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2018年6月

2018年6月25日 (月)

沢田研二 「時の過ぎゆくままに」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuricd

disc-1
1. OVERTUREそのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星 -Venus-
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a・b・c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海にむけて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンスブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・-
8. 危険なふたり
9. ”おまえにチェック・イン”
10. 君をいま抱かせてくれ
11. ROCK' ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない
--------------------

from『いくつかの場面』、1975

Ikutuka

1. 時の過ぎゆくままに
2. 外は吹雪
3. 燃えつきた二人
4. 人待ち顔
5. 遥かなるラグタイム
6. U. F. O.
7. めぐり逢う日のために
8. 黄昏のなかで
9. あの娘に御用心
10. 流転
11. いくつかの場面
--------------------


またしても関西で大きな地震があり、痛ましい犠牲も出てしまいました。
カミさんの実家や友人達は無事でしたが、「地震国・日本」ということをどれほどの人が常に考えているのか、と改めて思いました。天災は防ぐことはできないにしても、そこで人災の被害が連鎖してはなりません。

僕はと言うと・・・実は先週、季節の変わり目の風邪予防だけに気をとられていたら、久々に重度のギックリ腰に見舞われ身動きがとれなくなっていました。
もしこんな時大きな災害に遭ったら、逃げることもできません。身につまされる地震報道でした。

さてそのギックリ腰ですが、職場で何の気なしに台車から梱包本を持ち上げた瞬間、「ぴき~ん!」と行きました。いわゆる「魔女の一撃」というやつです。
横着をして、膝を曲げなかったのが悪かったのですな・・・ヤバイ!と思った時は既に遅く、モノに掴まらなければ歩くこともできないという重度の症状に。
その日は同僚に車で家まで送って貰い早退。以後、ひたすら休養。先週木曜あたりの更新を狙って下書きしていた今日とは別のお題記事も未完成のまま頓挫し、ジュリー70歳の誕生日に贈る大切なこの記事も突貫の執筆となってしまいました。
休養さえしていれば徐々に回復する症状ではあるんですけど、ほぼ10年越しの拙ブログの大目標達成目前、想定外に追い詰められてとにかく焦りました。
なんとか今日の更新にこぎつけましたが、ほとんど走り書きのような記事で申し訳ないです・・・。

一応、古稀ツアーに向けての”全然当たらないセットリスト予想”シリーズの1曲。でも僕としては「これで『ジュリー祭り』の全82曲を記事に書き終える」という意義の方が大きい・・・今日はそんな感じの内容。
初日・武道館公演のチケットも届き(ステージ真横、視界の上半分が屋根という1階西スタンドの奥深い席を頂きました。どうやら前ツアーの驚異的な席運の反動が来たようです笑)、いよいよ「70越えのジュリー」をこの目にするんだ、と実感も沸いてきました。
お題の「時の過ぎゆくままに」・・・全ジュリー・ナンバー中、おそらく新規ファンが考察するには最もハードルが高い大ヒット曲でしょうが、半年間に渡る古稀ツアーの大成功祈願とともに、まだまだ痛みの残る腰を適度にいたわりつつ、頑張って書きたいと思います。


①約束の年がやって来た!

まずは・・・。
ジュリー、70歳のお誕生日おめでとうございます!

Paper011


↑ 毎年恒例、「ありがとう」と言ってそうな若きジュリーのショット。これは45年前くらいでしょうか?

古来稀なる歌手・ジュリーの祈りが、すべての人に届きますように。


今日は恐縮ながら個人的なお話から。
初のジュリーLIVE参加となった『ジュリー祭り』東京ドーム公演から半年、2009年の『Pleasure Pleasure』ツアーは、「自分はジュリーファンである」ということが僕自身の身の丈に合ってきた、自分でしっくりくるようになった・・・そんなツアーでした。
公演参加回数も過去ツアーの中では一番です。
このツアーでのジュリーのMCは、おもに前年末に大成功をおさめた二大ドーム公演の振り返りと、「ワタシの70越えを見届けて下さい!」宣言でした。
ファンになったばかりの僕は、初めてジュリーと「約束」をしたような気持ちになったものです。10年近くも先のことで、まだまだ遠い将来で、その日が来るという実感など持てないままのヒヨッコ時代の約束でしたが、ずっとファンであり続けたまま、遂に時は来ました。
長かったのか、短かったのか・・・。

僕が「ジュリー70越えまでに、鉄人バンドのインスト2曲も含めた『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のブログお題記事を書き終える」ことを思いついたのは、そんな『Pleasure Pleasure』ツアーMCを受けて、1ファンとして「ジュリーとの約束」のつもりでいました。
それを宣言(と言うか文字にして退路を断ち自らに絶対の目標を課す)した時には、「大変な公約をしてしまった。そんなこと本当にできるのかいな」と我ながらビビッたものです。「我が窮状」なんてどういうふうに書けばいいんだろう、と心配したりね。

「10年あれば大抵のことは成し遂げられる」
依知川さんがエッセイに書いていらした言葉です。
僕はとりたてて何の才も持たない凡人ですが、コツコツと積み重ねることだけは昔から得意。先の見えない目標に向かって不安を抱えつつ、それでもそれなりの計画性を持って取り組んでいたら、いつしか「行ける!」と手応えも感じるようになりました。
ラスト1曲を「時の過ぎゆくままに」にしようと決めたのは、そんな手応えが出てきてから。
言わずと知れた有名な曲ですが、時代背景や作曲時の逸話等々、ジュリーファンとなって初めて知ることがとても多く、『ジュリー祭り』以降の僕自身の「じゅり勉」を象徴する曲だと思ったのと、やっぱり「キマる」じゃないですか。大トリがこの曲、というのは。

そしてやって来た今年、2018年6月。ジュリーの誕生月。目標達成までこの「時の過ぎゆくままに」1曲のみを残す状況になって、ハッキリ言って僕は「ここまで来たらもう大丈夫」と油断しました。
慢心を突くがごとき「魔女の一撃」。
お題記事執筆までに全話を鑑賞予定だった『悪魔のようなあいつ』も観ること叶わず、この一週間はひたすら静養するしかなく・・・この記事は僅か2日で仕上げなければならないところまで追いつめられました。
「ギックリ腰のため目標達成ならず」なんてことになったら、この10年コツコツ頑張ってきた過去の自分に申し訳なさ過ぎる!
ということで、なんとか頑張りました。

