追悼 ドナルド・キーンさん
日本文化研究者として活躍されたドナルド・キーンさんが亡くなられ、広くニュースとなっています。
キーンさんがどのように日本を愛し、どのような気持ちで正式に日本移住を決断されたかを多くの人に知って頂きたく、拙ブログ過去記事をリンクさせて頂きます。
「沢田研二/Uncle Donald」(2013)
心よりキーンさんのご冥福をお祈り申し上げます。
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日本文化研究者として活躍されたドナルド・キーンさんが亡くなられ、広くニュースとなっています。
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心よりキーンさんのご冥福をお祈り申し上げます。
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バタバタしている間に、2月になってしまいました。
ジュリーの古稀ツアーは、さいたまスーパーアリーナの振替公演である7日(丸1日中、「6日」と誤記しておりました。一番やってはイカンことですよね・・・大変申し訳ありません。コメントにてご指摘くださりありがとうございました。当日、お天気に恵まれますように)の大宮ソニックシティーを残すのみとなりましたが、そんな中早くも次のツアーのインフォが届きましたね。相変わらずの超人的スケジュールには感嘆させられるばかりです。
ただ今回のツアー前半申し込み分については見事に首都圏の会場が平日ばかりで・・・サラリーマンの身にはなかなか厳しい(涙)。
僕はどうしてもツアー初日は行きたい派なので(これまで何度も書いている通り、会場の誰もセトリを知らない状態での緊張感に満ちたあの雰囲気が好き)、おそらくメチャクチャ仕事が忙しい時期であろう5月9日の東京国際フォーラムはそれでも無条件で申し込みます。なんとか都合をつけて駆けつけたい!
あとは7月の守山。実はこの守山はカミさんの両親が現在住んでいる街で、会場を検索したらすぐ近所でね~(ちなみに守山駅からは結構遠いですよ。電車で来場のみなさまにはタクシーの利用をお勧めします)。開催は金曜だけど有給をとって、土日と合わせ帰省がてらカミさんと参加したいと思います。
ということで今回僕が申し込んだのはこの2箇所のみ。悩ましいのはツアー後半をどうするか・・・せっかくなのでYOKO君はじめ音楽仲間を誘いたいんだけど、現時点で公になっているスケジュールだと彼等の都合的に到底無理なんですよ。
インフォの感じだとどう見ても追加公演はあり得そうですし、これから大宮とかNHKホールとかフォーラムとか、とにかく休日の首都圏会場開催が発表されると良いのですが、どうなりますか。
さて、元旦のご挨拶記事以来長らく更新が滞ってしまいましたが、その間僕は1月5日の大宮ソニック、20日の武道館とジュリーの古稀ツアーに参加いたしました。
オーラスの大宮は平日開催のため断念しましたので、僕の今ツアー参加はこれにて終了。今日はその1月2公演それぞれの感想を軸に、『OLD GUYS ROCK』ツアーの総括的なレポをupさせて頂きます。
両日とも拙ブログではお馴染みのYOKO君が一緒、加えて大宮にはS君(一昨年の松戸公演に続いて2度目のジュリー。本当はさいたまアリーナを共にするはずだったのですが仕切り直しです。振替に休日開催があって本当に良かった!)武道館にはNさん(こちらはまったく初めてのジュリーLIVEです)と、音楽仲間を誘っての参加でした。いずれも素晴らしいステージとなり、同行した彼等の感想も絶賛モード!
なにより「満員」だったというのが嬉しいじゃないですか。特に武道館3daysについては、一部メディアが事前にしょうもない記事をバラ撒いていただけに、今回の大成功に「見たか!」と言いたい気持ちですよ。
それではいつものように、セトリに沿ってレポを書いてまいります。なんとかオーラス大宮の前に更新成りましたので、当日ご参加のみなさまの行き帰り道中のお供になりますように。よろしくおつき合いくださいませ。
開演!
