沢田研二 「嘘はつけない」
『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』収録
original released on 1980 シングル「酒場でDABADA」B面
disc-31
1. 酒場でDABADA
2. 嘘はつけない
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新しいNHK朝ドラが始まっていますが、みなさま観てますか?(朝ドラ好きのジュリーはたぶん観てる・・・と思うけどどうかな?)
僕は会社の昼休みにテレビでNHKがつけっ放しになっているので自然と朝ドラは再放送で全作網羅する感じなんですが、今回の『半分、青い』は、普段朝ドラに見向きもしないカミさんがせっせと録画をしておりますので自宅でも観ることができます。
と言うのも、カミさんは数年前から佐藤健さんに嵌っているのですな~。
『半分、青い』に出演する佐藤さん(たぶんヒロインの相手役なんだと思う)は他NHK番組での番宣露出も多く、最近の我が家は夕食のお供がほぼ佐藤さん出演番組の録画鑑賞という状態になっております。
カミさん曰く
「朝ドラ観てるジュリーファンの中で何人かは必ず佐藤健に堕ちるはず!」
とのことで、女性から見ると佐藤さんはちょっとジュリーに重なる魅力もあるっぽいです。
それにしてもこの数年、カミさんはことあるごとに佐藤健が佐藤健がと連呼するので、僕は遂に昨年、旦那の威厳をもってガツン!と叱りつけてやりましたよ。
「『仮面ライダー電王』観ずして佐藤健を語るな!」
と(笑)。
僕は昔から特撮好きではありますが、DVDを全巻購入するほどまでに入れ込んだ作品はほんの僅か。佐藤さんの出世作となった『仮面ライダー電王』(2007年放映)はその中でも筆頭格でした。
旦那の意見を素直に聞き入れ『電王』を観始めたカミさんはまたたく間に主人公を演じる佐藤さんのみならずスーツアクターの高岩成二さんにまで嵌り、現在カミさんの部屋は『電王』登場キャラクターであるイマジンのフィギュアで溢れかえっています(笑)。
こちらは先月川越に遊びに行った際に訪れた、『仮面ライダー電王』ロケ地として有名な『モダン亭太陽軒』さん。
実際には洋食屋さんなのですが、『電王』作中では佐藤さん演じる主人公のお姉さんがきりもりしている喫茶店『ミルクディッパー』の外観として登場します。
ということで僕らは夫婦で佐藤健さんを応援中。
『半分、青い』は今週から青年期に突入するという、ちょうど佐藤さん登場のタイミングです。ジュリーファンのみなさま、是非『半分、青い』を観ましょう!
おっと、久々にお題とはまったく関係のない枕を長々と・・・失礼いたしました。
前回に引き続き、今日もジュリー珠玉のシングルB面曲を採り上げます。
『酒場でDABADA』のB面で糸井重里さん作詞・ジュリー作曲「嘘はつけない」、伝授です!
①50周年ツアー会場BGMの思い出
と言いつつ、今日は曲の考察自体は少なめです。
枕に引き続き、記事本文でものっけから話が逸れてしまうのですが・・・。先の50周年ツアーの参加会場でBGM体感したジュリー・シングルB面曲を、僕はあれこれと今改めて思い出しているところ。
僕の場合は初日のNHKホールと11月の松戸がほぼ同じ内容だったりするなど、全時代まんべんなくとはいきませんで、結果オールウェイズ&エキゾティクス期、CO-CoLO期、JAZZ MASTER期をまったく聴くことなくツアーを終えました。
やっぱり「もうするステージが始まる」という緊張感、期待感の中で会場内音響で体感するBGMというのは、ただ自宅で聴く時とは違う味わいがあって、しかもそれがシングルB面群という素晴らしい趣向・・・全時代をひと通り聴いてみたかったのでその点は少し残念。まぁ巡り合わせですから仕方ないんですけどね。
今日のお題「嘘はつけない」も僕の参加会場では遂に聴けずじまいでした。
みなさまはそれぞれ参加された会場で特に印象に残ったB面曲、ありましたか?
