THE BEATLES 「HELLO GOODBYE」
from『JULIE Ⅲ SAWADA KENJI RECITAL』、1972
original released by THE BEATLES single、1967
I say high、you say low
You say why and I say I don't know
Oh、no
You say goodbye and I say hello
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長らく更新が途絶え、申し訳ありませんでした。
今日は楽曲考察記事ではなく個人的な日記のような感じになりますが、気持ちも新たに再スタートです。
さて、今回なんとも皮肉なお題での久々の更新となってしまうわけですが・・・みなさまご存知の通り、楽しみにしていたポール・マッカートニーの半年ぶりの来日公演が、ポールの急病によりすべて中止となりました。
いや、自分が参加を予定していた初日の国立競技場公演だけが中止となり、その後の武道館や大阪公演が無事行われた、という状況であれば、僕もここまで長きに渡って落ち込んではいなかったと思います。
現実には、ポールはずっとこの日本の何処かで療養している・・・でも詳しいことは全然分からない、というヤキモキ感が続いたのが辛かった・・・。
この10日間ほど様々な情報が錯綜する中、ポールは公にその姿を見せず、僕は幼少からのアイドルでありスーパースターであり続けているポールの容態をただ心配しながら、オロオロと過ごすばかりの日々。
ここへ来ての報道によれば、どうやらポールは腸捻転と診断されていたようで、投薬のみの治療だと腸閉塞に至る怖れもあったため緊急手術に踏み切った、とのこと。
術後の経過も良好で、ポールはすでに26日には無事日本を飛び立ちロンドンに帰国にしたようで、ようやく多くのファン同様、僕も落ち着きを取り戻しすっかり元気になったところです。
今回のポールは、本当に「ハロー・グッドバイ」の歌詞そのままの来日になっちゃったなぁ・・・。
いや、詞の内容は、落ち込んでいる相手に「大丈夫だよ!」と言ってるんだと思ってはいます。そういったことも含めて、今回のことを象徴するような曲だなぁと考えて、記事タイトルにしたんですけどね。
YOKO君が言ってました。「当たり前だけど、ポールはスーパースターであってもスーパーマンじゃないってことだよね。70歳を超えた一人の高齢者でもある、と身につまされた」と。
でも、ツアー中の急病が他でもないこの日本公演のタイミングだったからこそ完璧にケアできたんだ、逆に良かったんだ、と思えますし、本当に元気になるまでゆっくり療養して欲しい・・・そう、とにかく「無事でありますよう」ということに尽きます。
そんな「祈り」の大切さを、最近ジュリーに教わったばかりですから。
それに、こんな時に僕を立ち直らせてくれたのがピー先生のLIVEのチケットでした。いよいよ6月13日から始まるツアー・・・先日無事に再配達で届いた初日のチケットが、とんでもなく素晴らしいお席で。
「ポールは残念だったね。でもそろそろ元気出せよ!」
とピー先生に励まされているような気がして・・・とても嬉しかったです。
そんなこんなで今日は、ポール初日公演予定だった5月17日からの顛末記を執筆し、自分の気持ちにひと区切りつけたいと思っています。
少しばかりおつき合いのほどを・・・。
☆ ☆ ☆
待ちに待ったツアー初日、5月17日。
僕が購入した国立競技場のチケットは、ステージから1番遠い位置の席でしたが、たった半年でまたポールに会える、それだけで幸せというものです。
野外の風を感じながら盛り上がるにはうってつけの席じゃないかな、とも思っていました。
この日が来るまで、僕は某SNSで50日前からブッ通しで1日1曲ずつセットリスト予想を50曲分つぶやき続ける、という傍から見れば迷惑千万な気合の入れようでした。挙げた曲の中には今日の記事のお題とした「ハロー・グッドバイ」などの有名曲もあれば、「ホワット・ユー・アー・ドゥイング」「ジャンク」「バック・シート」といった”全然当たらない”系の予想もありました。
また、ポールの最新作『NEW』のアルバム・マッチング・スコア(洋書)が5月上旬に発売となり、いち早く購入して楽しんでいました。
弾いていて一番気持ちがいいのは、ギターだと「セイヴ・アス」、鍵盤だと「クイーニー・アイ」でしょうか。
さて初日当日は素晴らしい快晴。正に絶好の野外コンサート日和となりました。
夫婦で早めに出かけ、散歩がてら新宿御苑を突っ切って南下するコースで会場に向かうことに。
新宿御苑からは、ジュリーファンのみなさまお馴染みの建物が見えています。
今さらながら、今年の『悪名』公演に参加しなかったのは痛恨の極みでした・・・。
のんびり御苑内を歩いた後、南口から出まして、今度は千駄ヶ谷駅周辺の散策。
僕は大の将棋ファンなのですが、千駄ヶ谷は関東将棋界の聖地なのです。カミさんを引きずり回すことにはなりましたが、将棋関連の有名な場所を訪れることもこの日の大きな楽しみのひとつでした。
関東将棋会館。
