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2018年7月

2018年7月 4日 (水)

恒例・ネタバレ専門別館side-Bのご案内

情けないことにまだギックリ腰の症状を引きずったままのDYNAMITEですが、この程度のことで弱音を吐いていてはいけませんね。
遂に明後日、ジュリーの記念すべき古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』が初日を迎えようとしています。

いやぁ長かった・・・今年は音楽劇も無かったですし、本当に久々のジュリーとの逢瀬、と実感されている先輩方も多いようです。
しかもめでたいめでたい古稀ツアー。

初日・武道館公演の僕のレポートは、例によってネタバレ専門別館の
dynamite-encyclopedia(side-B)
に執筆いたします。よろしくお願い申し上げます。

こちら本館では、10月のさいたまスーパーアリーナ公演(YOKO君の初日笑)まで約3ケ月の長い長いネタバレ禁止期間に入りますが、今回はコメント欄については最初からネタバレ問わずということにします。
side-Bで武道館のレポを書き終えたらこちらにactの曲の記事を書いていく予定。もちろん記事本文に古稀ツアーに関することは一切書きませんので、それぞれの初日までネタバレ我慢というみなさまは、コメント欄の閲覧だけ注意して頂ければ大丈夫です。

それにしても、今回ほど事前の情報がシャットアウトされているツアーも珍しいのでは?
セットリストも演奏メンバーもまったく分からないまま当日を迎える・・・これこそツアー初日の醍醐味ですよ。会場に到着したら僕はまず何を置いてもステージ・セッティングのチェックから。本当に楽しみです。

side-Bにはいつも通り簡単な記事を1本upしています。
いつもはひっそりと静まりかえっている別館が祭りのごとくにぎやかになる季節が今年も無事にやってきました。本館はしばらくの間留守にしますが、ネタバレOKのみなさまはside-Bへのご訪問、お待ちしています!

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沢田研二 「君をのせて」(『SONGS』Version.)

この記事を書く日が来なければいい、と思っていた。
しかし思わぬ早さ、思わぬタイミングでこの日はやってきた。辛いけれど、大事な約束なんだから書かなきゃ・・・。

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7月4日、親しくさせて頂いていたタイガース時代からのジュリーファンの先輩でいらっしゃる真樹さんが亡くなられた。
ジュリーを通じて知り合い、格別に仲良しになったお友達とのお別れはまったく初めてのことで、僕はとても動転している。

真樹さんには2009年『Pleasure Pleasure』ツアー大宮公演で初めてお声がけ頂き、翌10年以降は僕ら夫婦にとって年に何度も食事をご一緒する特別なお友達になった。
聡明で、上品で、驚くほど気遣いの細やかなお姉さんだった。真樹さんから他人の悪口なんて一切聞いたことが無いし、6年間にも及んだ闘病中にも弱音を吐く姿を一度も見たことがない。こんな非のうちどころのない人が僕らのような者と親しくして下さる、ということが不思議に思えるほどだった。
ジュリーが授けてくれた素敵なご縁、としか言いようがない。

お会いする時は必ず、僕ら夫婦ともう1人別の先輩と4人で集まった。お花見だ、ツアー開幕だ、ツアー総括だ、忘年会だと何かと機会を見つけては、そうしてジュリーの話ばかりしていた。
真樹さんは段取りの達人で、食事のお店から散策コースまで完璧に事前に調べ、案内してくださる。僕らはいつもそんな真樹さんに頼りっ放しだった。
タイガース復活の頃からずっと闘病が続いていたのに、お会いすれば全然お元気な様子で、もうすっかり完治したのかと思うほどだった。実際にはそうではなかったのだが、ご病気のお話はほとんどしたことがなかった。だって、集まるたびにジュリーの話題がワンサカ溜まっているのだから。
とは言え、そんな集まりの際にここぞとばかりに喋り倒すのは僕ともう1人の先輩の役目で、真樹さんはいつもニコニコと話を聞いてくださっていた。本当に聞き上手な方だった。
それでも話題がタイガースになると一転、瞳を輝かせてお喋りをリードしてくださることがあった。あの田園コロシアムを観た時のことを、「だんだん陽が傾いてきて、風が出てきてね・・・」とお話されていたのを、今も昨日のことのように思い出せる。

