2013.10.19大宮ソニックシティ 沢田研二『Pray』セットリスト&完全レポ
註:10月30日、ようやく執筆を終え、例によって更新日付の移動を行いました。
今回も長々とおつき合いくださりありがとうございました!)
☆ ☆ ☆
隣席のYOKO君のビビッドな反応とともに、無事『Pray』大宮公演に参加してまいりました。
今回も張り切ってレポを書きますが・・・その前にちょっと今後の執筆予定変更のお知らせから。
先輩方の情報によりますと、11月上旬から随時発送されるザ・タイガース再結成公演パンフレットに年末のセットリストが掲載されることは確実なのだそうです。
僕も今回澤會さんに先行販売の申し込みをしつつも、なんとか武道館まで封を開けずにネタバレ我慢しようとは思っていますが・・・果たして我慢がききますかどうか。それに、僕だけネタバレ我慢していても、事前にセットリストを把握なさるファンも多くいらっしゃるはず。そんな中で”セットリスト予想”記事を書くというのもねぇ。「的中自信度」とかつけても恥さらしてるようなものですから・・・。
ですのでこの大宮レポを書き終えたら、自信度「星5つ」のナンバーをあと1曲だけ書いて、ザ・タイガース再結成・セットリスト予想シリーズを〆たいと思います(それでパンフレットにその曲の記載が無かったら、生暖かく笑ってやってください)。
ちなみに他に執筆予定だった曲は「ルート66」(タローの誕生日を更新日にしようと考えていたのですが・・・)「時が窓をあけて」「タイガースのホワイト・クリスマス」。
今回はあきらめましたが、これらの曲もいつか改めて書く機会がきっとあるでしょう。
タイガースのお題をひとまず〆たら、続いて”『Pray』セットリストを振り返る”シリーズとして2曲を書き、その後はジュリーのお正月ソロ・コンサート『ひとりぼっちのバラード』へ向けて”恒例・全然当たらないセットリスト予想”へ突入しようかと(アンタが予想するとやって欲しい曲もやってくれないんだから!というブーイングが聞こえてきそうですが汗)。
ジュリーの『Pray』ツアーと並行してタイガースのセットリスト予想をし、いよいよタイガース再結成カウントダウンという頃にジュリーのお正月LIVEのセトリを予想する、という何だかよく分からないことになってしまう拙ブログ。それだけジュリーのスケジュールが凄まじい、ということでもあるんですけどね・・・。
11月は仕事も忙しくなるしポール・マッカートニーのLIVEにも参加するしで、どのくらいブログ執筆に時間がとれるか分かりませんが、そんな感じで予定を組み直しました。
ということで。
さぁ本題、大宮公演レポートです!
僕はここまで初日フォーラム、8月和光市、9月渋谷と3会場で『Pray』ツアーに参加してきましたが、大宮はこれまでとはかなりジュリー・ヴォーカル、鉄人バンドの演奏ともに印象の異なる、独特のステージでした。何と言うか・・・パンクっぽかったんです。
荒々しさがあり、冒険心があり、自由度の非常に高い公演でした。お客さんの反応も(後方席だったからでしょうか)、これまでとは違ったように感じました。翌日の座間公演もじかなり良かったと聞いていますが、大宮も貴重な空間が味わえて、素晴らしかったですよ~。
先述の通り執筆スケジュールもタイトになっておりますので、できるだけサクサクと書き進めたいと思います。
レポの目玉となるのはやはり、この日が初のツアー参加となった隣席・YOKO君のビビッドな反応と、打ち上げでたっぷり聞かせてもらった彼なりの感想。
開演直前、YOKO君は探りを入れるように
「everyday Joe・・・everyday Joe・・・」
と連呼しながら僕の顔色を念入りに窺ってきたので
「やんねぇよ!」
と、たまらず宣言してしまいました。
『燃えろ!東京スワローズ』のセットリストを聞いて、彼は相当”1曲目「everyday Joe」”のインパクトをうらやましそうにしていていましたからねぇ・・・。
ただ、「お正月のセトリの半分は、今日また楽しめるよ!」という言葉は、すんでのところで飲み込みました。
ある意味僕よりも「音」に敏感なYOKO君は、『Pray』ツアーをどのように堪能したのでしょうか。
それでは、開演です!
1曲目「あなたに今夜はワインをふりかけ」
『Pleasure Pleasure』以来の体感、という条件は、その後のツアー皆勤の僕らと同じYOKO君。
しかしそこはツアー初参加・・・約4ケ月に渡るネタバレ我慢という偉業をたやすく成し遂げこの日を迎えた彼です。リピーターとはひと味反応が違いましたね。
打ち上げで曰く
「何で1曲目いきなりのあのイントロで、皆冷静でいられるんだ!」
と。
YOKO君からすると「おお~っ!来た来た!」という感じで立ち上がり隣の僕の横腹をいきなり殴りつけてくるほどテンション上がったのに、僕も含めた周囲のお客さんの「さ~て始まったか」という余裕の反応が信じられなかった、とのことでした。
う~む、一理も二理もあるなぁ・・・。ジュリーが「初めて観に来た」お客さんを望む気持ちが分かります。YOKO君の反応が正しい!
後で冷静な先輩に伺ったところによれば、この日のジュリーはセットリスト総じて下手側を重点的に攻めていたそうですね。
偶然、僕らの席は後方ながら下手側で、YOKO君にとってもかなり良い感じのジュリーの動きではなかったか、と思います。この曲では、「愛の言葉を♪」に続く握り拳をほぼ直線で観ることができました。
ジュリーの声は時折掠れ気味になるけど、高音の伸びに曇りなし。
あと、柴山さんのギター・ソロ、復音部をグシャッ!と撫で斬るように弾いてきた(音量も大きかった)ので、「ん?今日はなんかパンク風?」と感じました。
2曲目「Rock 黄 Wind」
イントロで「えっ?何だっけこれ?」とYOKO君が焦っているのが分かります。
素知らぬ顔で「エイ!」「エイエイ!」とやっておりますと、ワケも分からずYOKO君もシャドウ・ボクシングのスタイルで遅れて合わせてきました。彼に限らず、「初めてかな?」というビビッドな反応をしている男性のお客さんって、拳振り上げが前方突き出し型になる人、多いですよね~。
歌が始まり、「あぁ!」とようやく合点の声を出すYOKO君。曲は知ってるけど、セットリストの想定はまったく無かったようです。
打ち上げで、ツアー前半はここで「つづくシアワセ」だったことを教えると、「聴きたかった」と無念そうにしていました。「つづくシアワセ」は僕にとってもそうでしたが、YOKO君にとっても、あの思い出の『ジュリー祭り』リベンジ・ナンバーですから・・・。
あ、阪神の方のタイガースは残念なクライマックス・シリーズとなってしまいました。
ジュリーの応援を受けて「ひょっとしたら」と日本一を期待しましたが・・・僕がこの「Rock 黄 Wind」の楽曲考察記事を書く日は、まだ先のことになりそうです。
ちなみに、ジュリーがトークショーで触れたという「3代目・代打の神様」桧山選手は、負けゲームではありましたが最後の最後にホームランを打ち、自ら花道を作って現役生活に別れを告げました。指導者としてタイガースに戻ってくる日を心待ちにしています!