古稀ツアーのチケットも第1陣が到着し、初日までのカウントダウンが始まる・・・ちょうど今、ジュリーファンが一番ソワソワ、ウキウキする時期です。そんな時、「魔女の一撃」は忍び寄るのだと思います。
みなさま、ゆめゆめ油断なさいませぬよう・・・。


②『悪魔のようなあいつ』と『いくつかの場面』

先述の通り、僕はこの日の更新に向けてDVD『悪魔のようなあいつ』全話鑑賞を目指してきましたが無念ながら間に合いませんでした(現在は第6巻、良が野々村さんの銃を奪って逃走する話まで鑑賞済み)。
ですからドラマの総括などは今回ここではできないんですけど、「時の過ぎゆくままに」の考察でこの作品に触れないのは片手落ち・・・少し書いておきます。

Akuma

僕は『ジュリー祭り』以降ジュリーについて基本的なことから勉強を始めるその前までずっと、ジュリー最大のヒット(セールス)シングルは「勝手にしやがれ」だとばかり思い込んでいました。
そうではなくて「時の過ぎゆくままに」が最大のヒット曲で、かつて『悪魔のようなあいつ』なるTVドラマがあり(先輩方にとっては信じ難いことでしょうが、僕がこのドラマの存在を把握したのは2009年になってからです)その劇中歌でもあった、と知った際には、「なるほど、大流行したドラマとのタイアップで爆発的に一般大衆に浸透した大ヒットのパターンか~」と勝手に合点。
例えば、僕が小学生の時初めて自分で買ったシングル・レコードはゴダイゴの『ガンダーラ』。当然、当時ゴールデンタイム放映のドラマ『西遊記』を観ていたから主題歌のシングル盤が欲しくなったわけで、そういう人達が全国各地にたくさんいて、「ガンダーラ」大ヒットに繋がったのです。75年の「時の過ぎゆくままに」においても世間にそれと同じムーヴがあったのだろう、と僕はまず考えました。

しかし『悪魔のようなあいつ』が決してゴールデンタイムの流行ドラマなどではなく、視聴率も苦戦していたと分かったのがさらにその数年後です。

今回DVD全話鑑賞が間に合わなかったのは、もちろん時間のことやら腰痛のことやら色々な理由はあるのですが、一番は「サクッと気軽に観流せる内容ではない」という、ヒヨッコならではの「想定外」に惑わされたこと・・・正直、ここまで濃厚だとは予想していなかったんです。完全に深夜枠映像じゃないですかこれ。
「リアルタイムでは親が見せてくれなかった」と仰る先輩方がいらしても不思議はありません。

ですから「時の過ぎゆくままに」の大ヒットは、90年代で言うところの「トレンディードラマ・タイアップ」のセールス戦略とは似て非なるもの。
当時流行の対象から逸れ気味だったドラマは後に伝説的な再評価を得て、「えっ、あの”時の過ぎゆくままに”って劇中歌だったの?」と後追いで知る人(←僕です)が出てくる・・・世間的にはそういう順序になります。
純粋に、詞とメロディー、歌が素晴らしかった、何か得体の知れないエネルギーを抱え鬱屈しつつも外の世界へと気持ちが向かっていた1975年の一般大衆の心をジャストに捕えた・・・そんな大ヒット曲だったのですね。
ただ、その詞とメロディーを生んだのが『悪魔のようなあいつ』だったことは厳然たる事実。そこはジュリーファンが後世、伝えていかなければいけません。

いずれにしてもリアルタイムでこのドラマを観ていた先輩方が語る「時の過ぎゆくままに」と、僕のような後追いが頭だけで当時の状況を考えて語るそれとではレベルが違う、と思っています。
「私達の妄想がそのまま映像になってるんだから、そりゃ大変だったわよ」とは、先月お会いした師匠のお言葉(笑)。なんでも、毎週の放送が終わったら速攻でお友達から「観た?」と電話がかかってきていたとか。

また、放映開始前から胸ときめかせていた先輩方・・・そのお一人であるMママ様が、貴重な当時の新聞切り抜きを5種類も残してくださっています。

Tokisugi1

Tokisugi2

Tokisugi3

Tokisugi4

Tokisugi5

こうしてみると、やはり放映前は「あのジュリーが3億円事件の犯人役を!」というだけで世間の注目度は高かったと分かります。
残念ながら視聴率は伸びず・・・そのあたりは『愛をもとめて』でジュリーも「もっと頑張らないと」と語っていたりしますが、それはまたいずれの機会に。

そうそう、僕は三木聖子さんが「まちぶせ」の元祖であることを昨年知ったばかり。
ジュリー以外の出演者についても、この先「そうだったのか!」と知ってゆくことは多いのでしょうね。


アルバム『いくつかの場面』から僕がこれまで生体感できているのは、お題の「時の過ぎゆくままに」と「いくつかの場面」。ただ、この2曲以外の収録曲は今後のLIVEでセトリ入りすることはないように思います。

27歳のジュリーが歌う、当時の若者達の無軌道、純情、破綻。及川恒平さんや加藤登紀子さんの作品だけに限らず、深い社会性を採り入れたトータルイメージは、不思議に古稀・ジュリーの行く道と重なります。
個人的にはこのアルバムでは「U. F. O.」と「人待ち顔」が頭抜けて好きですが、やはり「時の過ぎゆくままに」で始まり「いくつかの場面」で終わる・・・ハッキリそのように構成された1枚ですよね。
数あるジュリー・アルバムの中でも特に「曲順の必然性」が強い名盤ではないでしょうか。


③バンドで聴きたい!普遍のギター・フレーズ

ギター1本の伴奏パターンも想像することはできるけど、「時の過ぎゆくままに」は個人的にはどんなビートものよりも、バンド編成で聴きたい1曲です。
同時に、若手を起用した新しいバンド結成が古稀ツアーでもし実現するなら、絶対にセトリ入りして欲しい定番ヒット曲でもあります。この名曲の普遍性を次代に繋ぐ歴史的なシーンになる、と思いますから。

僕は先の17日、新宿の朝日カルチャーセンターで人見先生(←今回は講義でしたからこの表記で)の『ピーが語るポップスの変遷』に参加してきましたが、「メロディーに国境はない」とのコンセプトのもと、「時の過ぎゆくままに」の紹介もありました。
(ちなみに、タイガース・メンバーによるジュリー古稀お祝いの会には、先の入院で心配されたサリーも元気に出席予定、とのことでした)

