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2017年6月 5日 (月)

沢田研二 「美しき天然」

from『act#8 宮沢賢治/act#10 むちゃくちゃでごじゃりまするがな』、1998

Miyamutya1

『宮沢賢治』(1996)
1. 異界
2. 運命 雨ニモ負ケズ
3. アラビアの唄
4. ポラーノの広場のうた
5. 星屑の歌 ~スターダスト
6. 百年の孤独
7. 私の青空
8. 笑う月
『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』(1998)
1. 美しき天然
2. ボタンとリボン
3. おなかグー(セ・シ・ボン)
4. 世の中変わったね
5. 君待てども
6. トンコ節
7. け・せら・せら(ケ・セラ・セラ)

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ちょっと更新間隔が開きました。
6月です。今年もジュリーの誕生月がやってきまして、拙ブログでは昨年同様この6月を”act月間”とし、act全10作品の中からジュリーが歌った名曲群をランダムに採り上げていくことにしました。
『大悪名』観劇もあるので、月の後半はその感想なども交えながら、という感じになりましょう。

まぁ相変わらず映像を観ていない状態のまま(汗)、CD『act大全集』に収録されたものの中から、あくまで楽曲に特化した片手落ちの考察記事です。
どのジュリー・ナンバーについてもそうなんですけど、僕のブログはコメントなどで先輩方から色々と教えて頂いて初めて「記事完成」と言える類の考察だと思っています。特にactはその意味合いが強く、昨年もcobaさんの「SARA」楽曲誕生秘話など教えて頂いたりしまして、記事を書き終えてから「おおっそうだったのか!」と気づかされる重要なポイント、逸話がたくさんありました。
今年もそうなるであろう、と期待して(甘えて)おります。

さて、「映像未体験」とは言ってもほとんどの作品については『act大全集』の曲の流れを追っていけば「あぁ、この曲はきっとこんなシーンだな」とか「こんなことを歌っているんだな」とか予想だったり妄想だったりできてしまうわけですが、ただひとつの例外、それが98年の『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』です。CDを聴いてもお芝居の内容やコンセプトがまるで想像できません。
そもそも他作品はすべて実在人物がタイトルになっているのに、act最後の10作目にしてこれは一体?

収録曲を俯瞰して言えるのは、ジュリーの作詞の面白さであったり、cobaさんのアコーディオンとNAOTOさんのヴァイオリンというシンプルな構成ながらバリバリの緊張感で奏でられる演奏の素晴らしさ。
そして何よりこれはあの『ROCK'AN TOUR '98』と同じ年の作品ですからね。ジュリー・ヴォーカルのキレ、情感、躍動感についてはそりゃ間違いはないわけで。

『act大全集』としては1枚のCDに『宮沢賢治』とダブル収録ながら、『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』の1曲目としてクレジットされたカバー曲「美しき天然」・・・今日はこの曲をお題に採り上げ、ジュリー自身がこの曲に幼少時からの思い入れがあったことなどにも触れながら、色々と書いてみたいと思います。
僭越ながら伝授!



Miyamutya3


「美しき天然」はとても有名な曲・・・なんですよね?
本当に恥ずかしいことなのですが、僕がこの曲を知ったのはつい数年前・・・2012年でした。
その年の新譜『3月8日の雲』がリリースされ、戦慄と感動のままにSNSで次々に叫んでいた中で、「カガヤケイノチ」について「本当に厳かで美しいワルツ!」といった感じのことを書きましたら長崎の先輩が反応してくださって。「ジュリーはワルツが好きなのよ」と。
子供の頃からジュリーは「美しき天然」が好き、という有名な話があるとのことでしたが、僕は「美しき天然・・・なんでしょうかそれは?」状態だったという(恥)。

「有名な曲なのかなぁ?」と思い、翌日出社してスコアを探してみたわけです。
勤務先からは『日本叙情歌全集』という、全4巻全700曲に及ぶブ厚い(それぞれの巻が、ちょうど『忘却の天才』ブック・パッケージくらいの背圧)歌集を発売しています。僕の入社前から現在に至るロングセラー商品なのですが、何とその第1巻の1曲目に収載されているのが「美しき天然」でした。