阪神は残念でしたが、日本一を賭けて戦うことになった巨人・原監督、楽天・星野監督・・・この二人の対戦というのは、阪神ファンにとっては感慨深い組み合わせです。
先日執筆した「恋はうたかた」の記事で僕は、第1次原監督無念の退任の顛末(2003年)について語りました。
ブッちぎりで優勝した星野タイガース。志半ばで退任する(させられる)ことになったジャイアンツ・原監督。明暗はクッキリと分かれ、球団上層部の不条理とも思える言動もあった中、球団主催の勇退セレモニーの場さえ用意されることなく寂しくグラウンドを去ろうとしていた原さん・・・そのシーズン最後の試合となった甲子園球場・阪神×巨人戦。
そこで、阪神フランチャイズのゲームであったにもかかわらず、試合後に原監督勇退の花道が用意されたのです。虎党ひしめく甲子園球場で、宿敵・巨人の監督の労がねぎらわれ、万雷の拍手に包まれるという不思議な光景が、テレビで多くのプロ野球ファンを釘付けにしました。
退任報道の中でシーズン後半の悔しさに耐えつつ、最後まで果敢に指揮をとった原さんの元に星野さんが歩み寄り、原さんの肩を抱きかかえて何か話しかけながら花束を渡しました。報道によるとその時の星野さんの言葉は
「勉強せえよ、戻ってこいよ」
だったと言われています。
思わず涙を流す原さん・・・窮地にあっても孤高の男らしさを貫いてきた原さんがグラウンドで初めて見せた、「弟キャラ」でした。
星野さんのかけた言葉の通り、2年後に原さんは再び巨人監督として戻ってきて、今度こそ最強のチームを作り上げました。
今年は、その原監督率いる巨人に、星野楽天が怒涛の勢いで挑む、という構図となった日本シリーズ。アンチ巨人の僕が応援するのは当然、星野イーグルス。でもそれは、相手が強い強い原ジャイアンツだからこその醍醐味なのです。
阪神ファンとしての楽しみは終わりましたが、一プロ野球ファンとして楽しみなシリーズになりそうです。
この大宮レポを書き終える頃に、さてどのような結果が出ているでしょうか。
おっと・・・話が大きく逸れました。
間奏ラストのジュリーのシャウトは、これまで通り「さぁ、和田・・・さぁ和田・・・さわだ~!!」。
来期は和田監督も本当に勝負の年ですね・・・。
(後註:10月30日付デイリースポーツ・ネット、北村泰介さんによる座間公演レポートが、信じられないくらいに素晴らしいです。デイリーと言えばまず阪神タイガースですが、もちろんそんなデイリーらしい記事でありながら、ジュリーLIVEのメディア・レポートとしては過去最高の素晴らしさと思える記事になっています。今後、機を見てジュリーを語るジャーナリストになってくださるだろう、と惚れ込みました。お名前、しかと覚えておきます)
3曲目「ハートの青さなら 空にさえ負けない」
この曲はYOKO君の大好物だと知っているので、いつ鉄拳が襲ってくるかと身構えていましたら・・・意外や肩を「トントン」とされまして、小声で
「ジュリー、これ?」
と、口の周りをワサワサと身振りで示すYOKO君。
そうか・・・彼はお正月LIVEに参加してないから、お髭のジュリーは初めてか!この3曲目でようやくそのお髭に気づいたようです(まぁ、そのくらいの後方席だったということですかね・・・僕らは二人とも双眼鏡使わないし)。
後で聴いたら、この曲はなんとなく予想してたみたい。事前に聴きまくっていたそうです。ちなみにYOKO君はジュリーの3連バラードはすべて好物。いつか「渚のラブレター」や「きわどい季節」も聴いてみたいそうです。
あと、大宮の音響の良さについても打ち上げで語りました。歌メロに絡む柴山さんの単音の響きとか、ス~ッと馴染んで聴こえてくるんですよね。
YOKO君は渋谷ジュリーは未経験なのですが、僕のイメージでは、お客さんの盛り上がりは渋谷、音響は大宮、という感じ。ただ、彼は渋谷のジュリー公演も1度体験してみたいとのことなので、来年彼と同行する会場は渋谷にするかもしれません。・・・って、渋谷公会堂、いつ建て直すんでしたっけ?
エンディングの柴山さんのコーラスが爆音でした。この日は若干ですが音がずれてましたか?
YOKO君に言わせると、「あんな高け~声、よく出るな~」だそうです。柴山さん、改めて相当なハイトーンの持ち主なのですね。
~MC~
いつも通り、元気な挨拶の後に「前期高齢者」のお話。
今年65才になって、もう2回も年金を頂きました、でも稼ぎが多いため残念ながら厚生年金の方は受け取れません、と。
今日もいっぱいのお客さん・・・このような(老人の?)コンサートにようこそお越しくださいまして、ありがとうございます。
鉄人バンド共々、張り切って歌います!