オープニング「everyday Joe」(スクリーン上映)
新年1発目のジュリーLIVEとなった大宮ソニックは、10月さいたまスーパーアリーナの代替公演。さいたまアリーナに参加予定で現地にいたYOKO君、S君と僕は揃ってこの5日大宮をチケット振替することができました。平日だと「3人揃って」というのは厳しいですから有難い日程でしたね。
さいたまが終わったらS君に手渡ししようと用意していたセトリCDがはからずも彼にとっては今ツアーの予習音源と変わったわけで、S君はその間、特に気に入った「A・C・B」の収録アルバムである『耒タルベキ素敵』までひと通り聴いたらしく、このツアー・オープニング上映で流れる「everyday Joe」も予習済のナンバーとして楽しんだようです。
曰く「歌も演奏も録り直してるよね!」と。
「everyday Joe」のアレンジ・オマージュ元がジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」であり、その「紫」にあやかって「古稀」ツアーのオープニングなのでは、という僕の話にも頷いてくれました。
「紫」以外のモチーフとして重要なのが、故・かまやつひろしさん作曲作品であるということ。ジュリーが語る「鬼籍に入った人達のぶんまで」との決意は、オープニング上映をかまやつさんの曲、エンディングBGMを堯之さんの曲とした構成に表れているでしょう。
先のデビュー50周年ツアー、今回の古稀ツアーと続いたオープニング・スクリーン上映のスタイルは果たして「特別な年のツアー」限定の趣向だったのか、それとも今後もツアー・コンセプトを投影した定番となるのか・・・気が早いようですが、インフォも来たし前半分の申込も済ませ、次のツアーが今から楽しみです。
ちなみにS君からはその後、『第六感』『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の2枚を購入した、とのメールが来ました。本格ジュリー堕ちおめでとう!
1曲目「カサブランカ・ダンディ」
いきなりほとんどのお客さんがスタンディングとなる光景は、いつものことながら圧巻です。
大宮は1階11列目という良席を授かったので僕らもそれに倣いました。一方武道館は1階スタンド席で、それでも視界は良好だったこともあり着席での鑑賞。大きな武道館での会場の熱を俯瞰し受け止める、という見方もなかなか良いものでした。
多くのファンが「ギター1本だと遅く聴こえる」とお話している今回の「カサブランカ・ダンディ」ですけど、僕は事前予習でBPMを頭に叩き込んでいった結果、テンポ自体はほぼ変わっていないと確信できましたよ(ほんの少し遅いかもしれませんが)。
それは他セトリについても同様。冒頭のこの曲はリズムがハーフタイム・シャッフルなので、聴き手のテンポの錯覚が起こり易いのだと思います。
間奏の柴山さんはオリジナルのソロ・フレーズを完コピしているだけでなく、4小節目に「ミミ、ファ#ファ#、ソソ、ソ#ソ#」(音階はオリジナルキー表記)の低音パートまで挿し込むなど縦横無尽の大活躍。改めて、よくぞここまで練りこんだなぁと。
演者2人の凄まじい稽古量が実感できるという1点だけとっても、今回のギター1本体制は尊いです。
2曲目「彼女はデリケート」
ジュリーの新たなる挑戦、ギター1本体制の衝撃。
ツアー終盤では多くのみなさまと同じく、スタイルそのものには僕もすっかり慣れてきたとは言え、「これをギター1本で再現するのか!」と未だに信じ難い思いで聴いている曲もあり、その筆頭格が「彼女はデリケート」。
リフから始まり豪快なダウン・ストロークでコード・バッキングへと移行。そうかと思えば神出鬼没に飛び出す単音オブリガート。加えてコーラス、駆け足も・・・。
66歳のギタリスト・柴山さんもジュリーにヒケをとらない超人。いやもう「人」を超えているからステージ上の2人とも「超獣」と言った方が良いかな。
永遠に続くかと思っていた鉄人バンド期の後に、こんな超獣コンビのステージが待っていたとは・・・。
あ、「超獣コンビ」ってみなさまご存知ですかね?プロレス古今東西、世界最強のタッグ・チームです。
ジュリーが何度かMCで語った通り、このスタイルでは歌とギターが「対等」であることが理想形なんですよ。どちらも必殺技があり、フォールがとれるというね。