僕らが詳しく知らないままに、真樹さんの病状は年々深刻度を増していたようだ。何を置いてもジュリーのLIVEには駆けつけていらしたのが、2017年のお正月『祈り歌LOVE SONG特集』ツアーは、緊急の入院と再手術のため欠席された。
後から聞くと相当危ない状況だったらしいが、何とその時不思議な気脈が通じたかのように飛び出したのが、ジュリーのあの「頑張れ、頑張れ!」のエールである。効果は覿面、真樹さんは見事持ち直し、50周年ツアーには今年1月の千穐楽含め精力的に参加されるまで回復された。

それが最近になって・・・体調が一変したのは4月だったという。
今年はお花見もご一緒できず案じていたところに、「今は緩和病棟にいます。お願いもありますので一度会いにきてください」とメールが届いたのが5月末だった。
すぐにお見舞いに行った。すると、もう自力で起き上がることもできず、お医者さんからはあと半年持たないかもしれないと宣告されたとのお話。何ということ・・・昨年12月には元気に忘年会をご一緒したし、ピーと二十二世紀バンドの四谷公演でもお会いした。あれから半年しか経っていないのに何故!
お話をする真樹さんの言葉はとても穏やかで、隣でカミさんが泣いてしまったからかもしれないが、ご自身はまったく取り乱すこともなく、いつもの真樹さんらしく振る舞われていた。
ただ、一度だけ両目に小さな玉の涙が浮かんでいらした。

さらに驚くことに、真樹さんはご自身の葬儀の段取りをお話しし始めた。「悲しいお別れの場にはしたくない」「私から最後のおもてなしをしたい」「美味しいものをたくさん食べて頂きたい」・・・。
その席に(先述の先輩含めて)3人をご招待したい、今日は今までの感謝をお伝えするのと、この招待を受けて頂くためにお呼びだてしてしまったのだ、と仰る。いかな段取りの達人とは言ってもそんな・・・と僕らは本当に驚いた。

そして僕にはこう仰った。
「”君をのせて”のSONGSヴァージョンで私を送ってね」
と。

「枯葉のように囁いて」以来の真樹さんからのリクエストお題。
僕はこみあげてくるものを堪えながら、「分かりました」とお約束するのが精いっぱいで、何故SONGSのヴァージョンなのか、といったことをその時お尋ねすることはできなかった。
まさに今、「何故これなんだろう?」と久しぶりに『SONGS』の録画映像を観ながら色々と考えている。

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白井さんがこの番組のために特別にアレンジした「鉄人バンド+ストリングス」ヴァージョン。
間奏は白井さんがエレキを弾く。間奏終了間際は柴山さんとのツイン・リードになる。素晴らしい演奏だ。
でも、と今は思う。
なかなか演奏に耳が行かない。ジュリーの表情、仕草、歌声だけに吸い寄せられる。まるで神席でLIVEを観ている時みたいだ、今の気持ちで観るこの歌の映像は。

真樹さんはいわゆる「中抜け」組の先輩だ。タイガース時代からのファンで、ソロになってからもずっとジュリーを観てきたけれど、多忙もあり1度離れられた。
『SONGS』で戻ってきて、『ジュリー祭り』東京ドーム公演で復活された。その後はタイガース奇跡の再結成の道程をリアルタイムで体感された。中抜けさんならではの王道だ。
そのきっかけが、『SONGS』の「君をのせて」だったのか・・・。
ソロ歌手としての初シングル「君をのせて」を歌う還暦のジュリー。そのインパクトを新規ファンの僕は想像しきれない。でもこのジュリーの表情の素敵さは分かる、と思う。
このジュリーに包まれて旅立ちたい、そう考えるファンの気持ちはそれこそ王道だろう。

真樹さんの最後のお見舞いに行ったのが5月末だった、と先に書いたが、実はその時僕はブログに書く次とその次のお題をもう決めていた。「しあわせの悲しみ」と「生きてたらシアワセ」だ。
書けるか?と思った。こんな気持ちになった後で「幸せ」の歌なんて僕は書けるのか、と。
でも、そこはさすがジュリーの作詞作品だった。ジュリーがどんな思いで「幸せ」というものを歌っているのか、今まで考えたこともなかった解釈で僕はこの2曲を聴くことができた。
真樹さんと話せていなかったら、特に「生きてたらシアワセ」なんて相当トンチンカンな考察になっていたに違いない。