4曲目「カサブランカ・ダンディ」
YOKO君は『ジュリー祭り』以来となるこの曲。イントロで早速「おっ!」というビビッドな反応が。
豪快な霧吹きの後、ペットボトルをキレイにクルクルと空中で回してから、歌い始める寸前にサッとポケットにすべりこませるジュリーの仕草がカッコイイです。
間奏でせり出してきた柴山さんの横揺れも、いつになく激しかったですね。
今ツアーのセットリストで唯一かな・・・苦労しているこの曲の高音については、「あんたの時代は♪」の「じだい」の「い」のところが一番気合が必要のようで、目を閉じて顎を上げ、くっきりと「い」の口の形を作って歌っているようでした。その瞬間は、血が脳に逆流している感じでしょうね~。
「ボギ~♪」の連呼の部分は、初日と比較するともう全然大丈夫。「あんたの時代はよかった♪」の「た」を息を吸うようにして発声するのも、ツアー中に辿り着いたジュリーの高音対策のように思いましたがいかがでしょうか。
5曲目「勝手にしやがれ」
大宮ではこのあたりで、下山さんに何かスイッチが入ったようでした。
この曲も決して歌うのに楽な高音域ではなく、少し前に山下○久さんがカヴァーしていた際には1音下げてト短調で歌っていたり・・・そんなこともあり、「ひょっとしたらジュリーも今はキーを下げてたりするのかな?」と考えて、この日はバッキング・コードを弾く下山さん(僕の席からは、距離こそあるけど真正面)をガン見。キーはオリジナル通りでした(イ短調)。
で、イ短調ですとこの曲には頻繁に「Am→G→F→E7」という王道の進行が登場するんですけど、この場合はAmを5フレット、Gを3フレット、Fを1フレット、E7をローコード、という、音が徐々に下がっていくようなフォーム移動が適してして、もちろん下山さんもそうしています。
ところがふと気づくと、最後の「E7」の箇所で下山さんが完全に左手をフレットから離して「がっしゃ~ん!」と開放で演奏している時があったのです。おそらく6弦の「ミ」の音(ギターで表現できる最も低い音)を強調しているのでしょうが、開放演奏だとそこに5弦の「ラ」の音のニュアンスが加わって、より激しいパンキッシュな和音になるんですよ。
この「勝手にしやがれ」をはじめ、大宮ではいくつかの曲で「いつもとはひと味違う」演奏が随所に見られ、楽しかったです。
さて壁塗り。YOKO君やるかな?と思いチラッと見ましたら、彼はエアギターに徹しておりました・・・。
6曲目「”おまえにチェック・イン”」
今回、地方から大宮遠征の先輩とゆっくりジュリートークさせて頂く機会があったのですが
「もし、過去のジュリーLIVEをもう1度見られるとしたらどのツアーか」と問われたら圧倒的に『A WONDERFUL TIME』ツアー」
というお話をしてくださいました。それはその先輩だけではなく、先輩のお友達もそうなんですって。
で、今でもセットリストに「”おまえにチェック・イン”」が入っていると、30数年前の『A WONDERFUL TIME』ツアーを思い出して血が沸き立つのだそうです。僕のような後追いファンにとっては、ただただうらやましいお話です・・・。
ちなみに僕、次のお正月コンサート『ひとりぼっちのバラード』では、「WE BEGAN TO START」あたりかなり有力なセットリスト候補だ、と勝手に予想していますから(もちろん「素肌」もドンと来い!)。
この日のジュリーの「ほみたい、うん!」は控え目だったかな。翌日、DVD『greenboy』の「”おまえにチェックイン”」を観直しましたけど、やっぱり凄かった。いつか、この時のようなテンションでキバリ拳闊歩しながらこの曲を歌うジュリーも見てみたいのですが・・・。
『秋の大運動会~涙色の空』も『燃えろ!東京スワローズ』も不参加のYOKO君、この曲も『ジュリー祭り』以来です。盛り上がっていましたよ!
7曲目「サムライ」
細かいことですが・・・今までここに『思いきり気障な人生』のジャケを添付してきましたけど、当然ながらジュリーがツアーで歌っている「サムライ」はシングル・ヴァージョンの方です。今回はその点配慮し、収載CD画像は『A面コレクション』としました。
『Pray』ツアーでジュリー堕ちなさった方々がもしもこのブログをご覧になっていましたら、まずは基本中の基本『A面コレクション』を是非ともご購入頂き、改めてジュリーの素晴らしさを堪能なされてから、その後怒涛のアルバム大人買いへと繋がってゆくことを期待いたします!
さて、これまたYOKO君は『ジュリー祭り』以来となる曲。打ち上げで、演奏に関しては「サムライ」が一番良かった、との感想でした。特にGRACE姉さんのキックが良かった、と。
分かるなぁ・・・要は「歌心」。曲へのシンクロ度なんですよね。
その入魂度の高さの理由のひとつに、この曲でのGRACE姉さんには重要なコーラス・パートの役割がある、ということをYOKO君の「演奏が良かった」感想につけ加えておきたいです。
『Pleasure Pleasure』ツアーで聴いた「探偵~哀しきチェイサー」しかり。何十年も前にリリースされたオリジナル音源の段階で既に用意され、もはや「これ無しでは曲が成立しない」という印象すらある女声コーラス。GRACE姉さんはそれを、何の違和感もなく再現してくれます。
「ジェニー♪」であったり、「Hoo、Woo♪」のハミングであったり。ジュリーのヴォーカルをまったく邪魔しない、それでいてふと気がつくと途方もなく存在感を放っているコーラス。GRACE姉さんが、「サムライ」の曲世界に心ごと入り込んでいる証拠です。だからこそ、ドラムスの演奏も素晴らしいのですよ!
この日はまた、「サムライ」サビ部での照明の美しさをツアー通して初めて意識しました。
「片手にピストル♪」が真紅。「心に花束♪」がバイオレット。「唇に火の酒♪」がオレンジ。「背中に人生を♪」がエメラルドグリーン。ジュリーのアクションに呼応して切り替わり、とてもキレイでしたね・・・。
もちろんジュリーのヴォーカルも最高。
ラストの「あぁ♪」のロングトーンは何処までも清らかに伸び、初日、和光市、渋谷に続いて大宮でも、7曲目「サムライ」は新譜4曲を目前にして突如ハッと「ジュリーの声の素晴らしさ」に改めて気づかされる・・・そんなセットリスト配置だと感じました。
~MC~
「みなさまにも多少は耳馴染みのある、シット曲をお送りいたしました。まだまだございますが、今日はこのへんで勘弁しておきます」
最近お馴染みのジュリーのユーモラスなMCに、声を上げて笑い大ウケのYOKO君。「毎年1公演参加」の彼ならではのビビッドな反応ですね。
続いて、いつものように新曲の説明。
残念だったのは、「すべての被災地に、祈りをこめて歌います」というジュリーの言葉に「頑張れ」の声を重ねたお客さんがいらしたこと。故意ではないのかもしれないけど、あれは良くないと思う・・・。
ともあれ、YOKO君も「楽しみなのは新曲」と言っていた入魂のヴォーカル4曲が、大宮でもいよいよ始まります。
8曲目「Uncle Donald」
まずは『Pray』ツアーレポ恒例、東京新聞連載中の『ドナルド・キーンの東京下町日記』より、今月の”ドナルドおじさんの続きの言葉”をどうぞ!