2人が荒ぶり猛りながら疾走する今回の「彼女はデリケート」は、さながら最強の超獣コンビが挨拶代わりの合体技を披露したようなもの・・・こうなってくると、この曲同様に過激なBPMを擁する「愛まで待てない」或いは「世界はUp & Fall」がいつセトリ入りするか楽しみ。特に後者は僕がまだ生体感できていない曲ですから、5月からのツアーに採り上げられることを切望する次第です。
3曲目「お前なら」
大宮、武道館両日ともこの曲の前の短いMCでジュリーから昨年のさいたまアリーナの件についてお詫びの言葉があり、お客さんが拍手で応えるシーンが。
特に大宮では「ごめんなさい」と頭を下げたジュリーの姿に感動・・・振替チケットで参加したお客さんが多かったこともあり、これまでにない「両想い」な意思疎通、ジュリーとファンの阿吽の呼吸が感じられました。
さて武道館公演が初のジュリーLIVEだったNさんは終演後、「1曲目2曲目まではちょっと声の調子を心配したけど、3曲目以降どんどん良くなっていった」と話してくれましたので、「ジュリーは毎回、後半になるに連れて声が素晴らしくなってゆく」旨伝授しておきました。大宮、武道館ともにその通りの感じでしたね。
個人的には今ツアー・セトリでは「ISONOMIA」でジュリーの喉のギアが加速する印象がありますが、確かに武道館では「お前なら」でグッと声が出てきたようす。
この曲については初日の時点で最高音が少し苦しそうだったのが、ジュリーにしか分からない発声のポイントを徐々に掴んでいったのかな。
柴山さんがここでテレキャスからテレキャスへのチェンジをしているので、2曲目「彼女はデリケート」までは半音或いは1音下げのドロップ・チューニングで歌われ、この「お前なら」から通常チューニング、つまりオリジナル・キーで歌ったと推測できますが、次曲「F.A.P.P.」と合わせ高音がキツくなるここから逆に声が出てくる、というのが凄いです。
大宮の打ち上げでは、S君がこの曲のギター・アレンジについて「ブラック・サバスの影響」を指摘。僕はサバスは詳しくないのでそこまで分かりませんが、70年代常にリアルタイムで最先端の洋楽を自らの血肉としていた堯之さんのことです。可能性は大いにアリ、でしょうか。
リリース時より今のジュリーの方がこの楽曲に合っているのでは、という話も出て、それは声に限らず詞のコンセプトとしてもそうなんだろうとも思いました。
4曲目「F.A.P.P.」
以前から柴山さんの演奏スタイルを「セーハの鬼」と書いてきました(ひとさし指1本で6弦すべてを押さえるコード・フォームを「フレット・セーハする」と言います)。
YOKO君も「今回柴山さんが弾くロー・コードはAとDくらい」と言っていましたが(実際にはそれに加えて「E」もあります)、「F.A.P.P」はそんな柴山さんが今セットリストの中でセーハしないロー・コードを魅せてくれる数少ない曲のひとつ。サビでイ長調への豪快な転調があり、最後の着地コードであるトニックの「A」を柴山さんはロー・コードで弾きます。
これすなわち、最高音が高い「ラ」の音にまで到達する「F.A.P.P」(「HAPPINESS LAND♪」の歌詞部冒頭が最高音)を、70歳のジュリーがオリジナル・キーで歌っている証しでもあるわけです。
他セトリではキーを下げるものも数曲あった中で、やはりこの曲はコンセプト的にもメッセージ的にも最高音は譲れない、ということなのでしょう。
しかも「限界ギリギリ」であるはずの「ラ」の音にもジュリーのヴォーカルはまったく澱みがなく・・・改めて、驚異の喉の持ち主なんですねぇ。
柴山さんのこの曲での演奏はソロとバッキングにそれぞれ独立性を持たせたパターン。打ち上げでNさんが「テレキャスって、レスポールとストラトの中間なんだよね」と言っていたように、テレキャスの万能ぶりを示す1曲でもありました。
テレキャスの名手・堯之さんへの追悼の意味合いも当然あるでしょうが、今ツアーでの柴山さんのテレキャスの多用は、ジュリーとの2人体制の第1歩として「はからずも必然」であったかもしれませんね。
5曲目「あなただけでいい」
これは今セトリの中でも特に、参加会場を重ねるごとにジュリーの声が素晴らしく良くなっていった、と感じる1曲でした。
僕はこの曲、これまで『ジュリー祭り』東京ドーム公演ただ1度きりしか体感できていなかったので、今回のようなツアー中の「進化」の過程をリアルタイムで追ってゆくのが初めてとなる曲でもありました。
ツアー初日と比較すると最終的には少しテンポを落としてきているかな?
