« 沢田研二 「脱走兵」 | トップページ | ザ・タイガース 「帆のない小舟」 »

2018年8月23日 (木)

沢田研二 「パリは踊る 歌う」

from『act#6 EDITH PIAF』、1994

Edith1


1. 変わらぬ愛 ~恋人たち~
2. バラ色の人生
3. 私の兵隊さん
4. PADAM PADAM
5. 大騒ぎだね エディット
6. 王様の牢屋
7. 群衆
8. 詩人の魂
9. 青くさい春
10. MON DIEU ~私の神様~
11. 想い出の恋人たち
12. 私は後悔しない ~水に流して~
13. パリは踊る 歌う
14. エディットへ
15. 愛の讃歌
16. 世界は廻る
17. すべてが愛のために

---------------------

更新遅れました(汗)。
さすがにお盆休み明けは仕事も忙しく・・・でもそれを見越して今月は恒例の大長文を封印して日記風『真夏のact月間』と定めたはずだったのに、情けない。7~8曲は書けるかな、と思っていたのが今日の更新合わせて5曲にとどまることになりました。
まぁ、忙しいというのは有難いこと。ジュリーを見ていても、忙しくしているのが生き生きと暮らすコツなのかなぁとも思ったりします。

それにしても時間が経つのは早い!
ここへ来てまた暑さが厳しくなってきたとは言え、今年の夏ももう終わりですよ・・・。


さて。
僕はつい先日、久々に映画『スウィングガールズ』のDVDを観ました。みなさまご存知でしょうか。2004年公開の大ヒット邦画で、楽器業界、楽譜業界が「空前の管楽器ブーム」の恩恵を授かったという、僕にとっては自分自身が映画に嵌った以上に仕事絡みでも強烈な体験をしたことで、忘れ難い名作映画です。

僕が持っている『スウィングガールズ』のDVDは、当時発売されたパッケージの中で最もグレードが高い3枚組のデラックス・エディション。
映画の影響でいきなりトランペットを購入し日々練習中だった僕は、このデラックス・エディションのオマケグッズ「トランペットの高音が出る御守(ねずみのぬいぐるみ)を今でもチューニングスライドに括りつけています。
結婚してからはなかなかトランペットを吹く機会も映画のDVDを観る機会も無かったのが何故急にDVDを鑑賞したのかと言うと・・・実は今カミさんが今年5~6月に放映された連続ドラマ版の『おっさんずラブ』にド嵌りしておりまして(放映終了から2ケ月以上経った今でもファンの熱量が下がらず社会現象にまでなっているらしい)、必然僕も引きずりこまれているという状況なんですけど、先日ふとカミさんが「(ドラマに)出演している役者さん達はこの番組を観るまで全然知らなかった」と言うので僕は、「俺は1人だけ知ってたよ」と。
それが『スウィングガールズ』にも出演していた眞島秀和さん(『おっさんずラブ』ではメインキャストの3人に次ぐ重要なキャラクター、武川主任を熱演)。
まぁそんなきっかけでカミさんに眞島さんが活躍する『スウィングガールズ』のDVD特典映像見せてあげたりして、ついでに本編も観てしまったという次第です。

『スウィングガールズ』劇中の演奏シーンはすべて出演俳優さんが実際に吹いています。メインキャストの5人はまったくの素人状態から撮影のために猛練習を重ねたわけですが、僕がこの映画の中で1番好きなのが、有名なスコットランド民謡「故郷の空」の演奏しているシーンです。
「どんな曲でもスウィングすればジャズになる」という劇中テーマへの登場人物達の最初の気づきとなる重要な楽曲として採り上げられたのが、「ジャズ」のイメージとはちょっと離れたこの名曲でした。
で、何が言いたいのかというと・・・。
ジュリーのactシリーズの中で最もジャズ・テイストが強い作品こそ、『EDITH PIAF』なんですね。

えっ、ピアフはジャズじゃなくてシャンソンでしょ?

