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2012年5月

2012年5月27日 (日)

ザ・タイガース 「タイガースの子守唄」

from『THE TIGERS CD-BOX』
disc-5『LEGEND OF THE TIGERS』


Tigersbox

1. タイガースのテーマ
2. スキニー・ミニー
3. 白いブーツの女の子
4. 愛するアニタ
5. 南の国のカーニバル
6. 涙のシャポー
7. 涙のシャポー(別テイク)
8. 傷だらけの心
9. 730日目の朝
10. 坊や祈っておくれ
11. Lovin' Life
12. 誰もとめはしない
13. 夢のファンタジア
14. ハーフ&ハーフ
15. 遠い旅人
16. タイガースの子守唄
17. あなたの世界
18. ヘイ・ジュード~レット・イット・ビー
19. 明治チョコレートのテーマ
20. あわて者のサンタ
21. 聖夜
22. デイ・トリッパー
23. アイム・ダウン
24. 雨のレクイエム
25. ギミー・シェルター

--------------------

お久しぶりでございます。
ずいぶん間が開いてしまいすみません・・・。月末に向けて更に忙しくなることは分かっていたのですが、10日間更新していないと、さすがにアクセス数も減ってきますね~。

本日のお題はタイガース・ナンバーです。
タイガース繋がりの別の話題から先に書いておきますと・・・先日、ビージーズのロビン・ギブが亡くなってしまいましたね・・・。

カミさんはビージーズの中ではロビンが好きだったようで、DVDを持っていました。訃報が届いた日の夜、夫婦でそれを鑑賞し哀悼を捧げました。

Sn390356

2005年の公演を収録した作品で、カミさんはこれを香港の旅先で購入したとか。
観ると、客層はやはり年配の方々で、特に「マサチューセツ」でお客さんが相当盛り上がっているのがよく分かります。
バンド+コーラス隊+オーケストラという豪華な構成のステージです。でも、「ニューヨーク炭鉱の悲劇」はオリジナルアレンジには勝てないなぁ、と思いながら観ていました。

まだまだ知らないことが多いけれど、僕にとっては初めての”タイガースに教わった洋楽”ビージーズ・・・ロビン・ギブの声を、これからも大切に聴いていきたいと改めて思います。
合掌・・・。

それでは本題。
今年の『3月8日の雲~カガヤケイノチ』ツアーに限らず、ジュリーは真・タイガース実現の日まで、自らのソロLIVEでタイガース・ナンバーを封印するのではないか、というのが僕の考えです。

とは言っても所詮それは僕の予想・・・本記事は”今度のツアーでは絶対聴けそうもない曲”シリーズのシメでもありますし、念には念を入れ、ファン以外にはまったく知られていない”隠れた名曲”を採り上げたいと思います。
「タイガースの子守唄」、僭越ながら伝授!

これまで交流させて頂いていたジュリーファンの先輩方を当然含めて、なのですが・・・昨年から今年にかけて、本当に多くの”タイガースファン”の先輩と出逢いました。
みなさん、ほとんどがタイムリーでタイガースを知る、僕にとっては年長の方々でいらっしゃいます。
で、女性ファンの方と男性ファンの方では、僕の中での存在イメージが微妙に違うんですよね~。

男性ファンの先輩は・・・これは正に、”将来の自分”というものをそのお姿に重ねてしまいます。
例えば、武道館のレポにコメントをくださったことがきっかけで交流させて頂くようになったYOU様には、そのご家族への愛情、音楽への愛情、タイガースへの愛情を僕自身の現在のありようと重ね、「自分はまだまだだなぁ」と感じます。
YOU様は通常の人よりも相当にシンドイ道を歩んでおられますが、これまでまったく弱音を聞いたことがありません。
その前向きな生き方が、思いもかけぬ喜びや信じられないほどの素晴らしい出逢いをもたらすのだということを、最近のある出来事で実感させて頂いたばかりです。
模範とすべき先輩としてリスペクトしています。
それが・・・男性ファンの先輩。

一方、タイガースの歴史やエピソード、メンバーの発言、貴重なお宝などについて細かく教えてくださるのは、女性ファンの先輩方です。
男性ファンとは違い、そのタイガースに対する愛情は真っ直ぐで無垢で、正に無償。
(男性の場合、ファンとして学んだことを自身の活動や主張、矜持に生かしていこう、という考えが無意識に働くのです。無論僕もその一人です)

しかも、後追いのファンに対しても、可能な限りのことを教えてくださる。
その無心無償の愛情は普段は無形であるのだけれど、それが”作品”という素晴らしい形で残されている場合もあります。
そのひとつが、「作詞公募」によるタイガース・ナンバーと考えてよいでしょう。それらはいずれも、タイガースに無垢な愛情を持つ女性ファン独特の手法、視点による作品のように思われます。
「これで世に出てやろう」などといういかにも男性的な”野心”はまるで感じられず、ただひたすら「タイガースに歌って欲しい」と願う愛の形が素晴らしい作品として昇華、成就しているのです。

有名な「花の首飾り」「白夜の騎士」はもちろん素晴らしい。
加えて、『THE TIGERS CD-BOX』に収録された、明治チョコレートとのタイアップによる5作品・・・これがまた素晴らしい名編ばかりです。
ある意味、プロの作詞家では書き得ない、ファン視線のタイガースへの愛情が根底のテーマとして作品を成立させているのは、驚くべきことです。

中でも「タイガースの子守唄」は、”「タイガースに歌って欲しい」度”の無垢な愛情のパワーが抜きんでています。

♪ 少女はいつも 忘れっぽいのさ
  Em      F         Dm     G7     C

  夢見ることで忙しいから
  Em     F        B7       E7

  歌ってあげよう あなたの耳に
  Am     Em                         Am

  朝には忘れる子守唄 ♪
  F        Dm         F  Am

なんという素晴らしい逆転の発想!
いや、逆転も何も、「ファンからタイガースへ」という視点であればこれは自然な直球の作詞ではあるわけですが、こうして歌詞となって美しいメロディー、ヴォーカルで歌われると、ミステリアスな雰囲気の物語になります。

「子守唄」と言えば、タイガースファンがまず思い起こすのは「忘れかけた子守唄」でしょう。
戦場から帰還する息子のために、必死で子守唄を思い出そうとする母親。そう、子守唄というものは、歌う側からすると、かつての”絶対に忘れてはいけない”もの。それが幼い子への愛情の証。

では、唄を聴く側はどうかというと・・・。
さて兵士ジョニーは、母親の子守唄を覚えていたでしょうか。
もちろん、母親が子守唄を歌ってくれていたことは生涯忘れないでしょう。しかし唄の歌詞、メロディーまでキチンと刻み込まれていたかどうか。

無償の愛を受ける幼い子は、朝になると子守唄のことなど忘れて目を覚まします。眠っている間に、素敵な夢を見ることで忙しいからです。
無償の愛をタイガースに捧げる女性ファンにとっての、これ以上ない歓びとは・・・そんな母親が子に尽くすような無償の愛を、逆にタイガースから実感すること。
その象徴としての「子守唄」。
それを
「朝には忘れてます」
と子供らしく正直に言うところがまた、何とも痛快です。このあたりの潔さこそが、優れた詞というものだと僕は考えます。
朝にはあなたの歌を忘れるくらいに、夜に見るあなた(タイガース)の夢は素晴らしい・・・ということでしょうか。

作詞の藤本泰子さんは、老虎ツアーをご覧になられたでしょうかね・・・。
僕のブログには老虎ツアー直前、「タイガースの子守唄」という検索フレーズでのアクセスが頻繁にあったので、ひょっとしたらセットリスト入り?と思っていましたが、結局それはありませんでした。
真・タイガース実現の暁には、是非この隠れた名曲にも光を当てて欲しいところです・・・。

それではここで、こちらもタイガースに無償の愛を捧げていらっしゃる先輩からお預かり中の、素晴らしいお宝をご紹介しましょう。

Sn390352

「タイガースの子守唄」のミニレコードです。
ちょうど今のCDと同じくらいのサイズ。紙ジャケ仕様といったところですね。このジャケ部裏面が、そのまま封筒の宛名となっておりまして、先輩のうるわしきお名前が記されております。

Sn390353

レコード盤面。こちらはA面です。
今ではもう当たり前のように把握していますが、こういうショットを見るたび「あぁ、タイガースの人気No.2はピーだったんだなぁ」と勉強していた日々を思い起こします・・・。

Sn390354

B面は今でいうところのカラオケ・ヴァージョンでございます。

そういえば、この「タイガースの子守唄」は相当ひっ迫したタイトなスケジュールでレコーディングされたと推測できます(キーがジュリーの声域よりかなり低めなのです。移調して演奏する時間の余裕が無かったのでしょう)が、演奏はタイガースなのでしょうかね?
結構怪しいんですけど、どちらとも判断がつきません。

この曲の最後の、オープン・ハイハットで「しゃしゃしゃ~ん♪」とシメる手法は、老虎ツアーでの「銀河のロマンス」のエンディングを思わせますから、ドラムスはピー本人かな?
これでバスドラの「とっ」という優しい一発があれば、「おおっピーだ!」と断言できたところなのですが・・・。

Sn390355

そして何と、歌詞カードの裏面には・・・出血大サービスのコード付メロディー譜がついてます!
何という素晴らしい特典でしょう・・・。
(そういえば、時を経て1998年リリース、ジュリーのソロ・シングル『永遠に』にもスコアがついていたと聞いていますが、お持ちの先輩方、いいなぁ・・・)

しかもですね。70年代前半までのタイガースやジュリー関連のスコアって、これまで色々見てきましたけど、コード採譜についてはどれも結構適当だったりするんですよ。
しかし、この譜面は完璧です。これは下手すると、作曲・村井邦彦さんの監修があったのかもしれない、とすら思えますね~。