重厚にはなり過ぎず、良い意味での「軽さ」を保ったまま歌と演奏がどっしりしてきた、という感じです。
歌い重ねるに連れて気持ちが入っていくのは当然として、ギター1本体制への加速的な馴染みに驚かされました。さすがは70年代シングルの名曲!
ジュリーはセトリ冒頭の「カサブランカ・ダンディ」についてどこかの会場で「50周年のツアーでは敢えて外し、古稀ツアーのためにとっておいた」シングルなのだと語ったそうですが、「あなただけでいい」も同様でしょう。
柴山さんの演奏も凄いです。ストロークのリズムと随所1拍ごとのフォーム・チェンジでベースのグルーヴを、三連カッティングでピアノの連打とドラムスのハイハットを、そしてもちろんギターの単音フレーズも・・・オリジナル音源でのアレンジの噛みを見事1本のギターで再現してくれましたね。
6曲目「風は知らない」
ツアー初日武道館と和光市公演の時点では気づけませんでしたが、柴山さんのアコギはホ長調のフォーム。トニックの「E」をロー・コードで弾きます。
つまりオリジナルのヘ長調から半音下げての演奏で、なるほどアコギの「E」から連なる独特のボレロ調のリムズ・アレンジは、キーを下げることで必然編み出されたアレンジだったのだと納得。
そのリズムは初日から比べるとアタックがかなり柔らかくなりました。シンコペーション部が歌メロとぶつからないようにツアー中に進化させたのですね。
どこの会場でしたか、ステージ上でジュリーとの真剣な打ち合わせがあったそうですが、それもまた納得の完成形を今回堪能できました。
次のツアーではどんなタイガース・ナンバーが聴けるのか・・・大きな楽しみのひとつです。
7曲目「雨だれの挽歌」
大宮に参加のS君は仲間内では一番のギターの名手。その彼を「素晴らしい鳴り」と感嘆させたのがこの曲での柴山さんのゴールドトップ・レスポールでした。
サムピックを使用しない指弾きにも惹かれたようで、「ギター1本体制ならではのアイデア」と(ただ、「雨だれの挽歌」という楽曲タイトルをまだ覚えていなくて、「虫の歌」と言ってましたが笑)。
柴山さんは今セトリのバラード・ナンバーについては表拍複音を指4本同時弾きで通します(ただし「ヤマトより詞をこめて」だけは通常の単音アルペジオ)。
これは親指を鍵盤楽器の左手に、ひとさし指、中指、薬指を同じく右手に模した奏法。もちろん要所にオブリガートも織り交ぜての熱演で、このアイデアは今回からスタートしたジュリーの新たなステージ・スタイルで骨子となってゆくでしょう。
近いうちに披露されるであろう(次ツアーかな?)「いくつかの場面」の歌メロ部もおそらくこの奏法が採用されると僕は予想しておきます。
それにしても、『架空のオペラ』リリース時に語られたという、ジュリー・ヴォーカルと大野さん作曲作品とのメロディーとの相性・・・ヴォーカルがダイレクトに向かってくる今スタイルで改めて実感させられました。
特にバラード系については古稀越えの今なおキーの変更など必要なし。武道館の「雨だれの挽歌」では少し歌詞が入り乱れるシーンがありながらも、高音部から低音部まで「髄までジュリー」の歌声に目を閉じて聴き入ってしまいました。
70年代後半の阿久=大野ナンバー珠玉のバラード群、後追いファンの僕にはまだまだ未体感の隠れた名曲が残されています。
YOKO君も大好物のアルバム『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』から、「赤と黒」とか「薔薇の門」とか歌ってくれないかなぁ。無理かなぁ?
