« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月

2012年8月27日 (月)

鉄人バンドのインスト on『ジュリー祭り』第2部

from DVD『人間60年 ジュリー祭り』、2008

Juliematuri

disc-1
1. OVERTURE~そのキスが欲しい
2. 60th. Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
13. 君をのせて
14. 許されない愛
15. あなたへの愛
16. 追憶
17. コバルトの季節の中で
18. 巴里にひとり
19. おまえがパラダイス
20. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
21. 晴れのちBLUE BOY
disc-2
22. Snow Blind
23. 明星-Venus-
24. 風は知らない
25. ある青春
26. いくつかの場面
27. 単純な永遠
28. 届かない花々
29. つづくシアワセ
30. 生きてたらシアワセ
31. greenboy
32. 俺たち最高
33. 睡蓮
34. ポラロイドGIRL
35. a・b・c...i love you
36. サーモスタットな夏
37. 彼女はデリケート
38. 君のキレイのために
39. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
40. さよならを待たせて
41. 世紀の片恋
42. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-3
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あたなだけでいい
7. サムライ
8. 風に押され僕は
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海に向けて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-4
18. Don't be afraid to LOVE
19. 約束の地
20. ユア・レディ
21. ロマンスブルー
22. TOMO=DACHI
23. 神々たちよ護れ
24. ス・ト・リ・ッ・パ・-
25. 危険なふたり
26. ”おまえにチェック・イン”
27. 君をいま抱かせてくれ
28. ROCK' ROLL MARCH
29. カサブランカ・ダンディ
30. 勝手にしやがれ
31. 恋は邪魔もの
32. あなたに今夜はワインをふりかけ
33. 時の過ぎゆくままに
34. ヤマトより愛をこめて
35. 気になるお前
36. 朝に別れのほほえみを
37. 遠い夜明け
38. いい風よ吹け
39. 愛まで待てない

---------------------

暑いですね・・・。
話に聞けば、今年は10月まで暑さが続く可能性があるとか。一体地球はどうなっているのでしょう。これはもう、栗本薫さんの『魔界水滸伝』初っ端そのままの世界が現実に起こっていますよね・・・。

しかしそんな中、今日は暑さも吹き飛ぶ大変おめでたい日です。
本日8月27日・・・鉄人バンドの柴山和彦さんが、還暦・満60歳の
お誕生日を迎えられました!!

かつてジュリーの横で演奏してきた多くのミュージシャン・・・それぞれ素晴らしいプロフェッショナルだと思っています。ジュリーと関わったすべてのミュージシャン、すべてのバンドを僕はリスペクトしていますが、やはり鉄人バンドのメンバーというのは僕にとって特別な存在です。
何故なら、『ジュリー祭り』を機に後追いのジュリーファンとなった僕は、鉄人バンドの音でジュリーに堕ちた、と言えますし、これまで鉄人バンドのジュリーLIVEだけを生で観てきているからです。やはり生で観ているのといないのとでは、思い入れは全然違いますよね。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズや老虎ツアーの時にも、変わらず鉄人バンドの姿がありましたから・・・。

そんな鉄人バンドのバンドマスター・柴山さんが、ジュリーから遅れること4年、無事還暦を迎える日を、1ファンとしてお祝いの発信ができるとは・・・感無量でございます。
そこで今日は『祝・柴山さん還暦記念』をコンセプトに、鉄人バンドのインストをお題に採り上げます。

選んだのは、『ジュリー祭り』第2部で演奏された、柴山さん作曲の爽快なナンバー。
これは隠れた名曲です!
『ジュリー祭り』のインストと言うとどうしてもオーバーチュア(こちらも柴山さん作曲)が目立っていますが、重厚さと軽快さとの対比はそのまま、柴山さんの作曲・編曲スタイルの幅広さを物語るものです。メロディーやコード進行については、第2部のインストの方が僕としては好みなのです。
・・・とは言っても『ジュリー祭り』参加時の僕は、恥ずかしいことにまだ鉄人バンドのインストにさしたる印象を持ってはおらず、後でDVDを鑑賞して感動させられた、というクチなんですけどね。

さて、今回は鉄人バンドのインストがお題
ということで、以前、ジュリーLIVEでのインスト復活を祈願して立ち上げたカテゴリー『DYNAMITE-CANDLE』での記事執筆となります。
このカテゴリーを考案した時のいきさつを色々と説明しますと、それだけでかなりの大長文になってしまいますから、事情をよく呑み込めない方々は、同カテゴリー第1回のこちらの記事をご参照くださいませ。

とにかく今日の記事は、拙ブログのカテゴリーで明らかに異彩を放つ・・・いわゆる”妄想系”の内容となります。
妄想ですから、登場するキャラクター設定などは、明らかなモデルはあれどもまったく架空のものとご了承願います。
しかも、ふざけた妄想の割には、たいして面白くもありません。
ただ・・・登場人物の発言中、楽曲考察部については僕が真剣に吟味、採譜、分析したことをそのまま書いております。どうかその点のみ、真面目な話とお考え頂けると嬉しいです。

それでは・・・よろしゅうございますか?
DYNAMITE-CANDLE、2本目です!

☆    ☆    ☆


暑い・・・異常に暑い。
もう何日猛暑日が続いているだろうか。

額に汗の玉を浮かばせた長髪、痩身の男が、部屋で扇風機に当たりながらDVDプレイヤーのモニター画面を胡坐の状態で見入っている。
スピーカーから「サンキュ~、トキオ~!」という、力強いシャウトが聴こえてくる。
モニターに見入る男はそのシャウトに合わせ、手にした水色のギターで、「じゃ~ん♪」と軽く「D」のローコードを鳴らした。

痩身のためか、それとも元々の体質のせいか、普段から汗をかきにくく「暑さには強い」と自負していた、その男・・・霊界の正統なる皇子という身分を捨て、下界でギタリストを生業としているプリンス・ジュンも・・・さすがに今年の暑さには参ってしまっている。
「霊界の夏は涼しかったなぁ」
と、若干ホームシック気味なプリンスなのであった。

下界では、お盆の大型連休を終えようとしているところである。
連休の初っ端に渋谷公会堂で行われた『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー前半最終日を無事に終え、プリンスも充電休暇中だ。
ただ、いくらオフとは言え、9月上旬にはツアー後半が幕を開ける。気を抜いて指の感覚を鈍らせるわけにはいかない。何でも良いから日々”ギターをいじる”こと、それが肝要だ。

ということで、この日プリンスは思い出の『ジュリー祭り』DVDを鑑賞しつつ、アンプを通していないストラトキャスターで適度にフレーズやコードを合わせながら過ごしていた。
モニターの映像はdisc-3の大詰め、「TOKIO」へと進んだところである。
バッキング・コードを合わせていくプリンス。ピックを持つ親指はちょうど付け根が上を向く格好になる。血管の浮き出たその指に、長髪の先からしたたり落ちた汗の滴が躍っている。

「・・・って!暑っちい!扇風機効かね~!!」

プリンスは遂に音を上げ、ゴロン、とギターを抱えたまま仰向けに寝転がってしまった。

と、その時である。
部屋の片隅の奥まった空間がユラユラと揺らめき、ゆるやかな振動と共に宙から小柄な老人が忽然と姿を現した。

「若っ!お久しゅうございます!」

「うわったったった!!」
不意を突かれ慌てて起き直るプリンス。突然目の前に姿を現した老人こそ、霊界の後継者達への帝王教育係として一生を捧げた、プリンスにとって唯一頭の上がらない人物・・・”爺”と呼ばれている読者諸君お馴染みの老人である。

「なんだ爺。下界に用事でも・・・?」
わざとぶっきらぼうに声をかけるのも、プリンスの爺に対する愛情の裏返しだ。長身痩躯のプリンスが立ち上がると、小柄な爺は見上げた視線に少し不満の色を浮かべながら
「用事でも、ではございませぬ・・・。この爺、お盆に入ってからずっと下界で働いておったのですぞ」
「えっ、そうなのか?」

驚くプリンスの言葉に、爺は重々しくうなずくと
「今回は中井殿の里帰りの御伴でございました。あの御仁は顔が広くてなかなか移動が大変でございましたよ・・・。中井殿の霊界への無事のお戻りを見送ったその足で、ちょっと若の様子が心配で見に参ったのです。案の定、このうだるような暑さの中を、扇風機だけで過ごされているとは・・・」

「いやぁ・・・節電しないと、と思って・・・。下界は下界で色々大変なんだよ」
頭を搔くプリンス。爺は首を振り
「若の志、分かっております。しかし何よりもまず健やかなる身体あってこそ。若のために、霊界から少しばかり保存冷気を持ってきましたゆえ・・・御免、ハッ!
爺は勢いよく跳躍すると、老人とは思えない俊敏な動きで気合もろとも肢体を激しく空中で回転させた。

ボディーを冷やさ~なくちゃ~♪ハイ、ハイ、ハイ!

歌声とともに爺の身体から放たれた冷気が次々に渦となって拡散し、部屋の隅々にまで行き渡る。たちまちプリンスの部屋は快適な気温に保たれ、空気はそのまま安定した。
「おぉ・・・久しぶりだなぁ、爺の霊力・・・」
プリンスは薄く笑って喜んだが、ふいに眉をひそめて
「しかし、以前の爺は霊力を使う時に歌など歌わなかったぞ。しかも今日はBOKE BOKE SISTERSのパートまで・・・。俺を仕込んでくれた頃の、厳かなキャラは何処へ行ってしまったのだ・・・まさか・・・」

爺は微笑んで
「はい。ご想像の通り、現在の我々のやりとりは下界の祐筆によって広く発信されております。今回は例の怪しげな男の祐筆が執筆しております故、我々のキャラもそれに順じて変化しているというわけです」

「むむむ・・・イヤだなぁ。何だかあの祐筆にかかると俺は、薄い氷の上でニヤニヤしながら危なっかしく踊っているような、とても軽いキャラになっていないか?」
プリンスは心底うんざりしたように言うと
「で、奴は今回、何についての発信をしようというのだ?」
と尋ねた。

「それそれ、それでござるよ」
爺は我が意を得たり、とうなずくと
「ズバリ、柴山殿の還暦記念でござる。亜空間をつたい若の部屋を訪ねてみれば、ちょうど若が『ジュリー祭り』のDVDを鑑賞しておられたので、この爺、しかるべき楽曲へと映像が進むまで待機してから実体化したという次第でございます」

「えっ、そんなに長いこと亜空間から俺の部屋を覗いていたのか?」
プリンスは再び驚き
「我慢強いというか意識し過ぎというか何と言うか・・・もう少し早く涼しくしてくれて良かったのに。で・・・ええっと、ってことはこれから我々が語るべきは・・・この曲かぁ~。懐かしいな!」

モニターではちょうど「TOKIO」が終了し、鉄人バンドこの公演中2度目のインストゥルメンタル・タイムが始まったところだ。

Inst2

「ドーム公演ではインストを2曲やったが、どちらも柴山さんの曲だったなぁ。あの時は沢田さんの還暦のために演奏したが・・・今年は遂に柴山さんが還暦か。早いものだな・・・」

「2大ドーム興行でそれぞれ80曲を歌った沢田殿が、”バンドは(自分より多い)82曲をやっている。鉄人です”と『奇跡元年』で言ったことで、若達の”鉄人バンド”という名称が定着したんでしたな」
「うむ。まさか正式名称になるとは思ってなかったけどな~」
プリンスは感慨深げにうなずいた。
「爺、せっかくだから、この柴山さんの名曲、コード進行を拾ってみせてみろ。爺の腕が落ちていないかどうか、俺が判断してくれようぞ」

プリンスは持っていたストラトキャスターとピックを、そのまま爺に手渡す。
ギタリストにとって、自分の愛器を易々と預けられる人物など滅多にいない。これもプリンスの爺に対する愛情の証だ。
それが分かる爺は感激し、張り切ってギターを構える。

「爺はこの曲が大好きで・・・何と言っても若の”テケテケ”が聴ける貴重なナンバーですからな!光栄なことでございます。ドームでの柴山殿作曲のインストは2曲ともに素晴らしい曲ですが、今の季節・・・夏にピッタリなのはこちら第2部の曲の方ですな・・・」
爺はモニターを凝視し、耳をすますと
「ディレイ系のエフェクターをフィーチャーしたイントロ部4小節・・・ここは、C→Am→F→G7でよろしいですな?」

「うむ。世のロック&ポップスに一番多く使われる王道の進行だな」
プリンスは、コードを鳴らす爺を優しげに見つめて
「柴山さんの作曲は、歌モノだと複雑な転調を繰り返す難易度の高い曲が多いんだが、インストになると意外とシンプルだ。声を使わない、楽器だけの表現にこだわるとそうなるんだろうし、自分以外のバンドメンバーにも見せ場を作るため、人によって広い解釈が可能な、ストレートな進行で組み立てているんじゃないかな。実際、俺も泰輝も、ソロ部は自分の得意な形でブルース系の解釈に持ちこめているしな」
「なるほど、作曲ひとつとっても、人柄なのですなぁ・・・」

Inst4

曲は、Aメロ1番のソロへと進んでいく。

Inst5_2

爺は楽しそうに
「柴山殿、ほとんどフレットを見ずに弾きますなぁ・・・。え~と、このAメロ部で若のバッキング・コードは・・・C→A7→Dm→Gでよろしいですかな?ならばこれは沢田殿の『OH!ギャル』のサビと同進行ということになりますが・・・」

「爺、現場を離れてさすがに少し鈍ったな。それでは50点しかあげられん」
「な、なんと・・・何処が問題ですかな?」
慌てる爺に、プリンスは優しく微笑みかけると
「もちろん、爺の言う通りのコード進行でバッキングをしても、柴山さんの作った主メロとは合う。しかしウチはベースレスという特殊なロック・バンドだからな。常に誰かしらがベーシストの代わりに経過音の感覚を持っていなければならん。爺、問題は2番目のコード、A7のところだ」

「A7コードが問題・・・そして経過音・・・つまりCとDmの間の音・・・。あっ!なるほど、2番目のコードはC#dimですな!」
「そうだ。この経過音のおかげで、Aメロの柴山さんのリード・ギターで奏でられる主旋律が、穏やかな波のような雰囲気になる。和音の変化による堅さが無くなるんだな」
「潮の香りがしてきそうな進行ですなぁ・・・」
「ディミニッシュ・コードは、流れるようなメロディーをさらに引き立てる効果があるからな。今回の沢田さんのツアーでも、『君をのせて』の”肩と肩をぶつけながら♪”や、『マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!』の”歌い尽くしたい♪”のところで、俺はデミニッシュ・コードを使ってバッキングを弾いている。柴山さんのインストAメロ部も含めて、どれもメロディーの流れがちょっと似ているだろう?」

爺はしばらく思案して
「実はこの爺、以前よりこの曲のAメロ部を、何処かで聴いたことがあるような気がして、色々と調べたのでございます。マニアックな曲ではなく、世間でもかなり有名な曲で似たフレーズがあったように思えて・・・サザンロック、サーフィンエレキなどの名曲の心当たりをくまなく探してみたのですが・・・見つかりませんでした。これは爺の気のせいなのでしょうか。若はお分かりになりますかな?」

「爺、言っていることは分かるぞ。似たメロディーの有名な曲は、実際ある。しかし・・・確かにこの柴山さんの曲は潮の香りに満ちた明るく穏やかなサウンドだ。ただ、純粋に楽曲構成を考察する時、曲想の先入観に縛られてはいかん。サザンロックやサーフィンエレキにこだわらず、あらゆるジャンルに目を向けてみろ」
「むむ・・・すると70年代ロックあたりに意外な元ネタが・・・?」
「いや、もっともっと視野を広げなくてはいかんな・・・まぁいい。爺の頭に浮かんでいる”有名な曲”ってのは、たぶんこいつだよ」

http://www.youtube.com/watch?v=0JxMHZMzAcQ

爺は飛び上がった。
「な、な、なんと・・・。これは驚きました。まさか時代劇とは」

プリンスは涼しい顔で
「無論、一部メロディーの酷似は単なる偶然だ。第一、長調と短調という決定的な違いがあるんだからな。ただ、コード進行を紐解いた時、共通するフレーズの謎は解ける。『大岡越前のテーマ』はロ短調だが、イ短調に移調するとAm→A7→Dm・・・となる。はからずも、さっき爺が答えたA7→Dmがここで登場するワケだ。2曲を比べると、Dmへと移行する時のメロディーはまったくの同一フレーズとなっている。爺が混同するのも無理はないさ」

「なるほど・・・しかし、DVDで若の手元を注意して見ると、2番目のコードでは確かにC#dimのフォームになっていますな」
爺はさらに目を凝らして
「続いてEm→A7を2回繰り返し・・・1番の終わりの、せり上がる部分はDm→Em→F→Gですかな?」
「そうだ。基音がレ→ミ→ファ→ソと上昇する。ストレートな進行だな。でも、Em→A7のところは、若干風変わりとも言えるかな」

曲は2番へと進む。
1番と同じフレーズが繰り返され、爺はコードを再確認しながらうんうん、とうなずいていたが、映像でカメラが切り替わった瞬間、「あっ!」と嬌声を上げた。

Inst6

「この曲での若のアップシーン、久しぶりに見ましたぞ・・・。おっ、Gのところで若は細かい単音を入れているのですな!」

見ると、画面のプリンスの中指が宙に浮いたりフレット上に舞い戻ったり・・・と、細かく動き回るのが映し出されているところである。
プリンスは「なんだ、このくらい」と一笑すると
「アップで見て初めて気づいているようではイカンな、爺。俺は1番でも同じことをやっているぞ。音だけで気づいて欲しかったな」

「こ・・・これはしたり。とすればこのオブリガートはアドリブではなく、リハーサル段階で詰められていたものなのですな」
爺は感心してそう言うと、再び画面を振り返って
「ところで若は、Gのコードを小指を使わないフォームで押さえるのですな。今日の祐筆が事あるごとに”これは自分と同じ押さえ方だ”と喜んでおりますが・・・」
「ふん・・・それだけ年を食ってる、ということを認めているようなものだぞ。要は、巷のコードブックに指番号表記が無かった時代にギター・コードを習得した、というだけのことだろう」

Inst7

「おお・・・Em→A7以降で、柴山殿は1番のフレーズよりオクターブ高音で演奏しているのですな。この指圧・・・うねるような音の繋がり、まさに波のようですなぁ」
「うむ、これぞ柴山さんらしい奏法だな。今年の沢田さんのツアーのセットリスト曲では『F.A.P.P』や『明日は晴れる』で同じスタイルの奏法を聞かせてくれているぞ」
「それは承知しています。そう言えば今日の祐筆男、柴山殿のそのうねりに惑わされ、『F.A.P.P』や『明日は晴れる』のリードギターを、スライドだと書いていたことがありましたな。つくづく恥ずかしい男です」

曲は2番の終わりを迎える。

「なるほど、ここはC→B♭の繰り返しで纏めていますな」
「うむ。ちなみに俺はこのCとB♭については、下4弦のハイポジションで弾いている」
「ジャッ、チャラララッ!というキメ部に合わせるためですな。そしてここから、いよいよ他メンバーの見せ場となりますな~」

Inst8

いつしかプリンスも腰を下ろし、爺と同様画面を食い入るように注視し始めている。
「泰輝は、素直なコード進行にブルース音階を載せるのが好きなんだよな~。音色は違うが、”緑色のKiss Kiss Kiss”の間奏に似たフレージングになっているな」
「左手でずっと低音をカバーしているのも凄いですな・・・。そして、次は遂に若の出番ですな!」

Inst3

「素晴らしい、若のテケテケ!カッコイイですぞ!」
ちょっと変わったことをすると”カッコイイ”とか騒ぐんだからな・・・まぁ、やはり曲調から考えて、ギターソロに求められているのはコレだろう。ストレートな進行部だけに、ソロの自由度も高いな。俺もちょっとブルースっぽい音を加味してみた」
「柴山殿以外のメンバー3人の見せ場は、すべてコード進行はF7→Cで統一されておりますな。それにしても、GRACE殿のカンペは大きくて目立ちますな・・・」

Inst9

「そりゃまぁ、82曲ビッシリ書いてあるわけだから・・・」
「沢田殿はもちろんとして、若達バンドメンバーも、本当に大変なことをやってのけたものですなぁ・・・」
「沢田さんを筆頭に、バンドのメンバーも皆ある程度の年齢を重ねたからこそ逆に出来たことだ。若さと体力にまかせるだけでは不可能だっただろう。良い意味で、”抜く”感覚を持っていなければな」

パワーを緩めなくちゃ~♪ハイ、ハイ、ハイ!