・・・と疑問を抱いた方もいらっしゃるでしょう。
今日は『EDITH PIAF』から「パリは踊る 歌う」をお題に、そのあたりを少し書いておきたいと思います。

短い文量で徒然風に書く『真夏のact月間』、最終回でございます。よろしくおつき合いの程を・・・。


Edith2


以前、ジュリーのactナンバーはワルツ率が高い、と書いたことがあります。
顕著なのは『BORIS VIAN』ですけど、本来ならばそこは『EDITH PIAF』こそ筆頭であるべき。シャンソンのスタンダードにはワルツの名曲が多いですからね。

ところが『EDITH PIAF』はactシリーズの中でcobaさんのアプローチが抜きん出て挑戦的。あくまでも演奏についての話ですが、「群衆」などオリジナルに忠実なものが要所要所に配される一方で、原曲のイメージを一新するような大冒険アレンジを施した楽曲もいくつか見られます。
不勉強にてこのCDで初めて知ったシャンソン・ナンバーも僕にはいくつかあった中で、「PADAM PADAM」「MON DIEU ~私の神様~」などはワルツの原曲をことごとく4拍子に転換、ジャズ或いはブルースのテイストでアレンジを極めています。
そして・・・これは有名な曲ですからさすがに僕も原曲は知っていましたが、お題の「パリは踊る 歌う」。


Souslecieldeparis1

Souslecieldeparis2

↑ 『シャンソン名曲アルバム』より

スコアの通りこちらも原曲はワルツです。
cobaさんはこの曲をスウィング・ジャズの王道パターンに変貌させていて、actではコテコテの4拍子なのですよ。あまりにアレンジとして自然で違和感が無いので、もしかしたらジュリー以外にもこの曲を4拍子で歌った人が既にいて、僕は何気なくそれを耳にしたことがあったのかも、と考えたくらいです。

「どんな曲でもスウィングすればジャズになる」とは真に至言で、「パリは踊る 歌う」では原曲のアンニュイな短調メロディーが不思議にハッピーな雰囲気に・・・actジュリー・ヴァージョン最大の魅力はそこでしょう。
原曲同様にジュリーのヴァージョンも聴かせどころは「ムム~♪」と歌うハミング部。ジュリー、メチャクチャ楽しそうな発声だと思いませんか?

ただし!
cobaさんが大胆にアレンジ展開された曲がどれほどジャズに近づこうが、ジュリーの歌はどこまで行っても忠実に「シャンソン」なんですよね。
ジュリーはよほどフランスと相性が良いのか・・・ピアフへのリスペクトの強さ(書き下ろしのオリジナル曲「エディットへ」を聴けば、ジュリーのピアフへの並々ならぬ敬愛の情が分かります)も一因かもしれません。

同じように、ステージ上でどれほどアレンジが変わろうとも、楽器編成が変わろうとも、ジュリーの歌をジュリーが歌えば当然ながらそれはジュリー・ナンバー。
輝きを増す豊饒の楽曲群です。今回のact月間は「開催中のツアーのネタバレをしない」ということで書いてきましたが、まぁ既にツアーに参加したファンからしますとそういう想いを抱かせるツアーと言えましょう(YOKO君には、今ツアーの演奏形態についてだけは報告済み)。


ということで、僕の『OLD GUYS ROCK』ツアー2度目の参加会場となる和光市公演が迫ってきました。
仕事の決算期の慌しい中を、無理矢理時間を作って駆けつけるつもりです。
和光市は自宅の最寄り駅から電車で2駅。住所で「地元」認定を頂けたのか・・・どうかは分かりませんが、素晴らしい席を授かっています。

また、今週末はジュリー道の師匠の先輩と食事のお約束があります。
いつもご一緒していたもう1人の先輩が天国に旅立たれているのが本当に寂しいんですけど、しっかり薫陶を受けて、和光市公演に備えたいと思います。
レポは別館side-Bの方に書きますので、こちら本館はまたしばらくの間更新が滞りますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。


台風20号が心配です。
関西、中国、四国、九州にお住まいのみなさま、被害の無いことをお祈りしています。

|

« 沢田研二 「脱走兵」 | トップページ | ザ・タイガース 「帆のない小舟」 »

ACTを楽曲的に掘り下げる!」カテゴリの記事

コメント

DY様 こんばんは。

「イヴ モンタンの場合」
才能ある者が才能ある者を見いだす。
イヴ・モンタンはエディット・ピアフによってシャンソン界に引き釣り(?)出されてきたようなシチュエーションで演じられてました。
関わった男たちがほとんど例外なく男女の関係になってしまうというのはともかく。
しかし、ジュリーってちょっと情けない男がホント、はまるなぁ、とつくづく感心(オイ)します。

投稿: nekomodoki | 2018年9月 2日 (日) 23時23分

nekomodoki様

ありがとうございます!

