« 2012年11月 | トップページ | 2013年1月 »

2012年12月

2012年12月27日 (木)

沢田研二 「キャンディー」

from『愛の逃亡者/THE FUGITIVE』、1974

Fugitive

1. 愛の逃亡者/THE FUGITIVE
2. ゴー・スージー・ゴー/GO SUSY GO
3. ウォーキング・イン・ザ・シティ/WALKING IN THE CITY
4. サタデー・ナイト/SATURDAY NIGHT
5. 悪夢の銀行強盗/RUN WITH THE DEVIL
6. マンデー・モーニング/MONDAY MORNING
7. 恋のジューク・ボックス/JUKE BOX JIVE
8. 十代のロックンロール/WAY BACK IN THE FIFTIES
9. 傷心の日々/NOTHING BUT A HEARTACHE
10. アイ・ウォズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー/I WAS BORN TO LOVE YOU
11. L.A. ウーマン/L. A. WOMAN
12. キャンディー/CANDY

---------------------

 

年末、やっぱりバタバタしてしまって・・・すっかり時間が無くなってしまいました。
その間ジュリー界では、オフィシャル・サイトで拓郎さんの番組のTV放映時期の予告があったりしたわけですが・・・僕的に一番エキサイトしたのは、”若大将”と呼ばれていた現役時代の原辰徳監督にジュリーが曲を提供していた、という事実を初めて知ったことです(かの様ありがとうございます!)。
しかも2曲。
いずれも作詞・藤公之介さん、編曲・大野さんとのコンビで、「恋はうたかた」と「いくつもの季節」という曲なんですって!

そりゃもう、早速検索しましたよ~。

「恋はうたかた」
http://www.youtube.com/watch?v=giaEjlEYFb4
(「いくつもの季節」の方は見つけられなかった・・・)

おお~!これはキュート・ポップ系です。ジャングル・ビートのベースラインが渋い!
「都会は~蜃気楼♪」のトコのコード進行が斬新過ぎてビックリしました。いかにも定跡にとらわれないジュリーらしい作曲展開ですね~。

僕はアンチ巨人の阪神ファンですけど、それは野球というスポーツを楽しむ上で特定球団についてそう言ってるだけのことで、選手や監督個人については・・・阪神だろうが巨人だろうが他球団だろうが、ほとんどの野球人が憧れのスターです。現在の巨人にも、内海投手や坂本遊撃手など好きな選手もいてリスペクトしていますし、越智投手の復活も応援しています。

原さんのことも、現役時代から好感を持っていました。
レコードを出していたのは知ってたけど、こんなカワイイ歌をジュリーに提供して貰っていたとはねぇ~。
ちなみに原さんの歌唱力ですが、若き日のこの1曲だけで判断なさってはいけません。てらいのない素朴な味わいの歌声には定評があり、素人としてはかなり上手い方なんですよ~。

もしも来年ね、ジュリーの発議した「虎竜燕による巨人包囲網」が打ち破られ、ジャイアンツが連覇を成し遂げたとしたら・・・仕方ない、「敵ながらあっぱれ」ってことで、不肖DYNAMITEが「恋はうたかた」の考察記事を執筆し、ヤケクソで優勝のお祝いをしてあげようじゃあないの!

話が大幅に逸れました(汗)。
あと、このところの動きと言えば・・・ピーのイベント『瞳みのると過ごす年の瀬のひととき』にて、ピーから”全員タイガース”の具体的な予定についてお話があったとか・・・。
こりゃ来年の12月後半は、自分の誕生日がどうのこうのと言ってる場合ではなさそうですね!

そんなこんなで今年ももう残り僅かです。
”全然当たらないセットリスト予想”シリーズは今回でラスト。そしてこの記事が、2012年最後のブログ更新となります。
お正月コンサート・セットリスト予想として記事執筆構想を温めていた曲は残り3曲あったのですが、うち2曲はまた次の機会に、ということになりました(お正月にジュリーが歌ってくれたら、”セットリストを振り返る”シリーズにてすぐに書きたいと思っておりますが、まぁ僕の予想は大方ハズレますから・・・)。
まずは、その書けなかった2曲について少しだけですがここで触れておきます。

1曲は、アルバム『彼は眠れない』から、「噂のモニター」。
吉田建さんの作曲作品です。これは、「現在の鉄人バンドスタイルでバッチリはまる過去の曲は?」という主旨で語るつもりでした。
同じく建さん作曲で、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』収録の「FOXY FOX」と比較すると、尖ったセヴンス・ロック・ナンバーの雰囲気はよく似ているのに、アレンジの手法がまったく違います。「FOXY FOX」ではそのベーシストとしての腕を前面に押し出しているのに対し、「噂のモニター」は一瞬「これ、ベース入ってるの?」とすら思えるほどに、自身の演奏ミックス・バランスは控え目です。
その変化から窺えるのは、ジュリーのアレンジャー、プロデューサーとしての吉田建さんの意気込み。JAZZ MASTER期の中でもとても重要な曲だと考えています。

下山さんのアコギ、柴山さんのエレキ、というアンサンブルがいかにもマッチしそうで、是非鉄人バンドの演奏で聴いてみたいと思っているのですが・・・。

もう1曲は、アルバム『告白』から「護り給え」。
実現すれば、LIVEで採り上げられるのは『ワイルドボアの平和』以来6年ぶりということになります。「今の世相、社会に対してのジュリーの想い」というテーマで予想したもので、少し前までは今回のセットリスト予想、本命中の本命でした。
しかし今は「これはどちらかというと、ジュリーの想いよりむしろ、ファンの側からジュリーに対する気持ち」という感じなのかな、と考えが変わってきました。

例の、選挙応援演説・・・僕はジュリーの決断を尊重こそすれ抵抗は皆無でしたが、ただただ色々なことが心配で、当日は「護り給え」とひたすら祈っていました。同じ頃、おふたりのJ先輩もこの曲のタイトルを挙げていらっしゃいました。
しかし無事に終わってみれば、僕などが心配するようなことは何も無かったという・・・。「ジュリーらしいなぁ」と感心するばかりでした。
そのため、セットリスト予想していた「護り給え」についての心構えはずいぶん変わりました。
もしお正月に歌ってくれたら、純粋に楽曲の素晴らしさ(テンポこそ異なりますが、「カガヤケイノチ」同様の優しいワルツです)や、リリース当時から現在に至るまでの、この曲に込めるジュリーの世界観の変化などについて僕なりに考えていることもありますので、改めて書いてみたいと思います。

残った1曲が本日のお題です。
アルバム『愛の逃亡者/THE FUGITIVE』から。
「キャンディー」、勝手にご指名!

この曲は、これまで3人のJ先輩からリクエストを頂いていました。最初にリクエストをくださった先輩のコメントは、うわ・・・2009年です。ずいぶんお待たせしてしまいました。まだこちらにいらしてくださっていると良いのですが・・・。

僕が「キャンディー」を今回のセットリスト予想に挙げたコンセプトは

”絶対にジュリー自身、大のお気に入りの曲のはずなのに、最近LIVEでご無沙汰になっているナンバー”

というもの。
この観点ではもう1曲・・・すでに記事執筆済みの「ジャスト・フィット」も有力で、いずれかが今回のお正月コンサートのセットリストに選ばれ、ハジけて歌うジュリーが見られるのではないかなぁ、と考えた次第です。
もちろん、2曲共歌ってくれたら最高なんですけどね!

さてお題の「キャンディー」ですが、普通に表記するなら「CANDY」と英語タイトルにするのが正しいんでしょうけど、ここでは敢えてカタカナにしています。
と言うのは・・・やはりこの最高にカッコ良いアルバム『愛の逃亡者/THE FUGITIVE』という名盤の、ある特性を考えましてね・・・。

このアルバムは、古き良き60年代ポップン・ロールの真髄を、東洋の若き歌手が、プログレやハードロック、アフターサイケ全盛期の中で敢えて押し出したというプロモート戦略がまず素晴らしい。
「昔何処かで聴いたような、懐かしい感じ」を世界中のロック・リスナーに捧げる、というね・・・。言ってみればポピュラー・ミュージックとしての”ロック”の直球手法なのです。純粋に良い楽曲と、本物のヴォーカリストが揃っていなければ不可能なプロモート。
もちろん、ルックス含め当時のジュリーほどそれにうってつけの人材はいません。正しく、日本に沢田研二あり!ですよ。

「良き時代のポップス、ロックンロール」・・・特に日本のジュリーファンにとってそんな感慨を一層かきたてるのは、各収録曲に英語タイトルと日本語タイトルの2通りが用意されている、という粋な構成。これ、洋楽レコード・コレクターにとってはたまらないものがあるのです。
英語タイトルがまずあって、それをただカタカナにしただけの”邦題”が並べて書いてあるだけでも何かウキウキする感覚・・・分かる方も多くいらっしゃるはず。

例えばビートルズのファーストですと、おそらくみなさまご存知の曲で「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」(ジュリーのカヴァー・ヴァージョンも最高過ぎます!)など、単にカタカナにした邦題ならではの味わいがあります。
ちなみにこの曲、後に「その時ハートは盗まれた」という別の邦題が一部流れたりもしていますが、そんな感じの日本語解釈による邦題もまたイイもので、『愛の逃亡者/THE FUGITIVE』にも、タイトルチューンの「愛の逃亡者」をはじめ、「悪夢の銀行強盗」「恋のジューク・ボックス」「十代のロックンロール」「傷心の日々」と、イカした和製タイトルが並んでいますね。

こうした”邦題”の魅力については、このアルバムからまたしかるべき曲をお題に採り上げた際に、暑苦しく語ろうと思っています。

さて、純粋に楽曲的な”古き良き感覚””永遠の懐かしさ”といった要素について。
70年代にこうしたポップン・ロール・スタイルを掲げて頭角を現したアーティストとして、エルトン・ジョンが挙げられると思います。ジュリーのこのアルバムにも同じテイストがあって、「十代のロックンロール」などは初めて聴いた時に「エルトン・ジョンみたいだなぁ」と感じたものでした。
そして、エルトン・ジョンの大きな魅力のひとつが、「懐かしさ」だけに留まらない斬新な楽曲構成・・・そうそう簡単にはマネして弾けないぞ、という緻密なコード進行にあります。それを究極にポップに仕上げ、理論的な難しさを全く感じさせないところが、彼の職人的な素晴らしさだと思うのです。

