« 裕也さん | トップページ | ショーケンよ永遠に »

2019年3月19日 (火)

沢田研二 「叫び」

from『比叡山フリーコンサート 時の過ぎゆくままに』

Freeconcertaimthiei

~opening~
1. ビー・マイ・ブラザー、ビー・マイ・フレンド
2. 夢のつづき
3. グッドナイト・ウィーン
4. 夜の都会(ナイト・タイム)
5. 恋のジューク・ボックス
6. 十代のロックンロール
7. キャンディー
8. トゥ・ラヴ・サムバディ
9. 時の過ぎゆくままに
10. お前は魔法使い
11. メドレー
 a.グループバンド
 b.ムーヴ・オーバー
 c.ジーン・ジニー
 d.ユー・ガッタ・ムーヴ
 e.シー・シー・ライダー
12. 美し過ぎて
13. 花・太陽・雨
14. 自由に歩いて愛して
15. ホワッド・アイ・セイ
16. 聖者の行進
17. 気になるお前
18. 悲しい戦い
19. 残された時間
20. 叫び

---------------------

インフォ来ましたね!
今年も必ず「祈り歌」の新譜リリースがある。そしてジュリーは「作るからには3.11リリースでないと意味がない」・・・そう考えているのではないかと期待しつつ、さすがに日が迫り「間に合わないのかなぁ?」と心配していただけに嬉しい新譜情報の解禁でした。

そこで今日は、ジュリー作詞・作曲の70年代ナンバー「叫び」をお題に借りまして、まもなく発売される新譜の内容を予想してみたいと思います。
拙ブログ恒例の「全然当たらない予想」パターンにはなりましょうが、今夜はたまたま時間もあり、急遽一気書きの短い記事にておつき合いくださいませ~。


インフォによりますと、今年の新譜は2曲入り。
各トラックの詳細は

1.「根腐れPolitician」
作詞・沢田研二/作曲・柴山和彦

2.「SHOUT!」
作詞・作曲・沢田研二

となっています。
タイトルだけパッと見ると、曲調は2曲ともに武骨なロック・ナンバーを思わせます。
少なくとも柴山さん作曲の「根腐れPolitician」はそうでしょう。根拠は「politictian」なる英フレーズの語感です。詞の内容は「一極化」へとひた走る政権の腐敗に向けた痛烈なメッセージかと思いますが、その前の段階・・・ジュリーは80年代以降、自作詞に際し「メロディーに載せた際の語感とフレーズの韻」に拘り続けているように思えますので、柴山さんの作ったキメのフレーズに嵌る単語としての「politician」。ジュリーの作詞動機と最初の作業はそこだったのではないか、と想像しました。
それにしても「根腐れPolitician」とは、かなり「思い切った」タイトル。ジュリーとすれば、もう容赦はならぬ、といったところでしょうか。
ジュリー得意のダブル・ミーニングが鋭く散りばめられたリフ・ロック・ナンバーと予想しておきます。

続いて、5月からの全国ツアー・タイトルともなっている2曲目の「SHOUT」。
こちらは久々にジュリーの「書き下ろし」作曲作品である可能性が高く、それだけで心躍ります。
しかし反面、ジュリーの詞に悲痛を感じさせるタイトルと言えるかもしれません。被災者を含めた「弱者」の声ならぬ「叫び」を歌っているのではないでしょうか。
そして・・・その曲調について僕の予想の振り幅はとても大きいのです。

まず「ロック調」と仮定してみた時、ジュリーにしては珍しいストレートなコード進行と予想します。
キーはホ長調。何故曲のキーまで予想に入れるかと言うと、ジュリーが詞だけでなく作曲においても何らかの「隠しメッセージ」を込めている場合を考えたから。
ホ長調のスリー・コードは「E」「A」「B」。これを使って「A」→「B」→「E」と和音進行させメロディーを載せることができると気がつきました。
「A」→「B」→「E」です。お分かり頂けたでしょうか。
もし詞の内容が特定の人物に向けた弱者達の叫びを代弁し歌ったものだとすれば、コード進行がそのまま歌詞中の二人称を指す手法となり得る・・・今のジュリーなら、そして今の世の中なら、怒髪天・ジュリーがそこまで斬り込んでも不思議はないと思ってしまったのですが、まぁさすがにこれは考え過ぎですか。
予想と言うより妄想かな(汗)。

