2016.11.19神奈川県民ホール(小ホール) 『瞳みのる&二十二世紀バンド LIVE2016 ~日中を翔るポップスライブ』
はじめに。
当記事は瞳みのるさんと二十二世紀バンド2016年のツアー・セットリストを全開でネタバレしています。この先の大宮公演、渋谷公演にご参加予定で、セットリストのネタバレを避けておきたい方はうっかり目を通してしまわないようご注意ください。
レポートは演奏曲目全曲につき、できる限り演奏順に書いたつもりですが、一部記憶に曖昧なところもあり、完璧ではないかもしれません。抜けている曲があったり、実際の演奏順とは異なる表記になっておりましたら申し訳ありません。
また、特にリード・ヴォーカルの担当メンバーについて記憶に自信のない曲もあります。誤記に気づかれた方がいらっしゃいましたら、コメントにてご指摘頂けますと助かります(すぐに加筆・修正させて頂きますので・・・)。
それでは、今年も最高に楽しかったピーさんと二十二世紀バンドのステージの様子を張り切って書いてまいります。よろしくお願い申し上げます。
そして、まだツアーご参加を迷っていらっしゃるタイガース・ファンのみなさま・・・この公演を観ない手は無いですよ!
☆ ☆ ☆
行ってきました~。
『瞳みのる&二十二世紀バンドLIVE2016~日中を翔るポップス・ライヴ』横浜公演!
ピーさんの二十二世紀バンドとのツアーも3年目。僕としてはもう「1年に1度、必ず逢わずにはいられない」バンドのステージとなっています。
70歳となったピーさんは今年も超人的なパフォーマンス、二十二世紀バンドの音も期待通りの素晴らしさ、楽しさで魅了してくれました。
そして、僕は公演中まったく気がついていなかったんですけど、何とこの日は横浜在住のジュリーも客席に駆けつけていたようで・・・(いつも仲良くしてくださるピーファンの先輩に、「ジュリーファンが気づかないでどうするの!」と笑われてしまいました)。
しかも公演後にはピーさんとジュリーが揃って川崎のタローさんの古希LIVE会場に移動、そこでタイガースのオリジナル・メンバーの5人が全員揃いステージで演奏、というビッグ・サプライズがあったそうですね。
僕はそのシーンをこの目にできなかったけれど、本当に嬉しい出来事です。
普段頻繁に会っていなくとも、友のお祝いにはサッと集合できる・・・これはタイガースのメンバーが完全に「仲の良い友だちに戻った」ことを表しています。
バンドで結びついた友人同士ならば、久しぶりに集まって「ちょっと音を合わせてみようか」という話になるのはごく自然なこと。それが今回、タローさん古希お祝いのステージ上で実現したのですね。
ずいぶん遅れてきたタイガース・ファンの僕でも、胸に温かいものが込み上げます。
今思えばそんな予感めいたものも手伝っていたのか、ピーさんと二十二世紀バンドの神奈川県民ホール(小ホール)公演に駆けつけた会場満員のお客さんは、なんとも言えない凄い熱気でした。
僕はジュリーのLIVEの時は、個人的に何人かの先輩からセットリスト速報を頼まれていることもあり、気合入れて演奏曲目、曲順を覚えて帰るんですけど、この日のピーさんの横浜公演はツアー初日ではなかったし、「帰宅してからメイ様のレポートで確認しよう」と考え(ネタバレ我慢のため、拝見するのを控えていました)、その点無心で臨みました。
で、終演後にいざメイ様のレポートを拝読すると・・・「あ、あれ?曲目が微妙に記憶と違うぞ」と。
そう言えば昨年は、まったく真逆のことをメイ様が書いていらしたっけ・・・。
つまり、ピーさんのツアーは(JEFFさんとKenyaさんの出演、担当楽器の変動による都合もあるのかもしれませんが)、会場ごとに演目や曲順が少し変わるのです。
後でパンフを見ると、「よその会場ではこの曲もやるのか」と思ったタイトルがいくつかありました。
ということで、特に演奏順については記憶がグダグダなままの執筆となったこと、お許しください。
幸いピーさんのLIVEの場合は、購入したパンフで演目の復習が可能です。なんとか記憶を繋ぎ合わせ、できる限り演奏順に忠実に書いてゆくつもりです。
毎度お馴染みの大長文です。充分お時間のある時に、お供のお茶菓子をご用意の上読んで頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
それでは、開演です!
☆ ☆ ☆
「オープニング(Drum Battle)」
場内の照明が落とされると、舞台下手から二十二世紀バンドのメンバーが入場。少し遅れてピーさんが姿を見せると一層大きな拍手が沸き起こります。
オープニングは昨年と同じく、ピーさんとIchirohさんのドラムバトルでした。
いやぁピーさん、ノッケから全開です。
僕は今年9月にクイーン+アダム・ランバートの武道館公演を観に行きました。
サポート・ドラマーとしてロジャー・テイラーの息子さんも来日していて、ロジャーと息子さん2人のドラムバトルも披露され、「まだまだ一歩も引かんぞ!」と言わんばかりのロジャーのドラミングに驚嘆しました。
ピーさんとIchirohさんはちょうどロジャー親子と同じくらいの年齢差のはず。双方一歩も引かず、その上で完璧にピーさんのサポートをこなすIchirohさんの演奏がまた素晴らしかったです。
難易度の高いリズム割りのフレーズも繰り出される中、他の二十二世紀バンドのメンバーが両手を高々と掲げてお客さんの手拍子をリードしてくれているので、こちらも安心してついていけます。
ただ、僕の席からピーさんのお顔が・・・み、見えん!
