバム自体は夏に心地よい一枚って、当時高3の私は結構夏休みに受験勉強の合間に聴いていました。でもA面の方がよく聴いたかなぁ?
 その頃ちょっと気になりだしたのが作家陣の移り変わりです。私としてはジュリー本人や加瀬さん、かまやつさん、エキゾティクスのメンバーで固めてくれたらいいのにと思っていたのですが、どんどん若い作家、外部?に依頼が増えて行ってあまり嬉しくなかったです、生意気ですみません。でも時代の先端を行くには新しい作家、新しいアイディアの採用も不可欠なのかなと思ったりもしました。

投稿: ねこ仮面 | 2020年1月12日 (日) 20時41分

ねこ仮面様

ありがとうございます!

僕は「氷づめ」もこの曲も同じくらい好きですよ。
この頃のジュリーの作曲って、『SONG CALENDER』収録曲やシブがき隊の2曲もそうですが、たとえ転調などが無くても、小節割りが独特だったり、着地の進行が王道とは違ったりして面白く、クセになるんです。

作家の移り変わりは確かにそうですね。ただ、今アルバムの作家陣を改めて振り返ると、日本のニュー・ロマンティックとも言うべき80年代作曲家の中でも名を馳せた主力の人達なんですよね。
この時期のジュリーもやはり最先端を行っています。仰る通りですね。

投稿: DYNAMITE | 2020年1月16日 (木) 16時48分

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