沢田研二 「Don't be afraid to LOVE」
from『パノラマ』、1991
1. 失われた楽園
2. 涙が満月を曇らせる
3. SPLEEN~六月の風にゆれて~
4. 2人はランデブー
5. BACK DOORから
6. 夜明け前のセレナーデ
7. STOIC HEAVY~盗まれた記憶
8. テキーラ・サンセット
9. 君の憂鬱さえも愛してる
10. 月の刃
11. Don't be afraid to LOVE
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今日はちょっと長めの枕となります~。
まず、みなさまもうご存知と思いますが、デイリースポーツの北村泰介さんがまたまた素晴らしい記事を書いてくれました。
思い出すのは、昨年の『Pray』ツアー座間公演の北村さんのレポート。ファンならば一読で分かるジュリーへの深い知識と愛情。的確な文章。
その時には拙ブログでも北村さんのレポートをリンク紹介し(今はもう読めなくなっています)、「今後きっとポイントポイントでジュリーを語ってくださるであろう人」ということで「お名前、しかと覚えました」と書きましたが・・・期待通り、今回の『ひとりぼっちのバラード』について書かれた北村さんの文章も実に素晴らしい!
北村さんは間違いなくジュリーのキャリア(もちろん、現在に至るまで)に詳しいかたです。しかしその文章は決してファン寄り一辺倒にならず、ジュリーとサリーとの関係をメインの切り口に、誰もが知る大ヒット・ナンバー「時の過ぎゆくままに」の話の流れから、あくまでも一般読者に分かり易いように、現在のジュリーの志を伝えるべく記事を纏めていらっしゃいます。
セットリストから「時の過ぎゆくままに」と対比するような感じで「我が窮状」「F.A.P.P」の2曲をピックアップし、それがどういった内容の曲なのかということまで簡潔、的確に伝えてくださっていますね。さらに今後のジュリーの活動予定も紹介。これぞプロの文章、これこそが真の「伝授」というものでしょう。
いつもひとりよがりな長文を書いて悦に入っている僕などは、「襟を正さねば」という気持ちにさせられます。才が無いので、北村さんに倣うことはできませんが・・・。
また、『ロックジェット』55号掲載の佐藤睦さんによる『THE TIGERS 2013』『ひとりぼっちのバラード』レポートもとても素晴らしい、と聞いています。
僕はまだ購入していないのですよ。今買ってしまうと、ストーンズ(メイン特集)のLIVEに行けないのが一層悔しくなりそうでね・・・(本日初日です!ちなみに昨夜は、BSで菅原文太さんが「ローリング・ストーンズなど来やせん!」と言ってました笑)。
どのみち今は仕事の決算期で、平日の早退どころか定時上がりすら無理だし、絶対行けないんですけどね。それに、節約。ジュリー夏のツアーで関西遠征を企んでおりますので、今は我慢です。
この『ロックジェット』は世間のストーンズ熱が通り過ぎるのを待って、いずれ購入はするつもりです。
そして。
何と言ってもジュリーファンの間では今、ニュー・マキシ・シングルの話題でもちきりです。
今年も3月11日にリリースされることになったジュリーの新譜。タイトルはズバリ『三年想いよ』。
テーマが3年目の「PRAY FOR EAST JAPAN」であることは明白ですよね。曲タイトルから、1&2曲目がバラード、3&4曲目がロック或いはポップ・チューンと僕は予想してみました。
それにしてもジュリー、つくづく、ブレない人です。
東日本大震災について、その後の日本のあり方について、歌いたい、伝えたいことは尽きないのでしょう。いや、むしろ時の経過、風化を思わせる社会の動きに逆らい、ジュリーの思いは溢れる一方なのでは。
夏からの全国ツアーでは、震災で大きな被害を受けてしまった地での公演も決まっているそうです。ジュリーは、どんな歌を携えて被災地に赴くのでしょうか。
