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2018年6月25日 (月)

沢田研二 「時の過ぎゆくままに」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuricd

disc-1
1. OVERTUREそのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星 -Venus-
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a・b・c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海にむけて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンスブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・-
8. 危険なふたり
9. ”おまえにチェック・イン”
10. 君をいま抱かせてくれ
11. ROCK' ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない
--------------------

from『いくつかの場面』、1975

Ikutuka

1. 時の過ぎゆくままに
2. 外は吹雪
3. 燃えつきた二人
4. 人待ち顔
5. 遥かなるラグタイム
6. U. F. O.
7. めぐり逢う日のために
8. 黄昏のなかで
9. あの娘に御用心
10. 流転
11. いくつかの場面
--------------------


またしても関西で大きな地震があり、痛ましい犠牲も出てしまいました。
カミさんの実家や友人達は無事でしたが、「地震国・日本」ということをどれほどの人が常に考えているのか、と改めて思いました。天災は防ぐことはできないにしても、そこで人災の被害が連鎖してはなりません。

僕はと言うと・・・実は先週、季節の変わり目の風邪予防だけに気をとられていたら、久々に重度のギックリ腰に見舞われ身動きがとれなくなっていました。
もしこんな時大きな災害に遭ったら、逃げることもできません。身につまされる地震報道でした。

さてそのギックリ腰ですが、職場で何の気なしに台車から梱包本を持ち上げた瞬間、「ぴき~ん!」と行きました。いわゆる「魔女の一撃」というやつです。
横着をして、膝を曲げなかったのが悪かったのですな・・・ヤバイ!と思った時は既に遅く、モノに掴まらなければ歩くこともできないという重度の症状に。
その日は同僚に車で家まで送って貰い早退。以後、ひたすら休養。先週木曜あたりの更新を狙って下書きしていた今日とは別のお題記事も未完成のまま頓挫し、ジュリー70歳の誕生日に贈る大切なこの記事も突貫の執筆となってしまいました。
休養さえしていれば徐々に回復する症状ではあるんですけど、ほぼ10年越しの拙ブログの大目標達成目前、想定外に追い詰められてとにかく焦りました。
なんとか今日の更新にこぎつけましたが、ほとんど走り書きのような記事で申し訳ないです・・・。

一応、古稀ツアーに向けての”全然当たらないセットリスト予想”シリーズの1曲。でも僕としては「これで『ジュリー祭り』の全82曲を記事に書き終える」という意義の方が大きい・・・今日はそんな感じの内容。
初日・武道館公演のチケットも届き(ステージ真横、視界の上半分が屋根という1階西スタンドの奥深い席を頂きました。どうやら前ツアーの驚異的な席運の反動が来たようです笑)、いよいよ「70越えのジュリー」をこの目にするんだ、と実感も沸いてきました。
お題の「時の過ぎゆくままに」・・・全ジュリー・ナンバー中、おそらく新規ファンが考察するには最もハードルが高い大ヒット曲でしょうが、半年間に渡る古稀ツアーの大成功祈願とともに、まだまだ痛みの残る腰を適度にいたわりつつ、頑張って書きたいと思います。


①約束の年がやって来た!

まずは・・・。
ジュリー、70歳のお誕生日おめでとうございます!

Paper011


↑ 毎年恒例、「ありがとう」と言ってそうな若きジュリーのショット。これは45年前くらいでしょうか?

古来稀なる歌手・ジュリーの祈りが、すべての人に届きますように。


今日は恐縮ながら個人的なお話から。
初のジュリーLIVE参加となった『ジュリー祭り』東京ドーム公演から半年、2009年の『Pleasure Pleasure』ツアーは、「自分はジュリーファンである」ということが僕自身の身の丈に合ってきた、自分でしっくりくるようになった・・・そんなツアーでした。
公演参加回数も過去ツアーの中では一番です。
このツアーでのジュリーのMCは、おもに前年末に大成功をおさめた二大ドーム公演の振り返りと、「ワタシの70越えを見届けて下さい!」宣言でした。
ファンになったばかりの僕は、初めてジュリーと「約束」をしたような気持ちになったものです。10年近くも先のことで、まだまだ遠い将来で、その日が来るという実感など持てないままのヒヨッコ時代の約束でしたが、ずっとファンであり続けたまま、遂に時は来ました。
長かったのか、短かったのか・・・。

