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2016年11月

2016年11月26日 (土)

2016.11.19神奈川県民ホール(小ホール) 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2016 ~日中を翔るポップスライブ』

はじめに。
当記事は瞳みのるさんと二十二世紀バンド2016年のツアー・セットリストを全開でネタバレしています。この先の大宮公演、渋谷公演にご参加予定で、セットリストのネタバレを避けておきたい方はうっかり目を通してしまわないようご注意ください。

レポートは演奏曲目全曲につき、できる限り演奏順に書いたつもりですが、一部記憶に曖昧なところもあり、完璧ではないかもしれません。抜けている曲があったり、実際の演奏順とは異なる表記になっておりましたら申し訳ありません。
また、特にリード・ヴォーカルの担当メンバーについて記憶に自信のない曲もあります。誤記に気づかれた方がいらっしゃいましたら、コメントにてご指摘頂けますと助かります(すぐに加筆・修正させて頂きますので・・・)。

それでは、今年も最高に楽しかったピーさんと二十二世紀バンドのステージの様子を張り切って書いてまいります。よろしくお願い申し上げます。
そして、まだツアーご参加を迷っていらっしゃるタイガース・ファンのみなさま・・・この公演を観ない手は無いですよ!

☆    ☆    ☆

行ってきました~。
『瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE2016~日中を翔るポップス・ライヴ』横浜公演!
ピーさんの二十二世紀バンドとのツアーも3年目。僕としてはもう「1年に1度、必ず逢わずにはいられない」バンドのステージとなっています。
70歳となったピーさんは今年も超人的なパフォーマンス、二十二世紀バンドの音も期待通りの素晴らしさ、楽しさで魅了してくれました。

そして、僕は公演中まったく気がついていなかったんですけど、何とこの日は横浜在住のジュリーも客席に駆けつけていたようで・・・(いつも仲良くしてくださるピーファンの先輩に、「ジュリーファンが気づかないでどうするの!」と笑われてしまいました)。
しかも公演後にはピーさんとジュリーが揃って川崎のタローさんの古希LIVE会場に移動、そこでタイガースのオリジナル・メンバーの5人が全員揃いステージで演奏、というビッグ・サプライズがあったそうですね。
僕はそのシーンをこの目にできなかったけれど、本当に嬉しい出来事です。
普段頻繁に会っていなくとも、友のお祝いにはサッと集合できる・・・これはタイガースのメンバーが完全に「仲の良い友だちに戻った」ことを表しています。
バンドで結びついた友人同士ならば、久しぶりに集まって「ちょっと音を合わせてみようか」という話になるのはごく自然なこと。それが今回、タローさん古希お祝いのステージ上で実現したのですね。
ずいぶん遅れてきたタイガース・ファンの僕でも、胸に温かいものが込み上げます。

今思えばそんな予感めいたものも手伝っていたのか、ピーさんと二十二世紀バンドの神奈川県民ホール(小ホール)公演に駆けつけた会場満員のお客さんは、なんとも言えない凄い熱気でした。

僕はジュリーのLIVEの時は、個人的に何人かの先輩からセットリスト速報を頼まれていることもあり、気合入れて演奏曲目、曲順を覚えて帰るんですけど、この日のピーさんの横浜公演はツアー初日ではなかったし、「帰宅してからメイ様のレポートで確認しよう」と考え(ネタバレ我慢のため、拝見するのを控えていました)、その点無心で臨みました。
で、終演後にいざメイ様のレポートを拝読すると・・・「あ、あれ?曲目が微妙に記憶と違うぞ」と。
そう言えば昨年は、まったく真逆のことをメイ様が書いていらしたっけ・・・。
つまり、ピーさんのツアーは(JEFFさんとKenyaさんの出演、担当楽器の変動による都合もあるのかもしれませんが)、会場ごとに演目や曲順が少し変わるのです。
後でパンフを見ると、「よその会場ではこの曲もやるのか」と思ったタイトルがいくつかありました。

ということで、特に演奏順については記憶がグダグダなままの執筆となったこと、お許しください。
幸いピーさんのLIVEの場合は、購入したパンフで演目の復習が可能です。なんとか記憶を繋ぎ合わせ、できる限り演奏順に忠実に書いてゆくつもりです。

毎度お馴染みの大長文です。充分お時間のある時に、お供のお茶菓子をご用意の上読んで頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
それでは、開演です!

☆    ☆    ☆

「オープニング(Drum Battle)」

場内の照明が落とされると、舞台下手から二十二世紀バンドのメンバーが入場。少し遅れてピーさんが姿を見せると一層大きな拍手が沸き起こります。
オープニングは昨年と同じく、ピーさんとIchirohさんのドラムバトルでした。
いやぁピーさん、ノッケから全開です。

僕は今年9月にクイーン+アダム・ランバートの武道館公演を観に行きました。
サポート・ドラマーとしてロジャー・テイラーの息子さんも来日していて、ロジャーと息子さん2人のドラムバトルも披露され、「まだまだ一歩も引かんぞ!」と言わんばかりのロジャーのドラミングに驚嘆しました。
ピーさんとIchirohさんはちょうどロジャー親子と同じくらいの年齢差のはず。双方一歩も引かず、その上で完璧にピーさんのサポートをこなすIchirohさんの演奏がまた素晴らしかったです。
難易度の高いリズム割りのフレーズも繰り出される中、他の二十二世紀バンドのメンバーが両手を高々と掲げてお客さんの手拍子をリードしてくれているので、こちらも安心してついていけます。

ただ、僕の席からピーさんのお顔が・・・み、見えん!
今回は上手側端に近い5列目ということで、斜めからの角度でピーさんがよく見えるだろうと予想していたのに、まさかまさかの3年連続シンバル仮面状態。
各会場のセッティングにもよるのでしょうが、ピーさんの公演ではそれは前方席の宿命なのかな・・・。

それにしてもピーさんのスネアのアタックが凄まじい。これが70歳の演奏とは信じられません。
演奏が終わると、拍手が鳴り止む間もなくJEFFさんが「スキニー・ミニー!」とシャウト。いよいよ「当に時に及びて楽しむべし」なセットリスト本割が始まります!


「スキニー・ミニー」

Onstage

いきなりの大好物ナンバー!
昨年に続いてのセットリスト入り。タイガースの再結成では聴けなかった曲ですが、その後二十二世紀バンドの演奏で2年連続楽しむことができています。

何と言っても、モッズ・テイストのJEFFさんのヴォーカルがバッチリ嵌る曲。
今年のパンフには二十二世紀バンド各メンバーによる「セットリスト・イチオシの曲」の記載があり、JEFFさんはこの「スキニー・ミニー」を挙げていらっしゃいます。心酔するタイガースのファースト・アルバムにも収録されていた大好きな曲を、本物(ピーさん)のドラムで歌えることが本当に嬉しい、と。

さて、演奏が始まってすぐに、僕のいた上手ブロックは総立ちとなりました。
すると・・・おぉ、見える!
着席時はシンバルに隠れていたピーさんの表情が、スタンディングだとハッキリ見えます。やっぱりピーさんはドラムを叩いている姿が一番カッコイイですね。

「スキニー・ミニー」最大の肝である「た・た・たん!」の手拍子は当然の会場全員参加です。
二十二世紀バンドは全メンバーがお揃いでイエローの「PEE」Tシャツ(背番号は「22」)姿。ピーさんはそのTシャツの上からジャケットを着ていましたが、この曲が終わると早々に脱いでいらっしゃいました。
「ジャケット姿は1曲のみ!」というのも、最早ピーさんのLIVEではお約束・・・?


「キックス」

おぉ!僕にとってはセットリスト2曲目にして早くもサプライズ級の名曲が降臨。僕はこの曲、ジュリーのソロを含めてもまったく初めての生体感なのです。

加えて、僕は二十二世紀バンドのメンバーの中でKenyaさんを観るのがこの日初めてでした。
そのKenyaさんが「キックス」ではリード・ヴォーカルを担います。マイクを食べちゃうぞ!という感じで、若干下を向く体勢でのヴォーカル・スタイルは、どことなく鉄人バンドの下山さんを思わせます。声もメンバーの中では最も「男」度が高い印象でした。

さて、後追いファンの僕はまだまだタイガースの歴史について知らないことが多いです。
ピーさんのMCによれば、「キックス」はピーさん達タイガースのメンバーが初めてテレビ出演した際に、2分にも満たない時間枠で披露したという非常に思い出深い曲なのだ、と。
僕はこれまで深い考え無しに、タイガース初のテレビ出演は大々的に採り上げられた特番か何かで、何曲か続けて演奏し、その中の1曲が「キックス」だったんだろうなどと想像していました。恥ずかしながら、実際は全然違ったんですね。世の中の誰も知らない5人の若者が突如画面に現れ、僅か2分足らずの時間で強烈なインパクトを残した・・・というのが正しいようです。

この話題は終演後、ひとまわり年長の男性タイガース・ファンであるYOUさんとの打ち上げサシ飲みの酒席でも出て、なんとYOUさんはそのテレビ放映された「キックス」のシーンを中学生の時にリアルタイムで観ていらしたのだそうです。
とにかく衝撃的で、「一体なんなんだこれは!」と大変な興奮を覚えた、と。
「あんなふうに動き回るバンドは初めてだった」と教えてくださいました。今でこそロック・バンドは演奏とともに激しく動くのが常識ですが、日本でそれを最初にやったのが我らがザ・タイガースだったわけです。
YOUさんは仰います。
「それまでは、バンドが身体を動かすと言ってもせいぜい横に揺れるくらいのものだったから、テレビを観ていた人は皆、ド肝を抜かれたんだよ」

僕には想像でしか感じることのできない思いですが、この日会場に駆けつけた多くのお客さんが、ピーさんのMCで当時を思い感激されていたのでしょうね。


「デイドリーム・ビリーバー」


Daydreambeliever

毎年、「誰もが知っている」有名な洋楽ナンバーを披露してくれるピーさんと二十二世紀バンドのステージ。今年は「Aポップス」からモンキーズのこの特大ヒット曲がセットリスト3曲目に採り上げられました。
ここまで(もちろんこの先も)のカバー曲はそれぞれリズムや曲想が違い、この時点でもう「今年もバラエティーに富んでいるなぁ」と感じましたね。

「デイドリーム・ビリーバー」のようなシャッフルのリズムとなれば注目はキーボードのはなさん。華麗にして恍惚のステップに、昨年に引き続き僕は釘付けになりました。本当に心から楽しそうな演奏をされるのです。
はなさんはシャッフルの4拍子に合わせて足を交互にステップさせ飛び跳ねるようにして弾き、「魅せて」くれます。それがもう、まったく乱れない!
あんなに大きなステップなのに、手足の連動が正確かつ楽しげで、見ているこちらも無条件にウキウキしてきますね。

いやぁ改めて名曲!・・・と言いながら、リード・ヴォーカルが誰だったか今必死に思い出しているという(汗)。自信は無いけどピーさんだったんじゃないかなぁ。


「ホテル・カリフォルニア」

Hotelcalifornia

先述の通り、僕は二十二世紀バンドメンバーの中でKenyaさんを観るのはこの日が初めてでした。
ほとんどの曲で黙々とリズム・ギターのバッキングに徹していたKenyaさん。JEFFさん不在時のベーシストとしてバンドに加入したKenyaさんが、横浜ではギタリストとしてステージ貢献されたわけですが、JEFFさんのMCによれば「ツインギター体制は今日が初めて!」とのことで(ちなみにこの後の大宮、渋谷各公演も同じく7人のフルメンバー構成で演奏するそうです)、聴く側として「ツインギター体制で得をしたなぁ」と感じたのがズバリ、この「ホテル・カリフォルニア」。
それはこの曲がセットリスト中唯一、NELOさんとKenyaさんの「ツイン・リード」が披露されるからであり、そもそも「ホテル・カリフォルニア」という曲はエンディングのツイン・リードこそが最大の聴かせどころ。
神戸、大阪、京都のギター1本体制では、そこまでの再現が叶わなかったことは明らかですから。

