沢田研二 「Uncle Donald」
from『Pray』、2013
1. Pray~神の与え賜いし
2. Uncle Donald
3. Fridays Voice
4. Deep Love
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ジュリー主演の音楽劇『探偵~哀しきチェイサー2 雨だれの挽歌』が始まっています。
先週末から今週はじめにかけて、拙ブログで過去に執筆した「雨だれの挽歌」の記事を多くの方々が検索ヒットしてくださっていたようです。ありがとうございます。
僕もいよいよ今週末、音楽劇デビューを果たします。
これまでさほど音楽劇に興味が持てず参加を躊躇していた僕が今回の観劇に踏み切ったのは、大好きな曲「雨だれの挽歌」のジュリーの生歌が聴けるかもしれない!という思いがあったからです。
そして、みなさまのレポや感想をチラッと拝見しますと、どうやらそれは実現の運びとなっているようです!
「雨だれの晩歌」の楽曲考察記事に書いたように、僕はこの曲の歌詞に強く惹かれていて、まぁ今のジュリーがあの歌詞を舞台で歌う、というのは通常のソロLIVEツアーではちょっと望めないんですよね。
今回の音楽劇は、その意味で本当に貴重な機会だと思います。楽しみです!
さて本題・・・ジュリーの新譜『Pray』について。
今日のお題は2曲目「Uncle Donald」です。今回も、今の僕が出来うる限りの全力で伝授させて頂きます!
まずは歌詞について語りたいと思いますが・・・これは多くのジュリーファンのみなさまの予想通り、ドナルド・キーン氏について歌ったものでしたね。
ドナルドおじさん・・・ジュリーよりもはるかに年上の90歳になろうというドナルド・キーン氏は、「愛する日本を放ってはおけない!」という思いもあって、日本国籍の取得(東日本大震災以前からそのことについては考えていらしたようですが)を決断。昨年3月8日に遂に日本人となりました。
「私はこれまで日本という国を悪く言ったことはない。しかしこうして日本人となった以上、これからは愛する日本のために、自分も言うべきことを言わせてもらう」
キーン氏は会見で、そう語ったのでした。
正に日本人となったばかりのキーン氏の言葉については、先輩ジュリーブロガーのaiju様が、詳しく記事に書いてくださっています。
みなさまも是非今一度、お読みになってくださいませ。
ある先輩が、新譜のリリースよりも少し前の段階で、こう仰っていました。
「昨年のキーンさんの言葉に胸を突かれたことを思い出します。ジュリーもそうだったのでしょうか」
と。
「Uncle Donald」という曲を聴けば・・・間違いありません。ジュリーもそうだったのです。キーン氏の言葉は、ジュリーの胸に突き刺さっていたようですね。
そしてジュリーはキーン氏の言葉を受け、日本人としてもう一度気持ちを新たにし、「愛するがゆえに言うべきことを言う」というスタンスをとった「ドナルドおじさん」に深い敬愛の念を抱いたのでした。
そして今回僕がこの記事でご紹介したいのは、ジュリーの以下の歌詞に絡めてのことなんですが・・・。
♪ あなたの言葉 の続き 知りたい
A A(onG) A(onF#)Dm(onF)
手繰って紡げば糸にな る ♪
A B Esus4 E
ジュリーが曲中で「知りたい」と歌った、キーン氏の「言葉の続き」。
今年3月3日付『東京新聞』の1面記事にそれがありました。
「Uncle Donald」のジュリーの歌詞が完成したのは遅くとも今年の初め頃でしょうから、3月付の新聞掲載となったキーン氏の言葉は、ジュリーが求めた「続き」の言葉のひとつと言えるでしょう。
僕は自分が流され易いタイプだと自覚しているので、新聞については社説などの方向性が異なる複数のものを読むように心がけていますが・・・『東京新聞』には地方紙ならではの切り口があり、特に震災後は丁寧に読んでいます。
このキーン氏の記事は、上記3月3日付の第1回を皮切りに、1ケ月単位で連載されていくことになるようです。震災や原発事故のその後を徹底的に検証し報道してゆく、という紙の姿勢において、キーン氏の言葉は重要なコンテンツなのでしょう。
そして僕は、3月3日にこの記事を読みキーン氏の言葉を知ったことで、1週間後にリリースされる新曲「Uncle Donald」がキーン氏のことを歌った曲だ、とほぼ確信していたのでした。
キーン氏のような人の志に何も感じないジュリーではありませんからね。
さらに、いざ新譜を購入し曲を聴いてみますと・・・。
♪ 忘れちゃいけない 3. 11
D E F#m D E A A(onG)
「頑張ろう 日本」は F.O. 終息 ♪
D E C# F#m Esus4 E
これは・・・ジュリーはまるで「あなた(キーン氏)の言葉の続き」を予見していたかのようです。
”怒鳴門”キーン氏の怒りは、2013年になっても消えていません。「日本人は、被災者への気持ちを忘れていないか?」と。
「終息」などという言葉で、キーン氏を失望させた日本人。
そこでジュリーは、宣言するように歌います。
♪ Don't Cry Donald 僕たちに 失望しても
A G D A G F#m D E
Uncle Donald 僕たちは
A G D A
あなたを愛し 敬 う ♪
G A Esus4 E A
キーン氏の言葉を胸に刻むことは、「被災地の人に歌を残す」というジュリーの発言(それは同時に、ジュリー自身にも向けられたもの・・・だと思います。ジュリーは、ここ2枚の作品が本当の意味で評価されるまでに時間がかかることも踏まえ、素直な気持ちで歌に向かっているように感じられます)、ひいては今回の新譜のトータル・コンセプトにも繋がり、収録曲の中で、「Uncle Donald」の歌詞に最も分かり易い形で投影されています。