『愛の逃亡者/THE FUGITIVE』収録全トラックの作曲者であるウェイン・ビッカートンにも、エルトン・ジョン同様の卓越したセンスがあります。
この人物については、不勉強な僕があれこれ語ることはやめにしましょう。いわみせんぱ・・・いや、いわみ先生の素晴らし過ぎるこちらの記事を是非ご参照くださいませ(いわみ様は現在地元の議員さんとしてご活躍中で、多忙につき残念ながらブログの更新は中断しています)。

そんなビッカートン入魂のアルバム収録全12曲の中、最も斬新なコード展開を擁する楽曲こそ、本日のお題「キャンディー」です!
キャッチーで親しみやすい、極上のポップ・ロック・・・それがいざ構成を紐解いてみると、複雑極まりない転調をバシバシ繰り返しているという、一筋縄ではいかない素晴らしい大名曲なのですよ~。

いざ採譜してみますと、まず初っ端の

♪ Candy~ ♪
  F#

は、コードネーム通りのトニック、嬰ヘ長調でスタート。
ところが瞬時に

♪ I love you girl you know I do
  E                       B

  I want you to distraction girl  You know its true ♪
  F#m                  G#7                 C#m

と進むと、「ありゃ、一体どういう理屈になってるんだこれ?」と戸惑いながら和音を探すことに・・・。少なくとも「F#m→G#7→C#m」の流れは嬰ハ短調もしくはホ長調特有の進行。
続く

♪ I know it true  What can I do ♪
  E           F#    E             F#

で登場する「E」「F#」がそれぞれ「B」コードに向かうサブ・ドミナントとドミナントになっていることが曲調から判明し、ここではいつの間にかロ長調へと転調していることが分かります。
そうかと思えば息つく暇もなく

♪ Candy, you know you got me hooked on you ♪
  B              E                      C#

の最後の「C#」はメロディー冒頭の「F#」のドミナントとして機能していて、そのまま2番へと流れ、再び嬰ヘ長調に移行していくという・・・。

これほど複雑に練られたコード進行にも関わらず、メロディーにはまったく無理がありません。むしろ恋する主人公の滾る想いが聴き手にストレートに伝わってくるのが本当に凄いです。
こういう作曲スタイル、曲想はジュリーとしても手が合うのか、ヴォーカルの切れ味は言うに及ばず、後に自ら作曲した「夜の河を渡る前に」のコード進行の理屈とも共通点を見出すことができます。

まぁしかし・・・これまで他の曲でも散々書いてきたことの繰り返しになりますが、「キャンディー」についても、一番素晴らしいのはジュリーのヴォーカルですよ!               
アルバム収録曲の中では「マンデー・モーニング」と双璧を為す、”ロック”なキレっぷり。加えて「キャンディー」の場合は、ジュリー必殺の”かすれ声攻撃”が炸裂していますからね~。
普段は艶のある声のヴォーカリストが、かすれた声で狂おしく歌う・・・僕にとってはその代表格がジョン・レノンかジュリーか、ってくらいです。

ジョン・レノンのかすれ声逸話で有名なのは、やはり「ツイスト・アンド・シャウト」でしょうか。
ビートルズのファースト・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』が、当時まだ無名だった彼等に用意されたたった1日限定のスタジオ作業でレコーディング・トラックを完了したという驚くべき事実(先にシングルとしてリリースされた2枚分4曲を除いた全10曲。正確には、セカンド・アルバム収録「ホールド・ミー・タイト」の前身ヴァージョンを加えて11曲)。
朝からブッ続けの作業・・・夜の10時を過ぎた頃、最後の最後に演奏され歌われた曲こそが「ツイスト・アンド・シャウト」でした。折しも風邪をこじらせてしまっていたジョンが、ドロップをなめながら最後の声を振り絞ってレコーディングされた第1トラック(!)が、世に音源としてリリースされ今なお世界中で多くの人に聴かれている、あの”かすれ声シャウティング・ヴォーカル”なのですね。

そこで僕がふと想像するのは、ジュリーのアルバム『愛の逃亡者/THE FUGITIVE』、ロンドン・レコーディングのスケジュールです。
ジュリーは売れっ子だったし何しろ忙しかったし、そうそう腰を据えて何か月もかけてレコーディング、とはいかなかったでしょう。発音の練習などをスタジオで費やした時間は省き、真にヴォーカル・レコーディングに費やされた時間というのは、とても少なかったのではないでしょうか。
朝から晩までかけて1日に数曲のヴォーカル・本番録り、のパターンも充分考えられます。
長時間酷使した喉で、1日の最後に録音された「キャンディー」が、結果ジョンの「ツイスト・アンド・シャウト」のような奇跡の”かすれ声ヴォーカル”トラックを生んだ・・・実際どうだったかは知る由もありませんが、僕はそんなふうに想像してしまうのです。

ジュリーのLIVEを観るようになってから、ジュリーはステージ終盤に向かってどんどん声が出るようになってくる、と感じることが多いです。
「キャンディー」のヴォーカルに、僕はそんな雰囲気を感じるんだけどなぁ・・・。生でそれが体感できたら、どれほど幸せなことか。

ということで。
今年も1年間、お世話になりました。
拙ブログも老虎ツアーを機にアクセスが増え、とても励みになっています。遊びにいらしてくださったみなさま、本当にありがとうございます。

年末年始は留守にします(たぶん)ので、記事で新年のご挨拶をさせて頂くのは、3日の夜か4日になる予定です。
その頃はもう、『燃えろ東京スワローズ』初日が目前に迫っているんですね・・・。別館side-Bの方も準備もしなければ。

それではみなさま、よいお年をお迎えくださいませ。

| | コメント (21) | トラックバック (0)

2012年12月20日 (木)

沢田研二 「YOKOHAMA BAY BLUES」

from『HELLO』、1994

Hello

1. HELLO
2. DON'T TOUCH
3. IN BED
4. YOKOHAMA BAY BLUES
5. 卑怯者
6. RAW
7. ダーツ
8. Shangri-la
9. 君をいま抱かせてくれ
10. 溢れる涙

--------------------

本日誕生日を迎え、46才になってしまいました。
「始終ロック」です。いよいよアラフィフですよ!

同級生の友人などは、40才を超えたあたりから、毎年訪れる誕生日を嘆くようになってきました。身体のこと、生活や仕事のこと・・・色々と自分の年齢を実感しての必然の流れなのでしょう。まぁ、聞く人が聞けば「何言ってる!20年早い!」と怒られそうな話なんですけどね・・・。
僕も前回の記事では四十肩がどうの、老眼がどうのと書いてしまいましたが・・・実は、多くの同級生のような悲嘆の気持ちまではありません。
これから先の人生、心がけ次第でまだまだ素晴らしい体験が待っていることを知っています。
そう思えるのは、ジュリーやタイガースのメンバー、ジュリーファンの先輩方をいつも見ているから・・・。本当に感謝、感謝です。

毎年この日は、大変恐縮ながら自分の誕生日を自分で祝うべく、「今の自分と同じ年齢の年に、ジュリーはどんな曲をリリースしていたか」というテーマでお題を採り上げることにしています。

今月に入ってからあちらこちらのブログ様を拝見しておりますと、12月生まれのジュリーファンの先輩方が多くいらっしゃるようで嬉しくなります(おめでとうございます!)。
でも考えてみれば、ジュリーファンの数自体が多いわけですから、どの誕生月の方もそれなりにたくさんいらっしゃるのか・・・。

いつも思うのですが、自分はこの年末の、世間がとても慌しい時期に生まれてきたんだなぁ、と・・・。
おかげで毎年、仕事も忙しい最中にこの日に合わせて記事を仕上げるのにひと苦労しています。ただやっぱり、自分の誕生月というのは特別な思い入れがあるもので、僕も公私共に何かと頑張ってしまう12月なのです。

当初、僕の出産予定日は実際よりも20日ほど後の1月10日頃、と言われていたそうです。
それが46年前のこの日の朝、母親は普通に家にいて、父親を会社に送り出した直後にいきなり産気づき、タクシーを呼んで病院へ。
後に聞いた話では、タクシーの運ちゃんはその時、信じられないほどの猛スピードでカッ飛ばしてくれたんだとか。まぁ、車の中で生まれたら大変だ、と思ったんでしょうね。
で、病院に着くなりあっけなくポン!と生まれたそうです。どうしても射手座に生まれたかったのかな。射手座は情熱と献身の星、と言われるそうですね。ジュリーファンとしての自分にはピッタリ当てはまるような気がしていますよ~。

拙ブログもじゅり風呂デビューして、はや数年・・・ブログも僕自身もだんだんと年をとって参りまして。振り返ると、43歳の誕生日に「BACK DOORから」、44歳には「Courage」、45歳に「F. S. M.」と書いてまいりました。
・・・ん?まったくの偶然ですが、ここまでこの日に採り上げてきた楽曲タイトルには、横文字表記のお題が並んでいますね・・・。

こういうことは、是非今年もゲンを担いで
(何のゲンだ?)続けましょう!
そうするとその流れで来年は、アルバム『sur←』から、ジュリーのエロが爆発するあの曲ってことになりますか。そして再来年はアルバム『愛まで待てない』から「強いHEART」か「MOON NOUVEAU」か・・・。
その翌年にはストップしてしまうのが悔しい(アルバム『サーモスタットな夏』収録唯一の横文字表記曲である「PEARL HARBOR LOVE STORY」をもう書いちゃってるから)ところですが・・・。

ということで本日は、ジュリーが46歳になった年にリリースされたアルバム『HELLO』から、お正月コンサート・セットリスト予想としてもふさわしい、横文字タイトルの曲をお題に採り上げます。
「YOKOHAMA BAY BLUES」、ご指名!

やはり、いくら”全然当たらないセットリスト予想”とは言え、通常記事のようにランダムに自分の思い立った曲を、というのではなく、それなりの予想根拠というものが必要です。
今回のこのシリーズでは、まず「ジュリー自身がその曲を好きかどうか」を特に念頭に置いて予想曲を採り上げています。

アルバム『HELLO』でジュリー自身の一番のお気に入りは、まぁ間違いなく「君をいま抱かせてくれ」でしょう。
僕がジュリー堕ちする以前からLIVE率が高かったようですし、何と言ってもあの『ジュリー祭り』でこのアルバムから唯一選ばれた曲です。ヒヨッコの僕は『ジュリー祭り』ではポカ~ンと聴いてしまいましたが、今年の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーでようやくリベンジを果たすことができました。

では、アルバム収録の他の曲についてはどうでしょうか?