残念ながら僕の『Pray』ツアー参加は大宮が最後。それに、来年以降のジュリーLIVEで「Uncle Donald」がどのくらいの頻度で歌われていくのかも分からないんですけど、東京新聞でのキーンさんの連載はまだまだ続きそうですので、今後も折を見て、このブログで”ドナルドおじさんの続きの言葉”をご紹介していければと考えています。
大宮の「Uncle Donald」では、やはり下山さんのアレについてのYOKO君の感想が楽しみでした。
YOKO君も僕と同様に、個人的に新譜4曲のコード起こしをしていて、「あの曲のあのコードは何でとった、あそこはこうだ、いや違うでしょ」みたいな話を開演前にもずっとしていました。
僕が「Uncle Donaldの肝は、やっぱりあのクリシェでしょ!」と言ったこともあり、YOKO君はこの曲が始まると下山さんのフォームをガン見していたみたい。
僕の指摘したクリシェが登場するのは、サビ部。
さぁサビだ、と下山さんの手元を見ながら待ち構えていたYOKO君・・・打ち上げで曰く
「いきなりギターが黒くなってブッたまげた!あんなの初めて生で観た。この曲のアレンジのためにそこまでやろう、と考える時点でまず凄い。あのルースターズの下山が、今はもうそこまでジュリーに惚れてるんだな・・・」
だそうです。
ちなみにYOKO君は下山さんの切りそろえられた髪型を見て、「ロッカーは自分で髪を切るんだよ、あれは自分で切ってる!」と強硬に主張していましたが・・・それについては、僕はイマイチ意味が分かりません。
まぁ、「あれ、下山さんずいぶん印象が変わったな」とは思いましたけどね。saba様のブログを拝見しますと、城陽公演ではもう切っていたみたいです。
9曲目「Fridays Voice」
大宮で初めて気がついたのは、僕が楽曲考察記事の段階で暑苦しく語った、間奏及びエンディングでの、柴山さんのリードギターと泰輝さんのピアノのユニゾン演奏。どうやらLIVEではそこで泰輝さんが和音のバッキングに徹し、完全な柴山さんのソロとなっているようです。
「Deep Love」と「Pray~神の与え賜いし」が凄過ぎるので目立ちませんが、「Fridays Voice」の柴山さんのソロも素晴らしいですよ!オリジナル音源への思い、ジュリーへのリスペクト・・・1音1音を大切に弾くという、ジュリーの横で何故柴山さんがこんなに長くギターを弾き続けているのかが分かるような演奏です。
「この曲もクリシェだよね?」とYOKO君。「この国を」からの半音移動の和音部のことですね。ちょうどそこからGRACE姉さんのオープン・ハイハットが炸裂します。楽曲、アレンジとしても説得力充分の構成・・・改めて名曲です。
ジュリーは「危険すぎる、手に負えぬ未来」以降の歌詞が一瞬飛んでしまいましたが、初日のように1番を歌ってしまうことはなくすぐに立て直し、早口で追いかけ「止めるしか原発」までをしっかりと歌いきりました。
ジュリーのヴォーカルの圧倒的な存在感、安定感・・・やはりこの「Fridays Voice」は今回のセットリストの中でも特に、高音、低音ともに今のジュリーの声にピッタリの曲だと思います。ジュリーと鉄人バンドの代表曲、という風格を感じます。僕は、お正月もこの曲が聴きたいなぁ・・・。
10曲目「Deep Love」
打ち上げでYOKO君が
「Deep Loveって、ジュリー毎回あのテンションなの?」
と、これまでのツアー各会場の様子を尋ねてきました。「帰らぬ君を理解すれば」の歌詞部でグッと声が詰まり、嗚咽しながら歌ったジュリーの様子を指してのことです。YOKO君、ちょっとビックリしたみたいですね。
彼も同じことを言っていたけど、僕はこの「Deep Love」の歌詞、メロディー、そしてジュリーの込めた思いというのは、ギリギリの感情を抑えながらジュリーの地の声で伸びやかに歌う方が、より聴き手に深く伝わるのではないか、という考えでいます。
これは実は、音楽劇で歌われた「雨だれの挽歌」についても僕が強く感じたことです。
ただ、この日の「Deep Love」でジュリーが感情を抑えきれなくなり慟哭してしまったのは、やっぱり先日の痛ましい大島町の被害があったからだと思うのです。ジュリーが無関心でいられるはずがありませんから。
「髪の毛1本を見つけたい」
「涙を壜に集めたい」
それは東日本大震災被災地で、今なお続いていることです。同じことが、大島でも起こってしまった・・・そんな思いが大宮での「Deep Love」のヴォーカルに表れたのではないでしょうか。
今週末(この項は10月23日に書いています)、『Pray』ツアー新潟公演がありますよね。
この日程は偶然でしょうか。
僕にはこれがジュリーからの
「東日本大震災だけじゃない。僕は新潟のことも覚えているよ。風化させないよ」
というメッセージのように思えてきます。
新潟での「Deep Love」を、ジュリーはどんなふうに歌うのでしょうか・・・今、そんなことを考えています。
11曲目「Pray~神の与え賜いし」
新譜の演奏曲順については、YOKO君曰く「よく考えれば、あぁするしかないよね」と。
この日印象に残ったのは、最初のアカペラ部が終わって各楽器が噛み込む間奏。先月の渋谷では柴山さんのソロが凄かったんですけど、この日は下山さんが掻きむしるような荒ぶるストロークで魅せてくれました。
YOKO君も言っていました。GRACE姉さんのドラムスとユニゾンで弾くのが凄まじい、のだそうです。あと、下山さんのストロークの振りかぶる軌道の大きさについても「凄いよね」と話しましたね。
ヴォーカルも素晴らしいけれど、改めてジュリーの歌詞に震えました。大宮の後、いつもお世話になっている先輩とも話したのです。「もし”被災地への祈りをテーマに”と職業作詞家に依頼しても、『3月8日の雲』『Pray』収録の8曲のような詞はまず出来ない。ジュリーだからこそこの歌詞が出来たんだ」と。
