2018.12.9 四谷区民ホール 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2018~音楽は時代と国境を越える』(その⑤)
連載第5回
『フィナーレ~アンコール』編
ボヤボヤしている間に大晦日。
色々あった2018年ももう終わりですよ・・・。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
本当に年内ギリギリになってしまいましたが、瞳みのる&二十二世紀バンド・四谷公演レポートの連載第5回、最終回をお届けいたします。
これにて本年の拙ブログの締めくくりです。よろしくお願い申し上げます!
20曲目「蛍の光」~「悲しき叫び」
21曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ」
タイガース時代からのファンの多くの先輩方はみなさん「蛍の光」から「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へのメドレーは纏めてひとつの楽曲、とお話されます。かつてザ・タイガースを「見届けた」選ばれし者共通の感覚でしょうか。
今年は、普段から特に親しくさせて頂いていたタイガース・ファンの先輩とのお別れがあり辛い年でもありましたが、その先輩も同じことを仰っていました。今回の四谷公演、僕はこのセットリスト本割ラストになって、無性にそんなお話が思い出されてなりませんでした。
プライヴェートなことですが、ここではその先輩の思い出を書くことをお許し下さい。
先輩は長い闘病の末に今年7月、ジュリーの古稀ツアー開幕直前に旅立たれました。その時のことは「君をのせて~『SONGS』ヴァージョン」の記事に書いたのですが、さらに後日談があります。
お通夜がジュリーのツアー初日・武道館公演と重なりましたので、僕は翌日の告別式のみ参列しました。そこでBGMとして繰り返し流れていたのが、先輩が特に好きだったと思われるザ・タイガースの名曲の数々でした。「銀河のロマンス」「青い鳥」そして古稀ツアーでジュリーも採り上げた「風は知らない」等々・・・。
ただ、先輩が確実に愛していたはずのタイガースの代表曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」が流れません。
僕はこのBGMを「段取りの達人」である先輩が自らご自身の告別式のために用意した選曲だとばかり考えたので、何故?おかしいなぁと思いました。
式の最後、お見送りの準備の前に先輩の娘さんとお話する時間がありました。娘さんによるとこのBGMは先輩が緩和病棟に入る際に、病室で聴くために(娘さんが)ダウンロードを頼まれた曲を、そのまま告別式に用意したのだそうです。
聡明な先輩は、これらの曲達が自分がこの世で最後に楽しむ音楽だと決めていらしたでしょう。そして、お母さんの影響でタイガースにも詳しくなっていた娘さんは、尋ねるまでもなく僕の疑問に答えてくださいました。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」だけは、「悲しいお別れのイメージがあるから」との先輩の希望で、その最後の入院の時敢えて外されたのだ、と・・・。
確かに、1971年にいったんザ・タイガースとお別れしたリアルな体験を持つ先輩方にとって、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」とは圧倒的に愛された曲でありながら、同時に悲しい思い出の曲でもあったのでしょう。
でも僕は今、後追いファンの身で僭越なのだけれどもそのことを「過去形」で書きたい・・・何故なら、ピーさんと二十二世紀バンドがこうして毎年のセットリストの固定した配置で歌い演奏し続けることで、少なくともピーさんのLIVEに参加し続けているファンにとって「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はもう悲しいお別れではなく、「来年また会いましょう」という約束の曲に変わっている、と感じるからです。
その先輩はタイガースの中では特にジュリーが好きで、ピーさんについては2011年の最初のトークLIVEに遠征されたのみで、二十二世紀バンドのステージはずっと参加されていませんでした。それを僕が「タイガースが好きなら絶対観るべきです」と力説し、先輩は昨年の四谷公演に初めて参加されました。終演後、「来て良かった。来年も観たい」と仰いましたがそれは叶いませんでした。
もし今年も参加されていたなら、2年連続で聴く「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に、従来の悲しいイメージは払拭されていたのではないか、と思うと本当に残念でなりません。
最後のお見舞いでお話した時、先輩はタイガースへの感謝、ジュリーへの感謝、そしてピーさんとピーさんのファンサイトへの感謝を口にされました。
もちろんそれは先輩の個人的な格別の深い思い入れがあってのことなのだけど、そのお話はここではよしましょう。ただただ、今年の四谷公演もご一緒したかった、ピーさんが熱唱する「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を聴いて頂きたかった・・・僕の思いはその1点です。