思わず反応して歌ってしまった爺の身体に僅かに残っていた保存冷気が、歌につられてほとばしる。寒~い空気が部屋に漂った。

「・・・爺。毎度細かいことを言うようだが、今爺が歌った歌詞部分には、BOKE BOKE SISTERSのかけ合いコーラスは無い
「な・・・左様でございましたっけ・・・?いやいや、さすがは若。今回の沢田殿のツアーの”サーモスタットな夏”では、リードギターにコーラスに、と大活躍でございますからな!」

映像は、最後のキメ部へと移行していく。

Inst11

爺は、プリンスがアップになるシーンが嬉しくてたまらぬ様子である。目を輝かせながら
「おおっ!なるほど、ここではCのコードを8フレットの下4弦で押さえておられますな。『歌門来福』の”スマイル・フォー・ミー”のエンディングと同じフォームですな!」
と、はしゃいだ。

プリンスは照れて
「いやいや、ここも含めて、俺が大写しになるような箇所じゃないんだけどな。この曲では、もっともっとカメラが柴山さんをアップで捉えた方が良かったような気がする。Aメロの1番、2番、3番・・・それぞれ同じ進行上で柴山さんはその都度違うことをやっている、その辺りを見て欲しいところだしな・・・ただ」

プリンスはそう言って、エンディングの画面を指さした。

Inst10

「とにかく最後の最後にこの笑顔を抜いたカメラワークは見事だ。柴山さんと言えば、やっぱりコレだよ!」
「この時、56歳ですか・・・信じられない若さですな」

「沢田さんに続いて、今年は柴山さんまでが還暦になる。俺は自分の還暦など想像もつかん、と思って過ごしてきたが、今この二人の姿を見ていると、年をとるのが楽しくなってくるようだ。有難いことだな・・・」
プリンスは感慨深げにそう言うと
「爺、人生は楽しんでこそだ。爺だってまだまだだぞ・・・。そうだ、このまま俺の部屋でしばらくゆっくりしていくがよい。急いで帰らなくてもいいんだろう?」
「そうですな・・・慌てることもありますまい。しばし御厄介になりますかな」

「やった!これでしばらくは涼しいぞ!
プリンスは飛び上がって喜んだ。爺は
「それが目的ですか・・・」
と、若干しょげたようだ。

「いやいや冗談だ。よし、これから二人で、柴山さん還暦の前祝いに軍艦カレーを食べに行こう!もちろん、柴山さんの故郷・横須賀で」
「いいですなぁ・・・若と二人で食事など、いつ以来ですかな。それにしても我々のこのやりとりが、横須賀に軍艦カレーを食べに行く、などというどうしようもないオチで、祐筆の男もさぞ頭をかかえておるでしょうな・・・ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!」

その時二人は同時に、バンドメンバーで次に還暦を迎えるプリンス・・・来たるべきその日の景色を思った。
今と変わらないメンバーでのツアーがあり、その最中に迎えるであろう、その日のことを・・・。

☆    ☆    ☆

尻切れトンボ的超適当なオチで、すみません!
連休2日を丸々使って書けば余裕で纏まるだろう、と考えていましたが甘かったです。久々のキャンドル話に、何度も煮詰まりまくりました。
しかも、結構長くなった割には全然面白くないし・・・。

まぁ、当初の目的・・・楽曲全編を通してのコード起こしは達成しました。これで、ギター弾ける人なら、下山さんが担当しているバッキング・パートはすべて音源に合わせて演奏できるはず。
そう、音源が残されている、というのは有難いことですね。
鉄人バンド、インスト集のCDとか出せばいいのに・・・とか思ってしまいます。

さて、柴山さん・・・”人間60年”おめでとうございます!
ジュリーファンになって、LIVEに行くようになって以来、多くのジュリーファンの先輩方には及ばないまでも、僕も色々な会場で柴山さんの演奏を観てきました。柴山さんとかなり近い席でのLIVE参加も、これまで数度体験してきました。

プレプレ大阪、柴山さん真正面4列目の席では、本当に笑顔と音楽愛のパワーを貰いました。実は僕はその翌日、カミさんの実家に初めての挨拶に行く、ということが決まっていました。ステージの柴山さんに「直球入魂、笑顔で行け」と背中を押されたような気がしたものでした。

ジュリワン八王子、3列目では、これぞプロフェッショナル!というギタリストの真髄を感じました。ジュリーとの信頼関係の大きさもハッキリ伝わりました。

記憶も新しい、先月のびわ湖最前列では・・・あんなに近くで渾身の演奏をしてくれたのに、僕はジュリーばかりに見入ってしまいました。でも、ふと気がつくと、変わらぬ仕事人・柴山さんの姿はすぐ目の前にありました。

僕は「好きこそものの上手なれ」という言葉を座右の銘のように大切に思っていますが、柴山さんは、その言葉を究極まで突き詰め達成したような人なのかなぁ、と感じています。
ツアー中に還暦を迎えたと言っても、これからのツアー後半、柴山さんは前半と何ら変わらぬ自然体で、いつも通りの演奏に臨むでしょう。
でも、次の八王子公演が、柴山さんが還暦を越えて初めてのジュリーLIVEであることは事実。ジュリーや他メンバーにとっても、気合の入るステージなのではないでしょうか。

八王子、僕は幸運にも上手ブロック、トチリ席のチケットを澤会さんから頂いております。
びわ湖ではジュリーに見とれてしまったけれど、今度はハッキリ柴山さんサイドのお席ですから、そのプロフェッショナルな演奏を存分に注目し楽しみながら、お祝いと感謝の気持ちを送ろうと思っています。

柴山さん・・・いつまでも、ジュリーと共にお元気で!

Inst12



Inst13_2

オマケ画像① 『ジュリー』さん
先月、日帰り旅行で訪れた高崎にて偶然発見したお店。ママさんは間違いなく、その道の大先輩でいらっしゃるはずです。

オマケ画像② 『和(KAZU』さん
自宅からとなり駅までの道沿いにある居酒屋さん。機会があれば一度入ってみたいと思っています。

| | コメント (11)

2012年8月22日 (水)

沢田研二 「朝焼けへの道」

from『JULIEⅥ ある青春』、1973

Julie6

1. 朝焼けへの道
2. 胸いっぱいの悲しみ
3. 二人の肖像
4. 居酒屋ブルース
5. 悲しき船乗り
6. 船はインドへ
7. 気になるお前
8. 夕映えの海
9. よみがえる愛
10. 夜の翼
11. ある青春
12. ララバイ・フォー・ユー

--------------------

『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー前半が終わりました。
たとえ同じセットリストのLIVEに何度足を運んだとしても、その季節ごとに聴き手に染み入る曲が違ってくるのもジュリーの魅力のひとつ。
ツアー後半は、だんだんと空気が涼しくなっていく中で、また新たな盛り上がりを見せる曲も出てくるのではないでしょうか。

今ツアーのセットリストは説得力充分ですが、僕が予想していたものとは全然違いました。
それもまたジュリーファンとしての歓びではありますが・・・1曲だけ。今年のツアーと絡めて拙ブログのお題に是非採り上げておきたかった曲がセットリストから外れ、執筆の機会を逸したままになっています。
今日はその、僕だけでなく多くのジュリーファンのみなさまが事前にセットリスト入りを切望していたナンバーについて、短めの記事を書いておこうと思います。

アルバム『JULIEⅥ~ある青春』から。
「朝焼けへの道」、伝授です!

隠れた名曲・・・と言っていいのかな?
先輩方の人気も相当高い曲のようですね。

「朝焼けへの道」で始まり「ララバイ・フォー・ユー」で終わる・・・大名盤『JULIEⅥ~ある青春』を、『JULIEⅡ』ほど明確ではないにせよ、コンセプト・アルバムとして印象づけているのは、山上路夫さん=森田公一さんコンビによるこの2曲の存在が大きいです。
なだらかな言葉が、なだらかなメロディーに載っている、これぞシンプルに”名曲”。

で、手元にはスコアもあったりするわけですが・・・。

Lpfan2

ショイン・ミュージックさん発行の『沢田研二のすべて』。
この本、収録曲からしても素晴らしく貴重(「鳥になった男」とかタイガースの「青春」とか入ってます)なスコアですが、一部、曲によっては表記通りに演奏すると雰囲気台無しになってしまうような超適当な採譜が為されているのが玉にキズなんですよね~。
まぁ、そういう曲については、却って正解を求めて探究心をかきたてられますから、僕のようなスコアフェチにとっては大いに楽しめたりもするのですが・・・普通の読者さんは「?」マークのやり場も無いほどにワケ分からない表記になっている曲があるのもまた事実・・・。

そして、「朝焼けへの道」がそんな採譜曲のひとつです。
数か所、さすがに放置するに忍びない表記があって・・・このスコアをお持ちのみなさま、ここはひとつ、「あまりにも」な部分だけでも修正をしておいて下さいませ。
ちなみにオリジナル音源の「朝焼けへの道」はヘ長調ですが、このスコアでは演奏を易しくするために、ハ長調に移調してあります。
以下、僕もそれに倣い、ハ長調採譜のコード表記で説明をさせて頂きます。

Asayake1

Aメロからいきなりワンパターンの採譜。「は?」という表記の連発です。まぁ合わせて歌えるならばまだ良いとして、問題なのは「くらいよるのなかを♪」のトコ・・・。
この表記通り(F→C)に弾くと「暗い夜どころか真っ昼間かい!」ってくらい、朗らかな伴奏になってしまいます。
ここはマイナーコードに移行してキュンと来る、楽曲全体から見てもとても大事な大事な箇所。
表記は「Am→Em」に直しておきましょう。

Asayake2

サビ部・・・4小節目以降は「えっ?」というコードが振ってある箇所目白押しですが、まぁ一応歌えなくもないかな・・・。
ただ1箇所、いかにも「青春時代」な森田さんらしい、この曲の一番オイシイ盛り上がり部、「あさやけをみろ♪」の「ろ」のトコ。ここの表記が「G7」ってのは・・・これまたヤケに明るい、と言うかコミカルな雰囲気になってしまいます(涙)。
ここだけでも、「E7」に直しておきましょう。

と・・・こうして作業をしてみて気づいたことがあります。
このスコアの「朝焼けへの道」で修正をかけた箇所のコード採譜は、実際よりもより明るい曲調として和音解釈が為されている、ということです。
確かに、表記通りに演奏すると(移調を元に戻したとしても)レコード音源とは隔たりのある採譜ではあります。しかし、「朝焼けへの道」が採譜者によってここまで”陽”のイメージで拡大解釈されていることに、この曲の本質を見出すことができそうです。
僕は震災のことがあってやっと、それを学んだようなのです・・・。

僕は元々、名曲居並ぶアルバム『JULIEⅥ~ある青春』の中で「船はインドへ」と、この「朝焼けへの道」が特に大好きな曲でした。
しかし今になって、僕はこれまでずっとこの曲に「切ないメロディーと泣ける歌詞」という表面的な感動しか味わえていなかったのではないか、と考えているところです。
そして・・・「震災がテーマとなる」と予測された今ツアーを前に、「朝焼けへの道」が多くのジュリーファンの方々に語られ始めた時、僕はようやく曲の持つ”希望”の道すじを感じ取れたように思うのです。

♪ 君よ うつむいてる顔をあげ
     Dm                  Am7

  紅い朝焼けを見ろ
     Dm              A7

  君の頬をぬらす涙  燃えて虹になる ♪
     B♭             C     Gm7 B♭ C   F

(註:こちらは、オリジナル音源と同じヘ長調で採譜しています)

昔から、そして今も、「朝焼けへの道」の歌詞で最も好きな箇所は、このサビ部。
おそらく多くのみなさまもそうでしょう。

でも少し前までの僕はそれを、「物語のように美しい詞だなぁ」と考えていたのです。
今聴くと、「物語」とはとても思えない・・・何とリアルで、力強いメッセージであることか。「涙が燃えて虹になる」・・・そうであって欲しい、と強く思い、傷ついた人々に向けて祈る日常があります。
もちろん山上さんの作詞に物語性が盛り込まれていることは明らかなのですが、40年近くも経って、「朝焼けへの道」はファンの心を昔とはまったく違う形で揺さぶっているのではないでしょうか。

「朝焼けへの道」を今ツアーで、という願いは叶いませんでした。
まぁ、期待が薄いということはジュリーファンなら何となくは覚悟していたでしょうし、僕としても「さすがに無かったか」くらいの感じでしたけどね・・・。
でもジュリーは、よく似たテーマであり、より現実感の強い「明日は晴れる」を採り上げ、それぞれの土地、それぞれの人々に必ず訪れる”日常”を、希望を込めて歌ってくれました。
多くのファンが「朝焼けへの道」に重ねて被災地の方々に馳せていた思いについては、少し違う形ではあったけれど、ジュリーがステージで叶えてくれたような気がしています。

生きる望みを失くし、いくら朝焼けを見ても、涙を燃やして虹に・・・と簡単にはいかない人々がまだまだたくさんいらっしゃる。それは現実。
そう考えると、安易にこの曲に重ねて綺麗な収束を求めていた自分が恥ずかしくもなったりしますが・・・。きっと僕自身が、「朝焼けへの道」に救われようとしていたのでしょう。
今はただ、「朝焼けへの道」が今も昔も変わらず素晴らしい名曲であることを、改めて噛みしめたいです。

それにしても、ソロデビューを果たして以降のジュリーの加速度的なヴォーカルの進歩は、凄いですね~。
僕は『JULIEⅡ』のヴォーカルがとても好きなんですけど、その時点ではまだジュリーに「歌わされている感」みたいなものが感じられます(それが逆にてらいの無さ、無垢な少年のような表現に昇華しているのが好みなのですが・・・)。
『JULIEⅥ~ある青春』のリリースは『JULIEⅡ』から僅か1年半後に過ぎないというのに、情感、声質の幅は格段に増しています。
身近のレコーディング・スタッフが一番それを感じていたでしょう。音源トラック全体的に『JULIEⅡ』と酷似したアプローチのレコーディングにも関わらず、『JULIEⅥ~ある青春』では、最終ミックスが明らかに”ヴォーカリストありき”の手法へと変わってきているからです。

それはさながら、『JULIEⅡ』の物語で悲運の愛に別れを告げた少年が、この『JULIEⅥ~ある青春』では、かつての憧れだった”海の男”へと成長し、大人の男として歌を歌っている・・・そんなふうにも感じます。
僅か1年半の時間に、その何倍の年輪分もの成長を魅せてくれる、若きジュリー。
そんな人が、還暦を越えてなおまだまだ元気に走り回って歌っている・・・大げさでもなんでもなく、奇跡としか言えませんよね・・・。

さて。
次回記事では、「祝・柴山さん還暦記念」として、久々に鉄人バンドのインストをお題に採り上げようと思っています。
一応キャンドルを灯しての執筆覚悟ではいますが・・・あのパターンは、まずアイデアと気力が沸いてこなければどうしようもありません。果たして思惑通りに筆が進みますかどうか。
あまり期待せずお待ち頂ければ、と思います~。

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2012年8月16日 (木)

2012.8.11 渋谷公会堂 沢田研二『3月8日の雲~カガヤケイノチ』セットリスト&完全レポ

8月16日、執筆完成いたしました。
例によって記事upの日付を移動させて頂いております。
今回は(僕のブログとしては)簡単な短めのレポとさせて頂きました。その分これから、ツアー参加の合間合間に、通常の楽曲考察記事をまた少しずつ頑張って書いて参ります!

☆    ☆    ☆

『3月8日の雲~カガヤケイノチ』、8.11渋谷公演に行ってきました。
ジュリー曰く、「ツアー前半のシメ」でございます。

ツアーが始まった6月後半から、拙ブログ通常モードの楽曲考察記事がまったく書けておりませんので、今回は短めのレポになります。
(と言うより、びわ湖のレポ執筆に全精力を使い果たしてしまった感が)

無論、ジュリーの素晴らしさには変わりはなかったですし、2階席ならではの楽しみもありましたので、一応1曲ずつ、少しでも何か書いていこうと思います。
それでは、早速まいります!

1曲目「SPLEEN~六月の風にゆれて」

Panorama

出だしAメロからいきなり歌詞に詰まり、早口で追いかけるジュリー。
その後も何度か歌詞が出てこない箇所がAメロ頭、という重要な部分に集中、「ジュリー、どうしたのかな?」と思っておりましたら、後のMCでオリンピックのサッカー男子3位決定戦の話題を熱く語り始めた際
「頭の中はこの話でいっぱい。今日も、ず~っと歌いながらこのことばかり考えていたんですから!思い当たるフシがあるでしょ~?」
と。
「思いあたるフシ」というのが歌詞忘れのことを指しているわけです。

しかしこれはおそらくジュリー一流のウィットで、さすがにサッカーの脳内映像で歌っていたなんてことはないでしょう。
「今日は何回か目立つトコでやっちゃったなぁ・・・」という照れ隠しのような発言だったのではないでしょうか。
まぁ、午前3時に目覚ましかけて起きた、という影響は少しあったのかな・・・?