本当に皮肉なことです・・・あの震災は、ジュリーがいかに凄い作詞家であるか、いかに鋭い感性を持ち、それを表現しうる才を持っているか、ということを証明してしまいました。
エンディング近く、これまで「何度もキュンとさせておくれ」と歌っていたこともあったジュリーでしたが、この日はCD通り「キュンとさせて欲しい」と歌いました。やっぱりこちらの方がしっくり来ますね。
12曲目「溢れる涙」
”『Pray』セットリストを振り返る”シリーズで採り上げようと思っている曲。YOKO君は終演後に「これは意外な選曲だった」と語っていましたが、僕はその点、何度かのツアー参加を経て、この曲の歌詞を噛みしめ「なるほどなぁ」という思いに至っています。
楽曲構成や演奏のレベルの高さ以上に、大切なのはこの曲のジュリーの詞をしっかり受け止めること・・・。
初日のレポートでは浅はかにも、「ジュリー、猛暑対策で涼しげなクリスマス・ソングを2曲抜擢したのかな(もう1曲は「さよならを待たせて」)」などと冗談っぽく書いてしまいましたが、もちろんそんな理由でジュリーがこの曲を採り上げたはずがありません。
詳しい考察は楽曲お題の記事で書きますけど、「さよならを待たせて」と併せ、「今はいない人のことを歌っている」歌詞が重要な鍵ではないでしょうか。しかも「溢れる涙」は新譜4曲の直後、「さよならを待たせて」はアンコール大トリ。ジュリーが何かの思いを持ってこの2曲に臨んでいることは確実ですよね・・・。
ギタリスト2人のハーモニー・リードも相変わらず素晴らしく、90年代のジュリー・ナンバーの中でも特に、現在の鉄人バンド向きの曲だと改めて感じました。
13曲目「greenboy」
さて、実は大宮で僕とYOKO君は、「Uncle Donald」からこの曲までを座って観ました。やっぱりね・・・男2人が並んじゃうと、後方の席のお姉さん達にどんな迷惑がかかっているかもしれませんから。僕は171cmですから(←ジュリーと同じです!)まぁ後方のお客さんにとっても想定内かもしれませんが、なにせYOKO君は180cm近い身長ですからねぇ・・・。「できるだけ、静かな曲では座ろう」と事前から考えてのことです。
そのためか、ジュリーのヴォーカルやバンドの演奏に集中して聴けていたように思います。「溢れる涙」~「greenboy」の流れは、4度目の体感となる僕も新鮮に感じました。
YOKO君にとってこれは、『ジュリー祭り』リベンジ曲です。「イントロで一瞬、何だっけ・・・と思ったけど、いいねぇgreenboy!」だそうですよ。
いや、本当にイイ・・・というかどんどん良くなってる!今ツアー、公演を重ねる中で最もヴォーカルと演奏が進化しているのは、この「greenboy」ではないでしょうか。
Aメロは猛々しく、サビは凛々しく、エンディングは美しく。
鉄人バンドの演奏だけでなく、エンディングのコーラスが素晴らしいんですよね。このあたりは初日とは全然印象が違うなぁ。
ジュリーのヴォーカル、一番凄かったのはやっぱり「空から墜ちるように歳をとる」の絶唱でしょう。
終演後に先輩方が
「空から墜ちるように・・・のトコでさ~」
とお話しているのが耳に入ったので、「凄いっすよね~あそこのヴォーカルは高音からの急降下が・・・」と話に割って入ったら、「いや、お腹の話です」とキッパリ言われてしまいました(笑)。
ヴォーカルも凄いけど、何でもあの部分はジュリーの透き通った生腹を拝めるビッグチャンスの箇所なのだそうですよ・・・。
14曲目「若者よ」
イントロが始まるや、「え~とこれは・・・?」と迷うYOKO君に「ほら、ここからは立って立って!」とどやしつけました。
YOKO君はCD『涙色の空』を持っていないのです。ツアーも不参加(同年彼はジュリワンに参加)でした。昨年のツアーでも、「涙色の空」が歌われた時に「知らない曲が来た!」と焦ったのだそうです。
ただ、僕は今年のお正月セットリストをすべてYOKO君にメールで教えた際、彼が音源を持っていない「若者よ」のファイルを一緒に送っていたんですよね。「サビのキメ部の歌詞が当時エライ話題になってさ・・・」と解説つけて。
ですからYOKO君、この曲は最近になって知っていたわけです。ジュリーが「叫んでも 叫んでも♪」と歌い始めると、ハッとしたように
おおっ、「老人」か~!
と声を上げました。
曲のタイトルが、咄嗟に間違って出てきたようですね・・・。まぁ気持ちは分からんでもない。
ブリッジ部の「栄え給えよ、若者♪」直後の「叫んでも 叫んでも」で、バンドが小節の頭にシンコペ気味に噛み込む頭打ちの演奏になりますよね。あそこで下山さんが「うりゃっ!」とダウン・ピッキングをキメならが首を振って悶えていました。
たぶん、シンコペで全員の音が揃う瞬間が気持ちいいんでしょうね・・・。
15曲目「ROCK'N ROLL MARCH」
終演後にYOKO君が真っ先に口にした感想は、ここから「愛まで待てない」の3曲怒涛のロック繋がりについて・・・「ジュリー、大丈夫なのか。凄過ぎる」と。
『燃えろ!東京スワローズ』に参加していた僕としては、初日の段階で「お正月コンサートとまったく同じ曲順」に戸惑いもあったわけですが、やっぱり65歳のジュリーにしてこのロック・コーナーはとんでもなく凄いんですよ。
前半のヒット曲連発で引きつけられ、新譜4曲に戦慄し、後半怒涛のロックで驚嘆し、最後にバラードに酔いしれる・・・長いファンの先輩方にとっても、初めて参加するお客さんにとっても、完璧な構成。僕と同じく後追いのじゅり勉詰め込み組のYOKO君は、たった1度の今ツアー参加で自然にその真髄を掴んだようで・・・さすがです!
