ザ・タイガース 「新世界」
from『THE TIGERS 1982』、1982
1. 十年ロマンス
2. 新世界
3. 抱擁
4. 時が窓をあけて
5. めちゃめちゃ陽気なバンドのテーマ
6. 夢の街
7. 野バラの誓い
8. BA-BA-BANG
9. ライラ
10. 生きてることは素敵さ
11. LOOK UP IN THE SKY
12. 朝焼けのカンタータ
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みなさま大変ご無沙汰しております。
僕は相変わらず多忙な日々を送っていますが、今日は更新しなければね。
ジュリー、71歳のお誕生日おめでとうございます!
↑ 毎年恒例、「ありがとう」と言ってそうなジュリーのショット。これは74年かなぁ。
今年のツアー衣裳にちなみ「猫とジュリー」ということで選びました。
数日前まではこのジュリー誕生日の更新は写真だけの簡単な記事で済まそうと考えていたんですけど、実は昨日、ここ数週間悩まされている五十肩に加えて腰痛まで併発し(泣)1日だけ仕事をリタイヤ。
思わぬ時間ができたもので、せっかくですから楽曲お題の記事にしようと下書きをして過ごしておりました。
更新が滞っているけれど一応拙ブログ本文では現在ツアー・セットリストのネタバレ禁止期間ということで、お題には今後含めてセトリ入りの可能性が無さそうな(いや、断言はできませんけどね)同窓会タイガースのアルバム収録曲を選びました。
『THE TIGERS 1982』から、「新世界」です。考察とも言えない短い文量ですがよろしくおつき合いください。
アルバム『THE TIGERS 1982』収録曲は「あの頃(リアルなタイガース期)に思いを馳せながら、現在の自分達と向き合う」という歌詞コンセプトで統一され、いかにも80年代幕開け的な音とともに現在進行形(当時のね)の楽曲が並びます。
そんな中、音として真・タイガース時代を彷彿させるものがLP両面に1曲ずつ、計2曲あると僕は考えます。
デビュー当時の若き勢いを感じさせるB面の「BA-BA-BANG」と、デビューから少し経ってメンバーに「大人」の思索性が垣間見えるようになった頃・・・つまりアルバム『ヒューマン・ルネッサンス』の時期を思わせるのが、A面2曲目に配された「新世界」(まぁ後追いファンの僕はこの名盤をレコードで体感できてはいないのですが)。
「新世界」の場合はその要因がいくつかあって、まず何と言ってもタローの作曲が「青い鳥」直系の短調ミディアム・ポップスであること。
この後にTEA FOR THREEの「あなたがみえる」にも引き継がれるタローの得意技です。
「青い鳥」で作曲家として開眼したタローは同窓会期でも様々なタイプの楽曲をバンドに提供していますが、「新世界」はリアルタイムのファンにとって最も「懐かしい」パターン、タイガースの根っこ、とも言うべき曲だったのではないでしょうか。
さらにはジュリーとトッポによるヴォーカル・リレーです(厳密にはそれぞれソロ・ヴォーカルではなくコーラスを伴った中で主旋律を担当している、と言った方がよいのだけれど)。
これは「十年ロマンス」も同様のスタイルですが、「新世界」については曲調から「忘れかけた子守唄」を想起させるのが大きい、と僕は思っています。
「青い鳥」「忘れかけた子守唄」・・・いずれも『ヒューマン・ルネッサンス』の収録曲なんですよね。
一方で、アルバム中唯一の提供となる橋本淳さん(すぎやま先生と橋本先生のお2人こそがタイガースのイメージ、と仰る先輩方は多いでしょう)の詞は、解散から10年を経て成長したメンバーへの思い、エールともとれる現在進行形のアプローチ。
難しいフレーズはひとつとして出てこないのに何とも深みがあり、個人的にはとても好きな名篇です。
解散後それぞれの道のりを「旅」と見ているのでしょうか・・・歌詞中にタイトル・フレーズ「新世界」は一度も登場しませんが、旅の過程でのメンバーの経験や実績を、物事を「知る」人生観に繋げているあたりは、「タイガースの親」とも言うべき立場の橋本さんにしか思いつけないのでは?