2曲目「そのキスが欲しい」

Reallyloveya

こういう曲ですぐさま2階まで総立ちとなるのが、渋谷公会堂の醍醐味。
お隣の父娘連れとおぼしきお二人も、ガバッとスタンディングでの大盛り上がりです。小学生か中学生か、という娘さんがフリをちゃんと合わせているのが凄い・・・。お父さんの教育が行き届いているのでしょう。
そのお父さんは、「飾りはいらない♪」のトコの指差しがやりたくてやりたくて仕方のないご様子。ちょっとフライング気味にキメていらっしゃいました。

イントロをはじめとする伴奏部での指差し乱れ撃ちに、今ツアーからジュリーがこの曲を少しイジり始めたのかな、という印象を受けました。

3曲目「お嬢さんお手上げだ

Konndohakareina

いつになくBメロのステップに切れがあるジュリー。間奏後の3番「ふざけてもみるけど♪」では両足同時に「えいっ!」と膝を畳んだ状態で左右1度ずつ飛び跳ねる、というハジけっぷりでした。
間奏の泰輝さんのピアノ・・・音階はオリジナル音源と同じですが、同一音のトレモロ反復による余韻効果を加味した箇所がありました。この日だけのアドリブなのか、初日からそうしていたのかは分かりません。

4曲目「1989」

Boukyaku

今ツアー初の、上から見下ろすステージ。
間奏、やっぱり柴山さんはさほど前方までせり出してる感じではありません。びわ湖が特別だったのか、それとも渋谷のステージの広さ(地方会場に比べて横に長い、という感覚はステージ上でも強くあると思います)が照明の当たるポイントなどに影響しているのか・・・。
間奏の照明は、紅く染まる柴山さん意外は漆黒、というイメージがありましたがそこまでではありませんでした。

今月末に還暦の誕生日を迎える柴山さん。
永遠のファニー・フェイス・柴山さんも、50代でステージに立つジュリーLIVEはこの日がラストです!

5曲目「届かない花々

Croquemadame

蛍光灯の輪っかのような形の照明がステージを直射。2階席後方センターにいる僕の位置からは、その影が天井に大きく映し出されるのが見え、少し気になってしまいました。
下山さんのアコギと柴山さんのエレキの音量バランスは、過去ツアー含めこの日が一番良かったように感じました。音の良し悪しで言うと渋谷公会堂はさほど、という感じではありますが、やはり2階センターの各楽器のバランスの良さについては得した気分。
柴山さんのフィードバック、この曲ではナシでした。

ジュリーのヴォーカルはこの曲から好調モードに入ったようです。指を次々に握る仕草は、いつもより念入りだったかな?

6曲目「涙色の空

Namidairo

この曲のジュリーのヴォーカル、鉄人バンドの演奏は初日と比べても良かったと思います。ただ・・・やっぱりびわ湖の強烈なイメージと比べてしまうなぁ、イカンイカン・・・。
下山さんのアコギは髪を振り乱しての熱演。柴山さんのギターの導入部や、エンディングの全体のアレンジは、CD音源とは微妙に変わってきていますね。

照明は緑を基調としていました。
ステージ後方の・・・何ですか、4つのツリーみたいな形の模様が青と緑に染まるのも見えました。

この曲のあたりで、2階席センターブロックは7割ほどのお客さんが座って鑑賞という形になりました。渋谷にしては珍しい光景です。

7曲目「3月8日の雲

38_3

僕の気のせいではないと思うのですが・・・初日以上にテンポ速くなかったですか?
「D7+9」の箇所の単音で、下山さんが危うく引っかかりそうになるほどに。

ただ、そういったことが曲の感動の邪魔になる、ということではありません。そこは何と言ってもジュリーのヴォーカルの威力です。
この日も「こんな目にあうなんて」の「て」で、ギリギリと伸ばすジュリード迫力の声が炸裂していました。

さて、びわ湖で気が付いた泰輝さんの1番でのオルガンの噛みにこの日も注目。音色はCDと比べ、同系統ながらも若干太めの音を選んでいるのですね。
フレーズはCDのような伸ばしが無く(CDでは、鍵盤を「押す」という感覚のコンマ数秒の”長さ”がある)、スパ~ン!と叩き斬る感覚。びわ湖のイメージ通りでしたから、これは初日からそういうふうに演奏されていたのでしょう。カッコイイですね、泰輝さん!

8曲目「恨まないよ

38_2

歌に入る前の、メロディー・ガイドのための「E♭m」コードの「じゃ~ん♪」は、やっぱり柴山さんの役目。
どうやら初日の僕の記憶が間違っていたようです。

この曲はエンディングの照明に注目しました。
びわ湖ではほとんどジュリーだけを見ていましたので、下半身から徐々に消えていくジュリーがステージ全体でどう見えているかまでは分からなかったのです。
意外でしたが、ジュリー以外の鉄人バンドメンバー全員に通常の光が当てられているのですね。
ジュリーを狙った照明だけが、ステージ全体が明るいままに、少しずつ消えていくという演出でした。
最後の1音と共に、ここで初めてステージすべてが闇に包まれます。

9曲目「F.A.P.P

38

先述の通り、僕のいたブロックは着席率が高くて・・・。
しかも僕の前のお客さんはほとんどが座って聴いていらして、視界が前方まで開けています。で、僕より前方の席でお立ちになっていらっしゃるお二人連れは・・・顔馴染みの先輩、ミカン@姉さんとひいきゃん姉さんでした。
「F.
A.P.P」のエイトビートにお二人で身体を揺らし、ひいきゃん姉さんの方は手拍子もなさっているのが嬉しかった。
僕ももちろんやりましたよ~。あと、右斜め前でも手拍子のお客さんがお一人。

高い「ラ」の音を振り絞り歌うジュリー。
でも、必死さとか無理に出してる、とかいう感覚は一切ありません。ゴキゲンなメロディーを歌っている、バンドの音に身を委ねている、という感じです。押しつけがましさがまったく無いのです。
この曲でそれができるのが、ジュリーなのだと思います。

柴山さんのコーラスもよく聴こえました。やっぱり渋谷公会堂の音量バランスは、2階の方が全然良いみたいですね!

10曲目「カガヤケイノチ

38_4

下山さんがアコギを放す直前の「ブレ続けても♪」のトコの柴山さんの単音がカッコイイ!
で、エレキに持ち替えての下山さんのソロももちろんカッコイイ!

下山さんの間奏フレーズは、CD音源とはかなり違っていました。隙間を少なくするために意図的に変えているように感じました。
初日、びわ湖の記憶が不確かなのですが、徐々に変化してきているのかもしれません。

ジュリーのタクトに従い、客席も声を揃えて歌いました。着席率こそ高いけれど、前のお姉さまが歌っているのも分かりました。
歌っている自分の声が自分で聴きとれたのはこの日が初めて。2階席、という環境のせいなのでしょうか。

~休憩~

例によって、ここでレポもひと息つかせて頂きます。

この日はLIVEの前に、恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館地下1階にて開催されていた、鋤田正義展『サウンド&ヴィジョン』を観てきました。
鋤田さんの作品展については、最近ジュリーファンの間でも話題になっていましたね。

Sound_and_vision

ジュリーの写真はみなさまよくご存知のパルコの1枚だけなんですが、僕の場合は、展示作品メインとなっているデヴィッド・ボウイやYMOも大好物ですから、とても楽しい時間を過ごすことができました。

『アラジン・セイン』から『スケアリー・モンスターズ』までのボウイは、ヴィジュアル的にもサウンド的にも突き抜けていると思っていますが、鋤田さんの写真をじっくり観ると改めて凄いなぁ、と。
1978年のエルヴィス・コステロのシニカルなショットも素晴らしかったですね・・・。

裕也さんや、YMOの3人の近影もありました。
あと、昨2011年にブレイクを果たした高橋優さんの、2010年の時点での刺激的なショットがあったり、ブランキー・ジェット・シティの浅井さんの写真などもとても良かったです。

そんな中で、ひときわ目を惹くのがジュリーの裸の上半身、というワケなのですよ!
この作品展は9月30日まで開催されておりますので、興味のある方は是非足を運んでみてくださいませ~。

11曲目「約束の地」

Beautifulworld

格子縞と言えばいいのかな・・・パッと見、横断歩道のような模様がステージを照らしていました。
前半、蛍光灯の輪っかのような、という照明の説明をしたシーンがありましたが、この後どの曲だったか忘れましたが”蛍光灯”と”横断歩道”が交互に出現し斜めに素早く動く、という演出の曲もありました。

びわ湖で見とれたエンディングの神々しいまでのジュリーの動き。2階から観るとそのスケールの大きさや情感が伝わりにくいのですね・・・。
先輩方がLIVEにオペラグラスを用意する気持ちが分かったような気がします。

ただ、ヴォーカルの素晴らしさは、ステージから遠く離れた席でも充分に伝わります。そこがバラードの良さなのかもしれません。

12曲目「君をのせて

Acollection

サビの「ああ~♪」を下手側のステージ前方に進み出て歌ったシーンが印象に残りました。

この曲の最後で優雅にお辞儀をするジュリーですが、この日はお辞儀の位置が随分ドラムセットに近かった(ステージの奥に下がっていた)ように感じました。

13曲目「我が窮状」

Rocknrollmarch

コーラスが噛み込む瞬間の、鉄人バンドがスッと浮かび上がる照明が綺麗で、『PLEASURE PLEASURE』初日の感動を思い出しました。
あの時も2階席だったのでした。前曲の「明星-VENUS-」でアコースティック・ギターのトラブルが発生し、柴山さんが急遽エレキギターで演奏を敢行した、その余韻が残っていて・・・柴山さんの動じない、自然体の立ち姿がコーラスをとる時でも変わらずカッコ良かった、そんなふうに思ったことを覚えています。

サビ最後の「許しあい、信じよう♪」のジュリーのヴォーカルには、いよいよ何か降りてきている感じですね。あれだけ気持ちが入っているのに、まったく力みなく声が自然に出ているのは凄いです。

14曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka

何人かの先輩が仰っていたのですが、イントロのドラムスのフィル・インがオリジナル・ヴァージョンより2拍分長いのですね。これが今ツアーからなのかどうか、僕の記憶では分からない・・・情けないことです。
もしも今ツアーからだとすると、テンポの問題からそういうアレンジなっているのかな・・・。前曲「我が窮状」とまるっきり同じにならないように。
びわ湖ではまったく気にならなかったのですが、2階席で観ていると、そんなこともチラリと考えながらの鑑賞となりました。

ここまで後半4曲、ジュリー・ヴォーカルの無心の魅力を堪能しました。アコギとエレキのバランスも素晴らしかったと思います。

15曲目「ラジカル・ヒストリー」

Dairokkan

「盛り上がる・・・かな?」は、もうお約束になったんですね。渋谷ならば盛り上がるに決まっているのですが・・・ここで再び、2階席まで当然の総立ちです。
ジュリーは、伴奏部のおいっちに体操をはじめ、サビ前のGRACE姉さんのソロへの指差し、サビで「愛!」の拳突き上げなど繰り出し大暴れですが、息はまったく乱れません。

下山さんから柴山さんへと繋ぐ間奏も見事。
演奏にも観るべきポイントの多いこの曲、ツアー後半でも大いにお客さんを楽しませてくれそうです。

16曲目「気になるお前

Julie6

初日の時点からそうでしたが、この曲ではジュリーの激しいジャケット・プレイがあります。
ジャケット半脱ぎ状態での躍動は、ジュリーとしても力の入るところなのでしょうか・・・合間合間に半分脱いだジャケットにバシンバシンと気合注入していたら、そっちに気持ちが入り過ぎたのか、サビ部のヴォーカルに出遅れたジュリー。
まったく動じずに「きっといつかは♪」のコーラスを余裕のソロでキメる柴山さんが素敵でした(泰輝さんの声は聴き取れませんでした)。

ところで僕は、この日のLIVE翌日にセブンスター・ショーの映像を観てしまい、この曲を歌う今ツアーのジュリーの脳内映像が数十年前の容姿へと上書きされてしまいました。
次回八王子、心して臨みたいと思います・・・。

17曲目「時計/夏がいく

Sur

びわ湖では歌詞に引っかかっていたジュリーでしたが、この日は完璧。

そして、2階席からステージ全体を俯瞰していて初めて気づいたこと・・・それは、下山さんの怪しげなステップ!
おそらくブルース進行でのギター・プレイに身体が自然に反応しているのでしょう。
下山さんのこの曲での演奏は、ストーンズの「ホンキー・トンク・ウィメン」のようなルーズなバッキングが肝。プレイしながら、細い両足をうねうねと旋回させる姿に釘づけになってしまいました。この曲の下山さん、こんなに動いていたのか、と。

この曲ではギター兄弟にリードとサイドの分担は無く、互いが違ったスタイルで伴奏のバッキングをし、曲中3回登場する2小節のリード・ギター・パートは、呼吸を合わせての単音ハーモニーとなっています。
この時、柴山さんは優しそうで、下山さんは嬉しそうです。鉄人バンド・ファンのみなさまにとってはかなりの萌えポイントかと・・・。

18曲目「サーモスタットな夏

Samosutatto

ジュリーのジャケット・プレイはこの曲でも炸裂。何故この曲であんな着方になるのか謎ですが・・・。

びわ湖同様、イントロで泰輝さんが両手を頭上に掲げての手拍子の煽りがありました。
そうそう、手拍子と言えば、僕の2、3列前のお姉さまが、きちんとGRACE姉さんのアクセント通りの手拍子をなさっているのが凄かった!Aメロやサビなど、基本「2・1」でやっていらっしゃって、嬉しくて思わず追従してしまいました。

後ろから観ていますと、「LOVE & PEACE」のポーズに乗り遅れているお客さんが多かったなぁ・・・。ここはひとつ、夏休みの間にバッチリ予習・復習して、ツアー後半に乗り込みましょう!

19曲目「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto_2

僕がびわ湖で失神寸前にまで追い込まれた、間奏部でのジュリー、柴山さん、下山さんが一団となってステージ前方で暴れまくるシーン・・・渋谷では観られず!

間奏・・・3人はステージ前方に並ぶようにしてせり出しては来ていましたが、くんずほぐれつ一塊になって、という感じではありませんでした。均等に距離を保っていましたからね。
これは、各会場のステージの広さによる変化なのでしょうか。返す返すも、僕のびわ湖本神席はラッキーでした。

ただ、やはりこの曲はどの会場でも盛り上がります。
セルフ・プロデュース以降のジュリーの作品制作スタンスをすべてこの曲の覚さんの歌詞が予見しているよ言っても過言ではないような・・・。ジュリーファンとして、こんなテーマの楽曲があることはとても誇らしいことです。

20曲目「君をいま抱かせてくれ」

Hello

歌詞の間違いは無し。この日のジュリーはセットリスト後半へと進むに従って、自然に歌詞がバシッ!と口から出てくる感覚があるようでした。
(ただし、「この日もカズだけで男を語っていた」と仰るかた、多し!僕の聴き取りが甘かったですです・・・)

イントロ、3、4小節目と7、8小節目の両手同時の裏拍パンチをジュリーと一緒にやってたら、隣のカミさんに笑われました。
そんなにおかしいかな・・・?確かに他のお客さんでそこまでやっている人は少ないけど・・・。

「そのキスが欲しい」「サーモスタットな夏」に続き、間奏リードギターは下山さんの今ツアーでの大きな見せ場です。かなり前方まで進み出て弾いていましたね。

21曲目「明日は晴れる」

Asuhahareru

こちらは変わって柴山さんが大活躍。
間奏では2階をキョロキョロ見上げるような感じでギターを弾きながら前へ前へと進み出てきました。「明日は晴れる」のこの間奏リード・ギターのフレーズを「弾きながら前へ」というのはかなり凄いことなのです。「ギターは顔を上げて弾こう」と柴山さんが意識し出したのはいつ頃からなのだろうか、と考えてしまいます。

ジュリーのヴォーカルもどんどん良くなってきます。
セットリスト前半で震災についての新譜4曲を歌い、後半最初に「約束の地」で”夜明け”を、本割ラストにこの曲で”明日”を歌うジュリー。
日常の尊さを感じさせます。すべての人に穏やかな日常が帰ってくることを祈らずにはいられません。

~長いMC~

ジュリーの「ありがとうございました!」に、左隣のお父さんが「こちらこそありがとうございました!」と大声でお返事なさったのにはビックリしましたが・・・。

この日も、びわ湖ほどではありませんでしたが、長いMCでした。しかもその9割がオリンピックネタという・・・。

サッカーについては、男子に対して辛口、女子に対しては称賛の言葉。「女子の決勝は惜しかった」と言っていましたね。例のハンドでPKになっていれば先制できていたわけだから、と。
それを、PKというのが「基本、点が入るもの」であることを、数少ない失敗例の知識を披露しつつも丁寧に説明していました。

あと、「アメリカのキーパーは百戦錬磨だ」と。
「自分、ここにいるんだから(いない方の)こっちに蹴るよね。こっちに蹴るよね・・・そら見てみい!」
と、キーパーの動きを完璧に再現。「そら見てみい!」でシュッ!と横移動するジュリーの素早さよ。

それにしても、あれだけ激しいセットリスト後半の熱唱でも全然息切れしないジュリーが、MCでハァハァ状態になるというのは・・・どれだけ「フンコ~し過ぎて」いるのでしょうか。

ところで。
アシックスタイガーの話からユニフォームの虎のデザインの話になり、「小さくて弱そうな虎」とジュリーが言った瞬間、野球の方のタイガースを思い浮かべてしまったのは、やはり阪神ファンだからでしょうね(ケンケンジ姉さんもそう言ってましたし)。
少し前にコメントにも書きました通り、僕は次に阪神がリーグ優勝した際には、記念に「Rock 黄 Wind」の記事を書こうと考えているのですが・・・それ、僕が生きている間に実現するのかどうか心配になってきました・・・。

22曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」

Royal3

隣の幼い娘さんが最後の「ハイ!」までキッチリ合わせてくるのが凄い・・・。将来が大いに楽しみです。
こんなファンがいるのですから、ジュリーには70越えから先もずっと歌い続けて欲しいですが・・・。

びわ湖では、Bメロで左右に身体を振ってAメロと変化をつけているのが分かりましたが、遠目だとじっとしているように見えてしまいます。
ただ、足の角度のカッコ良さは離れていても分かります。
「例え鳥の被り物をしていても、立ち姿だけでスーパースターの雰囲気を醸し出してしまう・・・それがジュリーなのだ」と、2年前にある先輩から教わりましたが、「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」のシルエットは、まさにその象徴なのでしょうね。

23曲目「ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

バンドの音響のバランスの心地良さもあって、ラストのこの曲ではGRACE姉さんのドラムスを堪能しました。

「ス・ト・リ・ッ・パ・-」はドラマーにとって大いに腕の鳴るジュリー・ナンバーのひとつ。しかしGRACE姉さんのドラムスは派手な個人技に走ることはありません。
こういう演奏はひとつの優れた主張だと僕は考えます。僕の普段の好みからも、それを”楽曲主義”と表現しても良いのでしょうが・・・おそらくGRACE姉さんの場合それは”ジュリー主義”なのかもしれません。

ジュリーファン初心者とは言え、鉄人バンドの演奏に限っては『ジュリー祭り』から数えて僕も結構な数のステージを生で観てきていますが、GRACE姉さんのドラムスが、ジュリーのオリジナル音源と乖離した即興演奏の見せ場に走るシーンを、僕はただの一度も観ていません。
GRACE姉さんほどの腕前ならば、よしんば女性ドラマーというキャラクターならば、時にはオリジナルから逸脱した個人プレイに走っても良さそうなものですが、そういうことが無いのです。これはまごうことなき”ジュリー主義”ではなかろうか、と考える次第です。
『ジュリー祭り』で受けた、「コバルトの季節の中で」や「ヤマトより愛をこめて」でのGRACE姉さんのドラムスへの感動の思いは、ずっと変わらないまま。

耳に馴染んだオリジナル音源とまったく同じアクセントに身を委ね、僕はこの日も2階席から横揺れ参加でございました。

☆    ☆    ☆

ジュリーが最後に今一度鉄人バンドを紹介し、「ジジィでした~!」とシメて退場した後も、お客さんの拍手は鳴りやみませんでした。3度目のアナウンスでようやくみなさま席を立つ・・・そんな状況でした。
ツアー前半のトリ、場所は渋谷公会堂、ということで少しオマケの期待もあった、というのが僕の(あるいは、他の多くのみなさまの)正直なところでしたが、やはりジュリーはジュリーらしく、「普段通り」のステージをきっちりと変わりなく完結させて、夏休みに入ったようです。

今回も「はじめまして」や「お久しぶりです」がたくさんありました。
中でも特に嬉しかったのは、終演後に、びわ湖本神席でお隣だったお兄さん
と再会し直接ご挨拶と御礼を申し上げることができたのです。
若き先輩は精力的に多くの会場に参加されているようで、今後またご一緒する機会があるかと思うと、とても楽しみです。
それにしても・・・ジュリーLIVEの会場で男性のファンって、驚くほど見つけやすいんですね。自分に置き換えて考えると、なんだか焦ります・・・。

あと、ちょっと気になることがひとつ。
これはLIVE翌日に先輩方のいくつかのブログさんで知った情報なのですが、何ですか、売店でDVDを購入すると、オマケに「忘却の天才」のシングル盤がついてきてたんですって?
実は僕は、何かの機会があったら「忘却の天才」シングル盤を購入しよう、と考えていたのでした。最近になって、カップリングの「つづくシアワセ」がアルバムとはヴァージョン違いだと知ったものですから。僕の場合、ミックス処理までマニアックに聴き込むタイプですので、どうしても”ヴァージョン違いフェチ”になってしまうのですよ・・・。

しかしこれ、澤会さん、単独でこのシングルを販売することは止めてしまった、ということなのでしょうかねぇ・・・。とすると僕は、オマケ目当てにDVDを購入しなければならない立場になったのかな?

