« ザ・タイガース 「風は知らない」 | トップページ | 瞳みのる・稲村なおこ 「GS陽気なロックンロール」「君は僕のすべて」 »

2019年12月 3日 (火)

沢田研二 「君をのせて」

『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』収録
original released on 1971


Myboatforyou 

1. 君をのせて

2. 恋から愛へ

---------------------

大変ご無沙汰しております。
長い間コメントのお返事も遅れてしまい、
本当に申し訳ありませんでした。

その間ジュリーは全国ツアー
『SHOUT!』を見事完走。オーラスのフォーラムではお客さんも参加して楽しいレコーディングも催されたとか?
立ち会えたみなさまが羨ましい限りです。

さて不肖DYNAMITE
、勤務先の本社移転が無事終わったとは言えまだまだ忙しい日々ではあるのですが、ブログに向かう余裕はどうにか戻ってまいりました。
僕にとっては(きっと多くのジュリーフ
ァンにとっても)大切な日付である本日、12月3日の『ジュリー祭り』記念日(早いものでもう11周年ですか~。ちなみに個人的に今年は結婚10周年の記念日だったりもします)にブログ復帰したいと思います!

毎年この日は、常々宝物のように思っている『ジュリー祭り』
セットリストの中から記事お題を選ぶことにしていて、鉄人バンドのインスト2曲も含めたセットリスト82曲についてはジュリー70歳の誕生日に全曲の記事を書き終えることができましたので、昨年からは「改めて2度目の記事を書く」ということをやっています。

今回は「君をのせて」を選びました。
と言うのは、なにせ今年の目まぐるしかった
日々・・・ブログも長期に渡り放置状態となり、初日の東京国際フォーラム、7月の守山、9月の八王子と『SHOUT!』ツアーに3度参加するも結局LIVEレポは書けずじまい。この機に今年のツアーを振り返りたいという思いもあって、『SHOUT!』ツアー・セットリスト本割トリで歌われたこの名曲に再び挑ませて頂こうというわけです。
これまでの
拙ブログお馴染みの大長文とはいかず短めの記事となりますが、どうぞよろしくおつき合いください。

僕は『ジュリー祭り』で本格ジュリー堕ちを果たした
後、裕也さんとのジョイント『きめてやる今夜』を除くすべてのツアーに参加してきました。その中で、ツアー途中にこれほど大きく演奏スタイルが変化した楽曲は他に記憶が無い・・・それが今年の「君をのせて」。
しかもギター1本体制での出来事です
からね。今日は是非その点を文章記録として残しておきたいです。

まず初日フォーラム。
柴山さん
の伴奏は指弾きでした。間奏ソロは親指で低音部を、高音部はひとさし指、中指、薬指を駆使し、掌で弦を包むような奏法で「1人ツイン・リード」を披露してくれたのです
この奏法は、下山さん不在となった後に「いくつかの場面」のソロでも採用されたこと
があって、「そこまで1人でやってしまうのか!」と驚かされたものでした。それが今年の「君をのせて」で再現されたのですね。

ところが次参加の守山公演ではガラリ一変

ピック弾きで、ソロについては単音。これはバンド時代スタイルのギター、ピアノ、
ストリングスの各パートを網羅したヴァリエーションです。
それだけでも凄まじいのに
、さらに驚嘆したのは歌メロ部のバッキングでした。
コード・アルペジオと言うより「
フレーズ・アルペジオ」とでも表現すればよいのでしょうか・・・ギター・アルペジオというのは普通縦の動きですが、ここでは左右の横移動が肝。
柴山さんはこの短期間で、ジュリ
ーが歌うメロディーとは別の裏メロを考案していました。1小節1拍ごとに「3連・4分音符・3連・4分音符」が基本スタイルで、「君をのせて」のシンコペーション・メロディーとガッチリ噛み合っています。
冒頭で言うと、「風に~♪」の「に」が小節の頭です
からそこで3連。「むかい~♪」の「むか」でジュリーのヴォーカルとぶつからないように4分音符で音を伸ばし、「い」で再び3連という・・・素晴らしいアレンジ構成力!

初日から7月の守山までの間、いつこのように演奏を変化させたのかはまだ
分かっていませんが、ピック弾きへの変更は「伴奏の輪郭をハッキリさせた方が歌っていてしっくりくる」というジュリーのサジェスチョンかなぁと僕などは想像しています。
そこで
単に弾き方だけでなく構成までガラリと変えてきた柴山さん、「さすが!」のひと言ですね。

・・・と、ここまで演奏のことばかり書いてきましたが、今回『SHOUT』ツアー・セットリストから個人的に「この1曲」ということで「君をのせて」を採り上げたのは、やっぱり(初日の段階から)昨年亡くなられた先輩のことが思い出されてならない歌だったから。
旅立たれる3ケ月ほど前に緩和病棟にお見舞いに行った時「私を『songs』ヴァージョンの「君をのせて」で送ってね」と仰られたあの日のことを今でも鮮明に覚えていますし、その曲をいざジュリーの生歌で体感すると、悲しみだったり暖かみだったり、いろんな感情が押し寄せてくるのです。
ジュリーが先輩を送ってくれている気がしてね・・・。

思えば、「君をのせて」がジュリーにとってもファンにとってもこれほど大切な1曲となったのは、一体いつ頃からなのでしょうか?
僕は後追いのファンですから、油断すると「君をのせて」を「誰もが知るジュリーの大ヒット・シングル」と書いてしまいそうになります。でも実際はヒットと言うほどヒットしていなくて。『ROYAL STRAIGHT FLUSH』の選からも漏れているくらいですし。
しかも、かつてジュリー自身が「あまり好きな曲じゃない」というようなことも言っていたらしいですね。
シングル盤のB面に配されたジュリー自作の「恋から愛へ」がコード進行やリズム展開細部に至るまで凝りに凝った作品であることを考えると、ジュリーはその頃「自分の歌は自分で作りたい」との希望があり、そんな思いからの発言だったかもしれません。

一方で「君をのせて」をリリース当時から絶賛派だったのが加瀬さん。
「ああああ~♪」というところが実に沢田らしくてイイ!」
とは我等が加瀬さん、さすがの慧眼ですが
「それ以来私は、あ~あ♪と歌う曲が増えました」
と、ジュリーが面白おかしくMCで語ってくれたのは、いつのツアーだったかな。

とにかく今では「君をのせて」はジュリーもファンも双方が大事にしている「知る人ぞ知るソロ・デビュー・シングルにして不朽の名曲」となりました。

以前書いている通り、この歌には普遍性があります。
誰の胸にも覚えがある青春の情愛。それを久世さんのように「男同士の歌」と見るのももちろんアリです。
男女限らず、心通った同姓の友人と実際に遠慮なく「肩と肩をぶつけながら」歩くというのは、まぁ20代まででしょう。大人になってしまえば、そうした気持ちはあってもやっかいな「分別」が邪魔をしますからね。
ジュリーの「君をのせて」はその分別を取っ払ってくれます。だから、「大人になってから」の方がよりこの歌への愛情が増すんじゃないのかなぁ。ジュリー自身にとってもそうじゃないのかなぁ?

ジュリーはもしかしたら今年「君をのせて」を歌いながら、ショーケンと一緒に仕事をしていた頃を思い出すことがあったかもしれませんね。


さて、ひとまずブログ復帰は果たしましたが、この1年で勤務先の人員がかなり減ったこともあり・・・今までのように毎日帰宅後じっくり下書きを積み重ねていったり、耳だけでは採譜しきれない箇所を楽器と合わせて検証したり、お題に合ったオマケ画像をあれこれ探して選別するなどの時間がありません。
今週末に迫った瞳みのる&二十二世紀バンドのLIVEや、チケット到着が待ち遠しい年明けのジュリー正月LIVE『名福東阪阪東・寡黙なROCKER』についても、全セトリ網羅の長文レポではなく、今日のような「この1曲」がお題の簡単な振り返り記事にするつもりです。
あらかじめ、よろしくお願い申し上げます。

そうそう、ジュリーの正月LIVE参加会場は珍しく締切ギリギリまで悩んだ末に、どうにか早退できそうな金曜日の東京国際フォーラムに決めました。
オーラスのNHKホールは休日だけど用事ありで断念。日帰りで初日名古屋参加を最後の最後まで考えたんですけど、僕はこの日が正月休みのラスト日で、やはり翌日仕事初めというのがね・・・絶対休めないし万一のことがあってはいけませんから。
2011年『BALLAD AND ROCK'N ROLL』以来となるツアー初日不参加、ネタバレ我慢決定です。
忙しいぶん、我慢はできるかな~。

