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2019年3月 2日 (土)

沢田研二 「サムシング」

from『Gentle Guitar Dreams』、2002

Gentleguitar

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ご無沙汰しております。
多忙と風邪(汗)のためブログ更新ままならぬ日々ですが、あまりに間が空いてしまうとみなさまに忘れられてしまう・・・時々は頑張って書いていきますよ~。

2月を振り返れば、ジュリーの古稀ツアーも無事終了、オーラス大宮も武道館3daysに負けないほどの大変な盛り上がりだったようで、参加されたMママ様が当日夜にお電話くださいました(「声が最高だったよ!」と大興奮状態←うらやま)。
聞けば何とMCで「お正月コンサート復活」を宣言してくれたというではありませんか。これは嬉しい!
大都市限定のお正月コンサートはセットリストが独特。例えばこれまでお正月のツアーに参加したことのないYOKO君は未だに「PEARL HARBOR LOVE STORY」を生体感できていません。僕などからすると「結構セトリ入りしているなぁ」と感じるのですが、『ジュリー祭り』以降に限るとこの曲はお正月しか歌われていないんですよね。
気の早い話ではありますが、その2020年のお正月コンサートは新年早々の5日東京国際フォーラムにて開幕予定とのことで、調べるとこれが日曜日。YOKO君に限らず音楽仲間を誘い易い日程です。
現時点でリリースされている2019年全国ツアーのスケジュールだと彼等を誘うのは難しい、と肩を落としていたので本当に嬉しい情報でした。YOKO君も遂に初の正月LIVE参加実現なる・・・かな?

さて本題。
今日はジュリーの幾多ある洋楽カバー名演・名曲の中から、ビートルズの「サムシング」をお題に採り上げたいと思います。
作詞・作曲はジョージ・ハリスン。ジュリーのカバー・ヴァージョンは、2001年に亡くなったジョージへの追悼トリビュート・アルバム(邦楽アーティスト、バンドによるジョージ・ナンバーのカバー集、2002年リリース)『Gentle Guitar Dreams』に収録されています。
僭越ながら伝授!


①OLD GUYSとジョージ・ハリスン

このお題記事を書こうと決めたのは、僕の古稀ツアーのラスト参加となった1月20日武道館公演でのジュリーのMCをその後よく思い出していたからです。

「ロックの聖地」と言われる日本武道館も渋谷公会堂同様にいよいよ改修の時期が来て、今年には着工するとか。
ザ・タイガース解散コンサート、デビュー25周年記念の『ジュリーマニア』、タイガースの完全再結成、そして今回の古稀ツアー3days・・・等々、ジュリーにとっても特別な思い出の会場であろう武道館。会場に駆けつけたファンともども色々な記憶を甦らせたに違いありませんが、ジュリーがMCで語ったのは自身のデビュー前、ザ・ビートルズの来日公演(「初」にして「最後」の来日です)鑑賞時のエピソードでした。
「確か南西スタンドにいました」というジュリーは、周囲が「ジョ~ン!」とか「ポール!」とか叫んでいる中で、1人「ジョージ!」と声援を送っていたのだそうで。

後追いジュリーファンの僕は、ジュリーがかつて「ビートルズ・メンバーの中ではジョージが好きだった」と語っていたことを『ジュリー祭り』後に知りました。
それまでジュリーに「幼少時に観ていたテレビの中のスーパースター」のイメージしか持てていなかった僕にとって、『ジュリー祭り』からの数年間は「人間・ジュリー」を学ぶ濃密な時期となりましたが、ビートルズの4人の中で当時「静かなビートル」と呼ばれあまり目立つ存在ではなかった(らしい)ジョージに着目し惹かれる、というのがまたジュリーの人間味を示しているようで興味深く、そして納得もしたものです。
テレビではあれほど目立ち、比類なき存在感を誇るジュリーが実は素の部分ではとてもシャイで、ちょっとだけ神経質で、決して「俺が、俺が」のタイプではなかった・・・ジョージが好きだ、というのも自らの性質と似た部分を見ていた故ではないのかなぁ、と。