毎年1曲ずつでよいので聴いていきたいものです。
8曲目「ISONOMIA」
オリジナル音源では白井さんはロー・コードを弾いてると思うけど、柴山さんはハイ・ポジション。
ジュリーのドスの効いたヴォーカルとのバランスを考えてのことでしょうか。
この曲は最初のお披露目(2017年お正月『祈り歌LOVE SONG特集』での先行セトリ入り)からどんどん良くなってきています。ジュリーのヴォーカルもそうだし、お客さんの手拍子もそう。泰輝さん、GRACE姉さん、依知川さんがリードしてくれたハンド・クラップはファンに浸透し、武道館が初ジュリーLIVEだったNさんもすぐさまついてゆくことができたようでした。
新たな「定番曲」誕生を予感させる1曲。今後また何度も体感できそうな気がします。
9曲目「我が窮状」
武道館のアンコール前のMCで印象深かったジュリーのひと言があります。
「僕らのような(仕事の)人は反体制であるべきだと思っています」と、チラリと、しかしハッキリとジュリーは言ったんですよね。古稀を迎えての改めての「ロック宣言」と捉えてよいでしょう。
いえ、僕はもう今は「ロック=反体制でなければならん」と決めてかかることはやめました。対象ロッカー(ここではジュリー)への傾倒が、何事も成していない聴き手に過ぎない自分に「ロック」の鎧を着せ、安易なアイデンティティーへと転嫁する危険性をこの数年で学んだからです。僕のような者は特に危ない。
しかし、実際に大事を成し遂げ継続しているジュリー本人のその宣言については本当に頼もしく、信頼とリスペクトの気持ちをかき立ててくれます。
「我が窮状」をはじめ、2002年あたりから顕著となるジュリー自作詞のメッセージ・ソング、さらに近年の『PRAY FOR JAPAN』の名曲群は確かに「反体制」のテーマを堂々と含みます。ただ、そのすべてが素晴らしい「歌」であることの意義。
ジュリーの反体制って、標榜などでは決してなく、ひたすら「弱者の側に立つ」スタンスなのです。
徒党を確認した上で中傷や言圧を弱者へと向ける、というのは結局それをする人の性根なのだろうと僕は思っていますが、ジュリーの創作はそんな輩とは逆。
よくジュリーは「自分は歌うことしかできない」と語ります。これは言い方を変えれば「歌うことによって何でも成しえる」力を持つ、ということではないでしょうか。
受け取る側として肝に銘じたい、と思います。
柴山さんの奏法は先に書いた「雨だれの挽歌」と同じ指弾き。この曲には「F#dim」という経過音コードが登場しますが、柴山さんは5弦を軸にしたレンジの広いフォームで抑えます。これが下山さんの「F#dim」になると1、2フレットのロー・コード(「君をのせて」参照)。
それぞれの指の長さから考えると逆になりそうなものですが、そのあたりがギタリストとしての異なる個性なのでしょうね。
ちなみに僕は下山さんと同じフォーム。柴山さんのフォームで弾こうとすると小指が攣ります・・・(涙)。
10曲目「屋久島 MAY」
和光市、大宮は新曲コーナーでステージ後方にスクリーンを降ろしてイメージ映像を流していましたが、全方位開放の武道館では天井が巨大なスクリーンに模されます(ツアー初日はそこまで気づけていませんでした)。
中でも一番のインパクトはやはりこの曲。雄大な自然の光が会場全体に降り注ぐかのようでした。
ジュリーがボレロを踊る間奏部は、柴山さんの「E」の構成音を超えるアレンジが素晴らしい!単純に「ワン・コードの曲」というだけではないんですよね。
新たなスタイルでレコーディングされた昨年の新譜『OLD GUYS ROCK』は、演奏や音色使い、作曲もさることながら、柴山さん渾身のギター1本アレンジにも注目すべきでしょう。「屋久島 MAY」はその魅力が最も伝わり易いトラックではないでしょうか。
11曲目「ロイヤル・ピーチ」
この歌はもちろんサビの高音も良いけど、僕はBメロでのジュリーの低音ヴォーカルに特に惹かれます。
それは今回はセトリから外れた「FRIDAYS VOICE」のAメロにも同じことが言えて、いずれも柴山さんの作曲作品なのですね。異なる曲想を持つヴァースを合体させる作曲手法は必然メロディー音域が広くなり、歌手・ジュリーの才を引き出します。
「ロイヤル・ピーチ」ではAメロのクリシェ、Bメロに一瞬挿し込まれるディミニッシュ、王道進行のサビ。それぞれにニュアンスを違えながらも統一感のある構成、そしてヴォーカル・・・真に名曲。やっぱり僕は『OLD GUYS ROCK』の中ではこの曲がイチオシだなぁ。
今年もまた新譜で柴山さん渾身の作曲作品が届けられることでしょう。5月からのツアーの前に、大きな楽しみがひとつ待っていますね。
12曲目「核なき世界」
ツアー中にようやく個人的な歌詞解釈がハッキリしてきた曲です。やっぱりジュリーの生歌を聴いて、「新曲」の中では最も気合迸る発声、「伝えよう」とするジュリーの意思が真っ直ぐに届くのは大きい!
