« 2011年6月 | トップページ | 2011年8月 »

2011年7月

2011年7月31日 (日)

ザ・タイガース 「白夜の騎士」

2013年12月註
すでに多くのみなさまがお気づきの通り、この楽曲考察記事には明らかに誤った記述があります。
これまで、「白夜の騎士」一般公募作詞者の有川正子さんは、作詞家の有川正沙子さんと同一のかたである、と多くの人が考えていましたが、ピー先生の新著『花の首飾り物語』にて、お二人はまったくの別人であったことが明らかになりました。
この記事もその事実に沿って大幅に修正加筆しなければなりませんが、もう少しお時間をいただければ、と考えております。よろしくお願い申し上げます。

☆    ☆    ☆

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1968、single『シー・シー・シー』B面
セットリスト的中自信度=★★★☆☆

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

29日のトークショー、盛り上がったようですね~。

先に情報を得ていたカミさんが
「LIVEでやる曲のネタバレとかしちゃうかもしれないよ」
と注意してくれたので一瞬どうしようか悩みましたが、結局我慢できずにあちらこちらにお邪魔して情報を収集してしまいました。

28日に、初めての4人揃ってのリハーサルがあったとか。ジュリー曰く
「めちゃくちゃ上手い!」
だそうですね!
嬉しい!何と嬉しいジュリーからのご報告。
「オカズが当時のまま」
とも。これはピーのドラムス話ですよね!
楽しみ過ぎる・・・。

サリーが
「ピーのドラムスが遅れてるような・・・俺が走っちゃってるのかな」
と言ってたんですって?
いや~萌えます!
そんなことをあれこれ考えるのが、リハの真髄。

ピーのドラムスが少し遅れる・・・ブランク明け始動当初の段階には、あり得る話ですね。
この点、「シーサイド・バウンド」の記事に書きました。

サリーのベースが走る・・・気持ちが相当に高揚している場合なら、それもあるかも。
「走る」っていう用語については、「生命のカンタータ」の記事に少し書いたっけ。

でも、そんな話を聞いて少し心配しながら、いざ全員リハに臨んだジュリーが、「メチャクチャ上手い」って言ったんですよ!
あのジュリーが、「上手い」って・・・。これまでタイガースの演奏について、ジュリーが「上手い」って言ったことはあったのでしょうか?初めてなんじゃないですか?
他ならぬジュリーがそう言うなら、現時点で既に、世間の誰に対しても胸を張れるような演奏になっているに違いありません。

ジュリーのトークショーの情報で一瞬だけちょっと引っかかってしまったのは、「演奏時間=1時間30分+休憩=15分」というタイムスケジュールです。
90分って・・・短い!と思ってしまいました。
しかしそれはいつものジュリー・ソロLIVEに慣れているからのことで、ジュリーのソロ楽曲に比べ、タイガース・ナンバーは演奏時間それ自体が短いものが多いのです。2分台のナンバーが目白押しですからね。

ジュリーは、演奏曲数を27曲ということで考えているそうです。
たまに長い曲もあるにしても、楽曲の平均演奏時間は3分を超えるかどうか、といったところでしょう。
仮に1曲平均3分として、27曲だと合計81分。1時間半以内で充分時間を余しますね。
まぁ、一部メドレー形式も取り入れられるのかもしれませんが、1時間半の演奏時間を消化不良として懸念する心配はなさそうだ、というのが僕の結論です。ただ、あっという間はあっという間でしょうけど・・・。

洋楽カバー曲もセットリストの候補に挙がってるとか・・・もう、期待は膨らむばかりです!
8月を前にして、僕は早くも凄まじいテンションになってきました。

その8月なんですが・・・。
先日、「8月に執筆するお題はもうすべて決まっている」と書いたのですが、今回のジュリーのトークショー情報を得て、2曲ほど差し替えることにしました。

まず、やっぱり洋楽カバー曲をひとつだけでも書いておこうかな、と。
僕が一番聴きたいと思っているのは「スキニーー・ミニー」(手拍子参加したい!)なんですが、敢えてここは、「サリーが歌うとすれば、これ!」と考えている曲を書きます。

ジュリーの話によりますと、なんでもサリーは
「歌いながらだと(ベース演奏の)指が・・・」
と、リードヴォーカルを担当することを渋っているようです。
でも、ジュリーはゲストのタイガース・メンバーには最低でも1曲はヴォーカルをとってもらいたい、と考えているはずなんですよね。かつてのタイガースのステージが、そうだったのですから・・・。

とすればサリー、ほとんどベース弾かなくても成立する、あの洋楽カバー曲があるじゃないですか!あれならベース持ちながらでも充分歌えるはず!
というのが、僕の予想の根拠。
ヒントは、『THE TIGERS ON STAGE』に収録されている曲です(だから、そんなこと言ったら丸分かりだって!)。

これは8月1発目に書きます。
執筆を入れ替えられてしまった曲は、「光ある世界」です。すみません、いつか必ず!

入れ替えるもう1曲は
「オカズが当時のまま」
というトークショーでのジュリーの言葉に僕はメチャクチャ興奮しまして・・・。
ジュリーがどの曲を指してそう言ったのかはわかりませんけど、ここはもう、僕がピーのドラムス演奏の中で「はだしで」と並んで最も好きなあの曲について、オカズの素晴らしさにも言及しながら是非書いておかねば!と思いました。
後期のロック・ナンバーです。

これはねぇ・・・ずっと書きたいと思っていた曲なんだけど、いざとなったら重い気持ちになってしまって、書けないでいました。
というのは、ジュリーファンにとって、心無い人のために少し嫌な思いをさせられてしまっている曲なんですよ・・・。
でも、そんなちっぽけなスケール、ささいな言葉の引き合いで語られるような曲じゃないんだ、これは!と・・・改めて意を決しました。
タイガース・ナンバーにあって、最も前衛的で最もラジカルな、ロック史上に残る大名曲を、僕はようやくこの機に書きます。

こちらは、8月後半のラストスパート5曲の中で採り上げます。
入れ替えられてしまった曲は、「真赤なジャケット」。すみません、「シーサイド・バウンド」の記事で、「書くよ」って言ったのに・・・。
まぁ、「シーサイド・バウンド」に似てるよ、ってことを中心に書くつもりでしたから・・・それはみなさま先刻ご承知でしたでしょうしね。

ということで、8月に入っても、どうかよろしくお願い申し上げます~。

さて、今日のお題です。
この曲は、多くの先輩方のブログを拝見したり、拙ブログにこれまで頂いてきたコメントなどから、タイガースのシングルB面曲の中でも特に人気の高いナンバーだと認識しています。

そして先日、アン様より「(セットリスト候補として)どうですか?」とのコメントも頂きました。
アン様からリクエストを頂いた、と嬉しく思いましたので、7月最終記事更新、”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”シリーズの折り返しにふさわしいお題として、今回採り上げたいと思います。
「白夜の騎士」、僭越ながら伝授!

まずは。
このナンバーが、作詞公募作品であったという重要なポイントから、お話を進めさせて頂きます。

「白夜の騎士」の有川正子さんに限らず、作詞が一般公募となったタイガース・ナンバーは、すべて素晴らしい作品です。
しかも、すべて詞が特に素晴らしいというのが・・・やはりタイガースを愛する乙女達の感性は、只事ではなかったんだなぁ、と。

菅原房子さんの「花の首飾り」の幻想性は、トッポのヴォーカルの魅力も加わって、危ういエロティシズムすら感じられる大名曲へと昇華しました。菅原さんは応募当時高校生ですって・・・?信じられないほどの芸術性です。

『レジェンド・オブ・ザ・タイガース』に収録されている、明治製菓がスポンサーとなった5曲がまた素晴らしい作詞作品ばかりです。

「夢のファンタジア」の、卓越した完成度。
「ハーフ&ハーフ」の、はちきれんばかりの軽快なセンス。
「遠い旅人」に登場する
「誰も知らぬ旅人の 口笛の懐かしさ♪」
というフレーズは、数あるタイガース・ナンバーの詞の中で僕が抜きん出て好きなもののひとつ。
「タイガースの子守唄」の、”朝になったら忘れてしまう”という、「子守唄」から想起するイメージを一新するような斬新な視点。
「あなたの世界」の、タイガースらしい普遍性。

いずれも、プロ顔負けの作詞だと思います。
こんなに才能に満ちた方々が、「タイガースの曲を作詞した」という経験を経て、その後普通の人生を送れるものなんだろうか・・・。
自分の立場では、想像もつかないことですからね。
無論、「白夜の騎士」の有川さんについても、僕はそんなふうに考えていました。

そんな折、たまたま拙ブログのコメントにて、有川さんはその後”有川正沙子”さんと改名して作詞家の道へ進んだということを、先輩に教えて頂いたのです。
目からウロコでした!

