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2018年8月11日 (土)

沢田研二 「アラビアの唄」

from『act#8 宮沢賢治/act#10 むちゃくちゃでごじゃりまするがな』、1996

Miyamutya1

『宮沢賢治』(1996)
1. 異界
2. 運命 雨ニモ負ケズ
3. アラビアの唄
4. ポラーノの広場のうた
5. 星屑の歌 ~スターダスト
6. 百年の孤独
7. 私の青空
8. 笑う月
『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』(1998)
1. 美しき天然
2. ボタンとリボン
3. おなかグー(セ・シ・ボン)
4. 世の中変わったね
5. 君待てども
6. トンコ節
7. け・せら・せら(ケ・セラ・セラ)

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台風13号は僕の住む埼玉県は逸れていきましたが、東日本と東北の太平洋側に暴風雨をもたらし過ぎていきました。そんな中、去る8日のジュリー北とぴあ公演が無事開催されたのは幸いでしたが、改めて自然の脅威に身のすくむ思いです。
西日本豪雨の被災地もまだまだ平穏な日常、復興には時間がかかるとのこと・・・地球、大丈夫なのかと心配になります。
とにかくみなさまのご無事をお祈りします。


さて。
どれだけ年を重ねても、敬愛するミュージシャンの「新譜」が聴ける、というのはこれ以上ない幸せなことでして・・・その意味では、毎年必ず新曲をリリースしてくれるジュリーは僕にとって世界一の歌手です。
他にもボブ・ディランやニール・ヤングなどは短いスパンでどんどん新曲をリリースしてくれます。何度も書きますが、僕は「常に新しい創作に向かう」アーティストやバンドの姿勢をまず何よりも評価するのです。

そして来る2018年9月、ポール・マッカートニーの5年ぶりとなるニュー・アルバムのリリースが決定。
タイトルは『エジプト・ステーション』。アルバム冒頭とラストに配されるインスト2曲がトータル・コンセプトである「駅」の始発と執着を表し、2曲目からラス前の歌モノの楽曲群が、あっちへ行ったりこっちへ行ったりの豪華絢爛な「駅の旅」に見立てられているという・・・これは大変な大名盤の予感!
両A面シングルの2曲を先行で聴けるのですが、いずれも「ポールファンには間違いの無い」素晴らしい名曲。アルバムは既に密林さんで予約を済ませていて、到着が今から本当に楽しみです。
さらに、ちょうど北とぴあ公演の日だったのですが、「来日決定!」のニュースが何と朝刊にて第1報。

180808_03

もちろん僕は東京ドームに駆けつけます。
今年はジュリーで日本武道館にさいたまスーパーアリーナ、そしてポールで東京ドームと、大会場のLIVE参加が続くなぁ・・・。

それでは、拙ブログで今月開催中、短めの徒然日記風でどんどん更新してゆく『真夏のact月間』。
ジュリーのactシリーズの中で(あくまでもCD大全集で音源のみを聴いての個人的な印象ですが)全体的に『エジプト・ステーション』的な「異国ぶらり旅」のような感覚で楽しんでいる作品が、96年の『宮沢賢治』です。
今日はこの『宮沢賢治』から、ポールの新譜タイトルにある「エジプト」からの連想ということで(安易汗)「アラビアの唄」をお題に採り上げたいと思います~。


Miyamutya2

世代のせいでしょうか、僕はジュリーのactヴァージョンを聴くまでこの曲を知りませんでした。『CD大全集』で聴いた後も「有名な曲」とは思っていませんでした。
認識を一転したのは、朝ドラ『わろてんか』で登場人物がこの曲を歌うシーンが流れたから。
どうやら一定の世代以上では「誰もが知るスタンダード」らしいぞ、と思い改め調べると、これは元々アメリカ映画『受難者』の主題歌で、現地ではさほどヒットしなかったものの日本人の耳と相性が良かったらしく、堀内敬三さん訳詞、二村定一さんの歌による和製ジャズとして我が国では大ヒットしたのだそうです。

