沢田研二 「つづくシアワセ」
from『忘却の天才』、2002
1. 忘却の天才
2. 1989
3. 砂丘でダイヤ
4. Espresso Cappuccino
5. 糸車のレチタティーボ
6. 感じすぎビンビン
7. 不死鳥の調べ
8. 一枚の写真
9. 我が心のラ・セーヌ
10. 終わりの始まり
11. つづくシアワセ
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ご無沙汰でございます。
いや~、更新が遅れたのは、年末に向けて多忙ということもありますが・・・実は21日のポール・マッカートニーの東京ドーム公演の後しばらくの間、まったく現実世界に帰って来れない精神状態になってしまいまして。
聞けば、この日の公演にはジュリーを除くザ・タイガースの初期メンバー4人や、鉄人バンドの下山さんも観に来ていたとか。アリーナだったのかな。僕は3塁側1階スタンドでした。
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」でトッポが涙ぐんでいた、という話にはグッときました。これは、タイムリーに思い入れのある曲、ということも当然あっただろうけど、しょあ様も書かれていたように、やっぱり歌詞の内容を自分自身の「道」に重ねて聴いたんじゃないかな・・・。
ともかく、僕の勝手な感慨によるこの精神状態を引きずったまま12・3日本武道館を迎えるわけにはいきません。こういう時は無理に自分の心に逆らわず、一時どっぷりと浸ってしまうのがその後のスイッチ切り替えのコツ。
ということで数日間ジュリーもタイガースも封印して、ポールやビートルズの音源、映像ばかりを観まくって過ごしました。SNSの方で日記に1週間ブッ続けで、毎晩就寝前にビートルズへの思いの丈を書きまくりました(感情的な文章で、とてもブログに掲載できるようなものではありません)。
その甲斐あってさすがに気持ちの切り替えもでき、現在は無事タイガース・モード。まずはこうしてジュリーの曲に対峙しているところです。
その間、待っていたパンフレットとTシャツも届きました(ドームのチケットはまだです)。
セットリスト記載のあるパンフレットについては、まだ開封しておりません。みなさま大絶賛で、素晴らしい内容みたいですね。武道館公演参加後にゆっくり楽しむつもりです。ポールの余韻が1週間続いたのは、ある意味良かったかな・・・もしその期間が無かったら、ガマンしきれずにセットリストを確認してしまったかもしれません。ここまで来たら、何としてもガマンしますよ!
一応、1曲目「タイガースのテーマ」、本割ラストで「ラヴ・ラヴ・ラヴ」、アンコールのラストが「君だけに愛を」と、ベッタベタの予想をしておきます。
噂のTシャツは・・・僕が購入したのは2013年ヴァージョンの白なんですけど、個人的には「いいじゃん!」と思いましたよ。
どうですか?
ちなみに、タグには『THE TIGERS 2013』と。
このあたり、トッポのアイデアが細かいところまで行き届いている、ということなのかな。
このタグ、若虎ヴァージョンだとどんな表記になっているのでしょうか・・・。
さて、それでは今日のお題は、ジュリーの”『Pray』ツアー・セットリストを振り返る”シリーズの第2弾。
前回の「溢れる涙」同様、2008年のラジオ特番『ジュリー三昧』でジュリー自身によって採り上げられ、語られた曲です。
アルバム『忘却の天才』から、パワフルにしてメロディアス、プライヴェートにして普遍的なメッセージを併せ持つ名曲。
「つづくシアワセ」、伝授!