ジュリーのことですから、『三年想いよ』の「想い」は、「重い」とかけていますよね。
「発売が楽しみ」とは軽々しく言えないような・・・いや、もちろんメチャクチャ楽しみなんですけど、身が引き締まる思いと言うのか、収録曲のタイトルを見ただけで、今年もまたファンはジュリーの豪速球を受け止めることになるんだなぁ、と。
ホント、色々なことを曖昧なままにはさせない、というジュリーのメッセージでしょう。
聴き手は、じゃあ自分はどう思うんだ、と考えざるを得ませんし、僕などはジュリーのメッセージに自分なりの「答」を持って、また考察記事を書くことになります。
まず、しんどい、キツい・・・でも、とても有り難い。
『ジュリー祭り』参加以来、ジュリーは僕にとって、ズボラな欠点を機を見て正してくれる人。それは、本当にそうなんですよね・・・。
僕は、『ひとりぼっちのバラード』渋谷最終公演で、「レコーディングはこれから」というジュリーのMCがあったと聞きまして、てっきり「そうか~。今年の新譜は夏くらいなのかなぁ」なんてのんびり構えておりました。
でもちょっと考えてみると2012年、1・24日本武道館公演を終えたジュリーが、「細かいことからコツコツと」の宣言通り節分を機にトッポにラブコールを送り続け、「仲直り」のきっかけとなった電話がトッポからかかってきたのが「ちょうど(『3月8日の雲』の)レコーディングの最中だった」と語ってくれていたんですよね。「あぁ、2月中頃の話だったんなんだなぁ」と思ったものです。
お正月のLIVEを終えてすぐレコーディング、3月11日リリース、という早業は、例年通りのスケジュールだったということなのですね。凄いなぁ。ジュリーも凄いけど、一気に音入れする鉄人バンドも凄い。
おそらく『THE TIGERS 2013』ツアーが終わるまでに鉄人バンドのメンバーそれぞれが1曲ずつを作り、年が明けてからジュリーが詞を載せたのかな?いや、作曲、作詞についてはもっと早めに動いていたのかも。
いずれにしても、今年もジュリーの思いをしっかり全身で受け止めなければ・・・。
とりあえずアマゾンさんに予約。
アマゾンさんが今回も発売日以降の発送となてしまった場合はお店に直接買いに行き、遅れて到着した商品はYOKO君に引き取ってもらう、という恒例のパターンとするつもりです。
もちろん拙ブログでは、3月11日を起点に完全『三年想いよ』モードへと突入し、全4曲の考察記事を気合入れて執筆しますよ!
といったところで、それでは本題です。
”『ひとりぼっちのバラード』セットリストを振り返る”シリーズも、今日で4曲目。当初6曲を執筆の予定でしたが、新譜リリースがあることが分かったので、今は「なんとか3月11日まで書けるところまでは書こう」と考えています。
さて、毎回”振り返る”シリーズで採り上げる曲には、一応それぞれ自分なりの(ヒヨッコなりの)執筆テーマがあったりします。
「鼓動」では、「こんなにイイ曲だったか!」という、LIVE体験で改めて得た新鮮な再評価を。
「涙のhappy new year」では、「苦手」と思い込んでいた壁曲を悠々と乗り越えてしまった驚愕を。
「緑色の部屋」では、個人的に大サプライズのセットリスト入りで機会を得た、リクエスト曲としての執筆を。
そして今回は・・・これは、僕が完全ジュリー堕ちした2008年12月3日、『ジュリー祭り』で「ポカ~ン」と聴いてしまい、その後のじゅり勉で大好きになった曲のリベンジ!”振り返る”シリーズ恒例のテーマです。
本当に、ツアーの度に”『ジュリー祭り』ポカン曲”との再会があるんですよね~。
今日採り上げる曲は、早くも5年待ったことになりますが・・・『ジュリー祭り』以来久々、今回満を持してセットリスト入りを果たした珠玉のジュリー・バラード。
アルバム『パノラマ』から。
「Don't be afraid to LOVE」、伝授です!