僕が「ジュリー70越えまでに、鉄人バンドのインスト2曲も含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のブログお題記事を書き終える」ことを思いついたのは、そんな『Pleasure Pleasure』ツアーMCを受けて、1ファンとして「ジュリーとの約束」のつもりでいました。
それを宣言(と言うか文字にして退路を断ち自らに絶対の目標を課す)した時には、「大変な公約をしてしまった。そんなこと本当にできるのかいな」と我ながらビビッたものです。「我が窮状」なんてどういうふうに書けばいいんだろう、と心配したりね。

「10年あれば大抵のことは成し遂げられる」
依知川さんがエッセイに書いていらした言葉です。
僕はとりたてて何の才も持たない凡人ですが、コツコツと積み重ねることだけは昔から得意。先の見えない目標に向かって不安を抱えつつ、それでもそれなりの計画性を持って取り組んでいたら、いつしか「行ける!」と手応えも感じるようになりました。
ラスト1曲を「時の過ぎゆくままに」にしようと決めたのは、そんな手応えが出てきてから。
言わずと知れた有名な曲ですが、時代背景や作曲時の逸話等々、ジュリーファンとなって初めて知ることがとても多く、『ジュリー祭り』以降の僕自身の「じゅり勉」を象徴する曲だと思ったのと、やっぱり「キマる」じゃないですか。大トリがこの曲、というのは。

そしてやって来た今年、2018年6月。ジュリーの誕生月。目標達成までこの「時の過ぎゆくままに」1曲のみを残す状況になって、ハッキリ言って僕は「ここまで来たらもう大丈夫」と油断しました。
慢心を突くがごとき「魔女の一撃」。
お題記事執筆までに全話を鑑賞予定だった『悪魔のようなあいつ』も観ること叶わず、この一週間はひたすら静養するしかなく・・・この記事は僅か2日で仕上げなければならないところまで追いつめられました。
「ギックリ腰のため目標達成ならず」なんてことになったら、この10年コツコツ頑張ってきた過去の自分に申し訳なさ過ぎる!
ということで、なんとか頑張りました。

古稀ツアーのチケットも第1陣が到着し、初日までのカウントダウンが始まる・・・ちょうど今、ジュリーファンが一番ソワソワ、ウキウキする時期です。そんな時、「魔女の一撃」は忍び寄るのだと思います。
みなさま、ゆめゆめ油断なさいませぬよう・・・。


②『悪魔のようなあいつ』と『いくつかの場面』

先述の通り、僕はこの日の更新に向けてDVD『悪魔のようなあいつ』全話鑑賞を目指してきましたが無念ながら間に合いませんでした(現在は第6巻、良が野々村さんの銃を奪って逃走する話まで鑑賞済み)。
ですからドラマの総括などは今回ここではできないんですけど、「時の過ぎゆくままに」の考察でこの作品に触れないのは片手落ち・・・少し書いておきます。

Akuma

僕は『ジュリー祭り』以降ジュリーについて基本的なことから勉強を始めるその前までずっと、ジュリー最大のヒット(セールス)シングルは「勝手にしやがれ」だとばかり思い込んでいました。
そうではなくて「時の過ぎゆくままに」が最大のヒット曲で、かつて『悪魔のようなあいつ』なるTVドラマがあり(先輩方にとっては信じ難いことでしょうが、僕がこのドラマの存在を把握したのは2009年になってからです)その劇中歌でもあった、と知った際には、「なるほど、大流行したドラマとのタイアップで爆発的に一般大衆に浸透した大ヒットのパターンか~」と勝手に合点。
例えば、僕が小学生の時初めて自分で買ったシングル・レコードはゴダイゴの『ガンダーラ』。当然、当時ゴールデンタイム放映のドラマ『西遊記』を観ていたから主題歌のシングル盤が欲しくなったわけで、そういう人達が全国各地にたくさんいて、「ガンダーラ」大ヒットに繋がったのです。75年の「時の過ぎゆくままに」においても世間にそれと同じムーヴがあったのだろう、と僕はまず考えました。