みなさまご存知の通り、この曲は『ジュリー祭り』以来久々に今ツアーのセットリスト入りを果たしましたが、ツアー後半からは「Rock 黄 Wind」と差し替えられました。
ですから僕が今年この曲を生で体感できたのは、初日フォーラムと和光市公演の2回だけです。その点は少し残念でした。もちろん「Rock 黄 Wind」が悪いわけでは全然ないけれど、個人的には「今ツアーの目玉曲のひとつだ!」と捉えていたものですから・・・。
ステージ開始早々の2曲目、という配置もとても良かった、と思っていました。「あなたに今夜はワインをふりかけ」で強烈に「スーパースター・ジュリー」の存在感を見せてくれて、続けてすぐに「人間・ジュリー」の魅力全開のナンバー「つづくシアワセ」へと移行する・・・そのいきなりの2曲の繋がり方が好きだったのです。
ジュリーは2008年、ラジオでこの曲をかけてくれた時に
「この頃から、歌詞に”平和”といったフレーズが意識的に入ってくるようになる。もちろんそれまでにもそういう歌詞はあったけど・・・自分の考えていることをキチンと言っていかなきゃ、とか、(2002年は)そういうことを考え始めた時期だったのかな・・・」
と語っています。
ジュリーが明確に「メッセージ・ソング」の発信を意識して作った最初のシングルが「つづくシアワセ」だったということでしょうか。
シングルと言えば・・・僕は当然アルバム・ヴァージョンの方の「つづくシアワセ」を最初に聴いていて、シングルがヴァージョン違いであることを長らく知りませんでした。そもそもこの曲がネスカフェのCMタイアップ・ナンバーであったことも、アルバムを聴いたしばらく後になって知ったという次第(恥)。
昨年の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーの最中に、「2000年代のシングルCDが会場販売されている」との情報を得て、僕は八王子公演でnekomodoki様と一緒に販売スペースに駆け込みましたが、もうその時には売られていませんでした。
ということで未だに僕は、「つづくシアワセ」のシングル盤をキチンとした形では所持していません。
しかしその後、同年ツアーのびわ湖公演で最前列を共にした男性ジュリーファンの若き先輩に再会した際、いくつかのレア音源を授かり、その中に2つのヴァージョンの「つづくシアワセ」がありました。
たぶん、そのうちのひとつがシングル・ヴァージョンなのかな。
2002年から2005年までのジュリーのCD作品は、キーボード装飾を一切排した武骨なギター・ロックを貫いていますが、このヴァージョンだけは例外だったようで、いかにもCMタイアップらしい装飾トラックがあります。
また、白井さんのギター・アレンジもアルバム・ヴァージョンとはずいぶん違います。この曲、冒頭のサビの後に「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ!」とキメのフレーズがあって、2拍の空白を経てAメロに繋がるじゃないですか。その空白部にギターの残響効果音が入っているのがヴァージョン違いの肝で、カッコイイです。
ただ、曲全体としてやっぱり一番イメージを違えているのは、コーラスですよねぇ。
つづくシアワセ 平和な時を(ネ~スカ、フェ~)
B G#m
許し合えるなら最高だね
E F#
初めて聴いた時は驚きましたよ・・・よもやこんなにハッキリとタイアップの商品名が強調されているヴァージョンがあるとは思っていなかったですから。
で、若き先輩が授けてくれたもうひとつの「つづくシアワセ」の音源はとても短いテイクで、何とそこではコーラスだけでなくリード・ヴォーカルのジュリーも
「ネ~スカ、フェ~♪」
と朗々と歌っているのです。
歌詞だけを抜き出すと、「つづくシアワセ、ネスカフェ」・・・これだけです。困ったことに(?)、このジュリーの「ネスカフェ」がメチャクチャいい声なんですよね~。
若き先輩はこのテイクに「CMキャンペーン店頭用」と記してくれていましたが、この短いヴァージョンのいきさつなどについてご存知のみなさま、是非詳細をご伝授くださいませ!
