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2012年9月

2012年9月26日 (水)

沢田研二 「BYE BYE HANDY LOVE」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバーチュア
2. ス・ト・リ・ッ・パ・-
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

--------------------


本題の前に少しだけ、今ツアーのお話を。
自分が参加していない会場のお話を各地の先輩に聞かせて頂いたり、レポを拝見したり、というのは僕がいつも楽しみにしていることですが・・・なんだか、福岡公演がとても良かったっぽいですね~。
参加なさったみなさまの興奮度、こちらに伝わってくるものが相当抜きんでている気がする・・・。

僕は今年のお正月に老虎ツアーで福岡のファンの独特の熱さを体感していますから、先輩方が知らせてくださったジュリーとお客さんの様子が結構リアルに想像できるんです。
あの
「待ってたよ~!ようこそジュリー!」
という感じの福岡の雰囲気は、本当に独特。今ツアーでは、それがステージのジュリーの
「この曲歌いたかったよ~!」
という気持ちとMAXでシンクロしたのかな。

九州出身者として、不参加ながらとても誇らしく、加えてやっぱりうらやましく思った次第でした・・・。
もちろん熊本、宮崎や、今ツアーでは公演の無かった九州各地のジュリーも、機会があれば一度観に行ってみたいなぁ。

そして、伝説進行中(だと僕は思っている)の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーは、いよいよラスト・スパートへとさしかかります。
先週、10月分、11月分として申し込んでいた大宮、大トリ・フォーラムAのチケットが届きました。
2つとも抽選待ちの会場でしたが無事に通過。今ツアーは前半で席運を使い果たしてしまったかと思っていましたが、それぞれ見応えのありそうなお席を頂きました。特に大宮の望外の松席には感謝、感謝・・・です。
自分は本当にツイている・・・だって、席運に恵まれたのが今回のツアーだったのですから。

とにかく僕は、今ツアー・タイトルとなった新譜、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』というアルバムに心底惚れ込んでいます。
八王子のMCでジュリーが”アルバム”という言葉を使った時、僕の中で我が思いながら実感しきれていなかったことが、ストン!と氷塊しました。それは・・・紛れもない、僕は過去のジュリーの作品で一番好きなアルバムのツアーに、今参加しているのだ、ということ。

これまでの僕のジュリー・フェイバリット・アルバムと言えば、不動の『JULIEⅡ』。
ジュリーの作品は本当に名盤の宝庫ですから、今まで何度か他のアルバムを聴いて、『JULIEⅡ』に迫ったかな、と感じたことは何度もあります。でも、”追いついた””完全に肩を並べた”と考えたことは一度もありませんでした。

ジュリーがプレプレツアーで「満タンシングル」と表現した2009年リリースの『PLEASURE PLEASURE』以降、僕はジュリーのソロの新譜を”アルバム”とは認識していなくて・・・。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』についても、ごく当然のように、”マキシシングル”と捉えていました。これは、多くのジュリーファンのみなさまも同様だったようです。

でも、ジュリーは八王子で確かに『3月8日の雲~カガヤケイノチ』を”アルバム”だと言った・・・そうしてよくよく考えると、今まではそのあまりのコンセプトの違いで比較することすら思いもしなかったけれど、僕は『JULIEⅡ』と同じくらいこのニュー・アルバムに入れ込んでいるじゃないか、いや、むしろ追い抜いてさえいるんじゃないか、という自分の気持ちに気がついたのです。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』というこのアルバムの収録曲すべてを、収録順通りに、ジュリーが決死の祈りを込めて歌う・・・そんなツアーは今年が最初で最後かもしれないのです。今ツアーでのあの4曲のヴォーカルを生で聴けば、なおのことそう思います。

ならば、僕はそのジュリーの祈りをもっともっと噛みしめてLIVEに参加しなければ、と今考えているのです・・・。

さて、大宮公演は10月6日。
もちろんチケット当選を願っていた一方で、実は僕はその日ジュリーのLIVEに参加するにあたってかなり複雑な思いもあって・・・それは少し前に意外な形でケリがついたんだけど、今日はそんなお話も交えながら、アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』からお題を採り上げて語ろうと思います。
「BYE BYE HANDY LOVE」、伝授です!

これまでアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の収録曲を語る際、僕は何度も”パブ・ロック”というジャンルについて書いてきました。
実は今年の10月は、パブ・ロック・ファンにとって狂喜乱舞のお祭り期間となるはずでした。

まず10月頭に、ドクター・フィールグッドの最初期のメンバーであり、イアン・デューリー率いるブロックヘッズにも在籍したことのあるギタリスト、ウィルコ・ジョンソンが来日します。
”マシンガン・ギター”の異名をとる、まるで鋼鉄の弦を弾いているような彼のプレイ・・・僕は20歳の時に一度観ています。今年の来日公演、渋谷が月頭の平日ということであきらめざるを得ませんでした。

そしてもう一人。
『S/T/R/I/P/P/E/R』収録曲の中、6曲にリード・ギター或いはコーラスでゲスト参加している、僕が世界で最もリスペクトするギタリスト、ビリー・ブレムナーが来日!そのニュースはある初夏の日、突然飛び込んできました。
しかも、ブリンズレー・シュウォーツをはじめとするパブ・ロック職人の渋い面々を従え、バンドスタイルでの公演を敢行する、とくればこれはもう何を置いても行くしかない・・・そう思いました。僕はビリーのギターをまだ生で聴いたことがないのです。

しかし、僕の中の「何を置いても」には、たったひとつの例外があったことがすぐに判明します。
公演日程を確認すると、何と10月6日。
その時、僕はすでにジュリー・ツアー後半、大宮公演を第1希望としたチケット申し込みを済ませてしまっていました。何たることか・・・ジュリーのLIVEとバッティングしてしまうとは・・・!
かつてパブ・ロック・バカだった青年は、今やジュリー・マニアのおじさんとなっています。大いに後ろ髪引かれつつも
「ジュリーと重なったのなら仕方ない」
と潔くあきらめたわけです。まぁ、大宮の抽選が外れたら、必ず駆けつけようとは思っていたんですけど。

最近になってその件は、バンドメンバーのビザの関係による公演中止、という思ってもいなかった結末を迎えました。
日本中のパブ・ロック・ファンがそれぞれコアなブログなどで凄まじい盛り上がりを見せていただけに、とても残念です。ただ、企画自体がオジャンになった、というふうには考えられないので、機を改めてビリーの公演が実現するのを楽しみに待ちたいと思います。
その時には、ジュリーのLIVEと重ならなければ良いのですが・・・。

さて、そのビリー・ブレムナー。
『S/T/R/I/P/P/E/R』参加曲での彼のベスト・プレイは「DIRTY WORK」だと僕は思っていますが、本日お題の「BYE BYE HANDY LOVE」については・・・「ちょっと苦労してるかなぁ」という印象です。
元々ビリーは、もちろんソロの名手ではあるのだけれど、基本シンプルなコード進行のロックンロールやブルース、ロカビリーの楽曲全体を俯瞰し、優れた構成のフレージングで味付けする、というタイプのギタリストです。『S/T/R/I/P/P/E/R』のレコーディングで求められた、”ミドル・エイトのソロだけを弾く”というスタンスは肌が合わなかったかもしれません。

それでも僕にとっては、まごうことなきビリー・ブレムナーの音が鳴っている、というそれだけで感動することもまた事実。
何十年も熱心に聴き続けたギタリストの音を僕の耳が逃そうはずはなく、ビリーがどの曲のどの部分を弾いているかは、さほど気をつけていなくとも分かります。

「BYE BYE HANDY LOVE」での彼の出番は1' 49"から。
ジュリーの「get it on!」のシャウトに続く8小節のギター・ソロ。これがビリーの音です。
それ以外の・・・例えば右サイドで鳴っているギターはヴォーカルの合間合間に結構単音を弾いていますが、これはビリーの音ではありません。おそらく柴山さんなのでしょうね。

この曲についてはもう1点、作曲者である佐野元春さんのことを語らなければなりません。
僕が佐野さんのレコードを購入したのは、『No Damege』がタイムリーにして初めての1枚。そこから過去3枚のオリジナル・アルバムを遡っていったわけですが、初めて聴いた『No Damege』で一番好きになった曲が正にこの「BYE BYE HANDY LOVE」だったのです。
日本にこんなセンスを持つ人がいたんだ!という無知故の驚きは、まぁ僕の勉強不足、幼さだったにしても、こういった「演奏時間2分台の美学」を擁した邦楽を教えてくれたのは、僕にとって佐野さんが最初の人でした。その後僕は、佐野さんと同じセンスを持つ杉真理さんや伊藤銀次さんの存在も知っていくことになります。