一方で。
「ホ長調スリー・コードのロック・ナンバー」案はジュリーの「作曲」クレジットの意義を深める予想ではありますけど、それ以上に魅力的な予想が、「SHOUT!」のタイトルでバラードを歌うジュリー(!)というもの。

ここで振り返ってみたいのが、本日のお題に借りた「叫び」。先輩方はよく御存じの、70年代ジュリーの自作(作詞・作曲)曲の中でも特に重要な名曲です。

僕が『比叡山フリー・コンサート』で歌われたこの曲の存在を把握したのは『ジュリー祭り』から数年後でしたが、歌詞の一部については今から15年ほど以前、『ROYAL STRAIGHT FLUSH』3枚のリマスター再発試聴盤を機に僕自身に訪れた「第一次ジュリー堕ち期」(ポリドール期のアルバムを大人買い)に、それとは知らず目にしていたのでした。これです。

Sakebi01


見事に折り目がついてしまって・・・すみません。
それだけ大好きなアルバムで、歌詞カードも読み込んでいるということでどうかひとつ(汗)。


78年リリースのアルバム『今度は、華麗な宴にどうぞ』歌詞カードに記された刺激的な一節。
新規ファンの僕は当時これを、当アルバム製作に寄せて、トップスターの道を行くジュリーが決意を表し書き下したコンセプト・フレーズだと勘違いしました。
『ロックジェット』にジュリー・アルバム解説を連載されたヒロ宗和さんも、その時の僕の解釈とまったく同じことを書いていらっしゃいました。しかしそれは誤りで、これこそが「叫び」からの歌詞引用だったのですね。

「歌を枕に」を文字通り芸能活動とリンクさせ始めたスーパースター・・・良い意味での「虚像」を演ずる阿久=大野時代のジュリーを象徴するにふさわしいキャッチフレーズとしてこの引用は的確とは言え、実際にはそれはさらに若き日の「人間・ジュリー」による本音の言葉であり決意であり、偽らざる心情の吐露でした。
そして、過激とも言える楽曲タイトルや歌詞フレーズからの連想とは真逆、というくらいに「叫び」の曲調は穏やかにスタートします。
ジュリー自身が奏でるギターの説得力。シンプルな演奏に載せて迸る「歌」。それがジュリーの「叫び」。

その後40年以上の年月が経ち・・・近年のジュリーにとって「SHOUT」(叫び)とは、相反しつつも「祈り」とごく近しいフレーズとなっているのではないでしょうか。
例えば2013年リリースのGRACE姉さん作曲「Pray~神の与え賜いし」に載せたジュリーの歌詞とヴォーカルには、穏やかに始まる曲調の中にギリギリと憤りを増してゆく「SHOUT」のニュアンスが歴然とありました。
27歳の時、「叫び」という自作曲に自らの歌人生に向けての「祈り」を歌い上げたジュリーが、古稀を超えて今度は「SHOUT!」のタイトルで弱者に成りかわっての「祈り歌」を歌う、とすれば。
それが穏やかなバラード・ナンバーであることは、特に比叡山での「叫び」をリアルタイムで体感された先輩方にとって何ら違和感は無いのではないか・・・と、僕はそんなふうにも考えてみたのですがいかがでしょうか。

いずれにしても(予想が当たるかどうかはともかく)、今年もジュリーの新曲が聴ける・・・もちろん柴山さんの演奏も楽しみですし、本当に嬉しく、変わらぬ姿勢のジュリーを頼もしく思った新譜の情報でした。

最後に余談ながら・・・。「叫び」は世間的には相当マニアックな曲だと思いますが、なんと僕の手元にはかつて市販されていたスコアがございます。

Sakebi02

↑ 『沢田研二/イン・コンサート』より


僕の勤務先からちょうど40年前に発売されたギター弾き語りスコアで、なにせ発売当時僕はまだ小学生だったくらいですから、編集担当者が誰だったのか(そもそも僕の知っている人なのか)等、製作の詳細は今ではまったく分からなくなっています。
想像するに、参考音源として取り寄せたレコードの中に『比叡山フリー・コンサート』のライヴ盤もあって、「この中からも1曲」という流れだったのでしょう。「残された時間」こそ収載を見送られていますが(採譜作業が大変な曲ですからね←経験者は語る笑)、「叫び」の貴重なスコアが残されたこと、僕が思いもかけずそれに出逢えていること・・・不思議な縁だなぁと思います。

ちなみにレコード時代にありがちな正規音源のピッチの曖昧さ故でしょうか、このスコアで「叫び」は変ホ長調(E♭)で採譜されています。
しかし僕は、ジュリーはこの曲をニ長調(D)で作曲していると確信します。
イントロから登場する「sus4→トニック→add9」のクリシェ進行は、Dのフォームのギターで演奏するのが一番カッコ良い、とロック界では決まっていますからね!