しかし『悪魔のようなあいつ』が決してゴールデンタイムの流行ドラマなどではなく、視聴率も苦戦していたと分かったのがさらにその数年後です。

今回DVD全話鑑賞が間に合わなかったのは、もちろん時間のことやら腰痛のことやら色々な理由はあるのですが、一番は「サクッと気軽に観流せる内容ではない」という、ヒヨッコならではの「想定外」に惑わされたこと・・・正直、ここまで濃厚だとは予想していなかったんです。完全に深夜枠映像じゃないですかこれ。
「リアルタイムでは親が見せてくれなかった」と仰る先輩方がいらしても不思議はありません。

ですから「時の過ぎゆくままに」の大ヒットは、90年代で言うところの「トレンディードラマ・タイアップ」のセールス戦略とは似て非なるもの。
当時流行の対象から逸れ気味だったドラマは後に伝説的な再評価を得て、「えっ、あの”時の過ぎゆくままに”って劇中歌だったの?」と後追いで知る人(←僕です)が出てくる・・・世間的にはそういう順序になります。
純粋に、詞とメロディー、歌が素晴らしかった、何か得体の知れないエネルギーを抱え鬱屈しつつも外の世界へと気持ちが向かっていた1975年の一般大衆の心をジャストに捕えた・・・そんな大ヒット曲だったのですね。
ただ、その詞とメロディーを生んだのが『悪魔のようなあいつ』だったことは厳然たる事実。そこはジュリーファンが後世、伝えていかなければいけません。

いずれにしてもリアルタイムでこのドラマを観ていた先輩方が語る「時の過ぎゆくままに」と、僕のような後追いが頭だけで当時の状況を考えて語るそれとではレベルが違う、と思っています。
「私達の妄想がそのまま映像になってるんだから、そりゃ大変だったわよ」とは、先月お会いした師匠のお言葉(笑)。なんでも、毎週の放送が終わったら速攻でお友達から「観た?」と電話がかかってきていたとか。

また、放映開始前から胸ときめかせていた先輩方・・・そのお一人であるMママ様が、貴重な当時の新聞切り抜きを5種類も残してくださっています。

Tokisugi1

Tokisugi2

Tokisugi3

Tokisugi4

Tokisugi5

こうしてみると、やはり放映前は「あのジュリーが3億円事件の犯人役を!」というだけで世間の注目度は高かったと分かります。
残念ながら視聴率は伸びず・・・そのあたりは『愛をもとめて』でジュリーも「もっと頑張らないと」と語っていたりしますが、それはまたいずれの機会に。

そうそう、僕は三木聖子さんが「まちぶせ」の元祖であることを昨年知ったばかり。
ジュリー以外の出演者についても、この先「そうだったのか!」と知ってゆくことは多いのでしょうね。


アルバム『いくつかの場面』から僕がこれまで生体感できているのは、お題の「時の過ぎゆくままに」と「いくつかの場面」。ただ、この2曲以外の収録曲は今後のLIVEでセトリ入りすることはないように思います。

27歳のジュリーが歌う、当時の若者達の無軌道、純情、破綻。及川恒平さんや加藤登紀子さんの作品だけに限らず、深い社会性を採り入れたトータルイメージは、不思議に古稀・ジュリーの行く道と重なります。
個人的にはこのアルバムでは「U. F. O.」と「人待ち顔」が頭抜けて好きですが、やはり「時の過ぎゆくままに」で始まり「いくつかの場面」で終わる・・・ハッキリそのように構成された1枚ですよね。
数あるジュリー・アルバムの中でも特に「曲順の必然性」が強い名盤ではないでしょうか。


③バンドで聴きたい!普遍のギター・フレーズ

ギター1本の伴奏パターンも想像することはできるけど、「時の過ぎゆくままに」は個人的にはどんなビートものよりも、バンド編成で聴きたい1曲です。
同時に、若手を起用した新しいバンド結成が古稀ツアーでもし実現するなら、絶対にセトリ入りして欲しい定番ヒット曲でもあります。この名曲の普遍性を次代に繋ぐ歴史的なシーンになる、と思いますから。