佐野さんの『No Damege』ヴァージョンの影響が大きかったせいでしょうか、僕は長い間「BYE BYE HANDY LOVE」を、ビートルズの「CAN'T BUY ME LOVE」のようなナンバーだと認識していました。
ですから、ジュリー・ヴァージョンのアレンジに慣れるまでにいくらか時間を要しました。佐野さんは敢えてポップ寄り。ジュリーの方は、クールなロカビリー色が全面に押し出されています。あと、間奏部の配置をはじめ、楽曲構成の段階から大きく違いますし・・・。
今ではすっかりジュリー・ヴァージョンの方に身体が染まってしまいましたけどね。

もう1点、佐野さんのヴァージョンとの違いとして挙げておきたいのは、ブリッジ部のアレンジとミックス。

♪ 誰もが探してる 心の港
  E♭          B♭  A♭   Gsus4  G7

  やみの歩道くぐりぬけて たどりつくパラダイス ♪
  Cm                 F7                             Gsus4  G7

120926

↑ 新興楽譜出版社・刊 『ス・ト・リ・ッ・パ・- 沢田研二楽譜集』より

ハ長調の曲が変ホ長調へと転調しています。それまでの印象をガラリと変えるメロディーで、短い曲をギュッと引き締める、佐野さんの卓越したポップ・センスが光る部分だと思います。
佐野さんのヴァージョンでは、この部分が独立したサビとも言えるほどの曲想の変化を見せるのです。
「たどりつく♪」ではアレンジに「F7」ではなく「Fm」のニュアンスが強く入り、愁いが感じられます。隠し味として大きな役割を持つのは、4拍連打の鈴の音色。ちょっと、ロックを離れるような感覚すらあります。
一方ジュリーのヴァージョンはそういった装飾に頼らず、才気溢れる主人公が楽々と「パラダイス」に辿り着くかのように、スッと素通りする感じでクールに進行します。それは演奏もヴォーカルもそうなのです。
それだけに、直後のビリー・ブレムナーのリードギターは、相当”オイシイ”役割だったわけですけど。

ところで僕は、佐野さんで「BYE BYE HANDY LOVE」という曲を知って以来、30代後半になってからジュリーの『S/T/R/I/P/P/E/R』を購入し改めて歌詞を熟読するまでの約20年間・・・このブリッジ部の歌詞の一部を誤って覚えたまま過ごしてきてしまいました。

闇の窓をくぐりぬけて♪」

だと勘違いしていたのです。佐野さん独特の発音でそう聴こえていたのかな・・・。
まぁ、「闇の窓」ってのもなかなかイイ表現じゃあないですか~(違)。

最後に、ジュリーのゴキゲンなヴォーカルについて。
ジュリーがまさに一級、いや特級のロック・ヴォーカリストであることが、このアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』では完全に証明されました。
「BYE BYE HANDY LOVE」での不良っぽいカッコ良さ全開の歌い方は、前作『G. S. I LOVE YOU』収録の「MAYBE TONIGHT」を彷彿させます。時折ルーズに聴こえる・・・それが良いのです。
古き良き時代のロックンロール、ジュリー流”不良少年のイノセンス”はここでも炸裂していますね~。

さて次回更新ですが・・・。
この記事を下書きしている間に急展開があり、LIVE欠席を余儀なくされた先輩から有難くも代打指名を頂いた僕は、週末の横浜公演に急遽参加することになりました。
その次の参加会場、大宮までは一週間しか間が無いので、横浜公演単体で本当に簡単な短いレポを書くか、それとも横浜と大宮をセットでいつもの長めのレポとして纏めるか、思案しているところです。
どうしようかな・・・。

あと今週末は、ジュリー静岡公演ならびに吉田Qさんの大阪LIVEのご感想を、コメントにて大募集しております。
ちなみに僕は、0歳半から3歳まで清水市に住んでいたんですよ~。

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2012年9月23日 (日)

9月28日、吉田QさんのLIVEです!

ただいま、エキゾ期の楽曲をお題にした記事を鋭意下書き中でございますが、今日はちょっとお知らせ、お願いの記事を挟みます。

2010年、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのアルバムに「涙がこぼれちゃう」「いつかの”熱視線ギャル”」の2曲を提供した若きシンガーソングライター、吉田Qさんの復帰LIVEが、来たる9月28日の金曜日に、大阪は『福島2nd LINE』というライヴハウスで行われます(18:00開場、18:30開演)。

ジュリワンがきっかけでジュリーファンにその名を知られた吉田Qさん。今でも「涙がこぼれちゃう」を忘れがたい名曲として挙げるジュリーファンは多いですよね。
その後、彼の独特の歌声やキャラクター、そして何よりもオリジナル曲の素晴らしさに惹かれ、何人ものジュリーファンが大いに力を入れてQさんを応援するようになりました。僕もその中の一人です。

彼の28日のLIVEを”復帰”と表現したのは、吉田Qさんがステージに立つのが一昨年の千葉ポートパーク以来、2年以上ぶりとなるからです。
ソングライター活動では、ジュリーwithザ・ワイルドワンズの2曲以外にも、鈴木雅之さんに提供した「ラスト・ラヴ」「プロポーズ・アゲイン」など実績充分のQさんですが、自らが歌うソロ・シンガーとしては長い雄伏期間が続いていました。今回、5人のバックアップ・メンバーと共に敢行する久しぶりのLIVEは、アーティスト・吉田Qとしての新たなスタート、出帆の日となります。

・・・が、どうも集客の手応えが「もうひと声!」という状況のようです。

一昨年の千葉ポートパークへの出場枠を賭けたweb投票では、多くのジュリーファンの後押しがありました。実際、当日吉田Qさんはステージ上から1万人の入場者に向かって、ジュリーファンへの感謝の言葉を口にするというシーンもあったほど。
そして今。
Qさんの新たな出発となるLIVEに、何とか大阪近辺にお住まいのジュリーファンのみなさまの力をもう一度貸して頂けないでしょうか。

今回Qさんが出場するのは、いわゆる「コンサート会場」ではなく、「ライヴハウス」です。チケットぴあなどで前払いの手配をする必要はまったくありません。
ぶっちゃけ、当日いきなり行って大丈夫です。
ジュリーファンのみなさまの中には、いわゆるロックの「ライヴハウス」に不慣れなかたもいらっしゃるでしょうから、この機にその辺りを伝授しておきましょう!

ライヴハウスのチケットは基本、出演メンバーがクチコミで捌きます。
Qさんのライヴに行きたい、とお考えのかたが一番楽な入場方法は、前もって吉田Qさんのブログ、どの記事でも構いませんから
「9月28日のライヴに行きます。○○の名前でチケット取り置いてください」
と書き込んでおくこと。
律儀なQさんはすぐに手配してくれるはずです。

あとは当日お店に行き、受付で
「吉田Qさんを見にきた○○です」
と名乗ると、スタッフさんが各バンドが用意した「来訪予定者リスト」をチェックし、予約扱いでチケットを渡してくれます。そこでお金を払えば良いのです。

また、「行きます」とチケットを押さえてもらっておいたのに、当日急用などで結局行けなかった、という場合でも、キャンセル料金などは派生しません。
無かったこととして済まされます。まぁ、Qさんが少し悲しい思いをするかもしれませんが・・・。

ちなみにQさんのブログでチケット取り置きをお願いするにあたり、本名の苗字を名乗ることに抵抗のあるかたは、適当なハンドルネームでお願いしても大丈夫です。
ただし、入場時に必ずそのハンドルネームを名乗る必要が生じる、ということを念頭に置いておいてください。
Qさんがブログ本文でハンドルネームの件に触れ


お互いにちょっと恥ずかしい思いをすることになるかも♪

な~んて書いていますが、Qさんはズラズラとみなさまの名前を列記してライヴハウスのスタッフさんに提出するだけですから、何の恥ずかしいこともありません。
むしろ面白がっているのです
恥ずかしいのは、うっかり変なハンドルネームでチケットを取り置きしてしまったお客さんの方になります。
例えば僕が、「ウンチクのおじさん」というハンドルネームでQさんのブログにチケット取り置きをお願いしていたとします。すると、当日の入場経緯はこういう流れになります。


スタッフさん「いらっしゃいませ~。今日はどちらのバンドを?」
僕「吉田Qさんを見にきたのですが・・・」
スタッフさん「お名前は?」
僕「ウンチクのおじさんです」
スタッフさん「は?・・・(と呆気にとられつつもリストを確認)・・・あっ失礼、ウンチクのおじさんさん、でしたね。ありがとうございます」

まぁ、恥ずかしい状況ですわな・・・。
Qさんのブログを読んだかたがうまく乗せられて、Qさんご推奨の有名女優の名前で取り置きした場合の入場時の経緯は・・・ご想像の通りです。
ここはなるべく、普通に可愛いハンドルネームを使いましょう。