作曲は平井夏美さん・・・5年前、CDを購入し最初に歌詞カードを見た時、どこかでよく見かけるお名前だなぁ、と思っていましたら、井上陽水さんの「少年時代」の共作者でいらっしゃったのですね。仕事柄、「少年時代」の作曲クレジットはしょっちゅう目にするものですから・・・。
なるほど「Don't be afraid to LOVE」とは、”説得力のある美しさ”というメロディーの共通点が見出せます。
さて、この曲については当初、ヒヨッコならではの勘違い・・・と言うか失態がありました。
『ジュリー祭り』に参加してこの曲が歌われた時、僕は先述した通り「初めて聴く曲だ・・・」とポカ~ンとしてしまったのですが、これが実はとんでもない間違い。僕はその時点で、DVD『REALLY LOVE YA !!』を持っていたのですよ。にもかかわらず、これだけの名曲を認識できていなかったという・・・ドームのレポを読んだYOKO君に指摘されて初めて「ああっ、確かにそうだ!」と(恥)。
まぁ、あの時書いたレポは、他にも様々な点でヒヨッコ感丸出しでした。
僕としては”本格ジュリー堕ち”のちょっとほろ苦い出発点でしたね・・・。だからこそ、あの時の自分の気持ちにいつまでも思い入れがあるのですが。
もちろん、その後のじゅり勉で「なんという名曲を軽視していたんだ!」とすぐに認識を改めましたよ。
あの不勉強なレポにコメントをくださった先輩が、「LIVEが終わって帰宅しすぐに聴いたアルバムは『パノラマ』でした」と書いてくださったことで、「Don't be afraid to LOVE」がセットリストに採り上げられたのはきっとジュリーとジュリーファンにとって特別なことだったんだ、と想像しながら改めて曲を勉強できたことが大きかったのです。
明けてお正月の『奇跡元年』のレポートで僕は、「約束の地」か「Don't be afraid to LOVE」を聴きたい、と思っていた・・・と書いています。我ながら、ヒヨッコとしてはなかなか正しい成長(?)を短期間で遂げたのではないでしょうか。
その『奇跡元年』で「約束の地」のリベンジは叶えられましたが、「Don't be afraid to LOVE」の方は5年待たされました。
この曲はやっぱりジュリーの自作詞、それに伴う「自分が歌いたいのはこういうこと!」という思いからくる圧巻のヴォーカルが際立っていると思うのです。
それはこの1曲だけで考えるのではなく、その後幾多のジュリー作詞作品、セルフ・プロデュース時代へと移行するジュリーの歴史を俯瞰した時、とても重要な曲だと感じます。
「歌いたいことを歌う」・・・ジュリーの自作詞への渇望は厳密にはCO-CoLO時代に始まっていたのでしょう。しかしそれはアルバム『彼は眠れない』での吉田建さんプロデュース期への移行に伴い一度宙に置かれました。
再び(良い意味での)”スーパースターの虚飾”を纏ったジュリー。それは『単純な永遠』、そして今回採り上げているアルバム『パノラマ』にもコンセプトとして引き継がれています。
そんな『パノラマ』にただ1曲・・・ラスト収録の「Don't be afraid to LOVE」で、ジュリーの激しい、切実な自作詞曲への渇望の再燃を見るのは僕だけでしょうか。
何故『パノラマ』の曲順は、「Don't be afraid to LOVE」で締めくくられるのか・・・単に「バラードで美しく完結させた」というだけのことではない、と僕は思うのです。
それは、「後に続く曲」が見当たらなかったからではないでしょうか。曲作りのベクトルが他の収録曲とは違うのです。それほどこのタイミングでの”ジュリーの自作詞”というのは重かった、意味が深かったのでは・・・。
