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2013年9月

2013年9月30日 (月)

ザ・タイガース 「光ある世界」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968
セットリスト的中自信度★★★★☆


Human

1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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ジュリーの2014年前半のインフォメーションも到着し、お正月LIVEに音楽劇(演奏が柴山さんのギターとあらば、これは僕も行かずばなるまい!)のチケット申し込み、さらにはザ・タイガース貴重映像DVDも発売されるとあって、みなさまにおかれましては、まず銀行口座の残高を確認していらっしゃることかと・・・。
え、僕だけですか?


まだ年末のザ・タイガース再結成のチケットも手にしていない状態で、続々と届けられるその先々のジュリーの公演予定。
まさに嬉しい悲鳴・・・本当にファン冥利に尽きます。有り難いことです。

さて。
『先日の『オールナイトニッポン・ゴールド』は本当にファンを安心させてくれたと言うか・・・特に僕のような後追いかつ頭でっかちな考え方の者を、穏やかな境地に誘ってくれました。それほど、5人の醸し出す雰囲気が何とも言えず良かった・・・。

思えば、2011~2012年の老虎ツアー・ファイナル武道館公演のプロモーション的な感じでNHK『songs』が放映される、と聞いた時、僕は「対一般世間」というのを意識し過ぎていて、「美しき愛の掟で一般視聴者のド肝を抜くべきだ!」などと浅いことを考えました。
しかし番組のトリで演奏されたのは「誓いの明日」。その素晴らしかったこと。
「僕たち、こんな雰囲気で今やってるよ」ということが、何のてらいも力みもなく伝わってきた・・・今回の『オールナイトニッポン・ゴールド』も、僕にはその時の「誓いの明日」と同じように感じられました。

メンバーに気を遣いながらも、司会の仕事を楽しく、優しく、自然体で全うしたジュリー。
しっかりと足が地に着いた感じで、的確にポイントを突いて他メンバーへの質問を展開していったサリー。

さらに、僕の中学生時代の記憶にある『オールナイトニッポン』という番組のイメージを一手に引き受け喚起させてくれた、ヤンチャなピー先生。
ダジャレはともかく、「日中を股にかけた」話の際に突如飛び出した下ネタにメンバー一同が凍りつく雰囲気がヒシヒシと伝わってきて(笑)、「あぁ、オールナイトニッポンっぽいなぁ」と思い、爆笑しながら聞いていました。

そして・・・これはほとんどその後ファンのみなさまの間で話題に上ってないけど、トッポとタローが、僕がトッポのソロ・ナンバーの中で抜きんでて好きな曲「ひとり」(作詞・トッポ、作曲・タロー。トッポのセカンド・ソロ・アルバム収録)の話を少ししてくれたんですよね・・・。
タイガース解散後に、タローが作曲依頼を受けたという流れだった、とか。
僕、これまで「ひとり」について「タイガース幻のセカンド・レコーディング・アルバムのアウトテイクじゃないか」とこのブログ書いてきたことがありましたが、それは違いました。
でも、まさか「ひとり」の制作秘話まで聞けると思っていなかったから、とても得した気分でしたよ~。

ともあれ、ラジオで5人の声を聞き、年末のザ・タイガース再結成が現実味を帯びて、一層楽しみになってきましたね!
ジュリーのソロ・コンサート・・・『Pray』ツアーもいよいよ佳境に入ろうとしておりますが、拙ブログではひと足早く、ザ・タイガース再結成ステージのセットリスト予想シリーズを開始しています。
今日はその第4回。

お題に採り上げるのは、多くの先輩方の間でとても人気の高いナンバー。
先日お会いした先輩も「今年はやるでしょ!」と力強く予想していらしたので、的中自信度を当初の予定「星3つ」からワンランク格上げしまして、「星4つ」の”予習必須曲”として、貴重なオマケ画像も文中にたっぷりと交えつつ、お届けいたします。
「光ある世界」、僭越ながら伝授!

僕は今、これまでの予想記事で”演奏形態”という点にこだわり過ぎてたかもしれないなぁ、としみじみ考えているところです。
いや、『オールナイトニッポン・ゴールド』を聞いてね。ザ・タイガースの再結成コンサートに参加できる、という歓び・・・ファンとしてその基本の気持ちに立ち返ったと言いますか。
もう、これは演奏できるのかとかアレンジが厳しいんじゃないかとか、そんなことを考えるのはナンセンス・・・まぁ当然現実問題として演奏はできなくちゃ、なんだけど、そこを理詰めで考えてセトリ予想自信度に反映させるのはやめよう、と。
僕とて若輩とは言えタイガース・ファンなのですから、オリジナルメンバーの5人が、あのラジオの感じで再結成本番ステージに向けて胸ときめかせているなら、それでもう無心にその日を待つべきなんじゃないか、とね・・・そう思った次第です。

ですから、全っ然オリジナル・メンバー5人の演奏でどんなアレンジにするのか想像がつかない、メチャクチャに難易度が高いような気がする「光ある世界」も、「星4つ」での予想。
だってこの曲、ファンが聴きたい、そしてザ・タイガースのメンバー自身が「やりたい」と自然に考える曲だと思いますから。
あとは、他の曲との兼ね合いですかね。

では、この曲にまつわるエピソードと言えば・・・。
もう随分前の話のようにも感じますが、『Pray』静岡公演でのMCで、ジュリーがご当地ネタとして
「タイガース時代に富士山に登って歌ったことがある。あれは、途中から馬に乗って行くんです」
と話してくれたそうですね。

Img952

Img949

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リハーサルシーン、ジュリー=Mママ様所有資料
サリー、トッポ、ピー、タロー=P様所有資料


その富士山
で歌われた数曲の中で、リリース間もない「光ある世界」は大きくフィーチャーされていたのだそうです。
そりゃそうですよね・・・何せ富士山ですから。「ご来光」ということですよ!


とにかくその楽曲世界のスケールの大きさは、すべてのタイガース・ナンバーの中でも抜きん出ているように感じます。
「光ある世界」・・・それは、時間も空間も無いまったくの「虚無」に、ひとすじの光が射し、誕生した真っ白な世界のこと。
それがいつしか「あなた」と「僕」に投影され、「人類の誕生」「愛の始まり」・・・「光=愛」というテーマに繋がっていくのではないでしょうか。

Fuji001_2


P様所有資料

星なき夜 に あなたと逢って
Em     A   Em       D         Em

星なき道 に 愛の光が
   Em  A   Em     D    Em

『ヒューマン・ルネッサンス』は完璧なコンセプト・アルバムで、世界の始まり(「光ある世界」)から終わり(「廃虚の鳩」)までを描いています。
世界を終末たらしめるのは、「悪いことを覚えすぎた」愚かな人間たち。しかし「廃虚の鳩」では、空を飛ぶ一羽の真白い鳩にひとすじの希望が託され、また新たに世界は甦ります。
「鳩」は”希望”という名の「光」の化身。
つまり『ヒューマン・ルネッサンス』は、ラスト収録の「廃虚の鳩」から1曲目収録の「光ある世界」に再び物語が繋がっていく、”オービタル・ピリオド”構成になっているのです。
なかにし礼さんと山上路夫さん・・・違う作詞家による作品がここまで見事にひとつの物語に纏まる素晴らしさ。『廃虚の鳩』のシングル盤をお持ちだったタイムリーなファンのみなさまは、自然に「廃虚の鳩」→「光ある世界」の流れも身体に染み込ませていらしたでしょう。

アルバム全体では、特に山上さん作の「朝に別れのほほえみを」から、なかにしさん作の「忘れかけた子守唄」への流れで、リスナーは自然に「あぁ、物語は曲順の通りに繋がっているんだな」と気がつくことができます。
「コンセプト・アルバム」と言うとなんだか難解で敷居が高いようですが、タイガースのこのアルバムはポップで分かり易い・・・深いテーマでありながらも際立つ明快さ。それこそが『ヒューマン・ルネッサンス』最大の魅力であり、タイガースがこうしたテーマの作品をリリースすることの意義でもあったのだ、と僕は考えます。

さらに。
ポップで美しく、耳当たりの良い曲が実は非常に高度で凝った構成を持つ・・・正にそんなアルバムのテーマ性同様の懐の深さを1曲で表しているのが、この「光ある世界」です。
何の違和感もなくス~ッと聴き込めるこの曲、いざ紐解いてみますと・・・いやぁ斬新な和音進行とアレンジに驚くばかり。
しかも、とてつもなく気品に満ちているんですね。

詩人・吉岡実さんの研究家でいらっしゃる小林一郎さん執筆のサイト、『吉岡実の詩の世界』の2011年8月付編集後記にて小林さんが、僕が自力で採譜できなかった「光ある世界」のイントロの和音について書いてくださっています。
光栄なことに、小林さんがそこで拙ブログをリンク紹介してくださっていたおかげで、僕は小林さんのサイトにお邪魔し、「光ある世界」のイントロ進行を知ることができました。

実は僕の手元には2種の「光ある世界」のスコアがあるのですが、そのいずれもがメロディー譜で、イントロの和音表記が割愛されているのですよ・・・。

Hikariarusekai_2


深夜放送ファン・別冊『沢田研二のすばらしい世界』
&『60年代グループ・サウンズ・ファイル』より


しかも歌メロ部のコード表記がメチャクチャ怪しい・・・当然、2冊ともてんでバラバラな採譜になってます。
逆に言えば、そのくらい「光ある世界」はコード進行が特殊な曲なんですよ。

小林さんがサイトで紹介してくださったイントロ(および間奏部)のコードは

Em→D7→C→Am→F7-5→Em

という驚愕の進行。
小林さんも仰っているように、まずこの曲がホール・レコーディングということで、和音の輪郭がぼやけている(無論、それが曲の魅力となっています)ためコード採譜が困難な上、イントロ部ではサリーのベースがずっと「ミ」の音を連続して弾いているので、厳密には「Em」以外の上記進行登場コードはすべて「onE」の分数表記となるべきところ。
ただ、すぎやま先生のオーケストレーション・アレンジが、いわゆる「ギター・コード」のニュアンスを超越していて、ロック畑の僕からすると相当に聴き取り辛い和音構成となっています。
小林さんも驚いていらした「F7-5」はもちろん、一見シンプルな進行で、言われてみれば「あぁ、そうか」と納得の「D7」あたりも、ギター片手に音源を流しながらの採譜作業だと実はかなり探し当てにくいのです。

オリジナル音源を改めて聴き直してみますと・・・間奏では鳴っていませんが、イントロでは左サイドにその進行でのギター・コードの演奏が確認できます。
「F7-5」は、1弦1フレット、2弦開放、3弦2フレット、4弦3フレットのローコードで弾いているように聴こえます。これはトッポかな、タローかな・・・。

和音が難解なのはイントロだけではありません。
例えばサビ部後半。手持ちのスコア2点でそれぞれ合わせてコードを弾いてみても、何か違う・・・ということで、この機会に自分なりの採譜を試みました。

あなた の  愛         を
      Em Em7  Em6 G11(onE)  Em

ぼくは はなしはしな    い
     F#7    Am    D#m7-5   B7

コードネームを明記していて自分で「ホントかよ!」と突っ込んでしまう(笑)ほどに斬新です。
ホ短調(Em)のスケールの曲の中に、「F#7」はまだしも、「D#m7-5」が出てくるのは相当に変則的なんですけど、合わせて弾くと僕はこれが一番しっくりきます。
ちなみに「G11onE」は、ローコードの「Em」に5弦1フレットの「C」音を足したフォーム(「Em7」→「Em6」に続いて、5弦のポジションが半音ずつ下がってくる感じ)で、「D#m7-5」は1弦~3弦が2フレット、4弦1フレットのフォームで弾いてみて!

でも、こんなふうに和音を紐解いてみると、シンセ・ストリングスのサポートを仰がずとも、トッポとタローのギター2本で充分「光ある世界」のアレンジ、演奏は可能だと思えてきました。どちらかがアルペジオを弾くと良いんじゃないかな。

何よりこの曲は、ジュリーの神々しいまでに澄みわたるヴォーカル、1番サリー、2番トッポの絶妙な裏メロのコーラス・・・トッポが加わったオリジナル・タイガースでそれが完璧に再現されるかと思うと、ワクワクしてきますよね。
是非、年末のセットリスト入りを!

それでは最後に、P様所有資料からダメ押しでオマケです!

Hikariarusekai

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Fuji002


Fuji003


さて次回更新は、「星1つ」の曲を予定しています。
「星1つ」・・・つまり、再結成ステージでのセットリスト入りはちょっと考えられない曲ですが、この機会に少しでも多くのタイガース・ナンバーを書いておきたいですからね!

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2013年9月26日 (木)

原辰徳 「恋はうたかた」

from『Something』、1982


申し訳ありません。
タイガース再結成に向けてのセットリスト予想シリーズを1回お休みさせて頂きます。今日は、”ジュリーをとりまくプロフェッショナル”カテゴリーの記事です。

もはや懐かしい感覚すらある、今年お正月のジュリーのソロ・コンサート。
ツアー・タイトルは、東京公演が『燃えろ東京スワローズ』、大阪公演が『燃えろ阪神タイガース』、名古屋公演が『燃えろ中日ドラゴンズ』という、ある意味歴史に残るもの(?)でしたね。
僕と同じく、”アンチ巨人の阪神ファン”であるジュリーが

なんとかあの巨大戦力を擁する巨人を、他5球団で包囲網を敷き寄ってたかってボコボコにして、その漁夫の利で阪神が優勝

という壮大なプランを以って命名したもの。
ツアー・タイトルの情報が解禁された時、僕は「我が意を得たり!」と舞い上がって調子に乗り、昨年末に執筆した「キャンディー」の記事冒頭で、こんなことを書いてしまいました。


もしも来年ね、ジュリーの発議した「虎竜燕による巨人包囲網」が打ち破られ、ジャイアンツが連覇を成し遂げたとしたら・・・仕方ない、「敵ながらあっぱれ」ってことで、不肖DYNAMITEが「恋はうたかた」の考察記事を執筆し、ヤケクソで優勝のお祝いをしてあげようじゃあないの!