ただですね・・・無理に前もってチケットを押さえていなくても、当日いきなり行っても全然大丈夫なんです。
その場合は受付で
「予約はしていませんが、吉田Qさんを見にきました」
と言えば話が早いでしょう。受付のスタッフさんがしっかりQさんのお客さんとしてカウントしてくれるはずです。
その際、お名前を尋ねられるケースもあります。要は、どのバンドがどのくらい集客したか、というのをライヴハウスでデータをとっているワケで、名前を聞くのは、後で集計データが出演者にも手渡されるからです(それで出演者側も、誰々が来てくれた、ということが分かるわけです)。

でも、Qさん達出演者側としては、前もって取り置きしてもらった方が、「だいたい何人くらいのお客さんが来る予定」と把握できるから有難い、という話なんです。現在、正にその人数が「もうひと声!」という感じになっているんだと思います。取り置きのコメントが新たに増え、集客の手応えを実感できれば、Qさんも安心して当日のステージに向かうことができるかも。

Qさんと契約している音楽事務所のボスやスタッフのみなさまにも、集客の様子は伝わるでしょう。自らのヴォーカルで船出するQさんにとって、お客さんの入りが寂しいという結果になれば、その後の活動にも多かれ少なかれ影響は出てしまうのでは・・・。
ここは、何としても盛り上げねばなりません!
近辺在住のジュリーファンとして、ケンケンジ姉さん(「ケン高」さんで入場笑)他、数名の先輩方が駆けつけることになったようですが、ここはひとつ、関西ジュリーファンのみなさまの結集が実現すれば・・・吉田Qさんも大いに張り切り、ステージもより素晴らしいものになるはずです。

ライヴハウスなどに不慣れなジュリーファンの方々にとって今回ラッキーなのは、吉田Qさんの出演順が初っ端の1番目(午後6時半開演)だということです。
ライヴハウスは基本、複数のバンドやアーティストによる対バン形式。お客さんはそれぞれお目当てのバンドの出演時間に合わせて入場し、入れ替わります。(まぁ、お目当て以外の他のバンドを観ていても何ら問題は生じませんが)
吉田Qさん目当てのみなさまは、一番最初にお店に入るお客さん。中に入ればそこにいるのは、出演者、スタッフを除けばほぼ吉田Qさんお目当てのお客さんばかりです。出入り口付近の、入れ替えによる混雑もありません。

本当は僕も、遠征してでも駆けつけたい気持ちなのですが・・・関東からLIVEの成功を祈願しつつお留守番することになりました。

今週末の9月28日金曜日。お店は午後6時にオープン、Qさんの演奏は午後6時半から始まります。
(演奏時間は約30分。5~6曲の予定だそうです)
お一人でも多くのジュリーファンが集まりますように・・・。

それでは次回更新、楽曲お題記事にてまた!

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2012年9月17日 (月)

2012.9.8 オリンパスホール八王子 沢田研二『3月8日の雲~カガヤケイノチ』セットリスト&完全レポ

9月17日、レポ執筆を終えました。今回も、八王子公演当日から数えて10日ほどの期間がかかってしまいました。
例によりまして、記事更新日を執筆終了に合わせ、日付移動させて頂いております。
今回の注意事項を念のため書き残しますが・・・夏休みを挟んでのツアー後半に入り、1曲だけセットリストの変更があります。どの曲がどの曲に変わったのか・・・記事中でネタバレさせて頂いております。その点どうかご了承ください。
毎度毎度、ゆるゆる進行で申し訳ありませんでした。記事完成までおつき合い頂きありがとうございました~)

☆    ☆    ☆

遂に始まりました。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー後半戦!八王子スタート、というのが渋い・・・と言うか関東組はスケジュールに恵まれているなぁ、と。

お盆連休初っ端の8・11渋谷公会堂からこの日まで、随分待ったような気がします。
僕などは”月に一回”というキチンとしたペースでツアー参加しているわけですから、待ち日数としては実は初日からびわ湖、びわ湖から渋谷、というこれまでと何ら変わりはないはずなのです。
でも、ジュリー自身がお休み期間だったということで、待っている間の各地LIVEの情報が皆無だったことが、この「ようやく!」という気持ちに繋がっているのでしょうね。

ということで・・・テンションもアゲアゲで会場に向かいました。
八王子と言えば思い出すのが、一昨年のジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー。超・方向音痴の僕はあの日、道に迷いまくって泣きそうになっていました。
だって、駅出たらいきなり景色が地図と違う・・・要は、駅周辺で大掛かりな工事をしていて、狭い仮通路をくねくねと曲がっている間に僕の中で方向感覚が180度入れ替わってしまった、というわけ。分かってくださるかたも中にはいらっしゃると思うけど、方向音痴というのは、何故か正解とはキレイに真逆の道を進んでしまうものなんですよ・・・。

その”大掛かりな工事”で完成したのが今回の会場・オリンパスホール八王子です。
駅に隣接していますから、さすがの僕も迷わずに無事到着。ありがたいことです。
”八王子”というと何だか交通手段がややこしそうでパスしている遠征組の方々も多くいらっしゃるような気がしていましたが、東海道新幹線の新横浜駅を利用して横浜線というヤツで北上してくれば割と楽に来れちゃうんですってね。その上、八王子駅からは徒歩1分とかからないですし、広いホールだし、今後、西からのジュリーファン遠征組の新たなメッカとなっていくのかも・・・。

オリンパスホールは1階が奥に広く、それを上の階がグルッととりまくような構造です。この間参加したびわ湖ホールに似た、オペラホール的な感じ。
横幅は狭く、ステージ自体は広くありません。ですからバンドメンバーの立ち位置が、渋谷公会堂などに比べるとギュッと真ん中に寄っています。奥行もさほどではないらしく、ドラムセットが随分前方にせり出しているような印象を受けました。
ただ、チケットを手にした時の期待通り、僕の席は柴山さんの目の前、9列目。そして、ジュリーに向かって立つとちょうどGRACE姉さんと向き合う感じになります。
結果、ほどよい距離でバンドの演奏を楽しむことができ、これまで気づけていなかった鉄人バンドの細かい技もいくつかチェックすることができました。

定刻を過ぎても客席の照明が落ちず若干押したようでしたが、場内が暗くなってすぐにメンバー、そしてジュリーがいつものようにひと呼吸遅れて中央から入場。
「待ってました!」とばかりに大きな拍手が沸き起こりました。みなさま一様に、「夏休みの間、長いこと待った」という感覚だったのでしょうね。

開演です!

1曲目「SPLEEN~六月の風にゆれて」

Panorama

びわ湖では距離が近すぎて気がつかなかった
(すみませんすみません!)のですが、この曲、泰輝さんのシンセ1本で歌っている間は、ジュリーの上半身だけに照明が当たっているんですね。
あと、泰輝さんにもジュリーを照らしているものとは違った、ややぼんやりとした照明が当てられています。他のメンバーは暗がりの中です。
で、2番からバ~ン!とステージ全体が明るくなります。

2番の導入部、GRACE姉さんの4つ打ちがリムショットなのかどうかをずっと見逃していたので、今回は目を凝らして待ち構えていました。
リムではありませんでした。ハイハットの奥に、通常のスネア・ドラムとは違う小ぶりの太鼓がセットされていて、それを打っていたのです。「カンカン」と硬いチューニング音をさせるこの太鼓・・・名称が分かりません。明日月曜に出社した際に、打楽器関連の本で調べてみたいと思っています。

ジュリーのヴォーカルは夏休みのブランクを感じさせず朗々と響いてきて、声の調子はとても良さそうです。やった~!
エンディング最後の1音で両手を軽く広げ、キッ!と顔を上げるジュリーの仕草も、なんだかとても久しぶりに観るような気がして嬉しくなってきます。

2曲目「そのキスが欲しい」

Reallyloveya

イントロと同時に1階席は総立ち。
2階、3階の様子はどうかな?とチラッと下手側の出っ張り部を見上げると、あら・・・みなさん着席のまま?
でも、後で2階席で参加の方々に伺ったところ、半分以上のお客さんはスタンディングだったそうです。

イントロなどで披露されるジュリーの指差しのゼスチャーは、ツアーが進むに連れて面白いほどに乱れ撃ちになってきましたね~。
ギターソロ直後のブレイク部「そのキスは欲しい~♪」のトコでのお客さんの悲鳴も、いつにも増して強力だったような気がしました。いつ聴いても、威力、説得力充分の、ジュリーならではの名曲ですね!

曲が終わり、「さぁ!」と僕は柴山さんに注目。
ここまでの参加会場で僕は「
お嬢さんお手上げだ」の柴山さんのリード・ギターをじっくり観れていないのです。派手な間奏こそ無いけれど、オリジナル音源を忠実に再現した素晴らしい職人技・・・今日こそはガン見だ~!

