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2012年2月20日 (月)

ザ・タイガース 「散りゆく青春」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1970、single

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴らしい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

----------------------

老虎ツアーも、去る1・24日本武道館の大成功とともに終わり、寂しい思いをしておりますが・・・。
ジュリーの新譜『3月8日の雲』が3月11日に発売されることが分かったり、ピー先生がNHK出演からトークライヴに突入したりと、タイガースのメンバーそれぞれが次のステップへと元気いっぱいに進んでいます。
こちらもまずは足元を見て、日常をしっかりと過ごしながら「明日」
に向かっていかねばなりません。

拙ブログにおける”日常”と言えば、それはソロのジュリー・ナンバーの考察ということになりますが、その前に。
僕はジュリーのツアーが終わりますと毎回、”セットリストを振り返る”コーナーというのをやっておりまして、楽しんだばかりのツアー・セットリストの中から数曲を採り上げて楽曲考察記事を執筆し、余韻に浸る期間を設けています。
今回の老虎ツアーもそれに倣い、もう少しの間だけ昨年9月からの4ケ月間のことを思い出しながら、タイガース・ナンバーをじっくり味わうことにしようと思います。

さて、老虎ツアーのセットリスト・・・洋楽カバーを除いたオリジナル・タイガース・ナンバーのうち、まだ拙ブログで考察記事のお題に採り上げていない曲は、たったの3曲しかありません。
そのうち「花の首飾り」は、”近い将来”を実際に体感するまで執筆を延期することに決めました。トッポを含めた”ザ・タイガース”の「花の首飾り」の歌唱・演奏を生で観ることができたら、その時に満を持して執筆するつもりです。

残るは2曲。
その中から今日はまず、新規ファンの僕にとっては特に考察が難しい曲を採り上げます。。
後追いの自分たちでは想像もできないほどの思いが、当時からのタイガース・ファンの心に40年間閉じ込められていた・・・その曲のタイトルを聞いただけで涙を浮かべてしまう、と仰る先輩も。

そんな先輩方の思い入れに、僕などは及ぶべくもありませんが・・・その素晴らしい魅力を、楽曲構成の面から色々と紐解いてみたいと思います。
「散りゆく青春」、畏れながら伝授です~。

実はこの記事、構想を纏め上げるのにとても手こずっていました。武道館のレポを完成後すぐに下書きにとりかかったのですが、文章全体の主旨がハッキリせず、どうも散漫な感じになっては書き直し、また書き直し・・・と繰り返していたのです。

元々
「僕にはタイムリーな当時のファンの先輩方と同じ境地には至るはずもないのだから、楽曲そのものについてだけ書こう」
と考えて執筆に取り組んだのですが、やはり所々では、タイガースの歴史から見たこの曲の意義にも触れなければならなくなります。そこでハタと手が止まってしまう・・・何をどう書けば良いのか分からなくなる、そんな感じでした。
幸いと言いますか、下書き途中にジュリーの新譜発売のニュースが飛び込んできて、記事更新をそちらにシフトできましたけど、それが無かったらこの「散りゆく青春」の記事upまで、随分ブログの更新に間を空けることになっていたでしょう。

そんな中・・・たまたま先日18日に、タイガース時代からのJ先輩お二人にお招きを受ける機会がありましたので(『夜ヒット』DVD、先輩方の解説付鑑賞会を催して頂いたのです~)、困り果てていた僕は千載一遇、この時ぞとばかりに緊急取材(?)を敢行いたしました。
正直に「何をどう書けば良いか分からずに悩んでいます」と白状した上で

「”散りゆく青春”とは、先輩方にとってどういうスタンスの曲なのでしょうか?」

と尋ねてみたのです。
すると、まずはズバリ

「この曲ばかりは・・・そりゃあDYさんがいくら頑張ったって書けないわよ~」

とのことでしたね~。
いやぁ・・・これで逆に、「書ける」と思いましたね。
「自分にはとても書けない」ことを骨子に話を進めれば良いわけで・・・無理しなくていいんだ、と思えましたから。