「僕たちは決して忘れない」・・・そんなメッセージを力強く歌う曲。
今回の鉄人バンドが作った4曲中、ただ1曲明るいテンポとポップ性を持つ下山さんのメロディーにジュリーがこの詞を載せたことは、必然だったのではないでしょうか。
さぁ、それではこの下山さん作曲の素晴らしいポップ・チューンについて、メロディーやコード進行、アレンジの考察へと移っていきましょう。
「Uncle Donald」以外の3曲がすべてバラードということで、この曲の存在感、CD全体の流れに対する貢献度はとても大きく感じられますね。
リズムやメロディーなどの曲調ですが・・・無謀にも僕が事前の記事で「ラグタイムではないか」とした予想は見事に外れました。さすがは”全然当たらない”男です(涙)。無論、「ゆかいなまきば」とも何ら関係はありませんでした・・・。
これは過去の下山さん作曲のジュリー・ナンバーで言いますと、「心の宇宙(ソラ)」や「エメラルド・アイズ」の流れを汲むものです。
予想の段階で「Uncle Donald」というタイトルから僕の頭に浮かんでいた曲調とは違い、最初は意外に思えたけれど・・・なるほど、キーン氏のことを歌うには、ジュリーにとって明るいメロディーとハキハキしたエイトビートのリズムが最適だったのですね。
アルバム『タイム』以降のエレクトリック・ライト・オーケストラを彷彿させる、ポップ・ロック・チューン。加えて、ザ・ポリスや10CCといったバンドが持つクールな構成をも併せ持っています。
「Esus4→E」の和音に載せたリード・ギター部の感じは確かに何処かで聴いたことがあるように思うんだけど・・・現時点では曲名を特定できません。
とにかく、耳あたりが爽快で、何度も聴くうちにクセになってしまう曲。「エメラルド・アイズ」のような大胆な転調は登場しないのですが、いざ和音を紐解いてみますと、耳あたりの良さに反して、素直じゃない(褒めてます!)捻ったコード進行です。この辺りがいかにも下山さん流と言えましょう。
日頃から洋楽においても”変態ポップ”な曲調を好む僕としては、曲の持つコード感に最も惹かれるのは、新譜の中ではダントツでこの「Uncle Donald」です。ただギターで繰り返しコードを弾いているだけで、「うわ、こんなんなってるのか!」という感動があり、とても心地良いのです。
では今回も、鉄人バンドのレコーディング・トラックをすべて書き出し、演奏とアレンジの検証をしてみたいと思います。
下山さん・・・アコースティック・ギター、エレキギター(左サイド)、エレキギター(イントロ、センター)
柴山さん・・・エレキギター(右サイド)
泰輝さん・・・キーボード3種(エレクトリック・ピアノ系の音、コズミック系のオルガン、イントロ部に一瞬登場する浮遊感のあるオルガン)
GRACE姉さん・・・ドラムス
まず、下山さんと泰輝さんのイントロ(一瞬ですが)・トラックについて書いておきましょう。
下山さんのギター、泰輝さんのキーボード共に、このイントロ数秒では他トラックとは違ったエフェクト設定、音色で演奏されています。この曲では間奏のリード・ギターも左サイド(下山さんの立ち位置)に寄ってミックスされていますが、イントロのギターだけはセンターにPANが振られています。
泰輝さんの一瞬のキーボードも含め、おそらくたった数小節のイントロ・トラックのために、本トラックとは別にレコーディングされ、後のミックス作業の段階で編集されているのではないでしょうか。こういった導入部を擁する楽曲は巷に多く例がありますが、それらについてもそうしたミックス手法が主流ですから・・・。
それでは、楽曲本編の演奏トラックについてはどうでしょうか。
下山さんは「Pray~神の与え賜いし」に続き、アコギとエレキの2トラックを担当しています。皆でせ~の!の時にはアコギを弾き、後からエレキを追加レコーディングした、という順序かと思われます。
「Uncle Donald」は収録曲中唯一のフェイド・アウト・エンディングとなっています。
歌詞中では「フェイド・アウト」をキーン氏の怒りの言葉になぞらえて歌ったジュリーですが、曲がフェイド・アウトというのはまったく逆の意図で、「忘れちゃならない、何年経っても♪」という「この先もずっと」という決意を表しているかのようです。下山さんのリード・ギターが「Esus4→E」という繰り返しの進行で終わりなく続いているのがその象徴。
ちなみに柴山さん、下山さんに限らず、今回の新譜のリード・ギターについては、1曲目「Pray~神の与え賜いし」とこの2曲目「Uncle Donald」はアドリヴに近い演奏で、3曲目「Fridays Voice」と4曲目「Deep Love」は作曲或いはアレンジ段階でじっくり練り込まれたフレージングの演奏、といった感じでハッキリ2つのアプローチに分けられている、というのが僕の推測です。
LIVEで下山さんはアコギ、エレキいずれのトラックを再現するのか・・・これは「Pray~神の与え賜いし」と違い、予想に迷いはありません。おそらく下山さんはこの曲でエレキギターを持つでしょう。
「エメラルド・アイズ」のLIVEと同じ編成になるのではないでしょうか。
ただ、それだけにこの記事で熱く語っておきたいのは、アコースティック・ギター・トラックの素晴らしさです。
下山さんは、ただエイトビートのコード伴奏をしているだけではありません。
まず「Don't Cry Donald♪」から始まるAメロ部では、小節の最後から次小節の頭に向かってアクセントをつけるようにストロークを振り下ろします。
続く「忘れちゃいけない♪」からのBメロ部は、何とアルペジオによる伴奏です!