個人的に一番聴きたいのは「Shangri-la」なのですが(僕は何と、プレプレツアーのセットリスト予想として過去に記事を書いています。今思えば何の根拠もない無謀な予想でしたね・・・)、さすがに難しいような気がします。
LIVEでお馴染み、とまでは言えないけれど、僕が「君をいま抱かせてくれ」以外にこのアルバム収録曲を生で聴いたことがあるのは、『歌門来福』で歌われた「溢れる涙」。これはなかなか貴重なサプライズでした。
それ以外でジュリーの気に入ってそうな曲、「歌いたい」という気持ちが強い曲と言うと・・・やはりシングルの2曲ということになるのではないでしょうか。

「HELLO」と「YOKOHAMA BAY BLUES」。

どちらも横文字ですし
(←それは全然関係ナイ)、このシングル2曲は「両A面」としてリリースされんだそうですね。

さてここで、前回記事「GO-READY-GO」を予想した際の、”作曲者来場の可能性”という要素について考えます。
「YOKOHAMA BAY BLUES」で、作曲ばかりか作詞にもクレジットを連ねる八島順一さんは、日頃からしばしばジュリーのLIVEに訪れ、「自分の手がけた曲をやってくれた!」と喜んでいらっしゃるようですね。ジュリーも八島さんの曲には好きなものが多いのでしょう、LIVEで採り上げる率はかなり高いようです。
八島さんは、きっと来年早々のお正月コンサートもまた観に来られるのではないかな?
もちろん八島さん作曲のジュリー・ナンバー大名曲は数知れず、「愛しい勇気」なんてまた聴きたいなぁ~、とか思うわけですが、八島さんが「僕の曲をやってくれた!」と感動されている図というのを想像しながら僕は、アルバム『HELLO』収録曲からなら「YOKOHAMA BAY BLUES」だ!と狙いを定め、勝手に推奨することに致しました。

その「YOKOHAMA BAY BLUES」、作詞・作曲がいずれも連名表記という、珍しいクレジットになっていますね。

作曲が「後藤次利、八島順一」。
作詞が「八島順一、沢田研二」。

推測ですが、この表記はそれぞれの作業にとりかかった順番に列記したものではないでしょうか。
この時代になるともう、(ジュリーに限らず一般的にも)曲作りは基本的にメロディーが先にあって、後から詞を載せるパターンかと思います。
まず、アルバム・プロデューサーでもある後藤さんが作った、曲の概観のラフ・スケッチのようなものがあり、それを受けて八島さんが纏め上げたのかな・・・?
八島さんはメロディーを確定させる段階で同時に詞のイメージをも喚起し、少なくとも1番の歌詞は仮歌を入れた状態でアルバム収録用にプリプロしたのだと思います。

作曲家はこういう時、メロディーをハミング或いは適当な英語などで歌っておいて、その状態で作詞家に改めて歌詞を依頼する、というのが普通の流れです。
しかしこの曲の場合、八島さんが作ったハッキリした日本語の詞が部分的にあり(八島さんとしては、それが本採用されるかどうかというところまでは念頭に無かったでしょう)、じゃあ詞は誰に依頼しようか、となった時、ジュリーが八島さんの詞のアイデアを気に入り(おそらく、「YOKOHAMA BAY BLUES」というフレーズが既にあり、ジュリーがそこに反応したのでは、と僕は推測しています)、「続きの詞は僕が書くよ」ということになったのでは・・・。
つまり、「Long Good-by」でのサリーとジュリーの作詞分担と同様のパターンです。

ヒヨッコながら、これまで聴き込んできたジュリー他の作詞作品の雰囲気から比較して考えると

♪ も少し     変われば 
  Em  Emmaj7  Em7     C#m7-5

  許し合える I LOVE YOU ♪
  G    A         Gm     D

この部分などはいかにもジュリーらしい言い回しだなぁ、と思うんだけど・・・みなさまはどうお考えでしょうか。

それにしても「YOKOHAMA BAY BLUES」は、完全無欠と言うか、ジュリー限定!の素敵なバラードです。
良い意味での気障なジュリー・・・言い換えれば歌謡曲黄金時代的な良さもあるし、その一方で、リリース当時のジュリーのプライヴェートな魅力にも満ちています。緻密に仕上げられていると同時に、すごく自然で、爽やかな名曲。
きっと、”横浜”がテーマだったことが大きいのでしょう。


♪ 本牧埠頭から oh 霧が立ちこめると
  D         F#m7      Em        Gm

  濡れてく YOKOHAMA BAY BLUES ♪
     D        B7                  Em  A7

流麗で練りこまれたメロディーとコード進行。
ヴォーカル部直前の「D→Daug→D→Daug」(ギター1本で弾き語る場合は、D→Daug→D6→Daug」と演奏した方が曲の感じがよく出せるような気がします)のリフレインなども含め、初めて聴いた時に、佐野元春さんの「マンハッタンブリッジにたたずんで」という隠れた名曲を思い浮かべたものです。
何処となく、80年代の雰囲気があるんですよね。

♪ 仕方無いさ 泣かないでくれ
  C#7 F#7         Bm          D-5

  三年 過ぎたら 戻るか ら
  Em     Emmaj7      Em7  A7

  離れてく 桟橋に 手を伸ば  す ♪
          G         G#dim   A7sus4 A7

「仕方ないさ♪」の箇所、僕は最初
「C#m7-5→F#7→Bm→Bm7」
という、まぁこれは結構ありがちな進行で採譜したんですけど、音源に合わせて演奏してみると、どうも微妙に鳴りがズレる・・・最終的には「C#7」「D-5」に落ち着きました。

キーが「D」(ニ長調)の曲において、ヴァースの頭に「C#7」が登場するのはポップ・ミュージックではかなり珍しいパターンなんですけど、これはジャズなどでよく使用される「G→C#7→D」の進行を、後藤さん、八島さんいずれかの感性で応用させた作曲じゃないかなぁ。
「G→A7→D」が頻繁に見られる普通の進行とすると、「G→C#7→D」というのはちょっとオシャレで柔らかく、曲線的な感じ。
ロックに導入された有名な例を挙げると、ザ・ビートルズのファースト・シングルB面曲「P. S. アイ・ラヴ・ユー」の出だしの
「As I write this letter♪」
の部分がズバリこれです。
「YOKOHAMA BAY BLUES」の場合は、さらにそこからヴァリエーションとして編み出された「C#7」の使い方ではないか
と推測しています。

「三年過ぎたら・・・♪」からはルート音が「ミ→レ#→レ」と半音ずつ下がり、「離れてく・・・♪」からは「ソ→ソ#→ラ」と逆に半音ずつ上昇していきます。
このあたりも、後藤さんであれ八島さんであれ、ポップ・ミュージックにおける”至高のバラード”の構成を知り尽くした人の作品だなぁ、と感心するばかりです。

そして、ジュリーのヴォーカルにほんのり漂う懐しさ・・・僕が「YOKOHAMA BAY BLUES」にヤラれてしまった最大の魅力がそれなのです。ジュリー自身は決して懐古趣味など目指してはいなかったと思いますが、曲の個性が”かつてのジュリー”を自然に引きだしてしまったような感があります。
みなさまはこの曲のヴォーカルに、エキゾティクス時代のような発声、歌い回しを感じませんか?
例えば、「BURNING SEXY SILENT NIGHT」や「WE BIGAN TO START」といったナンバーのジュリーの声が重なりませんか?
僕だけの感覚なのかなぁ・・・。

この翌年からセルフ・プロデュース期へ突入するジュリー。
アルバム『HELLO』はひょっとしたら、歌番組全盛時代の”ジュリー”というイメージを、最後に残していった作品なのかもしれませんね。

ともあれ、「YOKOHAMA BAY BLUES」はジュリー必殺パターンの”80年代ロック的な”ヴォーカルが堪能できるバラード・ナンバーだと僕は考えています。
是非とも生のLIVEで味わってみたいものです。

それにしても・・・アルバム『HELLO』を初めて聴いてからまだ3年ちょっとしか経っていませんが、あの時は確かに読めていた歌詞カードが、今はメガネかけたままだとほとんど読めん!これは一体どうしたことだ・・・。
特に、お題の「YOKOHAMA BAY BLUES」の下部、演奏クレジットの水色の文字が・・・この配色には目が潰れる思いです。
これから年々、誕生日を迎えるごとにますます読み辛くなっていくのかなぁ・・・。

『HELLO』は普段から好んでよく聴くアルバムなのに、記事のお題に採り上げるのは今回でまだ2曲目だったんですね。
歌詞カードが完全に読めなくなるまでに、できる限り多くの曲を書いておいた方が良いみたいです・・・。

さてさて、みなさまそうかと思いますが・・・いよいよ年の瀬を迎え、忙しくなって参りました。
今年は年末年始をカミさんの実家で過ごす予定となっていることもあり、年内のブログ記事はあと1本か2本書いて終了、ということになるでしょう。
”全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、僕の中での候補曲は残り3曲あるのです。年が明けてからは楽曲考察記事に取り組む時間が無さそうなので、年内執筆分としてこれら3曲の中から1曲か2曲を選ばなければなりません。悩ましい・・・。

寒い日が続いております。
みなさま、お身体には充分気をつけてお過ごしくださいませ。

| | コメント (24) | トラックバック (0)

2012年12月15日 (土)

沢田研二 「GO-READY-GO」

from『greenboy』、2005

Greenboy
1. greenboy
2. atom power
3. Snow Blind
4. 永遠系
5. 笑う動物
6. ふたりの橋
7. GO-READY-GO
8. リアリズム
9. MENOPAUSE
10. 君の笑顔が最高

--------------------

え~、実はつい昨日まで、厳かなバラード曲のお題での更新を考えていて下書きもしていたんですけど、一転、勢いのあるパワフルで血沸き肉躍る別の曲について書きたくなってしまいました。
今、腹の下から活力が上がってくるような感じ。
ジュリーから見た「若者」(いや、僕は世間的には完全にオッサンな年齢ですけど)が、今のジュリーに何を見ているのか・・・と、そういうことが書きたくなった!

そんな感じで、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズ・・・今回も無理矢理な根拠と推測に基づいて、張り切ってまいります~。

さて、毎年お正月コンサート独特の雰囲気を作っているのは、当然ながらジュリー・新年事始への期待。
それはお客さんばかりでなく、会場に足を運んだ著名人の方々にとっても同じでしょうね・・・。お正月コンサートを訪れてジュリーと新年の挨拶を・・・という方もいらっしゃるはず。
初日の渋谷公会堂に、ジュリーをとりまくどんな著名人の方々を見かけるのか・・・これも楽しみですよね。タイガースのメンバーや加瀬さんはいらっしゃるでしょうか。

12月5日にアルバム『ポートレイト・アンド・レジェンド』をリリース、「聴こえなかったシグナル」で久々にジュリーと競演した白井良明さんも、おそらく渋谷公会堂にいらっしゃるのでは、と考えられるお一人です。
律儀なジュリーのこと・・・今回のセットリストには白井さん作曲のナンバーを2、3曲は採り上げると僕は見ました!

