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2012年2月28日 (火)

沢田研二 「Silence Love」

from『明日は晴れる』、2003

Asuhahareru


1. 明日は晴れる
2. 違いのわかる男
3. 睡蓮
4. Rock 黄 Wind
5. 甘い印象
6. Silence Love
7. Hot Spring!
8. ひぃ・ふぅ・みぃ・よ
9. 100倍の愛しさ
10. 夢見る時間が過ぎたら

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今回からまた、ジュリーのソロ・ナンバーをお題にして更新していきます。
拙ブログとしてもまた日常に帰ってきたということで、あまりに長過ぎる文章にはならないように、そこそこの文量にてサクサクッと、なるべく多くの楽曲を記事に採り上げていければなぁ、と考えています。

予定としてはまず数曲、最近になって「書きたいなぁ」という気持ちになっていた曲を採り上げ、その後『3月8日の雲』収録の4曲を書いて、ドームのセットリストから数曲選んで書いて・・・そうこうしているうちにきっとツアーのインフォが着いていて、いつしか自然に”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに雪崩れ込む、というのが理想かな~。

今日のお題は、実は老虎ツアー・ファイナル武道館公演を観た直後からずっと、僕の心に新たな再発見の感動をもって、熱く響いている曲。
ちょっとだけ武道館の余韻を引きずった感じの記事になってしまうと思いますが・・・春の匂いのするアルバム、『明日は晴れる』から。
「Silence Love」、伝授です!

この曲と武道館がどういう関係があるの・・・?
多くのみなさまが一瞬、そうお思いでしょう。

老虎ツアー・武道館では、ファイナルならではの感動的なシーンがいくつもありましたよね。
その中でも抜きんでて大きな感動を呼んだのが、シロー登場のシーンだったことは、万人共通のところだと思います。

サリーに支えられたシローがゆっくりと歩いて登場。
シローは、椅子に腰かけ弱々しいながらもコミカルに喋り始めました。そして
「これから歌う曲は高音があって、それが練習では全然出なくて・・・」
と、今思えばそれは自虐ネタと言うよりは・・・”これから歌うことへの不安”を、本音で吐露したのかな。

そこで、すかさず(と言うにはあまりにも穏やかなタイミングでしたが)ジュリーがシローにかけた言葉が

「出とったがな~・・・大丈夫や

この「大丈夫や」がどれほど優しくて、どれほど力強くて、どれほど素敵な声だったか・・・武道館を観ていない方々にどんなふうに説明すれば良いのか困ってしまうんですけど。
とにかくジュリーの「大丈夫や」は、途方もなく素敵だったんです。その瞬間から、ジュリーの発する大きなエネルギーが、シローに向かって優しく降り注ぎ始めたようでした。

武道館が終わり、僕はすっかりジュリーの「大丈夫」フェチになってしまいました。
そして、公演後すぐに考えたのが

「大丈夫さ」を連呼するあの曲が、今ならば以前とは全然違って聴こえるかもしれない

という・・・その曲こそが「Silence Love」。

♪ 大丈夫さ 大丈夫さ ボクはココにいる
      A            A(onC#)       Dmaj7   Esus4  E

  抱きしめてる 頬寄せてる    
           A               A(onC#)

  涙ぬぐっているよ ♪
     Dmaj7         E

やっぱりだ・・・。
改めてじっくり聴いてみると、武道館以前とは比べものにならないくらいの感動、熱いものが胸に押し寄せてきました。
何という名曲を見逃していたのか・・・。

おそらく僕はまだまだヒヨッコで、あのシロー登場時のジュリーの言葉を耳にするまで、「Silence Love」の「大丈夫さ♪」というフレーズの真髄に迫ることができずにいたのだと思います。
今、ようやく分かった!という歓びの気持ちがこみあげてきましたね・・・。

僕はこれまで「Silence Love」について、「いい曲だな」くらいの軽めの印象しかありませんでした。今では・・・現金なもので、アルバムの中で圧倒的に好きな曲となっています。
ジュリー・ナンバーで、ある瞬間を境に突然大好きになるというパターンはこれまで何度も体験していますが、その瞬間がまさか老虎ツアーのファイナル、シローの登場をきっかけに訪れることがあろうとは・・・。
不思議な魔法ですね。

♪ Silence Love 「キミしか」の ボクだから
             C#m                 G               F#m

