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2014年1月

2014年1月27日 (月)

『'70 ザ・タイガース・フェア』

注:拙ブログでは、まだまだ『ひとりぼっちのバラード』セットリストの完全ネタバレ禁止体制を続行中でございます。
どうぞご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

☆    ☆    ☆

いや~、良かったです。NHK・BSプレミアムで1月24日に放映された『ザ・タイガースin東京ドーム』。
映像的にバシッ!としていましたし、「バンド」の素晴らしさが前面に出ていて、その辺りは実際東京ドーム公演に参加されていない視聴者のみなさまにも、充分伝わったのではないでしょうか。

僕などは、必死に記憶を辿って執筆したレポに恥ずかしい間違いがあったことが分かったり、まったく気づいていなかった各メンバーの細かい役割を改めて知らされたり・・・何度も繰り返し観ています。
僕はその一方で、別館side-Bでは、ジュリーのソロコン『ひとりぼっちのバラード』のレポートをまだ執筆途中。
ソロ・モードになったり虎モードになったり、本当に目まぐるしい、嬉しい悲鳴を上げてしまいそうな年始です。

とりあえず・・・映像で初めて認識したこと、感じたことの中からほんの少しだけこの場で列記いたしますと・・・。

・「サティスファクション」のピーのドラム・ソロは一番最後だけ「だん・だん・だだだ!」だった。
・「ジョーク」で確認すると、トッポの「G」のフォームは小指1弦3フレのフォームで、どうやら曲によってフォームを使い分けているようだ。あと、サビで一瞬間違って「D」に行きかけて「おっとっと、あぶね~!」みたいなシーンがあった。
・シローの登場を迎える時と退場を見送る時で、サリーの表情が一変していて、弟を思うサリーの気持ちを想像して、ジ~ンときた。
・「ヘンリー8世君」のジュリーの3・3・7拍子の叩き方は無事改善されていた(ホッ)。あと、目立たないながらタローのリード・ギターがメチャクチャ気合入ってる!
・「アンダー・マイ・サム」間奏直前でジュリーが「かつみ~っ!」とシャウトしてた。ただ、2人の距離はドームのモニターで感じたほど近くはなかった・・・。
・「十年ロマンス」のイントロ初っ端、危なかったね~。観ながら「あっ!」と手に汗握った。
・「落葉の物語」の単音は、タローとトッポで分担しているようだ。
・さすがに「廃虚の鳩」がこの日の放映でカットされるとは思わなかった。あの素晴らしいピーのドラムス・フィルを再び観るのは、DVD発売までお預けだ。
・「君だけに愛を」のジュリーの指差しが僕のいた席に来たのは、最後から3番目のタイミングだったみたい。
・「シーサイド・バウンド」でリード・ギターに気をとられて苦笑いしながらも、楽しそうにステップするトッポがなんだか微笑ましかった。
・「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のタローのワウ・ペダルの踏み方はトッポとは対照的。感性の人なのに冷静なトッポ、繊細な人なのに情熱的なタロー、という印象を受けた。ギターほど、プレイヤーの人柄を反映する楽器は無いなぁ、と改めて思った。
・「美しき愛の掟」は、トッポが「お~け~!」とピーに出だしの合図を送ってから始まった。武道館の後、最もメンバー間で再度の練り直しに時間が割かれたのはこの曲で間違いないだろう。結局、ピーが譲ってトッポの好みのテンポに合わせた、という感じになっていた。
・「色つきの女でいてくれよ」の間奏のコード進行はリフ部と同じ。タローがリフを弾き、その上でトッポが新たなフレージングでゴリゴリのリード・ギターを弾いていた。
・全体的に、やっぱり今回のサリーはかなり安定志向にシフトした演奏だった。そして、ジュリーの次に身体がよく動いていたのがサリーだった。それもまた、「あの頃のまま」とお姉さん達が感激したザ・タイガース本来の姿だったのかな、と思えた。

ということで・・・せっかくテレビ放映で再度の虎モードに浸れたわけですから、この機にもうひとつ、『お宝ですか?』カテゴリーに貴重なパンフレット紹介の記事を上げておきましょう。
こちらも前回の『1968 ザ・タイガース ショウ』と同じく、P様が貸してくださった資料です。
前回はトッポ在籍時、オリジナル・メンバーの資料でしたが、今回は1970年。シロー在籍時の後期タイガースのコンサート・パンフです。
実際にこのコンサートに参加されたタイガース・ファンのかたはいらっしゃるかな?
どんな曲が歌われたのでしょうか。

例によりまして、既に拙ブログの過去記事で添付済のショットもありますけど、どど~ん!と纏めてお楽しみくださいませ~。

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あ、拙ブログでは引き続き、『ひとりぼっちのバラード』セットリスト・ネタバレ我慢派のみなさまを絶賛応援中です!
僕は29日の渋谷に参加しますが、ファイナルの渋谷公演が終わるまでは、こちら本館で『ひとりぼっちのバラード』ツアーの詳細内容に触れることはいたしません。
安心して遊びにいらしてくださいね~。

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2014年1月23日 (木)

『1968 ザ・タイガース ショウ』

注:拙ブログでは、『ひとりぼっちのバラード』セットリストの完全ネタバレ禁止体制を続行中です。どうぞご協力をお願い申し上げます。

☆    ☆    ☆

今日は久々の、『お宝ですか?』カテゴリーの記事更新でございます。

現在、ジュリーのお正月コンサート『ひとりぼっちのバラード』ツアーが初日渋谷、昨夜の大阪フェスと進んでいますが・・・未だネタバレ我慢中のみなさまのご健闘には、本当に頭が下がります。
僕の知るところではお2人・・・1月29日渋谷までネタバレ我慢、また2月1日大阪までネタバレ我慢、ということで、耐え難きを耐え、しのび難きをしのび、頑張っていらっしゃる方が。
当然、明日の名古屋公演まで我慢、と仰る方々も大勢いらしゃるでしょうね。

僕はと言えば、無事初日の渋谷公演に参加し、その大きな感動にまかせて別館side-Bの方にレポートを執筆途中、という状況ですが(現在、セットリスト11曲目のあの大名曲まで執筆済←ドS)、こちら本館では、多くの「ネタバレ我慢中」のジュリーファンのみなさまを絶賛大応援すべく、ジュリーのソロコンに関連しない内容の記事を、ということで今回の更新をお贈りいたします!

さて、辛い辛いネタバレ我慢の日々・・・そんな中での大きな救いは何と申しましても明日、1・24に迫ったNHK-BSプレミアム『ザ・タイガースin東京ドーム』の放映ですね!
みなさま、くれぐれもお見逃しなきよう。
(てか、明日の名古屋公演に参加のみなさまは大変ですね。放映開始時間までに帰宅できるかたの方が少ないのでは?出発前にしっかりと今一度の録画セット確認を!)

今日はその前夜祭としまして、僕が何人かの先輩からお借りしたりお預かりしたりしている(お世話になりっぱなしです汗)お宝資料の中から、タイガース関連のブツをひとつご紹介しましょう。
『1968 ザ・タイガース ショウ』のパンフレットです。

僕はこのコンサートがどういう内容なのか、どのような歌が歌われたのか、まったく知りません(巻末にセットリストは明記されていますが・・・この通りだったのかな?)。
ただ、トッポ在籍時・・・その本当に最後の頃、という認識があるのみ。
「このコンサート、参加したよ!」と仰る方々のお話、伺ってみたいです。資料を貸してくださったP様は、少し思い出話を聞かせてくださいましたけどね。

それでは・・・中にはこれまでタイガース関連の記事や12・27東京ドームのレポートですでにブログで添付済のショットもありますけど、ドド~ンとまとめてお楽しみください!

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今後も折を見て、こうした数々の貴重な資料を少しずつでもご紹介していければ、と考えております。
とにかく・・・明日の放映を楽しみに、長いネタバレ我慢、頑張ってくださいませ。応援しております!

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2014年1月17日 (金)

恒例・ネタバレ専用別館side-Bのご案内

さぁ、いよいよ『ひとりぼっちのバラード』が明後日19日から開幕しますよ!

拙ブログでは今回も、2月2日のファイナルまで、セットリストのネタバレ完全禁止体制とさせて頂きます。
その間は、最後までネタバレ我慢されている少数派のみなさまを応援すべく、お正月コンサートとはまったく関係の無い記事での更新を(たぶん1回くらいですが汗)頑張ってまいります。
いつものように、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

で、初日渋谷公演、そしてその後の大阪、名古屋各公演にご参加のみなさまの『ひとりぼっちのバラード』についてのご感想は、拙ブログ期間限定別館ブログである

dynamite-encyclopedia(side-B)

にて、お待ちしております。
こっちでは、ネタバレ全開ですからね~。僕の初日のレポートもside-Bの方に書きますので、よろしくお願い申し上げます。

みなさまはどんなセットリストを予想されているでしょうか。とにかく楽しみです!
あと2日!

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2014年1月16日 (木)

沢田研二 「あの娘に御用心」

from『いくつかの場面』、1975

Ikutuka

1. 時の過ぎゆくままに
2. 外は吹雪
3. 燃えつきた二人
4. 人待ち顔
5. 遥かなるラグタイム
6. U.F.O.
7. めぐり逢う日のために
8. 黄昏のなかで
9. あの娘に御用心
10. 流転
11. いくつかの場面

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さぁ、お正月コンサート『ひとりぼっちのバラード』初日・渋谷公演まで、もうあと僅か。
ジュリーのスケジュールとしては従来通りなんですが、年末にザ・タイガース復活ツアーという特別な公演があり、インパクトが濃かったからでしょうか・・・鉄人バンドと一緒のソロ・コンサートはずいぶん久しぶりのような感覚があります。
待ちかねましたね~。
あの感動の東京ドーム公演から1ケ月も経たないうちに、また新たなドキドキ感を味わえるとは・・・いやいや、本当に贅沢なことです。

澤會さんからは、1階の後方席を頂きました。
まったく不満などありませんよ!激戦の初日チケット抽選に無事当選・・・それ以上何を望みましょう。
それ
に今回は、まだ知らぬセットリストへのドキドキ・ワクワク感がいつにも増して大きいんです。

思えば昨年、お正月の『燃えろ東京スワローズ』、そして恒例の長期全国ツアー『Pray』ともに、ジュリーはセットリストで”誰もが知る大ヒット曲”を多く採り上げ
「みなさまご存知のこの曲達を歌っている沢田研二です。今も元気にやっています。年末にはザ・タイガースをやります!」
といった感じで、お客さんに宣伝活動を展開してくれました。
ジュリーのタイガース復活に向けての尽力は、ツアー・パンフの制作、『ホワイト・クリスマス』のトラックダウン、そしてステージ後の打ち上げ幹事(笑)・・・そればかりではないんですよね。
抜群の知名度を誇るジュリーがツアーを回り、その都度お客さんにタイガースの話をしてくれたこと、自分の足でもって全国各地に赴いての広報・・・その効果はとてつもなく大きかったことでしょう。もちろん、その他僕らファンの目に見えない部分でのジュリーの尽力は、さらに凄まじいものがあったと思いますが・・・。
結果、年末のザ・タイガース復活ツアーは、集客もステージも大成功に終わりました。

で、ここで思い出されるのが、昨年ジュリーがポロリと語ったと伝え聞いた言葉です。
「タイガースが終わったら、もうやることが無い。徐々にフェイド・アウトする」
というね・・・。
この「やることが無い」というのは、「世間的に」という意味だと僕は解釈しています。「歌う」ことへのジュリーの渇望は、フェイド・アウトどころかますます募っているのではないでしょうか。

そこで、今回の『ひとりぼっちのバラード』では、ジュリーに良い意味でのザ・タイガースの反動が来て、大ヒット曲を期待して参加したお客さんが呆然と立ちつくすようなワケの分からないセットリスト(笑)を僕は予想(と言うか希望)しているわけですが・・・さてどうなるでしょうか。

拙ブログでは、タイガースの武道館、東京ドーム両公演のレポート執筆に力を注いだこともあり、お正月のセットリスト予想についてはここまで「銀の骨」1曲しか記事に書けていません。
でも・・・その方が良いでしょう。なにせ”全然当たらない”ことにかけては確かな実績のある(泣)僕のセトリ予想・・・みなさまご期待の曲をガンガン予想記事として書いてしまっても、残念な結果になるのが見えていますからね。
そのぶん今回は”セットリストを振り返る”シリーズに力を入れたいと思います。

まぁそうは言っても、有名シングル曲も多少はセットリストに組みこまれるでしょう。そこで僕は前々から、もし初日までに楽曲考察記事執筆の時間がとれたら、セトリ予想として「許されない愛」を書こうと考えていたんですが・・・この度、急遽予定を変更します。
一応、”全然当たらないセットリスト予想”としてツアー直前のこのタイミングで書こうと決めた曲・・・でも、予想的中の可能性はかなり低いんです。
ただ、昨年末突如訃報を知らされた大瀧詠一さんへの個人的な思い入れもあって、ツアーの前に「この曲を書いておきたい」という強い気持ちを抑え切れず・・・。今日は、大瀧さんが唯一ジュリーに提供した名曲「あの娘に御用心」を採り上げたいと思います。

以前、お二人のJ先輩から執筆リクエストも頂いていたこの曲・・・でも今日は、考察記事と言うより、個人的な思い出話がメインとなってしまいそうです。
日本が誇るポップ・クリエイター、大瀧詠一さんの旅立ちに心からの哀悼の意を込めて。
僭越ながら伝授です!