Tennen

↑ 『日本抒情歌全集①』より

これすなわち、「超」がつく有名曲であることの証。
おそらく僕より少し年長、そこから上の世代の日本人ならば知らない人はいないであろう楽曲なのでしょう。いや、僕の世代でも知ってる人の方が多いのか・・・でも僕の小中学生時代にこの曲が音楽の教科書に載っていた、ということは無かったと思うなぁ。

で、スコアを眺めているうちに「あれっ、そう言えば”美しき天然”という字面にはジュリーの資料絡みで見覚えがあったはずだぞ」とビビビッと来ましてね。
今度は帰宅してから、多くの先輩方からお預かりしている切抜き資料を漁りまくり(笑)。
結果、2つの資料が見つかりました。
もちろんそれ以前に目を通していた資料でしたが、「美しき天然」なる曲を知らなかったため、その箇所については頭に残っていなかった、というわけ。

まずはMママ様の資料で、これは何の雑誌ですかね・・・『沢田研二に直撃100問』という企画です。


742001

読者からジュリーへの質問を公募してジュリー自身がそれに答える、というね。
ただしこちらの資料は質問者であるジュリーファンの先輩方のお名前がバッチリ載ってしまっておりますので記事本文の添付は控え、「美しき天然」に関する箇所だけ書き出すことにしましょう。
「思い出に残る歌は?」との質問に、ジュリーはこんなふうに答えています。


(メロディーをつけて)ズーチャチャ、ズーチャチャっていう、あれ。(考えて)”美しき天然”だ。理由はないけど、心に残ってる。

歌詞ではなく、ワルツのリズムに旋律を載せて口ずさんだということですから、ジュリーにとっては「ワルツ」が少年時代の原風景なのでしょう。

続きまして、大分の先輩から授かりました2008年の『日本経済新聞』夕刊記事の切り抜きです。
こちらについては、「美しき天然」の話が出てくる箇所以外もすべて添付しておきましょう(1枚目のスキャンがうまくいっていません。ごめんなさい)。


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Nikkei20081127

Nikkei20081128

還暦を迎えたジュリーが自身のこれまでの人生を振り返った時に挙げられた曲・・・「美しき天然」がジュリーの大切な1曲であることは間違いありませんね。

実は僕は『act大全集』のCD『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』については、昨年この「美しき天然」1曲だけを聴いて「なんか難しそうだな~」と思いそのままになっていました。全収録曲を通して聴いたのはつい先日のことです。
1曲だけ聴いた際には正直、ジュリーのヴォーカルにさほど魅せられるという感覚はありませんでした。普段好んで聴いているロックとはあまりに異なるタイプの曲ですしね。
ところが今回他楽曲を把握し、その上でさらに1曲目「美しき天然」に戻って聴いてみますと・・・いやぁこれは素晴らしい歌声です。
「じっくり聴く」心構えというものが、1曲単体で聴くのと他収録曲を聴いた後で聴くのとでは全然違うように思われます。ほら、他の曲は結構コミカルな歌詞、曲調が多いじゃないですか。歌の途中でお客さんがドッと沸く声が上がったり、曲のイントロがお客さんの笑い声と重なっていたり(愉快なシーンを受けて演奏が始まっている、ということでしょう)・・・舞台の雰囲気が最初の「美しき天然」とは一変しているわけですよね。

『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』への先輩方のご感想も、その多くは「う~ん・・・」というものでした。
おそらくそれは、このヒヨッコにうまくその魅力を説明できない、とのお考えだったのかと今にして思うのですが、僕は「あぁ、actの中ではいまひとつ、というみなさんそんな認識なのかな」と思い込んでしまいました。
でも今年の始めに、敬愛する先輩のおひとりが『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』を大絶賛されている、と伝え聞きまして・・・それが今回actのお題探しでまずはこの作品のCDだけでも通して聴き込んでみよう、と考えたきっかけとなった次第です。

もしかすると『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』って、一度目の観劇より二度目の観劇の方が良い、という作品だったのではありませんか?
この作品を高く評価する先輩方が複数回の観劇をされたかどうかは分かりませんが、少なくとも僕は「美しき天然」のジュリーの歌の素晴らしさを、他収録曲を聴いた上で改めて、という段になるまで理解できませんでした。いや、これは僕の感性が鈍いだけかな?