「毎日3時に来てくれるのよ」という旦那さんと入れ替わりで病室をおいとまする時、真樹さんは「最後に握手して」と仰った。想像よりもずっと強い力で手を握ってこられた。あの時残されていた全力で「ぎゅうっ」としてくださったのだと思う。
「最後に」というのがイヤだったので、握手の後で僕は「また来ます」と言った。ジュリーの古稀ツアー初日・武道館公演が終わったら、セットリストなど感想をお話ししに来ようと思っていた。
でも叶わなかった。きっと真樹さんは、身軽になって自分も武道館に行きたい、と思ってしっかり計画を立てて旅立たれたんじゃないか・・・と、今はそう考えるよりない。

それにしても、真樹さんの段取りの達人ぶりは最後まで本当に凄い。お通夜はちょうど武道館でジュリーが歌っている頃の時間だし、久々にいつもの「4人」が集まることになる翌日のお葬式は、武道館の余韻で話題が途切れることはないだろう。
約束したことだから、「悲しい」なんて言わないことにしたい。「さすがの段取りですね」と泣き笑いしたい。


真樹さん、今までありがとうございました。本当にお世話になりっ放しで申し訳ありません。
これからこの記事を、真樹さんが旅立たれた日時に設定してupします。昨夜、お知らせを受け取る前に書いた「side-Bのご案内」記事より前の時間設定になりますので、この記事はトップには来ません。それが良いかな、と思っています。

それではまた明日。
武道館では、ジュリーに一番近いところから観ていらっしゃいますよね?僕らはスタンドですが・・・。
そして明後日。おもてなし、楽しみにしています。
さようなら。

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2018年7月 1日 (日)

沢田研二 「背中まで45分」

from『MIS CAST』、1982

Miscast

1. News
2. デモンストレーション Air Line
3. 背中まで45分
4. Darling
5. A. B. C. D.
6. チャイニーズ フード
7. How Many "Good Bye"
8. 次のデイト
9. ジャスト フィット
10. ミスキャスト

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from『ROYAL STRAIGHT FLUSH 3』

Royal3

1. どん底
2. きめてやる今夜
3. 晴れのちBLUE BOY
4. 背中まで45分
5. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
6. ”おまえにチェック・イン”
7. 麗人
8. ス・ト・リ・ッ・パ・-
9. TOKIO
10. サムライ
11. 勝手にしやがれ
12. あなたへの愛

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7月です。
遂に古稀ツアーが始まりますね。長いじゅり枯れもあと数日の辛抱、というファンが多いでしょう。

僕もそうなんですけど、実はギックリ腰の症状が長引いて困っています。以前は1週間もすればなんともなくなっていたのが、今回はまだ体勢によっては痛みも残っていますし、サッサと歩くこともままなりません。
まぁ徐々に、少しづつですが良くはなってはいるんですけどね・・・とにかく治りが遅いのです。
仕事はともかくとして(←コラコラ)、ジュリーのツアー初日・武道館公演がこの状態ではマズい。なんとかそれまでに完治すれば良いのですが・・・。


さて今日は、古稀ツアーに向けての”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ。腰を痛める前に途中まで下書きを済ませていた「背中まで45分」の記事を仕上げて更新しておきます。
今になってセトリ入りにまったく自信が持てなくなってきているんですが、いずれにしても50周年ツアーの選曲から漏れたシングル曲をここでひとつ書いておきたい、というのは以前から考えていましたので。

あと、アルバム『MIS CAST』って、暑さ対策になかなか向いていますよ~。
こちら関東では先の思いやられる暑さが続いていますが、みなさまお住まいの地はいかがでしょうか。ダンディーな「背中まで45分」で納涼といきましょう!


①ジュリー流「ニュー・ロマンティック」本格化

70年代後半のニュー・ウェーヴ・ムーヴメントから枝分かれしたいくつかのジャンル・カテゴライズの中で、ジュリーは80年『G. S. I LOVE YOU』でネオ・モッズを、81年『S/T/R/I/P/P/E/R』でパブ・ロックを我がものとし、さて82年。「アルバムごとに変化を魅せる」ジュリーが挑んだ音は・・・『A WONDERFUL TIME.』がシティ・サウンドだったとすれば、『MIS CAST』はニュー・ロマンティックと言えるでしょう。