2人のギタリストはエンディングで揃ってステージ前方までせり出し、互いに向き合う姿勢で完璧に「ホテル・カリフォルニア」のツイン・リードを再現。
まずは代わる代わるにソロを繰り出し、いよいよキメの16分音符のハモリへと突入します。

Hotelcalifornia2

まったく乱れることのなかったNELOさん、Kenyaさん2本のギターのハーモニーの素晴らしさについては、YOUさんとの酒席でも大いに語り合いました。

話が前後しますが、Kenyaさんのキャラクターについては後にNELOさんのMCで愉快な話が飛び出しましたので、ここでご紹介しておきましょう。
北京公演に遠征の際、Kenyaさんが現地で悪徳タクシーのボッタクリに遭いそうになったところ(正規の10倍ほどの料金を請求されたとか)、ピーさんが颯爽と現場へ駆けつけ、流暢な中国語で猛抗議してくれて事無きを得たのだそうです。NELOさん曰く
「しかしそのタクシーも勇気あるよね。(Kenayaさんは)一番カラミたくないタイプの人ですからね~」
と。
これにはステージ上のメンバーも大爆笑。Kenyaさん自身もそこは否定せず(笑)。

ついでにその時のNELOさんのMCで、もうひとつ面白かった話を。NELOさんは常々
「ピーさんの中国語は本当に現地で通じるのか」
などと失礼な疑問(笑)を持っていたそうです(それで、Kenyaさんのタクシーの話に繋がったのです)。
NELOさんはどうやらそれを(もちろん冗談で)ツイッター上では、Ichirohさんがそんな疑問を持っていたものとして発信していたらしく・・・ここぞとばかりにIchirohさん、「みんな、俺がそう言ってたと本気で思ってるじゃん!」とNELOさんを責め立てていました。
するとNELOさんは今度はALICEさんに責任をなすりつけようとして返り討ちに。そうしたトークが和気藹々と自然に繰り出されるあたりも二十二世紀バンドの大きな魅力。本当に楽しいバンドなのです。

さて「ホテル・カリフォルニア」に話を戻して・・・僕が驚嘆したのは歌メロ部のハイハットの刻みの分担。なんと、ピーさんが16でIchirohさんが8なのです。
体力的に負担の配分を考えれば、これは逆にするのが普通。誰もそれで何の疑問も持たないはずです。そこを敢えて難易度の高いパートに挑むピーさん。
奇蹟の古希ドラマーはトコトン妥協せず、常に高みを目指しています。年齢など関係なく、きっとピーさんのドラムスはこの先もさらに進化していくでしょう。


「用心良苦(心をこめて)」

毎年設けられる「Cポップス」コーナーでは毎回僕の知らない曲が披露されるので新鮮です。
「中国にもこんな素敵な曲があるんだよ」というピーさんからの伝道ですね。パンフによれば、この曲は93年の台湾ポップスだそうです。

演奏直後でしたか、JEFFさんが「この日文詞はピーさんの作詞ですっけ。それとも訳詞ですっけ?」と尋ねると、たぶんピーさんが「翻訳」と言ったっぽいのですがJEFFさんは聞き取り辛かったみたいで「翻訳?」と聞き返しました。すかさずピーさんは「こんにゃく!」と得意のオヤジギャグをブチかまします。
JEFFさんが何やら混ぜっ返して2人のやりとりがグダグダになり収拾がつかなくなったところで、Ichirohさんの「コン!」という絶妙なタイミングの「カウベルツッコミ」が炸裂。会場は爆笑となりました。
このシーンはじめ、Ichirohさん必殺の「カウベルツッコミ」はこの日、僕が覚えているだけでも計3回は繰り出されていましたね(笑)。


「永遠に愛誓う(愛你一万年/時の過ぎゆくままに」

Tokisugi

いやぁ、これは驚きました。
いえ、選曲に驚いたわけではないですよ。この曲は二十二世紀バンドのツアーで一昨年に採り上げられていますし、まだ聴けてはいませんが、ちょっと前にピーさんのラジオ出演がジュリー界でも話題になっていました。そこでピーさんが「時の過ぎゆくままに」について、「愛你一万年」なる台湾ポップスのカバー・ヴァージョンとジュリーのオリジナルとの違いについてひとしきり語った、という情報は僕も得ていましたから。
「はは~ん、どうやら今年のツアーではこの曲がセットリスト入りしているな、と思ったくらいです。

僕が驚いたのは、初めて聴く「愛你一万年」ヴァージョンのアレンジです。
原曲の「バラード」の面影はまったくありませんでした。二十二世紀バンドの音で聴いた印象もあるのでしょうが、むしろクリームっぽいハード・ロック、或いはキング・クリムゾンっぽいプログレを想起させられます。
ラップの掛け合いのようなキメ部もあって、畳みかけるような大作構成に仰天しました。まさか「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキックが炸裂するとは。

導入部はジュリーのオリジナル通りのメロディーでJEFFさんが歌いました(NELOさんのギターソロは全然違うフレーズでした。あちらではあんな感じなのかな)。
演奏前のMCでJEFFさんは、「愛你一万年」ヴァージョンに載せて新たにピーさんが日本語詞を書いた部分(「永遠に愛誓う」)はピーさんが歌う、と説明ののち
「ジュリーのオリジナル歌詞部は・・・すみません僕が歌います!」
と、恐縮しきりでお客さんの笑いを誘っていましたけど・・・今考えれば、客席には本物がいたわけですからねぇ。JEFFさんは緊張もしたでしょうが、生涯忘れ難い宝物のような体験だったことでしょう。
JEFFさんのヴォーカルは、萎縮した様子はまったく無く全身全霊の熱唱でした。

MCの話に戻りますと、台湾から大陸全土への大ヒットとなった「愛你一万年」は中国では本当に有名な曲で、ピーさん曰く「20億人が知っている」のだそうです。
それを受けてJEFFさんが
「でも、オリジナルがジュリーだというのは知られていない・・・なんてことだ!」
と憤慨。
ピーさんは
「そこはちょっとムカつくんですよね~」
ですって(笑)。
この2人の愉快なやりとりは、ジュリーの来場に気づいている人といない人とでは格段に面白さの味わいが違ったものと思います。う~む、損したぞ~!


「ヘンリー8世君」

Funale

毎年何か1曲はセットリスト入りする、ピーさん独壇場の「コール&レスポンス」ナンバー、今年は「ヘンリー8世君」が採り上げられました。ここでピーさんはこの日最初のスタンディング・ヴォーカルとなります。

お馴染みのピー・ダンスは健在。
コール&レスポンスは「ジャスティン」流の「ヘイ」「ホ~!」も繰り出されます。
お客さんへのコールの前にはピーさんがバンドに「Are you ready?」と尋ね、メンバーが「イエ~!」と応えるのですが、この日はピーさんがメンバーのレスポンスに対して「声が小さい!」と一喝するシーンも(笑)。

あと、NELOさんがリード・ギターを弾きながら片足でピョンピョンして踊るピーさんに絡んでいったのは、この曲だったかなぁ。


「ダニー・ボーイ」

有名な曲ですが僕はこの曲をフルコーラス聴いたのは初めてのことでした。二十二世紀バンドの演奏では、ALICEさんの澄んだヴォーカルが聴きどころです。
(僕は元々、『可愛い女の子が「ボーイ♪」と歌う歌フェチ』なのです笑)

この曲の前にははなさんのMCがあり
「今年はここまで3会場ライヴハウスでやってきて、今日は初めてのホールなんですけど、お客さんの熱気はライヴハウスに負けていません!」
と。
嬉しいお言葉でした。

僕は小さな箱のLIVEに行った経験もこれまで多くありますから、ライヴハウス(タイガース時代で言うところのジャズ喫茶ですね)独特の空気というのは分かるんですよ。だから今年のピーさんのツアーで、関西のライヴハウスが追加公演として発表された時には、参加できるかたが本当に羨ましかったんです。
でも二十二世紀バンドは、はなさんをはじめ各メンバーが日頃からライヴハウスで活躍されていますから、ホールでも同じ空気感が出せるのだと思います。はなさん、お客さんのこの日の熱気は他でもない、二十二世紀バンドが生み出してくれていたんですよ~。

そうそう、はなさんはMCの途中で、前曲「ヘンリー8世君」の直後ということで総立ちとなっているお客さんにふと気づいたように、「あ、どうぞお座りください。次はどう考えても座るトコなんで」と言ってお客さんを笑わせ着席に導いてくれました。
これは後にNELOさんのMCでも同じようなことがあり、NELOさんは「あ、みなさんどうぞ座ってください。これから30分くらい喋りますから」と笑わせてくれました。
このようにピーさんのLIVEは、メンバーからの気遣いも含め「立ってノリノリになる曲」と「座ってじっくり聴き入るバラード」でお客さんの「立つ」「座る」がしっかり区別されていることも、特色のひとつと言えるでしょう。


「カントリー・ロード(故郷に帰りたい)」

Countryroad

個人的にはとても嬉しいセットリスト入り。僕はこの曲が大好きなのです。
JEFFさんが手拍子をリードしてくれるイントロにはちょっとしたフェイクがあって。お客さんは最初、JEFFさんが「表」で手拍子を打っているように感じて合わせているのですが、実はそれが「裏」打ちというね。
ベースが噛み込むタイミングで「あらら!」となったお客さんもいらしたんじゃないかな。

映画『耳をすませば』では、ヒロインがこれを普通に表打ちの手拍子で打っちゃうシーンがあるんですけど、あれは「敢えて」です。その方がヒロインの純粋さと、シーンの「予期せぬときめき」感が出るわけですね。
ともあれ、ジュリーファンとしては、「A・C・B」や「ねじれた祈り」で裏打ちの感覚には慣れています。「よく分からない」と仰るみなさま・・・是非大宮、渋谷公演にご参加されて、二十二世紀バンド演奏のこの曲に合わせて「スウィング」の手拍子を覚えましょう!

リード・ヴォーカルはNELOさんです。二十二世紀バンドのステージでは短調のハードなナンバーを艶っぽく歌うことが多いNELOさんですが(「ハートブレイカー」「朝日のあたる家」など)、本来は良い意味でちょっとトボケた明るい雰囲気の歌声が持ち味。
これは男性ヴォーカル独特のものでもあり、NELOさんにはその才があります。オレンジズのアルバム『SCORE→』収録の「プレイボール」という曲が好例。
カントリー調の「故郷に帰りたい」にはそんなNELOさんの声がピッタリ嵌りますね。素敵な歌声でした。


「仲秋の月(荒城の月)」

「ポップス」とは別に、ピーさんは「唱歌」の継承についてもライフワークとしています。誰もが知る唱歌にピーさん独自の解釈で中国語詞、日本語詞を載せ、歌い継ぐ・・・毎年のLIVEではそんな曲が披露されます。
今年は、あまりにも有名な瀧廉太郎の「荒城の月」。
会場の誰もが絶対に知っているこの曲・・・しかし僕も含め初めてこのヴァージョンを聴いた会場のお客さんは、歌メロが始まるまでは「な、なんだっけこの曲?」と首を捻っていたでしょう。そのくらい斬新なアレンジが施されていました。
なにせ、ヘドバンできちゃうくらいのビート・ナンバーへと変貌しているんですよ。

歌っていたのはピーさん、はなさん、ALICEさんの3人だったでしょうか。
追っかけヴォーカルのような感じにアレンジされているんですけど、はなさんの、「身体ごと歌に入り込む」素晴らしいヴォーカルがこの曲ではじっくりと堪能できます。演奏同様にキレッキレの歌声です。
「常に動き回る、それがベスト」とはビートルズが登場した時に言われていたことで、それが「キックス」の項で触れたタイガースのテレビ出演時のインパクトにもいえるわけですが、二十二世紀バンドにもその血脈は受け継がれ、はなさんの「動き回る」ヴォーカル、演奏に特に体現されていると思います。