耳朶を震わすジュリーの歌。僕がそこから思い描くのは、無数の稲穂が大きく揺れ動く風景です。ですからジュリーの声は「風鳴り」ですね。
元々「美しき天然」は「故郷」とか「幼い頃」を思い起こさせる曲だと思いますから、聴き手がジュリーの歌から描くものは、それぞれが持つ原風景によって異なるでしょう。無数の稲穂は僕自身の故郷の風景です。

ちなみに僕はつい先日まで曲のタイトルを「うつくしきてんねん」と読んでいましたが、どうやら一般的には「うるわしきてんねん」と読むようです・・・ってそれはたぶん常識、僕が知らなかっただけ(汗)。

ジュリーと縁深いヴァイオリニスト、NAOTOさんについても僕がお名前を知ったのは遅く(恥)、2011年のことでした。これまた仕事の話なんですけど、その年に勤務先でご本人監修のスコアを出版したのです(NAOTOさんのオリジナル曲をメインとした、ヴァイオリン・ソロ+ピアノ伴奏の三段譜)。
NAOTOさんが過去にジュリーと共演されていたことも、その時たまたまJ先輩から教わりました。
スコアは売れ行きも良く、今では第2弾のスコアも出版しています。


Naotoacousticduo


僕はNAOTOさんの演奏を生で観たことはありませんが、LIVEに行かれたことのある先輩のお話では「まるで柴山さんみたいだった」と。とにかく演奏しながらよく身体が動くのだそうです。wikiにもそんな説明がありました。ギタリストならそれはよくある光景ですが、ヴァイオリニストとなると珍しいですよね。
『むちゃくちゃでごじゃりますがな』の演奏もそんな感じだったのかな。参加された先輩方、いかがでしたか?

静寂を切り裂くようなイントロ・・・「美しき天然」でのNAOTOさんのヴァイオリンは曲の最初と最後でまったく表情が違います。凡人にはなかなか理解の及ばぬところなのでしょうが、優れた音楽家にとって「原風景」「故郷」とはまずこのイントロのような狂おしい、激しい旋律かきたてられ体現させるテーマなのでしょうか。
エンディングの音は逆に、ス~ッと宙へ溶けてゆくかのようで、お客さんがその音が消えるまで息を殺して舞台に集中する様子が、CDだけでも伝わってきます。
actの音源を録っているグローブ座は、公演の千秋楽なのでしょうか。舞台と客席の呼吸が「できあがっている」感じ。初日だとこうはいかないんじゃないかな?

狂おしいイントロはcobaさんのアコーディオンが始まると平穏へと転じ、「ワルツ」を意識させないまま進行します。僕レベルでは初聴だとジュリーの歌が始まるまで強拍、弱拍のニュアンスが掴みきれなかったのです。
ジュリーの話によればcobaさんは「目を閉じながら演奏する」ことが多いのだそうで(『大悪名』で確認できるかな?)、この「美しき天然」の演奏などはいかにも、と想像します。例えば「次のヴァースに行くよ!」という時のフレージングが一度たりとも同じではないという・・・cobaさんはその時その時で音とリズムに身を委ね、自然と目を閉じてしまわれるのでしょう。

空にさえずる 鳥の声
Cm               Fm    Cm

峯より落つる  滝 の音 ♪
Fm    Cm  G7   Cm G7 Cm

キーは原曲通りのハ短調で、まぁコードをとるなら上のようにスリー・コードになるのですが、「ド・レ・ラ♭」「レ・ファ・ソ」なんて構成の和音も登場しますし、あまりコードをふる意味はない曲なのかなぁと思います。

『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』は『actCD大全集』の中でも僕としてはまだまだ聴き込みが充分とは言えないながら、なかなか楽しそうな作品です。
アコーディオン、ヴァイオリンという最小限のアンサンブルが、実はactの妙諦なのかもしれません。主役がジュリーの歌なのですから。
映像は手元にありますのでいつでも鑑賞できますが、もう少し先になるかな~(老後の楽しみ?)。
どんな舞台なのか、『大全集』収録曲以外にどんな歌が歌われているのか・・・楽しみにしながら、まずはもっとCDを聴きこんでいこうと思います。

では”act月間”次のお題は、今日とはガラリと雰囲気を変えて「ロックンロール」を予定しています。
さぁどの曲でしょうか。お楽しみに!

