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2012年6月

2012年6月25日 (月)

え~、セットリスト・ネタバレ自主禁止期間中につき、楽曲考察記事の更新をしばらくお休みさせて頂いております拙ブログですが。
本日はせっかくのおめでたい日ですので、先輩方に倣い、簡単な記事をupしようと思います。

ジュリー、64歳のお誕生日おめでとうございます!

しかし、本当にもう64歳にもなるのですか、ジュリー?
あのパワフルなステージは。
あの力強いヴォーカルは。
とてもとても、そんな年齢を迎えようとしているようには思えませんでした。

・・・と、ネタバレ我慢中のみなさまには、大変ムキ~!なことを書いていますが・・・本当にそう思ったもので。

みなさま・・・ネタバレ我慢、頑張ってくださいね!
僕はside-Bの方に初日のレポを書き始めていますが、例によってゆっくりじっくり進めていますから、すぐに追いつけますよ~。
現時点でまだ2曲目までしか書いていません。
2曲目というのはね・・・下山さんがずずい、とステージ前方にせり出してリード・ギター弾きまくる曲ね!
さぁ、どの曲でしょうね~?
(←ドS)

ともあれ、ジュリーは64歳を迎える今年も、考えられないほどパワフルに、考えられないほどお茶目に、考えられないほど一途に、相変わらずの素晴らしいステージを見せてくれています。

これからも、ジュリーがずっと歌い続けられますように。
ジュリーの望むことすべてが叶えられますように。

ジュリーの夢は、ジュリーファンの夢ですね。

今一度。
お誕生日おめでとうございます!

Poem112

Poem32


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2012年6月22日 (金)

恒例のお願いです!

いよいよです。
『3月8日の雲~カガヤケイノチ』
(upしてから数十分ほどの間、ツアータイトルを『3月8日の雲~3月8日の雲』と書いて晒してました恥。どれだけ浮ついてんの!ということで許して~汗)全国ツアーが、23日渋谷公会堂を皮切りに、いよいよ始まります!
果たしてどんなセットリストになるのでしょうか。

さて今日は、ジュリーのツアーの度に毎度お馴染みとなっております、恒例のお願いにあがりました。
老虎ツアー途中から拙ブログをご覧のみなさまにおかれましては、「何のこっちゃ」だと思いますので、再度説明させて頂きますと・・・。

拙ブログでは、「自分の参加会場の当日まで、セットリストは知りたくない」派の大勢のみなさまのため、しばらくの間セットリストのネタバレ禁止体制に入り、楽曲考察記事の更新もお休みいたします。セットリストを知った状態で執筆すると、生で聴いたばかりの曲とそうでない曲とでは、どんなに取り繕っても、読者のみなさまには雰囲気で判別がついてしまうと考えるからです。

では、その間ジュリーの話題をどうするのか、と言いますと・・・。
実はDYNAMITEには、運営しているブログがもうひとつございます。その名も


dynamite-encyclopedia(side-B)

と申しまして、これは、多くのジュリーファンのみなさまが自らの参加公演当日まで必死にネタバレ我慢をなさっている間、既にツアー参加体験済みの方々と一緒にコソコソと内緒で盛り上がろう、という・・・ただそれだけのために作られたブログです。
今回も、初日渋谷公会堂のLIVEレポートはそちらに執筆することになります。

ネタバレ解禁日につきましては、「おそらくここまではネタバレ我慢を敢行するファンがいらっしゃるのでは?」との推測に基づき、7月22日の名古屋公演終了時とする予定です。
僕はその直前のびわ湖に参加しますから、記事更新タイミングとしては、びわ湖レポート執筆開始を持って、解禁とさせて頂くことになると思います。

ネタバレ我慢をお考えの多くのみなさま、心よりご健闘をお祈りいたします。
大丈夫・・・この堪え性の無いDYNAMITEだって、昨年お正月は10日間の苦しみを耐え抜くことに成功ました。その甲斐あって、素晴らしい感動のステージに出逢えたと思っています。

逆に、「事前にバッチリ予習していきたい」とお考えのみなさまは、是非side-Bをご活用くださいませ。僕のレポはともかくとして、先輩方が色々な観点からLIVE感想のコメントをくださるはずですから・・・。

しばらくの間は、右サイドバーの一番上にリンクも用意しておきますね。
明日の初日公演から帰還してすぐ何か叫びたい!興奮が抑えられない!というみなさまのために、今回も簡単な記事をupしておきましたからね~。
明日の僕の帰宅はおそらく深夜で、翌日まではpcに向かわないと思いますが、その間にもどしどしコメントを溜めておいてくださいませ~。

よろしくお願い申し上げます!

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2012年6月19日 (火)

沢田研二 「勇気凛々」

from『俺たち最高』、2006

Oretatisaikou

1. 涙のhappy new year
2. 俺たち最高
3. Caress
4. 勇気凛々
5. 桜舞う
6. weeping swallow
7. 遠い夏
8. now here man
9. Aurora
10. 未来地図

--------------------

(後註:すみません!書き忘れておりましたが、この「勇気凛々」は、だいぶ以前にお一人の先輩からリクエストを頂いていた曲でございます。お待たせしてしまいました。ありがとうございました!)

来ましたね!
武道館のDVD。見事な巨大プチプチに守られて・・・。
これで週末までゆっくりと楽しめます。改めてじっくり映像を観てみると
(DVD到着の報を受け、台風をダシに仕事を早めに切り上げ帰宅してしまった汗)、自分の武道館レポ執筆時の考察が甘かったり、間違った認識をしていたり・・・と、色々なことを思いますが。
まぁとにかく・・・全曲収載、MCやオープニングまで徹底してカット無し、というのが素晴らしいです。

そして・・・DVDを楽しんでいるうちに、週末には遂に『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアー初日がやってきます。
拙ブログでは”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズということで、ここまで4曲をお題に執筆してきました。
今日の5曲目がシリーズ最終回。
初日まではもう待ったなし!果たして・・・1曲くらいは的中し盛り上がりまくることになるのか、はたまた何度目かの”予想全敗”となり、改めてジュリーの懐の深さに感じ入ることになるのか・・・。

セットリスト予想のラスト1曲は、アルバム『俺たち最高』から「勇気凛々」を採り上げます。
伝授!

「勇気凛々」・・・震災後初のソロツアーとなる今回のセットリストとしては、それは逆にベタベタ過ぎる予想だなぁ、とみなさまお思いでしょうか・・・?
僕自身、そういう感覚が無いわけではありません。
「勇気を、元気を」とか、そういう事は一切言葉にして言わないジュリー。それがいかに自然であるかを、ジュリーファンは知っています。復興についても、「頑張らなくていい。少しずつゆっくりでいい」と言ってきたジュリーです。

ただ、ジュリーは今回、純粋に自分が歌いたい歌をいつものように選んでくるはず。
とすれば、被災地の人への思いを重ねることのできるテーマを持つ曲も、いくつかジュリーの頭に浮かんでいると想像します。そんな中の1曲として、僕は「勇気凛々」を考えたのです。
まぁ、この曲をセットリスト予想のトリにしようかな、と考えたきっかけは・・・実はちょっとした連想からだったのですが、まずはその辺りから書いていきましょう。

歌の流行りというのは、いわゆるヒットチャートを賑わす様々な新曲群ばかりのことではありません。その時期の新たな流行、ヒット曲とは別に、何かをきっかけとして既存の曲が突然グ~ッと世間の話題、ニーズとなる場合もあります。僕は仕事柄、そういった既存楽曲の再ブレイクには常に注意を払っていなければなりません。
そして、あの震災をきっかけとして明らかに需要、問い合わせが急増し、1年以上経った今なお多くの人に求められ続けている、そんな曲が確かにあります。
僕が肌で感じたのは、3曲。「震災後」ということで言うと、この3曲は本当に抜きんでていたのです。