次の八王子までに、その辺りも熟考してみます~。

さて、今回はレポもサクサクと書き終えました。このような簡易レポとさせて頂いたのは、拙ブログの根幹である楽曲考察記事の執筆意欲が溜まってきたからです。
ひとつのツアーを体験すれば、その分改めてジュリーを知り、ジュリーについて考える・・・僕はそこで、やはり楽曲について深く考えていきたいわけです。

八王子までの間、何曲か書きたいと考えています。
なかなか時間もとれないので、短めの記事になるかもしれませんが、その分なるべく多くの曲を採り上げ、ジュリーの膨大な持ち歌の数に少しでも迫りたい、という思いはいつも強く持っています。

まずは次回、”幻のセットリスト予想記事”とも言うべきナンバーを。
そして、頭にあるのはジュリーの歌モノばかりではありませんよ~。その後、27日up予定記事のお題には、鉄人バンドのインストを採り上げるつもりです。
キャンドルを灯すかどうかは、執筆時間がどのくらいとれるか次第ですが・・・。まぁ、ごくごく普通の記事になっても勘弁してやってくださいませ。

それではみなさま。
まだまだ残暑も厳しい日々ですが、ツアー後半に向け、しっかり日常を頑張りましょう!

20120811shibuya

| | コメント (15) | トラックバック (0)

2012年8月 8日 (水)

2012.7.20 びわ湖ホール(大ホール) 沢田研二『3月8日の雲~カガヤケイノチ』 セットリスト&完全レポ

(註:8月8日、ようやく執筆を終えました。
例によりまして、日付を記事完成日に移動させて頂きました。
今回も無駄に長い記事になってしまいましたが、最初で最後かもしれない最前列参加のジュリーLIVEの様子を、自分の一生の思い出として詳細に文章に残しておきたい、というエゴに打ち勝つことができませんでした。
毎日細切れの更新、頂いたコメントへのお返事も遅れ気味となり申し訳ありませんでした。
とりあえず、自分の次の参加会場である11日の渋谷公演の前に執筆を終えることができて、ひとまずは良かったです・・・。
長々とおつき合い頂き、ありがとうございました!)

☆    ☆    ☆

「本神席」。
嗚呼・・・その甘美で、果てなき遠い存在を象徴するかのような神々しい言葉の響きよ・・・。

どなたが最初にそう呼んだのか。
ジュリーLIVEにて、自分より前に座席が無く誰もいない、という状況。眼前にはただジュリーが躍動するステージがあるのみ。
ステージのジュリーと客席の自分。その最短直線距離を遮る物は何も無し。
つまりは、1列目。神席の中の神席。特にそれがセンターブロックとなった時、「本神席」という言葉は至高の響きを放ちます。

長い長いジュリーファンの先輩方の中でも、数度の経験を誇るかたもいらっしゃれば、たった一度の僥倖がようやく今年訪れた、というかたもいらっしゃる。
そして、未だその体験が無いという先輩方も、大勢いらっしゃるのです。

僕は、澤会さんからツアー・チケット到着を待つ時、「本神席」を期待したことは一度もありません。
漠然と「ひと桁」席を妄想、希望し、時としてそれが叶い、大方の場合は夢破れる・・・。
ただ、「本神席」を具体的に妄想したことは一度も無い・・・要は、妄想すら及ばないほど、自分にとって縁の無いもの、あり得ないもの、おこがましいもの。そんな意識でいたのだと思います。

今回のツアーで、カミさんの実家が近いびわ湖ホールへの参加を決め、難なく抽選を通過、送られてきたチケットは・・・本来、僕のような者にとっては恵まれたと言える、13列目のお席でした。
道理から言っても、モラルからしても常識から考えても、指定されたこの席でカミさんと並んでLIVEに参加するのが当たり前のこと。そのことに何の疑問も持っていませんでした。

しかし何処がどうしてどうなったのか、何が起こったのか、どういう分不相応な新規ファンの大僥倖なのか・・・。
とにかく、開演2時間前に僕がこの手にしていたチケットは。

0720biwako5

センターブロック最右の柴山さん寄り。
つまり右側は通路。前も横も使って飛び跳ねろ、と言わんばかりの、正に「本神席」なのでした・・・。

いつもお世話になっている先輩から数日前になって、「心の準備をしておいて」とご連絡を受けるも、まったく実感は沸かずに当日まで過ごしまして。
先輩のご家族のご事情が関係していたため、LIVE前日になってもまだ成り行きは確定せず。
当日このチケットを実際に受け取って初めて・・・これまで体験したこともない、プレッシャーと言うのか何と言うのか表現しようのない、こみ上げるような動悸に襲われました。

開演前の2時間の長かったことよ・・・。
(それに比べて実際のこの日のLIVEの、何と言う”あっという間”の2時間だったことよ!)

実は最近になって、いい加減自分のLIVEレポのあまりの大長文に自分で疑問が生じてきまして(完成までにバカみたいに時間がかかっている、というのが一番の課題点でした)、まぁツアー初日は仕方ない、ファイナルも(無事に当選すればね)まぁ仕方ない。でもそれ以外の参加会場については1曲ずつの詳細レポは封印し、なるべく1日でupできる簡易レポとして纏めよう、と考えておりました。
で、当然このびわ湖公演から、その考えを実行に移すつもりでした。

が。
無理!!

また、みなさまが呆れるほど時間がかかります。
初日レポよりもさらに長くなります。

どうか生暖かい目で、ゆるゆるとおつき合いくださいませ・・・。

☆    ☆    ☆

ということで、拙ブログもようやくこのびわ湖レポートからネタバレ解禁となります。
やってきました関西へ。

最初に少しだけ行きがけの話を・・・。
とにかく関東はですね、前日の19日まで異常なほどの猛暑が続いておりまして。
当日20日いきなり涼しくなったものですから、ロンTやら何やら万端準備して、新幹線で西へと向かったわけですが・・・。
まず降り立ったジュリーの故郷・京都
(註:出身地ではない、というMCが後に)は・・・おそろしく蒸し暑い!
さすが盆地ですねぇ・・・。

京都到着は、午後2時くらいでした。
雨が降ってたんですが・・・アーケード沿いにずずっと、土地勘のあるカミさんについて歩きまして、『新京極』というところにやってきました。
お目当ては遅いランチです。

0720stand

こちらが、ジュリー御用達(利用頻度は不明)の『京極スタンド』というお店です。
飲み屋と大衆食堂が合体したような感じのお店で、とてもアットホームな雰囲気。今回、3年ぶりに立ち寄ることにしました。

0720stand2

僕はエビフライ定食。カミさんは生姜焼き定食を注文。
ジュリーはここで何を食べたのかな・・・?

お店のテレビで
「滋賀県南部に大雨・洪水警報」
と出ていて焦りました。

JR線大津駅には午後4時頃に到着。
電車を降りると、早速黄色いリストバンドのお姉さんをお見かけしました。右手にしていらっしゃるかた、多いですよね。ジュリーが右手だからでしょうか。
僕はここまでずっと左手につけて参加しているけど、次は右にしてみようかな・・・。

心配していた雨も止み、僕等夫婦は荷物をコインロッカーに預け、びわ湖ホールまで歩いてみることに。
これがかなり遠いです。徒歩20分くらいですかね。

0720biwako


この、びわ湖沿いの道に辿り着くまでが長かった・・・。

0720biwako2


向こう岸はアメリカ?(by 研二少年)

これまで「結構歩いたなぁ」と感じたジュリーLIVEの参加会場・・・安城や八王子などよりも遠かったのではないでしょうか。
とにかく蒸し暑かった・・・。

開演前には多くの先輩方やJ友さんと再会。初日渋谷にもお会いした方、ずいぶん久しぶりの方・・・様々ですが、今回は関西遠征ということで、お久しぶりの方々との元気な再会はやはり嬉しいものです。
また、いつも楽しみに拝見しているジュリー・ブロガーさん・・・もじもじそわそわ様と渚☆様や、ジュリーだけでなく吉田Qさんの応援でネット交流のあったgaroooo様との光栄な「はじめまして」もありました。
みなさま、いつもありがとうございます!

ホールに入場し、席に着いて。
目の前にどど~ん!とステージがあって・・・始まるまではとにかく緊張して、とっても胸が痛かったです~。
位置としては、ほぼ泰輝さんのキーボードの正面。少し左にジュリーのマイクスタンド、少し右に柴山さんのギタースタンド。
「こりゃ、柴山さんのギターも見放題だなぁ・・・」と、その時は思っておりました。実際は、良い意味でそうはいかなかったんですけどね。詳しくは追々。

しかし・・・胸に手を当てビビリまくっているDYNAMITEの席まで多くのみなさんが代わる代わる、からかいに・・・もとい、激励に来てくださったので、入場してから開演までの時間については、結構あっという間でした。

ライトが落ち、ジュリーと鉄人バンドの影が入場してきます。
少し前にしょあ様が
「入場の時、一瞬ジュリーと泰輝さんの区別がつかなかった」
と仰っていて、「そんなわけあるかいな~。まぁ、ネタだろうな」とか思っていたのですが・・・。
何とこの至近距離、ドラムセットの後ろから帽子をかぶって颯爽と登場した影を僕はジュリーだとばかり思って「うお~~!」と盛り上がったのですが、その人影はササッとキーボードにスタンバイしてしまいましたとさ・・・。

気をとり直しまして。
ジュリーは鉄人バンドより少し遅れて、ゆったりと中央から姿を現しました。
ドラムスとキーボードの間の定位置に着き、「ふぅ!」と一発息を吐き、肩を軽やかに揺らしてから、ピタッと姿勢を正します。

開演!

1曲目「SPLEEN~六月の風にゆれて」

Panorama_2

ため息がでるほど・・・ジュリーの定位置が近い!
自分のこれまでのジュリーとの接近歴
(←乙女かっ!)を振り返ってみると・・・。
一番近かったのは間違いなく、今年のお正月、老虎ツアー・鹿児島宝山ホール公演での「ジャスティン」間奏。ステージ袖の花道に進出したジュリーと、30センチくらいまで近づきました。
次が、『PLEASURE PLEASURE』安城公演、「TOKIO」のエンディング。こちらも花道進出での数秒間限定接近でした。

今回・・・距離としては、その安城に次ぐ近さ。
ほんの数メートル先で、ジュリーが歌っているのです!

また、僕がこれまで体験してきたいわゆる「神席」は、いずれも端のブロックでした。ジュリーが定位置にいる時には結構距離があって、どちらかというと柴山さんが近くにいる!という感じだったのです。
ですから過去2回の「神席」(プレプレ大阪4列目とジュリワン八王子3列目)では、いきなり柴山さんを中心としたバンド演奏をガン見する、という状況に自分を持っていきました。

ところが今回は・・・ジュリーからまったく目が離せない!
オープニングが「SPLEEN」だったということも大きかったかもしれません。まずは泰輝さんのシンセのみの伴奏で歌われる曲、ジュリーの歌がまず前面にクローズアップされる曲ですからね。

白い肌がライトに照らされ光っています。青っぽい輝きのオーラのようなものが、ジュリーの両腕を包んでいるかのようにも見えます。
右手首の黄色いリストバンドも、照明のせいか光って見えるようです。

「そうさ、僕のほう♪」
で、うなずきながら歌う表情は、無防備なほど誰かに気持ちを預けているような・・・。
「太陽がふりそそぐ♪」
では、ステージ上空に太陽を仰ぎ見るように宙を見つめ、掌を上に向けた右手をゆっくりと胸の高さまで引き上げます。

とにかく、1曲目からいきなり歌の世界に没頭したジュリー。歌詞の一語一語に連動した細かい動きがたくさんあることが分かります。
「歌いたい曲を歌う」というのはこういうことなんだな、と思いました。

GRACE姉さん謎の4連打(リム・ショットかどうか見逃した)を合図にバンドがフルに噛んできた2番になって、ようやくチラリ、チラリとギター兄弟をチェック。
柴山さんはコーラスを効かせたアルペジオっぽい単音。これは、CD音源で言うとアコギのパートを再現しているようです。

で、巷には下山さんがこの曲で「5、6弦中心の低音バッキング」をしているという間違った渋谷レポを書いた愚か者もいるようですが(←僕です)、下山さんは正しくは、主に1~4弦のコード弾きでバッキングをしています。
例えば「G」のコード(「SPLEEN」の歌メロ最初の和音)は、3フレットひとさし指で1・2弦のセーハ、4フレット中指3弦、5フレット薬指4弦というフォームです。
何故渋谷初日で僕が勘違いをしたかというと、CD音源のエレキ・ギターのバッキングが5、6弦のプレイだと思われるからです。オリジナル音源を鬼のように聴き込んでいる、というのもいざLIVEでは弊害になることがあるのでしょうか。

ともあれ、今ツアーの「SPLEEN」。CDには無い音を下山さんが担っている、ということが確認できた本神席での1曲目でございました。

それにしても、ギター兄弟に目が行ったのもほんの一瞬だけです。
この、抗いがたいジュリーの吸引力は・・・なるほど「本神席」とは良く言ったものです。ジュリーファン至福の2時間が始まりました。

2曲目「そのキスが欲しい」

Reallyloveya

ツアーも回数を重ね、多くのお客さんがすでにスタンディングの呼吸を心得ているのか、それともそれは僕の勝手な思い込みか。とにかく1列目は、泰輝さんのピアノが噛むくらいの早いタイミングでスックと立ち上がりました。
会場は総立ちになっていたのかな・・・?何しろ後ろが見えませんものでね~。へっへっへ。

さてここで、今回の本神席がさらに他の面でも幸運に恵まれていた、ということをお話しておきましょう。
僕の右隣・・・僕はセンターブロック最右席ですから通路を挟むことになりますが、そちらに「ひょっとしたら僕より若いかな」という感じのお兄さんが座っていました。
後で先輩方に伺ったところ、そのお兄さんが来ていた赤いポロシャツはジュリー公式グッズのようで、かなり気合の入ったファンでいらしたようですが、僕はそんなことも知らなかったものですから、期待と不安を同時に持っていました。

というのは・・・まず、ジュリーLIVEでは男性ファンの絶対数が少ない中、いざ熱い男性ファンが隣同志になった時の双方の盛り上がりは凄まじいです。何か異常なくらいの相乗効果があります。
ところが隣の男性が特別熱いジュリーファンではなくて、シラ~とクールに着席したりしていると、ノリにくいことこの上ないでしょう。僕は幸いそんな経験はありませんが、一去年の千葉公演の最前列にそんな光景を見ましてね・・・。
あと、開演前にケンケンジ姉さんから
「大阪では最前列の男達がずっと座っててジュリーがやりにくそうやった。Dy兄、今日は頼むで~!」
とプレッシャーをかけられておりました。
そりゃ僕は立って暴れまくるけど、隣のお兄さんはどうなのかな・・・。そんなことを考えていました。

杞憂でございました。
2曲目「そのキスが欲しい」で、年齢はどうあれ、彼が僕などよりずっと格上の年季の入ったジュリーファンであることを確信しました。
Aメロ裏拍、サビ頭打ちの手拍子も完璧。しかもサビの頭打ち手拍子は完全にふりかぶっての頭上打ち!
これはイカン!必死でついていかねば!と思うのですが、何せ四十肩が癒えきれていないDYNAMITE。左手がまっすぐに上がりません。
せめても、と右手だけは突き上げましたが、ハタから見たらおかしなアクションになっていたでしょうね・・・。

ともあれ、今回の素晴らしいお席をノリノリの男性ファンと並んで体験できたことはとても良かった・・・本当に楽しかったです。
またいつかの機会に、どこかの会場でご一緒させて頂きたい・・・。

その隣のお兄さんもノリノリでやっていた
「激しく抱いてぃえぃえぃえぃえ~♪」
のトコの振付。

(後註:約1週間、「たぅあぅあぅあぅあ~♪」と間違って晒されておりました。ごめんなさい)
ジュリーは僕らの正面で立ち止まってやってくれたのですが、ヒラリヒラリと舞う右手の動き
(あれ?ジュリーは左手・・・かな?)に見とれると同時に、僕にしては本当に珍しく、衣裳に目が行きました。
水色に浮かぶ白い花刺繍が、あの上昇する右手に連動して次第にめくれあがっていくジャケットに、ひときわ目立ちます。

自分で自分に驚いたのは、間奏。
ずずい、と下山さんがせり出してきて、まぁ普段の僕ならその瞬間にサッと下山さんに目がいくところ。
しかし、歌の余韻を残し激しく首を縦に振るジュリーから目を離すことができなかった・・・!結局この曲での下山さんの勇姿は見逃してしまいました。
ただ、ギターソロの音はしっかり聴こえていました。初日の印象以上に、ディレイが深くかかっていましたね。

びわ湖ホールは、音響もとても良かったです。
お客さんのノリも最高でしたし、
ジュリーは今後しばらくこの会場を利用し続けるんじゃないかな・・・。

3曲目「
お嬢さんお手上げだ

Konndohakareina

やっぱり僕はいつも、注意力散漫なのでしょうかね。これまで気づけていなかったジュリーの細かい見せ場は、この曲にもたくさんあるようです。
普段どんなに遠い席でもオペラグラスを使わないから、色々と見落としもあるのでしょうが・・・今回ばかりはね!もう、すぐそこにジュリーがいるわけですからね!