今週の関東はグズグズした天気の日が多い予報ですが、みなさまお住まいの地はいかがでしょうか。
お互い体調には気をつけて過ごしましょう。

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コメント

DYNAMITEさま ご無沙汰です。
夜分失礼します。 怒涛のアップ、お疲れ様です。

半世紀以上も前、まだまだ戦後の時代です。
近くの弘法大師の縁日、傷痍軍人の方々がアコーディオンで弾いてらっしゃいました。
祖母や母に促され、志をお渡しするのが私や弟の役目でした。
戦争で亡くなったり、帰ってこられても怪我を負った方が身近に沢山いらしたのです。

子ども心に胸がきゅんとなる悲し気なメロディでした。
「美しき天然」という曲目を知ったのはもっと大きくなってからです。
私には、悲惨な戦争に結びついてしまう曲です。今でも聴くと切なくなりますね。

ジュリーも切なさを秘め淡々と歌ってますでしょ?


投稿: みゆきママ | 2017年6月 6日 (火) 00時43分

おはようございます。

みゆきママさん
傷痍軍人の方々のアコーディオンの音色私も覚えています。
日本初のワルツ
悲しげなメロディは胸に残りました。
その後は、サーカスのジンタですね。

ジュリーは、若い頃よくTVでも歌い、
大原麗子さんが先生役で当時を再現したドラマ仕立ての後歌ったりしたこともありましたね。

作曲者の田中穂積さんが音楽教師をしていた女学校は、姑の母校なので、以前車に乗せた時に流したりすると、同窓会では必ず歌うそうで、女学校当時の話をしてくれました。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E7%A9%82%E7%A9%8D_(%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6)

私達は、やはり地元なので九十九島の風景が浮かびます。

投稿: くれーぷ | 2017年6月 6日 (火) 08時53分

みゆきママ様

ありがとうございます!
いやぁ、今年のact月間もいきなり目からウロコ、大切なことを教わるところから始まりました。

切なさを秘め淡々と歌っている・・・正にそうですね。なるほど、悲惨な戦争に結びついてしまう曲・・・浅はかな僕にはまったく思いもよらないことでしたが、歌が生まれた時代(日本で初のワルツ、とも言われているそうです)、短調のメロディー、そして歌詞をよくよく考えれば分かったはずのことでした。
48年生まれのジュリーもおそらくみゆきママ様と近い原風景、体験を持っていたのではないでしょうか。

そう教わりますと、『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』がどういう舞台内容であるのかも想像がついてきますし、NAOTOさんのイントロの狂おしいヴァイオリンの音色の必然性も・・・。次にこの歌を聴く際には一層胸を打つでしょうし、ジュリーの歌もさらにまた違って聴こえると思います。
本当に勉強になりました~!

投稿: DYNAMITE | 2017年6月 6日 (火) 09時00分

くれーぷ様

ありがとうございます!
みゆきママ様へのお返事をupしてから、頂いたコメントに気がつきました~。

そうでした、この歌は長崎発祥の日本初のワルツ、とスコアにも解説が載っていました。

傷痍軍人の方々のアコーディオン・・・僕には教えて頂かなければ分からないことでした。この作品が「アコーディオン×ヴァイオリン」という必要最小限の伴奏編成になった意味を、今さらのように知る思いです。

勤務先でもう1冊「美しき天然」が載っている本がありましたが、それはお年寄り介護のための、「音楽療法」のサブテキストだったのです(タイトルは『歌の宝石箱』)。
歌を歌う、聴くということがこの先の超高齢化社会では一層重要になってくるはずです。
僕の世代は「美しき天然」のような曲のなりたちをもっとよく知り、さらに次の世代に継いでいかねばなりませんね。

投稿: DYNAMITE | 2017年6月 6日 (火) 09時09分

DY様 こんばんは

お題曲にまつわるいくつもの歴史の流れがありますね。私もメロディーはチンドン屋の演奏で知っていましたが、美しい詞が付いていることをしったのは大分後ですね。ジュリーがドラマの中で一節歌っているのを聞いた記憶が微かに残っています。歌手だから歌も芝居になるんですよ。「恋人よ我に帰れ」なんかも良かったですよ。