イヴ・モンタン・・・不勉強にてまったく知らないのですよ(恥)。
actシリーズ全般に言えるのでしょうが、『EDIT PIAF』はcobaさんのアレンジ面でもストーリー面でも、なかなか高度な名作の様子・・・映像鑑賞の際には色々と勉強も必要でしょうね。それも含めて楽しみです。

余談ですがジュリーの和光市公演の2日後に突然発熱、喉の激痛。風邪をひいてしまいました。
今年の夏は珍しく寝込まずに乗り切ったと思っていた矢先・・・油断大敵ですな~。
ということでまだレポを1行も書けておりません~(汗)。

投稿: DYNAMITE | 2018年9月 3日 (月) 09時19分

DY様こんばんは。

ことしもACT月間ありがとうございます。
あまりの酷暑にすっかりやられてしまい、遅ればせながら伺いました。
これからさかのぼって、連投します(笑)

「エディット・ピアフ」のアレンジの???についての解説ありがとうございます。ジャズっぽいアレンジとは思っていましたが、正直これってどうなの?と思う曲はあります。「パダムパダム」はシャンソンの大有名曲だったから、演奏と歌のちぐはぐさに、ジュリーよく歌っているな~と思いました。全曲ではなかったけど意欲的と言うか実験的というのか、こういうことってアレンジャーはやってみたいことなのかしら。
「パリは踊る、歌う」でもバックは何気に??ですが軽やかに歌っていて楽勝です。

ジュリーは「ACTエディット・ピアフ」で何曲か投げ出すようなクセのある歌い方をしていて、シャンソン風ねと思って聴きます(笑)

投稿: momo | 2018年9月19日 (水) 23時13分

momo様

ありがとうございます!

今年の夏は本当に酷い暑さでしたね。近年は毎年のようにそう言っているような気もしますが・・・。

これはアレンジの破天荒加減ではact随一ですね~。
CD大全集ではこの作品より先に『BORIS VIAN』を聴いて、「王様の牢屋」が凄く気に入って、「ピアフのシャンソンなのか~」と学び、『EDIT PIAF』収録の別ヴァージョンを楽しみに聴いたのですが、あまりのギャップに最初は「???」となりました(笑)。

僕はシャンソンの有名曲も(ジュリーのactを聴くまで)知らずにいたものが多く、「PADAM PADAM」などもこのCDで初めて知ったくらいです。これまた、原曲の印象が強いとビックリしちゃうアレンジですよね。
でもジュリーの歌がシャンソンのエッセンスをしっかり残している点が『EDIT PIAF』という作品の面白さだと感じています。
「投げ出すような歌い方がシャンソン風」・・・なるほど仰る通りですね。

投稿: DYNAMITE | 2018年9月20日 (木) 09時15分

DY様
 こんばんは。またまたご無沙汰している間に今年の猛暑もやっと過ぎ去りました。ジュリーのツアーは真っ只中ですが、私は今年は早い段階で参戦したのであとは来年の武道館待ちです。まあその前に今月末のチャボバンドとのんシガレッツの日比谷野音で上京、関東の人は手軽に私の好きなアーティスト見れてうらやましいです。
 さてお題曲、どんな曲だったかな~?と久しぶりにCD引っ張り出して聴いてみました。有名曲にも関わらずロック小僧の私には今までほぼ無縁だったせいか、逆に大胆なアレンジが施されていても(いなくても?)スッと入って来ました。確かに演奏はジャズ、しかし歌はそれほど(ジャズ)でもなく不思議な感じがしますね。歌詞もシンプルで一言一言よく伝わって来ます。
 actシリーズでは編成・演奏の私の好みとしては『ニーノ・ロータ』とこの『エディット・ビアフ』がワン・ツーです。

投稿: ねこ仮面 | 2018年9月23日 (日) 00時11分

ねこ仮面様

ありがとうございます!

ジュリーの歌は歌詞がスッと入ってくるのが良いですね。actシリーズはその点、ジュリーの特性が最大限生かされていると思います。
この曲は有名ですけど、僕もねこ仮面様同様「聞いたことがある」くらいの認識でしたからこういう大胆なアレンジ解釈も自然に受け入れることができたかもしれません。それでもワルツのシャンソンを4拍子のスウィング・ジャズに、というアイデアには驚きましたが。

ちなみに「演奏」面だと僕もactのイチオシは『ニーノ・ロータ』ですよ~。

ひたすら暑かった夏ももう終わり、過ごし易い季節となっていますね。
あっという間に寒くなるのでしょうか。僕はそうなる前にさいたまスーパーアリーナの公演がありますので、今はそれが大きな楽しみです。

投稿: DYNAMITE | 2018年9月25日 (火) 11時22分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 沢田研二 「パリは踊る 歌う」:

« 沢田研二 「脱走兵」 | トップページ | ザ・タイガース 「帆のない小舟」 »