「言霊」って、あるんですね・・・。
いや、そうなる可能性が非常に高いことは、昨年の時点でも覚悟してはいましたが。

ということで。
阪神ファンの僕が悔し涙を堪え、”男の中の男”ジュリーから学んだ「有言実行」の志を胸に、”巨人の大選手=大監督”原辰徳さんの「歌手」としての面を採り上げ、楽曲考察記事を今こそ書かせて頂きます。

作詞・藤公之介さん、作曲・ジュリー。
作曲家・ジュリーのキャリアの中で、これぞ”隠れた名曲”と呼ぶにふさわしいナンバー、「恋はうたかた」・・・読売巨人軍セ・リーグ優勝ヤケクソお祝い記念伝授!

(註:最初にお詫びをしておかなければなりません。楽曲考察記事を書こうとしているにもかかわらず、僕はこの曲の音源を所有していないのです。音源については完全にこちらのup主様にお世話になっている状況です。
考察過程で歌詞も一部抜き出して書きますが、すべて聴き取りによるものです。漢字仮名使いに誤りがあるかもしれません。また、もしもとんでもない聴き取り違いがあったとしたら、本当に申し訳ないです・・・。
また、僕は阪神ファンですので、どうしても文中に、巨人ファンの方々が読まれた際に不愉快に感じられる表現を使ってしまっている場合があり得ます。ごめんなさい)

「恋はうたかた」・・・1982年、当時「若大将」のニックネームと甘いマスクで絶大な人気を誇った現役時代の原辰徳選手(現巨人監督)の歌手デビューに際し、何とジュリーが原さんのアルバムに自作曲を2曲も提供したという・・・そのうちの1曲。
(もう1曲の「いくつもの季節」については、ネットで音源を見つけることができませんでした)


原さんは当時、巨人入団2年目の超新星。その爆発的な人気と実力、加えての美声で、「歌手デビュー」という話に世間が違和感なく流れていったことは、おぼろげながら僕も記憶しています。
まぁ、どういった経緯でジュリーが原さんに楽曲提供することになったのか・・・後追いジュリーファンの僕はその辺りが全然分からないんですけど、「恋はうたかた」は本当にジュリーらしい斬新な進行を擁する、素晴らしいポップ・ナンバーです。

ウキウキするような明るいイントロから


たそがれ 摩天楼 心ジグザグ
D                 A       G         A

と、軽やかにAメロに突入。
うんうん、明快なニ長調のポップス王道進行ですね。
と思いきや

都会は蜃気楼 夢がユラユラ
    F#m    G#m     B          E

は?
何これ、今、何がどうなった・・・?

「都会は♪」の箇所の「F#m」というのはニ長調の王道進行に登場するコードですから、「ええっ?」と感じるのは次の「蜃気楼♪」の「G#m」の地点なんです。
でも実際にはこの曲、「都会は♪」の時点でホ長調に転調しているのです!

歌詞2行目でいきなり1音上がりの転調って!

で、次に

時は澱むことなく流れ
D                F#m

ここはコードだけ拾うと、先述の「ニ長調の王道進行」に当てはまるわけですが、何とジュリーはこれをホ長調のスケールのままメロディーを載せています!
斬新過ぎる・・・。

そして

恋はいつもうたかた
   G        A         D

ここでようやく(と言うか早くも、と言うべきか)ニ長調に舞い戻ってキレイに着地。
つまりこの曲のAメロは、僅か16小節の中で

ニ長調→ホ長調→ニ長調進行のホ長調→ニ長調

と、目まぐるしく展開しているんですね。
こんなの、理論や定跡に囚われていては絶対に作れない曲ですよ。ジュリーの個性、発想の自由度が際立っています。

続くサビ部は素直にニ長調のまま進行するんですけど、先のAメロでここまで曲想に抑揚をつけられていると、歌い手としては「さぁサビです!」というスイッチを入れるのが非常に難しい。
しかもね。サビ冒頭の

生きてゆくことは  愛することだと
D                 Em    A               D

の音階が、低い「ラ」の音からダダダ~ッと高い「ファ#」の音まで一気に駆け上っていくという・・・。
そりゃあ極上のメロディーだし、ジュリーはギター片手に歌いながら「おぉ、エエのがでけた!」と思ったかもしれないけど、素人さんに歌ってもらうにはちょっと高度すぎやしませんか・・・?

原さん、歌入れでは苦労したと思いますよ~。ジュリーもレコーディングに立ち合ったりしたのかな?
ん・・・まさかジュリー、「にっくき巨人の若大将を、阪神ファンを代表してワイがちょっとイジメたろか」という狙いで、敢えて難易度の高いメロディーを用意したとか・・・?
(←冗談ですよ!)

そんな曲ですから、原さんのヴォーカル・テイクには「上手く歌えてるのかな~」といった疑問形の雰囲気を感じないでもありませんが、それでも音程がうつろったりしないのがさすが!
この「恋はうたかた」1曲だけでは分かりにくいですが、原さんは本質的に歌が上手いんですよ。声自体も、爽やかな美声ですしね。
藤公之介さんのペンによる2番の歌詞に、「愛は伝説♪」という大胆なフレーズ(笑)があって、そこで若干照れくさそうなニュアンスのヴォーカルになるのがまた逆に良くて・・・当時、特に女性のファンは原さんのこの曲にキュンキュンしていたでしょうね~。

さて、このように「恋はうたかた」は、コード進行やメロディーについては「いかにもジュリー」な、独創的な曲。
では、アレンジ(編曲クレジットは大野さんです!)についてはどうでしょうか。

パッと聴いた時に印象深いのは、キュートに飛び跳ねるようなリズムです。ただ僕は、このリズムについては完全に大野さん主導ではなく、ジュリーが作曲段階である程度練っていたものではないか、と考えます。

というのは、実はこの「恋はうたかた」と近い時期に、リズム・エッセンスが共通するジュリーの作曲作品があるのです。
『A WONDERFUL TIME』収録の「氷づめのHONEY」。
ボ・ディドリー風のリズム・アンド・ブルースにルーツを持つビートを応用したリズムです。

このリズム・・・「恋はうたかた」でも各楽器にそのニュアンスが採り入れられている中で、トラックで言うと、原さんのヴォーカル部に入ってからのAメロ部で、左サイドにミックスされているサイド・ギターのカッティングが最も聴き取り易いでしょうか。ベースも特徴的ですごくカッコイイんですけどね。

ジャングル・ビートのジュリー・ナンバーとして代表的な作品は、まず「晴れのちBLUE BOY」が挙がるでしょう。
さらに、そのビート解釈を拡げ、ポップなロック・ナンバーへと応用させた曲として挙げられるのが「緑色のKiss Kiss Kiss」と「氷づめのHONEY」。特に「氷づめのHONEY」はジュリー作曲作品という点で興味深く、同時期に原さんに提供した「恋のうたかた」を知ってしまうと、「ジュリー、当時はコード進行やメロディーだけでなく、曲の基本リズムについてもアイデアを練り込んでいたんじゃないか」と思えてきます。
自宅でギターをつまびきながら「こういうリズムはどうだ、こういうメロディーはどうだ」と、無心で作曲に取り組んでいるジュリーの姿が目に浮かぶようではありませんか。

そんなジュリーの基本アイデアがあって、大野さんは正に曲想重視、「かわいらしく」「明るく」といったアプローチでアレンジを仕上げたものと思われます。
ラテン系のキーボードの音色が特徴的で、少なくともイントロについては、大野さんが後からしかるべき進行を考案、組み立てたのでしょう。

また、「恋はうたかた」は藤さんの詞が先にあって、後からジュリーが曲をつけるという順序の作業ではなかったか、と僕は考えています。
というのは

旅に立つ人の髪の乱れよ
G                     Bm

いずこへ いずこへ
      G     A        D

この「旅に立つ人の・・・♪」の部分で、メロディーが同音階の早口になってギュッと詰まっているような感覚がありますよね?
これ、豪華著名女性陣による詞先のジュリー作曲作品企画盤『JULIE SONG CALENDAR』収録曲で、似た感じを受けるナンバーがあるんです。
「ボンヴォワヤージュ」とか「ラストスパーク」とか。あらかじめ用意されていた詞を、箇所によっては自分の考案した譜割りに少し強引に詰め込んでいる、という感覚です。似た詞先の例は、ジュリーの作曲ではないけれど、阿久さん作詞・大野さんの作曲の「居酒屋」あたりも挙げることができます。
「恋はうたかた」の作曲時にも同様の過程があったのではなかろうか、というのが僕の考え。あくまで推測ですけどね。

最後に、楽曲考察からは離れますが、ジュリーと原さんの性格的共通点について語っておきましょう。
二人とも、甘いルックスの持ち主・・・パッと見だけだと、今で言うところの「草食系男子」かと思われてしまうかもしれません。
しかし実は原さんもジュリーと同じく、自分だけの矜持をしっかりと胸に置いた、とても男らしい性格。

原さんは「巨人の4番打者」という輝きと実力を保ったまま、華やかに現役を引退された(無論、本人は弱音は吐かずとも、幾多の怪我により身体は満身創痍でした)後、評論家活動期を経て、2002年に巨人の監督に就任しました。
でもね、そのまま今に至っているわけではないんですよ。2年間指揮をとった後、原さんは一度監督を辞しているのです。
勇退セレモニーすら球団に企画されることもなく、ほとんど解任に近いような形で・・・。

それなりの好成績を残した第1次原監督時代の巨人の2年間(就任1年目で優勝。翌年はリーグ3位)。しかし「常勝」に拘る球団最高権力者の某お爺さんの
「原の次は、堀内と決まっていたんだよ」
という、一般人の野球ファンからするとサッパリ意味が分からない言葉を受けて、志半ばで堀内監督にバトンタッチ。
まるで「もう用済み」といわんばかりの「解任」劇は、アンチ巨人の僕ですらニュースを見ていて気の毒に感じられるほどでした。

いや、某お爺さんの気持ちも分かることは分かるんです。だって・・・その時原さんが辞めることになったのは、あの2003年ですよ。
ジュリーファンのみなさまならピンと来ますよね。そう、『明日は晴れる』ツアーでジュリーが「Rock 黄 Wind」を歌い重ねるに連れて阪神が勢いを加速し、ブッチギリで優勝したその年なんです。成績的には3位だったとはいえ、巨人は夏にはもう追撃の士気を削がれてしまったシーズンでした。
某お爺さんとしては、阪神にコテンパンにやられておとなしく黙っているわけにはいかなかったんでしょうね~。

ところがその某お爺さん期待の堀内監督が、「仁志選手の再生」など「なるほど」と野球ファンを唸らせる新たな指針を掲げ奮闘するも、2年間まったく優勝に絡むことができず・・・”球界の盟主”を自認する巨人球団は、短期間のうちに次の監督を探さなければならない展開に。
次期監督候補として幾人かのビッグネームの名前が取り沙汰されますが、交渉は難航(今となっては信じらないことですが、当時阪神のシニア・ディレクターであった星野さんの外部招聘案が軸となっていました)・・・困り果てた球団は、つい2年前に「キミはもうこの辺でいいよ」と言い捨てたも同然の原さんに、再度の監督就任を要請するに至ります。

何と原さんは、それを即答で快諾!
「外部の星野に断られたから原でいいや、みたいな都合の良い扱いをされて悔しくないのか」
「あんな辞めさせられ方をして間もないのに、プライドは無いのか」
など、スポーツ新聞や世間のファンは、半分面白おかしく騒ぎたてたものでした。

そして迎えた、第2次原監督の就任会見。原さんは堂々とした態度で、こんな感じの決意表明をしたんです。

「自分には”ジャイアンツ愛”がある。ジャイアンツに何かあったら、自分はいつでも身を投げ打つつもりでいた」

と。
自分の見栄とか、世間への体裁はまったく関係ない。就任打診までの経緯などどうでもいい。愛するジャイアンツの危機に自分の力が必要とされているなら、それは男の本懐である、ということでしょう。

レベルの低い世間の揶揄のような声を、大きな器で丸ごと包み込み、真っ直ぐに顔を上げて臨んだその就任会見での原さんの姿は、アンチ巨人の僕ですら未だに鮮明に覚えているくらいですから、巨人ファンにとってはどれほど溜飲が下がったことか・・・。
そんな原さんの男気と矜持、ジュリーのそれに似ていると思いませんか?

それ以来ずっと、長期に渡り原さんは巨人の監督として指揮をとり続けています。

ともあれ・・・。
え~い、もう観念して賛辞しますよ。

今年の巨人、強かった!
多数の優れた「個」が「個」で終わらず、原監督の采配の元で皆が力を発揮、結集して、他球団は「総合力」で及ぶところがまったく無かった!
第1次原監督辞任の際に確執が噂されていたナベツネさん(あ、言っちゃった)も、原さんの手腕を絶賛!

選手では、去年「期待外れ」と言われ悔しい思いをしたであろう村田選手や、1年浪人してまで我を通し巨人に入団した新人の菅野投手・・・素晴らしい活躍でした。この2選手の今年の活躍は特筆すべきだと思います。頭を下げます。アンチ巨人の陰口を黙らせる結果を残し、実力を証明しましたね・・・。

(でもセ・リーグMVPはバレンティン、新人王は小川ってことで選考委員のみなさま、そこは冷静にヨロシク!)

読売巨人軍、優勝おめでとうございます!

ただし!
プロ野球に詳しくない方々にとっては「?」かもしれませんが・・・”リーグ優勝”と”日本一(=日本シリーズ優勝)”というのは別物なのですよ。
そういう制度が導入されたのは、割と最近のことなんですけどね。

ジュリーの提唱した「巨人包囲網」は空しく破れ、この度巨人は”セントラルリーグ優勝”を果たしました。ひと昔前の制度であれば、巨人はそのままパシフィック・リーグの優勝チームと日本一を賭けて日本シリーズへ進出するところ。しかし現行制度では「リーグ優勝=日本シリーズ進出」とはいきません。
”クライマックス・シリーズ”なる制度が導入されたことにより、「日本シリーズ進出」を賭けてセ・パ両リーグそれぞれの上位成績3チームが改めて戦うことになります。

まず各リーグの2位チームと3位チーム(セ・リーグだと阪神vs広島)が三番勝負(先に2勝したチームが勝ち)を戦い、勝ち抜いたチームが今度は1位チーム(巨人)と七番勝負(先に4勝したチームが勝ち。ただしリーグ優勝チームには1勝のアドバンテージが最初に加算されるので、巨人は3勝すれば勝ち)を戦い、それを制したチームが、パ・リーグのクライマックス・シリーズを勝ち上がってきたチームと「日本シリーズ」を戦うのです。そこで七番勝負を制して初めて”日本一”というわけ。

ですから過去にも、「リーグ優勝していない球団が最終的には日本一」という記録はいくつか例があります。そんなに多くはないですけど。
しかるに、セ・リーグ優勝は夢破れたとはいえ、ジュリーは阪神タイガースの「逆転日本一」を後押しするため、今ツアーのセットリスト後半に「Rock 黄 Wind」を抜擢したのですよ!
(←たぶんね)

これで本当に阪神の日本一が実現し、引退する桧山選手(3代目・代打の神様)に最高の花道を捧げることができたとしたら、「ジュリーの阪神応援歌に敵なし!恐るべきRock 黄 Windパワー」ということで僕は、『Pray』ツアーが終わった後の”セットリストを振り返る”シリーズで、「Rock 黄 Wind」を楽曲考察記事のお題に採り上げます。
今日の原さんの曲の記事は、その日に向けての露払いってトコですよ。そう、露払いです露払い
(←現時点では、完全に負け犬の遠吠え状態)
お楽しみはこれからです!