とにかく、いつもなら「おっ、柴山さん今のフレーズは?」とか「下山さん、そこ敢えてローコード?」とかキョロキョロしっ放しのDYNAMITEが、強く意識しないと鉄人バンドの演奏に目が行かない、という状況に陥りました。
自分は何だかんだ言っても、誰よりもまずジュリーのファンとして特化しているんだなぁ、と再認識いたしました・・・。ハイ、今回は公演中のほとんどの時間を、ジュリーだけを見つめ倒して盛り上がってまいりました!

ということで、”本神席で初めて気づいた”シリーズ。
「お嬢さんお手上げだ」Bメロでのジュリーの、”足元で円を描くステップ&ダンス”です。
ちょっと浮かれる、ふざける、という照れ隠しにも近い阿久さん作詞作品特有の男心を表現する、ジュリーの華麗なステップ。
「この動き、前に観たことあるぞ・・・」と記憶を辿り、「あっ!」と思い出したのは、ジュリワン・ツアーの「
いつかの”熱視線ギャル”」での「ロッケンロ~、ミュ~ジック♪」のステップ。アレと結構近い感じですね。

サビ部、両手を軽く上げてゆらゆら左右に揺れるアクションが、どうやらファンの間にも浸透してきたようです。
かえすがえすも憎いのはこの四十肩。楽しげな振付をジュリーと一緒にできない悔しさを押し殺し、サビ部ではエア・ウッドブロックで参加
(←そんな奴はたぶん他にいない)してきました。いや、ラテンっぽいこのパーカッション・リズムが「お嬢さんお手上げだ」のサビの重要な装飾だと思っているんだけど、さすがにLIVEでそこまでは再現されていないのでせめて、と思いましてね・・・。
(と、ここまで書いて、このサビ部の振付はどうやら片手でヒラヒラ、だったらしいと知りました。そうでしたっけ・・・?右手だけなら余裕で上がるので次回渋谷では参加してみます~)

サビ部のジュリーも素敵ですが、僕はこの曲を初めて生で聴いたこともあり(音楽劇も観ていません)、イントロや間奏部での、ジュリーがポケットに両手を突っ込んだ状態でユッサユッサと横揺れするアクションが新鮮で楽しかったです。
こんなことを言って良いかどうか分かりませんけど・・・とてもカワイイと思ったのですよ。あの動きが。

泰輝さんのピアノ、みなさまやっぱり間奏になって初めて耳が行くと思いますが、Aメロでジュリーのヴォーカルを追いかけるような演奏が、かなり素晴らしいですよ!もちろん間奏もカッコイイですけど。

~MC~

「久しぶりのびわ湖です!」
で、大拍手。
この、地方限定のジュリーの優しく伸び伸びとした感じ、地元のお客さんの熱く暖かくそれを迎える感じは、渋谷などでは味わえない魅力ですね・・・。

「ありがとうございます。いっぱいのお客さんです!」

見上げれば、4階席までビッシリのお客さんが。まぁおそらく空席はあるのでしょうが、下から見上げる限り、これはほぼ満員と言って良いのでは。一般発売もなかなか「SOLD OUT」の文字が見られなかったので心配していましたが・・・どうやら集客も大成功のようです。

さらにこの熱気。
しかも、すごく上品な熱気なんです。びわ湖ホール。
ですから余計に・・・並みいる先輩方を差し置いて、若造がこんな席で参加することになり本当に申し訳ない・・・。

そんな先輩のお一人であらせられますケンケンジ姉さんが、「開演前に4階まで様子見に行ってみた」そうで・・・最上階はどうやらかなり垂直に近い構造になっていて、立つと足元が怖いくらいなんですって。
まぁ、普段開催されているオペラなどのお客さんはスタンディングでは観ないわけですから、敢えてそういう作りになっているのでしょうね。

ジュリーの、よく通る声での涼やかなMCは続きます。

「雨の中、蒸し暑い中を、よくぞこんな冷房の効いたところへおいでくださいました!(笑)
涼しいので、眠くなった方もいらっしゃるのではないでしょうか(笑)。そういう方は、遠慮なく寝て頂くというのもよろしいのではないかと思います。目が覚めましたら、また一緒に楽しんで下さい!」

この最初の短めのMCの時でも、渋谷初日と比べれば随分長めに喋ってくれたジュリーなのでした・・・。

4曲目「1989」

Boukyaku

下山さんのクールなアルペジオと、GRACE姉さんの轟くタム。
ショーの始まりを告げる最初の3曲が終わり、ここからいよいよ今ツアーの真髄、組曲っぽいセットリストが始まります。
「1989」「届かない花々」「涙色の空」の3曲は、そのまま新譜4曲の前奏組曲のような感じ。これは初日の後、momo様も仰っていたことです。

さて、一向にジュリーから目を逸らすことのできないでいる僕ですが、ちょうどジュリーを見ているとその後ろにドラムセットがあって、ふと気がつくと・・・。
GRACE姉さんはあの重厚なタムの連打を演奏しながら、右足のキックとは別に、左足で正確なハイハットの刻みを入れているんですね!
プロのドラマーにとっては何ということのない動作なのかもしれませんが、見てるだけで足が攣りそうだ・・・。素人にはとても無理です。

そして、この曲の間奏では柴山さんの見せ場がある・・・こんな席なんだからしっかり見なきゃダメだ!と奮い立ち、何とか一時ジュリーの吸引力から逃れようと頑張って「おおりゃ!」と気合を入れて、間奏・・・この日初めてハッキリ右方面を見上げると。

ち、近い!
この曲の柴山さん、こんなに前方にせり出してましたっけ・・・?

どちらかと言うと、ステージ奥からちょっと歩を進めたあたりで真赤に染まっている、というイメージでいたのですが。まず、照明の効果からしてよく分かりません、本神席。
本当に目の前で弾きまくる柴山さん。ギタリストとしては決して長くはない指(とは言え、世界に名だたるギタリストには、指の短い人がたくさんいるのも事実)が、ササッ、とハイ・ポジションのフレットをすべり抜けます。
「1989」での柴山さんの間奏は、常にジャストでバシッ!とセーハ(1本の指で複数の弦を押さえる)するスタイルなのですね。

ギターのボディーは下山さんと比べるとかなり高く、胸に近い位置で構えています。ボディーの下に、光沢のあるシルバーグレイのスーツが見え隠れします。
数日前にカミさんが「カズさん、いっつもピタピタのパンツはいてるよねぇ」と言っていましたが、なるほどピタピタだ・・・。

ギターのフレットから少し上を見上げるますと。
おおっ、これは激しい!
「くあぁぁっ!」とやってる瞬間を見てしまいました。
それにしても今の柴山さん、顔の面積の半分くらいが髪の毛になっていますね・・・。

この日はジュリーも何度となく目の前に来てくれましたが、接近度で言うとジュリーよりも「1989」「ラジカル・ヒストリー」「マンジャーレ~」の3曲での柴山さんの方が近かったです。
セットリスト後半には笑顔連発の柴山さんでしたが、この曲の時はまだハードにキメていましたね~。

ジュリーのヴォーカルも凄かった・・・。
「プ、ラ、イ、ド♪」
と一句一句区切るように歌う時に頭を激しく振ったり、次の
「さぁ~♪」
では腕を胸の横あたりまでスッ、と引き上げたり。
動作ひとつひとつが歌詞に連動して、メチャクチャにカッコイイです。

あと、泰輝さんはベース音を弾いていました。ご本人の宣言通りに頑張ってます、泰輝さんの左手。

5曲目「届かない花々

Croquemadame

ステージと至近距離・・・唯一の不安は音響でしたが、その点びわ湖ホールは素晴らしかった!
「届かない花々」は、LIVE演奏がイントロからCD音源とはまったく違うイメージを持つ数少ないジュリーナンバーのひとつ。
CDでは”ゴースト”なスネア・ドラムとベースのアンサンブルがロン・セクスミスの「THESE DAYS」を思わせるちょっとした変化球。それがLIVEになると、真っ向勝負のストレートになる、という。
まずは下山さんのアコギの響きが心地よく胸に染み入ってきます。

そうそう、初日渋谷のレポで
「下山さんのアコギの見せ場は2番と3番の間の独奏部」
などと間違って解説した愚か者がいるようですが(僕です②)、正しくは1番と2番の間、でございます。

バンドの音はス~ッと耳に入ってくるけれど、この曲で僕の視線はジュリーから一時も離れることはありませんでした。
「魂」のフレーズで右の拳を握って左胸に当てるジュリー。その堂々たる体躯よ・・・。
いや、おかしな意味ではありません。
現に、アンコール前のジュリーは体型ネタで爆笑を誘っていたけれど、最前列から見て僕はジュリーを「太っている」などとは一度も思いませんでした。

とにかく地にしっかり足がついている。
堂々と歌っている。
視線がガッチリと決まっている。
この「届かない花々」や「涙色の空」、「我が窮状」といった曲では特にそう感じました。

サビ部では、ゆっくりと歩を進めてステージ左右端のお客さんの前で立ち止まって歌ってくれたジュリーに、何か言いようのない感動を覚えました。
おかしな話ですが、僕の位置からだと遠くなる下手側で歌っている時の姿の方が、この曲では強く印象に残っています。
真横に近い斜め角度から見るジュリーの背筋、足の揃え方、前髪の傾き方などは、本当に神々しいほどでした・・・。

6曲目「涙色の空

Namidairo


ジュリーはびわ湖でも(初日以上に)、何曲かの演奏が終わった後で「鉄人バンド~!」と叫んでいました。
もちろんこの「涙色の空」でも。
生で聴く度に、ジュリーと鉄人バンドのバランスの美しさ、そのあるがままの形を究極に突きつめた名曲だと改めて感じます。
ソロツアーとしては3回連続でセットリスト入りを果たしたことからも、やはりジュリーにとっては特別な曲であると共に、自信作でもあるのでしょうね。

歌の出だし直前にジュリーは息を大きく吸うのですが、気負っている感じはまったく無くて・・・ビシ~ッ!と抜けるようなヴォーカルが、本当に自然に、何の無理も装飾も無く届く・・・本来”バラード”とはそうあるべきなのかも。
これは究極のジュリー・バラードですね。
びわ湖では、1番「愛をつらぬいて」の部分を、2番の歌詞「愛を真っ直ぐに♪」と先んじて歌ってしまいましたが、気づかないお客さんも多かったのではないか、と思えるくらい自然に歌声がス~ッと耳に入って、そして過ぎていきました。

「1989」や「届かない花々」ではジュリーにステージでの横の動きがあり、その分お客さんの視線もあちらこちらを彷徨う感じ。しかし「涙色の空」では、じっと息を飲み、ただただジュリーの立ち姿に見入るのみ。
もちろん僕も今回ばかりはそうしています。まったく目が離せないのです。

最後にキーが半音上がるダメ押しの転調部だけ、チラッと下山さんを見ました。
この曲のAメロはト短調というキーの関係上、すべてのコードをハイ・ポジションで押さえなければなりません。ト長調に近親移調するサビ部でも、ルート音が2拍ずつ音階を下げていく、という細かい表現が必要。
アコースティック・ギターはエレキと比べて握力が要りますから、毎回下山さんはこの曲で、首を大きく振りながらの熱演ですよね。
そんな中でも一番ガシッ!と握力を使う箇所は、「もろとも~♪」の部分です。ここが最後のダメ押し転調部。
普段は基本、前のめりになって弾く感じの下山さんですが、この部分だけは「えいやっ!」と背中を反らせて弾いていました。

7曲目「3月8日の雲

38


え~と、度々。
初日渋谷のレポで、「GRACE姉さんのカウントが速かった」などと間違ったことを書いている愚か者がいるようですが(僕です③)、この曲にGRACE姉さんのカウントはございません。
鋭いフィル・インから演奏が始まります。
しかし・・・よくあの短いフィルだけで瞬時に最初の小節の頭を合わせられるな~、下山さん。

テンポは・・・う~ん、やっぱりCDと比べると速いような気がするけど、僕の思い過ごしかもしれない。初日に「速っ!」と少しの違和感を感じたことは確かですが、びわ湖ではそんな感覚は全然無かったです。

今ツアー、下山さんのアコギは本当にカッコイイです。
例えば、CD音源だとジュリーの歌メロが始まってからは「D7+9」の部分をコード弾きでジャカジャカやってるんですけど、LIVEではイントロと同じオブリガートを時折挟み込んだりしています。特に1番の最初の方なんて、ほとんどアコギ1本で伴奏をつけてるようなものですから、なおさら凄い・・・。

「誰かの、想像♪」から噛む泰輝さんのオルガンがまた・・・カッコ良過ぎる!
CDでは気づかなかった「切れ味」にヤラれました。オルガンの音なのに、打楽器のような鋭さ・・・シャキン!とブッた斬るようなタッチが素晴らしいです。

で、そんな泰輝さんの方をチラッと見ていたら、この時点ではまだ出番のない柴山さんの姿が目に飛び込んできました。キーボードの前から本来の柴山さんの立ち位置の間を、ひっきりなしに細かい足取りで歩き回っているのです。
その身体は、小刻みに縦に動いています。
「なるほど~」と思いました。「3月8日の雲」の柴山さんのパートの肝は、16分音符のカッティング。オルガン・ソロ直前の出番を待つ間も、16分音符の細かいリズムに身体を慣らしておかなければならないのですね。
きっと柴山さんは出番を待つ間
「ちゅくちゅくちゅくちゅく・・・」
と、絶えず頭の中で繰り返しているのではないでしょうか。それが身体の動きにも表れているのだと思います。

びわ湖でのこの曲のジュリーのヴォーカルは、ちょうどGRACE姉さんの”鬼姫ロール”が炸裂するブレイク部がとんでもないド迫力。
あと、初日もそうでしたが、「かしこい人はいい♪」と歌われる箇所・・・自分が言われているようで胸にきつく刺さります。いえ、決して僕が「賢い」という意味ではなくて、これは楽曲考察記事にも少し書いたことなのですが、この「かしこい人」というフレーズには、”震災の当事者ではない人””遠いところで言葉を弄している人”という意味合いが感じられるのです・・・。

ブレイク部の凄まじいジュリーのヴォーカルの奥で、ふと気づくと泰輝さんが険しい表情でコーラスをとっていました。
今回の新譜の収録曲のタイトル、クレジットが明らかになった時、ジュリーファンの多くは泰輝さん作曲の「3月8日の雲」を、バラードと予想したと思います。僕もそうでした。しかし予想は外れました。
ジュリーから「Pray for East Japan」のテーマを受けた泰輝さんが作ったのは、怒りと悲しみ、苛立ち、やるせなさ、無力感・・・そんなギリギリの感情が沸き出てくるような、ハードな楽曲だったのです。
ジュリーの歌詞が載って、改めて泰輝さんの胸に去来したものとは・・・。そんなことを考えさせられた、渾身のコーラスでした。

エンディングで、バンドの演奏がビタッ!と終わるタイミングに合わせ、キッと瞳を開いて首をやや上向きに、仁王立ちのジュリー。
険しい表情も・・・カッコイイです。

8曲目「恨まないよ

38_2


またしても、です。
初日渋谷のレポで、この曲の出だしの前に下山さんが、「じゃ~ん♪」と歌メロのガイド・コードを鳴らした、と間違ったことを書いた愚か者がいるようですが(僕です④)、びわ湖で確認したところ、それは柴山さんの役目でした。
おっかし~な・・・。初日は確かに下山さんだったと記憶していたのですが・・・。

しかし、この曲のジュリーのヴォーカルは凄い。本当に凄い。CDの何倍も凄い。
CDで聴いた時も凄いとは思ったけれど、LIVEのそれとは比較にならない・・・それくらい凄いです。

僕がジュリーに惹かれる点のひとつに、”むき出しに自分を晒す、カッコをつけないカッコ良さ”というのがあります。
元来、ロックとはそういうものだと思っています。様式美などもってのほか・・・自分がどうすれば綺麗に見られるか、などというところからはかけ離れた魅力がなくてはならない・・・特にヴォーカリストは。
まぁジュリーの場合は実際綺麗だったから、その辺の話がややこしくもなるんですけどね。

とにかくロック・ヴォーカルとは・・・顔を歪め、歌に没頭し、ただ無心で声を出す。その志こそが真髄。

ことに、「恨まないよ」を含めた今回の新譜4曲はいずれも、そうしなければ成り立たない、という楽曲です。カッコをつけて歌おうなどとしたら、聴く側に受け入れられない・・・そんな曲だと思います。
その点、ジュリーの素晴らしさを何と表現すればよいのか・・・。

例えば。
びわ湖の「恨まないよ」の最初のサビ部2回し目・・・「きっと、きっと♪」のところで、最前列の僕からは、噴き出たジュリーの唾が2つの飛沫となって宙を舞い、ステージにゆっくりと落ちていくシーンがハッキリ見えました。
そのうちのひとつは透明なひとしずくの塊となって、ジュリーの靴先でライトを浴び、しばらくの間その存在を示していました。

これがジュリーだ。
だからジュリーはカッコイイのだ、と思いました。

だって、「恨まないよ」ってそういう曲でしょう・・・?
本当に絶望した時・・・”世界が終わるのを見た”というほどの人がその時に見せる顔とは、表情とは、取り繕った端正なものであるはずがない。唾を撒き散らしながら嘆き、吠え、訴えるでしょう。
僕などにはとても想像できないような、そんな状況・・・それが、ジュリーのヴォーカルからは言葉を超えて伝わってくるような気がします。

この曲のエンディングは、前曲「3月8日の雲」以上の唐突さを持って訪れます。
ブツッ!と糸が途切れるようなエンディング。その瞬間が近づく過程・・・バンドの音量が徐々に上がっていくのに呼応するかのように、ジュリーを照らすライトがゆっくりと焦点を絞っていきます。
まず足元が暗くなり、下半身が闇に消え・・・。
最後の1音と同時に、突如ジュリーの姿は完全にかき消え、すべてが暗転。
この照明の演出は、最前列でもしっかり確認することができました。近かったぶん、ゾクリ、としましたね・・・。

9曲目「
F.A.P.P

38

今ツアーでの新譜4曲について、初日は「恨まないよ」以外の3曲のテンポに若干の違和感がありました。
しかしびわ湖ではそれがまったく無くて。中でも一番違って聴こえたのはこの「F.
A.P.P」でしたね。初日は柴山さんの単音がちょっと忙しそうに聴こえたんですよ・・・。

最前列の僕には後ろが見えません。ですからびわ湖のお客さんがどんな感じでこの曲を聴いているのか分かりません。
僕はこの曲の演奏中ずっと、ひょっとしたら一人きりなのかもしれない・・・裏拍の手拍子をしていました。そして、声は出さなかったけれど、口を動かしてジュリーと一緒に歌いました。
驚いたことに、まったくつっかかえることなく、歌詞が口から出てきます。
でも、そりゃあそうだ、と思い返しました。僕は今年の3月、何度繰り返してこの曲を聴いたことか。ジュリーがこの詞のフレーズひとつひとつにどんな思いを込めて作ったか、どれほど真剣に考えたことか・・・。
後にも先にも、あんなに必死になって記事を書いたのは、初めてのことでした。あれだけ集中して何度も吟味すれば、歌詞すべてが頭に叩き込まれ、忘れられないでいるのは自然なことかもしれません。

