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2015年10月

2015年10月21日 (水)

沢田研二 「WALL IN NIGHT」

from『TRUE BLUE』、1988

Trueblue

1. TRUE BLUE
2. 強くなって
3. 笑ってやるハッ! ハッ!!
4. 旅芸人
5. EDEN
6. WALL IN NIGHT
7. 風の中
8. 痛み

---------------------

お正月LIVEのツアー・タイトルが決定したようです。
ズバリ『Barbe argentee』。

・・・って、「ズバリ」とか書いたけど、読めん!
「バーブ・アージァンティ」?フランス語で「銀の髭」という意味なのだそうですね。
僕は今度のお正月は「いかにも社会派」なタイトルになるかな、と予想していたので(ツアー・タイトルが『若者よ』でも不思議ではない、と思っていました)、ちょっと意表を突かれました。でも考えてみればこれまでジュリーのつけるタイトルには意表を突かれ続けてきましたから、むしろこれは本道かな?

そのお正月コンサートなんですが、残念ながら今回のこのスケジュール・・・僕は1月6日のフォーラム初日公演1回きりの参加となってしまいそうです。
オーラス29日、1992年以来となるNHKホールを是非観たかったんですけどね。毎月最終営業日の平日は、どうしても仕事を早退できないのですよ。
まぁでも、これで初日が仕事初めの5日だったりしたら1度も参加できなかったわけだし、そもそも「お正月は毎年参加できない」という地方にお住まいのファンも多くいらっしゃるのですから、贅沢は言わないようにしないと。
1回でも参加できる、一番観たいツアーの初日公演を体感できる・・・それだけで幸せなことです。

ラストスパートに入った今年の全国ツアー『こっちの水苦いぞ』セットリストが新曲以外加瀬さんの作曲作品ということもあり70年代、80年代のナンバーが多く歌われていますが、お正月のセットリストは最近(2000年代以降)の曲が中心になるのかな。
でもせっかくのタイミングですから、ここはリマスター再発されたばかりのEMI期のアルバムから多くの名曲が採り上げられる可能性にも期待したいところです。

さて、『こっちの水苦いぞ』ツアーでも会場販売されているというその
EMI期の再発CD・・・長いファンのみなさまがお手持ちのものとは別にお気に入りの作品を購入し直したり、或いは長らく実物を持っていなかった中抜け、新規のファンのみなさまがまとめ買いしたりと、売行きも大変好調のようですね~。
僕もこの機に、ジュリーのオリジナル・アルバムの中で正規音源としてキチンと所有していなかった最後の4枚である『架空のオペラ』『CO-CoLO1~夜のみだらな鳥達』『告白-CONFESSION-』『TRUE BLUE』をまとめて購入しました。

で、その中で特にどの作品を激リピしているかと言うと・・・これが『TRUE BLUE』なのですよ~。
と言うのもこのアルバム、僕にとっては「今回初めて歌詞カードを手にした」作品なのです。

『架空のオペラ』『CO-CoLO1~夜のみだらな鳥達』の2枚は、2009年『Pleasure Pleasure』ツアーで隣席のご縁を頂いた先輩にお願いして、歌詞カードのコピーを頂きました。『告白-CONFESSION-』については、確か2011年でしたか、何かの記事に「歌詞カードが無くて・・・」と書いたら、有難いことにコピーを送ってくださった先輩がいらして。
『TRUE BLUE』は僕が「歌詞カード無し」で聴いていた唯一のアルバムだったことになります。
僕は日頃、歌詞を読みながらヘッドフォンでじっくり音楽鑑賞することが多いので、必然この『TRUE BLUE』は真剣な聴き込みがまったく足りていませんでした。
そうした自覚もあり楽しみにしていた今回の再発。
いつもお世話になっている先輩が熱烈に推すアルバムということもあり、購入するや腰を据えてゆったり聴いてみたら・・・いやぁ『TRUE BLUE』、確かに地味かもしれないけど、素晴らしい名盤ではないですか。

とは言っても、数年前の僕がもし歌詞カードを入手できていたとして、いち早く『TRUE BLUE』の魅力に気がつけていたか、と言うとそれは怪しいと思います。
2008年に本格堕ちしてLIVEに通うようになり、2012年以降のジュリーの社会的メッセージ・ソングを聴き、ジュリーの懐の深さを実感した上で、2015年再発という今回のタイミング。僕がこのアルバムを改めて評価するには、絶好の時期だったかもしれません。

今日は、拙ブログの考察記事としては初めてこの名盤『TRUE BLUE』からお題を選び、当時のジュリーの音作りを新規ファンなりに探ってみたいと思います。
採り上げる曲は「WALL IN NIGHT」。
なにせ、先達のみなさまによるネット情報なども極端に少ない時期の作品です。
下調べも不足のまま・・・「伝授」と見得を切るには程遠く、みなさまに教えを乞うような内容にはなるかと思いますが・・・どうぞよろしくお願い申し上げます!


まず最初に、僕が『TRUE BLUE』のアルバム全体として再確認した諸々の点からお話させてください。
先輩方にとっては「今さら」ではありましょうが、何故このアルバムからイの一番に「WALL IN NIGHT」をお題に選んだか、にも繋がってくる話ですので・・・。

歌詞カードを持っていなかった、ということはイコール「作詞・作曲クレジットを把握していなかった」わけで、今回のアルバム再評価もそこからのスタートでした。

僕が今、『TRUE BLUE』を聴き込んで特に惹きつけられているのは、「WALL IN NIGHT」「風の中」「痛み」のラスト収録3曲の流れです。
ちょうどリリース年の1988年、ジュリーはテレビの企画か何かで(詳しくはまだ調べきれていません)中近東を訪れていますね。エジプト、ヨルダン、イスラエル・・・それらの国をジュリーが旅した、という知識だけは以前からあって、僕は『TRUE BLUE』収録曲の歌詞世界はそんなジュリーの体験から生まれ、ひいてはアルバムのトータル・コンセプトにもなっていると考えていました。
その解釈はおおむね合っていると思いますが、意外だったのは収録8曲の中でジュリー本人の作詞作品が7曲目「風の中」ただ1曲しかない、という事実です。
てっきり(『告白-CONFESSION』ほど徹底的ではなくとも)、多くの収録曲がジュリーの自作詞ではないかと思い込んでしまっていたのでした。

「風の中」には明らかにジュリーの異国の地での体験、或いは心境が反映されていると考えられますが、その「風の中」を挟む松本一起さんの作詞作品・・・6曲目「WALL IN NIGHT」と大トリ8曲目「痛み」は、「風の中」でジュリーが描いた風景とダブると言いますか、松本さんがジュリーと同じ場所にいて同じものを見て作った詞のように感じられませんか?
確かに「WALL IN NIGHT」1曲だけを独立して考えるならば、淡々とした情景描写と寂寥感、その中に少女の存在があり主人公のシレンマのような感情が浮き上がってくる・・・そんな詞だと思います。
でも、アルバム通して、歌詞カードを追って聴いていくと解釈がどんどん広がってきましてね。「風の中」のジュリーの詞に登場する「少女」とリンクしてきて。
毎度得意の深読みなのかなぁ?

松本さんがジュリーの異国の旅に同行したというお話を聞いたことがあったように思いますが、それは85年か86年だったような・・・その辺りも先輩方に再確認を乞わねばならないんですけど、「痛み」まで含めたこの3曲の共通の空気感はアルバム『TRUE BLUE』の醍醐味、大きな魅力だと僕は感じています。

また、3曲の共通点は詞だけではありません。いずれも(ジュリー・ナンバーとしては珍しく)意味深なサウンド・エフェクトが続けざまに施されています。
「痛み」エンディングでは、広大な砂漠の吹き抜ける風の音(?)。そして「WALL IN NIGHT」「風の中」はそれぞれよく似たイントロ導入・・・オルゴールのような、ガムランのような。「異国」を思わせる音色です。
これは今回の再発CD購入で僕がようやく思い当たった発見・・・先輩方はそうした点(特に「WALL IN NIGHT」と「風の中」のイントロの類似)にはとっくに気がついていらしたのでしょうね。

話を詞に戻すと、ジュリー作詞の「風の中」での少女には悲劇的な情景が示唆されているだけに(いずれまた別に「風の中」の楽曲考察記事で詳しく書きたいと思っていますが、「怪しげな鳥」は爆撃機、「鈴の音」はその轟音、と捉えるプロテスト・ソング的解釈も可能ではないでしょうか)、「WALL IN NIGHT」の少女も同様に、何か不吉な跫音の中に佇んでいるように思えます。
加えて松本さんの歌詞には「明日に目を開くな」と、具体的に聴き手の不安をかきたてるようなフレーズがあり、少女を見つめる主人公にも

切ないね 今日までのすべて Ah Ah Ah
Dm                                Am Em7    Am Em7

無くしても あの少女にもう
Dm                             Am  Em7

逢えや   しない ♪
      Am Em7    Fmaj7

と言わせるなど、「とり返しのつかない」無力感、行き詰まった心境を想像させます。

本当に不思議なことですが、「WALL IN NIGHT」「風の中」「痛み」の3曲の詞は、現在のジュリーの新曲群と並べて聴いてもリリース年の隔たりを感じないような気がします(まだ実際に試してはいませんが)。
松本さんの詞であれジュリーの自作詞であれ、1988年の『TRUE BLUE』に、「大自然への畏怖」「国際情勢など社会的不安」といった今のジュリーの制作スタンス、コンセプトと共通する要素は少なからずあったのではないか、と僕は感じましたが・・・。

「WALL IN NIGHT」というタイトルも意味深ですよね(ジュリーのヴォーカルは「WALL IN THE NIGHT」と発声しているように聴こえますが、歌詞カードは楽曲タイトル通り「WALL IN NIGHT」と記されています)。

「WALL」と言えば僕にとってはピンク・フロイドの名盤『ザ・ウォール』です。
ビートルズの『ホワイト・アルバム』、ローリング・ストーンズの『メイン・ストリートのならず者』と並び、個人的に「とてつもなく好きな三大2枚組アルバム」の一角。
実は「WALL IN NIGHT」での石間さんのギターの音色、カッティングは、『ザ・ウォール』収録の「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート1とパート2双方)」のそれとよく似ているんです。
曲想やリズムはまったく違うのに・・・。
一度そう感じると、そう言えばイントロでサウンド・エフェクトとクロスフェイドで噛んでくるオルガンのフレーズなんかも『原子心母』っぽいなぁ、と思えてきたり。
ピンク・フロイドは社会派ですから、余計にイメージをダブらせてしまったのかな。

篠原さんの作曲も素晴らしいです。
淡々と進行しているのに飽きが来ず気高い・・・これにはいくつかの秘密があります。
第一に、この曲のリズムが美しく跳ねる8分の6のワルツだということ。
アルバム『TRUE
BLUE』は全8曲と収録曲数こそ少ないですけど、どれとして安易なアプローチの楽曲構成はありません。リズムひとつとっても、16ビートだったり(「笑ってやるハッ! ハッ!!」)レゲエだったり(「EDEN」)。そんな中で6曲目の位置にワルツの「WALL IN NIGHT」が配された曲並びは、最高に渋いですね。

第二に・・・サビ部のメロディーの載せ方です。
歌詞の3行目からガラッと雰囲気が変わりますよね。

wall in night 夜のドアよ
Am              Dm7

明日に 目を開くな
Am        Dm7

このままじっと ♪
Am       D7

ここです!
エキゾチックと言うのか、何とも不思議な感じがします。
これは「じっと♪」の部分が一時的にイ長調のスケールになっている(そのためメロディー中の「ファ」の音がシャープする)からです。
「Am」から「A」のハッキリした同主音移調を使わず、「D7」(イ長調のサブ・ドミナント)の1小節で瞬間的に転調のニュアンスを採り入れるのが篠原さんの狙い。
ジュリーのヴォーカルもここではブルースっぽく歌っているように感じるのですがいかがでしょうか。サビの最後でファルセットになるのもグッときますよね。


