沢田研二 「I am the champion 孤独な」
from『act#5 SHAKESPEARE』、1993
1. 人生は一場の夢 Ⅰ
2. 人生は一場の夢 Ⅱ
3. 丘の上の馬鹿
4. 人生は一場の夢 Ⅲ
5. Sailing
6. 人生は一場の夢 Ⅳ
7. Lucy in the sky with Diamonds
8. 愛しの妻と子供たち
9. タヴァン
10. 悲しみのアダージョ
11. アンジー
12. レディー・ジェーン
13. 私は言葉だ
14. I am the champion 孤独な
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無事、めでたき日に更新となりました。
ジュリー、68歳のお誕生日おめでとうございます!
↑ 昨年に引き続き、「ありがとう、と言ってそうな若ジュリー」のショットを勝手に選び添付しました
今年も中野ブロードウェイの『まんだらけ海馬店』さんが「沢田研二 生誕祭り」を開催してくれるとのことで、今日は夫婦で中野まで出かけてきました。
今年の品揃えは、個人的には「珍しいものは高値で手が出せず、手ごろなものは既に持っている、見たことある」という状況ではありましたが、ジュリー等身大パネルと一緒に写真を撮ったりして楽しみました。
購入したのは『ペーパームーン』(2000年の方)のパンフレット、400円。これだけ何故か異様に安かったな~。ジュリーのショット、たくさん載ってるのに。
ジュリーも70越えまで、もうあと2年ですか・・・。
2009年の『PLEASURE PLEASURE』ツアーでジュリーが「ワタシの70越えを見届けてください!」と語っていたことを思い出しています。
その頃僕は本格的にジュリー堕ちして間もなかった時期でしたので、「これから10年近くもジュリーのLIVEが観られるのか。それをジュリーは約束してくれた!」と感動したものでしたが、いやぁ70越えどころか、まだまだこの先もお楽しみは続いていきそうですね。
ジュリー健在!は何よりの励み。この先のジュリーの変わらぬ健康と無事をお祈り申し上げます。
68歳の1年も、おいしいものがたくさん見つかりますように。ジュリーが望む世の中でありますように。
ジュリーはいつまでも若々しく元気でいてくれるけれど、その一方で今年は、個人的に思い入れを持つミュージシャンの訃報が相次いでいます。
先日、元ウイングスのギタリストだったヘンリー・マカロックが亡くなりました。
ウイングスのギタリストと言えば20代で亡くなってしまったジミー・マカロックの方がよく知られているかもしれませんが、ウイングス・ナンバーの中で「ギター・ソロ」に限って僕が最も感銘を受けた曲は、ヘンリーが考案し演奏した「マイ・ラヴ」のソロです。
パッと聴くだけだと風のように爽やかで耳馴染みの良いソロなんですけど、1音1音を拾っていくと、「これがバラードの音階なのか」と驚嘆することになります。スケールの使い方が特殊なのです。
ヘンリーの場合は僕は世代的に無理なこととは言え、こうして憧れのミュージシャンの訃報に接すると、「どうして1度だけでも生のLIVEで観ておかなかったのか」と後悔することばかり。ジョージ・ハリスンの時も、今年のデヴィッド・ボウイの時も。
そしてもうひとり・・・クイーンのフレディ・マーキュリー。
チャンスが無かったわけじゃないのに、僕はフレディの歌と演奏を生で体感できずじまいでした。
フレディ生誕70年にして没後25年の今年、クイーン+アダム・ランバートが来日します。
フレディ亡き今、「クイーンを観に行く」という感覚にはなれないのは事実だけれど、僕は彼等の武道館公演を観に行くことにしました。ブライアン・メイのギターとロジャー・テイラーのドラムスを胸に刻むために。
フレディへのリスペクト溢れるアダムのヴォーカルも、きっと素晴らしいでしょう。
さぁ、しめっぽい話はこのくらいで・・・今日は6月25日、おめでたい日なのですからね!
