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2011年8月

2011年8月30日 (火)

ザ・タイガース 「ラヴ・ラヴ・ラヴ」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1969、single
セットリスト的中自信度=★★★★★


Tigerssingle

1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

思い起こせば、2008年12月3日。
東京ドームの『ジュリー祭り』で、ラストの「愛まで待てない」を歌う直前、ジュリーが
「79曲歌っちゃったか~?」
と言って、泰輝さんが「うんうん」と頷いているのを巨大スクリーンで観ながら、僕は言いようのない感動に包まれておりました。
(当時はそれが泰輝さんであることすら分からなかった恥)

そして今、僕はですね。
「19曲書いちゃったか~?」
と言って、畏れながら、いつも拙ブログを読んでくださっているみなさまに、「うんうん」と頷いて頂きたい心境です~。
たかだか20曲の記事を一定期間内にコンスタントに書く、というそれだけのことでそんな感慨に浸れるのですから、80曲歌うってどれだけ凄いことよ?とか改めて驚嘆する次第なのですが・・・とにかく!

『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想シリーズ、”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”・・・残すお題はあと1曲となりました。

考えてみれば、大それたことをやったものです。
だって、タイガースについては、僕は完全な後追いファン・・・しかも、ジュリーファンになってもまだ数年という若輩者。
そんな奴が、この特別なツアーを40年間心待ちにしてこられたタイムリーなタイガース・ファンの先輩方に対して、”伝授”などとは片腹痛いにも程があります。

ですので、最初の「シーサイド・バウンド」の記事にて
「先輩方のコメントで色々と教えて頂いたり、想い出を語って頂いたりして初めて記事として完成する」
ということを書き、おつきあいをお願いいたしました。

おかげさまで、ここまでのすべての記事で、多くの先輩方のお話を聞かせて頂くことができました。本当にありがとうございます。
また、同世代、タイガースには同窓会堕ちながら、タイガースファンとしては僕など比べものにならないほどのキャリアをお持ちでいらっしゃる『G.S. I LOVE YOU』の27年ロマンス様が、震災後のご心労、お忙しい間を縫って、今回のセットリスト予想記事すべてにコメントをくださったことは、大きな励みになりました。

日常生活においても、サポートを頂きました。
特に、四十肩に撃沈した際に頂きました数多くのみなさまのコメントには、とても勇気づけられましたね・・・。
いや、まだ今でも痛いんですけどね。そのうち治るものなんだなぁ、と思えましたし。

ところでみなさま、今回のこの記事・・・セットリスト予想シリーズの最後の1曲がどのナンバーかについては、余裕で予測していらしたでしょう。
ベタで申し訳ありませんが、執筆側の長期に渡るテンション持続の意味でも、「最後はこれ」とあらかじめ決めておくことはすごく重要で・・・。
もちろんお題は、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」。

初っ端に執筆した「シーサイド・バウンド」、そしてこれから書かせて頂きます「ラヴ・ラヴ・ラヴ」。この2曲は本当に、たとえどんな変則セットリストであろうと、必ず歌われるという、星10個でも足りないくらいの鉄板ナンバーですね。

そして「ラヴ・ラヴ・ラヴ」という曲はやはり、大きな区切りとして執筆するにふさわしい曲だと思います。
ようやくここまで辿り着いたか・・・と、大げさのようですが僕は今、万感の思いでこの曲と対峙しているのです。
愛と気合を込めて。僭越ながら伝授~!

File0688_2


深夜放送ファン・別冊 『沢田研二のすばらしい世界』より

上画像の通り、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は手元にスコアがありますので、いつものように記事執筆前にひと通り弾き語ってみますか~、ということで『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』の音源を流しながらスコア通りにギターを「じゃ~ん!」と鳴らしますと・・・。

あ、あれ?

キーが違う・・・?
スコアは変ロ長調(=B♭)の表記なんですけど、音源は変ロ長調より高めです。
じゃ、ロ長調かと思って「B」を弾くと・・・微妙に低い・・・。
つまり、オリジナル音源の「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は正規のピッチでミックスされていないのです。変ロ長調とロ長調の間、というなんだか落ち着かない感じ。
で、どちらかと言うとロ長調の方に近いですね。

まぁこういうことは、タイガースに限らずとも、60~70年代の音源にはしばしば見られます。レコーディング・マスターがテープ作業の時代ですからね。
『JEWEL JULIE』などもそうです。
ただ、元々どっちのキーだったのか、が分かりません。変ホ長調で録音されたテイクのピッチを上げてミックスし、高音ヴォーカルに箔をつけようとしているのか、それともロ長調で録音されたテイクが、リダクションやオーヴァーダブの作業中に回転数が上がってしまったのか・・・。

とりあえずここでは、より音程が近いキーの方を選択し、手元のスコアより半音上のロ長調(=B)で考察を進めていきたいと思います。

とにかく、高い!
この曲はエンディングで1音上がりの転調があり、ロ長調で始まった曲が最終的には変ニ長調(=D♭)まで跳ね上がっているのです。メロディーの最高音は何と「シ♭」ですよ!
「スマイル・フォー・ミー」の最高音より、1音も高い。
こんなん・・・男声で普通に出せますかいな・・・。

しかし、歌っているのはまぎれもなくジュリー。これ、凄まじいことですよ~。
そう言えばジュリー、『ZU ZU SONGS』でこの曲を歌い終わった後、MCで「いや~高い!」と言いながらハァハァしていましたね。

高い声を出すためには、いつくかの簡単なテクニックもあります。
例えばサビの

♪ ラヴ・・・ラブ・・・ラァァァヴ・・・ ♪
  B        F#       G#m

この「ラァァァヴ♪」の「ラ」の直前で「ぅ」と小さく低音を入れるようにして瞬時に跳ね上がる、という手法。
カラオケでお試しください。単に「ラァァァヴ♪」と歌うよりも、「ぅラァァァヴ♪」と歌う方が、高音が出しやすいはずですから。
きっとジュリーも、「ぅ」が聴こえないようにしながらそう発声しているのではないでしょうか。

あと


♪ 愛のせかい~ ♪
  E           F#7

この部分の語尾である「い」も相当出しにくい高音ですが、ここは「い」ではなく「ひ」と歌うような感じで、若干息を吸うように声を出すのがコツです。
母音の高音を発声する際に、「ハ行」の音のニュアンスを加えるというテクニックですね。これもまた、「ひ」と聞かせないようにうまいことやらなければなりません。
おそらく、当時のジュリーは軽々とマスターしていたと思います。

ただ、そうは言っても恐ろしく高いわけです。
秋からのツアーで必ず歌われるであろう「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、果たしてオリジナル・キーで演奏されるのでしょうか?

可能性は半々ですかねぇ・・・。
さすがのジュリーも歳を重ねてきて、高音ヴォーカルが厳しくなっていることも事実です。
例えば、『ジュリー祭り』での「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、キーを下げてイ長調(=A)で歌われています。
実はこれ、直前でキー変更したらしいんですね。


『ジュリー祭り』のレポートなどで以前少し書いたことがありますが、実は、勤務先の同僚の女子社員(10コ以上下)のSさんがあの1000人コーラス隊に参加していたので、ちょっと事情を知っているんですよ~。

僕はあの2008年12月3日、堂々と「沢田研二の還暦ライヴに行く」と宣言して有給休暇をとりました。
同日、Sさんも有給をとっていて、翌週になって同僚から「彼女もあの日ドームにいたらしいぞ」と聞き、「なんだと~!」と、すぐさま話をしにいくと・・・。
彼女、仕事とは別に趣味でクラシック系のコーラス団に所属していて、そこへジュリーサイドからお呼びがかかって行ってきた、と言うではありませんか!

で、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」「ROCK'N ROLL MARCH」「我が窮状」の3曲は、事前にコーラス・パートの譜面が配布されていたんですって。
当日は早くから会場入りして、バンド・リハに引き続いてコーラスのリハーサルも行われたそうなのですが・・・。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」についてその場でジュリーから「キーを変える」という指示があったらしいのです。
それでね、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」のリハは結局割愛されちゃって・・・コーラス団は青くなっていたそうですよ。
ほら、クラシック畑の人は譜面通りの音は正確に出せるけど、「キーを変える」となったら脳内で譜面を書き換える、という作業が発生するわけです。僕ら凡人の場合は、流れてきた音に合わせりゃいい(要は、曲を完全に覚えているから問題ない、ってことね)んだけど、専門職にとっては逆に直前のキー変更はキツいってことだったんですかね。

余談ながら、「ROCK'N ROLL MARCH」と「我が窮状」については、みっちり事前に練習時間をかけたそうです。
「60」のロゴ入りシャツ(トレーナー?)を着たジュリーに

「”ロックンロール”ではなく”ロッンロール”で!」

な~んて指導されたんですって。
くぅ~、うらやましい・・・。

でもね、「ROCK'N ROLL MARCH」の譜面のコーラス・パートは英文字で
”tu・・・tu・・・tu”
と記載されていたので、Sさん所属のコーラス団の皆は
「テュ、テュ、テュ♪」
って歌ったらしいですよ。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅるっちゅっ♪」
とは誰も歌ってなかったって・・・(涙)。
まぁそこは、コーラス専門職ではない一般公募のジュリーファンが頑張ったはず・・・と思いたいところですが、Sさん曰く
「一般の方々はほとんど、音階部は蚊の鳴くような声で・・・”ヘイ、ヘイ、ヘイ!”でいきなり大爆音になるからビックリした」
という状況だったとか。

ハハ・・・まぁ、僕でもそうなりますわ、きっと。

え~、話を「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に戻します。
そんなこともあったので、今ツアーでもキーを下げて歌う可能性は高いように思われます。
『ジュリー祭り』と同じイ長調か、メンバー全員が手元を見ずとも楽に演奏可能なト長調かな・・・。

さて、問題はこの曲が一体セットリストのどの辺りに配置されるのか、ということでしょうね。
少し前にしょあ様がこの曲を「1曲目」と予想なさっていて、僕も大いに共感しました。40年前の続き、ということもそうですし、何より、まずは中井さんに捧げる1曲、という意味で充分あり得るなぁ、と思ったのです。
でもその後、星のかけら様の記事を拝見して、「う~ん、やっぱり1曲目は”僕のマリー”かなぁ」と思い直したり・・・。

決められません(いや、僕が勝手に決める必要は全然無いのですが汗)~!

曲順をジュリーが決めるのであれば、とんでもない変化球から始まることも考えられますが、何処かで「タイガースのステージのセットリストはタローが中心になって決めていた」という話を読んだりしたこともあり、今回はジュリーの決定と言うよりはメンバー合議の上で、王道のセットリストが来るのではないかなぁ。
しょあ様の予想を拝見するまで、僕は「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はオーラス前、と考えていました。で、ラストが「君だけに愛を」。
いかがでしょうか・・・?

いずれにせよ、必ず歌われる曲です。
シンプルな詞、シンプルなメロディー・・・それでいて胸が高鳴る、切なくも、心が洗われる、タイガースのための、タイガースによる、タイガースらしいバラード。
「愛こそすべて♪」というありきたりのフレーズが全然あざとくなくて、むしろ新鮮な響きを持ってファンの共感を呼ぶ、これぞまさに奇跡の1曲でしょう。

しかしこの曲、実は穏やかなバラードのイメージだけではないんですよね。
リード・ギターは、ライヴのみならずオリジナル音源でもハードに歪ませた音色設定になっていますし、実はドラムスも激しいんです。
ピーのスネア・ドラムがどのタイミングで飛んでくるか分からない・・・これはライヴだとよりその傾向が強くなります。
『ジュリー祭り』収録のタイガース・ナンバーの中で、タイガースのメンバーが加わった方が鉄人バンドだけの演奏よりもハードになるだろう、と予想できるのは「美しき愛の掟」と「ラヴ・ラヴ・ラヴ」というのが僕の考えです。
大いに期待しています!


ここでまたまた話が逸れてしまいますが・・・今回「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の演奏キーの確認のため、ギターで合わせてみようと思い、DVD『ジュリー祭り』のdisc-2を取り出したんですよ(やはりキーはイ長調まで下げられていました)。そうしたら・・・。

1枚全部観てしまいました!
「Snow Blind」から「ラヴ・ラヴ・ラヴ」まで。

何と素晴らしい!

僕は、あの東京ドームでYOKO君と二人
「あっれ~、全然知らない曲ばっかりやってる・・・」
と呆然とした時間が多々あり、そのほとんどがDVDで言うとdisc-2に密集しているんです。

怒涛のじゅり勉を経て、『PLEASURE PLEASURE』ツアーの初日に購入した『ジュリー祭り』のDVD。
4枚のディスクの中で最も胸を打ったのは、当日呆然と見送ってしまっていた楽曲達が収められたdisc-2です。
僕は辛うじて『ジュリー祭り』には間に合い、大きな歴史の証人になることはできたけれど、そのセットリストのすべての素晴らしさをタイムリーで味わうにはあまりにも勉強不足でした。

今年の夏はまさに、「タイガースに関してはその状況を繰り返すまい」と頑張ってきたということなんですよ~。

大丈夫かな・・・。
きっと大丈夫・・・ですよね・・・?

「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を生で聴くのは、僕は今回のツアーで(もう聴けるものだと決めている)2度目ということになるんですね。
『ジュリー祭り』と、そして今年。
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に特別な思い出、もしかすると切ない思い出をお持ちの先輩方も大勢いらっしゃる中で、僕はどうやら「楽しくて仕方がない」という状況で歌われるこのバラードを、一生に2公演分だけ聴く、ということになるのかな?

それとも、まだこの先に続きの物語が待っているのでしょうか。

それでは、オマケです~。
『近代映画』からのスキャン画像、今回は数枚を残して一気に貼りまくりますよ~。



File0657_2


File06822


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(本文抜粋)
三年という歳月は、かつての少年をたくましい若者へと変えました。彼等の人間形成には過去何回かの海外旅行の経験も大きなプラスになっていることでしょう・・・。


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(本文抜粋)
照りつける夏の日ざしのように、あなたの瞳は眩しすぎます。じっとみつめられると、心の湖の底深く眠っていた愛が、ゆっくり身を起こし、ゆらゆらと立ち昇ってくるのです。どんなにさざなみを立てようと、けっしてかき消せない面影を抱いて、あなたの瞳の湖に身を投げる私・・・。

File0672

(本文抜粋)
遠い星からやってきたあなた。街中を歩きながら、ふと侘しくなったあなたは、真昼の空に遠い古里を探し求めます・・・。

File06862

File0662


あれっ、ジュリーが一番背が低い・・・?
と思ったら、ピーがズルしてました。

ということで。
この夏のタイガース記事にて大活躍しました、手元の2冊の『近代映画』は

”タイガーズって にごらないのよ お母さん”

の名句で有名なMママ様からのお預かり物でございました。この場を借りまして、御礼申しあげます。

ツクツクホウシが鳴いていますね~。
いよいよ夏も終わりです。

色々な意味で、特別な夏でした。
思えばあの震災後、しばらくの戸惑いをみなさまの叱咤激励で乗り越え、再びブログを書き始めてから今日まで、休むことなく常に何かの楽曲考察に取り組んできました。
この大長文ですからねぇ・・・2日から3日かけて執筆しなければならないのですが、手を抜く気にはまったくなれませんでした。

そして・・・今年という特別な、大変な年に、完全な形ではないにせよタイガース復活と言ってよいツアーが告知され、7月からはタイガースの楽曲に絞って20曲のセットリスト予想記事を書きました。
つたないながら、未熟ながら、そして本当に僭越ながら、僕は2011年の夏をタイガースの名曲群と本気で向き合ったと自負しています。

伝説の虎は、あらゆる意味でとても大きかった・・・。
大変でした・・・。

20曲の執筆期間、多くの方に支えて頂きました。
以前から拙ブログを読んでくださっている常連の方々が、変わらずコメントを下さり、貴重なお話を聞かせてくださいました。
先述の27年ロマンス様以外にも、nekomodoki様、キミちゃん様は毎回必ずコメントをつけてくださって・・・。
どんなに拙い記事を書いても、常にコメントしてくださる方がいらっしゃる、というのは大きな励みになるものです。

また、新たに拙ブログを読んでくださる方がたくさん増えました。
いつごろかなぁ・・・おそらくピーがメディアに露出し始めた頃合からだと思いますが、徐々にアクセス数が増えてきて、タイガースの記事を書き出してしばらくしてから、何と1日平均2000アクセスで推移するようになってしまいました。

コメントを下さる方以外にも、多くの方が読んでくださっていることが分かります。
本当にありがたいことです。

ジュリーファンのみなさま以外にも、ピーやトッポのファンの先輩方がいらして下さるようになったことはとても嬉しく光栄に思いましたし、「つみ木の城」の記事でシローのファンの方からコメントを頂いた時には、思わずカミさんに自慢しました。「とうとうシローファンの先輩がいらしてくださった!」と。

僕は元々ジュリーファンになってから、そのまた後追いでタイガースの勉強を始めたのですが、今回の20曲執筆期間中、みなさまのおかげで、タイガースのとてつもない大きさを知りました。
心から感謝しています。

さて。
ここから先は、真打ちの登場・・・ツアーの初日を待つばかりです。
もう、あと10日を切っていますよ!
1桁です。本当のカウントダウンです。

8月の終わりを持ちまして、長らく楽曲考察記事をハイペースで書き続けてまいりました拙ブログ・・・少し休憩に入ります。
(あ、でも、ひとりごとっぽい簡単な記事を、ツアー初日を迎えるまではこのままのペースで更新していきますからね!)

初日フォーラムのレポートをside-Bの方にに書いて・・・その後にこちら本館で記事を書くのは、9月中旬くらいかな・・・。
まず、シンコー・ミュージックさんから出版される『GSパニック!』の感想記事から再スタートになるでしょうか。
その後、ピーの新曲「道」をお題にして、いつもの感じに戻りたいと考えております。

それまでしばし、この暑い夏をさらに暑苦しくしてきた、僕の大長文から開放されてくだいね・・・。
本当にありがとうございました~!
(まだまだ暑い日は続くみたいですけどね・・・)

・・・と、ここまで書いておきながら、飛び込みのオマケ画像でシメでございます~。
タイガース写真集・『10 YEARS ROMANCE』から!