今回は上手側端に近い5列目ということで、斜めからの角度でピーさんがよく見えるだろうと予想していたのに、まさかまさかの3年連続シンバル仮面状態。
各会場のセッティングにもよるのでしょうが、ピーさんの公演ではそれは前方席の宿命なのかな・・・。
それにしてもピーさんのスネアのアタックが凄まじい。これが70歳の演奏とは信じられません。
演奏が終わると、拍手が鳴り止む間もなくJEFFさんが「スキニー・ミニー!」とシャウト。いよいよ「当に時に及びて楽しむべし」なセットリスト本割が始まります!
「スキニー・ミニー」
いきなりの大好物ナンバー!
昨年に続いてのセットリスト入り。タイガースの再結成では聴けなかった曲ですが、その後二十二世紀バンドの演奏で2年連続楽しむことができています。
何と言っても、モッズ・テイストのJEFFさんのヴォーカルがバッチリ嵌る曲。
今年のパンフには二十二世紀バンド各メンバーによる「セットリスト・イチオシの曲」の記載があり、JEFFさんはこの「スキニー・ミニー」を挙げていらっしゃいます。心酔するタイガースのファースト・アルバムにも収録されていた大好きな曲を、本物(ピーさん)のドラムで歌えることが本当に嬉しい、と。
さて、演奏が始まってすぐに、僕のいた上手ブロックは総立ちとなりました。
すると・・・おぉ、見える!
着席時はシンバルに隠れていたピーさんの表情が、スタンディングだとハッキリ見えます。やっぱりピーさんはドラムを叩いている姿が一番カッコイイですね。
「スキニー・ミニー」最大の肝である「た・た・たん!」の手拍子は当然の会場全員参加です。
二十二世紀バンドは全メンバーがお揃いでイエローの「PEE」Tシャツ(背番号は「22」)姿。ピーさんはそのTシャツの上からジャケットを着ていましたが、この曲が終わると早々に脱いでいらっしゃいました。
「ジャケット姿は1曲のみ!」というのも、最早ピーさんのLIVEではお約束・・・?
「キックス」
おぉ!僕にとってはセットリスト2曲目にして早くもサプライズ級の名曲が降臨。僕はこの曲、ジュリーのソロを含めてもまったく初めての生体感なのです。
加えて、僕は二十二世紀バンドのメンバーの中でKenyaさんを観るのがこの日初めてでした。
そのKenyaさんが「キックス」ではリード・ヴォーカルを担います。マイクを食べちゃうぞ!という感じで、若干下を向く体勢でのヴォーカル・スタイルは、どことなく鉄人バンドの下山さんを思わせます。声もメンバーの中では最も「男」度が高い印象でした。
さて、後追いファンの僕はまだまだタイガースの歴史について知らないことが多いです。
ピーさんのMCによれば、「キックス」はピーさん達タイガースのメンバーが初めてテレビ出演した際に、2分にも満たない時間枠で披露したという非常に思い出深い曲なのだ、と。
僕はこれまで深い考え無しに、タイガース初のテレビ出演は大々的に採り上げられた特番か何かで、何曲か続けて演奏し、その中の1曲が「キックス」だったんだろうなどと想像していました。恥ずかしながら、実際は全然違ったんですね。世の中の誰も知らない5人の若者が突如画面に現れ、僅か2分足らずの時間で強烈なインパクトを残した・・・というのが正しいようです。
この話題は終演後、ひとまわり年長の男性タイガース・ファンであるYOUさんとの打ち上げサシ飲みの酒席でも出て、なんとYOUさんはそのテレビ放映された「キックス」のシーンを中学生の時にリアルタイムで観ていらしたのだそうです。
とにかく衝撃的で、「一体なんなんだこれは!」と大変な興奮を覚えた、と。
「あんなふうに動き回るバンドは初めてだった」と教えてくださいました。今でこそロック・バンドは演奏とともに激しく動くのが常識ですが、日本でそれを最初にやったのが我らがザ・タイガースだったわけです。
YOUさんは仰います。
「それまでは、バンドが身体を動かすと言ってもせいぜい横に揺れるくらいのものだったから、テレビを観ていた人は皆、ド肝を抜かれたんだよ」
僕には想像でしか感じることのできない思いですが、この日会場に駆けつけた多くのお客さんが、ピーさんのMCで当時を思い感激されていたのでしょうね。
「デイドリーム・ビリーバー」
毎年、「誰もが知っている」有名な洋楽ナンバーを披露してくれるピーさんと二十二世紀バンドのステージ。今年は「Aポップス」からモンキーズのこの特大ヒット曲がセットリスト3曲目に採り上げられました。
ここまで(もちろんこの先も)のカバー曲はそれぞれリズムや曲想が違い、この時点でもう「今年もバラエティーに富んでいるなぁ」と感じましたね。
「デイドリーム・ビリーバー」のようなシャッフルのリズムとなれば注目はキーボードのはなさん。華麗にして恍惚のステップに、昨年に引き続き僕は釘付けになりました。本当に心から楽しそうな演奏をされるのです。
はなさんはシャッフルの4拍子に合わせて足を交互にステップさせ飛び跳ねるようにして弾き、「魅せて」くれます。それがもう、まったく乱れない!