僕が「おおおっ!」と盛り上がったのは、12月の武蔵野公演。おフランス・シングルのあたりで入場して、着席してからはじっくりと阿久=大野時代の濃厚なB面名曲群を満喫。今さらながら凄い詞曲の組み合わせだなぁと聴き入っていたら、「真夜中の喝采」が終わったところでブザーが鳴って「まもなく開演」のアナウンス。
「え~と、アナウンスの後もBGMって流れるんだったっけ?」と考えた瞬間に「バタフライ革命」のイントロが始まりました。いやはや、「まもなく開演」からの「バタフライ革命」って・・・インパクトあり過ぎでしたよ~。
詞を普通に考えれば、曲想的には「パーティーさわぎ~♪」と歌う「真夜中の喝采」が軽快なテンポで、「お前は男~♪」と歌う「バタフライ革命」がしっぽりとしたバラードとするのが本来似合いそう。でもそれを平気でひっくり返しちゃうのが阿久=大野時代の醍醐味なんだよなぁ、とそんなことを考えつつジュリーとバンドの登場を待っていた・・・これが僕の50周年ツアー・会場BGMの一番の思い出ですかね~。
ファンはそれぞれ自分の中に「ジュリー像」を体現する詞曲というものを違う形で持っていると思うけど、世間一般のジュリー像って、やはりこの時期の阿久さんの詞のイメージだと思います。
阿久さんは「男のやせがまん」という言葉を使っていたと聞きます。まぁ「ダンディズム」になりますね。
男性作詞家が書く(投影する)ジュリーの詞、突き詰めればここに極まれり。80年代以降、大津あきらさんや秋元康さんが阿久さんのその路線を踏襲しつつ、名編を生み出していきました。
では、比類なきオリジナリティーで新たな「ジュリー像」を果敢に切り開いた糸井重里さんは、その点どうだったのでしょう?
「TOKIO」「恋のバッド・チューニング」。はたまた「MITSUKO」「みんないい娘」「HEY!MR.MONKEY」「クライマックス」・・・糸井さんの描くジュリーは、いかに主人公の「男」が漲っていようとも阿久さんのそれとはまったく違うように感じられます。
しかしただ1篇だけ、阿久さんが確立させた「ジュリー像」にとても近い作品、それが今日のお題「嘘はつけない」ではないでしょうか。
といったところで、次のチャプターからようやく楽曲の考察に入ります~(汗)。
②「みんないい娘」とは兄弟曲?
僕が「嘘はつけない」を初めて聴いたのは2009年、大枚はたいて購入した『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』でした。
僕もまだまだジュリーファンとしては基本知識が浅く、未知のB面曲を単独で聴いた時にリリース時期も特定できないような状態の頃。それぞれの曲を一応歌詞カードとクレジットを見ながら聴いていましたから、初聴時に「これは○○のB面」と頭に叩きこんでいくわけですが、何せ「こんな名曲があったのか・・・全然知らなかった」という、その数が多い。すべてをいっぺんには覚えられませんわな。
だからなのでしょうか、「嘘はつけない」のクレジットもずっと記憶が曖昧で。
作詞・糸井重里さん。
作曲・ジュリー。
編曲・松任谷正隆さん。
いずれも「へぇ、そうだったのか」とCDを取り出したその都度再確認してきた感じです。編曲の松任谷さんなんて、ジュリー・ナンバーとしては珍しいですよね。
まず僕はこの曲の作詞者を一時期阿久さんだと思い込んでいました。
裸のあなたがカメラを向けた
Em D Em
冗談(ジョーク)はよせよ
Am
思い出ができちまう
Am Em F#7 B7
そろいのグラスでシャンパン飲めば
C Em D B7
愛に似たような 気分になれる ♪
Am Em F#7 B7
出だしから、阿久さんっぽくないですか?
「よせよ」とか「できちまう」とか「気分になれる」とかね。断定的と言うか、阿久さんの描く「男」の台詞回しを僕は連想してしまいます。
次に作曲者がジュリーという点。
これはね、特に違和感は感じていなかったんですが、昨年福岡の先輩から授かったジュリーのラジオ音源の中の『NISSAN ミッドナイト・ステーション』特別企画『ジュリーB面ベストテン』放送回で、ジュリー自身がこの「嘘はつけない」を「加瀬さんの作曲」と紹介しているんですよ(詳しくは次のチャプターで!)。
これは単なるジュリーの勘違い?