白井さん作曲のジュリー・ナンバーの名曲は本当に多くて、もう既に記事執筆済の曲もたくさんあります。
希望」「俺たち最高」「Pleasure Pleasure」あたりを久しぶりに生で聴いてみたいし、この先一度でいいから「不死鳥の調べ」のセットリスト入りを切望しているんだけどなぁ・・・。

そして・・・もうすぐ46回目の誕生日を迎え、いよいよアラフィフ世代へと突入しようとしている僕としては、ジュリー流の年齢の重ね方、覚悟、矜持を改めて注入して貰うべく、ジュリーの人生観がアルバム全体のテーマとも言える名盤『greenboy』からの選曲を是非期待したいところ。
今日はこのアルバムから、白井良明さん作曲のゴキゲンなロック・ナンバーをお題に採り上げます。
「GO-READY-GO」、ご指名!

ジュリーファンとしてまだまだ若造に過ぎない僕のような者がこんなことを言うのはどうかと思いますが・・・いやぁ、最近つくづく年齢を感じることが多くなりました。
昨年の老虎ツアーを前に突如襲ってきた四十肩、新たに知る痛み、突然に気づく衰え・・・。そして、我が物顔で主張を始める白髪、読み辛くなる文庫本(泣)。
「40代中頃から、色々と一気にガタが来るよ」と多くの方々に言われていましたけど、本当なんだなぁ、と実感するこの頃です。

『greenboy』はジュリーが50代後半となり、いよいよ還暦が見えてきた頃にリリースされたアルバム。40代のそれとは比較にならないほどの身体の変化がジュリーにも訪れていたのでしょうか、「老いる」ことへの気構えを歌った曲が多いですね。
それは、「自分はどういう大人になったのか。残りの人生をどう歩いていくのか」というテーマへと自然に繋がっていきます。
ジュリー自身の作詞作品だけに限らず、覚和歌子さんやGRACE姉さん作詞の収録曲にもそんなテーマが表れている・・・『greenboy』はそんなアルバムですね。

僕はこのアルバムを聴くと、「怖れ」の感情がやわらかい気持ちにとって代わり、凡庸たる身にいくばくかの勇気が沸き起こるような気がします。
ジュリーがこれまで様々なことを果敢に乗り越えてきたように、及ばぬまでも自分もこれから何とかやってみるんだ、という気持ちにさせられます。

「GO-READY-GO」の作詞はGRACE姉さんですが、覚和歌子さん同様、いかにもジュリーライフを投影させたような名編。
女性の作詞家がいざジュリーのパーソナルな部分とシンクロした時のパワーは、本当に凄いですね。白井さん得意のパワー・ポップな曲調、佐藤研二さんのうなりを上げる独特のベース演奏と併せ、『greenboy』の中でも特に好きな1曲です。

♪ 恐れの中に 飛び込む勇気だけが
  G        C      G                 C

  難関突破   できる 
  G  G7(onB)   C    C#dim

  生きるためならダイ  ブ ♪
    D                   B♭7   G

怖いものは怖いと認めた上で、対峙する勇気を持つことを歌っているのでしょうか。
作曲の経緯は語感から推測して曲先だと思いますが、白井さんの曲がまた、歌詞とメチャクチャ合っているんですよね~。
「難関突破できる♪」の箇所に工夫があって、この曲のキー(=ト長調)での導入の場合、本来「泣き」の箇所になるはずの「B」(B7)のコードが、この曲では躍動感、切れ味の役割を果たしています。「ソ・シ・レ」→「シ・レ#・ファ#」→「ド・ミ・ソ」→「レ・ファ#ラ」と、少しずつ上昇していく進行は、正に「ダイブ」です。

『ジュリー祭り』で人間・ジュリーに堕ちた僕は「明日からまた日常を粛々と歩んでいきます」というMCにかつてない衝撃、感銘を受けました。
僕は、いわゆる”スーパースター”は、そんな俗っぽいことは言わないものだと考えていました。だからこその衝撃です。それではジュリーがスーパースターでないのか、と言うとまったくそうではなく、あの6時間半にわたるステージはスーパースターにしか為し得ないものであり、それを目の当たりにさせられ、最後にジュリーがMCで「日常」に触れたのです。
それを言えるのが真のスーパースターなのでは、と思い知らされました。

それまでの僕の「日常」はどうであったか。
自分はロックの洗礼を受けた者だ、という変なアウトロー意識、いや、それはプライド以前に、己のだらしなさ、不精に対する誤魔化しだったのでしょう・・・そこをガツン!とジュリーに衝かれた思いでした。
僕は『ジュリー祭り』参加以前の、ポリドール時代のアルバムを聴きまくっていた頃から「ジュリーはロックだ!」と考えていました。もちろんそれは今でも同じですが、「ロックだ!」と言う時の気持ち、意味合いは、『ジュリー祭り』以前と以降では全然違います。

その後2000年代のアルバム達を次々に聴き、その思いは一層強くなっていきました。中でも『greenboy』というアルバムにはそんなテーマがハッキリ内包されているように感じたものです。
「GO-READY-GO」には、東京ドームでジュリーのMCを聴いて自分の人生感が切り替わった、正にその瞬間の僕の気持ちを代弁してくれているような歌詞部が登場します。

♪ 凡庸な日々 嘆いているなら
  Bm              Em

  自分で流れ変える努力しよう
  Am            D

  風向き変わる 瞬間にあなたは
  Bm                Em

  案外と平凡が 一番イイなんてね? ♪
  C              D   C          D       D7

確たる才能など無い自分と言えど、それなりに好きなことを好きなようにやって生きている、と思いながら40代を迎え、「でも何か足りない、何だろう」と僕は無意識に考えていたんでしょうね。
『ジュリー祭り』以降、それまで省みていなかった「生きる」ための土台を少しずつ確かめていくようになって・・・まぁ、僕にとって最初の「一大決意したよ♪」が、部屋の大掃除にとりかかり、数年前に購入した後に行方不明になっていた『耒タルベキ素敵』のCD発掘を目指す、というところから始まったのは、何とも低レベルでお恥ずかしい次第なのですが(しかも、発掘までには数ヵ月を要しました。どれだけ散らかしていたんだという話)。

そんな心がけで過ごしていますと、それこそGRACE姉さんの歌詞の通りに「風向きが変わる瞬間」がしばしば訪れたりするわけです。その時に「あぁ、これか!」と気づかされる、日常の尊さ。
それまでは「何かが足りない」原因を、変わり映えしない日々のせいだと思っていたのかもしれない・・・しかしそうではないんですね。足るを知り、身の丈に合った小さな努力を粛々と積み上げていく平凡な日々の尊さというものがあるんだなぁ、と。
多くのみなさまがとっくに気づいていらっしゃることを、40過ぎにして知る・・・遅いですね。

もちろん、遅まきながらこれで自分がしっかりとした矜持を持つ人間になれた、というわけでもありません。ジュリーファンである、という以外のことは未だに悩み迷いながらの日々ですよ・・・。
身体のことも、物事の考え方も、その他諸々、これからいざ「覚悟を決める」時が来たとしたら、僕はダイブなんてできるのかな?
ただ、この先年齢を重ねるたび繰り返し聴き、聴くたびに好きになっていくであろう『greenboy』というアルバムから、今回は「GO-READY-GO」を聴きたいなぁ、という思いがこの胸に今あるだけです。
いや、タイトルチューンの「greenboy」や「Snow Blind」「君の笑顔が最高」なんかも可能性大!と期待していますけどね~。

おっと、僕の個人的な話ばかりして申し訳ありません。
「GO-READY-GO」には、ジュリーのヴォーカルにも色々と語るべきポイントがありますから、最後にそのあたりを・・・。

今年の新譜『3月8日の雲』でジュリーが、近年のレコーディング作品では聴かれなくなった高音のメロディーに、大きな覚悟を持ってチャレンジしたのではないか、ということはこれまで何度か書いてきました。
目安となるのは『ZU ZU SONGS』で「昔は(そんな音域も)茶飯事・・・ワタシは研二ですけど」と語っていた高い「ソ」の音よりも、さらに高い音。
ジュリー・ナンバーを全曲採譜したわけではないので不確定ですが・・・『3月8日の雲』から遡って、ジュリーが最後に高い「ラ」の音を地声でレコーディングしたのは、この「GO-READY-GO」じゃないかなぁ。

「クタクタになって尚 人生は続くから♪」の「続くから」の「か」が高い「ラ」の音です。
ただ、この箇所はジュリーをもってすれば、メロディーを辿るように歌って余裕をで発声できるのかも。むしろキツいのはその少し前・・・Bメロ冒頭からの、数秒おきにポ~ンと高い「ファ#」や「ソ」へと跳ね上がるメロディー部ではないでしょうか。
男性の方、試しにCDと一緒に以下抜粋部を太字の部分に注意して歌ってみて下さい。

「ヒトの荷物」「背負いこむ前」「自分のせきに
「とるのがスジだろ?」
「自分の足」「生きて歩い

いかがでしょう?
最初の「を」「に」「ん」を頑張って発声していくうちに、だんだんと苦しくなり次の「で」「て」の部分がフラットしてきませんか?
これが、繰り返しうねり上がっていくメロディーによって徐々に高音の発声が苦しくなっていくパターン、その典型的な例です。
先の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーの後半、それまで各地で喉を酷使してきたジュリーが、セットリスト・ラストの「ス・ト・リ・ッ・パ・-」を歌う際にちょっと苦しそうにしていた箇所がありましたね。
「朝でも、夜でも、真昼でも♪」
の部分。これも同じことが言えます。曲中の最高音部ではないのだけれど、メロディーの特性で発声がキツくなるのですね。

ところが「GO-READY-GO」の特徴は、そのキツイ高音部が歌詞の語尾で、伸ばす音になっていること。次に続くメロディーはすぐにはやってきません。
これは1番に限った話ですが・・・ジュリーがその特徴を生かし、語尾部でちょっと風変わりな歌い方をしていることにはみなさまお気づきでしょう。

「自分の足、でい~♪」
「生きて歩い、てい~♪」

という感じで歌っていますね。
これはキツイ高音を出すためのテクニックで、子音で一度声を貯めてから母音で高音に跳ね上がると、無理のない発声ができるのです。
さすがに曲中その手法オンパレードになるとメロディーがグダグダになりますから、「ここぞ!」という箇所で、しかも「子音+母音」の語感に沿った歌詞部で満を持して使わなければいけません。
「GO-READY-GO」のキツイ高音部に、ピッタリそれが合ったのですね。

ということで、あの独特の歌い方は白井さん作曲時そのままのメロディーではなく、レコーディングの際にジュリーがアレンジしたヴォーカル手法、というのが僕の推測ですがいかがでしょうか。

それでは、次回記事は僭越ながら自分の誕生日、12月20日の更新となります。
毎年恒例、「ジュリーが今の自分と同じ年齢の年に、どんな曲をリリースしていたか」シリーズと合わせてのお題です。

僕は今度の誕生日で46歳になりますから、該当するジュリーのアルバムは『HELLO』。
このアルバムの中から、お正月コンサート・セットリスト予想のお題を探す・・・なかなか楽しい作業です。
・・・って、実は執筆する曲はもう決めてあるんですけどね~。
どの曲が僕の勝手なご指名お題となるのか・・・次回もよろしくおつき合いのほどを、お願いいたします!