今回のパンフによれば「好きなバンド、アーティスト」として、はなさんはポール・マッカートニーを挙げていらっしゃいました。ビートルズファンとしては嬉しい!
さらにはなさんは「いつまでも若々しく、観るたびにパワーアップしてゆく」ポールの年齢を感じさせないパフォーマンスについて、「ピーさんにも同じことが言える」としています。本当にその通りですね。


三日月

Crescentmoon

曲の前にALICEさんのMC。演奏を終えたばかりの「荒城の月」について紹介してくれた後
「次の曲も”月”繋がりです。勘の良い人は何の曲か分かったかな~?」
ということで始まったのが、瞳みのる&二十二世紀バンド・オリジナル「三日月」でした。

あ、ここでちょっとお詫びなんですが、僕は以前「三日月」の考察記事を書いていて、その文中で「今年のツアーが始まるまでには、(カップリングの)「時よ行かないで」の記事も書きます!」と宣言していたにも関わらず、10月に痔の切除手術(恥)を受けたりしたこともあって、未だ実現していません。
いずれの機会に必ず書きますので、ピーファンのみなさまには今しばらくお待ち頂ければと思います。

さて、その「三日月」の考察記事中で僕はこの曲最大の聴きどころを「二十二世紀バンド結成を受けての、ピーさんとIchirohさんの練りこまれたツイン・ドラムス・アレンジ」だと書きました。そして、昨年のツアーではそこまでハッキリ確認できなかったのですが、今年はこの「三日月」でのIchirohさんの演奏がCD音源を見事再現していることをしっかり確認、本当に感動しました。
その中でも、AメロでのIchirohさんのハイハットには特に感嘆させられます。優しく繊細にして圧巻の3連符。しかもそれぞれに音量のアクセントがあります。
加えて、それを「叩き語り」するピーさんの4拍打ちにピタリと合わせているのです。つまり、ピーさんが1小節で「どっ、ぱん!どっ・ぱん!」と叩く間に、Ichirohさんは「3×4」の12打を叩き、延々とキープし続けます。
ツイン・ドラムス体制でのこの3連ハイハットは、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のキック連打ほど目立ちませんけど、凄まじい難易度、インパクトです。僕がこの日堪能した二十二世紀バンドの数々の素晴らしい演奏の中でも、「最高!」とお伝えしたい名演でした。

この曲では、「Pa...Pa...Pa...♪」のキュートなコーラスにも耳を奪われました。混声で繰り出されるコーラス・ワークは、二十二世紀バンドの個性のひとつです。
JEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーは確認しましたが、たぶんもう1人のメンバーが低いパートを担当していたと思います。Kenyaさんかな。


老虎再来

Theroad

3年連続のセットリスト入り。
CDではピーさんのヴォーカル&ドラムスをタローとスーパースターがバックアップするスタイルの演奏だったこの曲も、すっかり二十二世紀バンド・オリジナルと言うにふさわしい(パンフでもそのように紹介されています)LIVE定番曲となりました。
この曲はこれまで「セットリスト最終盤の盛り上がり曲」という印象が強かったのですが、中盤に配置された今年はまた違う感覚で新鮮に楽しめました。

ピーさんがスタンドマイクでヴォーカルに専念するのも、この曲では毎年恒例。
一番の見せ場は、最後のリフレインでピーさんが歌う主旋律に二十二世紀バンドのコーラスが絡みくんずほぐれつ状態になる、いわゆる「対位法」を導入した箇所。ここは曲の楽しさも倍増です。
その一方で僕は、いつか一度この曲をピーさんのドラムで聴いてみたい、という願望も持っています。CDについていた特典映像で、ピーさんがこの曲のドラムを叩いているシーンがとても好きなので・・・。


スマイル・フォー・ミー

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この日、どの曲だったか記憶がハッキリしないのですが、「おおっ、ピーさんのブラシ演奏初めて観た!」(今までもあったのかもしれません。僕が気づいたのが初めて、という意味です)と思った曲がありました。
曲調で判断するなら、この「スマイル・フォー・ミー」あたりは有力なんですけど・・・。

さて、生で聴くのは相当久々の名曲。ジュリーが2010年お正月の『歌門来福』で採り上げてくれて以来となります。あの頃は僕ならずとも、タイガース再結成が実現し、東京ドーム公演まで成功させることになろうとは夢想だにしていませんでしたよね。

二十二世紀バンドのこの曲の演奏で強く胸に響いたのは、女性陣お2人の活躍。それはイコール「ゆったりとした美しいバラードほど、シャキッと刻むべきところは刻まないといけない」という基本中の基本を思い知らされることでもありました。

まずは、はなさんのキーボード。
美しいばかりでなく「鋭い」んですよね。ひとつひとつの音が間延びせずにビシ~ッ!と繰り出され、ピーさんのヴォーカルの間隙を縫う「音符の長さ」と「休符の表現」の合わせ技が効きまくり。はなさんがパンフの「セットリスト・イチオシ曲」で、この「スマイル・フォー・ミー」を挙げていらっしゃるのも納得です。

そして、ALICEさんが担当したタンバリンの素晴らしさについては、多くのお客さんが見逃しているかもしれませんので是非ここで強調しておきたい!
このタンバリンの音が光るというのも小ホールの公演ならではですし、ALICEさんはそれを心得ています。ただ単に叩いている、などということはないのです。
Aメロは、16の刻みと裏拍のアクセント。これはオリジナル音源の転調後に登場するシャキシャキのフレージングを再現したものです。
サビでは一転して「たん・たん・たたたん♪」と打ちます。こちらは完コピ!
これから大宮、渋谷にご参加のみなさまは、タイガースの「スマイル・フォー・ミー」のタンバリン・パート(聴き取り易いミックスになっています)を聴いてから当日に臨まれると良いでしょう。ALICEさんの演奏が、オリジナル音源を聴き込み、研究、稽古を重ねての名演であることが伝わりますから。

それにしても、このキーの高い曲をピーさんが歌うとは意外でした。さすがに最後の転調は再現されず、同じキーで通しての演奏でしたが、NELOさんのフレットで判断する限りキーはオリジナル通りのハ長調だったと思います。相当高いですよ。
でも考えてみればピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」も歌いますし、メロディーの音域が広い「一枚の写真」のヴォーカルでは、低音には苦労されている感じを受けますが高音部は澱みありませんものね。


淋しい雨

Tigerssingle

これまた久しぶり!の嬉しい選曲。生で体感するのは、2011~12年の老虎ツアー以来です。
個人的な思い出で言うと、「淋しい雨」はこのブログで初めて考察記事を書いたタイガース・ナンバーでもあります。今でもとても好きな1曲ですね。

A面「スマイル・フォー・ミー」同様に高いキーの曲。ヴォーカルはJEFFさんだったと記憶していますが、こちらは最後の転調も再現されました。
また、ドラミングという点でも傑出したアレンジの曲なので、フィルやキメの箇所ではピーさんの大きなモーションを堪能しました。

Aメロで釘付けになったのは、キーボードのはなさんでした。曲の世界に陶酔するかのように目を閉じたまま、悠々とブラインド・タッチで演奏しているのです。
プロって凄いなぁと思うと同時に、今年も二十二世紀バンド各メンバーの凄まじい稽古量をしかと感じ取れたワンシーンでもありました。


銀河のロマンス

Tigersred_3

MCでは、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンがこの曲をカバーすることになった経緯についてのお話がありました。

ピーさんによれば、まだ「ファニーズ」としてLIVEをしていた頃、「客席にもの凄いグラマーな女性がいて、メンバー全員彼女に目が行って演奏どころじゃなかった」ということがあったのだそうですが、その彼女が何とレスリーの奥さんになった、と。
で、後にレスリーが日本の曲をカバーしようという時、数100曲ある候補曲の中からタイガース・ナンバーが2曲選ばれたのは、その彼女(ペコさん)が旦那さんであるレスリーのデスクの上にそっと『銀河のロマンス/花の首飾り』のシングル盤を置いておいたのが決定打だったらしいのです(ピーさん、一瞬「花の首飾り」のタイトルが出てこず「え~と、何だっけ、え~と・・・」と言葉に詰まり、JEFFさんにツッコまれていました)。
これはピーさんもつい最近になって聞いた話らしく、その時Ichirohさんも同席していたそうで、Ichirohさんは「俺、今すごい話を聞いてるなぁ」と感激しきりだった、とのこと。いやぁ、貴重な逸話が聞けました。

今年も僕はこの曲では、スラリとした立ち姿のALICEさんのコーラスに耳を奪われました。
そう言えばこの日僕がALICEさんのショルダー・キーボードに気がついたのは、「三日月」とこの「銀河のロマンス」の2曲だけでした。他の曲でも弾いてくれていたのかな・・・見逃してしまいました。


君だけに愛を

Tigersred

「タイガース・コーナー」となればこれは鉄板ですね。個人的には、この曲はもう二十二世紀バンドの演奏の記憶の方が鮮明になっているほどです。

「あたたかいハートに♪」直後の箇所でイカした経過音をキッチリ挿入させるなど、サリーのオリジナル演奏への敬意溢れるベースラインを弾きながら、豪快にして甘い歌声のJEFFさん。今年も「タッチしたい~♪」ではドミナント・コードの「D」の2弦開放を利用した情熱の左手アクションも繰り出してくれました。

ピーさんのドラムスは、正に激情のアタック。とにかく「思いっきり叩く」ピーさんのスタイルを最大限に生かすべく、Ichirohさんはブラシでのバックアップです。

間奏前の一瞬のブレイクでは、改めて「完璧なアレンジの曲」だと感じました。しかもLIVEが最高!というアレンジなんですよね。
ピーさんの強烈なフィルに続いてNELOさんの3連符リード・・・そう言えば去年はこのブレイク部でNELOさんは「うわあ~っ!」とオフマイクで絶叫していたっけ。


シーサイド・バウンド

Tigersred_2

こちらも鉄板曲。嬉しいフルコーラスの演奏でした。あの間奏ステップが2回楽しめるのですから。

昨年もそうでしたが、はなさんの間奏でのアクションがとにかく神、いや女神です。
右手1本で鍵盤を弾いている状態で思いっきり後ろに下がって踊るんですけど、あれだけ激しく身体を揺らしているのに、右手だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れず、まったく乱れないんですよね~。

あとNELOさんも、1回目の間奏はリード・ギターを弾きながらフレットも見ずに余裕のダンス・・・ところが、「おぉ、うまくいったぜ!」と油断したわけでもないでしょうが、2回目のステップ・タイムでNELOさんは1人だけ「シ~サ~イ、バ~ウン~♪」とエンディングのコーラスに突入してしまいました。
乱れるアンサンブルに緊迫の一瞬!
すぐに気がついたNELOさん、正しい譜割でリード・ギターに戻ってくるあたりはさすが!の腕前ですけど、ソロの間隙を縫って「ゴメン!」のゼスチャーでメンバーに謝っていらっしゃいました。


エンディングのJEFFさんのシャウトでは、「レッツ・ゴー・タイガース!」の後に「レッツ・ゴー・ピー!」というのもあり、その瞬間は大きな歓声が上りました。
演奏が終わるとJEFFさんが「何やってんだ~」とばかりにビシ~!とNELOさんを指差します。
でもNELOさんはいそいそと次曲のスタンバイ、JEFFさんのツッコミに気がつきません。
「あ、次はNELOさんのヴォーカル曲だな。たぶん去年も歌ってくれたアレだな!」
と分かっちゃいましたね。