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2011年8月27日 (土)

ザ・タイガース 「怒りの鐘を鳴らせ」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1970、single
セットリスト的中自信度 ★★★★☆

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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衝撃でした・・・。
何がって・・・先日発売された『週刊文春』での、ピーと阿川さんの対談。
ピーが語ってくれたタイガース時代の話、後追いの僕は知らないことばかりでした。

タイガースの解散が、そんなに以前から決まっていたなんて。
ピーの決断の重さ、そこへ至る経緯。
先輩方の感想をあちらこちらで拝見すると、どうもタイムリーなファンのみなさまにとっては真新しい話でもなかったみたいで・・・それもショック・・・。
僕は、タイガースについて本当に何も知らないんだなぁ・・・。

最近僕はコロシアムLIVEをよく聴いている(このLIVEはとにかくサリーのベースが凄いです!)んですけど・・・あの時点で少なくともピーの中で結論は出ていたということですよね。
あの頃、解散の噂はあるけれど、それはただの噂でしかない・・・僕は単純にそう考えてしまっていました。

こういうことを知っていたらね・・・当然、楽曲に対して感じることも色々と変わってくるんですよ。
例えば、ここまで書いてきたセットリスト予想の記事で採り上げたナンバーについて、いくつかの曲は「あぁ、僕は全然検討外れの解釈をしてたなぁ」なんて思うことがいくつもあります。
眉をひそめながらお読みの方もいらっしゃったでしょうねぇ。

まぁでも、『ジュリー祭り』をきっかけにこのブログがじゅり風呂へと変わってから、ずっとそういうことの繰り返しでしたからね。
改めて謙虚に、教えを乞う精神で続けていこうと思います。決めセリフの「伝授!」は逆にそういう意味だと、みなさまが考えてくだされば・・・。

それに、やっぱりピーの話にはワクワクさせられたワケです。
秋からのツアー・セットリストについて、ピーの言葉から推測できることがたくさんありました。

まずは
「僕が歌うのはかなりシャウトする曲なんで、選曲間違えたかなぁ、と思ってます(笑)」
って・・・。
これは、「ヘンリー8世君」を歌うと見て良い・・・のでしょうか。
還暦を越えたピーが、あのシャウトを・・・だ、大丈夫でしょうか。

僕もアマチュアながら、LIVEで大声出して”脳が揺れる”感覚って味わったことがあります。普段からヴォーカルに慣れていないとそういうことがあるらしいですが。
ピーは過去に倒れたりしていますから・・・心配です。
いや、ピー本人は全然大丈夫、と言うか楽しくて仕方ない、といったような雰囲気が漂っているわけですが・・・。
おそるべし!

そして
「やるのは全部昔の曲と、当時やってたカバー曲」
という言葉のニュアンスから、どうやら同窓会時の楽曲を採り上げることはなさそうだな、とも感じました。
この点は僕としては残念ですが、色々と絞り込んで最後の予習に力を注ぎたいと思います!

あと、カミさんはやはり、衣裳の話題に食いついていましたね~。
ピーが思わず「ちょっと待て」とたじろいでしまう(その割には楽しそうな雰囲気がバリバリ伝わってきますが笑)衣裳とは・・・?
楽しみにしましょう!

それでは、本題です。
今日はいよいよ、ずっと書きたいと思っていたのに長期間逡巡してしまっていた大名曲を採り上げます。

この曲について書きたい、と最初に思ったのは、2009年の春くらいだったでしょうか。
2008年12月3日に本格的にジュリー堕ちした僕が、年が明けてお正月の『奇跡元年』になんとかすべりこみで参加した際、お隣の席にいらしたジュリーファンの先輩と初めてご挨拶をさせて頂きまして、お話しているうちに・・・。
「こりゃ、ジュリーのソロだけじゃなくてタイガースまで勉強しなければ、僕はこの先みなさまについていけないぞ」
と実感。
しばらくして『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』を購入したのでした。

初見で大いに気に入った曲が、3曲ありました。
(今では、他にも同じくらい好きになっている曲がたくさんありますけどね)

「風は知らない」
「淋しい雨」
「怒りの鐘を鳴らせ」

です。
この中で、”気に入った”を通り越し、とにかく”驚いた”のが「怒りの鐘を鳴らせ」でした。

その驚き・・・これほどの曲が1970年という時期に日本で、しかもアイドル・グループとばかり思い込んでいたタイガースのナンバーとしてリリースされていたという大きな意義を、すぐにでも記事に書きたかった。
でも、書けなかったんですよね・・・。

某巨大掲示板でこの曲が変な扱い方をされているのを見てしまって、怯んだんですよ・・・。

先輩方はこの曲が話題に登るのを好まないのでは、なんて考えてしまいました。
情けない話でした。
日頃、ロック、ロックと言っているのに、この歴史に残る邦楽ロックの金字塔・大名曲について語ることを怖れていたとは、恥を知れ、意気地なしDYNAMITE!

「男なら、おまえが書くのだ」

とは誰も言っていないと思いますが・・・畏れ多くも、僕はやっとこの「怒りの鐘を鳴らせ」について執筆する機会を今こそ、与えられたと思っています。
僭越ながら、伝授です!

「怒りの鐘を鳴らせ」は、特にLIVEだと絶対に盛り上がる曲だと確信していますが・・・さぁ、今回採り上げられるのでしょうか。

ミュージシャン個人であってもバンド全体であっても、リハーサル期間に熱が入ってくると、演奏技術的にハードルの高い楽曲に向かいたくなってくるのは必然。
その点から有力視されるタイガース・ナンバーを僕が挙げるとすれば、「美しき愛の掟」と「怒りの鐘を鳴らせ」の2曲になるでしょうか。

特に「怒りの鐘を鳴らせ」はドラムスとベースのアレンジ比重が重く、ブランクを経て始動したピーとサリーが演奏に自信と勢いを急上昇させ
ている中にあっては、うってつけのナンバーとなるはずです。

しかも僕は個人的に、この曲のLIVEはギター3本体制が理想かな、と考えていましたので、鉄人バンドの演奏にも大いに期待したいです。
ジュリーのヴォーカルの合間合間に絡む細かくもハードな単音を、柴山さん(お誕生日おめでとうございます!)と下山さんが左右から交互に弾く、という配置はどうかな?
もちろん、リード・オルガンは泰輝さんの独壇場でしょう。

的中自信度は・・・星5つまではつけられませんが、可能性大と見込んでの星4つ。
タイガースのステージでそうであったように、セットリスト後半に歌われるのではないか、と考えています。

さて・・・それではまず、「怒りの鐘を鳴らせ」がロック史に残る大名曲である、と僕が考える、いくつかの要因を語ってまいりましょう。

もしも・・・数年前の僕がジュリーの声もタイガースもまったく知らない無の状態で、ポンと「怒りの鐘を鳴らせ」の音源を誰かに聴かせられていたら、こう反応したでしょう。

「名曲だね!70年代後半の曲でしょ?70年代前半から中盤のプログレッシブ・ロック・・・特にキング・クリムゾンやエマーソン・レイク・アンド・パーマーの影響を強く受けているよね」


「これは1970年にレコーディングされたGSの曲だよ」
と真実を明かされ、呆然としたことでしょうね。
とにかく、「怒りの鐘を鳴らせ」は、時代の先を行き過ぎています。それこそ、PYGよりも後の曲なんじゃないか、と今でも思ってしまうくらい。

僕の中で、タイガースがロック最先端を成就させた楽曲と言えば、「怒りの鐘を鳴らせ」「誰れかがいるはず」の2曲ということになるのですが・・・「誰れかがいるはず」の方はアヴァンギャルドなレコーディング・アプローチとジュリーのヴォーカル開眼にそれを感じるのに対し、「怒りの鐘を鳴らせ」は楽曲構成そのもの、そして演奏にまで凄まじさが及んでいるわけです。
(もちろん、ジュリーのヴォーカルが圧倒的に素晴らしいのは当然の話ですよ!)

まずはこのコード進行ですよ。
『THE TIGERS CD-BOX』ライナーの解説でも


岸部修三のバスにハモンド・オルガンの響き、特異なコード進行にのって歌われるコンサートのハイライト曲

と、わざわざ一般に馴染みのない”コード進行”についての言及があるほどです。

「怒りの鐘を鳴らせ」も、前回の「誓いの明日」同様、スコアを見つけることができませんでした。「都会」とか「散りゆく青春」「素晴しい旅行」などは、あるんですけどねぇ・・・。
そこでまた自力で採譜したのですが・・・ギター片手に「あ、あれ?そうなの?まさか・・・ええっ!?」と、驚きの連続。
ハモンド・オルガンの音階を添えて、イントロのコードネームを書き出してみますと。

♪ シ♭~~、シ♭~ラソラ~
  Fsus4      F

  ラ♭~~、ラ♭~ソファソ~
  E♭sus4   E♭

  ソ♭~~、ソ♭~ファミ♭ファ~
  D♭sus4  D♭

  ファ~~~、ミ ♪
  Csus4        C7

「sus4」をこんなに断崖降下型で連発するとは・・・凄まじい合わせ技!
と言っても伝わりにくいのがなんとも悔しいのですが、とにかく斬新極まりないコード進行です。1970年という時期的な事を考えれば、なおさらなのです。

このイントロからヴォーカルに雪崩れ込むと、実はこれがヘ短調の曲である、と判明するのがまた、凄い。
最初のコードからヴォーカル直前までの進行から考えて、これはヘ長調の曲であるべき導入部なんですよ。それがいざ歌メロになると、重々しい短調のハードなメロディーが登場。
しかも!ヴォーカルが始まるやいなや楽器陣が後方にササ~ッ!と退いて、サリーの低音コーラスとピーのドラム・ソロが残るという・・・。このアレンジアイデアには、ただただ圧倒されるのみです。

で、サビのコード進行がまた凄くて

♪ 怒    りの 鐘を 鳴らせ~ ♪
  Fm   A♭  B♭   D♭7

最後の、そっぽを向いたような「D♭7」が何とも・・・。
ここは普通なら「C」とか「C7」になるべき箇所なんですよね。例えばホ短調に移調表記すると、「Em」→「G」→「A」→「B7」。それだと、理屈としてはよくあるハード・ロック進行で、ジミー・ヘンドリックスやクリームを連想する、と言っても良くなるのですが・・・。
最後の「D♭7」が、その考えを阻むんだなぁ・・・。

とにかく、かなりアーティスティックな感覚が無いと思いつかないコード進行であることは間違いないですね。
凡人が一から編み出すことは、まずできません。僕には絶対無理だなぁ。

このように考えていくと、クニ河内さんの作曲作品は、楽曲全体通しての構成力が頭抜けていることが分かってきます。
先日のお題「誓いの明日」での、ドミナントコードを一切登場させずに永遠に浮遊し続ける、という狙いもそうなんですけど、作曲の中に強烈な哲学を込める人なのではないでしょうか。

とすれば「怒りの鐘を鳴らせ」に込められた哲学とは、エネルギーの四散であるとか、部分部分では下降しているのに全体としては上昇している、とか、強引かもしれませんが、この斬新なコード進行からはそんなことを読みとることも可能です。

タイムリーなファンの先輩方は、「怒りの鐘を鳴らせ」が新曲としてリリースされた際に、洋楽カバー曲「傷だらけのアイドル」を想起なさったとも聞いています。
明白に、ロックなナンバーだったということなのでしょう。

いくつかの資料を読むと、おそらくこの曲はジュリーとサリーの好むところであっただろう、と書かれています。
それはおそらくそうだったのかな。だって、この路線はPYGの楽曲・演奏アプローチに近いものがありますからね。「怒りの鐘を鳴らせ」でのサリーのベースは、PYGのナンバーや、タイガース時代のハードなカバー曲(「ハートブレイカー」など)と明らかに印象が重なります。


しかし僕がこの曲の演奏で最も惹かれる楽器は、サリーのベース以上に、何と言ってもピーのドラムスなのです!
数あるタイガース・ナンバー中、「とにかくドラムスが好き!」という曲が僕には2つあって、それがこの「怒りの鐘を鳴らせ」と「はだしで」。
いずれも、鬼神のようにロールするオカズが炸裂しまくります。

以前から何度も書きますが、僕はこの”鬼ロール”を実際に叩くピーを、生で観てみたい・・・ずっとそう思ってきました。
特に「怒りの鐘を鳴らせ」は、タイガース版プログレッシブ・ロックだと僕は考えていますから、手法としては、あのローリング・ストーンズの前座でいきなり観客のド肝を抜いてしまったという伝説を持つ、キング・クリムゾンの演奏を重ねて想像してしまいます。ジュリーファンにはお馴染み「エピタフ」にも、「怒りの鐘を鳴らせ」のようなドラムス・アプローチが随所に見られるのです。

「怒りの鐘を鳴らせ」はコーダ部が半音上がりの転調をします。ヴォーカルのジュリーが転調の瞬間をリードするというのも凄いことなのですが、その
「今こ~そ~♪」
のバックで演奏されるドラムスが、LIVEでは最大の見せ場となりそうです。
実際にこの曲を生で体感なさった先輩方は、きっとこの転調移行部のドラムスが特に印象に残っていらっしゃるのでは。
僕も『サウンズ・イン・コロシアム』を生で観たかったですよ・・・。

ジュリーとピーの二人にスポットが当てられる・・・ピーの激しいアクションとジュリーの絶唱に、場内は割れんばかりの大歓声。
秋からのツアーで、僕にはそんな光景が今から浮かんできます。

最後に。
僕はここまで「怒りの鐘を鳴らせ」について、色々と言葉をひねり出し並べ立てて讃えてきたわけなんですけど、言葉や理屈を捏ね回すこと自体、それは後追いファンの負け惜しみ的な部分があるのです・・・。
この歴史的名曲をタイムリーで体感できなかった悔しさ、引け目と言ってもいいかなぁ。

プログレとか、コード進行とか、そんな言葉や理屈を何ひとつ知らなくとも、当時タイガースを追いかけていらした先輩方が、肌でこのナンバーを感じていたという事実の方が、遥かにレベルが高く、素晴らしいことなのです。
ですから、タイガースファン、ジュリーファンの先輩方には、この曲を誇りに思って欲しい、と改めてそう思います。
まぁ、僕などが言わずともみなさま当然のようにそう思っていらっしゃるでしょうけど・・・新米の僕はどうしても、意気地が無くてね。

でも、ようやく記事に書けたから、これで気持ちも一区切りできたかな。
これまでは「不遇におとしめられてしまった悲劇の大名曲」みたいな感覚で捉えていましたから・・・そこは今回の執筆で乗り越えられたようです。

それでは、オマケです~。
いつもの感じのショットの前に、まずはこちら。
大阪シネ・ヌーヴォ様で9月から開催される”ジュリー&タイガース映画特集2011”のチラシを昨日入手しましたので、貼っておきます。

File0704

詳細は、拙ブログ右上のリンク・バナーにてご確認を。

さぁ、それでは。
いよいよ間近に迫ってまいりましたドラマー・ピーの完全復活を祝しまして、後期タイガースからピーの単独ショット4枚をどうぞ!
(これにて、『近代映画』からスキャンしていたピー単独のショットは、すべて添付を終わります~)



File0681

File0686

File06842


File0674

(本文抜粋)
ピーの外国への憧れはパリとロンドンだったが、映画『ハーイ!ロンドン』の欧州ロケで、いっぺんにこの夢をかなえてしまった。最近は五木寛之の小節に憧れ、アフリカ、ソ連へ行きたいといっている。好きな音楽もビートルズからダリアのシャンソンに変り、英語の勉強も仏語に変えてしまった。ピーのフランスへの憧れは、ますますさかんになったようだ。メンバー中いちばんオシャレだったのに、いちばん汚いヒッピー・スタイルに転向したのはアメリカ旅行のときからで、性格も変った。ポテト・チップは安いから好きといっていたのに、いまではメンバー随一の浪費家になった。メンバーでいちばん変ったのはピーではないだろうか。

いや、だからフランス語の勉強をしていた目的はね・・・って、もういいか、その話は~!

そうそう、もし今回のツアーでピーのヴォーカル曲が「ヘンリー8世君」だとしたら、ジュリーのドラムスが観られるのではないか、と今になって僕はそんな考えを持っています。
それは、ピーの対談記事を読んで。
本当に練習に熱が入っているんだな、と思って・・・色々と想像してみて、そう考えたのです。

リハーサルで
「じゃ、次はピーの曲行こうか」
となった時、それまでジュリーが使っていたスタンドマイクのところにピーが移動してくるわけですよね。
ジュリーがおとなしく傍らで演奏を傍観しているとは、とても思えないんですよ(コーラス・パートがある曲なら話は別ですが)。

きっと、それまでピーが座っていたドラムセットに移動して、置いてあるスティックをチャッチャッ、と振ったりして。
そうしたらタローあたりが
「叩けよ!」
なんて言ったりとかしてね。
(いつか、ピー、サリーと一緒に飲んでいたタローがジュリーに「来いよ!」と連絡した話が僕は深く印象に残っていて、「叩けよ!」もそんなノリのタローの言葉を想像しました)

で、結局ジュリーはドラムの練習もしていると。
考えてみれば、今回はGRACE姉さんがいるんですから、ジュリーのドラムスにさほど大きな負担はかかりません。
ジュリーが短期間の練習でドラムス演奏に挑むにあたって、今回のバンド編成はかえって好都合とは言えないでしょうか。
「せっかくだから」と、ちょっとしたドラム・ソロをアレンジに組み込むことも考えられますよ~。

このように、僕はこんなところでも楽しみを最大限にふくらませて期待してしまっているのですが・・・さてどうなりますか。

さぁ、『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想シリーズ、”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”ということで、7月からずっとやってまいりましたが・・・。
次の記事で、いよいよ最終回です。
いや、まぁ・・・やってきた、とは言ってもさほど大したことでもないのですが、何とかやり遂げられそうだ、と、実はちょっと胸を撫で下ろしていたりして・・・。

最終回ですから、当然採り上げるお題は、予想自信度にして星5つの”絶対やる!”と断言できる曲です。
バレバレですよね・・・?

そう、会場一体となって揺れる、あの曲です!
どうかあと1曲だけ、未熟な新規ファンの暑苦しい予想記事におつきあいくださいませ~。



♪ 夏が終わるまで・・・あと1曲!

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2011年8月24日 (水)

ザ・タイガース 「誓いの明日」

from『自由と憧れと友情』、1970
セットリスト的中自信度 ★★★★★

Jiyuutoakogaretoyuujou


1. 出発のほかに何がある
2. 友情
3. 処女航海
4. もっと人生を
5. つみ木の城
6. 青春
7. 世界はまわる
8. 誰れかがいるはず
9. 脱走列車
10. 人は・・・
11. 海の広さを知った時
12. 誓いの明日

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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本日のお題は、「誓いの明日」。
同窓会時の音源を例外としますが、この曲は言うまでもなく、タイガースのラスト・シングル。
リリースされた頃には、すでに解散が決定していたそうです。

ファンは、どんな気持ちでこのシングルを聴いていたのか・・・タイガースのメンバーは、当時どんな気持ちでこの曲を歌い、演奏していたのか・・・ひと足早くタイガースを離れてしまっていたトッポはどんな気持ちで、成り行きを見守っていたのか・・・。
そんなことを考えると、いくら希望を歌った前向きなナンバーとは言え、「誓いの明日」は、タイガースに関わった万人にとって”哀しみの歌”なのでしょう。
後追いの僕にはそんなふうに思えます。

つまり、これまで「誓いの明日」という曲は、哀しい思いを纏いながら演奏され、歌われ、ファンに聴かれていたという歴史しか持っていなかったのでは・・・。

でも。
9月8日に初日を迎える『沢田研二 2011~2012』ツアーにおいて、ゲストのピー、サリー。タローと共に、「誓いの明日」は間違いなくセットリストに採り上げられるだろうと僕は考えています。当然、星5つの予想です。
初めてなのかもしれない・・・この曲が文字通り、楽曲のコンセプト通りに、”明日”に向かって明るく演奏されるステージというのは。

今日8月24日は、中井國二さんの告別式と聞きました。
40年の時を経て、今まさにタイガースのメンバーが新たな「誓いの明日」へと向かう、そんなステージを実現させてくれた中井さん。

若輩の僕は、今日という日に「誓いの明日」をお題に採り上げることで、中井さんへの哀悼の意を表させて頂きます。僭越ながら伝授!

