毎度のことで、長らくお時間を頂きましたが、ようやく年明け九州シリーズのレポが完成しました。
分かりやすいように、記事の日付を本日1月20日に移行させております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
☆ ☆ ☆
↑ 九州の先輩がわざわざスキャンして送ってくださった、1月24日付『朝日新聞』西部版に掲載された、池内秀己氏による老虎ツアー福岡公演評。
掲載日が1月24日というのが偶然の奇跡で、先輩は丁寧に日付まで合わせてスキャンしてくださっています。
☆ ☆ ☆
充実の遠征。
燃えました・・・老虎ツアー、年明け九州シリーズ。
今の自分の心境を写真で表現しますと、こんな感じ。
↑ 燃えて火を吐く桜島
LIVE参加後に「日常になかなか戻れない」という感覚は久しぶりです。
帰京して、身体は普通に仕事の毎日に戻っても、気持ちが全然戻らない。
街中での信号待ち、駅での電車待ち・・・いつの間にか一人でニヤニヤしているという(汗)。
自分がアブナイ人になっている事にハッと気づき、「イカン、うわつかずに粛々とした日常に戻らねば!」と頬を引き締めるのですが、1時間も経つとまた同じことを繰り返し・・・。
困ったものです。いや、嬉しいことなんですけどね。
7日の福岡公演では、九州のジュリーファン、タイガースファンの独特の熱さを初めて知り、翌8日の鹿児島公演では、10代までの青春を過ごした故郷の街の会場で、意識が飛んでしまうくらいの強烈な瞬間をも体験しました。
今回は、九州シリーズのレポとして2公演分をまとめて執筆いたします。
書きたいことが多過ぎてどこまで網羅できるか分かりませんが、一応セットリスト楽曲順レポート形式を踏襲した上で、あっちへ飛びこっちへ飛び脱線しまくるという、いつもとはちょっとだけ違った、濃ゆ~い感じで書いていきたいと思います。
よろしくお願い申しあげます。
☆ ☆ ☆
~開演まで~
それでは本題のセットリストに入る前に、みなさまにおかれましてはどうでもよい情報ながら、当日のDYNAMITEの動向などを簡単に・・・。
まず福岡。
僕は九州出身ですが、博多の街は20年ぶり。
僕の故郷・鹿児島からだと、博多って結構遠いんですよ。今でこそ新幹線でビュ~ッ!と行けるけれど、僕の頃は主に『ありあけ』っていう特急列車でね、だいたい4時間かかっていたんです。
同じ九州とは言え、そう気軽には訪れることはできませんでした。
久しぶりの博多・・・今回は、羽田空港から飛行機での遠征になりました。
元々、鹿児島公演に参加することは決めていて、九州に行くならその前日に福岡在住の大学時代の友人に会いたい、とカミさんが希望したのがきっかけで、じゃあ福岡公演のチケットを探してみようか、という流れだったのです。
幸いチケットは見つかり、席は離れましたが二人とも参加できることに。ありがたいことです。
福岡の席は、23列目上手寄り。今ツアーは本当に、上手での参加に偏りましたね・・・。遂にサリーのベースを間近で観ることはできませんでした。
まぁそれは、ジュリーを信じ「近い将来」の機会に期待を繋げたいと思っています。
飛行機が遅れたりしたこともあって、福岡市民会館に到着したのは午後5時過ぎ。
もう開場は始まっていますから、着いたらササッ、と入れるだろうと思っておりましたら・・・。
何ですかこの行列は!
会場の入り口から、うねうねと迂回して敷地内を一周しようかという長い行列が、僕らを出迎えました。
そして、それとは別の行列もあって、そちらは立ち見席の方々が並んでいました。
列は粛々と進みますが、どうやら開演時間は遅れそうです。それほどの人、人、人でした。後で、福岡公演に通い慣れている長崎の先輩や、地元福岡の先輩に伺ったところによりますと、これほどの行列はジュリーのソロの時には目にしたことがない、とのこと。
さすがタイガース!という感じですね。
会場となった福岡市民会館は、取り壊し?改築?とにかく無くなってしまうことが決まっているそうですね。
確かに年代を感じさせる作りではあります。まず座席が狭い・・・立つと、何もしなくても前席の背もたれ部に膝が当たるほどでした。
しかしそういうことも含めて、「古き良き王道のコンサート会場」という印象を僕は持ちました。
すでに無くなってしまった大阪フェス、そして京都会館・・・ジュリーとファンの想い出をたくさん重ねてきた会場が、次々に姿を消していくのは淋しい思いがしますね・・・。
開演前には、お馴染みのジュリーファン、ピーファンの先輩方、そしてずっとお会いしたかった福岡在住のJ先輩に無事ご挨拶ができましたし、九州のピーファンの先輩との「はじめまして」もありました。
それだけでも、遠征の気分が盛り上がろうというものです。
さて、翌日の話になってしまいますけど・・・鹿児島公演の僕の座席位置について説明しておかなければなりません。
このことを書いておかないと、何故遠征から帰還した僕が「日常になかなか戻れない」ほどの恍惚状態に陥ったのかが分かりにくいからです。
まず、宝山ホールの座席表・・・上手側前方を抜粋した画像をご覧ください。
ちょっと印刷がぼやけて見にくいかもしれませんが、一番右、つまりステージ上手側の端に、花道沿いに先の尖った三角形のような形のブロックがありますよね。
その一番前方、点線のすぐ下に2つだけポツン、と並んだ45番と46番の座席・・・それが今回、僕ら夫婦が澤会さんから頂いたチケットのお席でした。
実際に行ってみるまで、これが良席なのか、それとも絵柄通りの”夫婦揃って島流し席”なのか、まったく分かりませんでした。
列としては「4列」なわけですから前方席であることは間違いない。ならば充分良席だろう、と言われそうですが、実は僕らは昨年お正月の『BALLAD AND ROCK'N ROLL』名古屋公演でも上手再端席を経験しています。その時は前から2列目だったんです。でもあまりに端過ぎて、両サイドのギタリスト二人がほとんど見えないという状況でした。
今回もそうかもしれない・・・スピーカーが邪魔して、柴山さんや泰輝さんが見えないかもしれない。ジュリーの影に隠れてサリーが見えないかもしれない。そんな不安もあったのです。
で、実際に入場してみて・・・。
「いや、これは素晴らしい!」と思いました。
ステージは横に広くなく、しかも客席に近い。これだけ近ければ、少なくともジュリー、タロー、ピーの色々な細かいアクション、演奏、表情も見えそうです。
ならば良し!
これまで、夫婦で並んで参加した際には、何も言わなくてもカミさんは「ステージに近い方の席」を僕に譲ってくれていました。
その理屈で言うと僕は今回45番の席に着くことになるはずなのですが・・・僕は有無を言わせず、46番の席を死守しました。
だって・・・ねぇ。
座席表の図では分かり辛いんですけど、宝山ホールって、前方最端席と花道との間に通路が無いんですよ!
例えば席の位置で立ち上がった時、ちょうど肘を花道につけばおさまりが良い感じ。
もちろん、そんな失礼な格好でLIVEを鑑賞することはできませんけどね。座席と花道の位置関係を分かりやすく説明すると、そういうことになります。
とにかく期待は、「ジャスティン」!
「ジャスティン」1曲のために僕は、柴山さんがスピーカーの影でほとんど見えないという悔し過ぎるハンデを承知の上で、46番の席を選びました(後に聞いたところによれば、カミさんの座った45番からは、ギリギリ柴山さんも見えていたそうです)。
ただ・・・。
入場してすぐに確認したところ、ステージから花道への境には機材が置かれ、通れる隙間はほんの20cmくらい。
ピーは大丈夫としても、果たしてジュリーがこの隙間を通れるだろうか・・・(←コラコラコラコラ)。
もし花道まで来てくれなかったら・・・。
そんなマイナス思考もよぎりましたが、「いや、今日はジャスティンに賭けてみよう」と思い直し、46番の席を選んだのでした。
☆ ☆ ☆
いやいや、すでに大長文になっています。
ここまでが枕ですからね(汗)。
場内に「G. S. I LOVE YOU」がかかるやいなや、雷鳴のような大拍手に包まれた福岡市民会館の記憶へと、そろそろ筆を戻しましょう。
開演です!
1曲目「ミスター・ムーンライト」
ということでいつものように、一応曲順通りに執筆していきますが・・・福岡、鹿児島入り乱れての記述になります。
どちらの会場で見た光景だったか、記憶がゴッチャになっているシーンもありますしね・・・(汗)。
さてさて、とにかく福岡のファンの声援、熱気は凄い!
東京とも大阪とも違う、独特の雰囲気があります。あと、やはりタイガース、ということでお見えのファンも多かったのでしょう・・・ジュリー以外のタイガース・メンバーへの声援がとても多いです。特にタローへの拍手、声援の大きさには驚きました。
福岡では、まだ「G. S. I LOVE YOU」が流れている中、メンバーがステージに登場しただけで「お~~~っ!!」といった感じのどよめき。そして、少なくとも僕の前方のお客さんは早くも次々と立ち上がって、ジュリーの「ミスタ~~~・ム~ンラ~イ♪」のひと声を待ちます。
(別席のカミさんに後から聞くところによると、3階のお客さんは座っている方も多かったようですが・・・)
ジュリーのヴォーカルは絶好調。
お正月でツアー疲れを完全に取り払ったのでしょうか・・・いきなりトップスピードから入った感じ。
演奏陣も調子良さそう。「ミスター・ムーンライト」はミディアム・テンポの落ち着いた曲調ですから、「今日はどんな様子かな?」と、それぞれが周囲の演奏に気を配る余裕もあるでしょう。そして、ジュリーのテンションに合わせていけば良い・・・今ツアー・セットリストの1曲目に「ミスター・ムーンライト」が選ばれたのは、色々な意味で「上手いな~」と思います。
よくぞ彼等が、ファニーズ時代にこの曲でスタートしたものですね~。しっかり40数年後にまで、繋がりました・・・。
先述のように鹿児島の席は、かなりの良席だった横浜と比較しても相当にステージに近く、「E」のローコード・を押さえるタローのギターのフレットや、ハイハット・ペダルを2、4拍で踏みながらタム連打するピーのドラミング、低い音色のハモンド・オルガンを弾く泰輝さんの手元・・・本当に細かいところまで良く見えました。
この曲では
「Because we love you♪」
の直後に、「どん!」という一発フィル・インがあります。
僕はこれまでの参加会場でそれをフロア・タムだと思って観ていましたが、違いました。ピーが叩いているのは
(自由現代社・刊 『初心者のためのドラム講座』より)
③番。
③番(タム)は2つ並んでいますが、向かって右側のタムを叩いていましたね。
ただ、タム一発にしては音が太いように感じますから、ひょっとしたらGRACE姉さんがピーと同時にフロア・タムを叩いているのかもしれません。
そこまではチェックしきれませんでした。なにせ、演奏人数も多いしステージが近くて良く見えるしで・・・見所が多過ぎます~。
でもやっぱりこの曲では何度参加しても、ジュリーのヴォーカルに身を委ねながらもピーを中心に観てしまいます。
手首を「クイッ!」と返してのピーのスティック空中円舞・・・2012年新春も健在です!