最後に、『TRUE BLUE』はじめ今回の再発リマスターの音質向上について少し触れておきましょう。
あくまで僕が購入した4枚のみについての個人的な感想なのですが・・・。

レンジの変化は明らかです。
今まで「4」の音量で聴いていたのがこれで「3」になった、とか、自作で編集盤を作成する際の他アルバム収録曲との繋がりでレベルのバラつきが解消された、といったことは、購入されたみなさまそれぞれ実感していらっしゃることでしょう。
ただ、具体的にどの楽器がどのように音質向上したのか、イコライジングに劇的な変化はあるのか、という点が僕の耳では明確には分かっていないんですよ。
でも、それで良いのかな、と。

例えば僕はビートルズのリマスターやリミックスを聴いた時、「音質向上」と言うよりむしろ「昔から耳馴染んだ感覚と違う!」と違和感を覚えた経験があります。
どのみちレコードで聴く音には敵わないわけで、こうして今回CO-CoLO期のリマスター盤を聴き
「よく分からないけど、なんだか音が良くなった・・・ような気がする」
そんな程度で聴いている方が良いんじゃないかなぁ、と今のところは思っています。
もちろん、旧いものとじっくりトラックごとに聴き比べれば何か分かるかもしれませんが、そもそも僕は、旧盤を正式な形では持っていませんからね。
今後は、このリマスター盤を聴き続けていきます。

先述した「熱烈にこのアルバムを勧めていらっしゃる」先輩以外にも、「CO-CoLO期の中では『TRUE BLUE』が一番好き」と仰るジュリーファンの先輩は多いです。
かと思えば、「ちょっと残念」みたいな感想を持ち続けている先輩も、これまた多くいらっしゃる。

評価が分かれている1枚のようですが・・・今よく耳にするのは、「再発のCDを一気に買いたいけど、お金がかさむので『TRUE BLUE』は後回し」というお話。
今頃になってこのアルバムの魅力に気づいた僕のような超・ヒヨッコが言うのもなんですが・・・勿体ない!
各収録曲のリズムの多様性はそのままCO-CoLOのアレンジの素晴らしさにも繋がってきますし、何と言ってもこの、ジュリーの切なそうな声です。この声こそがジュリー・・・そう思わせてくれるアルバムです。

リリースは真夏だったようですが、これから秋が深まってくる季節が似合うジュリーの声と楽曲。この機に是非リマスターで購入し直しておきましょう。
そして・・・発売当時のことをふと思い出されましたら、また僕に色々と教えてください
(←それが下心か)


それでは、オマケです!
1988年繋がりということで、音楽劇『ドン・ジョバンニ~超人のつくり方』のパンフレットから3枚どうぞ~。


Dongiovanni1

Dongiovanni2

Donjiovanni3


ではでは、次回更新はいよいよ週末に迫った『こっちの水苦いぞ』川越公演のレポートです!
今ツアーで一番良いお席を頂いています。ジュリーが近くで見える喜びは当然として、位置的には柴山さんの細かな動きにも目を奪われそうな席です。

ただ・・・その次に参加のファイナル・フォーラム公演までは10日間しか余裕が無いんですよね。いつもの調子でネチネチと書いていては、完成前にフォーラムを迎えてしまいかねません。
文量少なめ、要点をタイトに纏めて、なんとか10月末の一気更新といきたいものです。


ジュリーは今日、明日と関西ですね。
長岡京、奈良に参加されたみなさまのご感想も楽しみです。鉄人・金本新監督、ミスター・タイガース・掛布2軍監督誕生というニュースもあり、久々に阪神ネタのMCが来ないかなぁ?と期待しているのですが、今年のツアーは特別ですから・・・やっぱりツアーの最後の最後まで、MCは加瀬さんの思い出話で通すのかな?

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2015年10月16日 (金)

沢田研二 「PRETENDER」

from『BAD TUNING』、1980

Badtuning

1. 恋のバッド・チューニング
2. どうして朝
3. WOMAN WOMAN
4. PRETENDER
5. マダムX
6. アンドロメダ
7. 世紀末ブルース
8. みんないい娘
9. お月さん万才!
10. 今夜の雨はいい奴

----------------------

今週は(ジュリーのツアー日程変更による偶然とは言え)福岡公演がピー先生の14日、ジュリーの15日と連チャンになっていたんですね。
いずれも大盛況だったようですが、両日参加された先輩もいらしたでしょうか。

情報によりますと、福岡のジュリーはすっかり風邪も良くなったとのことで、素晴らしい声、ゴキゲンのステージだったそうです。「気になるお前」の間奏では、下山さんが柴山さんの背後をすり抜けて最上手まで出張し、横並びになっていたとか?
来週の川越がますます楽しみになってきました!


さて、今日は拙ブログ従来のスタイルに戻りまして、ジュリー・ナンバーをお題に届けいたします。
先日旅日記としてタイトルを借りて書いた「ビロードの風」を例外とすると、4月中旬以来久々に加瀬さん作曲作品以外のお題での楽曲考察記事です。

今年の『こっちの水苦いぞ』ツアー・セットリストは、2008年『ジュリー祭り』でジュリーLIVEデビューである僕にとっては「初めて生で聴く」曲が多かったのも嬉しいことでした。例えば、長いファンの先輩方ならばもう何度も体感しているであろう「恋のバッド・チューニング」・・・この曲も僕は今回初めて生で聴いたのです。
「えっ、そうだったの?」と先輩にも驚かれたほどですが、そうなんですよ~。
ちなみに、それは同時にアルバム『BAD TUNING』収録曲を初めて生で体感した、ということでもありました。まだまだ「収録曲を一度もLIVEで聴いたことがない」アルバムは数枚残っているんですけど、『BAD TUNING』の曲を体感するまでに7年かかった、というのは振り返ってみると意外な感じもします。
このアルバムはLIVEテイクとスタジオ・テイクが各5曲ずつという変則構成ながら、どの収録曲もLIVE向きと言うか、「ステージで歌うジュリー」を想像しやすい曲ばかりが詰まった1枚なんですよね。

今日は、そんな大名盤『BAD TUNING』から、先輩方の人気も高い「PRETENDER」がお題です。
これは、加瀬さんのことが無ければ、4月末にも考察を纏め上げてupする予定でいたお題のひとつ。採譜などはその頃既に済ませていたので、前回記事から比較的短期間で今日更新することができました。

「ティーン・ロックへの贈り物」のようなバラード?
はたまた、「不良少年のイノセンス」を持ち続けたまま大人になったかつての不良少年が、今度は10代の少女を見つめる物語?
ジュリーは30代の大人の男の濡れたヴォーカルで、しかし何かを狙うでもなく、まったくあざとさを感じさせずに無垢無心に歌います。とんでもない大名曲です。
伝授~!


作曲者である宇崎竜童さんを知らない人はいらっしゃらないでしょう。ダウンタウン・ブギウギ・バンドはあまりに有名ですし、絶頂期の山口百恵さんへの楽曲提供者としても有名なビッグネームですよね。
ジュリーの「PRETENDER」の前年には、ジョー山中さんの大名曲「ララバイ・オブ・ユー」も提供されていますし、「ロックンローラー」宇崎さんが作曲者としてバラードの名手でもあることは間違いありません。

「この曲の記事を書こう」と4月に一度考えたのは、ちょうどその頃、一部ジュリーファン、タイガースファンの間で宇崎さんが話題の人となっていたからでした。
サリーが特別ゲストとして参加している水谷豊さんのLIVEツアーに、宇崎さんもゲスト出演されていたそうですね。ご覧になったかたも多いのではないでしょうか。

僕はちょうどその4月頃、今年のジュリーの新譜『こっちの水苦いぞ』の後半のバラード2曲「泣きべそなブラッド・ムーン」「涙まみれFIRE FIGHTER」を、自作の編集盤CDでよく聴いたりしていました。先輩の真似をして「涙」「泣く」というフレーズが歌詞中に盛り込まれているジュリー・ナンバーを20曲近く探し集めて1枚のCDを作ってみたのです。
歌詞に「涙」「泣く」というフレーズが登場するジュリー・ナンバーは本当に数え切れないほどありますが、そんな中、この「PRETENDER」は結構早い段階でその存在を思いついていた曲だったのです。

息を 胸で 乱して
   C                  Em7

泣く おまえは しどけなく
       F                         G7

ひざを折る 夜の Ebb Tide
      C                        Em7

僕は 愛していた 女として ♪
   F                              G7

「PRETENDER」でのジュリーの「泣く」はかなり「言い切る」ニュアンスのヴォーカル。歌詞のみならず、ジュリーの発声に「男」が漲っていると思います。
歌詞としても「涙で濡れた」とか余計な装飾が無く、「泣くおまえは」 とシンプルに断じる感じが、80年代に入ってグッと「男」度を増したジュリーにマッチしていますね。
ただ、その「断じる」男らしさがあるおかげで、直後の「しどけなく」(最後の2文字が「泣く」と同じ発声なのに、何とジュリーの声の表情が違うことよ!)が「濡れた」ニュアンスに変わっているのが凄いなぁ、と。

また、「男漲る」と言えば作曲者の宇崎さん。
「ティーンロックの魂をいくつになっても持ち続けている」日本のロック・パーソンのイメージ・・・「PRETENDER」の歌詞は、ジュリーだけでなく、宇崎さんのキャラクターとも噛みあった名編である、と言えそうです。

さて、島武実さんの歌詞・・・シチュエーションとしては、主人公の男はおそらく当時のジュリーと同じ30代、一方相手の少女は10代、と考えて良いでしょう。
おそらく女性ファンは、こんなシチュエーションをジュリーのあの声で歌われて、ただただとろけるばかり、かと想像します。
ただ、男性としては真っ直ぐこの歌詞と対峙するのはなんだかちょっと照れくさい、みたいな感覚があって(うまく説明できないんですけど)、敢えて歌詞解釈を拡げるようにして聴いてしまうのです。

1番の出だしに顕著ですが、島さんが明確な情景を頭に浮かべて作っていることは確実。
でも僕は全体的なストーリーに色々幅を持たせて味わって聴いています。そんなふうに様々な解釈ができるのも、時代を超えた名曲の証だと思いますしね。
例えば、10代で結婚して一人娘をさずかった30代の父親が、娘の成長を見つめながら自らの若かりし不良少年の日々を思い起こしている、とか(これは何となく作曲者の宇崎さんのイメージ)、生まれた時から許婚の相手が決まっていた時代、まだ少女の許婚の娘に次第に本気で惚れていく過程を歌った、とか(これは今の朝ドラのイメージ笑)。

いずれにしても、サビでひとつずつ「年を数える」という作詞手法にはグッときますよね~。
これが「twenty」まで数える段階にまで物語が進むと仮定すると、僕の勝手な歌詞解釈は「きわどい季節」の阿久さんの詞へと繋がっちゃうんですけど(汗)。

乱暴に他人(ひと)は 年を数える
       C                Am    Dm7   G7

14(fourteen) 15(fifteen)
C                  Am

16(sixteen) oh・・・ ♪
Dn7                   G7

またこのサビ部は、「PRETENDER」のジュリー・ヴォーカルで僕が特に惹かれる箇所でもあります(ほとんどのジュリーファンはそうかな?)。

最後の「wow~♪」(歌詞カードは「oh」ですが、発声のニュアンスとしては「wow」ですよね?)の艶っぽい下降。これぞジュリー・・・この歌い方はジュリーの得意技のひとつですけど、素人がマネしようと思ってもなかなかできないんですよね~。初めて聴いた時は、ジョン・レノンの「アンナ」みたいだなぁ、と思ったものです。
あと、サビの1番と2番では微妙にメロディーの載せ方が違いますよね?これがまた素晴らしい。
「fifteen♪」と「eighteen♪」のところです。
2番「eighteen」の方には発声の直前に一瞬のタメがあるじゃないですか。これが痺れる!まるで、歌の主人公の胸にある何かしらの特別な詰まる思いを表現しているかのような・・・「あぁ、相手の女の子が18才の時に何か具体的な出来事があったのかな」とまで考えてしまうのは(えっ、深読みですか?)、ジュリーのヴォーカルがそうさせているんですね。