まずは、坂本九さんの「上を向いて歩こう」。
最近では、徳永英明さんがカバーするにあたってのテレビでの旅の企画と併せ、この曲の魅力が深く掘り下げられていました。

次に、童謡「ふるさと」。
日本人ならば皆知っているあの曲です。「ふるさと」という言葉の響き、その言葉に寄せる人々の思いは、あの日以来大きく変わりましたね・・・。

そして3曲目・・・これはみなさま意外なところかもしれませんが、前述の2曲に負けず劣らず、震災を機に急速に歌われ、聴かれるようになった曲です。
「アンパンマンのマーチ」。
アニメ番組『それいけ!アンパンマン』の主題歌ですね。有名な曲でご存知の方も多いでしょうが、少しだけ歌詞を書きだしてみましょう。


いまを生きることで あついこころもえる
だからきみは行くんだ ほほえんで
そうだ うれしいんだ 生きるよろこび
たとえ むねのきずがいたんでも

この曲が震災後に絶大な人気を博したのは、計画停電中のラジオ番組でオンエアされたことがきっかけだったと言われています。
停電で真っ暗な中おびえる子供達が、この曲がラジオから流れると一緒に歌い出した・・・そんな一般家庭のエピソードから始まり、改めて曲のすばらしさが多くの人に再認識されたようです。かく言う僕も「こんなに素敵な曲だったか!」と感動させられた口です。

で、「アンパンマン」と言えば・・・超有名アニメの中でももう本当に名曲の宝庫と言うべき番組なのですが、おそらく「アンパンマンのマーチ」の次に有名な曲で、ズバリ「勇気りんりん」という、にぎやかで楽しい曲があるのです(多彩な登場キャラクターを愉快に次々と紹介していく、というスタイルの曲になっています)。
タイトルの一致もそうなのですが、この曲のシンセサイザーの使い方が、正にベースレス路線を打ち出し勇躍リリースされた『俺たち最高』の音とすごく似通っているんですよ~。
特に「勇気凛々」のフェイク・ホーン的な音色と・・・。

そんなわけで、アンパンマン主題歌の震災後の人気のこともこの機にみなさまにお話したいし、「よし、それにも引っかけて予想のトリはこの曲で行こう!」と考えた次第なのでした。

それでは、一筋縄ではいかない複雑な進行ながらも耳当たりが朴訥、という名曲・・・ジュリーの「勇気凛々」の考察に移りましょう。

まずは、ジュリー・ナンバー史上、双璧とも言える”変テコなコード進行の曲”が、何と2曲ともアルバム『俺たち最高』収録曲!と、いうことから語ってまいりましょうか。
その2曲とは・・・。

ひとつはもちろん今日のお題の、大御所・ミッキー吉野さん作曲による「勇気凛々」。
方や、すでに記事執筆済・・・ジュリー作曲の「遠い夏」。

2曲ともに、なんだか常にじりじりと上昇する感覚と言うのか、まぁ無理くりに和音が上がっていく、という特色があって、調の特定すらおぼつかない箇所が出現する・・・共通項はとても多いです。
(「勇気凛々」の場合は、#4つのホ長調を基本とし、途中で#1つのト長調に転調する、という表記がスコアとしては最も適切な解釈でしょう)

ところが!
「勇気凛々」は鍵盤に特化し、「遠い夏」はギターに特化した作曲作品になっている、という正に作曲者のキャリアをそのまま反映させた、大きな相違点があるのです。
「遠い夏」については以前の記事をお読み頂くとして、それでは「勇気凛々」のミッキーさんの作曲手法についてはどうでしょうか。

ここでスコアの話をしますと・・・世のコード譜というのは、どちらかと言うとギタリストが使用して真価を発揮するスコアで、アルファベット一目だけで色々な引き出しを開けられるとても便利な表記なのですが・・・それも楽曲によりけりだなぁ、と考えさせるのが「勇気凛々」というナンバー。

♪ 勇気凛       々 
  E     Esus4  E   Esus4

  ハッピ ーだと
  DonA    D    C#  C#onC

  早起きしちゃうから もっと歩こうよ ♪
  DonB    E              DonB    E

Aメロはこんな感じでコード表記するのが精いっぱいなんですが、アルファベットだけでは表現しきれない部分がたくさん残されてしまいます。
だいたい、ギターで「C#onC」のコードとか、完璧に押さえるには指6本でも無いと無理だし・・・。要は、複数のトラック・アンサンブルで和音がこうなってる、というだけのことで。
他でも、例えばイントロから引き続いている

「E」→「Esus4」→「E」→「Esus4」

の循環。1つ目の「E」と3つ目の「E」はコード理論としては同じ表記になってしまうわけですが、これが鍵盤の五線譜表記になると

「シ・レ#・ソ#」→
「シ・レ#・ラ」→
「シ・レ#・ソ#・シ」→
「シ・レ#・ラ」

とすべきで、1つ目と3つ目の和音構成に違いが出てきます。小指で「ソ#」→「ラ」→「シ」→「ラ」と循環させている理屈になるのです。

要は、ミッキー吉野さんの作曲が、完全に鍵盤宇宙の世界だということなのですね。「U・F・O」にしても「未来地図」にしても、ギター1本では表現し切れないカッコ良さが、細かい和音移行部にたくさん詰まっているんです。

♪ 命 の健やかな夢そのものだ ♪
  C  D        E♭    F          G

この部分なんて、ギターコードで弾き語るならこう弾くしかないんですけど、やっぱりアルファベット表記だけ
ではシンセのあの感じは出せないですねぇ・・・。じりじりと上昇していく感じがね。
つまり、少なくとも「E♭」から先はすべて、ハイコードの同フォームのスライドで次第にポジションを高くしていくように演奏しなければならない、ということ。
最初の「C」を3フレットのフォームで開始するのがベストです。でも、コード表記だけだとそこまではとても表現できませんし、ベストで弾いたとしてもやはりギター1本での演奏には違和感が残りますね・・・。

ただし、そういうことはすべて和音についての話です。
変態ギタリスト(褒めてます!)・白井良明さんが、この鍵盤宇宙作品に施した自らのギター・トラックのアンサンブルは、見事の一言。
特にリード・ギター、2’20”あたりと3’20”あたりの2度に渡るソロ・パートが素晴らしい!
テクニックに秀でたギタリストが、敢えて投入するスロー・ハンドです。

僕は速弾き演奏それ自体を否定することは全然ありませんが、どんな楽曲でも一様に超絶プレイになってしまうギタリストは好みではありません。
まずは楽曲ありき。そしてその楽曲に即したアレンジありき。アレンジの解釈の中で、ギタリストの音が楽曲のコンセプトににどう貢献し、どんな役割を果たしているのか・・・それが僕の個人的な聴き方であり、好むスタイルです。

その面から言っても、「勇気凛々」のリード・ギターは、白井さんがアレンジを担った幾多のジュリー・ナンバーの中でも特に好きなトラックのひとつなのです。
また、ジョージ・ハリスン直系の音色、フレージングという見方からですと、「PEARL HARBOR LOVE STORY」とこの「勇気凛々」が、白井さんならではの最上級の解釈なのでは、と僕は考えています。

あと・・・やっぱりこの曲はジュリーの詞も大きいと思うんですよね。もちろんヴォーカルもそうですけど。
2006年リリース時にジュリーがどういう心境でこの詞を書いたのか・・・まぁ色々頭にくることもあって心頭滅却してたんだなぁ、とか想像するわけですが、数年後の今になって歌詞の意味、深さが拡がっていると思いませんか?