ちょうどそのコメントを頂く少し前だったと思います。
僕はジュリーwithザ・ワイルドワンズのアルバム収録曲で、ドラムスの植田さんがリード・ヴォーカルをとる「アオゾラ」という曲の記事を書いた際、コード進行の説明で寺尾聡さんの大ヒット・アルバム『リフレクションズ』収録の名曲「出航-SASURAI-」を参考曲として挙げました。
その際、無性にかつてLP盤で購入して田舎に置きっぱなしになっていた『リフレクションズ』が懐かしくなり、CDを買い直していたのでした。

その『リフレクションズ』。
当時の小遣いのほとんどを投入するような形で、ビートルズのLPを毎月1枚ずつ集めていた中学生の僕が、ビートルズをいったん後回しにしてまで購入したアルバムです。
まぁ僕がそんなことをするくらいですから、リリース時の『リフレクションズ』のセールスは相当なモンだったと思いますが・・・僕はその時点で有川さんの詞に出逢っていて、しかも強く意識していたのです。
「白夜の騎士」の有川さんが、「出航-SASURAI-」の有川さんだったとは!
ジュリーに堕ちて幾度となく経験してきた「昔夢中で聴いていた音源がジュリーを通じて今の僕にシンクロする」瞬間が、またしてもここにありました・・・。

そう、『リフレクションズ』収録曲の作詞は、松本隆さんと有川正沙子さんが分け合う形になっていて、僕は圧倒的に有川さん作詞のナンバーの方を気に入って、よく聴いていたのです。

「ハバマ・エクスプレス」
「喜望峰」
「ダイヤルM」
「出航-SASURAI」。

この4曲が僕の『リフレクションズ』でのフェイバリット・ソングス。
(後註:すみません、一番好きな「喜望峰」は松本隆さんでした!それ以外は有川さんです)

さらに、LPリリース当時の『リフレクションズ』のライナーには、有川さんが寄稿なさっていました。
ご自身の作った詞が、「寺尾さんのあの声で歌われると、自分の手を離れて独特の世界が広がるような目眩めく感覚になる」・・・といった主旨の文章を書いていらっしゃって、そのライナーは今でも僕の心に強く残っており、僕はその内容と同じようなことを「涙がこぼれちゃう」の記事で少しパクって(汗)執筆してしまったほどです。
その時は、寺尾さんの詞を書いた”有川さん”と、「白夜の騎士」の”有川さん”がまったくシンクロしていなかったのですから、タイガースは奥が深いと言うのか、僕のワキの知識がトコトン甘いと言うのか・・・。

さてそれでは、「白夜の騎士」という楽曲について色々と考察してまいりましょう。



Byakuya

ドレミ楽譜出版社・刊 『60年代 グループ・サウンズ・ファイル』より
今さらながら気づきましたが・・・有川さん、改名後のお名前で記載されてしまっています・・・。


僕はこの「白夜の騎士」について、今回のセットリスト予想20曲の中で必ず書こうと決めていましたが、当初は的中自信度を星2つにしようと考えていました。
なにせオリジナル音源があの大胆なオーケストラ・アレンジです。ギターは1本しか入っていませんし、しかもミックスが異常に小さくて。
ベースと、一部のドラムスは目立っているのに、ギターがこのミックスではLIVE向きのナンバーとは言えないなぁ、と考えてしまったのです。
同窓会では、メドレーの中でも演奏時間が短く、キーボード頼りの作りになっていましたしね(サリーのベースはかなり凄いですが)。

しかし最近になり先輩方のブログで、タイガースがこの曲を従来のバンド・スタイルで果敢にステージで演奏していたことを知り、しかもタローがつい最近のLIVEで「白夜の騎士」を演奏したと言うではないですか!
なるほど・・・きちんとバンド・アンサンブルによる別物として「白夜の騎士」も歌われ、受け継がれているのですね。

そんな経緯で、結局星3つの予想とさせて頂きましたが・・・みなさまはどのようにお考えでしょうか。

今回のツアーで「白夜の騎士」が採り上げられるなら、そんなバンド・アンサンブルは当然のこととして、加えてオリジナル音源に近いストリングス音も披露されそうです。
僕としては、泰輝さんの”神の両手”に大いに期待したいところ。

で、オリジナル音源の素晴らしさがステージで再現されるには、何と言ってもベースとドラムスの大活躍が必要になってきます。

まずはベース。
「白夜の騎士」のベースラインは、ビートルズのポール・マッカートニーが「タックスマン」で披露して以来世界的に流行した、16ビートのハードな表現が取り入れられています。
リズムが激しく跳ねるのです。トンがったベース、と言えばロックにおいてはこのパターンが基本中の基本。
ジュリーのソロ・ナンバーだと、アルバム『G. S. I LOVE YOU』の1曲目に収録されている「HEY!MR. MONKEY」にも使われていますね。是非「白夜の騎士」のベースと聴き比べてください(吉田建さんの方が、小節内で1音だけ手数が多いです)。

『A-LIVE』収録の同窓会ライヴ・ヴァージョンでは、レコード音源よりも相当に進化したサリーのベースが聴けます(若干テンポを落としてはいますが)。
今回もあんな感じで弾いて欲しいなぁ・・・。

そして、ドラムス。
見せ場は、歌メロ部ではないんですよね~。
オーケストラが「テーマ」のメロディーに突入する直前に、激しいフィル・インのフレーズを炸裂させるのです。オリジナル音源のミックスも、この部分はかなり音量を上げていますね。

もうひとつ。これは技術的にどう、というよりもドラム・アレンジのセンスの良さとして僕が推しておきたい箇所なのですが・・・。

♪ ルルル、ルルル、ル、ルルルルル
     Am                  Dm7

  ルルル、ルルル、ル、ルルルルル
     G7                   Cmaj7

  ルルル、ルルル、ル、ルルルルル
     Fmaj7               Bm7-5

  ルルル~、ルル、ル、ル~ ♪
     E7                   Am

という、ハミング部です。
ピーは、小節の2拍目と3拍目で、シンバルを「カン、カ~ン♪」と叩きます。この、「頭を抜く」(小節の1拍目で敢えて音を出さない)アレンジはおそらくすぎやま先生のサジェスチョンがあったと思われますが、オーケストラ・ソロに見事に融合するフレーズです。
このハミング部の直後に、先述した一瞬ながら激しいドラム・ソロのフィルインがあるワケで、その切り替えが「白夜の騎士」でのピーのドラムスの一番の見せ場ではないでしょうか。

僕はこの部分、ステージ照明はほぼ暗闇となり、シンセサイザーでストリングス・ソロをとる泰輝さんではなく、ドラムスのピーだけにスポット・ライトが当てられるのでは、と想像しています。

そうそう、先程ハミング部の「ルルル・・・♪」をすべて書き出してまでコード・ネームをご紹介したのは、このコード進行が、あのスタンダードな大名曲「枯葉」に代表される非常に有名な和音進行であることをお伝えするためです。
僕はこの進行でランニングベースの特訓をしていた時期があって、とても懐かしいコード進行だなぁ、と思い出していたところなのでございます~。

ちなみにこのコード進行は、8月上旬に執筆予定の別のタイガース・ナンバーにも取り入れられています。
その時に、また書きますね。

最後に。
「白夜の騎士」の詞を書かれた有川さん、そして他の作詞公募作品で見事採用を勝ち取ったみなさまは、今でもタイガースファンなのでしょうか。
きっと忘れることなんて、できませんよね・・・。
今回のツアー、客席に有川さん達の姿があればいいなぁ、とそんなことを考えています。

それでは、オマケです~!
今日は3枚。



File06263

”騎士”と言えばマント・・・なのかな?


File0648

それとも弓・・・?