柴山さんはスッ、と指をフレットに置き最初の1音に備えてスタンバイ。
「ファファッソソッ、ラ♭~、ソファド♪」
というフレーズを僕が今か今かと待ち構えておりますと・・・。

3曲目「
コバルトの季節の中で

Tyakoruglay_2

いきなり
「ファ~ソ~、ファ~レ~ド~レ~、ドレドレ、ファ#~レ~ド~レ~♪」
というあの印象的なイントロ・フレーズを柴山さんが弾き出したものですから、もうビックリ仰天。
「コバルトだコバルトだ、セットリストが変わった!」
と、嬉しい意味で意表を突かれました。
『ジュリー祭り』堕ちの僕は、ツアー途中でセットリストが変わるパターンって初めて体験するんですよ~。

正直、後半戦初日に臨むにあたって僕は、セットリスト変更の期待はまったく持っていませんでした。
でも、いつもお邪魔させて頂いているブロガーさんで、はるか様と☆Nemigi☆様のおふたりまでもが、後半に向けてこの「コバルトの季節の中で」に期待していらっしゃるのを拝見していて、「そうかぁ、秋が来るんだもんなぁ。コバルト聴きたいなぁ」とは考えていました。
(今遊びに伺ったら、TOMO様も書いていらっしゃいました)

そんなこともあって、開演前にakichanご夫妻にお会いした際、「セットリスト変わると思います?」と尋ねられ、「いやぁ~、たぶんそのままじゃないですか~」と言った後、「でも、もし変わるならコバルトとか聴きたいです」とお話させて頂いてたんですよ~。
正に
「子供・・・もとい、暦の上ではもう秋!」(byジュリー)
というセットリストの”衣がえ”。
本当に秋が似合う、珠玉の名曲だなぁと再確認。生でこの曲が聴けるのは『ジュリー祭り』以来ということで、会場も「うわぁ~♪」という何とも言えない雰囲気に包まれました。

僕はあまりに嬉しくて、イントロで手拍子してしまいました。すぐに「ん?これは手拍子の曲ではないぞ」と気がつき横揺れに移行しましたが(恥)。
地方の会場で時折遭遇する、「時の過ぎゆくままに」のイントロで思わず手拍子してしまう方々の気持ちが分かったような気がしました。

ただ、次回大宮で共に参加予定のYOKO君のダイブ曲一番の目玉だった「お嬢さんお手上げだ」が無くなってしまったのは少し残念・・・。
でも、YOKO君はこの「コバルトの季節の中で」もジュリー・シングルの中でフェイバリットに挙げていますから、きっと喜んでくれるでしょう。

~MC~

まずは
「お待たせしました~!」
の絶叫から。会場は当然の大拍手です。

「久しぶりの八王子・・・オリンパスホ~~ル!暑い中をたくさんお越しくださりありがとうございます!」
「たくさん来て頂いたのに・・・みなさまの知らない曲ばかり歌いますが、大丈夫なんでしょうか・・・?」
で、場内爆笑。

最後の
「鉄人バンド!共々、張り切って参ります!」
の、「鉄人バンド」の発声に極端に気合が入っていたのもまた嬉しい、最初のMCでございました。

4曲目「1989」

Boukyaku

いやぁ・・・熱唱でしたね~、ジュリー!
「はがれ落ちてく♪」のトコの、腕を左右にビシ~ッ!と、それでいて素早く、一語一語に呼応するように伸ばすアクションも、これまで以上にキマっていました。

そして、スーパー還暦ギタリスト・柴山さんが、60歳初の「ぬお~っ!」「くあ~っ!」を惜しみなく披露してくれました。
真紅に染まりながら、これまでと微妙に違うフレーズの間奏リードギター。粘り強い単音のサスティンで攻めたかと思えば、セーハで小刻みにフレット移動。
そして間奏が終わると「ほ?」という感じで我に返ってスタスタと定位置に戻りコーラス・スタンバイ。
この日は柴山さんへの声援もとても大きかったように感じました。

5曲目「
届かない花々

Croquemadame

休憩時にしょあ様にお会いした際、今日はこの曲で柴山さんがフィードバック奏法を披露してくれていたらしいことが判明。アンプの方にギターのボディーを手持ちでかざしていた、と仰るので間違いないと思います。何という・・・僕はまったく見逃していました。残念!

自作の歌詞に連動したジュリーのひとつひとつのアクションに、改めて心を撃たれます。
胸に力強く拳を当てるシーン。
何度も何度も掌を握り、開き、握り、と繰り返し、会場全体に思いよ届けとばかりに歌うシーン。
今回のお席での、ジュリーとの丁度良い距離感もあって、なおさらグッときます。

イントロのGRACE姉さんのスネアは、いわゆる”ゴースト”というテクニックとは少し違う叩き方をしているように見えました。どうやら4拍目ではハッキリとしたロールを採り入れているようですね・・・。

6曲目「
涙色の空

Namidairo

柴山さんのフィードバックについて、僕の方はこの曲のエンディングでそれに近い音を確認しました。
背中を見せてアンプに向かう、ということはなかったので厳密には違うのでしょうが、前半戦で観た「涙色の空」とはエンディングの柴山さんのギターが異なっていました。泰輝さんの最後の「チャララン♪」にかぶさるほどの音圧で、サスティンが伸びていたのです。

これまで聴いてきた柴山さんのサスティンには、大きく分けて2通りの設定があります。
ひとつは、一度音を出したら永遠にその音が伸びて鳴り続ける、という設定。音を止めるためには、「きゅっ♪」と弦に触れる必要があります(「
危険なふたり」や「いい風よ吹け」など)。
もうひとつは、
「ぎゅ~~~~~~んきぃ~~~~~~ん♪」
と、音が伸びるに従ってそれがノイズ音に近いガサガサとした感じになる設定。これが今回の「涙色の空」のエンディングで聴けたものです。

ジュリーの歌声、歌詞の特性もあり、この曲もまたツアー後半の目玉、秋が似合う名曲だと言えそう。
最後の半音上がり転調部、アコギを弾く下山さんのアクションもいつになく大きかったなぁ・・・。

7曲目「3月8日の雲

38

いよいよ新譜、組曲タイム。
この素晴らしい4曲がアルバム順に生で聴けている、というのは、ジュリーファンにとって数年後の大きな宝物のような記憶になるんじゃないか・・・そんな気がします。
しっかりと目に、胸に焼き付けたい。

毎回この曲を歌い前に新譜の紹介があるのですが、この日はほんの少しだけ長めに喋ってくれたジュリー。
「みなさんの知っている曲が全然ないですが・・・そこでまた、今度は新曲を(笑)」
と、おどけてからの紹介だったのです。
「今度のアルバム(とジュリーは言いました。やはり今年の新譜はジュリーの中でも”アルバム”なんですね!)は、鉄人バンドのメンバーに”Pray for East Japan”というテーマで曲を書いて貰い、それに私が詞をつけました。すべての被災地に祈りを込めて歌います!」

その祈りは、まずは怒り、嘆きのハードな1曲目でジュリーの変わらぬド迫力ヴォーカルで届けられます。
「届かない花々」以降アコギを握りっ放しの下山さんが繰り出す、鋭いカウンター・オブリガート。僕は八王子のこの曲では下山さんの演奏に目を奪われました。
セットリスト後半明らかになるのですが、この日の下山さんはかなり積極的に動き回っていたのです。珍しいほどのハイテンションだったようですね。

8曲目「恨まないよ

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1曲目「SPLEEN~六月の風にゆれて」の項で言及した、ハイハット奥のGRACE姉さんの小ぶりな太鼓がこの曲でも大活躍です。
AメロからBメロ・・・サビでバンド全体が爆音と化すまでの、じりじりとした緊張感をリードしていたのは、この硬いチューニングの太鼓の音色だったのです。

ジュリーのヴォーカルの凄まじさ、圧倒的な説得力と押し寄せる感動の大きさは相変わらず。このヴォーカルの前には、僕の頭でどんな賛辞の表現をひねり出し言葉を尽くしても、陳腐になってしまう・・・。
ただ、この日も素晴らしかった、感動した、胸がいっぱいになった・・・そんなことをお伝えするしかありません。

柴山さんのソロも良かった・・・。
ソロが終わってからのAメロ部へのエフェクト設定のチェンジも見事。効果的です!