あんなに大きなステップなのに、手足の連動が正確かつ楽しげで、見ているこちらも無条件にウキウキしてきますね。
いやぁ改めて名曲!・・・と言いながら、リード・ヴォーカルが誰だったか今必死に思い出しているという(汗)。自信は無いけどピーさんだったんじゃないかなぁ。
「ホテル・カリフォルニア」
先述の通り、僕は二十二世紀バンドメンバーの中でKenyaさんを観るのはこの日が初めてでした。
ほとんどの曲で黙々とリズム・ギターのバッキングに徹していたKenyaさん。JEFFさん不在時のベーシストとしてバンドに加入したKenyaさんが、横浜ではギタリストとしてステージ貢献されたわけですが、JEFFさんのMCによれば「ツインギター体制は今日が初めて!」とのことで(ちなみにこの後の大宮、渋谷各公演も同じく7人のフルメンバー構成で演奏するそうです)、聴く側として「ツインギター体制で得をしたなぁ」と感じたのがズバリ、この「ホテル・カリフォルニア」。
それはこの曲がセットリスト中唯一、NELOさんとKenyaさんの「ツイン・リード」が披露されるからであり、そもそも「ホテル・カリフォルニア」という曲はエンディングのツイン・リードこそが最大の聴かせどころ。
神戸、大阪、京都のギター1本体制では、そこまでの再現が叶わなかったことは明らかですから。
2人のギタリストはエンディングで揃ってステージ前方までせり出し、互いに向き合う姿勢で完璧に「ホテル・カリフォルニア」のツイン・リードを再現。
まずは代わる代わるにソロを繰り出し、いよいよキメの16分音符のハモリへと突入します。
まったく乱れることのなかったNELOさん、Kenyaさん2本のギターのハーモニーの素晴らしさについては、YOUさんとの酒席でも大いに語り合いました。
話が前後しますが、Kenyaさんのキャラクターについては後にNELOさんのMCで愉快な話が飛び出しましたので、ここでご紹介しておきましょう。
北京公演に遠征の際、Kenyaさんが現地で悪徳タクシーのボッタクリに遭いそうになったところ(正規の10倍ほどの料金を請求されたとか)、ピーさんが颯爽と現場へ駆けつけ、流暢な中国語で猛抗議してくれて事無きを得たのだそうです。NELOさん曰く
「しかしそのタクシーも勇気あるよね。(Kenayaさんは)一番カラミたくないタイプの人ですからね~」
と。
これにはステージ上のメンバーも大爆笑。Kenyaさん自身もそこは否定せず(笑)。
ついでにその時のNELOさんのMCで、もうひとつ面白かった話を。NELOさんは常々
「ピーさんの中国語は本当に現地で通じるのか」
などと失礼な疑問(笑)を持っていたそうです(それで、Kenyaさんのタクシーの話に繋がったのです)。
NELOさんはどうやらそれを(もちろん冗談で)ツイッター上では、Ichirohさんがそんな疑問を持っていたものとして発信していたらしく・・・ここぞとばかりにIchirohさん、「みんな、俺がそう言ってたと本気で思ってるじゃん!」とNELOさんを責め立てていました。
するとNELOさんは今度はALICEさんに責任をなすりつけようとして返り討ちに。そうしたトークが和気藹々と自然に繰り出されるあたりも二十二世紀バンドの大きな魅力。本当に楽しいバンドなのです。
さて「ホテル・カリフォルニア」に話を戻して・・・僕が驚嘆したのは歌メロ部のハイハットの刻みの分担。なんと、ピーさんが16でIchirohさんが8なのです。
体力的に負担の配分を考えれば、これは逆にするのが普通。誰もそれで何の疑問も持たないはずです。そこを敢えて難易度の高いパートに挑むピーさん。
奇蹟の古希ドラマーはトコトン妥協せず、常に高みを目指しています。年齢など関係なく、きっとピーさんのドラムスはこの先もさらに進化していくでしょう。
「用心良苦(心をこめて)」
毎年設けられる「Cポップス」コーナーでは毎回僕の知らない曲が披露されるので新鮮です。
「中国にもこんな素敵な曲があるんだよ」というピーさんからの伝道ですね。パンフによれば、この曲は93年の台湾ポップスだそうです。
演奏直後でしたか、JEFFさんが「この日文詞はピーさんの作詞ですっけ。それとも訳詞ですっけ?」と尋ねると、たぶんピーさんが「翻訳」と言ったっぽいのですがJEFFさんは聞き取り辛かったみたいで「翻訳?」と聞き返しました。すかさずピーさんは「こんにゃく!」と得意のオヤジギャグをブチかまします。
JEFFさんが何やら混ぜっ返して2人のやりとりがグダグダになり収拾がつかなくなったところで、Ichirohさんの「コン!」という絶妙なタイミングの「カウベルツッコミ」が炸裂。会場は爆笑となりました。
このシーンはじめ、Ichirohさん必殺の「カウベルツッコミ」はこの日、僕が覚えているだけでも計3回は繰り出されていましたね(笑)。
「永遠に愛誓う(愛你一万年/時の過ぎゆくままに」
いやぁ、これは驚きました。
いえ、選曲に驚いたわけではないですよ。この曲は二十二世紀バンドのツアーで一昨年に採り上げられていますし、まだ聴けてはいませんが、ちょっと前にピーさんのラジオ出演がジュリー界でも話題になっていました。そこでピーさんが「時の過ぎゆくままに」について、「愛你一万年」なる台湾ポップスのカバー・ヴァージョンとジュリーのオリジナルとの違いについてひとしきり語った、という情報は僕も得ていましたから。
「はは~ん、どうやら今年のツアーではこの曲がセットリスト入りしているな、と思ったくらいです。
僕が驚いたのは、初めて聴く「愛你一万年」ヴァージョンのアレンジです。
原曲の「バラード」の面影はまったくありませんでした。二十二世紀バンドの音で聴いた印象もあるのでしょうが、むしろクリームっぽいハード・ロック、或いはキング・クリムゾンっぽいプログレを想起させられます。
ラップの掛け合いのようなキメ部もあって、畳みかけるような大作構成に仰天しました。まさか「時の過ぎゆくままに」でピーさんの鬼のキックが炸裂するとは。
導入部はジュリーのオリジナル通りのメロディーでJEFFさんが歌いました(NELOさんのギターソロは全然違うフレーズでした。あちらではあんな感じなのかな)。
演奏前のMCでJEFFさんは、「愛你一万年」ヴァージョンに載せて新たにピーさんが日本語詞を書いた部分(「永遠に愛誓う」)はピーさんが歌う、と説明ののち
「ジュリーのオリジナル歌詞部は・・・すみません僕が歌います!」
と、恐縮しきりでお客さんの笑いを誘っていましたけど・・・今考えれば、客席には本物がいたわけですからねぇ。JEFFさんは緊張もしたでしょうが、生涯忘れ難い宝物のような体験だったことでしょう。
JEFFさんのヴォーカルは、萎縮した様子はまったく無く全身全霊の熱唱でした。
MCの話に戻りますと、台湾から大陸全土への大ヒットとなった「愛你一万年」は中国では本当に有名な曲で、ピーさん曰く「20億人が知っている」のだそうです。
それを受けてJEFFさんが
「でも、オリジナルがジュリーだというのは知られていない・・・なんてことだ!」
と憤慨。
ピーさんは
「そこはちょっとムカつくんですよね~」
ですって(笑)。
この2人の愉快なやりとりは、ジュリーの来場に気づいている人といない人とでは格段に面白さの味わいが違ったものと思います。う~む、損したぞ~!