さきほども少し触れましたが、「タイガースの子守唄」で返す返すも惜しいのはキー設定です。
イ短調のメロディーのこの曲の最低音は低い「ラ」の音で、キチンと声は出しているものの、さすがのジュリーも少し苦しそうです。
一方、最高音・・・ジュリーをもってすればまだまだ余裕があります。レコーディングに時間をかけ、1音半キーを上げてハ短調あたりで演奏すれば、ジュリーの美声がもっと際立ったはずなのですが・・・。
もしも”近い将来”にステージでこのナンバーが採り上げられるならば、おそらくキーは上げてくるでしょうね。

さて、最後にちょっとタイガース関連の別件です。
先日の夕刊フジさんにトッポのインタビュー記事が掲載されたことは、みなさまご存知かと思います。色々な見方あるようですが(ため息の先輩方も多い・・・)、僕は「トッポ、やる気満々だな~」と思いましたし、メンバーそれぞれある中で、トッポなりの譲歩の雰囲気を感じましたよ。

で、記事中では”タイガース”命名の件についての言及がありましたね。
僕はこれまで、「関西だからタイガース、と押し通され、ジャイアンツファンのメンバーから顰蹙を買っていた」という知識しかありませんでしたから、「えっ?」と思ってしまったわけです。
しかし、本日お昼にたまたま門前仲町は富岡八幡宮開催の骨董市にて発掘購入したタイガース・タイムリー時代の歌本に、トッポの発言を裏打ちするような記述を見つけましたので、この機にご紹介しておきましょう。

Sn390360

これは・・・連載なのでしょうか。読者の質問に『平凡ソング』が答える、というコーナーのようですね。
質問はズバリ

色々なバンド名があります。どんな意味でどんなことからつけたのでしょう。

ということで、GSを代表するバンドについて誌の答が書いてあります。当然、タイガースはイの一番に記載。

(本文抜粋)
ザ・タイガース(虎)
この名前は、ヒットパレードのナマ本番10分前に決まったもの。タイガースの曲をいってにひき受けている、作曲家すぎやまこういち氏が、アメリカのモンキーズに対抗しようというので”ザ・タイガース”が良いと言ったところ、真っ先に反対したのが、ジュリーです。しかし、サリーの「人気が出れば、かっこがつくよ」のひとことできまった。

ジュリーが真っ先に反対した、というのはともかくとして、「モンキーズからヒントを得て」ということは、実際あったのでしょうね。

ちなみにこの歌本は、昭和43年7月号『平凡』の付録です。
40年以上も前の本ですので、かなりボロボロの状態で発掘しましたが、これはなかなか貴重な号ですよ!

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表紙は三田明さんと中村晃子さん。
掲載されているタイガースのスコアは、まず「花の首飾り」「銀河のロマンス」・・・ちょうどこのシングルが大ヒットしていた時だったのかな?
巻頭にはこんなデータも。

Sn390362

しかし、この2曲のスコア自体はさほど珍しいものではありません。実際、僕も何種類も持っていますし・・・。
貴重なのは、この曲!

Sn3903662

「いとしのデラ」のスコアです。これは珍しい!

ちなみに、この号には橋本淳さんのインタビューも掲載されていますから、いつか機を見てご紹介したいと思っています。

といったところで・・・。
”今度のツアーでは聴けそうもない曲”シリーズは今回で終了。本当はもう1曲、「素敵な気分になってくれ」を書く予定でいましたが、時間が無くなってしまいました。こちらは夏に改めて執筆したいと考えています。

次回の更新・・・いよいよ6月を迎え、ジュリーのソロツアー『3月8日の雲~カガヤケイノチ』開幕までのカウントダウンが始まります。
まずは来週あたりチケットが届く・・・のかな?僕も含め多くの方々は、初日が当選しているかどうか、チケット到着まではまだ分からない状態なのですが・・・。

果たしてどんな曲を歌ってくれるのか。
一番の関心はそこですね。

僕の予想は、直球。
新譜のテーマとリンクするような内容のナンバーが多く採り上げられるのではないか、と考えています。

拙ブログでは次回記事から、恒例・”全然当たらないセットリスト予想”シリーズへと突入いたします!
書きたい曲は10曲くらいあるんですけど、さすがに全部の執筆は無理。5曲を目標に、予想ナンバーを楽しみながら、初日を待ちたいと思います。
みなさま、よろしくおつきあい下さいませ~。
 

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2012年5月18日 (金)

沢田研二 「ダメ」

from『サーモスタットな夏』、1997

Samosutatto

1. サーモスタットな夏
2. オリーヴ・オイル
3. 言葉にできない僕の気持ち
4. 僕がせめぎあう
5. PEARL HARBOR LOVE STORY
6. 愛は痛い
7. ミネラル・ランチ
8. ダメ
9. 恋なんて呼ばない
10. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

--------------------

”今度のツアーではとても聴けそうもない曲”シリーズということで、矢継ぎ早に短めの記事で書きまくっております。
今回は1997年に飛びまして、アルバム『サーモスタットな夏』からお題を採り上げますよ~。

 

『サーモスタットな夏』に限らず、ジュリーが勇躍セルフ・プロデュースを開始した1995年リリースのアルバム『sur←』以降のナンバーというのは、いつどの曲がツアーで採り上げられても不思議はない(ですよね?)と思われる中、数少ないナンバーについては、「これはもう生で聴くことは叶わないのではないか」と個人的に考えている曲もあるにはあります。
先日執筆した「エンジェル」は、「今年はナイだろう」という予想で書いたわけですが、本日のお題は「もう永遠にナイのでは・・・」と僕が考えてしまっているナンバー。
ズバリ・・・「ダメ」、伝授です!

 

ちょっとイライラしている時、物事がうまくいかない時、身体がへこたれている時・・・そんな苦境を笑い飛ばすエネルギーを貰える曲。
僕にとっては、「KNOCK TURN」と同じような感じで身体が反応する、痛快なナンバーです。
「KNOCK TURN」の「の、の、の、の、の・・・」と、「ダメ」の「いやだ!いやだ!」に、駄々をこねるように盛り上がるゴキゲンな共通点を感じるのは、僕だけでしょうか。

そんな曲を、この先のツアーで「もう聴けないだろうなぁ」と考える理由は・・・。
歌詞・曲調ともに、いわゆる「ギンギン」な時代のジュリー、つまり僕が『ジュリー祭り』以前まで勝手に抱いていた、良い意味で”虚飾”のジュリー像を感じてしまう・・・これは今のジュリーからは遠く離れたイメージの曲なんですよ(僕だけの考えかもしれませんが)~。

無論、作詞が朝永彼方さんということで、さほどブッ飛んだ虚像的恋愛テーマとはなっていません。
しかし・・・愛に溺れる主人公の葛藤が、こういったアップテンポの短調のナンバーで歌われる手法は、この「ダメ」以降ほとんど姿を消してしまうのです。
曲想で似たパターンはあっても、歌詞のアプローチは天と地ほどに違うのです。
ジュリーの制作スタンスを反映してのことでしょう。
(例えば「月からの秋波」や「C」は、往年の短調アップテンポ・ヒットチューンを彷彿させる曲調ではあっても虚飾とはならず、人間・ジュリーとそのままリンクしているように思えます)

 

男の愛の在り処をアップテンポの短調で歌う・・・確かに阿久=大野時代は特に、このパターンが主流中の主流でした。
大ヒット・シングルだけで考えても、「勝手にしやがれ」「ダーリング」「カサブランカ・ダンディ」・・・スラスラと該当する作品が浮かびます。
その手法は、作曲家として見事覚醒したジュリー自身のペンによるナンバー達にも引き継がれます。「麗人」「十年ロマンス」「灰とダイヤモンド」などが当てはまるでしょうか。
さらに「Muda」を挟み、JAZZ MASTER時代・・・吉田建さんプロデュースによる”スーパースター・ジュリーの逆襲”のひとつの手管としてこの手法は大々的に復活。
「DOWN」「涙が満月を曇らせる」「そのキスが欲しい」。
やっぱり、これらすべての曲が文句なくカッコイイんですよ。短調アップテンポで、色男な歌詞のナンバーを聴くと、「あぁ、ジュリーだなぁ~」と、反射的に思ってしまう僕がいます。

ただね~、何と言いましてもこのお題曲の場合は、タイトルが「ダメ」ですからね!
名曲、名演と言えると思うのですが・・・何処かコミカルな要素もある、不思議なスタンスのジュリー・ナンバーではないでしょうか。「Muda」にも近いものを感じますけどね。
あと、「Muda」で連想しましたが、表記の問題として「Dame」より「ダメ」の方がロックだと思う・・・。「Dame」だと、斜陽アイドル・ソング的な匂いがプンプンしてしまいます。その点、さすが朝永さんですね。


さて、作曲は芹澤廣明さんです。
ビッグネームですよね。特に僕のようなベストテン世代には馴染みの深いお名前・・・しかも、(今だから言いますが)何も分からぬ10代の若造DYNAMITEは、のちにジュリーを通じてひれ伏すことになる後藤次利さんなどの”ヒット曲”に意味も無く反発していたのに、芹澤さんに対しては、それがありませんでした。
以前「ミネラル・ランチ」の記事で少し書きましたが、僕はチェッカーズの曲が好きだったんですよ・・・。

僕は『平凡』『明星』の付録についていた歌本を、ジュリー・ナンバーに限らず古き良き時代の歌謡界の名曲補完を目指し地道に古書店で収集しているのですが、80年代になると芹澤さんの作曲作品がズラリ、という感じです。
大ヒット・メーカーの芹澤さんですから、当然覚えている曲が多いです。チェッカーズのナンバー以外で誰もが知っている作品を挙げるなら、「少女A」や「タッチ」といったところでしょうか。

そんなヒット・ナンバーの数々を、歌本掲載のコードを追いかけて歌ってみると・・・本当に馴染みやすいメロディーであることを再確認します。正にプロフェッショナルなんですよね~。
メロディーの狙いがハッキリしていますし、明快なサビへ向かってグイグイ押しまくるような構成になっています。Aメロの役割、Bメロの役割、サビの役割というものがそれぞれ際立つように作られているのです。”ストレートに良い曲”を目指しているのでしょう。

