from『JULIEⅣ~今 僕は倖せです』、1972
1. 今、僕は倖せです
2. 被害妄想
3. 不良時代
4. 湯屋さん
5. 悲しくなると
6. 古い巣
7. 涙
8. 怒りの捨て場
9. 一人ベッドで
10. 誕生日
11. ラヴ・ソング
12. 気がかりな奴
13. お前なら
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『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーに向けての、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ、第2回更新でございます。
いよいよという感じでシリーズをスタートしましたが、それにしても・・・今ツアー初日・渋谷公会堂のチケット、その激戦ぶり、狭き門の全容が日を追うごとに明かとなり、本当に驚かされます。
お会いできるかなぁ、と楽しみにしていた先輩方が次々に落選のご報告。僕の情報範囲での当選率は、約30パーセントといったところでしょうか。凄まじい厳しさですね・・・。
本当に、僕のような新参者が当選しただけでありがたいです。もし初日に落選していたら、セットリスト予想記事執筆どころではなかったかもしれません。
みなさんそうだと思いますが、初日は何としても参加したかった・・・。
特に今回僕は、新譜『3月8日の雲』収録曲のどの部分を一瞬だけ切り取って聴かされてもすぐ反応できるくらいに頭に叩き込めた、という自負もあり、大層意気込んでいましたから、無事参加できることになり感謝、感謝です。
ちなみに僕は、新譜の4曲についてはアンコール後(昨年お正月『BALLAD AND ROCK'N ROLL』の例がありますから、アンコールという形をとるかどうかは分かりませんが)、最後の最後にまとめて歌われるのではないか、という予想です。
とりあえず「カガヤケイノチ」のエンディングは合唱する気満々で初日に臨みますが、さてそういう空気になりますかどうか・・・。
それでは本日のお題。
セットリスト予想としましては、前回記事で採り上げた「そっとくちづけを」については結構自信あり!なのですが今回は・・・「歌ってくれたら嬉しいなぁ」という願望に基づく予想であることは否めません。
ただ、今回のツアーに向けて予想に採り上げる予定の曲は、新譜『3月8日の雲』のコンセプトとの繋がりを僕が感じているナンバーがほとんどです。今日はその中から、ジュリーの「怒り」をテーマにお題を選びました。
40年前に、ジュリー自身が作詞・作曲したナンバー。
アルバム『JULIEⅣ~今 僕は倖せです』から・・・「怒りの捨て場」、伝授です!
今回のツアーは、あの震災後初めてのソロLIVEということになります。
年齢に従い、可能な限り自らの言葉で歌うことを試みてきたジュリーが、1年以上もソロLIVEをしていない・・・歌いたいこと、伝えたいことがどれほど積もり積もっているのか。その渇望は頂点に達しているのか。
それはファンには分かりません。
震災について言いたいことはすべて新譜の4曲に凝縮され、セットリストの他の曲は明るく楽しい、ヒットチューン全開で押す・・・そんな可能性も確かにあるとは思います。
しかし、ここで思い出すのは、老虎ツアーでのセットリスト。ジュリーが決めたという、あの選曲です。
初日の国際フォーラムで、客席皆が「よもや!」と息を飲んだ「割れた地球」・・・そして立て続けに歌われた「怒りの鐘を鳴らせ」。
この2曲の繋がりには、震災を受けてのジュリーのメッセージが込められていたに違いない、と僕は思っています。
もしも昨年、真・タイガースが実現し、トッポも加えてのステージで選曲が練られていたとすれば、ひょっとしたら有り得なかった曲並びかもしれません。タイガースが不完全な形だったことも、あのセットリストになったことも、すべて運命だったのかもしれない・・・と、今になって大げさにそう考えてしまうほどです。
ならば、ジュリーが素直に自由に選ぶソロLIVEのセットリストとくれば・・・さらなるジュリーの意思反映は必然。特に今年は、やはり老虎ツアーでのあの2曲の繋がりに匹敵するようなメッセージが随所に散りばめられるのではないか、と思うわけです。
「怒り」というキーワードで言うなら、新譜収録の「3月8日の雲」「F.A.P.P」2曲の中にもそれが既にあります。ただ僕としては、老虎ツアーからの流れを考えて「怒りの捨て場」を推したいところなんですよね(或いは、先日ある先輩がセットリスト予想として挙げていた、『JEWEL JULIE』収録の「悲しき戦い」・・・これもまた大変魅力的な予想ですが)。
そこでまず、老虎ツアーのセットリストを引き継いで、という観点から語っていきますと・・・。
第一。
ストレートに「怒り」というフレーズのインパクトです。
「怒りの鐘を鳴らせ」も「怒りの捨て場」も、「怒り」を発しているのが「人」であるということ。
例えばジュリーは”地球の怒り””大地の怒り”についても(特に自作詞で)よく歌いますが、この2曲の場合はいずれもハッキリとした”人間の怒り”が歌詞に刻まれ、発散の場をジュリーのヴォーカルだけでなく強靭な演奏にも求めている、という点が共通しています。
「怒りの捨て場」の詞を読むと、これは内なる葛藤の声を怒りとしているようにも受け取れます。しかしフレーズの社会性を取り出し独特の言い回しを吟味してみると、ジュリーは20代のこの当時から、基本的な物事の捉え方は今とまったく変わっていないように思え、本当に驚くばかりです。
第二。
ジュリーのシャウトです。