「じゅり枯れ」の厳しいこの6月、僕は「act月間」として更新を頑張ってきました。今日はいよいよその締めくくりのお題となります。
月はじめに「私は言葉だ」の記事で採り上げたact第5作『SHAKESPEARE』より、再び「原曲について語りまくることができる」名曲を選びました。
こんな難しい曲を堂々と自分の世界に引き込んで歌うジュリー、加藤さんとcobaさんの見事なact的解釈に僕は痺れっ放しです。
誰もが知るクイーン不朽の名曲のカバーで「I am the
champion 孤独な」。僭越ながら伝授!
クイーンの原題は「We Are the Champion」。日本では「伝説のチャンピオン」の邦題で知られる、クイーンの特大ヒット・ナンバーです。
リリースから40年が過ぎてもまったく古さを感じさせない、正真正銘、空前絶後の名曲と断言できます。
↑ 『クイーン/スーパー・ベスト』より
シンコペーションのメロディーで「いきなりヴォーカルから」始まるパターンはフレディの得意技。
歌も演奏も非常に難易度の高い曲です。この曲をカラオケで流暢に3連に載せて歌える人を僕は見たことがありません。僕自身はと言うと、チャレンジする勇気すらありません(涙)。
8分の6の3連メロディーの抑揚がいかにもクイーン、聴き手がノッケから歌メロに引き込まれる原曲の魅力は、ジュリーの「I am the champion 孤独な」も同様です。出だしのヴォーカル一発のインパクトですね。
そこで重要なのが冒頭の「語感」だと僕は思います。
冒頭のメロディーに「伝説」というフレーズを当てた素晴らしいセンス。まずはそんな加藤さんの日本語詞について書いていきましょう。
伝説が 神話が
Gm Dm7 Gm Dm7
まとわりつく 俺についてまわる
Gm Dm7 Gm Dm7
やりきれない たまらない
B♭ B♭sus4 B♭ B♭sus4
ロマンチックな目で見ないで
B♭ F7 Gm
お願いだから ♪
C7 F E♭(onF) G
注:クイーンのオリジナル、ハ短調に対してジュリーは2音半下げのト短調でこの曲を歌っています。フレディの声域が常人離れして高過ぎるということですね。
部分的にはフレディの原詞を踏襲しつつも、これはやはりactならではの解釈による「作詞」に近い加藤さん渾身の名篇。その点は「私は言葉」と同じ。しかし「私は言葉だ」とは逆の意味で面白いのは、メロディーに載せる言葉の「数」です。
「私は言葉だ」では思いっきりメロディーの音節を逸脱してそのぶん音階も増えたり減ったりという箇所が多いのですが、「I am the champion 孤独な」では意外や原曲のメロディーに忠実だったりするのです。
フレディが早口で歌う箇所はジュリーも早口、トーキングっぽい箇所も同様です。加藤さんが、フレディの語感にまで徹底して詞を載せているわけですね。
しかも、とびきり刺激的な言葉で。
それを歌いきるジュリーがまた凄い。
ズバリ「I am the champion」なんてフレーズを歌って違和感が無い日本人歌手なんて他に誰もいませんよ。
この曲の加藤さんの詞をジュリーの歌で追っていくと、遅れてきたファンの僕は不思議に今現在のジュリーの音楽活動とのリンクを感じます。
僕は、決してファンに迎合しようとはしないジュリーの姿勢が大好きです。
それは心を閉じているとか、意地悪とかいうのとは違うと思います。稀に見る俯瞰力の持ち主なのではないでしょうか(まぁ、「天邪鬼」という面はあるにせよ)。
「褒められたら、そこに落とし穴がある、と思う性質ですよ」と語ったことがあるジュリー。
10代の頃から、ファンからの賞賛も周囲からの嫉妬も、他に比類ないほど浴び続けてきたジュリーのような人をしてこのような俯瞰力を持つ・・・驚くべきことです。その根幹の強さが「I am the champion 孤独な」の加藤さんの詞によって表現されているように、今僕はこの曲を聴いてしまうのです。
I am the champion 孤独な
C Em Am F G
闘争(たたかい)はやめない それでも
C Em F C#dim
I am the champion I am the champion
Dm Fdim
淋しくはない I am the champion
C C7(onD) E♭ F Gm7
いつまでも ♪
Cm