そんなに有名な曲なら勤務先にスコアがあるかな、と思い探しましたがなかなか見つからない・・・ようやく簡易なメロ譜をひとつ発見しました。


Arabiyanouta

『歌の宝石箱(第2巻)』より。解説文に列記されている「ダイナ」もジュリーは『act#4 SALVADOR DALI』で歌っていますね。

このスコアは、高齢者介護の現場で使用するいわゆる「音楽療法」のサブテキストとなる歌本。
歌がリリースされたのが昭和2年ということですから、なるほど高齢の方々にとっては「なつかしのメロディー」でしょうが、いやぁ普遍性の高い名曲です。
短いヴァースの中に同主音移調が登場し、勇壮な歌い出しとそれに続く哀愁漂う転調展開が、日本人の感性に異国情緒を訴えたのか・・・大ヒット当時は、「これまで聴いたことのない」斬新なメロディーのメリハリに皆が夢中になったに違いありません。

さてジュリーのヴァージョン。新たな日本語詞をつけるのではなく純粋なカバーです。何故そうしたかは映像を観ればたぶん分かるのかな。
編成はアコーディオン、バンドネオン、ベース・・・なのですが、実は僕は生音のアコーディオンとバンドネオンの区別がつきません。CDでミックスされている左右の音のどちらがどちらなのか、という状態(汗)。
通常のシンセサイザーによる擬似音だと、2つの音色設定は明快に異なります。バンドネオンはコーディオンより少し太く、幅がある感じ。例えば泰輝さんが「一握り人の罪」の間奏で使用しているのはバンドネオンのパッチだと思います。これが生音になると何故分からなくなるのか・・・情けない。

ジュリーのヴォーカルは、素晴らしく曲世界にマッチしています。『act宮沢賢治』は、ジュリーが全編に渡って「声を張る」歌い方を貫いているのが珍しく、それが大きな個性ではないでしょうか。
ジュリーは普通に歌っても声に艶があるので、阿久=大野時代の情念のナンバーであっても、近年の「祈り歌」でも、ことさら声を張って「朗々と」歌う必要はありません。そんなジュリーが敢えてこの歌い方をするならば、それは手管ではなく「表現」なのでしょう。
『宮沢賢治』はメインのナンバーが有名なベートーベンの『運命』で、これをどのように歌うか、と考えたところから舞台でのヴォーカル・スタイルが(他の曲にも影響を及んで)導き出されたと考えられます(それにしても、あの『運命』に「じゃじゃじゃ、じゃ~ん♪」と載せて歌ってしまおうという発想が凄い!)。
『CD大全集』では「アラビアの歌」はその「運命 雨ニモ負ケズ」の次に配されているので(実際の舞台でもそういう流れだったのでしょうか?)、曲調の変化から軽快な印象を抱かせますが、ジュリーは存分に声を張っていますよね。こういう歌い方のジュリーも(滅多に無いだけに)良いものです。

僕はどうしても演奏形態に囚われる傾向があるリスナーですから、当初CD大全集の中で「難解」だと思っていたのが『宮沢賢治』。
ある時そんなジュリーの「歌い方」に気づいてからはスルメ的に好きになりました。入り口がどうあれ、結局ジュリーの歌に意識が収束される・・・僕が初聴時から遅れて好きになるジュリーの作品には、どうやらそんな段階がいつもあるようですね。


それでは次回は15日の更新を目指します。
お題ももう決めています。多くのカレンダーに「終戦記念日」或いは「終戦の日」の記載が無くなってしまった今だからこそ、この日に書いておきたい1曲です。

今日からお盆休みという方々も多いでしょう。僕は今年の夏休みは出かけるのは近場だけにして、なるべくゆっくりしようと思っています。
腰はだいぶ良くなってはきたのですが、腰を庇う生活を続けていたら今度は膝とか股関節がね・・・そもそも僕は『ジュリー祭り』の時点からすると15キロも体重が増えてしまって、成人してからの長期間を40キロ台で過ごしてきたのが一気に60キロ台になったら、そりゃあ年齢を重ねた身体は悲鳴をあげたくなるのでしょう。

