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2016年12月28日 (水)

沢田研二 「SPLEEN~六月の風にゆれて~」

from『パノラマ』、1991

Panorama

1. 失われた楽園
2. 涙が満月を曇らせる
3. SPLEEN~六月の風にゆれて~
4. 2人はランデブー
5. BACK DOORから
6. 夜明け前のセレナーデ
7. STOIC HEAVY~盗まれた記憶~
8. テキーラ・サンセット
9. 君の憂鬱さえも愛してる
10. 月の刃
11. Don't be afraid to LOVE

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2016年も残すところあと僅か。
もう冬休みのかたも、まだまだお仕事頑張るかたも、風邪などひいていませんか?

著名なミュージシャン達の訃報が相次いだ年でした。
先日も、ジョージ・マイケルが50代の若さで旅立ったというショッキングなニュースが・・・僕は彼の作品は代表曲をいくつか知っているのみですが、高校生の時にワム!の「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」が大ヒットし、よくバンド仲間で話題になっていました。
また、ジョージの有名ソロ曲のひとつである「フェイス」については、ジュリーの楽曲考察絡みでいずれこのブログで触れる機会があろうかと思います。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

年の瀬のニュースとしては他に、10月に突如報道され全国の将棋ファンを驚かせ戸惑わせた、三浦弘行九段のいわゆる「スマホ・カンニング疑惑」が、先日第三者調査会により三浦九段の潔白を証明する形でひとまずの結論を見ました。
安堵すると同時に、日本将棋連盟の体質改善を求める一般の将棋ファンの声が高まっています。
10月の三浦九段に対する処分発表の会見ではテレビカメラを入れ、今回の決着会見ではカメラをシャットアウトするという連盟の行為は、将棋ファンから見て決して気持ちの良いものではありません。連盟は今後に重大な課題を残したと言えるでしょう。
何より、「自分だけなら耐えられるが、家族が酷い目に逢い、悔しく辛い思いをした」と語る三浦九段への公の場での謝罪、名誉回復、不当な処分期間の対局料をはじめとする金銭的な保証問題などへの明確な意向を早急に提示しない限り、将棋界に愛想を尽かすファンが多数現れかねません。
谷川会長はじめ、連盟の誠実な対応に期待します。

さて、個人的には2016年は「人生初の手術(脱出性内痔核の切除)を体験」という40代ラストイヤーならではの出来事(?)が大きかった1年でした。
今となっては「貴重な経験をしたなぁ」と思えますが、術後は本当に大変だった・・・。
幸い経過は順調で、どうやら年明けの次回診察を以て「完治」のお墨付きを頂けそう(という前回診察での先生の見立てです)。来年、再来年のジュリーのメモリアル・イヤーLIVEにお尻を気にしながら参加、などという事態は未然に防ぐことができましょう。

また、痔の手術術前検査として「一応」という感じで受けた大腸内視鏡検査でポリープ2個が見つかりその場で除去するなど、身体にも年齢相応のガタがきていることを痛感させられましたね。
先生からは定期的な検査を勧められています。確かに大腸内視鏡検査もそれなりに苦しい体験でしたが、「痔の切除術後のあの苦しみを体験した今となってはあんなの辛いうちに入らん!」と思えますので、来年秋くらいには再び検査を受けるつもり。
僕も50代に突入し、これから毎年そんなふうに身体のメンテをしながらのジュリーLIFEとなりそうです。


では本題。
今日は2016年最後の記事更新、並びにお正月LIVE『祈り歌LOVESONG特集』に向けての”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ大トリです。
少し前まで「今年はこの曲で〆!」と決めていた洋楽カバー曲があったのですが諸事情あって延期、さぁ代わりにどの曲を採り上げるか、と散々悩みました。
せっかくなので予想シリーズ最後の1曲は的中させたいし、かと言ってストレートに超有名シングルを選ぶというのもなんだか悔しい(笑)。
ここは「大ヒットしたとは言えず、世間的にはあまり知られていないけど、ジュリーにとっては重要(と思われる)なシングル」で、なおかつ『ジュリー祭り』セットリストからは惜しくも漏れていた名曲群の中から、デビュー50周年幕開きのステージにふさわしいだろうなぁ、と夢想できるものをお題として考えてみました。

「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」「STEPPIN' STONES」の2曲と最後まで迷いましたが、今回のご指名は、個人的に『真田丸ロス』な最近の心境と何故かシンクロしまくる名曲「SPLEEN~六月の風にゆれて」(あ、今日は『真田丸』の話題は自重しますのでご安心を笑)。
アルバム『パノラマ』から、伝授です!