9曲目「F.A.P.P

38_3

「恨まないよ」の唐突なエンディングでピタッ!と「静」のポーズを決めたジュリーが息をつき、いつもの
「ありがと~、サンキュ~、ありがと~ね!」
を叫んだのですが・・・。
その初っ端の「ありがと~」の辺りで、何故だかGRACE姉さんがカウントを出し、「F.
A.P.P」のイントロが始まってしまいました。

実はこの「F.
A.P.P」、イントロは4小節しかなく意外とすぐヴォーカルに突入しなければならない曲です。
イントロが始まりジュリーは一瞬「えっ」という感じの表情になりましたが、それでも律儀に
「サンキュ~、ありがと~ね!」
とお決まりのセリフをそのまま客席に投げ、クルリと後ろを向いてジャケットを脱ぎます。
間に合うか・・・間に合うか・・・?
観ていてハラハラしましたが、さすがはジュリー、ジャケットを脱いでドラムセットの前にかけ、こちらを振り向いた瞬間がピッタリとヴォーカル導入部だったという・・・。これはやっぱり、長年培ってきたLIVE呼吸の為せる技なのでしょう。

ジュリーは1番のサビ部で「ラ」の高音に届かず、即興でメロディーを作って乗り切りました。なかなかイカシたメロでしたよ!
2番、3番では、CD通りの最高音を出していました。

僕の席から前を見ていても、結構手拍子でノッてるお客さんは多かったです。初日での「どう聴けばいいのか分からん!」といった感じだった会場の空気からは、ツアーで会場を重ねるに比例して、脱しつつあるようですね・・・。

10曲目「カガヤケイノチ

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この日の「カガヤケイノチ」は崇高と言うのか気高いと言うのか・・・美しく、力強かったんですよね・・・。この曲については、僕が今まで観てきた4つの公演の中で突出して良かったと思っています。

強く印象に残ったのは、間奏です。
無論、下山さんのリードギターもこれまで以上に素晴らしく、気合もヒシヒシと感じました。しかし僕の目を奪ったのは、下山さんがギターを弾いている間、両手を横に拡げて、蝶のようにピタッ、とそのままの姿勢でとどまり、必死で何か心の奥にあるものを表現しようとしていたジュリーの姿でした。
ジュリーは何を伝えたかったのでしょう・・・。

とにかく、「ここは間奏だから自分は休み」という感覚は、ジュリーには一切ありませんよね。それはすべての曲について言えることでしょう。だからこそ、「歌いたい歌」を歌うジュリーの必然性を、お客さんは感じることができるのだと思います。

間奏が終わるといつものように指揮が始まり、サビの合唱へ。
まだまだ会場全体に声が響く、とまではいかないんだなぁ・・・とこの日も思って帰路に着いたわけですが、翌日mayano様のブログを拝見し、ハッ!と今さらながらに気がづきました。

この合唱コーラス部なんですけど、最低音が「ド」で最高音が高い「ミ」。これはモロに男声の音域です。事実、僕などはとても歌い易い音階のメロディーなのです。
しかしそれは同時に、女声にとってはかなり歌い辛い音域だということです。
例えば僕のカミさんは、「渚のラブレター」の「ふ~たり、えらんで♪」の「で」が低くて歌えません。これが「レ」の音。
「カガヤケイノチ」で言うと「え~がお~で♪」の初っ端の「え」がそれよりもさらに1音低い「ド」の音なのです。これは女声では低過ぎてなかなか出せないでしょう。
必然、今ツアーの「カガヤケイノチ」で女性のお客さんは最初の「えが~お~で♪」を、オクターブ上の音で歌い出すはず。
そうすると今度は、「寡黙に♪」の後の「ラララ・・・♪」の最後の方が高過ぎて出ない、ということになってくるわけです。
メロディーはシンプルで覚え易いのですが、女性の声域に合わないんですね・・・これでは、会場のほぼ9割を女性が占めるジュリーLIVEで大合唱となるにはなかなか厳しいのでは・・・?

でも、会場の皆が声を揃えて歌おうとしている空気は、ヒシヒシと伝わってきます。
女性ファンのみなさま、何とか裏声を駆使して頑張ってみてください。男声陣としては、この先もこれまで以上に思いっきり歌うことを誓いますから・・・。

~休憩~

さて今回も休憩タイムの項に合わせ、レポもひと休みのまったりコーナーとさせて頂きますが、これといった特別なネタもないので・・・会場入口で頂いたチラシのお話でもしましょうか・・・。

まずはこちら。


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こういうパターンって、これまでありましたっけ・・・ファイナルのチケットをFAXで購入できる、というね。
ここでヒヨッコファンの心情としては、「席が余ってしまっているのかな・・・」と余計な不安に駆られたりもしますが・・・実際どうなのでしょうか?

続いては、結構な話題沸騰!となっているこちら。

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”風変わりパッケージ”シリーズのジュリー・アルバム4枚が、通常のプラケースCDとして販売されるというもの。
これは、今までのパッケージ・デザインでの再版が今後無い、ということなのかなぁ。とすれば今の手持ちのものがすごく貴重に思えてきます。

それとも単純に、「収納に困っている」というお客さんの声とニーズに応えた企画なのかな。
確かに収納しにくいですよね。でも、『クロックマダム~』『俺たち最高』の2枚は普通に他CDと並べられるし、『greenboy』も立ててあげれば何とかなります。
ということは、この4枚のうち一番手強いのは『明日は晴れる』ですか。まぁ確かに・・・何処に片づけたものやら悩む大きさ、デザインですよね。
ちなみに僕は

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このように、スコア収納ボックスに紛れて立てて片づける感じにしています
(写真右上がブツです。ちょっと手前に引っ張り出した状態で撮影)

最後はこちら。

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ジュリワンDVD『僕たちほとんどいいんじゃあない』の収録曲クレジットに注目。
波だがこぼれちゃう」という、致命的な誤植がまだ修正されていません・・・(泣)。
加瀬さんや吉田Qさん、それこそ涙がこぼれちゃっているのではないでしょうか。いつか直ると良いけど・・・。

といったところで。
それでは後半突入です!

11曲目「約束の地」

Beautifulworld

前半に「コバルトの季節の中で」のサプライズがあったので、僕は後半それぞれの曲のイントロ最初の1音に神経を集中させていました。他にもまたセットリストの変更があるんじゃないか、と考えながら観ていたのです。
結果、それはありませんでしたけどね・・・。

そんなこともあって、「約束の地」って、こんなに力強いドラムスのフィル・インからコーラスへと移行するのか・・・と、妙にそんなところに感動したり。

ここからの4曲は”憑き物落とし”だ、とびわ湖のレポに書いたけど、「約束の地」のヴォーカルをこうして聴いていると、そのびわ湖の忘れようにも忘れられない至近距離のジュリーの神々しい立ち姿が脳裏に甦ります。

エンディングでの大きな腕の動き、ピンと伸びた背筋。
八王子の「約束の地」もまた、神々しいジュリーだったと思います。

12曲目「君をのせて

Acollection

イントロ注視状態が続くDYNAMITE。これまでさほど気にとめていなかったけど、ストリングスで「ミファソファミファ・・・♪」と流れる最初の泰輝さんの演奏、その直前の単独の1音、「ぽ~ん♪」の瞬間に、「君をのせて」だ!と確信できる・・・。この1音から既に、楽曲の世界観があるんですね~。

どの先輩のブログさんだったかな・・・八王子よりも少し前に、「君をのせて1990」について書いていらっしゃるのを拝見して、「そう言えばあのヴァージョン、じっくり聴き込んだことがないなぁ・・・」と思い立って、気合入れて聴いてみました。
驚きましたよ・・・素晴らしい!
本当に、そのブログさんで書かれていた通り、今のジュリーが耳元で歌ってくれているような感覚があるんです。
音源をお持ちのみなさま、今ツアー中というこのタイミングで是非お試しください。きっと同じような感動を抱かれると思います。

僕はジュリーファンとなる前から、名のあるアーティストのセルフカバー・レコーディング作品リリースには賛同しかねる、というスタンスでいましたが、この機にちょっと考え直さないといけません。

「君をのせて」についてはもう考察記事は執筆済なんですけど、今度それとは別に「君をのせて1990」の記事を書いても・・・いいですかねぇ?

13曲目「我が窮状」

Rocknrollmarch

この日はGRACE姉さんのマイクの設定が小さかったのかな?美しい女声の「ダバダ~♪」が聴き取りぬくかったのが残念。
でもそのせいでしょうか、下山さんの「う~~♪」がハッキリ聴こえました。プレプレツアーの時も、時にそんな設定の会場があったっけ・・・。

これだけ美しく波のあるメロディーを、完璧な最小限のブレスのタイミングで朗々と歌うジュリー。やはりこの辺りが、大野さん作曲ナンバーとの相性なのでしょうか。

14曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka


細かいことですが、イントロでのGRACE姉さんのフィル・インが変わりました。
これはツアー後半初日のこの日からじゃないかなぁ。8月渋谷の記憶が曖昧で・・・でも、びわ湖までとは明らかに違っています。
それまでは、オリジナル音源より若干長めの尺だったんですよね。僕としては、前曲「我が窮状」との繋がりでそうしているのかな、とは思っていました。

今回の八王子では「だん、ととたん!」という、オリジナル音源通りの尺、リズムも同じ。
でも、擬音で表現するなら厳密には
「だん、ととたん!」
ではなく
「しゃ~、ととたん!」
になりますかね。
つまり、最初の一打がオープン・ハイハットだったのです。その点のみ、オリジナル音源とはまだ異なります。

GRACE姉さんのドラミングは、ハイハットのオープンとクローズの切り替えに女性らしい折り目正しさ、繊細さがあります。
一方で、例えばピーの場合はそこに男らしい荒々しさがあって、老虎ツアーの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」などでは、腕の振りと連動するかのように左足(ドラマーは左足でハイハットの開きを調整します)にも激しい3連符の踏み込みがあります。結果、ハイハットが微妙に閉じたり開いたりしているわけです。
こういった比較も楽しく、興味深いところ。まぁそれは曲想にもよりますが、ピーは結構静かな曲でもその傾向がありましたからね。