そんなわけで。
「Rock 黄 Wind」を歌うジュリーの『Pray』ツアーは、11月まで続くのであります・・・「エイ!」「エイエイ!」

それでは、次回更新からは再びザ・タイガース再結成に向けてのセットリスト予想シリーズに戻ります。
お題は・・・そろそろ、かつてメンバー5人が馬に乗って登った富士山でも歌われたという、あの曲を書こうかな。
先日お会いしたJ先輩のP様が「今度はやるでしょ~!」と力強く予想していらしたので、的中自信度は「星4つ」を奮発しようと思っています~。

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2013年9月22日 (日)

ザ・タイガース 「ルーキー・ルーキー」

from『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』
セットリスト的中自信度 ★★★★☆


Soundsincolosseum

disc-1
1. ホンキー・トンク・ウィメン
2. サティスファクション
3. スージーQ
4. アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー
5. ルート66!
6. ドック・オヴ・ザ・ベイ
7. ザ・ビージーズ・メドレー
8. ルーキー・ルーキー
9. コットン・フィールズ
10. 監獄ロック
11. トラベリン・バンド
12. ラレーニア
13. ホワッド・アイ・セイ
disc-2
1. 都会
2. ザ・タイガース・オリジナル・メドレー
3. スマイル・フォー・ミー
4. 散りゆく青春
5. 美しき愛の掟
6. 想い出を胸に
7. ヘイ・ジュテーム
8. エニーバディズ・アンサー
9. ハートブレイカー
10. 素晴しい旅行
11. 怒りの鐘を鳴らせ
12. ラヴ・ラヴ・ラヴ

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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都心ではまだまだ暑さも続きますが、北の大地では既に数日前に初雪を観測しているそうですね。
秋の連休、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

拙ブログでは今回から再び、年末のザ・タイガース再結成に向けての”セットリスト予想”シリーズ記事に戻ります。
この9月22日に更新するということは・・・そう、今日の主役は当然ピー先生。67歳のお誕生日、おめでとうございます!
お祝いと感謝に代えまして、このめでたき日にピーのリード・ヴォーカル・ナンバーの記事を書かせて頂こうと思います。

ジュリーのトークショーやツアー各会場でのMCなどの情報によれば、年末のステージでピーは2曲を歌うことがほぼ決まっているとか・・・。
その2曲とは果たして・・・というのが今回のテーマです。
みなさまはどの曲を予想していらっしゃるでしょうか。
僕はこの点結構自信がありまして、「ヘンリー8世君」「ルーキー・ルーキー」の2曲で決まりではないか、と予想しているのです。

「ヘンリー8世君」については、かなり以前からジュリーが「ドラムは大丈夫」と話していたそうですから、これはもう星5つの鉄板。
残る1曲は「ジャスティン」を推すファンも多いとは思いますが、ジュリーの言う「5人だけで音を出す」という方針から吟味した時、僕の見立てでは「今回は難しいかな」と。
ここはひとつ、『サウンズ・イン・コロシアム』での素晴らしいパフォーマンスを踏まえ、「ルーキー・ルーキー」にセットリスト予想・的中自信度「星4つ」を奮発して、お題に採り上げてみたいと思います。
僭越ながら、伝授!

最初に白状しておきますと、僕はこの「ルーキー・ルーキー」のオリジナル・ヴァージョンについてはまったく語ることができません。タイガースのヴァージョンしか考察できていないのです。
なにせオリジナルを知ったのは2011年になってから。
ピーのファンサイトにお邪魔して、「ピーが歌った曲」のコンテンツからリンク先のPVを観たのが初めてでした。原曲、全然知らなかったんですよ(実は「ジャスティン」についても同様でした。ピーのファンサイトにお邪魔していなかったら、老虎ツアー初日までに曲を予習することは不可能だったと思います)。

ですからこの記事では、『サウンズ・イン・コロシアム』の音源・・・タイガースのカバー・ヴァージョンの「ルーキー・ルーキー」についてのみ採り上げて考察することになります。どうぞご了承くださいませ。

さて、みなさまはザ・タイガースのメンバーのうち、ジュリー以外でどのメンバーのリード・ヴォーカルがお好きですか?
(僕はジュリーファンですのでこういう表現になってしまい申し訳ありません)
それぞれに個性がありますね。

表現力・・・何より「歌」への適性ですとやはりトッポ。
音程や声質の総合力から見ると、シロー。
この二人は、ヴォーカルという役割ではザ・タイガースにおいて「ジュリーとの二枚看板」だったわけですから、当然名前が挙がるでしょう。

では、他メンバーにはどんな特性があるでしょうか。

サリーは、独特の低音をそのまま生かした「雨のレクイエム」のような曲もあれば、高音のニュアンスを持つファンキーな「ハーフ&ハーフ」のような曲もあり、カバー曲に限らずファンの支持も高いですね。
ジュリーもさかんに「いい声してるのに」と、サリーのヴォーカルを切望しているようです。

タローは基本的に「誰の声も邪魔しない」というコーラス特化型の声質ですが、いざリード・ヴォーカルでは、メンバー中最もメロディーへの英語の載せ方がスムーズ。
例えば2011~2012年の老虎ツアーで歌われた「ビコーズ」では、「because I love you♪」の「se」と「I」が、ブレスを挟んでいながらもキチンと繋がっている・・・そんな繊細さがあります。
当時のジュリー含め他メンバーは、英語曲で子音に母音をくっつけて歌ってしまう傾向がありますが、タローはその点自然です。おそらく、自ら好んで充分に聴き込んでいるナンバーを持ち歌に選んでいるからでしょう。

そしてピー。
みなさまのイメージは「底抜けに明るい、楽しい」という感じでしょうか。もちろんそれも大きな魅力としてありますが、見逃してならないのは、ピーのヴォーカルはLIVE適性に秀でている、ということです。

例えば、トッポやシローは音程や声の張り、表現について、LIVEよりもレコーディング音源でその真価を発揮しているように思えます。LIVE音源を聴くと、その実力に若干の乱れ(無論、些細なレベルですが)が生じるようです。
また、(老虎ツアーで僕も実際に生で聴けたからこそ言えますが)サリーやタローは、自身のリード・ヴォーカル曲に際し「恐縮ながら1曲歌わせてもらってます」といった謙遜の雰囲気を漂わせながら、丁寧な歌い方を心がけているのに対し、ピーには「俺の歌を聴けい!」という積極的なオーラがあります。
これはステージ上でのヴォーカリストにとってとても大切な適性で、そうしたオーラは周囲のメンバー(特に演奏において)に好影響をもたらし、曲のグルーヴ感が増します。老虎ツアーの「ジャスティン」の演奏が抜群に素晴らしかったのは、何よりピーの影響で他メンバーまでもが「はっちゃけた」状態になっていることが大きいのです。

そしてもう1点。
ピーのヴォーカル・・・「音程」という点のみについて考えると、どうやら曲との相性がハッキリしているようで。
ピーは元々歌は本職ではありませんから、どうしても「うつろいやすい」メロディーになることも多いです。でもね・・・僕はピーのヴォーカル曲をすべて聴いてはいないと思われますが、幾多聴いた中で言うなら、「ルーキー・ルーキー」の音程の良さは圧倒的です。
特にサビ部

Looky Looky (she's my brand new girl)
         G

Looky Looky (she's my brand new girl)
         D

のロングトーンや、ブレイクでの連続転調部

Long blond hair and pretty eyes so blue
F                                   C

Just the way she holds me in her arms
Cm                                 D7

でそれは顕著です。
ルックス同様、可愛らしく歌えるスタイルの曲に適性があるようですね。ピーはコミカルな発声を意識して歌う方が音を追い易い、ということでしょう。
楽しい時は歌おうよ」をこの発声で歌ったら、完成度がさらに高まりそう。

このピーの音程の適性に、僕は今回改めて『サウンズ・イン・コロシアム』をじっくり聴いて気づいたわけですが・・・。
トッポやシローについて先述したように、LIVEというのは生ならではの良さがある一方で、ヴォーカリストの音程に若干の乱れが生じるのが普通。ただ、ピーはその点に左右されることは無いようです。
これは実はジュリーも同じで、レコーディング音源では「少しフラットしているかな」という曲がLIVE音源だとピタ~ッ!と音程が合っていて、なおかつエモーショナルであるという・・・何度も言いますが、これ普通は逆なんですよ。
少なくとも「音程」についてはレコーディングの方がで出来が良いパターンが当然。こと、現代はね。ほら、太巻さんも言ってたでしょ?「今ならいくらでも修正できるけど」って(でも、鈴鹿さんのあのヴァージョンは現代技術をもってしても修正は不可能だと思う・・・「何テイクか録って、うまく歌えた箇所を繋ぎ合わせる」というのが基本作業ですからね)。
いずれにしろ、ピーが”LIVE向き”の歌い手であると僕は考えています。

こうしたことから推測すると、ピー自身は老虎ツアーでの「ジャスティン」に手応えを持っていて、年末にも今一度あのコール&レスポンスを、という思いはあるんじゃないかな。
何より、ステージ上で表現する立場の人にとって、あの「ジャスティン」の会場の盛り上がりは何物にも代えがたいほどの充実感があったでしょう。ピーが「今年もう一丁!」と考えたとしても、それはごく自然なこと。
ただ、「ジャスティン」は何せドラムスの難易度が高過ぎます。高速で、しかもアクセントが2拍目の裏にある・・・『Pray』ツアー終了から1ケ月でジュリーがドラムス演奏を仕上げてくるのは至難の技です。これはギターについても同様ですけどね。
コール&レスポンスに関しては、僕は「ホワッド・アイ・セイ」のジュリーに期待したいところです。

まぁ逆に言えば、曲によっては鉄人バンドのサポートを仰ぐ、というスタイルが決断されたとすれば(これについては記事の最後に僕の個人的な考えを記します)、「ルーキー・ルーキー」に代えて「ジャスティン」、もしくはピーが3曲歌う可能性も出てくるでしょうね。

ここで「ルーキー・ルーキー」の『サウンズ・イン・コロシアム』の音源に話を戻しますと・・・この曲のドラムスはテンポこそやや速めではありますが、素直なエイト・ビートで演奏は簡単です。「ヘンリー8世君」と比較しても技術的には相当易しいです。
ただ、演奏が易しいからといって『サウンズ・イン・コロシアム』でのジュリーがその分楽していたかと言うとさにあらず。
今回じっくり音源を聴いて驚いたのは、ジュリーのドラムスが意外や(すみませんすみません!)名演であったことです。

もちろんフィルのヴァリエーションや細かいテクニックについては、ピーとは比較になりません。
しかしみなさま、今一度『サウンズ・イン・コロシアム』を取り出し、「ルーキー・ルーキー」と、続く「コットン・フィールズ」2曲それぞれのドラムス演奏を聴き比べてみてください。
音の位置は同じですね。右サイド寄りのミックスになっていますから聴きとり易いですよね。
では、音の大きさはどうですか・・・?

そう、「ルーキー・ルーキー」の方が全然大きいんです。技術的にはピーにまったく及ばないものの、ジュリーのドラムスにはピー以上の「音圧」の魅力があるのですよ!

そしてそれは、ジュリーが「全力」で演奏に臨んでいることの証明でもあります。
実は僕はこれまで、「ジュリーのドラムス」はちょっと・・・と不安があったのですが、ここへきて俄然楽しみになってきました。
「ルーキー・ルーキー」でのジュリーは、「たかたっ、たかたか♪」という2拍のフィル・フレーズがお気に入りみたい。あと、ブレイク直前の「うん、ま~ま~、ぱぱ、うん、ま~ま~♪」の箇所ではフロアタムを思いっきり連打。是非、生で聴いてみたいものです。
タローのリフとサリーのベースの絡みも楽しいですしね~。

ちなみに、優しいJ先輩のご好意のおかげで僕は『サウンズ・イン・コロシアム』の映像についても観ることができています。
映像では、CDではカットされている、「ルーキー・ルーキー」演奏直前のジュリーとピーのMCが収録されていて・・・ずっとドラムセットで他メンバーより高い位置で演奏していたピーがジュリーに、お客さんでいっぱいになったコロシアムの壮観を尋ねられ、(一番遠いところのお客さんまで)「うん、見えた!」とはにかむようにして応えるシーンがあるんですよね。
(その直後、ジュリーはドラムセットに上がって、ピーが「見えた」というその光景を自分も見ることになるわけです)

ジュリーとピー・・・その時、それぞれの心中にはファンの窺い知れない複雑な思いというのは当然ながらあったのでしょう・・・言葉のやりとりにやっぱり多少の「寂しさ」が雰囲気として感じられる中、頑ななオーラを出していた(ように僕には見えます。うがち過ぎでしょうか)ピーが、一瞬見せたその時の笑顔。
何かを抑えて笑っているようにも感じられ、後追いファンの僕ですらグッとくるものがあります。

そんなことも踏まえ、年末には本当に底抜けに楽しい、心からピーのウキウキとしたヴォーカルにシンクロできる「ルーキー・ルーキー」が聴きたい、観たい・・・先輩方の中にもそう考えていらっしゃるかたは多いのではないでしょうか。
期待したいと思います!