「PRETENDER」は演奏も大変なハイレベルですが、とても聴きやすいです。これは宇崎さんの作曲の個性でもありますが、よくぞこの時期にジュリーにこんな曲を提供してくれたものです。
長いジュリーファンの先輩方の間でこの曲の人気が高いのは、(歌詞も含めた)キャッチーで明解なロック・バラードをジュリーが歌ってくれた、というタイムリーな喜びがあったからだと思います。ただ聴きやすいだけでなく、「これから新しいジュリーが始まる」と予感させるような新境地として捉えられてもいたんじゃないかな。
当時ニュー・アルバムとして『BAD TUNING』を聴いた時、「PRETENDER」は収録曲の中で先輩方が真っ先に気に入る、スッと身体に馴染んでくるタイプの曲だったのでは、と想像しますがいかがでしょうか。

そう言えば・・・存知のかたも多いでしょうが、ジュリーファンとしても知られるスージー鈴木さんが『
1979年の歌謡曲』という本を出版されるようです。
1979年という1年に絞っての歌謡曲群考察とは、いやぁさすがの着眼!是非読んでみたいですね。
79年って、確かに日本の音楽界でとてつもない分岐点の年なんですよ。
年単位で括ると、ジュリーについてもシングルが「カサブランカ・ダンディー」と「OH!ギャル」、対してアルバムは『TOKIO』(シングルは「ロンリー・ウルフ」)。これらの作品が同居しているという・・・それだけとっても音楽的に大きな節目の1年です。
そして、この年あたりから邦楽界はスージーさん仰るように、「ニューミュージック」に席捲されます。当然翌80年にもその流れは継続していて、アルバム『BAD TUNING』収録のスタジオ・テイク5曲の音作りにも、それは少なからず反映されているんですよ。
リズム・セクションのミックス・バランスや、ヴォーカル・エフェクト。僕はほぼ同時期のゴダイゴや八神純子さんの作品を持っているので、それらと『BAD TUNING』の音を比較するとよく分かるのです。

ただ、そんな「ニュー・ミュージック」の新たな波を意識し手法を採り入れつつも、加瀬さんをはじめとするスタッフはこの『BAD TUNING』を機に、明確な「ロック」のコンセプトを志してジュリーのアルバム制作に取り組んでいきます。『BAD TUNING』は特にその二面性が際立っているところが面白いんですよね。
中でも「ロック」人脈の作曲家として宇崎さんが抜擢されていること・・・「PRETENDER」はその意味でも大きな意義を持つ1曲ではないでしょうか。
しかもバラードですからね~。ジュリーがこの時期にこういう曲をごく自然に、気負いなく歌っていたことがまず凄い。下手に「ロック」に囚われずに聴けることも凄い。
タイムリーなジュリー・ファンの先輩方は、そうしたことを無意識にでも感じとられていたのではないでしょうか。

アルバム『BAD TUNING』は、変則的な構成の中で収録10曲の曲想バランスを考えたのか、レコーディング・テイク収録曲5曲のうち3曲までがバラード・ナンバー(「PRETENDER」「お月さん万才!」「今夜の雨はいい奴」)です。それぞれタイプは違うけれど、音作りはどこかキラキラしている感じが共通しますね。
そして、それらのバラードが若きオールウェイズによる激しいLIVEテイクと繋がって何ひとつ違和感が無いという・・・おそるべき統一感。これもまた、ジュリー・ヴォーカルの凄味と言えましょう。

最後に、「PRETENDER」の演奏面、バンドサウンドとの相性についても少し考えてみましょう。
この曲の演奏トラックで僕が一番印象に残るのは、やっぱりギターかなぁ。
ジュリーのヴォーカルに渋く絡むフレーズや間奏のスロー・ハンドっぽいソロは、エリック・クラプトンの「ワンダフル・トゥナイト」を思わせます。

スタジオ・テイクの「PRETENDER」はオールウェイズの演奏ではないようですが、アレンジとしては、そのままオールウェイズで再現可能な構成となっています。
(後註:コメントにてご指摘頂きライナー・クレジットを確認したところ、この曲はオールウェイズの演奏でした。先入観だけで書いてはいけませんね・・・)
ブラシのドラムスとベース、あとはエレキギターが2本(厳密には、間奏リード・ギターが追加のオーヴァーダブでトラックとしては3つ)、オルガン系のキーボードというシンプルなバンド・スタイルですからね。
つまり、泰輝さんが左手でベースをカバーすれば、現在の鉄人バンド・スタイルでもこの曲の忠実なステージ再現が可能ということ。
是非一度は生で体感してみたい1曲ですが、さすがにこの先のツアー・セトリ入りは無理かなぁ・・・?


それでは、オマケです!
「PRETENDER」リリースとは離れた年の資料となりますが・・・福岡の先輩から授かりました1986年『JUNON』、ジュリーと宇崎さんの貴重な誌上対談をどうぞ~。


Junon860302

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Junon860304

Junon860305

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では次回更新は・・・川越公演まではまだ一週間あるので、その間に1本考察記事を書ける・・・かなぁ。
もし考察を纏める時間があれば、せっかくなのでEMI期の再発CDで僕が購入した4枚(『架空のオペラ』『CO-CoLO1~夜のみだらな鳥たち』『告白-CONFESSION』『TRUE BLUE』の中から何か1曲採り上げられれば、と考えています!

終わったばかりの四国・九州シリーズはもちろん、この先の伊勢崎、浜松、長岡京、奈良・・・各公演に参加されたみなさまのご感想もお待ちしていますよ~。

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2015年10月11日 (日)

2015.9.29くにたち市民芸術小ホール 瞳みのる&二十二世紀バンド『Let's Go カキツバタ』セットリスト&完全レポ

はじめに。
この記事では、ピー先生と二十二世紀バンドの2015年全国ツアー『Let's Go カキツバタ』セットリストを全開でネタバレしております。ネタバレを避けたいみなさまは、うっかり全文読んでしまわれぬようご注意ください。
また、今年も会場では充実のパンフレットが販売されていますが、昨年同様、セットリスト各演目についてのピー先生による詳しい解説が掲載されています。
これからのご参加でネタバレしたくない派のみなさまは、LIVE終演後にパンフレットを開くことをお勧めいたします。

今回のレポですが・・・各曲のリード・ヴォーカル担当メンバーや、セットリスト後半の一部について演奏順の記憶が曖昧なところがあり、同日参加された先輩にあれこれ相談に乗って頂きながら何とか形を整えましたが、完璧にはほど遠い内容です。
もし、明らかな勘違いによる記述や、演奏順の誤りにお気づきのかたがいらっしゃいましたら、コメントにて遠慮なくバシバシご指摘くださいませ。

それでは・・・毎度毎度の大長文レポートです。
既にツアーご参加のみなさま、この先のご参加予定でセットリストの予習をしたいみなさま、そして「参加しようか迷っているけど、実際どんなものなのかな?」とお考えのみなさま・・・長くなりますのでお茶菓子をご用意の上(笑)、よろしくおつき合いください。

☆    ☆    ☆

ずいぶん更新間隔が空いてしまいましたが。
行ってきました~。『瞳みのる&二十二世紀バンド Let's Go カキツバタ』全国ツアー初日公演!

現在ジュリー界では「さよなら渋谷公会堂」の余韻と共に、『こっちの水苦いぞ』ツアーも後半ラストスパートに入り、僕の故郷である鹿児島公演も無事大成功だったようで・・・ますますファンの盛り上がりも凄いですが、ピー先生も負けてはいませんよ~。
2015年も、二十二世紀バンドを率いて元気に全国ツアーをスタートさせたピー先生。
いやぁ・・・昨年もそうだったんですけど、予想を遥かに上回る本当に楽しいステージでした。

僕は基本ジュリーファンとしての流れでピー先生の活動を追っていますので、公演直前になっても気持ちは比較的落ち着いていて。どちらかと言うと熱心なピーファンのみなさまが凄まじいドキドキ・ワクワクのテンションになっていらっしゃるのをニコニコ眺めている、という感じだったんです。これは昨年もそうでした。
ところが公演が終わったら、顔見知りの先輩をつかまえては「いやぁ素晴らしかったですね!」と興奮しまくっている、という2年連続のパターン。
ピー先生の人柄と努力・進化、タイガースの歴史の偉大さ、二十二世紀バンドの鮮烈な演奏と志・・・色々と感じるものはあるんですけど、ひと言で言うなら、純粋に「音楽の楽しさ」が詰まったステージ。
音楽を楽しむことの初心に立ち返らせてくれるような、子供心で夢中になれるステージでした。


さて、ここからの枕が長いのが拙ブログの特色(汗)。

当日は余裕をもって出かけました。国立は、もう20数年前に一度、友人の佐藤哲也君のライヴを観に行って以来・・・あまり馴染みのない街です。
事前に地図で調べたところ、くにたち劇術劇場は国立駅から一橋大学沿いにまっすぐ歩いてゆけば辿り着けるようで、これなら超・方向音痴の僕も間違いようがない、と安心して出かけました(方向音痴の人にとっては、曲がり角の少ない道のりほど安全です。ただ僕はこの時「分かり易い道」にとらわれ過ぎて、「距離」をうっかりしていたわけですが)。

国立に向かう前に、まず渋谷で開催されていた、しょあ様のイラスト展(こちらも初日!)にお邪魔しました。ギャラリーいっぱいに某ギタリスト(バレバレですが)への愛に溢れた濃厚な空間で楽しく過ごし、気持ちも盛り上がってきたところでいざ国立へ!
大学進学で僕が鹿児島のド田舎から上京してきて30年近く経ちますが、実は渋谷-吉祥寺間を走る「井の頭線」に乗車したのはこの日が初めてのことでした。
ずいぶん各駅間が短い路線なんですね~。

国立駅に着いた時もまだ時間に余裕はあって、「開演40分前くらいには会場に着きそうだな~」と、呑気に歩き始めました。ちょうど、いつもお世話になっている先輩からメールがあり、「会場横の○○でお茶しています」とのことでしたので、僕も合流するつもりで「今、会場に向かっています」と返信・・・したのですが。

着かん!

