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2015年12月

2015年12月27日 (日)

沢田研二 「WE BEGAN TO START」

from『A WONDERFUL TIME.』、1982

Wonderfultime

1. ”おまえにチェック・イン”
2. PAPER DREAM
3. STOP WEDDING BELL
4. WHY OH WHY
5. A WONDERFUL TIME
6. WE BEGAN TO START
7. 氷づめのHONEY
8. ZOKKON
9. パフューム
10. 素肌に星を散りばめて

---------------------

ずっと履いていた29のジーンズが入りにくくなったので先日1コ上の30を買い直したら、それもキツいことに気づき青ざめているDYNAMITEです。
みなさま、年の瀬いかがお過ごしでしょうか。
こちらは50代目前にして、お腹だけがかつてない成長期に突入したことを実感しております。叩くととても良い音がするようになりました・・・(涙)。

といったところで、今日はいよいよ『Barbe argentee』に向けての”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズの締めくくり、第5弾にして今年最後の更新です。
2015年、色々とありました。
『昭和90年のVOICE∞』のMCで
「新しい年になったのに、何も嬉しいことがない」
と、言葉少なに語ったジュリー。
「不言実行」として、危うい流れに向かおうとするこの国に「歌で物申してゆく」という孤独な「悲しい戦い」を決意した発言だったのでは、と僕には思えました。
そんなジュリーの姿勢を僕は大いに支持し共感もしたけれど、一方ではジュリーが頑なに心閉ざしてしまったように見えてしまい、暗い気持ちにもなったものです。

ところが4月に加瀬さんが亡くなってしまって・・・はからずもジュリーの全国ツアー『こっちの水苦いぞ』は当初の予定とは大幅にセットリストを違えた内容となり、各地で加瀬さんとの思い出を語るジュリーの姿がありました。心開いて加瀬さんの話をしてくれるジュリーに安堵したファンも多かったのではないでしょうか。
為政はジュリーが恐れ案じた方へと流れ、本来ならジュリーも憤懣やるかたない思いで迎えた全国ツアーの初日だったはず。
でもジュリーには明るさ、屈託の無さが戻っていた・・・もちろんそれは加瀬さんの力でもあったでしょう。しかしもうひとつ考えられるのは、こんな世の流れの中で、僅かでもジュリーを安心させる、勇気づける、希望を見出せることもあったのかもしれない、と。

僕にとっては、「何度でも作り直せばいい」と声を上げてくれる若者達の出現こそがそれでした。

1月にジュリーはMCで「私達ひとりひとりが、自分のこととして考える時が来ましたね」と語りました。
それを僕は、ジュリーが皆に「頼むから考えてくれ」と懇願したように感じていましたが、実際にはその言葉は予言だったと今思います。僕よりもずっと若い世代がジュリーの言葉を実行し、「諦め」すら感じていた大人達にこれほどの勇気を与えてくれるとは。
確かに状況は差し迫っている・・・数年前までは小さな予兆でしかなかった(かのように見えた)ものがハッキリ形となり、来年さらに酷い拡がりを見せるかもしれない、というところにまで今の世の中は来ています。
それでも、若者達の声に叩き起こされた大人はたくさんいる、と思う・・・僕は間違いなくそのひとり。

まぁ「ジュリーもそう思っているかな」なんて考えるのは僕の勝手な妄想に過ぎません。ジュリーは僕などと違い、ずっと前からガッチリ「起きて」いたのですから。
でも、例えば僕のような者がジュリーの今年の新曲「臨界限界」に登場する「未熟でも若い者」というフレーズを大好きになっている・・・「未熟」って素敵なことなんだ、と思えたのは、頼もしい若者達のおかげです。

「さぁ2016年、また1から一緒に始めよう」
来年がそんな年になるように願いも込めて・・・多少強引な執筆動機ではありますが、お正月セトリ予想として今日採り上げる曲は、エキゾティクス期1982年のアルバム『A WONDERFUL TIME.』から「WE BEGAN TO START」です。
2015年、納めの伝授!


まずは、
このアルバムについてヒヨッコ・DYNAMITEが「今さら」知った事実を少しだけ。
先日keinatumeg様が『A WONDERFUL TIME.』について記事を書いてくださっていて、僕はkeinatumeg様の詩人肌の文章がとても好きでいつも爽やかな気持ちで拝読しているんですが、その記事の最後に


TIMEの後には必ず「.」を忘れずに

と書いていらして、僕は一瞬「???」・・・直後、「ああっ、そうだったのか!」と意味を理解。
『A WONDERFUL TIME.』って、タイトルの後にピリオド(「.」)をつけるのが正式な表記なんですね。

アルバムジャケットを改めて見てみますと、ハッキリ「.」が付いています。
楽曲タイトルについては歌詞カードにも特にそうした表記は無いので、「.」をつけなければならないのはアルバム・タイトルに限ってのことみたい。
気になって、手元のアルバム・ツアー・パンフレットでも確認してみますと


Wonderful01

中表紙にはきちんと「.」の表記が。
いやぁ知らなかった・・・過去記事の表記も折をみて少しずつ修正していかないといけませんね。
これ、先輩方にとってはやっぱり常識だったのでしょうか。「えっ、そうだったの?初めて知った!」と仰るかたは正直に手を上げて!

さて「WE
BEGAN TO START」です。
大澤誉志幸さんという新たな才能を得たこともあり、洋楽直系のクールなロック&ポップスを中心に仕上がった名盤『A WONDERFUL TIME.』。当然レコード時代の作品ですからこの「WE BEGA TO START」は「B面の1曲目」という重要な配置のナンバーですね。
LP両サイドのトップを新人作曲家である大澤さんの曲が飾っていたわけですか。レコードをひっくり返しての1曲目が3連ロッカ・バラードとくれば、あの『G. S. I LOVE YOU』と同じ構成です。
YOKO君曰く「ジュリー3連はすべて大名曲!」・・・もちろんこの曲も素晴らしい名曲です。

夜明けの街がまぶしくて
D       F#m    Bm       Bm7

帰り道が 遠い
Em    F#m   Bm  Bm7

眠い目をこすって
Em  F#m      Bm  Bm7

ふたりきり early morning ♪
Em    F#m          G            A

結構(数年間くらい?)つきあってきた恋人同士のワンシーンでしょうか。登場人物の2人にとって、この時が「最初の夜明け」ってことはないでしょう。
歌のシーンに至るまでの熟成された時間を感じさせるシチュエーションは、『REALLY
LOVE YA !!』収録の「夜明けに溶けても」と似ていると思います。あと、ピー先生の今年の新曲「三日月」もそうだと僕は思うなぁ(考察記事の執筆が遅れていますが、ジュリーの『Barbe argentee』ネタバレ禁止期間に書かせて頂く予定でいますらね!ピーファンのみなさま、もう少しだけお待ちください)。

で、ズバリこれは求婚の歌ですねぇ。
先日書いた「ユア・レディ」なんかもそうしたコンセプトなのかもしれないけど、こちらはもう明快に

ぶっきらぼうにプロポーズ
   D         F#m      Bm  F#m

今なら言えそうで
Em     G         A

つぶやいた言葉は follow me
   D           F#m      Bm       F#m

秘密はもうないさ ♪
Em      G         A

と。
ハッキリ「プロポーズ」というフレーズが登場。
同じ柳川英巳さん作詞の「”おまえにチェック・イン”」から時を経た続きの物語、と考えてみると楽しいです。

大澤さんのメロディーはポップで瑞々しい、この時期のジュリーにピッタリの名篇。
ザ・タイガース同窓会の活動もあり、古き良きものをリスペクトしつつ、ニュー・ウェーヴ的な音作りの流れにも沿う・・・そんな絶妙なバランス感覚が求められた年のジュリーのニュー・アルバムにうってつけの才能が、よくぞこのタイミングで現れたものですねぇ・・・。それぞれの時代時代にジュリーに引き寄せられた多くの若き才能の中でも傑出した存在です。

「WE BEGAN TO START」は3連のロッカ・バラードなんですけど、ジュリーの歌い方も良い意味で力みが無いですよね。ヴォーカルのアプローチだけなら、「おまえがパラダイス」より「きわどい季節」に近いです。
丁寧さも感じますが、それ以上に自然で清らか。それがまた歌詞の内容にも合っているという・・・。
歌メロ以外の箇所で「おぅ」とか「あぃぁ」とか言っているのもすごく良いのですが、僕がこの曲のジュリーの声で一番痺れるのは

誰とも違うfeeling ♪
Em  F#m  Bm Bm7

の「feeling」です。
ここは1番で言うと「(眠い目を)こすって♪」「(嬉しい)予感が♪」の部分と対になっていますから、本来なら「feeing」を「ミレレ~♪」と歌うのが自然。
でもジュリーは「ミレ~ファ#♪」と歌っていて、これが大澤さんの作曲段階からのアイデアなのかどうかは分からないけれど、ジュリーの発声するメロディーの何と艶やかで自然な「色っぽさ」であることか。
あのジュリーが3連ロッカ・バラードを楽曲通して敢えてサラリと歌う、からこそこういう色っぽい表現も生まれるわけで、一見当時流行のニューウェーヴやシティサウンドのクールな感覚に「のっかった」制作の印象もある『A WONDERFUL TIME』や『NON POLICY』あたりは、逆に「鳴っている音との対比」からジュリー・ヴォーカルの奥深さを再認識させられるアルバムと言えましょう。
僕の場合、そうしたことが分かるまでに結構時間がかかってしまったのですが。

また、この曲については吉田建さんのアレンジにも注目したいところ。
シングル『ス・ト・リ・ッ・パ・-』B面の「ジャンジャンロック」、或いは前作アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』収録の「FOXY FOX」に顕著なように、少し前の建さんはエキゾティクスのバンマス、ベーシストとして「どうだ!」と自らのパフォーマンスを全面に押し出す演奏を以ってジュリーに貢献していました。
しかしこれが「アレンジャー」となると一変。
それぞれの音を生かし、自らは黒子に徹して「楽曲」のクオリティー、完成度に純粋に心技を砕いていて・・・それが後に『彼は眠れない』『単純な永遠』・・・と続くEMI期の名盤に繋がっていくのですね。

「音作りの新しさ」に関連して少し書いておきますと、例えばこの曲、歌メロと同時に右サイドから噛んでくるパーカッションの音があるじゃないですか。ハイハットのような、マラカスのような。
keinatumeg様も書いていらっしゃいましたが、この曲では木崎賢治さんが「ボイス・パーカッション」でクレジットされています。それがこの音なのかな、と僕は最初考えたのですが、どう聴いてもこれはサンプリングされたトラックでしょう。あの「裏の裏」で拍を入れ替えるリズムを正確に、延々とモニターに合わせてボイパするのは人間技では考えられませんから、もしあれが木崎さんの声だったとしても、もしくは別クレジットにある「percussion pecker」だったとしても、あらかじめワンフレーズ打ち込んだものをプログラミングループで打ち込んだトラックだと考えられます。
こうした手法は次作『ミスキャスト』や翌年の『女たちよ』で大々的に採り入れられてゆきます。
まだ完璧に検証できていませんが、ジュリーのレコーディング・アルバムで打ち込みのサンプリングを導入したのは、『A WONDERFUL TIME.』でのこの曲が初めてだったんじゃないかなぁ。

ちなみにこのサンプリング・トラック、右耳ダンボで注意して聴いていると、曲の最後まで頭から離れてくれなくなる可能性があるのでご注意くださいませ。
いや、そういう聴き方もとても楽しいんですが、本来サンプリング・トラックって、「リスナーが意識しなくとも、楽曲の仕上がりには一役買っている」音なんです。


「第一次ジュリー堕ち期」(2006年くらいにポリドール期のアルバムを大人買い)に購入した際には、『BAD TUNING』『G. S. I LOVE
YOU』『S/T/R/I/P/P/E/R』に比べるとどこかおとなしい、落ち着いちゃったのかな、という印象からあまり熱心に聴き込んでいなかったこのアルバムも、その後再評価の機会を幾度と得てきて、初聴きから10年近く経った今ではすっかり僕にとっても「愛する名盤」となりました。
(当初は何となく聴き流してしまっていた)レコードで言うところのB面1、2、3曲の流れはもう病みつきです。中でも「WE BEGAN TO START」は病みつき度が高い!