最近、仙台のジュリーファンの先輩のお言葉を拝見する機会がありました。
まだまだ、日常とは呼べない時間が続いているんですって・・・。でも、そんな中でジュリーの曲を楽しめるまでには気持ちも戻ってきて、LIVEも楽しみにしていらっしゃる。
このように、実際に生活が一変してしまった方々はたくさんいて、じゃあその時それぞれの人達にどんな音楽が必要か、というのは僕には分からないのだけれど、「勇気凛々」は、ジュリーファンならずとも万人に対して今こそ求められるタイプの曲じゃないかなぁ、と思うのです。
強く押しつけるというのではなく、何処かサラリとしているのがね・・・。
曲も1回聴いただけでは覚えられないような難しい構成なんだけど、何かしら耳に残る穏やかなインパクトは最初から持っている・・・この機に多くの人に知って欲しい、癒し系のジュリー・ナンバーだと僕は考えています。

そうそう、癒し系と言えば。
あんまりそういう人は多くないと思うけれど、僕はこの曲の間奏直前に放たれる、ジュリーの
「ぃやあ~~」
という気合の抜けたシャウト(?)が大好きです。
ちなみにこのパターン、似た感じの曲がまだあって、『涙色の空』収録の「エメラルド・アイズ」だとこれが
「あ~~」
になります。これも好き!
ルー・リードや、モノクローム・セットのBIDなんかも、曲によっては時々こんな感じの脱力系シャウトをキメてたっけ・・・。

最後に。
僕はアルバム『俺たち最高』から「勇気凛々」以外ですと、「俺たち最高」「Caress」「桜舞う」といったあたりを今回のツアー、要マークとしていますが、本当に一番聴きたいのはミッキーさん作曲のもう1曲、アルバムラスト収録の「未来地図」なんですよね~。
僕の中で”日替わり・一番好きなジュリー・ナンバー”の常連曲。でも、今ツアー含め、この先のLIVEでこの曲を聴く、というイメージがどうにも沸かないのは・・・期待の裏返しなのでしょうか。

さぁ、これであとは本番を待つばかりです。
どんなステージになるのでしょう、『3月8日の雲~カガヤケイノチ』。
ジュリーの歌はもちろん、セットリストも、鉄人バンドの演奏も、すべてが楽しみ!

そうそう、老虎DVDを観て改めて気がつきました。「テル・ミー」の下山さんのアコギ、「カガヤケイノチ」とそっくりな音でしたね。ギターの本体まではよく見えないんだけど・・・。
シャキシャキした独特のストローク音。週末には、またこの音を生で聴けるかな・・・?

拙ブログ本館では、ツアーが始まりましたら完全ネタバレ禁止体制を敷き、お休みに入ります。
初日直前には簡単なご案内記事を更新し、その後例によってしばらくの間は、別館を開いてそちらでみなさまとお会いしたと思います。
よろしくお願い申し上げます!



21:50現在…関東も風雨がかなり強くなってきました。
みなさま、台風災害には充分お気をつけください。

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2012年6月15日 (金)

沢田研二 「彼方の空へ」

from『CROQUEMADAME & HOTCAKES』、2004

Croquemadame

1. オーガニック オーガズム
2. whisper
3. カリスマ
4. 届かない花々
5. しあわせの悲しみ
6. G
7. 夢の日常
8. 感情ドライブ
9. 彼方の空へ
10. PinpointでLove

--------------------

いやぁ・・・慌てております。
噂によりますと・・・何ですか、何処かの地方(どこなのでしょう?)の地元の新聞に、ツアー・セットリストの一部が掲載されたんですって・・・?
それによりますと、有名なシングルが何曲か挙げられていたそうで。とてもとても気になりますが、ちょっと僕はそれについての情報は無理やりシャットアウトいたします。事前にたとえ1曲でも、知りたくないもの~。

思えば・・・2010年の『秋の大運動会~涙色の空』の時も、数曲のシングル・ヒット・ナンバーが前もってセットリストとして公に告知されていたらしく、情報を仕入れたカミさんが深く考えずに普通に僕にその内容を喋ってしまった、という苦い経験が甦ります。
まぁ、知ってしまったら知ってしまったで、その気になって盛り上がってくることも事実(「”おまえにチェック・イン”」が楽しみだったのですよ~。「ほみたい、うん!」が観られるかなぁ、と期待したものです)でして・・・不注意千万な僕はその後、ツアー初日を1週間ほど前に控えたタイミングで開催された千葉の夏フェスに吉田Qさんを応援するべく集まったジュリーファンのみなさまの前で、情報入手していた曲目について、つい口をすべらせ顰蹙を買ってしまったのでした。
その節はどうもすみませんでした~!

しかし・・・やはり今ツアー、震災、原発事故などのテーマについては新譜の4曲に凝縮され、残りはヒット曲を随所に散りばめたセットリスト構成になるのでしょうかね~。
無論それはそれで素晴らしいステージになること間違い無しですが、その場合はできれば僕がまだ生で聴いたことのないシングル曲を中心に歌って欲しいなぁ(←贅沢)。「麗人」とか「酒場でDABADA」とか「魅せられた夜」とか「ロンリー・ウルフ」とかね。
『秋の大運動会~涙色の空』の時は、事前に知らされた数曲のシングル・ヒットのうち、「サムライ」が実現せず、情報の時点では挙げられていなかった「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」が代わりに歌われた、というようなこともありましたし、今回もすべて情報通りとはいかないかもしれませんよ~。

さて、拙ブログではそんな世間の正しい情報に背を向け、あくまでも”全然当たらないセットリスト予想”ということで、僕が個人的に「これはやるんじゃないか」「やってほしい」とアタリをつけた曲を重箱の隅をつつくようにして採り上げ続けております。
今日はその第4回。
またしても、2000年代のナンバーです(さらに言うと、最終回の第5回も2000年代のナンバーになる予定です)。

採り上げるのは、第1回で執筆した「そっとくちづけを」と、詞のテーマが似通った曲。
歌の主人公が強い思いを持つ、大切な人との突然の別れを描いたものです。
しかし今日の曲は、「そっとくちづけを」のような悲しいバラードではありません。演奏時間も短い、ジュリー自身の作曲によるタイトなパワーポップ・チューンです。

アルバム『CROQUEMADAME & HOTCAKES』から。
僕が今ツアーに向けてこのアルバムの収録曲からマークしているのは、「届かない花々」「しあわせの悲しみ」「夢の日常」「彼方の空へ」の4曲。
「届かない花々」以外はまだ記事執筆していません。その中から今回のお題をどれにしようか迷った末・・・。
「彼方の空へ」、伝授です~。

作詞GRACE姉さん、作曲がジュリー。
このところの新譜のクレジットから考えると珍しい組み合わせのようですが、2000年代のジュリーの作品はそのまま、GRACE姉さんの詞が強力な柱となっていた時期ですから、当時の状況的には自然な組み合わせなのかな。
このコンビの作品と言えば、アルバム『忘却の天才』収録の「1989」が昨年お正月の『BALLAD AND ROCK'N ROLL』セットリストで採り上げられましたね。