それとも当時のシングルレコードのクレジットが誤って「作曲・加瀬邦彦」と記されていて、ジュリーはそれをそのまま読み上げてしまった?
シングル盤『酒場でDABADA』をリアルタイムで購入し今も保管されている先輩方、お手数ですがその点チェックして頂けると嬉しいです。
僕の想像ではおそらく、当時ジュリーが作ったプリプロのデモ音源を加瀬さんが相当な範囲で手直しして、ジュリーとしては「ずいぶん感じが変わった」=「ほとんど加瀬さんが仕上げたような曲」というイメージが強く残り、その後「加瀬さんの曲」と認識するに至った、という・・・いかがでしょうか。
それ以前の曲にも、例えば「コバルトの季節の中で」は加瀬さんが手直ししてくれた、と話がありましたし、逆に「危険なふたり」はキメのメロディー部をジュリーの希望で変えたと言いますし。
ジュリーと加瀬さんはずっとそんなふうに「曲作り」を二人三脚でやってきたのでしょうからね。
で、「嘘はつけない」に加瀬さん色を感じながら改めて曲の仕上がりを紐解くと、リリース時期の近いアルバム『BAD TUNING』収録の加瀬さん作曲の名曲「みんないい娘」との共通点が浮かびあがります。
キーこそ違いますが(「みんないい娘」はニ短調、「嘘はつけない」はホ短調)、いずれもミディアム・テンポの短調によるビートもの。また、オルガンを前面に押し出すシャキシャキとしたアレンジや、サビでの並行移調のニュアンスもそっくりです(「みんないい娘」はヘ長調へ、「嘘はつけない」はト長調へ)。
さらに、作詞がどちらも糸井重里さん。これはまるで「兄弟曲」のような関係ではないですか。
そう考えると、先に「嘘はつけない」は糸井さんが唯一世間的なジュリーのイメージに沿って阿久さんの詞に近づいた、と書いた僕の考察も怪しくなってきます。
「みんないい娘」にはズバリ「嘘はつけない♪」というフレーズも登場。浮気な色男が可愛い女の子達を手当たり次第に口八丁手八丁で口説いていた中で、1人だけストップモーションの特別な存在を意識したのは、「大人の女性」だったのでは?
嘘はつけない 大人の女(ひと)に
G Bm7 C D7 G
嘘はつけない 大人の男 ♪
Bm7 Em F#7 B7
「嘘はつけない」と「みんないい娘」は同じ女性のことを歌っているのかもしれないなぁ。てか、下手するとそれが「MITSUKO」さんなんだったりして。
糸井さん作詞のジュリー・ナンバーは約2年という短期間に限定されていて、だからこそそれぞれの詞の密度はとても濃いです。こうして色々と(強引に)作中の登場人物を関連づけてみるのも面白いですね。
糸井さんは今も多方面で大活躍されています。福島の原発事故については一貫して「反差別」の志を持つ糸井さん・・・それは先月「ロイヤル・ピーチ」の記事で書いた僕自身の考え方とよく似ていて、僕としては本当にリスペクトする人です。
ただ、ジャイアンツファンなんですよねぇ、糸井さんって。そこだけはちょっと・・・(笑)。
あと、このシングルのA面の方・・・「酒場でDABADA」についても少しだけ書かせて下さい。
盟友YOKO君の「元祖・ダイブ曲」です。
10年前の12月3日、2人連れ立って参加した初のジュリーLIVE『ジュリー祭り』の開演前、遥か高い2階スタンド席に着いて眼下のアリーナを眺めながらふと「どの曲のイントロが来たら、あそこ(アリーナ)にダイブする?」という物騒な話(笑)になって、僕は「ロンリー・ウルフ」、YOKO君は「酒場でDABADA」を挙げました。
あれから10年が経ちますが、その時僕らが口にした2曲はそれ以来未だにツアー・セットリスト入りしていません。ビッグチャンスだった先の50周年記念ツアーでも見送られ、「何故ジュリーはなかなかこの2曲を歌わないんだろう」と不思議に思い、昨年ジュリー道の師匠の先輩に疑問をぶつけてみました。
先輩は「酒場でDABADA」について、「以前DYさんがDABADAをセトリ予想で書いた時、昔からのファンは皆”それは難しいんじゃない?”と思っていたのよ」と。
しかし「でも、今年のツアー(50周年ツアー)を観てたら、”今のジュリーならDABADA歌えるわ!”と思った」のだそうです。
