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2016年7月

2016年7月27日 (水)

暑中お見舞い&ネタバレ我慢応援のためのフォトポエム

ジュリー2016年の全国ツアー『un democratic love』は、東京国際フォーラムAホール満員のお客さんに迎えられ、大盛況の開幕となりました。
来年、再来年の活動についてもちょっとだけ話してくれてね・・・僕らファンは本当に幸せです。

ツアーは明日京都、週末には岡山と続いていく中、引き続きこちら本館では
セットリスト・ネタバレ完全禁止体制
を敷いておりますが、これからの各会場ご参加予定で、セットリストの予習をされたいみなさまは

dynamite-encyclopedia(side-B)

をどうぞご利用ください(レポ本編はまだ書き始めていませんが、セットリストだけはupしています)。

一方、この先それぞれご参加の公演までネタバレ我慢続行中のみなさま、その鉄のご意志に本当に頭が下がります。応援しています。
ネタバレ我慢の日々のお供に・・・今日は1972年の『女学生の友』に連載されていたジュリーのフォトポエム、夏の掲載(たぶん)3回ぶんをご用意しました。
どうぞお楽しみくださいませ。

Pp0301

Pp0302

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Photo41

Photo42

Photo43

Photowave1

Photowave3

Photowave2


このフォトポエムの連載記事は、70年代のジュリー作詞・作曲作品を記事お題に採り上げる際のオマケとしてきましたが、最近それもご無沙汰となっていましたので・・・ハタと思いついて今日のご紹介となりました。

拙ブログのネタバレ解禁まではまだまだ期間がございます。マッサラで臨まれた各会場のご感想などは、side-Bにてコメントお待ちしていますよ~。

side-Bの初日レポートは、明日から気合入れて書き始める予定。
昨日のフォーラムに、レッドターボ(佐藤健太さん)とキリンレンジャー(土屋圭輔さん)がジュリーの応援に駆けつけていたと知って、戦隊マニアの血が騒いでおります。レポート記事の枕では、かなりマニアックな戦隊ネタ書いちゃうと思うけど、許してくださいね・・・。

とりあえず、今日のところはもうネムネムなのでございます・・・(汗)。

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2016年7月24日 (日)

恒例!ネタバレ専門別館side-Bのご案内

それでは、『un democratic love』全国ツアー開幕を目前に、いつものように拙ブログではしばらくの間

セットリスト・ネタバレ完全禁止体制

を敷かせて頂きます(今日の記事から解禁日までの間は、念のためコメント欄も閉じておきます)。

少し前からお気づきのかたもいらっしゃるでしょうが、ブログ開設当初からサイドバーに表示していた「人気記事ランキング」(ブログ内でどの記事が多く閲覧されているか、が分かるココログさんのサービス)も今は表示を非公開としています。
ジュリーのツアーが始まってから少しの間はどうしてもセットリスト曲のお題記事が上位に来てしまうので、それでネタバレしちゃってるようなものでしたからね


さて、例によりましてツアー初日・東京国際フォーラム公演のレポートは、僕のもうひとつのブログであるネタバレ専門別館

dynamite-encyclopedia(side-B)

に執筆いた
します。
こちらはネタバレ全開です。例によって開幕前にひとつ、簡単な記事をupしておきました。レポート記事upまでの感動のはけ口(?)としてご利用ください。

ネタバレの解禁は8月の大宮ソニックシティ公演レポート記事の予定ですが、upするのは福岡市民会館公演後とします。その日までネタバレ我慢を頑張る九州のみなさまが大勢いらっしゃるでしょうから。
余裕があれば、ネタバレ禁止期間用のちょっとした軽めの記事もその間に更新できればと思います。

それでは・・・各会場にご参加のみなさまからの熱いお声や、セトリ予習組のみなさまのコメント、今回も別館side-Bにてお待ちしています。
よろしくお願い申し上げます!

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2016年7月20日 (水)

沢田研二 「OH!ギャル」

from『ROYAL STRAIGHT FLUSH 2』
original released on 1979、single


Royal2

1. ス・ト・リ・ッ・パ・-
2. おまえがパラダイス
3. 恋のバッド・チューニング
4. TOKIO
5. OH!ギャル
6. ウィンクでさよなら
7. 渚のラブレター
8. 酒場でDABADA
9. ロンリー・ウルフ
10. さよならをいう気もない
11. 立ちどまるな ふりむくな
12. コバルトの季節の中で

---------------------

突然ですが
You might think but today's hot fish
って知ってます?
ご存知なければ、「なんじゃそのデタラメ英語は?」と思われるでしょうね。
これは高校時代の恩師、国語の末増省吾先生に教えて貰った怪英文。訳は

「言うまいと思えども 今日の暑さかな」

ということで・・・いやぁ毎日暑いですな~。
今朝は少し過ごしやすくなったかな、と思いましたが、昼間の外回りは辛かった・・・。それに、昨日、一昨日の関東は嫌気がさすほどの暑さでしたよ・・・。
この難儀な暑さの中、みなさまは何か特別な対策をとっていらっしゃいますか?
以前にも書いたことがありますが、僕のささやかな暑さ対策を今日の記事枕にてご紹介しましょう。

まずは外出時。
通勤での徒歩、外回り、或いは発送などの肉体労働(まだまだ現役で頑張っています!)の際には


160716

このように、氷らせた保冷剤を奇跡元年タオルで包み、首に巻いています。
保冷剤の部分が首の真後ろに当たるようにするのがポイント。熱中症対策としても、「首の後ろを冷やす」のは効果があるのだそうですね。

次に、就寝時。
熱帯夜が続く日々はこれからですが・・・僕は今月から例年通り「氷嚢」を愛用しています。


160713

本来は病気などで発熱した時に中に氷を入れて頭を冷やす、という使われ方をするこの氷嚢。
でも我が家では、最初に水を入れておいてから冷凍庫でカチカチにします。すると


160715

このような歪な形状になるわけですが、これを微妙に顔やら首やらに当たる感じで枕元に置いておくと、快眠できます。アイスノンなんかは数時間でブヨブヨになり却って眠れなくなってしまうこともあるけど、これは結構持ちますよ~。
ただし極端に安価な氷嚢だと、溶け出した氷が布の表面に滲み出てベチャベチャになるので、しっかりしたブ厚い布で作られた氷嚢を選ぶことが重要です。
お試しあれ!


さぁ、2016年全国ツアー『un democratic love』開幕まであと一週間となりましたね。
”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ月間として頑張ってきた7月の楽曲考察記事の更新も、今日でいよいよ〆の1曲となります。

前回の「魅せられた夜」と同じく、「DYNAMITEが未だ生で体感できていないシングル曲」のテーマで予想したそのお題は・・・まさかまさかの「OH!ギャル」。
ほら、いわゆる「裏の裏」というヤツですよ。ジュリーが天邪鬼ならこちらもそれなりに捻っていかないとね~(でも、こんなふうに「裏の裏」とか考え出すとドツボに嵌って、てんで見当違いの結果になる、というのは若い頃に競馬で学んでいるはずなんですけど汗)。

今年も全国ツアーの大盛況・大成功を祈願しつつ。
「OH!ギャル」、僭越ながら伝授です~。



Ys79071

↑ 本日の参考スコアは『YOUNG SONG』79年7月号。ハ長調の採譜となっていますが、オリジナルは変ロ長調です。


先日書いた通り僕は今月初めの頃は、今回のセトリ予想の〆の1曲として「STEPPIN' STONES」を採り上げるつもりでした。
ところがある日、たまたま過去のツアー・セットリストのおさらいがてらネットで色々と検索していたら、ジュリーが『BEAUTIFUL WORLD』のツアーで「OH!ギャル」を歌ったことがあり、しかもMCで「嫌いな曲を歌ったった」みたいな感じのことを言った、と知りまして。
「あぁ、決してお気に入りというわけではない曲でも、時には歌いたくなったりするものなのかな」と思いました。基本は「好きな曲を歌う」姿勢のジュリーですが、何かきっかけがあればそういうこともあるのか、と。

で、「きっかけ」ということでハタと思い出したのが、今年のお正月公演『Barbe argentée』ファイナル(僕は不参加だったんですが・・・)翌日にお会いした先輩のお言葉でした。セットリストに採り上げられた「麗人」について後日テレビ放映の予定があることを踏まえ「放映の打診が(ジュリーに)来た時に、ふと”次のLIVEで歌おうかな”と考えたのかしらね~」とお話されていて。
一時ジュリーは「過去映像」の放映にNGを出していた時期もあったようですが、今はもう「どんどん使ってください」と気軽にOKしている、という話は僕も実際ジュリーのMCでいつだったか聞いたことがあります。
「へぇ、テレビ局から逐一そんな打診がジュリー本人に行くんだな~」と思ったものでした。

みなさま、そろそろ僕の言いたいことがお分かりになったでしょう。最近は年に何度もジュリーの「過去映像」がテレビで流れて僕らを楽しませてくれますが、記憶に新しいもののひとつが、「OH!ギャル」ですね。
打診が来た時にジュリーが「そういえば、この曲はずいぶん長い間歌っとらんな~。最後と思って、一度くらい歌っとくか!」と思いついた・・・僕は勝手にそんな妄想をしたわけです(同様の理由で、「さよならをいう気もない」も今回のセトリ入りをマークしています)。
インフォで「好きな曲を歌う」と言っておいて、いざ蓋を開ければ「OH!ギャル」降臨、ファンはビックリ!
・・・って、いかにも天邪鬼なジュリーの企みそうなことじゃないですか~(というのも勝手な妄想ですが)。


さて、ジュリーが昔から「OH!ギャル」について「好きじゃない」発言をしていることはファンの間でこそ有名ですが、一般的にはまったく知られていない話です。
僕だって、知ったのは2009年になってからですよ。『ジュリー祭り』東京ドーム公演に参加した時も、ジュリーが80曲歌い終えた後YOKO君と「まだバッドチューニングとダバダとギャルが残ってる!」と騒いで「OH!ギャル」のアンコールを期待していたくらいです。

何故ジュリーはそこまでこの曲を嫌うのでしょうか。
いや、ジュリー自身が語って公となっている「理由」は僕も今では知ってはいます。「ギャル」というフレーズについてのジュリー自身の印象ですとか。
でも、何故そこまで・・・とやっぱり思うんです。

だってこれ、名曲じゃないですか!

