ザ・タイガース 「光ある世界」
from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968
セットリスト的中自信度★★★★☆
1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩
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セットリスト的中自信度
5段階内訳
★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。
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ジュリーの2014年前半のインフォメーションも到着し、お正月LIVEに音楽劇(演奏が柴山さんのギターとあらば、これは僕も行かずばなるまい!)のチケット申し込み、さらにはザ・タイガース貴重映像DVDも発売されるとあって、みなさまにおかれましては、まず銀行口座の残高を確認していらっしゃることかと・・・。
え、僕だけですか?
まだ年末のザ・タイガース再結成のチケットも手にしていない状態で、続々と届けられるその先々のジュリーの公演予定。
まさに嬉しい悲鳴・・・本当にファン冥利に尽きます。有り難いことです。
さて。
『先日の『オールナイトニッポン・ゴールド』は本当にファンを安心させてくれたと言うか・・・特に僕のような後追いかつ頭でっかちな考え方の者を、穏やかな境地に誘ってくれました。それほど、5人の醸し出す雰囲気が何とも言えず良かった・・・。
思えば、2011~2012年の老虎ツアー・ファイナル武道館公演のプロモーション的な感じでNHK『songs』が放映される、と聞いた時、僕は「対一般世間」というのを意識し過ぎていて、「美しき愛の掟で一般視聴者のド肝を抜くべきだ!」などと浅いことを考えました。
しかし番組のトリで演奏されたのは「誓いの明日」。その素晴らしかったこと。
「僕たち、こんな雰囲気で今やってるよ」ということが、何のてらいも力みもなく伝わってきた・・・今回の『オールナイトニッポン・ゴールド』も、僕にはその時の「誓いの明日」と同じように感じられました。
メンバーに気を遣いながらも、司会の仕事を楽しく、優しく、自然体で全うしたジュリー。
しっかりと足が地に着いた感じで、的確にポイントを突いて他メンバーへの質問を展開していったサリー。
さらに、僕の中学生時代の記憶にある『オールナイトニッポン』という番組のイメージを一手に引き受け喚起させてくれた、ヤンチャなピー先生。
ダジャレはともかく、「日中を股にかけた」話の際に突如飛び出した下ネタにメンバー一同が凍りつく雰囲気がヒシヒシと伝わってきて(笑)、「あぁ、オールナイトニッポンっぽいなぁ」と思い、爆笑しながら聞いていました。
そして・・・これはほとんどその後ファンのみなさまの間で話題に上ってないけど、トッポとタローが、僕がトッポのソロ・ナンバーの中で抜きんでて好きな曲「ひとり」(作詞・トッポ、作曲・タロー。トッポのセカンド・ソロ・アルバム収録)の話を少ししてくれたんですよね・・・。
タイガース解散後に、タローが作曲依頼を受けたという流れだった、とか。
僕、これまで「ひとり」について「タイガース幻のセカンド・レコーディング・アルバムのアウトテイクじゃないか」とこのブログ書いてきたことがありましたが、それは違いました。
でも、まさか「ひとり」の制作秘話まで聞けると思っていなかったから、とても得した気分でしたよ~。
ともあれ、ラジオで5人の声を聞き、年末のザ・タイガース再結成が現実味を帯びて、一層楽しみになってきましたね!
ジュリーのソロ・コンサート・・・『Pray』ツアーもいよいよ佳境に入ろうとしておりますが、拙ブログではひと足早く、ザ・タイガース再結成ステージのセットリスト予想シリーズを開始しています。
今日はその第4回。
お題に採り上げるのは、多くの先輩方の間でとても人気の高いナンバー。
先日お会いした先輩も「今年はやるでしょ!」と力強く予想していらしたので、的中自信度を当初の予定「星3つ」からワンランク格上げしまして、「星4つ」の”予習必須曲”として、貴重なオマケ画像も文中にたっぷりと交えつつ、お届けいたします。
「光ある世界」、僭越ながら伝授!