File0667

それとも・・・浴衣?(違)



♪ 夏が終わるまで・・・あと10曲!

| | コメント (25) | トラックバック (0)

2011年7月28日 (木)

ザ・タイガース 「朝焼けのカンタータ」

from『THE TIGERS 1982』、1982
セットリスト的中自信度 ★★☆☆☆

Tigers1982


1. 十年ロマンス
2. 新世界
3. 抱擁
4. 時が窓をあけて
5. めちゃめちゃ陽気なバンドのテーマ
6. 夢の街
7. 野バラの誓い
8. BA-BA-BANG
9. ライラ
10. 生きてることは素敵さ
11. LOOK UP IN THE SKY
12. 朝焼けのカンタータ

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

7月も、残すところあと僅かとなりました。
本日、そして3日後の31日の記事更新をもって、とりあえず”7月中に10曲”という目標を達成します。

「いよいよ」という感じが強くなっていく中、昨日大きなニュースが飛び込んできました。
11月5日、仙台追加公演が決定!
そしてどうやらこの追加公演についてのインフォメーションは、あの震災で深刻な状況下に追い込まれた地域・・・東北、北関東限定でハガキにて送られている模様です(我が家、埼玉には送られてきていません。北関東にお住まいのJ先輩から情報を頂きました)。

仙台のあの方や、福島のあの方や、岩手のあの方、茨城のあの方・・・他、多くの彼の地のジュリーファンのお手元に、今日にもハガキが届くことでしょう。

つまりこれは、ハッキリと
「あなたたちのために行くよ」
というジュリーの意思です。

さすがジュリー、やっぱりジュリー!

今はまだまだ、普通の生活に戻れない、平穏な日常に戻れない、悲しみの気持ちがふりはらえない・・・それが被災なさった方々の現状だと思います。
でも、ジュリーは「時間をかけて」と言ったんでしたよね・・・。
「そろそろ、音楽を受け入れられる気持ちになれるんじゃないかな。そろそろ身体を歌に委ねてみて。タイガースが行くよ!」
・・・という、ちょうどそんな時期が、11月頃なのかもしれません。
東北・北関東の方々が、心から歌を楽しんでもらえるまでに復活なさる頃に、公演日を合わせたんだ・・・そんなふうに思えてきます。


僕らとしてはもう、離れた地から、11月の仙台公演が地元の方々で一杯に埋まり、素晴らしいステージとなることを祈るばかりです。
これで本当に言える・・・ジュリーは、タイガースは、鉄人バンドは全国各地にやってくる、と。

各地のブログさんも、そろそろタイガース・モードのスパートをかけてこられるのでしょうか。
いや、じゅり風呂界の場合は、その前に29日のトークショーがありますね。
もちろん留守番の僕が期待しているのは、秋からのツアーに関する情報がジュリーの口から語られること。
セットリストのこと。武道館のこと。メンバーの意気込みや近況。リハーサルの予定。
週末のじゅり風呂巡りが楽しみです。

そんな中、拙ブログからリンクを貼らせて頂いております、27年ロマンス様のブログ『G. S. I LOVE YOU』さんでは、「ツアー・セットリスト1曲目は何か?」というアンケートも始まりました。
候補曲に「十年ロマンス」が加わっているあたりに、27年ロマンス様ならではの一念を感じますね~。

実は僕、以前(ジュリー堕ちよりももっとずっと前のことです)にYa○ooさんに変なハンドルネームでID登録を済ませてしまい、Ya○oo系ブログさんになかなかコメントし辛い、という状況にありまして・・・(汗)。
大変失礼ながらこの場を借りまして27年ロマンス様のアンケートにお答えしますと、DYNAMITEの1曲目予想は「僕のマリー」です。

これはね・・・他でもない27年ロマンス様が、僕の執筆した「シーサイド・バウンド」の記事に「この曲は2曲目と予想します」というコメントをくださいまして・・・僕はその予想に大きく共感してしまったのでした。
そこで僕はさらに、勝手に

2曲目が「シーサイド・バウンド」なら、1曲目は「僕のマリー」じゃないかな?

という想像をふくらませてしまったのです。
つまり僕の予想だと、のっけからタイガースのデビュー・シングル、セカンド・シングルを連発し、会場を興奮の坩堝におとしいれてから、最初のMC・・・という流れになるというわけです。

ただ、多くの先輩方の1曲目予想はと言いますと、「タイガースのテーマ」が断然の人気です。
これは、ピーの講演会での坂田委員長さんの、ピーの3連符ドラムスに関する発言などもあったりしまして、後追いの僕としても、相当に有力な1曲目候補と考えるところではあります。
(どなたか、「タイガースのテーマ」足上げ儀式の作法をこの新規ファンに伝授してやってくださいませ~!)

タローのLIVEに参加なさった方々の情報によりますと、今月中にはセットリストも決定とか・・・。
本番はどうなるのでしょうね。
本当に楽しみです!

さて、拙ブログでは『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想シリーズ、”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”ということで続けていますが、”伝授”とは名ばかりで、先輩方の熱く貴重なコメントに助けられ、どうにかこうにかやっています。
いつもありがとうございます・・・。


当初、「20曲のうち半分くらいは(セットリスト予想が)当たります!」と豪語したんですけど、ここまでのラインナップ、2、3曲くらいしか的中しないような予感・・・。
しかしご心配には及びません。
8月に執筆するお題はもうすべて決まっていて、ラストスパートの後半5曲は、的中自信度にして星4つ、星5つのナンバーが目白押しとなる予定なのです。

ですから、今の段階ではまだまだ渋~いお題も積極的に書いていきますよ!

ということで今日はまたしても渋~い(かな?)お題を採り上げます。
前回記事「生命のカンタータ」から”カンタータ繋がり”ということで続けて書くのがミソですかね~。
1982年、ピーの不参加により”再結成”ではなく”同窓会”と銘うたれたタイガースの、これもまた名盤『THE TIGERS 1982』から。
「朝焼けのカンタータ」、伝授です~!

今回のツアー、セットリスト予想をする上でこれまた重要なポイントになるのが、同窓会期のナンバーが採り上げられるのかどうか、という点ですね。
本当に名曲は多いのですが、なにしろピーがまったくの不参加、ノータッチの作品群。

ピーは1982年当時、この名盤やシングル曲に耳を傾けることはあったのでしょうかねぇ・・・。
でも、もしずっと聴いていなかったにしても、今は聴いていると思いますよ。きっとタローがね、再会から2度目くらいのタイミングで、手渡してると思うんだ・・・。何となくですが、そんな気がします。
で、「おっ、イイ曲がいっぱいあるじゃん!」みたいなことになったりしてないのかな・・・。

で、同窓会期のナンバーでセットリストに組み込まれるとすれば・・・と、あれこれ考えてみたのですが・・・。
この場合、やはりトッポのツアー不参加は痛いですね・・・。この時期のナンバーは、もちろんそれが大きな狙いなんですけど、ヴォーカリスト、または高音コーラスとしてトッポの果たす役割が大きい曲が多いですから。

まずシングルの「色つきの女でいてくれよ」。
この曲については星ひとつ(トッポのリード・ヴォーカル曲ですからね)・・・つまりまず今回のツアーでは聴けないだろう、ということを承知で、8月に記事を書く予定でいます。
でもまぁ、これはまずやりませんよね・・・。
逆に言うと、トッポが参加していれば、たとえピー不参加の同窓会音源と言えども星4つはつけられたんじゃないかと思います。

続いて「十年ロマンス」。
こちらもトッポのパートが重要ですね・・・。27年ロマンス様の長年の思いを実現して欲しいところではありますが・・・今回はやらないように思います。
ただこの曲は「色つきの女でいてくれよ」と違い、「ひょっとしたらジュリーが全編歌う可能性もあるのでは・・・」とも考えられ、ギリギリ星2つの期待を持っています。
”掌ヒラヒラ→Lの字”を会場全員でやってみたいですね~。
「十年ロマンス」でのジュリーの作曲は、まるで「トッポならこの高音パートが映える」と確信して作っているような構成です。作曲時にはそんなことは考えていなかったのかもしれませんが、結果としてそうなっていることがそのままタイガースの凄味と言いますか・・・。
トッポが担当するBメロの出だしが、「麗人」のBメロに似ていて、当時のジュリーの作曲の好みを伺わせます。

そして・・・現時点で”タイガース最新シングル”に位置する「銀河旅行」はどうでしょうか。
これはトッポ不在がさほど響かない曲です。採り上げられても不思議はありませんが、楽曲のイメージが地味ですかね。
無論僕は大好きなナンバーです。おそらくみなさまも。
しかし、ジュリーやタイガース・メンバー自身の思い入れという点ではどうなのでしょうか・・・。ピーに「この曲のドラムを叩いてくれ」と持ちかけるほどではないのかなぁ、と。
やってくれたら「おおっ!」となる曲ではありますね。