まずは、大瀧さんの作品群についての僕の思い出話から語り始めることをお許しください。
とにかく年末の突然の訃報に際し、自分がこれほどショックを受けるとは・・・。僕にとって大瀧さんが特別な存在であったことを、改めて知らされる思いでした。

大瀧さんと言えばまずは「はっぴいえんど」でありましょうし、また世間的には、森進一さんの「冬のリヴィエラ」、小林旭さんの「熱き心に」、太田裕美さんの「さらばシベリア鉄道」、稲垣潤一さんの「バチェラー・ガール」などの作曲者としても大変有名です。
しかし僕にとっての大瀧さんは、年齢的にも最も多感だった頃(10代半ば)、しかも楽器を嗜み始めた頃に洗礼を受けた『A LONG VACATION』(大瀧さんの超ロングセラー・アルバム)と『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(大瀧さん、佐野元春さん、杉真理さんの3人の提供曲による企画盤)の2枚のレコードに完全に集約されます(はっぴいえんどを邦楽ロックの伝説として知ったのは数年後・・・大学進学で上京してからのことでした)。

ビートルズに夢中になったことに始まる、”絶対洋楽主義”が身体に染み付きかけていた当時の僕が、突然虜にされた邦楽の魅力。
当時、何故あんなに大瀧さんやその周辺のアーティストに惹かれたのか・・・自力でうまく言葉を探せないでいた時、同世代のジュリーファンでいらっしゃるkeinatumeg様が、やはり大瀧さんのことを記事に書いてくださいました。
その中に、こんな素敵な文章があります。


「ロンバケ」の涼しげな曲と永井博さんのジャケのイラストは、 大人になる事への淡い期待と明るい未来を感じさせてくれた

まったく、その通りでした。
keinatumeg様、凄い。僕らが何故大瀧さんや佐野さんや杉さん達の音楽に惹かれたのか、ピタリと書き当ててくださいました。
そう・・・あの頃僕らは確かに、大瀧さん達の中に「素敵な大人」を見ていたんだよなぁ。
大瀧さん達の楽しげな「大人」感覚に、そして彼等の作る音楽の世界に、僕も自らの成長していく理想の姿を重ねるようにして、憧れていたのでした。

今はどうなんだろう。現代でも、10代の音楽好きの若者に「大人になるというのは素敵なこと」と教えてくれるアーティストは存在するのでしょうか。
ひょっとしたら僕やkeinatumeg様のような、80年代に中学・高校生活を過ごした「ロンバケ世代」ほど、その意味において音楽に恵まれていた世代は無かったのかもしれません。

『A LONG VACATION』『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』を聴いていた高校のクラスメート同士で「バンドを組もう」という話になった時、そのアルバム2枚の中からカバー曲を採り上げたのは、必然の流れ。
『A LONG VACATION』から「君は天然色」「恋するカレン」「さらばシベリア鉄道」、『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』から「A面で恋をして」をカバーしました。
鍵盤担当のメンバーが大瀧さんのピアノ弾き語りのスコアを購入し(おそらくkeinatumeg様が記事に書かれていた本と同じものと思われます)、ギター担当の僕はそのスコアのコードを書き写し、練習に励みました。

『A LONG VACATION』の収録曲の多くはとにかく転調が凄くて、ローコードだけでは絶対に演奏不可能。
当時の僕は「さらばシベリア鉄道」の「じゃんじゃかじゃかじゃか♪」という高速ストロークをハイ・コードで弾き倒すことで、ずいぶんアコースティック・ギターの腕を鍛えられたと思います。なにせ「さらばシベリア鉄道」の練習だけで、指先がメチャクチャ硬くなりましたから。シャーペンで指先を刺したら、「プス」とか言って芯が突き刺さったりしてました。それで、痛くも痒くも何ともないんですからね。
ちなみに、指紋って一度消えてもある程度なら復活するんですよ。これ豆知識ね(byシロー)。

また、大瀧さんはファルセット・メロディーの達人で、多くの曲では、ファルセット・ヴォーカルを自在に操れる人でないと歌うことができない作りになっています。
僕はそのバンドでヴォーカルは担当していませんでしたが(「A面で恋をして」で杉さんのパートを歌っただけ)、自宅ではギターに合わせ、懸命に声をひっくり返しながらファルセットの練習までしたものでした。
「さらばシベリア鉄道」のサビ部「12月の旅人よ♪」は、その決定版とも言うべき素晴らしいメロディーです。
(今回の訃報を受けて、作詞者の松本さんはこの部分の歌詞を引用、突然の大瀧さんの出発を「12月の旅人よ」とコメントされていました。松本さんの胸中、いかばかりでしょうか・・・胸が詰まります)

時は流れ90年代。
トレンディドラマ・タイアップ曲「幸せな結末」の大ヒットを機に、再び巷での大きな再評価を得た大瀧さん。
その頃には「大人」となり社会人となっていた僕が勤務先で、他でもない、大瀧さんの代表作として認知度がさらに上がっていた『A LONG VACATION』のギター弾き語りスコア発売に微力ながら関われたことは、予期せぬ喜びでもありました。

さて、そんな個人的な大瀧さんへの思いを経て「大人」となった僕が、それこそ「大人買い」真っ最中のジュリーのポリドール期アルバム群の中で、大瀧さんが作った未知の楽曲と出逢うことになります。
それが今日のお題曲、「あの娘に御用心」。
収録アルバム『いくつかの場面』がリリースされたのは1975年。しかし僕がこの曲と出逢ったのは、何と30年後の2005年のことでした。クレジットを見て「えっ、大瀧詠一・作詞作曲?」と驚いたのを覚えています。

大瀧さんには、大きく分けて2つの作曲パターンがあります。
ひとつは『A LONG VACATION』に代表される、はっぴいえんど時代からの盟友・松本隆さんを作詞に迎えた黄金コンビで作られる、涼やかでキャッチーな完全無欠のヒット性に満ちたポップチューン。
もうひとつは、自身が作詞・作曲両方を手がけ、大瀧さんが深くリスペクトしていると言われているクレイジー・キャッツの楽曲さながらの、コミカルで畳みかけるような詞曲による、どこか昔懐かしい感じのするナンバーです(『A LONG VACATION』にも1曲だけこのタイプの「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」というシンセ・ドゥーワップ・ナンバー(!)が収録されています)。
いずれのパターンも大瀧さんの「趣味性の高さ」が特筆されますが、「あの娘に御用心」は、後者ですね。

この曲の作曲にまつわる逸話、そしてジュリーファンの間では有名な、デモ・テイクと正規テイクの『いくつかの場面』収録への取り違えの話などについては、こちらのブログ様が詳しく書いてくださっています。いやぁ、ジュリー以外の記事もとても素晴らしいブログ様でした。
(実はこのブログ様を僕がJ先輩に教えて頂いたのは、今からひと月ほど前のことです。もちろん、その直後の大瀧さんの突然の訃報など夢想だにしていませんでした。楽しい記事を拝見し、僕も及ばずながらいつか「あの娘に御用心」の考察記事を書きたいものだ、と漠然と考えておりました。まさかこんな形で執筆することになろうとは・・・)
僕が驚いたのは、この曲、まず打ち込みのリズムボックスである程度の演奏をレコーディングののち、ドラムスの林さんは後録りだったんですね!
プロのドラマーにとっては何てことない作業かもしれませんが、素人からしますとその技量、恐るべしです。

誤ってデモ・テイクが『いくつかの場面』に収録され、ジュリーの発声が今ひとつ不明瞭ということでシングル・リリースを見送られた、というお話はジュリーの歴史的にも大瀧さんのキャリア的にも実に残念なことではありますが・・・その一方で、本来陽の目を見ないはずのデモ・テイクが今でもこうしてアルバムで聴けることで、ジュリーの類稀なる才能が推し量られることを見逃してはならない、と僕は考えます。
その才能とは・・・まるで作曲者でもあるヴォーカリストの個性が乗り移ったかのように「歌い慣らし」をしてしまう、ジュリーの底知れぬセンスです。

大瀧さんの曲をよくご存知の方ならお分かりと思いますが、この『いくつかの場面』収録のテイクでジュリーが聴かせてくれる、ちょっとルーズにしゃくりあげるような歌い方は、実は大瀧さんご本人のヴォーカル・スタイルにそっくりなんですよ。
きっと、大瀧さんが録った仮歌を聴いたジュリーが、まずは曲の雰囲気と、作曲者の歌に対するアプローチを咀嚼しようとして歌ったのが、このデモ・テイクのヴォーカルなのでしょう。それがいとも簡単にできてしまうジュリーは、天才という他ありません。
このことは、吉田拓郎さん作の「いま、このときめきを」や、佐野さん作の「THE VANITY FACTORY」などのヴォーカル・テイクからも垣間見ることのできる、ジュリー天賦の才だと思います。

大瀧さんの曲には、侘びしさや儚さはあったとしても、「暗さ」がありません。それが例え短調の失恋の歌であっても、どこか涼やかで、爽やかなのです。
長調のポップ・チューンならば、当然その特色は明快。

毎日あの娘の夢ばかり 催眠術にかかって
A                 F#m         A           F#m

覚めるのに5年はか かるよ
A             D       A  D

何はともあれ (御用心、御用心)
D       E             A

あの娘に逢ったら (御用心、御用心)
D          E                A

逃げた方がいい 心を奪われる前に ♪
B7                     E

「あの娘」の魅力にはどうにも困った困った~、というこの曲の心躍るテーマは、そんな大瀧さんの持つ底抜けの楽しさ、趣味性の高さがモロに反映されていて、歌手・ジュリーとの組み合わせは正に奇跡的。
天才と呼ぶにふさわしい二人が、それでいてさりげなく、肩肘を張らずに作り上げた「あの娘に御用心」は、”キュートなジュリー”の代表的名曲と言えるのではないでしょうか。

そして、この曲はジュリーの中で「イカレポンチ的に楽しげな恋の曲のパターン」として無意識に血肉となっていたのでしょうか・・・82年にアルバム『A WONDERFUL TIME』に収録されたジュリー作詞・作曲のナンバー「氷づめのHONEY」で、曲のイメージはまったく異なる中に、「あの娘に御用心」のメロディーの起伏やリズム感と不思議な共通点を見出せるんです。
その辺りにつきましては、いずれ「氷づめのHONEY」の楽曲考察記事にて触れたいと思います。

先述した通り、一応セットリスト予想として今回この曲を採り上げたとは言え、『ひとりぼっちのバラード』で「あの娘に御用心」が歌われる可能性は低いです。何故なら、今回のセットリストはもう12月の中頃の時点で決定していたようですから(saba様ブログの、GRACE姉さんの元に「ドサッ」と(笑)譜面が送られてきたらしい、との情報より)。
もし「あの娘に御用心」がセットリスト入りしたら、ジュリーのヴォーカルはもちろん、鉄人バンドのコーラス・ワークにも大注目。万が一下山さんが「御用心、御用心♪」と歌ったりしたら、これはかなりの事件なんですけどね・・・。”全然当たらないセットリスト予想”の意外な実現は、ちょっと可能性薄いかなぁ。
逆に言えば、やはり昨年に亡くなられた岩谷時子さんを送る「君をのせて」、或いは「永遠に」のセットリスト入りは既に確定しているのでは・・・とも推測できますが、さてどうでしょうか。

ともあれ、ジュリーが常に「歌」で故人を大切に送ってきたように、僕としてはこの場で、大瀧さんの隠れた名曲「あの娘に御用心」について書き、他作品への思いも込めて発信することでしか、大瀧さんを送るすべがありません。
大瀧さんのアルバム『A LONG VACATION』は、日本ポップス史上1、2を争う金字塔作品だと僕は考えていますから、是非多くのかたに聴いて頂きたいです。また、その続編的要素を持つ『EACH TIME』というアルバムもあります。こちらも名盤です。

加えて、このブログを読んでくださっているジュリーファンのみなさまには『NIAGRA TRIANGLE Vol.2』もおススメです。佐野元春さんがこの企画アルバムに寄せた「彼女はデリケート」は、冒頭セリフ入りのヴァージョン。「彼女はデリケート」を作者の佐野さんが歌うとこんな感じなんだ、ということが分かる名テイクです。
もちろん、大瀧さん作の収録曲も名曲揃いですし、このアルバムの制作前に佐野さんと杉さんは「巨匠・大瀧さん対策」として2人だけで会談(笑)、持ち寄せる曲について案を交し合ったという逸話が示す通り、佐野さん、杉さん共に大瀧さんの作風を意識したメロディアスなポップ・ナンバーを提供しているのも興味深いところです。

「日本の音楽だって素敵なんだよ」と、10代の生意気盛りの僕に教えてくれた大瀧さん、そしてその後、ジュリー・ナンバーで再び出逢うことになった大瀧さんの楽曲に、僕は今とても感謝しています。

大瀧さん、どうぞ安らかに。素敵な曲達と、得難い思い出をありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。合掌。

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2014年1月12日 (日)

2013.12.27東京ドーム『THE TIGERS 2013』 セットリスト&完全レポ

1月12日、記事を無事に完成させました。2013年12月27日の記憶は思っていたより鮮やかで、改めてその奇跡に感謝と驚きを持って振り返っているところです。
いつものように、記事更新の日付を執筆完了の日に移動させて頂きました。みなさまには新年早々、大長文におつき合い頂きありがとうございました。
本年も、拙ブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。

☆    ☆    ☆

あらためまして、あけましておめでとうございます。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。僕はこの年末年始、秩父の温泉に1泊したり、初詣に根津や浅草に出かけたりした以外は基本的に寝正月(汗)。ちょっとだけ太りました。既に今年も無事仕事が始まり、慌しい毎日となっています。
まずは日常を粛々と、謙虚に少しずつでもさらなる成長を目指し今年も頑張ります。もちろんその上でみなさまと共に、ジュリーの新譜やライヴなどを楽しんでいきたいと思います。

昨年、『THE TIGERS 2013』ツアーが素晴らしい東京ドームのステージを以て終わり、多くのタイガースファン、ジュリーファンのみなさまが充実感の中で新年を迎えられたことでしょう。
気がつけば、ジュリーのお正月コンサート『ひとりぼっちのバラード』、初日渋谷公演まで2週間を切り(1月7日がこのレポートの最初の更新日)、2014年の新たな楽しみに胸躍りますが・・・まず拙ブログでは、2013年を締めくくったザ・タイガースの東京ドーム公演のLIVEレポートを書かせて頂くところから新たな年のスタートを切らねばなりません。
公演から既に10日ほどが経ち、曲ごとに思い出したことをランダムにメモするところから作業を始めましたので、最初の途中更新のupにも時間がかかってしまいましたが・・・今回もじっくり書いてまいります。

「東京ドームの余韻にゆっくり浸りたかったのに、すぐに年末、すぐにお正月でバタバタで、まだ落ち着いて浸りきれてないよ~」
と仰る方々も、実は多いのかもしれません。
ほんの少しでも僕のレポが余韻のお供となりますように・・・頑張ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、12月3日の初日・日本武道館から3週間ちょっと・・・アッという間にザ・タイガース復活ツアーはファイナル・東京ドーム公演を迎えました。