♪ みな 人は旅人なのさ
  G                 D

  みな 明日の日めざし 旅を続ける
  Bm                    G                 D

  今日が 悲しい時でも 明日をめざす ♪
  D             F#m   Bm                   D

「誓いの明日」はタイガース・ナンバーにあって重要な、代表的なシングルかと思いますが、僕の探した限り、この曲のスコアを見つけることはできませんでしたので、「雨のレクイエム」の記事執筆以来久々に、自分で一から採譜作業を行いました。
(でも自力のみでは心もとない気もするので、9月にシンコー・ミュージックさんから発売される予定の『GSパニック!』に収載されることを期待しています!)

すると、単に音源を聴いていただけでは気づかなかった事実が浮かびあがりました。

「誓いの明日」は、ニ長調。つまりキーは「D」ということになります。
通常、「D」の曲にはドミナント・コードである「A」(或いは「A7」)が登場し、トニックである「レ・ファ#・ラ」の和音への着地の役割を果たすものなのです。
しかし、「誓いの明日」にはそのドミナント・コード「A」「A7」がまったく使用されていません。

これがどのような効果を生むかというと。
着地体勢に入らない・・・つまり、「明日」=「永遠」。歩みと止めず、明日をめざす若者の意思に終わりのないことを表しているのです。
それはまるで、”解散”一歩手前の時間が永遠に続き、誰もがその時間の中に留まっていたい、という願いを象徴しているかのように・・・。

クニ河内さんのこの作曲アプローチが偶然とはとても思えませんし、そうしてみると、「誓いの明日」のオリジナル音源がフェイド・インのイントロで始まり、フェイド・アウトで終わる、というのも、楽曲コンセプトにのっとった必然のアレンジだと考えられます。

ところで、今回の「誓いの明日」は非常に採譜が楽にできたのです。
何故かというと、レコード音源とは別に『フィナーレ』のLIVE音源があったから。
このLIVE盤は何と言っても、右サイドにピーのドラムス、左サイドにタローのギターの演奏テイクがバッチリ振られてミックスされているのが大きなポイント。
左サイドのタローの音に耳をすませば、細かいギターコードも容易に聴き取りが可能だったのですね。

例えば・・・。

♪ 明日に向かって いつでも行くのさ ♪
  D       G            D         G           D    D7

この太字表記した「D7」などは、オリジナル音源だと聴こえ辛くて、
割愛してコードをとってしまいそう。
『フィナーレ』では、タローがバシッ!と「D」からフォーム移動して弾いているのが、よく聴こえます。

そして、『フィナーレ』のミックス・・・タローのギター以上に耳ダンボになってしまうのが、右サイドのピーのドラムスなんですよね。

ハッキリ言います。
ピーのドラムス、すごく乱れているんです。
これが特別なコンサートでなかったとしたら、「ピー、どうしちゃったんだ!」って、それこそ中井さんがカンカンに怒りそう・・・。

スネアドラムは、アタック定位置よりずいぶん速く突っ込んだかと思うと、一瞬遅れてからバシ~ン!と打ちつけたり。
キックは、これでもか、これでもか、というくらいに激しく跳ねまくります。
まるで・・・「手でも足でも少しでもドラムへのアタックを数多く増やしたい、叩き疲れるまで叩いて、燃え尽きたい」・・・そんな演奏なんです。

『フィナーレ』でのピーは、全体的にそんな感じのドラムスですね・・・。でも、「誓いの明日」はその中にあっても桁外れ。
だって、1番Aメロをよく聴いてみてください。一瞬演奏を止めちゃってる箇所すらあるのです。
バンド全体のテンポに対してあまりにも走り過ぎ、いったん合わせ直しているんですね。
(「シーサイド・バウンド」にも、「誓いの明日」ほどハッキリしていませんが、それに近い形での仕切り直し箇所があります)

これは技術云々の問題では当然なく、明らかに精神状態に影響されているのではないでしょうか。
ピーはもしかしたらこの日、泣きながら演奏していたんじゃないかなぁ・・・。

「何処へ行くんだ、ピー!」
そんなとまどいを隠せないながらも、火に油を注ぐように自らもうなる、サリーのベース。
「青い鳥」で流した涙も乾かぬまま、必死で、とにかく遅れまいとついていくタローのギター。

そして・・・何ということでしょう。この状況下の「誓いの明日」で、バンドのテンポキープを冷静に図って身体をはってリードしているのは、どうやらヴォーカルのジュリーのようなのです!
もちろんジュリーだって、色々な思いが溢れて我を忘れて歌っているのでしょう。涙を流していたかもしれません。
しかし、そんな中に天性のバンドマスターとしてのジュリーのセンス、統括力が、無意識に現れています。

何と言う激しいロック・バンドでしょうか・・・。
究極に追い詰められ、何か言いようのない気持ちが頂点に達した時、ロック・バンドはこんな演奏をするのかもしれない・・・。
それが、『フィナーレ』の「誓いの明日」なのです。

実はこのピーの疾走は、最後の「ラヴ・ラヴ・ラヴ」でも引き続いているのですが、さすがに「ラヴ・ラヴ・ラヴ」はバラードですからね。ある程度はキッチリとした演奏、それに「本当に最後」という思いからか、必要以上に跳ねてはいるものの、纏まりの良いドラミングにはなっています。
でも、「誓いの明日」は違うんですよ。
暴君・ピーと、天才・ジュリーの壮絶なバトルなのです。
二人の、それまで隠れていた資質が本性を現してぶつかり合い、タイガースというバンドが一線を越えた瞬間を聴くことができます。

超絶テクニックだけが、ロックではありません。
『フィナーレ』で演奏された「誓いの明日」は、その厳然たる答だと思います。

ただね・・・メンバーが後から振り返って、楽しい演奏ではなかったでしょうね・・・。

僕は、この「誓いの明日」がタイムリーで聴けた先輩方がうらやましいですよ。
単純に、それはそれは凄いステージだったでしょうし、ロックを愛する者としてはね、現実に体感したかったです。
でも先輩方・・・「誓いの明日」に楽しい思い出が残っていらっしゃいますか?
僕の勝手な想像かもしれませんけど、切ない、やりきれない思い出が同居していらっしゃいませんか?
『フィナーレ』の「誓いの明日」を聴くたび、僕はそんなふうに考えてしまいます。

この曲はもっと、希望に満ちているべきだ・・・そう思ってしまうのです。
それが、タイガースにずっと残されていた宿題だとしたら?

今年ですよね。
秋からのツアーで、「誓いの明日」は絶対に演奏されるべきなんです。

楽しい演奏になる要素は、たくさんありますよ。
まず、鉄人バンドがいます。
オリジナル音源で重要な役割を果たしているアコースティック・ギターとコーラス。下山さんとGRACE姉さんが頑張ってくれるでしょう。
柴山さんは単音を担当、そして泰輝さんは、豪華なハープまで再現してくれるのではないでしょうか。
あとは、4人がそのまま『フィナーレ』での担当パートを、今の気持ちで演奏すれば・・・完璧。
おっと、4人だけじゃないですよね・・・この曲は、シローの高音コーラスも不可欠ですから!

「Hey、ピー!」
ジュリーは40年前
「最後の暴れっぷりを見せてみろよ!」
みたいな感じで叫んだ・・・のかな?

今年は違いますよ、きっと。
「ゴキゲンだぜ!さぁピー、行こう!」
みたいな感じの、ウキウキとしたジュリーの「Hey、ピー!」というシャウトが聴けるはずです。間違いなし!

最後に。
中井さんは、タイガース以外のアーティストにも多く関わり、音楽界に大きな功績を残されていたのですね。後追いの僕などは、今回色々と調べていて驚いてしまったほどです。
好きなことを、奔放にこなす人でもあったようです。
それは、長く一線でご活躍なさった、ということでもあります。

 

例えば・・・僕が”偉大なマネージャー”としてイの一番に思い出す人物は、ビートルズを見出したブライアン・エプスタイン。
歴史的名盤『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の完成を見届けるようにして、あまりにも早く逝ってしまった人です。
ビートルズのメンバーはまだまだ若かったから、それまで嫌な役目、面倒くさい手続きなどを一手に引き受けてきたエプスタインの死をきっかけとするように、急速にメンバー間の関係が悪化しました。無論それはエプスタインの死のみが原因ではありませんが、彼が健在であれば、少なくとも”アップル”のマネージメント・トラブルは避けられ、解散はずっと延びたのではないかと言われていますし、僕もそう思います。

 

一方の中井さんは、タイガース解散後も、それぞれのメンバーをずっと見守っていらっしゃいました。
最後の力を振り絞って、ピーをメンバーと引き合わせ、友情を確認し合いました。

これはビジネス抜きの話でしょう。
そして、オリジナル・メンバー5人が揃って中井さんのお見舞いに訪れたという話ほど、タイガースファンの先輩方を感動させるものはないのでしょう。

 

タイガースのメンバーは、もう若くはありません。
ですから逆に、中井さんを失い嘆き悲しむことはあっても、エプスタインを失ったビートルズのように、それを機にバラバラになってしまう、などということはありません。
むしろ中井さんの魂を感じながら、今回のステージで一丸となるでしょう。

 

『フィナーレ』での「誓いの明日」で、ピーは慟哭のドラムを叩きました。きっとその時、自らの覚悟、決意をそのまま演奏に込めたら、そうなったのです。
しかし今回のツアーでは、『フィナーレ』のような「哀しみ」「慟哭」といった”泣き叫ぶようなドラムス”にはならないと思います。

中井さんを失った悲しみを胸にしながらも、還暦を越えて帰ってきたピーが、ステージで見せるドラムスとは・・・。

「中井さん、ありがとう」

そんな感謝の気持ちを込めた演奏ではないでしょうか。
そして、イカした”陽気なドラマー”ピーを復活させてくれることでしょう。
歌詞に語られる通りの、希望に満ちた「誓いの明日」・・・タイムリーなファンの先輩方ですら初めて体験する、明るく元気なナンバーとしての、「誓いの明日」。

不肖・新規ファンであるDYNAMITEの予想演奏順は、アンコール前の、本割大トリでございます!

それでは、オマケです~。
今回は、40年前の1月24日に、哀しみと希望の入り混じった中、「明日」に向かって旅立った後期タイガース・メンバーそれぞれのショットを。
2011年9月8日、中井さんの魂と共に、41年後の2012年1月24日・日本武道館という新たな「明日」に向けて、今度は希望だけを胸に、いよいよ始動するメンバー達。

シロー、一緒にスタートを切ろうと、みんなが待っていますよ!
トッポ、今は離れていても、同じ「明日」に向かっていると信じていますよ!



File0693_2   

(本文抜粋)
GS界のプリンスとして、不動の人気を誇るジュリー。だが、きみの花園にもそろそろきびしい風が吹きつけようとしている。そうだジュリー、いまこそ出発のときなのだ。さぁ出かけよう。新しい未来へ!

GSブームにも翳りが見えていた頃だったのですね・・・。


File0652


File0692 


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File0682_2


それぞれの胸に、中井さんの魂を宿して・・・。
新たな旅立ちの日は、9月8日。

さて・・・次回のお題は「怒りの鐘を鳴らせ」です。
今度は、僕がタイガース・ナンバーの中で一番好きなドラムス・テイク!ということで、またまたピーの話をたくさんします。
ゴールが見えてきたことですし、次回のオマケは、スキャンしまくった『近代映画』画像の中で、ピーが単独で写っているショットをこの際全部貼ってしまおう、と考えております。
どうぞお楽しみに~。



♪ 夏が終わるまで・・・あと2曲!

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2011年8月21日 (日)

ザ・タイガース 「僕のマリー」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1967、single
セットリスト的中自信度=★★★★★

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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(いきなり註:昨夜遅くに、誤って下書き段階で15分ほど未完成の記事を晒してしまいましたが・・・ご覧になってしまった方はいらっしゃるかな・・・?)

ということで、初日のチケットが届きました。
昨年”トチリ席”というフレーズが一部で流行いたしましたが、今回僕の周囲のジュリーファンのみなさまがかなりの確率でゲットしたお席地帯は、しょあ様によって新たにこう命名されました。

”浅き夢見し席”

心ときめく響きではないですか!
ときめきと共に、少しばかりの切なさも込められていますね。

要は、1階のず~~~っと後ろの方、ということなんですけどね。当たり前ですが、新規ファンにはこれでも良席、恵まれたと言えるでしょう。
贅沢は申しません。

ただ1点。
僕のお席は通路からは左右とも遠く離れた密集地帯ですから、「シーサイド・バウンド」のステップを踏むのはちょっと無理そうです。
それだけは、無念ですが・・・。

無事に初日の入場権が確定し、いよいよ、いよいよです!拙ブログのセットリスト予想シリーズも、もう残すところ本命ナンバー連発ですからね。
一層気合を入れてまいります!

それでは本題です。
先日、ピーのサイトで、中井國二さんへの追悼のメッセージを読みました。
”タイガースのみんながどれだけお世話になったかわからない”(ピーの言葉です)大切な人を失った大きな悲しみが伝わってきました。
中井さんのことをよく知らない、新規ファンの僕ですら、涙をこらえなければなりませんでした。

タイムリーな世代のタイガースファンの先輩方から、拙ブログにコメントを頂いたり、他のサイト様、ブログ様で中井さんへの言葉を拝見すると、中井さんは本当にタイガースにとって特別・・・いや特別以上の存在だったんだなぁ、ということが分かります。

今日は、追悼の意を込めての記事更新です。予定していたお題の更新順序を変更させて頂きました。

予定では、今日21日に「怒りの鐘を鳴らせ」、24日に「誓いの明日」、27日に「僕のマリー」と更新していくつもりでした。
(で、30日が最後の1曲・・・バレバレかな?)
急遽、「怒りの鐘を鳴らせ」と「僕のマリー」を入れ替えます。
今日、まずはタイガースのデビュー曲、中井さんにとっても変えがたい思い出のあるであろうファースト・シングルの記事を書き、続けて次回24日(告別式が行なわれる日だそうです)、タイガース解散直前のラスト・シングル「誓いの明日」の記事を書く・・・中井さんについて知識の少ない僕は、せめてこのような更新順にすることで、僕なりの哀悼の気持ちを表したいと思っています。

ということで、中井さんの尽力によって無事”ルックスにマッチした正統派のデビュー曲”となった「僕のマリー」を、心を込めて、僭越ながら伝授いたします!

『ジュリー祭り』で本格的にジュリー堕ちし、ブログに大長文のレポートを執筆したことがきっかけで、後追いの僕に少しずつ、頼れるジュリー人脈というものができてきています。
ほとんどが、僕より目上の先輩方であり、新米の僕をジュリーファンとして見てくださるのがいまだに信じられないような気持ちなのですが・・・その中で、これまで何人かの先輩方から”中井國二さん”のお名前を伺い、お話を聞かせて頂きました。

ちょうど僕がジュリー堕ちした時期というのが、ジュリーの「Long Good-by」効果が世間に浸透していたタイミングだったのでしょうね。
あの前人未到の還暦ロック・ライヴを機に、新たなジュリーファンが増え続ける一方、先輩方の心に「タイガースへの期待」が実感を伴ってハッキリと根ざしていた・・・そんな時期でもあったわけです。
先輩方が「タイガースがね・・・」と嬉しそうに僕にお話をしてくださる中に、何度”中井さん”というお名前を聞いたことでしょう。

「中井さんも入れて、7人でタイガース」
ジュリーがそう言っていたんでしたね・・・。
そのタイガースのデビューシングルとあらば、これはもうジュリーにとって特別な曲。発売日に自らレコードを購入したという逸話は、あまりにも有名ですよね。

そんなジュリーの「僕のマリー」に対する”特別な曲”という思い・・・それを証明しているのが、『ジュリー祭り』のセットリストだと言えないでしょうか。
これは、最近お世話になっているJ先輩・ちこ様が以前から仰っていたことで、要は、ジュリーがあのドーム興行で何故「僕のマリー」を歌わなかったのか、その理由は・・・ということなんですけど。

トークショーで語られたように、ジュリーは長年かけて、”タイガース再結成”の構想を持ち続けていたようです。
とにかくジュリーという人は、「先々にまで構想力を持つ」ということにかけては、特殊なアーティスト。耐久性にしろ積極性にしろ、エンターテイナーとして抜きん出ています。
ですから、『ジュリー祭り』よりもずっと以前から、タイガースのことも考えていたはずですよね。

そして、中井さんの尽力もあって、それが少しずつ形を現しはじめた・・・そんな中で自身が還暦を迎えた折の『ジュリー祭り』で、ジュリーは「僕のマリー」を封印したわけです。
これはもう、ちこ様の仰るように、”もうすぐやってくるタイガース復活のためにとっておいた””タイガースで歌うことに意義のある曲と考えた”に違いないと思います。

今回のツアー、残念ながら完全な形でのタイガース復活ではありません。ジュリーも”タイガース”を名乗ることはしませんでした。
しかし、サリーがいて、タローがいて、何よりピーが復活していて、しかも演奏曲目すべてタイガースのナンバーとくれば、「僕のマリー」にかけられた封印は解かれるでしょう。
そう、今回のツアー・セットリスト・・・「僕のマリー」を、不肖DYNAMITE、自信満々の星5つ予想とさせて頂いていますから!