ジュリーのヴォーカルは相変わらず素晴らしかったです。
左隣のお姉さまが、曲の最後の1音までじっと聴き終わってから拍手を送っていらっしゃることに、セットリスト前半で気づきました。「きっと長くジュリーを観てこられた方なんだな」と思い、僕はその後、先輩への敬意も込めてできるだけ呼吸を合わせて拍手をするよう心がけました。
この「時の過ぎゆくままに」では、柴山さんの最後の「Em」突き放しの音が消えた瞬間にピタリと拍手のタイミングが揃い、なんだか嬉しく感じました。

15曲目「ラジカル・ヒストリー」

Dairokkan

「さぁ・・・盛り上がるかな~?」
と、これまで観てきた会場とは違い、「かな~?」の部分をタメずにスラスラッ、と景気をつけたジュリー。見える範囲の1階席はここで総立ちです。

さて八王子参加のみなさま・・・この曲以降の下山さんのノリが凄かったと思いませんか~?
ジュリーが歌っている間も横に激しく足を動かしながら怪しげに踊っていましたし、ソロ部ではスキップするように飛び跳ねながら前方にせり出してきて、珍しく最初のタッチのチョキングで「ぬおっ!」とやっていましたしね。

この曲では、サビ直前にジュリーがGRACE姉さんを振り返っての指差しポーズを2度披露してくれますが、八王子では1度目(最初のサビ前)の急角度で斜めにジャンプしての振り返りがカッコ良かったです。
ちょうどジュリーが上手に進出していたタイミングで、その場面になったんですよね・・・。僕の席からだと正面くらいの位置でしたよ!

16曲目「気になるお前

Julie6

何故だかこの日は、この曲で振り上げ続ける右腕が痛くなるのが早かったな~。行きの電車がずっと立ちっ放しだったから、スタミナが無くなっていたのでしょうか。
いずれにせよ、ジュリーの恐るべし持久力、体力を思い知らされます。
間奏の泰輝さんの出番で、ジュリーと柴山さんが申し合わせたような同時のタイミングでキーボードににじり寄っていくシーンが印象に残りました。

あと、ドラム伴奏だけが残る最後の「きっと、いつかは♪」の部分。柴山さんはブラッシング(「ちゅくちゃか、ちゅくちゃか」)でバックアップしていますが、その右腕の振りかぶりがメチャクチャ大きかった・・・。
そんなシーンから考えても、やはりこの日の鉄人バンドはいつになく張り切っていたと思うのですが、いかがでしょうか。

17曲目「時計/夏がいく

Sur

過去4回生で聴いたこの曲で、2回までもジュリーが同じ箇所で歌詞をうっかりしたことがあったものですから、僕はそれがトラウマになりかけていて・・・。「傾いた木造の古い洋館♪」をハラハラして待ちましたが、ジュリー、難なくスラスラと力強い声で歌いました。

ここまでジュリー、歌詞もほぼ完璧だなぁ、とこの時点でぼんやり考えていました。まぁ、数曲後に大変なことになってしまうのですが、それはまた後のお話。
とにかく「古い洋館♪」の箇所がスラッと出てきてゴキゲンだったのかどうかは分かりませんが、続く「君の弾くオルガン♪」を表現するジュリーの指先は、いつもよりも長めにヒラヒラと宙を舞っていたのでした・・・。

曲中3度登場する、ギタリスト二人の単音ハーモニーのキメ部もバッチリでしたね~。

18曲目「サーモスタットな夏

Samosutatto

イントロ、泰輝さんが頭上手拍子を煽ってのスタート。
曲中、サーフなリズム、2・1での手拍子を臨機応変に適所で採り入れているお姉さま方が僕の前方席に何人かいらっしゃって、バンドの演奏を盛り上げていました。

さて、この曲では珍しいシーンに遭遇。
いつものように僕は1番の「Wild, Wild, Wild♪」の拳振り上げ後、すぐさま「L&V」(ラヴ・アンド・ピース)の指文字に移行したのですが・・・あれっ?ジュリーと指の形が合ってない!
一瞬「しまった、間違えたか!」と焦りましたが、すぐにジュリーの方が誤って「V&L」(ピース・アンド・ラヴ)の順で指文字を作ってしまったのだ、と理解。後で先輩方に伺っても、これは滅多に観られないパターンのようで、かえってすごく得をした気分になりました。

それともうひとつ!
はっきりと自信はないのですが、この日の「ヤメテ!」は下山さんじゃなかったですか?
一歩離れた位置からマイクに首だけを突っ込むようにして、裏声で叫んでいたように見えたのですが・・・。
(後註:「ヤメテ!」は、どうやら八王子ではジュリー自身の担当だったようです。いやぁ本当に盲点でした・・・)

19曲目「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto


この日、柴山さんが笑顔でギターを弾きながら「よっ!」と右足でシールドを持ち上げる、というシーンがありました。
終演後に顔馴染みのみなさまとその話題になり、それがどの曲だったか、とひとしきり記憶を辿り合いましたが、結局どなたも特定できず。(でも、そんなシーンがあったことはみなさま覚えていました)
「おそらくセットリスト後半・・・マンジャーレあたりではなかったか」
ということで一応その場は落ち着きましたが、正確に覚えている方はいらっしゃいませんかねぇ・・・。

ステージ横幅が狭かったこともあって、間奏部ではびわ湖同様、ジュリーとギタリスト二人がひと塊になってステージ前方に進出。
下山さんはいつものように、ソロの最後のしめくくり部を、ビートルズの「ゲット・バック」のような、オリジナル音源とは違うフレーズで演奏します。これは、2弦を中指でチョーキングした直後に、真下同フレットの1弦薬指へと繋がるというリード・ギター・フレージングの基本中の基本。
下山さんはおそらくその一瞬のフレーズを、ステージ前方から踵を返して定位置に駆け戻るタイミングとして採り入れているのではないでしょうか。(目を瞑っていても弾けますからね)


20曲目「君をいま抱かせてくれ」

Hello


僕は聴き逃したのですが、saba様のレポによりますとジュリーは1番で
カズだけで男を語るような寂しい男♪」
と歌ってしまったとか・・・。
どれだけ男なんだ、ジュリー・・・。
さすがは男の中の男!(違)

さらに2番でも、僕には「価値」ではなく「カズ」と聴こえました。

ただ、この2番歌詞部の変更に関しては今ツアーではもはや恒例。もう、完全にジュリーの中でそのように変換されているのでしょう。「Pleasure Pleasure」の「ルート」がすっかり「コース」にとって変わっていったように・・・。
(後註:八王子では、実際は正しい歌詞で歌っていたようです)

曲の後半でジュリーは、ネクタイを握りしめ振りかざしながらの大熱唱。
オリジナル音源では、ダメ押しのサビ部頭でジュリーのヴォーカル・テイクがクロスしますが、LIVEでは鉄人バンドがその部分を2小節引っ張って演奏しているので、ジュリーはそこでひと呼吸置けるアレンジになっていますね~。

21曲目「明日は晴れる」

Asuhahareru

ジュリー、この本割トリのナンバーで大胆に歌詞が飛んでしまいました。
どうも1番の歌詞がずっと頭を回っている状態のようでしたね・・・。2番では一瞬の空白の後、いつものように早口で追いかける余裕もなく、とっさにハミングで切り抜けるシーンがありました。
その後もかなり苦心。ただその代わり、迷った分シャウトに気合が籠もるようで、いつもより荒っぽい豪快な「ウォ~!」を堪能することができました。

僕はこの曲のオリジナル音源で、ビートルズの「Rain」のようなベースのうねるフレーズが好きなのですが、ベースレス体制のLIVEでは泰輝さんがオリジナル音源には無いピアノを演奏しています。
この日はその泰輝さんの演奏が強く印象に残りました。ジュリーのヴォーカルに効果的に絡んでいますよ!