ビートルズの『(通称)ホワイト・アルバム』という2枚組の作品をご存知でしょうか(ジュリーはかつて、ビートルズならこのアルバム、ストーンズなら『スティッキー・フィンガース』、と自身の好みを語ったと聞いています)。
『ホワイト・アルバム』は、メンバーが自らの好みのままに個別に作曲したものが多く、それぞれのソロ作品を集めたようなラインナップとなったことで、プロデューサーのジョージ・マーティンはアルバム収録曲順に頭を悩ませました。結局A面、B面、C面、D面それぞれのラストに「後に続く感じの曲が無さそうなナンバー」を配することから全体を纏めあげていったと言います。そういう”アルバム曲順の決め方”って、あるんですよ。
同じ意味で、あれほどの豪華な作家陣を集め、文字通り”パノラマ”な世界観を構築する楽曲群の中にあって、シンプルだからこそアルバムの中で異の光を放つ名曲、バラードの中のバラード・・・それが「Don't be afraid to LOVE」だと僕は考えています。
まわり道ばかりの 色んな日々を過ぎ
Bm C#m Bm A
僕は決めたけれど 君は自信がないと言う
Bm C#m Bm E
Don't be afraid to LOVE 二人なら
A
プラトニックなエクスタシー
F#m
Don't be afraid to LOVE 飛び込んでくれ ♪
Bm E A
2番以降になると、ジュリーのカタカナ遣いに「?」な部分が実はあるのですが、それは単にフレーズ一語一語についてのこと。歌われている内容、意図・・・ジュリーのシンプルな気持ちは、歌詞全体からヒシヒシと伝わってきます。絶品のヴォーカルに「演じる」という要素を感じないのは、アルバム中この1曲だけです。
僕はこの詞に、後に覚和歌子さんが作詞した2曲のジュリー・ナンバーへの道筋を見ています。
いずれも、ジュリーの「こんなことを歌いたいんだ!」という意志を汲み取って覚さんが書き、間違いなくジュリーも気に入っているであろう内容の2曲。
ひとつは「Don't be afraid to LOVE」のテーマを一歩押し進めて解釈したような「僕は幸せおそれない♪」なるカッコ良いキメのフレーズが登場する、「銀の骨」。
もうひとつは、「君の愛以外は不要!」と断言する究極の断捨離ソング、「グランドクロス」です。
「銀の骨」は分かり易いかと思いますが、「グランドクロス」については、僕なりに考えていることを語る必要があるでしょうね。
僕は「Don't be afraid to LOVE」を歌うジュリーに、いわゆる「シンプルさ」へと向かう意志、生き様の魅力を感じています(それは『ひとりのっちのバラード』ツアーで体感したこの曲のヴォーカルにも感じたことです)。
何故生きるのか。何故歌うのか。
飾りを取り払い、完全にその基本に立ち返ろうとするジュリーがこの詞に見えるような気がします。「飾り」というのはこの場合、皮肉なことに『パノラマ』のようなアルバム・コンセプトを指すとも言えます。
もちろん僕は「作られた」ジュリー像から成る楽曲も大好物ではありますが、ジュリー自身には「そうじゃないんだ」という気持ちが、特にこの頃はあったんじゃないかなぁ。そこまでハッキリ意識していなかったかもしれませんが・・・。
そんなアルバム作品同士のせめぎ合いが、ラスト収録のバラード「Don't be afraid to LOVE」で浮かび上がってくるように僕は思います。ジュリーのアプローチの突発的な変化・・・だからこそ、『パノラマ』というアルバムはとても興味深い、重要な1枚なんですけどね。
このことは、次作『Beautiful World』での、「覚さんの詞をコンセプトに」という制作スタンスへと繋がっていき、そこで一旦雄伏したジュリーの作詞欲が、『REALLY LOVE YA !!』収録の「Child」でじわじわと頭角を現し、後のセルフ・プロデュース期に幾多のジュリー自作詞の名曲群を生んでゆく・・・僕にはそんなふうに思えます。