僕は新しいファンなので先輩の教えをうまく噛みくだけてはいないんですけど、「ジュリー本人が”その気”になる」ための高いハードルが「酒場でDABADA」という曲にはある、ってことなのかな。
先輩曰く「今のジュリーなら歌える」・・・僕には、数年前のジュリーと50周年ツアーのジュリーとでどんな変化が先輩に見えているのかまでは分からないのですが、古稀ツアーでの「酒場でDABADA」降臨に期待を膨らませています。
ということなので、さいたまスーパーアリーナのスタンドから10年越しのダイブを敢行するYOKO君を目撃したいみなさま、万難排して是非さいたまスーパーアリーナに集結してください!(笑)
③『ジュリーB面ベストテン』(後半部)
さぁここでは、昨年来猛勉強中のジュリー過去のラジオ音源、今日は前回の続きで『NISSAN ミッドナイト・ステーション』特別企画『ジュリーB面ベストテン』放送回の後半をお届けしますが、まずはお詫びから(汗)。
前回記事の予告で「惜しくもベストテンから漏れた11位から20位の曲」と書いてしまいましたが、『B面ベストテン』で発表されているのは11位から15位まででした(『A面ベストテン』の方では20位まで発表しているんですけどね)。ごめんなさい。
ということでその11位から15位の「隠れた名曲」についてジュリーのコメントを聞いていきましょう。
11位「世紀末ブルース」(35票)
何というタイトルなんだこれは(笑)。
またこれ演奏した時大変だったんですよ。横浜球場で。病気して、病気明けの時でございますよ~。その頃はオールウェイズというね、バックバンドでございました。
恐怖の世紀末ブルース、うん(笑)。
厳密には「シングルB面」としての「世紀末ブルース」はスタジオ・レコーディング・ヴァージョンなんですけど、やっぱりジュリーはアルバム『BAD TUNING』収録のLIVEヴァージョンのイメージの方が強いようですね。
そうかぁ、大変だったんだ・・・オールウェイズの演奏自体が大変なことになってるのに加え、ジュリーはまだ体調が万全ではない中での激しいパフォーマンスだったということなんでしょうね。
ちなみにほぼ同世代の男性ジュリーファンであり、じゅり風呂の大先輩でもあるkeinatumeg様が最近の記事で、「自分は世紀末ブルースに投票した」と書いていらっしゃいます。このラジオ番組をリアルタイムで聴いていらしたんですねぇ。羨ましい!
12位「遠い旅」(31票)
これはなかなかねぇ、渋い曲でございますよ。井上堯之さんの生ギターでね。難しい、何分の何、というコードが出てくるやつでございますよ。僕には弾けないという・・・ハッハッハ!
ジュリーは弾けないみたいですが僕は弾けますよ~。ただしカポ2のCで。
僕が現在のジュリー知識のまま『NISSAN ミッドナイト・ステーション』放送当時に遡ってラジオを聞いていたとしたら、たぶんこの「遠い旅」に投票しただろうなぁ。
前回書いた「美しい予感」も同じくらい好きなんだけど、あちらは「アルバム収録曲」のイメージが強いですからね。「B面」の括りなら僕は「遠い旅」推しです。
13位「旅立つ朝」(28票)
ちょっとこれはタンゴ調のリズムになっておりましてね。なかなかステージ映えした曲でございますよ。
14位「嘘はつけない」(25票)
糸井重里さんの作詞でございますね。曲は加瀬邦彦さん。
・・・ね?「曲は加瀬邦彦さん」って澱みなく言ってるんですよ、ジュリー。
先のチャプターでも書きましたが、実際のところどうなんでしょう。とにかく僕はこのラジオ音源を聞いたのが昨年のことで、ま~ブッたまげました。
だって、2015年の時点で僕は「加瀬さん作曲のジュリー・ナンバーはすべて記事に書いた!」と堂々と言ってしまっているわけですから。
慌ててCD取り出してクレジットを確認しましたし、ウィキも見てみて・・・やっぱり「作曲・沢田研二」となっているんでホッとしたんですけど。
この頃になると割と最近だから、これといって思い出も・・・あっ、そうだ。ジャケット見ました?髭はやして・・・髭薄いのに!