あとは・・・先輩方の間では大変人気の高い、アルバム大トリ収録の「素肌に星を散りばめて」。後追いファン、しかもアレンジフェチな聴き方を好む僕が初めてこの曲を聴いた時から抱えてしまっている

「パラ○イス銀河」に構成がそっくり過ぎて、CDで聴く度に脳内にローラースケートをはいた少年達が登場してしまう

という情けないトラウマを乗り越えるのみ。
それを成せば『A WONDERFUL TIME.』は僕の中で本当に大切な「大名盤」として「大好きなジュリー・アルバムの2番手集団」の地位に昇りつめるでしょう(トップは不動の『JULIEⅡ』ってことで)。
ジュリーが生で歌うのを体感すれば、一発でそんなトラウマは乗り越えられるはず。
さぁお正月、かかってこい素肌!(←「WE BEGAN TO START」よりは可能性高いですよね?)

今日は「セットリスト予想」としてはいささかそぐわない(セトリ入りの可能性は極めて低い)お題だったかもしれませんが、「さぁ、今から始めよう!」というこの歌をもし今後ジュリーが歌ってくれることがあったら、それが不安な時代であっても僕はきっと大きな力を貰えると思う・・・力まずに、メッセージ・ソングとしても聴ける、楽しめるような気がします。
来たる2016年が「希望」押し返す年になることを願って・・・勝手ながらお題とさせて頂きました。


それでは、オマケです!

僕は70~80年代(良き歌謡ポップス黄金期)の雑誌(『明星』や『平凡』)付録の歌本をコツコツと集めていますが、その中で時折ジュリー関連の貴重な記事に予期せず巡り逢うことがあります。
今日ご紹介するのは、『YOUNG SONG』82年7月号。
当時のシングル曲「”おまえにチェック・イン”」のスコアのみならず、なかなか興味深いインタビュー記事が数ページにわたり掲載されています。
早速どうぞ~!

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最後に、余談になるのですが。
僕はアルバム『A WONDERFUL TIME.』のマッチング・エレクトーン・スコアをずっと探し続けていますが、未だ入手できておりません。ネットオークションの出品は中古価格が2万円以上の設定のものしか目にしたことがなく、さすがに手が出せずにいます。
昨日も神保町の古書街を巡ってみたのですが、発掘できませんでした。
もし地方の古書店などで見かけた、というかたがいらっしゃいましたら、情報をお待ちしております。

それにしても、神保町には久しぶりに行ったのですが、いつも歌本や昭和アイドル雑誌などを安値で販売してくださっていた古書店『ファンタジー』さんの店舗が無くなってしまっていたのは、かなりショックでした。
上に添付した『YOUNG SONG』をはじめ、何冊も歌本を購入していたお店だったのに、寂しいなぁ・・・。


ということで、少し早いんですけど。
みなさま、今年も大変お世話になりました。

新たな出逢いもたくさんあった1年でした。みなさまのお話やコメントに僕自身が本当に楽しませて頂いていて、それがこのブログを続ける力になっています。
来年もコツコツと頑張りますので、変わらぬご訪問、叱咤激励の程どうぞよろしくお願い申し上げます。
お身体に気をつけて、よいお年をお迎えください。

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2015年12月20日 (日)

沢田研二 「オリーヴ・オイル」

from『サーモスタットな夏』、1997

Samosutatto

1. サーモスタットな夏
2. オリーヴ・オイル
3. 言葉にできない僕の気持ち
4. 僕がせめぎあう
5. PEARL HARBOR LOVE STORY
6. 愛は痛い
7. ミネラル・ランチ
8. ダメ
9. 恋なんて呼ばない
10. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

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世間がスター・ウォーズで盛り上がりまくっている中(カミさんは明日観にいくらしい)、不肖DYNAMITE、本日無事に49歳の誕生日を迎えました。
心優しき先輩方は、未だに僕を「若手ジュリーファン」などと呼んでくださることもありますが、この年齢で「若手」であろうはずはなく・・・先輩方の優しさにいつまでも甘えているわけにはいきません。
なんとか「中堅ジュリーファンのおじさん」が年齢相応に自然に板につくよう、一層精進して参ります。

ともあれ、40代最後の1年が始まりました。
ジュリー49歳の作品と言えば、アルバムは『サーモスタットな夏』、actは『ELVIS PRESLEY』。
そう考えると「なんだ、まだまだ全然若い、イケてんじゃん!」と思ってしまいますが、ジュリー自身はその1997年のインタビューで「ジジィを意識しないと・・・」と自戒の言葉を語っています。
(今年のお正月LIVE”『昭和90年のVOICE∞』セットリストを振り返る”シリーズで書いた「僕がせめぎあう」考察記事のオマケコーナーをご参照ください)

ジュリーほどの人がそう考える年齢なのですねぇ。
具体的には、何をして「ジジィ」を意識すれば良いのかなぁ?身体、仕事、そして生活。家族、友人、社会への関わり・・・きっとそのすべてなのでしょう。

同年齢の職場の同僚達は、ここ数年誕生日を迎える度に一様に「どよ~ん」と沈みまくっていますが、僕自身はそんなこともなく。
いや、他の同年齢同世代の同僚達の方が僕より全然肉体的には元気だったりして、僕が皆より元気かつ恵まれている、ということでは決してありません。

僕はむしろ年相応・・・いや、実年齢よりは老けています。『サーモスタットな夏』DVDで観たジュリーのMCじゃないけど、もう「辞書の字がほとんど読めない」状態ですし(ただし近眼なのでメガネを外せば読めますが)、いくつか持病も抱えていますしね。
先日も、仕事中に腰を痛めたりして。
「ヤバっ!」と即座に反応し体勢を立て直すことができたので、「魔女の一撃」までには至らず軽傷で済みましたが、情けないことです・・・。

でも、やっぱり一番真に迫って年齢を感じるのは老眼かな~。とうとう、爪を切る際にもメガネを外さなければならないほどまでに進行しました(泣)。
ジュリー曰く「文字はなるべく大きめに大きめにと心がけて」作ったという『サーモスタットな夏』の歌詞カードですら見えにくくなってきて、我ながら呆れてしまいます。

そんなふうに「トシを感じる」ことが身体のあちらこちらに出てきても、職場の同世代の連中のように誕生日を迎えても「どよ~ん」とならないのは、ジュリーが僕の18年先を走ってくれているのをいつも見ているから。
僕は自分がジュリーと同じようにいつまでも若々しく健康でいられるとは考えられないけど、誕生日を迎えるごとに、例えば今年であれば「よし!とりあえず『サーモスタットな夏』の年のジュリーに追いついたか!」と思える・・・これは本当にありがたいこと。

毎年拙ブログではこの12月20日、自分の誕生日を自分で祝うべく、「自分と同じ年齢の年にジュリーがどんな曲を歌っていたか」というテーマで考察お題を選んで更新させて頂いています。
併せて今日は、ツアー初日まであと2週間ちょっとまでに迫ったジュリーお正月LIVE『Barbe argentee』に向けての”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ第4弾のお題も兼ねています。

ジュリー49歳のアルバム『サーモスタットな夏』収録曲は比較的ツアー・セットリスト入り率が高いようで、『ジュリー祭り』がジュリーLIVEデビューだった僕も、これまで「サーモスタットな夏」「僕がせめぎあう」「PEARL HARBOR LOVE STORY」「愛は痛い」「ミネラル・ランチ」「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」と計6曲を生のLIVEで体感しています。

また、『サーモスタットな夏』は『ジュリー祭り』直後の怒涛の未聴アルバム大人買い期に購入した作品の中でも(ツアーDVD含めて)格別に好きなアルバムということもあって、これまで7曲の記事を既に執筆済。
まだ書いていない曲は「オリーヴ・オイル」「言葉にできない僕の気持ち」「愛は痛い」。この3曲の中から、今回のお正月にセトリ入りが考えられそうな曲・・・と考えて、「オリーヴ・オイル」「愛は痛い」の2曲は充分可能性あり、と見ました。
しかも、どちらも「49歳」ジュリーならでは、の名曲です。

「ジジィの熟成”エロック”を食らえ!」という「オリーヴ・オイル」。「互いに多忙で時々すれ違いながらも、夫婦変わらず仲良きことかな」という「愛は痛い」。
なんとなく「愛は痛い」の方がセトリ入り有力のように思えましたが、自分の誕生日に予想記事を書くからには、「まだまだ元気!」「老いて盛ん(?)」なジュリー・エロック降臨に期待して景気よく!ということで、「オリーヴ・オイル」の方をセトリ予想指名したいと思います。
伝授!


と言いながら、まずはお詫びから。
今年の誕生日(&セトリ予想)お題を「オリーヴ・オイル」と決めた際(『こっちの水苦いぞ』ツアー・ファイナルの数日前くらい)、以前「この曲の先行シングルはアルバムとはヴァージョン違い」と何処かで読んだことがありましたから、シングル盤を所有していない僕は例によって(汗)いつもお世話になっている先輩にお願いし、音源を聴かせて貰いました。「あの日は雨」や「つづくシアワセ」くらい劇的に違うのか、と期待して聴いたのですが・・・現時点では「えっ、これイントロ以外何処が違うんだろ?」という情けない状況です(汗)。

鳴っているトラックはすべて同一に聴こえる・・・単にマスタリング違いなのか、それとも僕の聴き込みが不充分なのか、明言もできぬまま考察記事の更新に至ったのはお恥ずかしい次第。
今後シングル・ヴァージョンを聴き込めば何か分かるかもしれませんので、その時にはこの記事に追記するなり、『Baebe argentee』初日公演のレポートでその点に触れるなり(当てる気満々汗)したいと思っています。

さて、「オリーヴ・オイル」には、特に「ロックなジュリー」を好む先輩方から絶大な支持を集めている曲、という印象があります。
新規ファンの僕は『ジュリー祭り』の後に遡ってこの曲を知ったわけですが、時代に沿って考証してみますと、90年代末から2000年代にかけて、よりハードなギター・サウンドへと傾倒してゆくジュリーの作品・・・ずっとタイムリーでジュリーを観ていらした先輩方にとって「オリーヴ・オイル」はそのプロローグ、幕開けのような曲だったのだと分かってきます。何と言ってもアルバム『サーモスタットな夏』からの先行シングルだったのですから。

ちなみにこのアルバムからは後に「サーモスタットな夏」「恋なんて呼ばない」もシングル・カットされていますね。同年はTEA FOR THREEのシングルとして「君を真実に愛せなければ他の何も続けられない」もリリースされていて、ジュリーは実に1年に4枚のシングルを出したことになります。
ヒヨッコの僕はそのことについて、『こっちの水苦いぞ』ファイナルの打ち上げでご一緒した先輩に「97年のシングル攻勢は何だったんでしょうね?」などと無知丸出しでお尋ねしてしまいました。
デビュー30周年だったんですね・・・。