最後に。
僕は参加していないので細かなニュアンスは分からないんですけど、『Pray』福岡公演のMCで、ジュリーが年末のバンド・アンサンブルについて少し話してくれたようです。
なんでも、タローがキーボードを担当せず、すべての曲をギター2本のアレンジで何とかしよう、という方向で話が進んでいるとか・・・。僕が先日「ジンジン・バンバン」の記事で書いたアンサンブル予想は、早くも崩れてしまいました~。

加えて、ギターについてはどうも個々の稽古が遅れ気味のようで、参加された先輩のお話では、「ジュリーは腹をくくった」感じらしい・・・。

僕には複雑な思いが残ります。
今日の記事を書いていて特に思うんですが、やっぱりオリジナル・メンバー5人の演奏に徹するなら、稽古充分の「ザ・タイガースの音」・・・その真髄を味わいたい、と考えるのです。

例えば、『サウンズ・イン・コロシアム』の「スペル・オン・ユー」や「美しき愛の掟」のタローのリード・ギター。
最高にシビれます。
「美しき愛の掟」については、「上手さ」で言えば老虎ツアーの柴山さんの方が上。しかし1970年のこのタローのギターは、「これがエキサイティングな”タイガースの音”なんだな、と思わせてくれる素晴らしい演奏です。何より、「寝る間を惜しんで稽古を積み重ねてきた」音であることが、ビンビンと伝わってくるギターなのです。
ジュリーは今回の再結成に向けて、「年輪が音に出る。それが良いんだ」と語っていますね。僕はそこに「稽古は音に出る」ということも加えたい・・・。

『サウンズ・イン・コロシアム』では、もちろんサリーのドラムスやピーのドラムスも素晴らしい。しかしこの時の「美しき愛の掟」は完全にタローのギターが支配している・・・それがジュリーのヴォーカルを煽りたて(ジュリーは本当に、自分が歌っている時のバンドの音に敏感。バンド次第で、楽曲世界の表現がとてつもなく高まるタイプのヴォーカリストなのです)、リフレイン部の一番最後の「とわに君だけを♪」でアドリブのシャウトが思わぬタイミングで繰り出されます。それを受けて今度はタロー自身の最高にカッコ良いエンディング・ソロへとバンド・グルーブが繋がっていきます。
これがザ・タイガースだ!というテイクです。

こうした素晴らしい相乗効果は、やはり各メンバーの充分な稽古と全力の志が生み出すものだと僕は思っています。
年末の再結成のステージでも僕はそこに期待していますが・・・もしも今回、どうしても充分な稽古の時間がとれないようであれば、「全曲5人の演奏」に固執せず、一部の曲はサポート・メンバーの参加を考えても良いんじゃないかなぁ・・・。
そうすれば、「白夜の騎士」「怒りの鐘を鳴らせ」や「十年ロマンス」、そして「ジャスティン」のセットリスト入りに大いに期待が持てますし。

まぁ、これは僕の個人的な考えですから・・・タイガースファンの先輩方におかれましては、反対意見も多くあるでしょう。それは承知しています。
第一、ジュリー達メンバーはもう既にアレンジ・アイデア針や演奏曲順まで固めているかもしれませんからね。
それに・・・結果として、この能書きばかりのヒヨッコのド肝を抜くようなステージを、5人だけで見せつけてくれることになるのかもしれません。
サポートの有無やアレンジについての僕の考えは、あくまで”セットリスト予想”最中の、「全然当たらない」戯言ということでここはひとつ・・・。

とにかく、僕がまだ記事を書いていないタイガース・ナンバーの中にもまだまだ「星3つ」「星4つ」の予想を立てられる曲が多くあることに、今はときめきまくっています。
「花の首飾り」以外で「星5つ」の曲も見つけましたから、このシリーズはそれで〆にしようと考えていますよ~。

それでは、恒例のオマケです!
まずは、Mママ様所有のお宝切抜きから、ジュリーとピーの若虎ショットをどうぞ~。

Img510


Img511

「PEA」って・・・。
まぁ確かにその綴りでも「ピー」とは読めますが。


続きまして、P様所有のお宝切り抜きです。
ピーの英語レッスン編!

Peeenglish1

Peeenglish2

Peeenglish3

Peeenglish4


といったところで。
次回更新は・・・すみません、ザ・タイガースのお題から1度だけ離れます。
「有言実行」をジュリーに学んだ僕としては、悔し涙をこらえてでも書かねばならない曲があるのです・・・。

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2013年9月19日 (木)

2013.9.7渋谷公会堂 沢田研二『Pray』セットリスト&完全レポ

9月19日、ようやく記事が完成しました。例によりまして、記事更新カレンダーの日付を執筆終了日に移動かせて頂きます。
今回のレポはなるべく簡潔に、スピーディーに、と思っていたのですがやっぱりLIVE当日から10日以上もかかってしまいました・・・。みなさまには毎度毎度長々とおつき合い頂きまして、ありがとうございました!

☆    ☆    ☆

9・7渋谷公演、大いに盛り上がってまいりました!

有り難いことに僕は、先月の和光市公演に引き続いての良席を澤會さんより賜りまして・・・10列目センターブロック、いわゆるトチリ席。しかも暴れ放題の上手寄りの通路沿いという、大変恵まれたお席。
もう、年末のザ・タイガース再結成公演の席運は完全に使い果たしてしまいました!

開演前には、自力で年代分別整理ができていなかった若きジュリーのお宝ショットや資料を40点ほど、3人の先輩にご鑑定頂きました。みなさま、さすがの目利きでいらっしゃる・・・衣装や撮影時の服装、髪型などから、ズバリズバリと年代を鑑定されていました。
まぁ、鑑定のお言葉よりも悲鳴や嬌声がメインの状況ではありましたけどね・・・。

貴重なお宝画像は、少しづつでも今後関連するお題記事の際に、ブログで紹介していけたら・・・と考えております。

その時飲んだコーヒーが効いたのか、開演直前のブザーのあたりでトイレに行きたくなり、コソコソと移動してしまいました。そうそう、渋谷公会堂でのジュリー公演時には、1階の入り口右手奥の男性トイレが女性用として開放されるのが今では通例化されているようです。女性ファンのみなさま、並ぶなら右手ですよ~。

ほぼ定刻に照明が落ち、大きな拍手が沸き起こります。
開演!

1曲目「
あなたに今夜はワインをふりかけ

Omoikirikiza

拍手が鳴り止まない中、暗かったステージにパ~ッ!と照明が射す瞬間・・・何度観ても良いものです。
そして軽く手を上げて駆け込んでくるジュリーが視界に入ると、無論会場は総立ち。
その意味で今回のツアーは特に、1曲目のインパクトが強いです。「立て!」と言われているようなものですからね。

さてさて、早くも大盛り上がりの中力強く始まりました「あなたに今夜はワインをふりかけ」。
ジュリー、声の調子はなかなか良さそうです。すべてのセットリスト通して振り返ると、曲によっては時折高音で苦しげな表情になるシーンはありましたが、声がひっくり返るようなことは最後までありませんでした。

今回の10列目センターブロック席、やっぱり最高!
ジュリーが出てきても「うわぁぁぁぁ!」とビビって頭真っ白になるほど至近距離でもなく、でもジュリーや鉄人バンドの表情、細かい動きはハッキリ見てとれる・・・ステージ全体が一望して近くに感じられるのです。メンバーそれぞれの立ち位置とアクションが、ひとつの光景としてダイレクトに視界に飛び込んでくる感じです。

で。
和光市公演の時の自分を、少し後方から見ていたらこんなふうに見えたんだろうな、ということがよ~く分かりました(汗)。
ジュリー、1番Aメロはずっと上手ブロックの最センター寄りの席の前で、目の前のお客さんに向って身体を折り曲げんばかりの姿勢で歌うと決めているようですね~。和光では、決して僕をチェックしに来たわけではなかった、と
(←当たり前です!)

ともあれ、先月はこの「あなたに今夜はワインをふりかけ」1番Aメロでの、あの途方もないオーラと威圧感を僕自身が真正面で受けていたことは確かな記憶としてまだ鮮明に残っていて、今宵の渋谷でターゲットとなった小柄なお姉さまの、戸惑い交じりの至福の数十秒・・・そのお気持ち、手にとるように分かります。

間奏の柴山さん、「じゃらん♪」の部分も弾いている、と和光市レポで触れましたが、この日はそれがひとさし指と中指のスライド奏法であったことも確認できました。下山さんはコード・カッティングでしたね。

エンディングの尺(『Pleasure Pleasure』ツアーと比べるとかなり短くなっています)にも、3度目の体感でようやく慣れてきました。

2曲目「Rock 黄 Wind」

Asuhahareru

僕はこの日の渋谷公演がお盆明け最初の参加会場でしたから、『Pray』ツアーでのこの曲は初体感です。まぁお正月に2度聴けているのですが。
やっぱり、セットリストのツアー途中の入れ替えは刺激的です。まさか「Rock 黄 Wind」が来ることになるとはまったく予想していませんでした。

阪神の方のタイガースですが・・・これはもうジュリーだって長年プロ野球ファンをやっているわけですから、さすがにシーズンの逆転優勝が無理そうだ、とは考えているでしょう。
これはね・・・

セ・リーグのペナントレースとしての優勝はもう巨人で仕方ない、ただし、クライマックス・シリーズを勝ち抜いて日本一になるのは阪神ってことで!

という、祈願のセトリ入りじゃないかなぁ。

先日、3代目”代打の神様”桧山選手が引退を発表しました(初代は川藤選手、2代目は八木選手)。
1985年の優勝以後、成績がふるわず「暗黒の時代」とも言われた頃の阪神タイガースにあって若手として台頭し、ファンがすがるような思いを寄せた桧山選手。「やり尽くした」という感じの爽やかな引退発表でしたが、ただひとつ。
「悔いは残っていないか?」という記者の質問に
「日本一」
と応えたのでした。

そう、阪神はずいぶん日本一から遠ざかっています。
ジュリーの「Rock 黄 Wind」が後押しして(?)、圧倒的な強さでペナントを制した2003年の星野タイガースも、日本シリーズには敗れました。長い間阪神を支えてきた桧山選手も、日本一の美酒は経験していないのです。
何としても、桧山選手を思い残すことなく有終の美をもって送り出したい・・・。

ここはひとつ、クライマックス・シリーズではちょっと苦手意識のある中日さんにはシーズン4位にてご遠慮頂き(はちべー様はじめ、ドラゴンズファンのみなさま申し訳ありません!)、3位は組しやすそうな広島さんにおいで頂き(星のかけら様はじめカープファンのみなさま申し訳ありません!)、最終的にはニックキ読売(この球団については、さん付けもできませんし申し訳ありませんとも言えません、すみません!)と雌雄を決し日本シリーズに進み出て、背番号24に声援を送ろうではありませんか!

・・・という厳粛な思いを持ちつつ、僕は嬉々として「エイ!」「エイエイ!」に参加してきました。

間奏、3番の直前でのジュリーの語りは
「さぁ、和田!さぁ、和田・・・さわだ!」
でございました。
和田現監督も、苦しかった頃のタイガースを桧山選手と共に支えてきた一人。引退する桧山選手のためにもクライマックス・シリーズは・・・!という強い思いは、当然持っていると思います。

お正月には何人かの方が「ちょっとテンポが遅いような気がする」と仰っていたこの曲・・・言われてみますと今回の渋谷では、お正月と比べてずいぶんテンポが速く聴こえたような・・・。気のせいかなぁ。


3曲目「ハートの青さなら 空にさえ負けない

Atarasiiomoide

ジュリー、最初のコーラス部の時点でクイッ、クイッとネクタイを緩めます。汗で喉元がテカっています。暑そうです!
アンコール前のMCで最近の気候に触れ
「だいぶん涼しくなってきて・・・今日も最初の3曲くらいまでは、おぉさすがに違うな!と感じたんですが、次第に「全然(暑さは)変わらんやないかい!」と思った」
と言っていました。
僕が10列目から観ていた感触だと、「やっぱり暑いな~」とジュリーが改めて意識したのは、この曲からだったんじゃないかな。

和光市公演と比較すると、例の”腰クイッ→右腕ブン回し”アクションは控え目だったでしょうか。それでも、1番下手、2番上手でのキメポーズには大きなインパクトがあり、お客さんも沸きます。

この日は最前列上手ブロック、センターから数えて3、4人目くらいのお席に、周囲のお客さんより頭ひとつ背の高いロマンスグレーのおじさまがいらして、ジュリーはそのおじさまが気になったみたい。渋谷って、お客さんの振り付けとか拍手とかが異常なくらい合ってるから、違う感じでノッている人が最前列にいると(ジュリーから見て)目立つのでしょうか。「勝手にしやがれ」や「TOKIO」での様子を見ていると、そのおじさまは終始手拍子での鑑賞でした。ジュリーとしては「おっ!初めてですか?」みたいな感触だったのかもしれません。
おじさまへの最初のアピールは、この曲の聴かせどころのひとつ・・・「Wowaah、Wowaah♪」(最近ファルセット気味に歌っている箇所)を歌いながら真正面から見つめた時だったかな。
その後もジュリーは、何度かこのおじさまへのアピール・シーンを見せてくれました。一番凄かったのは「A・C・B」でしたがそのお話はまた後ほど。

あとね、2番の”腰クイッ→腕ブン回し”直前に大変なことが起こった!てか、ジュリーファンならではの”勘違い舞い上がり”パターンではあるんですけど。
2番のあの箇所、今ツアーのジュリーは(僕が観た限り)必ず下手側でやります。この日もそのキメのシーンに向け、俊敏な足どりで下手端の方まで歩いていったジュリー・・・僕も含め、ほとんどのお客さんが「腰クイッ」を待ち構えていると、その直前の
「僕たちの行く未来に♪」
のトコで、突然クルリと向き直って「ビシ~~~ッ!」と僕の席のあたりを指差したのですよ!
いや、決して僕を狙ったわけではないでしょうけど、僕の周囲半径5メートルくらいのお客さん全員が間違いなく「うわっ、あたしだ!」と思って飛び上がったんじゃないかな(笑)。

で、その後の「何が待ってても♪」で通常の腰クイッ!へ移行。
いやいや、僕は男だからまぁ大丈夫ですけど、センターブロック上手寄りから上手ブロックセンター寄り付近のトチリ席にいらしたお姉さま方・・・ジュリーに「僕たちの行く未来」な~んて指差されて、その後ご無事だったでしょうか・・・?