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2012年12月11日 (火)

沢田研二 「アメリカン・バラエティ」

from『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと~』、1978

Love

1. TWO
2. 24時間のバラード
3. アメリカン・バラエティ
4. サンセット広場
5. 想い出をつくるために愛するのではない
6. 赤と黒
7. 雨だれの挽歌
8. 居酒屋
9. 薔薇の門
10. LOVE(抱きしめたい)

--------------------

めっきり寒くなりましたね・・・。みなさまお住まいの地域、雪の被害は大丈夫でしょうか。
気象予報によると「今年の冬はとても寒い」のだそうで、ついこの間まであんなに暑かったクセに、ふざけんじゃないよ!などとつい愚痴ってしまいます。
いざ風邪をひいても、青年時代とは全然違うトコに症状が出るようになってきてしまったし・・・ホントこの冬の間、身体には気をつけたいものです。

まぁでも、それぞれの季節にそれぞれの楽しみがあるのがジュリーファンの特権でもあるワケで。
慌ただしい年末を越えれば、お正月コンサートが待っています。僕は『燃えろ東京スワローズ』のみの参加ですが(チケット申し込みの時点でツアー・タイトルが判明していたら、タイトルが印刷されたチケット欲しさに大阪遠征を企てた可能性も大。僕は野球もGSもタイガース・ファンですからね・・・)、『燃えろ阪神タイガース』『燃えろ中日ドラゴンズ』へご参加のみなさまも、同様に胸躍らせていらっしゃることでしょう。

僕も、かな~りテンションの上がるお席のチケットを頂くことができた初日に備え、いよいよ今回から張り切って、拙ブログ恒例・”全然当たらないセットリスト予想”シリーズの幕を切って落とします。
まず一番槍は、真冬の寒さが身に染みる、この季節にピッタリのアルバム『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』から。
「アメリカン・バラエティ」、ご指名!

ま~た、今回もとても当たりそうもない渋いトコから予想シリーズを始めたなぁ・・・と、呆れていらっしゃる方々が多いでしょうね~。
何故この曲を採り上げたのか・・・?

もちろんこれは、僕なりの深い推察
(←妄想とも言う)から導き出されたお題なのでございます。
鍵となるのは、お正月コンサート後のジュリーのスケジュールに、音楽劇『探偵~哀しきチェイサー2 雨だれの挽歌』公演が決定していること。

これまで多くの先輩方に「早く音楽劇デビューしなさい」と背中を押されっ放しだったのに、どうも二の足を踏んでしまって見送ってきたDYNAMITEですが、今年は大いに意気込んで既にチケット申込を済ませています(そのぶんお正月コンサート参加を減らす、という苦渋の選択もありましたが・・・)。
何と言っても「雨だれの挽歌」のジュリーの生歌が聴けるかもしれない!という誘惑には抗えません。
『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』は個人的に大好きなアルバムですが、そのほとんどの収録曲はこの先のLIVEで聴く機会は無いだろう、とあきらめていました。ジュリー本人がこのアルバムを顧みる図、というのがまず想像できなかったのです。

しかし!
音楽劇のタイトルチューンが「雨だれの挽歌」に決まったことで、ジュリーは苦笑しながらも(想像)、本当に久しぶりにこのアルバムを自分でじっくり聴き返してみたのではなかろうか、と・・・。
「懐かしさ」「照れ」・・・色々と感じるところがある中で、純粋に楽曲として
「おっ、そう言えばこの曲は結構カッコ良かったなぁ・・・」
な~んてジュリーがポン!とお腹を叩く・・・もとい、手を打つ曲があったとすれば、それこそ「アメリカン・バラエティ」に違いない!という・・・まぁ推測と言うよりやはり妄想ではありましょうが、万にひとつの可能性を採り上げてみた、というワケです。

だいたい、かつて『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』リリース当時のジュリーは、この曲を歌うのがすごく楽しかったはずなんですよ。
以前You Tubeで、何かの歌番組でこの曲を歌うジュリーの映像を観たことがあります。演奏はもちろん井上バンド。そのグルーヴ感溢れるバンド・サウンドに乗せて、ジュリーはミック・ジャガーを思わせる官能的でしなやかなアクション(足の運びや腰つきなど)を繰り出していました。
それはもう、ほぼ無意識ではないかと思えるほどに自然で。
「アメリカン・バラエティ」は、ミック風の動きがピタリとマッチする曲調、リズムなのですね。まぁ今のジュリーが改めてこのリズムに乗ったら、かなりの確率で”おいっちに体操”へと昇華(?)するんでしょうけど・・・。

とにかく「アメリカン・バラエティ」みたいな冗談と紙一重(褒めてます!)なほど粋で濃厚なナンバーを颯爽とカッコ良く歌える日本人歌手は、ジュリー以外ありえん!というのは僕の強く思うところで、今年のお正月コンサートはそれが数十年ぶりに実現する貴重なチャンスではないか、と勝手に考えています。

それに、この曲を鉄人バンドの演奏で聴いてみたい、というのもあるんですよね・・・。
『思いきり気障な人生』『今度は、華麗な宴にどうぞ』、そして『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』の阿久=大野三部作のほとんどの収録曲は、ピアノ或いはシンセサイザーという鍵盤楽器がアレンジの骨子になっていますが、「アメリカン・バラエティ」は数少ない例外で、完全なギター・サウンドです。
トラック内訳は以下の通り。

(左サイド)
・エレキギター・・・ヴォーカル・パート終了後の、リード・ギターかけ合いの2番手で登場。
・エレキギター・・・最初から最後まで武骨に弾きまくるバッキング。イントロから続くリフを終始炸裂させています。こんな感じのリフ・バッキングが土台にあり、さらに別のリード・ギターがその上にある、というアレンジは、60年代後半~70年代ロックの醍醐味とも言えます。

(中央)
・ベース
・ドラムス
・エレキギター・・・この曲のリード・ギターは間奏のみ中央にミックスされていますが、これはエンディング・リードのかけ合いギターのいずれか(おそらく右サイドに登場するリード・ギター)と、トラックとしては同一だと考えられます。

(右サイド)
・カウベル・・・イントロから結構目立つミックスになっています。リズムは単に4つ打ちばかりではありません。「火を噴いて打ち上げロケット♪」「世の中にマーチが流れて♪」の2箇所で突如炸裂する、鬼の乱れ打ちに是非注目して下さい。
・エレキギター・・・エンディングのリード・ギター、かけ合い1番手で登場。
・オルガン・・・この音の存在に気がついている人が一体どのくらいいらっしゃるのでしょう。”奥ゆかしい”を通り越してむしろ”潔い”と言いたくなるほど目立たない音量でのミックス。低いハモンドの音色で、2番の「お高くとまって♪」以降、和音で「ジャッ・ジャッ♪」と渋~く刻みを入れてきます。「ポパイに♪」の箇所が一番聴き取り易いかな?

このように、エレキでガンガンに押すアレンジになっています。
白眉は何と言ってもエンディング。3’52”あたりから、ミックスで左右に振られた2本のリード・ギターが4小節交代でかけ合いを始めるのです。右→左→右→左、そしてまた右・・・延々と繰り返される渾身のフレーズ競演。
これはもう、一度は柴山さんと下山さんのヴァージョンを是非生で聴いてみたい!
4’07”からのフレージング競演、あのガチンコ勝負がステージで再現されたら、感動しますよ~。「ちゅくぎゅん!」どころではありませんから。
「ちゅくちゅくぎゅんぎゅん!」の8連発です!
(最後は強引に「ちゅくちゅくちゅくちゅくぎゅんぎゅんぎゅん!」にまで音が詰め込まれています)

泰輝さんには、オルガン右手、ベース左手の”神の両手”炸裂を期待します!
「ドレ、ラ、ララララ♪」という基本のベースラインは、やっぱりこの曲には欠かせないと思うんですよね~。

まぁしかし、この曲のセットリスト入りが実現するなら、唯一無二のジュリーワールド、ジュリーのヴォーカル&アクションが一番の楽しみですね~。
いかにも阿久さんらしい”無双の男”の物語。それを受け、”男の本懐”短調のハードなエイト・ビートの作曲でストレートに応えた大野さん。
この作詞・作曲者のセメントのぶつかり合い、ヤンチャな技の応酬を踏まえた上で、それをスパ~ン!と飛び越えるジュリー・ヴォーカルは、やはりアルバム収録曲の中でもピカ一・・・正に奇跡のテイクです。

阿久さんの歌詞は、とにかく脳天を劈く、突き抜ける、という断固たる意思で次々に斬新、突飛なフレージングを畳みかけてきます。
阿久さんならではの濃厚な言い回し・・・僕が特に気に入っているのは、何と言っても間奏後の3番ですね~。

♪ テネシー生まれの熱いウイスキー
       Dm                      Gm7

  テンガロンハットの中に満たし
       Dm                       Gm7

  あなたと二人だけで飲め  ば
        Dm      Am7       G#m7 Gm7

  摩天楼とび越すスーパ ー  マン ♪
            Am7            B♭ Am7 Dm

”気障な男が酒場で女を口説く”というシチュエーションそれ自体が、奇天烈なフレーズ(再び、褒めてます!)連呼で何処かへ放り出されてしまう・・・この”真面目にふざける”阿久さんの徹底ぶりが頂点に達するのが、この3番の歌詞。

「テネシー生まれの熱いウィスキー♪」なんて言われると、これは何やらカッコイイ。「強いウィスキー」ではなくて「熱いウィスキー」というのが阿久さん入魂の”気障”だと分かります。ところが

そのウィスキーを・・・テンガロンハットの中に満たす?
で、それをカノジョと二人だけで飲む?
どうやって?
テンガロンハットの何処に口をつける?