2曲目「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」
福岡は「ミスター・ムーンライト」が終わった後の拍手が凄くて、「あぁ、年に一度のコンサートを待ちわびていたファンがたくさんいらっしゃるんだなぁ」と実感しました。
そんな大拍手に呼応するようにして、ピーのフィル・イン。
鹿児島では、「C→F→G」と移行するタローのコードフォームをバッチリ観ることができました。
「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」、本当にイイ曲ですよね。
まず、ゴキゲンなロックンロールであること。その上で、素晴らしくメロディアスであること。そして楽しい追っかけコーラス。
こんなに躍動的でメロディアスな曲が、「ド・ミ・ソ」(=C)「ド・ファ・ラ」(=F)「シ・レ・ソ」(=G)という、小学生でも学校で習って知っている基本中の基本の、たった3つの和音の組み合わせのみで最初から最後まで構成されているという驚き。
これこそ、ロックンロールの真髄です!
さて、そんな中・・・福岡ではピーのドラムスに痛恨のミスが~。
何と、2番での
「watch me now!」
・・・ジュリーの「ビシ~ッ!」という指差しを受けて、サリーの渋~い独壇場となるべきキメの箇所で、ピーはあろうことか元気良く
「たかたかたかたかたかた・・・汗汗汗」
と、やらかしてしまったのです!
演奏ストップすべきところで、オカズを炸裂させてしまったのですね~。
「おいおい!」と、慌てて振り返るタロー。
そして、まったく動じないジュリーとサリー。
その反応の対比が面白かったですよ~。
もしもここにトッポがいたら、どちら側に近い反応だったのでしょう。「んんんっ?」って感じで振り返る、というのが僕の中にあるトッポのイメージですが・・・。
やらかしてしまった直後のAメロ部では、しばらく泰輝さんと顔を見合わせて苦笑いするピー先生なのでした。
で。
最後の最後のエンディングでは、寸前にタローがクルッと振り向いて
「ピー、次で終わりだかんね!」
と合図。
心配屋さんのタローのキャラが窺えますね~。
しかしピーは
「心配ご無用!さすがに分かってらい!」
とばかりに、バシッ!とエンディングの「たかたかたかたかたかたかたかたか♪」をキメました。
そうそう、福岡、鹿児島とも、最後のピーのドラムソロ部でジュリーが何か天に向かってシャウトしていましたが、何と言っているのかまでは聴き取れず・・・無念です。
3曲目「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」
さて、この曲については鹿児島公演での話を・・・。
まずはタローが「じゃら~ん♪」と音出し。ピーの方を向いて弾きますからコードフォームを確認できませんでしたが、横浜での柴山さんのソロを見た感じだと、ローリング・ストーンズのヴァージョンと同じヘ長調の演奏だったようですから(8フレットと10フレットが軸になっていた)、タローは「F」の和音を出しているのでしょう。
で、ピーのフィル・インから、すかさずジュリーの
「Time~~~♪」
という強烈なヴォーカル&ジャンプが来るわけです。
最初から、ジュリーと一緒に跳びました。
苦節4ケ月(←そんな言い方は普通ナイと思うけど)・・・老虎ツアーが始まって、僕は初めて「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」のジャンプに参加したのです。やっぱり、ジュリーとの距離の近さでファンがかかる魔法というのは、あると思います。
ギックリ参加した横浜は別として、フォーラム、大宮では、自らの意思だけでは跳べなかった・・・。
これはね・・・後方席だとちょっと気後れがある、というのもそうなんですけど、他のお客さんの邪魔にならないか、というのをやはり考えるわけです。
その点、鹿児島の席は。
最端ですから、角度的に後ろのかたの邪魔にならない。それに、先ほどの図で分かるように、僕の席の前には座席が無く、小さな細長い三角形のスペースが空いています。身体を動かせる空間が大きいんですよ。
跳べ!と言われているようなもの・・・だと思い込みました。
まぁ、そんな調子でバンバン跳んでたら、ふと左隣のカミさんから「わたしが恥ずかしいから、ほどほどにして~」みたいなオーラを少し感じたような気がしましたが、無視無視!
結局、ジュリーがジャンプする箇所は、僕もすべて跳びました。もちろん最後の9連発もね!
その「Time~♪」から始まるサビ部では、跳びながら、時々ピーのハイハットにも注目。
横浜のレポでも書きましたけど、この部分のピーはハイハットを左足のペダルで踏んで音を出しています。
激しい3連符でしたよ~。右手で「キンキンキン♪」、左足で「シャ~シャ~シャ~♪」です。
手足だけでなく、ピーの身体全体が3連符に合わせて縦に細かく動いているのがよく見えました。
贅沢なことですが、やっぱりステージに近い席は最高ですね・・・。
~MC~
「あけましておめでとうございます!」
のジュリーの挨拶に
「おめでとうございま~す!」
と大きな声を合わせて挨拶を返す福岡のみなさま。熱いです!
「お待たせしました~。遂にこの4人が、40年ぶりにここへやってまいりました!」
これは、福岡、鹿児島ともに言ってくれました。
その後はお約束の
「フンコウしております・・・・・・あ、いや失礼、興奮しております」
「では早速、今回のゲストを紹介します。ドラムス、瞳、みのる~ッ!」
というジュリーの声に、福岡でのピーはいきなり椅子の上に立ち上がって応えます。
で、僕の席からだと、ピーはその後「おっとっと!」とバランスを崩して飛び降りたように見えました。
でも、ピーのファンサイトのみなさまのレポを拝見すると、椅子の上で飛び上がった、ということだったようですね。
翌日の鹿児島ではジュリーが
「昨日は飛び上がったりしてましたが・・・」
と言っていましたし。
鹿児島では確かこの時のピーは普通に立っただけ。その代わりに、「坊や祈っておくれ」の後のMC時に、椅子に登って腰に手を当て仁王立ち・・・だったと思います。
さて福岡。
飛び上がったピーを見て、ジュリーがこの時にすぐに体型の話をしてくれたんだったかな・・・?
それともその話は「坊や」の後だったか・・・記憶が曖昧なのですが、とにかく
「ご覧の通り、あの頃の体型を保っているのは、ピーだけです!」
と。
それでお客さんが爆笑しますと、すかさずジュリーは
「いや、それは会場のみなさまを含めて、ということですよ!」
と続けたものですから、さらに場内大爆笑です。
ジュリーはことさら真剣な表情を作って
「みんな変わってしまった・・・」
と痛々しげに首を振ると
「ワタシなんか、こんなに変わってしまいました!」
で、再び場内大爆笑です。
紹介はタロー、サリーと続き
「そして、鉄人バンドの面々です」
では、ピーも大きなアクションで拍手を送ります。
「今日は本当にたくさん来て頂きまして、ありがとうございます」
そして福岡MC限定ヴァージョンの
「好いとうよ!」
を受けて、次曲「僕のマリー」のサリーのベース・フィルへと繋がっていきました~。
4曲目「僕のマリー」
イントロ、柴山さんのクリシェするリード・ギターが始まると、福岡のお客さん、何と手拍子!
あぁっ・・・そのままではヴォーカルの直前に半拍ずれてしまうのでは・・・というアトノリの手拍子でしたが、歌メロに入る頃には次第に消えていきました。
でもね・・・この手拍子ひとつとっても、福岡のタイガース・ファンのみなさまが、どれほどこのLIVEを待ち焦がれていたか、という証明のように思えます。
MC前の3曲は洋楽カバーですから、この「僕のマリー」で初めて純粋なタイガース・ナンバーのお披露目ということでもあり、お客さんのタイガースへの想いがイントロの瞬間に沸きあがってしまったのでしょう。
「タイガース・ファン」と書いたのは、先述の通り、福岡ではゲスト3人への声援が凄かったから。
「ピー!」という声。「サリー!」という声。
そして一番頑張って声援を送っていたのが、タローのファンだったと思います。
「僕のマリー」では、タローのギター・ソロが終わるやいなや
「タロ~!!」
の絶叫が場内に響き渡っていましたね。
以前のレポで触れましたが、「僕のマリー」の間奏リード・ギターソロは、とても簡単なフレーズです。左手の横への移動が無いからです。
(註:ギター・ソロの難易度は、「速く弾いているかどうか」よりもむしろ、左手の横移動の幅の広さで判断できます。例えば柴山さんは横移動の鬼ですし、同じタローのギター・ソロでも「青い鳥」などは横移動の振り幅が大きく、「僕のマリー」とは難易度がかなり違ってきます。同じことはサリーのベースについても当てはまります)
しかし、これだけ濃いタイガース・ファンが会場を埋め尽くしているとなると、タローも相当緊張するでしょう。1音でも違う音を出すと、たとえそれが不協音でなくても、ほとんどの人が「間違ったのかな?」と考えてしまうかもしれないのです。
何度も書きますが、「誰もが知る名曲」というのはそういう宿命にあるのですね。
タローは福岡でも鹿児島でも、とても丁寧にピッキングしていました。
「当たり前のことを当たり前に演奏する」という点において、今回のメンバーの中で、タイガース名曲群の重い歴史の荷を一番背負って臨んでいるのは、タローなのかもしれません・・・。
そうそう、以前疑問に感じた、エンディングの「夢~を~見~た~♪」のハーモニー。
福岡では、「た~♪」の最高音パートを柴山さんが歌っているように見えましたが・・・自信はありません。
福岡公演で久々に炸裂した柴山さんの爆音コーラスは、セットリスト後半からでしたもので・・・。
5曲目「モナリザの微笑」
横浜ではタローのハーモニカについて、「結構大ぶりなヤツ」だと執筆しましたが・・・横浜よりもさらに近い距離の鹿児島で見たところ、タローの両の掌にスッポリとハーモニカが隠れているように見えまして・・・。
もしかすると、タローが使用しているハーモニカは、一般的によく使われるブルースハープなのかもしれません。
ちなみに通常のブルースハープの大きさというのは
こんな感じ。
ご覧のようにCDのプラケースよりも小さい・・・そりゃ掌に隠れるも道理ですが、タローの場合、大ぶりのハーモニカでも隠してしまうほどの大きな掌をしているようなイメージもありますので、今の段階では何とも言えません。
ただ、ハーモニカの形状、大きさについては、来週にはハッキリした結論が出るするはずです。みなさま既にご存知の通り、1月18日のNHK『songs』で、「モナリザの微笑」が採り上げられることが決定しているようですからね。
きっとタローのハーモニカ演奏シーンは、何度かアップになるでしょう。
横浜レポートに頂いたJ先輩からのコメントで、今ツアーの「モナリザの微笑」は演奏移調がなく、キーはオリジナル音源と同じロ短調であることが分かったので、タローが「D」のキー対応のハーモニカを使用していることだけは間違いなさそうです。
今ツアーの「モナリザの微笑」のイントロは、カウント無しなんですね。
タローが「シド#レ~、ド#シラ#~ド#~シ~♪」の最初の2音、「シド#♪」までハーモニカを吹いたらすかさずバンドが噛んできます。うっかり水を飲んでる最中にタローがハーモニカを吹き始めたら、大変。ということで、タローだけでなくバンドメンバーも緊張の瞬間というわけですね。
タローは、イントロはもちろん、ハーモニカの出番の前には必ず「シ」の音を出す位置をじっと見つめて確認してから吹き始めていました。
あと、「こころが~欲しい~♪」直後のピーの”トップ・シンバル剣舞”・・・横浜では7つ打ちと書きましたが、鹿児島で確認してみたら6つ打ちでした~。
回数は特に決めていないのかなぁ・・・。
6曲目「銀河のロマンス」
福岡では、ジュリーが凄く感情を込めて歌っているように聴こえました。
新規ファンの僕には分からないことなのかもしれないですが、多くのJ先輩がこの「銀河のロマンス」という曲を語る時、何か特別な想いと矜持があるように以前から感じていました。
それが何なのか・・・。そして今ツアーを重ねるうちに「銀河のロマンス」のジュリー・ヴォーカルが変化してきている意味とは・・・。
そんなことを考えた、福岡の「銀河のロマンス」でしたね・・・。
一方、翌日の鹿児島ではこの曲で、鉄琴からタンバリンに持ち替える瞬間にGRACE姉さんと視線の向きが合っていることに気づき
「あぁ、そうか、GRACE姉さんのポジションは常に上手側の前方席を見ている角度になるんだなぁ」
とか
「そう言えば福岡も鹿児島も、GRACE姉さんのコーラスはよく聴こえるなぁ」
とか漠然と考えながら観ていました。
そのせいというわけでもなく、単に修行が足りないのでしょうが・・・鹿児島の「銀河のロマンス」で、僕は色々なシーンを見逃し、聴き逃していたようです。
まず、打ち上げでご一緒した何人かの先輩が揃って仰るには
ジュリーがこの曲を歌いながら涙ぐんでいた
と・・・。
全然気がつかなかった~。
さらには、どうやら鹿児島では1番と2番の歌詞が一部入れ替わっていたらしいのです。
そんなことにも自分は気づいていない・・・やはりまだまだヒヨッコだということです。
で、先輩が仰るには
「2番の歌詞を先に1番で歌ってしまって、2番でもう一度同じ歌詞を歌うのではなく、1番の歌詞を2番でしっかり入れ替えて歌い直すのがジュリーの凄いところ」
と。
なるほど・・・。一字たりとも無駄な想いは無い、ということでしょうか。
ちなみに、横浜では「モナリザの微笑」でピーが最後の最後、オープン・ハイハットで「じゃらら~ん♪」とシメた、と書きましたが、福岡でも鹿児島でもそこはトップ・シンバルでシメていました。
その代わり、この「銀河のロマンス」のシメがオープン・ハイハット(フルオープンではなく、少し隙間を作って擦り合わせる感じ)でした。
横浜の記憶が勘違いだったのかも・・・。
ただ、シメと言ってもこの曲でピーが本当に一番最後に出す音は
「とっ」
という、優しい優しいバス・ドラム。
ピーの右足が鬼と化すまでには、セットリスト後半を待たなければなりません。
7曲目「坊や祈っておくれ」
福岡ではステージ全体を一望する感じになったため、最初のAメロで水をゴクゴクするピーを再びチェック。
一方鹿児島では、斜め横からでしたが間近に見えたジュリーを凝視。
「荒れた野原の♪」のトコでサリー、タローが噛んでくるんですけど、ジュリーは故意にブレスをマイクの近くでやって、二人にコーラスの頭のタイミングを計らせているのではないでしょうか。
あと、「あれ~~た♪」の「れ~♪」の箇所、『レジェンド・オブ・ザ・タイガース』収録のCD音源よりも長めで歌っていますね。あの部分はピアノが一瞬消えますし、ハーモニーを3人それぞれが確認している感じなのかな?