平日は、ここで毎日のようにプロ棋士の対局が行われています。この日は休日だったのでピリピリした空気は無く、将来を志す子供達の姿をチラホラと見かけました。
鳩森八幡神社。
千駄ヶ谷駅から将棋会館に向かうと、必然この神社の境内を抜けるのが最短ルートとなります。プロ棋士や、プロを目指す奨励会の若者達、将棋界関係者の方々の数え切れないほどの人生模様が今なお交差し続けている場所です。
将棋会館で対局中の棋士が、昼夜の出前をとることで有名な『みろく庵』さん。もうひとつ『ほそ島や』さんというお店も有名なんですけど、そちらは発見できず残念。
そうこうするうち時刻が午後4時を過ぎ(開場時刻は午後3時半)たので、そろそろ入場しようと青山門を目指して歩いていたら、観音橋の交差点に物凄い人だかりが。どうやら入り待ちの人達のようです。
僕はLIVEでアーティストの入り待ちとかするタイプではないんですが、「ポールがここを通って会場入りするのか~」と、せっかくなので見ていこう、ということになり待機・・・でも、今考えるとその時から様子がおかしかったんですよね。場内へと進む人の流れが無くて。
後に知ったところによれば、開門こそしていたけどスタジアム内にまでは入ることはできない状態だったのだそうです。
しばらくして集まっている人達の動きがなにやら慌しくなり・・・すぐ近くにいたガードマンのかたから「中止」の言葉を聞いた時には、その場に崩れそうになりました。
まぁその時点では翌々日の月曜日への振替公演の案内があり、すぐに気持ちも切り替えたのですが・・・結局はそれも叶わず全公演が中止に。
しかし、これはカミさんが言っていたんですけど、僕ら初日参加組はいくらか恵まれていた、と思わなければなりません。少なくとも「あと数時間でいよいよ」というドキドキ・ワクワク感は味わえたのですから(翌日以降はは、「本当に開演するんだろうか」との心配で、みなさんワクワクどころではなかったでしょうからね)。
その後、ポールの容態を心配しながら過ごす毎日がやってきました。ブログ執筆など色々なことがまったく手につかなくなり、自分でも驚いたのですが、毎晩ポールの夢を見ていました。中には、普通にコンサートが行われてその場に自分がいる、という生々しい夢も(でも、ジョージ・ハリスンがゲストでギター弾いてたりしてた)。
僕はこういう時、無理に沈む気持ちに逆らわずにドップリ落ち込んでしまう方が早い浮上のコツだと考えているので(それにしては結構時間がかかりましたが汗)、ずっとポールやビートルズの曲、映像に溺れていました。つい半年前の日本公演の映像などは、元気いっぱいの動くポールを観て切なくなったりはしましたが・・・。
こんな雑誌も買いました。
『ビートレッグ』6月号。
来日に合わせての発刊で、もちろん「日本公演」への大きな期待の雰囲気に満ちた渾身の1冊(表紙左で素敵な笑顔を炸裂させているのが、昨年しょあ様がブログで大絶賛されていたポールのバンドのギタリスト、ラスティ・アンダーソンです)。
メインの特集は、1991年以降のTVライヴのセットリスト・データとエピソード。写真も充実しています。
また、ポール関連以外の記事では、ウィルコ・ジョンソンとノーマン・ワットロイというパブ・ロック・パーソン伝説の2人のインタビューが素晴らしかったです。
さらに、5月24日から全国イオングループの映画館などで封切られたニューヨーク・ライブ・フィルム上映企画の、ポール・マッカートニー『グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ』も鑑賞してきました。
曲単位ではバラバラにネットで観たことのある映像なんですけど(結局昨夜DVDをポチしてしまいました)、映画館の大スクリーンで観るとやはり臨場感が違いますし、それにこれは野外コンサートの映像ですから、「007/死ぬのは奴等だ」でのド派手な花火などを見ると、「あぁ、今回はこれが観られるはずだったんだよなぁ・・・」とウルウルしてしまいます。
(ポールは今回の来日前に「日本のファンに今度は花火の演出を観てもらいたい」と言ってくれていて、そのため東京・大阪共に野外のスタジアム公演が予定されていたのです)
このニューヨーク公演のセットリストでは、アルバム『追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フル』から「ダンス・トゥナイト」「オンリー・ママ・ノウズ」の2曲、”ザ・ファイアーマン”名義のアルバム『エレクトリック・アーギュメンツ』から「シング・ザ・チェンジズ」「ハイウェイ」の2曲と、この時点でのポールの近作から計4曲がピックアップされていることが大きな特徴。
そして、アンコールの「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」で、僕も大好きなビリー・ジョエルがピアノとヴォーカルで飛び入り参加し盛り上がります。
他では、「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」(ビートルズ)や「ミセス・ヴァンデビルト」(ウイングス)が最高に良かった・・・大きなスクリーンで観て今回初めて気づいたんですけど、「ミセス・ヴァンデルト」のエンディングのラスティが、「タイガースのテーマ」のダンスとそっくりな動きをしていたなぁ・・・(こちらの4’19”あたり)。