イントロが始まり、つい裏拍のみの手拍子をして、泰輝さんの4つ打ち頭上手拍子に煽られさらに盛り上がる・・・何度体感してもスリリングな瞬間です。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅるっちゅ♪」のコーラス部は、これまでの会場では柴山さんを見ていましたが、この日は偶然泰輝さんに目が行きました。右手でコーラスと同音階のフレーズを弾き、途中から左手での豪快なシンセ・ストリングスが加わります。泰輝さんの”神の両手”はこの曲でも炸裂していたのでした。
エンディングは下山さんの自由度が高かったですね。ピックの振り下ろしが激しかったです(←片方の足を畳むようにして内股気味に見えるなるのがポイント)。
ジュリーもちょっと「おっ!」と反応していたみたい。
16曲目「A・C・B」
これは『ジュリー祭り』以降、YOKO君がことあるごとに「聴きたい、聴きたい」と言っていた曲。
僕はドーム以後何度か生で体感できていますが、彼にとっては5年ぶりの『ジュリー祭り』リベンジ・筆頭曲です。イントロが始まるとYOKO君は
「おおっ、アシベ!」
と叫び、僕の横腹を拳で思いっきり突きます。
・・・・・・痛い、やめれ。
恒例・ジュリーの道案内は下手側で。てっきりこれは上手ブロックでやるとジュリーが決めているんじゃないか、思っていたのでちょっと意表を突かれました。
どうやら会場ごとにその時のノリで位置を決めているようですね。先輩のお話によると、「最前列におじさんを見つけて道案内している」確率が高いんだとか・・・。ならば僕としては、「自分もすっかりおじさんで良かった~!」と和光市公演を思い出し、変な喜びを噛みしめたいところです。
その地図案内の箇所(Aメロ1回し目)といえば、リード・ギターのパートがお休みになり、柴山さんが物凄いテンションで手拍子を煽るのもまた、大きな見所です。
何故あんなにオーバーアクションなのか・・・ひょっとして、あの激しい動きでSGが「でろ~ん」と傾いてしまうのを防いでいるんじゃないだろうか・・・。
「A・C・B」の柴山さんの手拍子煽りと言えば、ボディーの軽いSGのヘッドが徐々に垂れてきて、演奏に戻る瞬間にそれを左膝ですくい上げるシーンが過去DVDなどで楽しめるのですが、今ツアーはあんまりギターが傾かないんですよね。これには何か秘密があるはずで、一番考えられるのは柴山さんのあの動きです。
バンド仲間の友人がSGを持っているので、いつか借りて試してみよう・・・。
YOKO君、この曲では下山さんにも釘付けになるシーンが何度もあったそうで
「下山さんの三連、キレッキレ!」
とひれ伏しておりました。
「A・C・B」では最後の最後にジュリーがアドリブのハミングを入れるんですってね。
僕も後になって「そう言えば、何かの曲のラストでジュリーがそんなことをやってたなぁ」とは思ったのですが詳しい記憶は無し・・・もうリベンジの機会もありません。残念です・・・。
17曲目「愛まで待てない」
間髪入れず続くロック・ナンバーにビックリのYOKO君。彼はこの曲も『ジュリー祭り』以来のリベンジ・ナンバーということになります。イントロでは
「俺が待てねぇよ!」
と叫んでました。意味不明。
その場駆け足も、フルスロットル加速アクションもこれまで以上に激しく素晴らしかったのですが、エンディングのサビのリフレインでジュリーが1小節遅れて歌に入ってしまい、演奏と歌がバラバラになるアクシデントが。
これはどういうことかと言うと・・・。
この曲はサビ部の最後「僕は灰になる♪」の後に基本、「ファソラシ♭ドレミ♭」というギター・フレーズがくっついてくるんですけど、一番最後はそれが割愛され(最加速を表現する白井さんのアレンジによる譜割と考えられます)、1小節ぶん早く歌が繰り返されます。譜割が奇数になるその「突っ込む」感覚がこの曲に用意された最後の仕掛けですが、大宮でジュリーはそこをうっかりして、偶数の譜割のままで歌ったので、結果バンドの演奏に1小節遅れることになったというわけです。
無理もないことですよ。それまでジュリーは全速でステージを何度も駆け回っていましたから・・・。
バンドと歌がズレていることに気づいたジュリーは、柴山さんたちの「ハッ!」のシャウトのタイミングをはかって立て直したようでした。
にしても・・・あの状況で顔色ひとつ変えずに正しい譜割で演奏を続行し、コーラスまで。
鉄人バンドの結束とプロフェッショナル・スピリット、改めて恐るべしです。
18曲目「TOKIO」
7曲目「サムライ」同様、ここで添付する収録CD画像を『A面コレクション』としました。「TOKIO」もアルバムとシングルではヴァージョンが違い、ジュリーがステージで歌っているのは、シングル・ヴァージョンの方です。「サムライ」ほどには2つのヴァージョンが大きく異なってはいないんですけどね。
YOKO君、この「TOKIO」と「気になるお前」の2曲についてだけは、「しょっちゅう生で聴いてるなぁ」という感覚を持てているそうです。彼は『ジュリー祭り』『PLEASURE PLEASURE』『僕達ほとんどいいんじゃあない』に続いて4度目の「TOKIO」ということになります。
昨年の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』大宮公演では、3列目という至近距離でジュリーに念押しされた(?)ため、あのYOKO君が正調の”おいっちに体操”を敢行する貴重な状況がありました(「ラジカル ヒストリー」)が・・・今年は後方席ということで、YOKO君は遠慮がちな正拳突きでの参加でした。
正拳突きと言えば、最後のサビ前の「わちゃあ~~!」はすっかり恒例になったのですね。
至近距離のジュリーが突然オフマイクで叫んだあの和光市公演が、もはや遠い昔のことのようです。
19曲目「君をのせて」
(註:何ということでしょう・・・今日(10月28日)まさに、この「君をのせて」の項からレポの続きを書こうとしていたら、矢継ぎ早に3人の先輩から悲しいお知らせを伝え聞きました。
岩谷時子さんの訃報。
25日に、97歳で天国へ旅立たれたとのこと・・・。
昨年は映画も大きな話題となった『レ・ミゼラブル』挿入曲の訳詩など、岩谷さんの日本音楽界への功績は計り知れません。
「歌」に込めて、女性の感性の尊さを教えてくださいました。
そして、ジュリーファンにとっては変えがたい宝物・・・素晴らしい歌を残してくださいましたね。
まず「君をのせて」。ジュリーが40年以上歌い続け、これからも歌っていくであろう、デビューシングル。
また、年末の再結成で歌われるかもしれないザ・タイガースの名曲「風は知らない」や、アルバム『第六感』から、ギター1本弾き語りの別ヴァージョンとしてシングル・リリースされた「永遠に」。
いずれも分かり易いフレーズでありながら奥深い、普遍の名編たちを届けてくださった岩谷さん。
心よりご冥福をお祈り申し上げます・・・)