もちろん『A WONDERFUL TIME.』の時点でニュー・ロンティック的な手法は既に見えていますが、アレンジャーに白井さんを迎えたことでより徹底的に、革命的に音作りが変化しました。
83年に入るとシンセ・プログラミングの導入によりさらに拍車はかかるのですが、純粋な意味でのジュリー流ニュー・ロマンティックは『MIS CAST』にトドメを刺す、というのが僕の見方です。
一般的には82年という時期はニュー・ロマンティックなるジャンルも行き詰まり多種多様化して霧散したと言われますが、それはロンドン出身のバンドやアーティストを起点とした捉え方であって、この頃デュラン・デュラン(バーミンガム出身)あたりは最全盛期。
僕は最近スコアを入手したこともあって今ちょうどデュラン・デュランをよく聴いているのですが、82~83年のジュリー流ニュー・ロマンティックの手法との共通点は多いです。ちょっと挙げてみますと

・ヴォーカルのジュリーは当然として、エキゾティクス含めた「バンド」メンバー全員が美男子であり、ルックスのインパクトが音楽性とマッチしていること
・シングル盤をはじめプロモーション戦略で押し出される楽曲については、エンディングのミックスがフェイド・アウトであること
・楽曲のクオリティ-の高さもさることながら、PV的な作品世界観を重視していること

例えば今日のお題「背中まで45分」。
これまでテレビ出演でシングルが披露される場合、演奏はもちろん衣装や立ち位置まで生バンドならではの勢いを最重視したスタイルだったのが、この曲では生出演でそのままPVを表現しているような・・・。

長いファンの先輩方でも楽器に詳しくなければ「えっ?」と驚かれるかもしれませんが、「背中まで45分」のレコーディング音源って、シングル・ヴァージョンはエレキベースなんですよ。「俺、ウッドベース弾こうかな」と手を上げて録音したという有名な以前の逸話が示す通り、建さんはウッド・ベースの達人でもありますが、それは「背中で45分」についてはアルバム・ヴァージョンに限ります。
その辺りを混同した公式の商業誌掲載の文章も多いですけど、よ~く聴けばみなさまもシングルの方はエレキだと分かるはずです。
ただ、「シングル曲」としてテレビ出演する際の建さんはウッドベースを持っていますよね。何故か・・・その方が、PV的な完成度が高いからでしょう。映像の構図まで込みで「背中まで45分」という作品なのだと。
また、フェイド・アウト処理にも似た意味があります。PVというのは基本「エディット」しません。曲の最初から最後まで聴かせる、見せることで作品となります。
僕はどちらかと言うと「ばば~ん!」とキッチリ終わるエンディングの方がミックス、アレンジとしては好みですが、「背中まで45分」にフェイド・アウトは「絶対」の要素だと思います。エディットなんてできないし、途中を端折ることもできません。
しかもこの歌は「終わり」を描かないのがポイント。

それがちょうど それがちょうど 今
F#m7                                     B7

背中まで45分 ♪
Amaj7    G#m7

「今」のその先に起こること・・・ドラマなんかだと白いスモークがかかって大事なトコを隠すシーン(笑)が後に続くという、それがこの曲のフェイド・アウト。
ニュー・ロマンティックが流行した頃のロックって、フェイド・アウト処理自体がクールでカッコ良い、確かにそんな時代だったなぁと思い出します。

先の50周年ツアーで「背中まで45分」のセトリ入りが見送られたのは当然のこと。ワンコーラスだけ歌う、ってわけにはいかない曲ですからね。
ジュリーがじっくり、しっぽり、艶っぽくフルコーラスで歌う「背中まで45分」を今回の古稀ツアーでは改めて期待しようではありませんか。
さすがにフェイドアウトは無いとは思う一方、もし打ち込みが導入された場合は(この曲については可能性あり、と考えています。詳しくはチャプター③で!)、あり得ない手法ではないですよ~。

僕はアルバム『MIS CAST』からはまだ「ジャスト フィット」唯1曲しか生体感が無く、「背中まで45分」は未体験ジュリー・シングルとして残された数曲のひとつ。
個人的には一昨年の手術後によく聴いていたアルバムで、「音の噛みは過激なのに不思議な鎮痛効果がある」という観点に立てば、ジュリーが「背中まで45分」をシングルに抜擢したのはズバリの選択だったんじゃないか、と今になって思います。
是非1度は生体感してみたい1曲です。