僕は先の17日、新宿の朝日カルチャーセンターで人見先生(←今回は講義でしたからこの表記で)の『ピーが語るポップスの変遷』に参加してきましたが、「メロディーに国境はない」とのコンセプトのもと、「時の過ぎゆくままに」の紹介もありました。
(ちなみに、タイガース・メンバーによるジュリー古稀お祝いの会には、先の入院で心配されたサリーも元気に出席予定、とのことでした)

「雅(みやび)」の階級意識よりも「俗(ぞく)」の大衆性を説く人見先生のお話は、そのまま「時の過ぎゆくままに」の優れた「俗性」に重なる、と感じました。
そう、とても良い意味を込めて敢えて表現するなら、これは本当に「俗っぽい」メロディーなんですね。
そもそも大野さんは、バラードであってもメロディーが和音より前に出てくると言うか、ハキハキしているのが大きな魅力。それが阿久さんの詞と合うのです。

時の過ぎゆくままに この身をまかせ ♪
   G             B7       C       D        G

これまで何度か書いてきたように「G→B7」は「ポップス」解説には必ず登場する王道の(「俗」の)胸キュン進行。その進行代表例として「時の過ぎゆくままに」は地位を確かなものとしています。

だからこそ、です。
このメロディーを大ヒットに導いた他の要素、阿久さんの詞であり、堯之さん考案のギター・フレーズであり、4ビートのドラムスであり、シンプルなベースであり・・・偉大なポップス・スタンダードのすべてが、本家のジュリー・ヴォーカルのバックで次代のバンドに受け継がれる歴史的シーンを観てみたい、と僕は思います。
だって・・・これほどまでに「演奏者を選ばない」スタンダード・ナンバーは本当に珍しいのですよ。

こう書くと、もしかしたら「いや、”時の過ぎゆくままに”は堯之さんのギターでなければ」と反論する先輩方もいらっしゃるかもしれません。
でもね、考えてみてください。「危険なふたり」や「恋は邪魔もの」ならいざ知らず、「時の過ぎゆくままに」のギターをみなさんプレイヤーで区別できます?

例えば「時の過ぎゆくままに」の過去幾多の演奏音源から、リードギターのパートだけを抜き取っていくつか並べて聴いたとします。どれが堯之さんで、どれが柴山さんで、どれがそれ以外で・・・とスラスラ答えられる人は100人に1人もいないでしょう。
少なくとも僕には判別は無理です。
「危険なふたり」と違い「時の過ぎゆくままに」のあのイントロのギターは、どんなギタリストがどんなモデルで弾いてもまったく同じ運指にしかなりようがない「絶対」のフレーズなんですよね。だから、「堯之さんの考案力」を僕はこれまで何度も書いてきたのです。
驚異なまでに普遍的フレーズを大野さんのコード進行に載せた、という素晴らしさです。

神技でもない、難しい指使いでもない。ある程度ギターを嗜む人なら素人でも弾けるフレーズ。
でも「こう」しか弾けない。弾き手の「我流」を許さない。

Tokisugiint


↑ 同い年の男性ジュリーファンの友人がお持ちの、貴重な「時の過ぎゆくままに」バンドスコア。有名な曲ですから巷に多くのピアノ譜、ギター譜は溢れていますが、演奏全パート同時進行採譜のバンドスコア資料は本当に珍しいです。

誰がギターを持っても、誰が再現しても、上画像のTAB譜の通りに弾く以外ないギター・フレーズ。
作曲した大野さんももちろん凄いですが、このフレーズは正に堯之さん渾身のオリジナル!