先行シングルということを考えれば、当時多くのジュリーファンがアルバム『サーモスタットな夏』に先んじて「オリーヴ・オイル」を知ったのでしょう。「ジュリーはこれから先、こういうロックを歌っていくのか!」と胸ときめかせたファンも多かったのではないでしょうか。
『サーモスタットな夏』アルバム全体としてはまだそこまで徹底してハード、という雰囲気には届いていませんでしたが、次作『第六感』『いい風よ吹け』そして『耒タルベキ素敵』とハードなギター・サウンドの方向性には拍車がかかり、遂にはキーボードを完全に排した無骨なアレンジによるアルバム作りが、2002年『忘却の天才』でジュリー・レーベルのスタートと共に始まりました。
その起点となったシングル・ナンバーこそ「オリーヴ・オイル」だったと言えるのでしょう。

90年代~2000年代のジュリー「ハード・ロック期」。
重要なキーパーソンとしてまずアレンジャーの白井良明さんが挙げられますが、ジュリーが望むエロティシズムのテーマを担った曲、と考えた時、もうお2人・・・作詞の覚和歌子さんと作曲の吉田光さんの存在がとても大きかったと思います。
アルバム『サーモスタットな夏』では「オリーヴ・オイル」以外に「僕がせめぎあう」もこのお2人のペンによる「エロック」ナンバー。今年のお正月LIVE『昭和90年のVOICE∞』でのセトリ入りは嬉しかったですね~。

僕は、吉田光さん在籍のDER ZIBETというバンドをそろそろ本腰入れてじっくり聴くべきでしょうね。ジュリーへの提供楽曲がどれも刺激的ですから、普段どんなバンドでどんな曲を?と興味が沸いてきます。
今はまだほとんど何も知らないに等しいですが、1997年というのは吉田さんにとって、DER ZIBET無期限活動休止決定の翌年という特殊な年(現在は活動再開されています)だったようです。

吉田さんのジュリーへの楽曲提供は1990年のアルバム『単純な永遠』が最初、ということになるのかな。
特に5曲目「光線」は凄まじくハイ・センスの大名曲で、斬り込むようなメロディーと変拍子を導入した緻密な構成に僕が病みつきになったのが、2010年お正月LIVEの『歌門来福』で生体感した後のこと。
それまでは普通に「いい曲だな」止まりの評価しかできていなかったわけですから、僕は当時自分の鈍さを改めて自覚し大いに恥じたものです。

そしてもう1曲、吉田さんの作曲作品で個人的に大好きなのが、1996年リリース、アルバム『sur←』収録の「恋がしたいな」。
(後註:「恋がしたいな」の収録アルバムを、1998年の『第六感』と誤記したまま2日ほど晒しておりました。思い込みではなく、完全な書き間違い・・・これから年を重ねてゆくと、こういうポカがどんどん増えてくるのでしょうね。気をつけなければ・・・)
王道の「いかにも」というコード進行とはまるでかけ離れている変則的な曲なのに、本当に美しい凛としたメロディーに惹かれます。

「光線」にしても「恋がしたいな」にしても、吉田さんのメロディーは「クール&ビューティー」のイメージ・・・では「オリーヴ・オイル」はどうか、と言うと実はハードな仕上がりからは意外なくらいにこれまた美しいメロディーの曲なのです。特に

ため息のクレシェンドの角度で
Dadd9                       A

微熱から情熱に変わるのさ
Dadd9                 A       F#7

君だけが 僕に匂いを移せる
Bm7         Bm7(onA) Bm7(onG#)

刹那を生きることに 身体はためらわない ♪
F#m  E        D          F#m  E       D

この展開部などは、うっとりするほど美しい!
覚さんの詞も「ここぞ!」とばかりに刺激的なフレーズが並びますが、吉田さんの甘美なメロディーに触発されてのことでしょうね。
ギターやドラムスがAメロと変わらずハードな噛み方をしているので、メロディーと和音はグシャッと混沌した感じになっていますが・・・「ハードな音の奥に沈みこんでいるものを掬い上げてみたら、とてつもなく美しいメロディーが姿を現す」というわけです。

吉田さんと言えば、「愛まで待てない」が作曲段階ではスローテンポのバラード寄りの楽曲だった、という逸話が有名ですよね。
覚さんの詞が載って、ジュリーのリクエストもあって、白井さんのアレンジによって、最終的には過激なまでのハイビートなロック・ナンバーになったのだ、と。
吉田さん作曲の時点では、「愛まで待てない」ってこんな感じの曲だったんじゃないかな、という洋楽曲の例を僕は頭に持っていますが、それについてはまたいずれ同タイトルお題の考察記事に書くとしまして。
「オリーヴ・オイル」もやっぱり、吉田さんがプリプロで提出した「作曲」段階ではかなり落ち着いたキャッチーな作品だったのかもしれない、と僕は思っています。
曲を聴いたジュリーが何かしらのインスピレーションを以て「エロ」を求め、覚さんの作詞へのサジェスチョンがあった。覚さんの詞が完成し、白井さんは「こりゃもう、ハードに仕上げるしかないでしょ!」と最終的なアレンジを施した・・・そんな流れを想像します。
もちろんそれは、吉田さんを緻密かつ自由度の高い作曲家だと思うからこそ推測できることです。

それにしても・・・「何故僕の溺愛するジュリーのアルバムに限って、ヴォーカルのミックスがこうも小さいのか!」という・・・。
この時期、バックの音はどんどんハードな爆音へと移行していってるのに、『サーモスタットな夏』だけは、何か狙いがあるとしか思えないほどジュリーのヴォーカルが小さいのです。そのミックス・バランスの極端さは、僕がこの世で最も愛するコンセプト・アルバム『JULIEⅡ』にも比するほどです。

『JULIEⅡ』同様、僕は『サーモスタットな夏』の小さい音量のジュリーの声が、愛おしくてなりません。
ただ、それが「オリーヴ・オイル」の場合は、「敢えて」という面も確かに見えるのです。
エンディングのリフレイン部、各楽器のトラック数も増え全体の音量レベルも上がっている中で、それだけじゃない・・・逆にジュリーのヴォーカルが明らかにそれまでよりも小さくミックス処理されています。
これは正に「オリーヴ・オイル」に模した官能の液体の中に主人公(歌っているジュリー)がどんどん浸っていく、という歌詞コンセプトに沿ったミックスなのでは?
ジュリーのヴォーカル・ニュアンスも、まるで溺れゆく主人公の喘ぎを楽曲の終局に向けて全開で放出しているようなリフレインではありませんか。

ヴォーカルのみならず、その後のジュリー・ナンバーの指標とも言うべき演奏に仕上げられたことは、「オリーヴ・オイル」の大きな意義でもあるでしょう。
白井さんのハードなギター・アレンジは、「猛毒の蜜」などに引き継がれていきますし、「重厚さ」をフォローするキーボード・フレーズはは「weeping swallow」に、さらには鉄人バンドのアレンジによる「まほろばの地球」にも「オリーヴ・オイル」とよく似たアプローチが見られます。
ワウ・ギターの採用という面でも、『祝・2000年正月大運動会』で初っ端から「オリーヴ・オイル」→「マッサラ」と繋ぐセットリストは凄まじい説得力を生んでいます。
そう言えば、以前DVD『祝・2000年正月大運動会』をYOKO君に貸したら、「いきなり”オリーヴ・オイル”ってどんだけ凄いセットリストなんだよ!」と言っていたっけ。
『Barbe argentee』(YOKO君は不参加)で、「遂にオリーヴ・オイルを生で聴いたぞ!」と是非彼に報告(自慢)したいものですが・・・。

覚さんの詞にまつわる逸話などから、ジュリーがこの曲で「官能」を意識的に歌っている、表現しようとしていることは間違いなさそうです。
でも先輩方、CDリリース時にタイムリーでこの曲のヴォーカルを聴いた時、「エロ」以上にジュリーの「再ブレイクへ向けての気合」のような感情が無意識に込められているように感じませんでしたか?

1997年。ジュリー、デビュー30周年。
当時のインタビューを読めば、ジュリーは「大ヒット」への渇望を隠そうとはしていません。今現在のジュリーと比べ、人間的な根っこの部分は変わりませんが、まだ「売れる」ことへの拘りは持っていたようですね。
「オリーヴ・オイル」は、そんな節目の年に作ったアルバムからの先行シングルです。
ジュリーの「売れたい」渇望がその声に無意識に反映されていても不思議ではない・・・僕はこの「エロック」に隠された、ジュリー・49歳の朴訥で純粋な野心こそこの曲最大の魅力と見ますが、いかがでしょうか?

「若いモンのやってるのが今の”売れる”ロックか?いやいや自分はそう簡単には退けんぞ!」
当時のジュリーのそんな思いが、その後数年間のアルバムをよりハードなギター・サウンドへと向かわせていったのかもしれないなぁ。

現在のジュリーは「ヒット」などという概念を超越したものを手にしました。
「自分の歌を聴きたい、と思う人達を探そう」とのかつての思いは『ジュリー祭り』を大きな境として多くの中抜けファン、新規ファンをも巻き込みLIVE動員数を今なお増やし続けています。
だから、逆に言えばジュリーが今「オリーヴ・オイル」を歌うと、リリース当時無意識に込められた「ヒットへの渇望」はかき消え、覚さんの詞、吉田さんの曲、白井さんのアレンジ・・・制作時にジュリーが狙ったエロティックなコンセプトが、そのまま自然に押し出されるようなヴォーカルとなるのではないでしょうか。

先日お会いした先輩が『昭和90年のVOICE∞』での「僕がせめぎあう」について
「当時はそんなにエロいとは感じなかったけど、今年のあの歌はエロかったわね~」
と仰っていましたが、もし来年早々『Barbe argentee』で「オリーヴ・オイル」が採り上げられたら、おそらくそれ以上のことが起こると思いますよ!


ところで、「オリーヴ・オイル」に限らず、ジュリー・エロ・ナンバーのセトリ入りは先輩方も切望されているようで、ぴょんた様の”妄想セトリ”予想では何と「18禁コーナー」(笑)として「Cearess」「感情ドライブ」「C」の3曲を列挙されていました。どれか1曲でも的中すれば、会場大熱狂間違い無しでしょうね~。

しかもぴょんた様は「C」から「灰とダイヤモンド」へと連なる曲順までお考えのようで、いやぁ僕にはとても思いつけない角度からの素晴らしい予想アプローチ。
ぴょんた様は、2014年お正月『ひとりぼっちのバラード』の予想で「緑色の部屋」などの的中実績を誇るお方ですから・・・某J先輩の「どこぞの予想と違って、期待しちゃうのよね~」とのお言葉も納得です。

ちなみに、「どこぞ」とはココのことです!(涙)

いずれにしましても2016年新春、ジュリー渾身の「エロック」降臨実現が楽しみ!
いや、もちろん「エロバラード」でも良いんですけど(ぴょんた様は、「PinpointでLove」も妄想セトリに挙げていらっしゃいますよ~)、実際はどうなりますか。


それでは、オマケです!
今年のジュリーの誕生日に蔵出しセールを開催してくれた中野の『まんだらけ海馬店』さんを訪れた際に購入した、97年のツアー・パンフレットから数枚どうぞ~。


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さて、”全然当たらない『Barbe argentee』セットリスト予想”シリーズもいよいよ次回第5弾でラスト・・・それが拙ブログ2015年最後の記事となります。
予想シリーズの締めくくりお題ではありますが・・・当てには行きません!
さすがに自分でも「ちょっとセトリ入りまで考えるのは強引かなぁ」とは思いつつも、新年へ向け、今年最後に書いておきたい曲があるのです。

世の中の不穏な動きも色々とあった2015年。
その中でジュリーがこの国の未来に希望を見出したことが僅かでもあったとするなら、「何度でも、作り直せばいい」と語る頼もしい若者達の出現こそそうだったに違いない、と僕は今勝手に考えていて。
そこから繋がって、今ジュリーが歌ってくれたら、これまでとはまったく違ったメッセージ・ソングとして聞こえたりはしないかなぁ?と妄想している曲・・・。

「2016年、また1から始めよう」
ということで、エキゾティクス期の3連ロッカ・バラード(←バレバレかな?)で2015年を締めくくります!