やはり先輩方も、今回の老虎ツアーで「誓いの明日」については劇的に楽曲そのものが生まれ変わった感じなのだそうです。
でも、「散りゆく青春」は未だに「永遠の悲しみ」を持った曲として、楽曲への思いが変わることはなかったようですね・・・。
だからこそ、の価値がセットリストとしてあったのでしょう。その観点からすると、こればかりは本当に、後追い組には永遠に追いつけない良さもあるのだ、と納得。

武道館のレポートにも書いたことですが、僕は今回の老虎ツアーをこの目で何度も観たことでようやく、「周回遅れながら、今はタイガースファンの先輩方と同じところを走らせてもらっている」という感覚を持つことができました。
やはり、実際にLIVEを観た、というのが一番大事なことだと痛感したからこその境地です。
しかしそれは一方で「散りゆく青春」のように、かつてのタイガースを生で観ていないハンデが永遠に残ってしまう楽曲、というのも確かにあるのだと再認識することでもありました。

あの田園コロシアムに参加なさったという先輩が、こう仰っていました。
「だんだん陽が暮れてきて、風が吹いてきて・・・その風が気持ちいいんだけど、何故かとても切なくなってきて」
と。
そんな情景が、他のどの曲でもなく「散りゆく青春」について思いを馳せた時にまざまざと甦ってくるというのは・・・やはり相当特別な曲なんだなぁ、と僕は感じ入りました。

そんな「特別な」何かを、楽曲構成を紐解くだけで何処まで手繰っていけるだろうか・・・それが今回の記事での僕の課題となります。
ですから「散りゆく青春」の採譜にあたっては、いつも以上に気合を入れましたよ!

まず、この曲のスコアが『沢田研二のすばらしい世界』に掲載されていたように僕は今まで思い込んでいたのですが、それは勘違いでした。
おっかしいなぁ・・・。

僕はずっと以前から、楽曲考察記事を書く場合には必ず一度は自分で演奏して1曲通して歌ってみる、ということを課しているので(そうすることによって、それまで気づかなかった新たな発見を得ることがとても多いのです)、スコアが無いとなると、まずは自力で採譜作業をしなければなりません。
まぁ、それも楽しい時間です。
老虎ツアーの余韻もあり、記念にと思い珍しく清書までしてしまいました。

Sn390217

細かく採譜をしていくと
「あぁ、これはいかにもタローの得意な作曲パターンだなぁ・・・」
というのが、ハッキリと確認できます。

「青い鳥」や「出発のほかに何がある」などの記事で触れたように、タローの作曲作品は一目朴訥で、童謡のような穏やかさがあり、それ故にとてもシンプルな作りであるように感じられてしまいます。
しかしその中に”タロー・オリジナル”とも言うべき独特の展開を含んでいることが多いのですね。

例えば「青い鳥」は超が付くほどの有名な曲で、ある年代の方々ならば誰しもが口ずさめるほどに親しみやすいホ短調のメロディーですが、サビ部の
「あ~おい、とり~♪」
のリフレイン部で突如転調している(正確に言うと前節「のせたのに♪」の「に」からロ短調へと移行している)ことに気づいている人はほとんどいないでしょう。意識して楽曲考察に取り組まないと分からないほどに自然で、さりげない(その「さりげなさ」が結局タローのタイガースにおける重要なキャラクターではなかったか、と後追いの僕は今、そう考えています)一瞬の転調なのです。

今回お題の「散りゆく青春」のキーは、「青い鳥」と同じホ短調。
考えてみると、老虎ツアー・セットリストで採り上げられたタローの作曲作品は「坊や祈っておくれ」も合わせ、すべてホ短調ということになります。

タローは曲に応じてギターでの作曲、ピアノでの作曲を分けていると考えられます。そして、曲中にふっと挟み込まれるさりげない転調や意表を突くコード展開などが表れるのは、ギターで作曲した作品についてだと僕は推測しています。
逆に言えば、終始素直でストレートなコード進行の「朝焼けのカンタータ」や「Long Good-by」などはピアノで作曲しているのでは、と考えているわけです。