お題曲は、原詞の大半がカットされ、自然の創造は神の御手によるものという神を称える部分がありません。詞の全容を掴むには必要な部分ではありますが、actではなくて正解だったと思います。

タイトルの「むちゃくちゃでござりまするがな」ですけど、もうお分かりでしょうか?エンタツアチャコのアチャコが映画の中で披露して流行したギャグのことで、エンタツアチャコを真似たしゃべくり漫才コンビ役を笹野さんと演じています。ジュリーがアチャコを真似た楽しい舞台です。
色もの万才が一級品の漫才に変わった時代の話だということ。東西の有名なコンビ名がズラリと飛び出して来ること。それらを考えると予備知識無しだと辛いかも知れません。

1988年にジュリーは『花王名人劇場』で、吉本興業の会長・林正之助役(主人公)で「にっぽん笑売人」というドラマをやっています。「漫才誕生エンタツアチャコ」の回もありました。そんなこともactに繋がっているのかも知れません。

投稿: BAT | 2017年6月 6日 (火) 19時24分

BAT様

ありがとうございます!
勉強になります。

『花王名人劇場』の「にっぽん笑売人」の話は、もしかしたら何かの資料で目にしたことがあったかもしれませんがすっかり記憶から抜け落ちていました。
なるほど、1988年ということでしたら『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』とは何らかの繋がり、あるのかもしれませんねぇ。

『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』は楽しい作品なのですね。昨年CDで「美しき天然」1曲のみを聴いた時にはそうは思えませんでしたが、今回収録曲通して聴き、スラップスティック的な作品なのかな、と漠然と考えました。でもそれも違っているようですね。

おそらく映像鑑賞はactの中でも後の方にすると思います。それまでに漫才の予備知識を蓄えておかなければ~。

投稿: DYNAMITE | 2017年6月 7日 (水) 08時53分

DY様、こんにちは。

act月間楽しみにしていました。
のっけから「むちゃくちゃでごじゃりまするがな」で「美しき天然」とは、意表をつかれましたよ。

「むちゃくちゃ・・」は演劇の要素の強い舞台でした。
かつてコンビを組んだ漫才師がそれぞれ落ちぶれて旅先の神社で出会う。
笹野高史さんとの二人芝居で、人と人との関係の複雑さ、確執と未練、埋められない時間、懐かしさとやり切れなさを、コンビ時代をはさみながら、コミカルにシリアスに演じています。
とにかくジュリーがうまい。やり過ぎずデリケートで自然。
舞台を見た時も思ったけど、ビデオで繰り返し見て、うまいな~切ないな~と一時期はまりました。
笹野さんは「AZUCHI」の秀吉、「三文オペラ」の乞食の親分で共演されていて、どちらもおもしろかったけど、「むちゃくちゃ・・」での二人の演技のやりとりはよかった。

「美しき天然」はこの舞台にあっていると思います。
仄暗いような、薄明るいような感じ。
ジュリーが昔から好きだと言っている歌ですが、わたしはどうも苦手です。
曲調からなのか、こわいものが潜んでいるような、どこか不穏な感じを受けてしまいます。そこはこの舞台にあっているような気がします。
actは、これが最後です。
最後のactのテーマとしては不思議な舞台でした。

ここから19年、最後の音楽劇「大悪名」の東京公演の幕が上がりました。DY様もご覧になるんですね。

投稿: momo | 2017年6月 8日 (木) 10時50分

momo様

ありがとうございます!

なるほど、『むちゃくちゃでごじゃりまするがな』の概要がさらに分かってきました。
やはりactとしては異色だったのですね。

やり過ぎずデリケートで自然、ですか・・・ジュリーらしいなぁ、と想像しますが自分で映像を観るまでは理解できないことなのでしょう。

僕は『ANZUCHI』にメチャクチャ興味があります。共演者もスタッフも豪華ですし、何より(momo様よくご存知の通り笑)僕は戦国時代が大好きですからね~。
織田信雄って、戦国武将好きには相当にイメージの悪い人物です。それは僕も同じです。決断力が無くて、どっちつかずで、卑怯にもなれなくて・・・。「ダメはやつ」「バカなやつ」という。
たぶん、『ANZUCHI』はそんな僕のイメージをひっくり返す作品だったのでしょう。
映像化はされていませんよね・・・せめて、今年の『まんだらけ海馬店』のジュリー生誕祭に出かけて、パンフレットを探してみましょうか。