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2015年12月13日 (日)

沢田研二 「KI・MA・GU・RE」

from『彼は眠れない』、1989

Karehanemurenai

1. ポラロイドGIRL
2. 彼は眠れない
3. 噂のモニター
4. KI・MA・GU・RE
5. 僕は泣く
6. 堕天使の羽音
7. 静かなまぼろし
8. むくわれない水曜日
9. 君がいる窓
10. Tell Me...blue
11. DOWN
12. DAYS
13. ルナ

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『Barbe argentee』のチケットが到着しましたね!
僕は今回、初日のフォーラム1度きりの参加です。後方とは言え1階のセンターブロック席を授かることができ、気持ちも盛り上がってきました。
大きな楽しみに向けて”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、今日はその第3弾です。

本当に、僕の予想は毎回全然当たりません。
毎回色々とその時々のジュリーの活動や言葉から関連づけたりして、自分なりの根拠があって予想しているんですけどねぇ・・・。
今日のお題は、アルバム『彼は眠れない』から、「KI・MA・GU・RE」を採り上げます。
これはね、僕自身は参加できなかったんですけど、今年の『こっちの水苦いぞ』全国ツアーで渋谷公会堂ラスト3daysを務めることになったジュリーがMCで
「(渋谷公会堂の大トリは)忌野清志郎さんが生きていたら、彼がやったと思います」
と語ったと聞きまして、いかにもジュリーらしい言葉だなぁとしみじみ感じ入ると同時に、僕も「その通りかも」と思ったんですよ。清志郎さんがいたら、渋公ラストは彼が飾ったんじゃないかなぁ、と。
ジュリー以外でその大任にふさわしい歌手は、清志郎さんくらいしか思いつきません。
渋谷公会堂の最後のステージに立ったジュリーの胸中に確かに清志郎さんがいた・・・元々、ジュリー曰く「忌野清志郎君が、唯一僕のために作ってくれた曲です」(『Pleasure Pleasure』ツアーMCでの言葉)という「KI・MA・GU・RE」は、これまでのジュリーLIVEセットリストの準・常連と言ってよいくらいに歌われ続けてきている曲ですし、ジュリーもそろそろまた歌いたくなっているのではないでしょうか。

清志郎さんが生きていたら間違いなく震災以後のジュリー新曲群と同じ志のメッセージを歌で発信していたはずですし、ジュリーも清志郎さんも互いにどれほど心強かったことだろう、と清志郎さんのあまりに早過ぎた旅立ちが残念でなりません。
ただ、2009年に清志郎さんが亡くなられた時は「心の整理がつくまでこの曲の記事は書けない」と言っていた僕も、その後ジュリーのおかげで色々と社会に対して考えることも出てきて、その上で改めて「忌野清志郎」というロッカーの存在がいかに稀有であったか、そのメッセージがいかにカッコ良かったかを噛みしめることができています。
今日はジュリーとのツイン・ヴォーカルで「ロック」をブチかます「KI・MA・GU・RE」を楽曲的に紐解きながら、清志郎さんにまつわる個人的な思い出も交えて書いていきたいと思っています。
僭越ながら、伝授!


僕は清志郎さんについて、高校時代にRCサクセションのアルバムを数枚聴いてはいましたが、熱心に音源を聴き込みその「凄さ」を理解したのは、20歳を過ぎてからのことでした。

まず入れ込んだのは、清志郎さん初のソロ・アルバム『RAZOR SHARP』です。
当時僕はスティッフ系のパブ・ロックに熱中していた時期で、エルヴィス・コステロ、ニック・ロウ、そしてイアン・デュリーが3大フェイバリット・シンガーでした。
そのイアン・デュリー率いる凄腕バンド、ブロックヘッズが清志郎さんのソロ・アルバムで演奏している、しかもイアンもゲスト・ヴォーカルで参加していると知り、タイムリーで購入してみたのです。
期待通りにイアン・デュリーのコーラスが素晴らしかったゴッツいロックンロール「BOO-BOO-BOO」や、ブリティシュ・ビートの爽快なポップ・ロック・ナンバー「曲がり角のところで」の完成度の高さにも痺れましたが、何と言っても日本人離れしたセンスのアルバム1曲目「WATATTA」には驚かされました。
こんな詞曲を日本人が作れるのか、歌えるのか、と。

こうして『RAZOR SHARP』で清志郎さんの魅力に気づかされ、「RCサクセションも遡ってキチンと聴いてみようかなぁ」と考えているうちに翌年リリースとなったのが、あの『カバーズ』だったのですよ。
僕はこれで完全に参りました。
RCサクセションがチャート1位を獲得したアルバム『カバーズ』については以前「Fridays Voice」の記事で詳しく書きましたのでそちらを参照して頂くとして、今日は少しだけ補足のお話をさせて頂きます。

リリースまでのゴタゴタが逆に話題となり大ヒットしたアルバム『カバーズ』は、当時僕の勤務先からもスコアが発売されました(僕が入社した時にはもう絶版となっていましたが、資料本は今も残されています)。


Covers1

Covers2

Covers4

Covers3

裏表紙記載のこのコンテンツ・・・清志郎さんやRCサクセションに詳しい人ならパッと見ただけで違和感を覚えるでしょう。そう、「サマータイム・ブルース」と「黒くぬれ!」が割愛されているんです。
「サマータイム・ブルース」の内容が内容ですから、「当時、スコア化についても何らかの圧力があったのか?」と一瞬勘繰ってしまいますが、実際にはそんなことはなくて、単に楽曲著作権の関係でその2曲をオミットせざるを得なかったようです。

アルバム最大の目玉とも言うべき「サマータイム・ブルース」の収載断念は、先輩編集者もさぞ無念だったのではないでしょうか。

さて、有名な洋楽曲に清志郎さんが中心となって新たな日本語詞をつけて歌う、というこのアルバム『カバーズ』。その歌詞を改めておさらいしてみますと・・・。


何度でも何度でもおいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ

(「明日なき世界」より)

どれだけミサイルが飛んだら
戦争が終るの?

(「風に吹かれて」より」

何言ってんだ~ ふざけんじゃねぇ
核などいらねぇ

(「ラヴ・ミー・テンダー」より)

それでもテレビは言っている
「日本の原発は安全です」
さっぱり分かんねぇ 根拠がねぇ

(「サマータイム・ブルース」より)

まだ20歳そこそこだった僕にとって、こうした清志郎さんの詞は強烈でした。中でもやっぱり「サマータイム・ブルース」は「凄い」と思ったものです。ただ、あの頃の僕は清志郎さんのメッセージを「自分のこととして考える」ことはまったくできていませんでしたけどね・・・。

この『カバーズ』の翌年にリリースされたジュリーのアルバムが『彼は眠れない』です。
(ちなみに『彼は眠れない』リリース年の89年には、清志郎さんはザ・タイマーズを結成し、「ジュリー」から転じたニックネーム「ゼリー」を名乗ります)

「KI・MA・GU・RE」の清志郎さんの楽曲提供、ツイン・ヴォーカル共演の実現はEMI関係で実現したのかなぁとも想像しますが、『カバーズ』自体はEMIの親会社である東芝の圧力により発売中止とされている(「サマータイム・ブルース」を筆頭とする反核、反戦といったコンセプトが東芝上層部から問題視されたためでしたが、世論の味方を得て結局別会社のキティ・レコードから発売)というのもまた今となっては興味深いところではありますが、そのあたりは前述のように「FRIDAYS
VOICE」の記事をご参照頂くとしまして。

この記事ではまず、清志郎さんは『彼は眠れない』と同時期にそんな活動をされていたんですよ、ということをみなさまにも前提として把握して頂いた上で、さぁそんな清志郎さんが果たしてジュリーのためにどんな曲を?という点を掘り下げていきます。

この曲はやはりヴォーカルから語るべきでしょうね。
僕がアルバム『彼は眠れない』を購入したのは『ジュリー祭り』後しばらく経ってからのことでした。
リマスター再発が実現し今では普通に購入できるEMI期のアルバムも、その頃は非常に入手困難な状況で、毎日のように中古商品を探しまくる日々。
ようやく見つけた『彼は眠れない』を僕は中古価格の5千円で購入しました(当時はそれでも「お買い得」と思いましたが)。「KI・MA・GU・RE」はその時が初体験。
いやぁ、このヴォーカルには本当にブッ飛びましたよ。
あの清志郎さんとガチンコで渡り合っている・・・「ジュリー、こんな歌い方もするんだなぁ」と。

で、実は中古購入直後に親切な先輩(まだお会いする前のMママ様)からこのアルバムについて「保存用に1枚余計に持っているものがありますので差し上げますよ」との有難過ぎるお申し出を頂き、必然それは「それならYOKO君に」という話になりました。
YOKO君はそれはもう大変喜んだのですが、実は彼にCDを手渡す前に「KI・MA・GU・RE」1曲だけをファイルでメール送信してみたんです。どんな音楽であれ、とにかく「ヴォーカル」を判断基準とする彼がこの曲をどう思うか、早く知りたかったもので・・・。

送った日の夜中に返信が届きました。ただひと言
「カッケ~~~!!!」
と。

彼も僕同様に、ジュリーのこういうスタイルのヴォーカルを「KI・MA・GU・RE」で初めて知ったようです。
長いファンのみなさまなら、89年にタイムリーでお聴きになった「KI・MA・GU・RE」のヴォーカルも「ジュリーならこのくらいはやるわよ」という感じだったと思います。でも一般ピープルの認識って、たぶん当時の僕やYOKO君と未だに同じだと思いますよ。

先日、エレファント・カシマシがジュリーの「時の過ぎゆくままに」をカバーされていましたね。テレビでご覧になったかたも多いでしょう。
最近ご病気をされて「歌を歌う」ことを改めて突き詰めて考えているヴォーカルの宮本さんが今回「時の過ぎゆくままに」のような曲を採り上げてくれて、その根っこに確かなジュリーへのリスペクトを感じさせてくれたのは、とても嬉しいことでした。

で、僕はちょうど清志郎さんやRCサクセション、泉谷さんを熱心に聴くようになった頃にエレカシも聴いていたのでよく知っているのですが、あの頃の宮本さんは凄まじいシャウト・ヴォーカルだったんです。
ポップ寄りに方向転換する前のエレカシの宮本さんは本当に「寄らば斬るぞ!」くらいのオーラがあって、政治性の強いメッセージ・ソングを歌って、顔なんかグシャグシャにしてね・・・その表情から恐怖を感じるほどの「シャウト」スタイルでした。
でも実は宮本さんは少年時代に合唱団でボーイ・ソプラノで活躍されるなど、本来すごく美しい声を持つ人で、歌唱スタイルも多岐、自在。そうした面が当時は一般ピープルからは隠れていたと思うんですね。

