(註:8月8日、ようやく執筆を終えました。
例によりまして、日付を記事完成日に移動させて頂きました。
今回も無駄に長い記事になってしまいましたが、最初で最後かもしれない最前列参加のジュリーLIVEの様子を、自分の一生の思い出として詳細に文章に残しておきたい、というエゴに打ち勝つことができませんでした。
毎日細切れの更新、頂いたコメントへのお返事も遅れ気味となり申し訳ありませんでした。
とりあえず、自分の次の参加会場である11日の渋谷公演の前に執筆を終えることができて、ひとまずは良かったです・・・。
長々とおつき合い頂き、ありがとうございました!)
☆ ☆ ☆
「本神席」。
嗚呼・・・その甘美で、果てなき遠い存在を象徴するかのような神々しい言葉の響きよ・・・。
どなたが最初にそう呼んだのか。
ジュリーLIVEにて、自分より前に座席が無く誰もいない、という状況。眼前にはただジュリーが躍動するステージがあるのみ。
ステージのジュリーと客席の自分。その最短直線距離を遮る物は何も無し。
つまりは、1列目。神席の中の神席。特にそれがセンターブロックとなった時、「本神席」という言葉は至高の響きを放ちます。
長い長いジュリーファンの先輩方の中でも、数度の経験を誇るかたもいらっしゃれば、たった一度の僥倖がようやく今年訪れた、というかたもいらっしゃる。
そして、未だその体験が無いという先輩方も、大勢いらっしゃるのです。
僕は、澤会さんからツアー・チケット到着を待つ時、「本神席」を期待したことは一度もありません。
漠然と「ひと桁」席を妄想、希望し、時としてそれが叶い、大方の場合は夢破れる・・・。
ただ、「本神席」を具体的に妄想したことは一度も無い・・・要は、妄想すら及ばないほど、自分にとって縁の無いもの、あり得ないもの、おこがましいもの。そんな意識でいたのだと思います。
今回のツアーで、カミさんの実家が近いびわ湖ホールへの参加を決め、難なく抽選を通過、送られてきたチケットは・・・本来、僕のような者にとっては恵まれたと言える、13列目のお席でした。
道理から言っても、モラルからしても常識から考えても、指定されたこの席でカミさんと並んでLIVEに参加するのが当たり前のこと。そのことに何の疑問も持っていませんでした。
しかし何処がどうしてどうなったのか、何が起こったのか、どういう分不相応な新規ファンの大僥倖なのか・・・。
とにかく、開演2時間前に僕がこの手にしていたチケットは。
センターブロック最右の柴山さん寄り。
つまり右側は通路。前も横も使って飛び跳ねろ、と言わんばかりの、正に「本神席」なのでした・・・。
いつもお世話になっている先輩から数日前になって、「心の準備をしておいて」とご連絡を受けるも、まったく実感は沸かずに当日まで過ごしまして。
先輩のご家族のご事情が関係していたため、LIVE前日になってもまだ成り行きは確定せず。
当日このチケットを実際に受け取って初めて・・・これまで体験したこともない、プレッシャーと言うのか何と言うのか表現しようのない、こみ上げるような動悸に襲われました。
開演前の2時間の長かったことよ・・・。
(それに比べて実際のこの日のLIVEの、何と言う”あっという間”の2時間だったことよ!)
実は最近になって、いい加減自分のLIVEレポのあまりの大長文に自分で疑問が生じてきまして(完成までにバカみたいに時間がかかっている、というのが一番の課題点でした)、まぁツアー初日は仕方ない、ファイナルも(無事に当選すればね)まぁ仕方ない。でもそれ以外の参加会場については1曲ずつの詳細レポは封印し、なるべく1日でupできる簡易レポとして纏めよう、と考えておりました。
で、当然このびわ湖公演から、その考えを実行に移すつもりでした。
が。
無理!!
また、みなさまが呆れるほど時間がかかります。
初日レポよりもさらに長くなります。
どうか生暖かい目で、ゆるゆるとおつき合いくださいませ・・・。
☆ ☆ ☆
ということで、拙ブログもようやくこのびわ湖レポートからネタバレ解禁となります。
やってきました関西へ。
最初に少しだけ行きがけの話を・・・。
とにかく関東はですね、前日の19日まで異常なほどの猛暑が続いておりまして。
当日20日いきなり涼しくなったものですから、ロンTやら何やら万端準備して、新幹線で西へと向かったわけですが・・・。
まず降り立ったジュリーの故郷・京都(註:出身地ではない、というMCが後に)は・・・おそろしく蒸し暑い!
さすが盆地ですねぇ・・・。
京都到着は、午後2時くらいでした。
雨が降ってたんですが・・・アーケード沿いにずずっと、土地勘のあるカミさんについて歩きまして、『新京極』というところにやってきました。
お目当ては遅いランチです。
こちらが、ジュリー御用達(利用頻度は不明)の『京極スタンド』というお店です。
飲み屋と大衆食堂が合体したような感じのお店で、とてもアットホームな雰囲気。今回、3年ぶりに立ち寄ることにしました。
僕はエビフライ定食。カミさんは生姜焼き定食を注文。
ジュリーはここで何を食べたのかな・・・?
お店のテレビで
「滋賀県南部に大雨・洪水警報」
と出ていて焦りました。
JR線大津駅には午後4時頃に到着。
電車を降りると、早速黄色いリストバンドのお姉さんをお見かけしました。右手にしていらっしゃるかた、多いですよね。ジュリーが右手だからでしょうか。
僕はここまでずっと左手につけて参加しているけど、次は右にしてみようかな・・・。
心配していた雨も止み、僕等夫婦は荷物をコインロッカーに預け、びわ湖ホールまで歩いてみることに。
これがかなり遠いです。徒歩20分くらいですかね。
この、びわ湖沿いの道に辿り着くまでが長かった・・・。
向こう岸はアメリカ?(by 研二少年)
これまで「結構歩いたなぁ」と感じたジュリーLIVEの参加会場・・・安城や八王子などよりも遠かったのではないでしょうか。
とにかく蒸し暑かった・・・。
開演前には多くの先輩方やJ友さんと再会。初日渋谷にもお会いした方、ずいぶん久しぶりの方・・・様々ですが、今回は関西遠征ということで、お久しぶりの方々との元気な再会はやはり嬉しいものです。
また、いつも楽しみに拝見しているジュリー・ブロガーさん・・・もじもじそわそわ様と渚☆様や、ジュリーだけでなく吉田Qさんの応援でネット交流のあったgaroooo様との光栄な「はじめまして」もありました。
みなさま、いつもありがとうございます!
ホールに入場し、席に着いて。
目の前にどど~ん!とステージがあって・・・始まるまではとにかく緊張して、とっても胸が痛かったです~。
位置としては、ほぼ泰輝さんのキーボードの正面。少し左にジュリーのマイクスタンド、少し右に柴山さんのギタースタンド。
「こりゃ、柴山さんのギターも見放題だなぁ・・・」と、その時は思っておりました。実際は、良い意味でそうはいかなかったんですけどね。詳しくは追々。
しかし・・・胸に手を当てビビリまくっているDYNAMITEの席まで多くのみなさんが代わる代わる、からかいに・・・もとい、激励に来てくださったので、入場してから開演までの時間については、結構あっという間でした。
ライトが落ち、ジュリーと鉄人バンドの影が入場してきます。
少し前にしょあ様が
「入場の時、一瞬ジュリーと泰輝さんの区別がつかなかった」
と仰っていて、「そんなわけあるかいな~。まぁ、ネタだろうな」とか思っていたのですが・・・。
何とこの至近距離、ドラムセットの後ろから帽子をかぶって颯爽と登場した影を僕はジュリーだとばかり思って「うお~~!」と盛り上がったのですが、その人影はササッとキーボードにスタンバイしてしまいましたとさ・・・。
気をとり直しまして。
ジュリーは鉄人バンドより少し遅れて、ゆったりと中央から姿を現しました。
ドラムスとキーボードの間の定位置に着き、「ふぅ!」と一発息を吐き、肩を軽やかに揺らしてから、ピタッと姿勢を正します。
開演!
1曲目「SPLEEN~六月の風にゆれて」
ため息がでるほど・・・ジュリーの定位置が近い!
自分のこれまでのジュリーとの接近歴(←乙女かっ!)を振り返ってみると・・・。
一番近かったのは間違いなく、今年のお正月、老虎ツアー・鹿児島宝山ホール公演での「ジャスティン」間奏。ステージ袖の花道に進出したジュリーと、30センチくらいまで近づきました。
次が、『PLEASURE PLEASURE』安城公演、「TOKIO」のエンディング。こちらも花道進出での数秒間限定接近でした。
今回・・・距離としては、その安城に次ぐ近さ。
ほんの数メートル先で、ジュリーが歌っているのです!
また、僕がこれまで体験してきたいわゆる「神席」は、いずれも端のブロックでした。ジュリーが定位置にいる時には結構距離があって、どちらかというと柴山さんが近くにいる!という感じだったのです。
ですから過去2回の「神席」(プレプレ大阪4列目とジュリワン八王子3列目)では、いきなり柴山さんを中心としたバンド演奏をガン見する、という状況に自分を持っていきました。
ところが今回は・・・ジュリーからまったく目が離せない!
オープニングが「SPLEEN」だったということも大きかったかもしれません。まずは泰輝さんのシンセのみの伴奏で歌われる曲、ジュリーの歌がまず前面にクローズアップされる曲ですからね。
白い肌がライトに照らされ光っています。青っぽい輝きのオーラのようなものが、ジュリーの両腕を包んでいるかのようにも見えます。
右手首の黄色いリストバンドも、照明のせいか光って見えるようです。
「そうさ、僕のほう♪」
で、うなずきながら歌う表情は、無防備なほど誰かに気持ちを預けているような・・・。
「太陽がふりそそぐ♪」
では、ステージ上空に太陽を仰ぎ見るように宙を見つめ、掌を上に向けた右手をゆっくりと胸の高さまで引き上げます。
とにかく、1曲目からいきなり歌の世界に没頭したジュリー。歌詞の一語一語に連動した細かい動きがたくさんあることが分かります。
「歌いたい曲を歌う」というのはこういうことなんだな、と思いました。
GRACE姉さん謎の4連打(リム・ショットかどうか見逃した)を合図にバンドがフルに噛んできた2番になって、ようやくチラリ、チラリとギター兄弟をチェック。
柴山さんはコーラスを効かせたアルペジオっぽい単音。これは、CD音源で言うとアコギのパートを再現しているようです。
で、巷には下山さんがこの曲で「5、6弦中心の低音バッキング」をしているという間違った渋谷レポを書いた愚か者もいるようですが(←僕です)、下山さんは正しくは、主に1~4弦のコード弾きでバッキングをしています。
例えば「G」のコード(「SPLEEN」の歌メロ最初の和音)は、3フレットひとさし指で1・2弦のセーハ、4フレット中指3弦、5フレット薬指4弦というフォームです。
何故渋谷初日で僕が勘違いをしたかというと、CD音源のエレキ・ギターのバッキングが5、6弦のプレイだと思われるからです。オリジナル音源を鬼のように聴き込んでいる、というのもいざLIVEでは弊害になることがあるのでしょうか。
ともあれ、今ツアーの「SPLEEN」。CDには無い音を下山さんが担っている、ということが確認できた本神席での1曲目でございました。
それにしても、ギター兄弟に目が行ったのもほんの一瞬だけです。
この、抗いがたいジュリーの吸引力は・・・なるほど「本神席」とは良く言ったものです。ジュリーファン至福の2時間が始まりました。
2曲目「そのキスが欲しい」
ツアーも回数を重ね、多くのお客さんがすでにスタンディングの呼吸を心得ているのか、それともそれは僕の勝手な思い込みか。とにかく1列目は、泰輝さんのピアノが噛むくらいの早いタイミングでスックと立ち上がりました。
会場は総立ちになっていたのかな・・・?何しろ後ろが見えませんものでね~。へっへっへ。
さてここで、今回の本神席がさらに他の面でも幸運に恵まれていた、ということをお話しておきましょう。
僕の右隣・・・僕はセンターブロック最右席ですから通路を挟むことになりますが、そちらに「ひょっとしたら僕より若いかな」という感じのお兄さんが座っていました。
後で先輩方に伺ったところ、そのお兄さんが来ていた赤いポロシャツはジュリー公式グッズのようで、かなり気合の入ったファンでいらしたようですが、僕はそんなことも知らなかったものですから、期待と不安を同時に持っていました。
というのは・・・まず、ジュリーLIVEでは男性ファンの絶対数が少ない中、いざ熱い男性ファンが隣同志になった時の双方の盛り上がりは凄まじいです。何か異常なくらいの相乗効果があります。
ところが隣の男性が特別熱いジュリーファンではなくて、シラ~とクールに着席したりしていると、ノリにくいことこの上ないでしょう。僕は幸いそんな経験はありませんが、一去年の千葉公演の最前列にそんな光景を見ましてね・・・。
あと、開演前にケンケンジ姉さんから
「大阪では最前列の男達がずっと座っててジュリーがやりにくそうやった。Dy兄、今日は頼むで~!」
とプレッシャーをかけられておりました。
そりゃ僕は立って暴れまくるけど、隣のお兄さんはどうなのかな・・・。そんなことを考えていました。
杞憂でございました。
2曲目「そのキスが欲しい」で、年齢はどうあれ、彼が僕などよりずっと格上の年季の入ったジュリーファンであることを確信しました。
Aメロ裏拍、サビ頭打ちの手拍子も完璧。しかもサビの頭打ち手拍子は完全にふりかぶっての頭上打ち!