延々と歩いているのに、着かん!
まさか、地図で覚えたあんな簡単な道を間違ったというのか・・・と不安になってきました。
同志(?)のかたなら分かってくださると思いますが、方向音痴の人って、間違う時は「完全に真逆に間違う」のです。例えば、初めて入るレストランなんかでも、いざ帰ろうとすると、入ってきた方向とは逆に足が自然に向いちゃうんですよね・・・。
そう言えばついさっき、しょあ様のイラスト展から出る時もそうだった・・・「そっち出口じゃないよ!」と笑われたばかり・・・まさか今僕は、南に歩いているつもりで北に進んでいるのではなかろうか。

あたりはどんどん暗くなってくるし、時計を見ると、いつしか開演時刻まで20分を切っています。
行く手に信号が2つ見えていて、「あの2つ目の信号まで行って着かなかったらタクシーを拾うしかない」と思っていたら、その2つ目の信号の向かいが会場でした。
開演15分前になんとか到着。先輩方がロビーで待っていてくださいました。
国立駅から歩いてきた、という僕に先輩は
「それは無謀よ~」
と(汗)。
今度から、地図で知らないところに行く時はちゃんと距離も確認します・・・。

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↑ ファンサイトからのお花。風間杜夫さんからのお花と並んでいました。
全然関係ない話ですが、僕にとって風間杜夫さんと言えば、大好きだった刑事ドラマ『特捜最前線』の第230話「ストリップ・スキャンダル!」でのゲスト出演(曽根刑事役)が強烈に印象に残っています。大滝秀治さん演じる船村刑事との泥まみれの格闘は、『特捜最前線』史上に残る屈指の名シーンのひとつです。

ロビーでは、ツアーTシャツや各メンバーのCDなどの物販グッズが並べられ、さらにマルベル堂さんのブロマイド出張販売もありました。
僕はパンフレットのみを購入し(帰宅後、二十二世紀バンドの新メンバー・はなさんのCDを購入しておけばよかった、と後悔しましたが)、早速入場。
手にしているチケット・・・C列20番。

僕は有難いことに、ピー先生のLIVEのチケット抽選とは相性が良いようです。昨年もツアー初日の渋谷さくらホールに参加しましたが、その時は端っことは言え何と最前列。今回はやや上手寄りの3列目です。
初日の舞台となったこのくにたち市民劇場は、小ホールということで、いつも僕がジュリーのLIVEで行っているような大ホールとは造りが少し変わっています。
こちらが座席表
前の3列(A~C列)が独立した感じになってるでしょ?
この3列目の後ろに入口から続く通路があって、そこからかなりの急傾斜で後ろに座席が連なっています。で、1列目から3列目までは、通路(ホールの1階床の高さ)から下に降っていく感じになります。つまり、地下に潜っていくようにして3列ぶんの座席があるわけです。
ですから、最前列はステージを見上げる格好になります。そして、僕のいた3列目はちょうど、ステージ上のメンバーと同じ高さに位置していたのです。
これは相当な神席ですよ!

では、そんな神席から今回ステージの6人がどんな感じで見えていたのかと言いますと・・・。

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↑ パンフレット表紙より

まずピー先生。
ドラムセットの定位置の時は・・・残念ながら「シンバル仮面」でございました。スネアに一番近いシンバルがピー先生の顔に重なってしまって。ドラマーが主役だと、神席と言ってもこういうことがあるんですねぇ。
でも、手足の動きはよく見えましたし、ドラムを離れたスタンディングのヴォーカルの時は近い近い~!
ステージを走り回ってくれる曲では、何度も目の前まで進出してくれました。迫力満点!

そして二十二世紀バンド。
ステージ下手側から、立ち位置順に。

・Ichiroさん
メンバーの中では、僕の席から一番遠い位置でした。ただ、Ichiroさんのセッティングは通常よりシンバルが低い設定ですから、演奏時の表情はよく見えました。
「楽しい時は歌おうよ」のエンディングで大爆笑しているIchiroさんの表情もよく見えました。
え、Ichiroさんは何故爆笑していらしたのかって・・・?
詳しくはレポ本文で!

・JEFFさん
今年もバンマス健在!正に二十二世紀バンドの精神的、音楽的支柱です。僕の席からですと角度があり、細かいフレット使いまでは見えなかったのが少し残念。
バンド全体をリードし、ピー先生とのアドリブのかけ合いも楽しい、頼れる兄貴分です。

・ALICEさん
昨年と変わらぬ笑顔とアクションでお客さんをリードしてくれます。細かい動きまでバッチリ見えました。
スラリとしたALICEさんがドラムセットの横に立つことで、ステージ全体が華やかになりますね。

・NELOさん
昨年は角度的にほとんど演奏シーンが見えなかったのですが、今年は真正面です!
フレット使いからなにげない視線まで完璧に見えました。どの曲だったか、ステージ前方までせり出してソロを弾いていた時に一度目が合ったような?

・はなさん
僕、この人大好きです!位置的にもすごく近く感じましたし、何度も釘づけになりました。
いや、愛の告白をしているわけではないんですよ。僕はこんなふうに「楽しくて仕方がない」という気持ちがストレートにこちらにぶつかってくるような演奏をするミュージシャンが本当に好きなのです。
ジュリーファンのみなさまにも分かり易い例えをしますと・・・鉄人バンドのギターの柴山さんが、「危険なふたり」で時々、足を交互にバタバタさせて、ぴょんぴょんリズムをとりながら満面の笑顔で演奏することがあるじゃないですか。はなさんは、そんな時の柴山さんのテンションがステージの最初から最後まで継続しているようなキーボーディストだったのです。
ピー先生の考えるステージ・コンセプトにピッタリの新メンバー・はなさんを迎え、二十二世紀バンドはさらなる進化を遂げましたね~。


・・・ね?素晴らしい席でしょ?
しかも、昨年は最前列でしたが巨大スピーカーの真ん前だったので、音の聴こえ方には偏りがあったのです。その点、今年の席は音響的にも完璧な神席でした。
身体にぶつかってくる音があまりに心地よくて、今思えば僕はピー先生はじめメンバーそれぞれの細かな動きに注意する余裕もないほどでしたが・・・。

そんな恵まれた席から観たこの日の素晴らしいステージについて、それではいよいよ(ようやく?)セットリスト順に気合入れてレポートしていきましょう。
開演です!


~オープニング~

昨年のツアー同様、セットリスト本編の前に挨拶代わり(と言うにはいきなりド迫力の熱演でしたが)のドラム・ソロでショーのスタートです。
もちろん昨年のそれとは異なる新しいフレーズ、新しいオープニングとしてのドラム・ソロ。
昨年は、暗いステージの中メンバー全員が入場後、ピー先生のドラムセットだけにスポットが当てられての独演でした。しかし今年は、パッ!とステージ全体が明るくなるや、Ichiroさんとのツイン・ドラムス体制で全力全開に炸裂します。

ツイン体制だからと言ってピー先生が楽をしている、ということではありませんよ。
ひとつの「楽曲」として練られツイン・ドラムスならではの「アレンジ」が施された演奏・・・むしろ1人なら誤魔化しが効くんです。綿密にリハを重ねたツインの演奏だからこそ難しいわけで、ピー先生は今年、技術的に一歩踏み込んできた、ということになります。
当然ピー先生、Ichiroさんそれぞれに単独の見せ場も盛り込まれ、とにかく圧倒的なドラム・ソロ。このオープニングだけで、ピー先生が昨年よりも遥かに演奏の精度やテクニックが進化し、かつ稽古充分の状態で初日を迎えていることが分かります。

他メンバーは全員手拍子でお客さんをリード。
この時点でキーボードのはなさんが満面の笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねていて、「おお、二十二世紀バンドは素敵な新メンバーを迎えたんだな」と確信しました。

それにしても・・・世にドラムスの名手は数多いけれど、ピー先生は69才ですよ。
この年齢でLIVEのオープニングからこれほどの演奏ができるドラマーが他にどれほどいますかね?

セットリスト前半の衣裳は、全員揃って『PEE』の3文字を綴ったTシャツで(初日は黒地ヴァージョンでしたが、その後の会場で赤ヴァージョンも披露されたとか)。
69才にして進化を続けるピー先生と、ピー先生をリスペクトしガッチリとサポートする二十二世紀バンド・・・2015年の楽しい楽しいツアーが遂に幕開けです!

「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」

Dcf

オープニング・ドラムのソロが終わると、すかさずJEFFさんが「ドュ・ユ~・ラヴ・ミ~!」とシャウト。あの2013年のザ・タイガース再結成のステージで1曲目を飾ったデイヴ・クラーク・ファイヴのナンバーです。

ハッキリ書きます。
ピー先生のこの曲のドラムスは、2011~12年の復活ツアー(サリー、タローと共にジュリーの全国ツアーへゲスト参加)よりも、2013年のタイガース再結成ツアーよりも、今回の方が圧倒的に素晴らしかったです。
例の「だかだかだかだか・・・♪」というスネアのソロがあるじゃないですか。あそこも16分音符を1つだけ抜いて最後の1打にバシ!と強いアクセントをつけ、直後の8分音符連打への繋がりを生かした新しいフィル・フレーズを採り入れています。
Ichiroさんはタンバリンをスティックで叩いているので、完全にピー先生のドラムスがリズムの土台となっています。スネアのアタックは、おそらく過去最強。

リード・ヴォーカルはJEFFさん。昨年のセットリストにあった「ツイスト・アンド・シャウト」のように、ノッケから「ジョン声」が炸裂していました。
「テル・ミー♪」はJEFFさん→NELOさん→ALICEさんのリレーだったかな。
さらに、小さな身体を上下左右に大きく揺らしながらキーボードを弾くはなさんの右足のステップに釘付け・・・何て楽しそうに演奏する人なんだ!

そして、タイガースではサリーが担当し大きな声援を浴びていたキメの低音「Watch me now!」をピー先生が受け持つ(ALICEさんがビシッ!と指差してくれます)というピーファン垂涎の趣向もあり、僕は(もちろん他のお客さん達も)この「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」の時点で、完璧にこの楽しいショーの空気にノリました。
いやぁ今年も稽古充分、気合充分、ツアー初日から凄いぞ、二十二世紀バンド!

~MC~

ここでピー先生の最初のMCがありました。
最初は和やかな雰囲気の中、二十二世紀のメンバーと共に元気に「こんばんは~!」と。
「(お客さんの)返事が小さい!」
とうことで、挨拶は2回(笑)。

ピー先生、あの渋い声でにこやかに喋ろうとするのですが、なにせオープニングのドラム・ソロから「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」と激しい演奏が2曲続いた直後です。「ゼ~ハ~、ゼ~ハ~」とひと言声に出しては息が乱れ、またひと言・・・「青色吐息です」とのことで、会場からは笑い声と共に暖かい拍手が。

息を整えたところで、少し改まった口調でピー先生は「ひとつだけ、お伝えさせてください」と。
「私のプライヴェートのこと・・・結婚したことについてなんですが」と、恐縮しながらもピー先生が真剣に語ってくれたことをここで要約しますと

「このことについては、ファンのみなさまにはどうしても自分の口から、肉声で伝えたかった」
「入籍後まず八雲町のイベントもあったが、あの時はすぎやまこういちさん主催のイベントだったので自分のプライヴェートのことを話す場ではないと判断し、次の機会となった大阪西成でのバースデイ・イベントが最初の報告の場となった」

ということです。
とても丁寧に、気持ちを正直に伝えてくれたピー先生。そこにはピー先生の真面目さ、折り目正しさということももちろんあったのでしょうが、僕が感じたのは「暖かな気遣い」であり、「優しさ」でした。
この時僕の脳裏には何人かのピーファンの先輩の顔が浮かび、「ピー先生、本当に優しいですね。良かったですね」と思いながら聞いていました。
僕のこの感想は、分かるかたはきっと分かってうなずいてくださる・・・同じ気持ちのかたが大勢会場にいらっしゃったはずだ、と確信しています。

僕はこれまで2011~12年の復活ツアー、2013年のタイガース再結成ツアー、そして昨年の二十二世紀バンドとの初めてのツアーと、それぞれすべて「ツアー初日」を生で体感しています。
どのツアーの初日も、ピー先生が大変緊張されていると感じました。でも今年はいざLIVEが始まった時にその感覚が無かったんです(「あっ、やっぱり緊張してるのかな?」と感じたのは、最初のスタンディングでのリード・ヴォーカルとなった「花の首飾り」の時でした)。
きっと今回、開演前からピー先生は「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」が終わったら、キチンとファンに自分の気持ちを伝えたい」と臨まれていて、その決然たる思いが、いつものような「舞台が始まった緊張」をかき消すほど大きかったのではないでしょうか。
それがあのオープニングからのド迫力のドラムス演奏に繋がったのなら、初日のお客さんは大いに得をしたかもしれません。

最後に「(このことについては)もう話しません・・・いや、話すことがあるとしたら、離婚した時かなぁ」と、ブラック・ジョークを飛ばしたピー先生。
すかさずJEFFさんが「早っ!」と絶妙のタイミングでツッコミを入れて、場内は大爆笑。二十二世紀バンド、こういうところももうピー先生と一心同体ですね・・・タイミングバッチリのかけ合いでしたよ。

僕もこの場を借りまして。
ピー先生、ご結婚おめでとうございます!