~MC~

「『Pray』、2回目の渋谷公会堂です。お天気の悪い中を(註:この日は雨こそ降っていませんでしたが、どんよりとした曇り空でした)、このような涼しいところへ(笑)ようこそお越しくださいました!」

ひとまずの挨拶に続いて、今ツアー定番となっております年金のお話をこの日も・・・。

「6月25日をもちまして、65才になりました。前期・高齢者でございます(笑)。基礎年金も受け取りました。厚生年金は、収入が多いのでまだ頂けません。いつになったら頂けるのでしょうか・・・まぁ、別に頂かなくとも大丈夫でございますが(笑)」

「本当にたくさんのお客様・・・ありがとうございます!」
と三方にお辞儀の後
「それでは、鉄人バンド共々、張り切って参ります!」

4曲目「カサブランカ・ダンディー」

Royal

お正月からこの曲をずっと観てきて、ジュリーの霧吹きのタイミングがキチンと決められていることに今さらながら気づく次第・・・お恥ずかしい。タイムリーでこの曲が大ヒットしていた頃と同じ箇所でやってるんですっけ?後追いファンの僕はその辺りが・・・。
イントロで「ぶあ~っ!」と豪快に吹いた後、「つ~っ!」と歯の間から出すサービス(?)がいつもながら見事です。LIVE翌日夜、どんな具合になってるのかな、と僕も風呂場で試しにやってみましたが全然できませんでした
(←アホ)

さて間奏。和光市では、目の前にせり出してきた柴山さんを見ればよいものやら、ジュリーの霧吹きを見ればよいものやら大変困ったものでしたが・・・こういう時トチリ席は素晴らしい!ステージを一番程よい近さから一望できるのですね。
下手から下山さん、ジュリー、柴山さんと横一列のような感じで楽しむことができました。記憶が曖昧なのですが、この時は下山さんも定位置より少し前に出てきているんでしたっけ?

ただ・・・僕の席からだと、鉄人バンドの中で唯一GRACE姉さんだけが、ジュリーが定位置にいる時には隠れてしまっていました。サビ部でのハイハット・ペダルのエイトビートを見たかったんですけどね・・・。

サビ部と言えば、ジュリーは多少高音に苦労している表情(「あんだの時代♪」の「だい♪」の時には顔を上げて眉間に力を込めての渾身のヴォーカルでした)も見受けられましたが、初日のように声を裏返るようなことはなく、かえって迫力が増しているように聴こえましたね!

5曲目「勝手にしやがれ

Omoikirikiza

和光市では壁塗りが高速ワイパーなどの変則ヴァージョンが炸裂していましたが、この日は正調ヴァージョンで攻めてきたジュリーです。う~ん、これは会場で変化するのか、それともジュリーの気分なのか・・・。ともあれ、ジュリーと渋谷のお客さんの揃いまくった振りが、見ていてとても楽しいのです。
一方で、僕もそろそろ参加組に復帰しようか、などと考えてしまいます。『Pleasure Pleasure』ツアーでは普通にやってたし・・・見る方に回ったのは、いつからだったのかな。

GRACE姉さんの情熱のラテン・パーカッションがジュリーに隠れて見えなかったのは残念。
あと、腕を舞わせるジュリーの右手に黄色いリストバンド。リストバンドに最初に目が留まったのはこの曲の時でした(遅っ!)。

6曲目「”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

ジュリーはイントロが始まったタイミングで、ハンドマイクに持ち替えジャケットをスタンドにかけます。
セクシー・イヴは上手ブロックで軽めにスッと。
「ほみたい、うん!」のキバリ拳は、派手ではなかったもののすべての箇所で披露してくれました。今考えると、和光市での最後の最後のあの悪戯っぽい寸止めポーズは何だったんだろ・・・?

で、この曲で「あれっ?」と思ったのが間奏の柴山さん。もちろん最高にカッコいいソロだったんですが、定位置で弾いてたんですよね。これって、普段からそうですっけ・・・?
和光市では、僕は柴山さんの下半身のイメージ(膝から下で足踏みするようなアクション)が強烈に残っているんです。すごく近くで見えた感覚だったので、和光市のレポでは「せりだしていた」と書いたはずですが、あの時はなにせ最前列でしたからね・・・柴山さんが定位置でもそこまで見えたのかもしれない。記憶がハッキリしなくなってきました。それとも、会場によってせり出す時と定位置の時があるのでしょうか。
初日についてはもうその点全然覚えてないですし・・・。

とにかく、この日の席からですと、定位置の柴山さんは靴先までは見えません。ほとんどフレットを見ずに弾く、軽やかな上半身をガン見いたしました。
間奏の最後の2小節は、アドリブの高速フレーズでしたね!元々のフレーズも結構な速弾きですが、それとは違う演奏になっていました。この日の柴山さんは、他の曲でもアドリブが多かったです。

この曲の下山さんのコーラスにも、今ツアー初めて注目してみました。本当だ・・・噂通り、マイク食べちゃいそうな勢いでしたね。

7曲目「サムライ

Omoikirikiza

この曲、お正月から今ツアーに引き続いて、なんだか凄く進化していませんか?
僕がその魅力に気づいたのが遅かっただけでしょうか・・・。

思えば今年お正月の『燃えろ東京スワローズ』初日、僕は最後のサビでジュリーがハラリとジャケットを床に落としたシーンを良い意味でのアクシデントだと勘違いし、「凄いカッコイイ偶然があってね~!」などと騒ぎ立ててしまいました。
すぐに周囲から「百戦錬磨のジュリーを分かっていない!」とお叱りを受け、今に至る・・・無論今回の渋谷でもジャケットプレイは炸裂。
この曲は最後にサビのリフレインがありますが、その1回目の「背中に人生を♪」で左肩のジャケットを落とし、続くリフレインの「片手に、ピストル♪」は左手を使っての変則アクション。いやはやこれだけのことを完全認識するのに、僕はえらく時間がかかったものです。

お正月初日のレポでは、最後の「片手に、ピストル♪」で腕を上げた時にジャケットが落ちた、と書いていますがそれも自信無くなった・・・これまでずっと「背中に人生を♪」での所作だったのかな。ジュリーはそういうタイミングにこだわりがありそうですし・・・。
ともあれ、僕が参加した最近の2公演・・・和光市も渋谷も、まったく同じタイミングでの華麗なジャケット落としでございました。

細かい動きでは、和光市との違いも見られました。「心に花束♪」から「唇に火の酒♪」への移動過程ですとか。
もう、何度でも近くで観たい曲。それが今ツアーの「サムライ」です。
同じようにお感じのファンもきっと多いのでは?今のジュリーの「サムライ」は神がかっていますよ!

もちろんヴォーカルもね・・・これまでのレポでは「新曲になるといきなり声が伸びやかに」といった感じのことを書いてきましたけど、訂正します。今回のセットリストで、ジュリーの声に神がかった変化が手にとるように伝わってくるのは、この7曲目「サムライ」からではないでしょうか。

鉄人バンドの演奏も、いよいよもって素晴らしい!
柴山さんのなめらかな突き放しから、下山さんの繊細かつサムライ的なガツン!としたカッティング。
あと、この日は面白い光景に気がつきました。

2番のサビ「部屋から~♪」のあたりで、一瞬泰輝さんが向かって左側のキーボードに手を伸ばしたように見えたんです。今回泰輝さんはキーボード3台体制で臨んでいて、僕はまだ「3台目」の活躍の場を見つけられずにいます(次回大宮では必ず発見する!と決意を新たにしているところです)。
で、その時は
「おおっ、サムライで3台目を使っていたのか!」
と注視したのですが・・・あれっ、別段変わった音色は出していないぞ・・・何だ?
よ~く見てみますと、泰輝さんは右の肩をキーボードの右端スレスレのところにまで下げ、顔までもが鍵盤にくっつきそうなくらいに、右前傾姿勢に傾いていたというわけですよ!
これが噂に聞く、「気持ちがグッと入ってきた時に見せる泰輝さんのクセ」に違いありません。
和光市公演の「あなたへの愛」でも「これがそうかな?」と思うシーンがあってレポにもそう書いたんですけど、いやいや渋谷でのこの「サムライ」2番の傾きは半端ではありませんでした。
例えば2階席からだと、キーボードに右半身を乗っけて音を出してるんじゃないか、なんてふうに見えたかもしれません。そのくらい傾いてた!

きっとGRACE姉さんは、「お~、やっとるやっとる!」と思いながらそんな泰輝さんを見ていたでしょうね。


(追記)
お正月はやはり最後の「片手に、ピストル♪」の箇所でのジャケット落としだったそうです。
そして、今ツアーでも先の福岡公演でそのパターンが復活したとのこと・・・さぁ、今後どうなるでしょう。次回参加の大宮公演の「サムライ」が一層楽しみになってきました!

~MC~

「みなさまにも、多少は耳馴染みのある(笑)、シット曲をお送りいたしました。(シット曲は)他にもまだまだございますが、今日はこの辺で勘弁・・・(「勘弁しといたる」的な強気の言葉だったのか、「勘弁してください」的な懇願の言葉だったのか、よく聞き取れませんでしたが、お客さんは大ウケでございました)」

「それでは今度は、新曲をやります(拍手)。東日本大震災被災地への祈りをテーマに、鉄人バンドのメンバーに(と、バンドメンバーに手をかざします)1曲ずつ曲を書いて貰い、それに僕が詞をつけました。すべての被災地に、祈りを込めて歌います」

大きな拍手の中、泰輝さんのキーボードと下山さんのギターが始まります。

8曲目「Uncle Donald

Pray

今回の『Pray』ツアー、僕は1ケ月に1度の参加でスケジュールを組みました。
そのおかげで、現在『東京新聞』に毎月第1週の週末に連載で1面掲載が続いている『ドナルド・キーンの東京下町日記』を、毎月参加するジュリーの『Pray』ツアーのレポートで、みなさまにタイミング良くご紹介することができています。

「Uncle Donald」の歌詞でジュリーが切望した「あなたの言葉の続き」・・・ドナルドおじさんの今月の言葉を、まずはどうぞ。

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2013年9月8日『東京新聞』朝刊1面より


「時間を厭わない。遂げる日まで」
「粘り切り拓ける。時は味方」
別の曲の歌詞だけど・・・ドナルドおじさんの言葉に、そんな思いを読み取ってしまうのは僕だけでしょうか。

さて、和光市では見逃してしまった、下山さんのこの曲の前のセッティングの様子ですが・・・さすがは10列目ですねぇ、今回もMCとなると完全にジュリーばかりに注目していたのに、左隅の怪しげな動きは自然に視界に飛び込んできたのでした。
アコギのスタンドは、「サムライ」が終わってジュリーがしゃべり始める、その前の段階で「ず~ん!」と運ばれてきていましたね。

演奏が始まると、やっぱり注目してしまうのは下山さん。はじめは「どんなふうに持ち替えているのかな」という点に興味を持っていたのですが・・・すぐさま、そのアコギの音色と演奏の素晴らしさにただただ見惚れてしまいました。いやぁ細かい!
「忘れちゃいけない♪」の「D→E」の箇所は、「D」のローコード・フォームからそのまま4フレットにスライドするんです。でも、同進行の「3・11♪」では「E」はローコード。
これは、その次に来るコードが「F#m」であるか「A」であるかによって弾き分けているのだと思います。
こういうシーンを見せられると、サビのクリシェのアコギを下山さんがどんなふうに弾くのか知りたくて仕方ない!
でも、それは今回の鉄人バンドの演奏態勢では叶わないのですね・・・。仕方ありません。

CDではフェイド・アウトのこの曲、LIVEヴァージョンのエンディングもすっかり耳に馴染んできました。
楽器の音が消えてから少しの間残る、ジュリーと鉄人バンドのコーラスが美しいですね~。

そうそう、コーラスと言えばこの日の「Uncle Donalld」では、ジュリーと柴山さんがてんで違う歌詞を歌ってしまった箇所がありましたね。
見ている側としてはそんな時「あっ!」と思ってしまうのですが、慌てず騒がず、微動だにせず「絆は、絆は♪」と高音でハモる柴山さん、凛々しかったです。

9曲目「Fridays Voice

Pray

やっぱりこの曲のヴォーカルは今のジュリーの声質、声域にピッタリだと思います。説得力だけではない・・・そのテーマ性は何も難しいことではなく、シンプルに伝わってくるものがあります。

1番が終わって、泰輝さんのピアノとユニゾンする柴山さんのリード・ギターに感動。
楽曲考察記事に書いたように、柴山さんの奏でるフレーズはギター特有の運指により、泰輝さんのフレーズよりも音数が多くなっています。その流れるようなハンマリングは、最早トリル奏法かと見まごうほどの華麗な指さばきです。
そして2番に入るとエイトビートの武骨なバッキング。変幻自在の小さな巨人。素晴らしい!

あとは、毎回触れますがGRACE姉さんのドラムス。
エンディング・コーラスが「Fridays、 Fridays」に変わった直後の”鬼姫ロール”は目立ちますからみなさまも自然と耳を奪われることでしょう。でも僕はその次の
「つたん、つたん、つたん、つたん!」
という、スネア裏打ちを矢継ぎ早に繰り出すフィルが最高にカッコイイと思います。GRACE姉さんの頭の中で、エイトビートのバラードがこの瞬間だけ、16分音符で構成された3連符に転換されているのが、このフィル・アイデアの秘密。粘り強さ、激しさ、決意の高まりなどを表したものでしょう。
CD音源でも同じ演奏になっていますので、是非是非注意して聴いてみてください。

10曲目「Deep Love

Pray

この曲のジュリーのヴォーカル、今ツアー3度聴いていますが・・・その度に打ちのめされます。いくら言葉を尽くしても、こればかりは実際に生で体感しないと伝えられないと思う・・・。それは「Fridays Voice」や「Pray~神の与え賜いし」についても同様ですが、やっぱり「Deep Love」は特に凄いと毎回感じます。
単に「悲しい」とかそういうことではないのです。歌にしか出来ない表現がある、ということだと思います。

「髪一本を見つけたい」のロングトーン。ジュリーはハッキリと、決死の覚悟で声を伸ばしているのが分かる・・・でもそれは、慟哭の表現を押し付けるようなものではありません。瑞々しく邪気の無い、ただ身体ごと心ごと「歌」に入り込む自然体のジュリー。
一昨年の『3月8日の雲』リリースに際してのジュリーの言葉、「これが僕の気持ちだもの」の意味がよく分かる、そんなヴォーカルじゃないかなぁ。

またこの日は、柴山さんの間奏が凄くて。
ゆっくりとステージ前方にせり出しての渾身のソロ。フレーズも変えてきていました。2回し目の「Fmaj7」からは一層激しく狂おしく、そしてジュリーのヴォーカル同様に瑞々しい速弾きかつメロディアスなフレーズへ。速いだけじゃない、メロディアスなのです!
本当に素晴らしかった・・・後で聞くところによれば、あまりの素晴らしさに、ステージ上の柴山さんから1階最後方席に向けて、真っ直ぐな白い橋がかかっていたんだとか(笑)。いや、でもそれ、僕にもちょっと見えたような気がした・・・そのくらい素晴らしかったということです。

僕は何故だか柴山さんの新曲でのソロ・パートについて、「Deep Love」は定位置でのソロ、「Pray~神の与え賜いし」がせり出してのソロ、と開演前に思い込んでいました。実際は逆です。
終演後にお会いしたしょあ様(白い橋の終着点のお席で参加)に「柴山さん、Deep Loveではいつも前に出てくるんでしたっけ?」と確認してしまいました。これまでの2公演で一体何を記憶してきたのか、DYNAMITE。

で、進化する鉄人バンドの演奏、おそるべし!
この曲はCD音源でも、間奏が終わってジュリーの「薄情になんてなれない」のヴォーカル部まで、リード・ギターの音が残っています。
しかし定位置に歩み戻ったこの日の柴山さん、その最後の最後の1音をさらに粘って粘って、音が切れそうになったら何とフィードバック奏法まで繰り出して感情と演奏を持続させ、次のジュリーのロングトーン「涙を瓶に集めたい」直後の官能、慟哭のフレーズにまで、ひと塊のギター・ソロとして繋げていました。
それは、ジュリーのヴォーカルと奇跡のように絡み合った、今ツアー初めて魅せてくれた(というか僕が初めてそれに気づいた)柴山さん入魂のギター。

「集めたい」の後のリード・ギターは、CDでは左サイドにミックスされていることから、レコーディングでは下山さんが弾いているのでは・・・と今でも思ってはいるのですが、LIVEではこの箇所も柴山さんの担当。考えてみれば、この曲の生演奏・・・「どちらが弾くのか」ということも含め事前に見所として挙げていたこの箇所、しっかり確認したのは3度目の参加となるこの日の渋谷が初めてでした。
最後の『Pray』ツアー参加となる大宮でも、この曲の柴山さんに是非注目したいと思います。

ともかく、柴山さんの中でこの曲の”間奏リード・ギター”は決してミドル・エイトだけではなく、ジュリーのヴォーカルが後に続く、「集めたい」のロングトーンの部分まで途切れることなく表現として繋がっているのだ、ということを確認させられた、渋谷の「Deep Love」でした。

11曲目「Pray~神の与え賜いし

Pray_2

和光市最前列ではハッキリと聴こえた、GRACE姉さんの鉄琴を使ってのコーラス隊音合わせと、マレット・カウント。渋谷10列目でも、微かな音量ながら聴き取ることができました。

さて、この鉄琴。
僕はこれまでのレポで「ヴィ
ブラフォン」という名称で書いてきましたが、例の高槻公演での「ヤマトより愛をこめて」アンプラグド・ヴァージョンの話題に絡んで、ジュリーはハッキリ「グロッケン」と言ったそうです。
不勉強なDYNAMITEはここで初めて、「グロッケンとビブラフォンって、どういうふうに違うんだろ?そもそも両方鉄琴なのか?」と思い立ち、ちょっと調べてみました。

手元の『実用・音楽用語事典』という本でまず「鉄琴」を引いたら、ただ1行

「→グロッケンシュピール」

と書いてあります。
そこで「グロッケンシュピール」を引くと・・・

Tekkin1
Tekkin2

どうやら、「グロッケン」とは「グロッケンシュピール」の略称であり、「鉄琴」とはイコールのようですね。

一方、ヴィブラフォンは・・・。

Tekkin3

なるほど・・・これはいわゆる「鉄琴」とはまた違う別の楽器のようですね。

ちなみに・・・話が逸れますけど、みなさまは「鉄琴」と言われてどんな形状のものを真っ先に連想しますか?
僕はブラスバンドをやっていたせいもあって、マーチングバンドで使う、縦に持つ軽量のタイプ(先の事典に説明がある「ベルリラ」というヤツですね)を思い浮かべてしまいます。

卒業した小学校で、毎週土曜日の朝礼の後に全校生徒が校庭内を練り歩く慣わしがあって、毎年6年生の中からマーチングバンドが選出結成され、行進を先導していました。バンドメンバーは音楽の先生が生徒の適性を見て、生徒は否応なく担当パートを割り振られて選ばれます。
バンドの先頭は総指揮(男子)。続いて大太鼓(男子)。その後ろから隊列は3人並びとなり、中央にシンバル(男子)。左右2人が鉄琴(女子)です。
で、鉄琴の2人は必ず背の高い女子が選ばれていました。楽器の適性だけではなく、身長も選出のポイントだったようです。

ですから僕は今でも「鉄琴」と言うと「マーチングバンドにおける女子の花形」というイメージがあります。
GRACE姉さんはそのイメージにピッタリです。大太鼓ではありません。鉄琴です!

蛇足ですが隊列はその後ろが小太鼓隊(男女各3人の6名体制)で、まぁその中に僕がいたわけです。
そのままずっとドラムだけに邁進しても良かったなぁ、と思うことが時々あります。僕は楽器については本当に浮気性でした・・・。

おっと、関係ない話を長々とすみません。
この日のジュリーのヴォーカルも、これまで通り・・・いや、これまで以上に神々しく、透き通っていました。正に「祈り」です。そして、「Deep Love」の哀しみがス~ッと浄化されていくような感覚・・・改めて、今セットリストでの新譜4曲の演奏順に感激。

そして、この曲も柴山さんの間奏が凄かったな~。
定位置で弾いていたんですけど、音以上にその表情が印象に残りました。何度も口を開き、GRACE姉さんのドラムスと下山さんの激しいユニゾン・リズム、泰輝さんのオルガンに身を預けながらの、恍惚と情熱のギターソロ。そうかと思えば歯軋りするように顔を歪めたり・・・。曲想重視の職人技、かつ職人顔です!
穏やかなメロディーを擁するこの曲も、間奏だけは昨年の「3月8日の雲」のようなギリギリとしたやるせなさ、憤りを感じさせます。それは鉄人バンド渾身のアレンジと言えますし、それがLIVEではCD音源以上の迫力をもって再現されているのです。

実はちょうどこの項を書いている9月12日午後、職場でかかっていたNACK5のラジオのCMで、突然この「Pray~神の与え賜いし」が流れたんです。
「神の与え賜いし・・・苦難ならば」
と。
大宮公演のCMでした。
CD音源のこの曲をラジオでワンフレーズ聴くだけでも素晴らしいと思うのは、僕がジュリーファンだからということも確かにあるでしょうが・・・ホント、多くの人に生でこのヴォーカルとジュリーの志を聴いて欲しい!と強く思った次第です。

それにしても、仕事仲間が周囲にいる場でふいにラジオでジュリーの新曲がかかると、何故か照れてしまう・・・何故だ?

12曲目「溢れる涙」

Hello

この曲はツアーが終わったら考察記事を書く予定なんですが・・・その構成のレベルの高さに改めてビビっているところです。ちょっと、マトモな採譜までは出来そうにない・・・一応頑張りますけどね。
だって、和光市公演に続いて、この日もギタリスト二人の演奏がバッチリ見えるお席で鑑賞できたと言うのに、もう「あれ?あれ?今何のコード押さえた?」みたいな状態でして。予想もしないトリッキーな進行をするんです。CD音源からキーが1音下げられているせいもあるけど、僕のレベルでは全然追いつけない・・・本当に緻密、大胆、凝りまくった曲なんですよね。

イントロをはじめ数か所でギター兄弟によるリード・ギターのハモリがありますが、その他の箇所では下山さんは基本的に4弦から6弦を使っての演奏。印象的なリフを担うと共に、低音でリズムをリードしている感じです。
一方柴山さんはクールなコード弾きが多いです。Aメロでは
「ちゅく、ちゃ~ん♪」
と弾いてます。「ちゅく♪」がブラッシング、「ちゃ~ん♪」が和音です。
あと、間奏では泰輝さんのエレクトリック・ピアノ・ソロにスポットが当てられます。この照明パターンは決まっているみたい。

なめらかなジュリーのヴォーカル。
渋谷ではサビ部が印象に残ったなぁ。「Cry of Love」のロングトーンが、「Deep Love」のそれとどう違うのか説明が難しいんですけど、まったく違った表現になっているんですね。「溢れる涙」の場合は「涙色の空」に近いヴォーカルなのではないか、と僕は思っています。
「Love」の「ve」をハッキリ発音するのがジュリーらしさ。この日もたっぷり堪能いたしました。

13曲目「greenboy

Greenboy
今ツアー、初日からジュリーのヴォーカルがどんどん進化しているなぁ、どんどん凄くなってくなぁ、と僕が感じているのは(新譜4曲は当然として)、まず「サムライ」。そしてこの「greenboy」です。
決して歌い易い音域の曲ではないはずです。にもかかわらず「きれいな大人夢見てた♪」ですとか「空から落ちるように年をとる♪」といった、かなりの高音から急上昇、或いは急降下するメロディーを、魔法のように自然に、力強く繰り出すジュリーのヴォーカル・・・やっぱりジュリーは「自分の言葉で」歌う曲、自分の人生や考え方をストレートに投影させた曲について、歌う術を知り尽くしているのではないでしょうか。

下手側で、ほんの一瞬だけ歌詞に詰まった後で歌った「覗いてみてやれ」の”覗き穴(?)ポーズ”がキュートでした。グリグリ、と念入りにやっていましたね。

「greenboy」は、過去に僕が記事を書いた時点での考察が甘過ぎた、と自分で恥ずかしく考えている曲の代表例。
僕は、ジュリー自作詞の「風」というフレーズに爽やかなイメージを持っていました(「いい風よ吹け」や「風にそよいで」など)。だからこそ昨年の「3月8日の雲」で歌われた「そよ風に疼きます」が大変な衝撃でもあったわけですが・・・「greenboy」に登場する歌詞「風に向かって」の「風」は、ジュリーにとってどんな「風」なのでしょうか。
リリースした時のイメージと、2013年の今歌っているそれとでは、変わってきているのかなぁ・・・。

14曲目「若者よ

Namidairo

初日フォーラム、先月の和光市と比べても・・・本当にお客さんの一体感、と言うかフリの揃い方が凄い渋谷公会堂。この「若者よ」ではほとんどのみなさまが見事に拳突き上げと手拍子の切り替えを合わせてくるという・・・。
サビ部で会場一体となってのピッタリ揃った拳突き上げは、なかなか凄い光景ですね。こういうのは渋谷ならではです。

柴山さんの間奏、この曲でもアドリブ入れてきました。初日もそうだったんですけど、あの時は「咄嗟に」。この日は計算ずく・・・かな。
あと、柴山さんはこの曲も間奏でステージ前方にせり出してませんか・・・しょあ様?

泰輝さんが渋いエレクトリック・ピアノを弾いていますね。ひょっとしたらこれが「Uncle Donald」と同じ音色かな・・・。これまでのレポでは、「Uncle Donald」と「「溢れる涙」のオルガンが同じ音色かも、と書いてきましたが・・・「溢れる涙」はこの日、もっとキラキラしている感じを受けたので、全然違う設定なのかもしれません。

15曲目「ROCK'N ROLL MARCH」

Rocknrollmarch

GRACE姉さんのドラム・ソロに加え、この日も泰輝さんが頭拍4つ打ちの手拍子を煽ってスタート。

『ロックジェット』53号で佐藤睦さんが今ツアーのセットリストについて、新譜4曲を挟んで「動くジュリー」から「走るジュリー」への明かなスイッチの切り替わりを感じたと書いていらっしゃいました。なるほど・・・前半のロック・ショーと後半のロック・ショーでは何か受ける感じが違うとは思っていましたが、これまで僕はうまく説明できていませんでした。「動く」と「走る」の違いか~!

ジュリーの中では「greenboy」がフックになっていると思うけど、お客さんからすると、「若者よ」から間髪入れず繰り出されるこのロックンロール・ナンバーで「さぁ、ジュリーが走り始めるぞ!」と覚悟(?)する構成と言えるのではないでしょうか。
それにしても、会場一糸乱れぬ「ヘイ、ヘイ、ヘイ!」のレスポンス。さすがは渋谷公会堂です。

16曲目「A.C.B」

Kitarubeki

「ハートの青さなら 空にさえ負けない」の項で、最前列にロマンスグレーのおじさまがいらして、ジュリーの猛アピールをさかんに受けていたと書きましたが、それがピークに達したのがこの「A.C.B」でした。

まずは手慣らしとばかりに上手で地図を描きます。和光市では上手ブロックのセンター寄りギリギリ(つまりその時の僕の席の真ん前)で”A.C.B道案内”をしていたジュリーですが、この日はそのおじさまに何か仕込みたかったのか、さらに奥までの進出となりました。
その後も曲のポイントポイントでアピールを重ね、遂に
「君たち関西?初めてでしょう?」
と、おじさまに向かって「初めてですかね~?」と露骨に尋ねる仕草を入れてきました!
おじさまとしては、それがどれほどの僥倖であるかすら分からなかったかもしれませんが・・・とても羨ましいシーンでしたね。

この日は、Aメロひと回し目で足を拡げ大きく振りかぶって頭上手拍子を煽る柴山さんの姿もハッキリ見ることができました。手拍子はノーマルな裏打ちパターンですが、いやいや噂通りの激しさです。
柴山さんのSG、両手を離しても以前のように「でろ~ん」となっていませんね。ひょっとして足を拡げることでネックの傾きを防ぐ、という新技を開発したとか・・・?

17曲目「愛まで待てない」

Aimadematenai

そして、「走るジュリー」の真髄。
後のMCでは
「周りから見たら歩いているように見えるかもしれないけど、本人としては走ってるつもり」
なんて(あくまでも)日常生活のお話もありましたが・・・「愛まで待てない」のジュリーは「走る」という言葉すらをも凌駕しているような。

ステージ下手側の見せ場は、歌いだしの直前、お客さんばかりでなく下山さんまで挑発するような”その場駆け足”。
上手側の見せ場は、「カラダが加速してる♪」での”二の腕大車輪”
いずれも「走る」以上の疾走アクション。そこまでしなくていいのに、ジュリーは「これまで以上に」「昨日以上に」という感じで、全力全開でやってしまうんですよね。
”「愛まで待てない」が加速している”・・・これは、リスペクトするJ先輩が『秋の大運動会~涙色の空』のツアー終盤でズバリこの曲の核心を突いた時のお言葉ですが、今ツアーにおいてもそれは当てはまりそうです。

「走るジュリー」と言えば、かつてこのような雑誌記事があったことを最近初めて知りました。

Img92

Img93


(Mママ様ありがとうございます!)