阿久さんの詞の中でも相当テンション高い作品だと思うし、ジュリー・シングルとしては珍しく長調のロックで攻める大野さんの作曲アプローチも貴重です。
それが伝わらないジュリーじゃない・・・ならば何故?
以下は僕の深読み(と言うかお得意の邪推)になりますが、しばしおつき合いください。

「この曲について、あまり良い思い出がない」んじゃないか、と僕は思うのです。
例のスモーク事件とか、そういうのじゃないですよ。もっと根っこの、リリース時の状況について。
と言うのは・・・。


未だにYOKO君と時々話すことがあります。ジュリーのすべてのレコーディング音源の中で、何で「OH!ギャル」だけあんなに音が悪いんだろうねぇ、と。
いえ、誤解しないでください。ヴォーカルや演奏が悪い、ということでは決してありません。むしろ最高の名演なんです。
「音」というのはミックスダウン、マスタリングのこと。
すべての演奏トラックがセンターでダンゴ状態になってるというのは、79年リリースのトップ歌手のシングル盤としては考えられないミックスなんですよ。
よく聴くとカウベル、タンバリン、ハンドクラップとギターの一部箇所だけが鮮明な音質になっていて(後録りなのかな?)、それでもPANを大きく振られることなく・・・限りなくモノラル音源に近いです。

僕は『ROYAL STRAIGHT FLUSH 2』のリマスター盤と出逢うことで”第一次ジュリー堕ち期”に突入すると同時に、長年の友人であるYOKO君がジュリーファンだったと初めて知ることになるのですが、YOKO君は「是非『ROYAL 2』のリマスター盤を聴かせてくれ」と。
曰く「俺の持ってる『A面コレクション』は、「OH!ギャル」だけやたら音が悪いんだよ。リマスターされるのを待ち望んでた」とのことでした。
しかし先述の通り、「OH!ギャル」はリマスターされても演奏トラックすべてがセンターでダンゴのまま。マスターテープ自体がすでにそういう状態でしか残されていない、と考えるほかありません。

『SINGLE COLLECTION BOX』で確認すれば明らかなように、B面曲「おまえのハートは札つきだ」はA面「OH!ギャル」と同一の演奏メンバー、バンド編成でレコーディングされているようです(メンバー・クレジットは明記が無いのですが)。
その上で、「おまえのハートは札つきだ」はピアノやコーラスなどが左右に振られていて、普通にステレオのミックスが施されています。つまり、「OH!ギャル」についてだけ何らかのやむを得ない事情があり、ああいう形でのマスタリングになった、と推測できます。

せめてギターを右、オルガンを左に明快に振れる余地が残されていたなら、と僕などはないものねだりをしてしまうのですが、もしかすると、楽器を弾いたり、自分でレコーディングしたりする人でなければこういうことは全く気にならないのかもしれませんね。
でもジュリーは?
「バックで鳴っている音」にあれほど敏感なジュリーのことです。気になったと思いますよ。

ジュリーにしてみれば、すべての音が真ん中に集まっているその上にさらに真ん中に自分の歌を載せるという録音作業になったわけで・・・「これは1から全部録り直した方がいい」とすら思ったかもしれません。しかしタイトなスケジュールがそれを許さず、「OH!ギャル」はそのままの音でリリースに至った・・・生まじめなジュリーは心残りを感じていたのではないでしょうか。
それがいつしか楽曲それ自体への自身の評価へと繋がった、とするのは考え過ぎですかねぇ・・・。

いやいや、長々と邪推を展開してしまいましたが、「OH!ギャル」が本質として大変な名曲である、という僕の個人的評価については揺るぎません。
ジュリー黄金の70年代、阿久=大野コンビの矢継ぎ早のシングル・リリースのいったんの区切りとなった曲が、破天荒なコンセプトの長調のロック・ポップスだったというのが素敵だなぁと思います。
一見、安易な「おふざけ」と紙一重。しかし実は志がまったく違う、高度なテクニックと感性を持つプロフェッショナルが一線を超えて突き抜けたロック、と言えばよいでしょうか・・・「OH!ギャル」はそれが70年代末のあの時期のシングルだけに意義があります。
確かに万人の好みということになると評価が分かれるタイプの曲ではあるのでしょうけど・・・。

僕は元来、「突き抜けている」音楽を好みます。
その意味で今ジュリーが毎年リリースしている4曲構成のマキシ・シングルは、これまで聴いてきたどんな音楽よりも突き抜けていると思っています。
でもジュリーの歴史をいざ後追いで振り返ってみると、どんな時代も、ジュリーの音楽が突き抜けていない時期なんて無いんですよね。
阿久さんと大野さんの70年代黄金期然り。「勝手にしやがれ」「サムライ」「ダーリング」・・・よくこのテンションでシングル・リリースが続けられたなぁ、と。
そしてそのひとまずの最終盤シングル「OH!ギャル」の詞曲が、突如ロックのベクトルに突き抜けているというのは、とても興味深いことです。

例えば、グラム・ロックの定義については今は色々と後付けもできるんですが、かつてデヴィッド・ボウイが語っていたのは「脳天を劈くメロディー」。
「OH!ギャル」のメロディーってすごくポップなのに、紐解いていくと本当に一筋縄ではいきません。
歌メロ冒頭の「OH!ギャル♪」からのヴァースは一見、「分かり易いサビをいきなり配置」する手法かと思わせておいて、「MONDAY♪」「TUESDAY♪」と連なるAメロで大野さんは力を溜めながら徐々にせり上がるようにメロディーを展開させます。そして、「SUNDAY♪」の連呼
で見事に解放。リスナーを劈く、また別の「サビ」が待っているわけです。
一体この曲は詞先なのか曲先なのか・・・「天才が時代を読み解いた名曲」と言う他ないのです。

ある意味「夜の河を渡る前に」よりも「彼は眠れない」よりもグラム・ロックの本質を突き、ジュリーの中のカルトスター的な一面を引き出しているのは、阿久=大野黄金コンビによるこの79年の「OH!ギャル」だったのではないでしょうか。
とすれば、あの衣装やパフォーマンスも「必然」だったんだなぁ、と今さらながら幼少時のテレビの記憶を甦らせているところです。

それに、この曲のLIVEってどう考えても「お客さん大盛り上がり」のイメージしか沸きません。
イントロのギター「じゃかじゃ~ん!」一発で「うわ~っ!」と・・・なるんですよね?

OH!ギャル
F      B♭

ギャル ギャル ギャル ギャル ギャル ♪
B♭                                        Gm

ここは全員で手拍子ですよね?
レコーディング音源の楽器パートで言うと、カウベルに合わせるのか、ハンドクラップに合わせるのか、どちらなのでしょうか。
カウベルなら表拍連打となります。これは一番自然。
でも、ハンドクラップのリズムで手拍子参加というのも捨て難い。ちょっと変則ですが、ジュリーファンのお客さんなら「シー・シー・シー」で鍛えられているはず。
「シー・シー・シー」は「うん・たた・ん・たた!」。「OH!ギャル」の場合はその最初の「たた」を「たん」に置き換えて「うん・たん・ん・たた!」となりますね。

SUNDAY SUNDAY
      B♭         Cm

女の辞書には  不可能はないよ ♪
F        B♭ Gm   Cm      F       D7   G7                  

ここは、ジュリーの「サンデイ!」を追っかけコーラス参加で拳突き上げ・・・ですよね?

こうして僕なりにポイントを妄想してみると、「OH!ギャル」はジュリーの有名シングルの中でも特に会場がヒートアップする1曲、としか思えないのです。
僕も、生涯一度くらいは体感してみたい・・・ということで、今回の”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズは、まさかの「OH!ギャル」で〆てみましたが、いかがでしたでしょうか。
まったく自信はありません・・・。でも、万一的中したら褒めてやって下さい(笑)。


それでは、オマケです!
『ヤング』バックナンバーから、79年6月号と7月号のジュリー関連記事を纏めてどうぞ~。


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790703

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さて、これにて『un democratic love』ツアー・セトリスト予想記事は予定通り無事終了。
毎回のことながら、ツアー前にあれこれセトリを妄想するのは本当に楽しい時間でした。
6曲の予想曲を採り上げましたが、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」になるのか、例のごとくジュリーに見事屈服させられるのか・・・初日が楽しみです。

ところで、僕が”第一次ジュリー堕ち期”(初のLIVE参加となった『ジュリー祭り』以降が”第二次”)に突入するきっかけとなったCDが、今日の記事冒頭に画像添付した『ROYAL STRAIGHT FLUSH Vol.2』でした。
2005年に(その時点での)最新リマスター盤をたまたま聴いたことで、ポリドール時代のアルバムを次々に大人買いしていくことになり、今に繋がっています。そういう意味でもこれはジュリーファンとして僕の原点となる1枚と言って良いのでしょう。
今日の「OH!ギャル」の記事更新をもって、遂にこの『ROYAL STRAIGHT FLUSH Vol.2』収録全曲の記事を書き終えることとなりました。
オリジナル・アルバム以外で「収録全曲の記事執筆」を達成したのはタイガースのシングルコレ以来ですが、今回は今回でなかなか感慨深いものがあります。

僕は特別な才があるわけでもないまったくの努力型人間で、「大きなこと」を成す力はありません。
その代わり、小さいことを継続してコツコツ積み上げていくのは得意な方で、今回のように「1枚のCD全曲網羅」といった目に見える成果(ささやかなことですけどね)に到達した時の充実感・・・こうした小さな喜びに浸れる性分ではあります。

ジュリーって、僕とは違ってとてつもなく大きなことを成せる人なんだけど、性分としては「小さなことをコツコツと」みたいな感覚を持っているようで、そういう人だから僕はジュリーを好きになったのだと思います。

ジュリーの積み重ねてきたひとつひとつのことが、1曲1曲の歌が、今こそ大切な時代となりました。
逆に言えば「un democratic love」を伝えるために、かつてのヒット・シングルの力も必要です。激しいロック・ナンバーも必要ですし、崇高なラヴ・バラードも必要。
僕のセトリ予想はきっと今回も「全然当たらない」だろうけど、とにかく「今のジュリーの気持ち」が心地よく開放されるステージが観たい!
その上で・・・予想した6曲のうち2曲くらいは当たってくれないかなぁ、と今は夢想しています。

さぁ、初日フォーラム公演まであと一週間です。
拙ブログでは4月以降、いつもより少しだけ頑張ってペースを上げて更新してきましたが、ひとまず「楽曲考察」の記事についてはしばしのお休み・・・。
その間、ツアーにどっぷり浸かりたいと思います。

今回も、好き勝手なセトリ予想の毎度の長文記事におつき合いくださりありがとうございました。
さらに大長文の暑苦しいLIVEレポート記事にて、またお会いしましょう!
初日レポは例によってside-Bの方に書きます。近々にも、ネタバレ別館案内の記事をupしますね。

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2016年7月16日 (土)

沢田研二 「魅せられた夜」

from『A面コレクション』
original released on 1973、single


Acollection

disc-1
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなただけでいい
4. 死んでもいい
5. あなたへの愛
6. 危険なふたり
7. 胸いっぱいの悲しみ
8. 魅せられた夜
9. 恋は邪魔もの
10. 追憶
11. 愛の逃亡者
12. 白い部屋
13. 巴里にひとり
14. 時の過ぎゆくままに
15. 立ちどまるな ふりむくな
16. ウィンクでさよなら
disc-2
1. コバルトの季節の中で
2. さよならをいう気もない
3. 勝手にしやがれ
4. MEMORIES(メモリーズ)
5. 憎みきれないろくでなし
6. サムライ
7. ダーリング
8. ヤマトより愛をこめて
9. LOVE(抱きしめたい)
10. カサブランカ・ダンディ
11. OH!ギャル
12. ロンリー・ウルフ
13. TOKIO
14. 恋のバッド・チューニング
disc-3
1. 酒場でDABADA
2. おまえがパラダイス
3. 渚のラブレター
4. ス・ト・リ・ッ・パ・-
5. 麗人
6. ”おまえにチェック・イン”
7. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
8. 背中まで45分
9. 晴れのちBLUE BOY
10. きめてやる今夜
11. どん底
12. 渡り鳥 はぐれ鳥
13. AMAPOLA
14. 灰とダイヤモンド

--------------------

前回の「睡蓮」の記事をupした日のことでしたか、「今日はいつになくアクセスが多いな~」と思っていたら、三木労音さんがツイッターで「インチキ小町」の記事リンクを貼ってくださっていたようで・・・。
僕なんて全然大したこと書いてないのに、本当に嬉しく、光栄なことです。