~MC~
福岡・・・お客さんの歓声や拍手が独特に凄いからでしょうか、ジュリーのしゃべるペースが早いように感じました。
お馴染みの
「・・・そして今の曲が”坊や祈っておくれ”。この曲はタイガース後期の曲で、高貴な光を放っております」
でも、大きな拍手があった福岡。
ジュリーは
「ここは、拍手をするところでも笑うところでもありませんよ!拍手は謹んでご辞退申し上げます」
と続け、すぐに
「・・・・・・うぇっ、ほえっ、ほえっ、ほえっ、ほえっ」
とタメにタメて笑うので、結局お客さんもさらに笑うことになります。
そしてゲスト3人とのトーク。
まずはサリー。ジュリーが
「大変な俳優さんで忙しいのに、俳優の仕事をすべて断って、こうしてベースを弾いています!」
と言ったのは鹿児島だったでしょうか。
ジュリーは
「本当に有名な売れっ子の俳優さんで・・・空港でもデカデカとポスターが貼ってあった」
と言ったのですが、おそらく羽田で僕ら夫婦は同じものを見てます。福岡行きのゲートへ向かう際、動く歩道に乗っていたらカミさんが「あっ、サリー!」と気がつきまして、記念に写メも撮ってきました。
これです。
ジュリー達もきっと、この場所を通って飛行機に乗ったのでしょうね~。
福岡でのサリーとジュリーのやりとりでは
「岸部一徳という名前で出ています・・・・・・何処に出とんねん」
「うわ~、独りでボケツッコミしよった!」
という珍しいパターンも。
鹿児島ではサリーが
「こうやってみんなとやっていると、音楽というのは本当に楽しい。いっそこのままずっと続けようか、と思いますが(拍手)、そうもいかないだろうな・・・」
と。
これは、「楽しい」という言葉の中に、サリーが自らのベーシストとしての力量がどんどん引き出され自信を深めていることを窺わせるものです。
今ツアーのタイガース・メンバーのゲスト3人の中で、演奏面において最も世間一般の視線を浴びて欲しいと僕が強く思うのがサリーのベース。ロック・ベーシストとして、相当に高い水準まで来ていますからね・・・。
福岡でのタローとのやりとりでは、まずジュリーがひと通りいつものように、タイガースが解散してからのタローの活動内容、現在の”タローとスーパースター”の活躍に触れた後、
「その他にも色々やってるんですよ。競馬とか」
と言うと、「痛いトコ突かれた~!」といった感じで顔を両手で覆うタロー。
その後のやりとりは、ギャンブルを嗜まない方々には少し意味が伝わりにくかったかな?
今は足を洗っていますが、競馬歴10数年を誇るこの不肖・DYNAMITE解説いたしましょう。
「おごってくれるという話になってたのにおごってくれない」
みたいなことをジュリーが言ったでしょ?
あれはね、「タローがケチで、競馬で儲けているのにおごってくれない」という話では、全然ないんですよ。
その逆です。
タローはどうも最近、大勝負に負けたっぽいですね。時期的にはおそらく新春金杯でしょうか。
つまり
「これとったら(的中したら)何でも奢ってやる。自信あり!」
と、タローはメンバーにフカシこいていのでしょうね。
で、半信半疑のメンバーにタローは散々強気なことを言っていたのに、結局的中はしなかった、と。
ジュリーの
「なかなかおごってくれない」
というのは
「おごってくれるという話だったのに・・・おっかし~なぁ」
という意味の皮肉でね。
ジュリーが競馬の話を出した途端にタローが顔を覆ったのは
「面目ない・・・」
という意思表示なんですよ。
以上、元ギャンブラーから見た解説終わり!
さて、大トリはピーとのやりとり。
ジュリーが
「ピーピーピーピーうるさいからピーっていう名前がついたんですが、とにかく喋り出すと止まらない。その喋りを生かしてトークライヴやったら?と言ったら実現の運びになった」
と、武道館後のピーのトークライヴ全国ツアーを宣伝。
『ロング・グッバイのあとで』や『老虎再来』などのグッズに触れ、そこで思いだしたようにタローのタオルやCDも紹介。
「是非休憩の時にでも売店へ」
と。
実際、僕の近くのお席の方は休憩時間にグッズを買われていたようでした。
そんな流れで
「ピーも売るものがたくさんある。タローも売るものがたくさんある。サリーだけ、売るものが全然無いんですよ。名前ばっかり売っちゃってね・・・」
とサリーにも言及し、「話を戻しましょう」となってから、いよいよピーの挨拶へ。
ピーはまずひとしきり中国語で。
おそらくその中で、新年の挨拶について説明してくれたのだと思います。福岡のお客さんのために、途中日本語で
「僕が”新年好(シンネンハオ)”と言ったら「ハオ」と応えて」
と説明を挟み、何度目かの
「シンネンハオ?」
に、ようやく福岡のお客さんが
「ハオ」
と返したので、ゴキゲンのピー。
翌日の鹿児島では・・・おそらく福岡から連チャンで来場のファンが多かった(僕もそうだけどね)のでしょう、ピーが日本語を挟まず中国語のトークの途中で
「シンネンハオ?」
と言うと、何人もの
「ハオ!」
が返りました。
鹿児島ではこの後、ジュリーがピーに
「”ハオ”っていうのは、どういう字を書くの?」
と聞いて、ピーは「おんなへんに子」と説明。
ジュリーは
「あぁ!”好き”という字やね!しかしただ「ハオ」だけやったら、みんなただ単に(ピーに)「好き~!」って言うてるだけみたいやん~」
とツッコんでいました。
福岡、鹿児島ともに時間は短めでしたが、楽しく濃いMCタイムでした。
いつものようにジュリーの
「次はメンバーの歌を聴いてください。タローが歌います!」
でMCをシメました。
8曲目「ビコーズ」
歌もそうですけど、僕としてはタローのギター・コードにまず注目。
コード進行の理屈は聴けば分かるけれど、絶対音感の無い僕はキーを特定できずにいました。
もしもタローが「A」のコードを弾いているのが確認できれば、「ビコーズ」のAメロは、「渚でシャララ」の「傷つけあうよりホホエミえらんで♪」の箇所とまったく同じ進行ということになるので、PVの加瀬さんと同じ弾き方するのかなぁ、と考えていたのです。
で、鹿児島で至近距離からタローの手元を見ますと・・・。
「G」か・・・。
「A」ではありませんでした。
Aメロは「G」→「G+5」→「G6」→「G7」というコード進行になっているようです。
これは音階表記ですと
「ソ・シ・レ」→「ソ・シ・レ#」→「ソ・シ・ミ」→「ソ・シ・ファ」
ということになり、和音の3つ目の構成音(太字)が半音ずつ上昇していく、といういかにも洋楽的な明るい進行。
タイガースの演奏には、やはりこういった明るめの洋楽の下地があるのでしょうね。
鹿児島では、ちょうど僕がステージを見る角度で目の前にある2列目の端席にいらっしゃった2二人のお客さんが、たぶんタローのTシャツを着ていらしたんじゃないかなぁ。
そのせいでしょうか、この曲に限らず、タローがチラリチラリと時々こちらの方へ視線を投げてくれるのが嬉しかったです。
9曲目「サティスファクション」
まず福岡の時点で気がついたことから。
ついこの間、横浜のレポでGRACE姉さんの”タンバリンごとクラッシュ”について書きまして・・・。
この「サティスファクション」での
'cos I try♪
(ば~ん!)
and I try♪
(がしゃ~ん!)
and I try♪
(ばこ~ん!)
and I try
(どか~ん!)