さて、僕はこれまで数多くの先輩方から、中井さんとタイガースについてお話を伺ってきましたが、中でも一番心に残る、と言うか驚愕の思いで聞いていたのが

中井さんがタイガースのマネージャーでなかったら、タイガースのデビュー曲は
「夜霧のガイコツ今晩は」
になっていた可能性が高い

という、昨年の夏にいわみ先輩から伺ったお話。
つい先日、Rスズキ様もこのお話をブログで紹介してくださっています。

どう思われます?
「夜霧のガイコツ今晩は」ですよ・・・。

いやいや、僕としてはまぁ、それもアリです。僕はちょっとユーモラスなコミック・ソングであっても、詞曲一体となり素晴らしいアレンジと入魂のヴォーカルがあれば、それはそれで大好物なのです。
タイガースならば、その点はクリアーできたはずです。

しかし、歴史は多少変わったかもしれませんね。

例えば僕は今回のツアー、「僕のマリー」をセットリスト1曲目と予想していますが、それは何といってもタイガースのデビュー・シングルである、という歴史的事実を重要視したものです。
ですから、中井さんがいなければそれが「夜霧のガイコツ今晩は」にとって代わっていたかもしれないんですよ・・・。

まもなく開演・・・ステージに楽器を持った人影が見え隠れし、ややあって突如「バ~ン!」と照明がステージに当たる。
ドラムスのピーがいる、ベースのサリーがいる。
興奮の坩堝、響き渡る乙女の嬌声。
そんな中、始まる1曲目は。

「夜霧のガイコツ今晩は」

いくらイイ曲であっても、大名曲であっても、それは・・・どうなんでしょ・・・?

中井さんは、タイガースと寝食を共にし、練習風景を見守り、対話を重ねていく中で、タイガースに「本格派のバンド」を見出していたのでしょう。人気だけではない、名実ともにナンバー・ワンのバンドを・・・。
タイガースのファースト・シングルが「夜霧のガイコツ今晩は」に決まりかけた時、中井さんは首をかけて会社に直談判なさったそうです。中井さんもまた、理念に燃える若者であり、タイガースの一員だったということです。
おそらく、「彼らにはもっとふさわしいタイプの曲があります」と主張なさったのでしょうね。

そんな経過を経て、本当に申し分のない楽曲が、タイガースのデビュー曲となりました。
橋本さん作詞、すぎやま先生作曲。
まだ何のセールス実績も持たなかった若いバンドにとっては贅沢とも言えるほどの渾身のポップス・ナンバー、それが「僕のマリー」なのです。

では続きまして、中井さんの持つ彼等タイガースのイメージに、きっとピッタリだったでしょう・・・正統派のポップスであり、洋風ロック・テイストもあり、万人の好みに訴える王道のコード進行あり、という丁寧に練りこまれた名曲「僕のマリー」の楽曲構成を紐解いてみましょう。

Mymary


深夜放送ファン・別冊 『沢田研二のすばらしい世界』より

すぎやま先生はまず、当時の洋楽ロック・バンドの波を踏まえた上で、その踏襲にあたり、どういったタイプの曲が日本人のリスナー向きなのか、とお考えになったのでしょう。
先生が導き出したのは、「短調のミディアム・テンポ」と「クリシェするコード進行」の合わせ技であったと推測できます。

”クリシェ”とは、音が少しずつ下降していく進行のことで、「僕のマリー」で言いますと

♪ ぼくが       マリーと
    Em  Emmaj7  Em7  Em6

  逢っ        たの  は ♪
   Am  Ammaj7  Am7  Am6

このAメロ部にて、「これでもか!」という2段活用で取り入れられています。
まずはEmを軸として、次章ではAmを軸として、それぞれ構成和音のうちひとつの音が半音ずつ下降していくのです。
わかりやすい音階並びで表記しますと

Em=「ミ・ソ・シ・
Emmaj7=「ミ・ソ・シ・レ#
Em7=「ミ・ソ・シ・
Em6=「ミ・ソ・シ・ド#

Am=「ラ・ド・ミ・
Ammaj7=「ラ・ド・ミ・ソ#
Am7=「ラ・ド・ミ・
Am6=「ラ・ド・ミ・ファ#

それぞれのコードの和音で4つ目に表記している音が、半音ずつ下降していることが一目かと思います。
これこそ、「僕のマリー」ですぎやま先生が取り組んだ「日本人万人に受け入れられるコード進行」・・・”泣きの進行”なのです。

和音でそうするだけでなく、下降していく1音を、イントロでのリードギターやAメロ部「フランス人形 抱いていた♪」の箇所から噛み込むタイガース・メンバーの美しいコーラスでも強調していますね。
このクリシェするコーラス・ワークは、ビートルズのオハコでもあります。
すぎやま先生もそれは意識していたでしょう。「僕のマリー」の場合は、「フィクシング・ア・ホール」に近いかな。
ストーンズにはこの手のコーラスは見られないのです。タイガースのメンバー自身はさほどでなかったのかもしれませんが、すぎやま先生をはじめとするスタッフは、タイガースにビートルズを重ねて楽曲戦略を進めたようですね。

橋本さんの詞もまた、洋楽の踏襲の中に「日本で支持される」要素を丁寧に紡いでいますね。
語感、そしてすぎやま先生渾身のシンコペーション・メロディーへの言葉の載せ方。細部にまでアイデアが詰められ、適当に流れに任せたような安易な箇所はひとつもありません。

あと、”マリー”というフレーズは、例えば”ジュディー”よりは邦楽グループの楽曲タイトルとしてインパクトがあるわけです。
何故なら、洋風の響きをたたえつつも、日本語的なニュアンスで何となく馴染みやすく、自然な名前・・・そして明らかに女性の名前だ、と誰しもがわかりやすいですからね。
何より、上品ではないですか。
オンナノコをくどく、という下世話なイメージが、タイガースにはまったく感じられないんですよね。それは「僕のマリー」で決定づけられた彼等の特性・・・圧倒的な”気品”のなせるところだったのでしょう。

その”気品”を、中井さんはデビュー当初からタイガースに感じとっていたのかなぁ。

中井さん、どうぞ安らかに・・・。
中井さんがいなければ実現できなかった、秋からのツアー。新規ファンとして、中井さんとタイガースが作り上げてきた伝説の楽曲の数々を、僕もツアー初日から体感してきます。
きっと中井さんも会場の何処かで、ステージのメンバーをご覧になっていると信じます。
毎回ジュリーのLIVEで空席を見かけたら悲しい気持ちになるけれど、今回は、そこに中井さんがいらっしゃるんだ、と思うことにしますね。

それでは、オマケです~。
7月から続いてまいりました、”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”ですが、トッポ在籍時の前期タイガースのお題は、今回の「僕のマリー」で最後となります。残る3曲はすべて、シロー在籍期のナンバーです。
(「君だけに愛を」「花の首飾り」などは、来年書きますからね~)

そこで、今シリーズでオマケ添付しております『近代映画』からスキャンした画像で、数少ない初期タイガース時代のショットをここですべて貼っておきます。
トッポがあまり映っていないのが残念ですが・・・。



File0685

File06262


File0675

(本文抜粋)
●タイガース・メモ
昭和40年12月、京都のジャズ喫茶「田園」で、五人の若者が顔をそろえました。
岸部おさみ(本名・岸部修三)、森本太郎、加橋かつみ、瞳みのる(本名・人見豊)、そして沢田研二。
岸部と人見と森本は、同じ北野中学で勉強した仲間。とりわけ岸部と人見はどちらも水泳部に所属して泳ぎまわった親友同士でした。
森本と人見の関係はさらに古く、学校前から。家が近所だったので、よくいっしょに遊んでいました。仁和小学校では、森本が一年先輩。
高校は、岸部が伏見工業高校、森本が立命館高校、瞳が山城高校と別々のコースを選びましたが、中学いらいの友情はあいかわらず。
このころ知りあったのが、山城高校の定時制にいた加橋です。
加橋は昼間自動車修理工として働きながら、日曜日ごとに関西合唱団でコーラスの練習に励んでいた音楽好きの青年。おりしも、ビートルズ旋風がようやく日本にも吹きまくりかけたころ。昭和40年1月、大阪のフェスティバルホールで行なわれたベンチャーズの公演を、四人の仲間がそろってききに出かけました。
大感激。たちまち、「ぼくらもエレキ・バンドをやろう」と衆議一決。さんざん楽器集めに苦労して、ようやくバンド結成に漕ぎつけたのでした・・・。

関西から上京。ブルコメ、スパイダースらの先輩に追いつこうと懸命だった”若虎たち”のファイトにあふれたステージ。

『ダイナミックな男の整髪料 バイタリス』
広告看板がとても気になります。
最近自らの抜け毛の驚くほどの多さにビビりまくっているDYNAMITEなのです・・・(涙)。
にしても、タイガース・メンバーの毛髪力は還暦を越えてもなお、凄いですね。お一人を除いて・・・ですが。



File06762

『11thナイター』・・・って、何ですっけ・・・?


File0627

(本文抜粋)
東北公演の一日、宿屋で囲炉裡をかこむメンバーたち。都会ッ子ぞろいのタイガースには地方公演は楽しい経験の連続でした。珍しい郷土料理に舌鼓を打ったり、美しい風景を眺めたり。

食べ物を前にすると、グッと真剣な表情になるジュリーです。タイガース時代からそうだったんですねぇ・・・。

さぁ、次回のお題は「誓いの明日」です。
更新予定の24日は、中井さんの告別式。
これから、ひとまず武道館という”明日”に向かって走り始めるタイガース。彼等ひとりひとりの胸に、中井さんの魂が宿っていることでしょう。

僕は、ピーについて”その時の気持ちがそのまま音に反映されるドラマー”だと考えています。
「誓いの明日」の記事では、楽曲の考察ももちろんですが、『フィナーレ』での、”泣き叫ぶような”ピーのドラミングについても、大いに語ろうと思っています!



♪ 夏が終わるまで・・・あと3曲!

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2011年8月18日 (木)

ザ・タイガース 「モナリザの微笑」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1967、single
セットリスト的中自信度=★★★★★

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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さぁ、9月8日に国際フォーラムにて初日を迎える『沢田研二 LIVE2011~2012』、セットリスト予想シリーズ、別名”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”と題して7月から続けてまいりましたが、いよいよ残すところあと5曲となりました。

僕があと5曲の記事を書いたら、8月も終わるのです。
そうしたら、あとは指折り数えて初日を待つだけ・・・。ツアーが始まってしまえば、一気にタイガースファンの空気も変わることでしょう。
僕としては、もうひとふんばり。

ここまでの記事では、おもに僕が執筆衝動に駆られた曲をランダムに採り上げてまいりまして、セットリスト予想としてはいかがなものか、といった曲についてもたくさん書いてきたわけですが、ここからのラスト5曲はね、バシッと当てに行きますよ!
この曲は外せない、と誰しもが考える超・有名なタイガース・ナンバーを連発いたします。

まず今回は。
美的センス・ゼロの僕には全然分からないことながら、多くの先輩方がその衣装・ひいてはメンバーの王子全開のたたずまいにノックアウトされ、タイガースの名を一躍不動のものとした伝説的なナンバーを採り上げます。
大ヒットしたサード・シングル。この曲でタイガースに、ジュリーに堕ちた、と仰る先輩方の何と多いことか・・・。
「モナリザの微笑」、僭越ながら伝授です!

まずは、いきなりで恐縮ながら、この新規ファンにご教授いただきたい件がございます・・・。
この曲、「モナリザの微笑」と、平仮名の「み」を末尾につけて表記なさっている先輩方が多いんですよね。しかも、タイガースについて並々ならぬ思いをお持ちの先輩方が、そう表記していらっしゃることが多いように感じます。

僕は以前に「素晴しい旅行」を「素晴しい旅行」、「廃虚の鳩」を廃の鳩」と誤って覚えてしまっていた前科がありますから、「モナリザの微笑」についても色々と調べてみたんです。
『シングル・コレクション』の表記は「モナリザの微笑」だとしても、シングル盤のジャケットには「み」がついているんじゃないか、とか・・・。
でも、どうにもハッキリ分かりません。
みなさまが「微笑み」とお書きになる重要な根拠を、僕はいまだに知らずにいるのではないか・・・そう思うといささか不安です。
どうかこの機に、不肖後追いファンにその辺りのいきさつを教えてくださいませ~。

そうそう、相当にGSに詳しい先輩が選曲したのでは、と思われる手元のスコア『60年代グループ・サウンズ・ファイル』でも


File0689


しっかりと、「み」がついてるんですよね・・・。
手持ちの他のスコアは、各社「微笑」で統一されているのですが。

Monalisa


ドレミ楽譜出版社・刊 『日本のフォーク&ポップス大全集①』より


Monalisa2


深夜放送ファン・別冊 『沢田研二のすばらしい世界』より

ちなみに『60年代グループ・サウンズ・ファイル』というスコアでは、「廃虚の鳩」も正しく「虚」で表記されています。
巷の正規CD、書物などですら「墟」があふれかえっている中で、このスコアは厳然とそう表記してあるくらいですから、やっぱり「微笑み」の表記にもそれなりの理由があるんじゃないかなぁ、と思ってしまうわけですよ・・・。

さて、後追いの僕がタイガースの勉強をしていく中で、すぐに「王子」というキーワードを知りました。
まったく違和感なく僕も「王子」を受け入れましたが、僕の場合はすべて楽曲からイメージ判断をしてしまう傾向があってですね・・・「王子」=「星のプリンス」だと考えたわけです。

しかしどうやら世間では「王子」=「モナリザの微笑」のようで・・・。

「どのへんが?」とカミさんに尋ねますと言うと、「まずは衣装が」と。
「どんな衣装だっけ?」とさらに尋ねますと・・・「話にならん!」と怒られました。
ハイハイ、どうせそうですよ・・・。

ただ、よくよく考察してみますと、当然ながら「モナリザの微笑」の曲調にも”王子”的な要素は多く含まれています。
そして、ジュリーにもそんな意識はあったようですね。

ファースト・アルバム『THE TIGERS ON STAGE』のジュリーのMCにそれが垣間見られます。
このライヴ盤では、タイガースの演奏するオリジナル曲はまだ3曲しかありません。「モナリザの微笑」演奏直前に、その3曲についてジュリーがこう語っています。

「僕のマリー」は、甘く悲しい感じで。
「シーサイド・バウンド」は、楽しい感じで。
・・・そして今度(「モナリザの微笑」)は、ぐっと気取った感じで歌います!

と。
ジュリーやタイガースにとって、「モナリザの微笑」って”気取った曲”だったんですねぇ・・・。
サリーは最近のインタビューで、好きなタイガース・ナンバーとして「モナリザの微笑」を挙げていましたが、そういうところが好きだったのかな・・・?

ところでこの「モナリザの微笑」ですが・・・どうもレコードの演奏はタイガースではないような気が。
すさまじくカッチリしてるんですよ。
そう考えるきっかけとなった楽器は・・・あの有名な電気ハーモニカです。
『THE TIGERS ON STAGE』では間違いなくタローが吹いているんですけど・・・実はこのテイク、レコード音源とはキーが違うんですよ!

レコード(オリジナル音源)は

♪ シド#、レ~、ド#シ、ラ#~ド#~シ~♪
  Bm                        F#7            Bm

で、ロ短調。
一方これが『ON STAGE』になると

♪ ドレ、ミ♭~、レド、シ~レ~ド~ ♪
  Cm                     G7        Cm

で、ハ短調です。

『ON STAGE』の時点では確か、「モナリザの微笑」はバリバリの新曲ですよね?
にもかかわらず、LIVEではオリジナル・キーより半音上げて演奏されているのです。
ピ~ンときましたよ。ロ短調とハ短調では、ハーモニカの演奏難易度が全然違いますから(電気ハーモニカのあの巨大さ加減を見ると、形状はおそらくブルース・ハープではなく複音ハーモニカの構造ですよね・・・?)。
ロ短調だと、とにかく吸って、吸って・・・しかも上段下段行ったり来たりの演奏になります。これはキツい!
対してハ短調の場合は、最初と最後が「ド」で”吹く音”というのがまず楽ですし、上段への移動は、1度だけ登場する「ミ♭」だけです。

電気ハーモニカではなくオルガンをフィーチャーした『フィナーレ』での「モナリザの微笑」テイクは、オリジナルと同じロ短調で演奏されていることから、『ON STAGE』でのキー移調が、タローのハーモニカに留意したものであることは間違いないように僕には思われます。

当時は、LP収録時間をかせぐためにピッチを上げてレコードをプレスするというとんでもないことも行われていたそうですが、『ON STAGE』はそうではありません。「シーサイド・バウンド」で確かめたところ、レコードと同じホ長調になっていましたから。
ですから、「モナリザの微笑」については敢えてキー変更して演奏されていることが分かるのです。

その分、『ON STAGE』の「モナリザの微笑」は、レコードとは違うタイガースならではの演奏の楽しみも多いんですよ~。

僕がイチオシしたいのは、トッポのギターですね。
すごく丁寧に練られたフレーズを弾いています。オリジナル音源のストリングスの音階をきちんと網羅しているんですよ。
初期のタイガースについては、まずレコードのアレンジをきっちりと練り、その上で「バンドではこんなふうに演奏して」というすぎやま先生の指導があったのではないでしょうか。

ギターのスキルについてあれこれ言われることの多いタイガースですが、「モナリザの微笑」のLIVE音源を聴くと、まず楽曲として適切な演奏を志していることがよく分かります。上手さをひけらかしてアレンジを台無しにするようなことが皆無なのです。このLIVEテイクのトッポのギターには、ストイックなまでの折り目正しさがありますよ!
それこそ、タイガースの最大の魅力である「気品」へと繋がりますし、他でもない、”王子”をイメージづけた「モナリザの微笑」の初期の演奏でそれが証明されているのですね。

それは、ジュリーのヴォーカルに対しても同じようなことがあったのでしょう。「モナリザの微笑」で最も印象深いヴォーカルは

♪ ぼくはあの娘の 心が欲しい ♪
     G      F#7         Bm       F#7

の「欲しい~♪」を少し大げさに、慟哭系で歌う箇所ですよね。そういうふうに歌って、とすぎやま先生から言われていたんじゃないかな・・・。
だから、冒頭Aメロの

♪ 雨がしとしと日曜日 ぼくは一人で ♪
        Bm   A       G  F#7   Bm     Gmaj7 

を、抑え気味にしてサビとの変化をつけようという作戦なのでしょうか。
そうして鍛えられていったジュリーのヴォーカルが、『JULIEⅡ』収録のすぎやま先生の作曲作品「嘆きの人生」で、逆に先生を唸らせるほどに成長するんですよね~。

ところで、「モナリザの微笑」はまず今回のセットリストに選ばれることは間違いないと思いますが、僕はピーのドラムスにも大いに注目しています。
エンディングで、タメにタメて歌われる

♪ あの娘の笑顔待っ          ている~ ♪
     Bm       Em   Bm(onF#)  F#7 Bm  A  G 

のトコで、それまではどちらかと言うと黒子に徹してきたドラムスが、ビートルズの「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」ばりの豪快なフィル・インを炸裂させるのです。
『ON STAGE』での素晴らしい演奏が再現されるんじゃないかなぁ。

実は、ピーのドラミングは『ON STAGE』と『フィナーレ』ではずいぶん違うのです。
『フィナーレ』の方が圧倒的に手数が多く、そのぶん暴走もしています。J友・YOKO君の言葉を借りますと、それが凄まじくロックを感じさせるところでもあるんですけどね。
「自分の音楽人生はこれで最後」という悲壮な決意がそうさせたのでしょうか・・・泣き叫んでいるようなドラムスなんですよ。
例えば「モナリザの微笑」は、リムショットやスネアにボサノバ風のタイミングで打つ箇所があるとは言え、どう考えても基本的にはエイト・ビートの曲なのですが、『フィナーレ』でのピーのドラムスは、エイトビートを大きく逸脱して、キックとスネアが飛び跳ね、16ビートの激しいニュアンスになっています。
このような『フィナーレ』でのピーの激しいドラミングについては、次回、次々回と続けて、別の曲のお題で詳しく語る予定でいます。

ただ「モナリザの微笑」に関しては、『ON STAGE』のような希望に満ち溢れた、悲しいメロディーであってもどこか陽気なドラムス、というのがピタリと合っていると思いますので、きっと今回のツアーではそんな演奏が聴ける、と楽しみにしているところです。
ピーは、気持ちが正直に音に出るドラマーだと僕は考えていますから・・・。
その辺りのお話も、次回の記事で、ね。

それにしても・・・改めてオリジナル音源を聴きかえしてみますと、電気ハーモニカって凄い楽器ですよねぇ。僕は実際に見たことも聴いたこともなかったのですが、音域の広さにまず驚かされます。
「モナリザの微笑」のラストのフレーズ・・・初めて聴いた時に「低っ!」とひっくり返ったっけなぁ。いかにも、音出すのが大変そう・・・。

『ON STAGE』でのタローの演奏は、その部分を中音域のリフレインにしていますね。
ジュリーもラジオでチラッと言ってましたが、やっぱりこの曲、レコードは別の演奏者なのかな。

それでは、オマケです~!
今日は、前期タイガースのショットを3枚お届けいたします。



File0676

(本文抜粋)
「華やかなる招待」の撮影がやっとクランク・アップして、スタジオでお餅つき。(昨年12月、東京映画スタジオで)

File0690


File0626

一番下の写真・・・左端は、吉永小百合さんです。
みんな、美女を目の前にして照れてるの?何処を見ているのでしょうか・・・?