自分が正しい見解に至ったとか、詞の意味を完全に理解したとか、そんなふうには思っていませんが、ちょっと一段別の境地には辿り着けたと思っています。
テーマがテーマですし、他の事情も絡んで、詞の考察をするのには大変なエネルギーを使いました。でもそこまでして初めて味わえる良さがこの曲には確かにあります。
突き抜けた愛情を持てるようになった、というのか・・・。
そうすると、何のてらいもなくこの詞を口にすることができます。何の疑問も持たず、この複雑に入り組みながらも隙なくポップに計算され纏め上げられた、珠玉の柴山さんの作曲、メロディ-、コード進行に身を委ねることができます。

ちょうどジュリーが僕の位置から離れて下手側に歩いていった2番のサビ部、手拍子をしながら歌っていたら、ふと泰輝さんと目が合いました。と、その瞬間ジュリーの視線も感じました。
勘違いかもしれませんが、その時には「もっと近くで見られたいなぁ」なんて贅沢を思ったものでした。

「F.
A.P.P」でのジュリーは、「届かない花々」と同じように左右のステージ端まで出張してくれますが、足どりが速く、ひとつところに留まっている時間も短いです。
びわ湖では、「終息してない」という部分で歌詞に詰まりましたがすぐに思い出して、早口で切り抜けました。そのわずかな「あっ!」という瞬間・・・ほんの数秒の、天井を見上げながら口を空で動かして言葉を探し求める様子がまた、何故かとてもしなやかに見えました。
身体の動きのある曲で歌詞を忘れている時の、ジュリーの「あっ」という感じで上を向く仕草って、カッコイイんですね・・・。
(この後セットリスト後半で、あと2回ほどそんな状況を体感することになるのです~)

10曲目「
カガヤケイノチ

38

この曲はオープン・ハイハットを絡めたフィル・インで始まります。テンポの問題もあって、「3月8日の雲」以上に頭出しが難しそうに感じますが、鉄人バンドの技量であれば余裕、なのでしょうか。

「逃げるのに必死だった」・・・。
この、聴く人が聴けば辛い記憶を呼び起こされ心を閉ざしてしまいそうなAメロ冒頭の歌詞が、奇跡のように涼やかなメロディーに載っていることに改めて感動を覚えました。
「maj7」のニュアンスを加味した下山さんの作曲は、やはり今回の新譜のフィナーレを飾るにふさわしいですし、ジュリーが載せた詞もまた、アルバムのコンセプトを最後に統括するにふさわしいと思います。

Mr.K様がコメントに書いてくださったように、僕もこの「カガヤケイノチ」はこの先のソロLIVEで続けて歌われていくかもなぁ・・・と考えました。
しかし今はまだ、今回の新譜収録の4曲をそれぞれ1曲の独立した楽曲として別々にLIVEで聴く、という状態が想像できません。
ツアーが終われば、そういう感覚からも解き放たれるのかな・・・。CDは絶対に通して聴きたい、ということにはずっと変わりないとは思っていますが。

Aメロの歌いだしの時点で、既にオクターブ上の高音から始まっているジュリーのヴォーカル。
そのせいでしょうか、ジュリーはやや上を向いた状態で歌い続け、「ぬくもりをあげたい♪」の箇所で初めて顎を引き、うなずくような仕草を見せてくれます。この時の表情は、優しさに満ちています。

曲が進み、2番のサビ。
CDで最初に聴いた時からそう感じていたのですが、ちょうどここでGRACE姉さんのドラムスがスネアのロールに切り替わり、そのためちょっと全体の音圧が下がるような感覚があるのです。スッと伴奏が退いて、ジュリーのヴォーカルだけがそのままの音量で残る、みたいな感覚。

で、LIVEでは・・・おそらくそんなアレンジを踏まえてのことでしょう。2番サビ部突入と同時に、下山さんが大きなモーションでストラップを外し、ゆっりとギターをチェンジするのです。
初日はその瞬間を覚えていなくて、間奏のリード・ギター直前で持ち替えたんだっけ・・・と考えていましたが、なるほど全体のアレンジの印象もしっかり考えてのタイミングでアコギの音を退かせていたんですね・・・。
もちろんそれはCDとは違った編成になっていますが、アレンジ効果はそのまま変わっていません。凄いことだと思います。

その間奏から、「音楽」の最も基本であるキー・・・ハ長調へと収束する「カガヤケイノチ」。
最後のサビではそれに合わせて・・・でしょう、歌詞もシンプルな形となり、ジュリーは「みんな、歌って」とばかりに右手を動かし、ステージの橋から端へと歩いてくれます。
僕は歌いました。左隣のお姉さん達が歌っているのも分かりました。会場全体のお客さんの声は聴き取りにくい席でしたから何とも言えないけれど、雰囲気は「みんなで歌っている」という感覚を味わえたなぁ・・・。

ジュリーの指揮は、「3拍子のタクトを振っている」と言うよりは、「トライアングルの絵を描いている」感じですね~。
角角きっちり!みたいな。
男らしいジュリーの筆跡を思い出し、指揮のゼスチャーもそれに似ているな・・・と考えながら見ていました。

~休憩~

LIVE同様、ここで少しだけまったりさせて頂きます。
公演後の連休にDYNAMITEが訪れた場所をご紹介~。

今回は、カミさんの実家に帰省がてらのびわ湖ホール参加。年一回の帰省を、と心がけておりますので、もし来年以降もジュリーのびわ湖ホール公演があれば、毎年それに合わせて、という恒例行事化の可能性もありますね・・・。
公演日には有給休暇をとり、続く土日はずっと、カミさんのご両親と4人で琵琶湖近辺をあちこち訪れ、ゆるゆると過ごしました。

21日の昼食は、クラブ・ハリエ(関西では有名らしいですね)系列のパン工房、『ジュブリルタン』さんへ。


0721taneya

琵琶湖沿いのお店で、すぐ近くに『鳥人間コンテスト』の開催場があります。
『ジュブリルタン』はフランス語で”ジュ・ブリ・ル・タン”(「ブリ」の部分の綴り忘れた・・・。最後の”le temp”ってのは大学の授業で何度も目にした記憶があれど、単語の意味はすっかり忘れていました泣)。ウエイターさんに尋ねたところ、「時間を忘れる」という意味なんだそうです。


0721taneya2

夏野菜のラタトゥイユ。

0721taneya3

バスケット山盛りのパン(おかわり自由!)と、サラダ。
右下のお皿にある黄色いのは、ジュリーファンなら思わず反応!のオリーブ・オイルでございます。

この他に、牛肉のトマトスープ煮込みもついた格安で美味しいランチでした。オススメです!

お腹がいっぱいになったところで、ほどない距離にある彦根城散策へ。

0721hikone

小じんまりとしている分、天守閣内部にも簡単に登れます。まぁ、本丸に辿り着くまでに結構急な坂道を歩くので汗ダクにはなりましたが・・・。

(クロネコヤマトのお兄さんが、大量の荷物を身体に縛り付けて登っていました。御苦労さまです)

0721hikone2

天守閣から見下ろす彦根の街並みと琵琶湖。

0721hikone4

ご存知、ゆるキャラの帝王・ひこにゃん。
この日は雨の心配があり室内でのパフォーマンスでしたが、恐るべし大人気。写真だと伝わり辛いですが、実際に見ると動きがマジでカワイイです。

0721hikone5

ゆるキャラの真髄を堪能。中に入っているのは修行中の女優さんのタマゴなんだとか。蒸し暑い中大変ですね・・・。

さらに夕方には、安土城跡周辺を散策。

0721aduti

翌22日の日曜日の朝には、琵琶湖がちょうど蓮の花シーズンを迎えようとしているということで、カミさんご両親オススメのスポットへ。


07221

本格的なシーズンにはまだ少し早いようですが・・・。

07222

これほどの群生は初めて見たので感動です。

07223_2

8月にはピンク一色になるのかな・・・。

ということで、そろそろセットリスト後半のレポに戻りたいと思います。

そうそう、当日の休憩中、左隣のお二人連れのお姉さまが話しかけてくださいました。男性が一人で観ているのが珍しかったのでしょうか。
「ジュリーはやっぱり凄いですか?」
とか
「いつからジュリーファンですか?」
と、尋ねてくださいまして・・・。
もちろん、「ジュリーは凄いです!」「ドーム堕ちです!」とお答えしましたよ!

それでは後半、開演です~。

11曲目「約束の地」

Beautifulworld


さて、休憩については賛否様々な意見をそれぞれのジュリーファンのみなさまがお持ちかと思いますが、前半ずっと着席のまま休憩へと移行した『BALLAD AND ROCK'N ROLL』の時と違い、今ツアーでは前半「そのキスが欲しい」からの第一のスタンディング・コーナーがあり、休憩を挟んで再び静かな楽曲からスタート、という構成。
セットリストの流れとして良い効果があったのでは、と個人的には考えています。
メリハリがあるし、ちょっと落ち着いたところでいきなり後半いきなりスタンディング、となるよりはむしろ引き締まっていたのではないでしょうか。

『BALLAD AND ROCK'N ROLL』では、お客さんが後半2曲目の「エメラルド・アイズ」で「もう辛抱たまらん!」とばかりに立ち上がった、という感じだったのに対し、今回はジュリー自身が「こことここでお客さんに立ってもらえれば・・・」と考えての構成のようにも思います。

これで、休憩1曲目に鉄人バンドのインストが復活してくれれば完璧なんですけどね・・・。

とにかく、後半1曲目が「約束の地」というのは素晴らしい!

僕は『ジュリー祭り』『奇跡元年』とこの曲を生で観ていますが・・・おそらくジュリーファンとしての少しばかりの成長によるものなのでしょうか、今回はセットリスト中で特に感動する1曲となりました。ツアー終了後の”セットリストを振り返る”コーナーでも是非採り上げたいナンバーです。
執筆日がちょうど『ジュリー祭り』記念日に合わせられそうな感じなので、現時点ではその日の執筆を目標にしています。
今はまだ、生であと数回この曲が聴けるという歓びに浸っていたい・・・。

人を愛する理由を「覚えてるから」とする、壮大なスケール。
これは覚和歌子さんの作詞ですが、後のジュリーの作詞作品「護られてるI Love You」での「大きな時間」というフレーズに繋がったテーマなのではないかと僕は個人的に解釈しています。

「ほどかれていく記憶♪」
と歌う時のジュリーには、近くで観ると本当に後光が射しているかのようでしたよ!
(おそらくライティングがそんな感じになっているのでしょう。8月渋谷が2階席での参加ですので、確認してきたいと思っています)

「林檎の種をまくだろう♪」
では、胸のあたりまで引き寄せた右手の親指、ひとさし指、中指の3本でパラパラと種をまくようなゼスチャーをしてくれたジュリー。
大地創造すら思わせるジュリーの立ち姿と歌声。大阪に参加された先輩が「約束の地」のジュリーが如来様のようだった、と仰っていたのも大いに納得、共感いたしました。

そして・・・この曲のLIVEは、何と言ってもエンディングです。
不勉強な僕は、この時のジュリーの一連の両腕の動きが、大きく2つの表現に分かれていることにびわ湖で初めて気がつきました。
まずは、永遠の時間世界そのものを表すかのように。
その後で改めて再び大きく腕を広げてから、今度は自らの祈りを捧げて終わるのですね・・・。
「楽曲が終わるまでのひとつひとつの呼吸までもがLIVEでのジュリーの表現」
なのだと、僕は一昨年の『秋の大運動会~涙色の空』で学びました。お隣の席にいらしたちこ様が、すべてのジュリーの表現を曲の最後の一音まで見届けてから拍手を送っていらっしゃるのに気がつき、そのおかげで開眼できたことです。

今ツアーでは、この「約束の地」がその最たる楽曲例かと思います。

エンディングで、鉄人バンドの素晴らしいコーラス・ワークに包まれ渾身の表現をするジュリーを間近で観られて、本当に至福の時間でした。

12曲目「君をのせて

Acollection


今回のセットリストは、大きく6つに分けられると思います。

まずは「SPLEEN~六月の風にゆれて」から「お嬢さんお手上げだ」までの、ロック・ショーの幕開けを告げるきらびやかな3曲。

続いて、ジュリーの”歌いたい歌”・・・そのセットリストのコンセプトを象徴し、新譜4曲への導入部とも感じられる「1989」から「涙色の空」までの3曲。

ツアー・タイトルでもある、すべての被災地へのジュリーの祈りを込めた、”組曲”とも言うべき新譜4曲。

そして休憩明け・・・「約束の地」から「時の過ぎゆくままに」までの、珠玉のバラード4曲。
これがショーの第4幕です。僕はこの第4幕のバラード群を”憑き物落とし”の4曲だと考えています。

”憑き物落とし”とはちょっと誤解を招きそうな表現なのですが、ちょっと説明いたしますと・・・。
これは京極夏彦さんの小説、『京極堂』シリーズで重要な役割を持つフレーズです。

『京極堂』シリーズ・・・憑き物が落ちる=事件解決、という図式の超絶ミステリー小説。
相当に売れているシリーズですから、読んだことがある方も多いでしょう。実際、3年前の大宮公演での打ち上げでは何故かその話題が出て
「京極堂を演ずることができるのは、世にジュリーただ一人!」
と主張する女性陣お二人の剣幕に、圧倒されたものです。
一応僕は
「ジュリーは榎木津、京極堂は沖雅也でどうだろう」
などと持論を展開し食い下がりましたが、却下されました(読んでない方、ワケ分からなくてすみません・・・)。
ちなみに僕がブログのサイドバーに表示している、過去記事地図のリンク・ブログのタイトル『伝授の檻』は、京極堂シリーズの4作目『鉄鼠の檻』をもじったものです。

このシリーズでは、人が抱えている鬱蒼たる思いや辛い記憶を、主人公が「憑き物(=妖怪)を落とす」ことできれいに祓います。
僕は「約束の地」から「時の過ぎゆくままに」までの4曲に、そんな雰囲気を感じるのです。新譜4曲の重さ(良い意味で、ですが)に共鳴したお客さんの悲しみを、ジュリーがゆっくりと祓ってくれているような・・・。

特に「君をのせて」です。
間近で歌うジュリーのヴォーカルに身を委ね、その表情に見入って確信しました。これはもう、根っからの「歌」だ・・・それ以上でもそれ以下でもなく、比するものなく、純粋に「歌」なのだと。

何の不純物も混ざっていない、「歌」。
この曲がジュリーのソロ・デビュー・シングルだったことの奇跡を感じます。ヒットはしなかったかもしれないけれど、これこそが永遠に輪廻する「歌」というものではないでしょうか。

そんな歌を歌う、運命に選ばれしアーティストが、ジュリー。
歌い終わって優雅にお辞儀するジュリーに”最初に選ばれし者”の至福を感じるのは、僕だけでしょうか・・・。

13曲目「我が窮状」

Rocknrollmarch


ゆったりと着席して聴く「君をのせて」で、何かが祓われたように思い・・・そこで続くのが「我が窮状」。

ジュリーのヴォーカルに、何の迷いもためらいもありませんね。
ピアノ1本と、鉄人バンドのコーラス。その究極に突き詰めた伴奏に身を委ねるジュリー。

僕はこの曲の「老いたるは無力を気骨に変えて♪」という箇所がとても好きです。大野さんのメロディーにもきれいに載っていますし、人間・ジュリーを受け止めることのできる歌詞。
ジュリーがとても近くに感じられる・・・「君をのせて」とは違うベクトルとは言え、これもまた純粋な「歌」なのでしょう。

大野さんの作曲は本当に素晴らしくて、3番サビ部のラストだけ1番、2番のメロディーとは違うというのも、まるでこの曲がピアノ1本で表現される宿命を最初から見越していたような完成度だと思います。
(厳密に言うと、1番と2番も違います。メロディーこそ同じですが、1番では「ド・ミ・ソ」の和音(=「C」)に着地し、2番では「ラ・ド・ミ」の和音(=「Am」)に着地しているのです)

3番のその部分・・・。
「許しあい、信じよう♪」と歌うジュリーの、優しくも力強く、それでいてまったく無理のないヴォーカルに、またひとつ憑き物が落ちたような気がした、びわ湖の「我が窮状」でした。

14曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka


記述が前後しますが、この日のMCではテレビのあり方についても長々と語ってくれたジュリー。

「飲み屋に行くと・・・仲良くなってるわけでもないんだけど、顔なじみになってるから店のオヤジさんが『沢田さん、最近テレビに出ないね。やっぱりテレビには出た方がイイんじゃないかな~」』と言ってくる。
やましわい!(笑)
ワタシにはワタシのやり方があるんですよ。そんな、求められてもいないのにテレビに出てってどうするの?テレビに出なくても、充分やっていけるんです!」

いや・・・ファンとしては充分求められているように思っているわけですが、まぁそんなところから始まったテレビ談義。
その爆笑の内容についてはまた後ほどのMCの項で書かせて頂くとして、その中の話題から先にひとつだけ。

「ほら、よくやってるでしょ?後世に残したい名曲特集とかなんとか・・・。まぁワタシの曲もその中にはいくつか入っているわけですが・・・」

と。
テレビ関係での映像使用の打診には「どうぞどうぞ」と答えている、という話もありました。
まぎれもなく、その中の1曲が「時の過ぎゆくままに」。
実際びわ湖でも、イントロが始まると同時に「わあ~っ」というお客さんの声が会場に充満していましたからね・・・。

これは内容としては、とても悲しい歌なんですよね。
しかしジュリーの歌声にはそれ以上の豊かな感情があります。それは「世間に知られる名曲の宿命」とも言うべきものかもしれません。様々な人が様々なシチュエーションでこの大名曲に寄せている思いがあり、それを心得ているジュリーは、ひたすら無となり、「歌」だけに入りこみます。

想像すらできないことですが、もしこの曲を歌いヒットさせていたのが別の歌手だったら・・・リリースから数十年経って、ジュリーのような歌い方ができるのかなぁ、とふと考えるのです。
サビの「時の過ぎゆくままに♪」の「まま~に~」にヤケに力が入って、酔うような身体の動きで歌っている、誰ともつかぬ姿が目に浮かんでしまいます。
(この部分の「G→B7」という進行は、世界共通の泣かせ進行ですからね。同じ進行の有名曲は日本にも数えきれないほどありますけど、「ここ、イイとこだからしっかり聴いて!」とばかりに、大げさに歌う歌手が本当に多いのです。それはそれでパワーがあり好む人もいらっしゃるかと思いますが、僕の好みとは違います)

でもジュリーは、淡々と自然な感じで歌います。
その代わり、「いやだと泣いた♪」や、「指輪を見つめ♪」「ため息ついた♪」などの箇所で、小さな動きや僅かな感情を差し込んでいるように見えました。
いずれも、人の仕草が描かれている歌詞部なのです。このあたりが、ジュリーの「歌」に対する姿勢を象徴しているのではないでしょうか。こういうのもまた、「邪気が無い」ということなんじゃないかなぁ。

僕は今ツアーでの「時の過ぎゆくままに」を聴いて、初日に続き、今はジュリーから離れてしまった先輩を思い出しました。
今度のソロIVEで聴きたい、と仰っていた曲でした。
この、何もかもが祓われていくようなジュリーの歌声を、生で聴いて頂きたかったです・・・。

この曲が終わると、胸の中にあった暗いものがすっかり真っ白になっていて、「さぁ!」という気持ちになります。
つくづく完璧なセットリスト。この後に始まる第5幕は、「これぞジュリー!」という真夏のロック・ショー・・・ファンにとってはここからがいよいよハジけまくりのコーナーとなりますね。
隣のお兄さんの盛り上がりにも大いに期待しつつ、拍手をしながらも僕はすでに中腰です!

