ザ・タイガース 「あなたの世界」
from『THE TIGERS CD-BOX』
disc-5『LEGEND OF THE TIGERS』
1. タイガースのテーマ
2. スキニー・ミニー
3. 白いブーツの女の子
4. 愛するアニタ
5. 南の国のカーニバル
6. 涙のシャポー
7. 涙のシャポー(別テイク)
8. 傷だらけの心
9. 730日目の朝
10. 坊や祈っておくれ
11. Lovin' Life
12. 誰もとめはしない
13. 夢のファンタジア
14. ハーフ&ハーフ
15. 遠い旅人
16. タイガースの子守唄
17. あなたの世界
18. ビートルズ・メドレー(ヘイ・ジュード~レット・イット・ビー)
19. 明治チョコレートのテーマ
20. あわて者のサンタ
21. 聖夜
22. デイ・トリッパー
23. アイム・ダウン
24. 雨のレクイエム
25. ギミー・シェルター
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久々にザ・タイガースのお題にて更新ですよ!
先日、いつもお世話になっているピーファンの先輩が一週間ほど入院されることになってしまって(大事には至らず、ということでホッとしました)、病室で過ごされる回復のお時間のささやかなお供になれば・・・と、昨日から集中して考察に取り組みました。
以前から、「近いうちに書こう」と準備していたタイガースの曲があったのです。
そしてこれがまた、加瀬さんの作曲作品です。
加瀬さん作曲のタイガーズ・ナンバーと言えば、当時未発表のテイクながら後にファンも音源を聴けるようになった「愛するアニタ」のタイガース・ヴァージョンまで含めると、3曲ありますね。
残る2曲は、まずシングルA面として超有名曲で、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー・セットリストではオープニングを飾った「シー・シー・シー」。
もう1曲は、一般公募選出の作詞作品5篇に名うての作曲家5人がそれぞれ曲をつける、という『明治チョコレート』とのコラボレーション企画としてリリースされた5曲のうちのひとつ、「あなたの世界」。
今日のお題は、この「あなたの世界」です。本当に加瀬さんらしい曲なんですよね。
とあるきっかけで、「近々の執筆」に大いに意欲を持っていた曲・・・そんな折に加瀬さんの突然の旅立ちがあり、今回悲しいタイミングで採り上げることになってしまいましたが、詞曲とも爽やか、涼やかで邪気が無く、タイガースにピッタリのポップスであると同時に、「愛する人の平穏を願う=世界平和」という当時のフラワー・ムーヴメントを反映するかのようなメッセージをも思わせるような・・・。「さりげなさ」と「普遍さ」を併せ持つ素晴らしいナンバーです。
僭越ながら、伝授!
「タイガースの曲の作詞者について僕らが何も知らないのはおかしい」というピー先生の探究心により、一般公募作詞作品である「花の首飾り」の菅原房子さん、「白夜の騎士」の有川正子さんについては、長年のタイガースファンですら「初めて知る」事実を、僕らは今ピー先生の著書などで学ぶことができています。
加えて、明治製菓とのコラボレーションによる5曲。計7曲が「ザ・タイガースの一般公募作詞作品」ということで間違いないのかな?
僕は明治製菓とのコラボ5曲を冒頭にジャケット写真を添付したCD『LEGEND OF THE
TIGERS』で音源所有しています。歌詞カードもあります。
最近は、「作詞採用された5人の方々はその後どのような人生を歩まれたのだろうか、2013年のあの奇跡のステージをご覧になられのだろうか」と、そんなことを考えながらこの5曲を聴いていたものでした。
そんな中、「あなたの世界」の記事を書きたい、と考えたのは今年の3月のことです。
3月15日・・・ずっと以前に執筆を終えていた「シー・シー・シー」の記事(2010年のジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー・セットリスト予想シリーズ、大トリとしての更新でした)に、思いもかけず頂いたコメント。投稿してくださったのは、「あなたの世界」の一般公募作詞者である伊藤栄知子さんをよくご存知の方でした。
「シー・シー・シー」が加瀬さんの作曲作品ということで、僕は記事中に伊藤さん作詞・加瀬さん作曲の「あなたの世界」に少しだけ触れていて、その記述についてのコメントだったのですが・・・コメントをくださった方のお話では、投稿日の3月15日は、47才の若さで亡くなられた伊藤さんの17年目の命日だった、とのこと・・・。
伊藤さんの命日に、故人を偲ばれながらネット検索され、たまたま僕の記事を見つけてくださったのでしょうか。亡くなられた伊藤さんは、「最期の時まで詩人だった」そうです。
ショックでした。47才での旅立ちは、あまりに早過ぎます。今の僕よりもお若い・・・。
伊藤さんが歩まれた「人生」がまざまざと見えてくるようなコメントに、胸が熱くなりました。
「よし、近いうちにこの曲を記事に書くぞ」と思った矢先、今度は作曲者である加瀬さんの悲報が・・・。
なんと皮肉な巡り合わせでしょう。この「純粋」と言うにはあまりにも邪気の無い爽やかな名曲が、いざ記事に書こうとする段になって、二重の悲しみに包まれてしまったように僕には感じられました。
でも。
こんな素敵な詞を書く人、こんな素敵な曲を書く人の魂が今、安らかでないはずはありません。
僕はとにかく、「あなたの世界」という名曲を自分なりに紐解き、読んでくださるみなさまに改めてこの曲を聴いて頂き様々な教えを乞う・・・そのために頑張るのみ。
ここで書くのは僕の個人的な楽曲解釈によるもので、それがどの程度まで合っているのか分かりませんが、素直な気持ちのままにベストを尽くします。
早速、考察に入りましょう!