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正に「時はあまりにも早く過ぎゆく」・・・でもそれだけに中身の濃い、本当に素晴らしいツアー・ファイナルでした。

当日、なんとか仕事を早めに切り上げ東京ドームに駆けつけた際、まず改めて驚かされたのは、会場に駆けつけた人・人・人・・・その圧倒的な人数でした。イベンター戦略に頼った大きなプロモートも無かったのに、驚異的、圧倒的な集客力。
後で聞くと、4万5千人を集めたとのことで・・・僕らファンはなかなかそこまでは忘れがちですけど、これは一般的に見ても「大」がつく成功イベントでした。しかも、大きな力に頼らない、手作りのコンサートでこの成功。
まずはこの5人のザ・タイガース・オリジナルメンバーの「手作り」に感謝しなければなりません。なんたって、東京ドームという大きな箱で4万5千人をも集める一大コンサートのチケットが、たったの8千円ですよ!
こんな桁外れなことは普通あり得ないです。

入場後すぐに再会した27年ロマンス様と
「やっぱりタイガースってとんでもなく別格だったんですよ。僕らはこれから凄いものを見ようとしていますね」
と語り合いました。

僕のお席は3塁側の1階スタンド。実は、ひと月前に参加したポール・マッカートニーの東京ドーム公演の席のすぐ近くでした。ちょっとだけ前方になった感じ。
ですから今回は事前に「自分の席からステージがどんな感じで見えるのか」というのが完全に分かっていまして、まぁ肉眼ではなかなか細かいところまでは(涙)。
ステージからさらに遠く離れた席での参加となったカミさんに双眼鏡を譲り、僕はスクリーンとステージを交互に見ながら、ということで楽しみました。

ラッキーだったのは、ちょうど僕のいた座席ブロックには熱心なファンが多かったようで、1曲目からずっとスタンディングで観られたこと。すぐ隣のブロックはじめ、1階スタンドは「シーサイド・バウンド」あたりまではほとんど着席状態だったんです(アリーナはさすがにスタンディング率高かったですが)。
さすがに、着席ばかりのエリアで一人だけ立つわけにはいかないので、自然に立って参加できた今回のお席は幸運だったと思います。通路側に空席があったりもしましたけどね。

そして何よりも、演奏が最高だったこと。
無論、僕としては一番感激したのはジュリーのヴォーカルです。でも、武道館のレポで書いたように「ピーとサリーのタイガースが誇るリズム隊がこの先本領発揮となれば・・・」という僕の期待(それは既に京セラドーム公演で完全達成されていたようですが)通り、やっぱりこの2人の調子が良いと「ザ・タイガースの音」は全然違いますね。
いや、実はサリーについてはどちらかと言うと今回「無難にこなしていた」
という感じで(「生命のカンタータ」や「美しき愛の掟」の項で少し触れます)、「この先まだツアーが続けば、サリーももっと熱く燃えてきて、凄まじい演奏を魅せてくれたんだろうけどなぁ」という夢想も個人的には残りましたが・・・僅か3週間で怒涛の巻き返しと猛烈な進化を見せたピーのドラムスがとにかく素晴らしかった!
67歳にしてその体力、精神力は一体何処から沸きあがってくるのでしょうか?

ピーのドラムスは東京ドームでも武道館同様に「走る」シーンもありました。けれども東京ドームでは、聴き手が走って欲しいタイミングで走っていたと言うのか・・・素晴らしく心地よいヤンチャっぷりでした。
またピーのドラムスは今回、ある時はトッポやタローのギターの乱れを「ほらよ!」とフィルで是正する余裕もあり(「廃虚の鳩」など)、武道館公演とは一転、メンバーの中で最も落ち着きはらっているように僕には見えました。なおかつその上でハートが熱い!そのバランスが最高だったのです。

僕は初日の武道館の演奏陣のMVPにタローを挙げました。そしてタローはファイナル・東京ドームでも、初日に負けないくらい素晴らしい演奏をしてくれました。リード・ギタリストとしても大活躍だったタローの姿は、僕の中でのタローのイメージを一新しました。今ツアー、バンド全体のアンサンブルが一番見えていたのは、やはりタローだったのではないでしょうか。
ただ、東京ドーム公演では他のメンバーがタローに劣らぬ演奏で巻き返し、特にピーが素晴らしかったことで、一層「タイガース5人だけの音」の魅力が4万5千人のお客さんにビシビシと明快に伝わることになりました。
この日の素晴らしい彼等のステージが記録に残ること、本当に良かったなぁと思います。

特にMCなど細かい点でステージの記憶も薄れてきてはいますが、トッポとタローのギターの役割分担など、演奏に関する記憶は鮮明です。それだけ今回のステージが良かったということですね。
ジュリーのお正月コンサート初日の前に、ある程度の日数に余裕を持って書き終えたいということもあり、今回のレポは文章短め(とは言っても僕が書くので充分長文ですが)に、先輩方からお預かりしたりスキャンさせて頂いたりした若虎のお宝ショット(一部、今回発売のパンフと被りますが)を多めに添付する感じで、大成功に終わった東京ドーム公演、ザ・タイガース復活ツアーに花を添えたいと思います。

僕は開演30分前になんとか駆けつけたこともあり、入場自体はゲートの人ごみも落ち着いた後だったらしくスムーズに。
いざ中に入ってから「うわ、凄い人だ!」と驚いた、という次第です。

お会いする約束だったみなさまともすべて無事にお会いでき、またあの広い会場にも関わらず開演前に偶然出会った先輩方も多く・・・これから始まるステージについて色々お話していると、ドキドキ感も増してきます。

席についてから・・・結構な時間待ったかなぁ。
いきなりパッ!と場内の電気が消えて物凄い拍手が起こります。今考えると、定刻より10分ほど経ってからのことだったのかな。会場全体が「待ってました!」という雰囲気でしたね。
それでは、開演です!


1曲目「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」


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いよいよ始まりました。
イントロのピーのスネア16連打だけで、「おおっ!」と。迷いやバラつきが無くキレがある・・・どうやら数週間に渡るツアーでピーは相当に進化したに違いない、と最初のフィル1発で確信できましたね。
ピーが最高の演奏をしてくれると、それだけで「タイガースの音」に安心して身を委ねていられます。その上でさらに突っ走るピーが良いのですよ!武道館の時とは「走る」の意味合いが違うのです。

先述の通り、ほとんど着席状態だった1階スタンドの中で、僕のいたブロックは元気にいきなりの総立ち。
ノリノリのお姉さまを前方席にたくさんお見かけしました。恵まれたお席でした。

音響については、いかにも東京ドームという感じ。
ベースの音幅が太めの設定で、サリー最大の武器であるピックならではな鋭角的な響きは、1階スタンドの客席までは伝わってきません。サリーはやっぱりパンパンベースな音響セッティングの方が良いですね。これは席の問題ですから(そう考えると日本武道館バックステージの音響は神と言えますか)仕方ない・・・DVDの楽しみにとっておきましょう。

あとは、このシンプルな編成もあってヴォーカルが前に出まくっているのが良かったですね。
これまでドームの会場でLIVEを何度か観たことがあるけれど、半分くらいの公演ではとても歌詞までは聴き取れませんでした。しかしこの日、ジュリーやトッポのヴォーカルは細かい発音のニュアンスも聴き取りやすかったです。音数が多かったり音圧が強かったりするとそうはいかなかったかもしれません。
これも、「5人だけの音」の賜物だったのでは・・・?

いきなり全開ジュリーのヴォーカルは、僕の知る最近のソロLIVEの時のねじ伏せるようなロックとは違う、ロックンロールの楽しさや、”不良少年のイノセンス”に満ちたもの。でも「ジュリーのLIVEらしさ」と言うのかジュリー天性のセンスなのか・・・細かい歌詞のフレーズに合わせたキレッキレのアクションが、こういう曲調だと本当に素晴らしい。僕が「なるほど」とハッキリ気がついたのは
「I said now tell me baby♪」
のトコで両手をあてがって耳を澄ますような仕草をしてくれたこと。
他の箇所でも色々な動きを魅せてくれていたはずですので、テレビ放映やDVDでおさらいしたいと思います!


2曲目「
サティスファクション

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初日の武道館レポでは、1曲目の後にMCと書いてしまいましたが、実際にはここは続けての演奏です。
「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」→「サティスファクション」と続けば、ドーム満員のお客さん全員にまずは「ジュリーの歌、やっぱり凄い!」ということを知らしめるには充分の選曲。この2曲のジュリーのヴォーカルが、”一般ピーポー”なお客さんにザ・タイガースのステージへの期待を最初から煽り立てる重要な役目を果たしてくれていたはずです。

また、武道館レポではトッポのリード・ギターについて、Aメロ部「I can't get no♪」に続く”4単音”(オリジナル音源と同じ)と説明しましたが、トッポはその部分をスライド経過音込みの3単音にアレンジしていたようです。荒っぽいベタつきが強調され、ガレージ感が増しますね。
武道館、東京ドームと体感して、トッポのリード・ギターの特徴は開放弦にある、との感想を得ました。これはセットリスト後半の「廃虚の鳩」の項で詳しく語りたいと思います。

サリーとタローがくっついてコーラスをとるシーン、ありましたね。初日武道館では、あったのに僕が見逃していたのか、それともステージングが進化したのかどちらでしょう?

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「No no no!」に続くピーのドラム・ソロは2011~12年の時は「だん、だん、だだだ!」でしたが今回は「だん、だん、だん、だん!」の頭打ちで通しているようです。これも武道館でどうだったのか覚えてないんだよなぁ~。
頭打ちで通す方がスピード感があります。ひょっとしたら曲全体を通したテンポ自体が、2011~12年の時と比較すると相当速いのかもしれません。これも映像で再チェックしなければ・・・。


~MC(ジュリー)~


註:とにかく記憶だけで書いておりますので、MCについては細かい言い回しに間違いがあると思います。言葉の雰囲気としてお感じ頂ければ・・・(汗)。

「ザ・タイガースです!」の声は僕にはジュリーしか聞こえなかったけど・・・みなさまのお話では、メンバー皆声を揃えていたそうです。

「40数年前に後楽園球場でコンサート(今回発売されたDVDに収録されていますね)をやって・・・タイガースがここ東京ドームに戻ってまいりました!」
「こんなに生きていくのが辛い、せつない時代なのに、タイガースに光を当ててくれてありがとう」
この後、「力をくれてありがとう。愛をくれてありがとう」まで、ほとんど初日の武道館と同じMCだったんですが・・・話には聞いていたけど、ツアー途中いつからか、このMCの途中で笑い声が起きるようになったとか。東京ドームでもジュリーが「生きていくのが辛い」と言ったあたりで笑い声が・・・。これ、まったく笑う意味が分からん!とヒヨッコは生意気にもおかんむりだったワケですが・・・だって、ジュリーがどんな気持ちでこういうことを言ってるのか、少なくとも最近のジュリーのLIVEに行ってる人なら分かりますよね?
笑われて、ジュリー怒ったかもしれない、とすら思ってたんだけど・・・「みんな、今が幸せだから笑うのよ」と後で先輩に諭されて、あぁそういうことなのかなぁ、と改めて考えたり。僕はどうも短絡的でいけませんね。

でも、お客さんの笑いは別に考えるとして、ここでのジュリーのMCは、「アイ・アンダスタンド」に載せて語られる言葉と同じくらい、今回のザ・タイガース復活に寄せたジュリーならではの、心の底からの名台詞だったと思います。

「続きまして、タイガースの十八番です!」


3曲目「ひとりぼっちのあいつ」


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”タイガースの十八番”とは知らなかったこの曲。「そう言えば同窓会でもやってたんだよなぁ」というのは、初日の武道館が終わってから改めて考えたこと。
サビ部はじめコーラス・ワーク主体の曲ですが、いや~ジュリーとトッポのハーモニーが特に素晴らしい。

トッポの声には強弱があって、1番Aメロの「point of view♪」や一番最後の「nowhere plans for nobody♪」など、オリジナルでのポール・パートが印象深い部分をスパ~ンと抜いて狙い撃つ感じで強めのヴォーカルを聴かせてくれます。これはトッポが「ひとりぼっちのあいつ」のハーモニーを単純に大好きな証拠。「俺、今イイとこ歌ってる」という歓びが声に出ていたと思います。

武道館のレポでも触れたピーの1小節ロール・フィルや、タローのリード・ギター(特に間奏最後の1弦ハーモニックス)も変わらぬ素晴らしさでしたが、トニックの「E」で引っ張る演奏部のサリーのフレーズを聴いた時、「あぁ、これは”廃虚の鳩”のベース・フレージングのオマージュ元になっているんだな」と今さらのように気がつき、嬉しくなりました。

~MC(ジュリー)~


武道館同様に、今回の復活ツアーが5人で力を合わせた手作りのコンサートであること、そしてメンバーそれぞれが果たした役割をここで語ってくれたジュリー。武道館とは、微妙に言い回しも変わっていました。

「タローは、音楽的なことの総括、コーラスや振付なども担当してくれました」

「かつみは、衣裳とTシャツを担当。この人のハイトーンが入ると、タイガースだなぁと感じます」

「ピーは、日本と中国の往復が激しくて、今回何もしてくれていません!」
と、まさかの東京ドーム大舞台で飛び出したジュリーの冗談に、さすがに黙っていられないピー先生。スックと立ち上がり、「ちょっとちょっと!」とスティックを振りかざしての猛講義、じゃなかった猛抗議のゼスチャーが、スクリーンに大写しとなります。
「嘘です。ピーはインターネットで宣伝部長を買って出てくれました。ご覧の通り、(メンバーの中で)昔の面影を残しているのはピーだけです!」

「ワタシは、コンサートが終わった後に何を食べるか何を飲むか、2軒目は何処に行くか(笑)といったことを担当しております、沢田幹事です(笑)」
「いやそれだけではなく、『ホワイト・クリスマス』のCD制作に色々立ち会ったり、出版社の方々に多大なご協力を頂きまして、パンフレットを制作いたしました。本当にタダ同然の値段でお貸し頂きまして・・・とこんなことを言って良いのかな・・・?安いお値段のパンフレットを作ることができました」