「ハートブレイカー」

Tigersblue

開演前の場内BGMでもブザー直前に流れていたこの名曲、2年連続セットリスト入りが実現。「昨年の大好評に応えて」の選曲であることは間違いありません。
昨年はセットリスト前半でサプライズ的に披露されていたのが、今年はタイガースの特大ヒット・パレードに続く形で「佳境」の配置となりました。
前曲「シーサイド・バウンド」でちょっとやらかしてしまい、ピーさんに次ぐ「お茶目」キャラを爆発させていたNELOさんが一転、真剣な表情でギターを構えて始まった演奏・・・凄い緊張感です。

オープニングに続いて「第2のドラム・バトル」とも言うべき二十二世紀バンド版「ハートブレイカー」。
ドラムスは前半はほぼピーさんの独壇場で(Ichirohさんは途中までブラシだったと思います)、奇蹟の古希ドラマーの「鬼のキック連打」は今年も健在です。

NELOさんのヴォーカルも「カントリー・ロード」とはスタイルが違い、艶っぽさ全開の熱唱。客席のジュリーも「おぉ!」と血が騒いだんじゃないかな。
「そういや、タイガース再結成の時はこれをやってないな~。ワシもまた歌いたいな」と思ってくれたりしていたら嬉しいのですが・・・。
NELOさんのゴリゴリ系のギターもきっとジュリーの好みだと思いますし、ジュリーは二十二世紀バンドを大いに気に入ったのではないでしょうか。

で、僕は演奏が終わるまで気づかなかったんですけど、なんとピーさん、あまりの気合・入魂のドラムミングでクラッシュ・シンバルを破壊してました(驚)!
相次ぐ強打でネジが緩んでしまったようです。
メイ様のレポートを拝見すると、「ハートブレイカー」が終わったら間髪入れず「蛍の光」のALICEさんのヴォーカルに移行、というのが今ツアーの通常進行だったようですが、さすがにここでしばしの中断。Ichirohさんがピーさんのドラムセットまで駆けつけ、外れたシンバルのネジを手際よく修復していきます。
後でパンフのクレジットを見ると
「制作/舞台:Ichiroh」
との文字がありました。つまり、各会場のセッティングなど二十二世紀バンドの舞台プロデュースを担っているのはIchirohさんなのです。
Ichirohさんはおそらくメンバー男性陣の中で一番若いと思いますけど、本当に頼もしい存在。バンマスのJEFFさんにとっても「頼れる弟分」でしょう(「ヤンチャに手を焼く弟分」がNELOさんとKenyaさん・・・かな?)。

無事シンバルのセッティングも終わり、ピーさんが「すみません・・・頭のネジとシンバルのネジが外れてしまって」とお客さんの笑いを誘ったところで、仕切り直しの大団円、「蛍の光」へと繋がったのでした。


「蛍の光~悲しき叫び」

(「悲しき叫び」はサム・クック「Bring It On Home To Me」の邦題)

Hotarunohikari

毎年のことながら、この曲が始まると「あぁ、楽しいステージももうすぐ終わりだなぁ」と。
今年もALICEさんのアカペラからスタート(その部分だけ独立したキーになっているようです)。
ALICEさんの澄みわたる高音、こちらは女性ヴォーカリストならではです。時折織り交ぜるファルセットへの切り替えが本当に自然で、なめらかで美しい!

最後のコーラス前のピーさんからの挨拶、メンバー紹介もにこやかな雰囲気で進み、セットリストは当然次曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと続いたのでした。


ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue_2

毎年恒例のパターンで、ピーさんはまずイントロの力強いフィルを身体いっぱいの大きな動きで叩き終えてからドラムセットを離れ、ステージ前方に進出。
熱唱しながらの「L」の字はサビからで、的確な譜割で横揺れをリードしてくれているALICEさんに合わせる感じで客席の動きがきれいに揃います。

NELOさんのフォームを見ると、歌い出しのキーはト長調(転調後はイ長調)のようで、これは昨年と同じ。
それでもこの曲は特に転調後は高っかい!
一瞬だけそっと一緒に声を出してみましたが、やっぱり相当高いです。これまたピーさんがかなりのハイトーンの持ち主であることを証明するヴォーカルです。

エンディングのコーラス部では、満を持してのIchirohさんのキック連打も炸裂。
3年連続で、二十二世紀バンドのセットリスト本割はこの不朽の名曲で締めくくられました。

~アンコール~

シー・シー・シー

Tigersred_4

アンコールの拍手に応え、はなさんを先頭に二十二世紀バンドのメンバーが駆け入ってきました。
最後に登場したピーさんは、そのままステージ前方に陣どってスタンドマイクをセッティング。どうやらアンコールではリード・ヴォーカルに専念するようです。

まず鳴り響いたのはお馴染み、JEFFさんのベースのエイト・ビートでした。
もちろんこの瞬間でお客さんはそれが「シー・シー・シー」のイントロと分かり立ち上がって、NELOさんのギターが噛むやいなや、お約束のハンド・クラップ参加。
後で先輩方から伺ったお話では、「客席のジュリーは手拍子にも参加していた」とのことで、この曲でも後方から「正調」手拍子をリードしてくれていたのかな?

ピーさんは今年もサビで胸のあたりで掌返して「high♪」「down♪」のアクションを繰り出します。
「blue♪」の箇所は1番が「泣きマネ」、2番では頭を抱えるゼスチャーと変化をつけてきました。

サビ最後の「シー・シー・シー♪」と歌うところでピーさんは正規の音程をかなりシャープさせるんですけど、それがちょうどバック・コーラスの「3度上」のハーモニーになります。やっぱりピーさん、地声が高いんですね。


楽しい時は歌おうよ

Apictureofmymother

今年もこの曲が大トリです。
僕が「おおっ!」と思ったのは、今年は「シー・シー・シー」の直後に演奏されたということ。
以前楽曲考察記事で触れたように、「楽しい時は歌おうよ」のオリジナルCD音源には「シー・シー・シー」とまったく同じリズムのハンドクラップが採用されているのです(タローさんのアイデアではないか、と書きました)。
もしかして、お客さんみんな「シー・シー・シー」に続いての正調手拍子やるかな?と期待しましたが、やっていたのは気がつく限り僕だけ・・・結局1番だけでスゴスゴと退散し、皆に合わせました(恥)。

ピーさんはこの曲について、あの震災で被災された方々の元気の一助になれば、とリリース時にライナーでコメントされていました。熊本、鳥取のことがあった今年も、パンフでのこの曲の解説から、ピーさんの「エール」の志は不変であると感じます。
僕はこの日の会場で、東北の被災地から遠征の先輩お2人にご挨拶が叶いました。本当に、今年も素晴らしいステージで良かったなぁと思うばかりです。

エンディングのコーラス・リフレインで、耳に手を当ててお客さんのコーラスを求めたり、各メンバーの口元にマイクを差し出して駆け回るピーさんの躍動は今年も変わりません。と言うより、なんだか年々パワーアップしていますよね。
ピーさんを見ていると、「新しい試みに挑戦する。そしてそれを続けてゆく」のに年齢的に「遅い」なんてことはないんだなぁ、と勇気づけられる思いです。
僕も、色々頑張ろう・・・とにかく、手術からの完全復活がこの日に間に合って良かった!

☆    ☆    ☆

こうして楽しいショーも終わってしまい・・・昨年のようにダブル・アンコールはありませんでしたが、最後はピーさんがもう1度登場してくれて、1人ずつ二十二世紀バンドの面々を呼び寄せて改めてのメンバー紹介。
もちろん最後にはALICEさんの「そして~!」からのピーさん紹介もあり、ピーさん得意の投げキッスのポーズに喚声が上がります。退場間際にIchirohさんがピーさんと並んでの自撮り構図でステージ上から下手側の客席を撮影、これにて閉幕となりました。


先述の通り終演後はYOUさんにお誘い頂き、男2人でサシ飲み。これがまた楽しくて、ひとまわり年長でタイガースをリアルタイムで知っていらっしゃるるYOUさんから(YOUさんも僕も午年です)、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
この日の公演での二十二世紀バンドの演奏、そしてジュリーについても大いに語り合いました。

ただ、正に自分達が気持ちよく飲み、語っている頃に、川崎では大変なサプライズが実現していたとは露知らず・・・後にその情報を得たYOUさんは「何故タローさんのLIVEに行かなかったのか」と、すっかりしょげ返っていらっしゃいました。
川崎では「青い鳥」「色つきの女でいてくれよ」の2曲が演奏されたようですが、実はYOUさんとの酒席で「色つきの女でいてくれよ」の話題が出ていたのです。

ピーさんが音楽界にカムバックし、ジュリーのツアーに参加したのが2011~12年。
その後2012年11月に開催された中野サンプラザでのタローさんとのジョイント・コンサートで、ピーさんがドラムを叩く「色つきの女でいてくれよ」が披露されたことは本当に大きなサプライズでしたよね。あの時YOUさんは、「瞳さんは、もうタイガースのこれまですべてを受け入れたんだ」と思い感涙されたのだそうです。
そんな話をしていた正にその時、「色つきの女でいてくれよ」が川崎で実際に演奏されていたとは!
YOUさん、DYNAMITEと飲んでいる場合ではなかったですね。なんだか申し訳ないです・・・。

僕はこの日の数日前から鼻風邪を発症していて、ズルズルの状態で横浜に向かいました。
行きの電車内では身体の重さも感じていたんですけど、ピーさんのステージからパワーを貰ったのか、公演が終わる頃にはやたら元気になってしまいまして(まぁ、その後ぶり返したばかりか、カミさんにも移してしまいましたが)。行き帰りで雨がパラつく、あいにくの天気ではありましたが、音楽の楽しさ、高揚を真に実感できた素晴らしい1日でした。

今確かに言えることは、僕が公演前よりも公演後・・・遥かにピーさんや二十二世紀バンドのことを好きになっていて、「今後ずっと応援してゆく」気持ちをさらに強くしている、ということ。
ザ・タイガースのデビュー50周年である来年も、きっとピーさんのツアーがあるでしょう。
必ず何処かの会場に駆けつけたいと思っています!


それでは、次回からはジュリーの楽曲考察記事に戻りまして、来年のお正月LIVE『祈り歌LOVESONG特集』に向け、恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします。
まずは次回、12月3日の更新予定・・・毎年この日は『ジュリー祭り』セットリストからお題を採り上げることにしていますから、あの珠玉の80曲の中から、まだ記事に書いていない「LOVESONG」をお届けしますよ~。
例によって蓋をあけてみれば「まったく見当違い!」な結果になる可能性大ですが、毎回言うように、本人は当てる気満々で予想していますから!
どうぞお楽しみに~。

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2016年11月17日 (木)

沢田研二 「午前3時のエレベーター」

from『G. S. I LOVE YOU』、1980

Gsiloveyou

1. HEY!MR.MONKEY
2. NOISE
3. 彼女はデリケート
4. 午前3時のエレベーター
5. MAYBE TONIGHT
6. CAFE ビアンカ
7. おまえがパラダイス
8. I'M IN BLUE
9. I'LL BE ON MY WAY
10. SHE SAID......
11. THE VANITY FACTORY
12. G. S. I LOVE YOU

---------------------

おかげさまで、術後の痛みは完全になくなりました。
先日の経過診察によると、切除した傷口はもう出血も見られずほぼ完治(先生が「早いな~」と仰っていました)、薬の服用からも解放され、今後は注射でやっつけた小サイズの方が根治するかどうか推移を診てゆくことになるそうです。

今さらながらではありますが、今回の手術の件では本当にお騒がせしました。今日は「DYNAMITE痔核切除手術顛末記」最終回ということでお届けしますが、お題の「午前3時のエレベーター」楽曲考察の方に文量を割くつもりですよ~。
よろしくおつき合いのほどを・・・。