今、三木労音さんは一丸「なんとか満員のお客さんでジュリーを迎えたい」と、『un democratic love』三木市文化会館公演の会場チケット販売に取り組んでいらっしゃいます(HPはこちら。ツイッターはこちら)。
念願の「満員御礼」まではもうあとひと息、というところまできているのだそうです。
スタッフのみなさんがこれほどの情熱と志をもって、胸に『democratic Japan』の文字を掲げて(色々な意味で頼もしい!)ご活躍されているからには、今年の三木公演ではゴキゲンなジュリーの素晴らしいステージが観られること、間違いありません。
本当は自分も駆けつけたい気持ちでいっぱいなのですが、距離的、日程的に無理・・・。
兵庫県、近隣県にお住まいのジュリーファンのみなさま、是非今からでもチケットを購入し、お誘い合わせてご参加ください。僕は関東の片隅から、満員のお客さんとステージの大成功をお祈りしています。


さて、『un democratic love』全国ツアーに向けての”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズも残すところあと2回。今日と次回は、「DYNAMITEが未だ生のLIVEで体感できていないシングル曲」というテーマで予想したお題にて更新します。
ちなみに、巷ではツアー各会場のインフォなどで「演奏予定曲」なるラインナップも出回っていると聞いていますが、僕は毎回そうした情報は一切目にするつもりはありませんので、「シングル曲」のセトリ予想にそれらはまったく反映されておりません(笑)。
だいたい、ジュリーの「シングル曲」なんてそれこそ星の数なのですから。

で、今日のお題についてはみなさまも「そろそろあるかもね!」と賛同してくださるかもしれませんが、問題は次回、予想シリーズ大トリの1曲。
でも、ちゃんと予想の根拠はありますからね~。まぁ楽しみにしていてください。
と言うか、むしろ今日のお題の方が僕としては特別な予想理由も無く・・・「そろそろ聴きたいよ、ジュリ~!」というワガママによる、「予想」ならぬ「希望」ですな。
でもきっと、多くの先輩方も僕と同じようにこの曲を待っていらっしゃるはず。

73年末リリース、華麗にして斬新な名シングルです。「魅せられた夜」、僭越ながら伝授!



Playfive74014


大好きな曲なんですけど、フレンチ・ポップスの原曲については今まで何も知らずにいて・・・今回ネットで色々と調べてみました。

まず作曲者。僕は綴りだけを見て「ジーン・レナード」なんて勝手に読んでいましたが、正しくは「ジャン・ルナール」と読まなければならないようです。
全然違う・・・僕も一応大学でフランス語は2年かじっているはずなんですが、お恥ずかしい次第です。

そのジャン・ルナールは現地の有名なヒットメイカーで、特に「あなたのとりこ」という曲が大ヒット。
「魅せられた夜」の原曲「MAIS DANS LA LUMIERE」は、1970年にマイク・ブラントなる男性歌手が歌ったヒット曲だそうです。知らなかったなぁ・・・。
You Tubeを探したらありましたよ(こちら)。熱唱系でなかなか良いですな~。あと、間奏がアフターサイケ独特のトリッキーなアレンジで面白い!

この曲は作詞もジャン・ルナールのペンによるもので、それを安井さんの訳詞で1973年に歌った曲が、ジュリーの「魅せられた夜」となります。
マイク・ブラントのヴァージョンと比較すると、テンポを上げてきているのが分かりますね。

後追いの知識でも確かに言えるのは、この曲こそがジュリーの世界戦略の第1歩だった、ということ。
「危険なふたり」で日本のトップに立ったジュリーを、今度は世界へ!とプロモートが組まれたのが73年末、ということになるのかな。当時の雑誌資料は多く残されていますが、ここでは福岡の先輩からお預かりしている『ヤング』バックナンバーから、74年1月号の記事で簡潔にご紹介しておきましょう。

740103

後の「巴里にひとり」のフランスでの大ヒットも、「魅せられた夜」でスタートした海外リリース・プロモートが実を結んだ成功だったわけですね。

「魅せられた夜」は日本でもヒットしましたが、「あなたへの愛」「危険なふたり」「胸いっぱいの悲しみ」と続いたシングルの流れを追っていた当時の日本のファンには、ちょっと敷居の高さみたいな感覚もあったのかなぁと想像します。
大胆な変化を恐れないことがジュリーやプロデューサー・加瀬さんの凄いところとは言え、ついていく方は大変ですよね。え、そんなことない?
でも、「魅せられた夜」を初めて聴いた時、「今回はやけに洒落た感じだなぁ」と思いませんでした?
そう・・・この曲は1973年の邦楽シーンにおいては、かなり斬新な「シングル」だったはずなんです。
「危険なふたり」で年末の賞レースの主役にいたジュリーが、並行してそんな冒険的リリースに打って出る・・・後追いファンの僕はただ驚かされるばかりです。

以前も書いたことがありますが、僕はジュリーが「魅せられた夜」を歌っていなかったら、翌年の加瀬さんの「追憶」は生まれなかったのでは、と考えています。
加瀬さんは「魅せられた夜」のような曲想が「ジュリーに合っている」ことにいち早く気づき、それをもっと日本人に理解されやすく進化させ、さらに「許されない愛」のような激情のニュアンスをも合わせてとり込み、「追憶」を作曲したのではないでしょうか。
「魅せられた夜」と「追憶」には、楽曲構成上の共通点が本当に多いのです。

第一は、当時はまだ邦楽チャートとしては「難解」なイメージがあった「同主音による近親移調」を堂々とサビに配し、ヒット性にまで昇華させていること。
「魅せられた夜」はAメロが

濡れ  た夜に抱かれて あな  たの体は
Gmaj7   F#7    Bm          Gmaj7  F#7   Bm

月   の光の中で 熱   く燃える ♪
Gmaj7  F#7 Bm       Gmaj7 F#7    Bm

ロ短調のもの悲しいメロディー。それがサビでロ長調に転調し、突然明るく躍動します。

あゝ あなたはその 涙を拭おうともしないで
B               C#m     F#7  B

言い続ける 愛している ジュ・テーム
G#m   C#m  F#7       B

ジュ・テーム ジュ・テーム ジュ・テーム ♪
B                                           F#7

主音(トニック・ル-トの「シ」の音)は変えずに、調性だけを変える・・・これが同主音移調です(「追憶」の記事でも詳しく書いています)。

第二は、長調に転調したサビからどのように短調のAメロに舞い戻るか、というアイデア。
「魅せられた夜」「追憶」ともに、サビを丸々長調で押し通すのではなく、サビの最後の最後に哀愁に満ちたメロディーで短調に着地させる手法をとっています。
「魅せられた夜」では

もう離さない
G#m  C#m

金色に輝く夜に 落ちてゆくよ ♪
F#7     B           G    F#7    Bm

「輝く夜に」までがロ長調で、「落ちてゆくよ」では元のロ短調に回帰している、という理屈です。加瀬さんは「追憶」のサビ「悲しませない♪」の歌詞部から短調に戻す構成で、この手法を踏襲しています。

第三は、ホーン・セクションの導入です。
72年の「許されない愛」でジュリー自身が「ブラス・ロックとの相性」を語っているように、ホーン・セクションによるブラス・ロックは70年代前半のジュリー・ナンバーにおいて重要なアレンジ・アイデアでした。
ただ、「追憶」はどちらかと言うと「バラード系」なんですよ。それでもジュリーがこの曲想を歌えば「ブラス・ロック」となり得ることを、加瀬さんは「魅せられた夜」のアレンジで確信を持ったのではないでしょうか。

このように、「魅せられた夜」の特色の多くが、すぐ後の「追憶」でそのまま踏襲されているのです。
73~74年というのはジュリー史において、本当に興味深いシングル曲の流れがありますね。

さて、これまで何度も他の曲の考察記事で書いている通り、僕はホーン・セクションのアレンジが大好物なんですけど、「魅せられた夜」の演奏でホーン以上に惹かれているのが、エレクトリック・ピアノです。
このエレピの使い方は、70年代前半のロック界では邦洋問わず密かな流行だったと思われます。
初めてこの曲のエレピを聴いた時、僕はニール・ヤングの隠れた名曲「アバウト・トゥ・レイン」(アルバム『渚にて』収録。リリースは「魅せられた夜」より後で74年です)を連想したものでした。ユラユラした音色は、退廃的でエロティックな雰囲気を醸し出すのです。
「魅せられた夜」の場合は他楽器パートのアレンジが全体的にカッチリしているので、自由度の高いエレピのフレーズが目立つんですよね。

と、演奏の素晴らしさを語りつつ、例によってこの曲の場合も最大の魅力はジュリーのヴォーカルにトドメを刺すのですが、73年のレコーディング・ヴァージョンはジュリーにとって「完成形」ではなかったのでは、と個人的には思っています。
もちろん73年のこのヴォーカルは素晴らしいです。でも、歌っているジュリーの中に「これで良いのかな」とか「伝えたい思いがもうひとつ掴めない」といった感覚があるようにも聴こえるんですよ。

それは『SINGLE COLLECTION BOX』のdisc-8で、B面「15の時」と2曲続けて聴いた際に強く感じること。
「15の時」のジュリー・ヴォーカルには迷いがありません。「こう!」と確信して歌っていますよね。
72年に『女学生の友』誌上で自身の歌唱力、表現力について「自分の作った歌ならもっとうまく歌える」と語っていたジュリー。自ら作詞・作曲した「15の時」のヴォーカルはそれを証明しているでしょう。
対してA面の「魅せられた夜」では(良い意味でも)「作られた」ヴォーカルを繰り出すジュリーです。これは73年リリース時としては最高のアプローチであり聴き手にとってもエキセントリックだったでしょうが、今改めてCDで聴くと73年という「時代」に特化し過ぎているかな、と思える部分もあります。

この頃はプロデューサーの加瀬さんに「とにかくジュリーにアッハンウッフン言って欲しい」という、戦略的にも個人的にもそんな希望があったのか(笑)、「魅せられた夜」「恋は邪魔もの」「追憶」と、ジュリーの「吐息炸裂シングル」が続くんですよね。
「魅せられた夜」の段階では、歌うジュリー自身にまだ試行錯誤の感覚もあったんじゃないかなぁ。

その後長い時が経ち、「魅せられた夜」を歌うジュリーを僕はいくつかのDVD作品で観ています。73年のヴォーカル・ニュアンスとはずいぶん違う、と感じるのは僕だけなのでしょうか。
例えば『Zuzusongs』。
狂おしい「求愛」のニュアンスは抑えられ、大切な人への慈しみを歌っているように聴こえませんか?

どちらが良い、というのはハッキリ言えないんですけど、「進化」であるようには思われます。
最近は「ヤマトより愛をこめて」なんかも変わってきているなぁと思いますが、歌われる頻度が高い曲なので、変化、進化もなだらかです。
「魅せられた夜」については、最近歌われていないからこそ今のジュリーの歌を是非聴いてみたい・・・「美しい青年がひたすらに愛を歌う」印象は未だ不変であるのか、それともまったく違って聴こえるのか。
「こんな世の中だけど、大切な人と老境を歩んでいこう」という感じに聴こえるかもしれないし、痛みや苦しみの中にある人を励ますように聴こえるのかもしれない・・・。もしかするとこの曲に『PRAY FOR JAPAN』を感じることもあるかもしれません。

夏からの全国ツアーでこの数年セットリストについて毎回楽しみにしているのは、新曲4曲の直後に歌われる曲は何だろう、という。
その重要な役割を担う曲を、僕は今年「魅せられた夜」に期待したいと思います。
さぁ、実際どうなるでしょうか。
答の出るツアー初日のフォーラム公演までは、もうあと10日と迫っています!