15曲目「ラジカル・ヒストリー」

Dairokkan


初日の時点では、ここから特に何のアクションも無く怒涛の第5幕突入となっていましたが、みなさまのお話によると、その後の会場ではこのタイミングでジュリーの煽りが炸裂!と聞きましたので・・・びわ湖ではそれも楽しみにしていました。

ジュリーが煽りを入れるようになったのは、おそらく初日のお客さんの反応に起因するところが・・・。
「この曲なんだったっけ?立つような曲だっけ?」
といった感じのとまどいの雰囲気があったのです。会場一斉に揃ってすかさずスタンディング、とはいきませんでした。
イントロからおいっちに体操を繰り出すナンバーでその状況だと、やっぱりジュリーとしても違和感があったのでしょうね。「立っていくぞ!」の景気づけでお客さんをリードしたくなったのだと思います。

にしても、その煽りというのがまた・・・。
チラホラと噂は聞いておりましたが、びわ湖でも

「さぁ~!!ここから盛り上がっていく・・・かな~?

思いっきり拳を突き上げて「盛り上がっていくぞ~!」とシャウトすると思ったら、最後は「かな~?」で軽く膝を折って愉快な斜め立ちに。
そして首をかしげるポーズ。
あの・・・なんだかとてもカワイイんですけど、ジュリー。

ただ、チーム最前列は「かな~?」より先にウォ~!と立ち上がっておりました。
本神席ともなると、やはりみなさまのおいっちに体操も激しいです。ついていきたい不肖・DYNAMITEですが、1番の時点では左肩の不安でとりあえず腕の上げ下げは軽め。その分ピョンピョン飛んでみました。

気のせいではないと思うのですが、Aメロ1回し目で、下手側に出張していたジュリーが遠くからこちらをチラリと見ました。
「ぐあ!」とたじろぎつつも
「また離れたところから~!」
と贅沢を思った瞬間・・・だったと記憶していますが。
ジュリー、2回し目Aメロ出だしの歌詞が飛んじゃった!

ほにゃにゃ~、ほにゃにゃにゃにゃ~、にゃ~、にゃ~にゃ~♪
ちーく!ちーく!ちーく!」
と、適当なハミングでなんとかメロディーをなぞった直後の一人コーラス部(ここは「チーク」でよろしいのでしょうか・・・?)で気合を入れ手首を振って、その後のヴォーカルはかえって切れ味が増したようです。

サビ直前、ジュリーは勢いよくジャンプして後ろ向きになり指差しからの、GRACE姉さんの1小節ドラム・ソロ。
続く
「愛!」
で、一本指の右手突き上げです。
(最近の曲で言うと、「BAMBINO EXCUSE」と同じアクションですね。まぁ、「BAMBINO~」の方は足を開いてビタッと静止、「ラジカル~」は走り回りながらの突き上げ、という違いはありますが・・・)
最初のこのキメ部、僕はうっかり乗り遅れてしまいました。その後はすべて、必死で合わせましたけどね。

単音リードギターは基本的には柴山さんですが、時々バッキングを交代し、下山さんが弾く箇所もあります。ツイン・ギターの魅力、ここにあり!
で、エンディングでは”ギター兄弟の二人滝昇り”とも言うべき見せ場(二人とも、ガンガン音階を上昇させていくのです)があり、ジュリーのヴォーカルが終わってからは昇りつめる柴山さんを見ていました。
昇りつめる、と言ってもこの曲での柴山さんは「1989」のようなハードな表情ではなく、満面の笑顔が炸裂しています。
なんだかとても久しぶりのような気がします。柴山さんのここまでの笑顔は・・・。

そう言えば、この曲以降は泰輝さん(僕の位置からはズバリ正面)もニコニコしっ放しでした。
泰輝さんについて僕は、出番以外のところで笑顔、演奏中は真剣な表情、というイメージがあったのですが、それは誤った思い込みだったようですね・・・。

エンディングの演奏は徐々に迫力を増していきます。
かなり高い位置のフレットで演奏しているのに、ほとんど手元を見ずに首をタテノリにしながら、客席を見下ろす余裕しゃくしゃくの柴山さん。僕ら上手神席のお客さんは、バッチリ見られました。
これは隣のお兄さんのおかげかな?
僕は後で先輩に教えて頂くまで知りませんでしたが、お兄さんが着用していたのは、「おまえがパラダイス」の公式赤ポロなんですって・・・。それに気がつかない柴山さんではないでしょうからね~。

そうそう、2番からは、おいっちに体操にも無理矢理参加しました。いや・・・させられた、と言うべきかなぁ。
だって・・・ステージはもちろん、周囲のお客さんがメチャクチャ楽しそうなのです。完全にその雰囲気にのせられ暴れてしまった、という格好です。
この日の僕のお席は本当に、何から何まで恵まれていました・・・感謝。

16曲目「気になるお前

Julie6

初日と違い、この日はセットリストの全容を完全に把握して臨んだわけですが・・・。
この「気になるお前」の時点で、おいっちに体操はまだまだ序の口だとは承知しているのに、ペース配分などしている心の余裕は最早ありません。後先考えず、全力で暴れます。これも本神席の宿命でしょうか。

後先考えず突進しているように見えるけど、あれだけ動いて暴れていても、きちんと全体のペースを考えてのステージなのでしょうね。
『ジュリー祭り』のセットリストとパフォーマンスでそれはもう証明されているんだけど。元からして常人の域を超えているわけです。ジュリーの魅力、そして歴史を作り上げてきた要素の中に、優れた体力というものが大きくあったことは間違いなさそうです。

というわけで、イントロから暴れ放題のアクションを見せるジュリー。
おいっちに体操・・・腕を上下させる時には軽くジャンプしながらのゆっくりとした前進。そんな中、時折胸のあたりでクルクルと腕を回転させる動きを交え、その際には華麗に足を揺らしながら後ずさりすることが多いようです。この2つの動きでステージを所狭しと駆け回るのですね。
後ずさりのシーンは目の前でも観られました。短い演奏部、ちょうど下手側の端まで進出してくれていたジュリーが、客席に近いせり出した位置で、腕を回しながらサササッ!と僕らの前をバックでステージ中央に戻っていったのです。カッコ良かったですよ!
この曲がジュリーファンの先輩方に人気があるのも当然ですよ・・・。一度でも間近で「気になるお前」を歌うジュリーを観たことのある人ならばね・・・やっぱり”特別な曲”になってしまうでしょう。そのくらいのカッコ良さ。
鉄人バンド一人一人にハッキリした見せ場がある曲だというのに、僕はずっとジュリーを見続けていたくらいですからね・・・。

何度目かの「い!ま!のうちさ~♪」の時、またしても離れた位置からこちらを・・・。
ここまでの時点で、目の前に来てくれた時に限って前方席には目もくれない様子なのに(たぶん、いわゆる”トチリ席”の辺りを見ている)、離れると時折「目が合う」感覚がある・・・不思議な思いです。
まぁ、この曲のサビ部では隣のお兄さんと二人で思いっきり右手突き上げていましたから、離れて見渡すジュリーからすると、男性二人分の周囲との身長差のせいで、単にバランス的な眺めが面白かっただけかもしれませんが・・・。

「今のうちさ・・・好きなことをしていられるのは♪」
このZUZUの詞に、70年代とは違った新たなジュリーの解釈、意気込みがあったとしても不思議はないなぁ・・・。
ただ、これだけはハッキリ言えます。
この「気になるお前」をパワフルに歌えている限り、ジュリーはまだバリバリに元気だ、ということです!

17曲目「時計/夏がいく

Sur


個人的には、ここからの4曲が今回のセットリストで最もハジけてしまう”真夏の運動会”コーナーです。
そのうちの3曲「時計~」から「マンジャーレ」までのLIVEシーンというのは、僕の中でちょっと特別な感覚があります。と言うのは・・・。

『ジュリー祭り』で本格的に堕ちた僕は、まず凄まじい勢いで未聴のCDを集めました。CDを聴き込めば聴き込むほど、それらに収録されている膨大な名曲群を
知らずにドームに参加してしまったことを後悔。何とか少しでも追体験したい、という思いからLIVE映像作品も少しずつ集めていくことに。
最初に購入したのが、『サーモスタットな夏』ツアーDVDだったのです。
何でも”最初に買った作品”というのはそれだけで思い入れが強くなるもので、僕はこの97年ツアー・セットリストの映像が大好きになったのでした。

それが今年、セットリストのハイライトとも言うべき配置で、3曲続けて歌われるのです。盛り上がらないわけにはいきません!

「時計/夏がいく」のジュリーのアクション・パターンは、前曲「気になるお前」と似ています。ただ、”おいっちに体操”の割合がやや少なく、かつゆったりと腕を1本1本しっかりと突き上げていく・・・どちらかと言うと『BALLAD AND ROCK'N ROLL』で観た「a,b,c・・・i love you」の動きに近い感じです(テンポ或いはギターリフの関係でしょうね)。
腕の突き上げがゆったりとしているせいか、一転して腕まきまき!の動作がかなり素早く見えます。グルグルと腕を回しながらの後ずさりは、猛獣のように感じられます。

ふと気づくと、GRACE姉さんの”鬼姫ロール”が炸裂しています。
97年ツアー映像の影響でしょうか、僕はこの曲のドラムスはポンタさんのイメージが強かったのですが、GRACE姉さんのロールは「ここ一番!」な感じで良いですね~。ポンタさんは、ノッてくると「TOKIO」とかでもロールしちゃうからなぁ・・・。それはそれで凄いのですが。

さて・・・ジュリーはこの曲で、僕が参加した日の『奇跡元年』と同様に
「傾いた木造の、古い洋館♪」
の歌詞が飛んでしまって、むにゃむにゃ~、と歌っていました。ジュリーにとってこの部分の歌詞は鬼門なのでしょうか。
よく考えたら、ジュリーは「日傘をさす人♪」や「会釈をしてる♪」の箇所では細かい形態模写を入れてきます。そういう部分は歌詞もスラスラ出てくる、ということなのかなぁ・・・。

歌詞に詰まったジュリーにハッとして、僕は思わず大きく口を開けて「ふ・る・い・よ・う・か・ん」と僭越ながらお知らせしようと頑張りましたが、ジュリーはマイクを抱きかかえて客席は一瞥もせず宙をにらみ、なんとか思い出そうと奮闘しておりました。

しかし、そんな歌詞忘れシーンを補って余りあるパワフルなジュリーのヴォーカルは、やはり自作曲ならでは。
そう言えば、今ツアー初日は沖縄慰霊の日でしたね。
ジュリー流沖縄ロックは、
「なんでこの泥臭いブルース進行がこんなにも爽やかで開放的なんだ」
と思わせる大傑作です。膨大なジュリー・ナンバーの中で似たタイプの曲が無い、唯一無二の名曲。

そしてこれは、『ジュリー祭り』の相方・YOKO君のダイブ曲でもあります。
彼は、僕が一人で参加した『奇跡元年』でこの曲を歌った、と知った時にとても悔しそうにしていました。
彼と二人で参加予定の今年の大宮公演が今から楽しみです。「お嬢さんお手上
げだ」「マンジャーレ~」、そしてこの「時計/夏がいく」では、興奮した彼に隣からボコボコに殴られることを覚悟して臨まなければなりません。
YOKO君が行けるかどうかは直前まで分からないですし、それ以前に大宮は抽選がありますし
・・・まだ何とも言えないんですけどね。
びわ湖でジュリー運を使い果たしてしまったような気もするしなぁ・・・。

最後の最後、ドミナントの「C7」で2小節引っ張る間にジュリーが繰り出す”エイトビート交互猫パンチ”もしっかり一緒にやってのエンディング。
90年代のステージでは、オリジナル音源通りに直後の余韻演奏部も再現していましたが、『奇跡元年』同様今回のツアーも猫パンチからスパ~ン!と終わるヴァージョンの「時計/夏がいく」でした。LIVEでは、こちらの方がより良いかもしれませんね。

18曲目「サーモスタットな夏

Samosutatto

暑い時期に聴いてこそ、の今ツアー・セットリストの個人的目玉が、「時計/夏がいく」からこの曲へと続く夏メドレーです!

イントロ、GRACE姉さんのドラム・ソロ&下山さんのブラッシングが始まると、すかさず泰輝さんが両手を振りかぶって手拍子を煽ってくれました。
隣のお兄さんをはじめ、最前列のお客さんはすぐに泰輝さんに合わせていきますが・・・すみません、僕はこの曲のイントロはジュリーのサーフ・ロックなアクションを一緒にやりたいんですよね~。動きとしては「ダーリング」のイントロと紙一重なんですけど、2・1のリズムにすごく合っているんです。

さて、ジュリーと「目が合った」(錯覚かも、ですけどね)シーン、ここまでずっとわざわざ下手側進出時の遠い位置から見られてきた、とお話してまいりましたが、ここへきてようやくの至近距離で!
間奏でした。

「ジュ~ン!」
の雄叫びからリード・ギターの下山さんを呼び込むジュリー。下山さんはそんなに派手に前方までせり出してくる感じではないですが、横位置はセンターに近いところまでやってきました。その分、ジュリーが上手側に移動した場面があったのです。
ほとんど差し向かいでの横揺れ。でも一瞬でしたね・・・ジュリーは今ツアーでのこの曲の間奏は、横揺れオンリーではなく、動きを何パターンか変えてきているみたいです。初日も立ち位置を変えたりしていましたからね。

僕は位置的に一瞬でもジュリーとの逢瀬
(←だから乙女かっ!)を楽しめましたが、この曲では下手側最前列のみなさまもうらやましかったです。
今ツアーではジュリーが「ジュン!」連呼していますし、過去のDVD作品を観てても「サーモスタットな夏」間奏ではジュリーは一歩退き、リード・ギタリストに決定的な主役シーンが配される、というのが通例のようです。
下手側神席のみなさまは、是非とも間奏の下山さんに向かって、BOKE BOKE SISTERSばりの「ヒラヒラ~!」を贈ってあげてくださいませ~。

19曲目「
マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto

この日一番盛り上がった、と言うか真っ白になった曲。

間奏部、ジュリーとギター兄弟が3人で上手側に進出し、ひとかたまりになるシーンがありますよね。でもこれは、初日の段階では無かったこと。
今ツアー2回目の参加となる僕は初体験・・・しかもそれが位置的にもズバリの本神席だったというわけです。

”おいっちに体操”を繰り出しながら間奏を心待ちにしていましたが、それまでにも素晴らしいシーンがたくさんありました。
ドキッとしたのは「女神の君がいる♪」のところ。
ジュリーはその直前にステージの上手側端まで進出していて、「ラ、ベ~ラ、ビ~タ・・・♪」でサッと中央に向き直ったのです。ステージ端で振り返った、ということはすなわち、ちょうど僕らの席のあたりを見る格好になっています。
その身体の角度のまま、手首を上向きに反した状態でひとさし指を優雅に舞わせ、「女神の君がいる♪」ときたもんですよ!
胸を射抜かれる、とはまさにこのこと。

そう言えば僕は一番の同箇所「自慢の君がいる♪」でジュリーへの指差しをうっかりしていました。宙に浮いているような感じで手拍子していて、瞬時に反応することができなかったのです。
周りのみなさんは、しっかりやっていらっしゃいました。
僕だけ遅れてちょろっと右腕をジュリーに向けたのは、ハタから見ると謎の動きだったでしょうね・・・。

さぁ、それでは間奏です!
これがまた・・・僕としては予想だにしていなかった展開になったのですよ~。

まずは柴山さんのマンドリンっぽいテーマ・フレーズが主役。この段階ではまだ「3人かたまってこっちに来た!」という感じにはなっていません。そうなるのは、リードギターが下山さんに引き継がれてからでした。
柴山さんのソロ・パートでは、ジュリーは”おいっちに体操”をしたりぴょんぴょん飛び跳ねたりしていました。この時点で柴山さんは僕のほぼ目の前のとんでもない至近距離に来てくれていたのですが・・・気になりながらも僕はジュリーを見続けてしまいました。

そうこうするうちにギター兄弟のリレーとなり、今度は下山さんの主役部です。
ここで、3人が完全にステージ前方で横並びに!
下山さんがほぼセンター。柴山さんは変わらず僕の眼前、ジュリーはササ~ッ!と上手端へ陣取ります。
この3人至近距離体制・・・こんなシチュエーションは二度とないかもしれません。
どうやって盛り上がろうか・・・方針を決めかねて焦りまくるDYNAMITE。動きは”おいっちに体操”でいいとして・・・リードギターの下山さんを見るか、それともこのままジュリーを見続けるか。

迷っていたその時。
「ガッガッガッガッガッガッガッガッ!」
と、頭上から凄まじい切れ味の爆音が・・・。見上げるとそこには

俺のダウンピッキング鬼の48連打を聴けい!!

完全な”どや顔”でこちらを見おろしている柴山さんが。

文字通り「見おろして」います。
だって、顔は上向きなんですよ。その状態で目だけが最前列の客席を見ているのです。
しかも、何という表情・・・あまりにも不敵な笑みをたたえています。これはちょっと抗うのは無理だ!

ということで・・・僕はこの「マンジャーレ~」の間奏、柴山さん主役部ではジュリーを見、下山さん主役部ではバッキングの柴山さんを見る、という状況になってしまいました。
楽しかった・・・。

考えてみると、この曲は全編、ギターのバッキング・パートがカッコイイんですよね。
Aメロでの下山さんの「ちゅくじゃ~ん♪」にも注目ですよ!