この時これね、睫毛につけるやつ・・・マスカラ?マスカラで(髭を)濃くしてね、撮影したんです。こんな写真のように濃くはならないんですよ、僕の場合は。
男性は、普段髭の濃い人より薄い人の方がカミソリ負けしやすいと聞いたことがあります。だから今ジュリーは髭を剃るのをやめて整えるだけにしているんじゃないかな。カミソリ負けが酷い人は「朝から大流血」なんて日常茶飯事らしいですから。
かく言う僕は・・・濃いです!南国系ですので(笑)。
15位「夕なぎ」(22票)
この曲は・・・この番組でも言いましたっけね、ワイルドワンズがタイトルを変えて、詞の内容も変えて、メロディーはそのまま使ってLPに入れとるんです。
しっかりしとるぜ、加瀬さん、作曲家!(笑)
以上が11位から15位。なかなか興味深いラインナップです。先輩方に人気が高い、というイメージがある「青い恋人たち」が入ってないのが意外でした(ベスト3にもランクインしていません)。
それではいよいよ3位、2位の発表です。
3位「月曜日までお元気で」(89票)
これはもう今年の1月に発表した『麗人』のB面なんですけど、まぁこの1年足らずの間にね、ずいぶん僕のサウンドも変わったなぁとつくづく思いましたね。
それからやっぱり、曲のテンポを決めるっつうのは難しいな~。ステージなんかでやってると、もうちょっとゆったりめだもんね。(この曲は)ゆったりめの方が気持ちいいもんね、うん。
2位「ZOKKON」(108票)
これは僕の作詞・作曲でございましてね。
え~まぁ、「この曲はどういうふうに書いたんですか?」というお便りを当時たくさん頂きましたね。「これ、ひょっとして田中裕子さんのことを思いながら書いたんじゃないですか?」とか。そんなことは決してございません、ハイ。
なるほど、「ZOKKON」はそういう時期のリリースですか。でもこれはジュリーの言う通りだと僕は思いますよ。アルバム『A WONDERFUL TIME.』に収録されているジュリーの自作曲は詞曲とも「夏に向けて」という明快なコンセプトがあります。作ったのはちょうど今くらいの時期か、もうちょっと前でしょうけど、「夏からの新しいアルバムのツアーで歌う」ことを念頭に、夏らしい曲をということで2曲それぞれこういう詞になったんじゃないかな。
あとこれはね、「景気づけ」という役割を持つ曲。ジュリー自身が自らを鼓舞する・・・そんな進行、譜割りになってます。いずれ考察記事を書きますが。
ちなみにタイトルを発表する際ジュリーは「ぞっこん」ではなく「ぞここん~!」と発音しています。
さてここまで進んだところで、ジュリーがひとしきり「B面とは」と講義してくれています。
チャプターがかなり長くなりますがとても興味深い内容ですから、書きおこしてみましょう。
やっぱりB面って言うと・・・(シングルを買った人は、まず)A面聴いて「うん!」と。まぁ2、3回A面聴きますわね。で、ちょっと気分直しに「ああ、B面?あったね」という感じでB面パッと聴いて、「あ~、ふ~ん、B面ね」って感じで、またA面を聴くという。本当に「恵まれない」という感じがするんですけれども。
かと言って僕たち作る側としては、「これはB面用」なんて思って作るわけでは決してないんですよね。
いや・・・でも正直言ってあるかもしれないなぁ。
作家の心理としてはですね。「これがA面、ギンギンに行く!」・・・で、もう1曲、まぁ2曲ぶんシングル用で頼まれていたとしたらよ?例えば、(何も)言われなかったらどっちが(A面かB面か)分からないわけだから一生懸命に、僕の場合でも作るんだけど、割とね、(製作サイドから)2曲シングル用って頼まれる時には、詞が先にあったとしたら「こっちの詞のやつをバ~ッと思いっきりやって下さい。あとは(もう1曲は)流して結構です」なんて言われる時もあるね。時々あるよ!うん(笑)。
それからね、シングル候補が2曲あった時に、「1位、2位」ということで「A、B」となる場合と、LPを出す都合とかそういうのが色々とあってやね、「LPにも入ってる、シングルにも入ってる」ということよりも、「シングルにはLPに入ってない曲を入れると、ファンの人が買ってくれるんじゃない?」というそういうセコい考えで入れるような場合も、あるようでございますよ。
いや、決して僕のことっていうのではなくて・・・あるようでございますねぇ(笑)。ここだけの話ですが。
今日は暴露話になっております(笑)。
僕のシングルに関しては、ここ2、3年は本当に「1位、2位」になっていますね。A面をすべった曲がB面に入ってる、という場合が多いですね、うん。
まぁ何はともあれですよ、「出してみないと分かんない」ということがあるじゃない?