「散りゆく青春」はギターによる作曲だと僕は推測します。
どの部分に意表を突く展開があるかと言いますと

♪ だけどそれも 今日で終わり
  Em     Am                G

  すべては今 涙に散るよ ♪
            F          B7

太字表記したの「F」のコードが、細かいながらちょっと変わった進行と言えるでしょう。
この箇所は転調こそしていませんが、「Em」を軸にした一般的なコード進行の組み立てに「F」コードが登場することは、例えば日本の童謡の曲にはなかなかありません(少なくとも、僕が採譜したことのある曲については記憶がありません)。
普通ならばここは「C」をあてがうところ。
一見童謡的で朴訥なメロディーでありながら、タローのコード進行には当時の洋楽ギター・ロックの尖った手法が、さりげなく取り入れられているのです。
「坊や祈っておくれ」の記事中で触れたインタビューなどを読むと、後期タイガースのタローは、かなり多くの洋楽曲の作曲構成を勉強していて、「散りゆく青春」にもその成果が表れているのですね。

また、この曲は詞先なのでしょうか・・・メロディーが山上路夫さんの抒情的なフレーズにピタリと合っていて、特にAメロ部の最後、2番で言うと

♪ 二  人の世界に 咲いてた青春の   は   な ♪
  Em E7        Am         Em  Am  Em  B7  Em

「の、は、な」
と、それまで朗々と伸びやかにしていたメロディーが、一音一音区切るようにして(和音も一音ごとに変わります)ジュリーのあの声で歌われると、本当に青春の情景がそこで突然散ってしまうようで、これは当時のタイガース・ファンの先輩方が漠然とした「終わり」を予感してしまうのも仕方ないかもしれません。それほど、歌詞の世界観がタローの作曲によって増幅されているということなのだと思います。

では、編曲のクニ河内さんの「散りゆく青春」での役割についてはどうでしょうか。
「怒りの鐘を鳴らせ」「誓いの明日」の考察記事執筆にあたり、僕は後期タイガースへのクニ河内さん作曲作品の貢献度を学んだわけですが(そういうことも、採譜の手間をかけて初めて気づかされたことなのです)、クニさんがアレンジャーとして超一流であることも、最近になってようやく気づかされています。

僕はつい最近「歌えなくなる前に」という、クニ河内さんのソロ音源を初めて聴きました。
カミさんのCDコレクションの中から『昭和元禄トーキョ-ガレージ』というオムニバス企画盤を発掘したのです。

Sn390216

タイガースは4曲収録。
「サティスファクション」「シーサイド・バウンド」のLIVEテイクと、「ジンジン・バンバン」「怒りの鐘を鳴らせ」という渋い選曲。他にはPYGも2曲、そしてトッポの「バイバイ・シティ」やサリー&シローの「YS-11」なども収録されています。

この中に、クニ河内さんの「歌えなくなる前に」も収録されていました。
詞曲もクニさん自身によるものですが、とにかくアレンジが凄い・・・この人の「音を俯瞰して組み合わせる」センスはちょっと頭抜けているな、と思いました。
アレンジという作業に「建築する」というクールな感覚を持っているようですね。良い意味で怜悧、突き抜けているのです。
まぁ、僕はまだクニ河内さんの作品を数えるほどしか聴いていませんから、現時点での個人的な印象、と言わなければなりませんが・・・。

僕はクニ河内さん作曲のタイガース・ナンバー「怒りの鐘を鳴らせ」「誓いの明日」の楽曲考察記事で、クニさんの作曲には哲学が込められているかのようだ、というようなことを書きました。
それは主に上記2曲の独特のコード感からそう考えたわけですが、では「作曲」だけではなく「編曲」にもクニさんの同様の特性は見出せないか、と改めて「散りゆく青春」のアレンジを考察してみました。

一見、王道です。
無難にまとめているように聴こえます。
そんな中に、何処かタローの作曲段階ではなくクニさんのアレンジ段階で味付けされた箇所が見つからないものかと探してみました。
そう・・・例えば、エンディングはどうでしょうか。
一貫して悲しげな雰囲気で進行してきた「散りゆく青春」が、エンディング一瞬だけ明るい長調になります。
演奏主メロの音階とコードは