「時の過ぎゆくままに」のギターについては、堯之さんと柴山さんのやりとりの話が有名ですよね。僕は、あの話はジュリーファンにちょっと誤解も含んで広まっている、と感じています。
堯之さんの「こっちがオリジナル」発言は、柴山さんの音や弾き方がオリジナルとは違う、と言っているのでは決してなく、この普遍的フレーズの「考案者は自分である。元祖である。自分以外の誰が弾いても、それは「元祖のフレーズを次世代として受け継ぐ側」の演奏となる、という意味なのです。
もちろん柴山さんにその意は伝わっています。いかにも堯之さんらしい、柴山さんの技量にもリスペクトのあるギタリストならではの言葉だということも。
先輩方の間で言われているように、「ムキになって張り合った」内容ではないと僕は思うんですよ。
もし「張り合う」気持ちが2人にあったとするならば、それはギターの良しあしではなく、「ジュリーの隣にどちらがふさわしいか」という存在意義みたいなことです。ですから柴山さんの「回数なら僕」というのは、その意味で絶妙の切り返しなのですね。これには堯之さん、「1本とられたな~」と思ったはずですよ。

何故堯之さんが晩年まで「時の過ぎゆくままに」のギターに拘り、弾き続けたか。
それは「後に残そう」という、「元祖の人」でしかあり得ない衝動、伝授の志だったんじゃないかなぁ。

もちろん堯之さんのこの曲への貢献はイントロのギター・フレーズにとどまりません。

からだの傷なら なおせるけれど
      Em             Am               Em

心のいたでは いやせはしない ♪
G          Em   Am               D

以前「今、僕は倖せです」の記事で書いたように、「沢田がこう歌っているから、こうなるんだ」という綿密な構成によるフレージングこそが堯之さんの真骨頂。
「時の過ぎゆくままに」のあのジュリーのヴォーカルに、第2の旋律を差し出すかのような裏メロでの絡み。これもまた僕ら聴き手としては「これ以外ない」という絶対のギターですよね。
古稀ツアーのセットリストで、ジュリーは当然堯之さんのことも考えたと思います。そこで、堯之さんの作曲作品より先に「時の過ぎゆくままに」のギター・フレーズをジュリーはまず想ったのではないでしょうか。

堯之さんの旅立ちの悲しい知らせから、まだ2ケ月も経っていません。
僕も、このタイミングで「時の過ぎゆくままに」の記事を書くとなれば、やはり堯之さんのことばかり書いてしまう・・・でも、それがこの曲の本質、とも思えたり。

今回、必ず歌われる曲だろうと予想しています。


それでは、オマケです!
まずは、『ヤング』バックナンバーから75年9月号。

750901

750902


続いて『プレイファイヴ(限界なき男ジュリー)』から、まだブログで添付していないショットを数枚!

197502

197504

197508

197512

197516

197517

197524

197526


さぁ、これにて「ジュリーの70越えまでに『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える」という拙ブログの大目標は達成できました。
「才は無いけどコツコツ積み重ねるのは得意」などと先に書きましたが、読んでくださる方々がいらっしゃる、その励みなくしては到底為し得なかったことです。
本当にありがとうございました。

また次なる新たな大目標を近いうちに見つけたいと思っています。ジュリーが今回の古稀ツアーで早々にヒントをくれそうな予感・・・楽しみです!


では次回更新は・・・古稀ツアー初日・武道館公演までまだ日にちもありますので、腰を痛める前に3分の1ほど下書きを済ませていたセトリ予想記事を、せっかくですので仕上げておきたいと思います。
お題は先の50周年ツアーでは選曲から漏れたシングルで、今になって「セトリ入りはちょっと難しいかなぁ?」と弱気になっているのですが・・・。

ともあれ、あと10日ほどの間に腰を元の状態に戻さなければ。武道館スタンド席は立ち位置が狭い上に傾斜が急ですから腰への負担も大きいのです。
みなさまもお身体万全を期して、それぞれのツアー初日をお迎えください。

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瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

DYNAMITEさん こんにちは。

魔女に魅入られしDYさん、おいたわしや~

渾身のご伝授、本当にお疲れさまでした。
「才は無いけれどコツコツ積み重ねるのは得意」いえいえ、愛にあふれた記事の数々、大称賛ですよ
なにも続けてこなかった自分が恥ずかしいですわ。

「時の過ぎゆくままに」のシングルジャケット、帽子を持って走るサスペンダージュリーが大好きです。
「古稀ツアー」どんな構成になるのか、ち~っつともわからんですが、1階北西スタンドから見守りますわ。

「バンド、どうなるんやろう?何にもわからんわ」という私のぼやきに、
オットがひとこと「ギターの人と二人だけでやるんかも」ですって!