「学生街の喫茶店」

Gakuseigai

誰もが知るGAROの名曲。
パンフレットに解説がある通り、今年もピー先生のツアーでは、日本、アメリカ、イギリス、中国各国のポップス名曲を披露する、というコンセプトがあり、まずはここから「日本のポップス編」が始まりました。

ただ、イントロの演奏だけで「この曲」と分かったお客さんはどのくらいいたでしょうか。僕はピー先生の歌が始まるまで、それとは分かりませんでした。
音作りが原曲とは大きく違うのです。
二十二世紀バンドのこの曲の演奏にはサイケデリックな雰囲気があった、と僕は感じました。「アシッド・フォークっぽい」と言っても良いのかもしれないけど、もっと「ロック」寄りの解釈が強いと思いました。

例えば、間奏でALICEさんが弾くキーボード・ソロ。ムーグ・シンセサイザーでよく使われるような、緊張感のあるビフラートのフレージングが素晴らしかったです。
あとはJEFFさんのベースでしょう。単に表拍の頭打ちというだけでなく、うねるようなグルーブがあります。それこそJEFFさんの敬愛するサリーのような・・・ザ・タイガースの名曲「生命のカンタータ」のようなベースの表現、と言えば伝わるでしょうか。

ピー先生はドラムスを叩きながらのヴォーカルですが、安定しています。キーが合うのでしょうね。
NELOさんのフォームで確認したところ、演奏は原曲のキーと同じニ短調でした。
Ichiroさんはブラシで優しくサポート。はなさんの音色はピアノだったかな。

「亜麻色の髪の乙女」

Amairo

リード・ヴォーカルはALICEさんだったと思います。でも、全員コーラスで歌う箇所が多かったかな。
美しい追っかけコーラスもあって。混声四部?

イントロが始まって少しの間、「一枚の写真」のアレンジ変えてきたか?と思って聴いてしまっていました。僕はこの有名曲をタイムリーでは知らないので、多くのみなさまのようにイントロ瞬時に反応、というわけにはいかなかったみたいです。
でも「すぎやま先生作曲作品が続くなぁ」とは、この時点で気づいていましたよ!

ドラムスは、リム・ショットが見どころです。
これまで何度も生で観ていますが、ピー先生のリムショットは独特のフォームですよね。ハイハットとの組み合わせで、細い腕が低い位置で交差して、身体が少し傾く感じがカッコイイんですよね~。

花の首飾り

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今回、ピー先生がドラムセットを離れリード・ヴォーカルに専念する最初の1曲です。
カンペを見ながら(笑)熱唱するピー先生。
ここで初めてピー先生の「キンチョーの夏」(いや、さすがにもう「キンチョーの秋」と言うべきかな)を感じました。しかも、あれだけのドラムス演奏をした直後です。発声に苦労するシーンもありました。

静かな出だしからの演奏でしたが、バンド全員の音が噛んでくるあたりになると、まったく別の曲のようなアレンジになっていました。特にNELOさんのカッティングは、完全に16ビートのロックでしたね。

そう言えば、先に披露されたGAROの「学生街の喫茶店」もこの「花の首飾り」と同様に、当初シングルB面としてリリースされながら世間の爆発的な支持を受けて大ヒットした、という経緯を持つ曲なのですね。
そうした意味で、作曲者のすぎやま先生にとっても思い入れの深いヒット曲を、今回ピー先生は同じステージのセットリストに組み込んできたこととなります。
それにしても・・・同じ日本語でも(途中から歌が日本語詞になり、これで聴きとれる、と安心しました汗)、歌詞が変わると楽曲解釈も変わってきてしまいます。
「男性視点で、去って行った女性を想う未練の歌」ともとれるなぁ、と思いながら僕は聴いていましたが、みなさまはどのように感じられたでしょうか?

あと、この曲ではNELOさんのボリューム奏法が炸裂していたらしいです。
「らしいです」と書かざるを得ないのは、僕はそれを完全に見逃していたから(恥)。
実は、セットリスト後半の2曲で僕はNELOさんの美しいボリューム奏法を確認しとても感動したのですが、1曲は「ラヴ・ラヴ・ラヴ」で間違いないけどもう1曲がどれだったかなぁ、と自信が持てずにいまして・・・7日のさくらホール公演の前日に、男性タイガース・ファンの先輩であり現役バリバリのギタリストでもあるYOU様(初日のくにたち公演には不参加でした)に
「今回のセットリストには、NELOさんのボリューム奏法が炸裂する曲が2曲あります。どの曲だったか後でこっそり教えて頂けないでしょうか?」
とお願いしていました。
YOU様は快諾してくださり、LIVE当日夜に早速メールをくださいまして(YOU様はとにかくレスポンスと行動が早いかたのです)、見ると
「花の首飾りとフランク・ミルズです」
と。
「そうだ思い出した、フランク・ミルズだ!・・・は良いけどええっ、花の首飾りでもやってたっけ?」

言われてみますと、はなさんのピアノ伴奏部でNELOさんが何か音を出していたような気がする・・・。

ちなみにYOU様は、僕が事前に「2曲」と断言してしまったがために、「フランク・ミルズ」が終わるとその後は油断して、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のボリューム奏法を見逃してしまわれたのだそうです・・・(爆)。
そうそう、YOU様はさくらホールの終演後、NELOさんに直接「ボリューム奏法良かったです!」とお伝えする機会があったそうですよ。いいなぁ・・・。

「想い出の渚」

Wildones

イントロの瞬間「あぁ・・・」と思いました。
今年4月に突然旅立たれた加瀬さんについて、ピー先生はすぐにホームページで公式コメントを出していましたよね。タイガース時代、一緒にツアーを回ったりして本当に仲が良かったバンド、という加瀬さん率いるワイルドワンズ・・・後でALICEさんが紹介してくれた通り、ピー先生と二十二世紀バンドからの追悼の意として今回この超有名曲が採り上げられたようです。
「良い曲を歌い継ぐ」というピー先生のステージ・コンセプトを考えれば、「GS」ナンバーとしても王道中の王道である「想い出の渚」は、当然の選曲と言えます。

リード・ヴォーカルは・・・う~ん、ピー先生だったような気がするけど、自信がありません。
先の「学生街の喫茶店」などもそうでしたが、ALICEさん、はなさんの女性陣は、自らの歌の出番でない箇所でも、オフマイクで歌詞を口ずさんでいるシーンが多かったです。これも「稽古充分」の証でしょう。
そう言えば、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーでこの「想い出の渚」が歌われた時、ギターの柴山さんがコードを弾きながら最初から最後までオフマイクで皆と一緒に歌っていたなぁ、と懐かしく思い出しました。

NELOさんのギターが、イントロなどの単音と歌メロ部のバッキングを一手に担います。
「E♭」は6フレット、「B♭」は1フレットのフォーム。つまり、ワイルドワンズのリリース時の音源から半音キーを下げ、変ホ長調で演奏されていたということですね。

「愛しているのは誰」

この曲の前にALICEさんのMCが入り、2曲目「学生街の喫茶店」から4曲目「花の首飾り」までがすぎやまこういち先生の作曲作品特集としてのセットリスト構成であり、5曲目「想い出の渚」が故・加瀬邦彦さんへの追悼としての選曲であったことをお話してくれました。

「続いて次の曲は、日本語の曲にピーさんが中国語の歌詞をつけて・・・あれ?」
と、こちらも緊張のせいか混乱するALICEさん。
ドラムセットのピー先生が笑いながら「逆、逆!」と。

中国では誰でも知っている大ヒット曲のようです。ピー先生の日本語訳詞で披露されました。
もちろん僕は原曲を知りませんが、本国では比較的最近・・・2004年のリリースとのことで、二十二世紀バンドの演奏も普通に「ポップ・ロック」でした。元来、バンド・アンサンブルに適した曲なのでしょう。

タイガースのテーマ

Tigersbox

ここでJEFFさんのMC。
「(お客さんが)知らない曲ばっかりやってるとマズイので、ここでみんな知ってる曲をやるよ!」
と。
「いや、(次の曲は)体力使うんだよ~」
と、腕っぷしをゴシゴシ擦るJEFFさん。
どの曲だろう・・・真っ先に僕が思い浮かべたのは、昨年のツアーで、あの超絶ベース・フレーズを弾きながらリード・ヴォーカルまで担当してお客さんのド肝を抜いた「美しき愛の掟」でした。でも・・・具体的に「体力使う」って?などと考えていたら、始まりましたよ。
「タイガースのテーマ」!

しかもJEFFさん、ヴォーカルじゃん!まさかリード・ヴォーカリストが最後のアレを・・・?
そう、エンディングの「その場駆け足」です。
直前にJEFFさんが「行くよ!」と指令を出すや、下手側からJEFFさん、ALICEさん、NELOさん、はなさんの4人が横並びで見事に魅せてくれました。
いや、これ「歌いながら&弾きながら」って本当に大変ですよ・・・特にはなさん、ニコニコしながら余裕でやってたけど、キーボード弾きながら横向きになるその体勢は、どう考えても無理が(笑)。

「ハートブレイカー」

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タイムリーな先輩方の思い入れとはまるで比較にならないでしょうが、この曲のセットリスト入りには僕も「おおっ!」と興奮しました。前曲「タイガースのテーマ」からこの「ハートブレイカー」への流れは、前半セットリストの目玉と言えるでしょう。

リード・ヴォーカルはNELOさん。
僕は昨年の「朝日のあたる家」で初めてNELOさんのヴォーカルを聴きましたが、その時「短調のハードな曲想に似合う声質」だと思いました。
今回は、タイガース・レパートリーの中でも特にハードな短調ナンバーである「ハートブレイカー」でのヴォーカルを担ったNELOさん、素晴らしかったです。
しかも、ギター1本編成のバンドでギタリストがこの曲を歌う、というのは相当大変なこと。昨年「美しき愛の掟」をベースのJEFFさんが歌ったのと同じ衝撃・・・今年はNELOさんのこの曲で味わいました。
二十二世紀バンド、恐るべしです。もちろん、NELOさんはヴォーカルだけでなくギターも最高でしたよ~。

また、僕は今年の二十二世紀バンドの進化を象徴するのはピー先生とIchiroさんのツイン・ドラムスだと考えていますが、セットリスト中それが明快に伝わってくるのがこの「ハートブレイカー」ではないでしょうか。
昨年までの二十二世紀バンドは、「ひとつのドラム・アレンジを2人で分け合う」というスタイルだったと思うのです。でも、Ichiroさんのサポートのベクトルが今年は変わっているんですよ。
ツイン・ドラム体制のロック・バンドとして、それをどのように楽曲アレンジに生かしていくか、ということを練って臨んでいることがビシビシと伝わるのです。
オープニングのドラム・ソロ、この「ハートブレイカー」、さらにセットリスト後半に演奏される新曲「三日月」・・・特にこの3曲については、是非みなさまも「2人のドラマーのアンサンブル」に注目して頂きたいです。

ピー先生の「鬼のキック」が炸裂しまくっていたのは、この曲じゃなかったかなぁ。一体何連打するんだ?と乗り出して見てしまった曲が1曲あったんですが・・・。
ズシンズシンという連打が今も耳に残っています。