などと、凡人の僕は阿久さんの言葉をまずは真っ直ぐそのまま捉えてしまって、あたふたする破目に陥ります。
しかし、そうやってウィスキーを飲んだら
「摩天楼とびこすスーパーマン」
になる、という・・・ここで初めて「ウィスキー」ってのはそのまま「ウィスキー」ではなさそうだな、と膝を正すのです(笑)。結論が出るワケではありませんが、とにかく”突き抜ける”感覚に正常な思考は麻痺し、気づけば阿久さんの掌の上で踊らされている・・・イコール、病みつきになって何度も繰り返し聴いてしまうということなんですね。

だいたいこれ、冒頭から
「自由の女神にブーツはかせて ミッキーマウスのシャツを着せて♪」
と、スケールの大きさがハンパないですし、声をかけた女性におそらく一度「NO」と言われたんだか坊や扱いされたんだか慣れたふうにあしらわれたのか、まぁとにかく安く見られたんでしょうね・・・そこを逆につけこんで
「ポパイに抱かれて気絶しろよ♪」
って・・・。
ガラナでも一気飲みしたんかい?ってくらいに不敵な挑発をしたかと思えば、サビの「ヘ、ヘイ、ヘイ♪」からさほど時間を割くでもなく
「火を噴いて打ち上げロケット とんで行く思いがするよ♪」
と・・・ずいぶん一方通行で、「ポパイ」などとは口ほどにもない男のようです。
(←コラコラ)
でも、こういう「相手のことなど構ってはいられん!」的な男の美学は、常に阿久さんの根底にはあったみたいですね・・・。

凄いのは、ジュリーがそんな阿久さんの世界に対し、絶妙な距離をもって歌っていることです。これは、『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』のほとんどの収録曲について言えることですが・・・。
完全に世界に入り込んでいるわけでもない、と言うかむしろ意識して一歩手前にとどまっている・・・それなのに、阿久さんのフレーズが歌詞カードを読む以上のインパクトで迫ってきます。

能ある鷹は爪を隠しきれず。
いくら隠しても溢れ出てしまう才能。

ジュリーのそんな才能が引き出されたからこそ、阿久=大野三部作、殊にこの『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』は今でも特異な輝きを放っているのでしょうね。

このアルバム収録曲で、僕がシングル「LOVE(抱きしめたい)」以外に今後のLIVEで採り上げられる可能性を感じる曲はほとんどありません。音楽劇のタイトルチューンとなった「雨だれの挽歌」すら、ソロコンサートのステージでジュリーが歌う姿というのは想像しにくい(だからこそ僕は音楽劇デビューを決意したんですけどね)。
ジュリーがこのアルバムを振り返る貴重な機会を持ったかもしれない今・・・「アメリカン・バラエティ」への僅かな期待は募るばかりです。
泰輝さんのピアノ1本からスタートする「想い出をつくるために愛するのではない」って線も、少し考えてますけどね!

それでは次回も重箱の隅をつつくが如く、渋~いトコからセットリスト予想のお題を掘り起こしますよ~。
何かとバタバタの師走ですが、なるべく多くの曲を書いておきたい(下手な鉄砲も何とやら、です)と思っています。
引き続き、頑張ります!

| | コメント (12) | トラックバック (0)

2012年12月 8日 (土)

沢田研二 「ラジカル ヒストリー」

from『第六感』、1998

Dairokkan

1. ホームページLOVE
2. エンジェル
3. いとしいひとがいる
4. グランドクロス
5. 等圧線
6. 夏の陽炎
7. 永遠に(Guitar Orchestra Version)
8. 麗しき裏切り
9. 風にそよいで
10. 君にだけの感情(第六感)
11. ラジカル ヒストリー

---------------------

え~と。
まずはお題と関係なく、いきなり宣言させて頂きます。

拙ブログはネタバレいたしません!
たとえほんの数曲であろうと、誰もが知る大ヒット曲であろうと・・・ネタバレはイヤだぁぁぁぁ!!

そう・・・みなさまもうご存知かと思いますが、何でも12月5日付の読売新聞に、お正月コンサートの予定曲として数曲の掲載があったのだそうで・・・。
まぁ、「予定」ということですから掲載された曲すべてセットリスト入りするかどうかは分かりませんが、『秋の大運動会~涙色の空』ツアーの前にも似たようなことがありまして、その時僕はうかつにもホイホイと情報確認しに行っててしまい、そればかりかJ友さんの前で口を滑らせ、後でひどく後悔したものです。
ちなみにこの時は「予告」されていた曲はほぼセットリスト入りが実現していました(唯一「
サムライ」が例外。おそらく直前になって、予告には無かった「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」に差し替えられたものと考えられます)。

それにしても読売さん・・・いくらコンサート・タイトルからジャイアンツが外された恨みがあるとは言え(違)、なかなかえげつない攻撃を仕掛けてきましたね・・・。
いや、実際のところ、特に地方にお住まいのジュリーファンの先輩方には、「ネタバレ大歓迎!」と仰る方も意外と多いですから・・・ドド~ン!と曲目付きでLIVEの新聞広告が載った、というのはジュリー界的には嬉しいお話なのでしょう。

しかし僕は負けませんよ~。
細心の注意を払って、その情報だけは1ケ月間シャットアウトします。コメントくださるみなさま、そのあたりを汲んで頂いてどうかお慈悲を・・・。
何卒、一切の予備知識も無い状態で、僕にお正月コンサート初日を迎えさせてくださいませ~。

それでは本題。
今日は、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー、”セットリストを振り返る”コーナー第2弾です。
何度も書いてきているように、僕はあの『ジュリー祭り』がジュリーLIVEデビューの新規ファンですから、まだまだ生で聴けていないジュリー・ナンバーが多数。毎回ツアーを迎えるたびに、「今回はどんな曲と新たに巡りあうことができるのか」というのが何より大きな楽しみなのです。

今ツアー、「生で初めて聴く」ことになったナンバーは、「SPLEEN~六月の風にゆれて」「
お嬢さんお手上げだ」(ツアー前半のみ)、そして本日お題に採り上げます「ラジカル・ヒストリー」の3曲でした。
3曲というのは・・・改めて考えると意外や少なかったんだなぁ。ジュリーLIVE歴4年とは言え、僕も『ジュリー祭り』以降すべてのツアーに欠かさず参加していますから、次第に「初めて聴く」曲も減りゆく運命にある、ということでしょうか。
ともあれ、「生で体感できた」というそれだけで、その曲のお題記事執筆の意欲は倍増。
”セットリストを振り返る”コーナー・・・今回はアルバム『第六感』から、「ラジカル ヒストリー」の伝授です~!

セルフ・プロデュース期以降の作品で、あの『ジュリー祭り』セットリストに1曲も選ばれなかった、というアルバムは2枚あります。
『第六感』と『新しい想い出2001』。
僕は最初、ジュリー自身の評価が低いアルバムということなのかな?と考え、CD大人買い期にもあまり期待せずに購入したものでしたが、その後のジュリ勉で、むしろこの2枚、ジュリーお気に入りの曲が多い方なのでは、という考えに変わってきました。
『ジュリー祭り』のセットリストに無い、ということは、僕が以降のソロコンで聴いたその2枚のアルバム収録曲はどれも「初めて聴いた!」という興奮を共にするものであり、そんな感動のせいか、アルバム自体もどんどん好きになっていきました。
両アルバムとも、来たるお正月コンサートでも何かまた未体験の曲が採り上げられる予感もあり、楽しみにしています。
(『新しい想い出2001』からは「
Good good day」、『第六感』からは「グランドクロス」に期待!)

アルバム『第六感』からこれまで生で聴けていたのは、昨年のお正月コンサート『BALLAD AND ROCK'N ROLL』での「君にだけの感情」(この時も、”セットリストを振り返る”コーナーで記事に採り上げました)。「ラジカル ヒストリー」はそれに続いて2曲目ということになります。
ツアー初日、この曲を聴けた時は嬉しかったなぁ。初日の時点ではお客さんの反応がイマイチだったかもしれないけど、それまでバラードが4曲続いていたこともあってか、飛び跳ねながら歌うジュリーのアクションがすごく大きく見えました。
ドラム・ソロ直前にビシ~ッ!とGRACE姉さんを指差す動きも、初日からやってましたね。あれは本当にカッコ良かった・・・。

この曲、アルバムではラストに収録されています。
激しいアップテンポのパワフルなロック・ポップ・ナンバーが大トリを飾る曲順配置は、ジュリーのセルフ・プロデュースとしては珍しい構成パターンです。おそらくタイトル・チューンの「君にだけの感情」が実質的なラスト・ナンバーで、「ラジカル ヒストリー」はアンコール的な意味合いがあるのでしょう。

作詞・覚和歌子さん、作曲・吉田光さんは言うまでもなくジュリー・ナンバー最強の組み合わせのひとつ。
覚さんの詞は特に『第六感』以降ジュリーの分身のようなスタンスになっていき、後追いファンがパッと聴くと「ジュリーの作詞作品では?」と思ってしまうようなナンバーが増えていきます。「ラジカル・ヒストリー」で言うと

♪ ドラマな恋を 越えてきて
  B                       B♭7

  犬も食わないわけ だ ♪
  B                 D♭ B♭7

この辺りが、僕の中ではジュリーっぽいフレーズのイメージかな・・・。
一方で

♪ ほかの誰にもわからない ♪
  D♭                 G♭   B♭7

で締めくくられる「誰が何と言おうと」的な愛情表現は、いかにもジュリーが好きそうな覚さんっぽいフレーズ、という感じ。

そんな覚さんのフレーズが、16ビートのリズムに速射砲のように前に前にと乗って乱舞しているのが素晴らしいです。この独特の語感・・・これは曲先じゃないかなぁ。
吉田さんの手がけた数多くのジュリー・ナンバーの名曲群同様、これもやはり作曲段階から仕掛けがが多いです。変ホ長調のキーで「G♭」を登場させるあたりが特徴的で、こういった吉田さん好みのコード進行は、2年後の「耒タルベキ素敵」で集大成的に突き詰められているようです。

また、アルバム・ヴァージョンとは別にDVD作品でも大いに楽しめるこの曲・・・僕のお気に入りは何と言っても『1999正月コンサート』。「ラジカル ヒストリー」は何とセットリストの初っ端、1曲目です。
前年が『第六感』のツアーですから、明けてすぐのお正月コンサートの時点での最新アルバム『第六感』から数曲を採り上げるのは、自然な流れと言えます。

『1999正月コンサート』の「ラジカル ヒストリー」は、1曲目という特別なスタンスから醸し出される緊張感、ジュリー・ヴォーカルの意気込みもさることながら、何と言っても間奏ギター・ソロ部でのちょっと珍しいシーンが特筆モノです。これは何度観ても飽きませんね~。
粗いスキャンですが、画像と共に順を追ってそのシーンを見ていきましょう。

Radical1

今ツアーで体験した通り、この曲の間奏ギター・ソロは下山さんから柴山さんへのリレーとなっています。
下山さんのソロ部の後を受け、ステージ前方にカッ飛んできた柴山さん。ジュリーはそんな柴山さんの背後に回り込み、両足でギター・シールドを跨いだ体勢でシャウト一閃!