SNSでこの曲の話題になった時、先述したピーファンの先輩がお手持ちのものを写メして添付してくださった画像です。
僕は「夢のファンタジア」と「タイガースの子守唄」の2枚についてはJ先輩からお借りしている実物が手元にあるんですけど、「あなたの世界」は持っていません。ですので、レコードについている貴重なスコアも目にしたことがなく、今回のお題曲は自力での採譜作業となっております。
「あなたの世界」の魅力は、まず伊藤さんの詞です。
なかにし礼さんの補作詞も含めて、幾多のタイガース・ナンバーの中で圧倒的に「ピュア」だと感じます。
明治チョコレートとのコラボレーションによって生まれた一般公募作詞による5曲はどれも名曲で、それぞれの詞が信じられないほど素晴らしい作品ばかり。その中にあって、「無垢」の魅力を感じるのが「タイガースの子守唄」、そして「あなたの世界」の2篇です。
ただこの2曲は「ピュアな少女の感性」という共通点を持ちながら、作者のスタンスは大きく違っているのかもしれません。その点で僕が常々考えるのは
「タイガースの子守唄」には
ザ・タイガースにこんなふうに語りかけられたいな
「あなたの世界」には
いつまでもそのままのザ・タイガースでいてね
・・・というそれぞれ異なった作詞の出発点(=動機)があるのでは、ということです。
「あなたの世界」には、タイガースのメンバーとファンである自分とは暮らす「世界」が違う、と踏まえた上での無償の愛情を感じます。ひたすらに彼等の平穏、無事、友情、成功を祈る、今の魅力的な彼等の永遠を願う、というテーマがまずあると思うのです。
伊藤さんのこの詞は、安井かずみさんのような「女性である自分の思いをそのまま書いて、そこから一人称の性別を入れ替えて全体を纏めてゆく」手法で書かれたのではないでしょうか。
伊藤さんがタイガースのメンバーの中で特に思いを向けたのは、やはりジュリーかなぁと僕は想像します。
あなたは虹より美しい
C Em F C
光を集めて 歌う 愛の プリズム ♪
F C Am Dm B♭ G7 C
後追いファンの僕ですら、この歌詞部にはジュリーを重ねずにはいられません。当時のジュリーは本当に「光を集めて歌っている」ように見えたのでしょうから。
・・・と言うと先輩方に「いやいや、ザ・タイガースというバンドそのものが、光を集めて歌っているように見えていたんですよ」とご指摘を受けそうですね。
歌詞中で僕が最も惹かれるのは、サビ部に「平和」というフレーズが登場することです。
当時の洋楽ロック界は、フラワー・ムーヴメント全盛期。当然、邦楽にもその影響は大ですが、「ラヴ&ピース」のコンセプトを堂々と発信し、なおかつセールスにも反映させることのできる日本のバンドはやはりザ・タイガースを置いて他に無かったと想像します。
頭の固い識者(?)達から「不良」のレッテルを貼られていた彼等が、正攻法で以ってそれを為し得たのですから、歴史は「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を支持したタイガース・ファンの目利きを証明しています。識者や学校の先生方、形無しですね。
ただ、「あなたの世界」には「ラヴ&ピース」以前にまず「ザ・タイガースへの親身の愛」があり、時代に厳しく当たられたこともあった彼等の心の平穏、変わらぬ活動継続を願った強い思いが感じられます。
その視点が、実際にタイガースがこの詞を歌うことによって普遍的なラヴ・ソング、メッセージ・ソングへと昇華した・・・職業作詞家であればそこまで狙って詞を書くものかもしれませんが、「あなたの世界」ではタイガース・ファンの少女の無垢な思いがはからずも彼等に「ラヴ&ピース」曲のコンセプトを与えた、という流れがあり、そこに一般公募作詞作品ならではの魔法を見る思いがします。