今年もピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」冒頭のフィルを叩くとドラムセットを離れ、ヴォーカルに専念。後を受けたマーシーさんのドラムは、優しいタッチに始まり(小節の終わりのオープン・ハイハットが効いています)、激しいエンディングのキック連打まで再現してくれましたが、ここで初めて僕はマーシーさんの少年のような素敵な笑顔に気づき、ひいては「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を二十二世紀バンドのメンバー全員が暖かな表情で演奏していることを確認しました。
最後にドラムセットのフロアに駆け上がろうとしたピーさんが、足場の狭さにフラッとよろけてしまうシーンがありましたが(隣の先輩が「毎回無理しないで・・・」と心配されていました)、お茶目なピーさんは照れたような笑顔が満開となり、とても明るいフィナーレ。
やっぱり「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はもう、涙まみれのお別れの曲ではないのですね。
退場するメンバーに感謝の拍手を送りつつ、僕らは自然にアンコールを待ったのでした。
~アンコール~
22曲目「三日月」
「早くステージに戻りたい!」とばかりに笑顔のダッシュで再登場するメンバー。Kenyaさんも一緒です。
アンコール1曲目は、今や二十二世紀バンドの看板ナンバーとなった「三日月」でした。
この曲は毎年、演奏する全員の表情がとても良い!新加入のマーシーさんも笑顔満開で、昨年までIchirohさんが魅せてくれていたハイハット3連グルーヴを完璧に再現してくれます。
生で聴くたびに思うのは、JEFFさんのアレンジの素晴らしさ。歌メロには登場しない間奏進行が究極にポップで、ドラマチックです。
ドミナントを引っ張ってメンバーのコーラス・リレーへと繋ぐあたりはメンバーが(楽器の手元を見ずに)顔を上げて演奏するのが素敵ですね。
ピーさんはヴォーカルに専念し、エンディングの「リンリンリン・・・♪」コーラスをお客さんにリクエスト。
アンコールがこの1曲で大団円、でも満足のセトリですが、間髪入れず最後にもう1曲、降臨したのは・・・。
23曲目「色つきの女でいてくれよ」
今年の大トリはこのタイガース同窓会ナンバー。
ピーさん不在のため「再結成」ではなく「同窓会」と位置づけられた大ヒット曲が、今はピーさんのLIVEセットリスト定番になったという不思議な縁と巡り合わせ・・・僕もリアルタイムでテレビで観ていた「色つきの女でいてくれよ」を、あの時はいなかったピーさんが歌うことは最早サプライズではありません。
歌詞に合わせて独特のアクションを繰り出すピーさんの姿はとても自然でしっくりきます。
打ち上げの際にも「とうとう大トリにまでなったね」と、この曲も話題に上がりました。先輩が仰るには「やっぱりタローさんの作曲だから、肌が合うのかしらね」と。
もちろんそれは大いにあるでしょうけど、加えて僕はピーさんがこの曲の阿久さんの詞を大層気に入っているのではないか、と想像します。「きりきりまい♪」の箇所を歌うピーさんの楽しそうなこと・・・ピーさんの好きな語感なんだと思いますよ。
オリジナルでのジュリーのパートは昨年同様NELOさんの担当。ピーさんはその度にNELOさんに近づいて「さぁ行け~!」みたいなゼスチャーで盛り上げます。
間奏のソロはKenyaさん。その間NELOさんがKenyaさんに視線を送り続けているのもまた、二十二世紀バンドらしい暖かなシーンでした。
盛りだくさんのセットリスト全23曲のステージも、終わってみればあっという間。
いつものようにメンバー横並びで「バンザイ」からの一礼で退場、最後に残ったピーさんの恒例の投げキッスでステージが締めくくられました。
ピーさんと二十二世紀バンドのLIVE終演後に毎年まず思うのは「楽しかった!」のひと言です。余所行き感がまったく無い、どんな人にもアウェー感を抱かせない、それでいて特別な非日常の素晴らしさ。
僕のまわりには、ジュリーのLIVEは毎回行くけれど、二十二世紀バンドはまだ観たことがない、というジュリーファンが大勢いらっしゃいます。今一度、僕はそんなみなさんに強く勧めたい・・・「タイガースがお好きなら、間違いなく楽しいです!」と。
インフォメーションの送付がありませんから、ピーさんのLIVEについてはオフィシャルサイトを定期的にチェックし、「チケット受付開始」の情報を自力で把握する必要があります。あとは案内に従い申し込むだけ。
チケットはジュリーと比べると少し早めに送られてきます。来年も二十二世紀バンドのツアーがあるなら(ある、と信じていますが)、是非ご参加を!
最後になりましたが、今回のレポは「連載」という形で長々とおつきあい頂くこととなり、読んでくださったみなさまには例年以上に感謝、感謝です。
なんとか年内に書き終えることができました。
来年が良い年でありますように。元号が変わる新しい時代が平和でありますように。
みなさまどうぞよいお年をお迎えください。
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