『ジュリー祭り』セットリストから外れた重要なシングル、という以外に、この曲には特記しておくべき大切なポイントがあります。それは
「2012年の全国ツアー『3月8日の雲~カガヤケイノチ』セットリスト冒頭1曲目に配された曲である」
ということ。
『PRAY FOR EAST JAPAN』1作目となる『3月8日の雲』は世間ばかりか僕らジュリーファンをも驚愕させ、惑わせ、感動させ・・・何か落ち着かない、会場の雰囲気がどうなるかすらまったく予想できない、そんな状況で迎えたツアー初日。
ジュリー自身も特別な決意を以ってスタートさせたツアーだったはずですが、その1曲目に流れたのが、泰輝さんのストリングスの音色・・・「SPLEEN~六月の風にゆれて」のイントロでした。

あの時、何故ジュリーはこの曲を1曲目に選んだのでしょうか。みなさまもそうだったでしょうけど、僕も当時はその点、色々と考えましたね・・・。
やはり意識したのは2番の歌詞です。

甘やかな日々 が
G     D(onF#)   Em  Em7

永遠に過ぎ去って
       C    D       G   D7

思い出の中  に
G    D(onF#)  Em  Em7

深い雪が降る ♪
   C   D      G

あの年のジュリーファンは皆、凄まじいメッセージをジュリーの新譜から受けとり、それぞれ真剣に3.11について考えつつもどこか無力感、喪失感のようなものを胸に抱えていました。そこへきて「何もかも失くした」と歌われる曲でツアーが始まり、「大切な日常を失ってしまった」悲しみをジュリーはこの曲に託して歌ったのではないか、と僕は考えたものでした。

でもその後、別の考え方も多く持つようになりました。その中のひとつが「分別ある大人」への断罪。
そしてその中には「自分自身への非難、悔恨」も含まれていたんじゃないか、と。
まぁこれは僕自身が自分を責め立てている状況に当時直面していたので、「ジュリーだってそうかもしれない、と思いたい」部分が大きいんですけどね。

そこで、コシミハルさんの歌詞、最後の一節に目を向けてみましょう。

僕はこんなに  大人になって初めて
G       Gmaj7(onF#)  G7(onF) E7

恋をしたのに  今では何もかも失くした ♪
   Am        Ammaj7  Am7    D7         G

近年のジュリーの作詞作品を聴いているからでしょうか、僕はどうも「大人」というフレーズに過剰なまでに敏感になっているようです。
中でも今年の「un democratic love」が痛烈過ぎた・・・。

もちろんコシミハルさんが書いた「大人」に特別な「マイナス」の意は無いでしょう。とすればこの歌の「大人」のフレーズから導き出されるのは「君」の年齢ではないか、と僕はまた得意の深読み(邪推)をしました。
主人公は「分別ある」大人で「君」はまだ純粋無垢な少女、という図式です。
無垢故に未来を拒み「幸せ」に怯える少女に対して、主人公は「物の分かった大人」の分別をふりかざした挙句、相手を傷つけた結果、愛を終わらせ何もかも失ってしまった・・・「SPLEEN~六月の風にゆれて」を、そんな自責のLOVESONGと捉える見方はどうでしょうか。

いずれにしても、常に「人の考えないところを考える」ジュリーのアルバムからシングル・カットされた曲です。ジュリーがこの曲の歌詞に深い共感を持ちそれなりの意味を持たせていたと考えることは可能でしょう。
そもそも、アルバム『PANORAMA』には他にシングル向きのキャッチーなナンバーは何曲かあるじゃないですか。曲想的には「涙が満月を曇らせる」あたりがシングルだったら、と僕などはいつも考えてしまいますが、そこを敢えて「SPLEEN~六月の風にゆれて」。確かに美しいメロディーを擁する名曲なんだけど、アレンジがトリッキーですから、「シングル向き」だったかどうかには疑問が残ります。
ただ、ファンとすればそれも込んだ上で納得、というのがジュリーの凄いところなんですけどね。

では、メロディーとアレンジについて。
作曲者である小林さんのザ・ブームからの人脈を辿ると、チト河内さんや朝本浩文さんといったジュリーファンにはお馴染みのお名前に繋がります。
僕はブームのアルバムは『極東サンバ』1枚しか聴いていないんですけど、若い頃には分からなかった魅力がたくさん発見できそうなバンドですからいずれじっくり聴き込んでみたいところです。

小林さんのジュリーへの初の楽曲提供となった「SPLEEN~六月の風にゆれて」は本当に瑞々しいメロディーの名曲。単に美しいというだけでなく、「他のジュリー・ナンバーに似た曲が無い」ことが特筆さます。
これはアレンジの特異性以外に、サビの進行がそう思わせてくれるのですね。