の箇所で、ピーがGRACE姉さんと時折にこやかに目を合わせて自らもクラッシュ・シンバルを叩く、と書いたのですが、ピーが叩いているのはクラッシュ・シンバルではなくてオープン・ハイハットでした。
Aメロから普通にハイハットを閉じた状態でエイト・ビートを叩き続けているところ、GRACE姉さんの”タンバリンごとクラッシュ”の部分ではそれに合わせて左足を上げてハイハットを開き
「しゃか~ん!」
と言わせているのですね。
しかし、「しゃか~ん!」と「どか~ん!」では音量が違います。
ステージに近かった鹿児島公演の席でも、横浜と同様にピーとGRACE姉さんが顔を見合わせるシーンを観ることができましたが、首をかしげるように傾けながらオープン・ハイハットを大きなアクションで叩くピーの笑顔には
「音のデカさじゃどれだけ頑張っても敵わないよ~!」
という表情を感じとりました。
このようにして、ステージ上のメンバーは色々な曲の色々なシーンで、色々な組み合わせで、音で会話をしているんですね。
そして、今回のメンバーの中で一番の会話好きはピー先生なんじゃないかな、と僕は思いました。
さて、九州でも熱く炸裂した「サティスファクション」でのジュリーのヴォーカル&アクション。
1番と2番、「get no!」と言いながらジュリーは左右のステージ端まで出張してくれます。ジュリーの目の前のお客さんは、それに合わせて拳を2度突き上げます。
鹿児島では、曲中2回も僕達のいる上手側の一番端まで歩いてきて立ち止まり、右腕を突き上げてくれたジュリー。
もう「サティスファクション」のこれだけでも、充分ジュリーを堪能した・・・と満足感に浸ってしまいました。
次曲で、意識を飛ばされるほどジュリーを堪能することになろうなどとは、この時点ではまったく想像していなかったのです・・・。
10曲目「ジャスティン」
さぁ、これです!
この曲については鹿児島の話しかできません、すみません。
福岡の記憶はサッパリ・・・「モップじゃなくてホウキかぁ」と考えたのを覚えているくらいで・・・。
実際、鹿児島のステージは(福岡も当然素晴らしかったのですが)ここまで予想以上に盛り上がっていました。福岡同様に、最後方にズラリと並んだ立見のお客さんなどの熱気もあったのでしょうね。
僕も、前曲「サティスファクション」でかなり近くでジュリーを観ることができていましたし、その時点で「花道に来てくれなくてももう充分」と考えたりしていました。
こういう心理状態は、プラス思考の強い僕としてはかなり珍しい・・・つまり、本当はジュリーに花道まで出てもらってすぐ近くで観たい、という気持ちがありながら、もしそれが叶わなかった時に自分がとてつもないダメージを受けることを想定して、心の予防線を張ったということなのです。
ある意味、もの凄く緊張してこの曲を迎えていました。
「それでは、いよいよ・・・いよいよ40年ぶりにピーが歌います。どうかみなさま、あたたかい声援で迎えて頂きたい・・・ピーセンセイ!!」
というジュリーの口上があり、ドラムセットから駆け降りてくるピー。
ギターが「じゃ~~ん♪」と鳴って、少し遅れ気味に
「ジャステ~~~ン!!」
のシャウト・・・遂に始まりました。始まってしまいました。鹿児島の「ジャスティン」。
心の防衛ラインを引いた僕は、とにかく悔いの無いよう素直にノリまくろう、と思い、基本軽めのツイストで演奏についていきます。
ふとタローを見ると、軽やかに足を交差させて踊っていました。そういえば・・・と、「タローは踊りが上手い」と書いていらいた先輩方のレポを昨年あちこちで拝見していたことを急に思い出しました。
ピーの両手パタパタダンスもすっかり見慣れてきました。これが由緒正しいダンスなのかどうか、僕には知識が無く分かりませんが・・・。
むしろダンスの部分よりも、シャウトの際につま先立ちになるというジョー・コッカー・スタイルにピーという人の本質が表現されているような気がします。
そして、アッという間に間奏がやってきました。
ちょうどステージ上手側にジュリーとピーがかたまって踊っていて、ジュリーが「よっしゃ、行こか!」と指で会場左右を差し示してピーに合図を送り、スッと視界から消えました。ステージ下手側に向かって駆けていったのです。
一方、視界に残ったピーはジリッ、ジリッ、と両手を振り回し腰をクネクネさせながら僕のいる上手側のステージ端まで近づくと・・・。
ヒョイ、という感じで狭い隙間を通り抜け、少しスピードを上げて花道へ~!
「来た来た~!とりあえずピーは来てくれた~!」
ということで、こちらもネジが一本外れて完全無意識ツイストへと動きが昇華。
ピーが僕の目の前を駆け抜けました。
赤いパンツが・・・細い!
顔の皺が・・・渋い!
そして、おそらく6、7列目くらい・・・花道の割と奥の方まで出張してピーは立ち止まり、ダンスタイムと相成ります。
ピーが立ち止まった位置、僕の席からだと2メートルくらいの距離でしたか・・・ピーは立ち止まってステージ方向を振り返る格好になっていますから、当然目は合います。
激しい動きの中に、温和でにこやかなピー先生の表情がバッチリ脳に刻まれました。
ピーがまた僕の前をビュッ!と過ぎ、ステージに戻っていきます。
ジュリーもステージ中央まで戻ってきていて・・・二人は「ばし~ん!」とハイタッチ。
ずっと、こちらに来てくれたピーを観ていましたから、僕はジュリーが下手側の花道に進出したのかどうか確認していません。
その時の僕は
「下手で花道まで行ったからといって、こちら上手で来てくれるという保証にはならないんだから、確認する必要なんて最初からないんだ」
などという、とても回りくどいことを考えていました。
とてつもなく大きな期待を前にした人間の、不思議な思考、行動です・・・。
そう、僕はくどくどと余計なことを考えたばかりか、ジュリーがステージ端のスピーカーの近くに来た瞬間、たまらず下を向いてしまった~!
つまり、ジュリーがあの狭いスペースをすり抜けるシーンを、見逃しています(涙)。
顔を上げると、ジュリーは花道へと進出していました。
駆け足・・・だったと思います。
そのままグイグイ近づいてきて・・・さっきのピーのように、僕の前を駆け抜けていくその瞬間だけは脳裏に焼き付けよう、と気合を入れて身構えました。
ところが
「そんなに遠くまで出ばらんでも、この辺りで頃合いやろ」
とジュリーがビタッ、と足を止めたのが。
え・・・?!
4列目・・・僕の目の前ですよ!
想像できます・・・?
目の前30センチのところに、ジュリーの膝があるわけです。
近い近い近い~!!
顔を上げると、至近距離のモンキーダンスが始まりました。我を忘れ、ジュリーに合わせました。
まずは両腕を左右交互に顔にかざし、今度は上向きになって、上下交互に腕を振ります。
僕は生まれて初めて、モンキーダンスというものを踊りました。
その瞬間には、大きな大きな感謝の念が押し寄せてきました。
ジュリーに対する感謝だけではありません。
多くの先輩方が色々なブログやコメントなどで「ジュリーが躍っているのはモンキーダンス」と書いてくださり、僕は漠然とモンキーダンスについて想像したりしていました。
僕の想像は実は間違っていて、正しい”モンキーダンス”の振りを認識したのは、しょあ様が描いていらした、柴山さんのモンキーダンス・シーンの想像画。
その振付が、年末のパシフィコ横浜の「ジャスティン」で、ジュリーによって再現されるのを近くで観ることができ、その時に、しょあ様の絵では保留になされている「縦の動き」も覚えました。
そういうことがすべて繋がっていて、鹿児島でジュリーのモンキーダンスに呼応するに至ったのです。
ありがたや~!
とにかく
ジュリーと至近距離差し向かいでモンキーダンスを踊り合う
などという体験は間違いなく一生に一度のことでしょうし、それは、まさに今の老虎ツアーでなかったら、ピー主役の「ジャスティン」でなかったら、そして宝山ホールでなかったら・・・叶わなかったことなのです。
昨年の夏に、老虎ツアー・スケジュールのインフォを見た時、3連休の真ん中に鹿児島公演が開催されるのは、「たまには故郷に帰れ」という運命だと思いました。折しもあの忌まわしい福島の事故があり、自分に大切な「故郷」があることを再認識していましたから、故郷で老虎ツアーに参加するんだ、という思いは日増しに強くなっていきました。
まさか、こんな体験が待っていたなんてねぇ・・・。
至近距離で観るジュリーのオーラについては、何と表現すれば良いものか・・・。
手を伸ばせば触れる距離なのですが、とてもこちらからそれ以上近づくことなどできません。むしろ、オーラに圧倒され上半身が反り返ってしまうような感覚がありました。
よく、LIVE会場センター1列目の席を”本神席”と言いますが、鹿児島ではほんの10秒程度、その感覚を味わえたかな・・・?
本当に本神席の場合・・・あれが2時間続くって、一体どんな感じなのでしょうね。最後まで耐えられるものなんでしょうか。
ジュリーがササッとステージに戻っていき、ピアノ・ソロよりも遅れてドラム・セットに駆け上がり、慌ててスタンドマイクに戻ってくるその一連のシーン。
まったく目は離せません。
コール&レスポンスも・・・自分、大声でやったと思うけど、記憶は残っていません。たぶんジュリーばかり観続けていたと思う・・・。
覚えているのは、ピーがいつもとは違う掃除道具(アレは何て言うんですっけ?)を持ってくると
「それ、窓拭くヤツじゃないの?あ、違うか」
とジュリーが言って、ピーが床をサッサッ!と撫でるとジュリーは
「掃除が好きだね・・・」
と。
ジュリーに目を奪われながらも「ハッ!いかんここはピーのいやさかを祈るトコだ!」とか考える余裕(←と言うべきなのか)は残っていましたが・・・。
長尺の「ジャスティン」は、あっと言う間に終わりました。
サリーの超絶なベース・プレイや、ピーのコールに合わせて豪快なソロを炸裂させ、エンディングに向けて徐々にテンポアップするGRACE姉さんのドラムスについても、近くからじっくり観たかったけれど・・・それは武道館までとっておきましょう。近くではないけどね・・・。
鹿児島の打ち上げでJ先輩に
「狂喜乱舞のDYさんの背中がよく見えた」
と言われる頃になってようやく「恥」の概念が脳に舞い戻ってきました。やっぱり、ジュリー至近距離の魔法って、確実に存在しますよ・・・。
「もう今回のツアーでは、思い残すことはない」と、つい口走ったら「武道館をちゃんと見届けてください」と怒られましたけどね。
今は、40年ぶりにステージで歌うことになったピーが、よくぞ「ジャスティン」を選んでくれたなぁ、としみじみ思います・・・。
~休憩~
大変暑苦しい前半レポのシメとなりましたので、ここではステージ同様、レポも休憩タイムとします。
まずは、”DYNAMITEが遠征で食べたもの”シリーズ。
↑ 羽田空港の苺アイス。
↑ 天神の居酒屋で、生まれて初めて食べたモツ鍋。
僕はモツに苦手意識があったのですが、カミさんの友人がせっかく案内してくれたので、記念に食べてみようと思い注文しました。メチャクチャ美味かった・・・。モツ自体がどうこうより、スープがピリ辛だということを知ったのも初めてだったという。
ちなみに写真はおかわりの2杯目で、お店の人には「ニラが切れてしまって」と言われたのですが無理やり注文。大将が気前良く、モツとキャベツを倍増してくれ、唐辛子サービス、牛スジ煮のサービスもつけてくれました。
↑ 翌8日、博多のホテルでの朝食。
↑ 鹿児島へと向かう九州新幹線の中で頂いた、『筑紫もち』。
見ての通り、『信玄餅』との違いがよく分かりません・・・美味しかったですけどね。
↑ 鹿児島到着後、J先輩と合流し総勢8名で昼食。先輩の情報では「ジュリーも食べたことがあるらしい」という、天文館裏手の『ラーメンのり一』さんへ。
いわゆる鹿児島ラーメンとは違う、パンチのあるあっさり塩味。さすがジュリーは美味しい店を知ってるんですね~。
↑ そして、夜の打ち上げは黒豚しゃぶしゃぶです!