それでは、オマケです!
『魅せられた夜』シングルのリリースとは時期が違いますが、同じ1973年の資料で、以前ピーファンの先輩からお借りしてスキャンさせて頂いた『日劇ウェスタン・カーニバル』のパンフレットをどうぞ~。


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ということで、今回の”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、次回更新で〆となります。
「DYNAMITEがまだ生で体感したことのないシングル曲」のテーマでの予想ではありますが、おそらく先輩方が「え~っ、それはナイでしょ?!」と腰を抜かすであろうお題を用意いたしました(笑)。

4月に熊本地震があり、「いつもより少しだけ頑張っている」のを見せることで僅かでもみなさまの楽しみ、励みとなれば、と思い更新ペースを上げました。
「悩む暇があれば僕にもできることを」と自分に言い聞かせながら始めて、なんとかここまで、大きな躓きもなく辿り着くことができました。
ジュリーの『un democratic love』全国ツアー初日へ、明日からいよいよ1桁カウントダウンです。
次回、とりあえずの締めくくりの1曲も気合を入れて書いて・・・あとは静かに主役・ジュリーのツアー開始、ステージ降臨を待ちたいと思います!

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2016年7月13日 (水)

沢田研二 「睡蓮」

from『明日は晴れる』、2003

Asitahahareru

1. 明日は晴れる
2. 違いのわかる男
3. 睡蓮
4. Rock 黄 Wind
5. 甘い印象
6. Silence Love
7. Hot Spring!
8. ひぃ・ふぅ・みぃ・よ
9. 100倍の愛しさ
10. 夢見る時間が過ぎたら

--------------------

暑い日が続きますね・・・。
故郷・鹿児島はじめ九州では大雨でみなさん大変な思いをされているかと思えば、こちら関東では深刻な水不足が懸念されています。
今日も雨の予報があったんですけど降るのはほんの一瞬で、全然梅雨らしくもなく過ごしやすい気温にもならず、ただ蒸し暑さが増すばかり。
同じ日本でこうも極端な・・・しかもここ数年そんな不安な気候が続いているように感じます。

参院選も終わり、まぁ僕にとっては納得できる結果とはとても言えないまでも、「おっ」と思わせる選挙区も結構あったし、最後の最後に生活が比例で一発入れたのは素直に「凄い」と思いました。
大事なのは、「これから」なんだろうなぁ。
ちょっと前の自分ならこの結果に「もうどうにもならん」と政治から気持ちが離れていただろうと思えば、僕の有権者意識というものも変わってきたかな、と。
今回の選挙では、「戦略的投票」を若者達から教わりました。今後に生かしたいと思います。


そんな中、ジュリー界のニュースと言えば・・・。
もうご存知のかたも多いでしょうが、
こちらのチャッピー加藤さんの記事。本当に素晴らしいです!

ジュリーは世の様々な分野の有名人に本当に人気があって、歌手としてはもとより、ヴィジュアル的に、或いはロックのスーパースター的に語られることはとても多いんですけど、ジュリーの作詞、作曲の素晴らしさに特化して解説してくださるかた、となるとこれが意外に少ないのです。ほとんどいない、かもしれません。
その点あまりにジュリーは世間に過小評価されているようで、僕もこのブログではそのあたりを頑張って書いているわけですが、まぁ僕のような者がいくら書いても一般世間にはビクとも届かないという・・・(涙)。
ですから、加藤さんの記事はとても嬉しかったです。
もっと多くのプロフェッショナルが加藤さんのように、ジュリーの作曲について、作詞について、世間に届くところで発信してくださることを願ってやみません。

今日ははからずも、ジュリー自身の作詞・作曲によるナンバーがお題となります。
8月公演までのチケットを手にして(僕はフォーラムと大宮の2会場)、いよいよ気持ちも高まってきました。セットリスト予想的中への期待も。
「平和」がセトリ全体のテーマとなるのは間違いないと思いつつ、今回の”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズでは敢えて社会性の高いメッセージ・ソングは避け、端麗なラヴ・ソングやゴキゲンなロック・ナンバーを中心に予想記事をお届けしています。

今日はその第4回。僕としては的中自信度の高い1曲ですが、さぁどうなりますか。
アルバム『明日は晴れる』から。「睡蓮」、伝授!


僕は動物やら爬虫類やら昆虫のことは結構詳しい方だと思うんですが、植物については非常識なほど無知でして・・・。ジュリーファンの先輩方がみなさん詳しいので色々と(何食わぬ顔で)教えて頂く機会もあり、花の名前など徐々に覚えつつありますが、「睡蓮」はずっと知らずにいて(←ジュリーファンとしては問題ありですね恥)今回ようやく自分で調べました。

以前、カミさんの実家に帰省した際に琵琶湖畔の蓮(はす)の群生を観に行ったことがありますが、睡蓮はいわゆる「蓮」とは全然異なる種類のようで。
色々違いはあるみたいだけど、大きく違うのは「根」なのだそうです。蓮は蓮根(レンコン)状で、睡蓮は塊根状。睡蓮の塊根は水面下で泥にまみれながらグッと体幹を保ちつつ踏ん張っていて、その上で目に見える水面上では美しい花を咲かせている、と。
なるほど・・・遅まきながらジュリーが何故「睡蓮」という歌を作り、お気に入りのナンバーとしてステージで歌い続けているのか分かったような気がします。「睡蓮」の特性を自らの歌人生に重ねているんですね。

ジュリー自身が作詞・作曲したアルバム収録曲ということで言えば、タイトルチューンである「明日は晴れる」にもそういう面はあるかもしれないけど、「睡蓮」はもっとジュリーの「個」に寄った「人生讃歌」の意味合いがあるのではないでしょうか。
しかも、僕ら一般人にも大いに共感できるような・・・。
「泥臭い」とも言える日常生活の積み重ね、その不断の努力であり忍耐であり継続こそが人を輝かせるんだ、と僕らは思い、この歌を力に代えることができます。
楽しみにしているジュリーのLIVEを間近に控え、「よ~し、その日まで平凡な日常を頑張ろう」と立ち返る今の時期だからこそ、「睡蓮」は心に響きます。
今さらのように、セトリ予想曲としては最高の曲だったんだなぁと感じ入っているところです。

ただ、やはりジュリーのような特別な歌手が歌うことで、さらに大きな意味がそこに加わるのでしょう。
僕ら一般人にとって「明日は咲くぞ!」という「明日」は、例えば今ならジュリーのLIVE初日に向けての毎日、ということだったりします。
一方、「特別な人」たるジュリーはもっと重くしんどく、だからこそ素晴らしい「明日」をこれまで何度も何度も繰り返し目指して日々を精進し、その度に見事咲いてきました。ジュリーにとって、「咲く」というのは「ステージで歌う」ことでもあるでしょうね。

弾けて咲いちゃおう
F7                     F E♭ C   E♭

何だっていいから
F7                  F E♭ C   G

誰にもできるってことじゃないんだよ
C7                   F7    

弾けて咲いちゃおう ♪
G7                    C

自作詞の「睡蓮」でジュリーは、「好きな歌を存分に歌える、なんて誰にでもできることじゃない」と、歌手の本懐を感じているようです。
2003年というこの時期に「明日は晴れる」や「睡蓮」のような曲を作っていたことに、後追いのファンとしては「なるほどなぁ」と思うわけです。

転げながら行っちゃおう
F7                        F E♭ C   E♭

惰性でいいんじゃない
F7                     F E♭ C

当たり前じゃない 嬉しいことだな
C7                      F7

転げながら行っちゃおう ♪
G7                       C

これは、「ローリング・ストーン」すなわち「転がる石」なるフレーズの解釈がジュリーの中で劇的に変わってきていることを意味すると思います。
例えば87年リリースの「STEPPIN' STONES」は詞曲ともに相当ローリング・ストーンズを意識して作られていると思うけど、自らが「転がる石」であらんとすることは断固拒否して、「かすかな光が見えているから、ステップしていこう」と言い換えています。
つまりこの時点でジュリーの中に「転がる石」=「堕ちてゆく様(さま)」という過剰なイメージを意識してしまう心境があったと思うんです。

元々洋楽ロックで「石」と言えば「その辺のもの」「とるに足らない存在」みたいな使われ方は多くて、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」なんて、「栄華に奢った者が底辺に堕ちてゆく」のを「今どんな気分だ?」と強烈に揶揄しているくらいで。
ジュリーは87年当時、「俺はそうじゃない」と奮い立って「ローリング・ストーン」転じて「ステッピン・ストーン」と歌った・・・「堕ちる」ことに反発していたのです。
ところが2003年の「睡蓮」では「転げながら行っちゃおう」と何のてらいもなく歌います。
新規ファンが軽く言って良いことではないのだろうけど、これは2001年に積極的にテレビ出演に打って出てみて、「自分がやりたいのはこれ(無理に露出すること)じゃない」と確信したことが大きかったんじゃないかなぁ。「(世間から見て)堕ちていったっていい。ステージで好きな歌を歌っていられることこそ、得難い特別なことであり、自分がやりたいこと」なのだと。

「睡蓮」の詞は言わば「転がる石上等!」の境地なわけで、「STEPPIN' STONES」とは視点がずいぶん変わっていますよね?
でもね、「STEPPIN' STONES」で歌った「かすか見える光」にジュリーはその後確かに到達していて、それがきっと『ジュリー祭り』を成功させているんですよ。
2008年以降、今現在のジュリーは真に「ステッピン・ストーン」状態であることは間違いありません。少し過激な表現をさせて頂くならば・・・ジュリーは2000年代に入り「堕ちる」のを受け入れることで、逆に浮上することになったのではないでしょうか。
いや、何故ここで「睡蓮」と「STEPPIN' STONES」を並べてしつこく書いているかというと、今回の”全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、大トリを「STEPPIN' STONES」にしよう、と最初は考えていたので・・・。
ドタン場になって別の「未体験シングル曲」に代えたんです。ええ、かなり反則気味の曲にね!
そんなこともあって、くどくどとこの場で「書いておきたかったこと」に少し触れてしまった次第です。

さて、「睡蓮」は前回記事の「インチキ小町」に続き「依知川さん久々の全国ツアーに向けて」というテーマでセットリスト入りを予想した曲です。
『ジュリー祭り』がLIVEデビューの僕もこの曲は何度も生で体感できていますが、当然すべて鉄人バンドの演奏。でも曲がリリースされた2003年はちょうどジュリーがキーボードを排した武骨でハードなギター・サウンドでアルバムを作りツアーを敢行していた頃で、多くの先輩方にとってベーシスト・依知川さんの大活躍も記憶鮮やかな時期でもありましょう。

その頃に、「マッサラ」と並んで「依知川さんがずずい、と前方にせり出してきてベース・ソロをカマす」ロック・ナンバーとしてLIVEでフィーチャーされていたのが、この「睡蓮」でした。
僕はそんなシーンをDVDで知っているだけですが、以前『明日は晴れる』のツアーDVD
推奨記事を書いた際、依知川さんのベース・ソロに少し触れました。
豪快なジャングル・ビートに身を委ねた依知川さんの巨体、ハイポジションへの移動に呼応するような”鏡獅子ベース”と、ジュリーがその周囲で舞い踊る狂乱シーンは、かつて「睡蓮」LIVEアレンジでの最大の見せ場だったわけで、いよいよ僕もそれをこの目で観る時がやってきたのだ・・・と予想(妄想)しています。

もし今回「睡蓮」がセトリ入りすれば、間違いなく「ベース・ソロあり」のアレンジになるでしょう。
当時、依知川さんのソロに気づけていなかった、或いは記憶が残っていない、と仰る先輩もいらっしゃるかもしれません。今回は是非、「睡蓮」では間奏の依知川さんに注目してみてください(←予想的中を前提のようにしたイタイ発言ですが、この曲は今回書くセトリ予想曲の中で一番自信があります!)。

ところで、僕は何度か「睡蓮」を生のLIVEで体感していますが、その度に思うのは「お客さん、ちょっと手拍子に苦労してるな~」と。確かにこれ、ちょっと変則的なリズムの曲なんですよね。
僭越ながら、この機に”「睡蓮」に一番嵌る手拍子”のパターンをひとつ、伝授しておきましょう!