これはイカン!必死でついていかねば!と思うのですが、何せ四十肩が癒えきれていないDYNAMITE。左手がまっすぐに上がりません。
せめても、と右手だけは突き上げましたが、ハタから見たらおかしなアクションになっていたでしょうね・・・。
ともあれ、今回の素晴らしいお席をノリノリの男性ファンと並んで体験できたことはとても良かった・・・本当に楽しかったです。
またいつかの機会に、どこかの会場でご一緒させて頂きたい・・・。
その隣のお兄さんもノリノリでやっていた
「激しく抱いてぃえぃえぃえぃえ~♪」
のトコの振付。
(後註:約1週間、「たぅあぅあぅあぅあ~♪」と間違って晒されておりました。ごめんなさい)
ジュリーは僕らの正面で立ち止まってやってくれたのですが、ヒラリヒラリと舞う右手の動き(あれ?ジュリーは左手・・・かな?)に見とれると同時に、僕にしては本当に珍しく、衣裳に目が行きました。
水色に浮かぶ白い花刺繍が、あの上昇する右手に連動して次第にめくれあがっていくジャケットに、ひときわ目立ちます。
自分で自分に驚いたのは、間奏。
ずずい、と下山さんがせり出してきて、まぁ普段の僕ならその瞬間にサッと下山さんに目がいくところ。
しかし、歌の余韻を残し激しく首を縦に振るジュリーから目を離すことができなかった・・・!結局この曲での下山さんの勇姿は見逃してしまいました。
ただ、ギターソロの音はしっかり聴こえていました。初日の印象以上に、ディレイが深くかかっていましたね。
びわ湖ホールは、音響もとても良かったです。
お客さんのノリも最高でしたし、ジュリーは今後しばらくこの会場を利用し続けるんじゃないかな・・・。
3曲目「お嬢さんお手上げだ」
やっぱり僕はいつも、注意力散漫なのでしょうかね。これまで気づけていなかったジュリーの細かい見せ場は、この曲にもたくさんあるようです。
普段どんなに遠い席でもオペラグラスを使わないから、色々と見落としもあるのでしょうが・・・今回ばかりはね!もう、すぐそこにジュリーがいるわけですからね!
とにかく、いつもなら「おっ、柴山さん今のフレーズは?」とか「下山さん、そこ敢えてローコード?」とかキョロキョロしっ放しのDYNAMITEが、強く意識しないと鉄人バンドの演奏に目が行かない、という状況に陥りました。
自分は何だかんだ言っても、誰よりもまずジュリーのファンとして特化しているんだなぁ、と再認識いたしました・・・。ハイ、今回は公演中のほとんどの時間を、ジュリーだけを見つめ倒して盛り上がってまいりました!
ということで、”本神席で初めて気づいた”シリーズ。
「お嬢さんお手上げだ」Bメロでのジュリーの、”足元で円を描くステップ&ダンス”です。
ちょっと浮かれる、ふざける、という照れ隠しにも近い阿久さん作詞作品特有の男心を表現する、ジュリーの華麗なステップ。
「この動き、前に観たことあるぞ・・・」と記憶を辿り、「あっ!」と思い出したのは、ジュリワン・ツアーの「いつかの”熱視線ギャル”」での「ロッケンロ~、ミュ~ジック♪」のステップ。アレと結構近い感じですね。
サビ部、両手を軽く上げてゆらゆら左右に揺れるアクションが、どうやらファンの間にも浸透してきたようです。
かえすがえすも憎いのはこの四十肩。楽しげな振付をジュリーと一緒にできない悔しさを押し殺し、サビ部ではエア・ウッドブロックで参加(←そんな奴はたぶん他にいない)してきました。いや、ラテンっぽいこのパーカッション・リズムが「お嬢さんお手上げだ」のサビの重要な装飾だと思っているんだけど、さすがにLIVEでそこまでは再現されていないのでせめて、と思いましてね・・・。
(と、ここまで書いて、このサビ部の振付はどうやら片手でヒラヒラ、だったらしいと知りました。そうでしたっけ・・・?右手だけなら余裕で上がるので次回渋谷では参加してみます~)
サビ部のジュリーも素敵ですが、僕はこの曲を初めて生で聴いたこともあり(音楽劇も観ていません)、イントロや間奏部での、ジュリーがポケットに両手を突っ込んだ状態でユッサユッサと横揺れするアクションが新鮮で楽しかったです。
こんなことを言って良いかどうか分かりませんけど・・・とてもカワイイと思ったのですよ。あの動きが。
泰輝さんのピアノ、みなさまやっぱり間奏になって初めて耳が行くと思いますが、Aメロでジュリーのヴォーカルを追いかけるような演奏が、かなり素晴らしいですよ!もちろん間奏もカッコイイですけど。
~MC~
「久しぶりのびわ湖です!」
で、大拍手。
この、地方限定のジュリーの優しく伸び伸びとした感じ、地元のお客さんの熱く暖かくそれを迎える感じは、渋谷などでは味わえない魅力ですね・・・。
「ありがとうございます。いっぱいのお客さんです!」
見上げれば、4階席までビッシリのお客さんが。まぁおそらく空席はあるのでしょうが、下から見上げる限り、これはほぼ満員と言って良いのでは。一般発売もなかなか「SOLD OUT」の文字が見られなかったので心配していましたが・・・どうやら集客も大成功のようです。
さらにこの熱気。
しかも、すごく上品な熱気なんです。びわ湖ホール。
ですから余計に・・・並みいる先輩方を差し置いて、若造がこんな席で参加することになり本当に申し訳ない・・・。
そんな先輩のお一人であらせられますケンケンジ姉さんが、「開演前に4階まで様子見に行ってみた」そうで・・・最上階はどうやらかなり垂直に近い構造になっていて、立つと足元が怖いくらいなんですって。
まぁ、普段開催されているオペラなどのお客さんはスタンディングでは観ないわけですから、敢えてそういう作りになっているのでしょうね。
ジュリーの、よく通る声での涼やかなMCは続きます。
「雨の中、蒸し暑い中を、よくぞこんな冷房の効いたところへおいでくださいました!(笑)
涼しいので、眠くなった方もいらっしゃるのではないでしょうか(笑)。そういう方は、遠慮なく寝て頂くというのもよろしいのではないかと思います。目が覚めましたら、また一緒に楽しんで下さい!」
この最初の短めのMCの時でも、渋谷初日と比べれば随分長めに喋ってくれたジュリーなのでした・・・。
4曲目「1989」
下山さんのクールなアルペジオと、GRACE姉さんの轟くタム。
ショーの始まりを告げる最初の3曲が終わり、ここからいよいよ今ツアーの真髄、組曲っぽいセットリストが始まります。
「1989」「届かない花々」「涙色の空」の3曲は、そのまま新譜4曲の前奏組曲のような感じ。これは初日の後、momo様も仰っていたことです。
さて、一向にジュリーから目を逸らすことのできないでいる僕ですが、ちょうどジュリーを見ているとその後ろにドラムセットがあって、ふと気がつくと・・・。
GRACE姉さんはあの重厚なタムの連打を演奏しながら、右足のキックとは別に、左足で正確なハイハットの刻みを入れているんですね!
プロのドラマーにとっては何ということのない動作なのかもしれませんが、見てるだけで足が攣りそうだ・・・。素人にはとても無理です。
そして、この曲の間奏では柴山さんの見せ場がある・・・こんな席なんだからしっかり見なきゃダメだ!と奮い立ち、何とか一時ジュリーの吸引力から逃れようと頑張って「おおりゃ!」と気合を入れて、間奏・・・この日初めてハッキリ右方面を見上げると。
ち、近い!
この曲の柴山さん、こんなに前方にせり出してましたっけ・・・?
どちらかと言うと、ステージ奥からちょっと歩を進めたあたりで真赤に染まっている、というイメージでいたのですが。まず、照明の効果からしてよく分かりません、本神席。
本当に目の前で弾きまくる柴山さん。ギタリストとしては決して長くはない指(とは言え、世界に名だたるギタリストには、指の短い人がたくさんいるのも事実)が、ササッ、とハイ・ポジションのフレットをすべり抜けます。
「1989」での柴山さんの間奏は、常にジャストでバシッ!とセーハ(1本の指で複数の弦を押さえる)するスタイルなのですね。
ギターのボディーは下山さんと比べるとかなり高く、胸に近い位置で構えています。ボディーの下に、光沢のあるシルバーグレイのスーツが見え隠れします。
数日前にカミさんが「カズさん、いっつもピタピタのパンツはいてるよねぇ」と言っていましたが、なるほどピタピタだ・・・。
ギターのフレットから少し上を見上げるますと。
おおっ、これは激しい!
「くあぁぁっ!」とやってる瞬間を見てしまいました。
それにしても今の柴山さん、顔の面積の半分くらいが髪の毛になっていますね・・・。
この日はジュリーも何度となく目の前に来てくれましたが、接近度で言うとジュリーよりも「1989」「ラジカル・ヒストリー」「マンジャーレ~」の3曲での柴山さんの方が近かったです。
セットリスト後半には笑顔連発の柴山さんでしたが、この曲の時はまだハードにキメていましたね~。
ジュリーのヴォーカルも凄かった・・・。
「プ、ラ、イ、ド♪」
と一句一句区切るように歌う時に頭を激しく振ったり、次の
「さぁ~♪」
では腕を胸の横あたりまでスッ、と引き上げたり。
動作ひとつひとつが歌詞に連動して、メチャクチャにカッコイイです。
あと、泰輝さんはベース音を弾いていました。ご本人の宣言通りに頑張ってます、泰輝さんの左手。
5曲目「届かない花々」
ステージと至近距離・・・唯一の不安は音響でしたが、その点びわ湖ホールは素晴らしかった!