とにかく、あと10日、DYさん くれぐれもお腰、お大事されませね。

投稿: みゆきママ | 2018年6月26日 (火) 12時15分

みゆきママ様

ありがとうございます!

とうとうジュリー、古稀ですね~。素晴らしい!
初めてみゆきママ様とお会いした頃のことを考えると、ジュリーが現実に70歳、という今の状況がなんだか信じられないような気持ちになりますが、みなさまはもっとずっと以前からのジュリーとのおつき合い・・・ジュリー70歳を見届けるというのは感慨ひとしおでしょう。

この10年、みゆきママ様からお預かりした資料も大活躍。
タイガースや70年代ジュリーについて、勉強しながら次々に「書きたい」衝動が沸いて楽しく続けられたのはみゆきママ様のお力添えあってこそです。ありがとうございます。

初日武道館、僕は1階西スタンドですからみゆきママ様のお席と結構近いはずです。楽しみですね~。

投稿: DYNAMITE | 2018年6月26日 (火) 20時21分

DY様こんばんは。

「時の過ぎゆくままに」ご伝授ありがとうございます。
ジュリーの古希ともに、ぎっくり腰にもめげずDY様が「ジュリー祭り全曲伝授」を成し遂げられたこともお祝いしたいです。
タイトルが赤い字でならんでいるのは壮観です。これを歌い切ったジュリーはあらためて凄いと思いますし、10年かけて考察してくださったDY様も素敵です。
もう大丈夫なのですか?お大事にしてください。

堯之さんのイントロのフレーズはこれだけでこの楽曲の性格が分かってしまうくらい完璧。誰が弾いてもああしか弾けない、って凄いです。
ただ、空気が違うようには感じてしまいます。音が持っていく先が違うと感じるのはわたしの思い込みかな。
音は同じでも現れる空気が違うと感じるのは何故なんでしょうね。この曲には思い込みが強いの。ドラマの影響もあるのかな。
堯之さんの言う「オリジナル」はあの頃にこの曲と歌うジュリーから立ち上ったものを含めて言っていたのではないのかなと思ったりします。実はわたしにとってはそうなのです(笑)
それにしても、アルバム「いくつかの場面」のこの曲のジュリーの声は魔性だな~と常々わたしは思っております。

初日武道館は南スタンド一階の前方です。
いろいろ楽しみですね。

投稿: momo | 2018年6月26日 (火) 23時18分

DY様 こんばんは

当時、スポーツ新聞にレコード大賞の本命予想記事が載っていたのを偶然見かけました。「今年は、布施明か沢田研二か」の見出しを今でもはっきり覚えています。

90万枚を越える大ヒットをしていたなんて、知るよしもなく、中学生の私たちの間では、「シクラメンのかほり」やダウン・タウン・ブギウギ・バンドに「およげ!たいやきくん」の話題で持ちきりでした。

しかし、ドラマ「悪魔のようなあいつ」は毎週欠かさず観ていて、「時効まであと○○日」のテロップが現実のニュースとリンクしていたので、3億円事件の時効は最大関心事でもありました。時効という言葉を聞いたのは確かその時が初めてだったので、なぜか緊張していましたね。時効を迎えたその日の午前0時は、ラジオに釘付けになっていました。そんな時代背景と共に歌の記憶は残っているかと思いきや、賞レース辞退の事件があり、遠い記憶となってしまいました。

それでも年上の方と話すと、「時の過ぎゆくままに」は知っている人が非常に多く話が弾みます。20年位前、役者の三宅裕司さんが自身の歌番組で、「ままに〜の所が良いのよ。良く真似てたなあ」と力説していたのを覚えています。

私は、オーケストラの入ったアレンジの演奏が好きですね。ブラスの「ターラーラー」やオーボエの裏メロに重厚なストリングス。何れもドラマチックですよね。あのオーケストレーションのアレンジは誰がしたんでしょうかね?あの頃だと東海林先生ですかね。

投稿: BAT | 2018年6月27日 (水) 03時24分

momo様

ありがとうございます!