♪ ミソシ、ド~、ミレドミ~ ♪
  Em     C             E

となっています。
「Em」の楽曲では展開上使用頻度の高いはずの「C」のコードが、このエンディングに来て初めて登場し、その明るい響きで光を射します。
そうして繋がれた最後のコード「E」で、長調に転調。

これは、最後の最後に歌の主人公の視界が開けた、或いは何かしらの決意と共に歩を進み始めた、という情景を暗示しているように思え、「楽曲に哲学的な解釈を加える人」という僕の中のクニ河内さんのイメージと合致します。
ですから、このエンディングについてはクニさんが構成したものではないかなぁ、と僕は考えるのですがいかがでしょうか・・・。

ところで、「散りゆく青春」はタイムリーなタイガース・ファンのみなさまの熱烈な支持を得ている大名曲ですが、シングルとしてはB面曲ですよね。
A面は「素晴しい旅行」・・・こちらはジュリーの作曲作品です。タイガース・メンバーのオリジナルがシングル両面共に採り上げられたのは、同窓会期を別とすると、このレコードが最初で最後なんですねぇ・・・。

今回の老虎ツアーでジュリーが選んだのは、A面の「素晴しい旅行」ではなく、B面の「散りゆく青春」でした。
今ツアーの希望に満ちた雰囲気、タイムリーなファンの方々の歓喜を考えますと、コンセプト的には「素晴しい旅行」の方が合致しているように感じられますが・・・ジュリーは「散りゆく青春」の方をを必要としました。

そこで考えられる、今ツアーで「散りゆく青春」が果たす役割とは・・・。

まずは、タイガースとタイガース・ファンにとって特別な関係・・・双方が思い入れを持つ曲である、という要素が大きいのでしょう。
もちろん、70年の田園コロシアムの記憶が、メンバー全員の中にも当時からのファンの先輩方の中にもあったでしょうしね。
ただ、ジュリーの描いた今ツアーのセットリスト・コンセプトの中に、”タイガースを愛した作曲家・森本太郎”へのリスペクトというものがあり、「散りゆく青春」がその意味からも重要な作品であったこともまた、間違いないと思います。
(おそらくジュリーにはタローへのリスペクトと同様に、”ドラマー・ピー”へのリスペクトや、”ベーシスト・サリー”へのリスペクトもあったはずです。そう考えると、今回のラインナップは本当に完璧なセットリストだとつくづく思います)

そしてもうひとつ。
タイガース当時の楽曲群にあって、ジュリーのヴォーカルが今の声質に近い感じでレコーディングされている曲のひとつが「散りゆく青春」だとは言えないでしょうか。
解散後間もない『JULIEⅡ』のヴォーカルと比較すると、「散りゆく青春」の声には当時のジュリーとしては異色とも言える、太い厚みがあるように思います。
僕は、線がやや細いながらも無垢なまでに伸び上がる若きジュリーのヴォーカルも大変好きですが、今のジュリーの太く艶やかな声も大好きです。タイガース・ナンバーからその架け橋を1曲探すとすれば、「散りゆく青春」じゃないかなぁ、と。

また、「散りゆく青春」は後期タイガースのハーモニーの魅力が前面に押し出された曲でもありますね。
この曲を改めて今聴くと、左サイドから聴こえるシローのコーラスに特に耳を奪われます。やはり、生で聴いた「若葉のころ」のシローの声の印象が僕の中に強く残っているのでしょう。
武道館に参加した多くの先輩方が、シローの「若葉のころ」を”天使の声のようだった”と仰っています。
「散りゆく青春」の透き通るようなシローのコーラスを聴くと、武道館のあの感動的なシーンが甦ってくるようですね・・・。

不思議なことにタローの作曲作品は、トッポ在籍時はトッポのコーラスに、シロー在籍時にはシローのコーラスに、それぞれピタリと嵌っています。
まず、ジュリーのヴォーカルとの相性が抜群に良く、その上で素晴らしいコーラス・ワークを引き出すメロディーだということでしょうか・・・。