「雅(みやび)」の階級意識よりも「俗(ぞく)」の大衆性を説く人見先生のお話は、そのまま「時の過ぎゆくままに」の優れた「俗性」に重なる、と感じました。
そう、とても良い意味を込めて敢えて表現するなら、これは本当に「俗っぽい」メロディーなんですね。
そもそも大野さんは、バラードであってもメロディーが和音より前に出てくると言うか、ハキハキしているのが大きな魅力。それが阿久さんの詞と合うのです。

時の過ぎゆくままに この身をまかせ ♪
   G             B7       C       D        G

これまで何度か書いてきたように「G→B7」は「ポップス」解説には必ず登場する王道の(「俗」の)胸キュン進行。その進行代表例として「時の過ぎゆくままに」は地位を確かなものとしています。

だからこそ、です。
このメロディーを大ヒットに導いた他の要素、阿久さんの詞であり、堯之さん考案のギター・フレーズであり、4ビートのドラムスであり、シンプルなベースであり・・・偉大なポップス・スタンダードのすべてが、本家のジュリー・ヴォーカルのバックで次代のバンドに受け継がれる歴史的シーンを観てみたい、と僕は思います。
だって・・・これほどまでに「演奏者を選ばない」スタンダード・ナンバーは本当に珍しいのですよ。

こう書くと、もしかしたら「いや、”時の過ぎゆくままに”は堯之さんのギターでなければ」と反論する先輩方もいらっしゃるかもしれません。
でもね、考えてみてください。「危険なふたり」や「恋は邪魔もの」ならいざ知らず、「時の過ぎゆくままに」のギターをみなさんプレイヤーで区別できます?

例えば「時の過ぎゆくままに」の過去幾多の演奏音源から、リードギターのパートだけを抜き取っていくつか並べて聴いたとします。どれが堯之さんで、どれが柴山さんで、どれがそれ以外で・・・とスラスラ答えられる人は100人に1人もいないでしょう。
少なくとも僕には判別は無理です。
「危険なふたり」と違い「時の過ぎゆくままに」のあのイントロのギターは、どんなギタリストがどんなモデルで弾いてもまったく同じ運指にしかなりようがない「絶対」のフレーズなんですよね。だから、「堯之さんの考案力」を僕はこれまで何度も書いてきたのです。
驚異なまでに普遍的フレーズを大野さんのコード進行に載せた、という素晴らしさです。

神技でもない、難しい指使いでもない。ある程度ギターを嗜む人なら素人でも弾けるフレーズ。
でも「こう」しか弾けない。弾き手の「我流」を許さない。

Tokisugiint


↑ 同い年の男性ジュリーファンの友人がお持ちの、貴重な「時の過ぎゆくままに」バンドスコア。有名な曲ですから巷に多くのピアノ譜、ギター譜は溢れていますが、演奏全パート同時進行採譜のバンドスコア資料は本当に珍しいです。

誰がギターを持っても、誰が再現しても、上画像のTAB譜の通りに弾く以外ないギター・フレーズ。
作曲した大野さんももちろん凄いですが、このフレーズは正に堯之さん渾身のオリジナル!


「時の過ぎゆくままに」のギターについては、堯之さんと柴山さんのやりとりの話が有名ですよね。僕は、あの話はジュリーファンにちょっと誤解も含んで広まっている、と感じています。
堯之さんの「こっちがオリジナル」発言は、柴山さんの音や弾き方がオリジナルとは違う、と言っているのでは決してなく、この普遍的フレーズの「考案者は自分である。元祖である。自分以外の誰が弾いても、それは「元祖のフレーズを次世代として受け継ぐ側」の演奏となる、という意味なのです。
もちろん柴山さんにその意は伝わっています。いかにも堯之さんらしい、柴山さんの技量にもリスペクトのあるギタリストならではの言葉だということも。
先輩方の間で言われているように、「ムキになって張り合った」内容ではないと僕は思うんですよ。
もし「張り合う」気持ちが2人にあったとするならば、それはギターの良しあしではなく、「ジュリーの隣にどちらがふさわしいか」という存在意義みたいなことです。ですから柴山さんの「回数なら僕」というのは、その意味で絶妙の切り返しなのですね。これには堯之さん、「1本とられたな~」と思ったはずですよ。

何故堯之さんが晩年まで「時の過ぎゆくままに」のギターに拘り、弾き続けたか。
それは「後に残そう」という、「元祖の人」でしかあり得ない衝動、伝授の志だったんじゃないかなぁ。

もちろん堯之さんのこの曲への貢献はイントロのギター・フレーズにとどまりません。

からだの傷なら なおせるけれど
      Em             Am               Em

心のいたでは いやせはしない ♪
G          Em   Am               D

以前「今、僕は倖せです」の記事で書いたように、「沢田がこう歌っているから、こうなるんだ」という綿密な構成によるフレージングこそが堯之さんの真骨頂。
「時の過ぎゆくままに」のあのジュリーのヴォーカルに、第2の旋律を差し出すかのような裏メロでの絡み。これもまた僕ら聴き手としては「これ以外ない」という絶対のギターですよね。
古稀ツアーのセットリストで、ジュリーは当然堯之さんのことも考えたと思います。そこで、堯之さんの作曲作品より先に「時の過ぎゆくままに」のギター・フレーズをジュリーはまず想ったのではないでしょうか。

堯之さんの旅立ちの悲しい知らせから、まだ2ケ月も経っていません。
僕も、このタイミングで「時の過ぎゆくままに」の記事を書くとなれば、やはり堯之さんのことばかり書いてしまう・・・でも、それがこの曲の本質、とも思えたり。

今回、必ず歌われる曲だろうと予想しています。


それでは、オマケです!
まずは、『ヤング』バックナンバーから75年9月号。

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750902


続いて『プレイファイヴ(限界なき男ジュリー)』から、まだブログで添付していないショットを数枚!

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197512

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197526


さぁ、これにて「ジュリーの70越えまでに『ジュリー祭り』セットリスト全82曲のお題記事を書き終える」という拙ブログの大目標は達成できました。
「才は無いけどコツコツ積み重ねるのは得意」などと先に書きましたが、読んでくださる方々がいらっしゃる、その励みなくしては到底為し得なかったことです。
本当にありがとうございました。

また次なる新たな大目標を近いうちに見つけたいと思っています。ジュリーが今回の古稀ツアーで早々にヒントをくれそうな予感・・・楽しみです!