その音色の優しさ、緻密さ、美しさ、カッコ良さ・・・素晴らし過ぎます。
そしてこのアルペジオ奏法で最大に生かされるのは、「3.11」と歌われる箇所の直後の和音移動。
「A」→「A(onG)」と進行しますが、ここは本来「A」→「A7」と移動するのが一般的なアレンジです。
「A7」というのは「A」(=ラ・ド#・ミ」)に7th音の「ソ」の音を加えた和音です。下山さんはその加えるべき「ソ」の音をルートに配し、アルペジオで弾いた際に最も強調される6弦の音で演奏できるように工夫しました。それにより聴き手は、ジュリーのヴォーカルの隙間でアコギの音が「ラ」→「ソ」と下がっていくスリリングなカッコ良さを楽しむことができるのです。
これは、鉄人バンドがベースレスという特殊な編成だからこそ生まれたアレンジ・アイデアなのかもしれません。
そしてサビ。ここで満を持してガッシャンガッシャンと弾きまくります。
LIVEでこのアコギを聴きたい気持ちもあるけど・・・やっぱりこの曲のソロは下山さんがエレキを持って弾くべきでしょうからね。アコギについてはCDでじっくり味わう、ということで・・・みなさまも是非、左サイドの下山さんのアコギ・アレンジに注目して聴いてみてください。
一方柴山さんは、この曲では黒子のバッキングに徹しています。
4~6弦のダウン・ピッキングでエイトビートを強調したり、細かいカッティングでリズムに起伏を持たせたり、ジュリーの歌メロの抑揚に合わせたストロークに転じたり・・・。何てことはないトラックかもしれませんが、正に職人技。
縁の下の力持ち、頼れる兄貴といった役どころでしょうか。
しかし・・・それだけでは終わらないのが柴山さん。
みなさま、この曲のフェイドアウトが近づくに連れて、何か飛行機が飛び立つ際の轟音のような音が曲全体を包んでいくように聴こえませんか?
実はこの音が、右サイド(数日間、「左サイド」と誤って書いたままupしていました。すみません・・・)で柴山さんが弾いているギター(その残響効果を上手く楽曲全体のトラックに馴染ませたミキサーさんにも拍手!)なんです。
フランジャーというエフェクターを使って設定されたこの独特なエレキギターの音を、ロックでは”ジェット・サウンド”と呼びます。
1曲目「Pray~神の与え賜いし」は「ぎゅわわわわ♪」というワウ、2曲目は「ぎゅい~ん♪」というフランジャー。
それぞれのエフェクターの特性を最大に生かした、”ムックリ・サウンド”(←命名しました)と”ジェット・サウンド”・・・リードギターばかりではなく、バッキング・トラックにおいても柴山さんはひと味仕掛けてくれますね。
ちょっと話が逸れますけど、「Pray~神の与え賜いし」の記事で、柴山さんのワウ・ギターの音色に絡んで少しだけ触れた「ムックリ」という楽器について、先輩ブロガーさんの御記事(大先輩のTOMO様が僕の記事を読んでくださって、とても嬉しかったです!)を拝見した後で色々と思うことがあったので、ここで書いておきます。
僕が「ムックリ」という楽器の存在を知ったのは、まだ幼い頃・・・佐藤さとるさんのコロボックル・シリーズを読んだ時のことでした。
シリーズ5作目の『小さな国のつづきの話』(個人的には1作目、3作目に次いで好きな話です)の作中に、「ムックリくん」というあだ名の少年が登場します。
その少年は、自分の心にしまっている大切な思いを否定されたことをきっかけに、10人ほどの友人達とケンカをします。もちろん多数に無勢・・・しかし、いくら突き飛ばされても、少年は無言で何度も何度もムックリと起き上がってくるので、ケンカ相手もとうとう音をあげてしまいます。
それが少年の「ムックリ」というあだ名の由来となったわけですが、物語はその後、主人公の正子先生とムックリくんの交流の中で、「ムックリ」という名前のアイヌ民族の楽器がある、という筋に繋がっていくのです。
どんな逆境でも、何度も立ち上がる・・・。
「よみがえれ僕たちよ♪」とジュリーが歌うまさにその箇所から柴山さんの「ムックリ」の音色に似たワウ・ギターが絡んでくるというアレンジは・・・まったくの偶然なんでしょうけど、困難に直面している人々が寡黙に立ち上がる姿、「何度もキュンとさせて」くれる姿と、佐藤さとるさんの名作に登場するムックリくんの姿とが僕には重なり合うように思えてきて、改めて感動をもって「Pray~神の与え賜いし」の柴山さんのギターに聴き入った次第です。
(ちなみに僕はつい昨年、栗コーダー・カルテットさんのLIVEで初めて、生のムックリの演奏を体感しました)
話を戻しまして・・・「Uncle Donald」については、CDのフェイド・アウト・エンディングをLIVEでどのように再現するか、というのも夏からのツアーのひとつの見所だと思いますが、それはすなわち、柴山さんのエンディング部でのエフェクト設定がどの程度再現されるのか、されないのか、ということでもあります。
せっかくですから、柴山さんのジェット・サウンドを生で聴いてみたいなぁ。
この音はマルチではなく単体のフランジャーをセットして作り上げているように思えます。その辺りも確認してみたい・・・もの凄い神席でなければ、そこまでは見えませんが。
で、カズラーのみなさん!