僕は今、これまでの予想記事で”演奏形態”という点にこだわり過ぎてたかもしれないなぁ、としみじみ考えているところです。
いや、『オールナイトニッポン・ゴールド』を聞いてね。ザ・タイガースの再結成コンサートに参加できる、という歓び・・・ファンとしてその基本の気持ちに立ち返ったと言いますか。
もう、これは演奏できるのかとかアレンジが厳しいんじゃないかとか、そんなことを考えるのはナンセンス・・・まぁ当然現実問題として演奏はできなくちゃ、なんだけど、そこを理詰めで考えてセトリ予想自信度に反映させるのはやめよう、と。
僕とて若輩とは言えタイガース・ファンなのですから、オリジナルメンバーの5人が、あのラジオの感じで再結成本番ステージに向けて胸ときめかせているなら、それでもう無心にその日を待つべきなんじゃないか、とね・・・そう思った次第です。
ですから、全っ然オリジナル・メンバー5人の演奏でどんなアレンジにするのか想像がつかない、メチャクチャに難易度が高いような気がする「光ある世界」も、「星4つ」での予想。
だってこの曲、ファンが聴きたい、そしてザ・タイガースのメンバー自身が「やりたい」と自然に考える曲だと思いますから。
あとは、他の曲との兼ね合いですかね。
では、この曲にまつわるエピソードと言えば・・・。
もう随分前の話のようにも感じますが、『Pray』静岡公演でのMCで、ジュリーがご当地ネタとして
「タイガース時代に富士山に登って歌ったことがある。あれは、途中から馬に乗って行くんです」
と話してくれたそうですね。
リハーサルシーン、ジュリー=Mママ様所有資料
サリー、トッポ、ピー、タロー=P様所有資料
その富士山で歌われた数曲の中で、リリース間もない「光ある世界」は大きくフィーチャーされていたのだそうです。
そりゃそうですよね・・・何せ富士山ですから。「ご来光」ということですよ!
とにかくその楽曲世界のスケールの大きさは、すべてのタイガース・ナンバーの中でも抜きん出ているように感じます。
「光ある世界」・・・それは、時間も空間も無いまったくの「虚無」に、ひとすじの光が射し、誕生した真っ白な世界のこと。
それがいつしか「あなた」と「僕」に投影され、「人類の誕生」「愛の始まり」・・・「光=愛」というテーマに繋がっていくのではないでしょうか。
P様所有資料
星なき夜 に あなたと逢って
Em A Em D Em
星なき道 に 愛の光が
Em A Em D Em
『ヒューマン・ルネッサンス』は完璧なコンセプト・アルバムで、世界の始まり(「光ある世界」)から終わり(「廃虚の鳩」)までを描いています。
世界を終末たらしめるのは、「悪いことを覚えすぎた」愚かな人間たち。しかし「廃虚の鳩」では、空を飛ぶ一羽の真白い鳩にひとすじの希望が託され、また新たに世界は甦ります。
「鳩」は”希望”という名の「光」の化身。
つまり『ヒューマン・ルネッサンス』は、ラスト収録の「廃虚の鳩」から1曲目収録の「光ある世界」に再び物語が繋がっていく、”オービタル・ピリオド”構成になっているのです。
なかにし礼さんと山上路夫さん・・・違う作詞家による作品がここまで見事にひとつの物語に纏まる素晴らしさ。『廃虚の鳩』のシングル盤をお持ちだったタイムリーなファンのみなさまは、自然に「廃虚の鳩」→「光ある世界」の流れも身体に染み込ませていらしたでしょう。
アルバム全体では、特に山上さん作の「朝に別れのほほえみを」から、なかにしさん作の「忘れかけた子守唄」への流れで、リスナーは自然に「あぁ、物語は曲順の通りに繋がっているんだな」と気がつくことができます。
「コンセプト・アルバム」と言うとなんだか難解で敷居が高いようですが、タイガースのこのアルバムはポップで分かり易い・・・深いテーマでありながらも際立つ明快さ。それこそが『ヒューマン・ルネッサンス』最大の魅力であり、タイガースがこうしたテーマの作品をリリースすることの意義でもあったのだ、と僕は考えます。
さらに。
ポップで美しく、耳当たりの良い曲が実は非常に高度で凝った構成を持つ・・・正にそんなアルバムのテーマ性同様の懐の深さを1曲で表しているのが、この「光ある世界」です。
何の違和感もなくス~ッと聴き込めるこの曲、いざ紐解いてみますと・・・いやぁ斬新な和音進行とアレンジに驚くばかり。