「サリーは何もしてくれていませんが、稽古初日にはすべての曲を覚えてきてくれました(サリーの自宅での個人練習が完璧だったということですね)。サリーはそこにいてくれるだけでいいんです。タイガースの重石のような人です!」
最近の会場で連発していると聞いていた「イットクけど・・・」のギャグも登場しましたが、どのタイミングだったか忘れました。

「それでは次は、かつみが歌います」


4曲目「ジョーク」


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楽器の音響は武道館バックステージの方が良かったけど、ヴォーカルのイコライジングやディレイ設定は東京ドームの方が良かったのでは、と個人的には思っています。
ドームではまず明らかに、ジュリーと他の4人とで音量設定とディレイの深さが違ったんですよね。
これで一番良い効果を得たのがトッポのリード・ヴォーカルだったと思いました。

元々トッポの声量はジュリーと並び立つものの、ギターを弾きながら歌う際に、部分部分で強弱の波が出てしまいがち。それが最大限フラットになるように、レンジを目いっぱい拡げてディレイ設定されているようでした。
他の3人はディレイの深さ、その残響音に負けちゃうような発声のシーンもありましたけど、さすがにトッポについてはそんなことはありません。素晴らしいヴォーカルでしたね。

2番からだったと思うけど、ジュリーが「Ah~♪」とコーラスで噛み込んできて・・・この2人の声の奇跡的な相性、大きな会場に響き渡るハーモニー。背筋に電気が走りました。

ピーのシンバルやスネアを使ったトリッキーなリズムにも、初日武道館のような乱れは全然無くて。
僕の同列、少しだけ離れたお席のお姉さまお2人の「今日はヤケにピーがカッコ良く見える」という声が聞こえてきました。
どの会場と比べていらしたのかは分からないけど、たぶん演奏する雰囲気の違いだと思うんだ~。自信に満ちて、落ち着いているんだけどその上でヤンチャ、というピーの魅力は、見事この大トリ東京ドームで最大限発揮されていたようです。

~MC(トッポ)~


「ずいぶん久しぶりにこのメンバーが揃いましたが・・・メンバーもそれなりに・・・お客さんもそれなりに、良いお年を召されました(笑)」

「僕たちは元気です!どうか今日は僕らのパワーをしっかり受け止めてください。次はピーが歌います」


5曲目「悲しみはぶっとばせ」


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演奏が始まる前に、お客さんにも見えるようにキリリと帽子を被ってからスタンバイするピー。

2012年のタローとのジョイント・コンサートで「生まれて初めて」と語ったドラム叩き語りも、この日は落ち着いたもの。途中までは左足のキックでハイハット、そして3連の刻みとスネアのアンサンブルに移行します。
ヴォーカルは、ピーらしい若干低音の抑揚が原曲の哲学的なイメージに合っています。

ジュリーのタンバリンもよく聴こえました。てか、初日武道館はほとんど聞こえなかったんですが・・・ここまでジュリーが丁寧に演奏していたとは。
さっき武道館の音響の方が良かったと言ったばかりですが、タンバリンの音を拾いきれていなかったことはかなりのマイナス・ポイントだったのでは。東京ドームはその点素晴らしかったです。

「Dsus4→D→Dadd9→D」のギター・コードのクリシェはトッポの担当でした。
エンディングのフルート・パートを奏でるタローのハーモニカもバッチリ決まり、この辺りでもう僕は「よし、今日はイイぞ!間違いない!」という安心感がありました。
後でお会いした先輩は、それでも最後の最後まで「オカン状態で心配だった」と仰っていましたが・・・。

~MC(ピー)~


武道館のレポでジョン・レノンの作曲や帽子について説明したら、その後各会場でピー先生自らそんなお話をしてくれていたそうで・・・。それはオーラスの東京ドームでも。
ジョンがボブ・ディランに影響されて曲作りをしたと言われていることや、アルバム『ヘルプ!(4人はアイドル)』の頃にピーが被っているものと同じ感じの帽子を愛用していたこと、など。

「ジョン・レノンの帽子です。ジョン・レノンをしのんで、ということで被っています」

ビートルズ・ファンにとっては、12月はジョンを偲ぶ月です。年が明けるまで、街でも「イマジン」や「ハッピー・クリスマス」がよく流れますね。
ピーがジョンを好きなことが今回のツアー各会場で直接お客さんに伝えられたように思えて、とても嬉しいです。

「1月に沢田から発表があって、ようやく皆でコンサートができることになりました。ついに今日が(ツアーの)最後です。今年は『花の首飾り物語』も出版でき、もう死んでもいいくらいです。みなさまのおかげです、ありがとうございます!」

「次はタローが歌います。(中国語の発音に続けて)イエロー・リバー!」


6曲目「イエロー・リバー」


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この日は安定したリズムで奏でられた「イエロー・リバー」。武道館ではどんどんテンポが速くなっちゃってましたからね~。
元々アップテンポの曲ではありますが、この日はその上で落ち着いた演奏で、タローの歌うメロディーを堪能できました。
タロー十八番の持ち歌で言うと、「ルート66」がロックンロール、「ビコーズ」がメロディアスなポップスとすれば、「イエロー・リバー」は両者の魅力を合わせ持っている感じでしょうか。

ジュリーのタンバリンは細かい16分音符のタメを使って
「しゃかしゃかぱん!しゃか、しゃかしゃかぱん♪」
という絶妙の刻みでしたね。
「コーラスとタンバリンのジュリー」も、ザ・タイガースの重要なパートなのです。まったく手を抜くようなことはありませんでした。
また、何人かの先輩から教わっていた通り、ジュリーはリード・ヴォーカルの時とはマイクの距離を開けて歌います。下手から横並びの角度で何度かスクリーンに大写しになったところで僕もようやくジュリーのそんな位置どりを確認。武道館のバックステージ2階席では、その辺りはまったく分かりませんでしたからね・・・。

~MC(タロー)~


武道館では”毒舌タロー”もちょっと混ざっていたMCでしたが、この日は完全”純情タロー”ヴァージョンで。メンバーのMCリレーの中では最もタイガース復活への個人的な喜びに満ちた、客席で聞いていてジーンと心に残るMCでした。

「昔の遊び仲間と40年経ってまたこうしてできるなんて思ってもいませんでした。新しい記念日をみなさまと共にできて僕は本当に嬉しいです」

嬉しさを抑えきれない、といった感じのタロー。ずいぶんテンション高いなぁ、と考えていましたが、すぐ後に「それもそのはず」と納得。
だって、タローがその後に続けた言葉は・・・

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「そして・・・今日は、来てくれました。来てくれましたよ。岸部シローが来てくれました!」


7曲目「イエスタデイ」


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MCのタローに注目していて、他メンバーのシローを迎える動きに気づきませんでした。サリーとピーがシローを迎えに行っていたようです。
ここで待望のシロー登場!

車椅子を押されての登場となり、スクリーンにその姿が映し出されると、大歓声と何故か少々の笑い声。でもそれがシローのキャラクターなのかな。

正直、2012年の武道館ではサリーに肩を抱かれながらも歩いて入場してくれたシローが、今回は車椅子に座ったまま。さらに、登場してお客さんに向き直っても能面のような表情を崩さなかったこともあり、「あぁ、やっぱり体調は芳しくないんだな・・・」と思いました。
しかしそれは、シローが強い気持ちと頑張りでこの東京ドームに駆けつけてくれたということの証。数日前に誓ったように、僕は精一杯の拍手を送りました。

微動だにしないシロー。果たして普通に歌える、いやそれより普通に喋ることのできる状況なんだろうか、と多くのファンが心配したかもしれません。スクリーンに映った最初のシローの表情はとても強張って見えて、大きな会場に飲まれている感じも受けました(でも実際は、そんなことはなかったのでしょうね)。

「シローもタイガースの一員です!」
とジュリー。ジュリーはシローの右隣(客席から向かって左側)に寄り添いながら、シローを覗き込むようにして
「どうする・・・?最初に喋る?それとも歌う?」
と話しかけます。
お客さんはそんなジュリーの気遣いに
「あぁ、やっぱりシローの体調は芳しくないのかな」
と考えたことでしょう。しかし

歌う!!

と、いきなりの大声でシローが堂々と宣言。
その、唐突に怒鳴ったような声は・・・体調のすぐれない中をあらん限りの力で絞り出した、といった感じがして、会場は割れんばかりの拍手に包まれます。

車椅子のシロー。向かって左にジュリー、少し離れてサリー。
真後ろにはピー。よく見えなかったけど、きっとピーは車椅子のハンドルバーをしっかり握っていたんじゃないかな。車椅子の人にとって、しっかりと人の手で固定されている、というのはとても安心感があるのだそうです。「ピーは本当に自然にそれができる人」というのは、男性タイガース・ファンの先輩であるYOU様のお言葉。

そして右側、シローの身体にピッタリとくっつかんばかりの格好で大きな背中を畳むようにして、シローにも自分の指の動きが見えるようにギターを弾くタローの姿。
感動的な立ち位置です。
思えば、ギターもまともに弾けない状態でタイガースのメンバーとなったシローの横にはいつも、頼れる先輩ギタリスト・タローがいたのですね。
シローはとても心強かったのではないでしょうか。2012年武道館では、顔をくっつけるようにしてシローに寄り添ったジュリーの位置に、今回はタローがいました。

タローは完全にギターをシローの方に向けているので、スクリーンにはギターのフレットは映りません。でも
「ずん、ちゃ、ちゃ、ちゃ、ちゃ、ちゃ、ちゃ、ちゃ♪」
という、あのあまりにも耳に馴染んだ響きを1小節聴いただけで僕は
「あっ、このイントロはイエスタデイだ!」
と身体が反応しました。
ちなみに「イエスタデイ」も、「悲しみはぶっとばせ」と同じアルバム『ヘルプ!(4人はアイドル)』に収録されているビートルズ・ナンバーです。

シローの歌声の素晴らしさを、どう言葉で表現すれば良いのか・・・なかなか難しいです。

残念ながら東京ドームに不参加となったみなさまは、翌日の新聞などで、シローの「イエスタデイ」のことを知ったと思います。新聞には「か細い声で(シローが歌った)」と書いてあったものもありましたね。
しかし僕は、声を大にしてこれだけは言いたい!
2012年に比べ、確かにシローは身体はしんどそうでした。でもあの声は・・・。あのシローの歌が「か細い」なんてとんでもない。何と言うか、直線一気ではないんだけど、パ~ッと大きく広がっていくパワーを感じましたよ。

シロー本人は後で謙遜していたけど、高音が清らかに澄みわたり、しかも音程もリズムも、2012年の「若葉のころ」より数段しっかりしていました。これは、2012年と2013年両方とも生でシローの歌を体感した人なら、絶対に賛同してくださるはず。
歌の技術や声の主張、ではないんですよ、この素晴らしさは。そのままの自分の今の声で歌う・・・そんなシローの歌う「イエスタデイ」は最高でした。

僕は、ほんの1ケ月前に本家ポール・マッカートニーの歌う「イエスタデイ」を同じ東京ドームで、生で聴いています。加えて・・・僕は極端にファン歴を言えば、ビートルズ35年、タイガース5年です。そんな僕が断言するのです。シローの「イエスタデイ」は本家ポールにも並び立つほどの素晴らしい「イエスタデイ」でした。
聴く人の心を、暖かく、幸せにしてくれるパワーを持つ純粋な歌声・・・これを生で体感できた4万5千人のお客さんは、本当に幸せだったと思います。

ふと気づくと、僕は両手をしっかり抱き合わせてお祈りするような格好でステージに見入っていました。たぶん、シローが登場してからずっと目一杯拍手を続けていて、歌が始まると同時にその体勢のまま固唾を飲んでいたのでしょうね。
シローは生き神様かよ、と自分の格好に思わず自分で苦笑してしまいましたけど・・・もうね、周囲のお姉さん達は泣きまくりなんですよね。泣きながら、シローと一緒に「イエスタデイ」を歌っていらっしゃる・・・。

スクリーンには、シロー以外のメンバーが時折アップで映し出されます。ジュリーはもちろん、ピーも大きく口を動かして一緒に歌っています。
そして、立ち位置としては一人だけ離れた所(自身の定位置)にいたトッポも映し出されたのですが、トッポもオフマイクで歌っているんですよ。ハッキリとした笑顔ではないんだけど、シローを見つめて・・・なんとも言えない優しそうな、穏やかな表情で。
この日も多くのシーンでカッコ良いトッポを観たけれど、僕が「持って帰りたい」と思ったトッポの雄姿はダントツでこの「イエスタデイ」をシローと一緒に歌うシーンだったのでした。

~MC(シロー)~


2012年の時もそうでしたが、歌い終わったシローは緊張も解け、メンバーの暖かな空気に囲まれて、愉快なおしゃべりコーナーが始まりました。

「ここでボクは、何か面白いこと言わなければならないんだけど、何も思いつかない・・・」
で、まずはお客さんも涙まじりに爆笑。

「本当はもっと上手く歌えるはずなんだけど、今日はこれが精一杯。今日のは、”魅惑のウィスパー・ボイス”ということで」
「”ウィスパー・ボイス”ってのはね・・・これ豆知識ね。ドゥービー・ブラザースのキーボーディスト、マイケル・マクドナルドの歌声がそう呼ばれてたのね。今日はそんな声でボクも歌ってみました」

おおっ!これが噂に聞く、かつて「シロー君のおしゃべりコーナー」として洋楽の薀蓄を語っていたという伝説のMC!
2012年のシローには、そこまでの余裕は無かったですからね。ちなみにシローが今回語ったマイケル・マクドナルドの”ウィスパー・ボイス”についての薀蓄は、タイガース解散後の時代のドゥービー・ブラザースのお話。シローはタイガースの後も、好んで洋楽を聴いていたんですね・・・。

あと、この日シローの掌には「トラブル」と書いてあったらしいのですが、さすがに当日気がつくことはできませんでした。
サンスポさんのネット版にシローの「イエスタデイ」の記事があります。それによれば、シローが掌の文字をお客さんに見せてくれるシーンもあったようですが・・・。
そうそう、この記事での「励まされたような気になった」というレポートは、東京ドームでのシローの登場を報道してくれたメディアの中、最も的確にシローの歌声を表してくれてもいる、と思いました。