90年代後半になってジュリーに提供した今回のお題、「ダメ」ももちろん、そう。
『第六感』収録の「いとしいひとがいる」も僕は大好きだし、芹澤さんの曲とは波長が合うみたいです。

ちなみに、『YOUNG SONG』の1984年11月号に芹澤さんのインタビューが掲載されていますので、少しご紹介しましょう。

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プロフィール
昭和23年、横浜生まれ。幼稚園の時に買ったハーモニカがきっかけで音楽に興味を持つ。中学から約3年間、クラシック・ギターを本格的にレッスン。18才でヤマハのコンテストに優勝した後、プロの道へ。尾藤イサオのバンド、NHKの「ステージ101」などを経験して、CM作曲家に転進。昭和57年「少女A」の大ヒットで一躍、脚光を浴びる。現在、チェッカーズの一連のヒット作をはじめ、個性の強いメロディが受けている人気作曲家。

(本文抜粋)
「(・・・中略) 「ステージ101」をやめてから、本格的にCMの仕事をやりはじめたんです。とにかくやたらたくさんのメーカーのCMを作りましたよね。今までに書いたCMソングは2千曲くらいあると思いますよ。
この頃から音楽を作ることが、特別なことではなくて、完全に日常生活の一部になったんです。つまり新聞を読んだり、食事をするのと同じ気持ちで作曲するんだな。だから”僕の作る音楽は芸術だ!”なんて思ったことは一度もないですよ」

プロですよねぇ。ガツンとした発言です。
しかもイケメンですからね・・・。成功者のオーラが写真からも窺えます。

ところで、話が逸れてしまいますが、参考までに。この号の『YOUNG SONG』に掲載されているジュリーの曲は、と言いますと。

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まず巻頭カラーページに、最新シングル(!)の「AMAPOLA」。
加えてこの号では『タイムマシンは9年前へ!』という懐かしのヒット・コーナーがあり、1975年のヒット曲を特集しています。
ジュリーは当然、この曲での掲載。

Sn390350


話を戻しまして、「ダメ」はいかにも芹澤さんらしい楽曲で、気合充分の提供曲と見ました。
考えてみれば、芹澤さんの「少女A」「哀しくてジェラシー」「タッチ」・・・これらは短調のアップテンポ・ナンバー・ビッグヒットのお手本のような作品。同様の曲想を持つ「ダメ」も、ヒット性の高いメロディーと言えるはずなんですよね・・・。ただ、セルフ・プロデュースを始めてまだ数年経ったばかりのジュリーとすれば、こういった王道ヒット・タイプのメロディーとすれ違うような志向が、この時点でひょっとしたら既にあり得たかもしれません。

最後に、「ダメ」の演奏の素晴らしさについては是非とも語っておかなければ・・・。
ここぞ!というタイミングで噛んでくる鬼のパーカスも凄いですが、この曲は何と言ってもベースです!
分かり易いのは、1番Aメロ。

♪ 会いたくて 電話して 呼び出して
  Gm

  あまりにも 冷たくて 傷ついた
  Gm

  お願い 慰めておくれよ ♪
        E♭maj7       Gm

硬派に「ジャッ、ジャッ!」のハードな刻み。でもよく聴くと
う~~ジャッ、ジャッ!」
と、小節の頭に向かってグルーヴする音がお分かりになるはず。
そして、「おくれよ~♪」とジュリーのヴォーカル部が終わったとたん、グシャグシャ~!っと聞かん坊のように暴れ回る過激なフレージングが凄い!
この奏法は、最初のサビ後の間奏部ではさらにブッ飛んだ形で炸裂していて、ギターリフがメインなんだかベースソロなんだか・・・という状況にまで楽曲を追い込んでいます。

とは言うものの、白井さんのギターワークもこれまた見事。印象に残る演奏です。
で、実は僕、よほどこの曲のギターが頭にこびりついていたのか(おそらくそれは、ドーム直後の『サーモスタットな夏』CD購入時の鬼のようなリピート率のせいでしょう)、その後に知った2曲ものジュリー関連ナンバーのギター・トラックについて、初聴で「ダメ」を連想するという事態を迎えました。

まずは、「ダメ」渾身の間奏のギター・フレーズに注目。3’21”あたりです。
これが、次作『第六感』収録「ホームページLOVE」のエンディング・ギターソロ、3’47”からの導入部にかなり似ています。
初めて「ホームページLOVE」を聴いた際には
「白井さん、ダメじゃん!」
と思いました。いや、演奏が「駄目」ということではなくて、”「ダメ」みたいでいいじゃん!”ってことですよ・・・念のため。

もう1曲は、何とタイガース。
素晴しい旅行」のイントロを聴いた瞬間、脳内で「ダメ」のイントロとゴッチャになりました・・・。
意外ですか?この2曲のイントロのギター、キーは違えど最初の4音目までは音階移動も同じ。7音目まではリズムも同じなんですよ。
単なる偶然のアレンジですけどね。よくあるリフ・フレーズのパターンですから。
ただ、「素晴しい旅行」が長調で「ダメ」が短調、というのが面白いところです。調に関係なくハードなフレーズが載ってしまうのがロックたる所以でしょうか。
そう言えば、伊藤銀次さんも「HEY MR. MONKEY!」のアレンジ・オマージュ元をビートルズの「タックスマン」とした上で、「でも長調と短調という違いがある」とブログで解説されていましたっけ・・・。

にしても、「ダメ」を聴いて「おっ、”素晴しい旅行”!」と感じたというならともかく、「素晴らしい旅行」を聴いて「おっ、”ダメ”!」と反応したというのは・・・いくら後追いファンとは言えど、いかがなものか。
物事の順序として、とても間違っているような気がします・・・。

さて、来週から月末にかけては、かなり多忙な日々に突入します。5月いっぱいの開催期間とした”今度のツアーではとても聴けそうもない曲”シリーズの執筆は、おそらくあと2曲。
(6月に入ったら、完全にソロコン・モードのスイッチを入れ、セットリスト予想シリーズを開催です!)

次回は、このところの更新よりペースが落ちて間が開くかと思いますが・・・今度こそタイガース・ナンバーを予定しています。
僕は、”近い将来”実現の時までジュリーはソロLIVEでタイガースの曲をすべて封印するのでは、と考えてはいるんですけど、”とても聴けそうもない曲”シリーズのコンセプトを重視し、念には念を入れ、ファン以外にはまったく知られていないナンバーを採り上げたいと思っています~。

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2012年5月15日 (火)

沢田研二 「シャワー」

from『S/T/R/I/P/P/E/R』、1981

Stripper

1. オーバチュア
2. ストリッパー
3. BYE BYE HANDY LOVE
4. そばにいたい
5. DIRTY WORK
6. バイバイジェラシー
7. 想い出のアニー・ローリー
8. FOXY FOX
9. テーブル4の女
10. 渚のラブレター
11. テレフォン
12. シャワー
13. バタフライ・ムーン

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短めの記事(あくまで拙ブログ的には、ですが)で、ガンガン続いております”今度のツアーでは絶対に聴けそうもない曲”シリーズ。
このテーマですと、やっぱり70年代、80年代のアルバム収録曲たちが多く頭に浮かんできてしまいますね~。

今日は80年代です。
枕もそこそこに、エキゾティクス期の渋いナンバーを採り上げたいと思います。
大名盤『S/T/R/I/P/P/E/R』から。
「シャワー」伝授です!

昨年・・・ちょうど僕が老虎ツアーのセットリスト予想を頑張っている頃でしたが、伊藤銀次さんがブログでジュリーのアルバム『G. S. I LOVE YOU』制作秘話を連載の形で書いてくださっていました。
その際、「今度はアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』のことも書こうと思う」と仰っていたのだけれど、まだなのかなぁ・・・。かな~り、楽しみにしているのですが。

『G. S. I LOVE YOU』『S/T/R/I/P/P/E/R』の2枚は、アレンジャーである銀次さんのリスニング・センス抜きには語れないナンバーがたくさん収録されています。
僕もこれまでいくつかの曲で、そうしたことを中心に考察記事を書きました。今回の「シャワー」についても、そんな内容になります。

『G. S. I LOVE YOU』も『S/T/R/I/P/P/E/R』も、銀次兄さんのアレンジには洋楽ロックへのオマージュがふんだんに盛り込まれているのですが、『G. S. I LOVE YOU』ではビートルズやストーンズが核になっていたのに対し、『S/T/R/I/P/P/E/R』ではさらに渋くマニアックなサウンド・アプローチが為されています。その分、ミックスは正攻法になっているんですけどね。

曲で言うと、例えば「ス・ト・リ・ッ・パ・-」はストレイ・キャッツ、「バイバイジェラシー」はロックパイルという、明確なオマージュ元があります。
では、「シャワー」はどうでしょうか。
当たっているかどうかは銀次兄さんの解説を拝見できる時まで分かりませんが、これはザ・キュアーじゃないかな、と僕は考えています。
エコー&ザ・バニーメンの線も大いに考えられるとは言え、アレンジでの、特にギターの音階やカッティング、エフェクトなどはキュアーの手法だと思うんです。

ザ・キュアーというバンドは、ヴィジュアル系としてはカリスマのような存在。ただ、容姿や過激なキャラクターだけではなく、バンドを率いるロバート・スミスのヴォーカルと音楽性は当時刺激的に新しかったらしい、と僕も後追い認識しています。
それに・・・ロバート・スミスのギターって、いかにも銀次兄さんの好みのように思いますし。

ちょっとおどろおどろしい、と言うか退廃美のような楽曲の雰囲気こそ、キュアーの真骨頂。
「シャワー」のアレンジが凄いのは、キュアーがその後に辿る進化形(アルバム『ポルノグラフィー』など)をも彷彿させるような、ダーク・サイケデリックのアプローチまで先取りしてしまっていることです。

また、オマージュ元の大物としては、一瞬「おっ、ドアーズ!」と感じた箇所もあります。
2分55秒くらいの、リズム隊が無気味に残るところに噛み込んでくるオルガンですね。銀次兄さんはブログで、ジュリー作曲の「HEY!MR. MONKEY」のコード進行がいかに斬新かという説明の際に、ドアーズの「ハートに火をつけて」を引き合いに出していましたし、ドアーズの雰囲気は常に引き出しに持っていたでしょう。
ドアーズはダーク・サイケデリックの元祖とも言うべきサウンドですし、キュアーっぽいギター・アプローチと相性も良かったことから採用されたアレンジだったのではないでしょうか。

しかし、こういったことも結局、一介の素人ファンの推測に過ぎません。
何処までその推測が的を得ているのか、或いは全然見当違いなのか・・・銀次さんの『S/T/R/P/P/E/R』制作秘話を本当に心待ちにしているところです。最近のブログでのご様子を拝見していますと、銀次さんはとてもお忙しそうなのですが・・・。

さて、それでは銀次さんのアレンジで変貌する以前の、純粋に吉田建さん作曲時点での「シャワー」はどんな曲だったのでしょうか。

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新興楽譜出版社・刊 『ス・ト・リ・ッ・パ・- 沢田研二楽譜集』より

写真集として有名ですが、スコアとしても素晴らしい1冊です。少し前に、神保町の古書街で見かけた時には凄まじい値段がついていましたね(『水の皮膚』ほどではありませんでしたが・・・)。
「シャワー」の掲載ページは「DIRTY WORK」と抱き合わせです。
ちなみに、そのページの見開き右の写真はこちら。

Sn390347

この本のモノクロ写真のジュリーって、なんだか怖いお兄さんショットが多いように感じるのですが・・・。

ということで、スコアを参考に紐解いてみると・・・「シャワー」という曲は、作曲者こそ違えど前作『G. S. I LOVE YOU』収録の「NOISE」に近い曲想のように思います。
加瀬さんはギターリフ、建さんは当然ベースラインが骨子になっていますけどね。進行や構成はよく似ています。
「シャワー」のサビも「NOISE」同様、それまでじりじりと粘り強く展開してきた曲調が一気に視界を拡げるような解放感(「プリティ・ウーマン」のような単音のギター・フレーズが小気味良く噛んでくるアレンジで、それがさらに強調されています)が素晴らしいですね。

そんな中での2曲の大きな違いは、「NOISE」の”陽”に対して「シャワー」の”陰”とでも言いますか・・・。
「シャワー」は役割的には『G. S. I LOVE YOU』で言うと「THE VANITY FACTORY」のような重心をとる位置に収録されているのでそう感じるのかもしれません。でも本質的には「NOISE」に近いアプローチの曲作りだと思っています。

ジュリーのヴォーカル、切れてますねぇ。こういうヴォーカルのナンバーが収録されていることで、アルバムの構成がグッと引き締まります。
ここでの歌い方は、佐野元春さんに刺激された部分が大いにあるように思います。例えば

♪ ここは   海の底 ♪
  Gm  E♭7  Gm    E♭7

語尾を投げっ放しにするような発声や、トーキング・スタイルももちろんそうなんですけど、細かいながら強調したいのは、「海の底♪」の「そ」の発音。
限りなく「す」に近い「そ」なのです。これは佐野さんのヴォーカルの個性でもあります。
高校時代、佐野さんの「ダウンタウン・ボーイ」という曲で「ここにもひとり、あそこにもひとり♪」というくだりの「あそこ」が「あすこ」に聴こえるのがロックとしてカッコいいのか悪いのか、という激論を友人と交わしたものです。無論僕は、「カッコいい」派ですよ!

あと、この曲ではバッキング・コーラスについても触れておきましょう。
Aメロ冒頭の「Baby♪」の箇所が一番分かり易いと思いますが、抑揚を抑えた平坦な感じの低音コーラスが加えられていて、これがとても効いています(エキゾティクスでこの低音出すメンバーは誰なのでしょうか)。

この手法は、アルバムの他収録曲のいくつかでコーラス参加しているポール・キャラックが在籍していた、スクイーズというパブ・ロック・バンドが得意とするコーラス・ワークです。
リード・ヴォーカルのグレン・ティルブルックの艶のある主旋律に、渋みばしったクリス・ディフォードの無機質な低音を重ねることで、メロディーの要所要所にエッジを効かせる、という独特の技。

「シャワー」では、こんなところにも銀次さんの手腕が表れ、当時タイムリーな洋楽ロック・サウンドへのオマージュが一層楽しめる名曲となっているのですね~。

さて・・・次回の更新ですが、今度は90年代後半に飛んでみようと思っています。
『sur←』以降のセルフ・プロデュース期のアルバム収録曲は、ほとんどの曲がいつセットリストに選ばれても不思議ではないという感じです。そうした中、一握りの「これは当分やらないだろうなぁ~」と思われる曲(僕の個人的な判断ではありますけど)を探していくのも、これまた楽しい作業だったりして。

それでは、また週末(たぶん)に!

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2012年5月12日 (土)

沢田研二 「バラを捨てて」

from『JULIE』、1969

Julie1

1. 君を許す
2. ビロードの風
3. 誰もとめはしない
4. 愛のプレリュード
5. 光と花の思い出
6. バラを捨てて
7. 君をさがして
8. 未知の友へ
9. ひとりぼっちのバラード
10. 雨の日の出来事
11. マイ・ラブ
12. 愛の世界のために

-------------------

締切日が過ぎてから書くのもナンですが・・・みなさま、ジュリーのツアー後半戦の申し込みは無事お済みでしょうか?
僕の周囲にはギリギリになってから申し込みをなさる方々が多くて、「よく焦らないでいられるなぁ」と、いつも感心してしまいます。

僕は八王子、大宮、フォーラムを申し込みました。
前半戦で申し込んだ初日渋谷、びわ湖と併せ、すべて第一希望通りとはなかなかいかないのでしょうが・・・どの日も外れたら困る~。
初日は絶対行きたいし、びわ湖はもうすでにその日に合わせてカミさんの実家にお邪魔することを決めてしまったし、大宮はYOKO君今年唯一のチャンス日だし。
外れてもどうにかあきらめがつくのは、ファイナルのフォーラムだけかもしれません。
それに、後半戦初っ端の八王子が第二希望記入欄無し、って大丈夫なのかな。関東圏のファンはドッと押し寄せるような気がするけれど、8月の渋谷と間隔がさほど空いていないし、そんなこともないのかな・・・。

いずれにせよ、楽しみです。久しぶりのソロコンサートですからね!

そしてもうひとつの大きな楽しみ・・・真・タイガースの復活の話題も盛り上がってきましたね。まだ具体的には何も決まっていないようですが、ジュリーの東西トークショーではタイガースのことも大いに語ってくれたそうで、いよいよか!という感じです。
(トークショーは、7月31日の横浜が追加になったらしいですね~。ツアーが始まってからの日程ですし、また新しい話題もあるのでしょう。ご参加希望のみなさま、電話予約のご健闘をお祈り申しあげます!)

とにかく、5人が揃って色々と話しているらしいことが分かり、とても嬉しく思っています。
先の老虎ツアーは本当に楽しくて、武道館まで半年充実したタイガース・ナンバーづくしの日々が送れて、実はLIVEそれ自体はもうかなり満足させてもらった感があります。
でも・・・やっぱりセットリストに「廃墟の鳩」が無いっていうのは、完全なタイガースではなかったとは思いましたし、若輩の身で恐縮ながら、曲によっては「これで、トッポのコーラスがあればなぁ」と思ったナンバーもありました。
それがいよいよ実現に向かって動き始めているんですね・・・。

メンバーそれぞれのスケジュールを合わせることは、演奏曲目のリハだけでも相当難しいのでしょうが、僕個人的には、タイガースとしての新譜リリースにも期待したいんだよなぁ・・・。
そんなことしたらLIVEで昔の名曲がその分はじかれちゃう、という心配の声も大きいとは思います。だから、フルアルバムでなくても・・・5曲入りとかでもね。
トッポの曲、ピーの曲。王道のタローの曲。
サリーの詞。ジュリーも当然作詞するかな。
そして、体調のこともありレコーディング参加となると難しいシローにも、詞を書いてもらって、作詞者として新譜に参加という形はどうかな・・・なんて、僕は以前から勝手に考えたりもしています。

ジュリーとしては「急ぎ過ぎずに」ということのようですね。
僕はジュリーファンだからだと思うけど、ジュリーの発言を色々なブログさんで知って・・・まったく違和感が無いんです。その通りだなぁ、と思うばかり。
トッポのことも・・・CMなんて出なくっていいじゃん、僕はトッポの音が、曲が聴きたいよ!と、そう思うわけです。LIVEのことはジュリーに任せておけば、最終的にはメンバーすべてのファンが会場に集まってくれるよ!と・・・こんなところで書いても仕方ないんですけど。

まぁ贅沢を言えばキリがありませんが・・・楽しみを色々と膨らませながら次の情報を待ちたいと思っています!