僕はこの時携帯の電池が切れており写真を撮ることができませんでしたが、ご一緒した先輩が後日、写真を送ってくださいました~。
続いて、”DYNAMITEがうろついた場所”シリーズ。
↑ 羽田空港展望デッキ。787型は最新機なのだそうです。
↑ 博多駅前の東急デパートと巨大郵便局。
↑ 鹿児島中央駅。僕が故郷にいた頃はまだ『西鹿児島駅』でした。
↑ 島津忠義公。像の前には小じんまりとした芝生のスペースがあり、ここは僕が初めてアコギ弾き語りのストリート演奏をした場所なのです。
↑ DYNAMITE実家の2階。兄弟3人とも故郷を離れ、持ち主を失ったドラム・セットが寂しげにしています。ピーの演奏を見て「自分も!」という思いも募りますが・・・さすがにこれを都会に持ってきても、近所迷惑でとても演奏はできませんね・・・。つまり、僕の実家はこれが叩けるほどのド田舎ということです。
さぁ、それでは気をとり直して。
後半セットリストに参ります~。
11曲目「淋しい雨」
横浜では確かに、ピーはフロアタム(向かって一番左にある樽のような太鼓)に一度も触れなかったんです。
しかし鹿児島で確認したところ、イントロで2度、ピーはフロア・タムをオリジナル音源と同じタイミングで叩きました。
てけてけてん、て、てんててん、どこどこ
てけてけてん、て、てんててん、どこどこ
(↑こんな擬音で伝わるかな?)
の太字の「どこどこ♪」がピーのフロアタムです。
カッコ良かったですよ~。残念ながら歌に入るともう16ビートのキックに気持ちを集中させていたのか、フロアタムが登場するシーンはありませんでした。
あと、泰輝さんのキーボード。イントロこそホーン・セクションのパートを割愛していますが、歌メロに入ると「Cloud in the sky♪」直後に
「ミ♭レミ♭レミ♭レミ♭♪」
と、トランペットの音色を上段のキーボードで再現してくれています。
実は僕はこの「淋しい雨」に関してはセットリスト中唯一、フォーラム初日の演奏が一番良く、その後演奏については伸び悩んでいた、と考えていました。
下山さんの単音がもう少し前に出ればいいのに、という音響への疑問もありました。
しかし福岡でまず「おっ?」と思い、鹿児島ではその素晴らしさにシビれました。
ジュリーのヴォーカルについては初日以降の進化が凄かったので、ここへきて演奏の完成度が増してきたのは、やっぱりファイナルへ向けて何か魔法が働きはじめたのかな?
12曲目「風は知らない」
福岡では、たまたま前曲「淋しい雨」のエンディングで下山さんを見ていたら、最後の「ジャ~ン♪」を弾かずにスッ、とアコギに持ち替えてこの曲のイントロに備えていました。
今ツアーの「風は知らない」は、『ジュリー祭り』でのジャングル・ビート・ヴァージョンとは違ってオリジナル音源に忠実なんですけど、「逆に」なのか「だからこそ」なのか・・・鉄人バンドの渋いサポートが素晴らしい演奏形態になっています。
下山さんのアルペジオ、柴山さんのストローク。完全バンド形式での鉄人2人のアコギ競演というのは、ジュリーのソロLIVEであってもなかなか観られませんからね。貴重です!
で、福岡ではこの曲と「花の首飾り」での柴山さんのコーラスが凄く大きくて驚きました。
マイクのセッティングがそうだったのでしょうか・・・前半セットリスト、例えば「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」の時にはそうは思わなかったので、後半から柴山さんが敢えて大きめの声で歌っていたのかもしれません。
コーラスをとる時の柴山さんは何故かとても切なげな表情になります。
鹿児島の席ではそんな柴山さんの姿がほとんど見えなかったのが残念ですが、音はよく聴こえました。
「風は知らない」の鉄人バンド二人のアコギのアンサンブルは特に心地良かったです。
今さらながら、GRACE姉さんがこの曲で一部鉄琴を弾いていたように見えました。
でも記憶が曖昧で・・・さて、武道館では確認できるでしょうか。
13曲目「散りゆく青春」
「淋しい雨」からこの「散りゆく青春」までの流れは、ジュリー言うところの「隠れた名曲」シリーズということになるのでしょう。
いずれも後期のナンバーで、ファンの人気も高い曲ながら、もしトッポの参加があったらこの辺りのセットリストは変わってきたでしょうから、そういう意味では貴重な選曲と言えるかもしれません。
鹿児島が終わった後でJ先輩とお話して「やっぱりそうか」と思ったのは・・・今ツアーのセットリストでは、この曲だけが解散時の「悲しさ」を彷彿させる、と。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」や「誓いの明日」のようにはいかない、この曲ならではの空気があるのでしょう。そしてそれは、あの伝説の田園コロシアムをタイムリーで知っているファンにか分からないことなのでしょうね。
ですから僕の考察も、所詮は後追いファンの推測に過ぎないのですが・・・。
武道館での「散りゆく青春」はどんな雰囲気になるのでしょう。
やはりこの曲だけは寂しさを抱えたまま、ツアーを終えるのでしょうか。それもまた名曲故の宿命です。
いずれにせよ、タイガースであれソロであれ、「散りゆく青春」をジュリーが歌うのは今ツアーが最後のような気がします・・・しっかり記憶に留めなければ。
実は、僕がこの曲をトコトンまでオリジナル音源で聴きこんだのは、昨年の夏から。
聴きこむほどに、「シローの高音ここにあり!」というハーモニーになっていますね・・・。
この曲については、武道館が終わった後に是非”セットリストを振り返る”コーナーにて記事に採り上げたいと思っています。
14曲目「花の首飾り」
柴山さん、福岡ではこの曲のコーラスも爆音だったんですよね・・・どうしたんだろう?
さて、多くのみなさまも同様だと思いますが・・・ここへ来て、「花の首飾り」のジュリーヴォーカルに、僕はまったく違和感が無くなってきました。
ただ、この曲のジュリーのヴォーカルがフォーラム初日から劇的に変わってきたとは、僕は感じていません。
もう4ケ月、「花の首飾り」をツアーで歌ってきたジュリーは、未だに初日と同じように、「これは本来トッポの曲」という姿勢を崩さず、「今回は自分がカヴァーさせてもらっている立場なんだ」というような雰囲気で、丁寧に丁寧に歌います。
ジュリーの場合、オリジナルであれカバーであれ、他のどんな曲を歌っても”音符通りに”というイメージは受けないのですが、今ツアーのこの曲だけは違います。そこにタイガース最大のヒット曲へのジュリーのリスペクト、そしてトッポへの気遣いが確かにあります。
その一方で、ひょっとすると僕の気づかないところで、ジュリーの中にこの曲の歌詞に咀嚼が加わってきたのかな・・・?
ここへきて”しらとり”の発音が鮮明さを伴っているように僕には聴こえてきました。
でもそれは聴く側の変化なのかも。
僕にはまだジュリーの変化は読み取れないから、これはジュリーが歌う「花の首飾り」に対する僕の聴き方、受け取り方が変わってきた、ということなのかもしれません。
いずれにしましても、拙ブログで「花の首飾り」を採り上げての考察記事は、トッポの歌を生で聴く日までとっておきます。
もちろん「タイガースの演奏で」ということです。その日は必ず来るような気がします。
今ツアーのこの曲でのピーのドラミングは、僕の中で「道」の演奏と被ります。
穏やかなエイトビートの中に、「歓び」もあれば「切なさ」もある・・・気持ちが深く入った演奏だと思うのです。
ピーは、自身が既にハッキリ言葉にしているように、本当にこの曲が好きなんですね・・・。
15曲目「割れた地球」
横浜の時点で何となく感じていたことですが、九州シリーズで確信を得ました。
この曲のピーのドラムスに、新たな変化が起きています!
思えばこの曲は「美しき愛の掟」以上に、今ツアーでのピーの進化が参加会場を重ねるごとに強烈に迫ってくるナンバーでした。
簡単に振り返ってみましょう。
まず初日・・・ピーはやっぱり硬かったのでしょうね。
MCでの「キンチョーの夏」は本音だったと思います。スネア・ドラムの変則アクセントこそ忠実に演奏していて「カッコイイ!」とは感じましたが、期待していた”鬼神ロール”はこの曲の時点では登場せず。
しかしツアーを重ね、充実の一途を辿るピー。
大宮では、この曲で”鬼神ロール”の乱舞、雨あられ。凄まじいタイミングで繰り出されるロールに圧倒されました。
で、僕はそれ(ロールの登場頻度)がピーの「割れた地球」における進化の最終形だと思ってしまいました。
間違いでした。
おそらく横浜でもそうだったでしょうが・・・福岡、鹿児島でピーの”鬼神ロール”の回数は、必要最小限にまで抑えこまれていました。
これは、ピーがの演奏が落ち着いた、ということではありません。圧倒的な進化なのです。
何故ならピーのドラムスが
鬼神ロール以上に難易度の高いフィル・インが何度も繰り出され炸裂する
という状態になっているからです。
ここで、ピーの得意技である、ロールを採り入れたフィル・インについて少し考えてみましょう。
極端に言えば、ピーのロール・フィルには
「小節の頭に向かって収拾をつける」
という役割が実はあって、派手に暴れたフィルの最後にロールをつけ加えることにより、微妙なリズムの乱れを修正する意味合いも持っているのです。
もちろんそれ故に、ピーのフィル・インには様々なヴァリエーションがあり、大宮での「割れた地球」ではまさにロール・フィル繚乱の境地でした。
しかし福岡、鹿児島を体感し、ピーの向上心がそこからさらに進んでいることが分かりました。
「割れた地球」で、ロールに頼らない、実にカッコ良いフレーズが咲き乱れ始めたのです。
例えば
たかどん!たかどん!たかどん!
というフィル・インを、福岡と鹿児島では聴くことができました。
「たか」がスネアで「どん」がタム(もしくはフロア・タム)。
おそらく、間奏から歌メロに入る時に炸裂していたフレーズがそれだったと思います。
平仮名擬音で表現すると、とてもシンプルなようですが、これは難易度の高いフレーズです。
ポイントは、叩いていない箇所・・・つまり休符部分のグルーヴ。ロック・バンドにおいて(特にベースとドラムスについて)とても重要なことなのです。
上記の「たかどん!・・・」のフレーズのリズムが、もしも譜面にした時に
このようになっていた場合は、演奏はさして難しくはありません。
1小節を丸ごと使って、口で言うようにそのまま叩けば良い。
しかしピーが炸裂させるフィル・インは
こうなっています。
違いがお分かりでしょうか・・・。
まず、ひとつ前の小節の終わりから次の小節の頭へと繋がる、シンコペーションで導入されるフィル・フレーズであること。
さらに、1つ目の「どん」の後の休符と、2つ目のそれとでは、拍が違うこと。
音が出ていない部分の間合いが違うということです。この間合いの違いにによって、言わばつんのめるような感じを表現しているのですが、グルーヴを持たずに演奏すると、バンド全体が本当につんのめってしまうリスクがあるのです。
しかもロック・ドラムの場合、これらを楽譜通りに機械のように演奏するのではダメなのです。跳ねるようなグルーヴで、なおかつほんの少しだけ遅れる感じにずらした方が、カッコ良いんですよ。
休符込みで擬音にするなら
たかどん、うん、たかどんっつ、たかどん!
となるのですが、ワケ分からないですか・・・?