ジュリーの場合は、その逆。
「美しいルックスと甘い歌声」は当然として「時代の最先端を行くロック性」も広く認知はされているけど、途方もない捨て身のシャウトを繰り出すヴォーカリスト、
という面は一般的にはまだまだ「隠れて」いるんじゃないかと思います。
もちろんそんな一般ピープルでも、いざジュリーのLIVEに通い始めればそれはすぐに気づかされることではあります。でも、有名なポリドール期のベスト盤やアルバムCDを聴いているだけでは、なかなかそこまでは・・・(僕やYOKO君がよい例)。
そんな中で、CD音源だけでそんなジュリーの超一級シャウト・スタイルがビッシビシ伝わってくる曲こそ、清志郎さんとのデュエットによる「KI・MA・GU・RE」。
是非是非、世の若いロック少年達にアルバム『彼は眠れない』で「本物」を実感して欲しいですよ・・・。

このジュリーと清志郎さんの壮絶なヴォーカル・バトル、僕は初めて聴いた時から
「これはそれぞれのヴォーカル・テイクは別録りだな。十中八九清志郎さんが先でジュリーが後だな」
とは思っていました。
そしてそれは、『Pleasure Pleasure』ツアーでのジュリー自身のMCで証明されました。

これはね・・・例えば、1’40”をちょっと過ぎたあたりのジュリーの「イエ~!」。
どう聴いても、清志郎さんのヴォーカル・テイクのプレイバックがまずあって、ジュリーは後入れの段階で瞬時に呼応して発声しているとしか思えません。
もちろん、それを自然にできるのが「シャウト」ヴォーカリスト・ジュリーの真骨頂でしょうし、それだけ歌に入り込んでレコーディングしていたことの証でもあります。
「シャウト」という点でジュリーの方が清志郎さんに勝ってブッ飛んでいるのは、レコーディングの順序が関係しているでしょうね。

一方、曲とアレンジ、演奏についてはどうでしょうか。
清志郎さんの楽曲提供によって生まれ得た特筆すべき点は、この曲がジュリー・ナンバーとしては数少ない「ソウル」ロックである、ということ。
はからずも先日「ヘイ・デイヴ」の記事に頂いた先輩方のコメントにあるように、ジュリーには本来ソウルな「黒っぽさ」という面はあまり無いのです。「F.S.M」のような曲もありますが、あの曲のジュリーはミック・ジャガー的な解釈でワンクッション挟んだ上での「擬似ソウル」だと感じます。
また、タイガース時代の曲で「KI・MA・GU・RE」と良く似た進行、構成が採り入れられている「処女航海」では、トラック全体にフランジャーをかけるという大胆なミックスが目立ち、「ソウル」色は薄まっていますね。

「KI・MA・GU・RE」はその点、ソウル全開モードに仕上げられているのがジュリー・ナンバーとしては非常に珍しい・・・これは先述した清志郎さんの「WATATTA」のような曲に見られる日本人離れした作曲センスの成せるところでもあるでしょうし、建さんのアレンジの力でもあるでしょう。
清志郎さんの配したコード進行は、基本シンプルに「G7→C7」の繰り返しですが

誰かの事さ
Em     C  D7

誰かさんか I don't Know ♪
Em            C        D7

こうしてマイナーコードもしっかり入ってくるのがいかにも清志郎さん。胆力と繊細さを併せ持つ、日本のロック・シンガーならではのワビサビです。

アレンジ、演奏も豪快にして緻密。
ソウルなロックを目指すなら外せないホーン・セクション、ジェームス・ブラウンばりに2小節をひと塊と捉え、下降から上昇の音階で攻めまくるベース・フレージング。
さらには、決して目立ちませんが、左サイドに振られたゴリゴリの音色のオルガンが素晴らしい!

そしてギター。
右サイドから聴こえるグシャ~ッ!とした独特の粘りを感じさせるトラック・・・これは下山さんでしょうか?
下山さんは今のジュリーのLIVEでも、こんな感じの「いっちゃってる」ギターをよく弾いてくれます。『こっちの水苦いぞ』ツアーで言えば、「限界臨界」の間奏とかね。
鉄人バンドの演奏だと、「KI・MA・GU・RE」では間奏で下山さんから柴山さんへのリレーがあるんでしたっけ?遠征のプレプレ大阪公演では、柴山さんと下山さんが並んで目の前にせり出してきてくれたなぁ・・・。


清志郎さんが亡くなった時のこと、よく覚えています。
僕はゴールデンウィークを利用して関西に遊びにきていました。仕事絡みのカメラマンの友人が訃報を深夜にメールで知らせてくれて、本当に驚きました。
帰京してから、ブログにも清志郎さんのことを短い記事に書いたのですが、コメントをくださったのが同世代のkeinatumeg様でした。
「不死身のキヨシローが死んだなんて信じられません」と仰っていました。
あれからもう6年半以上が経つのですね・・・。

今でもハッキリと覚えているのは、清志郎さんの突然の旅立ちから僅か1ケ月後にスタートしたジュリーの『Pleasure Pleasure』ツアーでのシーン。
6・5と6・6渋谷公会堂2daysで幕を開けたツアーでしたが、僕はその両日に参加しました。
セットリストでジュリーはアンコール1曲目(MCで清志郎さんのことを語ってくれた直後の曲、ということになります)に「KI・MA・GU・RE」を配しました。

ところが、初日5日と2日目の6日で、アンコール後の「KI・MA・GU・RE」の雰囲気が全然違ったんですよ。
具体的には、下山さんの雰囲気。
初日の下山さんはこの曲でうつむき加減に、動き回ることもなく黙々とギターを弾いていました。
それまでのキャリア、活動経緯を考えれば、清志郎さんの訃報を受けてまだ1ヶ月というこの時の下山さんの悲しみは、心中察するに余りあります。

そんな初日の下山さんの空気は、歌っているジュリーにもきっと伝わったんでしょうね・・・。
2日目のアンコール前のMC(当時はジュリーの長~~いMCの間、鉄人バンドのメンバーは行儀よく定位置でずっと立ったまま話が終わるのを待っている、というスタイルでした)でジュリーは初日とは一転、面白おかしく清志郎さんの思い出を話してくれた後、話を繋げて自らの体型ネタも交えながら
「よく食べて、太っている人は安心(長生きする)」
みたいなことを話し始めました。

ジュリー自身はもちろんとして、鉄人バンド内で「よく食べる人」の例として泰輝さんとGRACE姉さんを挙げ(GRACE姉さんはスティックで顔を覆って恥ずかしがっていました)、さらに続けて
「メンバーでも、痩せてる人はね・・・全っ然食べない!もっと食べて肉をつけなきゃダメよ!」
と露骨に下山さんの方を見て力説したものですから、さすがの下山さんもたまらず大きく背中をのけぞらせて大笑いとなってしまいました。

ジュリーとしては、大切なバンドメンバーの悲しみをやわらげたい、そして何よりこれからもずっと長く一緒にステージを共にしたい、ということを本当に気張らずに、まるで長年の友人をからかうような感じで伝えたんだと思うんです。なかなかできることではありません。
そして、下山さんがすっかり笑顔モードとなり縦横無尽に動き回ったツアー2日目の「KI・MA・GU・RE」がどれほど素晴らしかったか。
「清志郎さん、これなんですね」と、思ったものです。
「KI・MA・GU・RE」って、こういう雰囲気で歌い、演奏すべき曲なんですよね、と。

ジュリーのMCで曰く
「清志郎さんが私にどんな曲を作ってくれたのか、と思ったら・・・”ケイ、アイ、エム、エー。ジー、ユー、アール、イー。きまぐれ~♪”ってワケ分からん!(笑)」
とのことでしたが・・・ジュリーのあのMC、その後の歌と演奏を聴いて思ったのは、「KI・MA・GU・RE」って、日々苦しみ、悲しみを背負っていながらにして「そんなもんブッ飛ばしちまえ、さぁ、今から楽しくロックしようぜ!」って歌なんじゃないかなぁ、と。

僕らジュリーファンも、それぞれ日常の中で色々なものを背負っているけれど、ジュリーが「KI・MA・GU・RE」を歌い、鉄人バンドが演奏するのを生で体感すれば、日々のあれやこれやはブッ飛んでしまうわけで。
凄い曲なんです。
清志郎さんはやっぱり最高のロックンローラーなんだ!

お正月、期待しちゃってます。


今回も記事執筆にあたってお題曲だけでなくアルバム『彼は眠れない』を何度も通して聴きながら構想を練っていました。改めて、凄まじい名盤ですね・・・。
ラストの「ルナ」なんて、とんでもなくエロいですよねぇ。以前書いた考察記事が浅過ぎて恥ずかしくなります。いつか「やり直し伝授!」の機会があるかなぁ。

先日、ぴょんた様のブログで恒例の”妄想セトリ”予想を拝見しました。毎度のことながら、僕にはとても思いつかないような曲が挙げられていて、感動モノ。
そして、ぴょんた様がアルバム『彼は眠れない』から選ばれていたのが、「DAYS」。最高に渋い!
今年のお正月LIVE『昭和90年のVOICE∞』セットリスト・大トリ「遠い夜明け」の歌詞からのインスピレーション、という予想理由がまた素晴らしいです。
しかも、ぴょんた様の予想って、本命も大穴もよく当たるんです。「DAYS」対「KI・MA・GU・RE」なら普通に考えれば僕の予想の方が有力かと思いますが、これが競馬新聞なら「DAYS」に印が集まるでしょう。「騎手(予想者)の実績が違う」ということでね(涙)。

あと、『彼は眠れない』からは(理由は特に無いのですが)「僕は泣く」をマークしています。
こうして、あれこれ勝手に予想をしたり、他のみなさまの予想を見たり聞いたりしながらツアー開幕を指折り待っている、というのも、ジュリーファンならではの幸せな時間ですよね・・・。
ツアー初日まで、あと3週間ちょっとです!


それでは、オマケです!
今日は清志郎さん繋がりということで、大分の先輩から授かっております切り抜
き資料の中から、『カタクリ家の幸福』関連のものをドド~ンとどうぞ~。

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Katakuri22

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さて次回更新は・・・ちょっと間が空いちゃうんですけど、20日です。
この12月20日というのは僕の誕生日で、毎年自分の誕生日を自分で祝うべく、「自分と同じ年齢の年にジュリーはどんな歌を歌っていたのか」というテーマで考察記事のお題曲を選ぶことにしています。
僕は20日で49才となりますので、今年はジュリー49才のアルバム『サーモスタットな夏』から、お正月のセトリ予想も兼ねた曲を採りあげることになりました。

実は『サーモスタットな夏』には、まだ記事に書いていない曲が3曲しかありません。でも、幸いなことにその3曲のうち「お正月セトリ入りの可能性充分」と考えられる曲が2曲残されていました。
ハートウォームな曲と、エロい曲。
せっかくなので、エロい方にしようと思います(笑)。

セトリ予想にジュリー・エロ・ナンバーを採り上げて見事外す、というのも拙ブログ毎度のパターンではありますが、今回こそ雪辱なるでしょうか・・・?