では次回更新は・・・古稀ツアー初日・武道館公演までまだ日にちもありますので、腰を痛める前に3分の1ほど下書きを済ませていたセトリ予想記事を、せっかくですので仕上げておきたいと思います。
お題は先の50周年ツアーでは選曲から漏れたシングルで、今になって「セトリ入りはちょっと難しいかなぁ?」と弱気になっているのですが・・・。

ともあれ、あと10日ほどの間に腰を元の状態に戻さなければ。武道館スタンド席は立ち位置が狭い上に傾斜が急ですから腰への負担も大きいのです。
みなさまもお身体万全を期して、それぞれのツアー初日をお迎えください。

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2018年6月15日 (金)

沢田研二 「君のキレイのために」

from『耒タルベキ素敵』、2000

Kitarubeki

disc-1
1. A・C・B
2. ねじれた祈り
3. 世紀の片恋
4. アルシオネ
5. ベンチャー・サーフ
6. ブルーバード ブルーバード
7. 月からの秋波
8. 遠い夜明け
9. 猛毒の蜜
10. 確信
11. マッサラ
12. 無事でありますよう
disc-2
1. 君のキレイのために
2. everyday Joe
3. キューバな女
4. 凡庸がいいな
5. あなたでよかった
6. ゼロになれ
7. 孤高のピアニスト
8. 生きてる実感
9. この空を見てたら
10. 海に還るべき・だろう
11. 耒タルベキ素敵

---------------------

この一週間、全国各地のジュリーファンの話題は『セブンスターショー』が攫っていたでしょう。
いやぁ堪能しました。
冒頭「1本だけ残されたテープ」のテロップにまず感動。TBSさん、よくぞ保管されていました!

期待通りの綺麗な映像でしたね。オープニングのジュリーの顔の黒さなんかは、今まで観ていた画質のものではよく分からなかったですから。
最も印象深かったのは「悪い予感」。
多くの先輩方が放映前にこの曲を「楽しみ!」と仰っていたのも大納得。あれは凄い・・・ジュリーの素晴らしさはもちろんですが、2階立てセットの2階部がリズム隊、という無理矢理なセッティングをまるで苦にしない井上バンドの演奏は「ブラボー!」のひと言です。
「絆」は僕の手元にある2つの音源いずれのヴァージョンとも違いました。この曲は少なくとも3つのヴァージョンが存在するんですね。
あと、堯之さんってノッってくるとブラッシングの鬼になるんですねぇ。「危険なふたり」「お前は魔法使い」「気になるお前」の後半にそれがよく表れていました。

明日の『キラリ・熱熱CLUB』も楽しみです。


ということで、本当に良いものを見せて頂いた勢いに乗って、今日はジュリーの古稀ツアー『OLD GUYS ROCK』に向けて”全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、第2弾の更新です。
お題はアルバム『耒タルベキ素敵』から「君のキレイのために」。なおかつこれは『ジュリー祭り』セットリスト、鉄人バンドのインスト2曲を含めた全82曲のうちいよいよ81曲目のお題記事となります。
気合入れて頑張ります!


①問答無用の大名盤!

西暦2000年リリース、全23曲収録。
世紀の大名盤『耒タルベキ素敵』。これはもうジュリーファンならば一家に1枚(2枚組ですけどね)、「マスト」なアルバムです。

最近になってジュリー堕ち、或いは中抜けから復帰されてこれから未聴のオリジナル・アルバムの大人買いを始めようという方がもしこの記事を読んでくださっていたら、何はともあれ『耒タルベキ素敵』。紙ジャケの本来の形状で普通に販売されている今のうちにまず購入されることを強くお勧めいたします。
なにせ、収録曲のLIVEセトリ入り率が高い!
10年前の『ジュリー祭り』が初参加という僕ですら、これまでアルバム収録全23曲のうち「A・C・B」「ねじれた祈り」「世紀の片恋」「アルシオネ」「遠い夜明け」「確信」「マッサラ」「無事でありますよう」「君のキレイのために」「everyday Joe」「生きてる実感」「この空を見てたら」「耒タルベキ素敵」と、13曲もの生歌、生演奏で体感済み。キャリアの浅いファンがツアー予習をするには最適のアルバムですよ~。
ちなみに僕がまだ未体感の収録曲ですと、「あなたでよかった」あたりが古希ツアーのセトリ入り可能性大、と考えています(依知川さんが歌ってくれた「あさいち」のLIVEで聴けてはいるのですが、ジュリーのステージではまだ聴いていません)。

アルバム最大の個性はアレンジャーの白井さんが引き出しを全開にしての異常なまでの作り込み。
もう1点はミックスの徹底したコンプレッサー処理で、その意味では『G. S. I LOVE YOU』のコンセプトを音響的に引き継いでいると言えるでしょうか。
単に「ハード」なだけのアルバムではないですね。ベースのイコライジングがハイ強めというのも、2001~05年の後続のハードロック期と一線を画します。

さて本日お題の「君のキレイのために」。
手持ちの過去ツアーDVD作品群を観ていても、「この曲はセトリ入り率が高いんだな」と感じますし、『ジュリー祭り』『奇跡元年』とジュリー本格堕ち最初期に続けてLIVE体感しましたから、「セットリスト定番」として早々に僕の頭に叩きこまれた1曲です。
ところが『奇跡元年』以降不思議にご無沙汰なんですね。もう9年ジュリーはこの曲を歌っていません。ツアーの編成がどんな形になるにせよ、さすがにそろそろ来るんじゃないですか~?
前回記事で少し書いたように、もし古稀ツアーのセットリストの一部が「月替わり」スタイルという僕の予想(希望)が実現したら、これはもう大有力候補曲。
久々の生体感を切望しているファンもきっと多いのではないでしょうか。期待しましょう!