どれだけ嘘で固められようとも、どれだけ逃げる(誤魔化す)ことをされても譲れない、目指すところであり護るものが「核なき世界」。僕の中では「逃げおおせても」のフレーズがツアー前までは漠然としていただけに、今回強く印象づけられた生歌でした。
ジュリーが2008年に「我が窮状」を歌った時、賛否いずれにせよ聴き手はその時点でまだまだそのテーマの現実味を感じとれていなかったかもしれません。
しかし10年が経っての現状はご存知の通り。
「核なき世界」で歌われている内容もそうです。このツアーが進んでいく間に、海の向こうでは核保有国間での中距離核兵器廃棄条約の履行すら風前の灯、という状況が既に襲ってきています。
僕らは今からジュリーのメッセージを、我が問題として自覚しなければならないでしょう。
13曲目「グショグショ ワッショイ」
武道館ではこの曲から「A・C・B」「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」と、ジュリーが広いステージを縦横無尽に動き回り、東スタンド1階の真横から観る感じだった僕らに接近してくれるシーンがありました。その度に周囲から歓声が上がります。
また、初日と比べるとジュリーのステージ後方席へのアピールも頻繁で、北スタンドのお客さんが喜ぶ様子もヒシヒシと伝わってきました。そんな会場の雰囲気含めて「今ツアーの完成形」を観た気がします。
僕は和光市から大宮までツアー参加の間隔が開いていたのですが、その間にこの曲の「さあ来いやい♪」の歌い方が変わっていたんですね。
「さあ来い」をCDヴァージョンのオクターブ上で歌い、「やい」で低音に落とすという。
ドスの効いたラストの低音はもちろん、「さあ来い」の高音があれだけ太く、ブレないというのが凄い。腕を大きく拡げての発声もカッコ良かったです。
14曲目「A・C・B」
S君お気に入りの1曲。
ジュリーが演奏前にリードする手拍子は「裏」でした(と言うか柴山さんが裏で合わせて噛んでくるんだけど、目立たないながらこれメチャメチャ難易度高い!)。
オリジナルはニ長調ですが柴山さんのフォームはハ長調で、1音下げのキーでの演奏。「C」「G」を3フレット、「F」を1フレット、いずれもセーハで弾きます。
ハ長調のスリー・コードをわざわざ全部セーハするのが「永遠のエレキ小僧」っぽくて良いですな~。
「2000年でも♪」の歌詞部、大宮でジュリーは「2019年でもくたばってなかった♪」と歌ってくれました。武道館は聴き逃した~(泣)。
15曲目「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」
大宮のS君、武道館のNさんともに、今セトリで「前からよく知っている」有名曲は「カサブランカ・ダンディ」「ヤマトより愛をこめて」の2曲のみ。
僕はそんな2人に各公演前、「マンジャーレ!アモーレ!カンターレ!という曲だけは完璧に予習してきて欲しい」と伝えていました。もちろん、ツアー途中から恒例となった「リフ部の”だだだコーラス”練習」シーンに備えてのことです。
大宮では2階席→1階席のお客さんに分けての練習となりましたが、武道館では待望(?)の「今日は会場にどのくらい男の人がいるのか確かめたい」とのジュリーのリクエストで、まず「男性のみ」の声出しとなりました。
直前にNさんに確認したら「覚えてきたよ」と。
いざ始まると、両隣の2人はアマチュアとはいえさすがに仲間内ではヴォーカルが専門職、それぞれ個性の異なる良い声で歌うんですよ~。肝心の僕自身は歌は全然ダメなんですけど。2人にお任せ状態で遠慮がちに発声していたら、YOKO君が突然「瀬戸口さん3度上3度上!」とハモリを強要(笑)。
やはり会場に男性陣は少なくて、それぞれが勇気を出して大声を出さないと届かない、という状況。YOKO君とNさんは素晴らしい仕事をしましたが僕についてはちょっと・・・。ジュリーに「(出来はともかく)勇気を貰いました」と言って貰えたのが救いです。
引き続いての女性陣による声出しは「さすが」のひと言で、ジュリーも感心しきりでした。
それにしてもいざ本番のコーラス参加、僕はいつも1音上がり転調箇所で構えてしまうんです。みなさんよく自然についていきますね~。
柴山さんのフォームを見る限りこの曲はオリジナル・キーの演奏(変イ長調→変ホ長調)。かなり高い音域ですけどジュリーは余裕です。
さらに言うとそのメロディーを上でハモる柴山さんの超高音コーラスも素晴らしい!高音って思いっきり発声しないといけないので、この曲の柴山さんのハーモニーは他曲と比べると抜きん出て目立っていました。
16曲目「Don't be afraid to LOVE」
武道館では、演奏が終わりジュリーが「着替えてくる!」といったん退場した時に、隣のNさんが「今の曲イイねぇ!」と話しかけてきました。もちろんNさんにとって全然知らない曲・・・それでもこんなに感動してくれた、というのがとにかく嬉しい!