「ハウンド・ドッグ」

Hounddog

有名な曲ですね。僕は今年になってジュリーの『act大全集』に嵌り、中でも『act/エルヴィス・プレスリー』をよく聴いていまして、ジュリーのこの曲のカバー・ヴァージョン(「量見」)も大好きです。

これは、ピー先生の昨年のツアー・セットリストで言うと「ジャスティン」の位置に配されていて、ノリノリのロックンロールで第1幕を締める、というコンセプトが今年も継続されることになりました。
これまた、はなさんが鍵盤に倒れこまんばかりにしてピアノを叩き、両足でステップを踏んでいました。心ごと身体ごとバンドに入りこんでいる、という感じで、観ているこちらも自然に身体が動きます。
他パートの演奏にも見せ場があり、それぞれのソロがあったような、無かったような・・・?
後半セットリストに「スキニー・ミニー」があって、僕はそこで「ALICEさんのブルース・ハープが素晴らしかった」と書くつもりでいますが、ひょっとしたらそれはこの曲のシーンと混同しているかも。記憶があやふやで申し訳ないです・・・。

エンディングの演奏がまだ続いている中、ピー先生がメンバーより「ひと足お先に」踊りながらステージを退場していくという愉快な演出もあって、これでセットリスト前半が終了しました。
ここまで、あっという間でしたね~。


~休憩~

昨年同様セットリストは前半、後半に分かれた構成で、間に15分間の休憩があります。
ネタバレOKでこの記事で予習してくださっているこの先の会場にご参加の先輩方・・・今年もピー先生のツアーについてはトイレの心配はありませんよ~。

休憩のアナウンスがあるやいなや、4列目で観ていらしたいつもお世話になっている先輩が駆けてきて(冒頭に書いた通り、僕のいた3列目と次の4列目の間には広い通路があります)、「ハートブレイカーで泣いた!リズムパターンの変化も全部身体が覚えてた!」と大変感激のご様子でした。
後日ファンサイトのBBSを拝見しますと、みなさまネタバレに留意されハッキリ楽曲タイトルを書いてはいませんが、多くの先輩方が「ハートブレイカー」のセットリスト入りに感動されていたことが伝わってきました。
タイムリーなタイガース・ファンにとっては、田園コロシアムの思い出と直結する曲なのだそうですね。

さらにこの時間では、両隣とすぐ前のお席の先輩方とお話させて頂くこともできました。
左隣のお姉さまは普段あまりネットをされないとのことで、ピー先生の結婚を、この日の最初のMCで初めて知ったのだそうです。
「みなさんはもう知っていたのですか?」と少し動揺されていたようなので、大阪でのバースデイ・イベントの様子など、僕が情報として知っている限りのいきさつを丁寧にお話しました。
おそるおそる「ショックですか?」とお尋ねしますと
「それは、いくつになってもやっぱりねぇ・・・でも、(結婚は)良いことよね」
と。

また
「シンバルでピー先生の顔が見えませんねぇ」
「立ったら見えるのでは?」
という話にもなり、先輩は「最初から最後まで立っているのは辛いけど、せっかくだから少しくらいは立って見たい」と仰るので、「これから、会場全員がスタンディングになる曲は必ずあります。その時には真っ先に立ちましょう」とお約束しました。
さぁ、実際はどうなる?
セットリスト後半、開幕です~。


「フランク・ミルズ」

後半部では、メンバー全員シックなフォーマルっぽい衣裳に着替えての登場です。
もちろんピー先生はビシッ!としたスーツです。
ところが歌っているうちに(緊張もあってか)暑くなっちゃったんでしょうね・・・早くもこの曲の途中で上着を脱いで、キラキラした刺繍の入った白シャツ姿に。
JEFFさん、ここでも心の中で「早っ!」とツッコミを入れていたのではないでしょうか(笑)。

はなさんのキーボードをバックに切々と導入する、『ヘアー』初回公演からの選曲。ピー先生はスタンディングでヴォーカルに専念します。
ピー先生はどうやら思いっきり声を出す大音量のバンド・サウンドの曲の方が音程が安定するようで、キーボード1本の伴奏で歌うこの曲の導入部あたりは、うまく音程がとれず苦心されています。

と言うのは、「慣れ」の問題とは別に、ある意味ピー先生は周囲で鳴っている「音の高低」に敏感な耳を持っていると思うんですよね。
この日、「フランクミルズ」の出だしでは、思わずはなさんのキーボードの1番高い音から伴奏和音を探ってしまったようで、おそらく本来のメロディーのオクターブ上で発声してしまったと思われます。
瞬間、「しまった!」という表情のピー先生は、歌いながらなんとか正規のメロディーに切り替えようとしますが、さすがに繋がっているメロディーの途中でガクンと声が低くなることは躊躇いがあったようで・・・とにかく「なんとかしよう」と奮闘が続きました。
何とか、何とか、と表情を険しくしながら、その中から伝わってくるものがあり、僕はこの日の「フランクミルズ」のピー先生のヴォーカルは、ツアー初日ならではの「熱唱」だったと思います。

さて、「花の首飾り」の項で書いたように、この曲でNELOさんのボリューム奏法が炸裂しまくります。
指2本でピックを持ち、残る指をヴォリューム・コントロールまで伸ばすスタイル。「フワ~ッ」とオルガンっぽい独特の音色がするので、気をつけていればみなさまも聴きとれると思いますよ!

歌が終わると拍手の中、ピー先生は照れながら
「失礼しました・・・」
と、出だしの音程が不安定だったことを詫びられました。こうしたことは、ピー先生とお客さん双方に緊張感のあるツアー初日ならでは。この日のピー先生の姿の中でも特に印象深いシーンのひとつとなりました。

「昔も今も」(久しき昔)
「日の当たる我が家」(故郷の廃家)
「野ばら」(シューベルトの野ばら)

Longlongago

Mydearoldsunnyhome

Nobara

3曲続けて、誰もが知るスタンダード・ナンバーにピー先生が新たに日本語詞、中国語詞をつけた作品が披露されました。ピー先生のライフワークとも言うべき新しい切り口での試みを反映させた選曲です。
特に「野ばら」についてはパンフレットにピー先生の特に熱烈な解説(新たな日本語訳の経緯、動機など)があり、将来的には今回のLIVEヴァージョンをレコーディング作品としてリリースしたい、という思いを持たれているようです。

「いい曲は何時までも歌い継がれて行って貰いたい」とのピー先生のパンフでの言葉はそのまま、昨年に引き続いてステージ・コンセプトの核となっています。

「三日月」

Crescentmoon

この曲の前に、ピー先生本人から今年の新曲を紹介するMCがありました。
「僕が作詞・作曲、JEFFがアレンジしてくれました」
と言うと、他ならぬJEFFさん自ら「パタパタパタ・・・」と小刻みに拍手。もちろんお客さんは笑いながら、大きな拍手でそんなJEFFさんに応えます。

さて、「ハートブレイカー」の項でも少し触れた通り、この曲での二十二世紀バンドの演奏で最も注目すべきは、ピー先生とIchiroさんによるツインドラム体制を最大限に生かしたアンサンブルだと僕は考えています(CDを聴いた時から感じていたことです。CDでは、左サイドにミックスされているドラムスがIchiroさんのトラックでしょう)。

「ハートブレイカー」の場合は、「演奏の主役がクルクルと入れ替わる目眩く感覚」を押し出していますが、この「三日月」では、「2つの異なったフレーズが同時進行する緊張感」が醍醐味です。
ピー先生がハイハットの4つ打ちと裏拍のスネアで土台のリズムを刻み、Ichiroさんはタムを駆使したフレーズを連打。これが同時に鳴っています。しかもピー先生は歌いながらの演奏ですからね。よく頭の中がゴチャゴチャにならないなぁ・・・。

ピー先生の作曲でシャッフルのリズムは初めてですが、これはJEFFさん、アレンジャーとしての腕が鳴ったでしょう。極上のパワー・ポップ解釈が素晴らしいです。オレンジズの「恋のダイアリー」を彷彿させます。
2015年の新譜は、いよいよピー先生と二十二世紀バンドが一心同体となった記念すべき1枚となりましたね。近々にも詳しい楽曲考察記事を書きたいと思います!

「時よ行かないで」

Crescentmoon_2

詳しいことは近々にも書く予定の楽曲考察記事までお待ち頂きますが、こちらは「三日月」にも劣らずJEFFさんのアレンジが素晴らしい名曲です。

ピー先生は基本、反復進行のシンプルなメロディーを作るので、ただ単に楽器で伴奏をつけただけではインパクトに欠けることがあり得るかもしれません。しかしこのJEFFさんの完璧なアレンジで、パワー・ポップの名曲としての「時よ行かないで」が誕生。
完璧なだけでなく、キチンとJEFFさんの「音の噛み」のセンスが注入されているところが凄い・・・これは昨年、ピー先生のツアーに参加したことがきっかけでオレンジズ(JEFFさんとNELOさんが在籍するネオ・モッズ、パワー・ポップのエッセンス溢れるロックバンド)のアルバム『
SCORE→』を聴いたからこそ言えることです。

さて、縦横無尽のステップを踏みながら演奏するキーボードのはなさんに、僕はここでも釘付けです。
僕は昨年の経験から、今年のツアーでも二十二世紀バンドの演奏について完全な信頼を持っていました。唯一未知数だったのがキーボードのはなさんです。
昨年のメンバー・なおこさんがキーボードにヴォーカルに大活躍だっただけに、さて新メンバーのはなさんはどんな感じだろう?と思いながらの初日でしたが、いやいや本当に素晴らしかったのです。
これは僕だけでなく、同じツアー初日に参加された先輩方も同じように仰っています。
(もうひとりのニューフェイス、Kenyaさんについては、僕は今年は生で観る機会を逸しました。でも、新潟公演に参加されたみなさまのお声では、Kenyaさんは大変な人気のようです。きっと素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれたのでしょう)

ただ、はなさんはもちろんコーラスでも活躍されましたが、ハッキリ「リードヴォーカル」という曲は今回のセットリストの中にはありませんでした(と、思う汗。記憶違いだったら申し訳ありません。そう言えば、昨年は二十二世紀バンドのメンバー全員が最低1曲はリード・ヴォーカルを担いましたが、今年はIchiroさんのヴォーカル曲も無かったですよね?)。
ですから僕はこの日はなさんのことを、「歌よりも、キーボードの腕前を買われて加入することになったのかな。普段は歌を歌う人ではないのかな」と・・・すっかりそんなふうに思い込んでしまいました。
ところが帰宅後にネットではなさんのことを調べていて、気がついたらYou Tubeにupされているはなさんのオリジナル曲のPVを、時の経つのを忘れて延々とハシゴしていましたよ・・・。
ピー先生のLIVE参加を機に、去年はオレンジズ、今年ははなさんと、まったく同じように「これまで知らずにいた素晴らしい音楽」との出逢いがあったのです。

はなさん、素晴らしいヴォーカリストであり、素晴らしいソングライターでいらしたのですね。
まるで、僕が唯一全アルバムを買い揃えている日本の女性アーティスト、倉橋ヨエコさんを彷彿させる、大変僕好みの曲を作るかたです(倉橋さんと比べると「陽」のイメージが強いですけど)。
斬新な転調を擁する楽曲構成、独特の歌詞世界。
今後、はなさんがどんどんアルバム・リリースを重ね、多くの人がその魅力に気づき大きなムーヴを予感させる瞬間を狙って、是非倉橋さんの時のように、勤務先の会社でスコアを制作し世に問いたい・・・そんな切望を抱かせてくれる魅力的な人だと思います。
これほどの人材を発掘するピー先生の眼力、応える二十二世紀バンドは本当に素晴らしいですね・・・。

ドラムを叩きながら歌うピー先生。
ミュージックスタンドに置いてあった歌詞カンペらしき紙が途中でヒラヒラと落下していったのは、確かこの曲だったように記憶していますが・・・。
でも、すぐに曲は次の紙の部分に進行したらしく、大事には至りませんでした。

「キスして別れる」

1993年リリース、張学友(ジャッキー・チュン)の大ヒット曲だそうです。これも中国では非常に有名な曲のようで、以前中華ポップスをよく聴いていた時期があったというカミさんは僕の持ちかえったパンフを見て、「あ、この曲やったんだ」と興味深そうにしていました。

ピー先生が新たな日本語詞を作ったそうです。
なにせ僕は不勉強にてまったく知らない曲だったものですから、演奏など細かい部分が今はまるで思い出せず・・・情けない限り(汗)。
ただ、中国ポップスからの選曲については、セットリスト前半の曲(「愛しているのは誰」)がロック調で、後半のこの曲がバラード、という記憶は残っています。

パンフの解説によれば、オリジナル音源の伴奏には二胡が採り入れられていて、ピー先生はそのメロディーが好きみたい。二十二世紀バンドがその二胡パートをどのように再現させていたかは、残念ながら原曲を知らない僕には分かりませんでした。
(もしかして、この曲でもNELOさんがボリューム奏法を炸裂させていたのかな。二胡の音色に近い音・・・うん、なんだかそうだったような気がしてきました!)