②DYNAMITEも憧れの(笑)主夫生活

「LIVE映えする強烈なビート・ロック」とひと言で括ってしまうにはあまりに仕掛け盛りだくさん、色々な意味で「面白い」ナンバー。それが「君のキレイのために」。
まずファン周知のことですが、「ジュリーと縁深い作曲家に1人1曲ずつ依頼」とのコンセプトから当然選ばれた大沢誉志幸さんが、代表作「”おまえにチェック・イン”」へのオマージュをこの曲に盛り込みました。

ただ、「”おまえにチェック・イン”」と「君のキレイのために」って、同じ「ビートもの」でも曲想はまったく違うんですよね。
ここでの大沢さんのオマージュとは、ポップな進行の伴奏部に「tu,tu...」というキメのコーラスを載せた、という1点だけ。本質的にはバリバリのニュー・タイプな「新曲」なんです(大沢さんの提供曲で短調のジュリー・ナンバーはこの1曲のみ)。
これは、メジャー進行に載せた「tu,tu...」のコーラスをマイナー進行に載せたらどうなるか、という大沢さんの遊び心が生み出したちょっとした仕掛け。ジュリーが歌うことによって、ファンが「あ、チェックインと同じコーラスだ」と喜んでくれる・・・大沢さん、そしてアレンジの白井さんとしては「してやったり」だったでしょうか。

曲のキーは嬰ト短調。歌メロに入ってしばらくは王道パターンで進行しますが、サビで一変します。
まず同主音による転調があり、キーは変イ長調へ。

このままの僕でいい ♪
      A♭       Cm7

しかしその直後

君はいつも言うけど ♪
E♭m    F7         B♭m

ここは変ロ短調への移旋があり、それを起点に

はかり しれない愛だろうか 季節いくつ分の
      C#m  D#7     G#m    C#7    E     F#    D#7

君はまだ まぶしいな ♪
         E    F#        G#m

シレッと元の嬰ト短調に戻っています。
最初から最後まで王道を貫く「”おまえにチェック・イン”」とは似ても似つかぬ、メチャクチャ複雑な進行。それをハードに演奏するとなると、普通に考えれば「難解なロック」になりそうなものですが、「君のキレイのために」のこの親しみ易さはどうでしょう。
それが、ジュリーファンにとって馴染みの深い「tu,tu...」コーラスを前もって提示させていた効果であり、さらには覚さんの歌詞の効果でもあると僕は考えます。

君がもっと輝くなら  オフィスの視線浴びといで
G#m E      B      D#  G#m     E        B          D#

ハウスキープはまかせてよ  仕事より楽園 ♪
F#                  D#          G#m   C#m      D#

現在ではもう「ハウス・ハズバンド」スタイルの家庭も珍しくない世の中になっていますが、2000年当時ってどうだったのかな。歌詞中に「後指」なんてフレーズも登場しますし、世間の認知度はまだまだだった・・・?

嫁さんがバリバリ働いてくれるなら、そりゃ夫としては「仕事より楽園」だよなぁと、僕なんかは主夫生活というものに憧れがあります。まぁ若い頃にそんなことを言ってるとそれはハウス・ハズバンドじゃなくてヒモだろう、という話にもなりかねませんが、個人的には夫婦のライフスタイルとして全然アリだと思いますし、実際この先日本でもどんどんそうした家庭は増えていくのではないでしょうか。
でも「働くより楽をしたい」なんて男の方が安易に考えてちゃきっとダメですよね。「ハウスキープはまかせてよ♪」の心意気がまず先に無ければ・・・。

「君のキレイのために」の主人公は、おそらく主夫生活をスタートさせたばかり。
気を遣ってあれこれ頑張っているんだけど、帰宅した奥さんからダメ出しを食らって「役立たずゴメン!」と。
「笑って長い目で見て貰えている」状況が目に浮かぶ・・・まったくギスギス感が無いんですよね。
短調のハードロックがこれほど楽しく愉快に聴こえるのは、覚さんのこの詞をジュリーが完璧にストーリーに「ノッて」歌えているからでしょう。意外とジュリー自身にも主夫願望がチラリ程度にはあるのかな?

「主夫」先駆けのロッカーと言えば誰あろうジョン・レノンです。75年にリリースしたカバー・アルバム『ロックンロール』から、遺作となってしまった80年リリースの『ダブル・ファンタジー』まで5年間に渡る創作活動の空白。「子供以上の創作物は無い」と言ったとかいう話を昔何かの本で読みましたが、要は妻ヨーコさんに外のことを任せて家庭を護っていたわけです。
男性が専業主夫であることにまだまだ偏見のあった時代、もちろんそれができる環境が整っていたとは言え、ハウス・ハズバンドのスタイルを自然に先取りできる感性はジョンならでは。

2003年のインタビューでジュリーは、そんなジョンの主夫生活についてリアルタイムでは否定的だった、と明かしています。「そんなことしてないでアルバムを出してくれ」と思っていたのだとか。
でも後々「そういうのもアリか」と考えが変わってきた・・・それもまたジュリーならではの感性。
「君のキレイのために」で覚さんはジュリーの本質を突いた、と言えそうです。もしくはジュリーからある程度詞の内容についてリクエストがあったか。
いずれにせよ、「ジュリーの歌を作詞する」となった時、男性作家にこの発想は無理でしょう。

何にも囚われず人の考えないところを考える、これぞジュリー。そしてジュリーの場合はその「考え」が自作詞、提供詞問わず即座に歌となる、ロックとなる。
素敵過ぎます。
ジュリーならば、ハウス・ハズバンドとロックシンガーは兼務で行けるでしょう。僕は今年『耒タルベキ素敵』をリリースした年のジュリーに年齢が追いつきますが、いやはやここまで人生の出来が違うものか、考え方や取り組み方の境地が届かないものかと、当たり前のことながら一層憧れを強くするのでありました。


③「走る古稀ロッカー」に期待!

ジュリーがステージ狭しと駆け回る圧巻のパフォーマンスを魅せるセットリスト定番曲と言えば「愛まで待てない」と「君のキレイのために」。
「愛まで待てない」の方は『ジュリー祭り』以降も定期的に採り上げられ、先の50周年ツアーでも歌われました。「みなさま(お客さん)からはスキップしているように見えるかもしれませんが、本人は走ってるつもり」という自虐MCもすっかりお馴染みとなりましたが、いやいや僕らも間違いなくジュリーが「走っている」と観ていますよね。
そんな「疾走するジュリー」の姿を今度は古稀ツアー、「君のキレイのために」で見たい・・・これは僕だけの願望ではないでしょう。