まずイントロからAメロにかけて。
ここは理屈としては「高速のジャングル・ビート」が基本。3連符のニュアンスもあって、慣れていないとなかなか難解なリズムです。
ジャングル・ビートであればボ・ディドリーのアクセントで合うことは合いますけど、さすがにこの曲で「緑色のkiss kiss kiss」と同じ手拍子を繰り出すのは(テンポ的に)無謀です。ここは、「シャッフル」を身体で感じましょう。
いえ、難しく考えることはありません。「A・C・B」や「ねじれた祈り」とまったく同じで良いのです。
「ん・た!ん・た!ん・た!ん・た!」
でOK!

続いてサビです。

僕らが今 できることは
A        A7          Dm

野性の血を 燃やすことさ ♪
G7                        C       C#dim

この曲のヴォーカル最大の聴かせどころですね。
ここはAメロのちょうど「倍」までテンポを落としましょう。心の中で
「ん・ん・た~ん!ん・ん・た~ん!」
と唱えれば大丈夫です。

で、再度のテンポアップのタイミングはブレイク部。例のキメポーズの瞬間に手を止めてジュリーと同じポーズをとれば、シレッと元に戻れますから。
そう言えば、ジュリーはこのポーズを1番と2番で対称になるように違えて繰り出す、という印象が僕にはあるんですけど・・・毎回そうなのかな。

最後に。
ジュリーの作曲段階では「睡蓮」のAメロはシンプルなスリー・コードのブルースっぽい進行だったと思いますが、それを破天荒なリフのハード・ロックに転換させたのは間違いなく白井さんの仕業です。
だって、このリフね・・・

「C→B♭→G」(イントロなど伴奏部)

「F→E♭→C」(歌メロ部)

「D→C→A」(間奏=ベース活躍部)

の3種類ありますから!
つまり、全っ然そんなふうに感じる暇すらなく駆け抜けてゆく曲だけど、実は「睡蓮」は緻密な転調を何度も何度も繰り返しているんです。こんなアイデアを思いつくのは白井さんに違いありません。

この曲のギター・リフがすべて同じ音に聴こえているみなさま・・・白井さんにしてやられてますよ~。


それでは、オマケです!
2003年のジュリーの創作姿勢を後追いで知るには本当に貴重な資料が、『音楽専科No.8』。20代、30代、40代のインタビュアーを迎えての3部構成で、以前「明日は晴れる」の記事で40代インタビュアーの項をご紹介しました。今日は30代インタビュアーの項をどうぞ~。



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さぁ、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、今回もいよいよラストスパート。
次回更新からの2曲は、「DYNAMITEがまだ生で体感したことのないシングル曲」というテーマでの予想です。

先述の通り当初は〆の1曲を「STEPPIN' STONES」にしようと考えていたんですけど、急遽思いついた「予想理由」からトンデモなお題に差し替えました。
まぁそれは次々回。次回は比較的穏やかな予想です(←予想に「穏やか」とかあるんだろうか)。
昨年の全国ツアーが加瀬さんのシングル・オンパレードとなったことによって、僕もようやく「死んでもいい」「白い部屋」「恋のバッド・チューニング」「きわどい季節」を初体感できました。続いて今年のお正月には「麗人」「女神」。それでも、まだまだ未体験のシングル曲はたくさん残されているのです。

次回お題は、手持ちのDVD作品などでステージで歌うジュリーのイメージは沸いているのに、最近セトリ入りがご無沙汰となっているため僕はまだ実際にその姿を拝めていない、という名曲。
ジュリーはコード進行やリズムに共通点のある曲を続けざまに歌うセットリストを好む傾向があるように思うので、僕は今回、是非この曲と「追憶」を続けて聴きたいなぁ、と考えていますが、さすがに3年連続で「追憶」は無いですかね・・・。

いずれにしても次回のお題、名曲・名シングルであることに間違いありません。
どうぞお楽しみに!

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2016年7月 9日 (土)

沢田研二 「インチキ小町」

from『いい風よ吹け』、1999

Iikazeyofuke

1. インチキ小町
2. 真夏・白昼夢
3. 鼓動
4. 無邪気な酔っぱらい
5. いい風よ吹け
6. 奇跡
7. 蜜月
8. ティキティキ物語
9. いとしの惑星
10. お気楽が極楽
11. 涙と微笑み

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『un democratic love』全国ツアー8月までの公演のチケットが澤會さんより七夕発送となりましたね。
もうみなさまお手元に届きましたか?

僕もここ数日、改めてツアー・スケジュールを見ながら各会場へのリンクを作成したりしていますが、毎年のことながら今年も濃密な日程だなぁと最確認。
お馴染みの会場、ちょっと珍しい会場・・・今年も全国を駆けるジュリーの気力・体力、畏るべしです。
多くの先輩方が採り上げていらっしゃいますが、『神戸新聞』に掲載された三木市文化会館公演に向けての三木労音さんの記事は嬉しかったですね~。
満員になると良いなぁ・・・。

ちなみに僕は明日の再配達待ちです。チケットを受け取ってから、選挙に行こうと思っています。


さて。
今年はビートルズ来日50周年のメモリアル・イヤーです。テレビで特番があったり、各地で催し物があったりと巷は盛り上がっています。
僕は彼等が来日した年に生まれているので、50周年ってことは自分が50歳になるということでもあり、なんだか複雑な感情も湧いてくるんですけど、僕にとってビートルズ・ナンバーは12歳からずっと聴き続けている本当に特別な音楽。ほとんどの曲をもうスコアを見ずに弾くことができますし、ほんの一瞬でも曲が流れれば「どの曲のどの部分」だと判別する自信があります。
彼等がその後のポップ・ミュージックに及ぼした影響、貢献は計り知れず、邦洋問わず僕が好んで聴くアーティストやバンドの曲には、頻度の差はあれど必ずビートルズへのオマージュを見出すことができます。
もちろん、ジュリーの曲にも。

今日は、幾多ある「ビートルズライク」なジュリー・ナンバーの中から、詞曲、アレンジ、そしてジュリーのヴォーカルすべてが大好きな、痛快無比のロック・ナンバーを、『un democratic love』ツアー・セットリストの予想曲(と言うか切望曲)として採り上げたいと思います。
アルバム『いい風よ吹け』から、いきなり全開のオープニング・ナンバー「インチキ小町」、伝授です!


今日と次回のお題曲は、「依知川さん久々の全国ツアーに向けて」というテーマでの予想。
まず今日は依知川さん作曲作品の観点から、「インチキ小町」をご指名と相成りました。

「インチキ小町」は、依知川さんがジュリーに提供した作曲作品の中で、現時点で個人的に最も好きな曲です。前々から「一度は生のLIVEで聴きたい!」と思い続けていた曲で、依知川さんがバンドメンバーに復帰したことで、ツアー・セットリスト入りの可能性は以前より高まっている、と期待しているところです。

これまで何度か書いたことがある通り、僕はアルバム『いい風よ吹け』については好きになるまでにちょっと時間がかかった曲が多かったのですが、「インチキ小町」は初聴時のイントロ数秒で、大盛り上がり(部屋で1人で踊ってたかもしれない・・・恥)。
「何故そんなに盛り上がったか」と言うのが、ビートルズと関係してくるわけです。

このイントロのギター・・・ビートルズに詳しい人なら一発だと思います。『ホワイト・アルバム』収録曲にしてラウド・ロックのスタンダード、ポール・マッカートニーのツアー・セットリスト常連ナンバーとしても有名な「ヘルター・スケルター」そのまんま。白井さんのギター、完全に狙っていますよ。
ただ、そこでこの「ヘルター・スケルター」へのオマージュが白井さんのアレンジ段階で採り入れられたのでは、と推測するのは早計。オマージュのアイデアは依知川さんの作曲の時点で既に確固としてあった、と僕は考えたいのです。

幼少よりクラシック・ピアノを通じて音楽人生をスタートさせていた依知川さんは、ビートルズとの出逢いで一転、ロックを志すことになったのだそうです。
僕は「ビートルズが好き」と言ってくれるミュージシャンはそれだけで大好きになり、その演奏や作風の中に「ビートルズ的なもの」を探そうとします。
「インチキ小町」ですと、まず冒頭のメロディー・・・ワンコードの激しいビートに載せたメロディーの高揚感は正に「ヘルター・スケルター」。
ベースの3弦を開放で弾きながらノリノリで作曲したんだろうな~、と勝手に想像しています。

依知川さんの工夫は、敢えてこのビートにポップなメロディーを載せたことです。
その「ポップさ」が覚さんの破天荒に楽しい歌詞を生んでいるわけで、曲はオマージュ元とはまた異なる魅力を持つに至る・・・「ヘルター・スケルター」のラウドな面だけをオマージュしていれば、覚さんの詞は「インチキ小町」とはまったく違う「エロック」系となっていたかもしれませんね。オマージュ元をどのように料理するか、それによって最終的にどんな歌になるのか・・・それがこうした作曲手法の醍醐味なのでしょう。

依知川さんのジュリーへの提供曲の多くは、コード進行についてはストレートなものが多いです(だからこそ、今年の超・変化球「犀か象」に驚かされました)。
「インチキ小町」にもブレイク部の転調はあるものの、採譜時の調号の変化までには至りません。
ただそんな中に、同じメロディーやコードを「繰り返す」パターンを良しとせず、細かな工夫を凝らしているのが依知川さんの作曲の個性。

「犀か象」の記事では、ラストのサビのリフレイン3行で「同一のメロディーに違う和音をあてる」アイデアを解説しました。では「インチキ小町」はどうでしょうか。
本当に細かいことですが、これまた依知川さんの素晴らしい工夫があるんです。
普通ならば同じメロディー、同じコードを繰り返すところ、メロも和音も微妙に変えてきている、という。
分かりやすいように、1番サビ部4行から「ズバリ」の歌詞部だけを抜粋して挙げますと

そりゃも う ♪
        G   A
(3行目「そりゃそう♪」もこれに同じ)

災難 ♪
   F A

言うな よ ♪
     B♭ A

すべて同進行、同メロディーで済ませられるところをここまで手を入れるというのは、依知川さんがプリプロの最後の最後まで考え抜きじっくり作曲している証。
また、部分的に冒険進行と言えるのがブレイク部で

ねぇ 試練を 投げない 者だけに
F           E           E♭          D

ねぇ 授かる 平和が あるよね ♪
F          E         E♭             D

半音ずつガクンガクンと和音が下降していきます。このあたりには、依知川さんのハードな好みが反映されているのかもしれません。
ちなみにこのブレイク部の歌詞は、「今のジュリーが歌ってこそ」の新たな説得力がきっと感じられると思うので、そういう意味でも「インチキ小町」セットリスト入りには期待を高めています。