柴山さんならば、この曲はほとんどフレットに視線を落とさずに演奏可能です。
つまり、顔を少し上に向けた状態の柴山さんがにこやかにお客さんチェックをするのは、新譜の中ではおそらくこの曲・・・こちらからも要・逆チェックですよ~。
泰輝さんのキーボードは、イントロを別にすると2種類の音を使い分けています。
AメロとBメロで渋く活躍するのが、エレクトリック・ピアノ。軽快に跳ね回る、ちょっとヤンチャでオシャレ、という感じの音ですね。泰輝さんがリスペクトするビリー・ジョエルの曲で言うと、「ロスアンジェルス紀行」のエレピの音色に近いかなぁ。
昨年、同じようなテンポとビートを擁した「F.A.P.P」では、ハッキリしたピアノの音で力強さを表現した泰輝さんですが、今年の「Uncle Donald」ではいかにもエレピ、といった音色を採用し、軽やかさを重視したアレンジとなりました。
しっかりとジュリーの歌詞、下山さんの曲調に呼応した音色設定は、さすが泰輝さんです。
もうひとつの音色は、コズミック系のオルガン。こちらについてはまたまた熱く語らねばなりません。
僕は、今回の新譜での鉄人バンドのアレンジで、「ユニゾン」というのがひとつ大きなキーワードになっていると感じています。
先日の「Pray~神の与え賜いし」の考察記事では、あの激しい間奏でのGRACE姉さんのスネア・ドラムに、ユニゾンのリズムでそっと寄り添う柴山さんのバッキング・ギターについて書きました。
この「Uncle Donald」にも、鉄人バンドのユニゾン・アレンジもアイデアがあります。
この曲のサビ部は「A」→「A(onG)」→「A(onF#)」とコードが進行していきます。「A」(=ラ・ド#・ミ)の和音はそのままに、ルート音だけが「ラ→ソ→ファ#」と下降するのです。
サビ部で下山さんは、「A」コードの構成和音に基づいて、エレキギターで「ド#ラシラ、ド#ラシラ・・・」と単音のリフレインを弾きます。このエレキギターのリフとまったく同じ音階で寄り添っているのが、泰輝さんのオルガンなのです。
各収録曲でここまでユニゾン・アレンジの手法が重なっていることは、やっぱり鉄人バンドがメンバー全員で、ジュリーの歌詞を解釈しつつ編曲作業に取り組んだ結果としか思えないのです。それは、「忘れない」「寄り添う」「共にいる」というコンセプトではないでしょうか。
ですから今回の『Pray』収録曲は、各メンバー個人の作曲→ジュリーの作詞→鉄人バンドによる編曲、という流れの順で制作されたのでは、と僕は推測しています。
当然、この先の「Fridays Voice」や「Deep Love」の記事でも、こうしたユニゾン・アレンジ(「Deep Love」の場合は若干ニュアンスを異としますが)について書かせて頂く予定でいます!