「届かない花々」は、LIVE演奏がイントロからCD音源とはまったく違うイメージを持つ数少ないジュリーナンバーのひとつ。
CDでは”ゴースト”なスネア・ドラムとベースのアンサンブルがロン・セクスミスの「THESE DAYS」を思わせるちょっとした変化球。それがLIVEになると、真っ向勝負のストレートになる、という。
まずは下山さんのアコギの響きが心地よく胸に染み入ってきます。
そうそう、初日渋谷のレポで
「下山さんのアコギの見せ場は2番と3番の間の独奏部」
などと間違って解説した愚か者がいるようですが(僕です②)、正しくは1番と2番の間、でございます。
バンドの音はス~ッと耳に入ってくるけれど、この曲で僕の視線はジュリーから一時も離れることはありませんでした。
「魂」のフレーズで右の拳を握って左胸に当てるジュリー。その堂々たる体躯よ・・・。
いや、おかしな意味ではありません。
現に、アンコール前のジュリーは体型ネタで爆笑を誘っていたけれど、最前列から見て僕はジュリーを「太っている」などとは一度も思いませんでした。
とにかく地にしっかり足がついている。
堂々と歌っている。
視線がガッチリと決まっている。
この「届かない花々」や「涙色の空」、「我が窮状」といった曲では特にそう感じました。
サビ部では、ゆっくりと歩を進めてステージ左右端のお客さんの前で立ち止まって歌ってくれたジュリーに、何か言いようのない感動を覚えました。
おかしな話ですが、僕の位置からだと遠くなる下手側で歌っている時の姿の方が、この曲では強く印象に残っています。
真横に近い斜め角度から見るジュリーの背筋、足の揃え方、前髪の傾き方などは、本当に神々しいほどでした・・・。
6曲目「涙色の空」
ジュリーはびわ湖でも(初日以上に)、何曲かの演奏が終わった後で「鉄人バンド~!」と叫んでいました。
もちろんこの「涙色の空」でも。
生で聴く度に、ジュリーと鉄人バンドのバランスの美しさ、そのあるがままの形を究極に突きつめた名曲だと改めて感じます。
ソロツアーとしては3回連続でセットリスト入りを果たしたことからも、やはりジュリーにとっては特別な曲であると共に、自信作でもあるのでしょうね。
歌の出だし直前にジュリーは息を大きく吸うのですが、気負っている感じはまったく無くて・・・ビシ~ッ!と抜けるようなヴォーカルが、本当に自然に、何の無理も装飾も無く届く・・・本来”バラード”とはそうあるべきなのかも。
これは究極のジュリー・バラードですね。
びわ湖では、1番「愛をつらぬいて」の部分を、2番の歌詞「愛を真っ直ぐに♪」と先んじて歌ってしまいましたが、気づかないお客さんも多かったのではないか、と思えるくらい自然に歌声がス~ッと耳に入って、そして過ぎていきました。
「1989」や「届かない花々」ではジュリーにステージでの横の動きがあり、その分お客さんの視線もあちらこちらを彷徨う感じ。しかし「涙色の空」では、じっと息を飲み、ただただジュリーの立ち姿に見入るのみ。
もちろん僕も今回ばかりはそうしています。まったく目が離せないのです。
最後にキーが半音上がるダメ押しの転調部だけ、チラッと下山さんを見ました。
この曲のAメロはト短調というキーの関係上、すべてのコードをハイ・ポジションで押さえなければなりません。ト長調に近親移調するサビ部でも、ルート音が2拍ずつ音階を下げていく、という細かい表現が必要。
アコースティック・ギターはエレキと比べて握力が要りますから、毎回下山さんはこの曲で、首を大きく振りながらの熱演ですよね。
そんな中でも一番ガシッ!と握力を使う箇所は、「もろとも~♪」の部分です。ここが最後のダメ押し転調部。
普段は基本、前のめりになって弾く感じの下山さんですが、この部分だけは「えいやっ!」と背中を反らせて弾いていました。
7曲目「3月8日の雲」
え~と、度々。
初日渋谷のレポで、「GRACE姉さんのカウントが速かった」などと間違ったことを書いている愚か者がいるようですが(僕です③)、この曲にGRACE姉さんのカウントはございません。
鋭いフィル・インから演奏が始まります。
しかし・・・よくあの短いフィルだけで瞬時に最初の小節の頭を合わせられるな~、下山さん。
テンポは・・・う~ん、やっぱりCDと比べると速いような気がするけど、僕の思い過ごしかもしれない。初日に「速っ!」と少しの違和感を感じたことは確かですが、びわ湖ではそんな感覚は全然無かったです。
今ツアー、下山さんのアコギは本当にカッコイイです。
例えば、CD音源だとジュリーの歌メロが始まってからは「D7+9」の部分をコード弾きでジャカジャカやってるんですけど、LIVEではイントロと同じオブリガートを時折挟み込んだりしています。特に1番の最初の方なんて、ほとんどアコギ1本で伴奏をつけてるようなものですから、なおさら凄い・・・。
「誰かの、想像♪」から噛む泰輝さんのオルガンがまた・・・カッコ良過ぎる!
CDでは気づかなかった「切れ味」にヤラれました。オルガンの音なのに、打楽器のような鋭さ・・・シャキン!とブッた斬るようなタッチが素晴らしいです。
で、そんな泰輝さんの方をチラッと見ていたら、この時点ではまだ出番のない柴山さんの姿が目に飛び込んできました。キーボードの前から本来の柴山さんの立ち位置の間を、ひっきりなしに細かい足取りで歩き回っているのです。
その身体は、小刻みに縦に動いています。
「なるほど~」と思いました。「3月8日の雲」の柴山さんのパートの肝は、16分音符のカッティング。オルガン・ソロ直前の出番を待つ間も、16分音符の細かいリズムに身体を慣らしておかなければならないのですね。
きっと柴山さんは出番を待つ間
「ちゅくちゅくちゅくちゅく・・・」
と、絶えず頭の中で繰り返しているのではないでしょうか。それが身体の動きにも表れているのだと思います。
びわ湖でのこの曲のジュリーのヴォーカルは、ちょうどGRACE姉さんの”鬼姫ロール”が炸裂するブレイク部がとんでもないド迫力。
あと、初日もそうでしたが、「かしこい人はいい♪」と歌われる箇所・・・自分が言われているようで胸にきつく刺さります。いえ、決して僕が「賢い」という意味ではなくて、これは楽曲考察記事にも少し書いたことなのですが、この「かしこい人」というフレーズには、”震災の当事者ではない人””遠いところで言葉を弄している人”という意味合いが感じられるのです・・・。
ブレイク部の凄まじいジュリーのヴォーカルの奥で、ふと気づくと泰輝さんが険しい表情でコーラスをとっていました。
今回の新譜の収録曲のタイトル、クレジットが明らかになった時、ジュリーファンの多くは泰輝さん作曲の「3月8日の雲」を、バラードと予想したと思います。僕もそうでした。しかし予想は外れました。
ジュリーから「Pray for East Japan」のテーマを受けた泰輝さんが作ったのは、怒りと悲しみ、苛立ち、やるせなさ、無力感・・・そんなギリギリの感情が沸き出てくるような、ハードな楽曲だったのです。
ジュリーの歌詞が載って、改めて泰輝さんの胸に去来したものとは・・・。そんなことを考えさせられた、渾身のコーラスでした。
エンディングで、バンドの演奏がビタッ!と終わるタイミングに合わせ、キッと瞳を開いて首をやや上向きに、仁王立ちのジュリー。
険しい表情も・・・カッコイイです。
8曲目「恨まないよ」
またしても、です。
初日渋谷のレポで、この曲の出だしの前に下山さんが、「じゃ~ん♪」と歌メロのガイド・コードを鳴らした、と間違ったことを書いた愚か者がいるようですが(僕です④)、びわ湖で確認したところ、それは柴山さんの役目でした。
おっかし~な・・・。初日は確かに下山さんだったと記憶していたのですが・・・。
しかし、この曲のジュリーのヴォーカルは凄い。本当に凄い。CDの何倍も凄い。
CDで聴いた時も凄いとは思ったけれど、LIVEのそれとは比較にならない・・・それくらい凄いです。
僕がジュリーに惹かれる点のひとつに、”むき出しに自分を晒す、カッコをつけないカッコ良さ”というのがあります。
元来、ロックとはそういうものだと思っています。様式美などもってのほか・・・自分がどうすれば綺麗に見られるか、などというところからはかけ離れた魅力がなくてはならない・・・特にヴォーカリストは。
まぁジュリーの場合は実際綺麗だったから、その辺の話がややこしくもなるんですけどね。
とにかくロック・ヴォーカルとは・・・顔を歪め、歌に没頭し、ただ無心で声を出す。その志こそが真髄。
ことに、「恨まないよ」を含めた今回の新譜4曲はいずれも、そうしなければ成り立たない、という楽曲です。カッコをつけて歌おうなどとしたら、聴く側に受け入れられない・・・そんな曲だと思います。
その点、ジュリーの素晴らしさを何と表現すればよいのか・・・。
例えば。
びわ湖の「恨まないよ」の最初のサビ部2回し目・・・「きっと、きっと♪」のところで、最前列の僕からは、噴き出たジュリーの唾が2つの飛沫となって宙を舞い、ステージにゆっくりと落ちていくシーンがハッキリ見えました。
そのうちのひとつは透明なひとしずくの塊となって、ジュリーの靴先でライトを浴び、しばらくの間その存在を示していました。
これがジュリーだ。
だからジュリーはカッコイイのだ、と思いました。
だって、「恨まないよ」ってそういう曲でしょう・・・?