20曲目「君をいま抱かせてくれ」

Hello

初日はこの辺りで観ている方の体力を試されているような気がしましたが・・・その点、この日はさすがの本神席です。まったく疲れておりません!
その代わり、ふと気づいたら右足の靴紐がほどけております(そんなに暴れていたのか・・・)。
しかしこのタイミング、この席でしゃがんで結び直すわけにはまいりません。トコトン行くしかないのです。

この曲のジュリーはアクションの切り替えがハッキリしています。テーマとなる8小節の伴奏部(イントロもそうです)で、2小節ごとに”おいっちに体操”と”両手同時突き出し”を入れ替えているのです。これは「君をいま抱かせてくれ」独特のリズム・アレンジに呼応したもの。
伴奏部の3、4小節目と7、8小節目において、2、4拍目にかなり強い極端なアクセントがあるのがこの曲の特徴。ジュリーはそのアクセントを、力強く前に突き出す両手のパンチで表現しているわけです。

当然僕もジュリーのアクションについていきます。特に、生のバンド演奏にのせられて、パンチ部には気合が入ります。
両腕を豪快に突き出すためには、一度思いっきり肘を胸のあたりまで引きつけなければなりません。引きつける際に畳んだ肘が、何度か隣のお兄さんに激突・・・ごめんなさい(汗)。
それにしても・・・ここへきて、隣のお兄さんと僕の間に”通路”なんぞというものは完全に無くなっています。おっかし~な~・・・。

さて、某方面で何かと話題になっている箇所の歌詞について。
びわ湖、1番は無事に「数だけで女を語るような~♪」。
ところが2番ではまたしても、カズだけで男を語ってしまったジュリーなのでした・・・。

21曲目「明日は晴れる」

Asuhahareru

この曲については、「今のジュリーの歌が、リリース時と全然違って聴こえる」という先輩の言葉がとても印象に残っています。
ジュリーにも苦しい時があって、それを知っている先輩方がいらっしゃる。僕が堕ちてからのジュリーは、いつだって大人気。順調そのもの。うらやむべき60代・・・そんな良いことずくめの印象しかありませんから、なおさら重い先輩のお言葉です。

そこで考えるのは「明日は晴れる」というジュリー作詞・作曲のナンバーに、そもそもどんなテーマが宿っているのか、ということ。まぁいずれ楽曲考察記事でも突き詰めますけど、これはひょっとしたら、苦しみの中から生まれた曲かも知れないなぁ、と思って・・・。
うまくいかない日常、辛い出来事。具体的ではないにせよ、そこから「思い」が始まって、それでも「明日」は・・・という曲。

僕はツアー前、何とかジュリーに歌って欲しい、と切望した曲がありました。アルバム『JULIEⅥ~ある青春』収録の、「朝焼けへの道」。
絶望の中にいる人に、「きっと朝は来る」と語りかける曲。海のイメージともあいまって、多くのジュリーファンが「震災をテーマとする今度のツアーでは、是非この曲を」という願いを、先輩方のブログなどでも拝見したものでした。

セットリストの中に「朝焼けへの道」はありませんでした。ジュリーが採り上げたのは、もっと現実・・・目の前の一日一日だった、そんなふうに思います。
新譜4曲を擁する前半のセットリスト。対して後半の曲並びは、一見震災のテーマとは離れた、絢爛のラインナップのように見えます。
しかし、「約束の地」(=夜明け)に始まり「明日は晴れる」(=夕暮れ)に終わる一連の流れに、3・11以降の人々の生活へ思いを寄せるジュリーの大きなコンセプトを見ることはできないでしょうか。
本割ラストが「明日は晴れる」というのは、やはり特別な狙いがあるように僕には思われるのですが・・・。

苦しみを抜け、「明日は晴れる♪」と今にして”希望の思い”を歌う64才のジュリー。
雄叫びのシーンでは、長い長いシャウトが大きく2つの抑揚でのびやかに届けられます。圧倒的な「声」です。
染みますね・・・大名曲です。

ところで、初日のレポで「柴山さんのフィードバックがどの曲なんだかびわ湖で確かめてくる」と書きましたが・・・ごめんなさい、全然忘れてました。
いや、一瞬「ラジカル・ヒストリー」でソレっぽい音が耳に飛び込んできて「あっ、そうだった!」と思った時には間奏終わってて。
「今の、フィードバックだったかもなぁ。あと、”明日は晴れる”もちゃんとギター見ながら聴いてなくちゃな・・・」と思ったのですが、数十分後にはすっかり忘却の天才。
「明日は晴れる」でも、最初から最後までジュリーしか見ていないDYNAMITE。申し訳ありません・・・。
渋谷でリベンジできるかな?

~とにかく長いMC~

『ジュリー祭り』で堕ちて以降、ジュリーのLIVEに参加すること30数回となる僕ですが・・・この日のアンコール前のMCは、これまで体験してきたどの会場のMCよりも圧倒的に長かったです!
とにかく、お客さんの方がジュリーの口調から「そろそろシメね」と感じとっているのが雰囲気で分かるんですけど、そこからさらにジュリーは話を脱線させて・・・というシーンが数度。
何がそんなにジュリーを解放させたのか・・・。歯止めが効かないトーク、という感じでした。いやぁ抱腹絶倒でしたよ・・・。
びわ湖のお客さんはお行儀よくジュリーの言葉に耳を傾けていましたし、音響もすごく良かったですから、ジュリーがかなりゴキゲンだったことは確かでしょうね。

日数が経過し大長編爆笑MCの記憶も怪しくなってきていますが、本神席の至近距離でジ~ッと聞き入っていたせいか、色々と覚えていることは覚えています。
ここでは、僕が個人的に印象に残ったお話をできる限り書いてみたいと思います。

びわ湖公演が久しぶりということからか、まずは地域ネタ・・・「京都」に絡めての出身地ネタから入りましたね。
京都で育ち、(ある時期までは、公式にも)京都が出身ということになってたんだけど実は違うんだ、と。

「生まれは鳥取なんですよ。まぁ~、お金が無かったんでしょうね~。田舎までお産に行ったわけやね・・・」

ジュリーは”鳥取”という発音を「いかにもド田舎!」みたいな感じで面白おかしいイントネーションにして笑いを誘いましたが・・・鳥取出身の方が聞いたら気を悪くなさらないでしょうか・・・。

「で、生まれが鳥取ということは・・・自分の”出身地”は京都なのか鳥取なのか、どっちなのか・・・。ある日オヤジに尋ねました。どっちなんや、と」

「そら、鳥取やろ」
(いかにも、ミもフタもない、みたいなサラッとカン高い声での親父さんの声モノマネに、場内爆笑)

「そういうことで鳥取ですよ。その頃、まぁワタシも紅白歌合戦とかにね、出場していた時代でしたから(拍手)・・・出身地を正してもらってね」
「そうすると、歌っている画面の下の方に”出身地・鳥取県”とか出るわけですよ。でも生まれはそうでも、ずっと京都で育ったわけですからね。それを見た京都の友達が”間違うとるで!なんや鳥取って!”となるんですよ(笑)」

そして、京都で育った幼年時代を振り返って

「世間では今日あたりから夏休みですか?夏休みと言えばね、京都にいると泳ぎに行くとなったらまさにここ、びわ湖ですよ!小さい頃には何度も泳ぎに来ました。レスリングの選手が着ているみたいな、上下繋がった水着を着まして(笑)ね・・・。自分で言うのもナンですが、ま~~~カワイかったですよ!(笑、拍手)
人から、かわいいね!・・・とか、おとなし~ね!・・・とか言われるとワタシも幼心にその気になって、いっそうおとなしくしたりしてね」
「で、その頃はね、大きなびわ湖を海だと思っていまして、遠くを眺めながら、”あぁ、向こう岸はアメリカなんだなぁ・・・”と思っておりました(笑)」

ご当地サービスなびわ湖ネタを皮切りに、テレビの話やら何やらで・・・その時点でもう随分喋ったなぁ、という感じでしたが、MCのメインは”伝家の宝刀”とも言うべき、抱腹絶倒の体型ネタでございました。
いや・・・体型ネタというか、自分がいかに健全健康であるか、ということをああいう形で話してくれたんじゃないかな、と後になってから思いましたけどね。
それと・・・最近のジュリーって、LIVEのMCで自虐的な体型ネタを繰り出す時に限って、ちょっと痩せてる時・・・というイメージがあるんですけど、僕の気のせいかな?

まぁとにかくジュリーはいたって健康である、と。
「サプリばっかり飲んでる人と、そういうものとまったく無縁に生きているワタシと比べて・・・何か(健康度合に)違いがありますか?全然変わらんですよ」
と熱弁。
サプリを否定はしないが、あれはお守りみたいなもんだ、だそうです。
「だいたい、(サプリは)飲み始めたらずっと飲み続けなきゃいけない・・・それが狙いなんですから!」

それもまぁ良し。ただし、「お守りだ」くらいの気持ちでいた方がいいよ、というジュリーのアドバイス・・・といった感じですかね。

体型も・・・ジュリーからすれば「これが健康の証」くらいの考えなのでしょうか。
昔は何の努力もしないであの体型だった、とのこと。今さら努力してどうすんねん、ということのようです。

で、やっぱり大ウケだったのは、怒涛に話が繋がっていった”太った話”ですよ。
飲み屋さんの話は先にレポ本編で書いてしまいましたけど、何と言っても傑作だったのはタクシーの運ちゃんの話です。
タクシー乗ってたら、ほんの拍子に運転手さんがジュリーだと気づいたそうで。

「あれ?テレビに出てた人ですよね?そうですよね?うわ~、太ったなぁ。う~ん、太った太った」

”太った”の連呼だけで場内大爆笑というのも・・・。

「もう車から降りて通り過ぎようとしとんのに、わざわざ窓開けて(ノブをグルグル回して窓から顔を突き出す運ちゃんのモノマネ付)、ま~だ

いや~太った太った

と言い続けてるんですよ・・・」
冗談めかして「殺意を覚えました・・・」と言うほどまでにしつこい、タクシー運ちゃんの「太った太った」だったようですね~。

「まるで1日でこうなったみたいな言い方して!1日でこうなったら逆に凄いよ!」

と、プンプン状態の可愛いジュリーです(失礼!)。

細かった”あの頃”の自分に思いを馳せたのでしょうか、どのタイミングだったか忘れましたが、こんな話も・・・。
「ワタシは色素が薄いんです。昔はそれが功を奏しましたが、今は(色が薄いので顔色が悪く見える、ということなのでしょうか)・・・”大丈夫ですか?”なんて言われる」
でも

だ~いじょうぶや!!

と、僕の「大丈夫やフェチ」にズバリ!の包容力溢れる声でそう言うと、お腹をポン!という仕草です。
これは萌えた・・・。
あのお腹だから、「大丈夫」なんだそうですよ!

Img093


↑ 色素の薄さが功を奏していた(?)時代

「あぁ、タバコももう止められたんですよねぇ、なんて言われて・・・。そう、ワタシはタバコ止めてコレ(丸いお腹の誇示)ですからね!
これ、誰と比べてると思う?


(以下、自主規制の伏字入ります!
申し訳ありませんが、びわ湖参加のみなさまだけ、部分的なフレーズから当日の雰囲気を思い出して楽しんでくださいませ~)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やからね!
あ、知らないか!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まぁワタシの場合は何書かれても全然気に・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のはそっちやろ!!・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・「銀河のロマンス」は入ってなくてね・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「コケン」・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
点になってしまいました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・稽古やん!・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「流れるようなバラのかおり」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・こうして鬱憤を晴らしているんですよ!

あ、これは、ココだけの話やからな!
その代わり(さっきの)タクシーの運ちゃんの話は、誰に言うてもかめへ~ん!

「かめへ~ん!」
で、つ~ん!とマイクごと上を向いて”ここだけ話”を豪快に〆たジュリーに、もう大爆笑、大拍手の嵐です。
ホント、書けなくて申し訳ないんですが・・・僕は腹を2つ折りにして笑いましたよ!楽器やってる人にしか分からない擬音表現があったりしてね。
あぁ、ジュリーもバンドマンだなぁ、スタジオ入ってるんだなぁ、と思えましたし。

誤解の無いように書いておくと、”ここだけの話”にしても、それこそ邪気の無い豪快な、面白い話でしたよ。弟キャラ全開、という感じでした。

最後に、ジュリー自身が元気なだけに、ということでしょうか。「みなさまが心配です」と。
「どうか健康で、ワタシの70越えを見届けて頂きたい」
ということで長いMCもようやくシメです。

鉄人バンドの紹介。
「キーボード、大山泰輝!」・・・この瞬間にまだ慣れていないんですよね~。
初日に引き続いて「あ、泰輝さん、今年から苗字アリに戻したんだった・・・」と、ジュリーのコールを聞いて改めてハッと思い返したのでありました。

22曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」

Royal3


ショーも大詰めの第6幕は、ロック色の強いエキゾティクス時代の大ヒット・シングル2曲でのアンコール。
大長編爆笑MCの後でも、見事な切り替えを見せてくれるジュリーです。

さて、生のジュリーをどう楽しむか、というのはファンそれぞれで違うと思いますが・・・僕の周囲のジュリー・ファンのみなさまの間に、密かに「関節フェチ」なるジャンルがあるようです。
まぁイイ男というのは身体の隅々まで、というジュリーの魅力を突き詰めての見方のようで・・・男性ファンにはなかなか至れぬ境地と思いきや、これは実は僕も辛うじて分かります。1曲限定ですけどね。
その曲こそがこの「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」。

初めて生でそれを感じた『ジュリー祭り』。膝の角度が完璧だなぁ、とその時点で思ったものです。
さらに間を置かず、年明けの『奇跡元年』でも体感。やっぱり見入ったのは、あの拳振り上げ部のジュリーの足の開きと美しい膝の角度でした。体重がやや左にかかるのがポイントなのでしょうか。真似しようと思ってできるものではないのですが・・・。

びわ湖では、そんなジュリーを至近距離で!
とにかくすべての一連の動作がカッコイイ。しっとりとセクシーなAメロ、「静」から「動」へと移行し、細かい歌詞に合わせたゼスチャーを織り交ぜながら身体を思い切り捻るBメロ。そしてサビのあのポーズ。
ジュリーは、いわゆる”誰もが知る大ヒット曲”を歌う際には自分自身も和んでいる、というかリラックスしているのかな?と感じさせることが多いのですが、「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」については、常に鋭い緊張感が伝わってきます。
この曲がタイムリーでヒットしていた時期の映像を観ても、ため息の出るほどの美しいジュリーだけれど・・・。どちらかと言うと、ちょっと立派な体躯の今のジュリーの方がかえってアクションが映える曲なのでは?と思ってしまいました。

サビ部でジュリーは、ステージの左右に寄って拳を突き上げることが多いですよね。
しかも、エキゾティクス時代の血が騒ぐのか、柴山さんの横でシャウトするのが気持ちいいのか(ヴォーカルに被さるギター・フレーズがカッコイイですからね)・・・上手側への進出率が高い高い!
僕も含め、上手寄りの神席周辺は狂乱状態でございます。

ラストの「ハイ!」も皆で一緒にキメました。
LIVEの後、CD音源でセットリストの復習をしていると・・・「約束の地」と「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」の2曲は、フェイド・アウトで曲が終わるのがなんだか不思議な感覚。それだけ自分の中で、LIVEアレンジの印象が強くなってきているのでしょうね。

23曲目「ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

時は、あまりにもはやく過ぎゆく・・・。

とうとう最後の曲になってしまいました。
ジュリーのLIVEはいつだって「えっ、もう終わり?」というくらい時間の経つのが早く感じる(『ジュリー祭り』の6時間半ですらそうだった)のだけれど・・・もう二度と無いかもしれないこの幸せな本神席でジュリーを見ていられるのも、あと僅か。
寂しいです。寂し過ぎます。

悔いは残すまい、と・・・イントロの時点で、これまで一度もやったことのなかった「朝でも、夜でも、真昼でも♪」の右手の振りに参加することを決意。
隣に頼もしいお兄さんもいらしゃるし、僕一人だけうまくできなくても構わない!とにかく燃え尽きる!の覚悟です。
で、やってみたら・・・な~んだ、分かった、分かりました。
これまで僕は腕の振る方向をずべて「右→左」の動作だと思い込んでいたのです。
「行って来い」の動きで良かったのか・・・。
ジュリーがいつもしなるようにやるものだから瞬時に腕を返して同方向でやってるように思っていたけど、見た目よりゆったりしているのですね、なるほど・・・
(今さらです、ハイ)

サビ以外では、みなさま2、4拍の手拍子をなさっていますが、僕はこの曲ではやっぱり横に揺れたい。
ジュリーの近くで柴山さんが何となく見えていましたし、ここまでステージが近いと自分がバンドの”横揺れ弦楽器隊”の一員になったような錯覚が・・・最高のショーのフィナーレです。
視覚的にはジュリーしか見ていませんでしたが、素晴らしい鉄人バンドの一体感を身体で受け止めているように思えました。しまいには、「俺のすべてを~♪」のトコでエア・3連符スネアドラムまでやってしまった(この箇所は横揺れが一瞬お休みですからね)・・・。

「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」に続いて、ジュリーは何度も上手寄りの位置に立ち止まってくれました。
セットリスト前半・・・例えば「そのキスが欲しい」のあたりでは下手側を重点的に攻めていたジュリーでしたが、後半は随分多くのシーンで、近くに来てくれたように思います。アンコールの2曲では特にそれを感じました。

最後は長いようで短いコード突き放しの余韻から、ジュリーが力強く拳を上げるのと、柴山さんのネック振り下ろしが同時。どちらかがバンドのエンディング音の合図になってるはずなんですけどね。

それにしても、柴山さんのゴキゲンなアーム・プレイも、音は聴いていたのに全然目で観られていません。あぁ、何てことだ・・・あんなにステージに近かったのに。「ス・ト・リ・ッ・パ・-」では柴山さんもかなり前方まで進出しているのは分かっていたのに・・・。
恐るべしは、至近距離ジュリーの吸引力。

至福の時間は、あっという間に終わりました。

楽しかった・・・その一言に尽きます。
色々なシーンがくっきり頭に残っている中で、一番忘れられないのは、「F.
A.P.P」の途中、下手側からチラリとこちらを見てくれた(ような気がした)時の、優しそうな目です。

僕は若き日のジュリーを生で知りません。もちろん、『ジュリー祭り』以降の還暦越えのジュリーだって若い頃に負けないカッコ良さだと思っているのだけれど、びわ湖の望外の本神席で近くから見たジュリーの目はとにかく優しくて、慈父の瞳ようでした。年輪と貫録と寛容に満ちた、好々爺のような愛くるしい目だと思いました。「カッコイイ」と感じるよりも、「暖かい」「優しい」と感じました。
あの優しい目が忘れられない・・・。
こんなことを書くと「おじいちゃん、みたいな言い方はやめて」と思われる先輩方もいらっしゃるかと思いますが、僕にはそう思えました。それは、僕がジュリーファンとしてはまだまだ若造だからなのかもしれませんが・・・。

いやいや、返す返すも、この若造には過ぎた席でしたか。
右隣のお兄さんは若いとは言え、ジュリーファンとしては年季の入った先輩とお見受けしましたし、左隣のお姉さまは、帰り際に「またどこかの会場で」と声をかけてくださいました。
本当に、何から何まで恵まれた本神席でした。

おかげで、こんなに長いレポになってしまいました。
何とか今週末に迫った渋谷公演の前に書き終えることができ、今はホッとしています。
6月後半から楽曲考察記事を全然書いていないという状況も、拙ブログの主旨としては拙いと思っていますし、次回渋谷のレポは軽めの記事にしたいと考えています。

週末の渋谷では、これまでチェックできていなかった照明の効果や、上から見下ろす泰輝さんの2台のキーボードの音色の振り分け方などに注目するつもりです。
そして・・・遠くからジュリーの動きだけ見ていれば、脳内にはびわ湖でのジュリーのその時々の表情や仕草が浮かび上がってくるはずです。
そのくらいのインパクトを授かったびわ湖公演でした。

ただただ感謝。
いつも以上にとりとめのない大長文レポに日々おつき合いくださったみなさまにも、ひたすら感謝です。ありがとうございます!


20120720biwako

| | コメント (51) | トラックバック (0)

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »