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2012年10月 5日 (金)

さようなら…おやっさん

ジュリーは今日がアプリコ、明日はいよいよ大宮。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー、僕の参加は残すところ明日の大宮、そしてファイナルの2会場となりました。

大宮の直前に、バカ・ロック系のお題曲にて記事更新するつもりで下書きをしていて、今日仕上げて更新の予定でいたのですが・・・。
ちょっとそんな気分ではなくなってしまいました。

大宮が目前に迫りワクワクしながら仕事を頑張っていたら・・・俳優・大滝秀治さんが今月の2日にお亡くなりになっていた、というショッキングなニュースがカミさんから届きました。

誰もが知る名優・・・ジュリーファンの先輩方なら、まず「パリの哀愁」でのジュリーの父親役を思い起こされるのでしょうか。

そして、子供のころから刑事ドラマが大好きだった僕にとっての大滝さんは、シリアスな人間ドラマとして評価の高い『特捜最前線』の、通称”おやっさん”・・・船村一平刑事です。
すべての刑事ドラマのレギュラー俳優さんの中で、僕は大滝さん演ずる船村刑事に最も強い思い入れがあります。また、名作揃いの『特捜最前線』の各エピソードの中でも、”おやっさん”が主役の回は特に好きな話が多いのです。

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↑ 第172話「乙種蹄状指紋の謎!」より。
『特捜最前線』全508話の中で僕が最も好きな回。

(註:以下、若干ストーリーのネタバレあり)
頑固に自説を曲げず若手刑事から煙たがられ、それでもたった一人でコツコツと推理・検証を積み重ねるも難しい壁に阻まれるおやっさん。そんな袋小路の中、高杉婦警の優しい気遣いでお茶を飲み干すのだが・・・その瞬間、知らず知らずに真相のヒントを得ている、という重要なシーン。
物語は、おやっさんの一徹な情熱に意気を感じ態度を一転させ協力を申し出た若い刑事仲間にも助けられ、遂におやっさんが複雑に入り組んだ真相へと辿り着く、というハッピーエンドにはとどまらず、あまりにも無情な結末をも用意しています。
画像のシーンでの大滝さんの笑顔は、演ずる船村刑事の心中に複雑に入り乱れる、若さへの嫉妬と老いたる我が身の悲哀が見事に表現されていると思います。

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↑ 第118話「子供の消えた十字路」より。これまた名作!

(註:以下、若干ストーリーのネタバレあり)
幼い子供をはねた自動車。運転手は慌てて子供を抱きかかえ、車に乗せて走り去る。たまたま現場を通りがかったおやっさんは、運転手が病院に向かったものだと思い込んだが、その車はそのまま消息を絶ってしまう。子供の母親に「あなた刑事なんでしょ!何で車のナンバーくらい覚えていないんですか!」となじられ窮地に立たされるおやっさん。
エンディング・・・廃車工場で子供を乗せたままスクラップされる寸前の車から子供を救い出したおやっさんが、疲弊しきった身体で犯人に一発渾身のビンタを入れた後、ヘナヘナと座り込んでしまう・・・怒り、やるせなさ、そして安堵を大滝さんが完璧に表現した、屈指の”泣き”の演技によるクライマックスシーンです。


『特捜最前線』のレギュラー陣では今年に入り神代課長(二谷英明さん)、津上刑事(荒木しげるさん)に次ぐ3人目の訃報・・・その前には叶刑事(夏夕介さん)も亡くなってしますし、本当に寂しいです。
夏さんは『特捜最前線』DVD特典のインタビューで、撮影の帰りによく大滝さんの家にお邪魔して将棋を指した、本当におやっさんだった、と語っていました・・・。

また大滝さんと言えば、こちらも僕の大好物、市川昆監督の横溝正史シリーズに、出番こそ少ないながらも重要なキーパーソン役で必ず出演。
いずれも、アクが強く少し変わり者、という人物設定で素晴らしい演技を見せてくれました。

何と言っても”おやっさん”が亡くなる日が来るなんて、タイムリーで『特捜査最前線』を観ていた子供時代からずっと、とても考えられなかった・・・。

心よりご冥福をお祈り申しあげます。

☆    ☆    ☆

本当にショックな訃報でしたが、こうして記事にしたことで、乱れた心もどうにか落ち着いてきました。
そう・・・明日はいよいよ大宮公演です。
予定通り、東京ドーム『ジュリー祭り』の相方・YOKO君と男二人で参ります。