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2015年12月 8日 (火)

沢田研二 「護られている I love you」

from『ROCK'N ROLL MARCH』、2008

Rocknrollmarch

1. ROCK'N ROLL MARCH
2. 風に押されぼくは
3. 神々たちよ護れ
4. 海にむけて
5. Beloved
6. ロマンスブルー
7. やわらかな後悔
8. TOMO=DACHI
9. 我が窮状
10. Long Good-by
11. 護られている I love you

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12月も第2週に入りまして、だんだんと寒さも増してきましたね。みなさま、風邪などひいていませんか?
僕は今のところ大丈夫です。

『Berbe argentee』初日・東京国際フォーラム公演まで1ケ月を切りました。年末の慌しい中で、年が明けて早々の楽しみが待っている・・・幸せなことです。
個人的には今度のお正月コンサートは久々の「ツアー1回きりの参加」ということで(『奇跡元年』以来)、瞬間瞬間でしっかりジュリーのステージを目に耳に焼きつけなければ、と気合が入っています。

大きな楽しみに向け”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ・・・今日はその第2弾。
今回のセトリ予想シリーズは5曲の執筆を予定しておりますが、今日は
”みなさまからのリクエスト伝授!”のカテゴリーでの更新となります。

拙ブログでは先日めでたく塁計300万アクセスに達し、その際「キリ番ヒット記念リクエスト」を募っていたんですけど、結局300万のキリ番を踏んだかたからのご連絡は無く・・・5曲の執筆予定がすべて僕自身のセトリ予想曲となってしまいました。
僕の予想って、本当に当たらなくてね・・・特にお正月LIVEについては全敗記録を更新中。
そろそろどうにかストップさせたい、ということで、僕以外のジュリーファンのみなさまの予想、というものに頼ろうと考えたわけですが、300万アクセスの機会にそれは叶いませんでしたので、今日はず~~っと以前から数人のかたにリクエストを頂いたままお待たせしまくっていた曲をそのままお正月LIVEのセットリスト予想へとスライドさせて、お題に採り上げようと思います。

前回執筆の「ユア・レディ」と同じく、あの『ジュリー祭り』以来まだ1度も歌われていない大名曲。
加瀬さんを送った『こっちの水苦いぞ』全国ツアーの余韻醒めやらぬまま迎える新しい年のLIVEで、是非この曲を聴きたい!とお考えのみなさまもきっと多くいらっしゃるのではないでしょうか・・・。
アルバム『ROCK'N ROLL MARCH』から。
「護られているI love you」、僭越ながら伝授です!

実は、この曲の記事を書くのは2度目。2009年の春くらいでしたか、1度書いているんですよ。
事情があってupして間もなく削除せざるを得ませんでしたが、それで良かったと今では思ってます。あの時の僕の考察は、本当に浅はかな内容でしたから・・・。

大好きな曲ですし、いつかキチンと考察記事を書き直さねばと思いつつ、今日まで来てしまいました。
特に2011年のあの震災があってからは、ジュリーのツアーが迫るたびに「聴きたい!」と切望し続けていた曲。これまで何度も「よし、今回のセトリ予想では書くぞ!」と考えるんですけど、毎回先延ばしになっていて。「もう一度、生の歌声で聴いてから書きたい」という気持ちもありましたし。
でもその間、ジュリーはまだこの曲を歌っていません。
これほどジュリーという「人」が表されている曲もそう無いと思うし、ジュリー自身も特に思い入れの深い1曲だと思う・・・そろそろ、じゃないのかなぁ?

この信じられないほど優しい、大切な人との別れの歌について今このタイミングで書くとなれば、またセットリスト入りが実現して生でその歌を聴くことが叶えば、僕はジュリーの詞に加瀬さんのことも重ねてしまうと思います。みなさまはどうでしょう?
この2015年の年の瀬に、あらためて加瀬さんを思い出しながらこの名曲を考える機会を得たことは、僕としても「時は来た!」という感じです(プロレスファンのみなさまはツッコんでください笑)。

まずは、「別れ」と「再会」を歌ったジュリーの自作詞について語ることから始めましょう。

大きな時間は巡るよ
C                  E7

すぐにまた会える必ず
   Am                  Fmaj7

細い光で 照らされている
   Em   Am      Em        Am

きっと護られている I love you ♪
        D7                 Gsus4  G

この「大きな時間」というフレーズが本当に好きです。
それは、あちらの世界とこちらの世界を繋ぐものとも思えるし、あちらの穏やかで特別な世界を感じることもできます。「永遠」も「一瞬」も同義。

だから今年加瀬さんが旅立って、今はこちらの世界に生きるジュリーが加瀬さんと再会を果たす時がたとえ50年後になっても(ジュリー117歳)、あちらの世界にいる加瀬さんにとっては「一瞬」なんだよ、と。
「護られてるI love you」で歌われている「大きな時間」って、そんな解釈ができると思うのです。
ジュリーがこの詞を作った時には加瀬さんとの別れなんて考えもしなかったでしょうけど、僕らひとりひとりがこの曲を聴いて胸が詰まるような思いをするのは、身近な愛する人との別れのことを考えたり思い出したりするからじゃないですか。
作者のジュリー自身にも、そういうことはあると思う・・・今ジュリーがこの曲を歌ったら、きっと加瀬さんへの思いが込められるんじゃないか、と想像しています。

それにしても、なんとも人間・ジュリーをしみじみと感じさせる名篇であることか。
ジュリーは自身の考え方として、「宗教は無いけど信仰心はある」と語ったことがありますよね。
とてもとても共感します。ジュリーの歌う「大きな時間」が巡る世界が本当にあればいいなぁ、あると信じよう、と僕は思う・・・それはジュリーの言う「信仰心」みたいなものが僕の中にも少しはあるからなのでしょう。

もうひとつ参考にしなければならないのは、2008年のラジオ特番『ジュリー三昧』でこの曲をかける前にジュリーが語ってくれた言葉です。
「目に見えない何かに導かれて、僕らは何処かへ向かっているのだろう」
ジュリーはそんなことを考えて「護られているI love you」を作ったそうですが、比較的長い時間を割いて、これまでの人生経験、普段からの気構え、気の持ちようについて「こんなふうに考えることが多い」という話をたくさんしてくれていますね。
苦境に際して「この程度で済んだ。自分は護られている」と考えるのはなかなか簡単なことではない・・・でもジュリーみたいにそう考えられたら、と憧れます。
もちろん、普段から芯を持って生きていないとそんなふうには考えられないのでしょうけど・・・。

こうして、歌詞の一節一節を噛みしめながらこの曲を聴いていると、何度も涙が上がってきてしまいます。
ここまで詞の部分部分を細かく書いてきましたが、実際には耳は言葉よりもジュリーのあのヴォーカルだけに捕えられ、身体ごと何処かへ吸い込まれていきそう。

そこを何とかグッと堪えて、今度は楽曲構成を紐解いていきましょう。
コード進行はバラードにおける王道中の王道です。

星 も      帰って行く
C   GonB  Am       Am7onG

僕   らもサヨナラだ ♪
Fmaj7  Em7  Dm9   Gsus4  G7

このAメロの王道クリシェ進行(合わせて「ドシラソファミ・・・♪」と歌うことができます)、理屈は分からずとも「ジュリーの何か他の曲を思い出す感じがする」とお思いのかたも多いのではないですか?
「ジュリー・バラードと言えば!」とファンならば誰しもが愛する、この曲と同進行の名曲達・・・その中だと僕は「約束の地」を最初に思いつきます。何度か生で体感できている曲ですからね。
でも、この王道進行で本当にジュリーの根っことなる曲、長いファンのみなさまなら忘れようとしても忘れられないであろうバラード・・・それは「愛の出帆」でしょう。
この「愛の出帆」から「絹の部屋」「約束の地」などを経て「護られているI love you」へと繋がるジュリー・バラード。作曲者はそれぞれ違えどどれも壮大で、清潔で、それでいて、平凡な毎日を送る僕らもすごく身近に感じることのできる大名曲ばかりですね。

一方、「護られているI love you」作曲者の泰輝さんを軸として考えれば、これは長調のピアノ・バラードということになりますから、泰輝さんは「無事でありますよう」を引き継いでいると言えます。
間奏のピアノ・ソロはおそらく泰輝さんの作曲段階からアイデアが固まっていたアレンジでしょう。ビートルズやビリー・ジョエルを敬愛する泰輝さん、『ジュリー祭り』の音源でおさらいするまでもなく、「護られているI love you」間奏のピアノの美しさ、気高さは、ビートルズの「イン・マイ・ライフ」にもひけをとりません。


あとは、転調部の美しさです。

七 色の橋の たもとで落ち合おう ♪
A♭ B♭    C   A♭   B♭       E♭
   
ここまではよくあるパターン。「ウィー・アー・ザ・ワールド」でマイケルとヒューイ・ルイスが歌う箇所と同じ理屈、と言えば分かり易いかな?
ところがこの後

河を  越えるのは  手     を
E♭m7  A♭7     D♭ D♭onC  B♭m

取り一緒だから ♪
   G♭          F7      Gsus4  G

美しいツーファイヴを採り入れた転調は後に「一握り人の罪」へと受け継がれますが、こんなにドッカンドッカンと転調しておいてよく元のキーに自然に帰って来れるなぁ、とため息が出るばかりなのです・・・。

白井良明さんのアレンジも冴えまくっています。
白井さん自身が「自分の中ではエポックだった」と語るアルバム『ROCK'N ROLL MARCH』、「護られているI love you」はその大トリ収録のバラードですから、特に気持ちも入っているのではないでしょうか。

泰輝さんの作ったピアノ・バラードに白井さんが施したのは、時にピアノとユニゾンし時にフレーズを追いかけるギター・アレンジ。
正に崇高としか言いようのない「大地創造」の美しさ。もちろん、曲だけでなくジュリーの歌詞あってのこのアレンジ・アイデアだったはずです。
もしお正月にこの曲が採り上げられたら、柴山さんにはエレガットを弾いて欲しいなぁ・・・。

そして、驚嘆のドラムス。
ライナー・クレジットを見れば分かる通り、このアルバムのドラムスはプログラミングによる打ち込みなんです。それでこのフレージング・・・まるで生身の演奏者が叩いているようなフィル、意外な箇所で噛み込む「フロア・タム一発」の威力は、機械の音とは思えないほどの入魂度。いやぁ素晴らしいです。
転調部で密やかに鳴っている2連打ずつのタンバリンのアクセントもすごく効果的で、これは阿久=大野時代の曲で船山基紀さんがタンバリンやマラカスで採り入れていた編曲手法に近いと思います。
長いジュリーの歴史に対する白井さんの確かなリスペクトと知識が窺える、最高最強の「ジュリー・バラード」アレンジと言えるでしょう。


今回も記事を書きながら、『ジュリー祭り』のことを思い出しています。
ニューアルバムだった『ROCK'N ROLL MARCH』は購入して臨んでいましたが、それぞれの曲をじっくり聴き込んでいるとはとても言えない状況で。
それでも、どんな詞なのか、どんなことを歌っているのかが充分把握できていないながらに、目の前でアルバムの曲を歌ってくれるジュリーに対する「何なんだ、この凄い人は?一体自分は今どれほど凄いものを観て、聴いているんだ?」という感覚、確かにありました。
まだ明るい陽射しが東京ドームの屋根から透けて見えるような、そんな時間に始まって、終わった時にはとっぷりと日が暮れていて・・・そんな6時間半というステージが、本当に「あっという間」でしたからねぇ・・・。

前回の「ユア・レディ」の記事を書き終えた直後、いつもお世話になっている先輩からメールを頂き、その先輩がまさに『ジュリー祭り』前夜、ありのままのお気持ちを綴っていらした文章を初めて拝見させて頂きました。
僕にとってはもう、今でこそ「そうだったんだなぁ」と思える、当時の多くのジュリーファンの先輩方の思いというものが改めて分かりました。
例えば、2013年のザ・タイガース完全再結成の時は(こちらも12月3日でした)、ほとんどのファンが「必ず成功する」と確信していたと思います。でも、『ジュリー祭り』の時はちょっと違ったんですね。
大きな期待と楽しみに胸をときめかせながらも、その反面「本当にお客さんが入るのだろうか。無事歌い終えることができるのだろうか」と心配し、祈るようなお気持ちでいらしたのだなぁと。