Nさんは仲間内ではYOKO君と並んで「ヴォーカル」のツートップで、打ち上げではジュリーのヴォーカルについて「あの声だから、ギター1本体制ができるんだよね。70歳でこのスタイルができるのは限られた本物のヴォーカリストだけ」と絶賛でした。
さいたまアリーナの件もニュースで知っていて曰く
「外野が何を言おうと、ヴォーカリストとして一流、人間として一流、それがすべてでしょう」
とキッパリ。
そうそう、僕らのいたは東スタンド1階からはステージとアリーナを纏めて視界に捉えられたのですが、この曲の照明で観るその景色は圧巻でした。
玉の光が会場一面に浮かび、床が漆黒に隠れているので、お客さんの影から一段上にいるステージの2人がまるで宇宙に浮いているように見えました。
広い武道館ならではの光景、演出だったと思います。
~アンコール~
17曲目「ROCK'N ROLL MARCH」
武道館では着替えて登場したジュリーがステージ中央まで進み出ると、キルト衣装をヒラリを翻して1回転。会場からは物凄い矯正が(笑)。
ジュリーはすかさず
「(スカートの中が)見えた?」
とおどけてからのMCでした。
MCの内容はこちらでは割愛しますが、毎年「ここはとにかくジュリーの漫談が長い!」と定評のある大宮が割とアッサリ目で。「珍しいなぁ」と思っていたら、翌日になって客席にメディアが潜入していたことが分かり、「ジュリー、さすがに控えたな(笑)」と納得でした。
武道館は結構長い時間お喋りしてくれたけど、僕らの行かなかった両日の方が内容は濃かったみたい。
さて「ROCK'N ROLL MARCH」。ツアー初日は慣れないギター1本のスタイルについてゆくのが精一杯で、「オリジナルと間奏の小節数が違うのでは?」と錯覚もしましたが、大宮、武道館とも実際にはCD通り。きっと最初からそうだったのでしょう。
対して後奏はツアー途中から明らかに長尺となり(と言うよりいったん曲を終わらせてから柴山さんのアドリブ・コーダが続く)、ニ長調というキーを生かした「D」コードのヴァリエーションで展開するラーガ・ロック風の柴山さんのソロが炸裂します。
柴山さんが最後の最後、「レ」の音を特殊な奏法で出していることに気づいた人はいらっしゃるかなぁ?
どういうことか説明しますと・・・おそらく柴山さんはギター1本体制でのこの曲を、キーのトニック音である「レ」で最後の太い音を締めくくりたかったのでしょう。
でも通常のギターのチューニングだと「レ」は4弦開放で弾かねばならず、音がいささか細い。そこで何と、6弦開放音(ギターで演奏可能な最低音)の「ミ」を鳴らしながらそのまま手動でペグを緩めて「レ」までドロップさせる(!)という荒技を採用、重厚なエンディング・トーンを実現させました。
ツアー大トリの大宮にご参加のみなさまには是非このシーンにも注目して頂きたいです。
と、いうことで次曲でのギター・チェンジは必然。
18曲目「ヤマトより愛をこめて」
先述の通り、今セトリのバラード群の中で唯一柴山さんがノーマルな単音アルペジオ奏法を魅せてくれるのがこの大トリのナンバー。
指弾きのアルペジオって普通はこうなんです。ただし今回のそれは難易度が恐ろしく高い!