70歳ともなれば確かに体力的には「しんどい」なんてレベルではないはずです。でもジュリーって、「だからおとなしく座って歌う」とは考えなさそう。
なんとか工夫して「走る曲は走るんだ」とあの手この手を凝らしてくるのではないでしょうか。
ジュリーが歌いたい歌を歌いたいように歌えるならば、究極を言えばキーを下げるのもアリだと僕は以前から思っているんです。
最近メディアでジュリーのことを採り上げてくださるプロのライターの方々が増えているのはとても嬉しく思っているけど、いかにもすべての曲をオリジナル・キーで歌っているかのように伝わってしまう文章表現はどうなのかと思う・・・ジュリーだって、例えば50周年ツアーで僕が柴山さんのフォームで気がついたものだけでも「あなたへの愛」「CHANCE」など下げている曲は下げているのですからね。
だから、「君をのせて」や「勝手にしやがれ」のあの高音を今でもオリジナル・キーで歌っているんだよ、という書き方でジュリーの喉、声の凄さを具体的に伝えるのが良いんじゃないか、と個人的には考えます。

ただ「君のキレイのために」について言うと、これは移調泣かせの曲ではあるんですね。
キーは嬰ト短調(サビ前半は同主音の転調があって変イ長調(嬰ト長調に同じ)。だったら半音下げのGmでも問題なさそう、と考えるのは早計です。
何と言ってもこの曲はイントロと間奏に

E→F→F#→G→G#→A→A#→B→C→C#→D→D#

と駆け上がる凄まじいフレット移動が登場します(最後のD#がそのまま嬰ト短調のドミナントとなる白井さんのアレンジ渾身の仕掛け)。
スタート地点の「E」は通常チューニングの6弦ギターで出せる最低音で、これをもし曲のキーを半音或いは1音下げて演奏するとなるとギタリストはフレットの高いポジションから最初の音を展開していかねばなりません。低い音から高い音へと駆け上がるニュアンスが希薄となってしまうのです。
オリジナル・キーとギター・アレンジが一体となっているナンバー・・・ジュリーは意地でもこの曲のキーは下げないでしょう。その上で、走る!
もし古稀ツアーでこの曲が採り上げられたら、「今、目の前で本当に凄いことが起こっているのだ」と考えて間違いはありませんよ~。

当然、セトリ入りの暁に僕が一番注目しているのはそのギター演奏箇所です。
バンド編成であれギター1本の伴奏であれ、そこは不動のポイント。
忙しく動き回る進行の曲って、意外とギター1本だけの伴奏でド迫力が増すものです。それに、後追いファンの僕はまだ下山さんの演奏でしかあの箇所を体感できていません。柴山さんだとどんなフレット運びになるのか・・・すべて横移動で魅せてくれるかもしれない、と楽しみにしています。
一方古稀ツアーがバンド編成だとすれば、この曲も前回お題「生きてたらシアワセ」同様僕はまだ「ベースあり」を生体感できていませんから、そこがまず大きな楽しみ。あと、スネアのチューニングにも注目しています。

いずれにしても、近年の「愛まで待てない」にも勝るジュリーの激走&シャウトに期待したいですね。


それでは、オマケです!
今日は昨年『まんだらけ海馬店』さんのジュリー生誕祝いの時に購入した(今年はまだ行っていないのです・・・)ミュージカル『ペ-パー・ムーン』2000年再演時のパンフレットから、数枚のショットをどうぞ~。


Papermoon1

Papermoon2

Papermoon3

Papermoon11

Papermoon15


このパンフ、元の持ち主様が最後のページにご自身が参加された『ペーパー・ムーン』公演のチケットを綴じて残していらっしゃるんです。かめありリリオホールが1枚と、シアターコクーンが2枚。
2000年のこの公演を3度も観劇されている、その道の大先輩。思うところありやむなく手放されたであろうパンフを今僕がこうして手にとっているわけで、素敵なご縁を感じつつ「有難いこと」と感謝に堪えません。
どこのどなたかも分からないのですが、この場を借りまして御礼申し上げます。


では次回更新は・・・う~むどうなりますか。
6月25日、ジュリー70歳の誕生日に「時の過ぎゆくままに」を書くというのはずっと以前からの確定路線ですが、その前にもう1曲、書けるかどうか・・・。微妙です。
もし書けそうだったら、50周年ツアーでは歌われなかったシングル曲をお題に、と考えています。

梅雨のうっとおしい天気が続きますが、もうすぐ古稀ツアー・チケットの第1陣が届けられるでしょう。
楽しみに待ちながら、ツアー初日に向けてしっかり体調管理ですね。
僕は今回の初日・武道館公演、ご事情あり参加が叶わない、というかたの思いを持って・・・そんな気持ちをこれまでになく強く胸に刻んで今を過ごしています。
元気にこの梅雨を乗り切りたいと思います。

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2018年6月 9日 (土)

沢田研二 「生きてたらシアワセ」

from『生きてたらシアワセ』、2007

Ikitetarasiawase

1. 生きてたらシアワセ
2. そっとくちづけを
3. ひかり
4. GOD BLESS YOU
5. 太陽
6. 天使に涙は似合わない
7. 明日
8. 希望
9. 黒いピエロと黒いマリア

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しばらく更新していないうちに、ジュリーの誕生月である6月も3分の1ほどが過ぎようとしています。

最近の我が家は、カミさんが先日最終回を迎えたドラマ『おっさんずラブ』にどっぷり嵌っておりまして、「2話ぶんしか録画が残ってないのでDVDを買う!」と騒いでいるというそんな日々ですが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。何はともあれ古稀ツアーのチケット第1陣の到着が待ち遠しいですね。
録画と言えば今夜はいよいよ『
セブンスターショー』の放映。綺麗な映像に期待しています!

では本題。
ツアー初日まであとひと月のカウントダウンということで、今日から拙ブログ恒例、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入です。
第1弾に採り上げるのは「生きてたらシアワセ」。10年前の『ジュリー祭り』セットリストから(鉄人バンドのインストを含めて)80曲目のお題記事です。このセトリ予想シリーズで全82曲を完遂しますからね~。

少し前から「簡潔な文量にするために」と考察記事に3つのチャプター分けを導入した拙ブログですが、本末転倒な大長文がそれ以後も続いております(汗)。
反省して、なるべく簡潔に参ります!