でも、ジュリーも北とぴあ公演で「太さは必要!」と力説していたみたいだし、まだまだ厳しい暑さが続きそうですが、休める時はゆっくり休んで・・・元気な古稀ジュリーを見倣い、夏を乗り切りたいです。
みなさまもどうぞご自愛ください。

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コメント

新譜を出し続けるアーティスト…。デヴィド ヴォゥイもプリンスもまだまだ新譜を聞き続けたかったアーティストが亡くなり…世代なんでしょうか?年上世代の今とか 考えてる事が 知りたいですよね?ジュリーと元春しか 居なくなってしまったような気がします。コステロもスパンが開いてますねぇ…

投稿: クリングル | 2018年8月11日 (土) 23時10分

クリングル様

ありがとうございます!

本当にそうですね・・・。ボウイはまた怒涛の量産体制に突入したか?と思った矢先でした。プリンスについては僕は『ラブセクシー』で1度離れてしまっていて、それ以降の数ある名作に触れたのは彼が旅立ってしまってからでした。

仰る通り、僕も自分より年上のアーティストが現在どのようなことを考えているか、世界と対峙しているかを知りたい、と思いますね。
その意味ではディラン、ニール、そしてジュリーの3人はしっかりそれを差し示す新曲を届けてくれる、特別な存在です。

投稿: DYNAMITE | 2018年8月13日 (月) 15時30分

DY様
 こんにちは。DYさん以上に演奏形態にこだわって聴く頑固者のねこ仮面です(笑)
 コメント「3連発」のためにactシリーズのCDずっと聴いてますが、私のactシリーズ苦手?はこのお題曲あたりから来てるんでしょうか、いや、「むちゃくちゃでござりますがな」か?
 バンド小僧の私にはどうしてもお題曲のような、アコーディオン伴奏の唱歌的な曲がどうも琴線に触れないんですよね。それと他でも申しましたが実際に観てないから音だけではピンと来ないんでしょうね。
 でもご本人は声張り上げてハイテンションで歌ってますねぇ。エンターテイメントの大前提、なぜかニコニコ顔でドラムス叩いていたポンタさんのこと思い出しました。

投稿: ねこ仮面 | 2018年8月15日 (水) 16時19分

ねこ仮面様

コメント3連発ありがとうございます!

僕はロックバンドの演奏形態に深い思い入れこそありますが、それ以上にアレンジフェチなのですね。どんな楽器がどんなふうに互いに噛んでいるか、が音楽を聴く上での大きな楽しみです。
その点では、act大全集の『宮沢賢治』『むちゃくちゃで~』の2inCDの1枚は、楽器の少なさに慣れるまで時間がかかった作品でした。

ただ、やはり行き着くところはジュリーのヴォーカルなんですねぇ。
『宮沢賢治』の中だと「運命」がズバ抜けていますが、この作品のヴォーカルはジュリー幾多のパフォーマンスの中でも独特です。
声を張ってはいるんですけどデリカシーがあり、何より茶目っ気があるのが良いなぁと思います。

投稿: DYNAMITE | 2018年8月17日 (金) 12時50分

DY様 こんばんは。

「宮沢賢治」と言えば「銀河鉄道の夜」なんですよね、連想が。
ジュリーのしっとりと濡れた声がその世界観や死生観にすうっと溶け込んでる感じです。
不良母(?)とはいえ、さすがに今みたいに同じライブに何回も行けるわけじゃなかったので一度見ただけで詳しく覚えていないのですが。(これは映像も持ってません)CDを聴きながら記憶を掘り起こしてます。

投稿: nekomodoki | 2018年8月17日 (金) 22時59分

nekomodoki様

ありがとうございます!

確かに宮沢賢治と言えば銀河鉄道ですねぇ。数年前に東北旅行に行った際は宮沢賢治ゆかりの花巻までは足を伸ばせなかったので、いつか訪れてみたいです。
あと、僕は彼が「石」に惹かれていたという話が子供時代から何故か好きですたね。

ジュリーとは「ケンジ」繋がり・・・どのように演じ表現しているのか、老後の(笑)映像鑑賞を楽しみにしています。

投稿: DYNAMITE | 2018年8月20日 (月) 15時55分

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