沢田研二 「二人の肖像」
from『JULIEⅥ ある青春』、1973
1. 朝焼けへの道
2. 胸いっぱいの悲しみ
3. 二人の肖像
4. 居酒屋ブルース
5. 悲しき船乗り
6. 船はインドへ
7. 気になるお前
8. 夕映えの海
9. よみがえる愛
10. 夜の翼
11. ある青春
12. ララバイ・フォー・ユー
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暑中お見舞い申し上げます。
関東では、水曜、木曜といくらか気温が下がった(とは言えそれでも充分暑かった)のですが、週末にはまたまた過酷なまでの暑さが戻ってきたようです。
熱中症など、本当に気をつけないといけませんね。
どうしても長く外を歩かざるをえない場合は、試しに『奇跡元年タオル』に保冷剤をくるんで首に巻きつけてみてください。首筋が冷えるだけでも全然違いますよ~。
いや、別にタオルの種類は『奇跡元年』でなくても何でも良いんですけど(笑)。
今週後半は暑い中、郵便屋さんが大活躍。澤會さんからツアー・チケットが各地に届いたようです。
会場振替希望の申込が21日の締切だったことを考えると、7月中のチケット発送というのは澤會さんにとって相当大変な作業だったはずです。ファンにとって最高の暑中お見舞いに、感謝しかありませんね・・・。
今回僕が受け取ったのは、YOKO君と参加予定の大宮公演のチケット。今年の僕はポール・マッカートニーの来日公演で席運をすべて使い果たしておりますので、大宮も初日フォーラムと似たような感じのお席を頂くこととなりましたが・・・全然オッケ~、楽しみです!
澤會さんと言えば、再発されることになったEMI期のアルバム、僕は先日申し込みを済ませました。
今週ずっとうっかりしていて、木曜の朝になって突然思い出し出勤前に払込書を記入していたという(汗)。締切ギリギリの申込となってしまいました。
もちろん普通のCD再発ですから締切を過ぎても一般のショップさんで購入することは可能なんですけど(アマゾンさんなどでも予約受付が始まっているようですね)、今回は色々と感謝の気持ちもあって、澤會さんから購入したいと思っていたのです。
澤會さんでは今回、5枚以上の申し込みで特典グッズがついてくるとのことでしたが、僕が購入するのは『架空のオペラ』を含むCO-CoLO期の4枚ということで残念ながら1枚分足りず。まぁ、仕方ありませんね・・・。
さて。
暦は8月となり、『こっちの水苦いぞ』ツアー初日まであと2週間ちょっと、というところまで来ました。
拙ブログでは、4月末から一貫して加瀬さんの作曲作品のお題で更新を続けてきました。ツアー日程の延期を受けて改めて目標として掲げた「ジュリーが歌ったKASE SONGS全曲考察記事制覇」・・・残すは今日のお題含め3曲となっています。
17日の東京国際フォーラムまでに、必ず目標を達成したいと思います。
本日採り上げる曲は、アルバム『JULIEⅥ ある青春』から、「二人の肖像」。
6月半ばの段階でほぼ記事の下書きを終えていたのですが、加瀬さんが作った切ないメロディーに合わせてしまったかのような暗い考察内容で、その直後に僕の気持ちが「心から加瀬さんの曲を楽しみ、笑顔で加瀬さんを送りたい」と変化したこともあり、「いずれの機会に再考察を」といったん横に置いていた曲です。
今回、改めて新しい角度から色々と紐解いてみた結果、その時の下書きを全面的に書き直すほどの考察記事となったのは嬉しい誤算でした。
この曲が大好きで「記事を楽しみにしています」と仰ってくださったナタリー様はじめ数人の先輩方に感謝を込めて、みなさまからのリクエストという形で今日は記事更新させて頂こうと思います。
伝授!
「二人の肖像」・・・アルバムの中でも大好きな曲ですが、一方で「異色作」のイメージも持っています。
まずは何故僕がこの曲を「異色」と感じているのかを語っていきましょう。
これまで何度か他収録曲の記事で書いたことがあるのですが、僕は『JULIEⅥ ある青春』というアルバムを、『JULIEⅡ』(僕がこの世で最も愛するアルバム)で描かれた物語の主人公の少年が成長した数年後の物語・・・「ジュリー=船乗り」のコンセプトを持つ続編作品のようにして聴いています。
「許されない愛」を断ち切り港町を離れ、文字通り人生の大海へと踏み出した『JULIEⅡ』主人公の少年は、『JULIEⅥ ある青春』では日焼けした逞しい船乗りの男へと成長していて、自らの船を持ち仲間達と楽しい航海の日々を送っている・・・立ち寄った港ごとに気ままに恋をし、時にはちょっとだけ傷ついたり、時には仲間の恋路にも介入したり(笑)。
収録曲それぞれに「船」「海」「港」などのイメージを得て、僕はこの『JULIEⅥ ある青春』を『JULIEⅡ』に続くコンセプト・アルバムとして楽しんでいるわけです。
しかしながらただ1曲、そんなイメージに当てはめることのできない、「都会の日常の中のラヴ・ソング」としか捉えられない曲・・・それこそがこの「二人の肖像」。
ちょっとしたことで諍いとなり、別れ話をしてしまう恋人同士。でもいざ腰を据えてひとり考えてみると、相手の存在は一層愛おしく、どちらからともなく再び言葉をかわしている・・・これはさすがに「自由気ままな船乗り」のストーリーとは解釈しようがありませんよね。
もう1つの「異色」は、季節のイメージ。
これは以前「夜の翼」の記事で書いたんですけど、僕が『JULIEⅥ ある青春』に勝手に抱いている季節は「真夏」(レコーディングは「初夏」あたりなのでしょうが)。
他のすべての収録曲が真夏の灼熱の太陽と海を連想させる中、「二人の肖像」だけは「秋」から「冬」にかけての雑踏のイメージなんですよね・・・。
これは、初めてこの曲を聴いた時に「短調のバラード」であること、或いは楽曲タイトルに「二人」というフレーズがある、という共通点から『いくつかの場面』収録の「燃えつきた二人」を連想したことが大きいと思います(僕はポリドール時代のアルバムも後追いで大人買いしていて、『JULIEⅥ ある青春』より先に『いくつかの場面』を聴いていました)。
ただ、この2曲が共に加瀬さんの作曲作品である、と気づいたのはずっと後のことで(汗)、僕はある時期まで「二人の肖像」を山上路夫さん作詞、森田公一さん作曲のナンバーだと思い込んでいたのですからお恥ずかしい限りです。『JULIEⅥ
ある青春』について、「山上=森田作品が7曲でZUZU=加瀬作品が5曲」だと何かの曲の記事の時に書いてしまっている記憶も(汗汗)。
これは本当に楽曲の雰囲気から勝手に決めてかかっていた思い込みによるもの。
というのは、「二人の肖像」はアルバム・タイトルチューンの「ある青春」(山上=森田作品)と曲想がとても似ているのですよ。もの悲しいピアノ伴奏から導入して、ジュリーが切々と歌う感じがね・・・。
多くのジュリーファンのみなさまは「短調のバラード」というと、阿久さん=大野さんコンビによる情念に濡れた独特の世界観を持つ幾多の名曲をまず想起するかもしれません。「時の過ぎゆくままに」がそうですし、加瀬さん作曲のナンバーをその類にカテゴライズするなら、先日執筆した「愛はもう偽り」などがそうでしょう(まぁ、「愛はもう偽り」の場合は井上バンドの演奏により「バラード度」よりも「ロック度」の方がずいぶん高くはなっているけれど)。
でも、「燃えつきた二人」と「二人の肖像」は短調のバラードでもタイプが違いますね。
どこか渇いている、それでいて寂寥感溢れる加瀬さんならではのメロディーとコード進行。
あの天真爛漫な加瀬さんが、「重いバラード」を追求し短調のメロディーをジュリーのキャラクターに重ねた結果、曲にかけられた魔法・・・「二人の肖像」はそんな名曲だと思います。
ここで、加瀬さんがかつてジュリーへの楽曲提供について語った言葉が掲載されている資料をご紹介しましょう。Mママ様からお預かりしているお宝切り抜き資料のひとつで、73年の『沢田研二新聞』です。
「ヒットを狙うばかりでなく重みのある作品を心がける」・・・加瀬さんのこの言葉には、「俺はジュリーを安売りさせない!」という気魄を感じます。
「重みのある作品」とは別に曲想に限ったことではなくもっと根本的なコンセプトを指すものと思いますが、「重み」という言葉から単純に連想するメロディーはやはり「二人の肖像」のような短調の曲です。
また、「重み」は「深み」でもあり「広がり」でもあるでしょう。ジュリーという特別な存在は、その活動のひとつひとつが互いに関わり合いを持ち、結果大きなイメージへと収束することこそ望ましい、と加瀬さんは考えていたのではないでしょうか。
ここで、「広がり」「ひとつひとつの活動それぞれの関わり合い」の観点から、今度は「二人の肖像」での安井さんの作詞について考えてみましょう。
淡々と、恋人達のやりとりを描いているこの詞こそ、僕が「船乗り」の物語を勝手に抱いている『JULIEⅥ ある青春』の世界観の中では異色作。
アルバム全体を考えればもっと大陸的なイメージの詞で重い短調に合わせた方が自然ですし、安井さんならそれは容易くできたはず。安井さんは何故この曲で、都会の片隅で育まれるさりげない恋人同士の物語を描いたのでしょう?
数週間前の僕ならこの疑問にはお手上げ、「たまたまそういう歌詞が生まれたのだろう」程度で片付けていたかと思いますが、幸いにも今は一考察ありますよ~。
キーとなるのはアルバム・リリースの「1973年」。
この年のジュリーの歌以外の活動と言えば・・・そう、ドラマ『同棲時代』があります。
安井さんは、『同棲時代』を演じた俳優・ジュリーに触発されて「二人の肖像」の物語を書いたのでは?
物語的にも時期的にも、リンクしますよね?
ヒヨッコの後追いファンが、単に「同年の作品だ!」と今さら発見しフンコーしているだけという怖れもありましたので、いつもお世話になっている先輩に、「二人の肖像」と『同棲時代』に共通するイメージが当時あったのかどうか尋ねてみました。
「自分も含めて、そう考えていたジュリーファンは多いと思うし、実際そうしたことをネットに書いているかたもいらっしゃる」
と、教えて頂きまして・・・まぁ実際のところは安井さん本人にしか分からないこととは言え、「やっぱりそうか!」と思うと同時に、73年当時のジュリーをとりまく空気感も、少しだけ分かったような気がしました。
僕が「二人の肖像」と『同棲時代』との関連の可能性に思い当たったのは、ほんの先日のこと。
改めての考察に向け各地の先輩方からお預かりしている73年のお宝資料をあれこれと読みながらネタ探しをしていて、「あっ!」と目に止まったのが、『Letter』という小冊子に掲載されていた『同棲時代』についての素敵な文章でした。
これまた岐阜のJ先輩であるMママ様にお借りしているこの小冊子『Letter』は、『ロックセクション名古屋』さんの製作。(おそらく、ですが)商業誌ではなく、あくまでジュリーファン手作りの冊子ということで、このようなブログでその誌面をご紹介してしまうことは、心血注いで編集に打ち込んだその道の大先輩の方々に大変な失礼に当たると考えますから内容画像の添付は控えたいと思いますが(いつの日か、制作に携わった先輩方とのご縁を頂き、その一部でもブログへの掲載を直接お願いする日が叶うことを夢見ています)、本当に丁寧な編集作業とジュリーへの愛情が伝わってくる素晴らしい1冊です(まず、『Letter』というタイトルが素敵じゃないですか!)。
特に、当時ジュリーファンの間で最高に旬な話題だってであろう『同棲時代』への感想を綴った文章には、ただただその感性に打ちのめされるばかりで・・・「なるほど、ジュリーファンはきっとみなさんそんな気持ちだったんだろうなぁ」と思わせてくれました。
「二人の肖像」の歌詞で最も目を惹くのは
幾度 ふたりが 別れ話しを・・・ ♪
Dm Am7 Dm Am7
と、詞の最初と最後にまったく同じフレーズを配した構成。「別れ話しを・・・」と、物語を途中経過状態で放り投げた(結論が出ない)ような印象を受けます。
これが『同棲時代』の、「壊れそうで壊れない恋人同士の生活」を示している、ともとれるんですよ。
ひと月ほど前に一度この曲の最初の考察に取り組んでいた時の下書きで、僕はこんなことを書いていました。
「二人の肖像」に登場する若い男女の行く末に、僕はどうしてもハッピーエンドを感じないんですよ・・・
これは僕が加瀬さんの「短調のバラード」に惹き込まれている、憑りつかれている証でもありました。当然、そうした思いは今でも持ち続けています。
この曲は確かにサビの
帰った後で気がつく 嫌いじゃないのさ むしろ♪
F A7 Dm F A7 Dm
の箇所から、明るい長調のニュアンスへの変化も見せてくれます(平行移調)。でもサビの最後の着地点は物悲しい短調のトニック・コードなのです。この点は「燃えつきた二人」ととてもよく似ています。
僕はそんな点からいったんは、「悲劇的結末」に拘ってこの曲を考察していました。
きっとタイムリーで『同棲時代』を観ていらした先輩方の「二人の肖像」への思いは、曲想やアレンジに感想を左右されがちだった僕とは全然違って
「何故この人と一緒にいるんだろう?」
と、お互いに疑問を持つ「二人の肖像」に登場する男女のその後に、「それは、好き合っているから!」というシンプルな答を自然に見出していらしたのでは・・・?
先輩方には「二人の肖像」のハッピー・エンドが見えているのかも、と今回僕の思考もそこまで進みました。いかがでしょうか?
このように、73年というあの時代の若い男女が互いに強く惹かれつつも「何故つきあっているんだろう」「何故一緒にいたいんだろう」とふと立ち止まるシーンを描いた「二人の肖像」は、『同棲時代』と色々な意味でイメージが重なります。
現代においては、「愛することの責任」「頼り頼られることの意味」は若者の間で希薄となり、すべてがヴァーチャル体験の延長のようになっている、と見る向きもありますが、「二人の肖像」や『同棲時代』のような物語は現代でも若い人達の日常で普通に起こっていて、それぞれが相手のことを見つめ、自分の在り方を自問しながら生きているのではないでしょうか。
若い時期に「真剣に打ち込む」対象が「恋愛」で何も悪かろうはずがない・・・そうした経験はきっと「考える」力を育てるのでしょう。
そんな力を持つ若者よ、俺達は信じてるぜ!
さてさて、この曲も(これまた長崎の先輩から長々とお借りしてしまっている)手元のお宝本『沢田研二のすべて』にスコアが掲載されています。
これがね~、大らかさでは掲載曲中1、2を争う採譜になっておりまして、表記通りに演奏すると、何やら落ち着きのない、愉快な歌になります。コードがお分かりになるかた、試しにちょっと弾いてみて(笑)。
しかしながら、それを叩き台にしてあれこれ修正していくのがまた曲の真髄に迫る作業でもあるので、このスコアはやっぱりとてつもなく貴重な資料なのです。
ほぼ全面的な修正が必要となる中で、「特にここは!」と語りたい箇所・・・スコアでは採譜されていないコード進行で最も大切な、加瀬さん渾身の作曲手法が堪能できる部分は2箇所あると僕は考えます。
まずは何と言っても
特別 理由もないのに アア ♪
B♭maj7 B♭ C Caug
この「あ~あ♪」の「Caug」です!
これまで何度も書いていますが、加瀬さんはジュリーのファースト・ソロ・シングル「君をのせて」について、「あ~あ♪と歌うところが沢田らしくてイイ!」と絶賛、ジュリー曰く「その後ワタシは、あ~あ♪と歌う曲が多くなりました」とのこと。
「二人の肖像」もそんな1曲なのですね。
この曲の記事を「楽しみ」と仰ってくださった先輩も、この「あ~あ♪」は特に好きな箇所とのこと。ジュリー必殺の「あ~あ♪」に、「二人の肖像」の進行の中で一番おいしいオーギュメント・コードのアイデアをあてた加瀬さん、確信犯だと思います。
当時のZUZU=加瀬さんコンビのジュリー・ナンバー制作は、加瀬さんの曲が先にあって後から安井さんが詞を載せる、という作業順序であったことが、最近いくつかの資料から分かってきました。
おそらく加瀬さんは作曲のデモ・テイクでは、メロディーにでたらめな英語やハミングを載せて録っていたものと思いますが、きっと「二人の肖像」のこの部分についてはデモ録音の段階から既に「あ~あ♪」と歌っていたんじゃないかな?
安井さんは加瀬さんの「あ~あ♪」への渇望(?)を暗黙のうちに汲み取り、そのまま歌詞に使用した・・・そんな推測はいかがでしょうか。
オーギュメント・コードを使った進行には様々なパターンがありますが、「二人の肖像」での加瀬さんによる上記進行は、ビートルズ「イッツ・オンリー・ラヴ」の「my oh my♪」の部分と理屈は同じ(ビートルズの中では有名な曲ではないので分かり辛いかな・・・)。
ちなみに加瀬さんはジュリワンの「渚でシャララ」で「二人の肖像」とはまったく違ったオーギュメント進行を採り入れていて、こちらは2012年のジュリーのマキシ・シングル『Pray』収録「Fridays
Voice」の「この国が♪」から始まるBメロ部の進行が同じ理屈です。
もうひとつ僕が惹かれるコードを挙げると
お前を 好きだよ ただひとり ♪
Gm7 B♭m Dm
この「B♭m」。
これは少し前に記事を書いたワイルドワンズ「バラの恋人」のサビで「すねてるような♪」と歌われる箇所と理屈は同じで、「揺れる」気持ちをメロディーに注入し「少年性」を感じさせる進行となっています。
演奏については、いかにもロンドン・レコーディングの『JULIEⅥ ある青春』収録のバラードらしく、華麗なオーケストラ・アレンジがまず耳を惹きますが、僕が注目したいのは右サイドにミックスされている渋いストロークのアコースティック・ギター。
1番Aメロは最初ピアノ1本の伴奏からスタートするんですけど、「2回し目から噛む」のではなく、1回し目の「特別♪」「理由も♪」から、歌メロとユニゾンのリズムで、ジュリーのヴォーカルを追いかけるように切り込んでくるんですよね・・・。
豪快で奔放なロック・アレンジの曲も良いけれど、「二人の肖像」のアコースティック・ギターに象徴されるような、緻密な編曲による「譜面通り」の演奏もまた、若いジュリーの美声を存分に生かすプロフェッショナルの素晴らしさと言えるのではないでしょうか。
それにしても・・・6月の段階で「二人の肖像」の記事を下書きしていた時には、「果たしてこの歌に登場する恋人同士はその後幸せになり得ただろうか?」という考察がメインで、「燃えつきた二人」と併せ加瀬さん独特の「短調のバラード」に詞を寄せた安井さんと松本隆さんが、共に加瀬さんのメロディーとシンクロし「若い恋人同士の破局を、男性視点から淡々と描こうとしたのでは?」といった内容になっていました。
そもそも、『同棲時代』についてはまったく思い至っていなかったのですよ。
こうして、一度仕上げかけた記事をいったん置いて「別の角度から何かネタを見つけてみよう」と再考するのって、実は大切なことなのでしょうね。
まぁ拙ブログの場合は甘すぎる考察のまま仕上げた記事でも、みなさまから頂くコメントで大いに助けられていますが・・・(最近では、「泣きべそなブラッド・ムーン」などがそうでした)。
今回この「二人の肖像」の記事(下書き)を短期間のうちに2度書いたこと・・・貴重な経験になりました。改めて「ZUZU=加瀬」コンビの作品は懐が深いなぁ、と。
それでは、オマケです!
今日は、文中で触れた『Letter』はじめ数々のお宝をお貸しくださっているMママ様が、73年当時にせっせと切り抜いていらした『同棲時代』関連の資料をどうぞ~。
ちなみに僕は『同棲時代』主演の梶芽衣子さんは個人的に好きな女優さんのひとり。
もちろん、73年当時僕はこのドラマを観ていなくて、女優としての梶さんを知ったのはずいぶん後になってからです。テレビドラマをほとんど観ていなかった大学時代、珍しく毎週楽しみにしていた『教師びんびん物語Ⅱ』(毎週号泣していた汗)・・・梶さんは、田○俊彦さん演じる主人公の敵役であると同時に実は・・・というとても重要な役どころで、美しさと知性に憧れたものでしたね~。
つい先日久しぶりに、安住アナと一緒に街を散策しておられる番組をたまたま観まして、その様子が(素敵な意味で)天然で、「あぁ、普段はこんな感じのかたなのか~」と思いました。
さて、先輩の情報によりますと、GRACE姉さんはいよいよドラムセットに就いて徐々に身体を慣らしてゆく段階にまで快復されているようです。
8月に入り、そろそろツアー・セットリストのリハーサルも始まるのでしょう。とにかく毎日のこの暑さです。GRACE姉さん、どうか無理だけはなさらず・・・。
今回のツアーで「二人の肖像」がセットリスト入りすることはまず無いでしょうけど、この曲のドラムスだと僕は3’13”からの3連符のニュアンスを持ったフィルが好きで・・・このフィルをGRACE姉さんの生の音で聴いてみたいなぁ、と思ったり。
『PREASURE PREASURE』ツアーの時の「探偵~哀しきチェイサー」などがそうでしたが、ずっと昔の70年代のジュリー・ナンバーでも、「これ!」という重要なフィルをGRACE姉さんはオリジナル完コピで再現してくれます。そうすると、フィルから続くジュリーの歌がス~ッと聴いているこちらの身体に入ってくるんですよね。
これ、特にバラードではとても大切なことだと思う・・・GRACE姉さんは歌心があるから、自然にそういう演奏ができるのかなぁ。もちろん、ロック・ナンバーでの豪快なアドリブも素晴らしいですけどね!
といったところで。
拙ブログの「ジュリーが歌ったKASE SONGS」全曲記事制覇まで、残すは僅か2曲となりました。
次回は「この炎は燃えつきず」を採り上げます。
正直、新米の僕が記事を書くにはまだまだ荷が重いナンバーだとは今でも思っていますが、ここまで来たら臆せず全力で考察に取り組みますよ~。
本当に暑い日が続きます。
みなさまそれぞれのツアー初日を楽しみに、共に猛暑の日々を乗り切ってゆきましょう!
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コメント
こんばんは。ニワカ、ファンです。時々おじゃまさせていただいております。非常に勉強になり感銘を受けることもしばしばです。
偶然ですが、今回話題に出た、同棲時代が明日の夜中に放送されるようですので、お知らせします。
幻のドラマ「同棲時代」発見秘話
8月3日(月)
00:00~00:30(30分)
同棲時代(沢田研二・梶芽衣子主演)
8月3日(月)
00:30~01:50(80分)
TBSチャンネル2です。
ツアーのレポートも楽しみにしております。
よろしくお願いします。m(__)m
投稿: 通りすがり | 2015年8月 1日 (土) 20時17分
↑すみません。書き忘れました。
関西のケーブルテレビ、JCOMの情報です。
投稿: 通りすがり | 2015年8月 1日 (土) 20時38分
DY様
こんばんは。関西も負けずに暑いですよ。35度くらいでしょうか。
先ほどギター手にとって弾き語ってみました。なるほど、Gm7→B♭m→Dm、しっくり来ますね。私、それほどコード詳しくないのでGm7って10フレットバレーで2弦11フレット、4弦12フレットですよね?違います?オーギュメントとかメジャーセブンは知りません(汗)。
2回目のBメロに入るドラムスがたまらなくいいですね。正直、可もなく不可もなくといった印象だったのですが、あらためていい曲だと思いました、なかなかの再発見でした。
投稿: ねこ仮面 | 2015年8月 1日 (土) 22時27分
DY様 こんばんは。
「同棲時代」
結婚とはなんぞや。
「夫婦」という関係に安住するのは「恋愛」の純粋性の喪失か。
結婚しないでだらだら関係を続けるのは相手への責任の放棄か。
そんなテーマの漫画だったような。(少し原作を読んだことがあるので)
「二人の肖像」のコンセプトはちょっと投げやりな感じになってますが。
「あ~あ」は曲によってニュアンスが全部違いますしね。
ZUZUも加瀬さんも阿久さんも皆それぞれの想いのこもった「あ~あ」をJULIEに歌わせたかったんですねぇ。
投稿: nekomodoki | 2015年8月 1日 (土) 22時51分
DYNAMITEさま こんにちは
猛烈に暑いですが、大丈夫ですか?
ジュリーの「あ~あ」は天下一品です!
名だたる作詞家、作曲家さんたちがジュリーの「あ~あ」に惚れ込んでますな
かつて、一台しかないステレオ(古っ)でアルバムを聴いていた頃、
隣の部屋の母も「ジュリーは♪あ~あ♪ばっかりや」と申しておりました
初日まで2週間!楽しみ、楽しみ!
投稿: みゆきママ | 2015年8月 2日 (日) 10時40分
通りすがり様
ありがとうございます!
僕はいずれも自宅で見られる環境になく残念でしたが、お知らせくださり見ることができた、というファンの方々も多いでしょう。ありがとうございます。
いよいよツアー初日が2週間後に迫りました。
レポは初日フォーラムを別館に書き(多少の期間のネタバレ防止のため)、大宮をこちら本館に書くつもりでおります。
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます!
☆
慌しく申し訳ありません。
一度お返事切ります~。
投稿: DYNAMITE | 2015年8月 3日 (月) 08時39分
ねこ仮面様
ありがとうございます!
そちらも猛暑ですか…どうぞお体に気をつけてお過ごしください。
「二人の肖像」、いい曲ですよね~。
「Gm7」はもちろんそのフォームでも正解ですが、一番押さえやすいのは3フレセーハの5フレ5弦、というフォームです。
「この都会(F)の片(A7)す(Dm)み(C)で(B♭)~♪」から繋げると、その後の「Gm7→B♭m」がとても光ります。
「Caug」の最もシンプルなフォームは、1弦開放、2弦中指1フレ、3弦ひとさし指1フレ、4弦薬指2フレ、5弦小指3フレ、6弦×というローコードです。小指がきつければ5弦は割愛して1~4弦のみ鳴らしても大丈夫です。
ジュリーの「あ~あ♪」に加瀬さんがあてがった美しい伴響きを是非お試しください!
☆
細切れですみません。またここで一度切ります。
投稿: DYNAMITE | 2015年8月 3日 (月) 09時20分
nekomodoki様
ありがとうございます!
そう言えば73年というのは、結果は違いましたがジュリーがかねがね「25才までには結婚」と言っていたその年だったのだ、と今さら気づきました。
その意味では『同棲時代』は逆に結婚のアンチテーゼとして刺激的と言うか、ファンが感情移入しやすいドラマだったのでしょうか。
「二人の肖像」はやはり歌詞の最初と最後にある意味「不穏」なまったく同じフレーズを配している、というところに安井さんの狙いや気持ちがありそうですね。それが何かはハッキリ分かりませんが…名篇だと思います。
☆
みゆきママ様
ありがとうございます!
初日、楽しみですね~。
こちらは何とかこの暑さの中無事に働き、食べ、寝ております~。
そう言えば、みゆきママ様のお家の近辺、大変な暑さだとニュースになっていましたよ。
確かにこちらも暑いですが、まだまだ耐えられるくらいの状況です。
ジュリーには色々な「あ~あ♪」がありますが、それぞれ違いますよねぇ。「二人の肖像」の場合は、ため息をついているような感じです。
気取って聴こえないのが良いですね!
投稿: DYNAMITE | 2015年8月 3日 (月) 20時52分