さてさて、果たしてこの「彼方の空へ」は詞先でしょうか。曲先でしょうか。
新譜『3月8日の雲』収録の4曲を含め、近年のジュリー・ナンバーはほとんどが曲先だと考えられます。理屈を勉強していないと分かり辛い、お伝えしにくいことなのですが、メロディーの載り具合、譜割りなどからそう推察できるのです。
でも、「彼方の空へ」の場合はどちらともとれる・・・。
しかもこの明るく前向きなメロディー。詞と曲が乖離しているようでいて、実は互いに近づき合っているという不思議な相乗効果を持つ曲。
GRACE姉さんがこのメロディーに悲しい別れの物語を込めたのは、自らを励まそうという思いだったのでしょうか。だとすればやっぱり曲先かなぁ。

そこで考えるのは・・・「彼方の空へ」の歌詞が、悲しみ一辺倒ではない、ということ。
間違いなく、旅立った人への深い感謝、尊敬の念が一番の核としてあります。だから僕はこの曲で歌われる”旅立った人”は、主人公より年輩の、恩人のような存在だったのではないかなぁ、と想像しています。
これは、詞を書いたGRACE姉さんの人柄をこれまで観てきたLIVEから推し測ってみても、そう思えるのです。

ただ、そのリスペクトの心、素直に「自分も後から行きますから」という、若々しく瑞々しい決意を強く感じさせてくれるのは、ジュリーの作曲によるところも大きいんですよね・・・。
カッコをつけていない、パワー・ポップなのです。
基本的にはすごく
シンプルな和音進行なのに、メロディーはありきたりではない・・・特にサビ部の

♪ 時を超え 虹を超え 旅路の果てのパラダイス
  A              E              B7                E

  彼方の空 聴いたんだよ あの歌声を ♪
  A             E                   B7         E

この躍動感溢れるせり上がるようなメロディーが、「E」「A」「B7」という、いわゆるホ長調のスリーコードだけで構成されている、というのが素晴らしい。
きっとジュリーは、頭に浮かんだ良いメロディーから練り込んでいくタイプの曲作りをするのでしょうね。

そんなシンプルな進行の中に、ジュリー作曲の醍醐味と言っても良いでしょう・・・突飛なコードの使い方もほんの少し登場します。
このあたりが「いかにも」なジュリーらしさで、「彼方の空へ」の場合はBメロがそれに当てはまります。

♪ あっけないよ 終わりなんて
  Am                              E

  ”ありがとう”も言えやしな  い ♪
    Am                         B♭  B

この「Am」のコードが、変わった感じを醸し出す要因となっています。
ホ長調(トニックは「E」)の曲で「Am」を使用するのは、結構な変化球です。例えばビートルズの初期の曲で「アイル・フォロー・ザ・サン」のサビが、トニック「C」で「F」→「Fm」と移行します。これがもし「F」をはぶいていきなり「Fm」に行くとちょっと風変わりな感じになってしまうわけで、ジュリーはそれをやっているということになります。
まぁ最近では、J-POPでもこの手法をよく見かけるようになりましたが、どちらかと言うとメロディーにキレイな収拾をつけるために使用されることが多いようです。変化球なりに、キレイに纏まっている感じなんですよね。
しかしジュリーの場合は、こういう使い方を収拾の方向に持っていくのではなく、わざと放り投げる感じです。
良い意味で素直ではない・・・ひとひねり入れたい、という作曲でしょうか。

その代わり、収拾部は「B♭」→「B」の強引な半音上がりで。
いやぁ剛腕です。これはいわば、多少の乱れは力ずくでオトシマエつける、とでも言うべき進行で、これまたジュリーらしい・・・のかな?

さて、キーが「E」の曲で唐突に「Am」を使うこの手法、2004年の「彼方の空へ」でこうして説明してしまうと、”最近のJ-POP”の使用傾向と比べてもむしろ全然乗り遅れてるじゃん!という声も聴こえてきそうですが・・・実はジュリーは70年代初頭の段階で、すでにこの手法を試みているんですよ~。
『JULIEⅣ~今 僕は倖せです』収録、「悲しくなると」の冒頭部分です。

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↑ 『沢田研二のすばらしい世界』より

是非聴き比べててみてください。「Am」の箇所のちょっと不思議な感じが、「彼方の空へ」のBメロとよく似ていますから。

先に旅立ってしまった人への敬愛を歌い、悲しみを感じさせるよりもむしろ生きる力に変えてくれる・・・考えてみれば「彼方の空へ」に限らず、『CROQUEMADAME & HOTCEAKE』の収録曲は、歌詞のテーマもエロティックなものから社会性を持つものまで様々、曲調も激しいロックからバラード、とバラエティーに富んでいますが、どの曲も前を向いていて明るく、力強さに満ちています(後註:でも「夢の日常」は、やっぱり重い感じの方が大きいかな・・・)。
タイムリーでずっとジュリーを見てこられた先輩方にもこのアルバムの人気が高いのは、LIVEのお客さんの入りもまばらだったという中で、うつむくのではなく思い切り「振り抜く」ジュリーの姿勢が伝わってくる楽曲並びによるところではないでしょうか。

さて、最後になりましたが。
この曲、CDの歌詞カードに1箇所だけ誤植があるんです。しかも、僕が一番好きな歌詞部に・・・。

♪ 最後に会った あの笑みで
  E              F#m            E

  待っていよ   探すから ♪
  E             F#m    B7      E

上記太字で記したように、歌詞カード表記だと「待っていたよ」になっていますが・・・これ、「待っていよ」ですよねぇ。
先に旅立った人が、最後に会った時に見せてくれた、忘れ得ぬ笑顔。いつか自分も旅立ったら、きっとその笑顔を頼りに会いにゆく・・・「彼方の空へ」って、そういう歌詞ですよね。
「待っていたよ」は、かなり致命的な誤植かと・・・(泣)。

さぁそれでは、次回更新が”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ・『3月8日の雲~カガヤケイノチ』編の最終回となります。
先述の通り、またまた2000年代のナンバーを予定しています。それを書いたら、あとはいよいよ、ツアー初日を待つばかり。もう来週末に迫っていますからね!
残り1曲、頑張ります~。

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2012年6月11日 (月)

沢田研二 「キューバな女」

from『耒タルベキ素敵』、2000

Kitarubeki

disc-1
1. A・C・B
2. ねじれた祈り
3. 世紀の片恋
4. アルシオネ
5. ベンチャー・サーフ
6. ブルーバード ブルーバード
7. 月からの秋波
8. 遠い夜明け
9. 猛毒の蜜
10. 確信
11. マッサラ
12. 無事でありますよう
disc-2
1. 君のキレイのために
2. everyday Joe
3. キューバな女
4. 凡庸がいいな
5. あなたでよかった
6. ゼロになれ
7. 孤高のピアニスト
8. 生きてる実感
9. この空を飛べたら
10. 海に還るべき・だろう
11. 耒タルベキ素敵

---------------------

引き続きまして、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ・『3月8日の雲~カガヤケイノチ』編、第3回でございます。
前回記事で「次は新譜のテーマからいったん離れ、エロエロなナンバーを」と予告しましたが・・・まぁジュリーのエロ・ナンバーって、数えあげれば本当にキリがありません。みなさまも僕がどの曲を書こうとしているのか見当もつかなかったことでしょう。

僕は今ツアーにおいてもまた、ジュリーがセルフ・プロデュース期に突入した1995年以降の曲がセットリストの中心になる、と予想していますが、2000年を中心とした前後5、6年の約10年間・・・この時期がジュリーの歴史上、最もエロ・ナンバーのリリース率が高いような気がするんですよね~。
拙ブログでまだ執筆していない曲でパッと思いつくところを列挙してみますと・・・。

「ZAZAZA」「オリーヴ・オイル」「猛毒の蜜」「C」「感じすぎビンビン」「オーガニック・オーガズム」「Caress」。

他にもまだまだたくさんありそうです。
そして本日お題に選んだのが・・・エロエロなジュリー・ナンバーの宝庫アルバム、『耒タルベキ素敵』から。
「キューバな女」、伝授です!