そんなジュリーファンのおひとりおひとりが、「自分が行かなければ」とあの年末慌しい中の平日に、お仕事、身の回りのことすべて・・・文字通り「万難排して」駆けつけていらしたのでしょう。蓋を開ければ、ジュリー曰く「浮動票」のみなさまもドームに結集しました。
中には「沢田研二を一度くらいは生で観ておくか」くらいの軽い気持ちで参加した僕のような人も多かったのでしょうが・・・いざ参加してそんな僕がその後どうなってしまったかは、みなさまご存知の通り。

あの日ジュリーは色々な人や目に見えない力にも護られていたのかもしれないけど、その輝き、志は昔から変わらずずっと本物で、偽りなくて、皆を惹きつけて現在に至る・・・架空の物語でも、1人の歌手がここまで奇跡的な歌人生を歩めるものかどうか。
僕は相当遅れてきたファンですが、『ジュリー祭り』に間に合って本当に良かったです。

僕はいざ自分が旅立つ時、ジュリーの歌詞のように涼やかな気持ちになれるのか・・・たぶん無理でしょう。
でも、ジュリーの「護られているI love you」という曲を知っているだけで、ずいぶん違うんじゃないかな。

「大難が小難に、小難が無難に」・・・『ジュリー三昧』で「護られているI love you」をかける前に語ってくれていた言葉を、ジュリーは今年のお正月コンサート『昭和90年のVOICE∞』でも口にしました。
それは、真にジュリー心からの祈りでした。
『ジュリー祭り』の後、おかしな表現かもしれないけど
「この人は信用しても良い人なんだ」
「その言葉のひとつひとつを、自分のことに置き換えて考えても良い人なんだ」
と勝手に確信するまで、僕はどのくらい時間をかけたんだったっけ・・・あっという間だったような気もしますし、結構寄り道した気もします。

僕にとって「護られているI love you」とは、宗教とか思想とかそういうことはまったく関係なく、「自分のことに置き換えても信じられる」バラードです!

すべての時間がゆるやか
   C                     E7

ふたたびここにいるなんて
   Am                   Fmaj7

笑顔の先に たどり着くのは
    Em     Am       Em       Am

魂 涼やかな世界 ♪
     Fmaj7  G      C

「目に見えない何かに導かれて向かっている」何処かが、本当にそんな世界だといいなぁ・・・。


それでは、オマケです!
僕は『ジュリー祭り』には間に合ったけど、2008年の全国ツアー『還暦だぞ!ROCK'N ROLL MARCH』は体験できませんでした。二大ドーム公演決定のニュースを受けて、長いファンのみなさまが全力で「浮動票」を開拓され、次第に何か正体不明の「熱」を帯びてきた、神がかった全国ツアーだった、と聞いています。
今日はその2008年全国ツアー、各地方公演のフライヤーを3枚どうぞ!


2008sasebofukuoka

2008nara

2008izumi

故郷・鹿児島県内でありながらまだ一度も降り立ったことのない地・出水・・・行ってみたかったなぁ。


それでは次回も、”全然当たらない『Barbe argentee』セットリスト予想”シリーズは続きます!
「ユア・レディ」も「護られているI love you」も、個人的には当たる気満々。でも次回の曲は「さらに自信あり!」のロック・ナンバー。まぁ、僕が「自身あり!」とした予想曲こそ当たらないんですが(今年早々の「THE VANITY FACTORY」で見事やらかしました涙)。
今年リマスター再発されたEMI期のアルバムからのお題となります。お楽しみに~!

最後になりましたが、ジュリーファンのみなさまの中にも、13日のワイルドワンズの中野サンプラザ公演に行かれるかたが大勢いらっしゃるかと思います。
バンドにとっても記念すべきコンサートが加瀬さん追悼のステージとなってしまったのはとても悲しいことですが、きっとワンズのメンバーもお客さんも笑顔いっぱいの素敵な公演になることでしょう。
参加されたみなさまのご感想をお待ちしております。

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2015年12月 3日 (木)

沢田研二 「ユア・レディ」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuricd

disc-1
1. OVERTURE~そのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星 -Venus-
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a・b・c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海にむけて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンスブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・-
8. 危険なふたり
9. ”おまえにチェック・イン”
10. 君をいま抱かせてくれ
11. ROCK' ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない

---------------------

from 『ライヴ・セレクション 1976-1994』

Liveselection

1. マイ・ラヴ・イズ・ユア・ラヴ
2. 熱いまなざし
3. この炎は燃えつきず
4. 夜汽車の中で
5. 愛の出帆
6. WE ALL FALL DOWN
7. 美しすぎて
8. ウィザウト・ユー
9. ヘイ・ジュテーム
10. ジェラス・ガイ
11. ユア・レディ
12. 悪い予感
13. アモール・ミオ

----------------------

(後註)
記事文中にて、「ユア・レディ」を「『ジュリー祭り』以来歌われていない」と何度か書いてしまっていますが、この曲は2009年お正月LIVE『奇跡元年』セットリストで採り上げられています。思い込みによる誤記、大変失礼いたしました。

☆    ☆    ☆

今年もまた、忘れられない日がやってきました。
2008年の『ジュリー祭り』東京ドーム公演からもう7年が経ちますか・・・早いような、それでいてゆっくりのような(ジュリーのおかげで毎年濃密な体験をさせて頂いていますからね)、不思議な感覚です。

拙ブログではこの12月3日、僕が本格的にジュリー堕ちした記念日として毎年『ジュリー祭り』セットリストからお題を選んで更新させて頂いています。
また、12月に入り拙ブログはジュリーの2016年お正月LIVE『Barbe argentee』に向けた”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入。今日のお題はその第1弾も兼ねています。

採り上げる曲は「ユア・レディ」。
後追いファン、特に70年代のジュリーを生で体感できていない身が紐解くには、なかなかの難題です。
「伝授!」なんて言えるレベルには程遠い内容の考察しかできませんが、気持ちだけはしっかり入れて書きます。よろしくおつき合いくださいませ・・・。


「ユア・レディ」の記事を書きたいと思い立った時、『JULIE Ⅶ』も『ライヴ・セレクション』も実物をキチンと持っていない僕はまず、いつもお世話になっている先輩にお願いして歌詞カードの写メを送って貰いました。

Yourelady

いやぁ、歌詞を読みながら音源を聴くとやっぱり違いますね。改めて「これほどの歌だったか!」と。

何でしょう、ジュリーのこの声は・・・透き通った美しさも当然あるけど、個人的には「メチャクチャ男らしい」と感じます。この安井さんの詞は、「自らを晒す」(しかも上品に)ことを自然にできる男性歌手限定の名篇。日本では、まぁジュリー以外いませんな~。

英語詞のロックやポップスを聴いていると、「I'm a man」(或いは「I'm just a man」)という歌詞フレーズによく出会います。「ユア・レディ」にも登場しますね。
どう訳せば良いのでしょう?

「僕はひとりの男」
「僕はただの男」

どうもしっくりきません。
というのも、これはワンフレーズだけで意味を図る言い回しではなく、必ず「相手ありき」なんですね。
ズバリ「You're a lady」に対して。

本当にありきたりな、傍から見れば日常茶飯事の情景。でも当人にとっては、世に1組しかいない男女の特別なシチュエーション。身も蓋もない言い方かもしれませんが、だから「ユア・レディ」はごくごく普通の、だからこそ普遍的な求愛の歌。

どんな激情的な言葉よりも「ただひとりの」相手への愛が込められた「You're a lady」というフレーズ。それがそのままタイトルとなって、純粋かつ究極のラヴ・ソング「ユア・レディ」がここにあります。
こういう曲は逆になかなか生まれない・・・当時、広く世界で支持されたバラードだったのでしょう。

「だったのでしょう」と言うのはね・・・僕はほんのひと月ほど前まで、この曲について本当に何ひとつ知らなかったのです。
まぁ今でも「原曲」とされるのはどの人のヴァージョンなのか、そもそもどういう経緯で最初に光を当てられた曲だったのか、ということは分かっていません。
そのあたりは博識なジュリーファンの先輩方に後ほど教えを乞うとしまして(←コラコラまた甘えて!)、最近になって「世界の様々な歌手が歌っていた名曲」であることをようやく認識しました。
世界を股にかけた様々なヴァージョンの誕生は、どうやら72~74年頃に集中しているみたい。安井かずみさんのシンプル故に崇高な訳詞(ジュリー曰く「ほとんど作詞」)を得て、日本代表は当然我らがジュリー!ということになります。

そこで、ジュリーの「ユア・レディ」の話に入る前に、僕が今回この曲の記事を書こう、と決めたきっかけとなった、
この人のヴァージョンをまずお聴きください。
ザ・モンキーズのデイビー・ジョーンズ。
彼が歌ったヴァージョンの存在を先輩から教えて頂けていなかったら、「ユア・レディ」の考察記事執筆はずっと後回しになっていたでしょう。

僕はザ・モンキーズについて詳しくなくて(必ず「ザ・モンキーズ」と「ザ」をつけなければいけない、と先輩に教わりました。そう言えばジュリーも必ず「ザ・タイガース」と言いますね。まぁジュリーの場合はそうすることで阪神タイガースと区別しているようにも思いますが)、勤務先に何か彼等の資料が無いかな、と探してみたら、こんな絶版本のスコアが出てきました。


Themonkees1

『ギター弾き語り ザ・モンキーズ/THE BEST』。
採譜はかなり荒っぽいですが、「カラー・グラビア付」のサブタイトルに偽りなく、少し紹介しますと


Themonkees2

Themonkees3

こんな感じのカラー・ショットがズラリと。
このスコアは発行日が昭和56年3月となっていて、その当時の各メンバーのプロフィール・ページもありました。デイビー・ジョーンズについては


Themonkees4

こんな感じ。

さて、You tubeでデイビーの「ユア・レディ」を聴いた僕はさらに検索を続けて、すぐにデイビーが歌った同曲の「日本語ヴァージョン」も見つけました。
これが実に味のあるヴァージョンで(
こちら)。当然、ジュリーの歌った安井さんの詞とは違います。
気になるのは、この日本語詞を提供したのは誰だったのか、ということ。
デイビーのヴァージョンを教えてくださった先輩が、ジュリーの「ユア・レディ」の訳詞を安井さんだったか湯川れい子さんだったか、と一瞬混同されていらして、僕はもしかしたらデイビーの日本語ヴァージョンの訳詞が湯川さんの詞なのでは?と推測したんですけど、up主様がYou Tubeでご紹介してくださっているレコード盤面のクレジットでは「YOSHIO NOMURA」と読めます。この時代にまさかヨッちゃんはナイでしょうし・・・色々検索してみてもこのクレジット名の作詞家さんについては結局何も分かりませんでした。どなたかご存知の方~!