いつも決まったスタッフなりがいてね、そういうスタッフが決めるわけだ。「こっちもイイんだけどな~。どっちだろう?」なんて言いながらこう、いざパッと出して、「B面もイイ」なんて言われる場合がしょっちゅうあるわけですよね。人の好みにもよるだろうし。
でも過去において一番凄かったのは、タイガースの頃にね、「銀河のロマンス」、A面ね。B面が「花の首飾り」。これが完璧逆転しちゃったわけよ。こういうことっつうのはまぁ、凄いね。
それからね、「サムライ」を出した時に、(B面が)「あなたに今夜はワインをふりかけ」。「これもイイ!」って、ある番組なんかね、こっちの方がリクエストが多いとか、ラジオなんかでね。いわゆるオリコンなんかにも、「あなたに今夜はワインをふりかけ」が単独でランクに入ってきたりね。
でもそれが(A面とB面を)逆転する、ということまでにはいかなかったということでございましてね。
まぁ本当に、いまだに決して忘れないのは「花の首飾り逆転事件」というね。これはもう永遠にワタクシのウィークポイントであったりなんかするわけでございますけれども(笑)。
いやぁ面白い話です。
「花の首飾り」って、僕なんか新規ファンですから「かつてそういうことがあった」というのはまぁ知識としてありつつ、でもそんな気にすることのほどでも・・・なんて思っているのに、ジュリーファンの先輩方は一様にすごく気にされているから不思議に感じていたんです。
そうかぁ、ジュリー本人がず~っと気にしていて、みなさんそれをご存知だったということなんですね。
あと、A面B面を2曲纏めて作曲依頼される時の話も興味深い。ジュリーは実体験から話してくれていると思うので、アン・ルイスさんの『ラ・セゾン』の時にそんなことがあったのかな。
B面の「Clumsy Boy」も名曲だと僕は思いますが、じゃあそちらがA面で違和感無しか、と言われるとやっぱりねぇ。ジュリーは「あとは流して結構です」を真に受けて作ってはいないでしょうが、どうしてもそんなふうに依頼されてしまうと入魂度も違ってきたりするものなのでしょうか。
では放送本編に戻りまして、ここでジュリー本人からのリクエスト・・・「15位以内には漏れたけど僕が好きな曲」ということで
番外篇「甘いたわむれ」
がオンエア。
そしていよいよ1位の発表です。
1位「あなたに今夜はワインをふりかけ」(186票)
『ジュリーB面ベストテン』、栄えある第1位は、186票のダントツで「あなたに今夜はワインをふりかけ」でございました。
順当なところですね、この1等賞は。うん、そう思いますね。
さっきも話が出ましたけれども、これも「何でB面なんでしょう?」っていうお便りもね、たくさんありました。
でも僕たち思うんですけど、「この曲イイから、今度のシングルにとっておこう」なんてすると、絶対古くなるんですよ。「あの時のやつ出せばいいのに」と思っても大概ダメ。だからその時その時にやっぱり、新しいチャレンジをして、B面にしろ何にしろね、作ってやっていきたいと思いますね。「ストックの曲をB面に入れる」とかそういうことは決してしないようにしようと思っておりますよ、ハイ。
みなさまもこれからは、恵まれないB面に愛の手をさしのべて頂きたいと思っております。
その後時代は大きく変わり、今はもう「シングル・ヒット」なんて言葉すら意味が希薄となりました。