それでは本題です。
”今度のツアーでは絶対に聴けそうもない曲”シリーズ。今日は、ジュリーのファースト・アルバム『JULIE』からお題を採り上げます。
「バラを捨てて」、伝授です~。

Julie1

アルバム『JULIE』収録曲については、参考資料としてこちらのスコアが手元にございます。

Sn390345


ショイン・ミュージック・刊 『沢田研二のすべて』より

曲によってはキーが変えられていたり、かなり手抜きの採譜だったり、曲のタイトルに誤植があったりと、なかなか一筋縄ではいかない(?)スコアブックなんですけど、それがかえって研究心をかきたてますし、何より収載曲が貴重で愛すべき1冊。
で、「バラを捨てて」は、せっかくジュリーがゆったりとした3連符のニュアンスで、音符を跳ねるように歌っているのが、メロディーの採譜ではスルーされている粗さはあるものの、コードについては比較的順当な感じの表記です。キーも原曲通りのト長調になっていますしね。

さて、アルバム6曲目の「バラを捨てて」。レコードだと、A面のトリの位置に収録されているのですね。
これは、つい最近になって「おおっ!」と突然好きになった曲。僕は未だに、ジュリーのアルバムを聴いていて、それまで見過ごしていた楽曲の魅力に突如憑りつかれる、というパターンがしばしばあります。最近執筆した曲だと「Silence Love」なんかも、そう。
ちょっとしたことで聴こえ方がガラリと変わり、劇的に好きになる、という・・・。
LIVEで生で体感することがそのきっかけになることが多いのですが、「バラを捨てて」の場合は・・・ジュリーとトッポの”仲直り”の噂のおかげでした。

「は?なんじゃそりゃ?」
みなさま、そうお思いでしょうね。

言うまでもなく「バラを捨てて」は、日常の断片を安井かずみさんの美しい感性で愛の歌に昇華させたナンバーで、トッポとはまったく関係がありません。
僕は前回記事のシメで、「当時、歌詞からジュリーとトッポのことを連想した先輩、いらっしゃらなかったですか?」と書いてしまいましたが・・・よく考えればそんなことはあり得ませんね。リリース時の状況、年代から考えてもね。
そう、この詞からそんなことを連想してしまうのは、正に「今」だからこそ。
ひょっとしたら、タイムリーなタイガースのことを何も知らない新規ファンだからこそ、の感想なのかもしれませんし。

これまで僕は「バラを捨てて」という楽曲タイトルについて深く考えたことがありませんでした。
情けないことに僕の脳内では、幼少のTVで観ていたジュリーの記憶・・・そのスーパーアイドル的イメージがそのまま残っている部分が自然にあって(それも悪いことばかりではないけれど)、例えば、あのジュリーが若い頃に「バラを捨てて」なんて歌を歌っていたんだなぁ、と認識すると、その瞬間脳内ではバシッと白スーツか何かでキメたジュリーが、口に咥えていた一輪のバラを「プッ!」と吐き捨てる、とかね・・・そんな映像が浮かぶわけです。
詞の内容とは関係なく、ほとんど無意識でそんなふうに捉えているわけですよね・・・。困ったことです。

♪ バラを捨てて 意地を捨てて
  G    Gsus4 G         Gsus4 G 

  帰ってくる 許しあお     う
  Am7     D7    G B7(onF#) Em  G7(onD)

  君はもう離れない ♪
  C       D7  G      

(註:上記紹介の参考スコアとは一部コードが違います。弾き語りならば僕はこう弾きます、ということです)

この曲での「バラ」というフレーズが、まぁ一般的な、「美しいけれど棘がある」という心情的な象徴として描かれていることは、分かってはいました。
ただ、たまたま最近”ツアーで聴けそうもない曲”探しということでアルバム『JULIE』を聴いていて(僕は、このファーストアルバムからはしばらくLIVEのセットリストに採り上げられる曲は無いのではないか、と考えています)、2番の「バラを捨てて♪」に続く「意地を捨てて♪」、そしてその後の「許しあおう♪」という箇所で、ハッとなったのです。
これは、いわゆる”仲直り”の歌だよなぁ・・・と。

男って多かれ少なかれ、他人から見たら「何をそんな頑固な」という「意地」がありますよね。
ジュリーにも、トッポにもあるでしょう。と言うか、この二人は大いにある・・・のでしょうね。タイガースのメンバーで言うと、ピーもそうかもしれませんが。
それは、男にとって大切な「矜持」を支えているもののひとつであるわけです。

「矜持」は、プライドであったり、考え方であったり、環境、人生経験・・・色々な要素で出来上がっていて、その中に「意地」というものも確かにあります。
ただ、ふとした瞬間に「意地」だけを取っ払った方が上手くいく、むしろ自分の矜持がスッキリする、ということがあるのではないでしょうか。
「意地」を捨てたジュリーとトッポが、残ったお互いの矜持をぶつけ合いながら、タイガースについて正に今、色々と話をしている・・・そう想像しただけでワクワクします。ぶつかり合うことも多い二人だけに、いざこの二人の意見が揃った時には、相当強い色が出てくると思いますしね。

そんなふうに考えて、「バラを捨てて」が単に男女の物語ではなく、男同志、女性同志の友情の歌とも解釈できることに、僕は今さらながら気がついた次第なのです。
ZUZUは、普通に同性の友達のことを詞にしたのかな、とも思えてきます。

タイガース在籍期間にリリースされたということもあってか、『JULIE』というアルバムには腰を据えてじっくり制作した、とは言い難い粗さもあり、全体のイメージとしてロック色が薄い作品でもありますが、ジュリーのみずみずしいヴォーカル、ZUZU=村井邦彦さんという旬な才能による曲作り、東海林修さんのプロフェッショナルなアレンジそれぞれに統一感もあり、名盤と言えるでしょう。
今まで通して聴くことが比較的少なかったアルバムですけど、今回ちょっとしたきっかけで「バラを捨てて」が大好きになったように、まだまだ僕の気づいていない魅力が多く隠されている作品のように思います。

まぁ、美しいけど棘は無いですよね・・・このアルバム。

それでは、次回更新はエキゾティクス時代のナンバーに飛ぶ予定です。
最近の記事、文量は若干短めになってきていますが、その分できる限り多くの曲を書いていきますからね~。

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2012年5月 9日 (水)

沢田研二 「青い恋人たち」

『JULIE SINGLE COLLECTION BOX~Polydor Yeas』収録
original released on 1973 シングル『危険なふたり』B面

Singlecollection1

disc-1
1. 君をのせて
2. 恋から愛へ
disc-2
1. 許されない愛
2. 美しい予感
disc-3
1. あなただけでいい
2. 別れのテーマ
disc-4
1. 死んでもいい
2. 愛はもう偽り
disc-5
1. あなたへの愛
2. 淋しい想い出
disc-6
1. 危険なふたり
2. 青い恋人たち
disc-7
1. 胸いっぱいの悲しみ
2. 気になるお前
disc-8
1. 魅せられた夜
2. 15の時
disc-9
1. 恋は邪魔もの
2. 遠い旅
disc-10
1. 追憶
2. 甘いたわむれ
disc-11
1. THE FUGITIVE~愛の逃亡者
2. I WAS BORN TO LOVE YOU
disc-12
1. 白い部屋
2. 風吹く頃
disc-13
1. 巴里にひとり
2. 明日では遅すぎる
disc-14
1. 時の過ぎゆくままに
2. 旅立つ朝
disc-15
1. 立ちどまるな ふりむくな
2. 流転
disc-16
1. ウィンクでさよなら
2. 薔薇の真心
disc-17
1. コバルトの季節の中で
2. 夕なぎ
disc-18
1. さよならをいう気もない
2. つめたい抱擁
disc-19
1. 勝手にしやがれ
2. 若き日の手紙
disc-20
1. MEMORIES
2. LONG AGO AND FAR AWAY
disc-21
1. 憎みきれないろくでなし
2. 俺とお前
disc-22
1. サムライ
2. あなたに今夜はワインをふりかけ
disc-23
1. ダーリング
2. お嬢さんお手上げだ
disc-24
1. ヤマトより愛をこめて
2. 酔いどれ関係
disc-25
1. LOVE(抱きしめたい)
2. 真夜中の喝采
disc-26
1. カサブランカ・ダンディ
2. バタフライ革命
disc-27
1. OH!ギャル
2. おまえのハートは札つきだ
disc-28
1. ロンリー・ウルフ
2. アムネジア
disc-29
1. TOKIO
2. I am I(俺は俺)
disc-30
1. 恋のバッド・チューニング
2. 世紀末ブルース
disc-31
1. 酒場でDABADA
2. 嘘はつけない
disc-32
1. おまえがパラダイス
2. クライマックス
disc-33
1. 渚のラブレター
2. バイバイジェラシー
disc-34
1. ス・ト・リ・ッ・パ・-
2. ジャンジャンロック
disc-35
1. 麗人
2. 月曜日までお元気で
disc-36
1. ”おまえにチェック・イン”
2. ZOKKON
disc-37
1. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
2. ロマンティックはご一緒に
disc-38
1. 背中まで45分
2. How Many "Good Bye"
disc-39
1. 晴れのちBLUE BOY
2. 出来心でセンチメンタル
disc-40
1. きめてやる今夜
2. 枯葉のように囁いて
disc-41
1. どん底
2. 愛情物語
disc-42
1. 渡り鳥 はぐれ鳥
2. New York Chic Connection
disc-43
1. AMAPOLA(アマポーラ)
2. CHI SEI(君は誰)
bonus disc
1. 晴れのちBLUE BOY(Disco Version)

--------------------------

なるべく多くの楽曲を採り上げるべく、サクサクとした記事を心がけております、”今度のツアーでは絶対聴けそうもない曲”シリーズ。
その3曲目、おつきあいを願います。

先日「気になるお前」の記事中でチラッとご紹介しましたが・・・今回は、いつもお世話になっている先輩からお預かりしている貴重なスコアからお題を選んでの考察です。

009


シンコー・ミュージック・刊 『沢田研二/ビッグヒット コレクション』

とにかくシングルB面曲が惜しげもなく掲載されている点が何より目を惹き、僕などはそれだけで盛り上がってしまいます。
その中から採り上げますのは、信じられないほどの素直さでもって伸びあがるジュリーの高音が素晴らしいナンバー。
「青い恋人たち」、伝授です~。

この曲は先輩方の人気も高いようで・・・本当に、シングルB面がもったいないほどの名曲ですよね。まぁジュリーのB面曲はそんなのばかりですけど。
ただ、オリコン1位となったA面曲「危険なふたり」とのカップリング・・・このバランスは最高です。大ヒット・ナンバーのB面だからこそ光る、ということも言えるのかもしれません。
「青い恋人たち」はバラードとまでは言えない曲想ですが、まず「危険なふたり」を聴いてシングル盤をひっくり返して聴くと、しっとりとした情感溢れるバラード・タイプの名曲として聴こえます。