後追いファンの僕はタイムリーな時代認識がまるで無いですから、この記事タイトルを見て・・・「走れ、ジョリィ!」をもじったのかな、とトンチンカンなことを考えましたが、調べてみたらこれは『名犬ジョリィ』放映よりもずいぶん前の記事のようですね(汗)。
それにしても、まさか40年経ってもステージで走り回るジュリーが見られるとは・・・この記事の時点で一体どれほどのジュリーファンが予想できたでしょうか。

この日の「ダーリン・ユー!」の指差しは、遠く2階席を狙っているような感じに見えました。その度に、会場全体から凄まじい悲鳴が上がっていましたね~。
サビ部でのお客さんの頭打ち手拍子もキレイに揃い、曲のスピードに拍車がかかった渋谷の「愛まで待てない」でした。

18曲目「TOKIO

Tokio

柴山さんの神技”「愛まで待てない」の最後に飛び上がって着地した瞬間が「TOKIO」のイントロ1拍目”攻撃
(長い技名ですみません)はこの日も豪快に炸裂。
これ、素人には到底マネできませんよ。「愛まで待てない」「TOKIO」いずれもアップテンポの曲想とは言え、リズムも速さも全然違う曲なんですから。
おそらく柴山さんはもう、「TOKIO」のテンポが身体に完全に刻み込まれているのではないでしょうか。

S.E.部のジュリーのアクション・・・この日は和光市公演と違って、あまり空手っぽくはなかったなぁ。
剣を受けるような動きもあったから、植芝流の合気道?いや、特にジャンルにこだわらないジュリー独自の体操表現でしょうか。

ラストのサビ直前の”正拳突き連打→最後の一打を自分の顔に当てる”アクションはどうやら定番化したようです。和光市公演と違ったのは、この日はちゃんと声が拾われるようにマイクを構えて
あちょお~~~~っ!!
と絶叫していたこと。
和光市ではその部分のシャウトがオフマイクでしたから前方席のお客さんだけ得をしたような感じでしたが、渋谷ではジュリーの雄叫びが会場の隅々にまで届けられたことでしょう。

19曲目「
君をのせて

Acollection

和光市の最前列では、ジュリーの向こう側を遠慮がちにチラリチラリとチェックしていた下山さんのアコギを、この日はガン見。毎度のことながら、本当に美しいフォーム移動です。
「おおっ!」と思ったのは、「粋な粋な歌を歌い~♪」の「歌い♪」の箇所に登場する「B♭」を、直前の「F」の1フレットのフォームからス~ッと移動して6フレットのローコードで弾いたシーンです。これは今回初めて気がつきました。『歌門来福』で観た「
スマイル・フォー・ミー」や、『ジュリー祭り』第2部の鉄人バンドのインストにも共通する、いかにも下山さんらしいフォーム移動だと思いました。
あと、「皮の靴をはいて♪」の直後に、1拍ずつの細かいコード・チェンジがあった!更なるスコアの復習、研究の必要がありそうです。

間奏での会場の拍手も心地よく感じましたし、ジュリーのヴォーカルはもちろん素晴らしかった・・・セットリスト後半、あれだけ走り回り暴れまくった直後だというのに。
やっぱりジュリーは超人ですね!

(追記)
下山さんのアコギフォームについて、1番Aメロ1回し目の歌詞を引用しましたが、僕が気づいたのはもっと後・・・少なくとも1番2回し目以降の同進行箇所だったかと思います。
何故かと言いますと、この日の「君をのせて」は冒頭で下山さんのギターにアクシデントが発生、急遽メンテナンスが必要となり、アコギが実際に演奏に噛んできたのはジュリーのヴォーカルが始まってしばらく経ってからのことだったのです。
メンテが終わりローディーさんに、「(音が)出た、オッケ~!」と右手を上げて合図する下山さんの仕草が印象に残りました。

~MC~

和光市公演ほどではないけれど、渋谷でも結構長い時間喋ってくれたジュリーでした。

期待していた”ザ・タイガース再結成珍道中”シリーズが無かったのはちょっと残念でしたね。あの時点で新しいネタが無かったのかな。
その点では、先の九州シリーズではタイガース関連の爆笑ネタ満載だったとのことで・・・うらやましい限りです。
もちろん不参加の僕はその内容を詳しくは知らないんですけど、チラッと聞いた話で個人的にとても気になってしまっていることがあります。それについては次回更新の”ザ・タイガース再結成・セットリスト予想”シリーズのお題の中で少しだけ触れたいと考えています。

さて渋谷のMCに戻りまして。
記憶も薄れてきていますから、思いつくままごく簡単に書いていきたいと思います。
なにせ話のほとんどが体型ネタ・・・と言うか、ジュリーの大食い自慢などに費やされたという(笑)。

ファニーズ時代に、ライヴハウスのマスターと言ってたかな・・・とにかく音楽業界の先輩に餃子をご馳走になったことがあったそうで。
「好きなだけ食え!」と言われたジュリー、どのくらい食べたかというと・・・。

「12枚食べましたよ!当時は(餃子一皿が)5コとか6コじゃないですからね。(一皿)8コですから。8コ掛ける12、ハイ計算して!」

僕も含め、会場のお客さんは即座に暗算、頭の体操。
って、96個・・・マジですかジュリー?!

ジュリーとしては「まだまだ食べられた」とのことですが、12枚食べたあたりでマスターが自分の財布を見始め(笑)て・・・
「行くぞ、沢田!」
ということで打ち止めとなったそうです。

とにかくその頃はいくら食べても太らなかった、と。
ところが
「30を過ぎたあたりから、お腹の上のプニョッ、としたのが気になりはじめて・・・」
と、実際にお腹の上を「プニョ」「プニョ」と言いながらつまんでみせるジュリーに、会場からは爆笑と共にかすかに悲鳴も。
で、この辺りで”腹の上のプニョ”という名言が飛び出したそうですが、僕はそれ、聞き逃していたみたいで・・・後になってから知りました。

そうして現在、”ジュリーの体型は一日にして成らず”ということで、「突然こうなったわけじゃないんだ」と力説。
「この年になって美しい容姿のままだったら、人の妬みを買いますよ!それにワタシ自身が人生間違えてしまいます」

と、アンコールのために着替えてきたストライプのスーツ(カミさん曰く、ジュリーはああいうマフィアっぽい服が抜群に似合う、のだそうです)を指で示すと

「今、ステージではこんな派手な衣装を着ていますけど、普段からこんなのを着ているわけじゃあないんですよ(笑)!ちゃんと、年相応の服を着てるんです。もしこれが痩せて美しいままだったら、普段からこんな服を着てしまっているかもしれない・・・(考えるだに恐ろしい、といった感じの表情です)。人生間違えるわけですよ。さらに(年をとってもこういうのを着ていいんだ、と勘違いさせて)、周りの人達まで人生を間違えてしまうかもしれません!」

う~ん、説得力ある言葉だと思う・・・。

あとは、オリンピックの話も少しありました。
ちょうど選考結果が出る前日のことで、タイムリーな話題だったのですが・・・そこはジュリー。
「明日の夜明けには、落選が決まるでしょう」
とおどけるように言ったものですから、会場からは「え~~~っ?」という反応。
でも僕は、その後のジュリーの言葉を待たずとも、ジュリーが今回のオリンピック招致についてどんなふうに考えているか分かりました。それについては横浜のトークショーでも掘り下げて語ってくれたようで、多くの先輩ブロガーさんが書いてくださっていますからここでくどくど語るのは控えますが、僕はまったくジュリーと同じように考えていました。

たまたまLIVE前日、例の「コントロールされている」発言報道などについて
「ジュリー怒ってると思うよ。でも渋谷(のMC)でその件には触れないだろうね」
とカミさんに話していたのが・・・意外やMCでも採り上げた、ということは「みんな、考えてみ」というメッセージだと思うのです。
ジュリーは決して開催自体が悪いと言ってるわけではないので・・・結果、招致が決まったからには、僕ら一般の人達もそれぞれ考えることがあるはず。「やっぱりダメです」というのは許されない状況になったのですから。
いや、開催は僕も楽しみにはしていますよ。マラソンやバレーボールが観たい(この好みはジュリーとは全然違う)のです。

「7年後・・・たぶん、まだ歌っていると思いますが」
とは、何と嬉しいジュリーの言葉。
「でも、(オリンピックを)やるとなったらその頃は渋谷公会堂も使えなくなってるだろうし、いつものようにツアーはできないかな。その時は休みにして、ゆっくり旅行したい」
のだそうです。

少し前まで、「なんとか70超えを見届けて」という感じのMCが多かったけど、こうしてジュリーはその先まで見据え、「歌う」ことに意欲満々です。
他会場MCの情報では、とりあえずの目標を「喜寿に8千円のコンサートをやる」ことに定めたみたいですし、これからも歌い続ける、という自然体で力みのない、それでいて力強い意欲、気力・・・ファンとしても本当に嬉しいですね!

いつものように鉄人バンドの紹介があり
「それでは、オマケです!」

20曲目「あなたへの愛

Acollection

本当に素晴らしいヴォーカルです。
今ツアー、この曲に向かうジュリーのスタンスは、良い意味で初日からずっと変わりませんね。
大きな感情表現は抑え、歌詞とメロディーの素晴らしさ、完成度の高い楽曲構成をそのまま素直に、至高の「歌」として届けてくれます。僕は最近1973年の色々なジュリーの資料を手にとることが多いですが、きっと「当時」に近い歌い方をしているんじゃないか、と思えます。『ジュリー祭り』の時と比べ、その辺りどうでしょうかね・・・先輩方?

この日も泰輝さんの”神の両手”が大活躍。音としては目立ちませんが、下段左手で演奏される繊細なベースラインが全体のバランスをしっかり支えています。
ジュリーの言う
「LIVEではキーボードがベースを弾く。ドアーズみたいでカッコイイ!」
という鉄人バンドの真髄が、この曲では際立っていると思います。

21曲目「ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina

多くの先輩方から高槻公演の「ヤマトより愛をこめて」アンプラグド・ヴァージョンのお話を聞いて・・・僕はその後初めてこの曲を改めて生で聴くことになりました。
もちろんこの日は”いつも通り”のスタイルでの演奏だったわけですが、僕は鉄人バンドのそれぞれの音に集中し、食い入るように見つめながら、「高槻ではどんなふうに聴こえたのかな」と考えていました。

「イントロのピアノの音・・・泰輝さんはこの右手の音階をグロッケンで弾いたのかな」
とか。
「下山さんのアコギは最初から噛んでいたのか、それとも通常のアレンジ通りの2番からかな?」
とか。
「ああっ、今日もまたGRACE姉さんのタンバリンチェックを忘れてた!いや・・・でもここまでのセトリでタンバリンは使ってないように思うなぁ。高槻会場にたまたまタンバリンがあったのか、それとも姉さん、常に持ち歩いてるのか、ひょっとすると近くのカラオケ店から急遽借りてきたのか?」
とか。

そして。
僕も本当に聴いてみたかった・・・高槻での柴山さんの、電気を通していないエレキギターの単音。
本来、絶対にお客さんが、いや、バンドメンバーですらそうそう聴くことのできない音。柴山さんが自宅で「ふんふ~ん♪」と楽しげに軽く稽古している時の音。
それが実際、高槻のステージでは聴こえた、というのですから・・・そりゃあジュリーも歌いながら「おお~っ!」と思ったでしょう。

「あんな拍手は初めて」とジュリーがトークショーで振り返ったという高槻公演を経て、ジュリーの中でこの「ヤマトより愛をこめて」は特別な思い出の1曲になったのかな・・・もちろんこれまでも思い入れはあったでしょうけど。
当然渋谷も素晴らしいヴォーカル。このヴォーカルがオフマイクで聴けた高槻公演のあった『Pray』ツアー・・・この先「ヤマトより愛をこめて」の逸話のひとつとして、ファンの間で語り継がれていくでしょうね。

22曲目「さよならを待たせて

Sur

今ツアーの定番・・・フェイントで一度ステージから完全に姿を消した後、ゆっくりと再入場するジュリー。

「ヤマトより愛をこめて」のイントロでは「は?まだやるの?」みたいなおどけた仕草がありますが、この「さよならを待たせて」では、男が何かに立ち向かうような、それでいて穏やかにも感じられる表情で、口を結んで歩いてくるんですよね。
「ノッシノッシ」という表現がふさわしいかどうかは分かりませんけど、僕にはそういうイメージがあります。厳粛な雰囲気のイントロなんですよ。それは曲想からもそう感じさせるところがあるのかもしれませんが・・・。

ここでも「涙色の空」や「溢れる涙」同様に「Love♪」のロングトーンが登場します。この曲の場合は音域が低くしっとりと歌う箇所での登場ですので、最後の「ve」は本当に息をそっと吐くくらいの表現になっていて、それがまたとても良い!かえってその方がエロ度は上がっているような・・・?