この歌詞が素晴らしいのは、そんな純粋な「タイガース愛」が何のてらいもなく言葉に託されているからです。
やさしい微笑み そのままに
C Em F C
悲しい恋 の涙 知らずにいてね ♪
F C Am B♭ G7 C
少女が憧れのタイガースに、「辛い恋を知らずにいて」「誰のものにもならないで」と願う純粋さ。
特に、伊藤さんのこの詞と同じ思いを持ってジュリーを見つめていた少女達が世に数えきれないほどいらしたことは、僕がこの数年ジュリーファンとして学んできたことでもあります。もちろん、他のメンバーに対して同じ思いを持っていたかたもたくさんいらしたはず。
「あなたの世界」に僕は、そんな当時のザ・タイガースと彼等を愛する少女達の純情、双方の美しいバランスを見る思いがし、感動させられます。
そして、少女がタイガースに語りかけたこの歌詞部は、彼等が歌うことによって「タイガースからファンへのラヴ・ソング」としても逆に成立しているのですね。
このように、「あなたの世界」は伊藤さんの詞によって「ザ・タイガースによるザ・タイガースらしい名曲」となっていると思うのですが、加瀬さんの楽曲構成に耳を向けると、そこにワイルドワンズっぽさ・・・つまり「加瀬さんらしさ」も見えてくるような気がします。
「無垢」「純情」ということなら、加瀬さんも相当です!
イントロのギター・ソロなんて、聴いていて頭に浮かんでくるのはジュリワン・ツアーでの加瀬さんの、12弦ギターをピッ、ピッとはじくようなピッキングで弾いている姿・・・CDで鳴っているのは加瀬さんの音ではないはずなのに、ギターが奏でるメロディーはどうしようもなく加瀬さんを思わせるのです。
曲想に逆らわない素直なフレーズは、加瀬さんのギター最大の個性。それが「あなたの世界」イントロのギターのメロディーに踏襲されているように思います。
しかも歌メロは明快なハ長調のポップス。この詞にしてこの曲、これぞ加瀬さんですよね。
邪気の無い作詞と、邪気の無い作曲。
この世にただ1曲、伊藤さんと加瀬さんの奇跡的な組み合わせがタイガースの曲で起こったこと、それを今僕らがCDで聴けていること・・・素晴らしいことです。
最後に。
明治チョコレートとのコラボ企画による5曲は、一般公募の作詞、名だたる作曲家によるメロディー、アレンジとも素晴らしい作品ばかりですが、おそらく相当限られたタイトなスケジュールでリリ
ースされていたのでしょう・・・楽曲的な「プロデュース」に費やす時間があまりなく、完成度として惜しい部分が5曲いずれもも残されている、と個人的には考えるところがあります。
以前「タイガースの子守唄」の記事では、メロディーがジュリーのキーとしては低い設定で、細部を詰める時間があれば移調して再度演奏してのレコーディングになったのではないか、と(今なら既存の音源の移調はひと手間でできることなのですが、当時はテンポの上げ下げくらいしか方法がありませんでした)書きました。
その点、「あなたの世界」ではどんなことが考えられるかというと・・・。
この曲、全編タイガース・メンバーの重唱になっているじゃないですか。それ自体はとても良いと思うんですけど、1番、2番それぞれのサビの箇所
いつでも僕は祈っている
Am G7 F G7
あなたの世界が平和である ように ♪
Am G7 C Bm7-5 E7 G7
この「いつでも僕は♪」から「あなたの世界が♪」までをジュリーのソロにした方が(「平和であるように♪」から再び重唱となる)、歌詞もメロディーも説得力を増していたんじゃないかなぁ、と思うのです。
また、1’26”直後にAメロのヴァースでミドル・エイトの間奏(ギターソロ)を挿し込んでも良かったのではないでしょうか。一気に突っ走る構成も魅力的ですが、この曲ではイントロとエンディングのコーラスに歌メロには登場しない進行が配されて形よく纏まっているので、間奏があるとさらに引き締まったのでは・・・?