「ヘンリー8世君」
毎年何か1曲はセットリスト入りする、ピーさん独壇場の「コール&レスポンス」ナンバー、今年は「ヘンリー8世君」が採り上げられました。ここでピーさんはこの日最初のスタンディング・ヴォーカルとなります。
お馴染みのピー・ダンスは健在。
コール&レスポンスは「ジャスティン」流の「ヘイ」「ホ~!」も繰り出されます。
お客さんへのコールの前にはピーさんがバンドに「Are you ready?」と尋ね、メンバーが「イエ~!」と応えるのですが、この日はピーさんがメンバーのレスポンスに対して「声が小さい!」と一喝するシーンも(笑)。
あと、NELOさんがリード・ギターを弾きながら片足でピョンピョンして踊るピーさんに絡んでいったのは、この曲だったかなぁ。
「ダニー・ボーイ」
有名な曲ですが僕はこの曲をフルコーラス聴いたのは初めてのことでした。二十二世紀バンドの演奏では、ALICEさんの澄んだヴォーカルが聴きどころです。
(僕は元々、『可愛い女の子が「ボーイ♪」と歌う歌フェチ』なのです笑)
この曲の前にははなさんのMCがあり
「今年はここまで3会場ライヴハウスでやってきて、今日は初めてのホールなんですけど、お客さんの熱気はライヴハウスに負けていません!」
と。
嬉しいお言葉でした。
僕は小さな箱のLIVEに行った経験もこれまで多くありますから、ライヴハウス(タイガース時代で言うところのジャズ喫茶ですね)独特の空気というのは分かるんですよ。だから今年のピーさんのツアーで、関西のライヴハウスが追加公演として発表された時には、参加できるかたが本当に羨ましかったんです。
でも二十二世紀バンドは、はなさんをはじめ各メンバーが日頃からライヴハウスで活躍されていますから、ホールでも同じ空気感が出せるのだと思います。はなさん、お客さんのこの日の熱気は他でもない、二十二世紀バンドが生み出してくれていたんですよ~。
そうそう、はなさんはMCの途中で、前曲「ヘンリー8世君」の直後ということで総立ちとなっているお客さんにふと気づいたように、「あ、どうぞお座りください。次はどう考えても座るトコなんで」と言ってお客さんを笑わせ着席に導いてくれました。
これは後にNELOさんのMCでも同じようなことがあり、NELOさんは「あ、みなさんどうぞ座ってください。これから30分くらい喋りますから」と笑わせてくれました。
このようにピーさんのLIVEは、メンバーからの気遣いも含め「立ってノリノリになる曲」と「座ってじっくり聴き入るバラード」でお客さんの「立つ」「座る」がしっかり区別されていることも、特色のひとつと言えるでしょう。
「カントリー・ロード(故郷に帰りたい)」
個人的にはとても嬉しいセットリスト入り。僕はこの曲が大好きなのです。
JEFFさんが手拍子をリードしてくれるイントロにはちょっとしたフェイクがあって。お客さんは最初、JEFFさんが「表」で手拍子を打っているように感じて合わせているのですが、実はそれが「裏」打ちというね。
ベースが噛み込むタイミングで「あらら!」となったお客さんもいらしたんじゃないかな。
映画『耳をすませば』では、ヒロインがこれを普通に表打ちの手拍子で打っちゃうシーンがあるんですけど、あれは「敢えて」です。その方がヒロインの純粋さと、シーンの「予期せぬときめき」感が出るわけですね。
ともあれ、ジュリーファンとしては、「A・C・B」や「ねじれた祈り」で裏打ちの感覚には慣れています。「よく分からない」と仰るみなさま・・・是非大宮、渋谷公演にご参加されて、二十二世紀バンド演奏のこの曲に合わせて「スウィング」の手拍子を覚えましょう!
リード・ヴォーカルはNELOさんです。二十二世紀バンドのステージでは短調のハードなナンバーを艶っぽく歌うことが多いNELOさんですが(「ハートブレイカー」「朝日のあたる家」など)、本来は良い意味でちょっとトボケた明るい雰囲気の歌声が持ち味。
これは男性ヴォーカル独特のものでもあり、NELOさんにはその才があります。オレンジズのアルバム『SCORE→』収録の「プレイボール」という曲が好例。
カントリー調の「故郷に帰りたい」にはそんなNELOさんの声がピッタリ嵌りますね。素敵な歌声でした。
「仲秋の月(荒城の月)」
「ポップス」とは別に、ピーさんは「唱歌」の継承についてもライフワークとしています。誰もが知る唱歌にピーさん独自の解釈で中国語詞、日本語詞を載せ、歌い継ぐ・・・毎年のLIVEではそんな曲が披露されます。
今年は、あまりにも有名な瀧廉太郎の「荒城の月」。
会場の誰もが絶対に知っているこの曲・・・しかし僕も含め初めてこのヴァージョンを聴いた会場のお客さんは、歌メロが始まるまでは「な、なんだっけこの曲?」と首を捻っていたでしょう。そのくらい斬新なアレンジが施されていました。
なにせ、ヘドバンできちゃうくらいのビート・ナンバーへと変貌しているんですよ。
歌っていたのはピーさん、はなさん、ALICEさんの3人だったでしょうか。
追っかけヴォーカルのような感じにアレンジされているんですけど、はなさんの、「身体ごと歌に入り込む」素晴らしいヴォーカルがこの曲ではじっくりと堪能できます。演奏同様にキレッキレの歌声です。
「常に動き回る、それがベスト」とはビートルズが登場した時に言われていたことで、それが「キックス」の項で触れたタイガースのテレビ出演時のインパクトにもいえるわけですが、二十二世紀バンドにもその血脈は受け継がれ、はなさんの「動き回る」ヴォーカル、演奏に特に体現されていると思います。
今回のパンフによれば「好きなバンド、アーティスト」として、はなさんはポール・マッカートニーを挙げていらっしゃいました。ビートルズファンとしては嬉しい!