「散りゆく青春」で哀しげに歌うジュリーのヴォーカルは、今ツアーでも「当時のまま」だったようですね。
18日にお会いした先輩は、特に11月の京都公演のヴォーカルで、一番それを感じたそうです。

先輩は、こうも仰っていました。
「長い歴史の中で、ジュリーの”歌”を知り尽くした作曲家と言えるのは、大野さん、加瀬さん、そしてタローの3人だけかな」
と。
そしてその中でもタローは、「タイガースのジュリーの歌」に特化した作曲家なのではないか、と。

さらに、「散りゆく青春」楽曲考察についての先輩からの大きなヒントは、”ジュリーが泣きそうになって歌う”というお話から付随して何の気なしに僕が「青い鳥」についてお尋ねした時に返ってきました。

初期タイガースは、他GSと比較された際に「バンドメンバーのオリジナル曲が無い」ことを叩かれた時期があったそうですね。
まぁ、当時は「自前で曲を作っている方が凄いんだ」とする主張が普通に通っていたんでしょうねぇ。
(そういう物差しを、他ならぬ僕のようなタイプが持ちやすいことは自覚しています。もし僕がタイムリーなタイガース世代だったら、と想像すると・・・正直ゾッとすることもあります。やはり僕はジュリーファンから遡っての後追いだからこそ、タイガースを正当に、素直に評価できたのかもしれません)
オリジナルだけでなく、外部のあらゆるタイプのプロフェッショナルが練り込んで作り上げた楽曲を表現するのがどれほどの技量と才能を必要とすることなのか、というのはジュリーが何十年もかけて証明したことでもあるので、今となってはその批判(やっかみ?)がトンチンカンな物言いであることは明白ですが・・・それにしたってジュリー達タイガースのメンバーは、相当悔しい思いもしたのでしょう。

そんな時に誕生したのが、タローの「青い鳥」。

今回のツアーで
「作詞・作曲・森本太郎」
とした上で、各会場で「名曲中の名曲」と「青い鳥」を紹介し続けたジュリー。
また「坊や祈っておくれ」についてもジュリーは、「後期の曲だけに、高貴な光を放っている」とオヤジギャグを織り交ぜながらも
「作詞・岸部おさみ、作曲・森本太郎」
と紹介することを忘れませんでした。

ジュリーが「タイガース・オリジナル」に誇りを持っていたこと、特にタローの作曲活動に大きな敬愛と感謝を抱いていたことが、今になって僕には分かったような気がします。
だからジュリーは、自作の「素晴しい旅行」ではなく、タローの「散りゆく青春」を選曲したのではないか、と僕には思えます。

かつて、「タイガースにはオリジナルが作れない」と言った人達は、まぁ「できるわけない」とたかを括っていたのかもしれませんが・・・実際に40年以上経って、世に残った曲はどの曲だったか、ということですよね。
そういう人達は、今ツアーで歌われたタロー作曲の3曲の輝きを、どう見たのでしょうか。
今頃、畏れ入ってるでしょうねぇ・・・。

そんなわけで。
こんな僕でも、「散りゆく青春」が大名曲であることは、どうにかこうにか分かってきたみたいですよ~!

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コメント

DY様 こんばんは

田園コロシアム、ソロのなってから一度だけ参加する機会がありましたが、他の野外ライブにはない不思議な感覚がありました。日比谷の野音などはまわりがビル街ですからそういう空気がありましたが、田園コロシアムは周りに高い建物がないせいか、空がすごく近いというか、空気ではなく、直接空を肌で感じたんです。
行けなかったけど、42年前あそこにいた方達はあの夕焼けに抱かれて「散りゆく青春」どんな思いで聴いたんでしょうね。