  そうさ いつも 見守るよ 音もなく
                  Bm       E               A

シローのすぐ横に寄り添い立つジュリーの姿は、正に「Silence Love」だったなぁ・・・。

こうして僕はすっかりこの2003年のジュリー・ソロ・ナンバーと、奇跡の2012年1月24日を結び付けてしまったわけですが・・・でも実際の「Silence Love」の詞は、全然違った意味合いがあるんですよね。
いなくなってしまった「ボク」が魂の存在となって壁のポスターに移り住み、「キミ」に寄り添い、支えとなる。
いかにもGRACE姉さんらしい詞です。

「確信」「明日」「Pleasure Pleasure」などパッと思いつくだけでも・・・ジュリーが歌うにふさわしいテーマで、なおかつジュリーが歌うことで説得力が増すような詞を、GRACE姉さんはこれまで多く作ってくれています。
今年の新譜では、久しぶりに詩人・GRACEを楽しみにしたりもしていたけど・・・まぁそれはこの先またの機会がきっとあるでしょう。

「Silence Love」は、明るくも切なげなメロディーがまたグッときます。武道館直後に聴いた時には、ジュリーの「大丈夫」に感激すると同時に、「こんなに美しいメロディーだったか」と、それまでの己の聴きこみ不足を恥じたものでした。
作曲は、上久保純さん。
僕が上久保さんの名前ですぐに思い起こすのはやはり「届かない花々」。”媚びないバラード”として随分前に記事に書きました。
「Silence Love」は泣かせるメロディーではありますが、進行はかなりクールで凛としています。それでいて「明るい」というのがポイント。
これもまた、媚びていないな・・・と思わせてくれます。

 

さて、2001年『新しい想い出』から2004年『クロックマダム&ホットケイクス』までのジュリーのアルバムは、キーボードを排した完全なギター・サウンドでゴリゴリにロックしています。
これは2000年前後に一躍脚光を浴びたネオ・オルタナとも言うべきパワー・ポップ・・・ファストボールやオーズリーなどのサウンドに酷似していて、とてもパワフルなギター・ロックなのです。
胸キュンなメロディーをガンガンにロックする、というスタイルですね。白井良明さんのアレンジ貢献度が最も光る時代だと僕は思います。

そんな強力なエレキギター・サウンドの中に時折、隠し味的にアコースティック・ギターをフィーチャーした名曲がひっそりと混じる、というのがパワー・ポップ・アルバムの醍醐味でもあるのですが、「Silence Love」はまさにそんな1曲と言えます。
パッと聴くとパワフルでハードなイメージもあるのですが・・・この曲には”ハード”の象徴であるエレキギターが、一切登場しないのです。
白井さんの弾いた2つのトラックは、いずれもアコースティック・ギター。
左サイドがリード、右サイドにストロークとミックスで分けられています。カッコ良いアンサンブルですねぇ・・・。

曲をパワフルに仕上げているのは、スティング宮本さんのベースの力が大きいと思います。まるでフレットを行き来する指のすべる音まで聴こえてくるような演奏です。
ヴォーカルが休みの「A→Dmaj7」を繰り返す演奏部、エイトビートのベースに疾走感があって、歌メロ部と曲のニュアンスが分けられているように感じます。
アコギ、ベース、ドラムスという最小限の楽器で構成されたアレンジに厚みをつける伊豆田洋之さんのコーラスも、他の収録曲ほど派手ではないところが逆に素晴らしいですね。

ジュリーに「参った」させられるのには慣れてきたとは言え、ジュリー・ナンバーは本当に名曲・再発見の旅の連続・・・その終わりが全然見えて来ないということに、驚かされるばかりです。
今回、武道館後に大好きになった「Silence Love」。
この曲については、できれば2月が終わるまでに記事を・・・と考えていました。
何とか間に合いまして、明後日からいよいよ3月です。

多くの方にとって、辛い記憶が甦る3月・・・でもジュリーファンには、まず11日に新譜『3月8日の雲』がリリースされ、その後に音楽劇『お嬢さんお手上げだ』公演が始まって、そして老虎ツアー・ファイナル武道館のTV放映もあります。次から次へと、楽しいことが待っているのです。
「去年の3月を忘れてはいけない」ということを、辛さをやわらげるような形でジュリーが教えてくれているような気もするなぁ・・・。
ジュリーは声高に何かをアピールして言うことはしないけれど、その優しさ、愛情をひしひしと感じます。