そうした過程で、ジュリーの生き様、意志にシンクロするようにして作られたのが、覚さんの「グランドクロス」ではないか、と僕は位置づけています。
結局、「シンプル」な気持ち、ということなんですよ。
愛へ向かう、歌へ向かう、人生へと向かうジュリーの、潔さ=シンプルさ。
凡人ならいざ知らず、ジュリーほどの人が「シンプルであれ」と自らを解き放った時、生み出される作品が素晴らしくないはずがありませんからね。それが、現在まで続いているジュリーの大きな魅力、多くのファンを一層虜にしてしまう大切な部分ではないでしょうか。
こうして考えると、まるで『パノラマ』収録曲の中で「Don't be afraid to LOVE」だけがジュリーのセルフ・プロデュース作品のようで、吉田建さんの思惑から外れている、と結論づけたくなりますが、いやいや実はこの曲には建さんの色も強く出ているんです。その点がまた、この名曲の面白いところでもあります。
それは、アレンジャーとしての建さんの主張。
最も強烈なのは・・・これは分かり易いでしょう。変則的、かつ淡々としたタイミングで放たれるスネア・ドラムですね。
曲に慣れないうちは、このドラム・フレーズに「おっとっと!」とつんのめってしまった、という方々もひょっとしたらいらっしゃるのかな?
これは、「不変なるもの」「永遠の決意」といったジュリーの意を汲んでの建さん流のアレンジではないか、と僕は考えていますが、何故変則的に聴こえるのかというと、キック(バス・ドラム)が同時演奏されていないからなのです。実はこのスネア・ドラムのタイミング、基本通りの打点にキックを絡ませると、結構よくあるパターンの演奏なんですよ。
例えばジュリー・ナンバーで言いますと、『ひとりぼっちのバラード』での熱演も記憶に新しい「耒タルベキ素敵」がそうです。
つ、つ、たん、つ、たんたん、たん!
というドラムスが登場しますよね。
この「つ」の部分(キック)全てと、一番最後の「たん!」(スネア)を1コだけ抜いて脳内再生してみてください。
そのまま「Don't be afraid to LOVE」のあのドラムス・フレーズに早変わり!
「Don't be afraid to LOVE」のLIVEでGRACE姉さんは、きっとスネアのみを打ちながら頭の中ではしっかり「つ」を入れて演奏しているんじゃないかな~。言わば、柴山さんの「ちゅくちゅく♪」というブラッシングの役割を、GRACE姉さんの脳内の「つ」が果たしているわけです。
フレーズは2小節ごとに丸々全休符の箇所を経て噛んでくるので、かなりトリッキーな印象にはなるんだけど、スネアの打点自体は王道と言っても差し支えないと思います。
建さんのアレンジでそれ以外に目立っているのは、細やかな音同士の噛み。手を変え品を変えといった感じで、「1箇所入魂」の音が次々に登場します。
「Don't be afraid to LOVE」は全体的にはもの静かなイメージがあるので、演奏楽器のトラックが少ないように聴こえるのですが、聴き込んでいくとそれがとんでもない!様々な音が散りばめられているのです。音の「圧」は薄いのですが、音の「数」が非常に多いということです。
例えばこの曲を現在の新曲として鉄人バンドがまったくの無の状態からからレコーディングしたら、おそらく「涙色の空」のようなアレンジになるでしょう。それはそれでとても良くなると思いますが、『パノラマ』では建さんの完璧な「音の装飾」が楽しめます。
ジュリーはシンプルに、建さんはきらびやかに。スリリングなせめぎ合いあっての名曲です!