ともあれ、あまり長い時間ではなかったけど、コミカルなトークでお客さんを和ませてくれたシロー。退場は車椅子をピーにゆっくり押されて、ジュリー達に見守られ・・・。最後は笑顔も見せてくれました。

改めてジュリーが
「シローは僕らタイガースに海の向こうの音楽の情報を伝えてくれる、という役目で海外に行ってて、ある日突然呼び戻されて、無理矢理タイガースのメンバーにさせられて(笑)、でもシローも合わせた6人で僕らはザ・タイガースです!」
と。

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シローはこの「イエスタデイ」で一旦退場となりましたが、先に書いておくと、最後の最後の挨拶にツアーTシャツ(若虎白ヴァージョン)を着て再び姿を見せてくれたのです。そのシーン含めて、東京ドームでのシローの登場は本当に感動的でした。

ひとまずここでは、ピーが優しい笑顔とともにゆっくりとシローの車椅子を押していきます。
そんな姿をジュリーは「父親を送る息子のようですね・・・」と言って笑わせ、さぁ気持ちを入れ替えて。

「次は、兄が歌います!」


8曲目「テル・ミー」


Sallyosaka

武道館の時点では確信を持てませんでしたが、間奏リード・ギターはタロー。キーはハ長調でした(タローのギターで「C」のフォームを確認)。

間奏リードはローコードのアルペジオっぽい演奏で、ミドル・エイトではなく16小節使います。いずれも原曲通りのアレンジと譜割です。
ミディアム・テンポの曲で間奏16小節は結構長めと言えますね。単調にならないように、9小節目からはピーが派手にタムで噛んできていたはず。

サリーのヴォーカルは、弟シローとはまた違った味わいがあります。兄弟でこうも声質が異なるというのもなんだか不思議に思えますね。
欲を言えば2012年の武道館とは違うナンバーを聴きたかったけど、「歌はちょっと・・・」と言うのを他メンバーが説得してくれたんですものね。感謝しなければ。

コーラスでは、ジュリーがエキサイティングだったことはよく覚えているんですけど、2012年には無かったトッポのパートがどんな感じだったかを僕は聴き逃しているんですよ・・・(泣)。
TV放映やDVDで確認するのが楽しみです。

~MC(サリー)~


「タイガース時代は岸部おさみで、ニックネームはサリーでしたが、もうサリーと呼ばれることも少なくなりまして」
と、まずは2012年の武道館と同じ言葉から。お客さんも心得ていて、「サリー!」の連呼で応えますと
「何10年ぶんも言われたみたい」
と言って笑わせてくれるサリーです。

「音楽を辞めてからもうだいぶ経ちますが、今ステージに立って、タイガースをやっていて良かったと思います。こうして弟と一緒に、兄弟でステージに立てるなんて奇跡だなぁと思います」

「次はかつみが歌います」


9曲目「ホリデイ」


Toppohirosima

トッポのギター弾き語りからスタート。AmとFの間の経過音のGの響きが良いですね。原曲では、ここはオルガン・パートですから、タイガースならではの音、ということです。
途中から噛み込むドラムスとベースが本当にカッコ良い。シンプルなエイトビートなんですけど、これまた原曲には無いアレンジです。また、ドラムスがサビ部でニュアンスを変化させるのも良いです。

トッポのヴォーカルは「ジョーク」と同じく、東京ドームならではのディレイ設定が効果的で、いやいやトッポの声って広いドーム会場向きなんじゃないですか~。
「stone」の発音などでは、明らかにジュリーの「切れ味」とは違う、「粘り」を感じました。ちょっと語尾が残るような感覚って、トッポ独特のものですよね。

ちなみに、ハミング部のタイガース版の歌詞が「Dee」だったことを武道館の後に初めて知って驚きました(ビージーズ版だとほとんどの箇所がBee、たまにPee)。
一体トッポはどう歌ってるのかと思い今回注目しましたが、結局全部Peeに聴こえたという・・・(汗)。いや、それはそれで胸キュンなんですけどね!


10曲目「ヘンリー8世君」


Peefukuoka

タイムリーなタイガース・ファンの先輩方は、当時のピーについて「とにかくファンサービスが凄かった」と口を揃えていらっしゃいます。
それは現在のピーを見て「なるほど」と納得できることでもありますが、それだけに当時のタイガース後期、笑顔の消えたピーを見ていた辛い記憶というのも、先輩方はこれまで一様に語っていらっしゃいました。

「ヘンリー8世君」は楽しい曲だけれども、1971年のコンサートのそれはどうであったのか・・・僕には想像すらできませんが、ピーのリード・ヴォーカルとコール&レスポンスをして本来持ち得たこの曲の「底抜けの楽しさ」が、40年以上後の2013年のザ・タイガースでファンの元に帰ってきたこと・・・それがどれほど素晴らしかったか。これまた僕の想像の及ぶところではありません。


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さて、「ホリデイ」の後は特別なMCは無く、「さぁ行くぞ!」とピーが颯爽とドラムセットから駆け下りてくるわけですが、おもむろにピーに代わってドラムス・スタンバイするジュリーがスクリーンに映し出されると、この日も大きな歓声が。
これはジュリーファンの「待ってました!」という歓喜の声なのか、はたまたツアー初参加のお客さんの「おおっ、ジュリーがドラムか!」という驚きの声なのか・・・どちらなのでしょうね。

腰を下ろすやいなや、ジュリーはいきなりエイトビートのドラム・ソロを2小節だったかな?
初日の武道館もイントロはジュリーからでしたっけ・・・もはや記憶が(泣)。
で、武道館ではよく聴こえなかった(のか、それともジュリーがツアー中に進化したのか)キックがこの日はバッチリ聴こえました。ジュリーのエイトビートは、「どっ、ぱん!どど、ぱん!」です。当然のことながら、「どっ、ぱん!どっ、ぱん!」よりは疲れます。大変です。ジュリー、気合入りまくりです!

確かにジュリーのドラムスは、特にこの日はピーが絶好調だったこともあって、ピーに比べるとかなり不安定な演奏であることは否めません。本職ではないので、どうしても「跳ね」や「返し」が固いのです。初日から、その点はジュリーファンのみなさまは全然ツッコんでないですけどね~。
でも・・・この東京ドームのタイガース復活の大舞台でジュリーがドラムを叩いた、という記録が残るのはファンとしてはとても嬉しいこと。何よりジュリー自身が妥協していませんし、ガンガン叩いている時の横向きの顔がまたイイじゃないですか!

さて曲は進んでいよいよ「イッツ・ア・ピータイム」。初日武道館ほど長くはなかったですが、ピー先生の緊急講義も復活(程よい長さだったと思います)。
スクリーンで一瞬抜かれた”参加の仕方がよく分からず立ち尽くすトッポ”も、武道館とは随分表情も違って
「う~ん、まぁそのくらいならイイんじゃない?」
みたいな雰囲気でした(笑)。

そして来ました、コール&レスポンスは「皆の健康を願って」(だったかな?)の3・3・7拍子!
僕はここでハラハラしながらジュリーのドラムスを注目していたわけですが・・・全っ然見えなかった~!スクリーンにも映らなかったし。これは、結果オーライ・・・なのかな?
ここから先のジュリーのドラムスは、刻みをハイハットからクラッシュ・シンバルに変えてきているんですね。

とにかく走り回り、暴れ回り、つま先立って大立ち回りのピーの雄姿がスクリーンにこれでもか、と映し出されていました。僕は3塁側だったから、下手側のステージのギリギリの所までピーが駆けてきた時のアリーナや1階スタンドの端っこのお客さんの盛り上がりが、ビシビシと伝わってきました。
それにしてもピー先生67歳、相当な距離を走っていたはずですよ。凄いです!


11曲目「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」


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で、僕は武道館レポではこの点うっかりしていたんですが、ピーの何が凄いって・・・あの駆け回り暴れまくった「ヘンリー8世君」直後のドラムスが、パワー3連符ロッカ・バラードのこの曲だということですよ。
叩いて踏んで、ここでも大暴れです。

いや・・・この曲は他のメンバーも皆凄いのか。
ジュリーのほとばしるヴォーカルとアクション、炸裂するシャウト。トッポのゴリゴリのギター、うねるサリーのベース。タローだけはこの曲、比較的おとなしめですか。でも、楽しそうだ・・・そう、この曲は特に楽しそうなんですよね、タイガースの5人全員が。
楽しくて楽しくて、叫んでしまう。顔をク~ッと上げて演奏してしまう・・・本来、それがロックというもの。「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」は”ザ・タイガース・ロック”を感じさせてくれる洋楽カバー曲の筆頭格でしょう。

4曲目からリード・ヴォーカルお預けだったジュリーは、最初の「Time~♪」から全開。
依然スタンディング率の高い僕のいる1階スタンド席のブロック、ジュリーに合わせてジャンプしているお姉さんもチラホラ。たぶん僕の後ろの方々も何人かはそうしてたと思います。だって、「Time!」の瞬間にユッサユッサと床が揺れてたんですよ!

最後の「is on my side~♪」をマイクにかぶりつくようにして歌ったジュリー。ジャンプ連発直後のエンディングでも全く息切れしていないのはさすがですね。


12曲目「アンダー・マイ・サム」

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「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」同様に、この曲も”ザ・タイガース・ロック”の真髄を魅せてくれます。
「アンダー・マイ・サム」のLIVE演奏には、本家ストーンズにも様々なヴァリエーションがありますが、今回タイガースが魅せてくれた必要最小限のアンサンブル・・・ギター2本にベース、ドラムス、そしてリード・ヴォーカルというシンプルなロック・バンド編成こそ最もカッコ良い「アンダー・マイ・サム」の演奏スタイルだ、と個人的には考えます。

イントロのピーのドラムスからして最高にスリリングですが、やっぱりこの曲の一番の見せ場・・・曲中3度登場する、「It's down to me♪」の箇所でフロント4人が足を揃えてステージ前方にせり出してくるシーンは、絵としてもメチャクチャにカッコ良い。この瞬間は、メンバーがとても60代後半には見えません。伝説の若虎そのものだ、と思えます。
これは、ひとりひとりを見るのではなく、ドラムスのピーを含めて揃ったメンバーをひとつの構図として見ているからなのかな。
多くの先輩方が「あの5人がステージに揃っているのを見るだけで・・・」と大きな感慨を語っていらっしゃるのは、こういうシーンに象徴されることなのかもしれません。
1番では上手側、2番で下手側、3番でセンターへのせり出しでした・・・よね?

さらにこの日のもうひとつの見せ場は、間奏です。
トッポがずずい、とジュリーの立ち位置の近くまで進出してきてバリバリ、ゴリゴリにソロを弾いたんですが、ジュリーはさほど大きくは移動せず。つまり、ジュリーとトッポの距離がメチャクチャに近く、まるで40年越しの恋を成就させるかのような2人のラブラブ・タイムが展開されたんですよね~。

フレットに目を落としつつも、体勢はしっかりとジュリーの方を向いて弾きまくるトッポ。ジュリーは呼応するかのように時折、左手を横、右手を腰にあてがってのエア・ギター・スタイルも交え、瞬間瞬間での嬉し恥ずかしバロムクロス状態。そんな2人の様子を巨大スクリーンも何度も抜き取ってくれていました。
演奏中にここまでこの2人が接近して互いのエモーションに呼応し合う(イチャつくとも言う)シーンって、僕はこれまで観てきた様々なタイガースの過去映像、同窓会も含めて・・・初めて観たような気がするんですけど、どうなんでしょう?

ジュリーがギタリストのリードギター・ソロ熱演に対し、煽り煽られるようなアクションを繰り出す映像や生のLIVEをよく見かけるけれど、相手がトッポってのは・・・もう言葉がないくらい感動的。
ジュリーがいつもよりちょっとぎこちないのがまた良いんですよ。これは絵的にはすべてのタイガース・ファンの萌えシーンではなかったか、と思いましたがいかがでしょうか。

演奏はこの間奏の後、ピタッ!と静止。その間も周囲のお客さんの手拍子は続いていました。さすがみなさま、心得ていますね。

余談ですが、つい先程J先輩から頂きました情報によれば、CS日本映画専門チャンネルで2月に放映予定の『太陽を盗んだ男』の放映日が、ローリング・ストーンズ来日公演初日の前夜に組まれているのだそうです。狙ってるとしか思えませんな・・・。


~休憩~

今回はこの項、駆け足で書きます。
メンバーが手を振り退場した後、場内に「ただいまから、30分の休憩に入ります」のアナウンスが流れると、何故か笑い声が。なるほど、これは「タイガースも私達ファンもトシとったからねぇ・・・」という和やかな反応だったということでしょうか。

休憩中は、過去の公演アーティストのプレートを見て回ったりしました。いずれここに『ザ・タイガース』が加わるのですね。どんなプレートになるのでしょうか。
さすがについ1ケ月前のポール・マッカートニー公演の日付記録はまだ無かったなぁ。
あと・・・もう亡くなっているアーティストのプレートを見るのは辛いものがありますね。ジョージ・ハリスンのプレートを見て、「無理してでも行っておけば良かった」としみじみ思いました。

後から「鉄人バンドの下山さんが普通に喫煙コーナーにいた」と聞きました。ブログでこの日のことを書いてくれた渡辺えりさん大友康平さん天童よしみさんをはじめ、有名人の方々の参加もとても多かったようですね。

それでは、セットリスト後半にまいります!


13曲目「十年ロマンス

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休憩中はさすがに和やかな空気に包まれていた僕の席周辺のお客さんも、後半1曲目の「Em→D→Em」のイントロが始まるやいなや、再びの総立ち。本当に、広い広い1階スタンドの中で、僕が今回澤會さんから授かった席は恵まれていたと思います。

さて・・・僕は初日武道館の後、先日リリースされたDVD-BOXで1982年の同窓会の映像をおさらいしました。東京ドーム前日の記事に書いたように、やっぱり今回のオリジナル・メンバーでの演奏と同窓会の演奏とでは何か決定的に違うものがあるなぁ、ピーのドラムスのこともそうだけど、メンバーそれぞれの気持ちの違いもあるのかなぁと感じました。

ジュリーが今回の再結成ステージに向けて早い段階から「5人だけの音」に拘り、「(上手いとか下手とかではなく)積み重ねてきた年輪が音に出る」と自信を持って言ってくれていたことに対して、僕は実際に今回のステージを観るまでは半信半疑であったことを恥じなければなりません。
12・3武道館後にようやく「あぁ、ジュリーが言っていたのはこういうことか!」と気づくことができました。

その「5人だけの音」でもって、今回採り上げられた2曲の同窓会ナンバーは、大成功・大英断のセットリストであったと個人的には考えています。

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今回は82年のような、キーボード装飾をはじめとするサポート・メンバーの音はありません。最小限の楽器と機材・・・その上での「十年ロマンス」。武骨にエイト・ビートを奏でるサリーのピックベース。タローの爽快な間奏リード・ギター。ジュリーとトッポの問答無用のヴォーカル・リレー。そしてピーのザ・タイガース特化型のドラムスとアクション。
「引き潮の海のように♪」直後の「ちゃっ、ちゃ~ん♪」という「D」コードのタメ部で大きな両肩の動きを魅せるピーの姿がスクリーンに抜かれた時の感動。やはり「タイガースの名曲」だったんですよこれは!