「つづくシアワセ」は『ジュリー祭り』で初めて聴いて、すぐにアルバム『忘却の天才』を購入後から「好きな曲のひとつ」という自覚はずっとあったんですけど、今ツアーで再び生で聴いたことで「好き」の度合いがグ~ッと上がった曲です(前回記事のお題「溢れる涙」もそんな感じなんですが)。
何と言っても、CDで聴く以上にジュリーの歌が「ポップだ!」と感じたこと。これは初日から既にそうだったなぁ。
それは、冒頭にガツン!と来る高らかなサビと、Aメロの低い音域で語りかけるようなジュリーのヴォーカル・ニュアンスの使い分けが、生のLIVEでは一層引き立って伝わってきたからだと思います。この曲はまず、ヴァースごとのメロディー構成自体が美しいんですよね。パワー・ポップなんですよ。
あとはやはり、ジュリーの歌詞ですよね。
自分が参加した会場ではなかったのですが、ツアー中ジュリーのMCに
「これまで山あり谷ありだったけど、今は高原にいます」
という言葉があったそうですね。
僕はそれを知った際、「つづくシアワセ」の
緑の 草原歩いてく
G#m E F# B B(onA#)
二 人が見える
G#m C#7 A F#
この「草原」がジュリーの言う「高原」と重なりました。10年ちょっと前にジュリーが「(光景が)見える」と書いた「草原」は、実際に年月を重ねて辿り着いてみると、標高の高い平和な「高原」だったのかなぁ、と勝手に思いました。
この曲は、ジュリーのプライヴェートなラブ・ソングと位置づけても抵抗は無いと思う一方で、内容は普遍的なものと言えますよね。「愛する人とこの先を歩む」・・・それを取り巻く環境、どのような状態、光景が理想的なのかと考えた時、「つづくシアワセ」には多くのヒントとなるフレーズや思いが散りばめられているように思います。
そして、ジュリー自身はこの歌詞を実践しています。
そんなジュリーも2002年の時点では、「オリジナル・メンバーによるザ・タイガース再結成」なんて「シアワセ」の実現は予想していなかっただろうなぁ・・・。
ポールのLIVEに行って、ビートルズ関連の映像や音源に埋もれて過ごした数日間にふと改めて考えたのは・・・。
僕がポール・マッカートニーを猛烈に支持するのは、今も現役として新譜を発表し続け、年齢にふさわしいながらも懐古趣味とはほど遠い前向きな姿勢の新曲を擁してコンサートを行っていること。ただそんなポールですら、還暦を過ぎたあたりから、新譜のリリース・ペースは落ちてきて、数年に1枚という感じになってきました。
ですから、ジュリーが今もなお毎年必ず新譜を出してそのツアーをやる、というのはとてつもなく凄いことです。ファンにとっては正に「つづくシアワセ」ですね。
そしてもうひとつ・・・ビートルズはもう、「4人だけの音で」コンサートをやる、なんて日は永久に来ないんだなぁ、と。
一方、40年の時を経て同様のことを叶えようとしているのが、ザ・タイガース。これは完全に奇跡です。ビートルズの様々な逸話について考えた時、「普通そんな奇跡みたいなこと、あり得ないよ!」というエピソードも数多くありますが、タイガースの今回の再結成実現は、さらにその上を行っています。
あとは、自分の目と耳でその奇跡を確かめるのみ。
本当に、いよいよカウントダウンです。
次回更新は、12月3日当日となります。毎年この日は、僕が完璧にジュリー堕ちした2008年同日の『ジュリー祭り』東京ドーム公演記念日として、『ジュリー祭り』のセットリストからお題を採り上げ記事を書くことにしています。今年は”『Pray』セットリストを振り返る”シリーズの3曲目として「A・C・B」のお題にて更新とさせて頂く予定ですが、何せ日どりもさし迫り、しかもタイガース再結成ステージ初日ということもあり、「楽曲考察記事」とは言えない簡単な内容になるかと思います。
とにかく「いよいよ奇跡が目前に!」ということで、僕も文字通り末席からではありますが(2階北スタンド、後ろから数えた方が早い列)、日本武道館のあのステージに5人が颯爽と登場する瞬間を楽しみにしています。
ジュリーはたぶん、時々は気前よく後ろを振り返ったり、2階席を見上げてくれると思うけど、他の4人はどうでしょうか。
それでは、12月3日にまたお会いしましょう!
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