投稿: nekomodoki | 2012年2月20日 (月) 23時43分

DY様こんばんは。
ファイナル武道館のレポ完走の御礼もできずすみませんでした。色々多忙でしたが、DY様をはじめ多くの皆様のブログやレポはチェックしておりました。
僕もこの曲の第一印象はオリジナル音源ではなく、田コロのライブ音源でした。あのファンの皆様の大合唱。映像を見たことがなかった僕にとってあの初日の国際フォーラムの歌唱が全てでした。武道館に行くことが出来なかったことは残念ではありますが、後悔はしておりません。この曲の寂しさだけを噛みしめるのではなく、ジュリーが描いているであろう6人全員揃っての完全復活、その日まで楽しみは取っておきたいと思いました。
それにしても、DY様が仰るように、タローの作るEmの曲は本当に名曲ですね。僕もタローの意表のつく転調は違和感なく、あゝこんな使い方もあるんだなぁと感心しました。

投稿: 27年ロマンス | 2012年2月21日 (火) 00時50分

DYさん、お邪魔します。
ごくごく個人的な感想なのですが、私にとって、これは、最も“今の沢田研二”を感じさせる楽曲でした。タローさんの曲ではなく、山上さんの詞で。この作品の詞は、基本的には少女の目線で書かれたものですが、今回のツアーにおけるジュリーの歌唱は、男性よりで、特に♪ふたりは 生きてゆくのね♪のところは、意識的に乗り越えようとしているように聞こえました。おそらく、同窓会の頃のジュリーなら、スムーズに少女目線で歌いこなしたかもしれませんが、89年ごろからのジュリーの軌跡は“男のラブソングのあり方”を模索していた、と言っても過言ではないので、少女目線の歌詞に、少しだけ違和感があったのかもしれません。それでも、武道館でのジュリーの歌唱は、歌詞を柔らかく美しい高音でくるんで、素晴らしい仕上がりになったと思います!

投稿: 74年生まれ | 2012年2月21日 (火) 10時40分

nekomodoki様

ありがとうございます~。

田コロの「散りゆく青春」…相当に切なかったそうですよ…。
nekomodoki様の仰るように、会場の雰囲気、空の近さ、というのも影響していたのでしょうね。

僕は音源を聴いて想像するしかありませんが…ジュリーの最後のMCも意味深に聞こえてしまいます…。

27年ロマンス様

ありがとうございます!

レポはやはり大長文になりました。
武道館の雰囲気が少しでもお伝えできていれば良いのですが…。

個人的には、「散りゆく青春」は今回のツアーを最後に封印されたように感じましたが、それも浅い考えなのかもしれません。
やはりタローの曲、ということに尽きますね!
自然な中に独特のコード感…仰る通り、本当に勉強になります。

すみません、一度切りますね~。

投稿: DYNAMITE | 2012年2月22日 (水) 09時01分

74年生まれ様

ありがとうございます!

確かに今ツアーの「散りゆく青春」は男っぽいヴォーカルでしたね。
なるほどそれで力強さも加わっているわけですね…。

やはりそれも、タローのメロディーがジュリーにピタリと合っているとも言えそうです。

この曲は不思議と人間よりも風景描写が浮かぶ歌詞だな、と僕には感じられます。
ちょうど今くらいの季節感なのかなぁ…。

投稿: DYNAMITE | 2012年2月22日 (水) 12時31分

お陰様で忙しく働かせてもらってます。雪国の交通誘導員はある意味、罰ゲームそのものでもありますが(汗)。ほぼザ・タイガースの1.24武道館のDY様渾身のレポ完走、拝読させていただきました。そして、この「散りゆく青春」…。私の新潟公演でのダイレクトな感想は「うわっ歌謡曲だな」でした。何故かこの曲だけ痛烈にそう感じました。で、基本的には大好きな一曲です。生で観て聴けるのを楽しみにしてました。「怒りの鐘を鳴らせ」と「美しき愛の掟」と「坊や祈っておくれ」と、この曲が特にそうでした。で、「素晴しい旅行/散りゆく青春」のシングル盤は神保町の古書センタービルの上の方にあった(今でもそうかな?)富士レコード(レコード社)という中古レコード店の老舗で買ったのですよ。昭和54年のことだったと記憶してます。私は18歳でした。TBS系の歌謡曲懐古番組で「歌のグランプリ」での「君だけに愛を」を高2で観て、ガーンとやられ、リアルタイムの小学生時代には全く興味を示さなかったザ・タイガースに一目惚れ!?したのでした。働きだして、お金に余裕ができて、新譜よりも中古にどっぷりでした(笑)。唯一、お金が足りず、一度埼玉の大宮の寮まで帰ってお金を持って、また買