本当に絶望した時・・・”世界が終わるのを見た”というほどの人がその時に見せる顔とは、表情とは、取り繕った端正なものであるはずがない。唾を撒き散らしながら嘆き、吠え、訴えるでしょう。
僕などにはとても想像できないような、そんな状況・・・それが、ジュリーのヴォーカルからは言葉を超えて伝わってくるような気がします。
この曲のエンディングは、前曲「3月8日の雲」以上の唐突さを持って訪れます。
ブツッ!と糸が途切れるようなエンディング。その瞬間が近づく過程・・・バンドの音量が徐々に上がっていくのに呼応するかのように、ジュリーを照らすライトがゆっくりと焦点を絞っていきます。
まず足元が暗くなり、下半身が闇に消え・・・。
最後の1音と同時に、突如ジュリーの姿は完全にかき消え、すべてが暗転。
この照明の演出は、最前列でもしっかり確認することができました。近かったぶん、ゾクリ、としましたね・・・。
9曲目「F.A.P.P」
今ツアーでの新譜4曲について、初日は「恨まないよ」以外の3曲のテンポに若干の違和感がありました。
しかしびわ湖ではそれがまったく無くて。中でも一番違って聴こえたのはこの「F.A.P.P」でしたね。初日は柴山さんの単音がちょっと忙しそうに聴こえたんですよ・・・。
最前列の僕には後ろが見えません。ですからびわ湖のお客さんがどんな感じでこの曲を聴いているのか分かりません。
僕はこの曲の演奏中ずっと、ひょっとしたら一人きりなのかもしれない・・・裏拍の手拍子をしていました。そして、声は出さなかったけれど、口を動かしてジュリーと一緒に歌いました。
驚いたことに、まったくつっかかえることなく、歌詞が口から出てきます。
でも、そりゃあそうだ、と思い返しました。僕は今年の3月、何度繰り返してこの曲を聴いたことか。ジュリーがこの詞のフレーズひとつひとつにどんな思いを込めて作ったか、どれほど真剣に考えたことか・・・。
後にも先にも、あんなに必死になって記事を書いたのは、初めてのことでした。あれだけ集中して何度も吟味すれば、歌詞すべてが頭に叩き込まれ、忘れられないでいるのは自然なことかもしれません。
自分が正しい見解に至ったとか、詞の意味を完全に理解したとか、そんなふうには思っていませんが、ちょっと一段別の境地には辿り着けたと思っています。
テーマがテーマですし、他の事情も絡んで、詞の考察をするのには大変なエネルギーを使いました。でもそこまでして初めて味わえる良さがこの曲には確かにあります。
突き抜けた愛情を持てるようになった、というのか・・・。
そうすると、何のてらいもなくこの詞を口にすることができます。何の疑問も持たず、この複雑に入り組みながらも隙なくポップに計算され纏め上げられた、珠玉の柴山さんの作曲、メロディ-、コード進行に身を委ねることができます。
ちょうどジュリーが僕の位置から離れて下手側に歩いていった2番のサビ部、手拍子をしながら歌っていたら、ふと泰輝さんと目が合いました。と、その瞬間ジュリーの視線も感じました。
勘違いかもしれませんが、その時には「もっと近くで見られたいなぁ」なんて贅沢を思ったものでした。
「F.A.P.P」でのジュリーは、「届かない花々」と同じように左右のステージ端まで出張してくれますが、足どりが速く、ひとつところに留まっている時間も短いです。
びわ湖では、「終息してない」という部分で歌詞に詰まりましたがすぐに思い出して、早口で切り抜けました。そのわずかな「あっ!」という瞬間・・・ほんの数秒の、天井を見上げながら口を空で動かして言葉を探し求める様子がまた、何故かとてもしなやかに見えました。
身体の動きのある曲で歌詞を忘れている時の、ジュリーの「あっ」という感じで上を向く仕草って、カッコイイんですね・・・。
(この後セットリスト後半で、あと2回ほどそんな状況を体感することになるのです~)
10曲目「カガヤケイノチ」
この曲はオープン・ハイハットを絡めたフィル・インで始まります。テンポの問題もあって、「3月8日の雲」以上に頭出しが難しそうに感じますが、鉄人バンドの技量であれば余裕、なのでしょうか。
「逃げるのに必死だった」・・・。
この、聴く人が聴けば辛い記憶を呼び起こされ心を閉ざしてしまいそうなAメロ冒頭の歌詞が、奇跡のように涼やかなメロディーに載っていることに改めて感動を覚えました。
「maj7」のニュアンスを加味した下山さんの作曲は、やはり今回の新譜のフィナーレを飾るにふさわしいですし、ジュリーが載せた詞もまた、アルバムのコンセプトを最後に統括するにふさわしいと思います。
Mr.K様がコメントに書いてくださったように、僕もこの「カガヤケイノチ」はこの先のソロLIVEで続けて歌われていくかもなぁ・・・と考えました。
しかし今はまだ、今回の新譜収録の4曲をそれぞれ1曲の独立した楽曲として別々にLIVEで聴く、という状態が想像できません。
ツアーが終われば、そういう感覚からも解き放たれるのかな・・・。CDは絶対に通して聴きたい、ということにはずっと変わりないとは思っていますが。
Aメロの歌いだしの時点で、既にオクターブ上の高音から始まっているジュリーのヴォーカル。
そのせいでしょうか、ジュリーはやや上を向いた状態で歌い続け、「ぬくもりをあげたい♪」の箇所で初めて顎を引き、うなずくような仕草を見せてくれます。この時の表情は、優しさに満ちています。
曲が進み、2番のサビ。
CDで最初に聴いた時からそう感じていたのですが、ちょうどここでGRACE姉さんのドラムスがスネアのロールに切り替わり、そのためちょっと全体の音圧が下がるような感覚があるのです。スッと伴奏が退いて、ジュリーのヴォーカルだけがそのままの音量で残る、みたいな感覚。
で、LIVEでは・・・おそらくそんなアレンジを踏まえてのことでしょう。2番サビ部突入と同時に、下山さんが大きなモーションでストラップを外し、ゆっりとギターをチェンジするのです。
初日はその瞬間を覚えていなくて、間奏のリード・ギター直前で持ち替えたんだっけ・・・と考えていましたが、なるほど全体のアレンジの印象もしっかり考えてのタイミングでアコギの音を退かせていたんですね・・・。
もちろんそれはCDとは違った編成になっていますが、アレンジ効果はそのまま変わっていません。凄いことだと思います。
その間奏から、「音楽」の最も基本であるキー・・・ハ長調へと収束する「カガヤケイノチ」。
最後のサビではそれに合わせて・・・でしょう、歌詞もシンプルな形となり、ジュリーは「みんな、歌って」とばかりに右手を動かし、ステージの橋から端へと歩いてくれます。
僕は歌いました。左隣のお姉さん達が歌っているのも分かりました。会場全体のお客さんの声は聴き取りにくい席でしたから何とも言えないけれど、雰囲気は「みんなで歌っている」という感覚を味わえたなぁ・・・。
ジュリーの指揮は、「3拍子のタクトを振っている」と言うよりは、「トライアングルの絵を描いている」感じですね~。
角角きっちり!みたいな。
男らしいジュリーの筆跡を思い出し、指揮のゼスチャーもそれに似ているな・・・と考えながら見ていました。
~休憩~
LIVE同様、ここで少しだけまったりさせて頂きます。
公演後の連休にDYNAMITEが訪れた場所をご紹介~。
今回は、カミさんの実家に帰省がてらのびわ湖ホール参加。年一回の帰省を、と心がけておりますので、もし来年以降もジュリーのびわ湖ホール公演があれば、毎年それに合わせて、という恒例行事化の可能性もありますね・・・。
公演日には有給休暇をとり、続く土日はずっと、カミさんのご両親と4人で琵琶湖近辺をあちこち訪れ、ゆるゆると過ごしました。
21日の昼食は、クラブ・ハリエ(関西では有名らしいですね)系列のパン工房、『ジュブリルタン』さんへ。
琵琶湖沿いのお店で、すぐ近くに『鳥人間コンテスト』の開催場があります。
『ジュブリルタン』はフランス語で”ジュ・ブリ・ル・タン”(「ブリ」の部分の綴り忘れた・・・。最後の”le temp”ってのは大学の授業で何度も目にした記憶があれど、単語の意味はすっかり忘れていました泣)。ウエイターさんに尋ねたところ、「時間を忘れる」という意味なんだそうです。
夏野菜のラタトゥイユ。
バスケット山盛りのパン(おかわり自由!)と、サラダ。
右下のお皿にある黄色いのは、ジュリーファンなら思わず反応!のオリーブ・オイルでございます。
この他に、牛肉のトマトスープ煮込みもついた格安で美味しいランチでした。オススメです!
お腹がいっぱいになったところで、ほどない距離にある彦根城散策へ。
小じんまりとしている分、天守閣内部にも簡単に登れます。まぁ、本丸に辿り着くまでに結構急な坂道を歩くので汗ダクにはなりましたが・・・。
(クロネコヤマトのお兄さんが、大量の荷物を身体に縛り付けて登っていました。御苦労さまです)
天守閣から見下ろす彦根の街並みと琵琶湖。
ご存知、ゆるキャラの帝王・ひこにゃん。
この日は雨の心配があり室内でのパフォーマンスでしたが、恐るべし大人気。写真だと伝わり辛いですが、実際に見ると動きがマジでカワイイです。
ゆるキャラの真髄を堪能。中に入っているのは修行中の女優さんのタマゴなんだとか。蒸し暑い中大変ですね・・・。
さらに夕方には、安土城跡周辺を散策。
翌22日の日曜日の朝には、琵琶湖がちょうど蓮の花シーズンを迎えようとしているということで、カミさんご両親オススメのスポットへ。
本格的なシーズンにはまだ少し早いようですが・・・。
これほどの群生は初めて見たので感動です。
8月にはピンク一色になるのかな・・・。
ということで、そろそろセットリスト後半のレポに戻りたいと思います。
そうそう、当日の休憩中、左隣のお二人連れのお姉さまが話しかけてくださいました。男性が一人で観ているのが珍しかったのでしょうか。
「ジュリーはやっぱり凄いですか?」
とか
「いつからジュリーファンですか?」
と、尋ねてくださいまして・・・。
もちろん、「ジュリーは凄いです!」「ドーム堕ちです!」とお答えしましたよ!
それでは後半、開演です~。
11曲目「約束の地」
さて、休憩については賛否様々な意見をそれぞれのジュリーファンのみなさまがお持ちかと思いますが、前半ずっと着席のまま休憩へと移行した『BALLAD AND ROCK'N ROLL』の時と違い、今ツアーでは前半「そのキスが欲しい」からの第一のスタンディング・コーナーがあり、休憩を挟んで再び静かな楽曲からスタート、という構成。
セットリストの流れとして良い効果があったのでは、と個人的には考えています。
メリハリがあるし、ちょっと落ち着いたところでいきなり後半いきなりスタンディング、となるよりはむしろ引き締まっていたのではないでしょうか。
『BALLAD AND ROCK'N ROLL』では、お客さんが後半2曲目の「エメラルド・アイズ」で「もう辛抱たまらん!」とばかりに立ち上がった、という感じだったのに対し、今回はジュリー自身が「こことここでお客さんに立ってもらえれば・・・」と考えての構成のようにも思います。
これで、休憩1曲目に鉄人バンドのインストが復活してくれれば完璧なんですけどね・・・。
とにかく、後半1曲目が「約束の地」というのは素晴らしい!
僕は『ジュリー祭り』『奇跡元年』とこの曲を生で観ていますが・・・おそらくジュリーファンとしての少しばかりの成長によるものなのでしょうか、今回はセットリスト中で特に感動する1曲となりました。ツアー終了後の”セットリストを振り返る”コーナーでも是非採り上げたいナンバーです。
執筆日がちょうど『ジュリー祭り』記念日に合わせられそうな感じなので、現時点ではその日の執筆を目標にしています。
今はまだ、生であと数回この曲が聴けるという歓びに浸っていたい・・・。
人を愛する理由を「覚えてるから」とする、壮大なスケール。
これは覚和歌子さんの作詞ですが、後のジュリーの作詞作品「護られてるI Love You」での「大きな時間」というフレーズに繋がったテーマなのではないかと僕は個人的に解釈しています。
「ほどかれていく記憶♪」
と歌う時のジュリーには、近くで観ると本当に後光が射しているかのようでしたよ!