GRACE姉さんのドラムスは、エイトビートの正攻法です。ただ、同じ正攻法の「Pray~神の与え賜いし」が、LIVEでもCD音源とほぼ同じフレージングで演奏しないと成立しないテイクであったのに対し、「Uncle Donald」の方は自由度が高いテイクと言えます。
「だん、つ、だ、だん♪」というキックの音も良いですが(特にBメロ)、僕がこの曲のドラムスで一番惹かれるのはライド・シンバルですね。
それまでハイハットで刻んでいたエイトビートが、サビ部でライド・シンバルに引き継がれます。そこで無機的に8つ打ちをするのではなく、表拍にアクセントを持たせています。一瞬4つ打ちに聴こえるくらいの、ハッキリした強弱の正確な表現です。
それが一転、サビ後の「Esusu4→E」の循環する和音に載せたコーラスとギターソロの間奏では、ライド・シンバルのトリッキーな裏打ちの強調が繰り出されます。1’49”あたりの打音が聴き取りやすいでしょうか。
このあたりはフレーズを決めての演奏ではないでしょう。LIVEでどのように変わってくるのか、というのも興味深い見所です。
最後に、ジュリーのヴォーカルについて。
この曲の最高音は、Bメロに登場する高い「ファ#」の音。これはジュリーが気合を入れずに(と言うのもおかしな言い方ですが)自然に発声できる音域の上限くらいの高さなのかな。
その半音上の「ソ」になると、さすがのジュリーにも苦労するシーンが見受けられます(昨年ツアーでの「ス・ト・リ・ッ・パ・-」のサビ部など)。
まぁ最高音がどうあれ、「Uncle Donald」を音源と同じキーで通しで歌ってみて分かるのは、聴いた印象以上に男声にとってはかなりキツイ音域の曲だということです。この曲でのジュリーの声は、本当に自然で力みが無いように聴こえるんですけどね。
みなさま同じことをお感じと思いますが・・・この曲のヴォーカルの白眉は何と言ってもBメロ「忘れちゃいけない♪」の語尾の「い」ですよね~。ジュリー・ヴォーカルの得意技、最強の表現でしょう。
この表現はオールウェイズ期、エキゾティクス期に多く見られることもあって、伊藤銀次さんあたりが大喜びしそうなヴォーカル・テイクなんですけど・・・銀次さん、ジュリーの新譜聴いてるかなぁ。
個人的にこの曲は、生のLIVEで先輩方が客席でどう反応するか、というのも楽しみにしているんですね。僕としてはその場で先輩方のリアクションに合わせるだけなんですけど、手拍子なのか、じっとしているのか・・・まったく予想がつきません。
1週遅れで参加となった『BALLAD AND ROCK'N ROLL』では、「エメラルド・アイズ」のイントロを機にお客さん総立ち、と意表を突かれるパターンがありましたが・・・ひょっとしたら今年のツアーでは、それまで着席状態だったのが「Uncle Donald」で一気にスタンディング、なんてこともあり得るかな?
下山さんの軽快なポップ・チューンに載せた、ジュリーの妥協なき流儀。
ドナルド・キーン氏のことを歌ったこの歌詞が、「僕はこう!」というジュリーの主張が新譜収録曲の中で最も激しく表に出ているのでは・・・と僕は感じています。
ただ僕は、「絆は消えゆく傷」という表現に、まだ戸惑いを持っています。もちろんジュリーが意図したところは何となく分かるような気がしているのですが・・・ストン!と落ちる明快な解釈が僕の中では降りてきていません。
LIVEで聴けば、何か掴めるかな・・・。
さて、冒頭に書いたように僕は今週末、初の音楽劇を体感する予定でが、そちらのレポート(自分がお芝居のジュリーにどういう感想を持つか、まったく予想できません。本当に初めてですから・・・)は、『Pray』全曲の考察記事を書き終えた後にしたいと考えています。
次回、「Fridays Voice」の記事でお会いしましょう!
(追記)
僕は普段テレビドラマとか全然見ないんですが、昨夜放映の『最高の離婚』で、主役の瑛太さんが「君をのせて」を歌うシーンがあったそうですね。
『サマー・タイムマシン・ブルース』の映画版で知った瑛太さんは、個人的に好きな俳優さんの一人。
昨年僕は、とある結婚パーティを迎えた新郎から「新婦に向けて1曲歌いたいのでアコギで伴奏してくれ」と依頼され、「ジュリーを歌え」と条件をつけて承諾したことがありました。
となると、曲は当然「君をのせて」ということに落ち着きますわな~。
新郎の彼はメチャクチャ歌が上手いヤツなんですけど、まぁそんな完璧にカッコつけさせるのも癪だし面白みに欠けるじゃないですか。
伴奏はアコギ2本。単音(リードギターね)を担当することになった後輩と2人でしめし合わせて、ちょっとした悪企みをやらかすことに。
前々日のスタジオのリハーサルでは何食わぬ顔でオリジナル通りのハ長調で演奏していたのを、本番ではいきなりニ長調(ハ長調より1音高い)からスタート。しかも最後のサビは半音上がりではなく1音上がりの転調にアレンジしました。
そうすると最終的なキーはホ長調となり、最高音は高い「シ」の音まで跳ね上がります。そんな高音、ジュリーですらそうそう簡単には出せません。
最高音が登場するのがまた、「ああ~ああ君を~♪」という、曲中で一番イイところなんですね~。
新郎君、「こんなハズでは・・・!」と顔を真っ赤にして熱唱・・・いや絶唱するも、最後の「ああ~ああ♪」では、期待通り2回のリフレインとも見事なまでに声をひっくり返して、場内は爆笑に包まれたのでした。
でもね・・・新婦さんは笑いながらも感激の涙を見せてくれましたよ。
要は、この「君をのせて」という曲・・・当然ながら皆がジュリーのように美しく歌えるわけではないんだけど、どんなに下手であろうと、高音が出なくとも、シンプルに愛を表現しようとする時必ずその気持ちが伝わる歌なんだ、と思うんです。
こんな不朽の名曲がソロ・デビュー・シングルだったというのは、ジュリー奇跡の歌人生において、やっぱり特別なことですよ!