覚和歌子さんのジュリーへの作詞提供はどの作品も曲想とのマッチング・センスが素晴らしく、「ロック系」と「バラード系」でそれぞれ異なる魅力があると思います。で、「ロック系」の中で僕が突出して好きな覚さんの詞が「忘却の天才」とこの「インチキ小町」です。
どちらも女流作詞家ならではの「ぶっ飛び」路線なんですけど、歌の主人公のキャラクターは正反対。でもどちらも不思議に「ジュリーに似合っている男性像」というのが覚さんの詞の凄さではないでしょうか。

僕は男だからよく分からないけど、女性のみなさまの立場から見て、甘い言葉を連ねてくる男と「参った、キミに万歳!」みたいなヤケンパチなお手上げ状態で囃し立ててくる男と、どちらの方が心地よく口説かれるものなんですか?
え、相手がジュリーならどちらでもOK?
いや、まぁそれはそうでしょうけど、一般的には「ヤケンパチの言いなり男」の方が愛情を信頼できる、と僕は思いますよ。「インチキ小町」は正にそんな感じ。
主人公の男と相手の女性にはちょっと年齢差を思わせますけどね(僕には、女性がずいぶん年下のように思われますがいかがでしょうか)。
若い娘さんの「ヤンチャ」を堂々受け止め賛辞すらし得る、度量のある壮年男の歌です(ホントかいな)。

それにしても覚さんの「ヤンチャ」は桁外れですな~。

高速 裸足で 逆さに歩いて 逮捕されてしまえ ♪
D                                                         A

2番のこの歌詞部をジュリーの豪快なヴォーカルで初めて聴いた時は、あまりに愉快痛快な言い回しに笑ってしまったほどです。
でも、それがロックなんだと思うんですよ。「カッコをつけないロックこそがカッコ良い」典型のような歌詞であり曲だと思いました。

「インチキ小町」がもしセトリ入りが実現したら、注目は泰輝さんのピアノです。
『第六感』収録の「グランドクロス」などもそうなんですが(この曲も一度はLIVEで体感したい!)、ギター・ロックと言っても良いイメージに反して、間奏が狂乱のピアノ・ソロという・・・こうした楽器パートの配置がまた白井さんのアレンジの素晴らしいところ。
LIVEのピアノ・ソロではジュリーが(もしかしたら柴山さんも一緒に)泰輝さんのキーボード正面まで出張してヘドバンしてくれるのでは、と期待しています。

また、レコーディング音源では3トラック存在するギターのパートを、柴山さんがどんなふうに組み合わせてくるかも楽しみのひとつ。
0’34”などで繰り出されるTレックス・カッティングは間違いなく再現されるはず。柴山さんがあのフレーズを演奏する様子を想像するだけで燃えてきます。

さらに大きな見どころは、「インチキ小町」には欠かせない賑やかなコーラス。
依知川さんはベースの腕前はもちろん、コーラスの名手でもあります。初めてのジュリーへの提供曲である「麗しき裏切り」(『第六感』)以後、アルバムのレコーディング音源でも自らの作曲作品については積極的にコーラスを担当している依知川さん。当然「インチキ小町」も然り。ステージでも全開で歌ってくれるでしょう。
たぶんGRACE姉さんとのツイン・コーラスのスタイルになるんじゃないかな(個人的に、この曲には女声が噛んだ方が良いと思う!)。

いつもコメントをくださるnekomodoki様が、「インチキ小町」をオープニングに配したセットリストを希望されていましたが、いやぁ僕も大賛成ですね~。
ただ、依知川さんの作曲作品ということで言えば、お正月歌われ
た「お気楽が極楽」がそのまま全国ツアーにスライドされる可能性も高そうですし、他に「あなたでよかった」「Aurora」あたりも考えられるところですが、今回は僕が個人的に大好きな曲として「インチキ小町」をセトリ予想に抜擢した次第です。
さて実際はどうなりますか・・・。


それでは、オマケです!
今日は、2000年発行の『音楽倶楽部』です。
記事自体は2000年とは言え、『ペーパームーン』再演前の時期のようで、その時点での最新シングル『鼓動』のジャケットが紹介されていますので、アルバム『いい風よ吹け』収録曲がお題となった今日の記事のオマケとして適切かと思い選びました。
内容的には、これまでのジュリーの歴史を駆け足で綴った簡潔なもの。「2000年のジュリーの活動に注目!」という主旨になっていますね。



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ちなみに文末に告知のある『秋号』の記事については、以前「A・C・B」のお題の時に添付させて頂いておりますので、再度合わせてご覧くださいませ。


では次回更新は、引き続き「依知川さん久々の全国ツアーに向けて」をテーマにお題曲を採り上げたいと思います。今度は「ベース演奏」に着目します。
お正月には、「マッサラ」でピンスポットを浴びた依知川さんのベース・ソロの見せ場がありました。もちろんこの「マッサラ」が再度歌われる可能性も高いですが、かつてLIVEで依知川さんのベース・ソロをフィーチャーしていた曲は、もう1曲あるんですよね。
しかも、定期的にセットリストに組み込まれるジュリーお気に入りのロック・ナンバー・・・最後に歌われたのが2013年お正月の『燃えろ東京スワローズ』ですから、これはそろそろ来るんじゃないかな。
今回のセトリ予想全6曲の中で、最も「自信あり!」のお題です。お楽しみに~。

明日は参院選です。
みなさま、投票に行きましょう!

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2016年7月 6日 (水)

沢田研二 「ジェラシーが濡れてゆく」

from『単純な永遠』、1990

Sinpurunaeienn

1. a・b・c...i love you
2. 世界はUp & Fall
3. PLANET
4. プライド
5. 光線
6. New Song
7. この僕が消える時
8. 不安にさせよう
9. 気にしてない
10. ジェラシーが濡れてゆく
11. 月のギター
12. 単純な永遠

----------------------

前回の記事を更新直後、酷いニュースがありました。本当にいたたまれません。やるせません。
こうなってくると、参院選の結果がどうあれ今回の全国ツアー『un democratic love』セットリストは相当社会性の濃いラインナップになるかもしれません。
僕はそれを大いに支持しますし、必要なことだと思う・・・考えたくもないけど、ジュリーが自由に歌えなくなってしまう世の中すら予感させる今だからこそ。ツアーTシャツの文字はそういう意味だと僕は思っています。
でも、今回のセトリ予想の執筆予定曲はそうした社会性の高いメッセージ・ソングを採り上げることを敢えて避けました。26日の初日まで、みなさまが少しでも楽しんでくだされば、と・・・ただそれだけです。

日曜に冷房をつけたまま昼寝してしまったのが悪かったのか、少し体調を崩したりもしていますが、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、このペースで頑張り抜きたいと思います。


さて、今日のお題も前回の「君が泣くのを見た」同様、『ジュリー三昧』での言葉を参考に「ジュリー自身が好きな曲」という観点からのセトリ予想です。

僕は『ジュリー三昧』をリアルタイムで聞いていません。当時(2008年)、ポリドール期以降の楽曲をほとんど知らないヒヨッコが偉そうに「(ドームの)セットリストをネタバレしたくない」などと言って、YOKO君が放送の情報を知らせてくれたNHK『SONGS』すら観ようとしなかったのですからどうしようもない・・・。何様のつもりだったのか、という話ですね。
『ジュリー三昧』については、そんなラジオ特番があったことも『ジュリー祭り』以後に知ったくらいで。聞いていれば最高の予習になっただろうのにねぇ。

アルバム『単純な永遠』はその頃には聴いていました(正当に評価できるようになったのは2009年になってから)ので、東京ドームで歌われた「a,b,c...i love you」「単純な永遠」の2曲は辛うじて「知っている曲」ではありました。さてずいぶん遅れて聴いた『ジュリー三昧』。
「ジュリーがそれぞれのアルバムからどの曲を選んでかけてくれているか」が最大の興味でしたが、『単純な永遠』について僕はてっきり、ドームでセットリスト入りした2曲或いはシングル・カットされた「世界はUp & Fall」が選曲されているんだろうな、と事前に考えました。
違うんですよね。
ラジオにてジュリー曰く
「この頃から、”大好きな曲”が増えてくるんですよ」
とのことでオンエアされた曲は・・・。

サエキけんぞうさん作詞、鮎川誠さん作曲のハードなロック・ナンバーです。
「ジェラシーが濡れてゆく」、伝授!


ジュリーの好みのタイプとしては「ジャスト フィット」あたりとも通じるものがあるでしょう。
ギターやドラムスのアレンジにテンポ以上のスピード感があり、「ステージで歌っていて気持ちが良いし、お客さんを攻めていける」感覚があるんじゃないかな。

今となっては「あれは夢かうつつか」みたいな感覚があるんですけど、僕はこの曲については1度だけ生のLIVEで体感しています。
ブログにドームのレポートを書いたことがきっかけとなり、親切な先輩方とのご縁が重なって急遽参加が叶った2009年お正月コンサート『奇跡元年』でした。

ジュリーはMCで、『ジュリー祭り』と重複(「ちょうふく」と発音したのがジュリーらしいなぁ、と感じたことを今でもハッキリ覚えています)する曲が多いことに触れ、恐縮していました。重複曲の多さは無理もありません。80曲を歌ったあの2大ドーム公演から僅かひと月ちょっとで迎えたお正月コンサートなのですから。むしろ、『ジュリー祭り』と重複しない曲を9曲も歌ってくれた・・・僕はそれだけでも凄まじく感動させられたものです。
その9曲とは

「奇跡」
「時計/夏がいく」
「MENOPAUSE」
「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」
「生きてる実感」
「希望

「ヘイ・デイヴ」
「THE VANITY FACTORY」

そして「ジェラシーが濡れてゆく」。
ジュリーは後に『ジュリー祭り』のセットリストについて「歌いたい曲を全部数えたら88曲あった。それを80曲に絞った」と語ってくれたことがあります。
最終的に泣く泣くオミットされた8曲・・・ジュリーがそれらを新年明けての『奇跡元年』に配したのでは、という推測は充分成り立つと思います。
9曲のうち「ヘイ・デイヴ」はデイヴさんのことがあって急遽採り上げられたと考えると、残る8曲がそうだったんじゃないか、少なくともその中のいくつかは『ジュリー祭り』に向けてジュリーが一度は「歌いたい」と考えた曲だったんじゃないか・・・僕はそんなふうに考えました。
つまり「ジュリーが好きな曲」として、「ジェラシーが濡れてゆく」はじめ上記8曲は、今年の『un democratic love』セトリ入りの予感がプンプンするわけです。

「ジュリーはエロい詞が好き」なのは疑いのないところですが、特にロック系の曲だと「性衝動」を描いたものがお好みのようです。
しかも本能のままに「もうどうにでもしてしまえ!」みたいな感じがお気に入りみたいですね。「ステージで無心に攻められる」からでしょう。
LIVEありき、の「好き」なんだと思います。

後に覚和歌子さんやGRACE姉さんが提供する「エロック」ナンバーに見られる「性衝動とせめぎあい」の原点が、このサエキけんぞうさんの「ジェラシーが濡れてゆく」に見てとれます。
例えば

これ以上噛めば糸が切れてしまう
Cm7      Dm7    E♭maj7

これ以上行けば闇に触れてしまう ♪
Cm7      Dm7    E♭          F

ジュリーは「それでも噛むぞ!行くぞ!」という解釈で歌っているわけで、いやぁこれは潔い。
「歌」となると俄然「独占欲」の塊となる・・・ジュリー本人が自らの未知なる性衝動のゾーンを開拓されるような攻めっ放しのエロい詞は、やはりハードなロック・ナンバーでこそ威力を発揮します。