(おそらくライティングがそんな感じになっているのでしょう。8月渋谷が2階席での参加ですので、確認してきたいと思っています)
「林檎の種をまくだろう♪」
では、胸のあたりまで引き寄せた右手の親指、ひとさし指、中指の3本でパラパラと種をまくようなゼスチャーをしてくれたジュリー。
大地創造すら思わせるジュリーの立ち姿と歌声。大阪に参加された先輩が「約束の地」のジュリーが如来様のようだった、と仰っていたのも大いに納得、共感いたしました。
そして・・・この曲のLIVEは、何と言ってもエンディングです。
不勉強な僕は、この時のジュリーの一連の両腕の動きが、大きく2つの表現に分かれていることにびわ湖で初めて気がつきました。
まずは、永遠の時間世界そのものを表すかのように。
その後で改めて再び大きく腕を広げてから、今度は自らの祈りを捧げて終わるのですね・・・。
「楽曲が終わるまでのひとつひとつの呼吸までもがLIVEでのジュリーの表現」
なのだと、僕は一昨年の『秋の大運動会~涙色の空』で学びました。お隣の席にいらしたちこ様が、すべてのジュリーの表現を曲の最後の一音まで見届けてから拍手を送っていらっしゃるのに気がつき、そのおかげで開眼できたことです。
今ツアーでは、この「約束の地」がその最たる楽曲例かと思います。
エンディングで、鉄人バンドの素晴らしいコーラス・ワークに包まれ渾身の表現をするジュリーを間近で観られて、本当に至福の時間でした。
12曲目「君をのせて」
今回のセットリストは、大きく6つに分けられると思います。
まずは「SPLEEN~六月の風にゆれて」から「お嬢さんお手上げだ」までの、ロック・ショーの幕開けを告げるきらびやかな3曲。
続いて、ジュリーの”歌いたい歌”・・・そのセットリストのコンセプトを象徴し、新譜4曲への導入部とも感じられる「1989」から「涙色の空」までの3曲。
ツアー・タイトルでもある、すべての被災地へのジュリーの祈りを込めた、”組曲”とも言うべき新譜4曲。
そして休憩明け・・・「約束の地」から「時の過ぎゆくままに」までの、珠玉のバラード4曲。
これがショーの第4幕です。僕はこの第4幕のバラード群を”憑き物落とし”の4曲だと考えています。
”憑き物落とし”とはちょっと誤解を招きそうな表現なのですが、ちょっと説明いたしますと・・・。
これは京極夏彦さんの小説、『京極堂』シリーズで重要な役割を持つフレーズです。
『京極堂』シリーズ・・・憑き物が落ちる=事件解決、という図式の超絶ミステリー小説。
相当に売れているシリーズですから、読んだことがある方も多いでしょう。実際、3年前の大宮公演での打ち上げでは何故かその話題が出て
「京極堂を演ずることができるのは、世にジュリーただ一人!」
と主張する女性陣お二人の剣幕に、圧倒されたものです。
一応僕は
「ジュリーは榎木津、京極堂は沖雅也でどうだろう」
などと持論を展開し食い下がりましたが、却下されました(読んでない方、ワケ分からなくてすみません・・・)。
ちなみに僕がブログのサイドバーに表示している、過去記事地図のリンク・ブログのタイトル『伝授の檻』は、京極堂シリーズの4作目『鉄鼠の檻』をもじったものです。
このシリーズでは、人が抱えている鬱蒼たる思いや辛い記憶を、主人公が「憑き物(=妖怪)を落とす」ことできれいに祓います。
僕は「約束の地」から「時の過ぎゆくままに」までの4曲に、そんな雰囲気を感じるのです。新譜4曲の重さ(良い意味で、ですが)に共鳴したお客さんの悲しみを、ジュリーがゆっくりと祓ってくれているような・・・。
特に「君をのせて」です。
間近で歌うジュリーのヴォーカルに身を委ね、その表情に見入って確信しました。これはもう、根っからの「歌」だ・・・それ以上でもそれ以下でもなく、比するものなく、純粋に「歌」なのだと。
何の不純物も混ざっていない、「歌」。
この曲がジュリーのソロ・デビュー・シングルだったことの奇跡を感じます。ヒットはしなかったかもしれないけれど、これこそが永遠に輪廻する「歌」というものではないでしょうか。
そんな歌を歌う、運命に選ばれしアーティストが、ジュリー。
歌い終わって優雅にお辞儀するジュリーに”最初に選ばれし者”の至福を感じるのは、僕だけでしょうか・・・。
13曲目「我が窮状」
ゆったりと着席して聴く「君をのせて」で、何かが祓われたように思い・・・そこで続くのが「我が窮状」。
ジュリーのヴォーカルに、何の迷いもためらいもありませんね。
ピアノ1本と、鉄人バンドのコーラス。その究極に突き詰めた伴奏に身を委ねるジュリー。
僕はこの曲の「老いたるは無力を気骨に変えて♪」という箇所がとても好きです。大野さんのメロディーにもきれいに載っていますし、人間・ジュリーを受け止めることのできる歌詞。
ジュリーがとても近くに感じられる・・・「君をのせて」とは違うベクトルとは言え、これもまた純粋な「歌」なのでしょう。
大野さんの作曲は本当に素晴らしくて、3番サビ部のラストだけ1番、2番のメロディーとは違うというのも、まるでこの曲がピアノ1本で表現される宿命を最初から見越していたような完成度だと思います。
(厳密に言うと、1番と2番も違います。メロディーこそ同じですが、1番では「ド・ミ・ソ」の和音(=「C」)に着地し、2番では「ラ・ド・ミ」の和音(=「Am」)に着地しているのです)
3番のその部分・・・。
「許しあい、信じよう♪」と歌うジュリーの、優しくも力強く、それでいてまったく無理のないヴォーカルに、またひとつ憑き物が落ちたような気がした、びわ湖の「我が窮状」でした。
14曲目「時の過ぎゆくままに」
記述が前後しますが、この日のMCではテレビのあり方についても長々と語ってくれたジュリー。
「飲み屋に行くと・・・仲良くなってるわけでもないんだけど、顔なじみになってるから店のオヤジさんが『沢田さん、最近テレビに出ないね。やっぱりテレビには出た方がイイんじゃないかな~」』と言ってくる。
やましわい!(笑)
ワタシにはワタシのやり方があるんですよ。そんな、求められてもいないのにテレビに出てってどうするの?テレビに出なくても、充分やっていけるんです!」
いや・・・ファンとしては充分求められているように思っているわけですが、まぁそんなところから始まったテレビ談義。
その爆笑の内容についてはまた後ほどのMCの項で書かせて頂くとして、その中の話題から先にひとつだけ。
「ほら、よくやってるでしょ?後世に残したい名曲特集とかなんとか・・・。まぁワタシの曲もその中にはいくつか入っているわけですが・・・」
と。
テレビ関係での映像使用の打診には「どうぞどうぞ」と答えている、という話もありました。
まぎれもなく、その中の1曲が「時の過ぎゆくままに」。
実際びわ湖でも、イントロが始まると同時に「わあ~っ」というお客さんの声が会場に充満していましたからね・・・。
これは内容としては、とても悲しい歌なんですよね。
しかしジュリーの歌声にはそれ以上の豊かな感情があります。それは「世間に知られる名曲の宿命」とも言うべきものかもしれません。様々な人が様々なシチュエーションでこの大名曲に寄せている思いがあり、それを心得ているジュリーは、ひたすら無となり、「歌」だけに入りこみます。
想像すらできないことですが、もしこの曲を歌いヒットさせていたのが別の歌手だったら・・・リリースから数十年経って、ジュリーのような歌い方ができるのかなぁ、とふと考えるのです。
サビの「時の過ぎゆくままに♪」の「まま~に~」にヤケに力が入って、酔うような身体の動きで歌っている、誰ともつかぬ姿が目に浮かんでしまいます。
(この部分の「G→B7」という進行は、世界共通の泣かせ進行ですからね。同じ進行の有名曲は日本にも数えきれないほどありますけど、「ここ、イイとこだからしっかり聴いて!」とばかりに、大げさに歌う歌手が本当に多いのです。それはそれでパワーがあり好む人もいらっしゃるかと思いますが、僕の好みとは違います)
でもジュリーは、淡々と自然な感じで歌います。
その代わり、「いやだと泣いた♪」や、「指輪を見つめ♪」「ため息ついた♪」などの箇所で、小さな動きや僅かな感情を差し込んでいるように見えました。
いずれも、人の仕草が描かれている歌詞部なのです。このあたりが、ジュリーの「歌」に対する姿勢を象徴しているのではないでしょうか。こういうのもまた、「邪気が無い」ということなんじゃないかなぁ。
僕は今ツアーでの「時の過ぎゆくままに」を聴いて、初日に続き、今はジュリーから離れてしまった先輩を思い出しました。
今度のソロIVEで聴きたい、と仰っていた曲でした。
この、何もかもが祓われていくようなジュリーの歌声を、生で聴いて頂きたかったです・・・。
この曲が終わると、胸の中にあった暗いものがすっかり真っ白になっていて、「さぁ!」という気持ちになります。
つくづく完璧なセットリスト。この後に始まる第5幕は、「これぞジュリー!」という真夏のロック・ショー・・・ファンにとってはここからがいよいよハジけまくりのコーナーとなりますね。
隣のお兄さんの盛り上がりにも大いに期待しつつ、拍手をしながらも僕はすでに中腰です!
15曲目「ラジカル・ヒストリー」
初日の時点では、ここから特に何のアクションも無く怒涛の第5幕突入となっていましたが、みなさまのお話によると、その後の会場ではこのタイミングでジュリーの煽りが炸裂!と聞きましたので・・・びわ湖ではそれも楽しみにしていました。
ジュリーが煽りを入れるようになったのは、おそらく初日のお客さんの反応に起因するところが・・・。
「この曲なんだったっけ?立つような曲だっけ?」
といった感じのとまどいの雰囲気があったのです。会場一斉に揃ってすかさずスタンディング、とはいきませんでした。
イントロからおいっちに体操を繰り出すナンバーでその状況だと、やっぱりジュリーとしても違和感があったのでしょうね。「立っていくぞ!」の景気づけでお客さんをリードしたくなったのだと思います。
にしても、その煽りというのがまた・・・。
チラホラと噂は聞いておりましたが、びわ湖でも
「さぁ~!!ここから盛り上がっていく・・・かな~?」
思いっきり拳を突き上げて「盛り上がっていくぞ~!」とシャウトすると思ったら、最後は「かな~?」で軽く膝を折って愉快な斜め立ちに。
そして首をかしげるポーズ。
あの・・・なんだかとてもカワイイんですけど、ジュリー。
ただ、チーム最前列は「かな~?」より先にウォ~!と立ち上がっておりました。
本神席ともなると、やはりみなさまのおいっちに体操も激しいです。ついていきたい不肖・DYNAMITEですが、1番の時点では左肩の不安でとりあえず腕の上げ下げは軽め。その分ピョンピョン飛んでみました。
気のせいではないと思うのですが、Aメロ1回し目で、下手側に出張していたジュリーが遠くからこちらをチラリと見ました。
「ぐあ!」とたじろぎつつも
「また離れたところから~!」
と贅沢を思った瞬間・・・だったと記憶していますが。
ジュリー、2回し目Aメロ出だしの歌詞が飛んじゃった!
「ほにゃにゃ~、ほにゃにゃにゃにゃ~、にゃ~、にゃ~にゃ~♪
ちーく!ちーく!ちーく!」
と、適当なハミングでなんとかメロディーをなぞった直後の一人コーラス部(ここは「チーク」でよろしいのでしょうか・・・?)で気合を入れ手首を振って、その後のヴォーカルはかえって切れ味が増したようです。
サビ直前、ジュリーは勢いよくジャンプして後ろ向きになり指差しからの、GRACE姉さんの1小節ドラム・ソロ。
続く
「愛!」
で、一本指の右手突き上げです。
(最近の曲で言うと、「BAMBINO EXCUSE」と同じアクションですね。まぁ、「BAMBINO~」の方は足を開いてビタッと静止、「ラジカル~」は走り回りながらの突き上げ、という違いはありますが・・・)
最初のこのキメ部、僕はうっかり乗り遅れてしまいました。その後はすべて、必死で合わせましたけどね。
単音リードギターは基本的には柴山さんですが、時々バッキングを交代し、下山さんが弾く箇所もあります。ツイン・ギターの魅力、ここにあり!