さらにはなさんは「いつまでも若々しく、観るたびにパワーアップしてゆく」ポールの年齢を感じさせないパフォーマンスについて、「ピーさんにも同じことが言える」としています。本当にその通りですね。
「三日月」
曲の前にALICEさんのMC。演奏を終えたばかりの「荒城の月」について紹介してくれた後
「次の曲も”月”繋がりです。勘の良い人は何の曲か分かったかな~?」
ということで始まったのが、瞳みのる&二十二世紀バンド・オリジナル「三日月」でした。
あ、ここでちょっとお詫びなんですが、僕は以前「三日月」の考察記事を書いていて、その文中で「今年のツアーが始まるまでには、(カップリングの)「時よ行かないで」の記事も書きます!」と宣言していたにも関わらず、10月に痔の切除手術(恥)を受けたりしたこともあって、未だ実現していません。
いずれの機会に必ず書きますので、ピーファンのみなさまには今しばらくお待ち頂ければと思います。
さて、その「三日月」の考察記事中で僕はこの曲最大の聴きどころを「二十二世紀バンド結成を受けての、ピーさんとIchirohさんの練りこまれたツイン・ドラムス・アレンジ」だと書きました。そして、昨年のツアーではそこまでハッキリ確認できなかったのですが、今年はこの「三日月」でのIchirohさんの演奏がCD音源を見事再現していることをしっかり確認、本当に感動しました。
その中でも、AメロでのIchirohさんのハイハットには特に感嘆させられます。優しく繊細にして圧巻の3連符。しかもそれぞれに音量のアクセントがあります。
加えて、それを「叩き語り」するピーさんの4拍打ちにピタリと合わせているのです。つまり、ピーさんが1小節で「どっ、ぱん!どっ・ぱん!」と叩く間に、Ichirohさんは「3×4」の12打を叩き、延々とキープし続けます。
ツイン・ドラムス体制でのこの3連ハイハットは、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のキック連打ほど目立ちませんけど、凄まじい難易度、インパクトです。僕がこの日堪能した二十二世紀バンドの数々の素晴らしい演奏の中でも、「最高!」とお伝えしたい名演でした。
この曲では、「Pa...Pa...Pa...♪」のキュートなコーラスにも耳を奪われました。混声で繰り出されるコーラス・ワークは、二十二世紀バンドの個性のひとつです。
JEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーは確認しましたが、たぶんもう1人のメンバーが低いパートを担当していたと思います。Kenyaさんかな。
「老虎再来」
3年連続のセットリスト入り。
CDではピーさんのヴォーカル&ドラムスをタローとスーパースターがバックアップするスタイルの演奏だったこの曲も、すっかり二十二世紀バンド・オリジナルと言うにふさわしい(パンフでもそのように紹介されています)LIVE定番曲となりました。
この曲はこれまで「セットリスト最終盤の盛り上がり曲」という印象が強かったのですが、中盤に配置された今年はまた違う感覚で新鮮に楽しめました。
ピーさんがスタンドマイクでヴォーカルに専念するのも、この曲では毎年恒例。
一番の見せ場は、最後のリフレインでピーさんが歌う主旋律に二十二世紀バンドのコーラスが絡みくんずほぐれつ状態になる、いわゆる「対位法」を導入した箇所。ここは曲の楽しさも倍増です。
その一方で僕は、いつか一度この曲をピーさんのドラムで聴いてみたい、という願望も持っています。CDについていた特典映像で、ピーさんがこの曲のドラムを叩いているシーンがとても好きなので・・・。
「スマイル・フォー・ミー」
この日、どの曲だったか記憶がハッキリしないのですが、「おおっ、ピーさんのブラシ演奏初めて観た!」(今までもあったのかもしれません。僕が気づいたのが初めて、という意味です)と思った曲がありました。
曲調で判断するなら、この「スマイル・フォー・ミー」あたりは有力なんですけど・・・。
さて、生で聴くのは相当久々の名曲。ジュリーが2010年お正月の『歌門来福』で採り上げてくれて以来となります。あの頃は僕ならずとも、タイガース再結成が実現し、東京ドーム公演まで成功させることになろうとは夢想だにしていませんでしたよね。
二十二世紀バンドのこの曲の演奏で強く胸に響いたのは、女性陣お2人の活躍。それはイコール「ゆったりとした美しいバラードほど、シャキッと刻むべきところは刻まないといけない」という基本中の基本を思い知らされることでもありました。
まずは、はなさんのキーボード。
美しいばかりでなく「鋭い」んですよね。ひとつひとつの音が間延びせずにビシ~ッ!と繰り出され、ピーさんのヴォーカルの間隙を縫う「音符の長さ」と「休符の表現」の合わせ技が効きまくり。はなさんがパンフの「セットリスト・イチオシ曲」で、この「スマイル・フォー・ミー」を挙げていらっしゃるのも納得です。
そして、ALICEさんが担当したタンバリンの素晴らしさについては、多くのお客さんが見逃しているかもしれませんので是非ここで強調しておきたい!