あと、同窓会と今回とでは、トッポの声の伸ばし方が全然違います。同窓会の時は「つ~きのひかりっ♪」と、ちょっと斜に構えていると言うのか、そんな雰囲気もあるんですが、今回は「つ~き~のひか~り~~~~♪」ですからね。「出し切ろう!」というトッポの無心の気持ちを感じました。
高音、ちょっと苦しそうなシーンもあったけど、それは当たり前のこと。だって、実際とんでもない高音域のメロディーなんですから。それを65歳のトッポがガ~ッ
と歌うだけで、隣のジュリーも「さすがはかつみや!」と思いながら見ていたはずです。

ただひとつだけ・・・2番の「左の掌ヒラヒラ→ひっくり返してLの字」のジュリーのアクションが今回は無かったことが残念です・・・。


14曲目「僕のマリー

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これまた昨年末に少し書いた、同窓会映像との比較ですが・・・やっぱりピーがドラムスだと
「ずっ、ちゃ~ん、どこどこどこ♪」
の響きが全然違いますね。いや、厳密にはオリジナルのレコーディング音源とも違うんですけど、今回のLIVEは本物感バリバリと言いますか・・・この曲の場合は2011~12年のツアーと今回とさほど差異を感じないということは、やっぱりピーのドラムス、なのでしょうね。ミディアム・テンポのはずなのに、独特の疾走感があるのです(走っている、ということではありません。詰め寄っていく、という感じかな)。

この疾走感はイントロ他に登場するタムの流れ打ち以外に、間奏でも感じられます。ピーがドラムを叩く「僕のマリー」は、歌メロ部より間奏の方がスピードがあるように思いませんか?
これはおそらく、ピーが刻みをハイハットからトップに切り替える、その刻みの良い意味でのバラつき・・・つまりは、力の入れ方が一打一打違っているからじゃないかなぁ。マシンのように均等に打つのではなく、身体の命じるがままに、そして「身体が小さいから、大きな動きを意識した」とピーが語る”タイガース・スタイル”で打つ、ということなのでしょうね。

これは先述のDVDのdisc-5でタイガースが魅せてくれている、本来の「僕のマリー」(間奏を弾き終わって首をカクン!とかしげるトッポの謎の動きが良い!さすがに今回はその動きはやってないでしょうが・・・)に立ち戻った、と言って良いでしょう。
いよいよこの曲から、トッポ在籍時のザ・タイガース怒涛のオリジナル・ナンバー攻勢が始まり、お客さんの熱気も増していきます!


15曲目「落葉の物語

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ジュリーのヴォーカルに、きっと会場の全男子もウットリ・・・だったかな?横揺れに参加しているおじさまも見かけましたよ~。
本当に甘やかな、素直な、それでいて切れ味鋭いヴォーカルでしたね。

武道館のレポではこの曲について、「泰輝さんのキーボードが恋しい部分もある」と書きました。
それはおもにチェンバロ・パートについて感じたことなのですが、この東京ドームで改めて耳を凝らして5人のアンサンブルを聴いていたら・・・何と、すべてではないけれど、タローがチェンバロのパートをキチンとギターで再現している演奏部が!

いやぁ、やっぱり今回、ジュリーの言う「音楽的な全体のこと」・・・つまりはこの最小限のバンド編成でのアレンジメントにおいてタローの果たした役割は凄いんですよ。
目立たないんだけど、その「音」があるから皆意識はせずとも安心して身を委ねていられる・・・そんなギターをタローは「落葉の物語」で弾いてくれています。
セットリスト後半に入って、タローのギターにかかる比重が多くなってきました。
それはまた一方で、トッポのコーラスの役割が大きくなっているということでもあります。「落葉の物語」ももちろんそうですよね。

あとはピーのドラムス。こちらもまた目立たないながら素晴らしい演奏を聞かせてくれます。1番と2番とでは細かいフレージングを違えているんですよ。
例えば1番の歌詞で言うと「二人で、見つけた♪」の箇所。
ここは、それまで優雅だった曲想に少し激しさを加える重要なヴァースですが、1番ではシンバルを使わずに頭打ちで攻めます。ところが2番ではシンバルと合わせて1拍目だけを強打していたのです。武道館では全然気がついていなかったなぁ。
「忘れられません♪」の直後の
「たたたん、すたたた、たたたた、たたたん♪」
みたいなフィルも、相当カッコ良かったですよ!


16曲目「生命のカンタ-タ

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サリーのベースの手数が減った・・・かな?
初日の武道館ではもっとギュンギュン言わせていたように思うけど・・・気のせいかなぁ。ドームの音響のせい?それとも、武道館でコーラスがうまくいかないシーンがあったので修正をかけてきたのでしょうか。
それでもやはりこの曲、生演奏は素晴らしいです。
ファンとしては、この曲を採り上げてくれた!という単純な喜びがまずあります。その上で歌も演奏も素晴らしい、ということなのです。
何よりジュリーのヴォーカルとサリーのコーラスの絡みはね・・・ジュリーとトッポのヴォーカル・リレーとはまた違った興奮に会場が包まれます。

武道館ではリズムキープに心を砕いていたピーのドラムス。それはもちろん素晴らしい演奏でレポでも絶賛したのですが、この日は遊び心がプラスされていました。意表を突く裏打ちのフィルがあったり・・・サリーがキッチリしていたから、よし今回は俺が!という感じだったのかな。以心伝心、さすがは悪ガキ同級生コンビのタイガース・リズム隊ここにあり!です。

で、武道館の記憶があやふやだったリード・ギターは、タローでした!これまた素晴らしかったです。特に間奏は歌メロと同じフレーズ・・・もしミスタッチがあったら、曲を知っている人すべてに気づかれてしまうという緊張の中、丁寧かつ自然に流れるタローの指と音。
漲るザ・タイガース・ナンバーへの誇りを胸に、稽古充分のタロー。そのリードギタリスト・タローの雄姿は、次の曲へとさらにさらに続くのです。

~MC(ジュリー)~


(後註:以下のジュリーの沈黙のくだり、ひょっとしたら「シーサイド・バウンド」の前のMCの時だったかも・・・)

初日の武道館でもあった、短いMCを待ち構えるお客さん。打ち合わせもバッチリの映像スタッフさんも、「さぁ!」とばかりにジュリーのアップをスクリーンに映し出します。

・・・・・・・・・。

巨大スクリーンに大写しとなり、キュッと口を結んで仁王立ちのジュリーの上半身。お髭がキュートだなぁ・・・。

・・・・・・・・・。

ん?
どうした、ジュリー?

思わず、といった感じですぐ近くのお席のお姉さんが「あれ?」と声を出します(笑)。
まぁ、その間10秒くらい?いや、じっと観ている僕らには長く感じられたけど、実際にはほんの数秒のことだったのかもしれませんが・・・。

「ハッ!ワシがしゃべるトコや!」
とは言わなかったけど(笑)、我に返ったジュリー、特に慌てた様子もなく
「アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』から・・・」
と、ごく普通に曲紹介のMCを始めてくれました。いやぁ、ちょっとヒヤヒヤさせられた瞬間でしたね!

でもジュリー自身は慌てず騒がず、「ここは聴かせどころだよ。いい曲なんだよ」といった感じで、静かに次曲「忘れかけた子守唄」を紹介したのでした。


17曲目「忘れかけた子守唄

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いや~、ホッとしました。武道館レポで散々「タローのリード・ギターを聴け~い!」みたいなことを言っておきながら、書いているうちに「あれ、この曲のリードはトッポだったんだっけ?」と記憶が怪しくなっていましたが・・・やっぱりタローがリード・ギターで合ってました。

まぁ・・・よく考えてみれば僕の場合は、武道館では「タローが弾いた」ことでより大きな感動があったわけです。これがトッポの担当だったら「お、やるじゃん!」で終わっていたかもしれません。トッポのギターについて僕はまったく未知数で臨んでいましたから。
タローについてはどうしても2011~12年のツアーを物差しにしていましたので・・・要はこのヒヨッコ風情が事もあろうにタローの演奏力を軽んじ、余計な心配をしていた、ということ。
まったくもって土下座ものですよ・・・「忘れかけた子守唄」の、3つの異なるキーで登場するトランペット・パートのギターでの再現は、タローの今ツアーでの大きな見せ場のひとつです。
ソロ部ひとつひとつ取り出して考えれば、他愛もない簡易な指移動のフレーズ。しかし3度の出番が歌メロを挟んで半音ずつ上昇したキーでの登場。そこが難しいのです。しかもこれは、「哀愁のギター」という感じのフレーズになりますから、トッポよりもタローが担当する方がより良かったのかもしれません。トッポには重要なヴォーカル・パートもありますからね。

そのジュリー→トッポのヴォーカル・リレーは、初日と変わらない素晴らしさで。
おとぎ話を聞かせるような穏やかなジュリー。悲しい現実を突きつける慟哭のトッポ。
しかし二人共に、この歌を「歌う」ことへのスタンスは同じです。余計な感情は入れず、優れた詞曲とメッセージ性を持つ素晴らしい「歌」をそのままの歌として歌う・・・聴き手が受ける「穏やかさ」と「慟哭」の対比は、もちろん歌詞の内容もありますが、ジュリーとトッポが天性として持つ「声」の魅力が違った形で反映されているのではないでしょうか。ザ・タイガースでしか歌えない歌ということでしょう。

ピーのロールがオリジナル音源とは異なり、引きずるような感じになっていたのは、ピーがこの曲のメッセージ性を汲んだ演奏を狙ったのかな。
エンディングで次第に音量を下げ、最後はそっとスティックを置くようなピーのドラムロール。
ザ・タイガース2013年の名演です!


18曲目「廃虚の鳩

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東京ドーム公演で僕が後から「特に良かった」と思ったのは、意外や・・・と言うと変ですけど、いわゆるタイガース王道の有名曲達でした。
全セットリストの中で特に良かった曲を5曲挙げなさい、と言われたら、僕は「モナリザの微笑」「青い鳥」「花の首飾り」「君だけに愛を」そして「廃虚の鳩」です。
歌にしても演奏にしても、「これほど良かったか!」と今さらのように強く感じ、初日武道館では特にそこまでの感想は持たなかったということは、この日の演奏がとても良かったのかなぁ、と。

「廃虚の鳩」ではトッポのヴォーカル、ジュリーのコーラス、サリーのベース、トッポとタローのギターもすべて良かったんですけど、一番心を揺さぶられたのはピーのドラムスです。「ここまで情熱的に叩く曲だったのか!」と思いました。
とにかく最後のヴァースが凄い・・・「生き~るこ~との~(たかたかどこどこ)♪」「よろこ~び~を~(たかたかどこどこ)♪」といった感じで、2小節ごとにフィルを入れまくるんです。トッポのヴォーカルと、最後に救いが用意されている歌詞に呼応する、素晴らし過ぎる熱演。

いや、これはオリジナル音源の段階ですでにそういうドラム・アレンジになっているわけですが、実際に生で観て、聴いていると迫ってくるものが全然違った・・・ピーは武道館でも同じように叩いていたはずなのにそのシーンの記憶に残っていないのは、僕がボ~ッとしていたのか、それとも東京ドームのピーの演奏がひと味違っていたのか・・・。
視覚の効果もあったかもしれません。スクリーンでは、ピーがフィルを叩くごとに、その情熱的な動きが何度もアップで抜かれていましたからね。
きっとTV放映やDVDも、そういう映像になるんじゃないかな。まずは1月24日のBS、みなさまも是非注目してみてください。

また、トッポとタローのギター・ハーモニーは武道館の時と比べるとまずまず揃っていたんですけど、最後にト長調からイ長調にキーが1音上昇する際に、二人は少し慌てたのか、呼吸が乱れテンポも一瞬「ヨレッ」となりました。
そこですかさずピー先生、「心配ご無用!」とばかりに落ち着いたフィルでリズムをリードし、他の演奏陣を助けたのです。このシーンもすごく良かったなぁ。

間奏についても書いておきましょう。
トッポはこの曲でリード・ヴォーカルだけでなく、間奏のリード・ギターでも活躍します。しかも、開放弦を採り入れた独特の奏法で。
ト長調の曲では、2弦(=「シ」の音)、3弦(=「ソ」の音」)、4弦(=「レ」の音)を開放弦(フレットを押さえない)で演奏可能な「G」がトニック・コードとなります。トッポはそれを利用し、うまく間奏のメロディー(歌メロと同じ)に当てはめて演奏していました。
しかもトッポは(「サティスファクション」でも同じシーンを魅せてくれるのですが)、開放弦を弾く際に、左手をフレットから大きく離すのです。
「ボク、今手ぶらで弾いてるよ!」と言わんばかりの、これは今ツアーで僕が初めて知った、トッポ独特のアクションのようですね。いつものソロLIVEでも、きっとこうなんだと思います。
一度、トッポのソロLIVEも観にいかなきゃなぁ・・・。


19曲目「モナリザの微笑

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ピーの剣舞は6つ打ち。初日武道館でもそうでした。
今ツアー、何処かの会場で7つ打ちのヴァージョンはあったのかなぁ。