YOKO君にとっては初めての、ジュリーLIVE松席参加。
そして彼は、この後に及んでセットリストをネタバレしておりません
明日大宮でご一緒するみなさま・・・イケメンとは言え若干コワモテ系のYOKO君に話しかけようという方はそうはいらっしゃらないと思いますが・・・どうか開演前には、彼の前で今ツアーのセットリストについては触れないであげてくださいませ。

次回更新は、当然の大宮レポです!
例によってまた、やたらと時間のかかる大長文になってしまったら、ごめんなさいね・・・。

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ジュリーをとりまくプロフェッショナル」カテゴリの記事

コメント

大滝秀治さん、いい役者さんでしたね。
画面に登場するだけで場が引き締まり、観客は何かを彼に期待してしまう。
あの独特な声音と迫力に満ちた演技。例えそれが静かな役柄だったとしても、みなぎる”気”で、見る方を唸らせました。

私の場合は 何と言ってもサリーとの殺虫剤のコマーシャル
 「つまらん!お前の話は つまらん!!」
悲しいのに、見るとやはり笑ってしまう。
凄い役者さんの胸を借りて サリーも 俳優・岸部一徳としての存在感を日本中に示すことができたようで嬉しかったです。

87歳。生涯現役の憧れの生き方ですね。
ジュリーにも 70までは…なんてケチくさいこと言わないで、ず~っと歌って欲しい。

大宮、YOKOさんの新鮮な感想が楽しみです。

投稿: 真樹 | 2012年10月 7日 (日) 08時06分

パリの哀愁をすっかり忘れてました!
見事な俳優人生でしたね。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

投稿: ちこ | 2012年10月 7日 (日) 17時46分

真樹様

ありがとうございます!

黙した時の大滝さんの迫力には僕も『特捜最前線』で何度も感動させられました。
また、他の刑事が主役の回で、ふと画面に映り込む”おやっさん”の存在感…本当に多くの俳優さんがそのオーラに鍛えられていったのでしょうし、サリーとのCMにもそんな空気がありますね…。

大宮では、YOKO君大変なことをしでかしましたよ!
「ラジカル」から「君をいま」までジュリーと長期戦のバトルを展開…おかげで上手ブロックの前の方の席のお客さんは、僕も含めてずいぶん得をしました…。
詳しくはレポで!

ちこ様

ありがとうございます!
正しく俳優人生…俳優60年、ですからね。あの得がたいキャラクターのまま…凄い人がいたものです。
僕が『特捜最前線』に惹かれてタイムリーで観ていた頃の大滝さんは50歳そこそこの歳なのですが、夏夕介さんのインタビューによると、「老けて見えるので得をしている。見た目よりも動けるから」とその頃に語っていらしたとか。
そこからさらに30年、生涯現役。

あらためて、ご冥福をお祈りしたいと思います。

投稿: DYNAMITE | 2012年10月 8日 (月) 19時05分

DY様 こんばんは。

「特捜最前線」時々見てました。
「乙種蹄状指紋の謎!」「子供の消えた十字路」題名に覚えがあるので見たハズです。ただ細かいストーリーは・・・。何しろ脳内メモリがひとつ覚えるのに5つ忘れる状態で。
(あ、ジュリはストック場所が別になってます。)
大滝秀治さん、出ているだけでほっとする方でした。ご冥福をお祈りします。

「森のホール」行ってきました。
ご機嫌で歌詞があぶないところもあまりなく、歌の世界に入り込むことができました。
「1989」のカズさん、まじまじ見たら「うわ~こんなエロい顔してたんだ~」とジュリ見るの完全に忘れてました。(笑)
MCで突然
「近日発売の週刊○○にのけぞるような記事が出るらしいという情報があるとかないとか」
どんな情報かというとジュリが言った瞬間会場が大爆笑になったようなことで。
「やっぱ笑うよね?ホントに(記事が)でるかどうか知らんけど、出ても買わずにコンビニかなんかで笑って立ち読みしてください。絶対ありえませんから。」のことでした。
大宮レポ楽しみにしております。

投稿: nekomodoki | 2012年10月 9日 (火) 00時04分

nekomodoki様

ありがとうございます!

『特捜最前線』は、大滝さん演ずる船村刑事のキャラクターが脚本家陣に定着し始めた頃が一番充実していたように思います。なくてはならない存在でした…。

松戸のMCは僕も先輩からまず教えて頂いたのがその話題…本当に、ジュリーファンからするとまったく有り得ない話、と分かりきっているだけに…会場のお客さんたちも、ジュリー同様苦笑するしかなかったのでしょうね~。
僕はおそらく立ち読みすらしませんが

投稿: DYNAMITE | 2012年10月 9日 (火) 19時53分

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