『大悪名』は17日に観劇します(千秋楽落選の振替)。ジュリー最後の音楽劇、しっかり見届けたいと思います。

投稿: DYNAMITE | 2017年6月 8日 (木) 16時59分

DY様 こんにちは。

私の世代にとって、この歌のイメージはやっぱりサーカス、見世物小屋、チンドン屋・・・そして傷痍軍人(小さい頃、上野のガード下で見かけたことがあります。)が原点にあります。
こんな美しい詞だったのはむしろ衝撃でした。

大分前のことですが、駅のコンコースでアコーディオンライブをやってて(唱歌が主体でした)リクエストメニューに「美しき天然」も入ってて思わずリクエストしました。
メロディが流れ出すと、それまでほとんどスルー状態だった通勤客でいつの間にか人垣ができてました。
この曲には道行く人の足を止める魔力があるのかもしれません。

投稿: nekomodoki | 2017年6月 8日 (木) 18時00分

nekomodoki様

ありがとうございます!

そうそう、この曲がサーカスの歌として一層広まっていったということも僕は最近になって知りました。
サーカスと言えばワルツなんですよね。『NINO ROTA』のジュリー作詞作曲「道化師の涙」も、サーカスの歌だからジュリーはワルツにしたのだと思います。

そして、「美しき天然」と言えばアコーディオンなのだ、ということもみなさまからのコメントで分かってきました。
僕もきっと、それと知らずこの曲をメロディーだけ聴いたことはこれまで何度かあったのだろう、と今は思っています。

投稿: DYNAMITE | 2017年6月 9日 (金) 11時04分

DY様
 こんばんは。私のように宝塚市民は1世帯3000円以上馬券購入の義務のある宝塚記念ウィークですねぇ(他所でこの話しないのが賢明です、念のため)。出走頭数少ないのに全く当たる気がしませんが。
 「明日では遅過ぎる」で初めてコメントさせて頂いて以来、音源保有曲については全てコメントを寄せたいと思ってまいりましたが、今回のお題曲は今までで一番手強かったです(笑)。
 「ニーノ・ロータ」以外、映像見ておりませんうえ、ただでさえ聴く事の少ない『actシリーズ』の中でも最も聴いていないdisc9、お題曲を思い出すため久しぶりに聴いてみました。いくら伝授やみなさんのコメント拝読しても、やっぱり好きにはなれませんでした。編成のレアさやジュリーの歌唱力は認めつつも……もはや唱歌的な音楽が好きかそうでないかの問題なんでしょうね。
 でも、momo様のコメントからストーリーの輪郭が見えて、苦手だった「美しき天然」、少しだけ自分との距離が縮まったような気がします。この場をお借りしてお礼申しあげます。

投稿: ねこ仮面 | 2017年6月21日 (水) 21時28分

ねこ仮面様

ありがとうございます!
ねこ仮面様の毎回のコメント、とても励みになっていますよ~。

僕の周囲にも、ジュリーが「美しき天然」を好きだということについて複雑、微妙な感覚をお持ちの先輩が意外に多いことが、最近分かりました。
先輩方にとってこの曲は「怖い」イメージがあるのだそうです。みなさん、僕などの世代ではまったく考えもしていなかった原風景をお持ちで、傷痍軍人のお話もみなさま一様にこの曲と結びついていらっしゃいますし、例えば「言うこと聞かないとサーカスに売られるぞ」というような幼少時の漠然とした記憶ですね、そうした「何か怖い」感覚があるのだそうで・・・。
ただ、ジュリーの歌であったり、楽曲そのものの素晴らしさはみなさんお話されていました。

宝塚記念はキタサンの1本かぶりっぽいですねぇ。
キタサンもいつかは連を外すことがあるでしょうが、それが今回という感じはしないなぁ・・・。
馬券的にはあまり旨味のないレースのように思えますが、ともあれご健闘をお祈りしています!

投稿: DYNAMITE | 2017年6月22日 (木) 09時11分

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