地方にお住まいのジュリーファンのみなさまは、もちろん遠征して都心のお正月コンサートに参加なさる方々も多いとは思いますが、全国ツアーでジュリーが年に一度地元にやってくるのを楽しみにしていらっしゃる、という方々もいらっしゃいます。ジュリーは、そういうファンをすごく大切に思っているのではないでしょうか。年に一度のLIVEを待っているファンがいる、ということが、65歳にしてあの過酷なスケジュールのツアーを乗り切る体力、精神力の源になっているように思えます。
YOKO君は『ジュリー祭り』以後、そんな「年1回のジュリーLIVE」の醍醐味を都心に住んでいながら味わっています。
今回のセットリストは、お正月の『燃えろ!東京スワローズ』との重複こそ多かったものの、昨年の全国ツアー『3月8日の雲~カガヤケイノチ』との重複は、この「君をのせて」ただ1曲なんですよね。
「締めくくりにバラードを連発していたのは新鮮だった」
とは終演後のYOKO君の第1声。彼は「君をのせて」から「さよならを待たせて」までのバラード4曲はすべて大好物とのことで、怒涛のロック・コーナー直後の1年ぶりの「君をのせて」も、大きな感動を持って聴いたようです。
大宮では1箇所「えっ?」というところで歌詞飛びがあり(サビのリフレイン部)少しハラハラしましたけど・・・指揮をするような感じで腕を揺らしたジュリー、貴重なシーンを観ることができました。僕にはそんなジュリーの動きが、「何だっけ?みんなちょっと歌って教えて!」とお客さんに歌詞を尋ねているかのようなゼスチャーに見えてしまいました。
それにしても・・・あれだけ走り回り全力で暴れていたというのに、いざ「君をのせて」を歌い始めると、息も乱さず伸びやかな声を聴かせてくれるジュリー。
70年代頃の貴重な資料などを読んでも、ジュリーが後半になれななるほど声が良くなるというのは多くの人が口を揃えて驚嘆まじりに言っていたことなのですね。
ロック・ナンバー連発で大いに弾けた直後の「君をのせて」。40年以上前にリリースされたこのバラードこそ、「ジュリー65才にしてなお健在!」を、多くの一般のお客さんにも知らしめている歌なのではないでしょうか。
時代が進めば進むほどに、普遍の輝きを放ち存在感を増し、聴く人それぞれが持つ大切な思い出を「歌」の中にどんどん積み重ねていってくれる「君をのせて」。
岩谷さん、どうぞ安らかに。
数々の素晴らしい作品をありがとうございました・・・。
~MC~
LIVE当日から日も経ってしまいましたし、この項は簡潔にまいります。
大宮でもジュリーは、長い長いMCで楽しませてくれました。YOKO君も「相変わらず長いね~」と言っていましたね。
内容自体は、”ザ・タイガース再結成準備珍道中”的なお話が中心で、これまで聞いたことのあるものをアレンジして詳しく、といった感じでしたのでここに書き起こすことはしませんが、ジュリーの楽しそうな様子や話し方から察せられること・・・それは
「何も心配ありません。メンバー皆、再結成のステージを楽しみにしているし、早く全員で稽古したいと待ち構えているし、僕もトッポと仲良くやっていますよ!」
と、要約しますとそんな感じです。
トッポ絡みの話は最早、「ザ・タイガース、順調です!」を裏付けるようなネタになっていますね~。
僕は今回の再結成ステージでは、トッポがどれくらいの存在感を放ってくれるのか、というのを一番の楽しみにしています。それはジュリーもそうなのでは?
それに僕としては、生では初めて聴くギター、初めて聴くヴォーカルなのですからね。
MCで僕が初めて聞いたネタとしてひとつだけ書きますと・・・インパクトがあったのはやはり「サインを断るドSなジュリー」のお話(笑)ですね。
『ジュリー祭り』を機に何故かまた人気が出てきて顔を知られてきて、ある時新幹線(だったかな?)に乗っていると
「大きな紙袋を提げた、見るからにオタクっぽい青年が”サイン下さい”と言ってきて・・・思いっきり無視したった!!」
と笑わせつつも
「もしかすると、その青年のその後の人生にずっと残る傷を負わせてしまったのでは・・・」
と心配げにしていました。
結局ジュリーが何を言いたいかというと
「自分はそういうことがあっても絶対に無視するんだから、お互いのためにそういう行為は控えてください」
ということでしょうね・・・。
ただ、話としてそれはまぁお客さん爆笑となったんですが・・・後日、そのくだりをNasia様がブログで素晴らしいイラストを添えて書いてくださっていてですね、その「紙袋を提げたいかにもオタクっぽい青年」のイラストが、思わず自分に見えてしまったという・・・。
拝見した瞬間、この先僕が万が一どこかでジュリーに遭遇しても、近づかないように気をつけよう・・・と決意させて頂いた次第です(笑)。どうしたってファンオーラは隠しきれるものではないと思いますしね・・・。
ともあれ、「可能な限り歌い続けたい」という最後の言葉がやはり嬉しかったです。
鉄人バンドの紹介にも大きな拍手があり、「オマケ、です!」(この日のジュリーは区切るような感じで言いました)から、いよいよアンコールに突入します。
20曲目「あなたへの愛」
これはYOKO君も僕と同じで、『ジュリー祭り』『僕達ほとんどいいんじゃあない』に続いて3度目のツアー体感。
ただ、この曲をこよなく愛するYOKO君としては、ジュリワンの時のアレンジに違和感もあったようで「やってくれて嬉しかったんだけど、やっぱり俺はこの曲のイントロはオリジナルのあのギター・フレーズと音が好き」と言っていました。
今ツアー、柴山さんはオリジナルに忠実な音作りで、丁寧にソロを弾いてくれますね。YOKO君も大満足だったようです。
打ち上げで「今回は1音キー下げてFでやってるんだよ」と教えてあげたら、「そりゃそうだよね」と。
「だって、俺等が歌ったら1音下げたくらいじゃ無理じゃん」
だそうです。
最後に転調がありますし、とにかく高音がキツイんです、この曲。ジュリーとしては1音キーを下げることによって(YOKO君の言う通りそれでも常人には高いんですけど)、70年代の頃の歌い方に近くなったんじゃないかなぁ。僕は当然当時の歌を生で聴いていないのであくまでCDで聴いた印象と比べての感覚なのですが・・・。いずれにしても、『ジュリー祭り』と今回では歌い方はかなり違いますよね。
歌い終わったジュリーが、にこやかに手を振ってサツサと退場しようとします。期待に応えて「えっ?!」と見事に引っかかるYOKO君・・・泰輝さんのピアノが始まってジュリーがハタと立ち止まり「え、まだやるの?」と恒例のお芝居を打つと、今度は声を上げてのバカウケでした。
21曲目「ヤマトより愛をこめて」
この日初めて気がついたのは、下山さんがギターを変えるタイミングでした。
「あなたへの愛」がアコギで「ヤマトより愛をこめて」はエレキなのですが・・・ローディーさんがエレキを持って下山さんに手渡すのは、ジュリーが歌い始めてから後のことだったのです。
まぁ、この曲で下山さんは2番までお休みですからそれは自然なことと言えばそうなんですけど、ひょっとしたらこれは・・・ジュリーの「一度引っ込む」小芝居を明確にするために、ギター・チェンジのタイミングをずらしているのではなかろうか・・・?