瑛太さんは歌は本業ではないし、決して上手く歌えてはいないと思うんです(見てないけど)。
でも、絶対伝わる。
「君をのせて」ってそういう曲なんです。選曲を担当されたドラマのスタッフさんには、大きな拍手を送りたいですね~。
瑛太さんが歌う「君をのせて」、見てみたかったな・・・。
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「『Pray』」カテゴリの記事
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コメント
DYさん、つべで瑛太くんの『君をのせて』を見つけましたよ!寿命は長くないと思われるので、取り急ぎ貼っておきます。本題に関しては、もう少し推敲を重ねてから、あらためてコメントします。
http://youtube.com/watch?v=GKbSmy2oxkQ
実は、私も、このシーンを見るのは初めてで、正直、瑛太くんの節回しにジェネレーションギャップを感じてしまったのですが…楽曲が、とても素敵な使われ方をされているので満足です!
投稿: 74年生まれ | 2013年3月22日 (金) 19時37分
74年生まれ様
このリンクはマズいでしょ~とか思いながら観てしまいました…いやいやありがとうございます!
瑛太さんの「君をのせて」、イイじゃないですか!予想以上です。
もちろんジュリーとは比較できませんが、声が良いですし、何より、取り繕おうとせずに、心をさらして徐々に歌に入っていく雰囲気が伝わります。さすが一流の俳優さんは違いますね!
昨日から拙ブログは「君をのせて」の検索で多くの方がヒットして下さっています。
中には『沢田研二 君に乗って』という検索フレーズでお越しのかたもいらっしゃいましたが(笑)…これも、ドラマで初めて曲を知り、曲の素晴らしさに惹かれて調べていらっしゃる方が多い、という証明のような気がして、ジュリーファンとしても嬉しいことです。
視聴者の方にそこまで伝えられるというのは、曲の力はもちろんですが、瑛太さんの飾らないカッコ良さの力もあったのでは、と思いますよ~。
投稿: DYNAMITE | 2013年3月22日 (金) 20時35分
DY様 こんばんは。
優しく穏やかなメロディに優しいれど厳しい視線の歌詞。
「絆は消えゆく傷」
私な勝手な解釈ですが・・・。
「「消えゆく傷」と「消えゆく絆」を掛けたのではないかと。
2年経って同じ被害を受けた人たちも現在の立ち位置はずいぶん変わってるんじゃないでしょうか。
たとえば家族全員を喪った人でも遺体を弔えた人とそれこそ髪一本を今も探し続けている人では。
最初は同じ立場同志、強い絆があっても、それなりに区切りをつけられた人から絆を離れて旅立ち、区切りをつけられない人たちが細くなっていく絆の中へ取り残されていく。
もちろん傷を癒して旅立って行く人を責めることなんて出来るはずないですが。
人は変われ、いや変われてしまえる、そして、さめてしまう。
支援する人達も寄り添うことからとにかく前へと手助けのやり方がシフトしてしまう。
一番傷が癒えていない人達、もはやすがれる絆をも見失いそうになっている人達を忘れるな、というメッセージではないかと思ったのです。
投稿: nekomodoki | 2013年3月22日 (金) 21時22分
追伸 74年生まれ様
私もしっかり視聴させていただきました。
ありがとうございました。
投稿: nekomodoki | 2013年3月22日 (金) 21時25分
DYさん、お邪魔します。
私も「絆は消えゆく傷」というフレーズの意味については、nekomodokiさんの説と似た解釈をしました。ジュリーは、明らかに“きず”を掛詞として使っています。意図的に使ったと思われます。1番の♪あなたが期待し明日を見た 僕たち幻だったのさ♪というくだりのあとに続くと『日本の“絆”は、結局、身体の傷のように、跡形もなく消えるものだった』という意味にとれますし、2番の♪あなたの言葉が刺のように 僕らの胸に傷を残し♪というくだりのあとに続くと『でも、それさえも忘れる人がいるのだろう』と、とれます。でも“る”を“RHU”にして、あえて意味を限定しないところに希望を感じます。個人的には、この楽曲の詞は、被災していない人たちを念頭において書かれたものだと思っています。ジュリーは、実に冷徹に、震災が風化してしまった現実を見つめています。それも、キーン氏への敬意の表れだと思います。そして、この曲でのジュリーの歌唱は、とても男らしいです。
投稿: 74年生まれ | 2013年3月22日 (金) 21時51分
この曲のアコギは、本当にいいですね。
私の希望としては、LIVEでもぜひ
下山さんのアコギで聴きたいなーと思ってます。
ご紹介のブログと新聞記事も、
読ませていただきました。
ありがとうございます。
発売日以来、私は今日初めて歌詞を読みました。
(今まで意図的に見ずに聴いていました)
それで瞠目したのは、
「人は変われ」と「人はさめて」の後、
わざわざ改行して、「RHU」と繋がるところです。
ここで言葉を切って改行するかしないか、
「る」とせずに「RHU」とするかどうかで、
全く変わりますものね!
この「RHU」の部分もですが、
もうひとつ、
「You're Japanese」の部分を
ライヴではジュリーがどう歌う(呟く?)か、
が私の最大級の注目点です。
投稿: ちこ | 2013年3月23日 (土) 01時42分
nekomodoki様
ありがとうございます!