ビートルズのLIVEステージでもジョージは黙々と演奏するので、よく「何故他のメンバーのようにアピールしないのか」と記者に尋ねられたりしたのだそうです。
するとジョージ答えて曰く「僕はリード・ギターだから。他のメンバーは多少間違えてもお客さんは気づかないけど、僕は間違えられない」と。
この頃のリード・ギターのソロって、今のように「くあ~っ!」とか「ぬお~っ!」とか陶酔して弾きまくるんじゃなくて、楽曲アレンジの根本としてのフレーズありき(もちろん例外もありますけど)だったんです。
分かり易いのが、歌メロと同じ音階をギターが間奏で受け持つパターン。タイガースで言うと「銀河のロマンス」ね。ファンは皆メロディーをよく知ってるから、その通りにギターも弾かなきゃいけないんだ、という着想で、当時のジョージは頑固なまでにそこに拘りました。

この話と関連して僕が今回の古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』について強く感じていたのが、ジュリーと柴山さんの演者としての変化なのです。
「冒険」的なギター1本体制。どちらかが自由に走ってしまうと、もちろんこの2人の実力であればそれはそれで素晴らしいパフォーマンスたりえるけれども、原曲のイメージを逸脱させてしまう。それぞれの曲を「2人だけでどう再現するか」に徹して練りこまれたアレンジ、フレーズをキッチリそのまま歌と音にすることがとても重要になったわけで。
だから、原曲とは異なるリズム割りの「風は知らない」についてはツアー中の試行錯誤も出てきた・・・それは必要なことだった、と今僕は考えています。

「間違うわけにはいかない」とのかつてのジョージの心構えが、この先のジュリーと柴山さんにも同じようについてくるはずで、特に柴山さんにかかるプレッシャーは相当のもの。それでも静かに、しかしハートは熱く柴山さんはやり遂げてゆくでしょう。それが出来るギタリストと出逢えていたから、ジュリーはこの道を選べたのだと思います。
ギターのスタイルはずいぶん違えども、ジョージ・ハリスンのことが好きなジュリーは、柴山さんのことも大好き・・・間違いありませんよ。
まぁそれはジュリー自身が古稀ツアーのステージ上で堂々カミングアウトしてくれましたが(笑)。

②「正攻法」で捧げるジョージ愛

僕はジョージについてはビートルズ期はもちろんソロ時代もすべての公式リリース音源を所有する黒帯ファンですが、そんなマニアな視点で見てもこのトリビュート盤のラインナップはとても濃厚で、提供アーティスト、バンドそれぞれのジョージ愛を感じる素晴らしい選曲となっています。

Gentleguitarback

特に「ザ・ライト・ザット・ハッド・ライテッド・ザ・ワールド」(ソロ・アルバム『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』収録)や「ファー・イースト・マン」(ソロ・アルバム『ダーク・ホース』収録)の2曲は、隠れた名曲に光が当てられたようで嬉しく思います。
さらにザ・コレクターズがジョージのソロ最高傑作と言われるアルバム『オール・シングス・マスト・パス』から有名な「マイ・スウィート・ロード」ではなく敢えて「美しき人生」を採り上げているのも最高に渋い。また音の面でもムーンライダース提供の「アイ・ニード・ユー」(ビートルズ『4人はアイドル』収録)、BOX提供の「タックスマン」(ビートルズ『リボルバー』収録)は、カバー・タイトル以外のジョージ作品が合わせ技のアレンジで組み込まれ、ジョージへの深いリスペクトを感じさせます。
ただし、そうしたマニアックで「我こそは」的な選曲群の中に、「これは誰でも知ってるよね」という「看板」曲があって初めてトリビュート盤の完成度は保たれ豊饒の遺産たり得るわけで、ここでその看板を背負っているのが我らがジュリー!なのですよ。

ジョージ・ナンバーで世に最も知られているのは間違いなくビートルズの「サムシング」でしょう。
ジョージの作品としては唯一のビートルズ・シングルと言うだけでなく、完璧なメロディーとコード進行にアレンジ、崇高な詞は正にロック史上に輝く大名曲です。
ジョージが亡くなった後はポール・マッカートニーがこの曲をLIVEの定番ナンバーとして歌い継いでいますが、歌い終えた後時々話してくれるMCネタがあって