Radical2

「くあ~っ!」モードの柴山さんの後ろで、激しく動くジュリー。移動しようとして左膝にシールドを引っかけてしまいます(先輩方のお話では、わざとそうして遊んでいた説が有力)。

Radical3

完全にジュリーは左足をシールドごと持ち上げる格好に。柴山さん、そんなことにはまったく気づかず陶酔のカメラ目線。

Radical4

「カズ!助けろ!」

Radical5

「カズ!いや・・・カズさん?そろそろ構って頂けないでしょうか?足上げっぱなしでかなり疲れてきたんですけど・・・」

Radical6

渾身のソロに集中し弾きまくる柴山さんに何とか構ってもらおうと(?)、左足を持ち上げた体勢のままでの”おいっちに体操”という無茶なアクションを決行するジュリー。これは・・・1曲目から凄まじい体力の酷使です。

Radical8_2

いよいよ焦れたジュリーは最終手段、シールドをグイグイと引っ張る!
これは危ない・・・万が一にでもギター側からシールドが抜けたりしようものなら、場内は大ハウリングに包まれます(ちなみに、アンプ側から抜けた場合はハウりません)。

Radical9

「あれっ・・・沢田さん?何やってんすか!?」

Radical10

柴山さんの右手に注目!ピックを持つそのままの手の形を利用して、ジャックの根元からシールドをたぐり寄せます。

Radical11

たぐったシールドを伝い、無事にジュリーの靴先からシールドを取り除くことに成功。驚くべきはこの間、柴山さんのリード・ギターはそのまま続いているということ。サスティン箇所を利用した一瞬の神技(しかも笑顔)です!
ジュリーの方は、何故かずっと爆笑してます・・・。

Radical12

シールドを離し、右手を定位置に戻した瞬間の柴山さんの”どや顔”。
フレットから目を逸らし、右手を一瞬弦から遠く離して、それでも何の問題もなく間奏リード・ギターを全うした柴山さん・・・これは素晴らしい!
そして最高にお茶目、かつ強靭な体力を誇るジュリーのアクションにお客さんは釘づけ・・・。

本当に楽しいシーンです。DVDをお持ちでないみなさま、是非この機に購入しご覧になってみてください。
『1999正月コンサート』はセットリストの他の曲も素晴らしいですよ~。「
遠い旅」「ハッピー・レディー」「PLANET」「ママとドキドキ」「噂のモニター」「Courage」「夜の河を渡る前に」・・・新規ファンの僕からすると、ダイブ連発、垂涎のラインナップ。
あと、今回の記事執筆のために久々に観たら、下山さんの若々しさにちょっと驚きました~。

Radical13

さて・・・DVDの過去映像を楽しんでいると、ジュリーのヴォーカルの切れ味、ハジケ具合もあり、いかにもLIVE向きでストレートなロック・ナンバーという印象が強い「ラジカル・ヒストリー」ですが、オリジナルのレコーディング音源は、ストレートどころか相当凝りまくっています。
アルバム『第六感』収録曲は白井良明さんのギターの鬼の多重トラックが特に変態的な作品(褒めてます!)で、「ラジカル ヒストリー」ももちろん例外ではないのです。

それでは、そのひと筋縄ではいかない正にラジカルなCDヴァージョン・・・レコーディング・トラックを詳しく見ていきましょう。
ミックスの内訳は以下の通り。

(左サイド)
・エレキ・ギター・・・エフェクト、音量共に絞り気味の音。サビで16分音符の細かい刻みを入れたり、「ふたり夜毎に・・・」からテンポを落とすブリッジ部で「じゃら~ん♪」と頭出しのコードを弾いたりしています。
・エレキ・ギター・・・歪み系のエフェクトがかかった太い音。Aメロでは2、4拍目の刻みを強調したバッキング。サビでは「ちゅくぎゅ~ん!」という導入から武骨な単音でせり上がっていきます。
・シンセサイザー・・・手持ちのKORGの鍵盤で言うと、「シンセ・ブラス」というパッチの音に近いです。

(中央)
・ベース
・ドラムス

(右サイド)
・エレキ・ギター・・・メインのリード・ギター。
・シンセサイザー・・・先述した左サイドのシンセと音色は同じ。ただ、音階は左右でハモったりして渋く楽曲全体を盛り上げています。
・オルガン
・エレキ・ギター・・・左サイドの歪み系ギターと同音色にして、Aメロではほぼ同じフレーズを担当。その後左右それぞれのトラックで絡み合うような展開になっていきます。変態ギタリスト・白井さん(再び褒めてます!)ならではの、ギター版ダブル・トラック・レコーディングと言えるでしょう。

このように、エレキギターは4本重ねられているのです。
『第六感』では、「永遠に」が”ギター・オーケストラ・ヴァージョン”と、「あぁ、エレキがたくさん重ねて録音されているんだな」と聴き手に分かりやすく謳われているのですが、以前に「エンジェル」や「いとしいひとがいる」の記事で考察したように、白井さんは他の曲においても、クイーンのブライアン・メイを彷彿とさせる”鬼のエレキ重ね録り”に邁進しています。その趣味性がここまで徹底されているアルバムは、白井さんアレンジ作品の中でも『第六感』が頭抜けています。
この「ラジカル ヒストリー」のエレキギター・レコーディングにも、大いにそれが感じられるのです。

ただ白井さんのニクイところは、「永遠に」以外の曲はギタリスト二人で無理なく振分けができるような構成にしていること。
ジュリー・ナンバーはまずLIVE再現ありき!の精神で制作していたのですね。

キーボードも3トラック。シンセ・ブラスが左右でハモり、右サイドのオルガンはロック・ポップ・ナンバーには欠かせない薬味。
今ツアー、泰輝さんは1人三役でしたね。シンセ・ブラスのどちらの音階を弾くかは、曲の進行に応じて使い分けていたようでした。無論、オルガンとシンセ・ブラスを同時に弾く場面が多々あったはずです。その辺りを後からDVDで確認できれば最高なのですが・・・。

ということで、前回記事「約束の地」と合わせ、今回は”セットリストを振り返る”コーナーのお題が全2曲と少なめになってしまいました。
何かと忙しい師走ですが、もう来年早々のジュリーのお正月コンサート初日まで1ケ月を切っているのです。

間髪入れず次回からは、恒例・”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入せねばなりません。
待ちに待ったチケットを手にしたジュリーファンは、今や完全お正月モード・・・かな?
僕も、テンションが上がりまくってきました。
年末の大仕事、大掃除、ドンと来い!って感じです。

何人かの先輩からは「ハナから当てる気ないでしょ?」と言われておりますこの”全然当たらないセットリスト予想”シリースですが、本人的には毎回「よし、いいトコ突いてる!」という感じでして・・・。結構本気で当てに行ってるんですよ~。
今回も3、4曲・・・僕自身も大好きな曲の中からチョイスして書ければと考えています。頑張ります!

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2012年12月 3日 (月)

沢田研二 「約束の地」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuricd

disc-1
1. OVERTURE~そのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星 -Venus-
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a・b・c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海に向けて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンスブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・-
8. 危険なふたり
9. ”おまえにチェック・イン”
10. 君をいま抱かせてくれ
11. ROCK' ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない

orijiginal released from『Beautiful World』、1992

Beautifulworld

1. alone
2. SOMEBODY'S CRYIN'
3. 太陽のひとりごと
4. 坂道
5. a long good-bye
6. Beautiful World
7. 懲りないスクリプト
8. SAYONARA
9. 月明かりなら眩しすぎない
10. 約束の地
11. Courage
---------------------

今年も12月3日がやってきました。

今年は大安ですね。
2008年のこの日が仏滅だったことは、東京ドームに足を運んだジュリーファンなら一生忘れないでしょう。

ということで、しばらく記事更新の間が空いてしまっていましたが・・・。本日12月3日は、4年前に僕が本格的にジュリー堕ちを遂げた記念すべき『ジュリー祭り』東京ドーム公演、早くもその4周年でございます。
折しも今夜は、さえきけんぞうさんのラジオ番組で白井良明さんをゲストに迎えてのミニ・ジュリー特集もあるらしく。お二人とも4年前の東京ドームにはいらっしゃったはずで・・・時期柄、そんなお話も出たりするのかな?

拙ブログでは毎年この日、永遠の輝きを放つ『ジュリー祭り』セットリストの中から1曲採り上げ、記事を書くことに決めています。
それまでポリドール時代のCDを全部聴いていたくらいで、LIVEに行きもせずに「自分はマニアックなジュリーファン」と自認していたその思い上がりを微塵に打ち砕かれた『ジュリー祭り』の楽曲群。僕の遅すぎたジュリーLIVEデビューとなった4年前の12月3日は、いつまでも絶対に忘れられない日です。

ジュリーは今年のツアーで
「60超えのドームから4年間、長かった・・・」
と何度か言っていましたね。
還暦後、通常のソロ活動に加えて、まず裕也さんとジョイントLIVEをやり、次いでジュリーwithザ・ワイルドワンズ結成、CDリリースにアルバム・ツアー。そしてピー、サリー、タローをゲストに迎えた老虎ツアー。
ジュリーとしても楽しんだ反面、スペシャルなことが続き、気遣いもあり、毎年毎年、毎日毎日の密度が濃かった、ということなのでしょう。それで「長かった」と。

実はそれはファンからしても同じような感覚はあって。
特に僕は『ジュリー祭り』で本格的にジュリー堕ちしたわけですから、LIVE参加ということだけとっても生活は一変。しかもそれまで自省しようともしていなかったズボラな性質の改善に取り組み始める(『ジュリー祭り』でのジュリーの「明日からまた日常を粛々と」というMCに感化されたのです。こんなに凄い人がこんなことを言うのか、と・・・)など、まぁ大げさに言えば人生が変わってしまいましたからね。
とにかく2008年12月3日以降の4年間は僕にとっても密度が濃く、長かった・・・「4年経ったんだなぁ」と思うと同時に、「まだ4年かぁ・・・」という感すらあります。

『ジュリー祭り』セットリストとしては、鉄人バンドのインスト含め、今回で全82曲中45曲目の記事執筆となります。ジュリーの70越えまでに『ジュリー祭り』セットリスト網羅!ということをさしあたりの大きな目標としている拙ブログ・・・その点なんとか順調に進んでいる、とは言えそうです。
今日は、11月3日に無事大千秋楽を迎えたジュリーの今年のツアー『3月8日の雲~カガヤケイノチ』の”セットリストを振り返る”コーナーとも合わせ、『ジュリー祭り』のセットリストから、バラードの大名曲をお題にお届けしたいと思います。
「約束の地」、伝授!