そう、この曲はとてもポップですが、厳しさがありますね。ジュリーの妥協の無さ、とも言えるかもしれません。
「絆は消えゆく傷なんだね」の語感のかけ合わせについてはもちろん分かります。
僕が気になるのは、「絆」というフレーズをジュリーがどういう意味で使っているか、なのです…。
まず、肯定なのか否定なのか。
僕はジュリーが「絆」をあまり良くない言葉として使ったのではないか、とまず思い、でもそれではあまりになぁ…と、まだ悩んでいます。
LIVEで聴いて、ジュリーの生のニュアンスを受け取るしかないかな、と思っているのです…。
☆
74年生まれ様
ありがとうございます!
「絆は消えゆく…」についての僕の戸惑いについては、nekomodoki様へのお返事の通りです。
あと、僕は昨年のことでやっぱりまだ引き摺っていることがあるんですよ…。去ってしまった人のことです。
どうにも忘れがたいのです。まさに深情けですよ。
しかしジュリーが「深情け」を悪い言葉として捉えず、「忘れること=薄情」と歌ってくれたことで、なるほどそういうものか、と思えたり…。まぁ個人的な受け取り方の話なのですが。
忘れないこと、には覚悟もいる…僕は「Uncle Donald」に限らず新譜全体からそんなふうに感じています。
「Deep Love」の記事でその辺りについて書こうか、書くまいか…まだ迷っています。
☆
すみません、一度切ります。
投稿: DYNAMITE | 2013年3月23日 (土) 20時07分
DY様 こんばんは。
「絆」のとらえ方・・・ですか。
違和感を感じたことはあります。確かに。
特に原発に関しては、問題の本質を曖昧にしそうな言葉だと。
でも日本全体のことと今は考えるべきだからと納得してましたが。
なぜか「しあわせの悲しみ」の一見矛盾した歌詞を思い出しました。
「しあわせの悲しみは悲しみのしあわせよりもっともっと傲慢だ。それを僕は信じない」
去って行った方のこと、私も忘れていません。忘れてはいけない、と思います。
投稿: nekomodoki | 2013年3月23日 (土) 22時01分
ちこ様
ありがとうございます!
前作の「カガヤケイノチ」や「3月8日の雲」、今回の「Uncle Donald」…下山さんのアコギの音は本当に素晴らしいです。フレーズどうこう以前に、鳴ってる音だけで既に良い、という…。
僕も最初の数回は歌詞カードを読む前に聴きました。
ですから素直に「人は変われる」という希望を持って聴きました。ただ、そうすると余計に「絆」というフレーズをジュリーがあまり良くない意味に使っているようで…というのが僕のとまどいへと繋がったのですが…。
LIVEでの「You're Japanese」、楽しみですね。
ここが囁くような感じになるとすると、「Ah…」という喘ぎにも期待できます!
☆
nekomodoki様
ありがとうございます!
やはりそうなのでしょうか。
確かに「絆」「頑張ろう日本」をそのままの意味で受け取ることはできない詞の流れになっているんですよね。
僕は今回の新譜のコンセプトが、風化する世間に立ち向かったもの…つまり「忘れないこと」であると考えた時、自分がずっと引き摺ってきた気持ちはそれで正しいのかもしれない、と思いました。
それは、薄情になどなれない、ということなのでしょうね(個人的な受け取り方ですが)。
ジュリーは凄いです。いつも根っこの部分で聴き手を助けてくれます…。
投稿: DYNAMITE | 2013年3月24日 (日) 11時51分
DY様 こんばんは
PCの状態が悪いので、コメントは控えようと思っていましたが、携帯からすれば良いと気づいて^^;
拙い私の記事を添付してくださって、有り難うございます、と言うか、すみません、という気持ちです。
東京新聞の記事、upしてくださってありがとうございます。
キーンさんの言葉の続きの一端を、知ることが出来て良かった。これからもずっと知りたいと思います。
「静かな民」の資質を、日本人で生まれた私にも備わっているはずの資質を、忘れないでいられるように。
深情けなんでしょうか、私も未だに、ブックマークから外すことが出来ません。いつまでも想い続けています。
今ごろですが、DYさんもお身体のこと大変でしたね。記事に書かれていた方も、持ち直されたご様子で良かったです。存じあげない方でも、同じジュリ―ファンというだけで
投稿: aiju | 2013年3月24日 (日) 23時02分
すみません、慣れないスマホで途中で送信してしまいました。なぜか続きを送信出来なくて><
知らないどうしでも、ジュリ―ファンというだけで、皆んなが元気でいて欲しいと 思ってしまいます。出来れば自分も含め、ジュリ―と共に出来るだけ元気で、いつまでもライブを楽しみたいものです。
投稿: aiju | 2013年3月24日 (日) 23時57分
aiju様
ありがとうございます!
aiju様が記事でご紹介してくださったキーンさんの昨年の会見の言葉は、まさに「Uncle Donald」でジュリーの詞のテーマとなっていますから…それを知らずしてこの曲は語れませんでした。本当に感謝しています。ありがとうございます!