そして二人は    優しい風の  中
G        Gmaj7(onF#)    G7(onF)  E7

淡い夢と接吻(くちづけ)ばかりの ♪
   Am  Ammaj7        Am7         D7

クリシェの胸キュン進行としては王道なのですが、これは「同じ歌手、バンドで曲数乱発できない」パターン。
聴き手に強烈な印象を残す進行だけに、歌手やバンドにとって「この1曲!」の存在となるのです。それがジュリーの場合は「SPLEEN~六月の風にゆれて」。
もちろん邦洋問わず他アーティストに同進行の「この1曲」が数多くあって、有名なところでは山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」。
この曲が大ヒットし街で流れまくっていた時、ふと「あれっ、このサビ、よく知ってる何かの曲に似てる気がする・・・」と考えたジュリーファンの先輩方がいらっしゃったかもしれません。それはズバリ「SPLEEN~六月の風にゆれて」のことだったのですよ。

こういうアレンジだけに、僕は初めてこの曲を聴いた際「これは・・・通常のバンド体制のLIVEで再現できるものなんだろうか」と疑問を持ったものです。
しかし実際『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーで泰輝さんのシンセ・ストリングスを体感し、改めて鉄人バンドの凄さを思い知りました。
オリジナル音源にはベースが入っていませんが、きっと依知川さんが復帰した現在の編成でも新たなアレンジ解釈で楽曲再現は可能と期待しています。

ストリングス・アレンジのオマージュ元はビートルズの「エリナー・リグビー」。これは明白。


Eleanorrigby

↑ 『ビートルズ/リボルバー』バンドスコアより

どの弦パートも、確信犯的に似せていますね。
プロデューサーの建さんが楽曲を得た段階でアイデアを練り、鶴久正基さんにストリングス・アレンジを依頼した、という流れだったのかなぁ・・・


今回セットリスト予想として選んだこの曲、タイトルに”六月”とあるので、一瞬「お正月LIVEのイメージではないかなぁ」と思ったのですが、よく考えればコシミハルさんの詞は少し前に記事を書いた「午前三時のエレベーター」と同じく、1番と2番で主人公が語る季節(時期)が違うんですよね。「六月」が幸せ絶頂の時で、「何もかも失くした」と歌う2番がおそらく真冬(「雪が降る♪」のフレーズから)です。
そもそもジュリーが真夏にクリスマス・ソング(「さよならを待たせて」「溢れる涙」)を歌ったり、お正月に真夏のナンバー(「時計/夏がいく」)歌ったり、というのは後追いファンの僕でもこれまで何度も体感済み。
その意味でも、「SPLEEN~六月の風にゆれて」・・・要チェックの
1曲だと思いますよ~。


それでは、オマケです!
91年の資料のネタが尽きておりますので、若き日のジュリーの「年末っぽい」雑誌記事資料を2つほど。いずれもMママ様からお預かりしている切り抜きです。
まずは72年。


1972101

1972102

1972103

1972104

1972105


続いて、翌73年。

Img270

Img271

Img272

こうしてみますと、たった2年間でジュリーがとてつもない飛躍を遂げていることが一目ですねぇ・・・。


ということで。
今年も大変お世話になりました。
個人的にはなかなか大変な1年を過ごしましたが、ブログはいつもの調子で継続できています。平和な日々だからこそ・・・ありがたいことです。
来年、再来年の大きな楽しみを前に、改めて「なにげない普段の生活」に感謝。手術とその術後の苦しかった時期の、みなさまの激励にも感謝、感謝です。
来年も相変わらずの感じで、ブログ頑張ります。

年末年始はカミさんの実家に帰省、せっかくの関西なので『真田丸』ゆかりの場所を巡ってくる予定。
そのぶん新年のご挨拶が遅れるかと思いますが、ご容赦くださいますよう・・・。
それではみなさま、よいお年を!