さて新譜リリースは今年も当然3月11日。
現時点ではネット店舗の予約が開始されておらず、発売日に聴くためには当日ショップに出向くことが一番確実、という状況です。
ただ僕は来週、公私共にバタバタに拍車がかかる予定なんですよ~(泣)。
11日にショップに行くのは無理かと思います。残念ながら、発売日より遅れての購入となるでしょう。

僕はLIVEツアーとは違い新譜の歌詞や曲調の事前ネタバレはOKですので、先に聴かれたみなさまの感想、この記事のコメントにてお待ちしていますね。
ジュリー2019年の新曲、楽しみです!

|

« 裕也さん | トップページ | ショーケンよ永遠に »

瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

DY様 こんにちは

新曲、楽しみですね。

お題曲が「イン・コンサート」に取り上げられたのは、恐らく、10周年記念盤5枚組LP「沢田研二大全集」からで間違いないと思いますよ。楽譜全曲を網羅してますから。

エンディングで「I believe in music」に繋げて、観客の大合唱が起きるところが何とも心地良く、その場にいた方々が羨ましい限りです。

投稿: BAT | 2019年3月 7日 (木) 10時44分

BAT様

ありがとうございます!

そうか!
なるほど、『沢田研二大全集』。ベスト盤を押さえるのはアーティスト・スコア製作の常道ですから。そしてその中に収載されていた(現在では)レアなナンバーとなっている曲達がこうしてスコア化の陽の目を見ているわけですね。

新譜は本当に楽しみです。タイトルを見た瞬間は「ジュリー、相当攻めているな」という感想を持ちました。
今朝ほど再確認したら、アマゾンさんで予約が始まっていましたので速攻注文。11日に届くと嬉しいのですが・・・。

投稿: DYNAMITE | 2019年3月 7日 (木) 12時44分

この音源自体は比叡山コンサートのものを大全集に再度収録したものです。Keyは間違いなくDなのですが、比叡山のライブ音源はLP2枚に収めるために全体に回転を早めていますので、その分高く感じられたのではないでしょうか?
因みにこの時弾いているギターは速水清司さんのもので、アンコールで自分のギターを使っていたので驚いたというお話を聞いた記憶があります。

投稿: JC | 2019年3月 7日 (木) 21時35分

DY様 こんにちは。

新曲のタイトルを知った時、私も真っ先にこの「叫び」を思い浮かべました。

ライブレコードは擦り切れて音飛びがひどく、ライブ映像見ながら振り返ってます。
アコギを弾きながら文字通り叫ぶように歌うジュリー、懐かしいなぁ。
そのまま「I believe in music」に繋げて歌ったのは、アドリブだったのかな?と。

「自分のために歌いたい」と叫んだジュリー、今度は誰のために何に向けてSHOUTするのでしょうか。

投稿: nekomodoki | 2019年3月 8日 (金) 14時02分

JC様

ありがとうございます!

音源の詳細、後追いファンの僕にはとても有難いお話です。
レコード時代に、プレス収録可能時間内におさめるためにピッチを上げる、という手法があることは知っていましたが、なるほど「叫び」についてはその可能性が高いのですね。
オリジナル・キーはD、やはりそうですか。あのクリシェを他でもないジュリーが作曲し、さらに自ら演奏するとなればきっとそうだろうと思っていました。

速水さんのギターのお話は初めて知りました。いやぁ勉強になります。ありがとうございます!

すみません、一度お返事切ります~。

投稿: DYNAMITE | 2019年3月 8日 (金) 15時29分

nekomodoki様

ありがとうございます!

そう、「叫び」では「自分のために歌いたい」なのですよね。もちろんそれは今に至るまでずっと引き継がれている部分でもありましょうけど、すべての被災地のために、と志を持ったジュリー自身に新たな意味を加えているでしょう。

やはり先輩方は「SHOUT」から「叫び」を連想されますか。
この先「叫び」がLIVEで歌われることはないように思えますが、古稀を超えたジュリーの「”今”の叫び」を、今回の新譜でしっかり受け止めたいですね。

アマゾンさんで少しだけ新譜の試聴ができる、という情報をたった今知りました。
でもCD届くまで我慢しようかなぁ、と思っています。

投稿: DYNAMITE | 2019年3月 8日 (金) 16時43分

DYさま

SHOUT! 自分の為に歌ってますよー
ずっと被災地の為に歌ってきたのに
ちょっと 驚きです
最初SHOUT!から連想したのは
被災地の慟哭でした
でもSSAの事歌ってます
しかも爽やかに
泣きそうになりました

投稿: ぷー | 2019年3月10日 (日) 20時58分

ぷー様

ありがとうございます!