それでは次回は瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE後の更新です。
僕は今年ここまでジュリー以外のLIVEには一切行けていないので、「バンドサウンドのステージ」を体感すること自体が昨年の四谷公演以来。
楽曲お題はもちろんセトリを体感してから決めます。
ピーファンの先輩方とお会いするのも本当に久しぶり・・・楽しみです!

|

« ザ・タイガース 「風は知らない」 | トップページ | 瞳みのる・稲村なおこ 「GS陽気なロックンロール」「君は僕のすべて」 »

瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

DY様 お久しぶりです!

カレンダー見て、もしかしてアップされてるかも、と覗いてみたら「君をのせて」できましたか。今回の目玉曲のひとつですね。カズさん、ホントにあの音、どうやって出しているんでしょう?

ジュリーがこの歌を最初あまり好きでなかったのは、あるコンテストで当て馬のされたトラウマがあったから、という噂をきいたことがあります。〈真偽はわかりませんが)
私も「恋から愛へ」の方を良く聴いてました。
でも今は心からいい歌だな、と思います。

投稿: nekomodoki | 2019年12月 3日 (火) 23時41分

DY様、こんばんは。
お久しぶりです。
ジュリー祭りから11年、そしてDY様ご夫妻にとって結婚10年目を無事に迎えられて、重ね重ねおめでたい夜の更新ありがとうございます。

「君をのせて」は不思議な歌です。
リリース当時、ファンからもろ手を挙げて歓迎された歌ではなかったと記憶しています。それがいつからこんなに大切な歌になっていったのか周りの誰に聞いても分からないんです。今では名曲中の名曲、大名曲ですものね。
今ツアーで歌われた「君をのせて」も素晴らしかった。

忘れられない「君をのせて」があります。
2013年の渋谷公会堂のツアーファイナルに本編最後に歌われた「君をのせて」です。
その夜の観客はジュリーが初めから「きょうはなんかヘン」と言ったくらい熱かったのですが、「愛まで待てない」でその熱気は一気に沸点を超えて地響きのように手拍子や歓声が渦巻き、それは次の「TOKIO」へ雪崩込み、あちこちからの叫び声に会場はワァ~~ンとした状態。
「君をのせて」はその後に歌われました。
ジュリーの声はやさしく、静かな強さに満ちてわたし達を鎮めました。
直前の熱狂がうそのように会場は静まり返り、それでも熱さの余韻に揺れている全てを抱きかかえるように歌っていると感じてゾクゾク。みんなが吸い込まれているみたいだった。
突発事故のような熱狂が起こった状況の後で歌われ、それに反することも、抑えつけるようにでもなく、豊かな波動で会場を満たし、空気を、世界を変えて終わりへと導いて行った「君をのせて」と歌うジュリーの凄さにこれはなに?と思いましたよ。
劇的すぎる。ライブの醍醐味なんてとっくに超えてる。興奮しました。
「君をのせて」が48年前に、ジュリーから手渡された時には、こんなに凄い歌になるとは思わなかった。
陳腐な言い方かもしれないけれど、ジュリーとジュリーに廻った年月が「君をのせて」を大名曲にしたのだと思います。

投稿: momo | 2019年12月 4日 (水) 00時17分

nekomodoki様

早速のコメントありがとうございます!

11月いっぱいでひとまず落ち着くことは分かっていましたので、12月3日のブログ復帰を、と前々から考えておりました。
この日付ということでチェックして頂き、嬉しいです。

お話のコンテストについては、シングルのジャケットにも大々的に記してありますねぇ。僕は今回ジャケ画像添付の際に初めて気がつきました(遅い!)
どのようなコンテストだったのでしょう・・・nekomodoki様のコメントから察するに、当時のジュリーとしては本意ではなかったのでしょうね。

momo様

ありがとうございます!
先日お話した通りこの日付の更新、なんとか間に合い、ホッとしています。

僕は当然この曲もリアルタイムではなく、『ジュリー祭り』後にメイ様やsaba様、SONGE様のブログを遡って、「君をのせて」のこともあれこれ勉強したものです。
その中で、どなたでしたか「PYGのシングルを聴いて、これkらジュリーはこういう歌を歌っていくのね」と思っていたら「君をのせて」が発売されて戸惑いもあった、という内容のことを書かれていました。momo様のお話通りですね。