①現在「入手困難度筆頭格」?の名盤

今日もまずアルバムの話から。
『生きてたらシアワセ』はCD化されているジュリーのオリジナル・アルバムの中で、後追いファンの僕が唯一不完全な形でしか所有できていないという1枚。
『ジュリー祭り』後の怒涛のアルバム大人買い期間、このアルバムは音源だけ2009年早々に先輩が焼いてくれたものを入手していたこともあり購入を後回しにしていたら、気がついた時には廃盤状態で。
歌詞カードだけ愛知の先輩にお願いしてコピーして頂きそのまま数年・・・一昨年のツアー中に「中古店で見つけました」とわざわざ僕のために購入してくださった別の先輩がいらしてようやく正規CD盤の所有は叶いましたが、それも中古盤ということで歌詞カードは無し。それでも僕は持っているだけ恵まれていて、他の後追いファンのみなさまや中抜けの先輩方からも「このアルバムだけ買えてない」というお話をよく聞きますし、EMI期の名盤達の再発が実現した今、『生きてたらシアワセ』は現在最も入手困難度が高いジュリー・アルバムと言えるのではないでしょうか(リリース時のプレス枚数自体も少ないのだそうです)。

そんな状況に反し、これはジュリーのステージに欠かせない楽曲がズラリと並ぶ重要な1枚です。なにせ『ジュリー祭り』以降のツアーしか観ていない僕が、「生きてたらシアワセ」「そっとくちづけを」「ひかり」「太陽」「明日」「希望✌」と、全9曲の収録曲のうち6曲もの生歌、生演奏を体感できているのですから。

特に想い出深いのは2010年、「明日」「ひかり」「太陽」(セトリ順)と、このアルバムから纏めて3曲が歌われた『秋の大運動会~涙色の空』ツアー。
僕は正直このツアー以前は、正規盤を持っていないということもありますが他にも色々と事情があり『生きてたらシアワセ』というアルバムのリピート率は低かったのです。劇的に再評価させられたツアーでしたね。

今日お題のタイトルチューン「生きてたらシアワセ」は、2008年『ジュリー祭り』、2009年お正月の『奇跡元年』とたて続けにセトリ入りして、本格ジュリー堕ち直後の僕に「LIVE定番曲」を刻みこんだ名曲ですが、その後のツアーではセットリスト入りしておらず、ずいぶんとご無沙汰になっています。
ジュリーにとって大切な曲のひとつだと思いますから、今回の古稀ツアーこそセトリ入り有力候補と考え、満を持して”セットリスト予想”シリーズの先鋒に抜擢した次第。果たして予想は当たるでしょうか・・・?


②2007年ジュリーの「祈り歌LOVE SONG」

つい数日前まで僕はアルバム『生きてたらシアワセ』について、最高にハッピーな曲とどうしようもなく辛い、切ないナンバーが混在する不思議な構成だなぁと考えていました。前者が「生きてたらシアワセ」「GOD BLESS YOU」「明日」。後者が「そっとくちづけを」「太陽」「天使に涙は似合わない」。
ただ今回気合入れてアルバムを通して聴いていて「そうとは言いきれないぞ」と。
ハッピーな曲の中に人生の葛藤や悲しみがあったり、切ない曲の中に穏やかな慈しみがある・・・これはまず僕の「生きてたらシアワセ」という今日のお題曲、アルバム・タイトルチューンへの解釈が大きく変わったことで他収録曲への気づきにも繋がり、アルバム全体の評価も変わったのでした。

僕は過去に一度「生きてたらシアワセ」の記事を書こうとしてとりやめたことがあります。
あれは忘れもしない2009年。『ジュリー祭り』1周年の12月3日に入籍することが決まっていて、ご報告がてらハッピーの押し売り的にこの曲をお題にしてやろうと企んでいました。しかし直前の11月末、突然の訃報。ひと回り以上も年下の親しい友人の予期せぬ旅立ちに大きなショックを受け、「僕は生きててハッピーだ」なんて曲の記事はとても書けない、と考えてしまいました。
今は、「あの時僕の目と耳は曇っていた」と思います。

「生きてたらシアワセ」って、「俺は生きてる、君と一緒にいられてハッピーだ」などというただそれだけの歌では決してないのですね。
歌の主人公(ジュリー)は、自分自身のことよりも何よりも「君」の幸せを、「君」の人生をひたすらに祈っている。今僕にはこの曲が、主人公の身近な人への底知れないエールとして響きます。ジュリーの声が「君」に向けて「生きて欲しい」「シアワセであって欲しい」と歌っているように聴こえます。
大切な人へ惜しみなく注がれる祈り。
「僕」が生きてることがシアワセなのではなくて、「君」が生きていることがシアワセなのだと・・・。

どんな君     も   抱きし    め
G       G(onF#)  G(onE) G(onD) C   D

どんな君     も   受け止   め  ok ♪
G       G(onF#)  G(onE) G(onD) Am7    D

これは単に「パートナー讃歌」で片付けられる表現ではないです。例えば「君が年を重ねてどれほど変わろうとも」だったり、「君にどんな苦難が降りかかろうとも」だったり・・・同じように年齢を重ねる「僕」からの無償の愛情、苦難への覚悟、決意表明のように感じてしまうのは、僕が50代になったからでしょうか。
でもこの解釈はきっと合っている、と思うのです。
同時に、アルバム『生きてたらシアワセ』収録曲はすべて「祈り歌LOVE SONG」だと思えてきます。
自分のためでなく「他人のシアワセを祈る」ことは世の平和、平穏への祈りに似ていると僕は思います。ですから「生きてたらシアワセ」のような詞を作るジュリーが「平和を尊ぶ人」であることはとても自然。
この世界に棲む1人1人、それぞれの身近な人への祈りなくして平和なし。平和なくして「シアワセ」なし。

実は僕は、前々からこのタイミングで書くと決めていたお題「生きてたらシアワセ」の記事を、今回もまたどたん場で「書くのをやめようか」と迷いました。
先述の通りそれまでの楽曲解釈が甘かったため、「俺はハッピーだ、なんてことを書いてる場合なのか」と思ってしまって・・・。この国や世界の情勢もそうだし、身近で起こっていることにもそう考えさせられていました。
ジュリー70越えまでに『ジュリー祭り』セットリストを全曲記事にする、なんてのは所詮僕が1人で勝手に言っていただけのことだし、「この1曲だけ間に合いませんでした、残念」で良いんじゃないか、と今週のはじめには一度考えました。
でも曲を聴き込むに連れ、ジュリーの愛は大きい、ジュリーの祈りは深い、と。
反して僕の小ささは何だ。これは今こそ書くべき曲であり、今こそ歌われる歌なんじゃないか。僕も身近な人のために祈ろう、まずはそこからだ、と思い直して今この記事を書いている次第です。

ちなみに僕がこの歌で一番好きなのは

感謝してるよずっと 憎い奴だと思う ♪
Bm             C        D     Bm    Em

このブリッジ部。詞もメロディーもジュリーのヴォーカルも、ここが特に良い、と思います。
直前の間奏ギター・ソロと同進行なんですよね。曲中一度しか登場しないヴァースの進行をまず間奏として先に提示する・・・細かいことかもしれませんが、白井さんのアレンジも冴えまくっています。
やはり名曲中の名曲ですね。


③2番Aメロのギター・ストロークが好き!

