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2012年7月

2012年7月23日 (月)

緊急のお知らせ

緊急のお知らせです。

7月22日の名古屋公演に参加された方で、リストバンドを失くされた方はいらっしゃいませんか?
新幹線改札近くの女性用トイレの洗面台に置いてあるのを見つけた先輩方が、相談の上、改札の駅員さんに預けてくださったそうです。
その際先輩方が、「ただのリストバンドではない、沢田研二さんからファンに配られたとても大切なものだ」と、駅員さんにしっかり説明してくださったようです。

お心当たりの方は、新幹線名古屋駅の落し物として問い合わせてみてくださいね。

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2012年7月15日 (日)

THE BEATLES 「LET IT BE」

拙ブログではまだ一応、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』セットリストのネタバレ禁止体制が続いています。

解禁は、
びわ湖レポートからの予定。
それまではジュリー・ナンバーの楽曲考察記事も更新お預け状態ですが・・・今日は、ジュリーも何度か歌ったことのあるビートルズ・ナンバーについて、突然猛烈に書きたくなったもので・・・久々に更新いたします。
お題は「レット・イット・ビー」でございます。
畏れながら、伝授~!

本日、CS放映された、『七人の刑事』(78年版)第4話・「ひとりぼっちのビートルズ」を観ました。

僕は『七人の刑事』のドラマ自体、初見でした。
1978年と言えば、僕の育った田舎ではまだ民放が2つしかなかった時代。そんなド田舎ではドラマそのものが放映されていなかったのか、それとも僕は裏番組を観ていたのか・・・とにかく、『七人の刑事』に新ヴァージョンのクールが存在したことも今回初めて知りました。
三浦洋一さん(僕にとっては『池中玄太80キロ』のヒデさん)が、若手刑事役でレギュラーだったんですねぇ・・・。

Letitbe8

刑事ドラマというのは基本、数人のレギュラーチームの中から毎回誰か一人にスポットを当て主役とするのが脚本の常套です。
ところが『七人の刑事』が異端なのか、それともこの回が特別だったのか、ようやく一話だけ観たきりの僕にはまだ分かりませんが・・・「ひとりぼっちのビートルズ」は、完全に犯人役のジュリーが主を張っていますね。

「ひとりぼっちのビートルズ」は素晴らしい作品です。
あらすじの予習もせず・・・カミさんが録画してくれたものを「ま、一応」という感じで朝食後に一緒に観始めたのですが・・・。
グイグイと引き込まれました。

どのように素晴らしいかと言うと

”沢田研二”にただならぬ愛情を持つプロフェッショナルと、”ビートルズ”にただならぬ愛情を持つプロフェッショル・・・それぞれの崇高な志がガッチリ噛み合っている

ということなのです。
”沢田研二”にただならぬ愛情を持つ方面のお話については、いつもブログを読んでくださるみなさまの方が僕などより何倍も深くご存知でしょう。
上半身裸で仰向けに横たわるシーン

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や、「初めて酒を飲んだ」回想シーン

Letitbe4

など・・・犯人役をジュリーが演じていなければ、そして長谷川さんが書いていなければあり得ない脚本かと思いますが、その辺りはたぶん、たくさんの先輩ブロガーさんが数日中に大いに語ってくださるだろう、と推察いたします。
ですから僕はこの機に、この作品に込められたビートルズへの深く正しく強い愛情について語っておきたいと思います。

ひとりぼっちのビートルズ」・・・タイトルに堂々と”ビートルズ”を掲げるくらいですから、生半可な挿入歌や仕掛けでは、ビートルズ・フリークの僕としては到底納得はできないわけで・・・。
この作品には何よりもまず”ビートルズ”を掲げて恥じない愛情があり、長谷川さんの脚本に応えるだけの細かい演出、小道具もあり、その点大いに共感、引き込まれるものがありました。
当時の状況を何も知らない僕は、先輩方に教えて頂きながら色々とネットでその辺りを調べました。

まず・・・音楽担当は樋口康雄さん。
少し前に「ダメ」の記事を書いた際、先輩から芹澤廣明さんにまつわり『ステージ101』という番組をコメントにて逆伝授頂きました。
ジュリーを勉強していくと、こういう一見些細なことが後々別の線から繋がってくる、という楽しみが多いのですが・・・樋口さんについてもそうでした。樋口さんは、『ステージ101』で、”ピコ”の愛称で親しまれていた方だったのですね。

樋口さんが「ひとりぼっちのビートルズ」に投入したナンバーは、「レット・イット・ビー」。
1曲に絞ったのは大正解だと思います。

劇中で、3つの「レット・イット・ビー」が流れます。
まずは、ビートルズのオリジナル・ヴァージョン。前半部には、何度も何度も念を押すように流れます。犯人役の孤独な世界観を視聴者に植え付けているのです。
しかし、物語が加速する後半部ではピタッと流れなくなります。計算してのことでしょうね。その効果で、最後のジュリー・ヴォーカルのヴァージョンが生きるのです。

で、そのビートルズ・ヴァージョンについてですが・・・。
これはアルバム・ヴァージョンです!!