なるほど、空気感ですか。それは違うでしょうね~。生でずっと観てこられた長いファンの先輩方には手にとるように分かるのでしょう。
音だけでなく立ち姿や、何より歌っているジュリーが違う、ということですものね。
堯之さんが横で弾いている時のジュリーは「魔性の弟」気質漲っていますから、やはり「時の過ぎゆくままに」ではそこが一番の違いとして表れるのでしょうか。

今改めて『ジュリー祭り』セットリストを振り返ると、ジュリーは本当にものすごいことをやってのけたものですねぇ・・・。
僕は遅れてきたファンですが、初めて観たLIVEがこれ!というのは幸せなことだと思います。

BAT様

ありがとうございます!

75年は「シクラメンのかほり」がレコード大賞なんですよね。それは僕もリアルタイムの記憶があります。
五木さん、森さん、布施さんと受賞されて、1年空いてジュリー。そう把握したのはずいぶん後になってからですが・・・。

三宅裕司さんの仰る「ままに~♪」は、BAT様ならお分かりでしょうが、この曲最大の肝ですね。
「泣きのB7」と言えば「時の過ぎゆくままに」・・・日本のポップス界で大野さんが果たした役割は本当に大きいです。それがジュリー最大のヒット曲であり、『悪魔のようなあいつ』劇中歌、というのはなんとも痛快。
僕もリアルタイムでドラマを観てみたかったです・・・。

投稿: DYNAMITE | 2018年6月27日 (水) 09時19分

DYNAMITE様

昨年ジュリー堕ちした私も、ジュリー最大のヒット曲は「勝手にしやがれ」だと思っていました。
「時の過ぎゆくままに」は聴いたことあるような、ないような、くらいの記憶しかなく、昨年最初に買った「ロイヤル・ストレート・フラッシュ」で初めてきちんと聴きました。
そして「ロイヤル・ストレート・フラッシュ」でジュリー堕ちした我が息子は、最初はこのアルバムの中で好きな曲ランキングを作っていて、「時の過ぎゆくままに」は第1回の第1位でした。
その後、たくさんのジュリー曲を聴きまくり、息子のランキングの曲数も膨大になっていき、今ではトップ50くらいまで考えて作ってますが、最新のランキングでもこの曲は1位でした。
50曲ともなるとどうやって選んでるんだ?とおかしくなりますが、タイガースやPYGの曲も入っていたり、意外な曲が入ってきたりと、いつもランキングを見るのが楽しいです。色々変動がありましたが、この曲は常に上位をキープしています。
小学生の息子にもこの曲は「沁みる」ようです。

そして今、うちに息子の友達が来ていますが、なぜか「ママ」「Long Good-by」「ROCK'N ROLL MARCH」を聴いて盛り上がっています(笑)

投稿: かあさん | 2018年6月27日 (水) 16時28分

DY様 こんばんは。

「悪魔のようなあいつ」
いろんな意味でドキドキハラハラでした。
1.放送中に余計な用事が入らないようにする。
2.チャンネル権の確保(姉とタックを組む)
3。不測の事態(突然の来客など)への対応。

オープニングのあの旋律が流れると甘く冷たい背徳の世界にただ身を委ね、「時の過ぎ行くままに」のギターで日常にひき戻されるのでした。

投稿: nekonodoki | 2018年6月29日 (金) 00時12分

かあさん様

ありがとうございます!

息子さんのジュリー・ランキング、とても興味深いです。
もし僕が小学生で初めて『ROYAL~』を聴いたら、おそらく「勝手にしたがれ」「カサブランカ・ダンディ」といったテンポのノリの良い曲にまず惹かれると思いますが、そこで息子さんは「時過ぎ」ですか~。
しかも未だ不動の1位・・・この名曲の普遍性をしっかり見抜いているんですね!