ギター1本ですからキメのフレーズはコード・トーンから逸脱して弾かなければなりませんし、オリジナル音源では他パートが担当する箇所(おもにピアノ)もしっかり再現されています。加えてト短調というセーハ必須のキー・・・僕らは本当に凄いものを観ているのです!
凄いと言えばジュリーのヴォーカルも当然そう。武道館ではNさんが「一番最後の曲が一番声が良いとは・・・」と驚嘆していたほどです。
「ヤマトより愛をこめて」はセトリのオーラス率が高い定番曲。長いファンの先輩方は「そういえば『ジュリーマニア』のラストもこれだったなぁ」と、僕の知らない「武道館ジュリー」を思い出していたかもしれませんね。
その武道館も遂に改修されるとか。
YOKO君曰く「やっぱり音響も変わっちゃうよね。寂しいけど仕方ない」と。
古稀記念という特別なツアーということで「武道館3days」はそれにふさわしい冒険でありましたし見事満員御礼の大成功に終わりましたが、ジュリーの中では今回のスケジュール、「改修前の武道館への感謝」の意味もきっとあったんじゃないかな。
MCでも「初めて武道館に来たのは(自身の)デビュー前に観たビートルズ公演。南西スタンドにいた」という思い出話も飛び出したくらいですからね。
☆ ☆ ☆
エンディングBGM、堯之さんの「JUST A MAN」もゆっくり聴けて、大満足の両日でした。
大宮の満員御礼はもちろん、全方位ビッシリのお客さんでいっぱいの武道館の光景を観ただけで開演前から既に大きな感動がありましたが、いざステージが始まるとこれまで体感したことがないくらいの会場の熱量。これにはYOKO君もNさんも驚いていました。
「休日とはいえ武道館3daysの中日にこの入りは凄い。それ以上に客席の熱が凄まじかった」と。
後で聞けば武道館3daysは全日そんな熱さが続いたとか。そんな大成功が悔しかったのか何なのか、武道館終了後も一部メディアは招待席がどうたらこうたらと、悪意盛り盛りのイチャモンをつけていたようです。
僕らとしては「そういう貴方は実際あのステージ観たのかい?」と言いたくなります。
そりゃあ招待券の配布は確かにあったでしょう。大会場のイベントなら当たり前のことです。
でも核心はそこじゃない。
僕が日頃からジュリー道の師と慕う先輩がいつも個人的にレポを送ってくださるのですが、その中で先輩はこう仰いました。「招待席で観た感想は、その招待席で実際武道館に行かれた人のものです」と。
外野が想像だけでどうのこうのという話じゃないわけで、実際に観た人ならステージと会場の真実の雰囲気が分かる・・・個人の好みを超えて、どれほどジュリーとお客さん双方が熱かったか、というのがね。
意地の悪い記事を目にして憤懣を抱えていたのが、先輩のレポを拝見しスッと溶けてゆくようでした。
あ、この先輩のレポについては、僕と同様に個人的に受け取ったsaba様が感激のあまり「記事にしたい」と要望と言うか懇願を重ねられた(笑)結果、めでたく世界中に発表の運びとなりましたのでsaba様宅でご覧になった方も多いかな?
ジュリーと柴山さんは見事に山を登り切りました。
明後日大宮の振替公演もまだ残されていますが、「これが本来の千秋楽」の気持ちは武道館最終日に参加されたみなさまも、そしてジュリー自身も持っていたことでしょう・・・大成功めでたや!
そして、ジュリーは既に先を駆けています。
これから(きっと)新譜のレコーディングがあり、CD発売があり、初夏にはもう次のツアーが始まります。ボ~ッとしてはいられませんね。
僕は今年からこの先数年にかけて、仕事が本当に大変な時期となりそうです。自分の年齢のことも併せて「勝負」がかかるその初年。年明け早々に、70歳と66歳のOLD
GUYSに大いに勇気を注入されました。
僕も素敵な「ヤンチャ」の精神で何事にも取り組みたいものです。「頑張ろう」と思いました。
最後に。
両会場でお声がけくださったみなさま、有難うございました。また次のツアーでお会いしましょう!
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