あと、タイガースに関係のない、オマケのオマケ。
手元の『近代映画』の巻末に、たまたまアダムスの記事を見つけましたので貼っておきます。


File0702

誰が誰やら僕にはサッパリなのですが・・・写真から推測しますと、中央で梯子に足をかけているのが、”ジュリーの影武者”さんなのかなぁ。



☆    ☆    ☆

場所なき場所、時間なき時間・・・。
遥か人智を凌駕するその地の厳かな空気が今、ひときわゆらめいた。洋風の帽子を被り、、脚が長く、渋みばしった美しい顔の痩身の男が姿を現す。

「ここは・・・」
男は不安げに辺りを見回す。

・・・と、雛菊の咲き乱れる左手のあでやかな空間に、一人の小柄な老人がひざまずき、こちらを見つめているのに気がついた。
明るい表情をした老人はおもむろに立ち上がり、口を開いた。

「中井殿。お待ち申しておりました。沢田殿に深いご縁のあるお方・・・丁重にお出迎えするように、若から申しつかっております」

「私の名前をご存知・・・こ、ここは一体・・・。そしてあなたは?」

「私のことは気兼ねなく”爺”とお呼びください。何も心配はありませぬぞ。この大霊界に不自由なことなどありません」

男はハッと顔を上げ

「霊界・・・死後の世界・・・そうなのですな?この花の咲き誇る場所は・・・。あぁ、私は死んでしまったのか。もう彼らに会えないのか」

と、嘆くように言った。
すると”爺”はいきなり大声で

「どんなに、遠く、離れて、いても♪」

と、耳慣れた歌の一節を歌い、男を正面から見つめた。

「確かにもう、彼ら・・・タイガースのことですな?中井殿と彼らが肌を触れ合うことはしばらくの間ございますまい。しかし、この爺にお任せあれ。これから始まる彼らのステージ、ツアーの先々まで飛んでゆき天から見下ろすことは、こちらの世界では、造作もないこと・・・。すべてのステージを、必ずやこの爺がご案内さしあげますぞ」

「観れるのか・・・観れるのですな、私が待ちに待ったステージを、この目で・・・?」

「そう、すべてを・・・必ず」
爺は力強くうなずいた。
「ささ、中井殿。まずはごゆるりと。そうそう、実は若から・・・あぁいや、”若”というのは今度のツアーでタイガースをバックアップするギタリストのことですが・・・その若の隙をついて、この爺、密かにツアー・セットリストのメモを入手しております。ゆっくりとご覧になってくだされ」

爺から1枚のB5用紙を受け取った男は、目を通すなり
「おぉ・・・素晴らしい。えっ、この曲もか?やるなぁ、みんな・・・」
と涙を流しながら、そのままいつまでも”伝説の27曲”の実現に思いを馳せるのであった・・・。

☆    ☆    ☆

突然、大変失礼いたしました。
思わず、『DYNAMITE-CANDLE』の2本目を灯してしまいました。
(最近になって拙ブログへお越しの読者のみなさま、ワケわからなくてすみません・・・)

タイガース初代マネージャー、中井國二さんのご冥福を心よりお祈り申しあげます。

思えば、2009年のツアー『PLEASURE PLEASURE』初日開演前に、僕が初めてご挨拶させて頂いたジュリーファンの先輩が、食事をしながら、何も知らないこの僕に丁寧に中井さんのことをお話してくださいました。
「あの中井さんが水面下で動いている」という情報が、タイガースファン、ジュリーファンにとってどれほど胸躍ることだったのか・・・今、僕はそんなことを噛みしめています。

中井さんが見たかったのは、ちょうど「モナリザの微笑」の頃のタイガースの演奏じゃないのかなぁ・・・。



♪ 夏が終わるまで・・・あと4曲!   

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2011年8月15日 (月)

ザ・タイガース 「忘れかけた子守唄」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968
セットリスト的中自信度 ★★☆☆☆

Human


1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

暑いですね~。

とは言え8月ももう半分が過ぎようとしているところ。『沢田研二 LIVE2011~2012』、その初日・国際フォーラム公演まで、本格的なカウントダウンの季節になりました。
各地のタイガースファンのみなさまの間で突如セミフェチが急増する中(DYNAMITEは元々昆虫フェチです。ファーブルはセミを食べたことがあるってご存知ですか?)、いよいよツクツクホウシも鳴きはじめました。
本当にもう少しです!
初日のチケットは、まだかなぁ・・・。

さて、今日のお題に入る前に、タイガースについて最近「そうだったのか~」とあれこれ考えていることを、少し書いておきます。

今回はとにかく、ピー、サリー、タローがジュリーと共にステージに立つ、ということで、タイムリーなタイガースファンの先輩方から、あちらこちらのブログ様やそのコメントにて、僕がこれまでまったく知らなかった色々な想い出を語ってくださっています。
僕が一番驚いているのは、タイガースのカバー曲のレパートリーの豊富さです。

僕の場合は、まずビートルズ抜きに自分の音楽生活を語れないという背景がありまして、まぁビートルズの曲はすべて歌えますしスコアも頭に入っているくらいなのですが、タイガースはとてもマニアックなビートルズ・ナンバーを多く演奏していたのですね~。
最近知った、”タイガースがカバーしていたビートルズ・ナンバー”の中で、僕が思わず涎をたらしてしまったベスト3は・・・。

第3位・・・「オクトパス・ガーデン」
リンゴ・スターのペンによるこのナンバーを、シローが歌っていたとは。
シローとリンゴのヴォーカルで共通点を挙げるなら、どちらも良い意味で「トボケた味」を武器にしていることでしょうか。
あと、この曲のリード・ギターは、弾いていてとても気持ちが良いのです。指さばきの難易度は高くないけれど、エモーショナルに弾くことがポイント。タローが颯爽と弾いていたんでしょうね・・・。

第2位・・・「ザ・ナイト・ビフォア」
タローが歌っていたそうですね~。タローと言えば先日「今日の誓い」を持ち歌にしていたのは最高に渋い!とブログに書いたばかりなんですが、この「ザ・ナイト・ビフォア」はさらに渋い!
「今日の誓い」と同じく、初期ビートルズ、ポール・マッカートニーのペンによるナンバー。
「ザ・ナイト・ビフォア」の肝は、何と言っても追っかけコーラス。ジュリー、トッポの2人でやっていたのかと思うと、萌えまくりです。

第1位・・・「アイム・オンリー・スリーピング」
これはブッ飛びました。
ビートルズ・ナンバーの中で5本の指に入るくらい大好きな曲(あとは、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」とか「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」とか・・・全部ジョン・レノンの曲ですね)。
これを、ジュリーが歌ってたそうですね!
何やら、眠そうな仕草入りだったとか・・・くぅ~・・・観たい、観たいです!
間奏の逆回転ギターはどうしてたんだろ?トッポがガレージっぽい音で弾いていたのかな・・・。

まぁ、上記3曲含めて、あまり有名でないビートルズ・ナンバーはさすがに今回のツアーでは聴けないとは思いながらも、改めて当時のファンの先輩方をうらやましく思った次第です。

それでは本題。
記事内容は楽曲考察に終始しますが、8月15日という日にこの曲を採り上げるのは、筆者の意思を持ってのことだとお考えくださいませ。
アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』から、「忘れかけた子守唄」、僭越ながら伝授です!

この曲は当初、今回のセットリスト予想シリーズに執筆する予定はありませんでした。トッポが参加しなければ成立しない曲だと思ったからです。
Aメロ=ジュリー、Bメロ=トッポ、サビ=コーラスという、ハッキリしたヴォーカル構成。これはさすがにトッポ抜きに歌われることはないだろう、と。

今でもその考え自体は変わっていないのですが、急遽、少しだけセットリストに選ばれる可能性も見込んで、星2つの予想にて採り上げることにしました。
何より僕が「そうか・・・」と思ったのは、他でもない、トッポファンのアン様が
「これはタイガースファンなら皆聴きたい曲。全部ジュリーが歌っても良いのでは」
とコメントをくださったのが大きかったです。

以前、『60年代グループ・サウンズ・ファイル』というスコアを拙ブログで採り上げた際に
「アルバムの1収録曲に過ぎない「忘れかけた子守唄」を収載した選曲が素晴らしい」
などと書きましたら、先輩方から、
「忘れかけた子守唄」はアルバムの1収録曲というスタンスを超えて、ファンにとっては外すことのできない重要な曲である・・・
と、教わりました。
LIVEの定番曲としてよく演奏もされていたそうです。
新規ファンの先入観は、このようして少しずつ修正されていくんですね・・・。

「忘れかけた子守唄」はやはり、タイガースファンにとって大事な曲。
どうやら先輩方にとっては、トッポ不在で絶対にやらない、などとは言い切れない重みがあるようです。

さて、先述した『60年代グループ・サウンズ・ファイル』というスコア・・・公平な目で見ますと、「忘れかけた子守唄」の採譜については、グダグダです。
まず、初っ端のキーが違いますし、やっぱりこの曲は全編通してスコアにしないと意味の無い曲なんです。
何故ってこの曲、1番、2番、エンディング・・・それぞれキーを半音ずつ駆け上がるという、滅多に見られない特殊な進行を擁する曲だからです!

聴き取りやすい楽器を例に挙げて説明しましょう。
「忘れかけた子守唄」には、印象的なトランペットの音色がありますよね。イントロで「パ~、パ~、パ、パ~♪」と響く、あの音です。

このトランペットのメロディーは、曲中、3度登場します。
みなさま、全部同じ音に聞こえていませんか?
実はこれが3度ともすべて、それぞれ音階が違うんですよ~。

イントロでは
♪ ドレドラ~、ドレ~、ファ~ファ~
(ヘ長調)

1番が終わると転調し、間奏では
♪ ド#レ#ド#ラ#~、ド#レ#~ファ#~ファ#~
(嬰ヘ長調)

2番が終わってまたまた転調、エンディングでは
♪ レミレシ~、レミ~ソ~ソ~
(ト長調)

ここまでキーが上がります。
転調直後に、イントロと同じフレーズ(音階は異なる)のトランペットを聞かせることで、リスナーは「あれっ、キー変わった?」という違和感からすぐに脱することができます。

ためしに、転調せずにずっとヘ長調のまま最初から最後まで弾き語ってみましたら、少し穏やか過ぎる感じがしました。のっぺりしているんですよ。
「忘れかけた子守唄」という曲は、穏やかなメロディーを擁しながらも、悲劇的な緊張感を表現しなければなりません。やはりこの曲の風変わりな転調構成は、絶対に必要な仕掛けなのでしょう。

ちなみに、”完璧”とまではいきませんが、イントロの表記やコードネームの信頼度など、なかなかおススメの「忘れかけた子守唄」のスコアを最近発見しました。
コレです。


Komoriuta

自由現代社・刊 『哀愁のグループ・サウンズ大全集』より

きれいなメロディーなんですよね。こんなに悲劇的な内容なのに・・・。
俯瞰のAメロは、朗らかな長調。

♪ 兵士の群れが  朝露に消える
  F              Dm  Am     B♭6

  母の姿が 小さ  く残    る ♪
  Gm     C7  B♭  B♭m  F   C7

ジュリーの優しい声がバッチリ合っています。

慟哭のBメロは、平行移調して短調へ。

♪ 母は毎日 稽古をしてる  よ ♪
  Dm      A   A7          Dm  C7

嘆くようなトッポのヴォーカルが胸に響きます。
やっぱりこの曲のAメロとBメロを同じヴォーカリストが歌うというのは・・・どうなんだろう、と僕などは思ってしまうのですが・・・。
でも、ジュリーならばBメロの音域も問題はありません(最高音は高い「ファ」の音です)から、ジュリー一人で歌うことに技術的な壁はなさそうですけどね。

僕にとって『ヒューマン・ルネッサンス』というアルバムは、ジュリーとトッポの2大ヴォーカルを認識した最初の作品。
以来、再結成が実現したらこのアルバムからは・・・と想像をかきたてられてきました。しかし今回、本来なら鉄板予想であるはずの「忘れかけた子守唄」に星2つの期待しか持てないのは残念なことです・・・。
ジュリーはここでも、僕の予想をくつがえしてくれるのでしょうか・・・。

話がヴォーカルのことばかりになってしまいましたが、「忘れかけた子守唄」は、詞曲については言うまでもなく、特にミックス・バランスの素晴らしさが際立っています。
『ヒューマン・ルネッサンス』がリリースされた1968年と言えば、海の向こうでもやっとステレオ・ミキシングが主流となったばかりの頃。
タイガースはこの『ヒューマン・ルネッサンス』において、日本初のコンセプト・アルバムというだけでなく、ミキシングの面でも抜きん出ていて、GSをリードしていたことは明らかです。
だって、同時期のほとんどの洋楽よりキレイなミックスなんですから。そんなバンドが日本にそうそういたはずがない・・・タイガースが特殊であったことは確信できますね。

収録曲の中でもミキシングにおいて優れているのが、「青い鳥」「朝に別れのほほえみを」、そして「忘れかけた子守唄」の3曲だと思います。
それぞれ、楽器編成がまるで違う3曲というのがまた、素晴らし過ぎます~。「忘れかけた子守唄」は、特にストリングスの分かれ方がとても気持ち良いですね。

あと、アレンジで特筆したい楽器がひとつ。
ドラムのマーチング・ロールです。2番の直前、そしてエンディングに登場するあのドラムスが、「忘れかけた子守唄」に不可欠な、”緊張感”或いは”戦場”を聴き手にイメージさせるべく、大きな役割を果たしています。

このドラムス・パターンは、ドアーズのサード・アルバムに収録されている「THE UNKNOWN SOLDIER」というナンバーにも取り入れられています。
こちらも”兵士”が登場する曲。
ドラムスのマーチング・ロールは、そんなコンセプトに合致するアレンジなのでしょうね。

それでは、オマケです~。

ここへきてまだまだ暑い日が続きますが、みなさま夏バテなどしていませんか~?
ジュリーとピーを見習って、キチンと食べましょう。


File06832

スタジオでの音出しリハーサル、秒刻みのスケジュールの中でも食事を怠らないジュリー。
左手に譜面、右手に箸です。
見習いましょう!



File0673

「夏バテにはこれが一番」と、写真下の本文に書いてありました。
お好み焼でエネルギーを補充する、ピー。
見習いましょう!

さらにもう1枚、前期タイガースのショットもどうぞ。


File06162

こんなに屈託のない笑顔のトッポは珍しい・・・?
これは、「はい、笑って笑って」と言われて無理に笑ってる表情ではないんですよねぇ。
ちゃんと、可笑しくて笑ってる・・・。

まるで、カメラの横のスタッフさんのカツラが強風ですっ飛ぶ瞬間を、僕だけはバッチリ目撃してしまいました、みたいな笑顔です~。

さて、いよいよ8月も後半に突入します。
”セットリスト予想シリーズ”と言うわりには、ビミョ~な曲を採り上げてるなぁ、とお思いになりながらここまでおつき合いくださったみなさま・・・。
ここから先は、競馬で言うところの4コーナー曲がった後の最後の直線。8月後半、豪快な末脚をお見せしましょう。
残すお題は、的中自信度にして星5つのナンバーが4曲、星4つのナンバーが1曲。

次回は、服飾センス・ゼロの僕が
「この曲の衣装が覚えられないとは何事だ!」
と、カミさんに怒られたという大ヒット・シングルを、星5つのセットリスト鉄板予想にて、お届けいたします~。



♪ 夏が終わるまで・・・あと5曲!