病気や手術を経験して得る一番尊いものは、「他人の痛みが分かる人間になる」ことだと言います。
今回の僕の場合は、確かに手術としては大掛かりなものではなく重篤な病気ではありませんでした。むしろ、「痔を切ることになりまして・・・」と言うとちょっとした笑い話にもなり、そのおかげで2週間の療養欠勤の許可もすんなり出た、という経緯もあるくらい。
それに、もし重篤な病気、手術だったらこうしてブログでありのままを書けていたかどうか・・・。おそらくメンタルの非常に弱い(と、今回痛感させられました)僕では無理だったでしょう。「人の痛みが分かる男」になれたとは言え、まだまだヒヨッコのDYNAMITEなのです。

そんな僕が偉そうに言うのもなんなのですが・・・闘病で一番大事なのはやっぱり本人の「気持ち」なんだなぁ、と実感することがこのひと月で多くありました。
今日はアルバム『G. S. I LOVE YOU』収録曲から大トリの記事執筆となる名曲「午前3時のエレベーター」のお題にあやかり、困難を乗り越えるための「気持ちの持ち方」をちょっと考えてみたいと思います。

生涯初の外科手術を経験したことで、僕は「大きな病気に敢然と立ち向かい、前向きに発信している」世の多くの方々への尊敬の念が格段に強まりました。彼等、彼女等の「気持ちの強さ」・・・本当に頭が下がります。
「午前3時のエレベーター」の作曲者である、かまやつひろしさんがそんな中のお1人です。
大変なご病気が発覚しての入院にもまったく怯まず、仕事への意欲も衰えず「絶対復活するから心配しないで」と発信。しかもその後ほとんど時を置かずに、自身のラジオ番組で早くも「復活宣言」をされるとは・・・。
どれほど心と体幹の強い人なのでしょうか。さすがはジュリーの兄貴分です。

ただ、かまやつさんのように心身ともに強靭な人というのは稀だと思います。病気や逆境に際して弱気になる人間・・・それが普通ではないでしょうか。
僕の場合もそうで、術後延々と続く激痛に苦しめられる中、それでも最初の2、3日は歯を食いしばって頑張るんですよ。ところが術後4~5日経っても一向に激痛が治まらないと悟った時、「痛みに耐える気力が削がれる」という「心の危機」に見舞われました。
痔の手術ごときで情けない話ですが、「これ以上はもう無理だ」と思ってしまう一瞬があるんです。
でもね、人間それが普通なんだとも思います。

そんな時に心の支えとなるのは何か・・・それは「未来の楽しみ」を見つける、その楽しみを夢見ることだと今回僕は学んだように思います。
闘病の期間によっても違いは出てくるでしょうが、その場合の「未来」って、近すぎず遠すぎず・・・というのが良いようです。つまり1年先、2年先くらいの「楽しみ」に思いを馳せることで、「今は辛いけど頑張ろう」という気力が湧いてくるのではないでしょうか。
僕はその点「ズバリ」だったんですよね。
痛みに耐える日々の中で矢継ぎ早に入ってくるジュリーの情報。来年はデビュー50周年、再来年は古希・・・「こんなことをやろうと考えている」とあの会場でチラリ、この会場でチラリ、とジュリーが話してくれたことを、ブログのコメントなどでみなさまから伝え聞くたびに「よし!」と痛みに立ち向かうガッツが戻ってくるという・・・本当に、本当に有難いことでした。
その意味でも、「ジュリーのメモリアル・イヤーの前に手術」の決断は大正解だったと思います。

加えて、「近々の目標をしっかり持つ」ことも大きい、とも実感しました。
僕は術前「『楽器フェア』までに仕事に復帰、ピーの横浜LIVEまでに完全復活」との目標を置きました。
幸いこれはピタリと嵌り、しかも「少しは楽になってきたのかなぁ」と感じるようになった頃にちょうどピーのチケットが届きました。とても嬉しかったですし、「もうひと踏ん張り!」とパワーが出ました。
結局「気持ち」って、そうしたことに助けられていかようにもなるものなんですね。

まぁここまで書いたことは、たかだか痔の手術程度で僕が辛うじて感じとった思いに過ぎません。もっと厳しい現実を真に想像できてはいないはずです。

それに僕は本当に根性無しで、手術中の自分の脈拍音(テレビドラマなどのシーンで見る「ピッ・・・ピッ・・・」と鳴っているアレですな)にすらビビっていたほどですから(恥)。感覚が大げさな面はあるでしょう。
そんな僕もこの先の人生、今回とは比較にならないほどの試練に立ち向かわなければならなくなる可能性は充分考えられます。
できるかどうか分からないけど、少しでもかまやつさんのような心の強さに倣い、僕などより大変な経験をされているジュリーファンの先輩方にも倣って、それでも苦しくなったら何か「未来の楽しみ」を見つけて頑張れたら・・・そんなふうに思っているところ。
できるかな・・・どうだろう?

ひとつ言えるのは、術後の辛い時期にはまったくそうは考えられなかったこと・・・「手術をして良かった」という気持ちに今の僕がなっている、ということ。
この気持ちを今後に生かしたいです。

とにもかくにも、
もう二度とあの術後の激痛の日々は体験したくありません。
療養中にネットで見つけた

「人間のプライドを破壊してしまうほどの排便時の激痛に耐えかね、少しでも楽に出せる方法はないものかと思案した挙句、湯船にお湯を張ってその中で用を足し、その都度奥さんを呼びつけてプカプカ浮いているナニを掬って片付けて貰っていた」

という大変な猛者のかたのブログがあるんですけど(まぁその方法でも「いくらかはマシ」という程度でメチャクチャ痛いことは痛いみたいですけどね)、そのかたは10年後に再発してしまったらしくて・・・。
僕はそんなことにならないよう、今後も特に食事には気を遣っていきます。
お刺身もワサビ抜きで食べますし、これまでせいろ蕎麦を食べる際つゆに大量に投入していた唐辛子の量も、ほどほどにします
(←それでも入れるんかい)


さぁ、いつまでも闘病回記を引っ張っていてもなんですし、ここからは今日のお題「午前3時のエレベーター」について張り切って書いていきましょう。
本当に考察ポイントの多い名曲です。

Elevator


参考スコアは当然の『ス・ト・リ・ッ・パ・-楽譜集』!


まずは「原曲」について。
「午前3時のエレベーター」にザ・スパイダースの原曲「ビター・フォー・マイ・テイスト」が存在すると僕が知ったのはほんの数年前のこと(『ジュリー祭り』以後)。そちらを聴かずして考察記事は書けない、と常々思っていたこともあり、アルバム『G. S. I LOVE YOU』収録曲ではこの曲が大トリ執筆となった次第です。
昨年でしたか、改めてJ先輩にコメント欄で楽曲タイトルを教えて頂きアマゾンで検索、収載曲を確認の上、満を持して購入したCDがこちらです。

Spiders


よく分からずに購入しましたが、これはザ・スパイダースのファースト・アルバムとセカンド・アルバムが合体した大変お得な1枚なのでした。

ファーストは邦楽ロックの歴史的意義からして間違いなく大名盤です。そのあたりについては、みなさまご存知の中村俊夫さんが素晴らしい解説を書いてくださっています。「知りたいことがすべて分かる」名文ですので、ここでもご紹介しておきましょう。


これぞ国産オリジナル・アルバム第一号

1966年リリース。特筆すべきは、中村さんも書いていらっしゃるように「全12曲中10曲が、メンバーのかまやつさん、大野さんのペンによる純粋なオリジナル曲で占められている」という点。日本のバンド・サウンドが真に誕生した歴史的1枚、ということでしょう(つまり今年の12月で50歳となる僕は、「GSと同い年」なのです)。
「フリ・フリ」は「バッド・ボーイ」だなぁ、「リトル・ロビー」は「ユー・リアリー・ガット・ミー」みたいだなぁ、カッコ良いなぁ、と思いながら聴きました。

一方で、「ビター・フォー・マイ・テイスト」の英語詞はじめこのアルバムの作詞陣も、邦楽史に残るにふさわしい面々が名を連ねていたことが中村さんの文章からよく分かりました。
阿久さんの「ミスター・モンキー」のお話は、不勉強にてこの度初めて知りましたね。言うまでもなく、ジュリーの「HEY!MR.MONKEY」を連想させるタイトル・・・糸井重里さんはこの曲をご存知だったのでしょう。

「ミスター・モンキー」については音の面でも、ブリティッシュ・ビート直系のイン トロ・リフが加瀬さんの名曲「SHE SAID...」に受け継がれていたり。
そうか・・・「午前3時のエレベーター」1曲に限らず、『G. S. I LOVE YOU』の原点を辿ることは、「GS50年」の出発点であるザ・スパイダースのこのアルバムに回帰することでもあるんだなぁ。

彼等のファーストが熱狂的に世に迎えられたことは、その後ほとんど間を置かずにセカンドがリリースされていることからも窺えます。
さすがに短過ぎるスパンでオリジナル曲を練り込む時間が無かったためか、セカンドは洋楽カバー・アルバムの趣となっていますが、そのラインナップがこれまた凄い。ビートルズ・ナンバーをリアルタイムに近いタイミングで採り上げているんですよ(65年リリースの『4人はアイドル』『ラバー・ソウル』からの選曲がメイン)。
「イエスタディ」「ミッシェル」「恋を抱きしめよう」「悲しみはぶっとばせ」といった、後にビートルズ代表曲として「誰もが知る」ことになる有名曲に加えて、「恋のアドバイス」のような隠れた名曲(『4人はアイドル』収録)を採り上げているのも嬉しい!
ロック独特の転調構成を擁する「恋のアドバイス」のカバーは、作曲家としてのかまやつさんのキャリアでも重要な血肉となっていること、疑いありません。

それでは、「ビター・フォー・マイ・テイスト」と「午前3時のエレベーター」の比較考察へと進みましょう。
まずはキーです。スパイダースはト長調でジュリーは1音低いヘ長調。「えっ、ジュリーの方がキー低いの?」と意外に思われるかたもいらっしゃるでしょうが、そこはひと仕掛けあるのですよ。
「午前3時のエレベーター」は最後の最後に変イ長調へと一気に跳ね上がる大胆な転調があるので(加瀬さんからや木崎さんの「もっと過激に!」というコンセプトに応えた銀次さんのアイデアではないでしょうか)、最終的にはジュリーはスパイダースより半音高いキーで歌っていることになります。転調部の最高音を設定してから、出だしのキーが決められたのでしょう。

さて、確かにこの2曲、「歌詞とアレンジのリメイク」関係ではありますが、メロディーそしてコード進行はそのままかと言うとそんなことはありません。
2曲ともご存知の先輩方は、一部メロディーの違いについては既に把握していらっしゃるでしょう。僕がその点に加えて「おおっ!」と思ったのは、「メロディーは同じなのにコードが違う」箇所があるということ。
『G. S. I LOVE YOU』制作には作曲者のかまやつさんも当然噛んではいたでしょうが、このコード・アレンジメントも、温故知新のポップ職人・伊藤銀次さんのアイデアではないかと僕は考えます。
例えばAメロ冒頭。
分かり易いように「ビター・フォー・マイ・テイスト」をジュリーの方に合わせてヘ長調に移調表記しますと

How could I fall in love How could I fall in love ♪
Dm                             F


↑ 「ビター・フォー・マイ・テイスト」

夜明けにLove with you 真昼にLove with you ♪
F                                Dm


↑ 「午前3時のエレベーター」

なんと、メジャーとマイナーがそっくり入れ替わってメロディーは変わらず、という。
いかにも銀次さんが考案しそうな手法です。メジャーから歌メロを始めることで

ハートにガンガン ビートでTiki-Tiki yeah ♪
Gm                     E♭      A7         Dm

この「Dm」への着地が生きるし、「その方がビートルズっぽくなる!」と考えたのではないでしょうか。具体的には「ナット・ア・セカンド・タイム」みたいに。

とにかくビートルズ・フリークの僕としては、かまやつさんと銀次さんお2人のビートルズ愛が10数年の時を超えて合体している感じが何より楽しくて。
「午前3時のエレベーター」は、これまたかまやつさんの作曲作品である「CAFE ビアンカ」ほどビートルズ・ナンバーのオマージュ元が明快ではないにせよ、コーラス・アレンジひとつとっても、「ユー・ウォント・シー・ミー」(「Ooo la la la...♪」や「ガール」(「tu,tu,tu,tu...♪」を思い出させてくれたり、「Oh Yeah♪」のフレーズがキレイにメロディーに載っていたり、やっぱりこの曲もビートルズへのリスペクトありき、だと思います。それがGSの原点でもありますしね。