銀河のロマンス

Sekaihabokura

この曲の前にNELOさんのMCがあったと思います。
(「瞳さんの新曲・・・いい曲ですよね?」とNELOさんが言ってお客さんの拍手が起こったのは、このタイミングだったか、1曲前だったか・・・汗)。
「みんな知ってる曲です。シルヴィー・マイ・ラヴ」と紹介してくれましたが、英語、中国語、日本語の3か国語で歌われるヴァージョンです(中国語詞はピー先生)。

と言っても、セットリスト前半の「花の首飾り」が、アレンジをガラリと変えたヴァージョンであったのに対し、こちらはタイガースのオリジナルに忠実な演奏再現。
イントロ等で登場するキメのフレーズをNELOさんが弾いたり、二十二世紀バンドは2013年のタイガース再結成LIVEをお手本にしているのかな、とも思えました。

サビの追っかけコーラスはALICEさん。
ピー先生の剣舞は見逃しました・・・(泣)。

白夜の騎士

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リード・ヴォーカル、誰だったかなぁ?いや、僕もその場では「あぁ、この曲は○○さんのヴォーカルか!」とちゃんと把握しながら楽しんでいるのですが、後から思い出そうとして「むむむ・・・」と(汗)。
ALICEさんだったかなぁ・・・。

タイガース・ナンバーからのセトリ入りということで言えば、ファンにとっては昨年採り上げられた「都会」に匹敵するサプライズ選曲でしょう。
2011~12年の老虎ツアーでも、2013年の再結成時でも歌われていない曲ですからね。

演奏でハッキリ覚えているのは、NELOさんのギターの単音とはなさんのキーボードがユニゾンであの「枯葉進行」のパートを弾いていたこと。
ピー先生のシンバル剣舞、ここでも見逃しました・・・この曲のドラムスなら絶対シンコペーションでやっていたに違いないのに~。
いつもお世話になっている先輩は、「この曲をピーのドラムで聴けて嬉しかった。(ピー不在の)同窓会の時のこの曲は辛かったから・・・」と仰っていましたね。

君だけに愛を

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イントロの「キュイ~ン♪」だけでそれと分かるナンバー。やはり今年も堂々のセトリ入りです。

二十二世紀バンドはギター1本の編成ですから、3連符のアルペジオからビフラートで長く伸ばす単音いずれもNELOさんが瞬時に切り替えての演奏・・・お見事。
とにかくNELOさんはメチャクチャ気合が入っていて、気持ちも相当ノッていたのでしょうね・・・「夢の世界へ~♪」の直後、ピタッ!と演奏が止まった瞬間に、ピー先生のフィルに合わせたタイミングで


「うあ~っ!」


とオフマイクで絶叫してからギターソロを弾き始めたんですよ。ALICEさんがそれを見てニッコリしてね・・・僕はこういうシーン、大好きです。
それは、充分にリハを行い稽古を積み重ねてステージに立ったバンドが、本番で稽古以上のパフォーマンス、最高の力量を発揮しようとする正にその瞬間にこそ起こるシーンなのですから・・・。

JEFFさんのリード・ヴォーカルも昨年同様素晴らしい!
指差しはALICEさんが左右の手を交互にピシッ!と伸ばしてやってくれるのですが、JEFFさんも「タッチしたい~♪」の時に左手を情熱ポーズで客席に向けてくれます。これは、この時JEFFさんが開放弦を使っていることの証でもあり、すなわちコードは「D7」ということになります。オリジナルと同じキーでの演奏です。

エンディングの美しいハーモニーで近親移調に着地するロングトーン。ALICEさんが頭上で拳を握るのを合図にして、全員がピタッと声を切ります。これはタイガースではジュリーの役目でしたね。

「スキニー・ミニー」

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個人的には今回のセットリストで一番嬉しかったのがこの曲。2013年再結成の時、「聴きたいなぁ」と考えていましたが叶いませんでした。まさかピー先生のツアーで初体感できるとは!
8分音符3つ打ちの手拍子は、IchiroさんとALICEさんが頭上でリズムをリードしてくれたので、当然お客さんも参加。曲中、何度も何度もありますからね・・・とにかく「楽しい!」のひと言です。

二十二世紀バンドの演奏パートそれぞれに見せ場もありました。僕が驚いたのはALICEさんのブルースハープです。上手い!昨年はハープ演奏は無かったですよね?相当練習されたのではないでしょうか。
また、JEFFさんは歌メロの時とソロ部とではハッキリとグルーブを変えてきていました。16ビートっぽいソロは、昨年の「ジャスティン」でのソロを思い出します。

曲が終わるとピー先生のMC。
「この曲、何かの曲に似てるんですよ。タイガースの何かの曲に似てるんです。これからやりますけど!」
とのことで、次の曲が分かっちゃいましたね。

「白夜の騎士」についてピー先生が、「花の首飾りもそうですが、北海道の一般のかたの公募による作詞で・・・」と解説していたあたりだったでしょうか、はなさんがちょっと鍵盤に触れちゃったらしく、「ぽ~ん♪」と1音だけ音が鳴りまして、「やっちゃった!」という感じで、「気をつけ」の姿勢で恐縮していらっしゃいました(笑)。

ピー先生の「ここからは、タイガース・メドレーです!」の言葉で、セットリストは佳境に入ります。

シー・シー・シー

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ここから数曲、タイガースのオリジナル・ナンバーが続きます。「メドレー」と言っても曲が繋がっているのではなく、フルコーラスではなく短めにアレンジされた「メドレー・サイズ」でお届けします!という主旨での「タイガース・メドレー」ということでしょう。

まずはピー先生曰く、「スキニー・ミニーに似ている」という「シー・シー・シー」。イントロが始まるとすぐに僕は、休憩時のお約束を果たすべくサッと立ち上がり、隣のお姉さまにも身ぶりで「立って、立って」と。
嬉しそうに立ってくださいました。良かった!

もちろん、「スキニー・ミニー」に続いてこの曲でもお客さん全員が手拍子参加ですが、みなさんこの日は2、4拍の普通のアクセントでした。
見える限りでは「うん・たた・ん・たた!」とやっていたのは僕ひとりだけのようでしたが、後ろのお客さんはどうだったのかなぁ。ステージのメンバーからは、僕の 「シー・シー・シー」正調の手拍子が見えていたかな?

青い鳥

Human

このまま最後までスタンディングかな、と思っていたところで穏やかな「青い鳥」。後ろは確認していませんが、前方席のお客さんがひとまず着席したので僕らもそれに倣いました。
こうした「立っていようか、どうしようか」というぎこちなさもまた、ツアー初日ならではの醍醐味と言えます。会場を重ねてセットリスト(の情報)がお客さんに馴染んでくると、おそらくここでもスタンディングのまま聴くことになると思われますが・・・。

2013年の再結成ツアーで初めてこの曲のドラムスに耳が行ったことを思い出します。
「青い鳥」が全体として朴訥な曲であることは確かですけど、サビのコード進行は実はハードで、最後に連打されるピー先生のキックが重厚なんですよね。

シーサイド・バウンド

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イントロが始まるや、今度は隣のお姉さまもすぐに立ち上がりまして、いよいよセットリストも大トリへ向かってきたな、という空気が会場に充満しています。

ショート・ヴァージョンなので、お約束のステップ・タイムは曲中1度限りのお楽しみ。もちろんお客さんも一緒ですが、ピー先生はドラムスに専念。
JEFFさん、ALICEさん、NELOさん、はなさんが並んでステップを踏んでくれますが、キーボードに身体がぶつかっちゃうじゃないか、というくらいに満面の笑顔でぴょんぴょん跳んでいたはなさんが素敵でした。
直前にピー先生、「ひゃあ~~っ!」とか叫んでたはずなんですが、記憶が~(汗)。

エンディングのタイミングを決める「ヘイ、もう一丁!」の合図は、バンマスJEFFさんの役目です。

誓いの明日

Funale

確信はありませんが、イントロでちょっとした手違いがあったのかなぁ?
JEFFさんがNELOさんに何か合図をしながらの演奏となりました。聴いていて何も違和感は無かったけど、リハとは違うアレンジ進行だったのかもしれません。

「tu・・・tu,tu,tu,tu・・・」のコーラス部、NELOさんが下の音でハモっているのがハッキリ聴こえました。コーラスでのNELOさんは、タイガースで言うとタローのパートを受け持っているようです。
(後註:リード・ヴォーカルはALICEさんだった、と先輩の情報で確認しました)

さて。
上記の通り、曲タイトル下に添付する収録アルバム・ジャケットの画像・・・この曲は敢えて『フィナーレ』にしました。理由はひとつ。今回の「誓いの明日」は、1971年1月24日以来の、ピー先生のドラム・ソロありのアレンジで演奏されたのです。
未来への明るい道のりを歌ったはずの「誓いの明日」は、リリース時からタイガースファンにとって「解散」の悲しみを背負った辛いシングル曲となっていました。それが2011~12年のピー先生復活のツアーでセットリスト入りを果たし、ようやく歌詞本来の「明るさ」を以てファンを喜ばせたのですが、あの時はドラム・ソロが無かったんですよね。
2015年、遂にドラム・ソロありのヴァージョンが降臨。
いつもお世話になっている先輩も感激されていました。この曲に纏わる先輩方の悲しみは、これで完全に払拭されたのではないでしょうか。

ピーファンのみならず、すべてのタイガース・ファンに聴いて欲しい「誓いの明日」です。ツアーはまだ始まったばかり・・・みなさまも、是非!