②「背中まで45分」3つのヴァージョン聴き比べ

「3つ?シングルとアルバムともうひとつは何?」と、みなさま思われたでしょうね。
3つ目というのは


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井上陽水さんのアルバム『ライオン&ペリカン』収録のセルフカバー・ヴァージョンです。
聴いたことのある方もいらっしゃるでしょうけど、今日はせっかくの機会。まずはこの陽水さんのヴァージョンについて書いてみましょう。

僕が後追いで知った話によれば、陽水さんはジュリーの『MIS CAST』収録全曲の創作に没頭するあまり、ご自身のアルバムの収録曲が足りなくなってしまったのだとか。そこで「背中まで45分」と「チャイニーズ フード」を自らのアルバムにも収録するにあたり、ジュリーに「いいかな?」と尋ねてきたのだそうです。
ジュリーは「どうぞどうぞ!」と。
このあたりの経緯についてはラジオ番組『NISSANミッドナイト・ステーション』でジュリーが詳しく話してくれていますので、いずれ『MIS CAST』他収録曲のお題記事でご紹介するつもりです。

で、そのラジオ音源を聴いて僕は陽水さんのセルフカバー・ヴァージョンも聴いてみたくなり、『ライオン&ペリカン』を購入したというわけ。

ジュリーへの提供2曲を聴いて、まずビックリしました。
「背中まで45分」ですと、シンプルな16ビートのパターンを延々とリフレインするリズムボックスと、気まぐれなエレキギターのストローク。あとはベースと、擬似ストリングス(ギターを使用しているように聴こえます)、そして陽水さんのダブルトラック・ヴォーカル。
いくらなんでもこれは粗すぎるのでは、と思ったら、どうやらジュリーに渡したデモテープ音源をそのまま流用したらしいんですね。
そう知ると「粗さ」は逆にジュリーファンとして魅力に変わり、色々なことが見えてきて興味そそられます。
例えば「ここからちょっと歌お休みの間奏ね!」という箇所(15分前から5分前の間ね)の直前には突発的なフィル・パターンがプログラムされていて、陽水さんが楽曲全体の構成までしっかり決めてジュリーに届けていたことが分かります。陽水さん、相当入れ込んでノリまくってデモを作っていますね~。
もちろん陽水さんが提示した構成は、そのままエキゾティクスの演奏に引き継がれています。

では、ジュリーの2つのヴァージョンについて。
アレンジが異なるのにさほど印象の乖離を感じないのは、ジュリー・ヴォーカルの成せるところでしょう。でも実際アルバムとシングルでは相当違いますよ。

Senakamade


↑ 本日の参考スコアは歌本『YOUNG SONG』!


ジュリーはアルバム『MIS CAST』リリース時にラジオで「いろんな音が入っている」と紹介してくれています。「背中まで45分」のアルバム・ヴァージョンも当然その言葉通りで、シーケンサーのような音やギターの逆回転音が左右からひっきりなしに襲いかかってくる・・・いかにも白井さん、といった感じのS.E.ですね。

演奏トラックで特徴的なのはキーボードで、Aメロは
「シシシド#~ド#シ~、シシシド#~ド#シ~♪」
を貫き通します。ホ長調のコード・トーンとは言え、「F#m7」に行こうが「B7」に行こうがずっとその音階で不動となれば、若干の「居心地の悪さ」が出てくる・・・それが逆に気持ち良い、というわけです。
さらにBメロ(サビ)では「シ」の音を16分音符でひたすらに連打。抑揚の無い1音階を繰り返すことでクールなPV感覚が生まれ、歌がより映像的になります。

ところがこのキーボード・フレーズがシングル・ヴァージョンではバッサリ無くなります。
建さんが「シングル」向きに「シ~ド#~ソ#~、ド#~シド#レ#~シソ#ド#~ソ#~・・・♪」という新たなテーマ・フレーズを考案。
続いてBメロにはジュリーのヴォーカルを追いかけるディレイたっぷりのピアノ。これらは当然アルバム・ヴァージョンには無かった音です。

そして先述した通り、アルバム・ヴァージョンはウッドベースでシングルはエレキベース。これがいずれも素晴らしい名演!
特に好きなのがシングル・ヴァージョンのフレージングです。「E」の2小節、「C#m」の2小節、どちらのコードでも最初の1小節はビシッ!とミュートさせ、続く2小説目は冒険的なまでに音を伸ばす・・・「フレーズの終わらせ方」が決して安易に繰り返されない、一辺倒にならない、というところが建さんの真骨頂。

シングルとアルバムでヴァージョン違いのジュリー・ナンバーは数多くありますが、ここまで「音」自体が変化している曲は珍しいです。
圧倒的なジュリー・ヴォーカルに隠れていますが、白井さんと建さんがアレンジャーとして素晴らしい「職人」ぶりを発揮した、それぞれ甲乙つけ難い2つのヴァージョン・・・みなさまはどちらがお好みでしょうか。


③セトリ入りが実現したら、いつ以来?