この間、○○っていう人(←結構な有名人)に初めて会ったんだけど、僕とビートルズの大ファンということですごく感激してくれてね・・・でも、彼がこう言うんだよ。一番好きなレノン=マッカートニー・ソングは「サムシング」だ!ってね・・・。

と、「それ俺の曲じゃないし・・・」みたいな感じでおどけて肩をすぼめる、という。
これを要するに、「サムシング」は本当に有名なビートルズ・ナンバーだけど、それがジョンやポールではなくジョージ・ハリスンの作品だというのは(一般的には)意外に浸透していないのではないかと。
ですから、「ジョージ・ハリスンのトリビュート」を広く世に問うにあたり「あの有名な「サムシング」はジョージの曲なんだよ」との大看板を担うことは、大変な責任を伴います。生半可なテイクを収めるわけにはいきません。

白井良明さんがジョージファンであることは、ジュリーの「愛は痛い」や「勇気凛々」でのリードギター・トラックを聴けば一目。そんな白井さんでも、ジュリーというヴォーカリストなくしてこの企画にジョージ最高峰の王道ナンバー「サムシング」を立てて挑み、故人に捧げることはできなかったでしょう。
ジュリーは何らトリッキーに走ることなく、背伸びもせずへりくだりもせず、誰もが知るこの楽曲をただ心を込めて歌う・・・そこに徹するのみ。
CDを通して聴けば歴然なのですが、その歌声はもう他収録曲とは別次元なんですよ。ジュリーの正攻法は、ジョージへの最高のリスペクトだと感じます。

見事看板を担ったジュリーと、「沢田さんが歌うならそれができる」と確信を持った白井さんに、ジョージファンとしても大きな拍手を贈りたいです。

③キーボードレス期ジュリー・アレンジの基本形

最後に、ジュリー版「サムシング」の音について簡単に。

ジョージが天国へと旅立った2001年は、ちょうどジュリーが新たな創作スタイルへとシフトした時期でした。翌2002年から始まるキーボードレスのハード・ロック期。そのすべてにレコーディング音源のアレンジマスターとして大きな役割を果たしたのが白井さんで、このトリビュートに収録された「サムシング」はその音作りの基本形、と見ることができます。
ベースにスティング宮本さん、ドラムスにカースケさんという当時のジュリー・アルバムでもお馴染みのリズム隊。そこに白井さんの多様に絡むギター・トラックが載って全体のアレンジが構築されます。
白井さんのギター・トラックは3つ。それぞれ明快に音色が異なる上、几帳面にPANが振られているので聴き取り易いですね。
リード・ギターのフレーズについてはオリジナル完コピ。イントロから鳴っているアルペジオのバッキング・トラックのみ白井さんの新たなアレンジ提案で、これは「サムシング」でのジョージ渾身の美しいクリシェをこれでもかと詰め込まれた進行を強調し聴き手に伝えようと編み出されたのではないでしょうか。

そして何より、ジュリーのヴォーカルがガツン!と耳にダイレクトで飛び込んでくる感覚こそが2000年代ジュリー×白井さん創作音源の真骨頂。
僕はジョージファンでありながら長らくこのトリビュート盤を耳に留めず、ジュリーの「サムシング」含め初めて聴いたのが『ジュリー祭り』後の本格ジュリー堕ちの後だった、というのも「遅れたけれど出逢いのタイミングとして最高だった」と今は思っています。
良い曲を、良い声で歌うという朴訥かつ武骨な2000年代ジュリーの基本形・・・ジュリーの「サムシング」は、ここへ来てまた増え続けている新しいジュリーファンの皆様にも是非押さえて欲しい1曲です。


さて、5月から始まる全国ツアーのタイトルは『SHOUT!』と発表されました。なんとも心躍る一発フレーズ・・・ジュリーの並々ならぬ気魄を感じます。
これは今年の新譜タイトルでもあるのでしょうか?
昨年の『OLD GUYS ROCK』は、収録各曲とは別にCDタイトルがつけられそれがツアーのタイトルにもなりました。今年も同じパターンなのかなと予想していますが、その新譜情報が3月に入ってもまだ解禁されません。