今回の”セットリスト予想”シリーズ記事では、チャプター③で「もし予想が当たったらお題曲の演奏はここに注目!」というテーマで書いていこうと思います。それはイコール、おもにオリジナル音源で個人的に好きな演奏箇所がどのように再現されるか、という予想を書くことになるんですけど。

ただし、初日までもうあとひと月ちょっとに迫った古希ツアー・・・新たなバンド結成の情報も未だなく、どういう編成で開幕するのかが僕らファンにはまったく予想がつかない状況です。
ならば、予想シリーズお題曲のセトリ入りが叶った際の演奏の見所も、バンド編成のパターンとギター伴奏1本のみのパターン、もしくはそれ以外のパターンと分けて考えていかねばなりませんね。今日はその「”生きてたらシアワセ”編となります。

まずバンド編成の場合。
これはもう、オリジナル音源には無いベース・パートに注目です。ベースレスの時期の作品のいくつかの曲については依知川さんの復帰に伴い新たな「ベース入り」のアレンジでステージでの披露がありましたが、「生きてたらシアワセ」はまだですよね。
僕は、オリジナル音源で右サイドに振られているパワー・コード(4~6弦の低音弦のみを複音で弾くサイド・ギター奏法)のパートをそのままベース・パートに転換すると予想します。元々、アルバム『生きてたらシアワセ』収録曲にはパワー・コードのアレンジが多く、2016年の『Barbe argentee』で歌われた「希望」で依知川さんがパワー・コードのパートをベースで再現してくれました。
もし「生きてたらシアワセ」で同じ手法が採用されれば、曲冒頭のドラム・ソロを受けて、ギターより先にまずベースが噛み込むアレンジとなります。
CD音源とはまた違う、グッと重厚度を増した「生きてたらシアワセ」のイントロを楽しめるはずですよ~。

続いて、伴奏がギター1本の場合。
柴山さんがオリジナル音源の左右2つのギター・パートを交互に繰り出すと予想します。
基本は右サイドのパワー・コードによるバッキングを踏襲。ただ「生きてたらシアワセ」のギター・アレンジはどちらかと言うと左サイドのストロークの方が「曲の表情」をより体現していて、2番Aメロでは1~3小節目と5~7小節目の4拍目にミュートが登場します。1番とは弾き方が変化していて、これが2番で歌われる主人公の回想や思案げな歌詞部とマッチしているんですよね。
個人的には曲中で最も惹かれる演奏箇所ですので、是非ステージ再現を期待したいです。

そして古希ツアーの演奏で僕が「可能性あり」と考えている3つめのパターンは、「打ち込み」の導入。
手持ちのDVD映像ですと、過去にジュリーは「緑色の部屋」(『あんじょうやりや』)や「嘆きの天使」(『愛まで待てない』)などで(CD音源に準じて)打ち込みを使用しています。例えば「嘆きの天使」ではそこに生音の鍵盤を載せているわけで、その意味では「ジュリーと泰輝さん2人だけのステージ」が成立。
「生きてたらシアワセ」のようにオリジナル音源でループ・リフレインを採用している曲では、ジュリーと柴山さんの2人で同様のパターンが古稀ツアーではあり得る、と僕は見ました。柴山さんのソロへの移行も問題なく、スムーズになりますしね。他アルバム収録曲では「太陽」についてもその可能性は高いと思います。

先の50周年ツアー、「晴れのちBLUE BOY」で久々に「打ち込みアリ」のステージが実現。古希ツアーに向けての「試し斬り」だったのかもしれませんよ~。

僕は基本「ジュリーのLIVEはバンドで観たい」という思いを持つ一方で、個人的に色々なパターンを想定して古希ツアー初日を待っています。
もし複数の曲で打ち込みが導入されるならば、「生きてたらシアワセ」はセトリ入りの大有力候補でしょう。「自信あり!」の予想なのですが果たして・・・?


それでは、オマケです!
2007年関連資料のネタが手元にありませんので、今日は若き日のジュリーのショットをいくつか。Mママ様よりお預かりしている大量の切抜きからどうぞ~。


Pic020

Paper29

1972014

007

1973010



では次回お題は、これで残すところあと2曲となった『ジュリー祭り』セットリストから、「君のキレイのために」を採り上げます。
この曲も「生きてたらシアワセ」と同じく『奇跡元年』以来ご無沙汰なんですよね~。セットリスト定番と言ってよい曲ですし、そろそろ来ると思いますよ!

それとね。
もしも古稀ツアーが柴山さんと2人だけのステージ編成になったとして、じゃあこの2人にしか出来ないことは何か、と考えた時・・・柴山さんならどんな激しいビートものでもギター1本でバッキングしてくれるのは当然として(でも、ジュリーと歩んだ道のりが長い柴山さん以外のどんなギタリストでも1人ではできないことですよ。そこ重要)、「セットリスト変更アリアリのツアー」というのが考えられるんです。
ジュリー・ナンバーのステージ再現への圧倒的な経験値と理解を誇る柴山さんとなら、ファンにとって夢のようなこのスタイルが可能。さすがに日替わりまでは無いとしても、月替わりとかね。
これこそバンド編成では考えられない「冒険」的アイデアですし、そもそも相方が柴山さんでなければ無理。僕自身は古稀ツアーで「月イチ」の参加は断念しましたが、おそらくジュリーファンの多くが「月に一度はジュリーに逢いたい」との方針でツアー・チケットを申し込んでいらっしゃるはずで、もし僕のこの予想が実現してしまったら、月イチのスケジュールでツアーご参加のみなさまが羨まし過ぎますよ~。

そこで、「定番曲(リハ不要ってことね)のいくつかを月替わりでセトリにブチ込んでくる」コーナーの実現を祈願いたしまして、その有力候補曲として僕は「君のキレイのために」に1票を投じます。
まぁ僕の予想って本当に”全然当たらない”のですが実際どうなりますか。引き続き頑張ります!

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