最後に、三浦徳子さんの作詞について少し。
コンセプトや物語(主人公の心境)は、「ビター・フォー・マイ・テイスト」を踏襲しています。
その上で80年代先鋭の邦楽ロック作品としての表現、フレーズ使いが素晴らしいですね。

正に恋する真っ只中の時も、恋が終わってしまった後も、主人公のハート・ビートは同じように激しく波打ちます。しかし、いくら「ハートにガンガン」と胸打つ鼓動や「ビートでTiki-Tiki」滾る血流は同じでも、それが主人公に与える感情は、恋の状況によってまったく違う・・・そんなアプローチは、さすが三浦さんならでは。

午前3時にフラフラとエレベーターに乗っている、というだけで主人公のダメージが窺い知れますが、「明るすぎるぜ♪」のフレーズはその点強烈なインパクトがあります。人が心閉ざしている時、「明るさ」ほど厳しくブチ当たってくるものはありませんから。
思えば僕も今回、ひたすら術後の痛みに耐える時には暗がりが必要だったような気がします・・・。


それでは、オマケです!
『G. S. I LOVE YOU』リリースの少し前・・・『ヤング』80年11月号からジュリー関連のページを。
シングル「酒場でDABADA」を歌っていた頃ですね。


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ということで、「ジュリーのオリジナル・アルバム全曲のお題記事執筆」達成第1号は、大本命の『G. S. I LOVE YOU』ということになりました。
これを機に、過去の当アルバム収録曲記事はすべてアルバム・タイトルのカテゴリーに移行させたいと思います。小さなことですが、僕は「少しずつ積み重ねる」ということが好きなので、なかなか感慨深いです~。

さて次回更新は、いよいよ明後日に迫った「瞳みのる&二十二世紀バンド・横浜公演」レポートの予定です。
と、ここまで書いてきて唐突に思い出したんですけど、僕は以前「三日月」の考察記事を書いた際、カップリングの「時よ行かないで」について「ピーのLIVEツアーが始まるまでには書きます」と宣言していたことをすっかり忘れていました(滝汗)。
さすがにもう間に合わない・・・いずれの機会に必ず書きますので、しばしお待ち頂ければと思います。

ちなみにピーのツアーは北京公演を皮切りに国内でももう始まっていますが、僕はセットリストのネタバレはしたくないので、一切の情報を断っています。
「三日月」や「時よ行かないで」を歌ってくれているのか、ザ・タイガースの曲はどんなラインナップになっているのか、サプライズ級の貴重な楽曲のセトリ入りはあるのか・・・本当に楽しみにしています。

昨年、一昨年と生で体感してきて確信を得ていますが、二十二世紀バンドの演奏も本当に素晴らしいです。今、一番「GS回帰」を体現しているバンドじゃないかな。
百聞は一見に如かず。みなさま、今からでも是非!

実はちょっと風邪気味なのです。なんとしても19日までには体調を戻さねば・・・。
みなさまもどうぞお気をつけください。

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2016年11月11日 (金)

沢田研二 「僕は泣く」

from『彼は眠れない』、1989

Karehanemurenai

1. ポラロイドGIRL
2. 彼は眠れない
3. 噂のモニター
4. KI・MA・GU・RE
5. 僕は泣く
6. 堕天使の羽音
7. 静かなまぼろし
8. むくわれない水曜日
9. 君がいる窓
10. Tell Me...blue
11. DOWN
12. DAYS
13. ルナ

 

---------------------

 

手術からちょうどひと月が経ちました。
僕の場合はどうやら痔核切除手術の患者としては典型的な術後を過ごしたようで、痛みで動けずひたすら寝ていたのが2週間、なんとか動けるようになり痛みを堪えて社会復帰、往生しながらもどうにかやり過ごしたのがその後の1週間といった感じ。
術後のこの3週間は本当に辛かったですけど、同じ手術を受けた人の中には数ヶ月に渡って苦しみ続ける例もあるようですから、ここはジュリーに倣って「この程度で済んだ。護られている」と考えたいものです。

今年も大盛況となった『楽器フェア』も無事終わり、療養で休んでいた間に溜まっていた仕事にも追いついて、僕は再び「日常」を手にすることができました。
改めて、平穏な日々ほど有難いものはないんだなぁと実感しています。


さて、僕の平凡な日常は戻りましたが、世間は今週の大統領選挙で騒がしくしていますね。
選挙の結果・・・そりゃあ色々と思うところはあります。
ただ僕が一番怖いのは、トランプ氏の大統領就任で日本が今後どうしてゆくのか、ということにまったく興味の無い人が職場など身の廻りに多い現状です。
そもそもアメリカの話をする前に、自分達の国こそがちょっと前から「ヤバい」線でせめぎ合っているのに、国民の多くが全く気に留めていない、そんな現状。
ジュリーもよく言うように、考え方は色々あっていい・・・違う考えだから話ができる、とも思います。でも、無関心な人とは話すことも難しいんですよ。

無関心な事なかれ主義は感性のアンテナを鈍らせ、今回のような狂騒じみた「トランプ一色」報道にもたやすく飲み込まれてしまうのではないでしょうか。
色々あるけれど・・・例えば。
大統領選開票の喧騒の中、ひっそりと「安全基準に合格」した玄海原発。国と九州電力はさも当然の規定路線のように、今後の再稼働へと突き進むようです。
ジュリーの「限 界 臨 界」を聴いている僕は、「げんかい」という発音だけで禍禍しい予感がします。
「世間が大きなニュースに騒いでいる中でひっそりと報道される」ことが、最近多過ぎませんか?

ひとまず気をとり直して。

闘病回記がメインの更新が続きます(汗)。
今日はアルバム『彼は眠れない』から「僕は泣く」をお題にあやかりまして、「痔核切除手術の術後はどのくらい痛いのか」について書きますよ~。
患部の箇所が箇所なだけに汚い話題も出てきますが、どうか御了承くださいませ。


嬉しくて泣く。哀しくて泣く。
ジュリーのLIVEで感動して泣く。
そんな経験はみなさま必ずおありでしょう。でも、「痛くて泣く」・・・これはどうでしょう。子供の頃ならまだしも、大人になってから「痛すぎて涙を流した」経験をされた方はどれほどいらっしゃるでしょうか。
僕が今回体験したのはそんな痛みでした。
術後だいたい10日くらいまでは、毎日のように泣いていましたね・・・(恥)。

同じ痔の切除手術でも、術後の痛みには個人差があると言います。この個人差が何かと言うと、切除した患部の大きさと数なのだそうです。
まず「数」については、僕には3つの痔核がありましたが(受診前は1つだとばかり思い込んでいました)、幸い切除処置となったのは1つだけで、残る2つは注射で退治することができました。
注射の手術だけなら術後の痛みはほとんど無く数日で社会復帰できるのだそうで、「もっと早く診て貰っていれば全部注射で済んだのでは」と後悔しましたが、逆に言えば残る2つの痔核も「注射ができる」くらいのサイズにまでは育っていたということでもあり・・・。
もしこのままさらに数年放置していたら3つとも切除しなければならなかった可能性も。その場合は今回味わった痛みが単純計算で3倍増しになっていた・・・?
想像するだに恐ろしい!
手術直後に先生が「予定通り切除は1つで済みました」と仰っていましたから、残る2つの患部も処置的には本当にギリギリの線だったのかもしれません。

で、僕のケースで問題だったのは、切除した1つの傷口の「大きさ」と「深さ」です。
切除となった痔核のサイズについては初診時の段階から「結構なボリューム」と言われていました。
自分で触っていた感じではビー玉みたいな患部を想像していましたが、術後に切除したモノを見せて貰ってビックリ。ひと言でその形状を表現するなら、「大ぶりの落花生」でしょうか。想像以上に縦長で歪な物体・・・表面には一部白いポリープ状のものがへばり着いていて、放置していて良いモノではないことは一目でした(エグい話で本当にすみません)。

そんなこんなで僕の手術痕(周りの筋肉ごと抉りとられたわけですな)は大きく深く、「術後の強い痛み」の個人差で言うと上位ランクの傷口となりました。

まずは手術当日夜に麻酔が切れた段階で、「まさかこれほどとは」という痛みに直面し夜通し悶え苦しみ泣き続けることになります。
「痛い」を通り越して「熱い」と感じるほどの激痛・・・それでもその夜は「日が経つに連れて次第に和らいでいくんだろう」と自分に言い聞かせて耐えていました。
ところが、真の苦闘はその先に待っていたのです。

先生からはあらかじめ「この手術で一番の頑張りどころは、術後の排便コントロール」だと聞かされていました(でも、術前はそんな話もピンと来なくて・・・)。
手術翌日から早々と食事制限は無くなり、「きちんと食べて、きちんと出す」ことを念押しされました。
痛いながらも「どんなものかな」といざ便座に座ってみますと、いきなりオナラと共に泡状の血が噴き出してくるや、信じ難いほどの重く激しい痛みに失神寸前・・・とてもその後続けて「出す」には至りません。

結局僕は丸2日、激痛と恐怖のため「出す」ことができませんでした。
下剤を処方されているにも関わらず、ですよ。
これなんだ、これがこの手術の術後最も大変な試練なのだ、と身をもって理解しました。
同じ手術の経験者の中には、あまりにも痛いので拒食症のようになって長期間排便を試みなくなる患者さんもいるらしいのですが、実はその状況に陥るのが一番ヤバくて、傷口の治りと共に肛門が矮小化するなど、後々に大きなリスクを残してしまうのだそうです。
先生は「痛いでしょうが頑張って出してください」と。

2日が経ってもなかなか出せないでいる僕を見かねてカミさんが「何か良い方法はないものか」とネットで経験者の声を調べてくれたのですがこれが逆効果。
女性の経験者の
術後のトイレは分娩より痛い
との記述がありましてね・・・。
男性の僕には分娩がどれほど痛いのかは分かりませんけど、その表現で「半端な痛みではない」ことは伝わります。根性無しのDYNAMITEは見事に戦意喪失。
下剤が効いてずっとお腹も痛いのに、トイレに入るとお尻が縮こまって全然出せないのです。

そして3日目の夜。
下剤の効果が遂に限界を越え、「泣き叫び」ながら出しました。その叫び声を自分としては「ジュリーがLIVEの「愛まで待てない」で繰り出すシャウト」と表現しておきたいところなのですが、カミさんが言うには「劇画調の断末魔の声」だったのだそうな(恥)。

以後、毎日そのパターンを繰り返すことになりました。
「一体いつになったら痛みがマシになるのか」・・・ただただそんな日々が続くわけです。なにせトイレでのMAXの激痛が訪れたのは、術後6日目でしたから。
当然痛み止めも飲んでいるのですが、効いているのか効いていないのか。そもそも1日で服用できる量にも限度がありますしね。

振り返りますと、「少し楽になったかなぁ」と思えるまでにはだいたい2週間くらいかかりました。先生の「安静要2週間」との言葉がピタリと当たったのです。
「だいぶ楽になりました」とSNSに書いたタイミングで、医師免許をお持ちのJ先輩が、外科医の間で「痔のオペ後は悲惨、と言われている」と明かしてくださいました(術前や、正に「痛い痛い」と僕が言っている間は気遣って黙っていてくださったのですな~)。
シンプルな施術ですが患者の方は術後が大変、というかなり特殊な手術のようですね。
結局10月末まで痛いことは痛かったんですけど、さすがに「日にち薬」を実感できるようにはなり、今はもう痛みも出血もほとんどありません(でも未だにオムツを着用してますけどね汗。ガーゼが固定し易いので)。