で、エンディングでは”ギター兄弟の二人滝昇り”とも言うべき見せ場(二人とも、ガンガン音階を上昇させていくのです)があり、ジュリーのヴォーカルが終わってからは昇りつめる柴山さんを見ていました。
昇りつめる、と言ってもこの曲での柴山さんは「1989」のようなハードな表情ではなく、満面の笑顔が炸裂しています。
なんだかとても久しぶりのような気がします。柴山さんのここまでの笑顔は・・・。
そう言えば、この曲以降は泰輝さん(僕の位置からはズバリ正面)もニコニコしっ放しでした。
泰輝さんについて僕は、出番以外のところで笑顔、演奏中は真剣な表情、というイメージがあったのですが、それは誤った思い込みだったようですね・・・。
エンディングの演奏は徐々に迫力を増していきます。
かなり高い位置のフレットで演奏しているのに、ほとんど手元を見ずに首をタテノリにしながら、客席を見下ろす余裕しゃくしゃくの柴山さん。僕ら上手神席のお客さんは、バッチリ見られました。
これは隣のお兄さんのおかげかな?
僕は後で先輩に教えて頂くまで知りませんでしたが、お兄さんが着用していたのは、「おまえがパラダイス」の公式赤ポロなんですって・・・。それに気がつかない柴山さんではないでしょうからね~。
そうそう、2番からは、おいっちに体操にも無理矢理参加しました。いや・・・させられた、と言うべきかなぁ。
だって・・・ステージはもちろん、周囲のお客さんがメチャクチャ楽しそうなのです。完全にその雰囲気にのせられ暴れてしまった、という格好です。
この日の僕のお席は本当に、何から何まで恵まれていました・・・感謝。
16曲目「気になるお前」
初日と違い、この日はセットリストの全容を完全に把握して臨んだわけですが・・・。
この「気になるお前」の時点で、おいっちに体操はまだまだ序の口だとは承知しているのに、ペース配分などしている心の余裕は最早ありません。後先考えず、全力で暴れます。これも本神席の宿命でしょうか。
後先考えず突進しているように見えるけど、あれだけ動いて暴れていても、きちんと全体のペースを考えてのステージなのでしょうね。
『ジュリー祭り』のセットリストとパフォーマンスでそれはもう証明されているんだけど。元からして常人の域を超えているわけです。ジュリーの魅力、そして歴史を作り上げてきた要素の中に、優れた体力というものが大きくあったことは間違いなさそうです。
というわけで、イントロから暴れ放題のアクションを見せるジュリー。
おいっちに体操・・・腕を上下させる時には軽くジャンプしながらのゆっくりとした前進。そんな中、時折胸のあたりでクルクルと腕を回転させる動きを交え、その際には華麗に足を揺らしながら後ずさりすることが多いようです。この2つの動きでステージを所狭しと駆け回るのですね。
後ずさりのシーンは目の前でも観られました。短い演奏部、ちょうど下手側の端まで進出してくれていたジュリーが、客席に近いせり出した位置で、腕を回しながらサササッ!と僕らの前をバックでステージ中央に戻っていったのです。カッコ良かったですよ!
この曲がジュリーファンの先輩方に人気があるのも当然ですよ・・・。一度でも間近で「気になるお前」を歌うジュリーを観たことのある人ならばね・・・やっぱり”特別な曲”になってしまうでしょう。そのくらいのカッコ良さ。
鉄人バンド一人一人にハッキリした見せ場がある曲だというのに、僕はずっとジュリーを見続けていたくらいですからね・・・。
何度目かの「い!ま!のうちさ~♪」の時、またしても離れた位置からこちらを・・・。
ここまでの時点で、目の前に来てくれた時に限って前方席には目もくれない様子なのに(たぶん、いわゆる”トチリ席”の辺りを見ている)、離れると時折「目が合う」感覚がある・・・不思議な思いです。
まぁ、この曲のサビ部では隣のお兄さんと二人で思いっきり右手突き上げていましたから、離れて見渡すジュリーからすると、男性二人分の周囲との身長差のせいで、単にバランス的な眺めが面白かっただけかもしれませんが・・・。
「今のうちさ・・・好きなことをしていられるのは♪」
このZUZUの詞に、70年代とは違った新たなジュリーの解釈、意気込みがあったとしても不思議はないなぁ・・・。
ただ、これだけはハッキリ言えます。
この「気になるお前」をパワフルに歌えている限り、ジュリーはまだバリバリに元気だ、ということです!
17曲目「時計/夏がいく」
個人的には、ここからの4曲が今回のセットリストで最もハジけてしまう”真夏の運動会”コーナーです。
そのうちの3曲「時計~」から「マンジャーレ」までのLIVEシーンというのは、僕の中でちょっと特別な感覚があります。と言うのは・・・。
『ジュリー祭り』で本格的に堕ちた僕は、まず凄まじい勢いで未聴のCDを集めました。CDを聴き込めば聴き込むほど、それらに収録されている膨大な名曲群を
知らずにドームに参加してしまったことを後悔。何とか少しでも追体験したい、という思いからLIVE映像作品も少しずつ集めていくことに。
最初に購入したのが、『サーモスタットな夏』ツアーDVDだったのです。
何でも”最初に買った作品”というのはそれだけで思い入れが強くなるもので、僕はこの97年ツアー・セットリストの映像が大好きになったのでした。
それが今年、セットリストのハイライトとも言うべき配置で、3曲続けて歌われるのです。盛り上がらないわけにはいきません!
「時計/夏がいく」のジュリーのアクション・パターンは、前曲「気になるお前」と似ています。ただ、”おいっちに体操”の割合がやや少なく、かつゆったりと腕を1本1本しっかりと突き上げていく・・・どちらかと言うと『BALLAD AND ROCK'N ROLL』で観た「a,b,c・・・i love you」の動きに近い感じです(テンポ或いはギターリフの関係でしょうね)。
腕の突き上げがゆったりとしているせいか、一転して腕まきまき!の動作がかなり素早く見えます。グルグルと腕を回しながらの後ずさりは、猛獣のように感じられます。
ふと気づくと、GRACE姉さんの”鬼姫ロール”が炸裂しています。
97年ツアー映像の影響でしょうか、僕はこの曲のドラムスはポンタさんのイメージが強かったのですが、GRACE姉さんのロールは「ここ一番!」な感じで良いですね~。ポンタさんは、ノッてくると「TOKIO」とかでもロールしちゃうからなぁ・・・。それはそれで凄いのですが。
さて・・・ジュリーはこの曲で、僕が参加した日の『奇跡元年』と同様に
「傾いた木造の、古い洋館♪」
の歌詞が飛んでしまって、むにゃむにゃ~、と歌っていました。ジュリーにとってこの部分の歌詞は鬼門なのでしょうか。
よく考えたら、ジュリーは「日傘をさす人♪」や「会釈をしてる♪」の箇所では細かい形態模写を入れてきます。そういう部分は歌詞もスラスラ出てくる、ということなのかなぁ・・・。
歌詞に詰まったジュリーにハッとして、僕は思わず大きく口を開けて「ふ・る・い・よ・う・か・ん」と僭越ながらお知らせしようと頑張りましたが、ジュリーはマイクを抱きかかえて客席は一瞥もせず宙をにらみ、なんとか思い出そうと奮闘しておりました。
しかし、そんな歌詞忘れシーンを補って余りあるパワフルなジュリーのヴォーカルは、やはり自作曲ならでは。
そう言えば、今ツアー初日は沖縄慰霊の日でしたね。
ジュリー流沖縄ロックは、
「なんでこの泥臭いブルース進行がこんなにも爽やかで開放的なんだ」
と思わせる大傑作です。膨大なジュリー・ナンバーの中で似たタイプの曲が無い、唯一無二の名曲。
そしてこれは、『ジュリー祭り』の相方・YOKO君のダイブ曲でもあります。
彼は、僕が一人で参加した『奇跡元年』でこの曲を歌った、と知った時にとても悔しそうにしていました。
彼と二人で参加予定の今年の大宮公演が今から楽しみです。「お嬢さんお手上
げだ」「マンジャーレ~」、そしてこの「時計/夏がいく」では、興奮した彼に隣からボコボコに殴られることを覚悟して臨まなければなりません。
YOKO君が行けるかどうかは直前まで分からないですし、それ以前に大宮は抽選がありますし・・・まだ何とも言えないんですけどね。
びわ湖でジュリー運を使い果たしてしまったような気もするしなぁ・・・。
最後の最後、ドミナントの「C7」で2小節引っ張る間にジュリーが繰り出す”エイトビート交互猫パンチ”もしっかり一緒にやってのエンディング。
90年代のステージでは、オリジナル音源通りに直後の余韻演奏部も再現していましたが、『奇跡元年』同様今回のツアーも猫パンチからスパ~ン!と終わるヴァージョンの「時計/夏がいく」でした。LIVEでは、こちらの方がより良いかもしれませんね。
18曲目「サーモスタットな夏」
暑い時期に聴いてこそ、の今ツアー・セットリストの個人的目玉が、「時計/夏がいく」からこの曲へと続く夏メドレーです!
イントロ、GRACE姉さんのドラム・ソロ&下山さんのブラッシングが始まると、すかさず泰輝さんが両手を振りかぶって手拍子を煽ってくれました。
隣のお兄さんをはじめ、最前列のお客さんはすぐに泰輝さんに合わせていきますが・・・すみません、僕はこの曲のイントロはジュリーのサーフ・ロックなアクションを一緒にやりたいんですよね~。動きとしては「ダーリング」のイントロと紙一重なんですけど、2・1のリズムにすごく合っているんです。
さて、ジュリーと「目が合った」(錯覚かも、ですけどね)シーン、ここまでずっとわざわざ下手側進出時の遠い位置から見られてきた、とお話してまいりましたが、ここへきてようやくの至近距離で!
間奏でした。
「ジュ~ン!」
の雄叫びからリード・ギターの下山さんを呼び込むジュリー。下山さんはそんなに派手に前方までせり出してくる感じではないですが、横位置はセンターに近いところまでやってきました。その分、ジュリーが上手側に移動した場面があったのです。
ほとんど差し向かいでの横揺れ。でも一瞬でしたね・・・ジュリーは今ツアーでのこの曲の間奏は、横揺れオンリーではなく、動きを何パターンか変えてきているみたいです。初日も立ち位置を変えたりしていましたからね。
僕は位置的に一瞬でもジュリーとの逢瀬(←だから乙女かっ!)を楽しめましたが、この曲では下手側最前列のみなさまもうらやましかったです。
今ツアーではジュリーが「ジュン!」連呼していますし、過去のDVD作品を観てても「サーモスタットな夏」間奏ではジュリーは一歩退き、リード・ギタリストに決定的な主役シーンが配される、というのが通例のようです。
下手側神席のみなさまは、是非とも間奏の下山さんに向かって、BOKE BOKE SISTERSばりの「ヒラヒラ~!」を贈ってあげてくださいませ~。
19曲目「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」
この日一番盛り上がった、と言うか真っ白になった曲。
間奏部、ジュリーとギター兄弟が3人で上手側に進出し、ひとかたまりになるシーンがありますよね。でもこれは、初日の段階では無かったこと。
今ツアー2回目の参加となる僕は初体験・・・しかもそれが位置的にもズバリの本神席だったというわけです。
”おいっちに体操”を繰り出しながら間奏を心待ちにしていましたが、それまでにも素晴らしいシーンがたくさんありました。
ドキッとしたのは「女神の君がいる♪」のところ。
ジュリーはその直前にステージの上手側端まで進出していて、「ラ、ベ~ラ、ビ~タ・・・♪」でサッと中央に向き直ったのです。ステージ端で振り返った、ということはすなわち、ちょうど僕らの席のあたりを見る格好になっています。
その身体の角度のまま、手首を上向きに反した状態でひとさし指を優雅に舞わせ、「女神の君がいる♪」ときたもんですよ!