とにかく、理屈は分からずとも、「たかどん!」という擬音を覚えて頂ければ、武道館でピーがこのフレーズを繰り出した瞬間に「あぁ、コレのことかぁ!」とすぐにお分かりになるはず。
聴ける可能性は高い、と僕は見ています。ピーはこのフレーズを「割れた地球」に組み込み、手応えを感じていると思いますから。
そしてもちろん、この曲の進化はピーのドラムスだけではありません。
横浜レポに74年生まれ様から頂いたコメントのご指摘通り、「割れた地球」のジュリーのヴォーカルも、これまた凄いことになってきています。
特に、シャウトを含めた「歌メロ以外の部分」での表現が極限まで来ていますね。
まさに美獣の咆哮です。
これは次曲「怒りの鐘を鳴らせ」、次々曲「美しき愛の掟」まで続く、今セットリスト最大のヤマ場。
生で観てこそ!です。
今ツアーは武道館のみ参加、というファンや一般のみなさまもかなりの人数いらっしゃるかと思いますが、是非ファイナルでのこの3曲の流れにシビれて頂きたいなぁ・・・。
16曲目「怒りの鐘を鳴らせ」
横浜では、良席ながら泰輝さんが柴山さんの影に隠れてしまい、キーボードの手元の細かい動きまでは見えませんでした。
その点、鹿児島はバッチリ。
イントロの鐘の音は下段キーボードの右半分で設定され、泰輝さんが右手で弾いています。いつも穏やかな表情が素敵な泰輝さんですが、この曲に臨んで思うところは大いにあるはず・・・。
イントロで泰輝さんは、文字通りの「怒りの鐘」を鳴らしているのだと思います。
この鐘の音、設定の音色自体はオリジナル音源とは異なりますが、音階とリズムについてはオリジナル完コピのようですね。
「割れた地球」に引き続き、ジュリーの咆哮が凄いです。
特に
人はみんな にせものばかりの
幸福の唄を 聴いているのさ♪
この最後の「さ~~~♪」は、「♪」マークを安易に付けることがためらわれるほどに、歯軋りをするようなビフラートでせり上がります。ジュリーが、怒りに声を震わせているということです。
溜められた怒りは、直後のサビの
怒りの鐘を 鳴らせ~~~~~~♪
の凄まじいロングトーンで解き放たれます。
転調後は、それが大きな塊となって客席に押し寄せてくるようでした。
鹿児島での僕の席は、ちょうどジュリーのすぐ右手奥に下山さんが見えるという位置でしたが、ふと気づくと、この曲では下山さんもサビを歌っているんですね!
さすがに声の判別まではつきませんでしたが、下山さんの横顔・・・険しく気高い表情でした。
鉄人バンドのファンのみなさまには、武道館で是非確認して欲しいシーンです。
17曲目「美しき愛の掟」
さて・・・現在の執筆時点で今、1月17日です。
つまり、明日はいよいよNHK『songs』”沢田研二、ザ・タイガースを歌う”の放映!という時なんですよね~。
僕がこれまで目にした限りの予告情報によりますと、放映演奏曲目は
「僕のマリー」
「モナリザの微笑」
「君だけに愛を」
ほか
となっています。
まぁ、無難な王道の選曲ですよね。
トークやバンドの歴史についての話もあるでしょうから、それに絡めてデビュー・シングルの「僕のマリー」はまず外せない。
「モナリザの微笑」「君だけに愛を」は誰もが知る代表曲ということで、納得。
ただ・・・。
オンエアされるのがこの3曲だけだと「懐かしのGSバンド再結成」みたいなイメージで捉える一般視聴者も多いかな、と僕などは余計なことも考えたりするわけです。
そこで気になるのが「ほか」の1曲(放映時間枠を考えると、残りは1曲かな、と)。
ここはひとつ、”今”のタイガースが凄まじい現在進行形のバンドとしてバリバリにツアーを重ねてきた、ということを伝えるためにも、「ガツンとお見舞い」系のナンバーをお願いしたいところ。
今回の『songs』放映で一番のキーパーソンとなるのは、サリーではないかと僕は思っています。
ストーリーとしては、2008年同番組での「Long Good-by」の放映を受けて、40年ぶりにピーが戻ってきた、という組み立てにはなるでしょう。
しかし、何の気無しにテレビを観た人達がまず「んんっ?」と反応するのは、サリーの姿ではないでしょうか。
タイガースをまったく知らない人でも、俳優・岸部一徳は知っています。そこでまずは
「えっ、岸部一徳って昔バンドやってたの?」
と、興味をそそられることでしょう。
そこで!
個人的には、今ツアーのセットリストの中で、ベーシスト・サリーの真髄が最も炸裂するナンバー、「美しき愛の掟」の放映を切望しています!
初日の手探り状態から、見違えるまでのバンド一丸となった完成度を誇るまでに進化した、これぞ「一発お見舞い」コンセプトにふさわしい名曲。
シングルA面ですから、一般向け放映の選曲としても何ら違和感はありません。
今ツアー、「美しき愛の掟」のサリーのベースは本当に素晴らしいです!
豪快かつ緻密。どちらかと言うとクールなイメージのあるサリーが、2番以降の手数の多いフレーズに突入するやいなや、汗をほとばしらせ、身体を倒すようにして情熱的に弾きまくる凄味。
あのサリーの姿がお茶の間に流れれば、多くの一般視聴者が「何だ何だ!」と食い入るように画面に集中し、それまで何とも思っていなかった、或いはまったく眼中に無かったザ・タイガースというバンドに興味を持つに至る、と僕は確信します。
NHK『songs』と言えば、一昨年のジュリーwithザ・ワイルドワンズの放映をたまたま観て「涙がこぼれちゃう」に感化された一般視聴者の男性が、突然元カノのところに迷惑かえりみず電話をかけた、という話(実話です。吉田Qさんが「なんだか申し訳ないような気持ちになった」とブログでそのお話を紹介してくださっていました。懐かしい・・・)もあります。
そのように、テレビの威力というのは何だかんだ言ってもやっぱり凄いわけで・・・今回「美しき愛の掟」が選曲されれば、ファイナルの武道館に向けて、何かもう1段階上の大きなうねりが起こせると思うのですが・・・。
もちろん、一度興味を持ってもらえれば、「美しき愛の掟」はジュリー・ヴォーカルの真髄を多くの人に知らしめることにもなるでしょうし、また昨年同様に、「あの小さいサポート・ギタリストは誰?」と、柴山さんが話題になることもありえるでしょう。
まぁでも、普通に考えれば「ほか」の1曲は「シーサイド・バウンド」だろうな、とは予想していますけどね・・・。
(18日午後11時50分註:
予想だにしなかった曲の登場に驚き・・・。しかし、ジュリーにはいつも裏の裏を突かれますけど、実はジュリーのアイデアはいつだって本道、本筋、本質なんですよね・・・参りました)
柴山さんについても少し書いておきましょう。
残念ながら鹿児島の席からは死角でしたが、「美しき愛の掟」間奏での柴山さんの陶酔度は、ツアーを重ねるごとに急上昇してきています。バンド全体の完成度が上がったからこそ、そうなったのだと思います。
初日の段階では、「割れた地球」の方が圧倒的に柴山さんの陶酔度は高かったのです。
それが今では「美しき愛の掟」と「君だけに愛を」の2曲が、「割れた地球」に肩を並べるまでになってきていますね。
真赤なライトに照らされ、泣いているのか笑っているのか怒っているのか分からないほど激しく表情を崩して恍惚のリード・ギターを弾く、いわゆる”情熱の赤いカズ”(祝・2011年度『気になる流行語大賞』第3位)のシーンが「美しき愛の掟」でも見られますが、これは昨年お正月の『BALLAD AND ROCK'N ROLL』での「1989」から引き続いた流れでもあり、ジュリーファン、鉄人バンドファンとしては、今年のジュリーのソロ・ツアーで
「今度はどんな曲にこの”情熱の赤いカズ”が引き継がれるのか?」
という楽しみもあったりします。
おっと、話が逸れました。
実は僕は、バンドにおいてギタリストのスキルはさほど重視していません。
重視するのは、それぞれの楽器がどのように楽曲に貢献しているのか、ということ。(註:その意味で、これほどまでにピーが自分好みのドラマーであったのか、というのが今ツアーを体感して一番大きな衝撃だったのです)
リード・ギターの技巧については、その点をしてタイガース唯一の欠点とする向きもあるようですが、ビートルズでロックを覚えた僕にとって(ビートルズも同じような言われ方をされることが多いのです)それは、聞き慣れた、とるに足らない瑣末な指摘であり、「だから何?」というくらいの情報でしかありませんでした。
しかし、改めて老虎ツアーを体感してみて・・・。
今ツアーのセットリストに
「割れた地球」→「怒りの鐘を鳴らせ」→「美しき愛の掟」
という、あまりにも強烈無双の繋がりがジュリーによって考案された時点で、柴山さんの真赤な勇姿を含め、鉄人バンドのギタリスト2人はこのステージに絶対に必要な戦力となり、これまでのステージで大いにその成果は遂げられた、と僕は今さらのようにしみじみとそう考えているのです・・・。
そうそう、ピーのドラムスですが、新たな向上心によって「割れた地球」を追われた多くのヴァリエーションの”鬼神ロール”フィル・インが、活躍の場を求めてこの「美しき愛の掟」に引っ越してきているようですよ~。
福岡ではロールに次ぐロール。鹿児島も福岡ほどではありませんでしたが、以前よりも”鬼神ロール”の頻度は増えていました。
このままのスタイルで武道館へと雪崩れ込むのか、それとも、さらなる進化まで辿り着くことがあるのでしょうか。
この曲もファイナルでは演奏、要チェックです!
18曲目「青い鳥」
福岡ではタローへの声援が凄かった、と書きましたが、鹿児島のタローファンも頑張っていましたね。
「青い鳥」では3番のタローのリード・ヴォーカル部、「あ~おい、とり~♪」のリフレインが終わるとすかさず
「タロ~!!」
と黄色い声が飛びました。
思えばツアー開始当初はこの部分、ジュリーとタローがそれぞれ「あ~おい、とり~♪」とワンフレーズずつ歌うリレー形式のヴォーカルだったんですよね・・・。
その後、ジュリーがそれを忘れてタローのパートまで歌い続けてしまうというハプニングがあったりしながら、現在のスタイルに落ち着いたのでした。
タローのギターソロ、福岡は完璧。
鹿児島はやや危ない箇所もありました。
ただ、タローはこの曲のリード・ギターには相当気持ちを砕いて臨んでいるようです。鹿児島で確認したところ、リード・ギター以外の歌メロのギター・バッキング部は、基本鉄人バンドの2人に任せ、タロー自らはかなりミュートさせてコードを弾いているようでしたね。
こういうことも、ステージとの距離が近い席でなければ分からないことです。
ちなみに鹿児島では、これも今さらながらGRACE姉さんがこの曲でトライアングルを演奏していることに気がつきました。
ピーの”トップ・シンバル剣舞”と同時に鳴らしていますよ~。
19曲目「シーサイド・バウンド」
ここで、またしても横浜レポ記述の訂正。
前曲「青い鳥」が終わると、ピーが「シーサイド・バウンド」に備えてスッ、とマイクを口元に寄せるシーンがありますよね。
横浜レポでは、このマイクは向かって右のサイド・シンバルに設置されたものと書きましたが、違いました。
マイクは、ピーが使用する時以外はドラムセットの後方にあり、向きもステージの背後を向いていました。
音を拾わない状態で後ろ向きにセットされているということは、おそらく必要な時(ピーが使用する時)以外は、ハウリングを避けるためにオフ設定になっており、進行表に合わせて会場PAのスタッフさんがオンに切り替えるのではないでしょうか。
「シーサイド・バウンド」ではそのピー専用マイクが大活躍するわけですが、間奏導入部、そしてエンディングでのピーのシャウト、僕の耳には福岡、鹿児島ともに
「ひゃあ~~~~~~~~~~っ!!」
と聴こえたのですが・・・みなさまはどうですか?