 

3月、と言うと僕は「無事でありますよう」の記事を意を決して書いた時のことを思い出すんですよね・・・。
本当に、祈ることしかできませんでした。
今考えるのは、あの時の祈る気持ちを僕はこれから毎年、この季節になったら思い出さなければ、ということ。

ただ、あの記事を書きながら・・・10年以上も前にレコーディングされたジュリーの歌が、これだけ時間が経過したこの時になってこんなにも意味を持ってくるのか、と驚愕したことも強く覚えています。

そして。
曲の解釈としてはかなり違うのだけれど、今のジュリーの思いを考えると、「Silence Love」は傷ついた人への優しさがいっぱいに詰まった曲のように僕には思えてきます。
こじつけかもしれませんが、武道館のジュリーとシローが、そう思わせてくれました。
たとえ直接肌を触れていなくとも

「大丈夫」
「ここにいる」
「抱きしめてる」
「頬寄せてる」
「涙ぬぐっている」

と歌うジュリーの声の、何とあたたかな存在感よ・・・。

 

3月を迎えて、是非多くの方に聴いて欲しいジュリー・ナンバーのひとつです。
「Silence Love」・・・素晴らしい曲ですよ!      

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瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

DYさん、お邪魔します。武道館ライブのあの情景が、この作品を好きになるきっかけになったのですか…人それぞれ、いろんな感じ方があることを、教えられました。この楽曲でのジュリーは、高度な歌唱に挑戦していると思います。サビまでの部分を、あえて、語る1歩手前で、踏みとどまって歌って、歌詞に気持ちをこめています。決して器用な歌唱ではありませんが、“詞の心”が聞き手の心を揺さぶります!
そして、ジュリーの「大丈夫」フェチになったのならば、この作品も聴いてください。ジュリーの「大丈夫」の強さと優しさの根元がわかる楽曲です!

http://youtube.com/watch?v=lzS38szrky8

投稿: 74年生まれ | 2012年2月29日 (水) 09時00分

DY様 こんばんは。

置き場に困るCDダントツ№1(笑)
仕舞いこむと何年も聴かず、たまたま発掘すると3日間くらいこればかり聴いているという・・・そんなアルバムです。
GRACEさんの詩、いいですよねぇ。素の人間としてのJULIEをよく捉えてるなぁと思います。
「大丈夫」
ぶれない自分がまずここにいる。それでこそこの言葉で大切な人を支えられるんでしょうね。

インフォきましたね!
しかし・・・初日はあきらめろと言われてるような気が。(大丈夫、と自分に言い聞かせます)

投稿: nekomodoki | 2012年2月29日 (水) 21時15分

74年生まれ様

楽曲紹介、ありがとうございます!

そうそう…この曲もありましたね~。
ただ、「晴れた日」の「大丈夫」の場合は、ジュリー自身も自らに言い聞かせているような感じも受け、当時そんな心境だったのかなぁ…とも考えてしまいます。

ジュリーにしては珍しいレゲエ・ナンバー、いつかお題に採り上げなければ…。

nekomodoki様

ありがとうございます!

正に、ジュリーのぶれない強さを感じさせてくれる詞ですよね。

仰る通り、収納場所に悩むアルバム…今は書棚に、『ストリッパー写真集』と並んでおりまする~。

ツアーインフォ、来ましたねぇ…。
大丈夫…と、思いは同じです。
初日にご挨拶できますように…。

投稿: DYNAMITE | 2012年3月 1日 (木) 12時33分

DY様

インフォ来ました
ただ神戸がないとか、大阪人が複数参戦するには予算的に厳しいツアー日程ですねぇ
第1弾で弾みをつけて、9月からの第2弾では関西が多くて、大阪城ホールとかあればテンションMAXなんですが(笑)
とはいえ第1弾も相当楽しみです(爆)


追伸1
3月から3ヶ月連続で佐野元春さんがビルボード大阪(なんと300人弱のキャパ)に来るので行ってきます。

追伸2
今回のご伝授曲、さらっと聴いてたようなので、もう一度、聴き込んでみます。睡蓮とROCK黄WINDを聴き倒してたもんで(;^_^A

投稿: Mr.K1968 | 2012年3月 1日 (木) 23時26分

Mr.K1968様

ありがとうございます!

佐野さんの小さな箱でのライヴ、いいですねぇ。
拙ブログには佐野さんのファンのかたも遊びにいらしてくださいますし、是非ご感想をお聞かせください!

そして、いよいよソロコンですね~。
最近になって、近年のジュリーナンバーに堕ちたMr.K様にとっては、本当に待ちに待ったツアーでしょう。

僕はツアー前半は参加会場を少なめに絞り節約して、カミさんの実家に帰省がてらのびわ湖遠征を考えています。
関西のみなさまとはそちらでお会いできるかも、と期待しています~。

投稿: DYNAMITE | 2012年3月 2日 (金) 08時49分

DY様

佐野さんLIVEの速報です。
LIVEのタイムアップ寸前、なんとフィナーレは「バイバイ・ハンディ・ラブ」でした

投稿: Mr.K1968 | 2012年3月19日 (月) 20時30分

Mr.K1968様

速報ありがとうございます!

「バイバイ・ハンディ・ラヴ」は佐野さんの『ノー・ダメージ』でも大トリ収録でしたね。

短いロックンロールナンバーが最後に配置されたステージ、最高だったでしょう。
うらやましいです~。

投稿: DYNAMITE | 2012年3月20日 (火) 14時47分

DY様

続報です。

今回のビルボードでの佐野さんのLIVEは、少人数かつ食事をしながら見るという箱の特質を考慮してか、歌を聴かせるということにウエイトを置いたもので(最後は総立ちになってましたが)、佐野さんは1時間20分の公演時間中、座ったまま、ほとんどMCなし、かつアンコールで入退場する間も削って、ノンストップで19曲を歌い切りました(他のアーティストのときも公演時間は同じで、MCもあるので、だいたい歌うのは10曲程度です)。

1日2ステージ×2DAYSですので、佐野さんは延べ5時間20分で76曲を歌い切ったことになります。

アルバムは聴いているものの、今のジュリーのようにタイムリーに佐野さんの活動状況を押さえている訳ではないので解説は出来ませんが、ジュリーと同じく、ここにも気骨あるプロのアーティストがいたと感銘を受けました。

バンド編成はベース、キーボード、ドラムス、チェロの4人でリードギターがいない代わりに佐野さん自ら16曲はギター、3曲はピアノ(キーボード)のプレイを披露してくれました。

2日目の今日は1m前に佐野さんがいる超神席だったので(嬉)、細かい指使いなど、佐野さんに完全に目が釘付けでした(笑)

セトリも初期の曲からこのLIVE用の曲までまんべんなく演ってくれました。

DY様がタイムリーに聴かれてた頃の楽曲であれば「イッツオールライト」「ふたりのBIRTHDAY」とかも入ってましたよ。

来月、再来月の2DAYSも行ってきます。

次回以降はジュリー絡みで「バニティファクトリー」とか、大好きな「ロックンロールナイト」とか演ってくれたら、さらに昇天ものなんですが(苦笑)

そして7月には待望のジュリーのソロコンです(当選する前提)

投稿: Mr.K1968 | 2012年3月20日 (火) 23時11分

Mr.K1968様

続報ありがとうございます!

なるほどかなり変則編成だったのですね。
逆に言えば佐野さんのギターがたっぷり聴ける…狭い箱ならではの醍醐味が味わえたのではないでしょうか。

その編成でチェリストを擁しているならば、「情けない週末」が演奏されたのでは?
あの曲は僕が初めてピアノを練習した曲…懐かしいです。
歌いながらでも弾きやすいピアノですし、もし演奏されたなら、佐野さんはピアノかな…なんて想像してしまいました~。

投稿: DYNAMITE | 2012年3月21日 (水) 09時05分

DY様

さすがです

「情けない週末」は佐野さんのピアノで、セトリ後半の重要な位置を占めてました

脱帽です

投稿: Mr.K1968 | 2012年3月21日 (水) 20時33分

Mr.K1968様

おぉ、やはり!
「情けない週末」のピアノは、左手がシンプルですので、弾き語りに適しているんですよ~。

僕は佐野さんのピアノを生で聴いたことがありません。羨ましいですよ~。

投稿: DYNAMITE | 2012年3月21日 (水) 22時27分

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