作曲の鮎川さんは、僕が少年時代から存在を意識していた邦楽ロッカーの1人です。
初めてお名前を知ったのは中学生の時で、YMO繋がりで購入したレコード『スネークマン・ショー』に収録されていた鮎川さんの代表曲「レモンティー」がきっかけでした。ちょうど僕がビートルズを通じて「ロック」にアイデンティティーを感じ始めた頃に出逢ったロックンロール・ナンバーですから、深い思い入れがあります。
その当時はまだ、ギターの演奏がどれほど素晴らしいか、歌詞がどれほど際どいか、など細かいところまでは理解できていませんでしたが・・・。

で、高校時代になると僕は今度はローリング・ストーンズに夢中になり、ストーンズの記事が載っている雑誌などを可能な限り目を通していました。
そんな中で何の雑誌だったかは忘れたんですけど、「ストーンズの魅力を日本のロッカー達が語る!」みたいな特集が掲載されている古書を購入。
そこにショーケンなどと並んで鮎川さんのインタビューがありました。本は紛失しましたが、鮎川さんの記事の大見出しは今でも覚えています。

「ロニーがやめたら俺が弾くけん!もう決めとる」

今でこそロン・ウッドはストーンズの中心人物として確固たる地位を確立させていますが、70年代末の当時はまだストーンズに「リード・ギタリストだけがちょくちょくメンバーチェンジする」というイメージがありました。鮎川さんの言葉はそれを受けてのものです。
もちろん具体的にそんな話があったということではなくて、「次にギタリストが変わるなら入るのは俺だ!」と語るほどの、鮎川さんのストーンズ愛なのですね。
九州出身で、しかもストーンズが大好きなんだ、と分かり僕は鮎川さんのことが好きになりました。
邦楽のミュージシャンやアーティストに「ロッカー」と言える人は多いけど、何の躊躇もなく「ロックンローラー」と呼べる人は本当に少ない・・・鮎川さんはそんな数少ないリアル・ロックンローラーの1人だと思います。

もちろん作曲家としてジュリーとの相性が悪いはずがなく、提供した「ジェラシーが濡れてゆく」はアルバム『単純な永遠』の豪華絢爛なクレジットにあって、ガッチリと骨太な存在感を放っています。
ロックンローラーの鮎川さんが、スリー・コードのR&Bではなく短調のアップテンポによるロック・ナンバーをジュリーに贈った、というのがまた良いじゃないですか。
ストーンズの曲で言えば、「アンダー・マイ・サム」や「ドゥ・ドゥ・ドゥ・・・」のような「アブナイ」短調のハード・ロックがジュリーには似合う!と考えたんだと思いますよ。もちろん、ジュリーがこれまでストーンズのどんな曲をカバーしているか、という点も考えての作曲だったのではないでしょうか。

和音や譜割を確認しながら楽曲構成を追っていくと、鮎川さんが細部まで妥協せずメロディーを練り込んでいることが分かります。
例えばAメロ。冒頭の譜割が1回し目と2回し目では違うんですよね。それをサエキさんが逃さず、「ここぞ」と英語のフレーズを載せてきているのが素晴らしい!
特にカッコ良いのが2回し目で、1番では

Not So Serious バツの悪い変化さ ♪
Gm                                  Dm7

「Not So Serious」がどういう意味か、とかそんなことは二の次で良いのです。とにかく鮎川さんのメロディーに載せた時に生まれる、語感の切れ味ですよ。
この
英フレーズは2番でも採用されますが、それぞれ1回し目の「グレイウィンド」「Blue Air」と比較すると鮮烈に聴こえ、「いつもと感度が違うじゃね~かよ!」とばかりにジェラシーをドSな衝動に転じて攻めるジュリー・ヴォーカルにピタリと嵌ります。
鮎川さんの譜割の変化にサエキさんが応え、ジュリーに特化したカッコ良さを提示しているのですね。

また、ト短調のこの曲はサビで並行移調して変ロ長調となりポップなメロディーへと一変。
その視界が開けるような感覚がズバリ「本番」(下世話な表現ですみません・・・)を暗示しているようで、そこにタイトル・フレーズである「ジェラシーが濡れてゆく」を載せることで曲の煽動性が増しています。
そしてすぐにト短調のハードなビートへと回帰。

いくつあっても  夜が足りない
Gm            E♭  Gm        E♭

いくつあっても  朝が足りない ♪
Gm            E♭  Gm        E♭

サビを締めくくるこのキメのフレーズは、まるでサエキさんが鮎川さんのメロディーを得て、ファンの望む「ジュリー像」すら操っているかのようです。
(『奇跡元年』でどうだったかまるで覚えていないんですけど、やっぱりお客さんはここで「表拍連打の手拍子」で決まりですよねぇ)
いずれにしても、詞曲とも作家にジュリーへのリスペクトが無ければこうはいきません。

今回この曲がセトリ入りしたら、注目はベースでしょう。
レコーディング音源では建さんが弾いているAメロのエイトビートが「ジェラシーが濡れてゆく」での「実際のテンポ以上の疾走感」最大の肝です。
『イカ天』審査員時代には「8分音符が並んでいる」ベースラインに苦言を呈することが多かった建さんですが、それは曲想やアレンジを合わせて考えてのこと。
建さんだって、「ジェラシーが濡れてゆく」のような曲ならばエイトビートをブチかましてくれます。
でも、単に8分音符をなぞっているだけでなく「弦のすべる音」までしっかり出す、表現するというのがポイント。先のお正月LIVEでの依知川さんのエイトビートにもそんな表現がしっかりあったので(「希望」「麗人」など)、「ジェラシーが濡れてゆく」のセトリ入りが実現となれば、依知川さんの演奏に期待が高まります。

さぁ、みなさまも聴きたくなってきたでしょ?
ちなみに僕の中ではこの「ジェラシーが濡れてゆく」は「今回の予想シリーズにおけるエロ・ナンバーとしての1曲」のつもりなのですが、先輩方はこの曲に「エロいジュリー」のイメージは持っていらっしゃるのかなぁ。


それでは、オマケです!
実は、手元に1990年の資料がまったくありません。『まんだらけ海馬店』さんで『単純な永遠』ツアー・パンフレットは見かけたことがあるんですけど(でも先日の生誕記念お蔵出しの時には見つけられなかった)、微妙に値段が高く購入をためらっています。
ということで、今日はお題曲とは時代が全然違いますが、「ジェラシーが濡れてゆく」のタイトルにあやかって、「先輩方が少女時代にジェラシーの炎を燃やした」(?)であろう72年『女学生の友』の記事をどうぞ~。


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では次回更新からの2曲は、「依知川さん久々の全国ツアーに向けて」というテーマで予想した曲を書いていきます。まずは依知川さん作曲作品をご指名。

最近のLIVEでは必ずバンドメンバーが作詞或いは作曲した曲をセットリストに組み込んでいるジュリー。今回は『un democratic love』収録4曲の演奏が確定しているのでその点はすでにクリアされてはいるんですが、新曲以外にメンバーの作曲作品が採り上げられるかどうか、というのもセットリスト予想の楽しみのひとつ。
依知川さんの曲で、個人的に「全ジュリー・ナンバーの中でも特に好きな1曲」があるんですよ~。
後追いファンの僕は未だその曲を生で体感したことはないのですが、汗を飛び散らせながら歌い躍動するジュリーの姿が想像できるような、最高にゴキゲンなロック・ナンバーです。
どうぞお楽しみに~。

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2016年7月 2日 (土)

沢田研二 「君が泣くのを見た」

from『架空のオペラ』、1985

Kakuu

1. 
2. はるかに遠い夢
3. 灰とダイヤモンド
4. 君が泣くのを見た
5. 吟遊詩人
6. 砂漠のバレリーナ
7. 影 -ルーマニアン・ナイト
8. 私生活のない女
9. 絹の部屋

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7月です。
先日、故郷・
鹿児島で大雨の被害がありご心配頂いていましたが、僕の実家は立地的に心配ありません。
ただ、実家の最寄駅から電車で2駅ほどの町では痛ましい被害もあったようで・・・一刻も早くこの極端な天候が落ち着くことを祈るばかりです。

このところの拙ブログでの矢継ぎ早の記事更新は、元々熊本、大分をはじめとする九州各地の震災に思うところあり、「ジュリーのツアーが始まるまではペースを上げて頑張ろう」と始めたことでした。先月の「act月間」を終え、1週間ほど更新が空きましたが、今日から再びギアを全開にしていきます。
そう、いよいよ今月26日には『un democratic love』全国ツアーが開幕ですね。
拙ブログでは今回も”全然当たらないセットリスト予想”シリーズを開催いたします。僕自身はあくまでも「当てる気満々」で張り切って書いていきますよ~。

予想は現時点でお題6曲ぶんの構想を持っています。
今回はその6曲の中で、2曲ずつをそれぞれ3つのコンセプト(予想の理由)に分けてみました。

①ジュリー自身が好きな曲
②依知川さん久々の全国ツアーに向けて
③僕が未だLIVEで体感できていないシングル曲

この3つ。今日と次回は、①に基づいたセットリスト予想のお題となります。

「ジュリーの好きな曲」をファンが判断する際、大いに参考となるのが2008年のラジオ番組『ジュリー三昧』ですね。還暦までの歌人生を振り返り、すべてのオリジナル・アルバムからジュリー自身が少なくとも1曲ずつを紹介してかけてくれるという贅沢な内容でした。
どのアルバムからどの曲をかけてくれたか、という点だけでも貴重な考察材料となります。

『ジュリー三昧』でかけられた多くの曲は、そのまま年末の2大ドーム公演『ジュリー祭り』で歌われることになりました。しかし中には外れていた曲もあります。
そんな曲達も『ジュリー祭り』以降のステージで歌われるものが多いのですが、今日採り上げるのは未だ僕が生で体感できていない「ジュリーが好きな曲」。
長らく廃盤状態が続き「ジュリーのオリジナル・アルバムの中で最も入手困難」と言われながら、先達の評価が高く、後追いファンが再発を切望していた名盤。
昨年の再発実現は本当に嬉しい出来事でした・・・アルバム『架空のオペラ』から、「君が泣くのを見た」。『ジュリー三昧』では、ジュリーが「僕はこの曲が大好きです」と言ってからオンエアされています。

まずはこの名曲を、今回のセットリスト予想シリーズの1番手に採り上げたいと思います。
僭越ながら伝授!