このタンバリンの音が光るというのも小ホールの公演ならではですし、ALICEさんはそれを心得ています。ただ単に叩いている、などということはないのです。
Aメロは、16の刻みと裏拍のアクセント。これはオリジナル音源の転調後に登場するシャキシャキのフレージングを再現したものです。
サビでは一転して「たん・たん・たたたん♪」と打ちます。こちらは完コピ!
これから大宮、渋谷にご参加のみなさまは、タイガースの「スマイル・フォー・ミー」のタンバリン・パート(聴き取り易いミックスになっています)を聴いてから当日に臨まれると良いでしょう。ALICEさんの演奏が、オリジナル音源を聴き込み、研究、稽古を重ねての名演であることが伝わりますから。
それにしても、このキーの高い曲をピーさんが歌うとは意外でした。さすがに最後の転調は再現されず、同じキーで通しての演奏でしたが、NELOさんのフレットで判断する限りキーはオリジナル通りのハ長調だったと思います。相当高いですよ。
でも考えてみればピーさんは「ラヴ・ラヴ・ラヴ」も歌いますし、メロディーの音域が広い「一枚の写真」のヴォーカルでは、低音には苦労されている感じを受けますが高音部は澱みありませんものね。
「淋しい雨」
これまた久しぶり!の嬉しい選曲。生で体感するのは、2011~12年の老虎ツアー以来です。
個人的な思い出で言うと、「淋しい雨」はこのブログで初めて考察記事を書いたタイガース・ナンバーでもあります。今でもとても好きな1曲ですね。
A面「スマイル・フォー・ミー」同様に高いキーの曲。ヴォーカルはJEFFさんだったと記憶していますが、こちらは最後の転調も再現されました。
また、ドラミングという点でも傑出したアレンジの曲なので、フィルやキメの箇所ではピーさんの大きなモーションを堪能しました。
Aメロで釘付けになったのは、キーボードのはなさんでした。曲の世界に陶酔するかのように目を閉じたまま、悠々とブラインド・タッチで演奏しているのです。
プロって凄いなぁと思うと同時に、今年も二十二世紀バンド各メンバーの凄まじい稽古量をしかと感じ取れたワンシーンでもありました。
「銀河のロマンス」
MCでは、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンがこの曲をカバーすることになった経緯についてのお話がありました。
ピーさんによれば、まだ「ファニーズ」としてLIVEをしていた頃、「客席にもの凄いグラマーな女性がいて、メンバー全員彼女に目が行って演奏どころじゃなかった」ということがあったのだそうですが、その彼女が何とレスリーの奥さんになった、と。
で、後にレスリーが日本の曲をカバーしようという時、数100曲ある候補曲の中からタイガース・ナンバーが2曲選ばれたのは、その彼女(ペコさん)が旦那さんであるレスリーのデスクの上にそっと『銀河のロマンス/花の首飾り』のシングル盤を置いておいたのが決定打だったらしいのです(ピーさん、一瞬「花の首飾り」のタイトルが出てこず「え~と、何だっけ、え~と・・・」と言葉に詰まり、JEFFさんにツッコまれていました)。
これはピーさんもつい最近になって聞いた話らしく、その時Ichirohさんも同席していたそうで、Ichirohさんは「俺、今すごい話を聞いてるなぁ」と感激しきりだった、とのこと。いやぁ、貴重な逸話が聞けました。
今年も僕はこの曲では、スラリとした立ち姿のALICEさんのコーラスに耳を奪われました。
そう言えばこの日僕がALICEさんのショルダー・キーボードに気がついたのは、「三日月」とこの「銀河のロマンス」の2曲だけでした。他の曲でも弾いてくれていたのかな・・・見逃してしまいました。
「君だけに愛を」
「タイガース・コーナー」となればこれは鉄板ですね。個人的には、この曲はもう二十二世紀バンドの演奏の記憶の方が鮮明になっているほどです。
「あたたかいハートに♪」直後の箇所でイカした経過音をキッチリ挿入させるなど、サリーのオリジナル演奏への敬意溢れるベースラインを弾きながら、豪快にして甘い歌声のJEFFさん。今年も「タッチしたい~♪」ではドミナント・コードの「D」の2弦開放を利用した情熱の左手アクションも繰り出してくれました。
ピーさんのドラムスは、正に激情のアタック。とにかく「思いっきり叩く」ピーさんのスタイルを最大限に生かすべく、Ichirohさんはブラシでのバックアップです。
間奏前の一瞬のブレイクでは、改めて「完璧なアレンジの曲」だと感じました。しかもLIVEが最高!というアレンジなんですよね。
ピーさんの強烈なフィルに続いてNELOさんの3連符リード・・・そう言えば去年はこのブレイク部でNELOさんは「うわあ~っ!」とオフマイクで絶叫していたっけ。
「シーサイド・バウンド」
こちらも鉄板曲。嬉しいフルコーラスの演奏でした。あの間奏ステップが2回楽しめるのですから。
昨年もそうでしたが、はなさんの間奏でのアクションがとにかく神、いや女神です。
右手1本で鍵盤を弾いている状態で思いっきり後ろに下がって踊るんですけど、あれだけ激しく身体を揺らしているのに、右手だけがガッキと鍵盤に吸い付いて離れず、まったく乱れないんですよね~。
あとNELOさんも、1回目の間奏はリード・ギターを弾きながらフレットも見ずに余裕のダンス・・・ところが、「おぉ、うまくいったぜ!」と油断したわけでもないでしょうが、2回目のステップ・タイムでNELOさんは1人だけ「シ~サ~イ、バ~ウン~♪」とエンディングのコーラスに突入してしまいました。
乱れるアンサンブルに緊迫の一瞬!