と、ここで
「新規ファンのDYNAMITEが持ってるのはシングルコレのCD盤でしょ!盤をひっくり返したことなんか無いだろうに~」
という声が聞こえてきそうですが・・・。
実は僕、大学時代にこのシングル・レコード盤を何度も聴いています。以前もチラッと書いたことがありますが、何故か弟が古レコード屋で購入していたのです。
二人で「危険なふたり」を日本のパブ・ロックだ!なんて言ってたんですよね。懐かしい話です。

無論、B面「青い恋人たち」の方もも素晴らしい曲、と記憶が残っていましたよ。残念ながら当時はそれ以上のめり込むことは無く、”第一次ジュリー堕ち期”の30代中盤頃には、どんな曲だったのかすっかり忘れてしまっていました(恥)。

さて、この曲での加瀬さんの作曲アプローチは、「あなたへの愛」に近いと僕は思います。
ミディアム・テンポの珠玉のポップ・チューン。その上でキチンとバンド・サウンドに仕上がっているのは、やはり加瀬さんの曲の力でしょう。

さぁ、そこでスコアです。

Sn390339

絶対音感の無い僕は、ジュリーの歌を聴いて「あぁ、相当高そうな音だなぁ」と感じてはいても、実際に自分で楽器で合わせてみるまでは、音階やキーを特定することはできません。
しかしメロディーの載ったスコアがあると、まずその音の連なりを目で確認することができ、一層「うわっ、凄い!」と感動することができます。

僕はごく一般的な男声よりも少し高めの声域で、20代には高い「ソ」の音までは割と普通に出せていました。
しかしそれは1音1音出す場合のお話。高い「レ」以上の音がある程度続けて歌われるメロディーになると、だんだん歌うのが苦しくなってきます。1番では頑張って歌えても、2番になるとゼ~ハ~状態になったりするのです。
ましてその中で最高音が「ソ#」とか「ラ」になると、声がひっくり返ったり、仕方なく無理に裏声で出したり。
大体、男声で高い「ラ」の音を普通に出せる人は、そうはいまぜん。

ジュリーだって、若い頃はともかく、今は高音を出すのも苦しいはずです。その証拠に、近年のレコーディング作品に高い「ラ」の音はずっと登場していませんでした。

ところが・・・2012年の新譜『3月8日の雲』収録の「F.A.P.P」「カガヤケイノチ」の2曲に、突然高い「ラ」の音が採用されました。
60歳を超えた男声で・・・何という果敢な挑戦!

何度も書きますが、僕はこれこそ新譜に込められたジュリーの気持ちだと思っています。
大部分のリスナーはそんなことには気がつかないでしょう。それがいかにも「頑張っている」「渾身の気持ちを込めている」ということを声高には言わないジュリーらしい、密やかなる志ではないでしょうか。

・・・話が逸れてしまいました。
それでは若きジュリーが歌った「青い恋人たち」のメロディーでは、その辺りどうだったのかと言えば・・・。

Sn390344

上画像は、サビの一番最後の箇所ですね。
すべて高い方の音で「レ~、ファソラ~、ソファ~♪」です。ためしに同じ音階で歌ってみましたが・・・いやいやキツいのなんの。

『ZU ZU SONGS』でのジュリー自身のMCにあった通り、若き日のジュリーは「Aも余裕で出ていた」そうで。
その「A」というのが高い「ラ」の音のことで、「青い恋人たち」で言うと、「あなたはゆく♪」の「は」の部分です。
素晴らしい高音ヴォーカル!

でもそれは、声が高い、というだけではない・・・「余裕で出る」というそれだけでもない。
ある先輩はこの時期のジュリーのヴォーカルを”天上の声”と表現していらっしゃいましたが、とにかく美しい高音なんですよね~。

それに、良い意味で過剰な感情移入が無いのがこの頃のジュリーの歌の魅力だと個人的には思うんです。
押し付けるような感覚が微塵も無く、純粋に優れた歌詞・優れたメロディーをそのまま歌ったら、それがジュリーの個性になってしまう・・・そんな魔法を感じます。
僕はそんなヴォーカルを(『JULIEⅡ』収録曲では毎回のように言っている気がしますが)、「無垢なまでに伸び上がる高音」と表現したくなるのです。今なら「邪気が無い」という言葉も近いように思うけれど・・・。

「青い恋人たち」はサビに向かって徐々にせり上がるようにメロディーが高くなっていきますから、サビの一番最後に一番オイシイ声が待っている・・・それが多くの先輩方の琴線にキュッと触れ、この曲の高い人気に反映されているのではないでしょうか。

さて・・・このスコア・ブック、曲によっては相当に無茶なコード採譜もあるんですけど、この「青い恋人たち」については比較的穏やか、と言うか自然です。

♪ あなたは何故かいつも 倖せ 間違えそう ♪
          F                 Gm                      F

このAメロの採譜でハッキリとした「Gm」のコードを当てているのは、ギター1本での弾き語りで感じが出るように、さらにはベース・プレイヤーへの明確な表記までをを志したアレンジメントで好感が持てます。まぁ、バンドサウンドの場合、ギターは「Gm」の部分を「Fsus4」で演奏した方がイイ感じなんですけどね。一人で弾き語るならば確かに「Gm」です。

でもその他の箇所で「これはちょっと違うんじゃ・・・」という採譜部もありますから、お手持ちの先輩方、この機にちょろっと修正しておきましょう~。
まずは

♪ 側で見ていると ♪
     Am           D7

「と」の部分を、「Dm」表記から上記のように「D7」に直します。
そして

♪ 知らずにまた ♪
  B♭ C7    F

・・・ここは全編、上記のように直しましょう。
で、続く「あなたはゆく♪」のトコも、これと同じ進行で弾いた方が良いですよ!

そうそう、スコアでは割愛されていますが、イントロなどに登場するキメのギター・フレーズ演奏の部分には、「D♭」(レ♭・ファ・ラ♭)や「B♭m」(レ♭・ファ・シ♭)という、歌メロ本編には登場しないコードが効果的に使われています。これがまた渋い!
加瀬さん作曲の時点で既に用意されていた進行なのか、東海林修さんの編曲段階で味付けされたものかは分かりませんけど、これだけで曲の雰囲気が壮大になっているように感じます。

最後に、蛇足です。
ソロ初期のジュリー・ナンバーには、『太陽にほえろ!』挿入曲を想起させるものが多くあります。
まぁそれは井上バンドの音によるところが大きいわけですが、それを抜きにしても、昔から刑事ドラマのサントラを聴きまくっていた僕にとって、若いジュリーの作品群は自然に肌の合う、受け入れやすいものでした。

で、この「青い恋人たち」ですが・・・シングルコレBOXを買ってじっくり聴いた時にパッと思い出した、よく似た雰囲気の曲があります。
それは『太陽にほえろ!』ではなく『西部警察』の挿入曲。
『西部警察』のサウンドトラックの中では「マシンXのテーマ」と並んで特に好きな「気分は最高」という曲です。
作られた時代もアレンジも全然違いますからもちろん偶然なんですけど、「やっぱり僕にはジュリーの曲を受け入れるリスニングの下地があったんだなぁ」などと、当時は嬉しく思ったものでした・・・。

それでは・・・次回のお題も、初期のソロ・ナンバーが続きます!
東西のジュリー・トークショーが無事に終わり、何やら世間がタイガース復活の話題で盛り上がっている折・・・。
「この曲がリリースされた時、歌詞からトッポのことを連想した先輩はいらっしゃらなかったのかなぁ」
という内容の記事になる予定です~。

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2012年5月 6日 (日)

沢田研二 「水をへだてて」

from『女たちよ』、1983

Onnatatiyo

1. 藤いろの恋
2. 夕顔 はかないひと
3. おぼろ月夜だった
4. さすらって
5. 愛の旅人
6. エピソード
7. 水をへだてて
8. 二つの夜
9. ただよう小舟
10. 物語の終わりの朝は

-------------------

すみません!
前回記事にて、「次はたぶんタイガース!」と書いてしまいましたが・・・変更です。

いえね、今回の更新・・・楽曲考察記事ではなく、昨年「南の国のカーニバル」を書いた時のような、単なる個人的な旅日記となることは少し前から予定しておりまして・・・。
実はこのゴールデン・ウィーク、5日から6日にかけて伊豆方面に遊びに出かけることが決まっていて、その途中でチョコレートパフェを食べるという計画を、僕は凄まじく楽しみにしていたのです。

(註:意外に思われることが多いのですが、DYNAMITEは大のチェコパフェ好き。その分、チェコパフェに対する評価はラーメンのそれと同じくらいに厳しい。そんなDYNAMITEが「日本最強」と公言しているのが、2年前に沼津の喫茶店『珈琲館』で頂いたチョコパフェ。以来、もう一度食べる日を心待ちにしていました。ちなみに、伊豆方面へ向かうのに、いつもお世話になっている先輩方がお住まいの地・沼津市を素通りするわけにはいかないのです)

で、次の記事はチョコレートに引っかけて「明治チョコレートのテーマ」でいっか!と考えていました。
どうせ、ほぼタイトルだけ借りるような内容の記事なら、お題としても力が抜けていて良いだろう、と・・・。

安易でしたね。
旅から帰り、まぁチョコレートパフェは素晴らしかったのですが、さすがにそれだけに絞って旅日記とするのは困難。旅行を象徴するのに、チョコレートではやはり弱いのですよ~。

そこで考えた”旅の象徴”なるお題は・・・「源氏」と「水」繋がりで。
世間はトークショーの話題で持ちきりでしょうが・・・こちらはユル~く、アルバム『女たちよ』から「水をへだてて」をBGMに、旅日記の更新です!