そうなのですか!
まずはコンセプト面で僕の予想は早速外れたようですね。
どんなジュリーの「SHOUT」なのでしょうか。想像が膨らみます。

予約したアマゾンさんからは現時点で発送メールが来ておりませんので、どうやら僕は遅れて聴くことになりそうですが、今日3月11日への祈りは変わりません。
それとともに、新譜到着の日を期待して待ちたいと思います。

投稿: DYNAMITE | 2019年3月11日 (月) 09時02分

DY様 こんにちは

運良く店頭で購入できました。被災式典の中継で黙祷をした後、開封をし歌詞カードに目を落としました。今回は2曲のためか祈り歌は含まれていませんでした。かなり強烈な単語の羅列で吐き出した「根腐れpolitician」は、もうタイトルそのままの歌でした。カズさんも歌詞を見たときに心の中で、「沢田さん恐るべし、俺も覚悟を決めたぞ」なんて思ったに違いないと。いや、ここまで来たら、私もファンの皆さんも覚悟を決めてライブに挑みましょう。

「SHOUT!」は聴く前に、佐野元春さんの「Happy Man」を思い出していました。サビの「♪shout!shout!」がとても軽快で明るいシャウトなんですが、何故かそちらのイメージを持ちながら聴きました。いや〜、青年佐野さんよりもっともっと爽やかなシャウトなんて、ありえないよと思いました。ジュリーと同世代の方々には大きなエールになって、ファンにとってははっきりメッセージを受け止めることができる一節もあり、素敵な歌でした。

カズさんのギターアレンジは、前回のライブツアーで築き上げたもので、とても心地よく響きました。

投稿: BAT | 2019年3月11日 (月) 17時48分

BAT様

ありがとうございます!

僕はまだ聴けておりません・・・。
アマゾンさんからは「現時点で発送日見込み立たず」みたいなメールが来まして、週末に時間があればショップさんに行ってみようかと思っていますが、今年は大型店店頭での品切れも続出しているとか?

頂いたコメントはもちろん、各所でみなさまのご感想を読み期待を高めています。

投稿: DYNAMITE | 2019年3月14日 (木) 12時31分

DY様
 こんばんは。今年も無事ジュリーの新譜リリースされましたね。私は日曜日、梅田のタワーレコードで運良く手に入れました。まだ1回しか聴いていませんが。
 さてお題曲、なかなかレアな所突いて来ましたね。でも私にはすっかり耳馴染みな曲、『比叡山フリーコンサート』は『思いきり気障な人生』『ザ・タイガース・フィナーレ』の次に買ったジュリーのLP、CD化されていないので針を落とした回数はおそらく一番多いうえ、2枚目のB面が一番のお気に入りだからです。
 そのスコアは私もむか~し買ったと思います。「叫び」は4カポでCで弾いたように記憶していますが違ったかな?
 『比叡山~』のピッチのことは買った時から気になってたんですが、収録時間の都合で速度上げてると知ったのはずいぶんあとからです。「正しいピッチ」でCD化を強く望みますが多分ないでしょうね。

投稿: ねこ仮面 | 2019年3月14日 (木) 21時52分

ねこ仮面様

ありがとうございます!

このスコアではキーを「E♭」で設定し、3カポCの仕様で採譜しています。
実際のキーはDとのことで、まぁE♭での採譜はピッチ操作のためやむを得ないとは言え、コード進行から考えたらカポは1フレットの方が弾きやすいですよねぇ・・・。Csus4とかCadd9のフォームだと、あの独特の雰囲気は出ませんから。
ギターの1弦をクリシェさせることに意義がある曲だと思います。

CDだと正確なピッチで充分収録時間に収まりますから、是非再発して頂きたいものですが・・・70年代のLIVE盤については色々事情もあるのでしょうか。

投稿: DYNAMITE | 2019年3月15日 (金) 17時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 沢田研二 「叫び」:

« 裕也さん | トップページ | ショーケンよ永遠に »