それこそジャケ違いだなんだと「セコい考え」のセールス戦略がが当たり前になったり、タイアップありきになったり・・・。最早「A面があってのB面曲の素晴らしさ」が前提として語れない時代になってしまいましたから、今の若い人達がこのジュリーの「B面講義」を聞いてもよく飲み込めないかもしれませんね・・・。
『ザ・ベストテン』全盛世代の僕はギリギリ「シングル・ヒット」の意味を知っています。
ウィングスの「デイタイム・ナイトタイム」、邦楽だとゴダイゴの「ア・フール」、ツイストの「cry」とか、「お気に入りのB面」が入ったシングルが実家に残っています。
僕は、今となってはもう貴重な、いい時代を過ごすことができた・・・『ジュリーB面ベストテン』のラジオ音源は、改めてそんなふうに実感させてくれましたねぇ。
ジュリーファンのみなさまの「私にとってのイチオシB面曲」、この機に是非教えてくださいませ。
それでは、オマケです!
今日は『G. S. I LOVE YOU』パンフレットの中から、「マスカラで髭を濃くした」ショットを4枚どうぞ。
では次回更新は、4月20日の予定。
加瀬さんの4回忌ということで、ワイルドワンズの曲を採り上げたいと思います。
どの曲を書くかはもう決めているんですけど(2曲同時執筆のつもり)、問題は20日までに記事を仕上げられるかどうか。実はその20日金曜日から日曜まで、2泊3日でカミさんの実家のお墓参りに帰省するのです。
ですから前日の木曜日までにすべての下書きを済ませ、20日の朝出かける前にupという段取りに。
間に合うかなぁ?
もし間に合わなかったら、加瀬さんごめんなさい!
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コメント
DY様
こんにちは。そうでしたか、南国系でしたか。私はひげも体毛も薄い非南国系(髪は多い方です!、念のため)、でもひげ剃って流血もあまりありませんねぇ。「酒場でDABADA」のジャケット写真、当時あんまり好きじゃありませんでした。
さっそくシングル盤引っ張り出してきて確認しましたが、ジャケット裏の歌詞カード(って言うんですか?)も盤面のラベルもお題曲は「沢田研二作曲」と記されていました。当時カセットテープだけで発売された『沢田研二作品集』にも収められていましたからご本人作曲は間違いないでしょう。
興味深いのは「DABADA」だけ演奏・オールウエイズとクレジットされていることです。沢さんアレンジだから当然演奏はオールウエイズ、B面は松任谷さんアレンジだからスタジオミュージシャンということなんでしょう。そう言えば当時ラジオでジュリーが、お題曲のギターのどのフレーズだか、鈴木茂さんが考えたか強引に?そう弾いたか何かそんなこと言ってたように記憶してます。松任谷さん人脈なら自然な起用ですね。
B面云々のラジオ、高校生の時に関西から微弱な電波拾って聴いていました。私なら「夕なぎ」に1票です。
投稿: ねこ仮面 | 2018年4月18日 (水) 12時45分
ねこ仮面様
ありがとうございます!
やはり「ジュリー作曲」というのは間違いなさそうなのですね。
ラジオの時はジュリーが単に思い違いをしていただけなのかな?
僕もこのシングルのジャケ写には特にどう、という感覚は持っていなかったのですが、この記事を書くためにポリドールBOXからシングル1枚を取り出してしばらくの間デスクに置いていたらカミさんがそれを見つけて「うわ~、ええ男!」と言っていましたから、女性視点だと「ワイルド」な色気ムンムンの格別カッコ良いジュリーのショットに見えるのでしょう。
ねこ仮面様のB面イチオシは「夕なぎ」ですか!