全体を通して継続して鳴っている音は2つだけ。
先述のスネアドラムと、ヴォイス系の音色で淡々とコードを弾くシンセサイザーです。このシンセ・コードはおそらく左手の演奏。何故なら、「小さな背中♪」のブリッジ部で、同音色の高音部アルペジオが登場するからです。それを右手で弾いてワン・トラックなのではないでしょうか。
浮遊感のある音色ですよね。
鍵盤は他に3つのトラックがあります。
まず、ピアノは分かり易いですね。あとは、本当に限定箇所入魂の登場となる、オーボエ系のロングトーンと、ストリングス。
ストリングス・トラックは右サイドにミックスされているので聴き取り易いはずです。最初の登場は、2番「ありきたりじゃないね♪」の直後で、チェロの音色のソロで噛んできます。これはシンセだと思うなぁ。このアルバムには生ストリングスのクレジットもあるんですけど、それは「SPLEEN~六月の風にゆれて」を指しているものと考えられます。
次にギターです。
明快なのはアコースティック・ギター。2番から、左サイドのミックスで渋く演奏が始まります。
問題はエレキ・ギターです。何気なく聴くと、この曲のCD音源にはエレキは使われていないんじゃないかと思ってしまいますが、さにあらず。「もう離さない♪」からアレンジが最後の盛り上がりを見せる箇所で、僅か数秒のディストーション・ギターの音が聴こえます。この音が登場するのは本当に、楽曲全体でただこの1箇所のみなのです。建さん、徹底しています。
さらに・・・イントロとエンディングで薄~く絡んでくる柔らかい音色。これはシンセサイザーではなくペダル・ギターだと僕は思うのですが、どうでしょう?
いずれにせよ、こちらも登場箇所は局地的。
最初のサビ部から導入して以降、静かに音の深みを受け持つベースや、おそらくスネア・ドラムと同時のトラックとも考えられる効果的なシンバル、タンバリンのパーカッション・アレンジ(ポンタさんの隠れた名演です)と併せ、「Don't be afraid to LOVE」にはこれほど多くの音数が散りばめられているのです。
必要な時、必要な音色で様々なトラックが挿入されている・・・建さんのアレンジでなければ、また「Don't be afraid to LOVE」のような曲でなければ、こうはならなかったでしょう。
そんな多彩な音が乱舞するこの曲を『ひとりぼっちのバラード』で演奏した鉄人バンドの再現力、構築力もさすがでした。
さすがに(ベースも含めて)泰輝さんの1人6役は無理ですから、そこで大活躍となったのが柴山さんです。ベースのパートとストリングスのパートを上手く融合した単音弾きで全体の低音域をカバー。その合間にピッキング・ハーモニックスで新たな高音部のアレンジ解釈を加えていました。
下山さんも、CD音源のアコースティック・ギター・パートの再現に加え、途中からは厚みのあるストロークも交えながら、徐々に盛り上がっていく曲想をサポート。
『ジュリー祭り』の参加段階では、ヒヨッコ故の「ポカン曲」・・・そこまで細かい演奏にまで耳が行きませんでしたから・・・ジュリーの生のヴォーカルとの再会と同じくらい嬉しく、鉄人バンドの演奏も堪能しました。
こうして、生のLIVEで聴いたばかりの曲を、レコーディング音源を改めて紐解きながら比較していく作業は本当に楽しいです。
そして、気がつけば僕の”『ジュリー祭り』ポカン曲”・・・その後参加のツアーでのリベンジがまだ果たされていない楽曲は、何と残すところ「Snow Blind」ただ1曲のみとなりました。
「近いうちに」と予感していますよ!
それでは・・・予定通りあと2曲書ききることができるのかどうか分からなくなってきましたが、少なくとも次の記事は”セットリストを振り返る”シリーズとしてどうにか更新にこぎつけられそうです。
次回お題予定曲執筆へ僕が定めたテーマは
「今にしてようやく、これはジュリーLIVEの定番曲だったんだな、と認識したナンバー」
というもの。
さぁ、どの曲でしょうか。お楽しみに!
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