投稿: 秀和 | 2012年2月24日 (金) 19時23分

いに出た記憶があります。おっしゃる通り、この「散りゆく青春」だけジュリーの声が違って聴こえましたね。何か、生のジュリーを感じるというか。そんな感じがしましたね。「散りゆく青春」と「ある青春」を2曲続けて聴いてみたくなりました。

字数が多すぎたのか、途中で切れてしまったようなので書き足しましたが、意味が繋がっていたら幸いです。私事で長々と申し訳ありません。

投稿: 秀和 | 2012年2月24日 (金) 19時32分

秀和様

ありがとうございます!

元気に働いておられる、と伺って嬉しく思います。お身体もずいぶん回復されたのでしょうね…。

「散りゆく青春」…確かにイメージは歌謡曲なんですよね。聴きようによってはジュリーの独壇場とも言え、それだけに秀和様の感じておられるジュリーの「声の違い」も引き立ったのかもしれません。
今ツアーでも、ゲストのタイガース・メンバーに演奏面での特に目立った活躍は用意されていない曲でした。おそらくそれは「散りゆく青春」ただ1曲だけだったかもしれません。

そう考えますと、純粋にジュリーのヴォーカルで「ある青春」と続けて聴いてみたい、と仰る秀和様の考察もよく分かります。
なるほど…と感じ入りました。

オリジナルの「散りゆく青春」に今のジュリーの声を感じる…それはとても不思議なことですが、秀和様のコメントでその不思議さが何か、納得できたような気がします!

投稿: DYNAMITE | 2012年2月25日 (土) 21時34分

タイガース、再結成して、アルバム作ってほしいんですが、どうかなあ。

投稿: hiromi | 2012年2月26日 (日) 12時54分

hiromi様

ありがとうございます。

ジュリーが言った「近い将来」では、再結成記念のニューアルバムが出れば良いなぁ、と僕も思っています。

タロー、トッポ、そしてジュリー。
タイガースが擁する3大作曲家の全力競演を是非味わいたいですね…。

投稿: DYNAMITE | 2012年2月26日 (日) 21時18分

こんばんは!何時の頃からか瀬戸口さんの
プログを拝見させて頂いています。

ザ・タイガースから42年間、ファンでい続けています。最近はザ・タイガースの曲を全部コピーしてバンドや弾き語りで、歌い継いで行くつもりで、地道な活動をしています。
その活動の為に【ギター教室】に通い、アコギ・ベース・ピアノを習っています。

が一つ困った事があります。
欲しい譜面が見つからなのです。
メジャーな曲の譜面は、あるのですが、(散りゆく青春)などのような、ちょっとコアな
曲のが探せません。
50の手習いで始めた、楽器ですから(耳コピー)や(楽典)なんて程遠いのです。

そこで質問です。瀬戸口さんは、どこで譜面を探されているのでしょうか?
参考にさせていただきたいので、宜しくお願
いします!

失礼なお願いで申し訳ありません。

投稿: K・F | 2012年3月12日 (月) 01時17分

K.F様

ありがとうございます。

確かにタイガースの譜面は、有名なシングルA面曲については世に溢れていますが、いわゆる「隠れた名曲」はほとんど見つかりませんね。
昔はあったのかもしれませんが…。

ですから僕は、つたない力ではありますが自分で採譜しています。
個人的に弾くためのものなので、解釈が曖昧な部分も残ってしまいます。

既存のスコアについては今は僕も、昔の雑誌の付録などを探し歩いているという状況ですね…。
お役に立てず申し訳ありません。

いつか…いや、ジュリーの言う「近い将来」実現の際には、スコアについても何らかの波が来ることを信じています。

これからもどうぞよろしくお願い申しあげます!

投稿: DYNAMITE | 2012年3月12日 (月) 17時16分

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