ちなみに今のポールのバンド(もう10数年、同じバンドでツアーを続けています)って、メンバーそれぞれのスタンスが鉄人バンドにそっくりなんですよ。
フロントマンへのリスペクト、楽曲へのリスペクト、どんなアレンジにも対応でき、全員が曲に応じてコーラスも担当する4人の超・職人集団・・・それだけで既に鉄人バンドっぽいのですが
・とにかく笑顔でぴょんぴょん飛び跳ね、ポールと絡むシーンも一番多い永遠のギター・キッズ、ラスティ・アンダーソン
・演奏中に霊力(?)で担当楽器を取り替える(「バンド・オン・ザ・ラン」でエレキ→12弦アコギ、「ヘイ・ジュード」でタンバリン→ベース、など)、痩身のギタリストにしてベーシスト、ブライアン・レイ
・神の両手で多彩な音色を駆使、静かに燃えるキーボーディスト、ポール・ウィックス・ウィッケンズ
・パワフルな演奏と、曲の世界に入り込む情熱のコーラス、そして自然にふりまかれるチャーミングな仕草でバンドに明るく華やかな雰囲気を添えるドラマー、エイブ・ラボリエル・ジュニア
・・・と、各メンバーのキャラまで見事に共通しているのです。
ウイングスのメンバーなど、ポールはこれまで幾多の素晴らしいミュージシャンとステージを共にしてきましたが、現在の「この5人ですべてをやる!」というスタイルこそが、ライヴバンド・サウンドを志すポールが辿り着いた究極のステージ形態なのでしょうね。いつもジュリーと鉄人バンドのLIVEを観ていますから、よけいにそう感じます。
残念ながら今回の来日公演は中止となりましたが、こうしてポールの素晴らしいパフォーマンス(バンドの4人も含めて)を大スクリーンで堪能し、「擬似ライヴ」体験ができて気持ちがいくらか晴れました。
実際、LIVE感覚でのシネマ鑑賞ということで言いますと、僕らの後列にいらした熟年のご夫婦らしきお客さんが、お二人でサイリウムを持ち、1曲終わるごとに拍手をされていました。その道の大先輩でいらしたのでしょう。
そして、上映初日にいらしたお客さんのほとんどが、同じ心境での鑑賞だったのかなぁと思います。
思えば、初日の国立競技場で開演直前に中止の案内があった時、遠方からはるばるお越しの方々も大勢いらした中、怒号が起こるようなこともなく、皆しゅんとうなだれながらも粛々と帰路に着く様子は、さすが日本のファン!という感じでした。
同時に、普段「当たり前」に思っていることがどれほどの奇跡であり、大切な時間であるのかを再認識させられました。ジュリーファンのみなさまならば、この意味を深くお分かり頂けるかと思いますが・・・。
今はただ、ポールの全快を祈るばかり。
きっとまた日本に来てくれるはずです!
We hope you GETTING BETTER
See you here Japan、AGAIN AND AGAIN AND AGAIN!
今回の『グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ』上映、映画館に急遽ポールへのメッセージ・ボードが設置される、という話だったのですが僕が行ったトコには無かった・・・あったら、上の言葉を残してくるつもりでした。
☆ ☆ ☆
せっかくですから、今回お題とした「ハロー・グッドバイ」のジュリーのカヴァー・ヴァージョン(『JULIE Ⅲ』収録)について少し触れておきましょう。
ギター、ベース、ドラムスがほぼオリジナル完コピの渋い演奏で魅せる井上バンド。そんな中、大野さんのキーボードが自由度の高いアレンジでジュリーのヴォーカルを追いかけます。クレジットには、編曲・大野克夫とあります。カッコイイ躍動的なアレンジですね。
同じビートルズ・ナンバーの「ゲット・バック」へとメドレー形式にするため、コーダ部で細かく転調を繰り返してキーを下げていき、「ゲット・バック」の歌いだしに合わせる・・・これも大野さんのアイデアでしょう。
ビートルズのオリジナルではちょっとルーズに「ヘイラ♪」と聴こえるそのコーダ部のヴォーカルを、ジュリーは丁寧に、しかも艶のある瑞々しい声でハッキリ「ハ~ロ~♪」と歌います。伝えやすく発音しよう、という若きジュリーの几帳面な性格を思わせます。名演です!
ホント、どうして『JULIE Ⅲ』をはじめとするジュリー70年代の素晴らしいライヴ盤が未だCD化されずにいるのでしょうね?「鳥になった男」なんて、絶対にキチンとした形で後世に残すべきでしょう!
何か難しい問題でもあるのかな・・・。
ということで、「ポール無事帰国!」の報を受け僕も完全復活し、ブログも本格再始動。
次回は、吉田Qさんのファースト・アルバムをみなさまにご紹介いたします。
ご存知「涙がこぼれちゃう」を含む待望の吉田Qさんデビューアルバム『幸せの黄色いジャケット』は、胸キュン・歌謡ポップスの名曲揃い。僭越ながら、ライナーノーツ風に全曲解説させて頂きます!
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