もしセトリ入りしたら・・・簡単に、ではございますが今回もその見どころを2つの演奏スタイルに分けて書いてみましょう。

まず、伴奏がギター1本だった場合。先に少し触れたように、この曲については「生きてたらシアワセ」同様、打ち込みの導入を僕は考えます。プログラミングと相性の良い曲だと思うんですよ。「ループ」パターンが曲の雰囲気を壊さないのです。
打楽器音に限らず、アルバム・ヴァージョンでキーボードが奏でている
「シシシド#~ド#シ~、シシシド#~ド#シ~♪」
これをループさせればカッコ良い打ち込みになると思う・・・柴山さんはシングル・ヴァージョンの雰囲気でギターを弾くでしょうから、実現すれば2つのヴァージョンのアレンジ・アイデアが合体、ということになりますね。
となれば、フェイド・アウトの再現も視野に入ります。

一方、古稀ツアーで新たなバンドがお披露目されるなら、この曲はもうすべてのパートが見どころです。どんな感じになるのか、まったく予想がつきませんから。
手持ちのDVD作品に限って言うと、僕はこの曲のLIVE映像はたぶん観たことがないはず。
もしかして「背中まで45分」って、ここ30年くらいで考えると、長いファンの先輩方にとっても相当なレア曲、待ち続けている1曲ではないのですか?
僕の”全然当たらないセットリスト予想”が万一的中しサプライズが実現したら、一体いつ以来の生歌、生演奏になるのでしょう。期待したいです。

ジュリーのヴォーカルについては、やはり

それから よりそい 二人で 恋をし
Amaj7      G#m7     Amaj7    G#m7

長い廊下 転がされて
A

迷い込んだ ホテル ラウンジバー ♪
B7

ここでしょうかね~。
オリジナル音源を聴くだけでとろけそうな美声際立つ箇所ですが、生で聴くといかほどか、という。
ホ長調のキーで高い「ミ」の音を押してくるメロディーは、今も昔もジュリーにピッタリなのですね・・・。


それでは、オマケです!
『MIS CAST』ツアー・パンフレットから、まだ拙ブログ未添付のショットを数枚どうぞ~。


Miscast8

Miscast15

Miscast2_2

Miscast19

Miscast23


これにて、ポリドール期の『ROYAL STRAIGHT FLUSH』全3巻の収録曲もすべて書き終えました。10年も続けているとこのように色々と積み重ねも目に見えるようになってきますが、それでも「ジュリー・ナンバー」を全部書く、というのは一生かかっても無理。
終わりが見えないことがこんなに幸せとは・・・。


いよいよ週末の金曜日は待ちに待ったジュリー古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』初日、武道館公演です!
とにかく今回はどんな演奏スタイルになるのか、もしバンドなら新たにどんな顔ぶれとなるのか・・・本当に情報が無くてドキドキ感がいつになく凄まじい(笑)。
きっとみなさまもそうでしょうね。

セットリスト全体のコンセプトはLOVE & PEACEと予想しますが、じゃあどの曲を?と言われると難しい。
社会性の高いラインナップにはなると思う・・・ジュリー、きっと今「ブチかましたい」はずですから。ブチかます気持ちこそがジュリーの「冒険」、というのが僕の個人的な推測なのです。さぁ実際はどうでしょうか?

初日までにはもう1本、簡単なお知らせ記事(別館side-Bのご案内)を更新します。
今回は盟友・YOKO君の初日が10月のさいたまスーパーアリーナということで、拙ブログは3ケ月半に渡る長い長いネタバレ禁止期間に入りますが、それはあくまで僕が書く記事本文のこと。
コメント欄についてはツアーへの言及OKです。みなさまその点はどうぞお気遣いなきよう・・・。

とにかくあと5日のうちに、腰をなんとかせねば!
みなさまも、お身体のことはもちろん不慮のアクシデントなど、充分ご注意ください。

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