胸を射抜かれる、とはまさにこのこと。
そう言えば僕は一番の同箇所「自慢の君がいる♪」でジュリーへの指差しをうっかりしていました。宙に浮いているような感じで手拍子していて、瞬時に反応することができなかったのです。
周りのみなさんは、しっかりやっていらっしゃいました。
僕だけ遅れてちょろっと右腕をジュリーに向けたのは、ハタから見ると謎の動きだったでしょうね・・・。
さぁ、それでは間奏です!
これがまた・・・僕としては予想だにしていなかった展開になったのですよ~。
まずは柴山さんのマンドリンっぽいテーマ・フレーズが主役。この段階ではまだ「3人かたまってこっちに来た!」という感じにはなっていません。そうなるのは、リードギターが下山さんに引き継がれてからでした。
柴山さんのソロ・パートでは、ジュリーは”おいっちに体操”をしたりぴょんぴょん飛び跳ねたりしていました。この時点で柴山さんは僕のほぼ目の前のとんでもない至近距離に来てくれていたのですが・・・気になりながらも僕はジュリーを見続けてしまいました。
そうこうするうちにギター兄弟のリレーとなり、今度は下山さんの主役部です。
ここで、3人が完全にステージ前方で横並びに!
下山さんがほぼセンター。柴山さんは変わらず僕の眼前、ジュリーはササ~ッ!と上手端へ陣取ります。
この3人至近距離体制・・・こんなシチュエーションは二度とないかもしれません。
どうやって盛り上がろうか・・・方針を決めかねて焦りまくるDYNAMITE。動きは”おいっちに体操”でいいとして・・・リードギターの下山さんを見るか、それともこのままジュリーを見続けるか。
迷っていたその時。
「ガッガッガッガッガッガッガッガッ!」
と、頭上から凄まじい切れ味の爆音が・・・。見上げるとそこには
「俺のダウンピッキング鬼の48連打を聴けい!!」
完全な”どや顔”でこちらを見おろしている柴山さんが。
文字通り「見おろして」います。
だって、顔は上向きなんですよ。その状態で目だけが最前列の客席を見ているのです。
しかも、何という表情・・・あまりにも不敵な笑みをたたえています。これはちょっと抗うのは無理だ!
ということで・・・僕はこの「マンジャーレ~」の間奏、柴山さん主役部ではジュリーを見、下山さん主役部ではバッキングの柴山さんを見る、という状況になってしまいました。
楽しかった・・・。
考えてみると、この曲は全編、ギターのバッキング・パートがカッコイイんですよね。
Aメロでの下山さんの「ちゅくじゃ~ん♪」にも注目ですよ!
20曲目「君をいま抱かせてくれ」
初日はこの辺りで観ている方の体力を試されているような気がしましたが・・・その点、この日はさすがの本神席です。まったく疲れておりません!
その代わり、ふと気づいたら右足の靴紐がほどけております(そんなに暴れていたのか・・・)。
しかしこのタイミング、この席でしゃがんで結び直すわけにはまいりません。トコトン行くしかないのです。
この曲のジュリーはアクションの切り替えがハッキリしています。テーマとなる8小節の伴奏部(イントロもそうです)で、2小節ごとに”おいっちに体操”と”両手同時突き出し”を入れ替えているのです。これは「君をいま抱かせてくれ」独特のリズム・アレンジに呼応したもの。
伴奏部の3、4小節目と7、8小節目において、2、4拍目にかなり強い極端なアクセントがあるのがこの曲の特徴。ジュリーはそのアクセントを、力強く前に突き出す両手のパンチで表現しているわけです。
当然僕もジュリーのアクションについていきます。特に、生のバンド演奏にのせられて、パンチ部には気合が入ります。
両腕を豪快に突き出すためには、一度思いっきり肘を胸のあたりまで引きつけなければなりません。引きつける際に畳んだ肘が、何度か隣のお兄さんに激突・・・ごめんなさい(汗)。
それにしても・・・ここへきて、隣のお兄さんと僕の間に”通路”なんぞというものは完全に無くなっています。おっかし~な~・・・。
さて、某方面で何かと話題になっている箇所の歌詞について。
びわ湖、1番は無事に「数だけで女を語るような~♪」。
ところが2番ではまたしても、カズだけで男を語ってしまったジュリーなのでした・・・。
21曲目「明日は晴れる」
この曲については、「今のジュリーの歌が、リリース時と全然違って聴こえる」という先輩の言葉がとても印象に残っています。
ジュリーにも苦しい時があって、それを知っている先輩方がいらっしゃる。僕が堕ちてからのジュリーは、いつだって大人気。順調そのもの。うらやむべき60代・・・そんな良いことずくめの印象しかありませんから、なおさら重い先輩のお言葉です。
そこで考えるのは「明日は晴れる」というジュリー作詞・作曲のナンバーに、そもそもどんなテーマが宿っているのか、ということ。まぁいずれ楽曲考察記事でも突き詰めますけど、これはひょっとしたら、苦しみの中から生まれた曲かも知れないなぁ、と思って・・・。
うまくいかない日常、辛い出来事。具体的ではないにせよ、そこから「思い」が始まって、それでも「明日」は・・・という曲。
僕はツアー前、何とかジュリーに歌って欲しい、と切望した曲がありました。アルバム『JULIEⅥ~ある青春』収録の、「朝焼けへの道」。
絶望の中にいる人に、「きっと朝は来る」と語りかける曲。海のイメージともあいまって、多くのジュリーファンが「震災をテーマとする今度のツアーでは、是非この曲を」という願いを、先輩方のブログなどでも拝見したものでした。
セットリストの中に「朝焼けへの道」はありませんでした。ジュリーが採り上げたのは、もっと現実・・・目の前の一日一日だった、そんなふうに思います。
新譜4曲を擁する前半のセットリスト。対して後半の曲並びは、一見震災のテーマとは離れた、絢爛のラインナップのように見えます。
しかし、「約束の地」(=夜明け)に始まり「明日は晴れる」(=夕暮れ)に終わる一連の流れに、3・11以降の人々の生活へ思いを寄せるジュリーの大きなコンセプトを見ることはできないでしょうか。
本割ラストが「明日は晴れる」というのは、やはり特別な狙いがあるように僕には思われるのですが・・・。
苦しみを抜け、「明日は晴れる♪」と今にして”希望の思い”を歌う64才のジュリー。
雄叫びのシーンでは、長い長いシャウトが大きく2つの抑揚でのびやかに届けられます。圧倒的な「声」です。
染みますね・・・大名曲です。
ところで、初日のレポで「柴山さんのフィードバックがどの曲なんだかびわ湖で確かめてくる」と書きましたが・・・ごめんなさい、全然忘れてました。
いや、一瞬「ラジカル・ヒストリー」でソレっぽい音が耳に飛び込んできて「あっ、そうだった!」と思った時には間奏終わってて。
「今の、フィードバックだったかもなぁ。あと、”明日は晴れる”もちゃんとギター見ながら聴いてなくちゃな・・・」と思ったのですが、数十分後にはすっかり忘却の天才。
「明日は晴れる」でも、最初から最後までジュリーしか見ていないDYNAMITE。申し訳ありません・・・。
渋谷でリベンジできるかな?
~とにかく長いMC~
『ジュリー祭り』で堕ちて以降、ジュリーのLIVEに参加すること30数回となる僕ですが・・・この日のアンコール前のMCは、これまで体験してきたどの会場のMCよりも圧倒的に長かったです!
とにかく、お客さんの方がジュリーの口調から「そろそろシメね」と感じとっているのが雰囲気で分かるんですけど、そこからさらにジュリーは話を脱線させて・・・というシーンが数度。
何がそんなにジュリーを解放させたのか・・・。歯止めが効かないトーク、という感じでした。いやぁ抱腹絶倒でしたよ・・・。
びわ湖のお客さんはお行儀よくジュリーの言葉に耳を傾けていましたし、音響もすごく良かったですから、ジュリーがかなりゴキゲンだったことは確かでしょうね。
日数が経過し大長編爆笑MCの記憶も怪しくなってきていますが、本神席の至近距離でジ~ッと聞き入っていたせいか、色々と覚えていることは覚えています。
ここでは、僕が個人的に印象に残ったお話をできる限り書いてみたいと思います。
びわ湖公演が久しぶりということからか、まずは地域ネタ・・・「京都」に絡めての出身地ネタから入りましたね。
京都で育ち、(ある時期までは、公式にも)京都が出身ということになってたんだけど実は違うんだ、と。
「生まれは鳥取なんですよ。まぁ~、お金が無かったんでしょうね~。田舎までお産に行ったわけやね・・・」
ジュリーは”鳥取”という発音を「いかにもド田舎!」みたいな感じで面白おかしいイントネーションにして笑いを誘いましたが・・・鳥取出身の方が聞いたら気を悪くなさらないでしょうか・・・。
「で、生まれが鳥取ということは・・・自分の”出身地”は京都なのか鳥取なのか、どっちなのか・・・。ある日オヤジに尋ねました。どっちなんや、と」
「そら、鳥取やろ」
(いかにも、ミもフタもない、みたいなサラッとカン高い声での親父さんの声モノマネに、場内爆笑)
「そういうことで鳥取ですよ。その頃、まぁワタシも紅白歌合戦とかにね、出場していた時代でしたから(拍手)・・・出身地を正してもらってね」
「そうすると、歌っている画面の下の方に”出身地・鳥取県”とか出るわけですよ。でも生まれはそうでも、ずっと京都で育ったわけですからね。それを見た京都の友達が”間違うとるで!なんや鳥取って!”となるんですよ(笑)」
そして、京都で育った幼年時代を振り返って
「世間では今日あたりから夏休みですか?夏休みと言えばね、京都にいると泳ぎに行くとなったらまさにここ、びわ湖ですよ!小さい頃には何度も泳ぎに来ました。レスリングの選手が着ているみたいな、上下繋がった水着を着まして(笑)ね・・・。自分で言うのもナンですが、ま~~~カワイかったですよ!(笑、拍手)
人から、かわいいね!・・・とか、おとなし~ね!・・・とか言われるとワタシも幼心にその気になって、いっそうおとなしくしたりしてね」
「で、その頃はね、大きなびわ湖を海だと思っていまして、遠くを眺めながら、”あぁ、向こう岸はアメリカなんだなぁ・・・”と思っておりました(笑)」
ご当地サービスなびわ湖ネタを皮切りに、テレビの話やら何やらで・・・その時点でもう随分喋ったなぁ、という感じでしたが、MCのメインは”伝家の宝刀”とも言うべき、抱腹絶倒の体型ネタでございました。
いや・・・体型ネタというか、自分がいかに健全健康であるか、ということをああいう形で話してくれたんじゃないかな、と後になってから思いましたけどね。
それと・・・最近のジュリーって、LIVEのMCで自虐的な体型ネタを繰り出す時に限って、ちょっと痩せてる時・・・というイメージがあるんですけど、僕の気のせいかな?