しかも、とてつもなく気品に満ちているんですね。
詩人・吉岡実さんの研究家でいらっしゃる小林一郎さん執筆のサイト、『吉岡実の詩の世界』の2011年8月付編集後記にて小林さんが、僕が自力で採譜できなかった「光ある世界」のイントロの和音について書いてくださっています。
光栄なことに、小林さんがそこで拙ブログをリンク紹介してくださっていたおかげで、僕は小林さんのサイトにお邪魔し、「光ある世界」のイントロ進行を知ることができました。
実は僕の手元には2種の「光ある世界」のスコアがあるのですが、そのいずれもがメロディー譜で、イントロの和音表記が割愛されているのですよ・・・。
深夜放送ファン・別冊『沢田研二のすばらしい世界』
&『60年代グループ・サウンズ・ファイル』より
しかも歌メロ部のコード表記がメチャクチャ怪しい・・・当然、2冊ともてんでバラバラな採譜になってます。
逆に言えば、そのくらい「光ある世界」はコード進行が特殊な曲なんですよ。
小林さんがサイトで紹介してくださったイントロ(および間奏部)のコードは
Em→D7→C→Am→F7-5→Em
という驚愕の進行。
小林さんも仰っているように、まずこの曲がホール・レコーディングということで、和音の輪郭がぼやけている(無論、それが曲の魅力となっています)ためコード採譜が困難な上、イントロ部ではサリーのベースがずっと「ミ」の音を連続して弾いているので、厳密には「Em」以外の上記進行登場コードはすべて「onE」の分数表記となるべきところ。
ただ、すぎやま先生のオーケストレーション・アレンジが、いわゆる「ギター・コード」のニュアンスを超越していて、ロック畑の僕からすると相当に聴き取り辛い和音構成となっています。
小林さんも驚いていらした「F7-5」はもちろん、一見シンプルな進行で、言われてみれば「あぁ、そうか」と納得の「D7」あたりも、ギター片手に音源を流しながらの採譜作業だと実はかなり探し当てにくいのです。
オリジナル音源を改めて聴き直してみますと・・・間奏では鳴っていませんが、イントロでは左サイドにその進行でのギター・コードの演奏が確認できます。
「F7-5」は、1弦1フレット、2弦開放、3弦2フレット、4弦3フレットのローコードで弾いているように聴こえます。これはトッポかな、タローかな・・・。
和音が難解なのはイントロだけではありません。
例えばサビ部後半。手持ちのスコア2点でそれぞれ合わせてコードを弾いてみても、何か違う・・・ということで、この機会に自分なりの採譜を試みました。
あなた の 愛 を
Em Em7 Em6 G11(onE) Em
ぼくは はなしはしな い
F#7 Am D#m7-5 B7
コードネームを明記していて自分で「ホントかよ!」と突っ込んでしまう(笑)ほどに斬新です。
ホ短調(Em)のスケールの曲の中に、「F#7」はまだしも、「D#m7-5」が出てくるのは相当に変則的なんですけど、合わせて弾くと僕はこれが一番しっくりきます。
ちなみに「G11onE」は、ローコードの「Em」に5弦1フレットの「C」音を足したフォーム(「Em7」→「Em6」に続いて、5弦のポジションが半音ずつ下がってくる感じ)で、「D#m7-5」は1弦~3弦が2フレット、4弦1フレットのフォームで弾いてみて!
でも、こんなふうに和音を紐解いてみると、シンセ・ストリングスのサポートを仰がずとも、トッポとタローのギター2本で充分「光ある世界」のアレンジ、演奏は可能だと思えてきました。どちらかがアルペジオを弾くと良いんじゃないかな。
何よりこの曲は、ジュリーの神々しいまでに澄みわたるヴォーカル、1番サリー、2番トッポの絶妙な裏メロのコーラス・・・トッポが加わったオリジナル・タイガースでそれが完璧に再現されるかと思うと、ワクワクしてきますよね。
是非、年末のセットリスト入りを!
それでは最後に、P様所有資料からダメ押しでオマケです!
さて次回更新は、「星1つ」の曲を予定しています。
「星1つ」・・・つまり、再結成ステージでのセットリスト入りはちょっと考えられない曲ですが、この機会に少しでも多くのタイガース・ナンバーを書いておきたいですからね!
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