「四月の雪」の記事で少し触れたのですが、ジュリーがタイガース時代に「割れた地球」で身に刻んだ”旋律の合間にシャウトするヴォーカル”・・・その刀をソロ作品で初めて華麗に抜いた曲が「怒りの捨て場」ではないか、と僕は考えています。
「割れた地球」よりも、シャウトの間合いがファンキーなのが特徴。実はジュリーはファンキーなノリの要素が薄いロック・ヴォーカリストなのですが、「ストーンズ風」というフィルターでもってそこをカバーしている楽曲が多いのです。
1972年の「怒りの捨て場」も1993年の「F.S.M」も、その点は同じであるように感じます。
それではここで、「演奏」というキーワードから考えてみますと・・・。
僕は先の老虎ツアー初日・国際フォーラムに参加した際、サリーのベースを「懐かしい」と感じていたことを後から思い出しました。
無論、いくら事前にタイガースの音源を聴きまくっていたとは言え、本格的にタイガースを聴き出してほんの2、3年という僕が「懐かしい」というのはおかしなことです。つまり、僕は先輩方とは別のところでそう感じていたことになります。
それは、少年の頃憧れていた音・・・『太陽にほえろ!』のサウンドトラックなのです。
具体的に言うと、初期の『太陽にほえろ!』の音楽ですね。おそらく「スコッチ刑事のテーマ」あたりからサリーが脱けていますから、それ以前です。
メイン・テーマ(これはロッキー刑事時代までずっとオンエアされ、ボギー刑事登場時にまた復活しました)はもちろんのこと、挿入曲の中で一番好きな「青春のテーマ」(=ジーパン刑事のテーマ)などの名曲群は、今聴くとメチャクチャにサリーらしいベース演奏であることが分かります。
タテノリでブンブンと弾き、オカズでは高音へとスライドするフレージング。
その他、「衝撃のテーマ」や「アクション」といったナンバーにサリーの特徴が良く出ていますが、それが「怒りの捨て場」にも同じようにして刻まれているのです。
今「怒りの捨て場」でのサリーのベースと大野さんのオルガンの絡みを聴くと、あぁ、自分がずっと昔に憧れていた音だなぁ、とも思いますし、老虎ツアーでの「美しき愛の掟」の熱演も同時に耳に甦ってくるような気がします。
残念ながら鉄人バンドにベーシストはいませんが、彼等なりの新たなアレンジでこの曲を生で聴くことができたら・・・。きっと、前後の曲が何であれ、ゾクゾクするようなカッコいい曲並びになると思うのです~。
泰輝さんがトランペットの音色をどんな形で表現するのか・・・個人的に一番注目しているのはその点ですね。そのまま素直にトランペットのパッチを使用するのか、それともパワーブラスのような音(老虎ツアーでの「淋しい雨」で使用されたような音色)に変えてくるか。
この曲はオルガン・パートも必須ですから、セットリストに選ばれたとすればその時点で泰輝さんの”神の両手”炸裂はもう間違いなし!
さて。
現在僕の手元には「怒りの捨て場」のスコアが2種類あります。
深夜放送ファン・別冊『沢田研二のすばらしい世界』と、ショイン・ミュージックさんの『沢田研二のすべて』の2冊。
これがまたね・・・それぞれのスコアでコード採譜がまるっきり違う、という凄まじい状況になっています。大らかな時代を反映しているとも言えますが、アレンジフェチの僕としては、2倍の考察が楽しめるのです~。
ちょっと比較してみましょうか。
Aメロ歌部、出だしからいきなり・・・。
↑ 『沢田研二のすべて』より
↑ 『沢田研二のすばらしい世界』より
そして、あの独特のエンディングに至るまで・・・。
↑ 『沢田研二のすべて』より
↑ 『沢田研二のすばらしい世界』より
ね?
てんでバラバラでしょ?
「一体どちらで弾けばよいの?」
・・・よくぞお尋ねくださった~。
実はですね、あくまでギター1本で歌う場合に限ってのことですが、これ、どちらでもオッケ~です!
いずれのスコアも、掲載のコード伴奏に載せて正しい「怒りの捨て場」のメロディーを歌うことが可能なのです。
この辺りが和音の面白さ。演奏だけ聴くと全然異なる響きのコード進行に、まったく同一のメロディーが載る、というね。
ただし。
CD(レコード)と一緒にギターを鳴らしてみますと、あら不思議・・・『沢田研二のすべて』の方のコードだと、グダグダな音になってしまいます。
つまり、キッチリ正しく和音を拾っているのは『沢田研二のすばらしい世界』のスコアということになるわけですね~。
さて。
次回更新ではまた、2000年代のジュリー・ナンバーに戻ります。
と言うか、今回のセットリスト予想シリーズで初期の曲を執筆するのは、本日のお題「怒りの捨て場」ただ1曲だけなのです。
本当は、もう1曲ね・・・祈るような気持ちで「ジュリー、歌ってくれ!」と考えている初期のナンバーがあります。
これは『JULIEⅥ~ある青春』の収録曲、と言うだけで明記を控えますが、僕だけでなくこれまで何人もの先輩方が、「歌って欲しい」と仰るのを見聞きしています。
何故僕が明記を避けるのか。
だって・・・僕の予想、基本的に当たらないんですよ。これまで何度も蓋を開けてみたら全敗、という状況を味わっています。
だから、多くのみなさまが・・・あの震災後に、被災者のみなさまも、被災者を思うみなさまも揃って「歌って欲しい」と願っている曲を、僕がセットリスト予想記事として執筆するなんて、縁起でもない!というわけ。
その代わり、心から実現を願っています。
可能性は薄いと思うけれど・・・もしもその曲がセットリスト入りを果たした暁には、ネタバレ解禁後すぐにお題に採り上げたいと思います。
おっと・・・最後に話が逸れましたね。
次回はひととき新譜のテーマとの関連から離れ、エロエロなジュリー・ナンバーでお会いしましょう!
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