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コメント

DY様 おはようございます。

作詞「コシミハル」で(「え、もしかして『君スタ』でキーボード弾きながら『そうよそうよ恋なんて』て歌ってたあの『越美晴』さん・・・かな?)
当時の映像が頭に浮かんで、なんかすごく懐かしかったです。
この歌で主人公が見つめているのは、少し大人になって、突っ張った恋に苦い後悔を覚えている「ラブ・ステップ」の少女なのかな、なんて。

投稿: nekomodoki | 2016年12月29日 (木) 09時58分

DY様 こんにちは

作詞のコシミハルさんがデビューした時、歌番組でピアノを弾きながら歌う姿を何度も観ていました。可愛いなあと思いながら。名前は「越美晴」表記でしたね。その彼女がジュリーの曲に詞を書いたことにとても興味がありました。できれば作曲作品も聴いてみたかったのですが。作曲の小林考至さんは全く知りませんでした。曲を聴いた印象ではクラシック寄りの方かなとも思っていました。アレンジの効果かも知れませんが、間髪入れずぐいぐい押し寄せるメロディーに吸い込まれそうになります。

私は、ビートルズには疎いので、アレンジがそっくりだということをほんの2、3年前に知りました。正直、知らない方が良かったと後悔しています。それまで聴いた事のなかったあの独特の雰囲気が好きだったんです。

アルバム「パノラマ」の発売は、丁度25年前ですね。武道館ライブ「ジュリーマニア」がありました。勿論、お題曲も歌っています。私の中ではこの時が一番印象に残っています。やはり新曲だったからだと思います。

でもダイナマイトさんの考察にあったように、ライブの一曲目に歌われた時のジュリーの感情を思うと、単なるラブソングではなく、大きな失望を伴ったドラマの中に引きづり込まれてしまいます。感情が揺らぎます。意外にも渾身の考察記事に釘付けになりました。ありがとうございました。

投稿: BAT | 2016年12月29日 (木) 10時58分

nekomodoki様

ありがとうございます!
修正遅れましたがやっておきました~。

コシミハルさんについては以前先輩に教えて頂いたのですが、僕は恥ずかしいことに「越美晴さん」をまったく存じ上げず、先輩が送ってくださった画像(3人で写っているもの)を見てもやっぱり見覚えなく・・・世代的なことなのでしょうが、僕にとっては未だミステリアスな方です。

ただ、「SPLEEN~六月の風にゆれて」がジュリーのお気に入りでありシングル・カットされたのは、女性の作詞作品であったことは大きな要素としてあったかもしれませんね。

慌ただしくてすみません。一度お返事切ります。

投稿: DYNAMITE | 2016年12月30日 (金) 12時14分

BAT様

ありがとうございます!

ビートルズファンである僕の場合は逆に、初めてこの曲を聴いた時には「おぉ、やってくれるなぁ」という感がありましたね。
それは『G.S.I LOVE YOU』での銀次さんのアレンジも然り、他にもジュリーの作品にはビートルズファンを喜ばせるアイデアが色々とありますよ~。

『ジュリーマニア』の頃までは、「デビュー○周年」を66年からのカウントとしていますね。今年のツアーでジュリーが「来年がデビュー50周年」と明確に67年からのカウントでハッキリしてくれたことは良かったですね。古希のお祝いと2年連続のイベントが待っているのですから・・・。

「sPLEEN~六月の風にゆれて」は「区切りの年」には似合いそうな名曲かと思います。お正月、期待しています!

投稿: DYNAMITE | 2016年12月30日 (金) 14時39分

DY様
 こんにちは。あっと言う間に大晦日、私は昨日京都・磔磔へ麗蘭の年末恒例ライブに行って来て実質上今年は終った気分です(大掃除は?)。ジュリーも健在ですがチャボも66歳にして3時間ライブ、ベテランの活躍はまだまだ凄いです。
 お題曲、ジュリーのシングル曲でもベスト10には入るお気に入りです。発売当時家でよく弾き語っていましたが、私はビミョーなコードの機微がコピー出来ず「maj7」「7th」などなしに「D」「G」「Em」みたいに簡単なコードで弾いてました。伝授ありがとうございます。
 『パノラマ』のツアーの頃はツインキーボード(キーボーズ?)、二人X両手で弦楽四重奏を再現していたんだと思います。柴山さんと建さんがエレアコ、ポンタさんは休みだったかなぁ?生弦ではありませんでしたが、それはそれでライブっぽくて好きでした。
 年末年始は関西ですか。私の代わりに真田丸巡りよろしくお願いいたします。良い年をお迎え下さいませ。

投稿: ねこ仮面 | 2016年12月31日 (土) 11時05分

ねこ仮面様

ありがとうございます!

おぉ、この曲特にお好きでしたか~。
建さんはこの曲や「噂のモニター」ではアコギだったようですね。泉谷さんとのLOSERでもアコギを担当する曲があり、LIVEバンドとしてのアレンジの幅を感じさせますね。

いよいよ今年もあと数時間。
予定通り関西にやってきました。
真田丸巡りは正月2日の予定です。今日はとりあえず京都の『第一旭』に1時間以上並んで、特製ラーメンを食べてきました~。

投稿: DYNAMITE | 2016年12月31日 (土) 21時03分

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