僕は元々大げさに痛がり騒ぎたてる性質ではありますが、今回の体験については自信をもって「本当に痛かった」と言いきれます。
特にトイレは・・・ネットではこの痛みを「ぶ厚いガラスの破片を出しているような感じ」と書いている人がいました。その表現が一番的を得ているかもしれません。
しかも出した後しばらくは、痛いのはお尻だけのはずなのに、頭のてっぺんから足先まで貫かれるような痛みを感じ続けていたものでした。

いや、もっともっと大変な闘病経験をされている方々が世に多くいらっしゃることを思うと、今回の僕なんて「なんだ、そのくらい」という程度の闘病でしたよ。
でも、これまでの人生で一番痛い思いをしたことは間違いない・・・そして、僕と同じ病気、同じ手術を経験する人の気持ちが分かるようになった、ということはやはり大きいと思いますし、これからの僕はそれを財産としなければいけないでしょうね。

先述の先輩のお話では、日本人には痔の患者が潜在的にも多いのだそうです。
もしみなさまの中に痔をお持ちのかたがいらっしゃいましたら、「恥ずかしい」などと考えずに今すぐ専門医に診て貰うことを強くお勧めします。
僕のように相当長期の放置をしていなければ、今は(痔核については)注射の手術で治せるそうです。
長く放置してどうしようもなくなってから「切るしかない」と診断されたら、僕と同じ辛い思いをしなければなりません。そして、もしそのように診断されたとしても・・・やっぱり僕は手術をお勧めします。これは、実際に切除された患部を見た者にしか分からない感覚。絶対に、放っておいて良い病気ではないです。
大丈夫ですよ・・・どれほど痛いとは言っても、この弱虫DYNAMITEがどうにか乗り越えられたのですから。

みなさまが痔の切除手術を決断した時には、是非こちらでご相談ください。
術後療養中、どんな動作の時に特に痛いか、それを最小限に食い止めるにはどうすれば良いか、またトイレでの所作逐一について「こうすればいくらかは楽」という方法を苦闘の中で僕なりに発見してきましたから、様々なアドバイスができるはずです。

ちなみに、手術それ自体はまったく痛くありません。半身麻酔で意識はあるのでかなり怖いですけど。
僕は手術中ずっと「GO-READY-GO」のサビを頭の中で繰り返し歌っていました。「怖れ~の中に~飛び込む勇気だけ~が~・・・♪」ってね。
100回くらいは歌ったのかな(笑)。


いやはや、長々とエグい話ですみませんでした。
最後になりましたが、今回の闘病回記でお題としてあやかったジュリーの名曲「僕は泣く」について書いておきましょう(少しだけで恐縮ですが・・・)。

まぶしい陽射しに揺れてた 君の微笑み広がる
G                                    C                Cm

僕は泣く(somewhere) 僕は泣く(nowhere)
      G             Am7            G        Am7 

戻らない 夏の日の一言に ♪
      Em  Am7      C        G

まず楽曲タイトルはビートルズ初期のロックンロール・ナンバー「I'll Cry Instead」の邦題「僕が泣く」をオマージュ元としているものと思われます。
これは鶴久政治さんの作ったメロディーに「合わせて」の狙い・・・つまり「古き良き60年代オールディーズ」のコンセプトを以って尾上文さんが作詞、タイトルがつけられたのではないでしょうか(詞が先であった場合にも同じことは言えると思います)。

それにつけても鮮烈なのは、この大名盤での鶴久さんの作曲クレジットです。
アルバム『彼は眠れない』がリリースされた89年は、鶴久さんが在籍していたバンド、ご存知チェッカーズがその演奏センスの著しい進化、メンバーそれぞれの作曲作品のシングル・セールス成功によって「単なるアイドル・バンドではない」ことを万人に知らしめていた時期と言って良いでしょう。
鶴久さんは既にチェッカーズのシングル「ワンダラー」「Jim & Janeの伝説」「Room」などのヒットにより作曲家としてのキャリアを不動のものとしていて、この翌年にはあの有名なバラード「夜明けのブレス」を作曲することになるわけですから・・・忌野清志郎さん、奥居香さん、徳永英明さんなど錚々たる顔触れが揃ったアルバム『彼は眠れない』作家陣の中に並ぶにふさわしいロック・パーソンの起用だったと言えます。
チェッカーズのメンバーの作曲はそれぞれ個性が違い、楽曲の全体像を纏め完成度を高めるセンスに秀でた武内さん、コード感やリフからのソリッドな組み立てが得意な尚之さんに対し、鶴久さんは「まずは良いメロディーありき」という作曲手法ではないかと僕は推測しています。そしてそのメロディーに「洋楽オールディーズに通ずる普遍性」を託しているのが鶴久さんのスタイルではないでしょうか。
すなわち鶴久さんの作曲作品には、ご本人が意識せずとも「GS」のエッセンスが加味されることとなり、アルバム『彼は眠れない』をリアルタイムで体感されたジュリーファンの先輩方の多くが「おっ、この曲はちょっとタイガースっぽいじゃない!」とどこか懐かしさを感じながら聴いていらしたことは想像に難くありません。

その上で僕が興味惹かれるのは、鶴久さんのコード進行と西平彰さん(15日夜9時まで、「吉田建さん」と誤記していました。M様ご指摘ありがとうございました!)のアレンジが、「ナイアガラ(=大滝詠一さん)っぽく」仕上げられていることです。
元々大滝さんがオールディーズ専門家のような人であることを考えればそれも自然な印象であり偶然なのかもしれませんが、例えば

不思議な気がしてるんだ ふたり
C                 Cm                   G

別れた理由を今の僕はもう 何ひとつ
C                 Cm           G         Em

見つけられない ♪
C        D          D7 

このあたりは歌詞もメロディーも、そしてここで満を持して噛みこんでくるストリングスとピアノのフレーズなんて、完全に「ロンバケ」の世界なんですよ。
初めて曲を聴いた時すでに、「何ひとつ♪」の「つ」は大滝さんだったらファルセットで歌うかなぁ、なんて考えていたくらいです。
でも、「切ない詞を歌っているのに何処か涼しげで明るさすら感じさせる」のは大滝さんの個性でもあるけれど、僕はここではジュリーのヴォーカルにそれを強く意識させられます。「君が泣くのを見た」や「やわらかな後悔」のようなバラードの感覚を、この曲のジュリーのヴォーカルには感じるのです。僕だけかな?

ハートブレイクにして、ハートウォーム。
意外とジュリー・ナンバーとしては貴重なタイプの曲を、鶴久さんは提供してくれていたんだなぁ。
「僕は泣く」・・・改めて、名曲だと思います。「愛すべきアルバム収録曲」ですね。


それでは、オマケです!
「僕は泣く」がリリースされた89年繋がりということで、act『KURT WEILL』パンフレットから数枚どうぞ~。


Kurtweill01

Kurtweill02

Kurtweill04

Kurtweill05


それでは次回更新は・・・さすがに「闘病回記」ネタはそこまでで最終回にします。
そして、今年のお正月に掲げた
「ジュリーのオリジナル・アルバムからどれか1枚、収録全曲のお題記事執筆を書き終える」
という目標を達成しようと思っています。
「残りあと1曲!」にまで迫っているアルバムは

『G. S. I LOVE YOU』
『サーモスタットな夏』
『ROCK'N ROLL MARCH』

の3枚。
この中からお題を選びます・・・って、もうどの曲を書くかは決めているんですけど。

今週は寒い日が続きましたね。
思えば、僕は今回の手術を一番良い時期にできたんだなぁ。「痛い」に「寒い」或いは「暑い」が加わっていたら、さらに大変だったでしょうから・・・。
明日からは逆に暖かくなるようですが、みなさまも体調管理に充分お気をつけください。



☆    ☆    ☆

今日のりりィさんの訃報、ただただ残念としか言えません。
僕が初めて購入したジュリーのオリジナル・アルバムは『TOKIO』。クレジットにりりィさんのお名前を見た時は衝撃で、その提供曲「アムネジア」をとても新鮮に聴いたものでした。
たった今改めて聴きましたが、本当に個性的な名曲です。
まだまだお若いのに・・・ご冥福をお祈り申し上げます。

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2016年11月 1日 (火)

沢田研二 「News」

from『MIS CAST.』、1982

Miscast

1. News
2. デモンストレーション Air Line
3. 背中まで45分
4. Darling
5. A.B.C.D.
6. チャイニーズ・フード
7. How Many ”Good Bye”
8. 次のデイト
9. ジャスト フィット
10. ミスキャスト

-------------------

はじめに、この場を借りまして宣伝から。
いよいよ今週末(4日~6日)、楽器業界2年に1度の大イベント『楽器フェア』が開催されます。

僕は今回の手術について、まずこのイベントに合わせての仕事復帰を第一目標としてスケジュールを決めました。どうにかこうにか間に合ったようです。
業界中のメーカー、卸問屋さん、お店さん、そして演奏者さん達が力を合わせる一大イベント・・・今年の会場も前回2014年に引き続いての東京ビッグサイト!
特に楽器に興味の無いかたでも、会場の雰囲気を味わうだけで充分楽しめると思います。

不肖DYNAMITEは4日と6日に「日本楽譜出版協会」のブースにてスコア関連のスタッフをやります(本当は全開催日参加するつもりだったのですが、まだお尻の具合が・・・ということで飛び石にして貰いました)。
スコア関連の展示販売の目玉は、各メーカーが選りすぐって大放出する「謝恩価格本」コーナー。
要は絶版本市ですね。僕の勤務先からはダンボール30箱ぶんの稀少スコアを用意しました(手術前に頑張って用意しておいたのですよ~)。
関東在住でお時間のあるかたは、是非!


ということで、11月です。
今年の『un democratic love』・・・ジュリー全国ツアーもとうとう残すは大千穐楽、東京国際フォーラム公演を残すのみとなりましたね。

そんな中ではありますが・・・。
改めまして、この度は私事にて拙ブログにお越しのみなさまには大変ご心配をおかけしました。
「脱出性内痔核」の切除手術は、先月10月11日に無事決行、終了。当初の予定通り、3つの痔核のうち最大サイズのものを切除、残る2つには注射という施術となり、この手術最大のネックと言われる「術後の強い痛み」との格闘は2週間以上に及びました。
今はどうやら落ち着いてきたようです。

術後の痛みは聞きしに勝る壮絶なもので、よく外科手術で言われる「日にち薬」の感覚すら無くて、ただただ継続する激痛に耐えるだけの日々でした。
ここへきてようやく「日に日に楽になっていく」という実感があり、先の土曜日の経過診察では遂にアルコール解禁の許可も出ました(まだ飲んでないんですけどね。術後初の祝杯は外で飲みたいと思っているので・・・)。
まだ軽い痛みと出血はありますが、先生のお話では「ここまでくればもう大丈夫。よく頑張りました」とのことで、根治に向かい順調に快復しているようです。
痛みに耐えながらみなさまからのコメントに目を通していた苦闘の日々が、早くも懐かしい・・・。

ブログの記事更新は久々なんですが、この先しばらくは楽曲考察と言うより今回一連の闘病ネタが文章のメインになってしまいそうな予感。
まぁ、なるべくそのネタは小出しにして、少しでもお題に採り上げるジュリー・ナンバーの魅力と並行して語っていけたら良いかな、と考えています。
よろしくお願い申し上げます!