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2011年8月12日 (金)

ザ・タイガース 「色つきの女でいてくれよ」

from『ザ・タイガース ゴールデン☆ベスト』
original released on single、1982
セットリスト的中自信度 ★★★☆☆

Tigersgolden


1. 僕のマリー
2. シーサイド・バウンド
3. モナリザの微笑
4. 君だけに愛を
5. 銀河のロマンス
6. 花の首飾り
7. シー・シー・シー
8. 廃虚の鳩
9. 青い鳥
10. 美しき愛の掟
11. 嘆き
12. スマイル・フォー・ミー
13. 君を許す
14. 都会
15. 素晴しい旅行
16. 誓いの明日
17. 十年ロマンス
18. 色つきの女でいてくれよ
19. 銀河旅行
20. ラヴ・ラヴ・ラヴ

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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まずは、個人的なことながら、とても残念なご報告から・・・。
先週”在庫あり”のショップさんにネット注文した、トッポ1977年リリースのアルバム『青春の残像』なんですが、ショップさんから

メーカーからの入荷が遅れております

とのメールが届きました(涙)。
密林さんの洋書スコアなどで経験があるのですが、こういう場合、最終的には「入荷のメドが立ちませんのでキャンセルいたします」ってパターンなんですよね・・・。
待つのは平気ですから、何とかそこまで事態が進行しないよう祈るばかりです。

ただ、予定では今回の記事で、アルバムの簡単な感想を少しでも書けるんじゃないかと考えていましたので、その点残念でした・・・。
そんな事情の中、You Tubeで聴いただけの考察にはなるのですが、トッポ(加橋かつみ)のソロ・ナンバーである「ひとり」という曲を知って個人的に考えたことを少しだけ、この機に書いておきたいと思います。

「ひとり」のオリジナル音源リリースは、トッポのソロ・セカンド・アルバムの時だったそうです。
つまり、タイガース時代とのタイム・ラグはほんの少ししかありません。そんな時期に、トッポがこういったタイプの作詞をしていたことが、僕に大きな認識転換をもたらしました。
以下、あくまで個人的な想像です。

「ひとり」は、作詞がトッポ、作曲がタローという楽曲です。
一体いつ頃作られた曲なのでしょう。タイガース時代に下地があらかた完成していた可能性だって、あると思うのです。
もし「ひとり」がそうでなくても、トッポは当時、「ひとり」と似通ったタイプの詞を多く書いていたのではないでしょうか。
それがどういうことを意味するか・・・。

そうしたタイプの作詞作品が、タイガースの曲として候補に挙がった際に、販促的な判断からボツにされてしまっていたのでは・・・?
そんなことを想像してしまいました。

いえ、「ひとり」を知った今、まだ知らぬそれらが素晴らしい詞であったことは確かだと思えるのです。しかし、当時のタイガースの戦略イメージとしてふさわしいかと言えば、それは・・・。
残念ながら、そぐわないんですよね。

タイガースの詞に思想はあっても良かった。むしろ、当時は世界的にも社会性の強い詞が流行していましたから、例えば「坊や祈っておくれ」のようなサリーの詞はタイガースのイメージ的にも歓迎されるところだったでしょう。
でも、トッポの当時の詞は(「ひとり」からの判断ですが)、思想が内を向いていました。内省的とも言えますし、シンプルな言葉の中に強い思弁性をも有していました。
”タイガース的”とはとても言えないんですよ・・・。

「これはタイガースとしてはリリースできない」
と上層部から判断されてしまう・・・そんなことが無かったでしょうか。

もしそうなら、ある意味、当時創作意欲の頂点にあったトッポが、作品発表の場を求めてタイガースとは別の道を歩む決意をしたとしても、それはアーティストとして自然なことではなかったのか・・・僕にはそんなふうに思えてきたのです。

まぁこれは僕の勝手な想像ですし、何をどう考えても歴史は変わりようがないですから、このお話はここらで止めておきますが・・・。
「ひとり」というナンバーを知ったことにより、僕の中にあった”トッポ”のイメージが大きく変わったことだけ、少し書いておこうと思った次第です。

それでは気を取り直して。
今日は、タイガース同窓会音源から、そのトッポがリード・ヴォーカルをとって大ヒットしたシングル・ナンバー「色つきの女でいてくれよ」を採り上げます。
僭越ながら伝授~!

この曲については、現在鋭意進行中の『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想シリーズ、別名”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”にて、当初から採り上げる予定でいました。
でも、的中自信度は星ひとつの予想・・・つまり、トッポ不参加のツアーではまずやらないだろう、と考えていたのです。

しかし、「朝焼けのカンタータ」の記事を書いた際にみなさまから頂いたコメントを拝見して、予想は星3つへと変わりました。
そうだ・・・この曲はトッポのリード・ヴォーカルという以外に、タイガースが誇る作曲家・タローにとって大切な大ヒット曲、代表作という要素があったんでしたね。
すっかりその点を失念していました。

ジュリーのトークショー情報によりますと、サリーはリード・ヴォーカルに尻込みしているようですが、タローとピーについては「歌う気満々」とか。
こりゃ、充分ありますよ。今回のツアーで、タローのリード・ヴォーカルをフィーチャーした「色つきの女でいてくれよ」が披露される可能性が・・・。

「色つきの女でいてくれよ」は、数あるタイガース・ナンバーの中で唯一と言っても良いかもしれない・・・僕にとってはちょっと特殊な曲だったりします。
それは、ヒットしていた時期にタイムリーで普通に大好きで、日常普通に口ずさんでいた曲、ということ。
多くの先輩方がすべてのタイガース・ナンバーに抱いている感慨を、僕はこの曲にだけは辛うじて持てるんですよ。

ジュリー堕ち当時の僕は、タイガース同窓会期と言われても、「十年ロマンス」をほとんど覚えていない、「銀河旅行」についてはまったく知らない、アルバム『THE TIGERS 1982』の存在すら知らない・・・そんな状態でした。
でも「色つきの女でいてくれよ」だけは、あの頃からずっとメロディーを忘れたことがなかったですし、「好きな曲」という自覚もずっと持ち続けていたのです。
ベストテン世代の僕にとって、それだけこの曲はTV露出度が高かったということなのでしょうか。

「色つきの女でいてくれよ」が『ザ・ベストテン』に初登場した時期、僕は中学3年生だったのかな・・・。
高校生になると言わば”青春藪ん中状態”となり、家でテレビを観ることも少なくなりました(それで「銀河旅行」の記憶がまったく無いのかな・・・)が、中学時代までは、『ザ・ベストテン』を始めとする歌番組をほとんど欠かさず観ていたはず。

ジュリー堕ち後、僕もYou Tubeで様々な映像を観てきましたが、そのほとんどが(ジュリーのソロ、タイガース含め)「うわあっ、こんなことやってたのか~!」という驚きを伴うものばかりだった中、同窓会時の「色つきの女でいてくれよ」の映像だけは、よく覚えていないながらも、何か懐かしい感覚で鑑賞していました。

いつか観たはずの映像、名シーン・・・。
でも、当時は見逃していたであろう点にも今なら色々と気がつき、新たな発見に胸が躍りますね~。

例えば

http://www.youtube.com/watch?v=8CpudnR-s5E&feature=related

まずこちらの映像では、左右一番端っこにカメラが振られた瞬間に注目!
どうやら音声をそれぞれのカメラ位置あたりで拾っている場合があるらしく、向かって左側にカメラが振られる冒頭のサビ部では、最左に仁王立ちするシローの美しい
「あ~、あ~、あ~あ~あ~♪」
という高音コーラスがバッチリ聴こえますし、曲が進んでBメロ部・・・今度は右側にカメラが振られると、最右位置のタローの
「う~、う~、かず~とおなじだけ~♪」
というハモリが、ハッキリした音階までよく聴こえます。

あと、トッポが、リードヴォーカルとの兼ね合いなのでしょうか、「D7」のコードフォームをハイとローでポジションを使い分けているのが確認できたり。

また、別の映像では

http://www.youtube.com/watch?v=E1_TolAG69w&feature=related

こちらは間奏に注目。
(「色つきの女でいてくれよ」では、トッポがリズムギターでタローがリードギターを弾くんですね)
間奏のリードギターを弾き終えた瞬間の、タローの足元を注意してご覧になってください。
エフェクターを踏むシーンが、バッチリ観られます。

一般的に、リードギターの間奏(あるいはイントロ、エンディング)では、ギターの音が単音になりますから、音圧を出すために「コンプレッサー」というエフェクターなどを使用することが多いのです。
最近はエフェクターも進化して操作も簡易になりましたが、この時代はまだまだ、足で「えいやっ!」と踏んでスイッチ・オンにしてから間奏に突入し、弾き終えたら再び「よっ!」と踏んで、スイッチをオフにしていたわけですね。
(今でも、そのスタイルでのバンド演奏は時々見受けられますが)

実際に当時のステージをご覧になって、曲のいくつかのポイントで「タローが何か踏んでる!」と思われた先輩方、いらっしゃるのではないでしょうか。
この映像でも、よ~く観るとイントロの最後、つまりヴォーカル導入直前の一瞬演奏がストップする箇所で、右端のタローが「えいっ!」とエフェクターを踏んでスイッチ・オフしていることも分かります。
まぁ、エフェクター本体までは、スモークか何かの加減で確認できないんですけどね。

この「足でエフェクターを踏む」動作は、ギタリストにとって緊張する場面なんですよ~。
アマチュアバンド時代の僕は、本番のLIVEで誤って2度踏みし、三味線のような音でリードギターを弾いてしまったことがあります・・・。

まぁこれらのことは、今だからこその映像発見。
続いては、僕の「色つきの女でいてくれよ」にまつわるタイムリーな思い出を語りたいと思います。

中学生にして初めてテレビで観たタイガースは、本当にカッコ良かった。
そして僕は、やっぱりジュリーが一番カッコイイ、と思いました。これは当時の感想ですよ!
まさか30年近く後になってから、カッコイイどころでは済まない状態にまでハマることなど、想像だにしませんでしたけどね。

♪ いつまでも いつまでも ♪
     Cm7    F         B♭

たったこの10文字を歌うジュリーの、圧倒的な存在感、そして歌声の素晴らしさ。
何も知らなかった当時の僕は、
「メンバー中、ジュリーだけが違う空間にいる」
と、子供心に感じたものです。
いわゆる”いかにも往年のスーパーグループ復活らしい、懐かしいヴォーカル”ではなく、当時進行中の音楽シーンを牽引するようなヴォーカル。
そんなヴォーカルが、たった10文字のソロ・パートで表現されているというのは、今考えても凄まじいことです。
この点については、自分だけの偏った見方だとは思っていません。

一方、初めて体感したトッポのリード・ヴォーカルにも、僕はすぐに心地よく馴染むことができました。
何かの記事に一度書いたことがあります。まったくタイガースについての予備知識を持たなかった僕は、この同窓会期のテレビを観て、ジュリーはグループの中でナンバー2の立場だったんだな、と思い込みました。
基本、タイガースでは真ん中の人(トッポ)が常に歌っていたんだろうなぁ、とね。
「色つきの女でいてくれよ」が特殊な立ち位置なのだ、と知るまでには、ずいぶん時間がかかりましたよ・・・。

曲が好きでしたから、メンバー全員のニックネームも覚えようと頑張って、当初トッポのことを「マッポ、マッポ」と間違って覚えてそう呼んでいた(恥)ら、母親から「違うよ!」と怒られたんです。
この母親とのいきさつ、実は僕はずっと忘れていました。
ジュリー堕ち後、タイガースについて少し勉強を始めてから、突然にその記憶が蘇ったんですよ。
そんなことって、あるんですね・・・。
昔の出来事を突然思い出すのは、脳の引き出し整理能力が衰えてきた証拠だと言いますから、まぁ僕も年をとったってことかな。

早くに亡くなった僕の母親は、タイガースより少し年上。父親が浪費家だったもので、自分の趣味にはほとんどお金を使わない人でした。
ですから、母親私物のレコードも河島英五さん1枚しか見かけなかったけれど、音楽が大好きだったことは、間違いないのです。よくオルガンを弾いていましたしね。

で、どうも母親は、”ストイックで芸術家っぽい雰囲気を持った人”というのが男性の好みだったらしい(笑)。
真逆のタイプの父親と結婚したのが何故なのかがいまだに謎ですが、母親の好みから考えると、タイガースのメンバーの中だったら、おそらくトッポが好きだったんじゃないかと思っています。
長生きしてくれていれば、色々とそんな話もできたはずなんですけどねぇ・・・。

さて、最後に。
僕は後追いファンですから、タイガースのタイムリーな空気をまったく知りません。
ですから、冒頭に書いたような、トッポがタイガースを離れたことについてあれこれ考えていることも、全然見当違いな思いであるのかもしれません。

でも、これだけはお伝えしておきたいのです。


File0694


僕はこれから記事の最後に、ジュリーファンの先輩から先日お預かりした、上画像・・・『HAIR』公演のパンフレットから、シリーズ恒例・オマケのショットをいくつか添付しますが・・・。
この貴重なパンフレットをですね・・・他ならぬジュリーファンの先輩からお預かりしたんですよ、ということを是非書いておきたいのです。

トッポがタイガースを離れても、ジュリーファンの先輩方はその後のトッポの活動を気にかけ、時には追いかけていらして、しかもこうしてパンフレットを40年もの間、大切に保管なさっていたのだ、ということ・・・。

そしてそれが長い年月を経て、僕のような、初めて体験するタイガース・ナンバー満載のLIVEを楽しみにしながら、不参加となったトッポのことも気にかけている・・・そんな新米のジュリーファンの手元に渡ってきたのです。
これだけでも、充分奇跡的なことのように僕には感じられます。

今、色々とネットで情報を探りますと、今回のツアー、大トリの武道館も含めて、トッポの参加は絶望的と言われたりもしています。
それは現時点ではきっと正確な情報なのでしょう。

しかし、人の心が、半年先まで確実に推し測れるものでしょうか?
僕はスイッチの切り替えが得意・・・加えて、楽しみなことは最大限膨らませて楽しみにするという性格ですし、いつかトッポが今回のツアー中、ステージに飄々と現れる姿を想像して、ずっと待ちますよ!

もし最終的にそれが夢で終わったとしても、それはそれで仕方ない。素直に受け入れると思います。
結果いずれにしても僕は、トッポの決断をリスペクトこそすれ、非難する気持ちにはまったくなれないのです。

ところで、トッポファンの先輩方は、本気で心配していらしゃる・・・もしそんな夢のシーンが遂に叶ったとして、トッポは本当に会場から温かく迎えられるのだろうか、と・・・。
そんなの、大歓声で迎えられるに決まっていますよ~。

もし万が一、億が一にでも、会場がシ~ンとなったりしたらですね、末席の身で大変畏れ多いことながら、この不肖新規ファンがオトシマエつけますよ。
立ち上がって
「トッポ~!!」
と、叫びます。
「かつみさ~ん!」ではあまりにあざといですから、敢えて「トッポ~!」と叫びます。
男の声で「トッポ~!」って、それは・・・。

とても、気持ちの悪い光景です・・・。

でも、そんな事態には絶対ならないですから、大丈夫!

今回のツアーで「色つきの女でいてくれよ」が採り上げられたら、しばらくはずっとタローのリード・ヴォーカルで堪能できると思いますが、ある会場から突然リード・ヴォーカルがトッポに変わる、というシーンにも僕は期待を持っているのです~。

それでは。
先述した『HAIR』パンフレットからのオマケ画像を、3枚どうぞ!



File0695


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File0700   

プロフィールの文章の冒頭に、なかなかえげつない一節があって最初はドキッとしましたが・・・こういう表現含めて、当時の空気なのでしょうね。

にしても、この時点でトッポもまだ21歳とは・・・。


♪ 夏が終わるまで・・・あと6曲!

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2011年8月 9日 (火)

ザ・タイガース 「スマイル・フォー・ミー」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1969、single
セットリスト的中自信度 ★★★★☆

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

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セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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8月9日です。
まずは、お題とまったく関係ないお話で恐縮なんですけど・・・。

前回記事に書き損ねましたお話。
僕は薩摩隼人(と言うか、男おいどん)ではございますが、実は1年弱の期間だけ、父親の転勤の関係で広島市に住んでいたことがあります。
ちょうど小学校に上がる頃のことで、僕は小学校入学を広島で体験しているんです。牛田小学校というところでした。
まぁ、半年で転校することになってしまったんですけどね・・・(岡山市に移り、2年後には鹿児島の父親の実家に舞い戻りました)。

一方、長崎はと言うと、中学生の修学旅行で一度行ったっきりの土地。鹿児島と長崎って、同じ九州とは言えかなり遠いんですよ。
長崎には仲良くさせて頂いているジュリーファンの先輩方もいらっしゃるし、いつかジュリーのLIVE遠征を兼ねてもう一度訪れてみたいなぁ、と考えています。

鹿児島と言えば、先々日の7日に故郷の高校の同窓会が開催されたのですが、さすがに帰省できませんでした。
タイガースのメンバーのように、還暦を越えてからの再会が叶うと良いのですが・・・。

さて、27年ロマンス様のブログでは、新たに
「あなたが好きなタイガースの洋楽カバー曲は?」
というアンケートが始まっています。
DYNAMITE、またまた失礼ながらこの場を借りましてお答えさせて頂きますと・・・。
今回のツアーで是非聴きたい、と考えているのは「スキニー・ミニー」ですが、最も思い入れがあり、好きなのは
ニューヨーク炭鉱の悲劇
でございます。

後追いの僕は、「タイガースに洋楽を教わった」という経験をほとんど持たずにいたんですけど、このナンバーはそれを体感させてくれた初めての曲となりました。
もちろん、タイガースのテイクが素晴らしかったからこそのことです。そしてそれは、今日採り上げるお題を語る上でも、欠かすことのできない経験でした・・・。

といったところで、本題に突入いたしますよ~。
採り上げますのはタイガース後期のシングル。ビージーズのギブ兄弟がタイガースのために書き下ろした珠玉のバラードです。
『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想、的中自信度は星4つ。限りなく星5つに近い星4つでしょうか・・・。
「スマイル・フォー・ミー」、僭越ながら伝授!