何故この曲を今年のツアーでセットリスト予想したのか。理由は二つ。
まず第一。

♪ 夜の太陽 真っ黄っ黄っ黄っ キューバ ♪
        B       B♭7                   E♭m

身体を自然に駆り立てるサビのメロディー。そこにこんな感じで刺激的な歌詞が載っているように、「キューバな女」にはギラギラな太陽のイメージがあります。
ジュリーの作詞作品で”太陽”というフレーズは心を反映するもの、抽象的な存在として使用されることもありますが、この曲に登場する太陽は強烈な存在感でもって、灼熱の南国を楽しませてくれます。

太陽と言えば今年は、日食があったり金星通過があったりと、何かと観測の話題がありましたね。
ジュリーはきっと熱心に観ていたような気がします。
太陽の存在を強烈に感じながら、自作詞の「キューバな女」を思い起こしたのではなかろうか・・・そんな1ファンの勝手な憶測から、ツアーでのセットリスト入りを考えたというわけです。

第二。
今年のツアー最中、正に太陽真っ黄っ黄の真夏に、鉄人バンドの柴山和彦さんが還暦を迎えます。
ジュリーファンにとっては特別なギタリスト・・・井上バンドを引き継いだオールウェイズの時代から、CO-CoLO期の数年を除き、ずっとジュリーの隣でギターを弾いてきた柴山さんも、いよいよ人間・60年です。見かけだけだととてもそんな年齢とは思えませんけどね・・・。
柴山さんの誕生日当日に公演はありませんし、おそらくツアーのお客さんの前で特別な報告、お祝いなどすることもなく、柴山さんは身内だけでひそやかにその日を迎えられることでしょう。
ジュリーファンとしてはただ、そのことを胸に留め、今ツアー・ステージ上の柴山さんの演奏に心からのお祝いと感謝の拍手を送りたいところです。

さて、還暦と言えば「赤」。
思えば昨年は、『BALLAD AND ROCK'N ROLL』での「1989」、そして老虎ツアーでの「美しき愛の掟
(←私信:もじそわ様、過分なお言葉ありがとうございます!)と、リード・ギターの見せ場で真紅の照明に染まる柴山さんを立て続けに観る機会がありました。
すっかり”情熱の赤いカズ”として定着した感のあるこのステージ・ライティング・・・今回のツアーでもきっと何かの曲で観られるのではないでしょうか。

そこで・・・真赤に染まりギターを弾き倒す柴山さんの姿を、手持ちのDVDのセットリストから思い起こしてみました。
真っ先に浮かんだのがこちら、というわけです。

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↑ 『爛漫甲申演唱会』より 「キューバな女」イントロ映像

みなさまの記憶も新しい、老虎ツアー・ファイナル武道館のNHK-BSプレミアム放映。「美しき愛の掟」の間奏で柴山さんが惜しげもなく魅せてくれた”うめぼし100個食べちゃった”系の表情を、『爛漫甲申演唱会』ツアーでの「キューバな女」にも観ることができます。
また「キューバな女」のイントロって、元々サンタナの「哀愁のヨーロッパ」からのアレンジを参考にしている(かなりの直球オマージュですよね)ということもあり、ギター・ソロ部が粘り強く、かなり長い!という特徴もあります。
これこそ、還暦で紅く染まる柴山さんを堪能するにふさわしい楽曲ではないでしょうか。

浅はかな僕は、一昨年ほど前まで「ベースレスの鉄人バンドスタイルだとセットリスト入りが難しいナンバー」というものを自分の中で勝手にカテゴライズしていて、「キューバな女」もそのうちの1曲でしたが・・・『歌門来福』で個人的に「まさかベースレスでこれをやるとは!」と驚愕した「忘却の天才」を生で体感したことにより、そのような先入観は一掃されました。
ジュリーは必ず1曲はエロ系のナンバーをセットリストに組み入れると思いますし、「キューバな女」は柴山さんを応援する気持ちからも期待しまくっている1曲。
いかがでしょうかね、この予想は・・・?実を言いますと土壇場まで「Caress」とどちらを採り上げようか迷ったんですけどね・・・。

レコーディング音源の段階で、ヴォーカルテイクも熱くノッているこの曲・・・やはりメロディーがジュリーに合っている、ということなのでしょうか、作曲は大野克夫さんでしたね。
2000年という記念の年に2枚組のアルバムをリリースしたジュリーに、すぎやま先生はじめ堯之さんや建さん、銀次兄さんといったかつて素晴らしいジュリー・ナンバー名曲群を手がけた作曲家が一堂に会し楽曲提供していますが、そんな中、官能的なジュリー・ヴォーカルを自然に引き出すあたりはさすが大野さんです。

ジュリーの詞は、アルバム『第六感』以降顕著になる”自由なジュリー流フレージング”の中でも名編と言えます。
時には「???」と聴き手を惑わすジュリー流。しかしながら決して職業作詞家のようなレトリックに秀でていない部分が逆にストレートに伝わるのだ、ということを僕らは今回の新譜でハッキリと思い知らされました。その萌芽は2000年作「キューバな女」の歌詞からほとばしる熱気や、サイケデリックな色彩感覚にも見てとることができますね。
僕が好きなのは、2番の

♪ 男は焦がれる 勇気が痺れる
 
  E♭m      B♭7              E♭m  Edim

  その女が欲しい 金縛りだな ♪
               A♭m7  D♭7     G♭

の部分。
もう辛抱たまらん!という、聴き手にとってある意味容赦の無い、ジュリーの高揚が伝わる連呼式のフレージングです。畳みかける言葉の圧力・・・誤解を恐れず書きますが、僕は「恨まないよ」でのジュリーの作詞は「キューバな女」にかなり近い手法のではないか、と考察を改めているところです。

いずれにしてもアルバム『耒タルベキ素敵』からは、今回のツアーでも複数曲採り上げられるのではないでしょうか。
「キューバな女」以外で僕が要チェックとしているのは、まず、『ジュリー祭り』以来歌われていない「確信」。
2000年の段階で、ジュリーの矜持そのもの、という詞を書いたGRACE姉さんは凄い!

続いて、『奇跡元年』からのセットリスト重複があるのでは、という何の根拠もない予感(と言うか、「希望」「時計/夏がいく」や「THE VANITY FACTORY」を聴きたい、という願望かな・・・)から、詞のテーマ的にも大いにマークしている「生きてる実感」。
ヒヨッコが体感した『奇跡元年』の時は、タイミングに戸惑い、ジュリーのジャンプについて行けなかったんですよ・・・。

あとは何と言っても、「無事でありますよう」です。
本当にこの1年3ケ月、大変な思いをしながら前を向いて過ごしてきた方々がいらっしゃること・・・この曲が歌われたら、会場の誰もが改めてそこに強い思いを持つことになるでしょう。
そう言えば、ドーム堕ちの僕はまだこの曲を生で聴いたことがないんだったっけ。
不思議な感覚ですが、ジュリーが歌っているのを僕は一度生で観たような気持ちでいるんですよね・・・。

それでは、次回記事も2000年代のナンバーがお題です。
前々回の「そっとくちづけを」に続き、詞のテーマとしては悲しい別れの曲ですが、今度の曲は悲嘆にどっぷりと浸かるのではなく、何故か前向きな気持ちになり元気の出るナンバーです。
そのナンバー含め、セットリスト予想はあと2曲の予定。
いよいよツアーが始まる!という歓びを胸に、もうひとふんばりです~。