~MC~

一番熱かったのは、やはりヤングなでしこ銅メダルのお話。メダル獲得で盛り上がっているのかと思いきや、ジュリーの場合は逆で

「金を目指す、と言った以上金メダルでなきゃアカン!」

とのことで、3位という成績に対して世間の「よくやった」と評価する”右へ倣へ”的な風潮をチクリ。

世間と違うことを言う自分はおかしいのか?とお客さんに尋ねつつ、「色んな考え方の人がいて当然」と持論を展開します。
「昔は人と違うことを堂々と発言する人がいた」と懐かしみ、その一例として梅宮○夫さんの名前を挙げたジュリー。

「勝手にしやがれ」がレコード大賞を取った年・・・番組で
「どの曲がレコード大賞にふさわしいと思いますか?」
と質問された梅宮さんは
「ふさわしい曲は・・・無いね」
とバッサリ言ったのだそうです。

ジュリーはそれを(おそらく番組の楽屋で)観ていてガク~ッ!と落ち込んだそうですが・・・ともあれ昔はそんなふうに、世間一般論とは少し違ったことをバンバン言う人がいたんだ、と。
「今はそういう人がいないでしょ~」
ということで、ジュリーとすればそんな現代の風潮の方がおかしいのではなかろうか、という考え方のようです。

自分の曲の酷い言われ様を例として話すところがまた、ジュリーらしいなぁ、と思いました。例え世間におだてられても迎合はしない、でもそんなふうに厳しいことを言われたとしても好きな人は好き、という・・・こういう姿勢こそがジュリーの男らしさ、なんですよね~。

ところで、ジュリーはお盆からの夏休みの間にまた身体を作り直さなきゃ、と考えていたそうですが・・・
「あの猛暑ですよ!」
と。
「高齢者は外へ出たらイカン!ってテレビで言うから、こりゃ(自分は)出たらアカン(笑)、ということで散歩もできず・・・」
とのことで、肉体再改造とは成らなかったようですね・・・。
(でも、歯や巻き爪の治療はしていたそうです)

ジムとかには行かない方がいい、マシンに合わせてあんな不自然な歩き方したら酔うだけや、とこれまた持論を展開し、じゃあどうやって運動するのか、というと

「デパート売り場をサササッと素早く歩き回る、というのはいかがでしょうか。冷房も効いてるし。
でも・・・ハタから見れば怪しい人に思われるかもしれませんが」

このくだりの時は、場内のお客さん全員が、自分の行きつけのデパートでサササッと徘徊するジュリーの姿を想像して萌えたことでしょう。
ちなみに僕の脳内だと、自宅近くのマルイの食品売り場でした。みなさまはいかがでしたか?

酷暑、猛暑についてジュリーは違和感以上に危機感を持っているようです。

「ワタシも、70歳までやる!と言ってはいますけどね。こんな気候がこの先何年も続くようなら、それも分かりませんよ。この猛暑で、どれくらいの高齢者が亡くなったと思います?
たとえワタシが(70歳まで)無事だったとしてもですよ、今ここにおられるみなさんのうち半分の方がお亡くなりになっていたら、ワタシはやる気が出ません!」

おぉ・・・これは
「あなたがいなけりゃ歌えない」
的な発言!萌えたかたも大勢いらっしゃったでしょう。

高齢者と猛暑の話は続きます。

「いや、トシをとってくると、この猛暑は本当に危ないんですよ。まず、クーラーのリモコンの文字が見えなくなってくる(笑)。冷房にしてるつもりが実は暖房。
節電や~、言うてね、温度設定を27℃とかにして寝てたら、なんか寝苦しいな、暑いな、冷房の温度が高いんかな、と思って夜中にゴソゴソとリモコンいじって、設定を24℃とかにしてみる。でも・・・いくら下げたところで暖房になってるわけですよ。暖房の24℃言うたらそらぁ暑いですよ!」
「暑いよりは寒いほうがまだ凌げる。とにかく着ればいいんやからね。暑いのはいくら脱いでも暑いわけですよ・・・」

最後は恒例の
「みなさまも健康には充分留意なさって、どうか無事にワタシの70超えを見届けて頂きたい」
ということで、本日の挨拶に代えさせて頂きます、とシメたジュリーでした。

22曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」

Royal3

毎度、面白くて長~~~いMCからアンコール・ナンバーへの切り替えが見事なジュリー。ある意味お客さんも弛緩している中で、瞬時に会場の空気を一変させるパワーにいつも驚嘆させられます。お客さんがそのタイミングを承知している、というのも大きいかもしれません。

そうそう、僕はこの八王子で初めて、柴山さんが演奏で忙しい間隙を縫って「ハッ!ハッ!ハッ!」をやってくれているのを確認しました。これまでの会場では、やっていたのかな・・・?

23曲目「ス・ト・リ・ッ・パー

Stripper

この日は柴山さんの目の前だったので、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」の横揺れを楽しみにしてきたのですが、下山さんに比べると、柴山さんはさほど大きく揺れてはいないんですね。
よく考えてみれば当然です。あのフレーズを弾きながらそうそうネックを振り回せるものではありません。それでも細かく横揺れさせているだけでも凄いことなのですから。
その代わり、ジュリーと下山さんが大きく揺れながら動きを揃えていました。

さて、聞くところによりますと、越後とズンブゲールのLIVEでGRACE姉さんが、泰輝さんが完全に楽曲世界に入り込んでしまった時のクセについて教えてくださったそうですが・・・。
この日のラスト「ス・ト・リ・ッ・パ・-」にてそんな泰輝さんの姿を観ることができました。オルガンを弾きながら、グ~~~ッと左前方に傾きまくっています。この姿勢が、曲に入りこんでいる時の泰輝さんのクセなんだそうですね。

そんなわけでジュリー&鉄人バンド入魂のラスト・ナンバーが、柴山さんのギター振りおろしアクションで最後の一音を終了。

いつものように、最後はジジィ・ヴァージョンからにこやかに退場したジュリー。楽しかった2時間、あっという間でした。

それにしても、帰りのエスカレーターは混雑しましたね・・・。
オリンパスホールは音響や座席設置含めてジュリーLIVEにとても合った素晴らしい会場だとは思いましたが、会場自体の立地がね~。普通に駅ビルの中にホールがある、という感じですから、昇り降りはスムーズにいきません。特に帰りは・・・大阪グランキューブみたいな混み具合、と言えば関西のみなさまには感じが伝わるでしょうか。
まぁそれでも、1・24武道館ほどではありませんでしたけど。

この日もお二人の「はじめまして」な先輩からお声をかけて頂きました。ありがとうございます!

僕の次回参加は大宮か松戸のいずれかです。大宮の第二希望が松戸なのです。
大宮の場合、一応YOKO君と男二人で暑苦しく行こうと思っていますが、例によって彼の参加はギリギリまでハッキリしません。
まずはどちらのチケットが来るのか・・・これは連休明け早々の茶封筒を楽しみに待っているところです。

大宮、松戸いずれにしても、次のLIVEまでにまだ数週間ありますので、従来の楽曲お題の記事その他、いくつか更新できればと考えています。

「ジュリーが震災を歌った」ということでいつか広い世間でも語られる機会のあろう『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー・・・僕がレポを書くのも残すところあと2回。
毎度、レポート記事完成まで長々とおつき合い頂きまして恐縮です。また頑張ります~!


20120908

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2012年9月 6日 (木)

沢田研二 「AMAPOLA」

from『A面コレクション』
original released on single、1984

Acollection


disc-1
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなただけでいい
4. 死んでもいい
5. あなたへの愛
6. 危険なふたり
7. 胸いっぱいの悲しみ
8. 魅せられた夜
9. 恋は邪魔もの
10. 追憶
11. 愛の逃亡者
12. 白い部屋
13. 巴里にひとり
14. 時の過ぎゆくままに
15. 立ちどまるな ふりむくな
16. ウィンクでさよなら
disc-2
1. コバルトの季節の中で
2. さよならをいう気もない
3. 勝手にしやがれ
4. MEMORIES(メモリーズ)
5. 憎みきれないろくでなし
6. サムライ
7. ダーリング
8. ヤマトより愛をこめて
9. LOVE(抱きしめたい)
10. カサブランカ・ダンディ
11. OH!ギャル
12. ロンリー・ウルフ
13. TOKIO
14. 恋のバッド・チューニング
disc-3
1. 酒場でDABADA
2. おまえがパラダイス
3. 渚のラブレター
4. ス・ト・リ・ッ・パ・-
5. 麗人
6. ”おまえにチェック・イン”
7. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
8. 背中まで45分
9. 晴れのちBLUE BOY
10. きめてやる今夜
11. どん底
12. 渡り鳥 はぐれ鳥
13. AMAPOLA
14. 灰とダイヤモンド

--------------------

更新間隔が開いてしまいました。
ツアー後半初日・八王子までに、みなさまから頂いていたリクエストのうち3曲を執筆の予定でしたが、また先延ばしとなってしまいました・・・すみません。

せめて1曲だけでも、ということで。
今日のお題は、もう3年も前にある先輩からリクエストを頂いていた「AMAPOLA」です。
当時の僕はまだ、洪水のようなジュリー情報ウン十年分を一気にかきこむことに必死で、正直この、シングルとしては目立たない(と思っていました)スタンダート・カヴァーの楽曲を掘り下げて考察する余裕はありませんでした。
第一、原曲についてもほとんど何も知らないのです。

が、最近ようやくジュリーの歴史をひと通り網羅し、それぞれの時期をピックアップし、ジュリーのベクトル、制作スタンスなどについて落ち着いて考えるだけのゆとりが出てきました。
リクエストをくださった先輩がまだ僕のブログにお越し頂けているかどうかも分からないのですが、この機に記事を書いておこうと思います。伝授~!