さらに・・・シングル以外のアルバム収録曲となると、名曲揃いではありますけどセットリスト予想としては星ひとつのナンバーばかりですねぇ・・・。

でもそんな中、「これは星2つの淡い期待は持っていいのでは」と個人的に考えているのが「朝焼けのカンタータ」です。
僕がアルバム『THE TIGERS 1982』の中で最も好きな曲、ということもありますが・・・。

やっぱりね、この曲は詞のテーマが、”タイガースとの再会”にふさわしい。
それは、1982年同窓会の時点よりもさらに、解散から40年という今の方がずっとふさわしい・・・そんな曲だと思うのです。

♪ ラジオから古い歌 流れてくすぐるよ
  F             C         Dm               Am

  君が いれたての紅茶をさし出す ♪
    B♭            F     Gm         C   C7

冒頭のこの歌詞だけとっても、歌の主人公(=僕=タイガースの各メンバー)と「君」(=タイガースのメンバー、またはタイガース世代のファン)が、ある程度円熟した年齢に達しているように感じられます。
同窓会の時点でタイガースは30代ですが・・・「朝焼けのカンタータ」で語られる「僕」と「君」は、もっと長い人生経験を経て、ささやかな日常をのんびりと送っている・・・そんな”良き老境”を思わせるのです(「老境」は言い過ぎかもしれませんが汗)。

本当に久しぶりに、全員が揃って再会したタイガースのメンバーが
「あの頃は、ワケのわからんことで喧嘩して騒いだよなぁ・・・」
なんて語り合いながらくつろいでいる情景が浮かぶようにも思えますし、そんなメンバー再会の場に、かつてのタイガースファンが居合わせて、皆にお茶を入れながら静かに見守っている・・・そんな光景すら浮かびます。

そのメンバーもファンも皆、もう若者ではありません。

つまり、「朝焼けのカンタータ」という曲は、まさに今のタイガースで歌われてこそ、奇跡のようにタイガースのメンバーやファンの気持ちにリンクする曲だと僕は思うのです。
Aメロで続く歌詞

♪ 君は小さなあくびを  ひとつ ♪
    B♭   F       Gm   C7  F   Fsus4

の、「あくびをひとつ♪」なんてね、やっぱりこれは50代、60代のイメージですよ。気も練れて、のんびりしていて。でもどこかウキウキしていて。
そしてサビ。

てない夢は         時に流れても
  F    C       Dm Dm7  B♭ C         F 

  てのない愛を 今 
  B♭   C        F  F(onE)  Dm  Dm7

  抱きしめているよ ♪
  B♭   C          F

若い頃は「夢」。
年齢を重ねれば、「愛」。

タイガースと共に夢を追った日々。年月と共に、情熱的な夢は流れてしまったけれど、激しさも甘やかさもすべて心に包み込まれて、あの頃の気持ちは、大きな愛に変わっている・・・。
若輩の僕などにはまだまだ届かない域ですが、タイムリーなタイガースファンの先輩方は今、そんな境地に達しておられるはず。
そういう意味からも「今こそこの曲を!」と考えるのです。

それに今回は、1982年のリリース当時にはいなかったピーがいます。
ピーが「道」や「老虎再来」の詞に込めた気持ちも、「朝焼けのカンタータ」の詞の世界と充分合致するものだと僕には思えます。
ですから、ピーにとっても「朝焼けのカンタータ」という曲は違和感なく”タイガースのナンバー”として溶けこむことができるのではないでしょうか。

今年復活なさったピーファンのみなさまは、同窓会ナンバー「朝焼けのカンタータ」をご存知なのかなぁ・・・。
セットリスト予想を抜きにしても、是非一度聴いて頂きたいタイガースの大名曲ですよ~。

さて。
『THE TIGERS 1982』というアルバム最大の特徴は、全収録曲がタイガースのオリジナル・メンバーによる作曲作品で占められている、ということです。
ジュリー、トッポ、そしてタロー。この3人。
タイガースが誇る三大作曲家の、見事な競演アルバムと言えますね。

『ヒューマン・ルネッサンス』ではトッポとタロー、『自由と憧れと友情』ではジュリーとタローの競演があったわけですが、3人の作曲揃い踏みはこの同窓会アルバムが初となりました。
それぞれの作曲の個性を比較するだけでも、とても楽しいアルバムです。

当時開眼した「短調のハードなアップテンポ・ナンバー」作曲をここでも炸裂させるジュリー。

抑揚のあるメロディーと、明確なテーマを持つ自作詞で、独自の世界観を表現するトッポ。

そして・・・作曲家として最も成長し、素直で優しく、普遍的に美しいメロディーでヒット性の高い曲を披露してくれているのが、タローです。

少し前に「坊や祈っておくれ」の記事で、”作曲に賭けるタローのファイト”という『近代映画』の記事を紹介させて頂きましたが、あれから10年・・・タローは間違いなく一流の作曲家として揺るぎない才能を開花させました。
「朝焼けのカンタータ」は、それを証明するにふさわしい大名曲です!

こんなにストレートに美しいメロディーのバラードは、世に数えるほどしかありません。
しかも、「ジュリーが歌う」ということをしっかり念頭に置いて、ジュリーの得意とする”せり上がるメロディー”を随所に散りばめています。
自分の名声、欲は二の次。
「良い曲を、優れたヴォーカリストが歌う」という作曲家にとって基本中の基本理念を、あのタイガースという超人気バンドのメンバーとしてのキャリアを持ちながらも自然体で会得する、純朴なキャラクター。それが作曲家・タローの最大の魅力へと昇華していると思います。

そして、「朝焼けのカンタータ」はアルバムの中でも特に素晴らしいアレンジが施されています。
(他の曲では、一番打ち合わせに時間をかけて練りこまれたのが「時が窓をあけて」だと想像しています)
クレジットから推測すると、バンド・アレンジが伊藤銀次さん、オーケストラ・アレンジがすぎやまこういちさんでしょうか。
このお二人の融合が、完璧。

イントロと間奏部で、僅か1小節ではありますが、ストリングスとベースが同じ拍でとてつもなく美しくハモる箇所があります。
ストリングスのメロディーは空へと昇るように舞い上がり、ベースは大地に根を降ろすように下降します。
その直後に、ジュリーのあの伸びやかな歌声が始まるのです。「朝焼けのカンタータ」を聴いていて、僕が最もゾクゾクする瞬間です。

ご存知の方も多いでしょう・・・伊藤銀次さんはちょうど今、ご自身がアレンジャーとして深く関わったジュリーのアルバムについて、貴重な秘話をブログに執筆してくださっています。
『G. S. I LOVE YOU』『S/T/R/P/P/E/R』のお話ももちろんファン垂涎なのですが、このタイミングで是非とも『THE TIGERS 1982』のお話も書いて頂きたいなぁ・・・。
銀次兄さんが、すぎやま先生、そしてタイガースのメンバーとどんな打ち合わせをしながらアレンジ作業を進めていったのか・・・タイガースファンがこの機に、ズバリのタイミングでそれを知れたら、どんなにエキサイティングなことでしょう!

僕が一番興味があるのは、「朝焼けのカンタータ」のピアノの音色をどういう経緯で決めたか、という点です。
Aメロで、かくれんぼをするように可愛らしく鳴っている、あのピアノの音。

タローの作った曲が素晴らしく美しいメロディーのバラードですから、普通ですと両手のグランドピアノで「じゃんじゃ~ん♪」と壮大な音作りになっても不思議ではありません。
しかし銀次兄さんは、敢えてオモチャのピアノのような、高音の硬い音色の片手コード弾きのピアノ・アレンジを施しました。これが素晴らしい着想!
その控えめなピアノの音は、まずはつつましい日常を、そしてその日常の中での懐かしい再会、というシーンを聴き手に想像させてくれるのです。

そういったことも含め、僕は「朝焼けのカンタータ」が今回のツアーで採り上げられるなら、タローにピアノを弾いて欲しいと考えています。
だって、タローはこの曲をピアノで作曲した、と推測していますから!

ストリングスは泰輝さんのシンセで・・・下山さんがアコースティック・ギター。あぁ、ステージの景色が僕には見えるような気がします~。
でも、予想自信度は星2つが精一杯なんですよね・・・。
密かに期待しています!

それでは、オマケですぅ~。
同窓会期の写真を持っておりませんので(最近、オークションで同窓会当時の写真集が売られておりましたが・・・見つけた時には既に、手の届く金額ではなくなっていました涙)、相変わらず『近代映画』タイガース特集号からの写真になりますが・・・。
アルバム『THE TIGERS 1982』を彩った三大作曲家のうち、タロー&ジュリー、二人のショットを。
(トッポファンのみなさま、ごめんなさい。手持ちの『近代映画』が後期タイガースの特集号なので、トッポ単独のショットが無いんです・・・)

まずはタロー。

File0615

メンバーの中では決して目立ちませんが、解散後、今に至るまで最も”タイガース”として自然な形で生きてきたのがタローかもしれない、と、後追い勉強中の僕にはそんなふうに思えてきています。

続いて、ジュリー。

File0633

ジュリーはやっぱりタイガース時代から、こんな感じの真剣な表情でギターを弾きながら作曲していたんでしょうね。

ちなみにこのショットでジュリーが押さえているコードは「B♭7」。
すぎやま先生や村井邦彦さんの作ったタイガース・ナンバーには頻繁に登場するコードです。

注目したいのはジュリーの小指。
「B♭7」は小指を省略した簡易フォームも存在して、実は僕などはそちらの簡易フォームで弾くことが多いのですが、ジュリーはキチンと2弦を小指で押さえ、7th音を強調したフォームで押さえています。何が違うって、こちらの方がロック的な響きが強まるのです。
ジュリー、さすがですね!


♪ 夏が終わるまで・・・あと11曲!
 

| | コメント (32) | トラックバック (0)

2011年7月25日 (月)

ザ・タイガース 「生命のカンタータ」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968
セットリスト的中自信度 ★★★☆☆

Human


1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

--------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

先週末、東京近辺でも気温が下がり、非常に過ごしやすい日が3日ほど続きましたが・・・また全国的に暑くなったようですね。
僕も体調管理に気をつけなければ・・・。

さてさて、拙ブログでは引き続き、『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想シリーズ、”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”ということで、ひとまず四十肩を乗り越えたりしながら(恥)続けております。
今回は8曲目です。

実はここへきて、拙ブログのアクセス数がまた一気に増えてまいりました。
ジュリーファンのみならず、タイガースのメンバーそれぞれのファンのみなさまが遊びにいらしてくださっているようです。特に最近は、ピーのファンのお姉さま方が暖かいお言葉をかけてくださり、嬉し恥ずかし状態です。
本当に有り難いことです・・・。

今日お題に採り上げるのは、アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』の収録曲です。
秋からのツアー、僕だけでなく多くの方々がそれぞれ色々な角度からセットリスト予想をしておられると思いますが・・・シングル曲ではない、アルバム収録曲の中からどのような曲が採り上げられるのか、というのはみなさまにとっても大きなポイントでしょう。

タイムリーなタイガース・ファンのみなさまは、そんなアルバム収録曲についても、実際にLIVEで体感なさった曲を思い浮かべるものなのでしょうか。
それとも、まだ生で聴いたことのない曲に期待を寄せるものなのでしょうか。

いずれにしましても、後追いファンの僕はそういった観点からの予想ができません。
そうするとやはり、楽曲の持つコンセプトを”2011年のツアー・セットリストとしてふさわしい曲”であるかどうかを吟味して、予想を組み立てることになります。
いつもジュリーのLIVEを観ていますから自然と・・・社会状況などを関連づけてセットリストを考えることになるのです。
あとは、”タイガースで演奏する意義”というのも重要ですよね。せっかくこのメンバーでステージに立つのですから。

そのように考えていくと、1アルバム収録曲の中で個人的にセットリストの有力候補だと思われるのは

『ヒューマン・ルネッサンス』から
「生命のカンタータ」
「朝に別れのほほえみを」

『自由と憧れと友情』から
友情
青春

この4曲に、的中自信度にして星3つ以上の期待を持てるのではないかと・・・。

特に自信があるのが「友情」で、これは星4つ。
残る3曲は星3つですが、今日の記事ではその中から、生まれくる命への賛歌を通じて、人間の素直で自然な在り方をメッセージに込めた大名曲、「生命のカンタータ」を採り上げたいと思います。
僭越ながら伝授~!

え~と、このタイトルは「いのちのカンタータ」と読んでいいんですよね・・・?

短調のシャッフル・ナンバーです。
シャッフル・ナンバーということは必然的に、3連符で「タカタ、タカタ、タカタ♪」とドラムスがオカズで主張しまくっていそうなものなのですが、「生命のカンタータ」に「タカタ、タカタ♪」のフレーズは1箇所も登場せず!
なるほど~、やはりそういうことですか・・・(このタカタタカタ話、詳しいことは前回「嘆き」の記事に書きました~)。

この曲でのピーは3連符のフレーズを使用せず、マーチ風のドラムスを叩くんですね。
体力的に言えばかなり楽な演奏になっていますが、このパターンはね、例えば僕のような素人が叩くと走る走る!
(「走る」というのは、どんどんテンポが速くなって演奏が乱れてしまう状況を差して言います)
つまり「生命のカンタータ」のLIVEでのドラムス演奏の見せ所は、クールなテンポキープにあると言えます。
ピーは先生だったのですからね。熱いハートをクールに表現することは、得意中の得意でしょう。
冷静かつ熱いスティックさばきが、生で観られるとイイなぁ・・・。

で、この手の短調シャッフル・ナンバーなのですが、ちょうど60年代中頃から流行り出した洋楽ロックの流れを受けているものと考えられます。
そんな洋楽ナンバーの中でも「日本人向き」と言われたのが、ザ・キンクスの「サニー・アフタヌーン」という朴訥な名曲。
「サニー・アフタヌーン」は、とかく「ラヴ・ソング」に偏りがちだったロック界に、”社会風刺”を持ち込んだ最初のヒット曲とすら言われるほどなのですが、ビートルズやストーンズ、フーといったバンドに比べると何故か影が薄いのが、キンクスというバンド。
でも、タイガースの音源にはキンクスの影響も多く見受けられるんですよ。特にすぎやま先生が作曲から離れて以降の曲に目立つんですけどね。
(後期タイガースの名曲「散りゆく青春」などもそうではないか、と僕は考えています。「散りゆく青春」は星4つ・・・おそらくセットリストには組み込まれると予想していますが、8月までの記事お題からは外れる予定です・・・。すみません~。なんせ書きたい曲が多過ぎます!)

「生命のカンタータ」については少し凝った特徴があって(特にイントロ)、和音いずれかの構成音が半音或いは1音と常に下がっていく感覚というのが、曲中全体で意識されているのです。



File0637_2 

『深夜放送ファン別冊・沢田研二のすばらしい世界』より


この手法は、まさに「サニー・アフタヌーン」。
共通点は、”ほぼ同じテンポの短調シャッフル・ナンバー”ということだけではないのです。



Kinks1_3   

Wise Publications・刊 『The Kinks/The Chord Songbook』より


ちなみに僕が「サマータイム」という言葉の意味を初めて知るきっかけになったのが、この「サニー・アフタヌーン」。サビの歌詞に出てくるんですよね・・・。

で、コード進行を見比べても、キーの違いこそありますが(「生命のカンタータ」はホ短調、「サニー・アフタヌーン」はニ短調)、この2曲には共通項が多いようです。
あ、そうそう・・・『沢田研二のすばらしい世界』をお持ちの方、この機に譜面の最初のコードネーム「F」ってのを「Em」に直しておいてくださいな~。
まったくどういう誤植なんだろうな・・・。

話が逸れましたが、この頃のタイガースにもハッキリした洋楽志向に基づいた楽曲戦略はあって、しかもそれがメンバーの資質に合っていたのでしょう。
「生命のカンタータ」のオリジナル音源には、シャッフル・ナンバーという要素を上手に掛け合わせた、隠された洋楽オマージュ、渾身の演奏が見られます。
それは、ベース。

今度はビートルスなんです。
「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」・・・シングルではありませんが有名な曲です。特にジュリーファンにとっては、タイトルだけでも相当馴染みがあるかもしれません。
曲想、ことに長調と短調の違いからなかなか気づきにくくなっていますが、その「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」のベースラインが、「生命のカンタータ」のベースと瓜ふたつなのです。
これは、狙ってやっていますね。

Aメロでは、まず小節の頭でルート音を1つだけスタッカート気味に弾きます。
スタッカートには大きな意味があって、次の瞬間にはとんでもない遠方音(2オクターブもの高音)へと移動するため、ベースのフレット移動を円滑にするべく、音を一旦区切る必要があるわけです。
最高音部から美しい下降メロディーを奏でたベースは、次の小節の頭(次のルート音」に向って舞い降りてきます。

「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」でのポール・マッカートニーのベースは「まるで生き物のように動く」と言われ、当時大変高い評価を得ました。
同様に『ヒューマン・ルネッサンス』というアルバムの大きな意義は、壮大なコンセプトや楽曲のテーマのみならず、そうした「生命のカンタータ」のベース・プレイに代表される演奏面での堂々たる気品、気位の高さなどがあって、単なるアイドルグループのレコードではない、ということを証明した1枚だったのだなぁ、と。
それは、僕のような後追いファンでもすぐに分かることなのです。

さぁ、これを今のサリーがどのように再現してくれるのか。

ベーシストという人生から離れて時が経った今でも、サリーのベースの腕前については
「相当弾ける!」(泉谷しげるさん)
「バッチリ!」(タロー)
といった最近の発言があるらしいですから、秋からのツアー「生命のカンタータ」がセットリストに選ばれたならば、イントロの瞬間から僕はまずサリーに釘づけになるかもしれません。

そうそう、また話が逸れますけど、ビートルズの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」は、リード・ヴォーカルをドラマーのリンゴ・スターが担当しているのです。
それはこの曲の

「僕は歌は苦手だけど、友達が一緒に歌って助けてくれるから大丈夫さ♪」

というテーマに基づいて、敢えてヴォーカリストではないリンゴが歌ったからこそ、聴き手の大きな共感を呼んだわけです。
リンゴの来日コンサートでも、この曲だけは会場一体となっての大合唱だったことを思い出します。
これはそのまま同じように、ピーの新曲「老虎再来」の

♪ ともになら怖くない いつまでもどこまでも ♪
  Gm         C          A7                 Dm

というフレーズにも共通するテーマだと言えます。だからクレジットも音源も、「瞳みのる他・歌」なのでしょう。
もし「老虎再来」がツアーで採り上げられたなら、僕らファンも大合唱で迎えたいと思っているのですがいかがでしょうか。

で、「生命のカンタータ」に話を戻しますが、この曲は本当にサリーの独壇場。
ベース以外にも、コーラス・パートでサリーにかかる比重が大きいですよね。

♪ その子たち(た・ち・も
  Am        D7

  いつの日か(い・つ・か・は
  G

  愛し合   う(ひ・と・を
  D7(onF#)  D#dim

  求   める の ♪
  Em  Am  D7  B7

このサリーのコーラス(太字の部分。最後の「求めるの♪」は、ジュリーのリード・ヴォーカルとユニゾン)が大きくクローズアップされるBメロ部。ステージでのジュリーとサリーのかけ合いが、本当に楽しみですよね~。
オリジナル音源でも、ココだけベースラインがシンプルになる、というのが泣かせます。リリース段階ですでに、サリーありき、LIVEありき、という音源なんですよ。

ちなみに「愛し合う(ひ・と・を)♪」の部分ですが、先述の『沢田研二のすばらしい世界』では、ずっと「B7」で押し通しす採譜になっています。
それでも合うには合うんですけど、僕は上記のように「D(onF#)→D#dim」と弾いています。
ギター1本で弾き語る場合なら特に、この方が断然雰囲気が出ると思いますよ。試してみてくださいね~。

もちろんジュリーのヴォーカルも大きな見所ですが、何よりこの曲の「生命の誕生、繋がり」というテーマは、最近のジュリーのセットリストや作詞スタンスで、言わば”地球愛”を前面に押し出していることとリンクすると思います。
きっと”ジュリーが歌いたいタイガース・ナンバー”の中の1曲なのではないでしょうか。

それでは、オマケですぅ~!

まずはちょっと、タイガースとは関係ないショットになっちゃうんですけど・・・。
今日の記事では、ベースの話をさせて頂きましたよね。
ジュリーファンにとってベーシストと言えば、まずはタイガース→PYG→井上バンドのサリー。
では次に挙がる名前は?

それはこのお方!
今年6月の近影です!

Ken

昨年に引き続き今年も奈良で行われた○○剛さんの一大イベント・・・6・11のステージには、変わらずバンドマスターとして大活躍の吉田建さんの姿があったようです。
バンドには、「涙がこぼれちゃう」のアレンジャーとしてお馴染み・キーボードの十川ともじさんも健在。
いやぁ・・・それにしても建さん、さらに貫禄・風格・オーラが増していますな~。

・・・あぁっ、みなさん、何故そんなにひきつっていらっしゃるのです・・・?

それでは続いて、タイガース関連のショットにまいります。
長身ベーシスト、サリーの若き雄姿です。



File0668 


(本文抜粋)
シローを迎えて決意も新たに再出発する新生タイガース。その精神的な支えの中心になるのが、サリーです。「弟だからといって甘やかしは絶対にしません。あくまでもメンバーの一員として、どしどし鍛えます」と自信に満ちた口調で語ってくれました。がんばれサリー、がんばれ新生タイガース!

シロー加入後間もないショットなのでしょうね。
サリーの場合、タイガース時代のショットについては、楽器を持って映っている方が数段カッコイイと思います。
この頃はベースという楽器に賭けていたと思いますよ。全力で賭けていたからこそ、ある時点でスパッとあきらめられる・・・そんな男っぽい決断は本当にリスペクトできます。

最後に、トッポ在籍時のタイガースのショットを。
見開きページをスキャンしましたので、中央部(タローの凛とした立ち姿)がヨレッとなってしまっています。すみません~。

File0616


これからまだまだ暑い日が続きますが、雪景色のショットでしばしの涼を~。

♪ 夏が終わるまで・・・あと12曲!

| | コメント (16) | トラックバック (0)

2011年7月22日 (金)

ザ・タイガース 「嘆き」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1969、single
セットリスト的中自信度 ★★★★☆

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

↓ ちなみにこちらが問題の(笑)ジャケ裏です~。

Singlecollec2

-------------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

--------------------------------------

今回はちょっと、興奮していますよ!
暑苦しいですよ!大長文ですよ!

先日、7月20日・・・瞳みのる(=ピー)のファースト・ソロCD&DVDが遂に発売されましたね。
講演会に参加なさったみなさまは、ひと足早くゲットしていらしたのでしょうが・・・僕は予約組でした。
ピーのオフィスにメールでの予約でしたから、「応援しています。秋からのツアーを楽しみにしています」なんてメッセージを添えて、送信する際に緊張しまくりました(笑)。

で、何と我が家にはジャスト発売日の到着。
さすがピー先生です。仕事早っ!!

通常のCDよりも重量感のある作品が、ピーの会社・オフィス二十ニ世紀さんのオリジナル封筒に入っていました。

Pee1

取り出してみますと、豪華なソフトケースに収まった気合に満ちたデザインの作品と、サイン入りの栞が・・・。

Pee2

あ、これからご購入のみなさま。
栞はケース内に挟まっていますから、うっかり外で開いて風に飛ばされたりしないように、気をつけましょう!

え~、他にも歌詞カードやプラケースの中敷き部など、いたるところに素敵な写真が満載なのですが、これ以上は敢えてご紹介いたしません。
素晴らし過ぎるDVD映像の内容にも、今回は触れません。
とにかく、少しでもタイガースの歴史を知っている方・・・秋からのツアーは楽しみにしているけど、ピーの新譜までは買おうか、どうしようか、と悩んでいらっしゃるタイガースファンやジュリーファンの方々。

これは、買ってください!

人間というのは不思議なもので、楽しいことでアドレナリンが出ると、身体の「痛み」が薄らぐんですね。
ピーの新譜のおかげで、僕の四十肩も急速に快方に向っている・・・かな?
そのくらい素晴らしい作品だったのです。

当然、ピーはヴォーカリストではありませんから、2曲ともいわゆる「上手い」歌というものではありません。
でも、これは沁みる!泣ける!

「道」の1番を映像とともに聴き終わる頃には、新規ファンの僕ですら涙ぐんでしまったほどですから、タイムリーなファンのみなさま・・・文字通り「ロング・グッバイ」を体感なさってきたみなさまは、号泣してしまったのではないでしょうか。

ちなみに歌詞カードには

「道」を、タイガースの仲間に捧げる
「老虎再来」を、中井さんに捧げる

というピーの解説もついていましたね。

曲順、納得。
「長い別れ(=ロング・グッバイ)は終わった」と泣かせる1曲目の「道」から、「さぁ、昔のメンバーでまた盛り上がろうぜ!」という2曲目の「老虎再来」へ。
「老虎再来」の方は
「サイライサイライサイライ・・・♪」
という耳馴染みのない語感に一瞬たじろぎましたけど、なぁに、昨年秋から今年の正月にかけて「若者よ」で拳振り上げてきたジュリーファンにとってすれば、そのくらいは楽々と乗り越えることができるのです。
それにこの曲のDVDのイントロ映像がね・・・ピー、あまりにカッコ良過ぎますよ!


「道」は、ヘ長調の70年代初頭のフォークっぽいバラード、「老虎再来」は、ニ短調のGS流ビートポップス。
まさに、”タイガースのピー”が原体験した音楽のエッセンスが凝縮されています。
ヘ長調とニ短調は、平行調という緊密な関係にありますから、まったく異なる曲調の2曲に相互作用、統一感があります。

さらに、タローの編曲がまた素晴らしいのです。
「道」での、前奏部と後奏部に採り入れられているカノン風の和音進行や、「老虎再来」のピアノ連打の音階、フレージングなどは、いかにもタローらしい、優しくもあり、とにかく的を得た愛情のこもったアレンジだと思います。

でね。
この2曲、ツアーで歌われる可能性大いにアリ、と見ましたよ。

特に「老虎再来」は、中井さんが提示した
「タイガース復活のキャッチっぽいものを」
というアイデアに基づいて作られたそうですし、何と言ってもタイガースで演奏している絵が浮かんでくるような曲なのです。
(もちろん、正規音源の「他」さん・・・じゃなかった、タローとスーパースターさんの演奏も素晴らしいです。ヴォーカルに絡みつきながらもまったく歌の邪魔をしない速水さんのリード・ギターは、特にこの曲の記事執筆の際には熱く語りたいところです。まぁその点は「道」についても同じことが言えますが


あと、「道」はね。正直に言って、一般人合わせても、ピーより上手く歌える人の方が多いかもしれません。
でも、これはピーが歌わないとダメなんです。そういう曲です。
「こんなにイイ曲なんだから」ということで、ジュリーに歌ってもらったら、という話もひょっとしたらあったのかもしれません。
でもジュリーなら曲を聴いて
「これはピーが歌わないと意味がない」
と考えるような気がします。歌心のある人は特に、そう考えるのではないかと僕は思います。

ただいま進行中の”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”シリーズ中では、ピーの新譜については執筆しませんが、ツアーが始まったらまずこの2曲の記事を書こうと思います。
その場合、一応ツアーのセットリスト・ネタバレ禁止期間の記事更新ということになるのですが・・・この2曲がセットリストに入っていたのかどうか、直接は文中で触れていなくても、僕の暑苦しい文章から何となくみなさまに伝わってしまうかもしれません。
気の早い話かもしれませんが・・・その点のみ、どうかご了承くださいますよう・・・。

とにかくもう一度念を押します。
『道/老虎再来』、これは買っておきましょう!

さて。
もうひとつ、今日のお題にも少し関係してくる話なのですが、ちょっと説明というか補足というか、書いておいた方がいいかな、というお話を。

いくつかのブログさんを拝見させて頂き、先日大盛況の中開催されたピーの講演会で、ピー、サリーの同級生であり、今回の講演会にも多大な尽力をなさった事務局の坂田委員長さんが、こんなことを仰っていたことを知りました。

「ピーは昔よりドラムが上手くなっている。タイガース時代はできなかった3連符ができるようになった」

のだそうですね。
これ、楽器に詳しい人独特の表現であって、単純に「3連符が叩けなかった」ってことではね、ないんですよ。

例えば「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、バリバリの3連符で構成されている曲で、しかもワルツ。
この曲の解散コンサートでのドラムス演奏について、僕のバンド仲間でありJ友でもあるYOKO君が、昨年のジュリーwithザ・ワイルドワンス川口公演参加後の打ち上げで

「ラヴ・ラヴ・ラヴ」でこれほどロックで攻撃的なドラム・アレンジをピーが叩いていたとは、正直驚いた

と話していました。
玄人をうならせる名演なんです、あのテイクは。
ですから、「3連符ができなかった」というのは、楽器を嗜まないみなさまにとっては少し分かり辛い表現なのかも、と思って・・・。

ピーは、3連符のリズムを擁する楽曲それ自体がダメなのではなくて、「タカタ、タカタ、タカタ♪」という3連符ナンバー特有のフィルインやオカズのフレーズを、ちょっぴり苦手にしていた、というお話だと考えられます。

それでね。
僕はこの坂田さんのお話を知った時に
「あぁ、ピーの新譜に3連符のシャッフル・ナンバーが1曲あるんだろうな」
と考えたのです。

今はもう新譜を聴いているわけですが・・・結論を言いますと、「道」「老虎再来」ともに3連符ナンバーではなく、曲中に3連符ニュアンスのあるドラムスのフレーズすら、微塵も登場しませんでした。
・・・ということは坂田さんはきっと、秋からのツアーに向けてのピーのタイガース・ナンバーの個人練習での演奏を直接見て、先述の感想を持たれたということに違いありません。

では、タイガースのオリジナル・ナンバーに3連符シャッフルの曲はどのくらいあるのか(ピー不参加の同窓会音源は対象外とします)。
これが、意外と言うか、やはりと言うのか・・・とても少ない。

「南の国のカーニバル」
「生命のカンタータ」
「緑の丘」
「帆のない小舟」
「嘆き」(今日のお題です)
「ラヴ・ラヴ・ラヴ」
「君を許す」
「もっと人生を」
「世界はまわる」
「脱走列車」

これだけ・・・かな?
このうち、3連符のリズムを含むとは言え「ワルツ」という特殊なパターンは基本的に3連符シャッフル・ナンバーとして演奏手段を語られることはないので、「緑の丘」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の2曲は、坂田さんの言うニュアンスの曲ではないでしょう。
あと、「君を許す」はオリジナル音源が明らかにピーの演奏ではなさそうなので、これも除外。

残る7曲・・・これ、「生命のカンタータ」と「嘆き」以外は、ツアーのセットリストに入るには微妙過ぎないですか・・・?
「生命のカンタータ」
「嘆き」にしたって、セットリスト予想としてはかなり有力だとは思いますけど、ツアーに向けての個人練習の初っ端から、張り切って腕だめしするパターンの曲とは思えないですよね。

それにやはり、普通ドラム演奏を語る上で「3連符」と言うと「タカタ、タカタ、タカタ・・・♪」というオカズのフレーズを指して言うことが多いのです。
ジュリーのソロ・ナンバーで言うなら「悪夢の銀行強盗」や「ス・ト・リ・ッ・パ・-」といったあたりですね。
以前執筆した「ス・ト・リ・ッ・パ・-」の記事では、たまたまその点についても詳しく書いています。どれほど難易度が高い演奏か、ということも含めて・・・。

先に挙げた7曲、「もっと人生を」以外は、そんな観点に該当するには少し曲のタイプが違うかなぁという気がするわけです。
しかし、「もっと人生を」とは・・・またずいぶん渋いところが検討の机上に残っちゃったなぁ。どんなふうに結論づけても説得力に乏しくなってしまいそう・・・。
(ジュリーの作曲におけるブルース・センスのルーツを探るという意味においては、とても貴重な名曲ですけどね)

ならば目先を変えて。
この手の「タカタ、タカタ♪」ナンバー、タイガースの代表的なカバー曲の中に何か目ぼしいものがあったりしたでしょうか。

これが・・・いきなり、あった!