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2012年6月 7日 (木)

沢田研二 「怒りの捨て場」

from『JULIEⅣ~今 僕は倖せです』、1972

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1. 今、僕は倖せです
2. 被害妄想
3. 不良時代
4. 湯屋さん
5. 悲しくなると
6. 古い巣
7. 
8. 怒りの捨て場
9. 一人ベッドで
10. 誕生日
11. ラヴ・ソング
12. 気がかりな奴
13. お前なら

--------------------

『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーに向けての、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、第2回更新でございます。

 

いよいよという感じでシリーズをスタートしましたが、それにしても・・・今ツアー初日・渋谷公会堂のチケット、その激戦ぶり、狭き門の全容が日を追うごとに明かとなり、本当に驚かされます。
お会いできるかなぁ、と楽しみにしていた先輩方が次々に落選のご報告。僕の情報範囲での当選率は、約30パーセントといったところでしょうか。凄まじい厳しさですね・・・。
本当に、僕のような新参者が当選しただけでありがたいです。もし初日に落選していたら、セットリスト予想記事執筆どころではなかったかもしれません。

みなさんそうだと思いますが、初日は何としても参加したかった・・・。
特に今回僕は、新譜『3月8日の雲』収録曲のどの部分を一瞬だけ切り取って聴かされてもすぐ反応できるくらいに頭に叩き込めた、という自負もあり、大層意気込んでいましたから、無事参加できることになり感謝、感謝です。

ちなみに僕は、新譜の4曲についてはアンコール後(昨年お正月『BALLAD AND ROCK'N ROLL』の例がありますから、アンコールという形をとるかどうかは分かりませんが)、最後の最後にまとめて歌われるのではないか、という予想です。
とりあえず「カガヤケイノチ」のエンディングは合唱する気満々で初日に臨みますが、さてそういう空気になりますかどうか・・・。

 

それでは本日のお題。
セットリスト予想としましては、前回記事で採り上げた「そっとくちづけを」については結構自信あり!なのですが今回は・・・「歌ってくれたら嬉しいなぁ」という願望に基づく予想であることは否めません。
ただ、今回のツアーに向けて予想に採り上げる予定の曲は、新譜『3月8日の雲』のコンセプトとの繋がりを僕が感じているナンバーがほとんどです。今日はその中から、ジュリーの「怒り」をテーマにお題を選びました。

 

40年前に、ジュリー自身が作詞・作曲したナンバー。
アルバム『JULIEⅣ~今 僕は倖せです』から・・・「怒りの捨て場」、伝授です!

 

今回のツアーは、あの震災後初めてのソロLIVEということになります。
年齢に従い、可能な限り自らの言葉で歌うことを試みてきたジュリーが、1年以上もソロLIVEをしていない・・・歌いたいこと、伝えたいことがどれほど積もり積もっているのか。その渇望は頂点に達しているのか。
それはファンには分かりません。
震災について言いたいことはすべて新譜の4曲に凝縮され、セットリストの他の曲は明るく楽しい、ヒットチューン全開で押す・・・そんな可能性も確かにあるとは思います。

 

しかし、ここで思い出すのは、老虎ツアーでのセットリスト。ジュリーが決めたという、あの選曲です。
初日の国際フォーラムで、客席皆が「よもや!」と息を飲んだ「割れた地球」・・・そして立て続けに歌われた「怒りの鐘を鳴らせ」。
この2曲の繋がりには、震災を受けてのジュリーのメッセージが込められていたに違いない、と僕は思っています。
もしも昨年、真・タイガースが実現し、トッポも加えてのステージで選曲が練られていたとすれば、ひょっとしたら有り得なかった曲並びかもしれません。タイガースが不完全な形だったことも、あのセットリストになったことも、すべて運命だったのかもしれない・・・と、今になって大げさにそう考えてしまうほどです。

 

ならば、ジュリーが素直に自由に選ぶソロLIVEのセットリストとくれば・・・さらなるジュリーの意思反映は必然。特に今年は、やはり老虎ツアーでのあの2曲の繋がりに匹敵するようなメッセージが随所に散りばめられるのではないか、と思うわけです。
「怒り」というキーワードで言うなら、新譜収録の「3月8日の雲」「F.A.P.P」2曲の中にもそれが既にあります。ただ僕としては、老虎ツアーからの流れを考えて「怒りの捨て場」を推したいところなんですよね(或いは、先日ある先輩がセットリスト予想として挙げていた、『JEWEL JULIE』収録の「悲しき戦い」・・・これもまた大変魅力的な予想ですが)。

そこでまず、老虎ツアーのセットリストを引き継いで、という観点から語っていきますと・・・。

第一。
ストレートに「怒り」というフレーズのインパクトです。
「怒りの鐘を鳴らせ」も「怒りの捨て場」も、「怒り」を発しているのが「人」であるということ。
例えばジュリーは”地球の怒り””大地の怒り”についても(特に自作詞で)よく歌いますが、この2曲の場合はいずれもハッキリとした”人間の怒り”が歌詞に刻まれ、発散の場をジュリーのヴォーカルだけでなく強靭な演奏にも求めている、という点が共通しています。
「怒りの捨て場」の詞を読むと、これは内なる葛藤の声を怒りとしているようにも受け取れます。しかしフレーズの社会性を取り出し独特の言い回しを吟味してみると、ジュリーは20代のこの当時から、基本的な物事の捉え方は今とまったく変わっていないように思え、本当に驚くばかりです。

第二。
ジュリーのシャウトです。
四月の雪」の記事で少し触れたのですが、ジュリーがタイガース時代に「割れた地球」で身に刻んだ”旋律の合間にシャウトするヴォーカル”・・・その刀をソロ作品で初めて華麗に抜いた曲が「怒りの捨て場」ではないか、と僕は考えています。
「割れた地球」よりも、シャウトの間合いがファンキーなのが特徴。実はジュリーはファンキーなノリの要素が薄いロック・ヴォーカリストなのですが、「ストーンズ風」というフィルターでもってそこをカバーしている楽曲が多いのです。
1972年の「怒りの捨て場」も1993年の「F.S.M」も、その点は同じであるように感じます。

それではここで、「演奏」というキーワードから考えてみますと・・・。
僕は先の老虎ツアー初日・国際フォーラムに参加した際、サリーのベースを「懐かしい」と感じていたことを後から思い出しました。
無論、いくら事前にタイガースの音源を聴きまくっていたとは言え、本格的にタイガースを聴き出してほんの2、3年という僕が「懐かしい」というのはおかしなことです。つまり、僕は先輩方とは別のところでそう感じていたことになります。
それは、少年の頃憧れていた音・・・『太陽にほえろ!』のサウンドトラックなのです。
具体的に言うと、初期の『太陽にほえろ!』の音楽ですね。おそらく「スコッチ刑事のテーマ」あたりからサリーが脱けていますから、それ以前です。
メイン・テーマ(これはロッキー刑事時代までずっとオンエアされ、ボギー刑事登場時にまた復活しました)はもちろんのこと、挿入曲の中で一番好きな「青春のテーマ」(=ジーパン刑事のテーマ)などの名曲群は、今聴くとメチャクチャにサリーらしいベース演奏であることが分かります。
タテノリでブンブンと弾き、オカズでは高音へとスライドするフレージング。
その他、「衝撃のテーマ」や「アクション」といったナンバーにサリーの特徴が良く出ていますが、それが「怒りの捨て場」にも同じようにして刻まれているのです。

今「怒りの捨て場」でのサリーのベースと大野さんのオルガンの絡みを聴くと、あぁ、自分がずっと昔に憧れていた音だなぁ、とも思いますし、老虎ツアーでの「美しき愛の掟」の熱演も同時に耳に甦ってくるような気がします。
残念ながら鉄人バンドにベーシストはいませんが、彼等なりの新たなアレンジでこの曲を生で聴くことができたら・・・。きっと、前後の曲が何であれ、ゾクゾクするようなカッコいい曲並びになると思うのです~。
泰輝さんがトランペットの音色をどんな形で表現するのか・・・個人的に一番注目しているのはその点ですね。そのまま素直にトランペットのパッチを使用するのか、それともパワーブラスのような音(老虎ツアーでの「淋しい雨」で使用されたような音色)に変えてくるか。
この曲はオルガン・パートも必須ですから、セットリストに選ばれたとすればその時点で泰輝さんの”神の両手”炸裂はもう間違いなし!