怒りの鐘を鳴らせ

Soundsincolosseum

イントロに鐘の音は無かったような気がする・・・と言うのは、重々しいストリングス系のキーボードが始まって、「何の曲だろう?」と一瞬迷った記憶があるから。
続くピー先生のフィルで、この曲と分かりますね。

さて、ピー先生のこの日のドラムス、前半は「ハートブレイカー」、後半はこの「怒りの鐘を鳴らせ」が特に素晴らしかったと思います。これまた、2011~12年のツアーの時より今回の方が良かったんですよね~。
ロールの前に躊躇い・・・というか準備の空白がまったく無くて、正に縦横無尽。
ハードな曲想で各楽器の音の厚みを感じる曲ではありますが、主役は完全にピー先生のドラムスです。

鬼神ロール”は何度も炸裂しました。
割と最後の方だったと思うけど、豪快なフィルの後、ピー先生のスティックが旋回しながらALICEさんの足元すぐ近くに飛んでいきました。僕は思わず「あっ!」と声を上げてしまいましたが、すぐに予備のスティックに持ち替えるピー先生。魔法のようです。
この時、ほんの一瞬だけALICEさんが「拾ってあげなきゃ」みたいな感じでスッとかがもうとして、すぐにやめたんです。反射的な身体の動きだったのでしょうね。
リハーサルでは、ピー先生がスティックを飛ばしちゃった時にALICEさんが丁寧に拾い上げていた・・・そんなシーンがあったのかもなぁ、と勝手に想像しました。

2011~12年のツアーでよく見た光景・・・「怒りの鐘を鳴らせ~♪」のサビ部で拳を突き上げる(ジュリーに倣って)パターン、何人かのお客さんはやっていましたね。

「蛍の光」~「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」

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ここからセットリストは、昨年のツアーと同じ流れとなりました。この曲が始まると「あぁ、もうすぐ終わっちゃうんだなぁ」と、やっぱり寂しい気持ちになりますね・・・。

ALICEさんの透き通ったアカペラ独唱からのスタートでした。バンドの音が加わって、エンディング前にはピー先生の「語り」が入ります。
ここでバンドは音量を下げるのですが、ここまで全力で演奏し歌ってきたピー先生は息も乱れ、最初の方は言葉が聴きとれませんでした。と見るやすかさず、さらに音量を限界まで落とす二十二世紀バンド・・・さすがのチームワークでした。

ピー先生は最後にメンバー紹介。昨年も同じことを思ったんですけど、年齢の若いメンバーから順に紹介しているのかな・・・?
その後改めてALICEさんが大トリでピー先生を紹介し、一層大きな拍手の中で演奏終了。続く次の曲は、タイガースファンなら誰でも予想できますね。

ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue

昨年同様、ピー先生は豪快なフィル・インを叩いた後ドラムセットを離れ、その後のドラムスはIchiroさんに任せてヴォーカルに専念します。

最近のジュリーやタイガースのLIVEだと、曲が始まってからず~~~っとジュリーが延々「L」の字ポーズじゃないですか。僕らもそれに倣っていると途中で右肩がキツくなることがしばしばなのですが(え、僕だけですか?情けない・・・)、ピー先生と二十二世紀バンドのLIVEでは、「L」の字はサビ限定ですから疲れ知らず(?)で参加できます。
「L」ポーズの揺れ具合については、ALICEさんに合わせると会場の動きが綺麗に揃うと思います(ピー先生はヴォーカルの加減で時々止まったりしますからね)。

あと、昨年同じように演奏していたかどうか記憶が無いのですが、NELOさんのボリューム奏法を目の前で見ることができました。いやぁ素晴らしいですね~。
2番Aメロのひと回し目で炸裂します(2回し目からはコード伴奏に切り替えていたと思います)。
こういうシーンをハッキリ確認できたのも、今回の神席のおかげ・・・有難いことです。

曲が終わると、メンバーは深々と客席に頭を下げ、大きな拍手の中を退場。
でも、会場の誰も「これで終わり」な~んて思ってはいませんよ~。お客さん全員が、すぐさまアンコールを求める拍手に切り替えました。

~アンコール~

老虎再来

Theroad

熱烈なアンコールの拍手に迎えられ、メンバー再登場。はなさんが真っ先に駆けてきました。確か去年のなおこさんも、ここで走って入ってきてたなぁ。

「蛍の光」からアンコールまでのセットリストの流れは、昨年とまったく同じ。
でも考えてみればここまで、他に昨年のセットリストとの重複は「君だけに愛を」「シー・シー・シー」「シーサイド・バウンド」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」といった超有名のみ(厳密には「花の首飾り」もそうですけど、歌詞そしてアレンジがまったく違いますからね)です。
いくつかの「定番曲」を軸として、それ以外は積極的に選曲をいじっていこう、というピー先生の志、二十二世紀バンドの向上心がファンとしては嬉しいですよね。だからこそ、本割最後とアンコールの「定番曲」が大いに盛り上がるというもの。

アレンジの肝である歌メロ直前のピアノのフレーズを、はなさんが鍵盤を射抜くような瞳で情熱的に「叩いて」演奏するシーンがとても良かった!
スタンディングすると、鍵盤のひとつひとつまでハッキリ見えましたからね~。

あと、NELOさんのギターは昨年から進化し、2番Aメロで細かなオブリガートを挿し込んでいました。他演奏パートについても、僕の気づかない進化がたくさんあったのでしょう。

何より、スタンディングでヴォーカルに専念するピー先生・・・アップテンポの曲では声も伸びやかで音程も安定し、伴奏部でステージを駆け回る大サービス。
お馴染みピーダンス、健在です!

楽しい時は歌おうよ

Apictureofmymother

アンコール2曲の流れは昨年と同じく、ピー先生自作のノリの良いナンバーが並びました。
僕は、「老虎再来」にも登場するピー先生の「怖くない♪」というフレーズが、様々な経験を積んできたピー先生の人生の極意、真髄だと思っていて、ピー先生はそれを今、聴き手と共有しようとの思いで音楽活動に邁進しているように感じます。

LIVEではエンディングで長尺となる「ランラン、ランラン・・・♪」のキメのコーラス部、ピー先生はマイクをお客さんに差し出し「一緒に歌って!」と煽ってくれます。
耳に手を当ててお客さんの声を確認するや
聞こえない!
と一喝(笑)。
このあたり、「先生時代」のピー先生の教壇での姿を想像しちゃうなぁ。

お客さんの声が揃ったところで、今度はメンバーひとりひとりの立ち位置に出向き、この日の完璧なサポートの御礼を言うように目を合わせるピー先生。
昨年に引き続き、ドラムスを叩くIchiroさんの口元に「歌え~!」とマイクを当てるシーンも。

その後ピー先生が改めてお客さんに向き直って踊り歌い、僕も「そろそろ(演奏終了の)頃合いだな」とちょうど感じていた時だったのですが、ふとALICEさんが「あれっ?」みたいな表情をされたんですよ。
見ると、JEFFさんがIchiroさんの方に上半身を寄せて、何やら打ち合わせをしている様子。

はは~ん。
これは・・・何かの合図をきっかけに最後のワンコーラスとする(「シーサイド・バウンド」の「ヘイ!もう一丁」的な決め事が、この曲では目立たぬような形でバンド内でとりかわされていたのだと思います)べきところを、ピー先生が熱中してすっぽかして、そのまま演奏が続いている状況なんだな、と思いました。

おそらく、合図はIchiroさんの役目(特殊なフィルか何か)だったのではないでしょうか。
JEFFさんに指示された次の地点で再び合図を出す(いや、推測ですけど)Ichiroさん。
しかし!ノリノリで踊りまくり歌いまくるピー先生、ここも再び華麗にスルーし、さらにステージの端から端へと動き回ります。Ichiroさん、「まだですか~」と演奏を続けながら、たまらず大爆笑。
と・・・これがこの記事の冒頭で少し触れていたシーン。

あくまでステージ上のバンドメンバーの動きからの個人的な推測ですが、初日の「楽しい時は歌おうよ」は、本来用意されていた構成よりも2コーラスぶん長かった!というのが僕の見解です。
実際はどうだったのでしょう?

曲が終わるとピー先生が「おいでおいで」をして全メンバーをステージ前方に集めて1列となり、繋いだ手を一斉に頭上に掲げての「バンザイ」で締めます。
タイガース再結成ステージでのシーンを思い出しますねぇ・・・人数も同じですし。
大きな拍手に送られ、メンバー退場です。

~ダブル・アンコール~

「三日月」

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客電が消えたままだったので「もう1回最後の挨拶に登場してくれる!」と思ってはいましたが、再登場した二十二世紀バンドのメンバーは所定の演奏位置へ。
「曲をやってくれるんだ!」と拍手が爆発。

スタンドマイクのピー先生の「CD買ってね~」という「念押しお願い」に続いて演奏されたダブル・アンコールは、新曲「三日月」のインストゥルメンタル(ピー先生はアドリブのハミング)でした。
短い演奏でしたが、オマケのオマケ、嬉しかったです。さすがに前曲の「楽しい時は歌おうよ」で大団円、と思っていましたから(おそらく会場のほとんどのファンがそう考えたでしょう)、サプライズですよね。

演奏が終わり大きな拍手の中、ピー先生を中心に全員が並んで最後の挨拶。
再度の「バンザイ」もあり、これでフィナーレです。

いやぁ、素晴らしいステージでした!
とにかく「楽しい」のひと言なんです。ジュリーのライヴとはまた違った充実感・・・うまく説明できませんが、良い意味でバンド全体にに初々しい感じがすると言うか。その上で的確な演奏と、バランスの良い選曲。プロフェッショナルの凄味を見せつけられるのです。
二十二世紀バンドは本当に素敵なバンドです。「音楽の魔法」感覚を5人で自然に持ち寄っています。
JEFFさん、NELOさん、ALICEさんの3人は、それぞれMCでもキャラを発揮していましたね。

そして主役のピー先生・・・とにかく、音楽活動全般のレベルが年々上がってきていませんか?
若いアーティストのLIVEに毎年通っていて、次第に成長してゆく姿を見守るのが楽しい、というパターンは普通かもしれないけど、僕がピー先生のドラムを初めて観たのは、ピー先生が65才の時ですよ。
それから僕は何らかの形でピー先生の演奏を年に一度は観続けていますが、ピー先生はハッキリとドラムスの腕前についても進化し続けています。
人間、いくつになっても志と努力で技術は向上するのだ、と教えられる気持ちです。

それに、楽器の演奏だけではないですよね。何と言っても、ピー先生よりもずっと若いメンバーも在籍する二十二世紀バンドを纏め上げる、その求心力。
例えば、どの曲だったかは忘れたんですけど、リードギターのソロでNELOさんがステージ前方まで進出してきて、いつしか横で踊っていたピー先生と差しむかいになって絡んだシーンがありました。それが本当に自然なティーンズ・ロックの雰囲気で・・・。
昨年も思ったのですが、これは長年教師という職業に就き、若い学生と交流してきたピー先生の経験が無ければ為し得なかったこと。多くの才が集う音楽界で、ピー先生にしかできないことではないでしょうか。

できれば今年のツアーをもう一度観たい、と思いました。ヴォーカルや演奏で見逃してしまった部分が多いし、二十二世紀バンドの鮮度は何度でも味わいたい。
実現するかどうかは分かりませんが、機会があれば・・・と思っているところです(まだ詳しく確認できていませんが、4公演目の宇都宮で早くも選曲や演奏順に変化があった、との情報を得ていますし・・・)。

ツアーはこれから九州シリーズを経て関東圏に戻り、その後仙台、札幌、神戸、名古屋と続いていきます。それぞれ地元の公演を待ちわびていらっしゃるファンのみなさまは、ネタバレ我慢も大変でしょうね。

いずれにしても、この先の進化、変化も含めてまだまだ楽しみな今年のツアーです。
初日は後方の座席に空席も目立っていましたが・・・全国各地のタイガースファンのみなさま、こんな素敵なステージを見逃す手はないですよ!
ツアーはまだ始まったばかりです。
参加を迷っておられる各会場お近くのみなさま・・・僕のこんな拙いレポートではありますが、お読み頂き少しでも興味をそそられましたら、是非お出かけください。
楽しい時間が待っていること、請け合います!

20150929

それでは次回更新ですが・・・ジュリーの川越公演参加までには、少し間がございます。
4月に加瀬さんのことがあって以後、急遽加瀬さん作曲作品の記事だけを書いてきましたが、その頃に考察記事を書くつもりで採譜を済ませていたジュリー・ナンバーがいくつかあります。その中からお題を選んで、ひとつ記事を仕上げようと思っています。

今年の流行り風邪は、鼻水と咳がメインです。
僕も随分快復したとは言え、まだその2つの症状は残ったまま・・・。みなさまも充分お気をつけください。

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