僕にとって忘れられない「君をのせて」は、2012年『3月8日の雲~カガヤケイノチ』びわ湖公演です。
「約束の地」「我が窮状」も合わせて、まるで京極堂の「憑き物落とし」のようだ、と書いたらmomo様が賛同してくださったのを今でも覚えていますよ~。

投稿: DYNAMITE | 2019年12月 5日 (木) 12時49分

DY様 こんばんは

手をひらひらさせながらカーテシーお辞儀をしたのを初めて見たのは、音楽劇クルトワイルドの時だったと思います。おしゃれでにこやかで、とても雰囲気が良くなりました。そして、吉田 建さんのプロデュースでアレンジされ一度だけNHKの番組で歌われました。それが90年バージョンで、だいぶ経って「愛まで待てない」のカップリング曲になりました。その頃から、イントロが始まると、まばらながらも拍手が起こるようになりました。私にはそれが、温かく感じました。私だけが知っているよというものではなく、ずっと好きだったよと言っているような拍手でした。

投稿: BAT | 2019年12月 8日 (日) 19時09分

BAT様

ありがとうございます!

>「ずっと好きだったよ」と言っているような拍手

想像できるような光景で、感じ入りました。
建さんプロデュースのリメイク版は、オリジナルには敵わないと言えども個人的には好きなアレンジです。
『SHOUT』ツアーで柴山さんが魅せてくれた、ジュリーのヴォーカルを追いかけるようなフレージングは、案外こちらのヴァージョンに近い発想かもしれません。3連が強調されていましたから。

ラストのあのお辞儀はactにまで遡るのですか!
最近はすっかりパフォーマンス定着しましたね。

投稿: DYNAMITE | 2019年12月10日 (火) 12時20分

DY様
 明けましておめでとうございます。ご無沙汰しています。ブログ復帰おめでとうございます。私も去年の夏前に転勤後、仕事のあまりのハードさからDYさんの「復活」暫く気付かずにいました。今年もよろしくお願いいたします。
 さてお題曲、『ジュリーⅢ』のライブバージョン、リメイク版、ジュリー祭り等いろんなテイクがありますが、私はやはりこのデビューシングルに勝るものはないと思っています。あまりヒットしなかったのはPYGでの活がいわゆる歌謡曲界であまり認知されていなかったからでしょうか?
 ご本人の今後がどうなっていくのか不安いっぱいの船出のようなはかなさと、夜の海を漕ぎ出す舟をそこだけ照らすような繊細だけど頼もしい演奏……? 初めて聴いたのは友人が2枚組『FOREVER』を買ってそれを借りた時だったと記憶しています。「許されない愛」のヒット以降にリリースされていたら間違いなくもっとセールスは良かったことでしょう(笑)
 ジュリーがラジオで言ってた「最後のシンバルは無い方が……」は私もかなり同感です。

投稿: ねこ仮面 | 2020年1月 5日 (日) 20時26分

ねこ仮面様

あけましておめでとうございます。

確かにこの曲はオリジナルが一番ですね。
ライヴ・ヴァージョンやリメイク・ヴァージョンも素晴らしいですが、「君をのせて」が聴きたいと思い立った時、まず耳を傾けるのはやはりソロ・デビュー・シングル音源です。
繊細ながら頼もしい演奏・・・正に仰る通りだと思います。

そして、「許されない愛」と逆のリリース順だったら、とのお話には本当に同感です。ヒットしていたでしょうね。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿: DYNAMITE | 2020年1月 7日 (火) 12時17分

ねこ仮面様

追伸です。
昨夏からのブログ休止期、頂いていたコメントへのお返事が大変遅れ、申し訳ありませんでした。

投稿: DYNAMITE | 2020年1月 7日 (火) 12時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ザ・タイガース 「風は知らない」 | トップページ | 瞳みのる・稲村なおこ 「GS陽気なロックンロール」「君は僕のすべて」 »