さて。
現在僕の手元には「怒りの捨て場」のスコアが2種類あります。
深夜放送ファン・別冊『沢田研二のすばらしい世界』と、ショイン・ミュージックさんの『沢田研二のすべて』の2冊。
これがまたね・・・それぞれのスコアでコード採譜がまるっきり違う、という凄まじい状況になっています。大らかな時代を反映しているとも言えますが、アレンジフェチの僕としては、2倍の考察が楽しめるのです~。
ちょっと比較してみましょうか。

Aメロ歌部、出だしからいきなり・・・。

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↑ 『沢田研二のすべて』より

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↑ 『沢田研二のすばらしい世界』より

そして、あの独特のエンディングに至るまで・・・。

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↑ 『沢田研二のすべて』より

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↑ 『沢田研二のすばらしい世界』より

ね?
てんでバラバラでしょ?

「一体どちらで弾けばよいの?」

・・・よくぞお尋ねくださった~。
実はですね、あくまでギター1本で歌う場合に限ってのことですが、これ、どちらでもオッケ~です!
いずれのスコアも、掲載のコード伴奏に載せて正しい「怒りの捨て場」のメロディーを歌うことが可能なのです。
この辺りが和音の面白さ。演奏だけ聴くと全然異なる響きのコード進行に、まったく同一のメロディーが載る、というね。

ただし。
CD(レコード)と一緒にギターを鳴らしてみますと、あら不思議・・・『沢田研二のすべて』の方のコードだと、グダグダな音になってしまいます。
つまり、キッチリ正しく和音を拾っているのは『沢田研二のすばらしい世界』のスコアということになるわけですね~。

さて。
次回更新ではまた、2000年代のジュリー・ナンバーに戻ります。
と言うか、今回のセットリスト予想シリーズで初期の曲を執筆するのは、本日のお題「怒りの捨て場」ただ1曲だけなのです。

本当は、もう1曲ね・・・祈るような気持ちで「ジュリー、歌ってくれ!」と考えている初期のナンバーがあります。
これは『JULIEⅥ~ある青春』の収録曲、と言うだけで明記を控えますが、僕だけでなくこれまで何人もの先輩方が、「歌って欲しい」と仰るのを見聞きしています。

何故僕が明記を避けるのか。
だって・・・僕の予想、基本的に当たらないんですよ。これまで何度も蓋を開けてみたら全敗、という状況を味わっています。
だから、多くのみなさまが・・・あの震災後に、被災者のみなさまも、被災者を思うみなさまも揃って「歌って欲しい」と願っている曲を、僕がセットリスト予想記事として執筆するなんて、縁起でもない!というわけ。

その代わり、心から実現を願っています。
可能性は薄いと思うけれど・・・もしもその曲がセットリスト入りを果たした暁には、ネタバレ解禁後すぐにお題に採り上げたいと思います。

おっと・・・最後に話が逸れましたね。
次回はひととき新譜のテーマとの関連から離れ、エロエロなジュリー・ナンバーでお会いしましょう!

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2012年6月 3日 (日)

沢田研二 「そっとくちづけを」

from『生きてたらシアワセ』、2007

Ikitetarasiawase

1. 生きてたらシアワセ
2. そっとくちづけを
3. ひかり
4. GOD BLESS YOU
5. 太陽
6. 天使に涙は似合わない
7. 明日
8. 希望
9. 黒いピエロと黒いマリア

---------------------

6月です。
いよいよ下旬には『3月8日の雲~カガヤケイノチ』全国ツアーがスタートするということで、ファンとしても本格的にソロコン・モードとなりましたね。

澤会さんからは、7月上旬までのツアー各会場のチケットも発送されたようで、我が家にも無事に初日のチケットが届きました。
それでもちょっと手放しで喜べないのは・・・初日の抽選に落選された先輩方がとてもとても多いのです。みなさま、本当に途方に暮れていらっしゃいます。その率たるや、明らかにいつもより多い・・・これはやはり、老虎ツアーをきっかけとしてジュリーLIVEの人気がまた新たに大きな段階を踏んだ、ということでしょうか。

僕も今後のチケットすべて希望通り、なんてうまくはいかないでしょうから、大宮を落選するくらいのことは覚悟しておかなきゃならないなぁ・・・。
ともあれ、初日に行けることが確定し、ホッとしました。あとはとにかく気合を入れ、充分に健康管理してその日を迎えるだけです。


本日から拙ブログでは、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします。
毎度のことながら蓋を開けてみればまったく見当違い、というセットリスト予想になることは充分あり得ますが・・・今回も自分なりの視点から4、5曲を採り上げて書いてみたいと思います。

第1回の本日。
お題は、アルバム『生きてたらシアワセ』から・・・「そっとくちづけを」です。

伝授、といったような記事内容にはなりません。
いよいよこの曲を書く日が来たか・・・そんな感じです。今日は、個人的な思い、と言うか思い入れを書くことになりますが、ご容赦くださいませ。

☆    ☆    ☆

さて、僕は今の年齢・・・40代というのはおそらく、人生の中で最も友人達の年齢幅が広がっている時期ではないでしょうか。
20歳年上の友人もいれば、20歳年下の友人もいる。その状況こそ40代の醍醐味かもしれません。
特に最近はジュリーのおかげで、年上の先輩のお友達がたくさんできています。ありがたいことです。ジュリーに関しては、この先若い友達も増えてくると良いのですが・・・それがそのままジュリーの音楽活動の充実を反映するような気がしますから・・・。

ジュリー関連以外でも、いくつか友人グループというものがありまして・・・その中に、元々は仕事関連で出逢ったメンバーで構成された4人グループがありました。
年齢もバラバラでしたが、大雑把に言うとオッサン二人と若者二人、という組み合わせ(無論僕はオッサン組)。
音楽の話から社会問題、とりとめもない馬鹿話まで。考え方もそれぞれバラバラだったのがかえってバランスがとれていたのか、それぞれがどちらかと言うと天然系のキャラで揃っていたのが良かったのか・・・隔月に一度くらいの感じで頻繁に集まり、一杯飲むようになっていました。

2009年、その中で一番若い友人・S君が仕事で多忙になり、なかなか集まることができなくなってしまいました。まぁ、かく言う僕自身も色々と忙しくなってきた時期だったんですけどね。主に、ジュリー関連でね(汗)。

当時・・・S君は20代半ばでした。
一番年下なのに、4人の中で唯一奥さんがいました。奥さんは元々僕の勤務している会社にいた人で、彼にとっては姉さん女房でした。
かいつまんで聞いた話だけでも、彼のその忙しさは異常とも思えたけれど
「まぁ何と言っても若いし、カミさんもいるから何とかなるんだろうな」
と話していました。