僕はそれを鳥の「渡り」に例えた2番が特に好きです。
かなしみのみずうみを 渡ることもある
Em D Em D G
傷ついた 人々の 声を聞くだろう ♪
Am Em D B7 Em
「渡ること~もある~♪」と歌うジュリーの声に特に惹かれつつ、今改めてこの歌詞部を聴くと、僕が常々「吟遊詩人のようだ」と書いてい
る2012年以降のジュリーの創作姿勢(特に作詞)を橋本さんが予見していたかのように思えるほど。
また、同窓会時には不在だったピーももちろん含めて、きっと他メンバーそれぞれの「今」にも当て嵌まるものがこの詞にはあるでしょう。
そう思えるのは、メンバー全員が健在で元気に今も旅を続けているからこそ、の感慨なのかなぁ。
アルバムのトータル・コンセプトである「あなたの元へ帰ってきたよ」のメッセージは、橋本さんの「新世界」においても「旅からの帰還」という形で強くあります。
ただ、ザ・タイガースは10年の旅で締めくくられなかった・・・解散から40年経って完全再結成が実現するとは、82年の段階で誰も考えられなかったでしょうね。
最後に余談ですが、関西のみなさまが聞いたら驚く でしょう・・・ 僕は大阪に「新世界」と呼ばれるエリアがあることを10年前まで知りませんでした。それまで足を運ぶ機会が無く、本当に知らなかったんです。
2009年の『Pleasure Pleasure』ツアーで大阪遠征した際、カミさんに連れられて(その時点ではまだカミさんではなかったけど)初めて訪れ、串カツを食べました。それはちょうど僕にとって「初対面のジュリーファンの先輩方とお会いした際にタイガースの話題についていけない」状況を関東圏のLIVE会場で痛感し、とにかくタイガースの知識を蓄えなければ、と努力していた時期でもありました。当然、同窓会期の音源や、「再結成」ではない特殊な事情についての勉強も。
僕はその後、『THE TIGERS 1982』で「新世界」を聴くと、大阪の串カツを思い出すのです・・・(笑)。
それでは、オマケです!
今日は、以前先輩にお借りした同窓会期の資料から、『タイガース神話を追跡』という記事をどうぞ~。
この時期の記事ではどうしてもピーの不在が追記されているのが複雑な気持ちにさせられるわけですが、ご存知の通り芸能界復帰後のピーは嬉しいことに今はすっかりこの同窓会期も「タイガース」の歴史と捉え、「色つきの女でいてくれよ」をLIVE定番曲として積極的に歌ってくれるまでになりました。
個人的にはそろそろ『THE TIGERS 1982』から他の同窓会ナンバーも「瞳みのる&二十二世紀バンド」で採り上げて欲しい、と願っています。と言うかジュリーのツアーよりピーのツアーの方がセトリ入りの可能性が高い、と考えているほどで。
二十二世紀バンドには、つるうちはなさんという女性ヴォーカリストがいますし、ジュリーのパートをJEFFさん、トッポのパートをはなさんが歌う「新世界」「十年ロマンス」なんてどうでしょうかね~。
さて。
鳥の「渡り」はしばしば人生という旅の苦行にも例えられますが、そんな旅ができるのも健康あらばこそ・・・。
71歳を迎えたジュリーが今年も元気に全国ツアーを開催し、僕自身忙しいながらもいくつかの会場に参加できることに感謝しつつ、ジュリーと柴山さんが無事ツアー完走できるよう改めて祈願したいと思います。
では次回更新は7月4日、再びザ・タイガースのお題記事を予定しています。
まだまだ相変わらずの多忙状態なんですけど、この日ばかりは何としても更新せねばならんのです。昨年から心に決めていたことですから。
頑張りたいと思います。
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