東京新聞でのキーンさんの今後の連載記事については、ソロツアーのレポートで触れていけたら、と考えています。
「深情け」というのは一般的にはあまり良くない言葉として使われますね。それは、相手にとっても自分にとっても辛い情けだから、ということなのでしょうが…。
aiju様もそうかもしれませんが…僕は「何故ふっきれないのか」「何故あきらめられないのか」と苦しんでいたふしがあります。
しかし今回の新譜を聴き、「忘れないでいる」ということがどういうことなのかをジュリーに教えてもらったように思えました。
ジュリーには何もかも見透かされているような気がします。不思議なことですね…。
投稿: DYNAMITE | 2013年3月25日 (月) 09時22分
DY様へ
年度末の行事も済んで、落ち着いた時間の中…“ジュリーの新譜”に、やっと? 向き合えました。
昨年より“直球”という新譜を徒(アダ)や疎かには?…聴けない気持ちと、複雑なる気持ちも?
あって、初聴き? までに2週間も掛かった訳ですが…
1回目は、全曲を殆ど体を動かさず、身構えて? 傾聴し…
予想通り? 途中で涙が込み上げ…聴き終えた後、ボッ〜としてましたが、何とか3回もリピートできたのは、DY様の御伝授や、皆様のコメントを読ませて頂いていたお陰で…昨年よりは“免疫”がついていたからかも知れません。
本日は、まだ、歌詞カードには目を通していません。
やはり、複雑に? 耳に痛くて重い歌詞ですが…
“音”は、想像以上に全曲とも、私にとっては? 馴染める範疇でした。
今、何故か…『遠い夜明け』が、脳内に流れ出しています。
♪幸運と呼ぶものが しあわせのすべてならば〜“♪こんなに心さらして〜 僕はもう歌わないだろう…”
ジュリーは、幾つになっても、
ジュリーのまま…「“安穏”と歌手活動をする」という選択肢は、絶対? 無いことを再確認し、今、改めて…“この道を行く? ジュリー”に浸っています。
30ウン年前…“ジュリ活”を含め、私が、人生のお勉強? のために動き回っていた社会人2年め…委員として市職の組合に出向かざるを得なくなった当時の、体験を書かせてください。
あの頃、公私共に、毎日が本当に楽しく、太平楽に? 生きていた部分もありますが…
組合と“違う考え”を表立って発露された先輩に対し、機関新聞等の“紙爆弾”を駆使し、容赦なく糾弾していく“マニュアル的に集団で行動する人たち”を目の当たりにしてから…
“右”とか“左”とかに? 分けたがる? 考えしか出来ない人たちには、強い嫌悪感を持つようになってしまいました。
必然的に? 自分が全く理解出来ていない事柄に対して、頻繁に、駅前でのビラ配りや、集会に、強引に動員させられることにも、疑念を懐くようになって…
私の中では、今でも、そういう“自発的ではない”動員系の集会は、受け入れ難いものと化したままです。
昨春…ジュリーの“精神性”の高さを、ちゃんと理解しない人たち(*ファンを標榜する人もいたかな?)の歪曲によって、☆『3月8日の雲』発売後、ネット上の“悍(オゾマ)しい書き込み”が拡大されていたことを知り、本当に驚きました。
あの様な立場にいながら…
周囲を捲き込んだり、徒党を組むことを由としないジュリーの“崇高な魂の部分”を…推し量れない輩の、何と多いこと!!
表現の自由(!?)とは言え…
“酷いにも程がある書き込み”も沢山ありました。
何十年経っても、そういう部分で? …実は、日本は何も変わってないことを、ジュリーの
“歌”を通して実感し、唖然としたことは、忘れられません。
そして、相変わらず安易な? 方向性で、ジュリーの“大切な歌”を利用する人々が居るという…?
そんなこと、百も二百も(笑)、承知して(!?)…
猶且つ、こんなにも、東日本のことを真摯に考えている故に、無垢な気持ちのまま…“ストレートな言葉”で、この“大切な新譜”を製作されたジュリーを、誇らしく思うと同時に…
ジュリー御自身のことも、楽曲も、二度と曲解されない様に…どうか、来年の3.11は? もう少し「一般ピープルの“理解の裾野”を拡げられる? 歌詞」を!…と願う次第です。
明日から暫くの間、1日1回は☆『Pray』を聴いたり、『ロックジェット』を少しずつ読み進める時間を取れますので…
また、私の気持ちは変化すると思いますが、DY様のブログには本当に救われています。
感謝してます
追伸:長文、御免なさい。
投稿: えいこはん | 2013年3月25日 (月) 15時35分
えいこはん様
ありがとうございます!
昨年に続き今年の作品…えいこはん様のように向き合うまでに時間を要している方々は多いと思います。
それは作品のテーマから考えて、当然あることでしょう。
でも…ジュリーがこうしたテーマを採り上げる姿勢について、心無い言葉がある…そのことをファンは苦しんではいけない、ということを、僕は次の曲の記事で書かせて頂きたいと考えています。
ジュリーはすべて承知で、それでも自らの思いを曲に託すことには自然な気持ちで取り組んでいると思います。
今、ジュリーを外して日本のロックを語ることはできない、という、ある意味淋しい状況を嘆くべきか…いやいや、日本にはジュリーがいる!
ジュリーファンとしてそれに立ち会えている自分を喜ぶことから始めましょう。
いつかきっと答は出ますよ…。
タイガース再結成もその大事な過程のひとつではないでしょうか。
投稿: DYNAMITE | 2013年3月26日 (火) 12時27分