デイビーの日本語ヴァージョンは、ジュリーが「巴里にひとり」をフランス語で歌った時のような、「ネイティヴの語感に達していないからこその無垢無心の歌声」が曲のコンセプトにとてもよく合っています。
キーはジュリーのヴァージョンより半音高い嬰ハ長調。サ行の発音が特に胸くすぐられる、「愛くるしい」ヴォーカルだと思います。かと言ってアイドル風でもない・・・不思議な魅力がありますね。

では、ジュリーの「ユア・レディ」はどうでしょうか。
これが、安井さんの素晴らしい詞を得て完全に「ジュリーの歌」になっているんですよね~。

『ジュリー祭り』以前、僕はポリドール期のアルバムをすべて聴いていた、といつも書いていますがよく考えるとLIVE盤は1枚も聴いていなかったわけで。
それで「ジュリーファン」などとよく言ってたものだ・・・と恥じ入るばかり。数枚のLIVE盤を聴いたのは、2009年になってからのことでした。
とにかく洋楽カバー曲に痺れまくりました。ビートルズやストーンズをはじめ、僕が少年時代から親しんできた曲をジュリーはこんなに歌っていたのか、と。
(「ユア・レディ」については『Zuzusongs』で辛うじて知ってはいたけど、ジュリーの活動の流れのとしての把握はまったくできていませんでした)

「カバー曲」とひと口に言っても、原詞で歌ったり、安井さんやジュリー自作の新たな詞を載せて歌ったり、アレンジを大胆に変えたりと、そのアプローチもさまざま。
そして、今なら分かる・・・井上バンドの意向もあり当時の最先端、旬な洋楽ロックのカバーを採り上げていたことと、この「ユア・レディ」を歌ったこととは、ちょっと意味合いが違うんじゃないか、と。
「ユア・レディ」は完全に「世界とタイマン張る」つもりで会社がジュリーに与えた作品のひとつだったのでしょう。当時この曲の採用がナベプロさんの世界戦略と絡んでいたのかどうかすら僕には分からないけれど、単に「洋楽のイイ曲をカバーしてみた」というのとは違う気がします。「ジュリーをどう魅せるか」を考え抜いて採り上げられてるように感じるんですよ。
となると、やはり加瀬さんも噛んでいた・・・のかな?

まだ20代半ばのジュリーが歌う「ユア・レディ」は、本当に素敵だったでしょうね。当時のステージを生で体感されたみなさまが羨ましい!

ただ、この新規ファンの手元にも、その後時を経てジュリーが歌った「ユア・レディ」を収録したツアーDVDが3枚もあります。この機に比較考察してみましょう。

まずは言うまでもなく『ジュリー祭り』。

Yourealady1

僕も実際その場で体感していた東京ドームの「ユア・レディ」も、DVDで観ると新たな発見に満ちています。
慈しみ溢れるジュリーの表情には、自身の「歌」への感謝と共に、「Don't be afraid to LOVE」「約束の地」に続いてこの「ユア・レディ」を配したセットリストへのジュリーの思いを改めて感じさせます。
第2部中盤のこの3曲のバラード・・・ジュリーは息を飲むほど艶やかな声で歌っていますねぇ。

鉄人バンドも入魂の演奏。
泰輝さんは自然なピアノの音色を選択し、アウトロのソロで身体が躍動しています。
ジュリーのヴォーカルの合間合間に柔らかな単音を挿し込む柴山さん。泰輝さんのソロ部では柴山さんが表拍のコード・カッティングで、下山さんが空間系のエフェクトを加えたアルペジオです。
もし今度のお正月に「ユア・レディ」が採り上げられたら、この時と同じアレンジとなるのか、それとも何らかの違いが出てくるのか・・・僕にとっては大きなポイント。
今から予習はバッチリです!

続いて1994年の『Zuzusongs』。

Yourealady2

安井さんの追悼ツアーで、「ユア・レディ」はダブル・アンコールに配されました。安井さんの作品の中でも、ジュリーにとって重要な1曲であったことの証です。
セットリストとしては、次曲のラスト・ナンバーが「この日もう一丁!」の「危険なふたり」。
と言うことは、本質的にはこのセットリスト、「ユア・レディ」が大トリってこと?

汗にまみれて優しげに歌うジュリーです。
今回、『ジュリー祭り』の「ユア・レディ」を観た直後に『Zuzusongs』を観て、僕は思わず
「うわ、細っい!」
と思いました。
いや、誤解なきよう・・・声の話ですよ。

先輩方のよく仰る「ガラスのジュリー」を僕はそこに見ましたが・・・本当はそれは70年代の「ユア・レディ」にこそ見るべきものなのでしょうね。
でも、94年の「ユア・レディ」のジュリーの声は良い意味でとても細いです。『ジュリー祭り』が慈しみなら、『Zuzusongs』には「無心の求愛」を強く感じます。
歌詞世界への入り込み方も、時代によって全然違うものなんですね・・・。どちらも素晴らしい!

バンドの演奏は、メインのピアノがキラキラ系のいかにもエレクトリック・ピアノという音色。
その上で要所にストリングスも噛み込ませるという、小林さんと朝本さんのキーボード2台体制を生かした贅沢なアレンジとなっています。
柴山さんも単音を弾いてるっぽいんですが、ミックスバランスの関係か、細かいところまでよく聴きとれないのが残念です(個人的には、ジュリーのDVDパッケージは2000年の作品からグンとミックスが良くなっている印象があります)。

そして・・・もしかすると3枚のDVDの中で、「ユア・レディ」についてはこれが一番のお勧めかもしれない、と思っている2004年の『師走-ROMANTIX-』。

Yourealady3

このLIVEはとにかく中盤の、深町純さん伴奏のピアノ1本でジュリーが歌う3曲、「ユア・レディ」「遠い夜明け」「CHI SEI」の流れが神がかっています。
この3曲以外がゴリゴリのロック・ショー、という全体の構成だからこそ光るジュリー・ヴォーカル。

いつしか 夜も更けて 最後のダンスを ♪
Am  B7        Em7  A7  D7add9        G7

例えば、「ユア・レディ」でこうして歌い出すジュリーはもちろんその時点で情感たっぷりなんですが、歌が進むに連れてジュリーの「入り込む」熱のようなオーラが明らかに上がってきているんですよ。
個人的には、「アイム・ア・フール♪」の歌詞部からスイッチが入ったように感じます。深町さんの情熱的なフレージングに無意識に呼応していることは明らかで、やっぱりジュリーは演奏者の志で真価を発揮するヴォーカリストなんだなぁ、と。譜面通りに「ただ弾いている」だけのピアノ伴奏では、ジュリーもこんな歌にはならないでしょう。

『師走-ROMANTIX-』の「ユア・レディ」での神々しいまでのジュリーの歌声は、深町さんのピアノが引き出している部分が大きいと思います。

僕はつい先日『同棲時代』の音楽担当が深町さんだったことすら初めて知ったというヒヨッコではありますが、最初にこのDVDを観た時から、深町さんとのピアノ伴奏コーナーには強く惹かれたものです。
「ユア・レディ」「遠い夜明け」の流れは当然として、「CHI SEI」も本当に凄いですよ~。
DVDをお持ちでないみなさまは、この機に是非!


ところで、今回の「ユア・レディ」は残念ながら、毎回自分に課している「曲全編の採譜」は成りませんでした。いくら何でもテンション・コードが多過ぎて・・・。
「You're a lady♪」のトコ、頭は「Cmaj9」?
頼みの『ジュリー祭り』も、柴山さんと下山さんの音は素晴らしくくっきり聴こえるのに、DVDではカメラがギターのフレットや手元に全然行ってくれなくて。
ジャズ・ギターの練習してるYOKO君なら音だけでなんとか太刀打ちできかもしれませんが、僕の実力では無理でした(涙)。

でも、僕でも分かるところで言えば、「言い出しかねて♪」の「て」の箇所の「Gaug」の響きは本当に素晴らしい・・・「レ#」のフワッと投げかけるようなメロディーに合わせたオーギュメント・コードです。
DVD観ながらこの1箇所だけでも合わせてギターを鳴らすと、充分酔えますね(笑)

普遍的な「ラヴ・ソング」って凄いもんです。本物の歌手が歌った時にだけ、真価を発揮するのですから。
「君をのせて」を筆頭に、ジュリーはそんなラヴ・ソングを数多く歌っていますが、洋楽カバー曲である「ユア・レディ」「愛の出帆」などもそこに加えてしっかり聴き込まなければ、「ジュリーのラヴ・ソング」の真髄には辿り着けないということなんですね。
「ユア・レディ」もね・・・デイビー・ジョーンズのヴァージョンの存在を知り、興味深いテーマを得て何とか今回記事に纏めたものの、前回執筆した「ヘイ・デイヴ」以上に「70年代のジュリーをタイムリーで知らない」ことは大きい・・・書きながらそれを痛感しています。

70年代の「ユア・レディ」を想像してみると。
安井さんも加瀬さんも、ジュリーが「本物」であると確信していたのでしょう。
ステージでジュリーの一番近くにいる井上バンドは、若いジュリーを見護り支えながらも、それぞれの智と技と志を注いで、ジュリーという大きな存在に食らいついていったのでしょう。
そしてジュリーは、自らを「大きな存在」とは思いもせず、ただひたすらに全力で愛の歌を歌う・・・。
「You're a lady」「I'm a man」と。

妄想だけで震えます。
素晴らしい時代だったんだろうなぁ。

でも、もしジュリーがこの先また生のLIVEで歌ってくれたら、それを体感できたら、そこから僕なりに感じるところはたくさん出てくるでしょうし、何より先輩方が色々と昔のことを思い出してくださる。
僕はそれを学び、身につけてゆく・・・これまで多くの名曲でそうしたことがありました。
今、お正月LIVEに向けて、「ユア・レディ」について同様の期待を高めています。

今年の『こっちの水苦いぞ』ツアーは、新曲以外すべて加瀬さんの作曲作品というセットリストでした。
歌う曲を選んでいて、また実際にステージで歌っていて、ジュリーは加瀬さんのことを思い出しながら、同時に70年代自分のすぐ近くにいた人達のことも思い出していたに違いありません。井上バンドのメンバーのこともそうでしょうし、特に安井さんのことはよく思い出していたんじゃないかなぁ。

安井さんがジュリーに提供した作詞作品は、加瀬さんの曲以外にもたくさんあります。
その中で、ジュリー自身が特に大切に思っている曲と言えば・・・やはり『ジュリー祭り』セットリストにも選ばれたこの「ユア・レディ」ではないでしょうか。
先に挙げた3つのDVD作品、それぞれのツアーでジュリーはこの曲をすべて同じキー、ハ長調で歌っています。昔も今も、自分の声域、歌の表現がしっくりくる名曲・・・ジュリーも久々に「また歌いたい」と思ってくれているような気がするのですが・・・。
さてお正月、どうなるでしょうか。


ということで。
機会あるごとに何度も書いていますが、僕は
「ジュリーの70越えまでに『ジュリー祭り』のセットリスト(鉄人バンドのインスト2曲を含む全82曲)をすべて記事に書き終える」
ことを拙ブログ当面の大目標として掲げています。
おかげさまでペースは順調、年に6~7曲ずつを書いてゆけば目標達成できる状況となっていました。
今年は特にそのことを意識しなくても、全国ツアー前に加瀬さんの曲を集中して書いていたらあっという間にノルマを達成していました。あの『ジュリー祭り』でどれほど多くの「KASE SONGS」が歌われていたのか、ということなんですよね。


Img0178

大きな節目まであと3年を切りました。
今日の記事を加えて、『ジュリー祭り』セットリストからここまで計66曲を書き終えています。
今年はここでもう少し欲張って、次回更新であと1曲書いておこうと思います。

もちろん、お正月LIVE『Berbe argentee』セトリ予想としてのお題。「ユア・レディ」同様、『ジュリー祭り』以後まだ1度も歌われていない名曲です。
僕にとっては「もうすぐジュリーのLIVEが始まる」という日々を過ごす中で、毎回のように「是非聴きたい」と切望してしまう、厳かでとても優しいバラード・・・聴きたいジュリーファンはきっと多いんじゃないかな。

「ああっ、DYNAMITEが予想さえしなければ、セットリスト入りの可能性も高かったのに・・・」というみなさまの嘆きが聞こえてきそうな記事になりそうですが(汗)。
更新はなるべく近いうちに・・・頑張ります!

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