まず「そうだ、AMAPOLAの記事を書こう!」と決めた、そのヒヨッコの新規ファンならではの経緯から・・・。

いつも楽しみに拝見している、星のかけら様のブログで連載中の”ジュリー・シングルの旅”。こちらでシングル盤『AMAPOLA』のジャケットを拝見し、「あっ!」と思ったことが考察記事ネタの最初のきっかけでした。
何と、僕はその時初めてこのシングルの正しいジャケット写真を知ったのです。

それまで僕は

Amapola1

ポリドールのシンブル・コレクション・ボックスの、この黒字に白文字の素っ気ないデザイン・・・これが正規ジャケットだとばかり考えていました。
さすがにこれはナイよねぇ・・・。

ただ、正規ジャケットにもジュリーの写真は無し。
沸々と、この不思議なシングル盤への疑念が膨らんできます。後追いファンにとって、『AMAPOLA』のシングルって本当に謎が多いんですよ・・・。
つまり

・何故、ジャケットがジュリーの写真ではないのか
・何故、この唐突なタイミングでスタンダート・ナンバーのカバーを採り上げたのか

ということですね。
タイムリーなジュリーファンの先輩方は、きちんとその辺りの事情を把握していらっしゃるのかもしれませんが、ここでは僕なりに勝手に推測したことを、少し書いてみようと思います。
(無論、正しい情報をお持ちの先輩方からのコメントも、心待ちにしております!)

まず、この時期のジュリーについて考えた時・・・。
前シングル『渡り鳥 はぐれ鳥』、前々シングル『どん底』といった楽曲が、果たしてジュリーの”歌いたい曲”であったかどうか、ということを僕などは思ってしまいます。
もちろん2曲共名曲です。いずれもそのうちお題に採り上げ記事を書くつもりですが、僕は2曲のヴォーカルやアレンジ、ミックス・・・色々な角度から絶賛することになるでしょう。ただ、この時期のジュリーの音楽的渇望と合致していたかと考えると、どうもそのようには感じられません。

ジュリーファンではなかった少年時代の僕も、この頃のジュリーのテレビ出演映像は覚えています。
「どん底」では奇抜な衣装が、「渡り鳥 はぐれ鳥」ではコミカルな振付が特に強く記憶に残っていますが、ファンではないなりに「何か苦しそうだな・・・無理してるみたいだな・・・」という印象を抱いたものでした。当時、ファンのみなさまにはどのように映っていたのでしょうか。
後追いなりに勉強すると、この頃のジュリーには「歌で勝負したい」という気持ちがあったはずです。それは、自分が歌いたい曲を歌う、ということに直結しますが、そのための準備が整っていない中で次のシングルをリリースしなければならない状況下、誰もが知るスタンダード・ナンバーに白羽の矢が立ったのでは?
そして、「歌を聴いてくれ」という気持ちがジュリー自身の写真の無いジャケットにも反映されたのでは・・・?
考え過ぎですかねぇ・・・。

カバー曲を採り上げる理由、としてもうひとつ僕が考えてしまったのは、最近は鋤田さん絡みでジュリーファンの間で話題に上ることの多い、あのデヴィッド・ボウイの例です。
ボウイは1973年に『ピンナップス』というカバー・アルバムを唐突な感じでリリースしています。『ジギー・スターダスト』『アラジン・セイン』と、完全に唯一無比の路線を確立させたボウイが、何故このタイミングでカバー・アルバム?と言われたそうです。その中で、レコード契約の事情説を挙げる人も多いんですよね・・・。日本盤のライナーノーツにもそんな記述があったくらいですから。
ただ、事情がどうあれ、僕はピンク・フロイド(と言うかシド・バレット)の「シー・エミリー・プレイ」や、キンクス、プリティ・シングスの隠れた名曲のボウイ・ヴァージョンが聴けるだけで価値のある作品だとは思っています。

そして、ジュリーの場合も次作シングル『灰とダイヤモンド』から、独立してのレーベル・チェンジ。
唐突な『AMAPOLA』のシングルリリースの背景に、レコード契約の事情が噛んでいなかったか、と後追いファンは勘ぐってしまいます。

しかしジュリーファンとして今は素直に、「AMAPOLA」というスタンダードな名曲がジュリー・ヴァージョンで聴ける、という歓びを噛みしめたいところ。むしろこのジュリー・ヴァージョンは、世界レベルのヴォーカル作品に仕上がっていると思います。
僕は「AMAPOLA」を深く聴き込んだのはジュリー・ヴァージョンが最初でしたから、メロディーとジュリーの声が直結してしまって、幾多の別の人のヴォーカル・ヴァージョンに違和感を覚えるほどです。
偶然なのか必然なのか、何しろこの「AMAPOLA」という曲、ジュリーが最も得意とする声域で作られているナンバーなのですから・・・。

今回、「AMAPOLA」という楽曲自体についても(さすがに”ほとんど知らないのです”だけでは考察記事としても失格ですから・・・)少し勉強しました。
すると・・・1984年という年は、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』で採り上げられたこの曲が、世界中で脚光を浴びた年だったことが分かりました。全然知らなかった・・・。
音楽を担当していたのは、かの映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネ氏だったのですね。さすがです。この映画を以て、「AMAPOLA」はラテン・スタンダードとしてだけではなく、ポピュラー・ミュージックとしての地位をも不動のものとしたようです。

Amapola4


↑ ラテン・スタンダートの原曲のメロディー譜。オリジナル・キーは変ロ長調。
『ラテン&フォルクローレ名曲全集』より。

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↑ ポピュラー・ミュージックとしてのピアノ・スコア解釈。ここでのキーはハ長調。
『ポピュラー・ピアノ名曲全集 第2巻』より。


ジュリーのヴァージョンは、原曲と同じ変ロ長調です。

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↑ 『YOUNG SONG』 1984年11月号より。

最低音が「レ」。最高音が高い「ミ♭」。ジュリーにとっては一番歌い易い音域。特にメロディーの目玉である

♪ charm    from you・・・・・・AMA-POLA ♪
  Dm7-5   G7   Cm7                 E♭6

とせり上がる最高音部は、通常の男声だと高めで発声が苦しくなる箇所ですが、ジュリーにかかると自然に、軽やかに声が伸びるのです。

ひなげしの花に例えられた女性を讃える歌。ところがこの曲でのジュリーのヴォーカルは男男しておらず、中性的な魅力もあります。
より普遍的なスタンダードへの、楽曲自体の進化と言えるのではないでしょうか。それを軽々とやってのけたジュリーに驚嘆します。

でも・・・タイムリーでジュリーを追っていたみなさまとしては、「ヴォーカルが素晴らしい」というただそれだけでは、不安な気持ちも当時はあったのでしょうね。
先程スコアを紹介した号の『YOUNG SONG』に、そんな多くのファンのとまどいを象徴、代弁するような近田春夫さんの言葉が残されています。

Amapola3

これは当時連載されていた『近田春夫的ワンマン新曲激評』という、若干辛口なコーナーに掲載されていたもの。
ジュリーの新曲「AMAPOLA」について、近田さんはこう書いています。


今の沢田さんはちょうど、あの”PYG”をやめたころの、つまりソロになりたてのころの沢田さんに近い。本人も、どうしたらいいかわからず、まわりも、ついついナベプロ体質で勝負してしまう。ハッキリいって、この曲は単なる”ツナギ”でしょう。そうじゃなきゃ、おこるよ。この曲、実は私、好きなんだけど。でもなんとなく、こんなことでいいのかな、という気になってしまうんですよ。

いかがでしょうか・・・?
還暦を越えいよいよ老いてさかん
(←超失礼)なジュリーを見ている今、「AMAPOLA」のジュリー・ヴォーカルをゆったりと味わうことに何の不安もないけれど、実は当時のファンの先輩方にとって、近田さんのこの評価はとても身近な言葉だったのかも・・・と僕などは想像してしまいます。

それだけに、次のシングル「灰とダイヤモンド」への先輩方の高い人気が、「AMAPOLA」を振り返ればこそ、うなずけるような気がするんですよね・・・。

さぁそれではいよいよ週末、八王子公演です。
柴山さんは初の還暦越えのステージ・・・楽しみですね!

拙ブログの次回更新は八王子のレポート記事となります。その後、また何曲かのリクエストお題で楽曲考察記事を執筆できれば、と思っています~。


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お知らせ

ご存知の方も多いと思いますが、ジュリーwithザ・ワイルドワンズで「涙がこぼれちゃう」「いつかの”熱視線ギャル”」という名曲2曲を提供した若きシンガーソングライター、吉田Qさんが、来たる9月28日、10月15日に大阪で2年ぶりのLIVEを行います。
平日ということで僕は参加できませんが、お近くのジュリーファンのみなさま、応援に駆けつけてみてはいかがでしょうか。
詳しくは、Qさんのブログをチェックのシャツ!

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