ジュリーにとって「ステージに立って歌う」のはもちろん楽しいことでしょうが、同時に「孤独な戦い」を続けてゆく宿命というものも感じ、立ち向かっているんじゃないかなぁ。特に2012年以降のツアーは・・・。
「孤独」はスーパースターの証。でもジュリーというスーパースターは「信じるな、夢を託すな」と、近寄り難いオーラを発し続けているように感じます。偉ぶってそうしているんじゃない・・・「真剣」なのでしょう。
生きることと歌うことが重ってくる。そんな歌手はそうはいません。真に王者・・・「champion」なんだなぁ。
さて、「I am the champion 孤独な」の演奏についてはどうでしょうか。
特筆すべきはポンタさんのドラムス。
ポンタさんが叩く3連符は独特のノリがあります(初めてポンタさんのドラムスで演奏された「君をのせて」をDVDで鑑賞した時は驚きました。これはYOKO君も同じこと言ってました)。ジョン・ボーナムともまた違う「後ノリ」のニュアンスがあり、とにかく重厚なのです。
ポンタさんは演奏途中に気合が乗ってくるとアドリブでロールを繰り出すことが多いんですけど、この曲の「2’23”」あたりで炸裂するロールは特に凄いです。普通に考えたら、オカズ入れるような箇所じゃないですし。
ドラムス以外だと、1番と2番の繋ぎ目(ここはクイーンのオリジナルをさらに過激に解釈したような斬新なアレンジになっています)のチェロがお気に入り。『SHAKESPEARE』の楽器編成は低音のチェロが黒子に徹しているのが素晴らしいと思いますが、ここは「ソロ」として魅せてくれます。
と言うかあまりに高度過ぎて、ジュリーがよく2番の歌メロにスッと入っていけるなぁ、という感動も大きいかな。このチェロのソロを配したアレンジは、クイーンのオリジナルとは印象が大きく異なりますね。
今、「伝説」とか「神話」とか褒められるとジュリーは「何言ってやがる」と思うのでしょう。でも、ファンとしては言いたくもなりますよね、こんな人を見ていたら。
クイーンの「We are the champion」の「champion」をさらにジュリーという歌手、演者に特化させての「I am the champion 孤独な」。「伝説のチャンピオン」という曲をアレンジも歌詞解釈も変えてカバーするなど、生半可な志のキャストでは無謀。
加藤さん、cobaさん、そしてジュリー。actって、とんでもなく奇跡的なキャスティングだったんですね・・・。
ということで。
ジュリー誕生月特別企画として頑張ってきた「act月間」の記事更新は、ひとまずこれにて終了。
まだまだ知らないこと、理解できていないことが多いactの楽曲考察に取り組むのは正直大変ではありましたが、先輩方に色々と教わる機会に恵まれ、「じゅり枯れ」の厳しいこのひと月があっという間に過ぎていきました。本当に新鮮で楽しい6月となりました。
ありがとうございます!
もし来年が今年と同じような感じのスケジュールだったら、またジュリー誕生月の6月にはact特集を組んで、「じゅり枯れ」の時期を濃密に過ごしたいものです。
さぁ、それでは!
次回更新までには1週間ほどお時間を頂きまして、7月からはいよいよ気持ちを『un democratic love』全国ツアー・モードに切り替えます。当然”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズの開幕です。
もちろん更新ペースは今月並みに・・・6曲ほど書きたいと思っています。
7月頭にはさすがにジュリーはもうセットリストを決めているのでしょうね。例によって僕の予想は全然当たらないかと思いますが、僕なりの予想根拠も示しつつ、張り切って書いていきたいです。
お題曲はほぼ決めています。
今年のツアーはインフォに「新曲+ジュリーの好きな曲」と明記があったことから、ヒット曲は数を抑え目にした(来年のデビュー50周年イヤーが、大ヒット曲満載となるのでしょう)鮮烈なセットリストを期待しています。
セトリ予想シリーズ、まず最初の2曲は『ジュリー三昧』でのジュリーの発言を根拠に、「ジュリーの好きな曲」(でも最近のツアーではご無沙汰なナンバー)を採り上げていきますよ~。
今回もよろしくおつき合いくださいませ~。
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