それにしても、「ママ」で盛り上がる小学生・・・将来おそるべし!

nekomodoki様

ありがとうございます!

nekomodoki様の場合はお姉さんとのタッグが組めるというのが心強かったでしょうね。
一般家庭だとあの時間帯はだいたいお父さんがチャンネル権を持っているでしょうから・・・。

オープニング、いかにも「これからエロい番組が始まるよ」って感じですものね。
で、「時過ぎ」のギターで引き戻されると。なるほど、僕はそういう見方はできていませんでした。リアルタイムで観ていらした方ならではの感覚でしょうか。

投稿: DYNAMITE | 2018年6月29日 (金) 08時55分

すみません、又誤字です。
不足➡不測💦

仮面ライダー電王、借りて来ました。
本当に面白いですね。
佐藤健さん演じるライダーの天然ヘタレっぷりと変身後のギャップが楽しかったです。

投稿: nekomodoki | 2018年6月29日 (金) 13時35分

nekomodoki様

ありがとうございます!
直しておきました~。

『仮面ライダー電王』、面白いでしょ~。
ウラタロス、キンタロスが憑くあたりがストーリー的には一番好きですが、最終話に向かうラスト3回がとにかく圧巻です!

投稿: DYNAMITE | 2018年6月30日 (土) 08時58分

DY様
 こんばんは。先ほど関東地方で地震あったそうですが大丈夫でした?今回の大雨といい、自然の前に人間は無力なもの、チャボさんがいつかステージで言っていた「地球上でこんなに人類ばかりが栄えていいのか?」の言葉が身にしみます。
 お題曲、私が小5の時に2枚目に買ったジュリーのレコード、でも当時B面の「旅立つ朝」と針を落とす回数は半々だったように記憶しています。ジュリー史上AB面2曲トータルの楽曲クオリティーの高さでは1番のシングル盤だと思っています。
 イントロのギターフレーズの素晴らしさは言うまでもありませんが、私は2番あとの間奏が特に好きです。個人的にはジャズボーカルやっている同級生のライブでなぜかこの曲を共演する機会があったんですが、その見せ場の間奏直前、オーバードライブ踏むところ間違ってチューナー踏んでしまい「無音状態」にしてしまった苦い思い出の曲でもあります(笑)。
 何度か「ライブ盤化」されていますが、NHKホールやジュリー・マニアのライブテイクより私は断然比叡山のライブの「時の過ぎゆくままに」が大好きです。

投稿: ねこ仮面 | 2018年7月 7日 (土) 21時49分

ねこ仮面様

ありがとうございます!

地震のご心配を頂き恐縮です。かなり長い揺れで驚きましたが大事ありませんでした。
それより西日本の大雨の被害拡大にただただ呆然とするばかりです・・・。

「時の過ぎゆくままに」はB面「旅立つ朝」含めてシングルとしても名盤ですよね。
かたや井上バンド、かたや東海林先生によるオーケストレーション。絶妙のバランスを誇るドーナツ盤・・・僕もリアルタイムで「シングル」として聴きたかったなぁと思います。

比叡山の演奏は総じて素晴らしいですね。
カバー曲のアレンジも大好きです。

投稿: DYNAMITE | 2018年7月 9日 (月) 17時13分

「悪魔のようなあいつ」わたしはリアルタイムでみていましたよ。ジュリーに完堕ちしたのはこのときです。ホントに色っぽかったよ~

最後のシーン目に浮かびます。BGMは、もちろん時の過行くまままに~
(あっネタバレしちゃいけないよね)

中学生だったけど母と見てたよ。母もファンだったんだね。そんなにキツイ内容だったかな?昔のドラマは結構今よりキツイですよね。

母も楽しかったかな。今はいないけど。ジュリーに感謝です。

投稿: | 2018年12月21日 (金) 14時42分

?様

ありがとうございます!
お返事遅れて申し訳ありませんでした。

お母様と『悪魔のようなあいつ』を観ていらしたのですか?
それはおそらくお母様に先取の心がおありだったのでしょうね~。僕の周囲では「親に隠れるように観ていた」と仰る先輩の方が多いのです。

その後DVDは全話鑑賞しましたよ~。
確かに90年代からタブー解禁的なドラマも増えましたが、何と言うか雰囲気が違うんですよね。シーンひとつひとつにいくつもの念が込められているというか・・・捨て身、という感じがします。
最終回は、あらすじは既に知っていたにも関わらずやはり衝撃でした。

投稿: DYNAMITE | 2018年12月26日 (水) 13時05分

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