僕は毎年『ジュリー祭り』東京ドーム公演記念日が近くなると、自分の書いたLIVEレポを読み返すことがあります。
レポは前半後半に分けて執筆していますが、これ、それぞれ1日でバ~ッと一気に書いたんですよね~。公演のあった週末に両編書き上げていますが、どれだけエネルギーが沸き出ていたんだろう・・・と我ながら感慨にふけってしまいます。
ただし、その記事内容は酷い。
多くのジュリーファンの先輩方に拙ブログを知って頂くきっかけとなった記事ですから思い入れこそありますが、できればこの文章は無かったことにしたい、と思える箇所が多々・・・。ジュリーのMCのタイミングや内容に明らかな間違いがありますし、それぞれの楽曲の説明もかなり適当です。
そして、本日のお題「約束の地」に至っては・・・曲の概要すら述べられていませんね。

当時から比べると今はなんとか進歩し「約束の地」も大好きになったとは言え、僕はまだこの曲の覚和歌子さんの歌詞について「こうだ!」というハッキリした解釈は持てずにいます。
「約束の地」はその魅力の大半を覚さんの詞によるところが多く、ジュリーがこの詞に独自の思い入れを持ち、好んでいることも確かなはずです。しかし、じゃあジュリーがどういう捉え方をして、どういう解釈でこの曲を歌っているのだろう・・・その辺りが分かりません。
でも、「分からない」では考察記事になりませんから、一応僕が今「約束の地」の歌詞から考えることを書いておきます。

♪ 生まれるまえの 川岸 で
  B       F#(onA#)  G#m  D#m(onF#)

  並んで見た地平線 ♪
  E  D#m      E      F#sus4  F#

曲想は、バラードの王道。カノンっぽい進行には、作品のスケールの大きさだけでなく、雄大な時間の流れを感じさせる効果があると思います。

冒頭にハッキリ「生まれる前」というフレーズが出てきますし、その後の歌詞展開を考えれば、これは”前世”で何らかの深い関係にあった”現世”の恋人同士の歌、ということでしょうか。

以前ジュリーは自身のものの考え方として
「宗教は無いけど、信仰心はある」
と語っていたんでしたよね。
「約束の地」の歌詞にはジュリーにとって、そんなイメージを強く抱かせるものがあるのかもしれません。

今互いに惹かれ合うのは、前世の記憶を辿っているから・・・そんな世界観は素直に分かる。でも、「約束の地」の歌詞展開って、一瞬「あれ?どう繋がるんだ」という不思議な感じがしませんか?全体の時間の流れがどうなっているのか・・・。

これはおそらく、1番と2番以降で主人公の生きている世界が違う、ということでいいのかな?
1番では、”前世”の記憶をまだハッキリ持っている主人公がいます。その姿は、実体の無い存在であるようにも感じられます。
それが2番以降では、生まれ変わり「ほどかれていく記憶」の中で徐々に現実の愛への確信を持とうとする、純粋に肉体をまとった主人公の姿が浮かびます。描かれている動作に現実感があるのです。
例えば

♪ 君の背に頬おしあてれば
     G#m                   D#m

  とても正しい合鍵の    よう
       Emaj7       Amaj7(onC#)  B ♪

実際に寄り添い合う恋人同士の具体的な日常です。
その上でそれは、主人公の姿をまた別の高みから見おろしている主人公の分身(1番の語り手)の視点で描かれているような気も・・・。

キラキラしたキーボードで「シラミラ、シラシミ♪」と繰り返される浮遊感のあるブレイク部・・・
あのアレンジを聴くと、大きな世界が交差し、混ざり合っていくような感じがします。

歌詞では最後に、「明日世界が終わるとしても、約束の地に林檎の種を蒔くんだ」と主人公が意志を示すのですが、これは「断固そうする!」というのではなく、むしろ「思い半ばに過ぎる」といった感じをうけます。ごく自然に、当たり前に「僕はそうするよ」と。「林檎の種を蒔く」こと自体は、誰しもできることだよ、というわけです。
ただ、蒔こうとしている種を持っている人と持っていない人がいる・・・それは今の世での生き方、愛し方で得られるもの。「約束の地」はそんな歌なのではないでしょうか。ややこしく考え過ぎかなぁ・・・。
今ツアー通してそうだったのですが、実際にLIVEでこの曲を聴くと、ジュリーのヴォーカルや仕草にのめりこんでしまって、ただ心洗われ、色々と考えるのは後になってから。まぁ、それが自然なことなのでしょうけど。

個人的には、「約束の地」での覚さんの世界観は、その後ジュリーの作詞作品「護られているI Love You」に引き継がれていったのでは、と考えていますがいかがでしょうか。
この曲は本当に様々な解釈ができそうなので、先輩方のお考えもこの機に是非お聞かせ願えれば、と思います。

さて、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーのセットリストの中、LIVEヴァージョンの方が正規のCDヴァージョンよりもファンに浸透しているのではないか、と考えられる曲が「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」とこの「約束の地」の2曲です。
いずれも、オリジナルCD音源はフェイド・アウトですが当然ながらLIVEはそうではありません。原曲フェイドアウトとの違い、というだけなら他にも該当する曲はありますが、この2曲はそれだけでなく、「これは欠かせない」とファンが楽しみにしているエンディングの見せ場があるのが大きな特徴です。

「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」では、コーラス4回し目の「ハイ!」。
「約束の地」では、ジュリーが両腕を使った大きなゼスチャーで、楽曲の世界観を纏め上げています。

「約束の地」エンディングでのジュリーのあの動きにはケタ違いの統覚作用のようなものがあり、気づけば僕等は食い入るようにジュリーの四肢に見入っていますよね。
僕は今ツアー、このジュリーのエンディングの動きがあってこそ「約束の地」に大いに感動し肩入れしたと言えます

ところが、僕が初めて生で体感した「約束の地」・・・『ジュリー祭り』東京ドーム公演では、このエンディングのジュリーの動きが無いのですね(もちろん、ヒヨッコの僕が「そうだったのか!」と気がついたのはずっと後になってからの話です)。

そこで、現在とまったく同じ鉄人バンド・スタイルの演奏による「約束の地」エンディングを2パターン、DVD作品で比較してみましょう。
まずは当然『ジュリー祭り』。

201212031

手と身体の動きはまったく無く、万感の表情で立ちつくし、宙を見つめる・・・そんなエンディングでした。
今映像を見返してみると、これはこれでグッとくるものがありますね・・・。

一方は2007年お正月コンサート『ワイルドボアの平和』。
『奇跡元年』後・・・ヒヨッコなりに「約束の地」という曲にもそれなりの思いを持ってきていた時期に購入したDVD作品でした。

201212032

あまりに悲しげな、今にも泣き出しそうな表情のエンディングのジュリーです。
ジュリーにどんな思いが去来していたのか・・・ゆっくりとした動きで両手を合わせ、ひたすらに祈る・・・そんなシーン。
そう、僕にはこの映像のイメージが強くあって、以後「約束の地」のエンディングでのジュリーの動きを「祈りを捧げる」ものと決めつけていました。
しかし今ツアーは、もちろん「祈る」ということは変わらずある・・・その上で、ジュリー自身が世界の創造主となったかのように、「お客さんひとりひとりの”祈りを引き込む”ような動き」だと思えてきました。映像が残らないのが残念ですが、『ワイルドボアの平和』のジュリーとは動きも表情もまったく違ったはずです。

ちなみに、2007年『ワイルドボアの奇跡』と翌2008年『ジュリー祭り』の「約束の地」は、わずか1年の間にも関わらず、鉄人バンドのアレンジもかなり変化しています。
例えば…泰輝さんのピアノと柴山さんのギターで役割を丸々入れ替わったり、下山さんの音色が歪みの大きい設定になったり。下山さんの音色変化はそのまま、エンディング・コーラス直前での狂おしく弾きまくる単音に反映されています。

2012年の今ツアーではどんな変化があったのでしょうか。映像で残っていれば、「約束の地」に限らずセットリストごとに過去の演奏と聴き比べる楽しみもあるのですが・・・。
ツアーの映像化、再考を検討してもらえないかなぁ・・・。

最後に。
今回自分のドームレポの「約束の地」の項への後からの加筆部を読み直して「あぁ、そうだった」と思い出したのですが、僕は『Beautiful World』のCDを、密林さんの個人出品、中古1,000円で購入したんですよね~。

その頃はちょうど、普通に購入可能なジュリー・アルバムの大人買いを終了し、あとは入手困難となっている廃盤作品を探しまくっていた時期。たまたま商品検索した日に1,000円という信じ難い安値の売り手がついていた、大変ラッキーな買い物だったわけですが・・・。
出品してくださった方としては、『ジュリー祭り』以降のジュリー廃盤作品の相場急上昇をご存知なかったがための値段設定だったのでしょうけど、アルバム『Beautiful World』を普通にお持ちだったということは、少なくともかつては熱心なジュリーファンでいらっしゃったわけですよねぇ・・・。

その後、ジュリーからは完全に離れてしまわれたのかな。
それとも、ジュリワンや老虎ツアーの効果で世間の騒ぎを知りジュリーファン復活・・・貴重なCDを、かつて超安値で見も知らぬ奴に譲り渡してしまったことを、後悔なさっているでしょうか。
貴方の『Beautiful World』を譲り受けた若造は、ここにおります。あの時から変わらず、ジュリーファンを続けていますよ~!

といったところで・・・次回更新ではもう1曲、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』セットリストからお題を採り上げたいと思います。
当初は”セットリストを振り返る”コーナーとして3曲執筆の予定でしたが、スケジュール的に厳しくなってしまって・・・今回の「約束の地」と合わせ、2曲に留めることにします。
次回、残す1曲は・・・僕が「今ツアーで初めて聴けた!」というテーマでお題を選びます。よろしくお願いいたします!

| | コメント (16) | トラックバック (0)

« 2012年11月 | トップページ | 2013年1月 »