考えてみれば、例えば「あなたへの愛」が終わってすぐに下山さんがギターを変えていたら、目ざといYOKO君はそれに気づいたでしょう。ジュリーの小芝居に大ウケすることもなかったかもしれないのです。
何と緻密な演出でしょうか!(←違)
そんなユーモラスな演出がありつつも、いざ歌が始まってしまえばひたすら感動するばかり。
YOKO君は『ジュリー祭り』以来久々のこの曲ですから尚更だったでしょう。
大宮公演が終わって数日後でしたか、いつもお世話になっている先輩から教えて頂いたのですが・・・最近斉藤和義さんがジュリーについて語ったことがあったそうで、その中で、「切ない気持ちに浸りたい時に聴く」ということで、この「ヤマトより愛をこめて」のタイトルを挙げていらっしゃったとか。
斉藤さん、やっぱり今のジュリーのことが気になるのかなぁ、なんてまず感じてしまいました。
しかしそれ以上に・・・なるほど、「切ない気持ちに浸りたい」なんて、僕のような凡人にはなかなか言葉にするところまではいかないけど、確かに人間誰しもそういう時があります。
「ヤマトより愛をこめて」は確かに、超有名アニメとのコラボレーションという側面が強いです。でも実は「君をのせて」同様に、純粋に、どうしようもなく「歌」なんですよね。
「ジュリーの歌」と表現するにふさわしい・・・テーマ性もヴォーカルもジュリーの歌声も全然古くならず、むしろその中にある大切なものがどんどんクローズアップされ再確認されるべき時代がやってきています。
正に普遍の名曲です!
それをこうしてじっくり生で味わえることに、感謝。大宮の「ヤマトより愛をこめて」も素晴らしいヴォーカルと演奏でしたよ。
22曲目「さよならを待たせて」
またしてもジュリーの小芝居に引っかかるYOKO君。再びのフェイントから次曲のイントロが始まると、「むむむ・・・これは?」と一瞬ではありましたが迷ったみたい。
彼にとっても『PLEASURE PLEASURE』以来となる曲。もちろん『ジュリー祭り』の時は「知らん曲だなぁ・・・」とポカ~ンと聴いてしまっていた曲ですね。彼にとって今年改めてのリベンジとなりました。
「溢れる涙」の項にも書いた通り、今回ジュリーがセットリストに抜擢した2つのクリスマス・ソング。僕は遅まきながらようやくそこに「今はいない人のことを歌った曲」という共通点に気がつき、今年の『Pray』という被災地への祈りをテーマとしたツアーでこのバラードが採り上げられた意味を、改めて考えさせられた次第です。
2曲とも、ただ「切ない」では終わっていません。そこには「時間を厭わない」明日への思いもある、と僕は受け取っています。
この日も素晴らしかったジュリーのヴォーカルと鉄人バンドの演奏。バラードが続いていますが、歌の表情はそれぞれすべて違います。
間奏・・・これまでは柴山さんのことばかり書いてきましたけど、その前に泰輝さんにピンスポットが当てられ、美しいソロを弾いているんですよね・・・。
☆ ☆ ☆
ということで、今年も無事にYOKO君はジュリーLIVEに参加することができました。
とにかく何につけても直前になるまでハッキリとした予定の立たない男ですので、毎年チケットを申し込む段階では彼が参加できるのかどうか分からない状況なんですが、また来年もこれまで同様にチャレンジします。
来年は渋谷にする可能性も。一番安パイなのは、「月の中頃の休日の川口公演」なんですけどね。
会場でお会いしたみなさま、男2人を快く打ち上げに加えてくださったみなさま、どうもありがとうございました。
YOKO君からは翌日
「ジュリーの直後は、ポール(マッカートニー)聴いてもうまく入っていけない。生ジュリーの圧力ってすげぇんだな・・・」
とメールがありました。ポールの新譜が出たばかりで、開演前は2人でその話ばかりしていた大宮公演でしたが、やはりジュリーLIVEは格別の印象、爪痕を彼の生活にしばらくの間残していったようです。
☆ ☆ ☆
僕の『Pray』ツアーも、この大宮を以て終わりました。
冒頭にも書きました通り、次回更新であと1曲だけタイガース・ナンバーの記事を書き、”ザ・タイガース再結成セットリスト予想”シリーズを〆にしたいと思います。
なんとかパンフレットの発送前に書き上げたいと考えていますが、週末なかなか忙しい(渋谷にも参加できず)ので厳しいかも・・・。
お題はバレバレかと思いますが、例によってJ先輩所有の貴重なお宝画像の添付候補を選びつつ、記事の構想を早めに練りたいと思います~。
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