この『B面ベストテン』は比較的放映当時に近いシングルB面に得票が集まっているようで、そんな中にあって「夕なぎ」が15位。長いファンに人気の高い曲なのですね~。
投稿: DYNAMITE | 2018年4月18日 (水) 16時23分
ねこ仮面様
追伸です。
昨晩たまたま、まだ未聴だったラジオ音源を勉強していたら、糸井重里さんの番組にジュリーがゲストに招かれ、糸井さんが「作曲家・ジュリー」を掘り下げてくれている、という内容のものがありました。
そこで、「自分の作詞、沢田さんの作曲」ということで「嘘はつけない」がオンエアされ、それを受けてジュリー自身が「こんなふうに作った」と話しているんですよ~。
近い機会にこの話を別の記事で書きますね。
投稿: DYNAMITE | 2018年4月19日 (木) 08時59分
DY様
こんにちは。
それは凄い発見ですね。余ってた(ストックのという意味でしょう)詞に曲を付けたような話も以前聞いた記憶があります。詞先で作曲して場合、大抵は翌日には出来てるとかそんな話も。
何にせよ貴重か音源が残っていましたね。
投稿: ねこ仮面 | 2018年4月19日 (木) 12時43分
このブログで「仮面ライダー電王」の話題が出るとは!思わず書き込みしてしまいました。
歴代の仮面ライダーの中で白眉、脚本、スーツアクター、もちろん主演俳優の佐藤健くんも素晴らしかった作品でございます。
この時以来我が家では皆佐藤健くんのファンとなりました。
その後の活躍にも目を見張るものがありましたね~。るろ剣も劇場に見に行きました。
ジュリーと健くん、ファンに共通のものが・・・あるんでしょうね?
投稿: Rスズキ | 2018年4月20日 (金) 22時50分
DY様 こんばんは。
久々にレコードで聴いてみました。
本気なってはいけない恋は陰謀の香り・・・みたいな。こんな歌をなしゃらっと歌ってたのが今から思うとすごいです。
「仮面ライダー」は残念ながら見てませんでしたが。(子供が男の子だったら絶対全部見てたと思う)
佐藤 健さんは実写版「るろうに剣心」でしっかりストライクでした。
原作が好きだったので実写版のハナシを聞いたときは正直ヤメテ、だったのですが、びっくりするくらいはまってて感動ものでした。
もっとはまってたのが、「志々雄」役の藤原竜也さんでしたが。
投稿: nekomodoki | 2018年4月21日 (土) 16時35分
ねこ仮面様
ありがとうございます!
福岡の先輩から授かったラジオ音源を少しずつ勉強中ですが、まだまだ未聴のものがたくさんあります。有難いことです。
糸井さんの番組で、「今は作曲の仕事が早い」という話はしてますよ~。
初めて作曲した時には1年半かかった、とのことですが。
☆
Rスズキ様
ありがとうございます!
広いジュリーファン界、『電王』をお好きなかたもいらっしゃるのではと思っておりました~。
歴代ライダーの中ではダントツの完成度でしたね。スーツアクターの高岩さんも「あれですべて出し切ってしまった」と語っておられるほどです。
カミさんは「るろ剣」のテレビ放映で佐藤健さんに嵌ってそこから『電王』に遡ったパターンですが、まさかイマジンのフィギュアを買いまくるほど熱中するとは想定外でした。
やはりイイ作品は誰がいつ観てもイイ、ということなんですねぇ。
☆
すみません、ここで一度お返事切ります。
投稿: DYNAMITE | 2018年4月23日 (月) 09時14分
nekomodoki様
ありがとうございます!
当然のようにレコードでお持ちですか~。さすがです。
やはりお子さんが男の子か女の子かで、お母さん達が観る番組は違ってくるのでしょうね。
今はライダーも戦隊も必ず親御さんにも見て貰うことを前提にキャスティングされますから。
佐藤さんは『電王』の頃から周囲のスタッフさん達に「お母さん達」からの人気をさかんに言われているシーンがDVDの特典映像などで残っています。
それでも本人は「?」と、そんな状況をよく分かっていないような様子がまたその後の大ブレイクを感じさせると言うか、自然体で良かったのでしょうね。
投稿: DYNAMITE | 2018年4月24日 (火) 15時49分