すぐに気がついたNELOさん、正しい譜割でリード・ギターに戻ってくるあたりはさすが!の腕前ですけど、ソロの間隙を縫って「ゴメン!」のゼスチャーでメンバーに謝っていらっしゃいました。
エンディングのJEFFさんのシャウトでは、「レッツ・ゴー・タイガース!」の後に「レッツ・ゴー・ピー!」というのもあり、その瞬間は大きな歓声が上りました。
演奏が終わるとJEFFさんが「何やってんだ~」とばかりにビシ~!とNELOさんを指差します。
でもNELOさんはいそいそと次曲のスタンバイ、JEFFさんのツッコミに気がつきません。
「あ、次はNELOさんのヴォーカル曲だな。たぶん去年も歌ってくれたアレだな!」
と分かっちゃいましたね。
「ハートブレイカー」
開演前の場内BGMでもブザー直前に流れていたこの名曲、2年連続セットリスト入りが実現。「昨年の大好評に応えて」の選曲であることは間違いありません。
昨年はセットリスト前半でサプライズ的に披露されていたのが、今年はタイガースの特大ヒット・パレードに続く形で「佳境」の配置となりました。
前曲「シーサイド・バウンド」でちょっとやらかしてしまい、ピーさんに次ぐ「お茶目」キャラを爆発させていたNELOさんが一転、真剣な表情でギターを構えて始まった演奏・・・凄い緊張感です。
オープニングに続いて「第2のドラム・バトル」とも言うべき二十二世紀バンド版「ハートブレイカー」。
ドラムスは前半はほぼピーさんの独壇場で(Ichirohさんは途中までブラシだったと思います)、奇蹟の古希ドラマーの「鬼のキック連打」は今年も健在です。
NELOさんのヴォーカルも「カントリー・ロード」とはスタイルが違い、艶っぽさ全開の熱唱。客席のジュリーも「おぉ!」と血が騒いだんじゃないかな。
「そういや、タイガース再結成の時はこれをやってないな~。ワシもまた歌いたいな」と思ってくれたりしていたら嬉しいのですが・・・。
NELOさんのゴリゴリ系のギターもきっとジュリーの好みだと思いますし、ジュリーは二十二世紀バンドを大いに気に入ったのではないでしょうか。
で、僕は演奏が終わるまで気づかなかったんですけど、なんとピーさん、あまりの気合・入魂のドラムミングでクラッシュ・シンバルを破壊してました(驚)!
相次ぐ強打でネジが緩んでしまったようです。
メイ様のレポートを拝見すると、「ハートブレイカー」が終わったら間髪入れず「蛍の光」のALICEさんのヴォーカルに移行、というのが今ツアーの通常進行だったようですが、さすがにここでしばしの中断。Ichirohさんがピーさんのドラムセットまで駆けつけ、外れたシンバルのネジを手際よく修復していきます。
後でパンフのクレジットを見ると
「制作/舞台:Ichiroh」
との文字がありました。つまり、各会場のセッティングなど二十二世紀バンドの舞台プロデュースを担っているのはIchirohさんなのです。
Ichirohさんはおそらくメンバー男性陣の中で一番若いと思いますけど、本当に頼もしい存在。バンマスのJEFFさんにとっても「頼れる弟分」でしょう(「ヤンチャに手を焼く弟分」がNELOさんとKenyaさん・・・かな?)。
無事シンバルのセッティングも終わり、ピーさんが「すみません・・・頭のネジとシンバルのネジが外れてしまって」とお客さんの笑いを誘ったところで、仕切り直しの大団円、「蛍の光」へと繋がったのでした。
「蛍の光~悲しき叫び」
(「悲しき叫び」はサム・クック「Bring It On Home To Me」の邦題)
毎年のことながら、この曲が始まると「あぁ、楽しいステージももうすぐ終わりだなぁ」と。
今年もALICEさんのアカペラからスタート(その部分だけ独立したキーになっているようです)。
ALICEさんの澄みわたる高音、こちらは女性ヴォーカリストならではです。時折織り交ぜるファルセットへの切り替えが本当に自然で、なめらかで美しい!
最後のコーラス前のピーさんからの挨拶、メンバー紹介もにこやかな雰囲気で進み、セットリストは当然次曲「ラヴ・ラヴ・ラヴ」へと続いたのでした。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」
毎年恒例のパターンで、ピーさんはまずイントロの力強いフィルを身体いっぱいの大きな動きで叩き終えてからドラムセットを離れ、ステージ前方に進出。
熱唱しながらの「L」の字はサビからで、的確な譜割で横揺れをリードしてくれているALICEさんに合わせる感じで客席の動きがきれいに揃います。
NELOさんのフォームを見ると、歌い出しのキーはト長調(転調後はイ長調)のようで、これは昨年と同じ。
それでもこの曲は特に転調後は高っかい!
一瞬だけそっと一緒に声を出してみましたが、やっぱり相当高いです。これまたピーさんがかなりのハイトーンの持ち主であることを証明するヴォーカルです。
エンディングのコーラス部では、満を持してのIchirohさんのキック連打も炸裂。
3年連続で、二十二世紀バンドのセットリスト本割はこの不朽の名曲で締めくくられました。
~アンコール~
「シー・シー・シー」
アンコールの拍手に応え、はなさんを先頭に二十二世紀バンドのメンバーが駆け入ってきました。
最後に登場したピーさんは、そのままステージ前方に陣どってスタンドマイクをセッティング。どうやらアンコールではリード・ヴォーカルに専念するようです。
まず鳴り響いたのはお馴染み、JEFFさんのベースのエイト・ビートでした。
もちろんこの瞬間でお客さんはそれが「シー・シー・シー」のイントロと分かり立ち上がって、NELOさんのギターが噛むやいなや、お約束のハンド・クラップ参加。
後で先輩方から伺ったお話では、「客席のジュリーは手拍子にも参加していた」とのことで、この曲でも後方から「正調」手拍子をリードしてくれていたのかな?