昨年EMI期のアルバムが再発され、後追いファンの僕もめでたくジュリー・オリジナル・アルバムのコンプリート成りましたが、キチンと実物を手にして特に感慨深かったアルバムが『架空のオペラ』。
入手困難とされていたEMI期の作品の中でも、これはオークションなどでものすごい値段がついていました(ちなみに初版CDについては未だプレミア価格をつけ『まんだらけ海馬店』さんで販売されています)。

『架空のオペラ』に限りませんが、再発CDを実際に手にすると、音源のみ所有していた時とは違う気持ちで作品に臨むことができます。
まず目が行ったのは裏ジャケの曲目クレジット。「君が泣くのを見た」と「吟遊詩人」の間が1行空いていることに気がつき、今さらながら「あぁ、この頃はまだレコード・リリースだったんだなぁ」と。
レコードで発売された作品はレコードで聴くことが一番。遅れてきたファンである僕はそれが叶いませんので、せめて「この曲がA面ラスト、この曲からがB面」と脳内で確認しながら鑑賞しました。するとやっぱり印象が違ってくるんですよ。
全9曲収録の『架空のオペラ』は今までA面B面の感覚を考えたことすら無く(奇数収録曲のアルバムって、だいたいそうなっちゃうんですよね)、改めてとても新鮮に聴きました。そうかぁ、リアルタイムでこのアルバムを聴いた先輩方は「君が泣くのを見た」を聴き終わって一度盤をひっくり返していたんだなぁ・・・と想像してみると、不思議にそれまでより曲の理解度が増したような気がするものです。
A面が4曲ということで、3曲目「灰とダイヤモンド」の重心が変わったようにも感じました。

さて、ジュリーが「大好きです」と語っているにも関わらず、最近のステージではすっかりご無沙汰となっている「君が泣くのを見た」(と言ってもいつ以来なのかまでは調べきれていないのですが)。
いえ、「君が泣くのを見た」ばかりではありません。『ジュリー祭り』がLIVEデビューの僕は、CO-CoLO期の名曲(ここでは『架空のオペラ』収録曲もCo-CoLO期の楽曲としてカウントします)をまだ僅か4曲しか生で体感できていないのです。
体感順に、「明星」「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」「砂漠のバレリーナ」「きわどい季節」の4曲。「灰とダイヤモンド」ですらまだなのですよ。
(後註:実際には僕は計5曲を体感済みでした。今年のお正月に聴いたばかりの、あの素晴らしい「女神」をカウントし損ねていたのは痛恨の極み。遊様、ご指摘ありがとうございました)

今回の『un democratic love』ツアー・インフォにはわざわざ「ジュリーの好きな歌」との明記があり、そろそろ「灰とダイヤモンド」はどうなんだろう、と期待すると同時に、ジュリー自身が「大好き」と語る「君が泣くのを見た」は、セトリ入りの可能性大と見ました。


CO-CoLO期のジュリー・ヴォーカルについては多くの先輩方が絶賛されていますし、さらに押し進めて聴き込むと、それぞれのアルバムが「他のアルバムでは聴けない」ような特殊なヴォーカルであると分かります。
最も明快なのは、「た行」「か行」の発音に特徴のある『告白-CONFFESION』。
では『架空のオペラ』は?
僕は『架空のオペラ』に楽曲提供した大野さんのロングトーンのメロディーに「この1枚」のジュリー・ヴォーカルの個性を感じています。
何て言うんだろう・・・それこそ「オペラ」。もちろん、いわゆるオペラ歌手のそれとは全然違うんですけど、大野さんの提示したメロディーにさらに抑揚を加えて母音を伸ばしていますよね。70年代後半の阿久=大野時代とはヴォーカルの印象がまったく違います。
特筆すべきはその透明感です。アルバム全体を通して歌詞はかなりきわどかったり内省的だったりするのに、ジュリーの声が驚くほど澄んでいて、それが逆に曲の妖しさを増しているような・・・これは一体どういうマジックなのでしょうね。

「大好きです」と言うからには、松本一起さんの詞についてもジュリーのお気に入りと考えて良いでしょう。
『架空のオペラ』のクレジットは何と言っても「阿久=大野」コンビの完全復活というのがリリース当時まずファンの目を惹いたと想像しますが、この作品が初の作詞提供(ですよね?)となった松本さんの存在、その作風はジュリーにとって大きかったようですね。
松本さんの作詞作品「指」「砂漠のバレリーナ」いずれも名篇ですし、『架空のオペラ』は松本さんの詞と大輪さんのプロデュースによってそのコンセプトを際立たせている1枚のようにも感じます。大輪さんの「オペラライク」の発想が、松本さんの詞によって愛憎入り乱れる「官能の日常」という人間劇を引き出しているのです。これがもし阿久さん1人の作詞作品で固められていたら、「歌謡オペラ」の要素が強くなっていたはず(それはそれで大傑作となったでしょうが)。
ジュリーは松本さんの描く「日常」の空気感が気に入っていたんじゃないかなぁ。

ただ、切ない歌詞であることは確かです(それが松本さんの個性、素晴らしさでもあるでしょう)。
男性視点での恋人への思いが「出逢った頃」と「今現在」、2つの時間軸で入れ替わりながら綴られます(Aメロは1番、2番ともに「2つの時間」が語られます)。
つきあい始めて最初の頃は、彼女が待ち合わせにどれだけ遅れてこようがまったく気にならず

一緒にいたいから 毎日約束して
Gm7                               Am7

二時間待たされても 苦にならない
Gm7                                   F

雨が降りだせば 君に胸を痛め
   A7                                 Dm

あやしげな夢を 逆に期待した ♪
      E7                           A7


(ちなみにAメロは1回し目と2回し目で和音が違うのですが、この1回し目の「Gm7→Am7」はザ・タイガースの大名曲「風は知らない」のイントロとまったく同じ理屈。「君が泣くのを見た」をリアルタイムでアルバムを購入し聴いた先輩方も、本当に初聴時の導入イメージは「爽やか」であったはずです)

待っている間に妄想を膨らませるのでしょうな~。ときめきばかりを感じ愛は深まっていきます。
しかしいつしか「君がいることが当たり前」となり

だけど君が泣くのを見た
B♭                      F

流したものは とても貴重な涙
   C                       F         A7

そしていつか
B♭

二人でいることに麻痺していった ♪
               F             A7        Dm            

といった状況が起こってきます。熱い心が冷たくさめていく無常な時間と空間。ジュリーの「この1枚」の声のリアルさに驚嘆させられます。

松本さんが描いた恋人同士はきっと
「僕が彼女に求めているものは何なのか、彼女が僕に求めているものは何なのか」
と、そんなふうに考え込む時間が増えていったのでしょう。おおむね、そういうことが分からなくなった(分からずとも全然問題でなかった頃とは気持ちが違ってきた)時、恋人は別れるものなのでしょうね。
でもそれをすんでのところで引き返すことができたとするなら・・・それは「君が泣くのを見た」時だったのではないか、と主人公は後悔するのです。もう彼女は涙も枯れ、「無関心」となってしまったのですから。
「好き」の反語は「無関心」だとよく言われますが、哀しいシチェーションを歌っているんですねぇ・・・。

では、メロディー、アレンジについてはどうでしょうか。
この曲の大きな特徴は、その調性の曖昧さだと僕は考えます。いや、明快に「ヘ長調」ではあるんですよ。しかし松本さんの歌詞のイメージも大きいのか、メロディーや鳴っている音は何処か哀しげで、アレンジも良い意味で「ぼんやり」しています。
これは流行りと言えば流行りで、前作『NON POLICY』あたりから顔を覗かせていた「ソフトなソウル・ポップ」のテイストを押し進めたところもありましょうが、「君が泣くのを見た」はちょっと「ぼんやり」感が突出しているように僕には感じられます。
例えば歌メロの最後は

君の無関心が何よりツライ ♪
   B♭        A7           Dm

曲中何度か登場する「Dm」は、この箇所だけニ短調への明快な着地和音として使われます。イントロなどで聴かれるキラキラしたシンセの陽性のフレーズとはまったくの好対照で、不思議な印象を受けますね。
聴く時の気分によって、とてつもなく悲しく聴こえたり、爽快に聴こえたり・・・そんなメロディーではないでしょうか。完全に「こう」と結論を出すには、僕はまだ人生経験も知識も足りないかなぁ。

楽器パートで個人的に気に入っているのは間奏のストリングス・アレンジ。
もしこの曲が今回セトリ入りを果たした時には、泰輝さんの演奏に注目したいです。エンニオ・モリコーネの映画音楽のような美しいストリングスの音階は泰輝さんも絶対に好きなパターンだと思いますので、入魂の「斜め45℃体勢」が見られるのではないでしょうか。


最後になりますが、実は僕は初めて(音源のみで)アルバム『架空のオペラ』を聴いた時、今ひとつピンときませんでした。昔から、例えばビートルズのアルバムなども最初は良さが分からず、聴き込んでいくうちに好きになっていくパターンが多い僕のことですからそのこと自体は別段珍しくもないんですけど、『架空のオペラ』の場合はあることがきっかけで劇的に印象が変わったという点が特別です。
2009年、僕がしゃかりきになって後追いでジュリーの勉強をしていた頃、ある先輩が「是非」と『架空のオペラ/正月歌劇』のLIVE音源を聴かせてくださいました。
もちろんアルバム『架空のオペラ』収録曲が歌われていて、その「神々しい」としか言いようのないジュリーの歌声に僕は本当に感動させられました。
その上でレコーディング音源として『架空のオペラ』を聴くと、それまでとはジュリーの声がまるで違って聴こえたのです。理屈ではなく、LIVEのジュリーの声を聴くことで、歌の深い部分にまで僕の気持ちが入っていけるようになったのだと思います。こんなことがあるんだなぁ、と思ったものでした。

僕にはそんな頼もしい「先達」の方々との出逢いを機とする「気づき」が他にも多くあり、新規ジュリーファンとして本当に恵まれていると感じます。
僕と同世代、或いは年下のかたも長いキャリアを誇るジュリーファンは多くいらっしゃいますが、僕の場合はスタートが遅れたぶん、本格的にジュリー堕ちして以降はそうした「気づき」の連続です。

考えてみれば僕は『ジュリー祭り』以前、主にポリドール時代のCD音源を聴き込んでいるというだけで「自分はジュリーファン」だとうぬぼれていましたが、あの東京ドーム6時間半のステージを体感し、初めてジュリーの「歌」を身にすることができた、と思っています。
一度でもLIVEを体感しないまま、2012年以降のジュリーの新譜をCDだけで聴いていたら・・・と想像するとゾッとしますよ。本質を見ないまま、ジュリーを「反体制の旗手」扱いし、先輩方が眉をひそめるレビューをこのブログに突発的に書いていたことでしょう。
今、「平和」をロックするジュリーはカッコ良い・・・でもそれは、愛の機微を歌わせたら他に比類なき歌手であるジュリーだからこそ、説得力があるんですよね。

僕はずいぶん遅れてきたファンだけれど、今年もジュリーの全国ツアーが始まる・・・毎年変わらずそれがある、ということの奇跡、凄さをようやく身に沁みて感謝する境地に達したところ。
今年はどんな曲を歌ってくれるのか・・・セットリスト予想の楽しみは尽きません。
そろそろこのヒヨッコが、名盤『架空のオペラ』から一発レアなやつをお見舞いされることになるのか、どうなのか・・・。ジュリーも「大好きです」と断言する名曲「君が泣くのを見た」、期待しています!



それでは、オマケです!
ジュリー独立直後の資料については、福岡の先輩からお預かりしているものがたくさんあります。
今日はその中から、85年の『PENTHOUSE』9月号掲載のジュリーのインタビュー記事をどうぞ~。


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では、次回更新も『ジュリー三昧』でのジュリーの言葉を元に、「ジュリーの好きな曲」という観点から予想するお題です。こちらも長い間セットリスト入りを果たしていない曲なんですけど、後追いファンの僕もなんとか間に合って、1度きりですが生で聴いています。
でも、「久々」には違いありません。
曲調は一転、ハードなロック・ナンバーです。
今月もガンガン更新してゆくつもりですので、よろしくおつきあいのほどを・・・。

いよいよ夏本番!のような感じで、関東は今日も暑い1日でした。体調を崩さないように頑張りたいと思います。みなさまも充分お気をつけください。

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