☆    ☆    ☆

5日・・・まずは新幹線の『こだま』にて三島駅へ。

Sn390317

三島駅は、東海道線から伊豆方面への分岐点。
晴天のこの日、駅では富士山がお出迎えです。

すぐに伊豆方面には乗り継がず、いったんお隣の沼津駅まで東海道線の在来線に乗ります。始発・三島、終点・沼津の1駅区間だけ運行という3両編成の電車が、ちょうどやってきました。

さて、”日本各地いたるところにジュリーファンあり!”の格言もございますが、沼津はその中でもかなり濃ゆ~い御土地でございます。
トークショーを翌日に控えてかなりのハイテンションとなっていらっしゃる沼津の先輩方に迎えられ、まずは港町・沼津ならではのお寿司を頂きます。

その後・・・チーム沼津のみなさまのジュリートーク御用達スポットということで一昨年にもお邪魔している市内の喫茶店、『珈琲館』さんへ。
待望のチョコパフェ・タイムです!

Sn390319

相変わらず素晴らしい!
まず、サイズの大きさと盛り付けの豪華さからして素晴らしいですね。ちなみに盛り付けられているのは、リンゴ、オレンジ、みかん、メロン、桃、キウイ、イチゴ、バナナ、パイナップル、チェリー・・・等々。
で、巷にはホイップクリームにチョコレートソースをかけただけでチョコパフェと名乗らせているものが多い中、この『珈琲館』さんではバニラアイスとチョコアイスで二玉、その上からホイップクリーム、チョコレートソースをたっぷりかけてくれています。これぞ本物です。ジュリーの歌声のようなチョコパフェだと断言いたしましょう!
あと、コーヒーもなかなか美味しいです~。

さて、デザートとジュリートークを終え、先輩方に三島まで送って頂き、ついでに観光案内までお世話になることに・・・。
今回は、三島大社に参拝。
樹齢1200年という金木犀や、堂々と聳え立つご神木は、まさにパワー・スポットと呼ぶにふさわしい荘厳な雰囲気でした。

Sn390321

こちらがご神木。
ちなみに三島市は「水の街」ということで、境内には自由に飲める湧水もあります。

で、その「美しい水の街」を前面に押し出した珍しい観光スポットが、三島大社の近くにあります。
源兵衛川の川面遊歩道!

Sn390322

これからの季節・・・涼しそうなスポットですよ~。

先輩方と別れ、僕等夫婦は伊豆箱根鉄道駿豆線『三島田町』駅から電車に乗り、伊豆長岡を目指します。有名な”修善寺”よりも少し手前ですね。
で、今や全国各地色んな”ゆるキャラ”が観光を盛り上げていますが・・・伊豆にもいました。かな~り強引なキャラが!

Sn390328

その名も『源氏ボタル・よりともくん』!
「源頼朝挙兵の地」「ホタルの地」という二つの売りが、源氏合体しているという。にしても、頼朝のお尻がホタルになってるっていうセンスが凄い・・・。

訪れた伊豆長岡。
宿ではまずは当然温泉につかります。まったりと良いお湯でございました。女湯からは富士山も見えたんですって。
お世話になった「おおとり荘」さん、ゴールデン・ウィークということで満室だったようですが、お値段もリーズナブル、駅から徒歩で行けますし、オススメの宿でございます。

Sn390329

宿のすぐ近くを流れる、狩野川です。

翌6日(今日ですな)には韮山まで足を延ばし、『反射炉』を見学。

Sn390330

来たる5月15日からは、ここで「ホタル祭り」も開催されるとか。
で、この異様な雰囲気の建造物は一体何かと言うと・・・江戸末期、ここで大砲を製造していたそうです。炉内部の天井の独特の形状から”反射炉”と呼ばれています。
作られた大砲は今の東京・お台場などに運ばれ、西洋の列強の襲来に備えたそうです。

Sn390331

しかし・・・浅学な僕は今回の旅で初めて「お台場」の名の由来を知った次第です。
砲台の「台」だったんですねぇ・・・。

反射炉の近くには、狩野川系統の「韮山古川」が轟音を立てて流れています。

Sn390336

誰ですか?右上の漢字に反応していらっしゃるのは・・・?

かつてこの場所には、川の激流を利用した水車もあったそうですが、さすがに現存はしていません。
ちなみにこのような反射炉が保存されているのは、韮山ともうひとつ、山口県の萩市にあるそうです。こちら韮山の反射炉は現在、平成27年の世界遺産登録を目指しているそうですよ。
実現すれば、大変お得なお値段で世界遺産を見学できることになりますね。
と言うのも、我々夫婦がこの反射炉を訪れて一番ウケたのは

大人100円、子供50円

という見学料金設定でございました・・・。
ボランティアのガイドのおじさま、ありがとうございました~!

そんなこんなで、夕方からは天気が崩れるということでしたから、おもやげなど買いまして、早めに帰京いたしました。
電車の連休Uターン混雑も予想ほどではなく、穏やかな旅を満喫しリフレッシュできました。
明日からまた日々の仕事、日常を頑張らないとね・・・。

☆    ☆    ☆

ということで、「源氏」と「水」繋がりの旅日記でございました。
せっかくですので、BGM「水をへだてて」についても少しだけ触れましょうか。

アルバム『女たちよ』収録曲の中では、「エピソード」「さすらって」と並び、個人的に特に好きな曲のひとつ。

♪ 川の向こうに 日本の柳
   Gm                  Gm7  E♭maj7

  水をへだてて 姉といもうと ♪
  Fadd9                     Gm

冒頭から、華麗なアレンジとジュリーのヴォーカル。
アルバムの中で最も美しいメロディーを擁しながらも、艶っぽく謎めいた雰囲気の名曲ですね。

「その胸に届くには♪」から始まる第二展開部(何故か”Bメロ”とは呼びたくない・・・)は、主旋律、演奏共に「レ~、ソ、ド~、ラシ♭♪」という、不思議な音階のリフレインが攻めてきます。
強引に弾き語るなら「Gm」と「Gsus4」だけど、ここは一瞬「和音の感覚が消える」というのが、筒美京平さん渾身の狙いではないでしょうか。それによって次の

♪ 橋を渡って…… ♪

   Cm9

の神秘的な和音(構成音では「レ」の音がポイント)が、メチャクチャに美しく聴こえます。
普通の伴奏で流してメロディーを歌うのとは、格段の差があると思うなぁ・・・。「エピソード」の記事にも書いたように、このアルバムには奇跡的な和洋折衷があって、それぞれの異なる世界観の魅力を見事に融和させているのがジュリーの円熟期に入ったヴォーカルだと言えますが、やっぱりそれをサラッと引き出した筒美さんの作曲は、凄いと思います。

でも、「水をへだてて」に限らず、このアルバムの収録曲はもう今後のジュリーLIVEではとても聴けそうにありませんね・・・。

ということでゴールデンウィークも終わりましたが、拙ブログではまだまだ”今度のツアーでは絶対に聴けそうもない曲”シリーズが続きますよ~。

僕は今回のツアーではタイガース・ナンバーは封印されると思っていますから(”近い将来”に向かって、ということですね)、「明治チョコレートのテーマ」なんて言わずに、この機にキチンとタイガースの曲を採り上げておいた方がいいのかな・・・。
よし、5月中にはタイガース・ナンバーも1曲書こう!

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2012年5月 3日 (木)

沢田研二 「エンジェル」

from『第六感』、1998

Dairokkan

1. ホームページLOVE
2. エンジェル
3. いとしいひとがいる
4. グランドクロス
5. 等圧線
6. 夏の陽炎
7. 永遠に(Guitar Orchestra Version)
8. 麗しき裏切り
9. 風にそよいで
10. 君にだけの感情(第六感)
11. ラジカル ヒストリー

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何だか最近、仕事が怒涛に忙しくなってきています。有り難い事です。
と言いつつ、ゴールデン・ウィークはカレンダー通りにお休みもさせて頂いて、それなりに遊ぶ予定もあったりするんですけどね。

そんなこんなで今回から拙ブログでは、”6月からのツアーではとても聴けそうもない曲”シリーズへと突入いたします。
まぁ、「とても聴けそうもない」というのはヒヨッコの後追いファンである僕が何となくそう思っているだけのことで、意外やそういう曲こそサプライズのセットリスト入りがあるのかもしれませんが、5月は一応そんなテーマでやっていきます。
6月に入りましたら、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズを開催します。

しばらくは何かと忙しい中での執筆、更新になりますから、ちょっと対策を講じました。
最近の拙ブログの壮絶な大長文傾向を見直しまして、なるべくサクッとした記事を書いていこうか、と・・・。
その分更新間隔をできるだけ空けないようにして、なるべく多くの曲を採り上げていければなぁと考えています。
5月、6月と、そんな感じでおつき合いくださいませ~。

さて、”今度のツアーでは聴けそうもない曲”シリーズ第一回は、アルバム『第六感』からお題を採り上げます。
2曲目収録、「エンジェル」伝授です~!