欲を言えば、オリジナル音源通りのヴァージョンも聴きたいなぁ・・・。
「ほわぁ~っ!へっは~!!」
とかね。
さて、福岡そして鹿児島。
両会場で僕は遂にジュリー達と一緒にこの曲のステップを踏むことができました~。
まず福岡。今ツアー初の通路沿いのお席。
段差が少し怖かったですが、ささやかながらステップ参加いたしました。
で、鹿児島の席は前述の図の通り・・・段差の無い平坦なスペースが前方に広がり、これはもう、飛び跳ねたい放題。
「ビコーズ」の項で触れた、タローファンとお見受けした僕の斜め前方にいらしたお二人のお姉さまも、元気よくステップを踏みます。
そのお姉さま方のおかげでしょう・・・タローがチラチラとこちらの方を見ながらの間奏ステップでしたね~。
でも、僕がこれまで見た限り、この曲で踊っている方々は、みなさん飛ぶ順序が「鏡」なんですよね。
その方がいいのかな・・・?
僕の場合はどうしても、最初のステップで右へ飛んでしまうんですよね・・・。
独身時代、『ジュリーマニア』などを観ながら一人上手に部屋で「最初は右!」とか言いつつ飛び跳ねて悦に入ったりしていましたから・・・その後遺症かと思われます(汗)。
20曲目「君だけに愛を」
今さらのように思い出すのですが、今回の九州シリーズでも、泰輝さんがこの曲でどんな音色のキーボードを弾いているのか、チェックし忘れました。
『ジュリー祭り』ではベースだけど、今回はサリーがいますからね。脳・・・と言うか耳の記憶(?)ではオルガンが鳴っていたように思うのですが。
まぁ、それは今夜テレビで確認しよう!
(註:今現在の執筆時点で、1月18日午後10時過ぎでございます。あと数十分で『songs』放映です!)
優しきジュリーは、この曲の指差しを主に、後ろのお客さんや高い位置のお客さんに向けて発射します。
そんなジュリーならば、きっと武道館では”ステージ後方席”を何度も振り返って狙い撃ってくれるに違いない!
・・・と信じながら、ステージを後ろから観る、というまったく予想できない光景に今は思いを馳せております。
ジュリーの”黄金のひとさし指”以外にも、Aメロ途中「ぼくの胸のつぶやきを♪」の箇所で炸裂するサリーの「これぞピック・ベース!」というフレーズや、柴山さんの陶酔リード・ギターなど見所が多い曲。
武道館の興奮を体感してから、”セットリストを振り返る”コーナーにて楽曲考察記事を書きますからね~。
この曲はト短調なんですけど、エンディング一番最後の和音のみ、ト長調へ移調します。
コーラス・パートの中で誰か一人だけが
夢の世界へ~~~え~~~♪
の最後の「え」を転調させている(それまで「シ」の音についていたフラットが、最後の1音だけナチュラルになる)はずです。誰だろう・・・?
たぶん「君だけに~♪」の追っかけコーラスを「シ♭シ♭シ♭ラ~シ♭♪」と歌うパートと同じ人だと思うのですが。
その辺りも『songs』で確認できるのかな・・・?
(18日午後11時29分註:じゅ、ジュリーの主メロでした汗)
21曲目「誓いの明日」
下山さんのアコギから柴山さんのエレキが噛んでくるイントロの最初の8小節、手拍子を煽るのはジュリーだけでなく、ピーも同じリズムでスティックを空で交差させています。
すぐに「どん!」と一発フィルに行きますけどね。
ジュリーやピーにリードされ、頭上での手拍子で応えるお客さんも多い中、僕は未だに左腕が高く上げられずに、悔しい思いをしています・・・。
下山さんと言えば、ブログが更新されていて、新しいアコギを「とても良い娘」と紹介してくれていますね。
実は、その下山さんのアコギを作っている職人さんのmixiでの日記(下山さんのために作っていたアコギが遂に完成した、という内容でした)をお正月に拝見していて、LIVEでのお目見えはいつだろう、と思っていましたが・・・どうやら京都か名古屋だったのかな?
福岡、鹿児島ではチェックをうっかりしていましたので、ひょっとしたら九州シリーズで既にデビューしていたのかもしれません。
ところで、ツアーも公演残り僅かとなった九州シリーズで強く感じたことは、、この「誓いの明日」での会場合唱率が密かに上がってきているのではないか、ということです。
まだみなさん思いっきり声は出していないとは思いますけど、かなり大勢のお客さんの唇が動いていますよね?
ツアーが始まった当初、僕はファイナル武道館で「散りゆく青春」での会場一体となっての大合唱が聴けるかもしれない、と考えていましたが・・・「散りゆく青春」にそこまでの気配は感じません。
「散りゆく青春」は、70年の田園コロシアムで一度完結しているということなのかな・・・。
代わりに浮上したのが「誓いの明日」。
解散コンサートの時は「明日」が見えなかったタイムリーなファンの先輩方が、今ツアーでこの曲に本当に歌詞通りの気持ちを抱けるようになった・・・それは後追いの僕にも想像できることです。
僕はこの曲の歌詞は完璧に覚えていますし、武道館ではもしかしたらみなさまと一緒に合唱に参加させて頂くことになるかもしれません。
楽しみにしています!
フェイント・エンディング間際で披露される柴山さんの”カズの滝昇り”(祝・2011年度『気になる流行語大賞第1位』)では、最高点まで昇り着いた柴山さんが、ピーと顔を見合わせてしばらく余韻のフレーズを弾いているのを、鹿児島で確認しました。
「誓いの明日」という曲のコンセプト通りの、「明日に向かって駆け上がる」演奏・・・しかも、この曲のキーが「D」であることを最大限に生かした、今ツアー・セットリスト中、プロフェッショナル・柴山さんの大きな見せ場のひとつですね~。
ステージ上でのピーとの”会話”も、ここへ来てとても多くなってきている柴山さんなのでした・・・。
(18日午後11時30分註:
メンバーもファンも、本当に笑顔でこの曲を歌えるようになったんだなぁ・・・。武道館は、皆笑顔で泣くことになるのかな・・・)
~幕間~
え~、本来ここでは福岡、鹿児島公演でのMC内容を中心に書くべきなのですが・・・今回はちょっと脱線気味にまいります。
と言うのも。
今現在、1月19日にこの項を書いています。
昨夜観たNHK『songs』”沢田研二、ザ・タイガースを歌う”が頭から離れないのです~。
福岡、鹿児島ともに、アンコール前のMCではタイガースについての話をしてくれたジュリー。
ジュリーが何を言いたかったのか、どんな気持ちをお客さんに伝えようと思っていたのか・・・それは昨夜放映の『songs』でみなさまがお感じになったこと、そのままの内容だったように今は思います。
MCでジュリーは、その『songs』放映予定についても話をしてくれていましたね。ちょっと日付の記憶が曖昧だったみたいですが・・・。
思えば・・・僕はほんの数日前に、このレポート記事の「美しき愛の掟」の項で、ずいぶんと勘違いな、つまらないことを書いてしまったものです。
本質をまったく見逃していました。
「一発お見舞いしてやれ!」なんてね・・・評論家じゃあるまいし、何を偉そうな。
「そんなことを言う以前に、オマエは後追いとは言え、ジュリーファン、タイガース・ファンを自認しているんだろう、一体これまでのステージで何を観てきてる?」
と、自分に突っ込みたくなります。
僕は、全国放送での世間の評判が気になって気になって、そして妙な自尊心もきっとあって
「タイガースってのはこんなに凄いんだぜ!」
と、世間に自慢したい・・・そんな気持ちがあったのでしょう。
「武道館満員でやるんだぜ、凄いだろ!」
と、社会に知らしめたかった。
思い上がりですよね・・・。
ところが昨夜の『songs』の「誓いの明日」で
「オマエ、それは本質と違うやろ」
と、ジュリーの笑顔に頬をはたかれましたような気がしました。
番組の後、あるJ先輩が早速こう仰っていました。
「武道館の”武”の字も出なかったよね」
と。
その先輩は、すべて分かっていたのです・・・。
大きな公演を間近に控えての放映ならば、普通だったらバンバン告知する。
不特定多数に向けて、「俺たちを見ろ!」となる。
タイガースの4人は、そうではありませんでした。
それぞれが、タイガースについて抱いている思いを語るだけで、そして今それを語れる喜びをにじませるだけで、僕は圧倒される思いでした。
今回の『songs』は、いよいよ迫ったファイナルに向けて、ダメ押しで新たにお客さんを開拓するとか、そういう業界的なプロモート番組ではありませんでした。
むしろ、今もう既にチケットを持っているファンに対してベクトルが向けられている、と感じました。
特に僕のような”遺伝子を持ち得ない若輩者”にとっては、もう一度改めて、タイガースの本質を伝えてくれるような内容だったと思います。
最後の「誓いの明日」が紹介された瞬間、ちょっと解脱したような気持ちになりましたからね・・・本当に素晴らしい選曲でした。
実は僕は放映すぐ前にこのレポートの続きを書いていて、「君だけに愛を」まで書き終えたらテレビの前にスタンバイするつもりでした。
でも時間が少し余ったので、じゃあ「誓いの明日」まで書いておくか、ということになり・・・そこまで書いてから放映を観ました。
逆にね、「誓いの明日」まで書いておいてよかったですよ。
だって、あんな刺激的な映像を見せられて、自分の浅さを知り打ちのめされてね・・・じゃあ「誓いの明日」からレポの続き書くか、とは簡単にはいきません。
「誓いの明日」だけでもうひとつ別の記事を立ち上げなければならないくらい、書くことが溢れてきてしまう・・・そんな状況に陥るところでした。
でもまぁ今回の僕が書いているこの九州レポート・・・「誓いの明日」の項だけとってみても、なっちゃあいないですよねぇ・・・。
何よりもまず「4人が素晴らしい笑顔で演奏していた」ことを書くべきでしょうに。
放映された「誓いの明日」のイントロで、ピーがスティックを宙で交差させながら、笑っていましたよね。
それだけでも、とてつもない感動が押し寄せたのですが、あの笑顔は、確かに近距離で観た鹿児島のステージにも、あったわけで・・・。
今、拙ブログでは検索フレーズランキングの公開をやめていますが、今日19日は「誓いの明日」というフレーズでのヒットが圧倒的に多いです。
検索ヒットしているのは無論、ツアー直前と言ってもいい頃に”セットリスト予想シリーズ”として執筆した「誓いの明日」の楽曲考察記事。
ちょっと自分で読み返してみましたが、僕はあの時点で、本当に僅かながら今回のツアーの本質に辛うじて気がつきかけていたようです。
でも、いざツアーが始まって有頂天になって、「タイガースは凄いんだ!」と声高に世間に叫びたくなって、大事な本質を見失っていました。
武道館参加の1週間前に『songs』の放映があって、本当に良かった!