確かサリーは以前、「モナリザの微笑が一番好き」と語っていたんでしたっけ?
実は今回の東京ドームでのこの曲の演奏で、僕はサリーのベースが最も強く印象に残ったのです。
2011~12年のツアー、そして今年の武道館と何度も聴いてきた「モナリザの微笑」でこの感覚は初めてのことでした。何故だろう・・・ドームの音響に合っていたのかな。
別に複雑なフレーズを弾いているわけではないのですが、例えばエンディング、タローのハーモニカが最後の1音を延ばす時に裏メロっぽく下降するベースが、とても優雅に聴こえたのでした。
そんなこともあって、これまで生で聴いてきた「モナリザの微笑」の中で一番良かった、と思いました。まぁそれは、「青い鳥」についてもそうだったのですが。

タローのハーモニカも良かったし、もちろんジュリーのヴォーカルも。この大事な映像収録のある東京ドームの大舞台で、しかも5人だけの音でそれができてしまうザ・タイガース、さすがです。


20曲目「銀河のロマンス

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東京ドームでの5人の演奏は、全セットリストを通して大きなミスも無く、また演奏中にメンバーが「あれっ?」と戸惑うようなこともありませんでした。
ただ1曲、この「銀河のロマンス」を除いて。
でも・・・この日の「銀河のロマンス」で起こった唯一の大きなミスは、言い方は変ですがとても微笑ましく、映像に残るシーン(残りますよね?)としてかえって良かったように感じられました。

2012年1・24武道館の映像で、ピーの「モナリザの微笑」でのイントロのミスがありましたよね?あれもすごく良いシーンでした。
あの時のツアーはある意味ピーが主役、そして今回はトッポ・・・そう考えても、この日の「銀河のロマンス」のトッポのミスはいわゆる「ミス」と言うより、手作りのLIVEの和やかなワンシーンとして、まるで神様から用意されていたかのような爽やかな自然さがありました。

経緯はこうです。
ピーのカウントに続き、サリー、タローは普通に伴奏を開始しましたが、トッポのギターが鳴りません。「弾き間違った」のではなく、「うっかり出遅れた」ということです。
その間、1小節と2拍・・・くらいだったのかな。トッポがピーの方を向いて手を上げ、「ごめん、もう1回!」という感じの仕草を見せます。これはスクリーンでもバッチリ抜かれていましたね(笑)。
演奏はいったんストップ。
ジュリーのフォローが入って、トッポが今度はお客さんに向かって手を真っ直ぐに上げ
「ボクが間違いました!」
と。
暖かな笑いが会場に起こりました。ステージ上のメンバー間の心の距離・・・それがプライヴェートにおいてもとても近い、「仲の良い友達同士」に戻っていることが分かるようなシーンだった、と多くの方がそう感じたのではないでしょうか。

いざ仕切り直しとなった「銀河のロマンス」のトッポのリード・ギターは、一転素晴らしい演奏でした。
美しいラインを弾いてもどこかゴリゴリ系。イントロのフレーズ、ひと回し目では6弦の低い音の位置からずんずん下って(音域は上がって)いきます。ここでもトッポは開放弦をうまく使っていたように見えました。DVD観てコピーします!

武道館レポで切望した、会場いっぱいのお姉さま方による「シャララララララ~♪」のコーラス参加は無し・・・、よく考えたらお姉さま方にとってそこは、「ジュリー、マイ・ラヴ!」とか「ピー、マイ・ラヴ!」とか叫ぶことの方が優先ですものね。


21曲目「青い鳥

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これがまた素晴らしかった!
タローのギターについては、武道館のレポに大絶賛モードで書いた通り。きっとタローは今ツアー、初日のあの素晴らしい演奏を各会場でずっと貫き通せたんだろうなぁ。
フレットを見るまでもなく指が動く・・・そんな域に達していたのではないでしょうか。

加えてこの日は、ジュリー、サリー、トッポのハーモニー(これは東京ドームの音響さんの、各メンバーごとの設定も素晴らしかったのだと思います)に痺れまくり、サリーの裏拍のベースの重厚な音色(この曲についてはベースの音響設定も合っていたと思います)に胸打たれ・・・そしてトドメは「廃虚の鳩」に続いてまたしてもピーのドラムスの魅力を今さらながらの大発見!いやぁ感動的でした。

とにかく、「行~かな~い~で~♪」の箇所でのピー渾身の8分音符のキック。このキックがこれほど力強く、しかも輪郭がクッキリと聴こえたことは、2011~12年のツアーの時も無かったように思います。ビシビシズシズシと胸に直接響いてくるようでしたね。

これまで僕は「青い鳥」について”朴訥な短調ポップス”という言い方をずいぶんしてきたけれど、この日生で体感したオリジナル・メンバーの演奏による「青い鳥」は”ロックしていた!”と思ったんですよ。「青い鳥」という曲にロックを感じたのは、本当に初めてのこと。
改めて「名曲中の名曲」なんですねぇ・・・。


22曲目「花の首飾り

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「廃虚の鳩」も「ジョーク」も「ホリデイ」もそうだけど、後追いファンの僕が今回のツアーで待望のトッポの生のヴォーカルで「花の首飾り」を初めて聴けて本当に良かったと思っています。
これまでトッポにはどうしても、「とっつきにくい、冷めたような人」というイメージを持っていました。単なる先入観ですけどね。本人の歌を聴かぬまま、過去の週刊誌的なジュリーとの確執のエピソードを(面白おかしく)知識としてだけ持っていましたから・・・。
ただ僕は、同窓会時のトッポ作詞・作曲による名曲「生きてることは素敵さ」や、昨年購入したアルバム『青春の残像』収録のトッポ自作詞のナンバーなどは不思議と波長が合い、ジュリー繋がり抜きで惹かれている部分も大いにありました。

トッポの魅力はやはりその声。そこには当然、人間性も映し出されていると思います。
僕がその人間性含めて今回の「花の首飾り」で感じとったのは、トッポの良い意味での「弱さ」「脆さ」の表現。
何度も書きますがこの「弱さ「脆さ」というのは、1973年発行の『沢田研二新聞』にトッポが寄せた”ジュリー評”の中に登場する言葉です。トッポがジュリーを語ろうとした時、まるで鏡のように、自らが隠し持つ最大の魅力をそこに見出していたように僕には思えます。

僕が思うに、トッポが見てとった歌手としてのジュリーの「弱さ」「脆さ」の魅力というのは、その外見・・・つまり「美しさ」が形を変えたもの。だからトッポは純粋な気持ちで、ザ・タイガースの復活に際しジュリーに是非ダイエットして欲しい、と願ったのではないでしょうか。
しかし、ジュリーはその「美しさ」「弱さ」「脆さ」の魅力を甘い外見に纏われながら、その中身には頑固な硬い芯(矜持)があり、現在はそのコーティング(外見)を取り払ったところで歌人生を歩んで行こうとしています。トッポのジュリー・ダイエット計画は霧散しました。
さらに言えば、ジュリーとは正反対に、外見に滲み出る硬い矜持のコーティングの内側に「美しさ」「弱さ」「脆さ」という甘やかに溶ける魅力を持つのは、実はトッポ自身であったわけです。

つまり・・・チョコレート菓子に例えると、ジュリーは「ポッキー」でトッポは「トッポ」なんですよ。いや、どちらも明治製菓じゃなくてごめんなさい、って話ですけど。


↓お詫びの明治製菓画像

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トッポはジュリーの本質についてはきっと理解はしています。でも、自分についてはどうかなぁ。
自らが40年前にジュリー評として語った魅力そのものを、今回の「花の首飾り」で見事に表現していた自分自身の声、歌の素晴らしさに、気づいているのかな。ジュリーが「宇宙一」と言っていたのを、お世辞なんかじゃないと思ってくれているかな・・・?

オリジナル音源ではストリングス・アレンジとなっている装飾音を、今ツアーではタローが折り目正しくギターの単音で弾いてくれています。トッポのヴォーカルを追いかける、大切な音です。これも素晴らしい演奏でした。
最後の突き放しのコードは、1弦2フレットを加えての「Am6」だったようです。


23曲目「君だけに愛を

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京セラドームに参加した先輩方が、「指差しの時のお客さんの反応が薄かったような気がする」と仰っていました。しかしおそらくそれは、ドームという特殊な会場のせいだったのでしょうね。

この日の東京ドームでも・・・例えばジュリーが1塁側の2階スタンドを指差した時、3塁側1階スタンドの僕らには、お客さんの悲鳴は響いてきません。でも、指差された周辺では、大騒ぎになっていたに違いないと思います。会場が広過ぎて、その興奮が隅々にまでは届かないのです。
何故僕がそう言えるのかというと・・・来たんですよ来たんですよ、「なかなかこっちには指差し来ないなぁ」と思いながら観ていたら、本当に最後の最後の「君だけ~に~♪」で、ピンポイントで僕らの席のあたりをジュリーがビシ~ッ!とね。
僕の少し前の席のお姉さん、ピョンピョン飛び上がって手を振っていましたよ。

ジュリーが
「よっしゃ、最後は1階スタンドの、ずっと立って見てくれとったあたりや!」
と瞬時に考えて狙ってくれたんだとしたら、嬉しいなぁ。

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とにかくこの曲では、ジュリーのヴォーカルが最高でした。もちろん指差しなどのアクションも含めて。
トッポの間奏リード・ギターはじめ、演奏も良かったんだけど、僕は歌いだしの「オ~、プリ~ズ♪」から、ほとんどジュリーばかり見ていました。演奏陣に目が行ったのは、最初のギターの「キュイ~ン♪」だけかな(笑)。
そうそう、京セラでは全演奏の中で唯一その「キュイ~ン♪」が「ガクン!」みたいな音になってしまっていたそうですが、東京ドームは完璧でしたから!

イントロ、「キュイ~ン♪」はトッポだけど、続く3連符のバッキングはタローでしたよね?これ、聴くのと演奏するのとでは大違いで、リズムにうまく載ってなおかつグルーヴ感を出すのが非常に難しい(2011~12年のツアーでは、鉄人バンドの下山さんが担当)。
演奏を語る上ではあまり目立たない箇所だとは思うけど、タロー、ここでも頑張ってます。


24曲目「シーサイド・バウンド

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この曲の前、ティンバレスのセッティングの間にジュリーのMCがあったはずなんですけど、覚えてないんです。ティンバレスを運びこむスタッフさんの姿が一瞬スクリーンに映ったことは確かですが・・・。
ひょっとしたら「生命のカンタータ」の後のMC部で書いたくだりが、ここだったのかもしれません。
ジュリーが「さらに盛り上がっていくぞ~!」みたいな感じのことを言って、曲が始まったんだったかなぁ。みなさま、そのあたりは1月24日21時からのBSプレミアムで確認してくださいね!

さぁ、「君だけに愛を」に引き続いてのジュリー・タイム!
これまた、ほとんどジュリーしか見てない・・・。仕方ないよね、このセットリスト並びで、一番の大盛り上がりコーナー・・・僕は基本的にジュリーファンなんですから、アップテンポの曲でジュリーが無心にハジけ出したら、どうしても釘付けになってしまいます。
武道館ではティンバレスに気をとられているようなシーンもありましたが、東京ドームはイケイケでしたね。
この曲でようやく、会場全体がスタンディングになっていたかな?
僕のいたブロックは、「ゴー・バウン!」の拳振り上げも、ギター・ソロ部の振付も、皆で張り切ってやりましたよ~。振付は僕は最初、メンバーと同じ動きでやってたんですけど、両隣のお姉さんが逆方向の鏡ヴァージョンだったので、途中から修正して合わせました。

演奏など他メンバーの細かい点については、TV放映やDVDでおさらいするつもりです。
ただ、ピーが凄まじい気合の雄叫びを上げていたのが聞こえたような・・・。ステージ近くで参加のみなさま、そのあたりはどうでしたか?


25曲目「アイ・アンダスタンド」

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「大好きな曲なのに、聴きたくない」
ずっと以前にコメントを頂いた先輩のお言葉が、この日ほど身につまされたことはありません。
「アイ・アンダスタンド」・・・ザ・タイガースのLIVEでこの曲を聴く、ということはすなわち、もうすぐLIVEが終わってしまうということ。

寂しさと共につのる感動。
何の邪気も無く響き渡るジュリーのヴォーカル。その低音部の驚くほどの暖かさ。

「僕たちはみんな、今日まで生きてきました。今日も生きています。明日からも生きていきます」

ジュリーはファイナル東京ドームでも、初日からずっと語り続けている言葉を、この曲の間奏に載せて噛みしめるように語ってくれました。

年末年始、ザ・タイガースのメンバーと同世代、またザ・タイガースよりも年下の著名人の訃報が相次ぎました。
シローも含めて、6人のメンバー全員が生きていたからこそ叶った、『ザ・タイガース2013』という奇跡。

「2013年12月27日を、みなさんの思い出に加えてください。この日の一部始終・・・どうかみなさんのお好きなところをお持ち帰りください」

最後にジュリーはそう語り、万感の「アイ・アンダスタン♪」の歌声で演奏が終わります。
すかさずピーのドラムスが躍動し、続く曲は・・・


26曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ

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「アイ・アンダスタンド」は4拍子、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は3拍子だけど、この2曲は刻みのリズムがほぼ同じ速度の3連符。改めて「2曲で1曲」の構成に感動します。これぞザ・タイガース・・・この2曲が繋がるセットリストは、メンバー全員が揃った真のザ・タイガースでこそ演奏されなければなりません。

燃える情熱のリード・ギターは、タローです。
初日の武道館の僕の記憶では
「リード、どっちだったっけなぁ。あのうねりのあるガレージっぽい音色は、トッポだったのかな」
という情けない状態(イントロのアクシデントで気が気ではなかった、ということもあります)でしたが、よく考えれば「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のリード・ギターはずっとタローが奏でてきたのですからね。2011~12年ではお預けになったけど、ピーぼドラムス、サリーのベース同様に「うねる」タローのギターがようやく2013年、ファンの前に帰ってきました。

ジュリーのヴォーカルやサリーのベース演奏の素晴らしさについては、今回も多くのメディアが採り上げてくれていますが、ファンはきっと分かっていますよね・・・2013年のザ・タイガースで、タローが一歩引いたところで数々の本当に素晴らしい演奏と、漲るタイガース愛を魅せてくれたことを・・・。

ゆったりと腕を上げ、そして下げ・・・ジュリーの頭上で、胸元で作られた「L」の字に応える4万5千人。
澄みきった、それでいて力強いヴォーカル。今のお髭のジュリーがザ・タイガースへの思いを無心に込めたからこそ、「L」=「愛」の深みと力が加わった歌声。
1971年のフィナーレとは違う、メンバーもお客さんも笑顔の「L」で、本割セットリストはフィナーレです。