ピーさんは今年もサビで胸のあたりで掌返して「high♪」「down♪」のアクションを繰り出します。
「blue♪」の箇所は1番が「泣きマネ」、2番では頭を抱えるゼスチャーと変化をつけてきました。
サビ最後の「シー・シー・シー♪」と歌うところでピーさんは正規の音程をかなりシャープさせるんですけど、それがちょうどバック・コーラスの「3度上」のハーモニーになります。やっぱりピーさん、地声が高いんですね。
「楽しい時は歌おうよ」
今年もこの曲が大トリです。
僕が「おおっ!」と思ったのは、今年は「シー・シー・シー」の直後に演奏されたということ。
以前楽曲考察記事で触れたように、「楽しい時は歌おうよ」のオリジナルCD音源には「シー・シー・シー」とまったく同じリズムのハンドクラップが採用されているのです(タローさんのアイデアではないか、と書きました)。
もしかして、お客さんみんな「シー・シー・シー」に続いての正調手拍子やるかな?と期待しましたが、やっていたのは気がつく限り僕だけ・・・結局1番だけでスゴスゴと退散し、皆に合わせました(恥)。
ピーさんはこの曲について、あの震災で被災された方々の元気の一助になれば、とリリース時にライナーでコメントされていました。熊本、鳥取のことがあった今年も、パンフでのこの曲の解説から、ピーさんの「エール」の志は不変であると感じます。
僕はこの日の会場で、東北の被災地から遠征の先輩お2人にご挨拶が叶いました。本当に、今年も素晴らしいステージで良かったなぁと思うばかりです。
エンディングのコーラス・リフレインで、耳に手を当ててお客さんのコーラスを求めたり、各メンバーの口元にマイクを差し出して駆け回るピーさんの躍動は今年も変わりません。と言うより、なんだか年々パワーアップしていますよね。
ピーさんを見ていると、「新しい試みに挑戦する。そしてそれを続けてゆく」のに年齢的に「遅い」なんてことはないんだなぁ、と勇気づけられる思いです。
僕も、色々頑張ろう・・・とにかく、手術からの完全復活がこの日に間に合って良かった!
☆ ☆ ☆
こうして楽しいショーも終わってしまい・・・昨年のようにダブル・アンコールはありませんでしたが、最後はピーさんがもう1度登場してくれて、1人ずつ二十二世紀バンドの面々を呼び寄せて改めてのメンバー紹介。
もちろん最後にはALICEさんの「そして~!」からのピーさん紹介もあり、ピーさん得意の投げキッスのポーズに喚声が上がります。退場間際にIchirohさんがピーさんと並んでの自撮り構図でステージ上から下手側の客席を撮影、これにて閉幕となりました。
先述の通り終演後はYOUさんにお誘い頂き、男2人でサシ飲み。これがまた楽しくて、ひとまわり年長でタイガースをリアルタイムで知っていらっしゃるるYOUさんから(YOUさんも僕も午年です)、貴重なお話をたくさん伺うことができました。
この日の公演での二十二世紀バンドの演奏、そしてジュリーについても大いに語り合いました。
ただ、正に自分達が気持ちよく飲み、語っている頃に、川崎では大変なサプライズが実現していたとは露知らず・・・後にその情報を得たYOUさんは「何故タローさんのLIVEに行かなかったのか」と、すっかりしょげ返っていらっしゃいました。
川崎では「青い鳥」「色つきの女でいてくれよ」の2曲が演奏されたようですが、実はYOUさんとの酒席で「色つきの女でいてくれよ」の話題が出ていたのです。
ピーさんが音楽界にカムバックし、ジュリーのツアーに参加したのが2011~12年。
その後2012年11月に開催された中野サンプラザでのタローさんとのジョイント・コンサートで、ピーさんがドラムを叩く「色つきの女でいてくれよ」が披露されたことは本当に大きなサプライズでしたよね。あの時YOUさんは、「瞳さんは、もうタイガースのこれまですべてを受け入れたんだ」と思い感涙されたのだそうです。
そんな話をしていた正にその時、「色つきの女でいてくれよ」が川崎で実際に演奏されていたとは!
YOUさん、DYNAMITEと飲んでいる場合ではなかったですね。なんだか申し訳ないです・・・。
僕はこの日の数日前から鼻風邪を発症していて、ズルズルの状態で横浜に向かいました。
行きの電車内では身体の重さも感じていたんですけど、ピーさんのステージからパワーを貰ったのか、公演が終わる頃にはやたら元気になってしまいまして(まぁ、その後ぶり返したばかりか、カミさんにも移してしまいましたが)。行き帰りで雨がパラつく、あいにくの天気ではありましたが、音楽の楽しさ、高揚を真に実感できた素晴らしい1日でした。
今確かに言えることは、僕が公演前よりも公演後・・・遥かにピーさんや二十二世紀バンドのことを好きになっていて、「今後ずっと応援してゆく」気持ちをさらに強くしている、ということ。
ザ・タイガースのデビュー50周年である来年も、きっとピーさんのツアーがあるでしょう。
必ず何処かの会場に駆けつけたいと思っています!
それでは、次回からはジュリーの楽曲考察記事に戻りまして、来年のお正月LIVE『祈り歌LOVESONG特集』に向け、恒例の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします。
まずは次回、12月3日の更新予定・・・毎年この日は『ジュリー祭り』セットリストからお題を採り上げることにしていますから、あの珠玉の80曲の中から、まだ記事に書いていない「LOVESONG」をお届けしますよ~。
例によって蓋をあけてみれば「まったく見当違い!」な結果になる可能性大ですが、毎回言うように、本人は当てる気満々で予想していますから!
どうぞお楽しみに~。
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