まぁとにかくジュリーはいたって健康である、と。
「サプリばっかり飲んでる人と、そういうものとまったく無縁に生きているワタシと比べて・・・何か(健康度合に)違いがありますか?全然変わらんですよ」
と熱弁。
サプリを否定はしないが、あれはお守りみたいなもんだ、だそうです。
「だいたい、(サプリは)飲み始めたらずっと飲み続けなきゃいけない・・・それが狙いなんですから!」
それもまぁ良し。ただし、「お守りだ」くらいの気持ちでいた方がいいよ、というジュリーのアドバイス・・・といった感じですかね。
体型も・・・ジュリーからすれば「これが健康の証」くらいの考えなのでしょうか。
昔は何の努力もしないであの体型だった、とのこと。今さら努力してどうすんねん、ということのようです。
で、やっぱり大ウケだったのは、怒涛に話が繋がっていった”太った話”ですよ。
飲み屋さんの話は先にレポ本編で書いてしまいましたけど、何と言っても傑作だったのはタクシーの運ちゃんの話です。
タクシー乗ってたら、ほんの拍子に運転手さんがジュリーだと気づいたそうで。
「あれ?テレビに出てた人ですよね?そうですよね?うわ~、太ったなぁ。う~ん、太った太った」
”太った”の連呼だけで場内大爆笑というのも・・・。
「もう車から降りて通り過ぎようとしとんのに、わざわざ窓開けて(ノブをグルグル回して窓から顔を突き出す運ちゃんのモノマネ付)、ま~だ
”いや~太った太った”
と言い続けてるんですよ・・・」
冗談めかして「殺意を覚えました・・・」と言うほどまでにしつこい、タクシー運ちゃんの「太った太った」だったようですね~。
「まるで1日でこうなったみたいな言い方して!1日でこうなったら逆に凄いよ!」
と、プンプン状態の可愛いジュリーです(失礼!)。
細かった”あの頃”の自分に思いを馳せたのでしょうか、どのタイミングだったか忘れましたが、こんな話も・・・。
「ワタシは色素が薄いんです。昔はそれが功を奏しましたが、今は(色が薄いので顔色が悪く見える、ということなのでしょうか)・・・”大丈夫ですか?”なんて言われる」
でも
「だ~いじょうぶや!!」
と、僕の「大丈夫やフェチ」にズバリ!の包容力溢れる声でそう言うと、お腹をポン!という仕草です。
これは萌えた・・・。
あのお腹だから、「大丈夫」なんだそうですよ!
↑ 色素の薄さが功を奏していた(?)時代
「あぁ、タバコももう止められたんですよねぇ、なんて言われて・・・。そう、ワタシはタバコ止めてコレ(丸いお腹の誇示)ですからね!
これ、誰と比べてると思う?
(以下、自主規制の伏字入ります!
申し訳ありませんが、びわ湖参加のみなさまだけ、部分的なフレーズから当日の雰囲気を思い出して楽しんでくださいませ~)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やからね!
あ、知らないか!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まぁワタシの場合は何書かれても全然気に・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のはそっちやろ!!・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・「銀河のロマンス」は入ってなくてね・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「コケン」・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
点になってしまいました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・稽古やん!・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「流れるようなバラのかおり」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・こうして鬱憤を晴らしているんですよ!
あ、これは、ココだけの話やからな!
その代わり(さっきの)タクシーの運ちゃんの話は、誰に言うてもかめへ~ん!
「かめへ~ん!」
で、つ~ん!とマイクごと上を向いて”ここだけ話”を豪快に〆たジュリーに、もう大爆笑、大拍手の嵐です。
ホント、書けなくて申し訳ないんですが・・・僕は腹を2つ折りにして笑いましたよ!楽器やってる人にしか分からない擬音表現があったりしてね。
あぁ、ジュリーもバンドマンだなぁ、スタジオ入ってるんだなぁ、と思えましたし。
誤解の無いように書いておくと、”ここだけの話”にしても、それこそ邪気の無い豪快な、面白い話でしたよ。弟キャラ全開、という感じでした。
最後に、ジュリー自身が元気なだけに、ということでしょうか。「みなさまが心配です」と。
「どうか健康で、ワタシの70越えを見届けて頂きたい」
ということで長いMCもようやくシメです。
鉄人バンドの紹介。
「キーボード、大山泰輝!」・・・この瞬間にまだ慣れていないんですよね~。
初日に引き続いて「あ、泰輝さん、今年から苗字アリに戻したんだった・・・」と、ジュリーのコールを聞いて改めてハッと思い返したのでありました。
22曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」
ショーも大詰めの第6幕は、ロック色の強いエキゾティクス時代の大ヒット・シングル2曲でのアンコール。
大長編爆笑MCの後でも、見事な切り替えを見せてくれるジュリーです。
さて、生のジュリーをどう楽しむか、というのはファンそれぞれで違うと思いますが・・・僕の周囲のジュリー・ファンのみなさまの間に、密かに「関節フェチ」なるジャンルがあるようです。
まぁイイ男というのは身体の隅々まで、というジュリーの魅力を突き詰めての見方のようで・・・男性ファンにはなかなか至れぬ境地と思いきや、これは実は僕も辛うじて分かります。1曲限定ですけどね。
その曲こそがこの「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」。
初めて生でそれを感じた『ジュリー祭り』。膝の角度が完璧だなぁ、とその時点で思ったものです。
さらに間を置かず、年明けの『奇跡元年』でも体感。やっぱり見入ったのは、あの拳振り上げ部のジュリーの足の開きと美しい膝の角度でした。体重がやや左にかかるのがポイントなのでしょうか。真似しようと思ってできるものではないのですが・・・。
びわ湖では、そんなジュリーを至近距離で!
とにかくすべての一連の動作がカッコイイ。しっとりとセクシーなAメロ、「静」から「動」へと移行し、細かい歌詞に合わせたゼスチャーを織り交ぜながら身体を思い切り捻るBメロ。そしてサビのあのポーズ。
ジュリーは、いわゆる”誰もが知る大ヒット曲”を歌う際には自分自身も和んでいる、というかリラックスしているのかな?と感じさせることが多いのですが、「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」については、常に鋭い緊張感が伝わってきます。
この曲がタイムリーでヒットしていた時期の映像を観ても、ため息の出るほどの美しいジュリーだけれど・・・。どちらかと言うと、ちょっと立派な体躯の今のジュリーの方がかえってアクションが映える曲なのでは?と思ってしまいました。
サビ部でジュリーは、ステージの左右に寄って拳を突き上げることが多いですよね。
しかも、エキゾティクス時代の血が騒ぐのか、柴山さんの横でシャウトするのが気持ちいいのか(ヴォーカルに被さるギター・フレーズがカッコイイですからね)・・・上手側への進出率が高い高い!
僕も含め、上手寄りの神席周辺は狂乱状態でございます。
ラストの「ハイ!」も皆で一緒にキメました。
LIVEの後、CD音源でセットリストの復習をしていると・・・「約束の地」と「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」の2曲は、フェイド・アウトで曲が終わるのがなんだか不思議な感覚。それだけ自分の中で、LIVEアレンジの印象が強くなってきているのでしょうね。
23曲目「ス・ト・リ・ッ・パ・-」
時は、あまりにもはやく過ぎゆく・・・。
とうとう最後の曲になってしまいました。
ジュリーのLIVEはいつだって「えっ、もう終わり?」というくらい時間の経つのが早く感じる(『ジュリー祭り』の6時間半ですらそうだった)のだけれど・・・もう二度と無いかもしれないこの幸せな本神席でジュリーを見ていられるのも、あと僅か。
寂しいです。寂し過ぎます。
悔いは残すまい、と・・・イントロの時点で、これまで一度もやったことのなかった「朝でも、夜でも、真昼でも♪」の右手の振りに参加することを決意。
隣に頼もしいお兄さんもいらしゃるし、僕一人だけうまくできなくても構わない!とにかく燃え尽きる!の覚悟です。
で、やってみたら・・・な~んだ、分かった、分かりました。
これまで僕は腕の振る方向をずべて「右→左」の動作だと思い込んでいたのです。
「行って来い」の動きで良かったのか・・・。
ジュリーがいつもしなるようにやるものだから瞬時に腕を返して同方向でやってるように思っていたけど、見た目よりゆったりしているのですね、なるほど・・・(今さらです、ハイ)。
サビ以外では、みなさま2、4拍の手拍子をなさっていますが、僕はこの曲ではやっぱり横に揺れたい。
ジュリーの近くで柴山さんが何となく見えていましたし、ここまでステージが近いと自分がバンドの”横揺れ弦楽器隊”の一員になったような錯覚が・・・最高のショーのフィナーレです。
視覚的にはジュリーしか見ていませんでしたが、素晴らしい鉄人バンドの一体感を身体で受け止めているように思えました。しまいには、「俺のすべてを~♪」のトコでエア・3連符スネアドラムまでやってしまった(この箇所は横揺れが一瞬お休みですからね)・・・。
「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」に続いて、ジュリーは何度も上手寄りの位置に立ち止まってくれました。
セットリスト前半・・・例えば「そのキスが欲しい」のあたりでは下手側を重点的に攻めていたジュリーでしたが、後半は随分多くのシーンで、近くに来てくれたように思います。アンコールの2曲では特にそれを感じました。
最後は長いようで短いコード突き放しの余韻から、ジュリーが力強く拳を上げるのと、柴山さんのネック振り下ろしが同時。どちらかがバンドのエンディング音の合図になってるはずなんですけどね。
それにしても、柴山さんのゴキゲンなアーム・プレイも、音は聴いていたのに全然目で観られていません。あぁ、何てことだ・・・あんなにステージに近かったのに。「ス・ト・リ・ッ・パ・-」では柴山さんもかなり前方まで進出しているのは分かっていたのに・・・。
恐るべしは、至近距離ジュリーの吸引力。
至福の時間は、あっという間に終わりました。
楽しかった・・・その一言に尽きます。
色々なシーンがくっきり頭に残っている中で、一番忘れられないのは、「F.A.P.P」の途中、下手側からチラリとこちらを見てくれた(ような気がした)時の、優しそうな目です。
僕は若き日のジュリーを生で知りません。もちろん、『ジュリー祭り』以降の還暦越えのジュリーだって若い頃に負けないカッコ良さだと思っているのだけれど、びわ湖の望外の本神席で近くから見たジュリーの目はとにかく優しくて、慈父の瞳ようでした。年輪と貫録と寛容に満ちた、好々爺のような愛くるしい目だと思いました。「カッコイイ」と感じるよりも、「暖かい」「優しい」と感じました。
あの優しい目が忘れられない・・・。
こんなことを書くと「おじいちゃん、みたいな言い方はやめて」と思われる先輩方もいらっしゃるかと思いますが、僕にはそう思えました。それは、僕がジュリーファンとしてはまだまだ若造だからなのかもしれませんが・・・。
いやいや、返す返すも、この若造には過ぎた席でしたか。
右隣のお兄さんは若いとは言え、ジュリーファンとしては年季の入った先輩とお見受けしましたし、左隣のお姉さまは、帰り際に「またどこかの会場で」と声をかけてくださいました。
本当に、何から何まで恵まれた本神席でした。
おかげで、こんなに長いレポになってしまいました。
何とか今週末に迫った渋谷公演の前に書き終えることができ、今はホッとしています。
6月後半から楽曲考察記事を全然書いていないという状況も、拙ブログの主旨としては拙いと思っていますし、次回渋谷のレポは軽めの記事にしたいと考えています。
週末の渋谷では、これまでチェックできていなかった照明の効果や、上から見下ろす泰輝さんの2台のキーボードの音色の振り分け方などに注目するつもりです。
そして・・・遠くからジュリーの動きだけ見ていれば、脳内にはびわ湖でのジュリーのその時々の表情や仕草が浮かび上がってくるはずです。
そのくらいのインパクトを授かったびわ湖公演でした。
ただただ感謝。
いつも以上にとりとめのない大長文レポに日々おつき合いくださったみなさまにも、ひたすら感謝です。ありがとうございます!
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