まぁ、所詮それは僕のアレンジの好みの問題。詞曲の純粋さを生かすには間奏無し一気の演奏の方が良い、とする制作側の狙いがあったのかもしれません。
加えて、完成音源ではなんと言ってもストリングスが効いていて、詞曲の「爽やかさ」を演出しています。
僕があれこれ考えるのはリリースから40年以上経っての「後づけ」に過ぎず、やはり当時仕上げられたこのアレンジが「ベスト」ということなのでしょう。
ちなみに、この明治チョコレート企画の5曲って、演奏はタイガースなのでしょうか。
僕の耳ではどうにも判断がつかないのです。
「あなたの世界」では、1’43”あたりで炸裂しているイイ感じで突っ込むドラムスのフィルを聴くと、「ピー先生かな?」とも思うのですが・・・。
それでは、オマケです!
今日は、Mママ様所有のお宝切り抜き資料から、タイガース関連のものをお届けいたします。
余談ながら、今日の記事も含め拙ブログでのタイガース・ナンバーの記事は『タイガース復活祈願草の根伝授!』というカテゴリーになっています。
これは、2009年に初めてタイガースの曲を採り上げた際(「淋しい雨」)につけたもので、その後あれよあれよという間にザ・タイガース完全復活の奇跡は現実となり・・・本来ならそろそろカテゴリー・タイトルを変えるべきなのでしょうが、複数記事のカテゴリーを一気に変更する方法が分からないんですよ・・・(涙)。
仕方ないので、このまま行かせてくださいね。
それにしても、タイガースが本当に再結成して、メンバーだけの演奏で武道館のみならず東西二大ドーム公演を大成功させるとは・・・ブログでこのカテゴリーを始めた頃には、想像もできないことでした。
伊藤さんもきっと、天国の特等席からあの奇跡のステージをご覧になっていたのではないでしょうか。
「愛する人の心(=世界)の平穏を願う」・・・何十年の時が経とうと、それは人として最も大切な気持ちです。今回、タイガースの名曲「あなたの世界」から改めてその大切さを噛みしめることができました。
伊藤さん、加瀬さん、ありがとうございます。
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コメント
DY様 こんばんは。
「私のために歌って欲しい。」
妄想真っただ中の乙女の願望まるだし。
これを何の気負いもあざとさもてらいもなく素直に歌いきってしまうのがタイガース。
「タイガースのDNA」がその後のジュリーに受け継がれていったのがよくわかる曲ですね。
最初からソロでデビューしてたら、あるいはプロの手でコーディネートされたグループで始めてたら、どんなふうになっていたのかな、とふと思います。
それにしても、これ、加瀬さんだったんですね。ちゃんとクレジット見てなかった。
投稿: nekomodoki | 2015年5月28日 (木) 01時30分
nekomodoki様
ありがとうございます!
あれほどの人気、セールス、ルックスを誇りながら、いざ「歌」になると業界っぽさをまったく感じさせないタイガース…稀有なバンドですよねぇ。だからこそ、一般公募作詞という企画も自然に成立したのでしょう。
僕は最近ワイルドワンズの曲も改めてじっくり聴いていますが、「あなたの世界」はジュリーが歌った加瀬さん作品の中では、一番ワンズのイメージに近いと思いますよ~。
投稿: DYNAMITE | 2015年5月28日 (木) 09時01分
DY様、お久しぶりです。
この明治のレコードすべて持っています。他にもソノシートも。
私は今年中に引っ越し予定で昔のレコードをもらってくれる方を探しています。LPの方はTGファンの方からメールをもらっていますがまだ決定はしていません。
私のブログで「レコード・・ 」と言うタイトルで載せていますので興味がおありでしたらみてください。他にもシングルも洋楽も沢山あります。もし興味がおありならお知らせください。
失礼しました。
投稿: tom | 2015年5月28日 (木) 09時47分
tom様
ありがとうございます!
おぉ、明治製菓企画のレコードをすべてお持ちとは素晴らしい!
今夜、ブログ拝見しますね。
お申し出大変恐縮です。
おそらく譲って頂きたいものも何点かあると思います。後日ご連絡差し上げます。
ただ、他にご希望のかたがいらっしゃいましたら、どのようなものでもそちらのかたを優先してくださいませ。
あくまで僕は最終段階の時に…優先順位は最下位ということで、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
投稿: DYNAMITE | 2015年5月28日 (木) 18時22分
このピクチャーレコードは5枚全部集めました!綺麗なレコードでしたね。
当時入手が難しい分だけ、レア感があり、なんども聞きました。
作詞は公募でしたが、その作品すべてになかにし礼さんが補作しています。
http://www31.ocn.ne.jp/~goodold60net/htm_fils/gs/tgrs_mj3.htm
(60年代通信)より、
応募したそのままの原詩を紹介しますと、「あなたの世界」は
「野原で花を摘もうと 私をたった一度だけ
見つめるあなたは あなたは 背にした雲さえ重そうにうつむく
天使のような女の子
あなたのまわりはいつも
平和でなくてはいけない
だけれど
太陽がまぶしいと光をかけらにして
海に散らすあなたは あなたは
私が立ち上がると すぐ
泡になって消えてしまいそう
ずっと昔
音にあこがれた恋よりも
淡い瞳の女の子
手をさしのべて あなたの世界を
分けることなどできない
あなたのまわりはいつも
平和でなくてはいけない」
といった感じで出来上がった曲にはだいぶ手が加えられているようです。
「花の首飾り」がなかにし礼さんの作品になっていると感じたように、こちらも「平和」のモチーフを頼りになかにしさんの創作部分が大きいのかなと思った次第です。
投稿: Rスズキ | 2015年5月29日 (金) 08時02分
Rスズキ様
ありがとうございます!
そうそう、そうでした。以前J先輩に教わり、原詞が掲載されているサイト様を見たことがありました。今出勤中なので拝見するのは後ほどとなりますが、おそらくRスズキ様が添付してくださったサイト様だと思います。
「ハーフ&ハーフ」の原詞にビックリしたことを覚えています。
仰るように、伊藤さんの原詞にある「愛する人の世界の平和を願う」というコンセプトをなかにし先生が纏めた作品となっているようですね。
手をさしのべて あなたの世界を
分けることなどできない
伊藤さんのこの表現、素晴らしいです。時代の空気も感じます。
それにしても、ここまで完成音源と詞が変化しているということは、この明治製菓企画、もしかするとあらかじめ5つのメロディーが先に用意されていて、それぞれのメロディー・コンセプトに適う作品を公募作から選んでいく、という作業順序だった可能性が考えられます。
なかにし先生は、その橋渡しを担ったのではないでしょうか。
入手困難のお話は、色々な先輩方から伺っています。
「とにかくチョコを食べまくった」そうですね…。
投稿: DYNAMITE | 2015年5月29日 (金) 09時27分
♪DYさん、有難う〜*\(^o^)/*
徐々に回復に向かってるとは言え今はまだ入院中です^^;
この歌は、もの凄く単調で当時はTGの歌にしては物足りなさを感じたものです。提供曲となるはずだった愛するアニタの激しさや同じ加瀬さん作曲の斬新なシー・シー・シーでは強烈さを思っただけに歌謡曲っぽいイメージが私には強かったんですね。とは言え今、思えばDYさんの言われる説も納得出来ます。最もワンズに近い…なるほど〜(^.^)
当時は、わかりませんでしたが後になってジュリーがソロになってから「ああ、そうか」と感じ、この歌を更に進化させたのかなと思わされたのがソロ初期の頃の「許されない愛」「死んでもいい」の激しい思慕、絶望等〜静かな温かさを感じさせる「あなたへの愛」と続いてるような気がしました。初期のこの頃の歌には根底に何となく、あなたの世界のイメージが重なるのです。私だけかもしれませんが(^◇^;)
そしてTG初期のような組曲と言うハッキリしたものではないけれど似たような流れがあったのかなぁと思ったりします。
ところで、その頃のレギュラー出演や冠番組とかジャズ喫茶や何かでは、歌と演奏はモチロンTG自身でしたが、このレコード自体の録音時では演奏は多分、違うと思います。
久々に長々と書いてしまいました。ではまた!感謝を込めて♪
追:tomさんの申し出、心が動きます。人に貸して行方不明とか失くしたもの。申
し込めなかったもの等がありますので…でも退院してPCでないと難しいかな。
失礼しましたm(__)m
投稿: hiko | 2015年5月29日 (金) 13時13分
追:歌詞カードの裏には、チャンと譜面があったのに送れなくて苦労かけてしまって、ごめんなさい(>人<;)
投稿: hiko | 2015年5月29日 (金) 16時50分
hiko様
大変な中、コメント頂きありがとうございます!
点滴だけで水も口にできない、と伺った時には本当にお辛いだろうなぁと心配でしたが、日々良くなられているとのことで安心しております。
仰ること、なんとなく分かります。確かに「あなたへの愛」への繋がりは僕も感じます。
演奏はやはりそうでしょうか…。ギターとドラムスは何とも判断できませんが、ベースは「君を許す」に似ているかな、と思いました。あの曲はサリーではありませんよね。
楽譜のことは良いんですよ~。採譜は好きでやっているのですから…。
ただ、なにぶん才に劣るものですから、できれば常にカンニング資料が欲しいという(涙)。
投稿: DYNAMITE | 2015年5月29日 (金) 19時28分
ご無沙汰しておりました。
加瀬さんの事で、さぞ胸を痛められていらっしゃるだろうと思っておりましたのに、いつか「あなたの世界」を取り上げると言って下さって楽しみにしておりましたのに、日々の暮らしに追われ、ここを訪れる事もなく三年もの月日を過ごしてきてしまいました。
父を送り母を送り19年共に暮らした愛猫を送って空っぽになった今、ふと彼女を思い出し、そしてDY様を思い出し今日の訪問となりました。
2015年に書かれたザ・タイガース「あなたの世界」のタイトルを目にした時の気持ちは言葉に表す事が出来ません。
涙でくもる目をこすりながら何度も何度も読み返しました。又、彼女の原詩を知る事が出来て感激でした。そこには彼女らしい言葉が溢れていました。
「あなたの世界」は私が彼女の名前を知った切っ掛けでもありました。高校生だった私は片田舎の実家の天井裏に父が作ってくれた勉強部屋?でラジオから流れるこの曲に出会ったのです。タイガーズの曲の作詞って凄いなァ…違う街に住む自分と同じ高校生の見知らぬ彼女を羨ましく思ったものです。その後、彼女とは偶然にも札幌の専門学校で一緒になり、名前と出身校を聞いて直ぐにあの彼女だと分かりました。それから長い長いお付き合いが始まり、私達は親友になりました。
DY様の文章の向こう側に、柔らかな彼女の笑顔が浮かんできます。彼女もきっと感謝していると思います。
それに、今日の事はもしかしたら彼女が気付かせてくれたのかも知れません。
本当にありがとうございました。
最後に彼女の詩を一編だけ紹介させて下さい。地方新聞に掲載された詩です。三十八歳の時の作品です。
「灯台」
あれは すぐに戻ってくる光 わかっていても 帰れない
束の間の闇が確かに壊れるのを もう一度 見なければ
そうして何度繰り返しても やはり動けずに佇んでいた
波のようなあの時間 取り残されては待ち続け
胸深く射られては見送った 一瞬の光の矢
大人になった私は もう あんな思いで灯台を見ることはない
息をつめない 不安がらない
だけど時々 あの頃の目と とてもよく似た目をして
ひとりの男を見つめてる 海のない この町で
自分勝手の思うまま長文メールをお許し下さい。 感謝を込めて
2018.1.18
さんこ
若くも無いのに可笑しいですね。彼女がこう呼んでおりました。
DY様
投稿: さんこ | 2018年1月18日 (木) 14時20分
さんこ様
ありがとうございます!
先週から寝込んでしまいまして、お返事が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
過分なお言葉、畏れ入ります。
この記事は、さんこ様から以前「シー・シー・シー」の時に頂いたコメントが無ければ書けなかった内容、考察ですので、お読み頂けたことを本当に嬉しく思います。何より「伊藤さんの笑顔が浮かんでくる」とのお言葉には、本当にこの曲のことを書いてよかった、と感動してしまいました。
この記事は、加瀬さんが旅立ってから数ヶ月の間に、ジュリーが歌った加瀬さんの作曲作品をすべて記事にする、と決めて頑張っていた時期に書いたものです。タイガース・ナンバーの該当曲中、その時点で唯一残されていた曲でした。
今、コメントを拝見しながら記事を自分で読み返して、普通なら知りえなかった伊藤さんにまつわるエピソードに改めて想いを馳せつつ、詞とメロディーを頭の中で鳴らしています。やはり大変な名曲です。
また、付してくださった伊藤さんの詩、素晴らしいです。真に詩人でいらしたのですね・・・。
こちらこそ、今回コメントを頂けたことに感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
投稿: DYNAMITE | 2018年1月24日 (水) 12時36分