後に映画『悪霊島』でビートルズの「レット・イット・ビー」が主題歌に採り上げられたりしますが、こちらはシングル盤のヴァージョン。
一般的に何かの創作作品で「曲はレット・イット・ビー使おう!」となって音源調達すれば、まぁ普通に考えればシングル・ヴァージョンがまず最初に手配されるでしょう。
そして、製作者に特に曲に対する思い入れがなければ、そのままシングル・ヴァージョンが使用されるでしょう。それが自然な流れです。

しかし、「ひとりぼっちのビートルズ」で使われたのは、アルバム『レット・イット・ビー』からのヴァージョンでした。
わざわざアルバムヴァージョンの方を選んだ、ということなのです。樋口さんの特別な思いがそこにあったことは、明らかです。

ヴァージョンとして有名なのは・・・街中でふと流れているのを耳にすることがあるのは、もちろんシングルの方。
と言うより、ヴァージョン違いがあることは、ビートルズファンでなければそうそう知らないかもしれませんね。

例えば現代・・・何かのTVドラマで、ジュリーにただならぬ愛情を持つスタッフがたまたま制作を任されているものがあったとして、作品の挿入歌に「サムライ」のアルバム・ヴァージョンの方が使用されていたら、ジュリーファンのみなさまは「おおおっ!敢えてこっち?!」と思うでしょ?
それと同じことが、「ひとりぼっちのビートルズ」に言えるのです。

ビートルズ「レット・イット・ビー」の2つのヴァージョンは、ミックス以外だとジョージ・ハリスンのリード・ギターが大きく違います(その後、『ネイキッド』で第3のヴァージョンも公式リリースとなります)。

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美しさ、丁寧さを押し出した、シングル・ヴァージョンの間奏部スコア。
シンコー・ミュージック刊バンドスコア『ビートルズ/パスト・マスターズ1&2』より。


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荒々しさと野性味を主張する、アルバム・ヴァージョンの間奏部スコア。
シンコー・ミュージック刊バンドスコア『ビートルズ/レット・イット・ビー』より。

無難に、行儀よく纏めているのはシングル・ヴァージョンですが、アルバムで採用された、猛々しく破天荒なギブソン・レスポール・ファズのヴージョンはビートルズ・ファンの間で人気が高いです。
(このリード・ギター部、作品の中では

「野球やってんだろ、巨人戦!」と、車内に「レット・イット・ビー」のカセットを流し続けるジュリー運転手にイチャモンつけるおじさん

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など、ジュリーが様々な人達を日々乗せてタクシーを走らせる日常を切り取ったシーンに流れている時が、一番聴きとりやすいかと思います)

Letitbe6_2

僕も含めて、「レット・イット・ビー」の間奏はこの音でなければ!とこだわりを持つ人も多く、樋口さんもそのお一人だったのではないでしょうか・・・。

その樋口さん自身が演奏したという、ピアノ・ソロ・ヴァージョン。それが「ひとりぼっちのビートルズ」での第2の「レット・イット・ビー」。
ストーリーが大きく動き出した後半、回想シーンで使われましたね。自ら哀しい死を選んだ女性ディスクジョッキーに対する犯人のひとりよがりな愛情・・・そんな視点に合わせたような、ジャジーなアレンジになっています。
単にピアノ1本でカッコ良く弾いてみた、というのではなく、作中の進行に合致したアレンジになっているのが素晴らしい、と感じました。

そして第3の「レット・イット・ビー」は、もちろんジュリーのヴォーカル・ヴァージョン!
ジュリー演ずる犯人が復讐を全うし、身投げして命を断った後の、本当のラストシーンにて流れました。
流れるのは劇中ただの1回。しかもこのドラマのために樋口さんがアレンジし、ジュリーがそれに合わせて歌を吹き込んだという・・・なんで贅沢な時代なんだ!!
ジュリーの声のあまりの邪気の無さに、何十年経った今のジュリーが確実にリンクするのが凄いです。

また、樋口さんはじめスタッフさんの志の高さよ。
普通、ビートルズの「レット・イット・ビー」をジュリーが歌う、とかなったらもっと力んだりゴージャスに装飾したり、何かプロモート絡めたりするものでしょうに・・・そういう邪気が一切無いというのは・・・。
愛あるプロフェッショナルの仕事、としか言いようがないですね~。

ジュリー演ずる犯人の部屋に飾ってあるビートルズ関連のポスターについても、語ろうと思えばいくれでも語れるのですが・・・じゅり風呂の領分から外れてしまいますからねぇ・・・。
ほんのひとつだけ、一番その当時の時代背景を感じさせるアイテムについて語ります。

部屋の一番奥に、ウィングスのアルバム『LONDON TOWN』の大きな販促ポスターが貼ってあるんですね。

Letitbe3

『LONDON TOWN』がリリースされたのは1978年。つまり、「ひとりぼっちのビートルズ」制作時においては、最も新しいポール・マッカートニーの作品、ということになるんです。
街のレコード屋さんでタイムリーなLPを買うと、ポスターがついてくる・・・大らかで、良い時代でしたね・・・。

それにしてもジュリーの「レット・イット・ビー」。この時にフルで歌ったテイクは何処かに保存されているんでしょうかねぇ。
是非とも何らかの形で陽の目を見せて頂きたい、素晴らしい音源だと思いますが・・・。

『七人の刑事』では、「哀しきチェイサー」という回でまたジュリーの出演があるそうで・・・そちらもCS放送されると思いますが、ある先輩が仰るには「この時の”探偵~哀しきチェイサー”も(CDとは)別ヴァージョンだったような・・・」ということですのでまたまた楽しみですね。

それでは次回・・・ネタバレ解禁のびわ湖レポートでお会いしましょう!

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