僕の世代はどうしても、「スマイル・フォー・ミー」と聞くと

あなったが、あなったが、まぶしいわ~♪

と、条件反射のように脳内再生してしまうわけですが、2年に渡るタイガース猛勉強を経て、僕もようやくその点、上書きするに至りました。

まず、何故この8月9日という日のお題に「スマイル・フォー・ミー」を選んだのか、ということからお話を始めたいと思います。
ここで僕は恥を晒さなければなりません。
普段から、「タイガースのカバー曲である洋楽ナンバーに自信あり」と標榜しながら、実はDYNAMITE、ビージーズについては後追いも後追い・・・彼等の名曲群を真剣に聴いたのは何と、タイガースの勉強を始めて以降のことだったのです。

高校1年の時、友人がビージーズのベスト・アルバムのレコードを貸してくれたことがありました。
ローリング・ストーンズの『ベガーズ・バンケット』や『メインストリートのならず者』を毎日のように何度も繰り返し聴いていたDYNAMITE少年にとって、彼等の音楽は非常に甘ったるいもののように感じました。
歌詞カードを開くこともなく、有名な「メロディー・フェア」だけカセットテープにダビングして、すぐに返してしまったのです。
他の曲はまったく真面目に聴かないまま・・・。

先入観とは恐ろしいものです。
以後僕は、ビージーズを「キレイなメロディーの甘いラブソングを歌っていたバンド」とだけ勝手に認識したまま、40歳を超えてしまいました。

ジュリーに堕ち、タイガースのシングルコレクションを買って「スマイル・フォー・ミー」を初めて知った際にも
「へぇ・・・ビージーズが曲を作ったのか。大物だなぁ」
という感想に留まってしまって、しばらくはB面曲の「淋しい雨」の方が全然気に入って聴いていましたね・・・。
もしこれが”ポール・マッカートニーの作った曲だ”ということだったとしたらしつこいくらい熱心に聴いていたはずですから、やはり僕はビージーズについてあまりにも無知であり、熱意が欠けていたということになります。

「いつかビージーズも聴いてみなきゃな・・・」とは思いつつもなかなか踏み出せずにいた僕を目覚めさせてくれた最初のきっかけは、いわみ先輩の御記事でした。
「ニューヨーク炭鉱の悲劇」・・・このタイトルを知っただけで、ビージーズを単なる甘いラブ・ソング・バンドと決めてかかっていた僕の認識は、どうやら大変なマチガイであるらしいと分かります。

タイガースのコーラス・ワークや、トッポにまつわるエピソード、そしてビージーズの楽曲の音域の広さ、高さをいわみ先輩の御記事で堪能した後、当然のように僕はビージーズを本気で聴いてみようという気持ちになっていました。

で。
灯台もと暗し・・・。
ビージーズ2枚組のベスト盤を、カミさんのコレクションの中から見つけたのです。

Beegees

「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「ホリデイ」「ワーズ」・・・タイガースのカバーで有名なナンバーのオリジナル・ヴァージョンを、ここへ来てようやくキチンと聴くことができたわけですが・・・。
”ただ甘いだけのバンド”などとはとんでもない!
もちろん彼等の魅力が美しいハーモニーやメロディーであることは揺るぎませんが、何と言っても詞の素晴らしさ。僕はそれを、このベスト盤を聴いて初めて知りました。
時に、すさまじく社会派の歌詞があるんですねぇ・・・。

そうして、「スマイル・フォー・ミー」を改めて歌詞の観点から聴いてみますと・・・。
これは、「朝に別れのほほえみを」とまったく同じシチュエーションの歌ではないですか~!
気がつくまでに、すいぶん長い時間がかかってしまった・・・。
(大人買い、新規ファンの一気大量音源摂取の弊害がここにあります。今後も気をつけなければ・・・)

恋人を残し戦場へと旅立つ兵士。
「必ず帰るから笑顔で送っておくれ」・・・これはまさに「朝に別れのほほえみを」と同じシチュエーションですし、『ヒューマン・ルネッサンス』で確立したタイガースのイメージでもあります。

そしてその物語が悲劇的な結末を迎えるであろうことは、たとえそこまで書かれていなくとも、聴き手には分かります。それがビージーズの歌詞世界の特性でもあるし、『ヒューマン・ルネッサンス』を体験したタイガース・ファンの自然な想像でもあるわけです。
バリー・ギブに作曲を依頼するにあたって、タイガースのスタッフ・サイドから、歌詞について何らかのリクエストがあったのかもしれませんね。

さて、ここで資料をご紹介いたします。
『近代映画』・・・これは別冊号ですか。
”ジュリーとタイガース”特集号。こちらはシングル『スマイル・フォー・ミー』と映画『ハーイ!ロンドン』の話題を中心に企画・構成されている号なんです。



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細かいけどみなさま読めるかなぁ・・・。とても興味深い記事なんですけど・・・。
ジュリーが、「スマイル・フォー・ミー」をバリー・ギブ単独の作曲作品なのではないかと想像していたこととか、バリー・ギブが「嘆き」のアレンジを気に入っていたこととか。

いくつか重要な箇所を抜粋しますと、まずはジュリーの言葉で


「譜面をうけとったのが、ロンドンへ出発する2週間ほど前だったかな。ぼくは今まであんまりスローなものを歌ったことがないでしょう。こういう歌は、以前ならかつみ、今ならシローのレパートリーになっているから・・・はじめて楽譜を手にした時は、やっぱりちょっと心配だったなぁ」

あと・・・ね。


「Smile for me」は、気負ったところのない、いい曲だ。今の若者には、メッセージのある歌以外のものを、ともすれば低く見るという傾向がありはしないだろうか。恋の歌を軽蔑する傾向がありはしないだろうか。
それは間違っていると思う。たとえそれが、いつもきかれているような愛の歌であったとしても、その曲の個性がどこかに光っているなら、それは素晴らしい歌なのだと思う。

って書かれているんですよね・・・。
もちろん文章それ自体はその通り!なんですけど、「スマイル・フォー・ミー」の場合には当てはまらないですよ。
だって、「スマイル・フォー・ミー」はいわゆる”恋の歌”と言うよりは、バリバリに”メッセージのある歌”なのですから。

ただ僕は、ビージーズについて不勉強だったことが原因で、その点に気づくのが遅れました。
もしカミさんがビージーズのCDを持っていなかったら、僕も似たような主旨のことを、今回の記事で書いていた可能性はあります。
こんなにキャッチーで親しみやすいメロディーなんですから、歌詞を真剣に追わずとも、”いい曲”であることは確かですしね。

ビージーズおそるべし。そして、タイガースおそるべし。
”僕は帰ってくる”という歌を、ジュリーはきっと今回のツアーでセットリストに採り上げると思います。

さぁそれでは、詞に込められたメッセージももちろん素晴らしい「スマイル・フォー・ミー」ですが、何と言っても完璧なまでに美しいメロディーと、高度な作曲技術には言葉を尽くして語っていかねばなりません。
楽曲構成について色々と考察してみましょう。

Smileforme_3   


深夜放送ファン別冊、『沢田研二のすばらしい世界』より

まず、とにかく音域が広いということ。
最低音は

♪ Don't let me see you crying ♪
  G7                        Am

「Crying♪」のトコに登場する、「ド」の音(最低音は次節頭へと続く)。
一方最高音はと言うと、ハ長調から変ニ長調へと転調した後、エンディング最後の最後の

♪ So smile・・・・・・for me・・・for me ♪
    B                   D♭


「for me♪」というのが「ラ♭」の音になっています。これは相当に高い!
カラオケで友人の声を聴いたり、自分で楽器と一緒に声を出したりしておおまかに判断すると、男声の平均音域は、低い「シ」から高い「ファ#」までと考えられます。
そうは言っても、何小節も継続して高音を出す場合、自由にコントロールできる音域は「ド」から高い「レ」までの間ではないでしょうか。
(この”「ド」から高い「レ」”というのが、はからずもピーの新曲「道」のメロディー全音域と一致しています)

ちなみに、2010年のお正月コンサート『歌門来福』でジュリーはこの「スマイル・フォー・ミー」を半音下げて歌いました。
僕は絶対音感があるわけではないのですが、幸運にも下山さんの真ん前松席を頂いた日があって、下山さんの弾くアコースティック・ギターのフォームから、キーを下げて演奏していることが分かったのです。
その場合の最高音は、「ソ」。それでもまだまだ高いんですが・・・今回のツアーではその辺りがどうなりますか。
ジュリーなら、「このメンバーで演奏するならオリジナル・キーで」と考えるような気もしています。

それにしても当時のジュリーの高音ヴォーカルは凄まじい・・・。単に「高音が出せる」という技術的な域だけでは語れないのです。
与えられたメロディーに真摯に取り組む姿勢、まだまだ歌に感情を込める部分が少ないが故に光る、その素質。
「スマイル・フォー・ミー」のすぐ後には、さらなる高音域を擁した「ラヴ・ラヴ・ラヴ」が登場するわけですが、そちらについてはまた、近いうちに。

では、何故に「スマイル・フォー・ミー」のキーがそれほどまでに高いのか。

僕も後追いで勉強して分かりました。
その高音こそが、ビージーズなんですね。
彼等の楽曲は、男声としてはとんでもなく高音域のメロディーが目白押しです。
ビージーズのカバー曲でトッポやシローがリード・ヴォーカルを担当したのは、その特性もあってのことなのですね。

ですから、いくら出来レースとは言え、シローがタイガース新メンバーのオーディションで「ワーズ」を歌った、というのは説得力充分なワケですよ。
トッポがいなくなっても、これまでと変わらずビージースのカバーができるよ、というね。

例えば、ビージーズのナンバーの中でおそらく最も有名な「メロディー・フェア」の譜面を見てみますと・・・。

Melodyfair


ドレミ楽譜出版社・刊
『70's~80's ニュー・オールディーズ・ベスト・ヒット100』より


最低音は、「レ」。この時点で男声にとっては高い音域設定だな、という予感がするわけです。
そして問題の最高音がどこまで跳ね上がっているかというと・・・。

Melodyfair2

「ド」ですか~!!
高い「ド」ではありません。高い高い「ド」です。
到底無理です僕には・・・。

さて最後に、「スマイル・フォー・ミー」が秋からのツアーに採り上げられた際の演奏の見所について書いておきましょう。
この曲は「落葉の物語」「ジンジン・バンバン」と共に、ジュリーのソロLIVE『歌門来福』にて、鉄人バンドの演奏は試し斬りが済んでいますね。2010年のお正月LIVEですから、当然ながらジュリーの頭には、タイガース復活への思いもあっての選曲だったはずです。

「スマイル・フォー・ミー」については今回のツアーでも、ほぼ『歌門来福』の演奏配置が敷かれそうです。
柴山さんのリード・ギター、下山さんのアコースティック・ギター、泰輝さんのシンセ・ストリングスはそのまま変わらないでしょう。
ただ、鉄人バンドの演奏だけでは聴くことのできなかった、オリジナル音源のアレンジで重要な役割を果たしている”鬼のタンバリン”・・・これをGRACE姉さんが担当してくれるのではないでしょうか。

「スマイル・フォー・ミー」のタンバリンは、おそらくステージでのシローのパートとして意識されたのでしょうか、完璧に練られた手数の多いテイクが堪能できるのです。
特にサビ部の「たん、たん、たたたん♪」というリズムは、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」のタンバリンと同じリズム。少し前に伊藤銀次さんがブログで「NOISE」について書いてくださった時に触れていらっしゃった、あの有名なリズム・パターンなのです。
それを「スマイル・フォー・ミー」のようなバラード・ナンバーで取り入れたというのが何とも痛快なアイデアですね。

GRACE姉さんならばきっと、オリジナル音源のテイクを完コピしてきますよ~。
細かい点ながら、とても楽しみにしています!

そこに、ピーのドラムス、サリーのベース、タローのリズムギターが加われば、「スマイル・フォー・ミー」オリジナル音源の演奏が完璧に再現できます。
可能な限りオリジナルの音に忠実に、その上でLIVEは別物、というのがジュリーが長年目指してやってきたことですから(後追いの僕なりに強く感じていることです。その究極形が昨年リリースの「涙色の空」だと考えています)、「スマイル・フォー・ミー」が今回のセットリストに採り上げられれば、非常に意義深い1曲になることでしょう・・・。

それでは、オマケです~。
先に「スマイル・フォー・ミー」の記事をご紹介した『別冊・近代映画』から、まずはこちら。


File0624_2 

(本文抜粋)
タイガースがロンドンでレコーディングした新曲「スマイル・フォー・ミー」は、「マサチューセツ」や「ホリデイ」でおなじみのビージーズからのプレゼント曲。数多いタイガース・ナンバーに、またひとつ大きな財産が増えた。


続いて、ビージーズのバリー・ギブに拳銃を教わるジュリーのショット。こんなに腰引けた顔のジュリーは珍しい・・・?
見守るタローの表情もイイですね~。

File0625


(本文抜粋)
ロンドン・ロケの最中、六月一日に、タイガースは郊外にあるビージーズのプロダクションの社長の家に招待されました。そこへあらわれたのがビージーズのリーダー、バリー・ギブ。メンバーにとっては夢にまでみた感激の対面です。緑に囲まれた庭園でゴーカートに乗ったり、本物のピストルの射ち方を教えてもらったり、日英のGSの人気者同士が固い友情で結ばれた一日でした。


さらに続いて、『近代映画』同号の巻頭カラー企画、「ジュリー・イン・ロンドン」掲載のショットを2枚です~。


File0670

File06712


♪ 夏が終わるまで・・・あと7曲!

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2011年8月 6日 (土)

ザ・タイガース 「雨のレクイエム」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968
セットリスト的中自信度 ★☆☆☆☆

Human


1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

まず、先日執筆したジュリーのトークショー発言内容記述の訂正からです~。
ツアーの演奏時間を1時間半と書いてしまったのですが、どうやら1時間45分が正解のようです。つまり、休憩の15分合わせてきっちり2時間ということですね。

いやぁ、1時間30分と1時間45分では受けるイメージがかなり違います。僕などは「これで、27曲すべてフルコーラスやってくれるんじゃないかな?」と考えてしまうわけですが・・・さてどうなりますでしょうか。

で、今日の本題の前にDYNAMITEの近況をば。
はからずも、ちょっとした”トッポ週間”となっております。
これが少し前までは”ピー週間”だったわけで、後追いのタイガースファンとして、色々と勉強しなければならないことが多いんですよ~。
まぁ、基本的にはタイガースのオリジナル音源を中心に繰り返し聴いていますけどね。

まず今週の初めに、いつもお世話になっているJ先輩より、タイガースから離れた直後のトッポ関連の資料をお預かりしました。
最近僕がさかんに「オマケ画像に貼るトッポの写真が無い~!」とか書いていましたから、お気遣いさせてしまったのかもしれません。M様、ありがとうございます。
こちらについては、トッポのリード・ヴォーカル・ナンバー、「色つきの女でいてくれよ」の記事を次々回、来週12日に予定しておりますので、その際にご紹介させて頂こうと思っています。

さらにその後、別のJ先輩からメールにて
「楽天さんで、『青春の残像』が在庫ありになっているショップさんを見つけました」
との嬉しいご連絡を頂きました。
『青春の残像』はトッポが1977年にリリースした(当然リリース名義は”加橋かつみ”)、過去音源の集大成的リメイク盤のような感じのアルバムで、つい最近たった1曲で僕をノックアウトした、深町純さんアレンジ・ヴァージョンの大名曲「ひとり」が収録されています。
(「ひとり」については、今回の記事内でも後で少しだけ参考例として語ります)
どうしてもこのアルバムを聴いてみたくて、先週自力でネット検索した時は、商品それ自体影も形も無かったのですが、あるところにはあるんですね・・・。K様、ありがとうございます。
早速注文を済ませ、来週早々にも届く予定です。
こちらは、ツアーのセットリスト・ネタバレ禁止期間に、ピーの『道/老虎再来』に続いて採り上げ、考察記事を書ければと考えています。

さて本題です。
今日はお題が重いテーマの曲で、やっぱりこういう日付だからこの曲を選んで書く、という意思を持って更新するわけですが、記事内容それ自体はあまり重くならないように・・・と心がけるつもりでいます。
それは、”3日に1曲更新”のスケジュールからこの先やってくる9日、15日についても同様に。

でも、それぞれの日にふさわしいお題を採り上げる予定でいます。

まずは8月6日。今回は、やりきれない、辛い、切ない”雨”の歌です。
アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』から。
「雨のレクイエム」、僭越ながら伝授!

コンセプト・アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』で展開される物語は、地球の(人類の)誕生、営み、業、終局、回帰。
重要なのは、終局の後に”回帰”が待っているということです。”復活”と言っても良いですし、さらに言えば”復興”と言っても良い。
「廃虚の鳩」に登場する、空に舞う一羽の鳩がそれを象徴し、1曲目「光ある世界」の”誕生”へと繋がります。
そう、このアルバムは1曲目から12曲目まで繋がれてきた物語が、12曲目から1曲目へとさらに回帰して繋がっているのですね。
まさに、”ヒューマン・ルネッサンス”。

しかし、最後の最後にそんな希望の光を見出すまでには、アルバム後半の切ない数曲を乗り越えなければなりません。

もちろん、楽曲としてはいずれも素晴らしい名曲です。
しかも、物語は完璧に繋がっています。その点、前半のA面曲の並びよりも徹底していますよね。
作詞者は違うけれど、「忘れかけた子守唄」に登場するのは「朝に別れのほほえみを」のジョニーの母親だと、聴き手は当然のようにそう思うのです。

兵士ジョニー、故郷に帰らず。
戦を終えて続く曲が、「雨のレクイエム」。

♪ この世に長い雨が降り続く ♪
        Am     G    F    E7  Am

降り続いているのは、黒い雨です。それはこのアルバムの曲並びから考えて、疑いようがありません。

こうして「朝に別れのほほえみを」以降の曲並びを考えていくと、その直前・・・つまりレコードB面1曲目の「帆のない小舟」は、危うい均衡の上に辛うじて立ち、今にも限界を迎えようとしている世界情勢や自然環境を表現しているように感じられてきます。そしてそれは、まさに現在の現実世界とリンクしているかのようです。
現実においては、「朝に別れのほほえみを」まで曲を進ませてはならない、と思っています。

とにかく「雨のレクイエム」は非常に重いテーマを持ち、それゆえに大きな意義のあるナンバーと言えますが、楽曲それ自体がまず優れた作品であり、なおかつ当時のタイガースのヴォーカル、コーラスワークの魅力を存分に発揮した名曲であることを忘れてはなりません。

Aメロがサリーの重厚な低音によるリード・ヴォーカル。「雨のレクイエム」はこのサリーのヴォーカルのイメージが相当強いのか、”サリーのリード・ヴォーカル曲”という解説をよく見かけます。
しかし先述の「この世に~♪」からサビへと渡る美しいメロディー部のリード・ヴォーカルはトッポ。音源のミックス配置で言うと、主旋律を左サイドのトッポが歌い、中央のサリーと右サイドのジュリーがハモるという形ですね。

そう、「雨のレクイエム」はまさしく最近ピーが言った、”高音のトッポ、真ん中のジュリー、低音のサリー”という3人のヴォーカリストの魅力が無駄なく要所に配置された、バランスのよいバラードと言うことができるのです。
(でもピー、「残念ながら私は・・・」なんて言わずに・・・。ツアーでのピーのリード・ヴォーカル曲が何になるか、楽しみにしていますよ~。「老虎再来」は全員ヴォーカルでしょうから、それ以外に1曲・・・「道」かな、それとも洋楽カバーかな?)