今年はツアーの振替公演が2月に入ったことで、新譜制作のスケジュールが相当タイトになっていると予想できます。普通に考えれば不可能でしょう。
しかしジュリーは毎年の「3・11リリース」には無理をしてでも拘ってゆくと思うので、ギリギリの日程でやはり今年も新譜発売はあるのではないでしょうか。
情報解禁を楽しみに待ちましょう。


風邪はだいぶ良くなってきました。気温変動の
激しい折、みなさまもどうぞご自愛ください。

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コメント

DY様 こんにちは

私、ビートルズに関しては「食わず嫌い」なところがあって、ほとんどわからないまま過ごしてきました。それが昨年9月から聴くことになりました。音楽仲間十数名の音楽談義の中で、みんな、ビートルズが好きなことは分かっていましたが、どの曲が好きか話してていく内に好みが分かれていました。そこで各自好きな曲を3曲ずつ出し合い、編集したCDを聴いてコメントし合っています。

先々月その中に「サムシング」が、先月は「While My Guiter~」があり、ジョージの歌声をフルコーラス初めて聴きました。ですから今回のお題は、まさかの偶然なのかグッドタイミングでした。

まず両曲ともに聴いて本当に驚きました。このギター音、フレーズ、サウンドは、まさに井上バンドではありませんか。「サムシング」からは、アルバム「今、僕は倖せです」を、「While~」は、カヴァー曲「絆」のエンディングのギターソロを思い起こさせました。先程、ジョージの動画を観ました。もう堯之さんの姿にしか見えないほどになってしまいました。

ビートルズ・メンバーの中では目立たないと言われていますが、この2曲からだけでも他を圧倒するロック音楽を感じました。それは図らずも、ジュリーの歌が歌謡曲なのかロック曲なのかと問われ続けてきた姿に似た感覚を覚えました。

ジュリーの「サムシング」カヴァーは残念ながら聴けていません。

投稿: BAT | 2019年3月 3日 (日) 09時34分

BAT様

ありがとうございます!
(重複されたコメントは削除させて頂きました)

ジョージは決して流暢なタイプのギタリストではありませんが、楽曲ありきの独特のフレーズ遣いが得意で、もちろんそれはヴォーカルの隙間隙間で練られた「考案力」の高さということでもあり、その点堯之さんと共通していますね。

「ホワイル・マイ・ギター~」の楽曲構成とコード進行は、PYGの「初めての涙」に大きな影響を与えています。BAT様なら聴き込めばすぐにお分かりになるはずですよ。

ちなみにビートルズ解散以後のジョージのソロ・アルバムの中では、クリス・レアがお好きなBAT様には、なんとなく作風が似通っている『慈愛の輝き』をお勧めいたします!

投稿: DYNAMITE | 2019年3月 4日 (月) 15時33分

DY様 こんにちは

「慈愛の輝き」中古盤があればいずれ聴いてみたいと思います。アルバムの解説を検索したところ私の興味を引いたキーワードは、「スライドギターの名手」と「ジョー・ウォルシュ」と「F1」です。

クリスレアもスライドギターの名手と言えるほど凄腕なんです。ベスト盤のジャケットには必ず、ボトルネック弾きのライブ写真が使われます。そしてギターを始めたきっかけが、ジョー・ウォルシュにあこがれてとのこと。また、クリスも車が好きで、みんなが知っているヒット曲は車の歌ですし、F1を題材にした映画やセナ追悼曲も作っています。
ジョージとの共通点が多く、興味が尽きません。ご指南ありがとうございました。

投稿: BAT | 2019年3月 5日 (火) 12時20分

BAT様

ありがとうございます!

F1レーサーであるニキ・ラウダに捧げられた「ファースター」は、個人的にはアルバム『慈愛の輝き』の中で3番手に好きな曲です。

また、仰る通りジョージはスライドの名手ですが、白井さんが「愛は痛い」で考案したスライドは、ジョージの「マイ・スウィート・ロード」の影響を受けていると思っていますよ~。
ちなみにジョージのスライドギターの中で僕が最も好きなプレイは、ジュリーもカバーしたことのあるバッドフィンガー「デイ・アフター・デイ」にジョージがゲスト参加して披露しているテイクです。こちらも機会あれば是非!

投稿: DYNAMITE | 2019年3月 6日 (水) 12時25分

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