S君としては、生まれたばかりの息子のためにも、手を抜く気になれなかったのでしょうね。
ちなみに彼の息子の名前は「けいと」君。
最初名前を聞かされた時は、彼等夫婦の音楽の好みから考え、ケイト・ブッシュにあやかった女の子の名前じゃないかと推理しましたが、普通に男の子でした。「けい」の字を、S君の敬愛する戦国武将・前田慶次郎からとったようでした。

ちょうどその頃僕の人生にも変化があり、その年の12月には、グループで二人目の所帯持ちになることが決まりました。
S君達もこの報告には意表を突かれたようで・・・それぞれ忙しい中だけれど、年末には集まろう、という話になりました。

当時からブログを読んでくださっている方々には大体の流れはお分かりかと思いますが、その年・・・2009年11月下旬から僕は、新居引っ越しのためにブログ執筆を中断しました。

ブログ再開も入籍も、12月3日の『ジュリー祭り』1周年の日と決めていました。
ここ2年続けている、”12月3日に『ジュリー祭り』セットリストからお題を採り上げる”というスタイルは、実はもうこの時に発案していました。僕は臆面もなく、自らの家庭生活スタートのその日に「生きてたらシアワセ」の記事を書こうと考えていたのです。
そのための準備として、勤務中の移動用BGMにアルバム『生きてたらシアワセ』を繰り返し聴いて記事の構想を練っていました。「そっとくちづけを」のシングル・ヴァージョンを最後に1曲足して全10曲のCDを作成し、2つのヴァージョンの「そっとくちづけを」に、凄いなぁ、震えるなぁ、と感動しながら・・・。

僕がカミさんよりも一足先に引っ越しを済ませ、片付いていない新居で最後の独身生活を始めて・・・すぐのことでした。
11月27日、夢想だにしていなかった訃報。

突然倒れてしまったS君が、意識を戻すことなくそのまま帰らぬ人となったのです。
そりゃ人の運命なんて分からないものとは言え、順番が全然違うだろう!
一体、何でオマエが・・・残された奥さんと子供はどうするんだ。

29日、通夜。
話を聞くと、最近のS君は毎晩夜中遅くに帰宅し、2、3時間だけ寝てまた仕事に出かける、という状態が続いていたようです。
奥さんは心配して、「そんなこと続けてると死んじゃうよ」と言っていたとか・・・。ともあれ、原因は過労としか考えられない、というのが家族に近い方々の言葉でした。

久々に4人が顔を揃えました。思ってもいなかった形で・・・。
目を閉じたS君に「俺、来週籍入れるぜ」と報告し、膝をついて泣きました。他の2人も泣いていました。
昼までは陽射しが照りつけていた天気が夕方になって一変し、豪雨となっていました。その夜帰宅したら、とりこみを忘れていた布団がベランダの手すりでビショビショになっていたっけ・・・。

以来・・・若き友人S君の突然の死が、たまたまその時期集中して聴いていた「そっとくちづけを」の歌詞と、完全にリンクしてしまいました。

♪ 神様お願い あの人を返してよ ♪
  Cm     A♭      Fm7    B♭7  E♭   

理不尽な別れを嘆く詞が、どうにもストレートに胸を抉るようになってしまって・・・。アルバムを聴くことからも遠ざかってしまい、結局12月3日にブログを再開した時にも、予定していた楽曲お題記事にはなりませんでした。
そう、今まさにジュリーの新譜『3月8日の雲』を「凄いと思うけれど、辛くて聴けない」と仰る方々が少なからずいらっしゃる・・・それと同じ状況が僕にとっては「そっとくちづけを」という曲でかつて起こっていたのです。

しばらく経つと、アルバムの他収録曲をリピートすることは普通にできるようになりましたが、1枚通して聴いた時に、「そっとくちづけを」でグッと構えてしまう状態はそのまま続きました。
自然、音源を遠ざけがちになりました。

再びアルバムとして繰り返し聴けるようになったのは、翌2010年。
『秋の大運動会~涙色の空』ツアーで、ジュリーが「ひかり」「太陽」「明日」の3曲をピックアップして歌ってくれたことがきっかけで、改めて名曲揃いの気合の入ったヴォーカル・アルバムだなぁ、と感じました。
中でもやっぱり、震えるほどに胸に迫ってくる曲が「そっとくちづけを」なのですね・・・。

正直、僕は今でもこの曲を聴くのは辛いです。
S君との別れ、最後の彼の姿がハッキリと蘇ってきてしまうから・・・。
ただ、昨年の震災のことがあって、これからのツアーに臨むにあたって、僕などとは比べものにならないほどの気持ちで新譜『3月8日の雲』に対峙していらっしゃるジュリーファンの方々は多いはず。
そんなみなさまが、ジュリーが改めて「そっとくちづけを」を歌うのを聴いたら、どんな気持ちに陥るか・・・想像に難くはないのです。

だから僕もせめて、「そっとくちづけを」を遂に生で聴いて泣いてしまう・・・その心の準備はしておかなきゃ、と。
ジュリーがこの曲を採り上げるならば今年のツアーだ、と思いますから。それを体感したら、その先に新しい境地が待っているような気もしますしね・・・。

☆    ☆    ☆

「そっとくちづけを」は、実はお二人の先輩から記事執筆のリクエストを頂いていた曲です。
「いつか書きます」と、長い間お待たせしておりました。ごめんなさい。ここまで書いてきたような、ちょっと特殊な事情のある曲でしたもので・・・。
でも、素晴らしいヴォーカルの名曲だ、とはずっと前から思っていましたからね!

最後に、曲について少しだけ書いておきましょう。

ハ短調のバラード。
泰輝さんのメロディーは、3年後の「涙色の空」で見られた完成度・・・ライヴメンバー(鉄人バンド)の役割分担までをも見据えているかのような孤高な美しさを感じさせる傑作です。
「涙色の空」はサビで近親移調があり、長調の明るく希望のメロディーへと転換しますが、「そっとくちづけを」は短調の美しくも哀しいメロディーで最後まで押し通します。

僕は、今回のツアーで「そっとくちづけを」が採り上げられる場合は、「涙色の空」は見送られるのでは、と予想そています。この2曲は、演奏のアプローチが相当に近いんですよ。
まぁ、かつてのツアー『あんじょうやりや』で、3連符ロッカ・バラードを敢えてたて続けに歌うというセットリストを考案したほどのジュリーですから、油断はできませんが・・・。

レコーディング音源のアレンジでは、白井さんのギター・アルペジオに注目。
かつて多くのギタリストがアマチュア時代から何度も何度も繰り返し弾いて、「手クセ」として身体に浸みついてしまっているであろう、レッド・ツェッペリン「天国への階段」での、ジミー・ペイジ流の指さばきが随所に登場します。
「A♭」→「Gm7」→「F」と進行する伴奏部分で出現率が高いですね。

レコーディング音源だけで、ここまでリアルに迫ってくるジュリーの声。一体生で聴いたらどんな感覚になってしまうのでしょうか。
ちょっと怖いけれど、楽しみにしたいと思います。

それでは・・・次回の更新では、初期のジュリー・ナンバーを採り上げます。
1995年のセルフ・プロデュース期以降の曲がセットリストの中心になるだろう、と予想する中で、ほとんど願望にも近い「ひょっとしたら歌ってくれるんじゃないか」という切なる思いをもって、若きジュリーのアルバム収録曲・・・世間には隠れた名曲をお届けいたします!

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