さらに「雨のレクイエム」は、演奏においても実は非常にバンド向きのナンバーです。
かつてのステージでは、タローがオルガンを担当し、ギターはトッポ一人というスタイルで演奏されていたようですね。

最近までうかつにも見逃していたのですが、『レジェンド・オヴ・ザ・タイガース』には、この曲の貴重なLIVE音源が収録されています(収録されていないヴァージョンのCDもあるらしいですが)。

ジュリーとトッポのハーモニー部から演奏がかなり走りますが、これはわざとそうしているのでしょう。
直前、意識的にテンポアップしたピーのフィル・インには、強い情念が感じられ、「テンポ上げていくぞ!」と合図を出しています。歌が入って以降も、ピーのスネアドラムは他楽器よりも一瞬突っ込んでいるのが印象的です。

サリーの歌うAメロに戻ると、再びゆったりとした速度に戻っていきます。
こちらは、1拍目、3拍目でコード突き放しで弾くトッポのギターが、テンポの変化をリードしていますね。

荒削りながら、それが逆に緊張感、ガレージ感を生み出し、当時のステージの様子が目に浮かぶような演奏・・・やはり「雨のレクイエム」はLIVE向きの曲だと思いました。

あとは、この曲のコード進行にも触れておかねば。
白夜の騎士」の記事で紹介させて頂いた、有名な”「枯葉」進行”が、「雨のレクイエム」のサビでも取り入れられているのです。

一応、先日ご紹介した「白夜の騎士」ハミング部のコード進行を改めてここにも載せておきましょうか。

♪ ルルル、ルルル、ル、ルルルルル
     Am                  Dm7

  ルルル、ルルル、ル、ルルルルル
     G7                   Cmaj7

  ルルル、ルルル、ル、ルルルルル
     Fmaj7               Bm7-5

  ルルル~、ルル、ル、ル~ ♪
     E7                   Am

となっているわけです。
で、「雨のレクイエム」のサビが

♪ 愛の歌を   忘れ果てた
  Am  Dm7  G7   Cmaj7

  小鳥    の          群れは ♪
  Fmaj7  Bm7-5  E7   Am

見事、”「枯葉」進行”で一致させて弾き語ることができました~。

さらに、こういった楽曲考察のヒントというのは繋がる時は次々に繋がるものでして・・・。
冒頭の文章の繰り返しになりますが・・・トッポのソロ作品で、1977年にリリースされた「ひとり」(オリジナル・リリースはトッポのセカンド・アルバムのようです)というナンバーがありまして、実はこの曲の中にまた”「枯葉」進行”を見出すことができるのです。こちらも大変美しいメロディーが載っています。

トッポファンの先輩方が、拙ブログの今回のお題を見て「雨のレクイエム」のサビを思い出そうとしたら、何故か「ひとり」のBメロやサビが脳内再生されてしまった、という事態があったとしても不思議ではないのですよ~。
メロディー自体は、ほんの1箇所を除いてあとは全然違うんですけどね。そこが音楽の奥深いいところです。

「雨のレクイエム」に話を戻しますが、記述してきたようにこの美しい旋律の名曲はヴォーカルにも演奏にも大いに見せ場があり、LIVE向きと言えますが・・・今回のセットリスト予想としては、星ひとつ・・・つまり、まずやらないだろう、と。

8月6日にこの曲を書くことは随分前から決めていて、当初は星2つをつけるつもりでした。
トッポ不在が相当響く曲ではありますが、やはり曲の持つテーマから考え、ジュリーが採り上げても不思議はないかな、と期待を持っていたのです。
でもジュリーのトークショーで、サリーがリード・ヴォーカルに難色を示しているらしいことが分かったので・・・。サリーのヴォーカルがあるとすればそれは「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」のように、ベース演奏に負担のかからないナンバーになるのかな、と考え直した次第です。

それに、いかに名曲と言えども、特に今年聴く「雨のレクイエム」には暗い気持ちがつきまとってしまうでしょうから。
『ヒューマン・ルネッサンス』収録曲からは、「雨のレクイエム」よりもここはやはり、”命を繋ぐことの尊さ”をメッセージに込めて「生命のカンタータ」を採り上げて欲しいところです。

ただ、タイガースに「雨のレクイエム」のような曲があったことを、この機に新規ファンである自分に改めて叩き込むべく、今回のお題として書かせて頂きました。

それでは、オマケです~。
今回もサリーがヴォーカルの主役を担う楽曲の記事ということで、まずはサリーのショットを1枚。

File0687

でも、さすがに2更新連続でサリーづくしではじゅり風呂としてどうなのか・・・と思ったりもしますので・・・。
以下、ジュリーのショットを3枚どうぞ~。


File0655


File0645


File0653

(本文抜粋)
京都公演では泣いてしまったジュリーも、ここではおちついたもの、「シスター・ムーンライト」や、ファンと一緒になって「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」を歌うなど、普段の楽しいジュリーにもどっての熱演でした。

一応言っておきますけど、原文ままですよ!
「シスター・ムーンライト」・・・知らない曲だなぁ。

というわけで、ジュリーがトークショーで洋楽カバーに言及したことにより、「スター・ムーンライト」もひょっとしたら・・・と期待してしまっています。
ファニーズの時代の代表的な曲みたいで、先輩方のお話では、この曲のジュリーのヴォーカルは相当凄いらしいですからねぇ。

ちなみにこの最後のショットは、明治製菓主催でGS日本一に選ばれたことを受けてのキャンペーン・ツアー第一回・名古屋公演後のオフショットのようです。
この直前に京都があったんですね。
ジュリーが泣いてしまった、という京都公演・・・実際目にした先輩方もたくさんいらっしゃるでしょう。

で、名古屋公演については、別のページに
「おしかけたファンを、機動隊の装甲車で送り迎えした」
と書かれているのですが・・・マジですか~!!

京都でジュリーにもらい泣きした先輩方、名古屋で装甲車に突撃した先輩方・・・40年もの月日を経て今年、きっと秋からのツアーでご一緒できますね!

来週あたり、初日のチケットが届くのかな?



♪ 夏が終わるまで・・・あと8曲!
    

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2011年8月 3日 (水)

ザ・タイガース 「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」

from『THE TIGERS ON STAGE』
original released by THE ROLLING STONES
セットリスト的中自信度 ★★☆☆☆

Onstage


1. ダンス天国
2. タイガースのテーマ
3. ルビー・チューズデイ
4. レディー・ジェーン
5. タイム・イズ・オン・マイ・サイド
6. アズ・ティアーズ・ゴー・バイ
7. スキニー・ミニー
8. 僕のマリー
9. シーサイド・バウンド
10. モナリザの微笑
11. ローリング・ストーンズ・メドレー
12. アイ・アンダスタンド

-------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

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左肩が痛いです~。
まぁ、そんなに酷くはないんですけどね。とにかく腕を上げることができません。
このままの状態では、「スキニー・ミニー」の手拍子を胸のあたりでやるハメになってしまいます。嫌だ~。あの曲だけは頭上でやりたい~。

そういえば、ジュリーもトークショーで「左肩が痛い」と言っていたそうですね。へっへっへ(
←こんな偶然の一致が不謹慎にも嬉しく思えるようになるとは、僕も相当ハマっているようですね・・・)。

トークショー関連で個人的に一番萌えた情報は
「(ピーのドラムスの)オカズが当時のまま」
というジュリーの言葉でした。
僕は今まで散々、「はだしで」や「美しき愛の掟」の記事でピーのオカズについて語ってきましたから、「あぁ、ようやく生で体感できる!」と・・・。

で、先日某所で「オカズって・・・?」とのお尋ねがございましたので、この場を借りまして
説明させて頂きたいと思います。

例題は「老虎再来」です。
(みなさま、買いましたか~?)

まず、この曲の基本的なドラム・パターンは、1小節内で

♪ つつたつ、つつたつ ♪

というエイトビート。
「つ」がハイハット(向かって一番右にある、二重になってるシンバル)で、「た」がスネアドラム(向かって右側腰の位置にある小太鼓)の音です。

で、曲のあちこちで

♪ つつたつ、つつ、たかたか

と、ピーが少し力を入れて叩く箇所がありますよね。
この「たかたか♪」を”オカズ”と言います。基本パターンが”白飯”で、時折繰り出されるヴァリエーションが”オカズ”というわけです。

”フィル・イン”とも言われますが、僕のイメージだと

フィル・イン=「みんな、俺の後からついてこい!」
オカズ=「キリの良いここらで、俺にキメさせて!」

みたいな感じで区別することが多いです。

さて、「老虎再来」なんですけど、そのオカズのパターンがほぼ「たかたか♪」しか登場しないという、非常に珍しい、と言いますかシンプルなドラム・アレンジになっています。
一番ラスト(後註:”歌の1番のラスト”ではなく”曲の一番最後の最後”という意味でした。分かりにくい記述ですみません・・・)で「たかたかどこどこどこどこどこどこしゃ~ん!」とやるくらいで、他のオカズはすべて、スネア・ドラムでの「たかたか♪」です。

タイガース時代に炸裂させていたロールするオカズなど、微塵も登場しません。
さぁ、みなさま。これをどう思われます?

長いブランクで、手数が乏しくなってる?
ノンノン、違いますよ。
これはおそらく

実際に叩きながら歌うことを想定

しているのではないでしょうか。
ですから、DVDもこの曲では演奏映像が取り入れられたのだと思うのです。
そんなシーンがステージで実現するのは、ひょっとしたら9月にも・・・?
ということで、みなさま。
大合唱の準備はオッケ~ですか?

ちなみに「老虎再来」のDVDで

音は「たかたか♪」とオカズを叩いているのに、映像のピーは普通にエイトビート

というシーンを1箇所だけ見つけました。
みなさまも探してみましょう!こういう楽しみ方も、PVならではの醍醐味なのです~。

では、トークショーに話を戻しまして。
ジュリーは秋からのツアー・セットリストに言及し、「洋楽カバーもやる」と、お客さんに伝えてくれたようですね。
嬉しいですね~。僕はジュリーファン、タイガースファンとしては新米ですが、ビートルズやローリング・ストーンズなどの60年代洋楽ファンとしては、結構年季入ってますよ!
30年選手くらいかな。

タイガースの洋楽カバー・ラインナップで僕が今回最も聴きたいと思っているのは、先述した「スキニー・ミニー」。
あとはやっぱりビートルズとストーンズの曲を聴きたいです。あ、シローが参加するならビージーズも。

ただねぇ・・・ストーンズとかやるとなると、DVD化の際に割愛されるんじゃないか、と心配なんですよ・・・。
著作権がね、色々あるんです。特にここ数年でね。
昨年僕の勤務先でスーザン・ボイルのピアノ・スコアを制作した際にも、「ワイルド・ホース」(オリジナルはストーンズ。「アンジー」と並ぶ、彼等の代表的なバラード)の収録は断念せざるを得ませんでした。
まぁ、ストーンズの曲でも普通に出せる場合は出せてるわけですから、タイガースについてはすべてが上手くいくように祈ります!

さて。
過去LIVE音源を聴いていて、タイガースで洋楽カバーをやるにあたっての狙いのひとつに
”全員、リードヴォーカルを披露する”
というポイントがあったように思われます。

当時なら、特にピーですね。オリジナル曲に持ち歌が無かったわけですから。
まぁ、最初期のトッポとタローもそうだったんでしょうけど。

そう言えば、タローってビートルズの「今日の誓い」を歌ってたんですって?驚き、というか渋いセンスですね~。是非聴いてみたかった・・・。
会場の歓声が凄くて音が聴き取りにくかってであろう当時、お客さんの中には、
「何でタイガースがジャガーズの曲をやるの?」
な~んて勘違いした方がいらっしゃったりして・・・。
(「マドモアゼル・ブルース」の話です)

そんな中、サリーには「こっちを向いて」というオリジナルの持ち歌があったわけですが、LIVE音源ではやはりカヴァー曲を好んで歌っていますね。
ストーンズの「テル・ミー」あたりはファニーズ時代から歌っていたのかな?こちらも是非聴きたい曲のひとつですが・・・。

そのサリーですが、ジュリーのトークショー情報では、どうも今回リード・ヴォーカルを渋っているみたいじゃないですか。
逃げられると思ってるんでしょうかね~。タイガースは全員歌わなきゃいけませんよ~。

ジュリーのトークショー情報によれば、サリーはリード・ヴォーカルを渋る理由として、ベース演奏への影響を語っているそうですね。
ならば、ベース演奏を気にしなくても良い曲を歌えばどうでしょう?

ということで今回のお題は。
サリーのリード・ヴォーカル実現を祈願し、「これならベース持ちながら歌えるはずだ!」という脅迫(汗)の意も込めまして、大盤振る舞いの的中自信度星2つの予想にて、タイガースの洋楽カヴァー曲を1曲、お届けいたします。
ローリング・ストーンズの60年代シングルB面において、圧倒的に人気の高いバラード・ナンバー「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」、伝授!

Astearsgoby

HAL LEONARD CORPORATION・刊
『THE ROLLING STONES GUITAR COLLECTION』より


非常に美しい曲です。
その美しさは、初期ストーンズ・ナンバーの中で「レディー・ジェーン」(これも聴きたい!)と並び称されることが多いですね。

そこで『THE TIGERS ON STAGE』での「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」の演奏を聴いてみますと・・・。
サリー、ベース弾いてますかこれ?

基本、エレキギターのアルペジオが伴奏ですよね。
これがトッポなのかタローなのか僕には分からないんです。立ち位置的にはトッポかなぁ、と思うのですが・・・。
で、時々左寄りから「ぼ~ん♪」ってルート音が飛び込んできますが、これベースですかね?もう一本のギターなんじゃ・・・。

そうそう、少しだけ話が逸れますが、この曲でジュリーは何をしてたのでしょうか?まさか、間奏のハーモニカ?
このハーモニカがタローなのかジュリーなのか、によって、先程の「ぼ~ん♪」というルート音がベースなのかエレキ・ギターなのか、判別できそうなのですが・・・。

まぁそのルート音がベースであったにしても、ですよ。
サリー、ほぼリード・ヴォーカルに専念状態です!
PA設定の具合でしょうか、1番のAメロはメチャクチャ声が小さいですね・・・。途中で右サイドから聴こえる「サリ~!」というお姉さまの絶叫の方が全然声が大きいという(笑)。

とにかくこの曲なら、今回も歌えます!
サリー、どうか1曲だけでもリード・ヴォーカルをお願いしますよ~。

実はこの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」、ストーンズのオリジナル音源では、ベースもドラムスも入っていないんです。
アコースティック・ギターのアルペジオと、切ない音色のストリングス。演奏テイクはそれだけです。
おそらくこれは、少し前にビートルズの「イエスタディ」が大ヒットしたのを受けてのアレンジ・アイデアだと思われます。少なくともアルバム『サタニック・マジェスティーズ』までのストーンズのアレンジ戦略は、その多くがビートルズを追従する形で練られていますから。

僕がストーンズに目覚めたのは、高校生になってから。
高校3年間に限っては、「ビートルズよりストーンズの方が全然凄い!」と考えていました。やっぱりロック少年にとっては、現在進行形でアルバムを出してくれる、ってのが大きかったと思うんですよ。
『刺青の男』からタイムリーなんです。

もちろん60年代、70年代のストーンズも夢中で聴きました。
で、あれだけのバンドですからクラスメートにもストーンズ・ファンは少なからずいたわけですが、自分で楽器をやる連中のほとんどが”キース派”という中にあって、僕はガチガチの”ミック派”でした。
何故なら、個人的にストーンズ最大の魅力はミック・ジャガーの作詞にある、と考えていたからです(その考えはずっと変わっていません)。

ミック・ジャガーは、たとえシンプルなフレーズを並べた場合でも、何か行間に猥雑さや社会性が滲み出てくる、独特の詩人です。
お題の「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」にしても、様々な解釈が存在します。
単純に表面だけなぞれば、男が一日中ボ~ッと何もしないまま、座したままひたすら子供達が遊ぶのを眺めていて、その頬には絶えず涙が流れている・・・という詞なんですけど、その男がどういう状況下にあるのか(何かしら絶望的な環境にあることは間違いなさそうです)とか、そういったところまで考えさせられます。
「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」には社会性があり、「レディー・ジェーン」には猥雑さがあります。ただ美しいだけのバラードではないのです。詞に深みがあるんですよ!
無論、ミック自身がそこまで考えているかどうか、は別問題。優れた詞とは、そういうものではないでしょうか。

余談ですが、「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」のAメロのコード進行

♪ It is the evening of the day ♪
  G        A                   C  D

これは2番目に登場するコード、トニックから1音跳ね上がってAに行く、というのが肝なのですが、ジュリーはおそらくこの進行がお気に入りなんだと思います。
その点は以前、「青春藪ん中」の記事に書きましたので、お暇な時に読んでみてくださいませ~。

ところで、サリーと言えばもちろん低音ヴォーカルなのですが、この「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」や「ハーフ&ハーフ」などは、地声より1オクターブ上で歌っている、ということなのでしょうか。
それともタイガース仕様の1オクターブ下の低音を常に地声と使い分けてたってことなのかな・・・?

「ハーフ&ハーフ」と言えば僕は、カミさんから
「100歩譲ってアンタがタイガース・ナンバーを歌ってサマになるとすれば、これ」
と言われました。
それって、褒め言葉・・・なのかな(泣)。

ストーンズには、今でもどんどん若いファンがついています。
日本の若いストーンズ・ファンは、おそらくタイガースをまったく知らないでしょう。でも、俳優・岸部一徳さんは知っているはず。
あの官房長が、かつてスーパー・アイドル・グループのリーダーとしてベースを弾き、しかもストーンズの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」を歌っていた、と知ったら、さぞ驚くでしょうね~。

ちなみに僕は、ここ数年でストーンズから離れてしまいました。
高校生の時は、「これは一生聴くバンドだろう」と思ってた・・・いや、今でも過去のアルバムはよく聴いています。でも、新しい情報をまったく追わなくなってしまったのです。
彼等の現時点での最新アルバムがいつリリースされて、何というタイトルなのか、それすら僕は知りません。

いつ頃からストーンズを離れてしまったのか・・・とよくよく思い返してみると、ちょうどビル・ワイマンが脱退してしまった時期なんですよね・・・。
ビル・ワイマンはベーシストとして特化して語られることは少なかったですが、やっぱり長年ストーンズを聴いてきて、彼の音が”ストーンズの音”として頭にこびりついていたのでしょう。
ベースというのは、そのくらい重要なパートだということでしょうか。

秋からのツアー、初日まであと1ケ月ちょっとというところまできましたが、ベーシスト・サリーへの期待は高まるばかりです。

それでは、オマケです~!
今日はもちろん、サリーです。



File0680

(本文抜粋)
一見ボーヨーとして、つかみどころのないサリー。それぞれに個性の強烈なメンバーたちのまとめ役として、騒がず、あわてず、しかもおさえるところはちゃんとおさえるサリーの人柄はまさにうってつけ。どんな苦難にもめげない逞しさ、頼もしさを感じさせる若者です。

「ボーヨー」って・・・。


File0646

(本文抜粋)
好きな女優さんは森田敏子さんから浅丘ルリ子さんになった。オンナノコの趣味が変ったのかな? 音楽ではさすがにリーダー不動の信念で、以前と変らずビートルズを目標にしている。メンバーの中で、いちばんのめそうなサリーだが、アルコール類は全然ダメ。この世でいちばんコワイのはユーレイ。仕事以外の時は、何をしてるかノーコメントだったのが、近頃では「家で休養」だなんて答えるようになった。マージャンの腕前は相当なものだとはメンバーの評判。最近、数十万円のビデオ・コーダーを手に入れてゴキゲンな毎日をすごしている。

なるほど・・・オンナノコの趣味は変わっても、音楽に対する信念は変わらない、ということらしいです。
当時は、お酒が飲めなかったんだ・・・。
今はどうなのでしょうか。

28日のリハの後は、4人で飲んだのかな?
遅くまで飲んでたから、そのせいで翌日ジュリーが鼻水を・・・?



♪ 夏が終わるまで・・・あと9曲!

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