僕が思うに、90年代以降のジュリー・アルバム・・・特にセルフ・プロデュース期に入った1995年以降の作品というのは、膨大な収録曲のいずれもが、ツアー・セットリストにいつ何時降臨するのか、まったく油断がなりません。ほとんどの曲にその可能性を感じます。
1998年リリースの『第六感』にしても同様です。
ジュリーが少しずつ押し進めてきた”自作詞を核としたアルバム制作”が(CO-Colo時代を除いて、ですが)ハッキリ形にできた最初の1枚がこのアルバムだったのでは、と僕などは分析していますから、ジュリー自身の収録曲への思い入れは強く、LIVEで歌いたい曲は多いんじゃないかなぁ、と想像しています。
ですから、『ジュリー祭り』で1曲も選ばれなかったというのはいまだに不思議なんですけどね・・・。

来たるツアーでは特に、「グランドクロス」「風にそよいで」「ラジカル・ヒストリー」あたりが要注意、というのが僕の予想。
まぁ、他のどの曲でもそれなりに違和感なく歌われそうに思うのだけど・・・そんな中で、どうも「コレだけは、今年ジュリーが歌っている絵が浮かばない」という曲が、1曲だけ。
それが「エンジェル」なのです。

いや、素晴らしい曲です。
でも、今年のセットリストに入るにはちょっとフットワークが軽過ぎるイメージなんですよね~。

軽快なポップ・チューン。川村結花さんのセンスが光る、畳みかける躍動感が持ち味のメロディー。
そして拙ブログ的に特筆すべきは、白井さんの大胆なアレンジです。これは、クイーン・サウンドなんですね~。

以前の記事で触れたように、『第六感』には何故だかクイーンを意識したアレンジの曲が多くて、中でもズバリ!なのが、「いとしいひとがいる」と、この「エンジェル」の2曲です。
タイプの違う2曲がいずれもクイーン、というのが白井さんならではの遊び心でしょうか。

「いとしいひとがいる」の方は、「ボヘミアン・ラプソディー」などに象徴される王道のクイーン・バラードを思わせますが、「エンジェル」はもっと渋いパターンで・・・クイーン・ナンバーで言うと一番近いのは「懐かしのラヴァー・ボーイ」という曲ですね。
あのフレディ・マーキュリーが「グッド・オールドなファションのカワイイ坊や」と言うからには、そこに深~~~い意味(というか下心)が充満しているんだろうな、と高校生だった僕はそんな不謹慎なことを考えながらこの曲を覚えたワケですが・・・まぁそこんトコは置いといて。

重要なのは、「エンジェル」は川村さんの作曲段階ではおそらくクイーンとはまったく関係なく、リズムパターンが共通するくらいだったと思われることです。それが白井さんのアレンジや各楽器の音色選択によって、見事にクイーン化しているという・・・。
これは「いとしいひとがいる」についても同じことが言えまして、例えば間奏。本編には登場しないコード進行、或いはギターの旋律にクイーンのエッセンスが満ちています。白井さんがアレンジ段階で工夫した進行なのでしょう。
「エンジェル」の間奏、左右のギターが追いかけっこするような絶妙のフレージングが本当に「懐かしのラヴァーボーイ」のような小気味よさで、ジュリー・ナンバーでの白井さんのギター・トラックの中でも僕は一、二を争うほど好きですね~。

クイーンのギタリスト、ブライアン・メイのレコーディング演奏の大きな魅力のひとつは、緻密かつ華麗なオーヴァーダビングです。
リードギターの主旋律を幾重にも取り巻くオーヴァーダブ。主旋律とはまったく別のメロディーによる裏リードのパートを重ね、さらにそれにもハモりのフレーズを足していく徹底ぶり。バッキングの低音部も、まるでキメのリフ・フレーズのような存在感があります。

「エンジェル」での白井さんのギター・レコーディングにもその手法が歴然とあり、特に間奏はフレーズそのものからしてブライアン・メイっぽいのです。
ちなみに「エンジェル」のギターは4トラック。とは言ってもそのうち3トラックまでは、ハーモナイザー(自動的にハーモニー音を生み出してくれるエフェクター)を使って演奏していますから、これがもし70年代のブライアン・メイ奏法をそのまま踏襲するなら、本来7トラック分のギターが重ねられていることになるわけです。

また、クイーンの代名詞とも言うべき分厚いコーラスがいきなりのイントロから採り入れられていたり、Aメロのピアノ4拍連打も、フレディ・マーキュリーの得意なパターンのひとつです。
さらにBメロではドラムスに注目。この飛び跳ねるようなウキウキのポップ・チューンに、何故か重厚な後ノリのハードなドラミングがバッチリ合っている・・・それこそがクイーンのドラマー、ロジャー・テイラーの凄味を彷彿させるのです。

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↑ 昨年12月、『東京タワーQUEEN展』に展示されていた、ロジャー・テイラー・モデルのドラムセット。写真右手前に注目。フロア・タムが2個並びというのがカッコイイのです。

ところで、今回僕がこの「エンジェル」をお題に選んだのは、個人的に最近ちょっとクイーン・モードになっていたから、という理由もあります。
昨年から、フレディ・マーキュリーのアニヴァーサリー・イヤーに合わせたクイーンのイベントも頻繁に開催され、僕もあちこち出かけました。上の写真を撮った(撮影自由!というイベントでした)東京タワーもそのひとつです。
たまたま、カミさんもクイーン好きなものでね・・・。夫婦で音楽についての会話と言えば、ジュリーかクイーンか、という感じですから。

で、つい先日。
ちょうどゴールデン・ウィーク前半の4月30日には、クイーンのトリビュート・バンド『QUEENESS』の川口でのLIVEに、夫婦で参加してきました。彼等のステージを観るのは、3月の渋谷に次いで2回目となります。
レパートリーの中で僕が気に入っているのは、「デス・オン・トゥ・レッグス~キラー・クイーン~バイシクル・レース~アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」の4曲メドレー。これ、適当にメドレーにしているのではなく、キチンとアレンジの関連性を持たせて繋げているのが素晴らしいのです。
例えば、「デス・オン・トゥ・レッグス」は途中ピアノの連打がソロで残る箇所がありますが、それは「キラー・クイーン」のイントロにも同様にあり、イカしたギター・リフ転調(この転調はQUEENESSのオリジナル・アレンジ)を足場にして、スパ~ン!とピアノで繋げています。
また、「バイシクル・レース」には途中テンポダウン&リズムチェンジで一瞬3拍子になる箇所があります。QUEENESSはそのリズムチェンジのイメージを残したまま余勢を駆って、ヘヴィー・ワルツ・ナンバーである「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」のイントロへと繋いでゆくのです。

クイーンというのはルックス的にも完璧なバンドだったりするので、日本人のトリビュート・バンドがそれこそ完璧にステージ再現しようとすると逆に嫌味になったりするのでは、と案じてしまう人も多そうですが・・・QUEENESSの場合、その心配は無用!
何せヴォーカル(&ピアノ、ギター)のフレディ・エトウさんのキャラが・・・ただただ和みます。いかにハードなナンバーでも、ニコニコとステージを観てしまうのです。
どんなキャラなのかは文章では説明し辛いので、興味のあるかたはエトウさんのブログへど~ぞ!

http://blog.goo.ne.jp/annan


ちなみに、ジュリーファンにもお馴染みのナンバー、「ウィ・アー・ザ・チャンピオン」で大団円となった
LIVE終演後、メンバーのみなさまはわざわざ客席に御礼の挨拶に来られ、僕等夫婦はエトウさんと握手をさせて頂けました~。

・・・話が逸れました。
このように、白井さんの渾身のアレンジによってすっかりクイーン化している「エンジェル」ですが、川村さんの元々作ったメロディーがまず素晴らしく、良い意味で過剰なアレンジをものともしない凛とした名曲であったことも忘れてはなりません。
凝っているのに自然体で、しかも王道な進行もあって、誰もが親しみやすい曲ですよね。
例えばAメロの

♪ 天気予報 はずれ 突然雨
  D    Daug  D6          D7    G   Gsus4  G

  今日も日が悪いよね ♪
           A

この可愛らしいAメロ初っ端のコード進行は、ウキウキするようなポップ・チューンとしては王道の手法。和音の2つ目の構成音が半音ずつ上昇していく、という理屈です。
ジュリー関連ですと例えば、キーは違いますが「渚でシャララ」の「傷つけ合うよりホホエミ選んで♪」の部分などが、まったく同じ理屈の進行となっています。

で、毎度のことながら、極上の曲を用意されてなおその上を行くほどに素晴らしいのがジュリーのヴォーカル。
「エンジェル」の場合は、とにかく楽しそうに歌っている・・・若々しくどこか照れたような感じもあるヴォーカルが良いんですよね~。

ヴォーカルから推測できるのは、ジュリーの有無を言わせない「楽しさ」です。
君の嫁いだ景色」もそうなんですが、ジュリーは理屈関係なく無邪気に楽しいシチュエーション、というものを詞で表現しようとすると、キツネとタヌキが脳内に登場してどんちゃん騒ぎするみたいですね。

「キツネのヨメイリ」
「タヌキのオマツリ」。
と来て、「ワァオ!」ですから・・・。

Snow Blind」の「マジ、アイ・ラヴ・ユー♪」に怯んだヒヨッコが言うのもナンですが、ジュリーのキツネ&タヌキ・シリーズ、僕はとても好きで、ほのぼのと味わっておりますが・・・苦手なファンのかたもいらっしゃるかな?
フレーズとして唐突と言えば、唐突ですからね・・・。

最後に。
アルバム『第六感』は、作品的にはある意味70年代、80年代のジュリーとイメージを重ねることもできる大名盤だと、個人的には思っています。
実は僕は購入当初このアルバムをあまり集中して聴いていなくて(大人買いの弊害ですな)、ある日突然その魅力に気がつく、という始末でした。
今では、好きなアルバム・ベスト10には入ります。
覚さんの詞とジュリーの詞のシンクロが本格化し始めたのも、このアルバムからだと思うなぁ。

そんな中、「エンジェル」は”昔のジュリー”っぽい作詞だと思うんです。キツネやらタヌキやらは別にしてね。
これは・・・”不良時代”を書いたジュリーだからこそ書ける詞とは言えないでしょうか?
Z2飛ばす”君”をモノにしようという不良少年。
『第六感』を作った50歳のジュリーの中に、ロックンロール世界共通の礎である「不良少年のイノセンス」という志がしっかり残っているように思うのです。何とも痛快ではありませんか!
そしてそれはきっと、60歳を超えた今でもずっと続けてそうなのでしょう。

それにしても・・・「ホームページLOVE」と「エンジェル」の作詞アプローチの落差は凄いですね・・・。
それがまた、ジュリーなのでしょうか。

え~、そろそろシメますが、執筆開始時の心づもりよりも長めの記事になってしまいました。
まぁ・・・長文にすることには拘らないけれど、結果的に長くなってしまう場合もありうる一例、ということでどうかひとつ。

サクッとした感じで、色んな曲を次々に書いていければなぁ、と思っています。
次回はたぶん、久々のタイガース!

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