サビなどでは万感込めて、腕を軽く広げるようにして歌っていましたね・・・。何か言いようのない感情が伝わってきます。いやぁ改めて名曲です!
柴山さんのソロも、特にエンディングが素晴らしかったなぁ。ジュリーが凛と立ちつくして、柴山さんのギターに感情を合わせているのが分かりました。

☆    ☆    ☆

ジュリーはお客さんの声援に応え、三方に頭を下げ、改めて鉄人バンドの紹介をした後、”おじいちゃんポーズ”でのお辞儀で〆て、にこやかに退場。
最後まで残っていた柴山さんは、会場の電気が灯った後もお客さんに手を振ってくれました。

今ツアー、僕は最初で最後の渋谷公会堂でしたが、やっぱりこの会場は盛り上がりますね~。
新曲4曲をはじめ、素晴らしいジュリーのヴォーカルとステージ、鉄人バンドの演奏、コーラスでした。
和光市公演に続いての恵まれた席での参加となり、感謝、感激。次回参加の大宮公演からは、身の丈に合った”あさきゆめみし席”に戻ります。

最後になりますが・・・みなさま、『ロックジェット』53号(特集・表紙はポール・マッカートニー)で佐藤睦さんがジュリーに寄せた文章は最高ですよ!
本当に素晴らしい。

発売されたばかりの雑誌の内容をそのままブログにupすることは業界的にご法度ですから、その素晴らしさをここで具体的にお伝えできないのが残念ですが・・・僅か2ページの文量で、見事に『Pray』ツアー・初日フォーラムの魅力・核心を纏め上げ語ってくださっています。
佐藤さんはこの日が初のジュリーLIVEだった、とは意外でしたが、逆に言えば初めてのジュリーLIVEでここまで今のジュリーの真髄を正当に評価し語れるというのは凄過ぎます。
さすがはロックひと筋の佐藤さん、ロック・ステージを見る目は確かですよ。新譜4曲のコンセプトについては当然、鉄人バンドの演奏についてもひと言ずつ的確に触れていらっしゃいます。
機会がありましたら、是非書店さんで手にとってみてくださいませ。

それでは、次回更新からは再びタイガース・ナンバーの楽曲考察記事に戻ります。
(1度途中で、若き日の原監督の曲の記事に寄り道することになると思いますが・・・まぁ仕方ありません。ジュリーファンならば有言実行しなければ涙)
『Pray』ツアーについては、僕の千秋楽・大宮公演のレポでもう1回だけお会いできる予定です。

朝晩は肌寒いくらいになってきましたね。でも、明日からは日中だけ真夏の暑さが戻ってくるとか・・・。
どうかみなさま、お身体に気をつけて!

20130907

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2013年9月 4日 (水)

ザ・タイガース 「十年ロマンス」

from『THE TIGERS 1982』、1982
セットリスト的中自信度 ★★★☆☆

Tigers1982


1. 十年ロマンス
2. 新世界
3. 抱擁
4. 時が窓をあけて
5. めちゃめちゃ陽気なバンドのテーマ
6. 夢の街
7. 野バラの誓い
8. BA-BA-BANG
9. ライラ
10. 生きてることは素敵さ
11. LOOK UP IN THE SKY
12. 朝焼けのカンタータ

(「十年ロマンス」など同窓会ナンバーも含めて、年末のザ・タイガースLIVEの予習をしたい!という初心者のファンにおススメのベスト盤はこちら!)
『ザ・タイガース ゴールデン☆ベスト』

Tigersgolden

1. 僕のマリー
2. シーサイド・バウンド
3. モナリザの微笑
4. 君だけに愛を
5. 銀河のロマンス
6. 花の首飾り
7. シー・シー・シー
8. 廃虚の鳩
9. 青い鳥
10. 美しき愛の掟
11. 嘆き
12. スマイル・フォー・ミー
13. 君を許す
14. 都会
15. 素晴しい旅行
16. 誓いの明日
17. 十年ロマンス
18. 色つきの女でいてくれよ
19. 銀河旅行
20. ラヴ・ラヴ・ラヴ

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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2013年末、ザ・タイガース再結成へ向けての”セットリスト予想”シリーズ。
まだ過去に記事を書いていない、という条件の限られたお題の中から「今回はやってくれるかも!」と考えられる曲達を探していく作業・・・いやぁ始めてみますとすごく楽しいです!

今日のテーマはズバリ、「同窓会ナンバーから採り上げられる可能性のある曲は?」というもの。
2011~2012年のツアーでは一応「色つきの女でいてくれよ」「朝焼けのカンタータ」の2曲を予想として書いたんですけど、これはまったく外れました。
考えてみればあの時は、トッポ不参加、ピーも帰ってきたばかり・・・という状況の中、同窓会ナンバーについてはメンバーそれぞれのセットリスト案として机上にすら挙がらなかったのかもしれません。

しかし今年は違います。
昨年のピーとタローの中野サンプラザジョイント・コンサートでは、アンコールの大トリに「色つきの女でいてくれよ」が抜擢され、駆けつけたファンを驚かせましたよね。
ピーが「色つきの女でいてくれよ」のドラムを叩いた!というのは多くのタイガース・ファンにとって大きなサプライズでした。その流れを受けて、僕は年末の「色つきの女でいてくれよ」のセットリスト入りには「★5つ」の大きな期待を持っています。
トッポやタローも自身のLIVEのレパートリーとして今でも大切にしている曲ですから、当然「今回もやろうよ!」という話になっているんじゃないかなぁ。

では、同窓会ナンバーの他の曲についてはどうでしょうか。
個人的にアルバム『THE TIGERS 1982』の中で、歌詞の内容やヴォーカル・バランスなどから考え、オリジナル・メンバー5人が揃った今こそ歌われるべき・・・今歌われてこそ真のタイガース・ナンバーとして完結するのではないか、と僕が考えている収録曲が3曲あります。

まず、あの気難しいイメージのあるトッポをして「昔の仲間とまたこうして再会して一緒に歌うのが本当に嬉しい」という驚くほど素直な、人生の奇跡の喜びに満ちた名曲「生きてることは素敵さ」。

さらに、あまりにも素晴らしい歌詞と、タロー渾身の直球バラード・・・ピーが不在だったがために、同窓会の時点では”タイガースとの再会”というそのテーマ性に完全に入り込めないファンがいたとしても、今ならば皆が涙なくしては聴けない、こちらも至高の名曲「朝焼けのカンタータ」。

そして・・・あの偉大なヴォーカリスト・ジュリーが生涯でただ1曲、「トッポと自分のツイン・ヴォーカル」を完全に意識して作曲に取り組んだと考えられる、同窓会第1弾シングルとしても有名な「十年ロマンス」です。
今日のお題はこの曲です。年末のセットリスト入りを期待されているファンも多いのではないでしょうか。
畏れながら、伝授!

先に挙げた「生きてることは素敵さ」「朝焼けのカンタータ」の2曲は、個人的には是非!と考えていますがさすがに今回もセットリスト入りは難しいでしょうか。
しかし「十年ロマンス」については・・・もしもジュリーが、セットリストのまとめ役であるタローに自身の希望する曲のリクエストをいくつか打診しているとすれば、必ずその中に加わっているはず。

まだ今回の再結成が公になっていない頃・・・ジュリーは”オリジナル・メンバー5人によるザ・タイガース復活”への自身のこだわりについて

かつみがいれば、「十年ロマンス」の高音も歌える

と、語ったことがあるんでしたよね。
かつて、それはまだ解散から10年という時期ではあったにせよ、ザ・タイガースへの思いを託し、当時開眼した短調のアップテンポ・ナンバーでの作曲に全身全霊で取り組んだ曲・・・ジュリーにとっては大切な1曲なのでしょう。
いずれにしても、ジュリーが「1曲の中で自分と対等にヴァースを分け合ってリード・ヴォーカルをとる」というコンセプトを自然に、違和感無く念頭に置けるのは、タイガース時代にそれを多々経験したことのある・・・ズバリ、トッポただ一人なのではないでしょうか。
今も昔も。
自作の「十年ロマンス」をオリジナル・メンバーのザ・タイガースで再び、というジュリーの思いは、ファンが想像している以上に強いのかもしれません。

同窓会では不参加だったピーも、中野公演での例があるように、他メンバーが望めばこの曲のドラムス演奏に否やは無いでしょう。
クラッシュ・シンバル連打やスネアのフィルを使ってのキメのフレーズが多い「十年ロマンス」のドラムス・アレンジは、ピーの「大きな動きを意識した」タイガース特化型の演奏スタイルにとても合っていると思います。

と、ここまで強い推しの要素を挙げていながら、冒頭にある通り、僕はこの「十年ロマンス」のセトリ入り予想を「★3つ」にとどめています。
何故か・・・それは、オリジナル・メンバー5人でこの曲を演奏した時の音というのが、どうにも頭に浮かびにくいからなのです。

同じ同窓会ナンバーであっても「色つきの女でいてくれよ」はそうでもないのですが、「十年ロマンス」という曲はいかにも”80年代の音”で練られた楽曲だと思います。
例えば、前回執筆した「ジンジン・バンバン」などは、演奏上の5人の立ち位置がハッキリしていて、オリジナル音源の再現を容易に想像できます。
一方、今回の「十年ロマンス」の楽器構成をもしステージで忠実に再現しようとした場合、どれくらいの人数が必要になってくるのか、ということから考えてみましょう。
ドラムスとベースにはまったく問題はありません。提議するのはギターとキーボードです。

まずギター。
「十年ロマンス」オリジナル音源のギター・トラックは、何と4トラックをも数えます。
元気よくガッシャンガッシャンとストロークする縁の下の力持ち、アコースティック・ギター。こちらはセンターにミックスされています。Aメロ部が聴き取り易いですよ。
右サイドには、バッキングのエレキ・ギター①。キメ部のカッティングで活躍。さらにサビではジュリーのリード・ヴォーカルを追いかけるような裏メロの単音も担当しています。
左サイドにバッキング・エレキ・ギター②。主にエイト・ビートのダウン・ピッキング連打でアップテンポの曲想を強調。弾く箇所と弾かない箇所のメリハリが、楽曲全体の抑揚に重要な役割を果たしています。
そしてセンターのリード・ギター。間奏以外では、ジュリーからトッポへのヴォーカル・リレーの受け渡し箇所で最重要のフィル・フレーズを弾きます。たった2小節ですがこれは素晴らしいギター・アレンジ。おそらく銀次兄さんのアイデアでしょう。音源での演奏は十中八九、柴山さん!

そしてキーボード。
オリジナル音源(すぎやま先生アレンジによるオーケストレーション)をキーボードで再現するには、2種の音色が必要です。
曲中ほぼ出ずっぱりのストリングス系の音と、Aメロに登場する木管系の音。Aメロでは2種の音の同時弾きも求められます。

纏めますと、「十年ロマンス」のオリジナル音源の楽器構成を再現するには、リード・ギターと右サイドのバッキングをどうにか一人で担うとしても、最低ギター3人(エレキ×2、アコギ)とキーボード1人が必要となるのです。
これを逆に言えば、鉄人バンドから柴山さんと泰輝さんであれ、スーパースターから速水さんと遠山さんであれ、今後急転、ギターとキーボードのサポートがもし発表されたとするなら、僕はためらいなく「十年ロマンス」に「★4つ」以上の期待を持つでしょう。

そこを敢えて5人で演奏するとすれば・・・やっぱりエレキ2本のスタイルになるでしょうか。
オリジナルとは聴こえ方がだいぶ違ってくるでしょうね。それはそれで聴いてみたい気持ちもあります。
イントロの「ミ~、レッレッレ、ミミミミミ♪」の箇所にはある程度の音圧が欠かせないと考えますが、Em→D→Emのローコードで強く弾けばギター2本だけでも何とかなりそう。

いずれにせよ「十年ロマンス」のセットリスト入りについては、最終的にはジュリーの判断と、他メンバー4人の積極的な賛同の有無に委ねられることになるのかな・・・。
忘れかけた子守唄」(今年の予想は鉄板「★5つ」!)と共に、ジュリー→トッポのヴォーカル・リレーが楽しめるこの曲、是非年末に生で聴いてみたいものですね。

さて、今回記事を書くにあたって、「かつみの高音」を前提にしてジュリーが作曲したトッポ・パートがどのくらいの高音域なのか、試しに歌ってみましたよ。

10years1

(参考資料・・・『明星』1982年3月号付録の『YOUNG SONG』)

月の光 浴びながら肌を見せた
D      Em      C          D       G

あの誓いの夜の
   D    Em

ヴィーナスに似たひとは 今
        C              D          Em

こ、これは・・・さすがトッポと言う他ないです。
「あの~誓いの夜の♪」あたりは、僕にはとてもロングトーンで歌うことなどできません。声、ヨレヨレ・・・いくら何でも高い音が続き過ぎです。
ちなみに最高音は「誓い」の「か」で高い「ラ」の音。歌ってて一番苦しい箇所じゃん!
トッポは本当にス~ッと、自然に歌っていますね。作曲者のジュリーも当時の歌入れの際には、「さすがかつみや!」と唸ったのではないでしょうか。

あと、ジュリーのパートの音域の広さにもビックリです。低い「シ」から高い「ソ」まで。
作曲家としてのジュリーは、自身のヴォーカリストとしての才をもって、知らず知らずに楽曲の難易度の高さに反映させているんですね・・・。

最後に。
「十年ロマンス」が年末に生で聴けることになったら・・・何としてもあの「Lの字」アクションには参加したいなぁ。
同窓会コンサートの映像で、お客さんがジュリーと一緒になってやっているのを観て「いいなぁ・・・」と思っていたんです。
でも、もし2011~2012年のツアーでこの曲がセットリスト入りしていたら、僕は参加することはできなかった・・・何故ならあの頃僕は酷い四十肩の最中で左肩を上げることができなかったですから。
そう、あの動きは左手でやらないと成立しません。

てのひらを傷つけあい
            Em        D

で、左手を上げて掌をヒラヒラ。

Lの字を書いたひとよ
        Em     D       Em

で、そのままクルリと手首を返して指で「L」の字を作る・・・この時、相手から見て正しい向きの「L」にするためには、左手でないとダメなんですよね。
2年前の夏の発症から1年ちょっとかかりましたか・・・当時は散々お騒がせしましたが、四十肩は今ではすっかり良くなりました
(その代わり今度は胆石が汗)

それでは、オマケです~!
今回は、前回記事でご紹介させて頂いたお二人の先輩とはまた別の先輩からお預かりしているお宝雑誌『毎日グラフ』1982年4月11日号から、同窓会タイガースのショットをどうぞ!

8241111

シロー、元気かなぁ・・・。
年末には、シローにも会えるのを楽しみにしていますよ!

824111_2

824114



続いてオマケのオマケ
十年ロマンスの十余年前のジュリーとトッポの若虎ショット。
(Mママ様所有の切り抜きより)

Tg003

Img243

(枠の擦れに注意して頂ければお分かりのように、この2枚の切り抜き写真は表裏になっています。
ジュリーファンの先輩が「ジュリーの写真」を大切に長期保管なされた恩恵(?)で、共に保管され続けていた若きトッポの貴重なショット・・・ザ・タイガースが再結成されようとしている今振り返ってこそ、心癒され思わずニコニコしてしまう次第です~)

次回更新はジュリーの『Pray』9・7渋谷公演のレポになりますが、レポを書き終えたら再び”ザ・タイガース再結成・セットリスト予想”シリーズのお題記事に戻ってきますね!

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