術前はどちらかと言うと激しいロック・ナンバーに自分の気持ちをリンクさせて勇気を貰う、という感じだったんですけど、術後は痛みが酷いこともあり、「ポ~ッ」と心地よく流しっぱなしにできるアルバムをポータブルでかけて聴いていました。
辛い日々の安らぎ、癒しを得るのに効果的だったアルバムは、『MIS CAST.』と『TRUE BLUE』の2枚でした。
いずれも名盤ですが、普段さほど入れ込んで聴いてはいなかった作品です。不思議なものですね。

お題に採り上げるのは、そんなアルバム『MIS CAST.』の中でも特に好きな曲である「News」。
今日はこの名曲のタイトルにあやかり、「ニュース」をキーワードに書いていきたいと思います。


「この国はいったいどうなるのか」と感じさせる不安なニュースは毎日のように流れてきて、それでも未だ無関心な人達もたくさんいて・・・やるせなさは募る一方ですが、ひとまずそれは置いといて。
ちょうど手術の直後に、個人的に大いに関心のあるニュースが2つほど届けられました。

・ボブ・ディランにノーベル文学賞
・将棋の三浦弘行九段、カンニング疑惑

術後寝たきりの僕にとっては、「一瞬だけ痛みを忘れてしまう」ほどの衝撃的なニュースでした。しかも、いずれもその後の展開がすったもんだして大変、未だ継続中という共通点もあったりして。

ディランの受賞は素晴らしいのひと言ですが、賞の選出発表後しばらくの間沈黙を保ち(ノーベル賞側が連絡を試みるもガン無視)、受賞を断るのではないかと言われ、何やらキナ臭い感じに・・・ディランのその態度は逆にファンの溜飲を下げました。
ところが、世の評論家やファンが「これこそがディランである」と「反権威」云々を訳知り顔で語り始めたタイミングで、ディランは「受賞を受け入れる」と表明。

この爽快なまでのアマノジャクぶりよ!

かく言う僕も「ノーベル賞を袖にするなんて、ディランはやっぱりカッコイイで!」な~んてカミさんに話をしていたわけですが、「オマエらに理解されるなんてまっぴら」と言わんばかりのディランの言動は、ノーベル賞に対しても、フリークなファンに対しても同等にその厚顔を抉ったと言うか、いやぁヤラレましたな~。
ノーベル賞側はそれでもまだ「授賞式に出られないなら歌を披露せよ」などとトンチンカンなことを言っているらしいので、さてディランが今後どういう手で来るか。

一方、三浦九段の「スマホ・カンニング疑惑」問題は、将棋ファンとしては正に青天の霹靂でした。
しかも各メディアの事件報道、キャスターのコメントなどが、相当ピントが合ってないと言うか、どうやら論点を理解できていないようです。
こればかりはある程度将棋界に詳しくないと分からないことですから仕方ないんですが・・・。
その辺りを説明するだけで日が暮れてしまいますから割愛しますけど、11月公開の映画『聖の青春』で一般ピープルに将棋の魅力が広くアピールできるんじゃないか、と思っていた矢先の今回の疑惑浮上はとにかく残念です。しかもこの先どのようにこの問題が収束するのかが未だ見通しの立っていない状況で、将棋ファンとしても成り行きを見守っていく他ありません。

術後の床に舞い込んだ2つのニュース。僕は事あるごとにその後の報道、展開を追いかけました。
でも、もちろんその傍ら、このブログにみなさまから頂いたコメント、或いは先輩方のブログなどで知る各地各会場のジュリーの「ニュース」・・・それこそが僕にとっては何よりの安定剤であり特効薬でした。

そんなジュリー関連のいくつかの話題の中で、最も僕の心を打った「ニュース」とは何か。
ズバリ、広島公演のMCです。
今年の広島公演は例年にもまして素晴らしい歌声だったようで(てか、ここへきて広島、高知、京都となんだかジュリーがとても楽しそうにしているみたいですね。僕は参加できませんが、ファイナルもそうだと良いなぁ・・・)、そんな中飛び出した話題というのが

・ジュリー、大腸内視鏡検査を決断

おぉ、何とタイムリーな!
ほんのひと月ちょっと前に同じ検査を生まれて初めて体験した僕は、そんなジュリーに(大変失礼ながら)メチャクチャ親近感が沸いてしまったという(笑)。

いや、ジュリーはハッキリ検査名称を口に出さなかったらしいのですが、「話の流れや身振りから、まず大腸内視鏡で間違いない」というのが先輩方の情報。
これは来年、再来年のメモリアル・イヤーに向けて身体のあらゆるところをしっかり診て貰っておこう、というジュリーの決断の一環かと思います。
何でもジュリーはこれまで「この検査だけはイヤだイヤだと逃げていた」のだそうで・・・いざ決断した今も「嫌だなぁ」と、検査当日までは毎夜毎夜胸をスースーさせて緊張していることでしょう。

分かる、分かるぞジュリー!


ということで今日の僕の「闘病ネタ」は、かかりつけの病院で「痔の手術をする人には、必ず術前検査として受けて貰っています」とのことで、イヤイヤ受けてみたらポリープが2個も見つかってしまい往生した、という大腸内視鏡検査のお話をしましょう。

あまりの痛さにすっかりここでの報告を忘れていましたが、9月に摘出した2個のポリープ・・・痔の手術当日に先生から病理検査の結果を聞いたところ、「問題ありませんでした。良性です」と。
検査経験者の先輩のお話によれば、大腸ポリープについては摘出したその場で先生から何やら意味深な話が無い限りほぼ大丈夫、とのことでしたが、さすがに結果を聞くまでは心配で・・・安堵しましたよ。
10ミリ以上まで育っていると色々問題が出てくるケースもあるようですね。僕のポリープは6ミリと4ミリでした。もし放置していたら数年後には・・・ゾッとします。

僕は検査の本当に直前まで
「痔の手術だけしてくれれば良いのに、今何故こんなに下剤を飲みまくって辛い思いをしてるんだ」
などと考えていました。
でも。
こんな機会でも無ければ、僕はずっと大腸の検査は緊急に迫られない限りしていなかったと思います。
会社の健康診断ではこれまで一度も便潜血を指摘されたことはありませんしね。それでも今回結果的にポリープが見つかり、無事とって貰えたわけです。
「検査しておいて良かった」と今は思っています。

初めての検査ですから、「えっ、そうなのか?」と学んだことも多数ありました。
例えば食事のこと。検査数日前から、大腸内の環境を良くしておくために「食べてはいけないもの」を避けて偏った食事をします。いよいよ前日、の夕食は「素うどん」のみでした。そして検査当日は朝食を抜きます。
当然、検査の頃にはお腹が減ってますわな。
「検査が終わったらラーメン食べて帰るか!」と、それだけを楽しみにしていたんですが・・・急遽ポリープの除去を行い、帰りの受付で流動食を渡されビックリ。
僕が非常識なだけかもしれませんが、大腸検査でポリープをとった場合は検査後さらに2日ほど厳しい食事制限があるのですね。お酒も運動も数日禁止です。
まぁジュリーはそうしたケースも主治医の先生からしっかり聞かされているでしょうから、検査日は全国ツアー後に予定しているのでしょう。

あと地味にビックリしたのが、検査の時に穴開きパンツ(お尻のトコに大穴があいてる)に着替えること。
僕はすっかり下半身スッポンポンになるものと覚悟して行ったんですけど、なるほどこの検査専用のこういう気のきいたモノがありましたか。
で、てっきり痔の手術もそれを履いてやるのかと思ったら、今度は逆に見事スッポンポンにさせられたという。看護士さんにも、すべてを見られました(笑)。

少し前にブログにも書いた通り、大腸内視鏡検査は確かに辛かったです。
しかし今思えば、あのくらいは痔の切除術後の辛さに比べたら「屁」みないなモンです!
むしろ貴重な体験でしたよ。検査前、ビビッている僕に「過ぎてしまえばすべて想い出に変わります」と言ってくださった先輩がいて・・・本当にその通りでした。

ジュリーは僕のように過剰に怖がったり騒いだりということは絶対にしないでしょうが、そんな根性者のジュリーですら、やっぱり「イヤだなぁ」とは思ったりもするんだな、としみじみ感じ入る今日この頃なのでした。


最後になりましたが、今日のお題にあやかった名曲「News」について、少しは楽曲考察っぽいことも書いておきませんとね。

痛みに耐える日々にアルバム『MIS CAST.』が何故しっくりきたのかはうまく説明できないんですけど、井上陽水さんの作るメロディーを歌うジュリーの声が、傷ついた身体には合っていたのかな、とは思います。
白井さんのアレンジやエキゾティクスの演奏はかなりマニアックで難解な面はあるにせよ、病身への鎮痛効果を感じると言うのかな・・・心地よかったんですよ。

陽水さんのメロディーはジュリーへの提供曲に限らず、うねりがあり抑揚が強い印象があります。
ところが、実はその音階移動については驚くほど平坦なんですよね。これこそ拓郎さんともまた違う、陽水さん独特の個性ではないでしょうか。
例えば「News」で言うと

こんなに暑さがつづいているのは
C

管区気象台のしわざ
G7

どなたのせいでもないので
C

一夏の恋でその身をこがして ♪
       G7


まず「ミ」の音が8分音符で1小節ぶん延々と続き、次いで「ド」の音へと下がってこれまた1小節。
同じ音階がズラズラと続くのは普通に考えれば面白みに欠けるのでしょうが、陽水さんのメロディーに宿る「発声感」には音符だけでは表せないニュアンスがあり、それでもクールさは失われず、またそれをジュリーが当然のようにうまく踏襲して歌っています。

さらに「News」の場合はコード進行も特徴的です。
間奏部以外の歌メロを、「C」「F」「G7」というハ長調のトニック、サブ・ドミナント、ドミナントの3つの和音のみが支えているのです。スリー・コードなのですよ。
曲を聴いているだけでは信じられないことです。とてもメロディアスに聴こえますからね。これまた陽水さんの作曲、ジュリー・ヴォーカル双方の真骨頂でしょう。
ジュリーの色も陽水さんの色も濃い・・・それが「News」。演奏時間の短いキャッチーなポップスが冒頭に配される構成のアルバムは、やっぱり素敵ですねぇ。

俺は黒いシューズ 君は首にビーズ
C    F     G7          C     F    G7

夜の中でkiss ラジオからは
C    F     G7   C       F

クレイジーでグルービーなNews ♪
  G7                             C


シンプルな和音と個性的なメロディー。
ディランを彷彿させる、一見哲学的のようでいて実は人を食った言葉遊びの詞。
陽水さんとジュリーの組み合わせ、というだけで既に凄いことです。そこへ白井さんのフェイクなアレンジと、エキゾティクスの洗練された演奏が絡んだ「News」のようなマニアックなタイプの曲が、僕の琴線に触れない方がおかしいわけで。

でも、今回「痛い痛い」とのたうち回る術後の状況下で聴いたこの曲、ひいてはアルバム『MISCAST.』は、驚くほど親しげで、気さくで、良い意味でとても敷居の低い名曲、名盤であるように感じられました。
遅れてきたヒヨッコのファンに、「遅まきながら」の再評価アルバムがまた1枚増えたのです。
素晴らしいアルバムですね、『MIS CAST.』。
僕はまだこのアルバムからは、「ジャスト フィット」1曲しか生のLIVEで体感できていません。
来年はデビュー50周年・・・ジュリーは「シングルをこの時のためにとっておいた」と語ったそうですね。そろそろ「背中まで45分」を聴ける日が来るのかな?

楽しみです!


それでは、オマケです!
『MIS CAST.』ツアー・パンフレットから数枚どうぞ~。

Miscast1

Miscast4

Miscast11

Miscast16

Miscast21

さぁ、明後日は遂にツアー大千穐楽です。
繰り返しになりますが、僕は手術のこともあって今年のツアー参加はNHKホールが最後となり、オーラスのフォーラムも留守番組です。

ジュリーはどんな様子だったか、どんな歌声、パフォーマンスだったか・・・参加されるみなさまのお声が頼りです。是非ご感想をお聞かせくださいね。
素晴らしいファイナルとなりますよう祈っています!

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