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心地よい右腕の疲れ、キラキラに輝く会場。
後追いファンがよくこの場に間に合った、この場に加えてもらって本当に幸せだなぁと思いました。

余韻の中を、にこやかに手を振り退場するメンバー。
セットリストに変更が無いのならば、残すところあと3曲です。多くの先輩方の中に混じって、僕もアンコールの拍手を休むことなく精一杯送りました。


27曲目「タイガースのテーマ

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メンバー再登場にドッと沸く東京ドーム。初日同様ここはMCも無く、いきなり演奏がスタートします。

老虎再来支援委員会の坂田委員長が以前、最初期タイガースのピーについて「3連符が苦手だった」と語っていらしたそうで、実際『THE TIGERS ON STAGE』での「タイガースのテーマ」なんかは、フィルで「おっと!」みたいなシーンもあるんですけど、(おそらく当時から)生で聴くとピーのその突っ込み具合、追いかけ具合というのがとてもパワフルに感じます。今回のセットリストの中で、ピーのドラムスが心地よい曲のひとつです。

最後の足上げアクションについて、大友康平さんがブログで「ラインダンス」と書かれていて、「あ、なるほどそういう言い方をすれば良いのか」と思いました。
ジュリーがメチャクチャ気合入ってて、膝が胸のあたりまで持ちあがるような動きでしたね。その分、4人並んだ時にジュリーだけ揃っていない感もあったかな・・・。足が大きく跳ね上がっているので、一人だけ回転も速く見えたんですよ。ジュリーの弟キャラ爆発のサービス・アクションだったとは思いますが、他3人はジュリーほどの体力は無いでしょうし、楽器持ってるからあそこまで膝は上がりませんよね・・・。
その点では、そのジュリーですらちょっと「嬉し恥ずかし」モードだったと思われる初日の武道館・・・バックステージから観ていても、4人の動きがピタ~ッと揃っていたなぁ。
少なくとも「タイガースのテーマ」の足上げについては、「やってくれた!」というインパクトも含めて、武道館のパフォーマンスが今ツアーのベストだったのではないでしょうか。

演奏が終わるとジュリーがメンバーにひとりずつ「大丈夫?」と声をかけます。
タローは「あかんて、あかんて!シャレならん!」みたいなゼスチャーでした。ピーは立ち上がって「僕は別に平気!」とアピール。

で、最後にジュリーがトッポに「かつみは大丈夫?」と言って、トッポが何か答えたら、お客さんがド~ッと笑いました。
僕、トッポの言葉を聞きとれなかったんですよね・・・。映像で復習します。


28曲目「美しき愛の掟

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この曲は初日と比べて、ずいぶんテンポを落としていませんでしたか?いや、初日が速過ぎたのかもしれませんが・・・。
こういった短調のハードなタイプの曲は、ゆったりと演奏した方が良さが伝わりやすいです。ただし、ヴォーカリストが類稀なる逸材である場合に限って。ザ・タイガースについては、その点まったく問題はありませんね。

とにかく、ヘヴィーなロック・ヴォーカル・ナンバーになっていた東京ドームの「美しき愛の掟」。
「僕は燃えている~♪」あたりの絞り出すような情念のヴォーカルは、タイガース解散後に「許されない愛」「あなただけでいい」などのヒット曲でジュリーが開眼した大きな魅力。日本語ナンバーでそのヴォーカル・スタイルの原点を探すなら、タイガース時代の「美しき愛の掟」ということになるでしょう。

このゆったりめのテンポは高速の曲と比べて逆にリズムキープが難しいパターンですが、ピーは落ち着き払っていました。その上で熱く、初日の日本武道館では1回に終わった”鬼神ロール”のフィルが、この日は最低でも3回は登場していたはず。

テンポがゆったりとした分、2番から忙しいフレーズに変わるサリーの見せ場が(絵的に)ちょっと目立たず勿体なかったかな・・・。ネックを振りかざさずとも弾けていた、という感じでしたからね。
もちろん演奏は素晴らしいものでしたが、サリーは今ツアー全体的に、2011~12年のツアー後半と比べるとアクションについてはおとなしめでした。でもそれは仕方ない・・・今回はサポートが無いのですから。
サリーは「俺が落ち着いてキッチリ仕事をしなければ」と、「リズム楽器としてのベース」演奏に相当心を砕いていたのでしょう。

前曲の足上げダンスでふくらはぎが震えている(←想像)トッポも、この日は無難にワウペダルを踏み、入魂のソロを聴かせてくれました。
確かに、鉄人バンドの柴山さんのように流暢な指捌きではありません。しかし、みなさまお手持ちのCDでこの曲を聴いて頂ければお分かりの通り、「美しき愛の掟」の間奏リード・ギターとは、トッポが今ツアーで弾いたこの演奏なのです。
僕が数年前にこの曲の考察記事を書いた時、ヒヨッコ故にあれこれと想像をめぐらせた「美しき愛の掟のリード・ギターは誰が弾いているか」という疑問に、今ツアーでハッキリとした答えが僕の目の前に突き付けられました。

トッポの個性は、音を出した後の、ピックを持つ手の離し方にあり・・・それが開放弦であればなおさら目立つ、というのが今ツアーで得た僕なりのギタリストとしてのトッポ像です。
今後、そのイメージをさらに正しい、さらにピュアなものへと深めていきたいと思っています。


29曲目「色つきの女でいてくれよ

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結果から先に書きますと、「ひょっとしたら」と考えていたファイナル東京ドーム限定のダブル・アンコールでの楽曲演奏は無し(「シー・シー・シー」を歌うんじゃないか、とちょっと期待していました。またの機会への楽しみとしてとっておいて、ということかな?)。
『THE TIGERS 2013』の大トリは最初のセットリスト通り、この同窓会期の大ヒット・ナンバーでした。

作曲家・タローにとっても、ヴォーカリスト・トッポにとっても、自らの音楽人生において重要なナンバー。そして今回は、ピーがこの曲のドラムスを叩いてくれます。
「タイガースに奉仕する」と常々語っていたジュリーとしても、他メンバーが大活躍できるこの「色つきの女でいてくれよ」を、お客さんも納得の形でザ・タイガース復活ステージの締めくくりに演奏できることは、とても嬉しかったのではないでしょうか。

さてこの曲、初日武道館とはアレンジが変わりました。どの会場から変わったのかな~。
武道館では、イントロなどに登場するリード・ギターの「ソ~レ~ドレ~、シ♭~ラ~ソファ~、ミ♭~レ~ドレ~、シ♭~ラ~ソファ~♪」というキメ部が、間奏部にも同じフレーズで配され、すべてタローが弾いていました(オリジナル音源の間奏は、フラメンコ調のアコースティック・ギター・ソロ。演奏はおそらく現・鉄人バンド、当時エキゾティクスの柴山さん)。
ところが東京ドームでは、この曲の間奏はオリジナル音源と同じ和音進行に組み直され、なおかつオリジナル音源ともイントロのキメ部とも異なる、まったく新しく練られたリード・ギターを、ヴォーカルのトッポが弾いたのです!

僕は「おおおっ!」と感激しながら目と耳で追いかけていたばかりで、映像で再確認するまで細かな音階は思い出せないのですが、素晴らしい演奏であったことは間違いありません。
入魂の間奏を弾き終わり、2番に入ろうとしたトッポは歌の出だしに遅れました。僕はこれ、逆にすごく良いシーンだったと思うんです。ひょっとしたら映像では京セラの音源などに差し替え修正されてしまうかもしれませんが、僕としては是非そのままのシーンを残して欲しい・・・。
それは、トッポをはじめメンバー誰しもが、ツアー中もザ・タイガースの進化を求め続け、「こんなもんでいいや」などと妥協せずに細部を練り直し「攻めの姿勢」を貫いた・・・その象徴たるシーンだったと思いますから。

それにしても、ジュリーの「いつまでも、いつま~でも~♪」。このたった10文字のヴォーカルが素晴らし過ぎる!
ジュリーとしては、セットリスト最後にトッポのリード・ヴォーカル曲で花を持たせよう、というのもあったかもしれないけど、ジュリーファンからすると、ジュリーは充分オイシイとこを持ってってるなぁ、と思いました。
タンバリンの打ち方は1982年とは違って、先述した「イエロー・リバー」と同じ演奏でしたけどね・・・。


☆    ☆    ☆

演奏が終わるとメンバーはいったん退場しますが、この時点ではまだ客席に灯りがともることもなく、お客さんは最後のメンバー登場を求めて大きな拍手をステージに送ります。
しばらくして、6人のメンバーが再登場。

白の若虎ヴァージョンのツアーTシャツを着たシローの姿に改めて感動。下手からサリー、ピー、シロー、ジュリー、トッポ、タローの順で並んだメンバーが、手をとりあって高々と上げ、歓声に応えます。車椅子のシローの手を握っているジュリーとピーには「そ~っと」という気遣いを感じました。

後追いのファンとして、2013年にして初めて聴いた「ザ・タイガースの音」。確かに、噂通りの粗さがあった中で、それも含めて素晴らしい歌と演奏でした。

ピーは2011年同様、初日公演の緊張をバネに猛烈に進化し、しかも今回はサポートの無い中でメンバーそれぞれの個性を引き出しつつ、自らもヤンチャに駆け回りました。
公演後、すぐにオフィシャル・サイトでメッセージを発信したり、公演を採り上げたメディアをいち早く紹介してくれるなど、ジュリーの言う通り「ネットを使った宣伝部長」ぶりは、演奏ともども今回も健在でした。

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サリーは、演奏のレベル、アクション共に、先の2011~12年のツアー後半のテンションには届いていないようでした。しかし今回、腕ききのサポートメンバーがいないという中で、正に「ザ・タイガースの重石」として演奏においても一番根っこの部分、揺るぎの無い部分を受け持ち、まっとうしました。
かつての絶大な人気そのままに、熱狂的な受け入れられ方をした今回の復活ステージにおいてそれは、サリーのキャラクターでなければ冷静にはなし得ないことだったと思います。

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タローは、圧倒的な本気度、心からのザ・タイガース愛をその演奏を通してしっかりと魅せてくれました。
主役の活躍をする「青い鳥」はもちろんですが、幾多の曲で「目立たないけれど、絶対になくてはならない音」をタローは積極的に受け持ち、一方の雄・トッポ最大の武器である「自由度」の実現にも、影から大きく貢献していました。

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トッポは、噂通りの個性派でした。しかしその独特のキャラクターがステージからハッキリ感じられたことは、トッポが自然に、気負いなく今回のステージに立てている、わだかまりなくメンバーの空気に溶け込んでいることの証です。
特に、ジュリーに対してまったく含むところを感じさせませんでした(同窓会時の映像には逆の雰囲気も感じます)。
ジュリーは相当気を遣っていた様子ですが、トッポはもう、気兼ねなくジュリーと並びたち、リスペクトを以てザ・タイガースに臨んでいましたね。これでもう、トッポの中にあった、タイガースへのある意味でのジレンマは完全に払拭されたでしょう。

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シローは、相当に身体がキツイ中で、頑張ってやってきて、歌ってくれたんだと思います。
この日東京ドームで素晴らしい声で歌いきり、4万5千人ものお客さんの万雷の拍手を浴びたことが、シローの回復、気持ちの面での大きな力添えになれたらいいなぁと願うばかりです。
最後は、ジュリーに車椅子を押されて退場したシロー。ジュリーが退場間際にクルリ、と車椅子を方向転換させ、お客さんにシローの笑顔を届けてくれました。
きっとまた元気なシローに会える、と信じます。

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ジュリーについては・・・本当に良かったなぁ、と。
あの『ジュリー祭り』を体感した頃、僕はジュリーにとって「ザ・タイガース」が何たるかをまったく理解できていませんでした。ブログをやっていたおかげで、その後ジュリーやファンの中でのザ・タイガースの存在意義を教えられ、少しずつタイガース・ナンバーの記事を書くうち、ようやく自分の中にその位置づけを消化するに至りました。
あれほど切望していた「タイガースをもう一度やるんだ!」というジュリーの思いが、ピーの芸能界復帰、トッポとの仲直り(形式的な「和解」ではありません。友達同士の「仲直り」です)、シローの不屈の頑張りがあって、6人揃ったザ・タイガースを実現しました。ジュリーの喜び、大願成就はファンの歓びです。
1週間後に迫ったお正月ソロ・コンサートでジュリーがどんな再スタートを切ろうとも、2013年12月27日は、ジュリーとジュリーファンにとっても、いつまでも大切な記念日ですね。

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さて、これから先のザ・タイガース。
どうなんでしょう。もう一度全員が揃って・・・ということはあるのでしょうか。

僕は、トッポがその鍵を握っているような気がします。
もうジュリーに対して何の気兼ねもなくなったトッポ。ジュリーに突然トッポが電話をかけて
「新曲がいくつかできたんだけどさぁ、せっかくだからタイガースとしてレコーディングしたいんだけど・・・」
と、いきなり切り出して欲しいなぁ。

たぶん、タローやピーに同じことを言われても、ジュリーは「いや~」とやんわり断るような気もするんだけど、トッポに言われたら「分かった」と言いそうなんですよね。
全員で少しずつレコーディングを進めていって、完成がちょうど「ザ・タイガース結成50周年」のメモリアル・イヤーならばなお最高。
今度は、ニューアルバムのツアーをやりましょうよ!

・・・などと想像を膨らませておりますが、まず今は、2013年のザ・タイガース復活の大成功を記念し、今回はなるべくにぎやかに、華やかにと心がけてレポートを書きました。

またいつか、「ザ・タイガース」のLIVEレポとしてブログを更新する日があることを願って・・・。
ありがとう、ザ・タイガース!
完全復活の東京ドーム公演大成功、おめでとう~!

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2014年1月 1日 (水)

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。

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拙ブログ2014年最初の目標は、『ひとりぼっちのバラード』初日までに、『THE TIGERS 2013』東京ドーム公演のレポを書き終えること!

みなさまのご健康、ご活躍をお祈り申し上げます。
新年のお休み中のかたが多いと思います。くれぐれも食べ過ぎ、飲み過ぎには注意しましょう。

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本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

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