少し九州のMCの話に戻りますと。
ジュリーは『songs』のことも、武道館にカメラが入ることも言ってくれて、加えて鹿児島では
「映像をDVDで出そうという話もありますし」
とも言ってくれました。
タイガースの話をして、今回は全員揃うことができませんでしたが、また近いうちにやる!と、力強い言葉。
「近いうちに」というのは、さすがに自分達ももうトシだ、ということ。
鹿児島では
「オッサンどころか、もうジジィでっせ!」
と。
福岡では
「メンバー全員、アラ65です。会場のみなさまはというと」
と場内を見渡し
「アラアラ、って感じ!」
そうして笑わせておきながらもジュリーは、今回のツアー、公演会場が残り少なくなってきて淋しい、とも言っていましたね・・・。
トッポやシローのことも、真剣に話していました。
タイガースをやる、ということについても
「人によって希望するやり方が違ってくるのは当たり前。その違った部分をどうしようか、とこれから色々と考えるのも面白い」
と。
それが、タイガースの目指す「明日」に繋がるといいなぁ。
メンバーそれぞれの「生きてるしるし」とは今、そういうことなんでしょうね。
アンコール前、ゲストのタイガース・メンバーの再登場シーンは
・ピー
福岡では、大きく両手をバタつかせて揺れながらゆっくり入ってくる”白鳥”ヴァージョン。
鹿児島では意表を突いて、下手側の花道から忽然と姿を現して猛ダッシュ。打ち上げでご一緒した先輩は、走り抜けたピーの足が肩に当たった、と大変喜んでいらっしゃいました。
・タロー
福岡では、直前のピーの白鳥ヴァージョン入場があまりにも堂々としてウケまくったので、恥ずかしそうに両手を小さくパタパタさせてうつむき加減で入ってきました。
ジュリーに
「青い鳥です・・・青い鳥がイヤイヤ帰ってまいりました」
と言われていましたね~。
・サリー
鹿児島で、進んだと思ったら見えない何かに引っ張られて後退、また進んだと思ったら後退、という一人芝居の新技を披露。
ジュリーが会場を見回しながら
「みなさん、今の見ましたか!こんなことができるんですね~。さすが俳優です!」
と感心しきりでした。
とにもかくにも、笑顔の九州シリーズ、笑顔のMCタイムであったことをお伝えいたしまして・・・。
もうしばらく、レポの続きにおつき合いくださいませ~。
22曲目「シー・シー・シー」
イントロのサリーのベースが始まるやいなや、今度はハッキリとこちら側を向いたタローが両手を大きく頭上に広げて
「ほら、みんなもこうして腕上げて!」
とリードしてくれます。
タロー・・・すみません・・・。
四十肩の僕はこれが精一杯・・・。
と、僕は顔よりやや高めの位置まで強引に腕を持ち上げて、「ぱぱぱん!」の手拍子に何とか参加しました。
さてさてこの曲も、初日からすると演奏にかなりの変化が起こっています。
途中のあのブレイク部に至るまでの過程で、ピーが大暴れします。手数が多いこともそうなんですけど、まず一人暴走するようにテンポアップし、遂には全体のリズムからも外れての乱れ打ちとなり、混沌とした雰囲気を表現しているのです。故意にそうしているのですね。
そうすることによって、柴山さんの混沌としたリード・ギターのフレーズも相乗効果で生きてきます。
ツアーを重ねるうちに思いついたピーの新しいアイデアでしょう。
つけ加えますと、「ジャスティン」のエンディングでGRACE姉さんのドラムスにリードされて全体の演奏が急にテンポアップするのも、わざとそうしているのですが、これも初日の段階では見られなかった進化です。
いわゆる「走って」いる状態というわけではないんですよ。
「走る」というのは・・・福岡での「シー・シー・シー」、最後のAメロ部。これは明らかにピーが走っていました~。
ピー、お正月に鋭気を養って、元気があり余っていたのかな?
間奏でジュリーが「うん・たた・ん・たた!」のハンドクラップをリードしますが、福岡、鹿児島を見る限りでは、「うん・たた・うん・た!」になっているお客さんも、まだまだ多かったようです・・・。
23曲目「落葉の物語」
鹿児島では公演後にカミさんから
「身体の動きが完全に乙女になっているのがチラチラ視界に入ってきた」
と言われてしまいました。
たぶんこの曲の時でしょうね。お恥ずかしい。
でも「落葉の物語」は男でも横揺れで聴くのが正しいと思うんだけど・・・(と学んだのは『歌門来福』の時)。
まったくの余談ですが、カミさんと言えば
「”鬼神ロール”って、おいしそうな響きね」
とか、脱力するようなことを言うんですよ・・・。
女性にとって、”ロール”と言えばお菓子なんですか?
おっと、くだらないことで話が逸れました。
これまで何度か書いていますが、「落葉の物語」でのピーの見せ場は、「ふたりで、みつけた♪」からのBメロ部。
通常、エイト・ビートは2拍目と4拍目にスネア・ドラムのアクセントが入ります。しかしBメロのピーのドラム4拍目はほとんど撫でるくらいに留め、2拍目のみをより強調したアクセントになっているのです。
歌詞で言うと「ふたりで♪」の「た」とか、「ちいさな♪」の「い」の部分。
スネアを「ぱし~ん!」と力強く打ちつけるだけでなく、ハイハットもその箇所だけオープンにして音に厚みを加えています。ステージに近い上手側のお席の方なら、その瞬間にピーの左足のつま先がピ~ンと上がっているのが見えるはず。僕も鹿児島でしっかり確認しました。
タイガースの”B面名曲群”の中でも屈指の人気を誇るナンバーですよね。イントロが始まった時、福岡では「わぁ~っ」といった感じの会場の反応がありました。
ジュリーがこの曲を本割のセットリストではなくアンコールに配置させたのも、当時のファンへの感謝を込めてのことなのでしょうか。
先日の『songs』でも感じましたが、改めて思い知るのは、ジュリーの選曲センスとセットリスト構成力。
今ツアーでは「これが必然」という狙いのセットリストを見せてもらっのだ、と今さらながら感じ入っている次第です。
24曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ」
福岡市民会館は結構急勾配の会場で、僕のいた23列もかなりの高さを感じました。
上から見下ろす「L」の波は何度体験してもやはり感動的。武道館ではさぞや・・・でしょうね。
一方、前にあまり人がいないという状況での鹿児島。
後ろのお客さんもみんなやってるんだろうな、と思いつつも何か前方席のプレッシャーのような感覚もあり、「絶対に途中で腕を下げたらイカン!」という責任感で緊張しましたね・・・。
「ただひとつ~♪」の1本指への切り替えもキッチリやり遂げることができました。
僕は転調後のサビ部でしばらくピーを中心にステージを観ていたので気がつかなかったのですが、打ち上げでご一緒した先輩方のお話では、ジュリーのLの字はずっと左手だったけど、最後の最後に右手に切り替えたそうです。
ジュリーもお客さん以上に疲れるでしょうからねぇ・・・。
福岡では、アクシデントもありました。
「よろこびも、悲しみも~♪」
と歌ったジュリーが、その後の「すべてつかの間♪」の歌詞が出てこず、珍しくまったくの無言で演奏をやり過ごしてしまったのです。
いつもだと、後から早口で追いかけたり、どうしても出てこない時には即興で作詞をしたり、シャウトで間をもたせたりするんですけど、今回は完全に無言。
「・・・・・・」という文字が見えるような感じでしたね。
ジュリーとしても
「ええっ・・・ここが飛ぶとは!」
と珍しく自分でビックリしたのかもしれません。無言の最後に照れ笑いでした。
さて、横浜のレポで触れた、この曲の転調後に大炸裂するピーの
”鬼の右足288連打”
なんですが、横浜では途中で「ピーのキックだ!」と気づいたという状況だったので、288打を数えていたわけではないのです。
「たぶん転調してすぐに連打が始まるんだろうな」と推測し、「小節数×9」から割り出した数でした。
九州遠征は、数える気満々で参加しましたよ~。
いや、さすがに「どっ、どっ、どっ、どっ、どっ、どっ」をひとつひとつカウントするのではなく、どの小節から始まったかを確認する、というやり方ですけどね。
で、まず福岡。
転調後しばらくはそれまでのサビと同じ状態。「あれ~?」と思っていたら、1回し目の途中の小節から突然始まった!
252連打でした。
鹿児島では、2回し目の頭から。これは216連打。
数は決めていないのかもしれませんが、いずれにせよこれは65歳のドラマーの演奏とは考えられない、とてつもなくハードなものです。
年齢だけではありません・・・ピーには40年ものブランクがあるのです。信じられない演奏ですよ。
試しに「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に合わせて、同じリズムでつま先を上げ下げしてみたら、4小節36連打くらいで既に足がつりそうになりました。
やっぱり「ラヴ・ラヴ・ラヴ」が最後の大トリというのも必然ですね。
もちろん楽曲の意義的にも必然ですけど、ピーはこの曲を叩いた後すぐには他の曲は叩けないと思いますよ・・・そのくらいの演奏をしています。
ひょっとしたらサリーのベースも、この曲で体力を使い切ってしまっているかも。
今ツアーで僕は結局サリーのベースを間近で観ることは叶いませんでしたが、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のエンディングの3連符グルーヴは、本当に凄まじいです。
☆ ☆ ☆
両会場とも、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」が終わると凄い拍手でした。
引き続いて、一度メンバーが退場した後の拍手も、九州はとても熱かった・・・。
いつものように、8人が最後の挨拶に再度登場してくれました。
いずれも退場時にはタローがピックをピッ、ピッ!と投げた後、ピーが2本のスティックを最前列のお客さんに手渡し。いいなぁ・・・。後の席からは悲鳴が上がっていましたね。
鹿児島では、最後の挨拶の際にも、「アンコール!」という連呼と共に手拍子が沸き起りました。
さすがに何もなく、いつも通りにジュリーとピーの「まぁまぁ一献」→「一気飲み」でシメでしたけどね。
武道館も、特別なことはなく、これまで通りに終わるのかもね・・・。
それもアリです。タイガースのストーリーは、まだまだこれからも続くのですから。
福岡だったか鹿児島だったか、ジュリーがこう言ったんです。
「タイガースはワイルドワンズのようにはいかないんですよ。加瀬さんが号令かけたら4人がビュッ、と集まってね・・・。そこにチャッピーがいなくても、誰も疑問に思わない・・・」
おどけた調子でそう言って、開場は爆笑だったのですが、その後真顔で
「タイガースはそうはいかない」
と。
つまり、今回『タイガース』を名乗ってしまったら、「あれ、トッポがいない」「シローがいない」と、疑問を抱く人が出てくるわけです。
その点をジュリーは考え、貫いたのですね。『songs』でもそういうことを伝えようとしていたと思いますし・・・。
さぁ、いよいよ残すは大阪、そして武道館!
武道館をプロモート抜きで完売した、というのは業界の常識を根底から覆すほどの偉業です。
後追いファンの僕としては、参加できる幸せ、立ち会える歓び・・・へりくだっているのではなく、あの『songs』を観たら心からそう思えますし、ステージ後方席、大いに結構!存分に楽しみたいと思います。
今回はいつも以上に長くなってしまいました。
何とか大阪の直前・・・武道館まで少しの余裕を持って書き終えることができ、ホッとしています。
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。
次回更新、ファイナル武道館のレポでお会いしましょう!
最近のコメント