「タイガースのテーマ」です!
勇んでライヴ音源『THE TIGERS ON STAGE』を聴いてみると・・・なるほど、ピーの演奏は若干ですがところどころに危なっかしい感じがあるんですね。
「タカタ、タカタ、タカタ・・・♪」
で早めに突っ込んでしまい、最後の2打くらいで「おっとっと!」と帳尻を合わせている箇所があります。

おそらく坂田さんは、最近スタジオでピーが「タイガースのテーマ」を叩いているのを見て「ほう!昔のような乱れが無い!」と思われた・・・。
この結論に不肖DYNAMITE、1票を投じたいと思います!
(当たってるかどうかは分かりませんが・・・)

実は僕は今回のツアー、紆余曲折の末にセットリスト1曲目は「僕のマリー」という予想で決めてしまっているのですが、どうも旗色が悪くなってきたかな(笑)。
だって・・・本当に大勢のタイムリーなタイガース・ファンのお姉さま方が
「1曲目はタイガースのテーマで決まり!」
と、仰ってますからねぇ。
やはり新規ファンは、セットリスト予想においてもハナっから先輩方には敵わないのかな~。
それに僕、「タイガースのテーマ」の足上げの決まり事とか全然分からないから、初日は遅れをとっちゃうよ~
(←ソコかい)

さぁ、そんなことに慄きつつも、セットリスト予想シリーズは続きます。
今回は先程
列挙しました3連符ナンバーの中から、後期タイガースのシングル曲をお題に採り上げます。
「嘆き」、僭越ながら伝授~!

シングルA面ということで、当然ながらセットリストの有力候補。自信度は星4つとさせて頂きましたが・・・。
僕の勝手なイメージながら、どうも今回「嘆き」の話題性は今ひとつ、といった雰囲気も感じます。
CD『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』を通して聴いていても、僕だけでしょうか、「嘆き」って、なんだか地味な印象があるんですよ。
個人的に凄まじく大好きなナンバー「風は知らない」と「はだしで」の間にはさまっているのがその原因かもしれません。

しかし、今のジュリーが歌うLIVEとなれば・・・話は別!

というのが、今回記事の大きな主旨となります。
先輩方におかれましても、「この曲は星3つくらいじゃないの?」とのお考えかもしれないと思いつつも、僕としては、特殊な期待感を持っての星4つなのです。

なんたってこのリズム・パターンを歌う、自身のバンドを率いた最近のジュリーのヴォーカルはね・・・という本題の前に、まずはレコーディング音源について紐解いてまいりましょうか。

初めて「嘆き」を聴いた時の印象・・・それは今でもさほど変わっていないのですが、「演歌っぽいなぁ」と。
『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』のライナーでの解説では


これまでのタイガースのイメージとはガラリと変わり、沢田研二のソロ・シングル的ニュアンスの強い歌謡曲に仕上がっている

と書かれています。
これは、その通りだったのでしょうね・・・。

僕が後追いでタイガースの勉強をしていく中で、どうやらトッポが離れてしまった直後から、常にタイガース周辺に”解散”の噂がついてまわっていたらしいことが分かってきました。
「美しき愛の掟」「嘆き」と続くシングルのジャケットを見ても、ジュリー一人が大きくクローズアップされていますし、特に今回お題の「嘆き」では、タイガース最大の魅力であったコーラスパート・アレンジのアイデアすら割愛されている・・・この状況では、そんな噂が一気に加速したのではないか、と容易に想像することができます。

「まるでジュリーのソロのようだ」
という文章を読むと、どうしても「じゃあ、演奏は?タイガースが演奏してるの?」と勘ぐってしまうのも仕方のないこと。
今回、その辺りを判別すべく、あらためて気合を入れて音源を聴いてみました。

まずドラムス。
これは、ピーだと思います!
例えば、歌メロに入る直前のオカズで、スネアドラムがロールしますよね。僕にとってピーの最も特徴的な演奏だと考えているのが、こういったオカズのロールするフレーズで、「嘆き」では前述の箇所以外でも同様のスタイルの演奏が連発します。

これがピーの演奏でないとすれば、タイガースの半分以上の曲がピーのドラムスではないということになってしまいます。それは考えられません。
逆に言えば、まったくロールのオカズが登場しない「淋しい雨」などは、別のミュージシャンによる演奏ではないか、という可能性も今の僕は考えているわけで・・・。

次に、ベース。
実は、これが一番悩ましかった。
何故って、僕は初めてこの「嘆き」という曲を聴いた時、初見一発で

「あれっ、このベースは「恋から愛へ」(ジュリーのファースト・シングル『君をのせて』のB面曲)を弾いてる人と同じじゃないの?」

と思ってしまったのでした。
今でも、Aメロはそう聴こえてしまうんです。

しかしBメロやサビ部で、経過音をほとんど使わずに、小節内を連続同音でブンブンとタテノリで奏でられるベースを聴くと、これはもう、「太陽にほえろ!」メインテーマとあまりに酷似した演奏手法ではないですか!
とすれば、サリーに違いない。
まさかAメロとそれ以外を別の人が弾いている、なんてことはありえませんから、Aメロのベースが「恋から愛へ」の演奏に似ていると感じるのは、単純に音色設定とミキシングによるものと考えることができます。
よって、「嘆き」のベースはサリー!

このように確認しながら音源を聴き返していき、ハタと気がつきました。
「嘆き」は東海林修さんアレンジのオーケストラの印象が強く、なおかつ短調3連符という演歌っぽいリズム(僕の世代だと、「氷雨」とかを想起しますね)、そしてジュリーの歌うメロディーが前面に出ているために見逃していましたが・・・純粋なバンド・サウンドの構成はキチンと

(左から)
・タンバリン
・ベース
・エレキギター
・ドラムス

以上の4トラックで演奏され完成しているのです。
この楽器編成は、正に当時のタイガース。

確かに「嘆き」にはジュリーのソロっぽい要素は多々あって、曲調などからアルバム『JULIE』収録のタイガース・ナンバー(?)である
「君を許す」とイメージが似ていたりするのですが、実は「嘆き」と「君を許す」では、ずいぶん演奏に向かうアプローチが違うんですよ。
ですから「嘆き」は本来、新生タイガースの新たな演奏スタイルとして受け入れられるべきだったのかもしれません。

そうさせなかったのは、やはり曲調でしょうかねぇ。

♪ 愛を残したまま 僕をひとりにした ♪
  Am           Dm      G7             C    E7

これは・・・いわゆる昭和歌謡王道のコード進行だものね。
現代では、演歌やアニソン以外ではほとんど見られなくなった、いわゆる「古っぽい」感じの和音進行なのです。
まぁ、ジュリーが歌う以上、歌の意味合いが色々と味つけされるんですけど。

当時は、トッポが抜けたことによってタイガースの方向性、販売戦略にも試行錯誤があったのかな・・・。
例えば「嘆き」と同時期にレコーディングされてお蔵入りになった「Lovin' Life」(『THE LEGEND OF THE TIGERS』収録)という曲は、「嘆き」とはあまりにも対照的な洋楽志向(歌詞も英語)があって、この路線が次シングル「スマイル・フォー・ミー」に突き進んだと考えられます。
シングル1枚ごとに変化するコンセプト・・・タイムリーなファンのみなさまも、嬉しいながら戸惑いがあったりもしたのでしょうか。

話が逸れますが、「Lovin' Life」と言えば、タイガースのいわゆる”未発表音源”の完成度の高さには驚かされるばかりです。
これが例えばビートルズの未発表曲などを後からレア音源リリースで聴くと、良い曲だとは思いながらも「なるほどお蔵入りのテイクっぽいなぁ」と感じてしまうわけですが、タイガースの場合はそうではありません。
先日執筆した「坊や祈っておくれ」など、何故リリースされずにいたのか不思議に思います。
トッポ在籍時にしても、「涙のシャポー」や「白いブーツの女の子」「南の国のカーニバル」などは、シングルとして発売すれば普通に大ヒットしたでしょうに・・・。

それではいよいよ「嘆き」について、今回の記事で僕が一番書きたかったことを語ってまいります。
それは、今回のツアーで「嘆き」が採り上げられるならば、この曲こそ、あらためて全国のタイガースファンのド肝を抜くパフォーマンスが観られるのではないか、ということです!

今回のツアー、全曲タイガースナンバーということですが・・・例えば「銀河のロマンス」「君だけに愛を」「落葉の物語」といった文句無く”乙女の思い出”度が強いであろう有名な曲については、オリジナル音源や当時の演奏の雰囲気を大切に再現されるでしょう。
しかしその一方で、鉄人バンドを率いたタイガースが、新たに大胆なアレンジの練り直しをもって披露してくれるナンバーもあるに違いありません。
それは、(おそらく)人気の高いナンバーの影に隠れてエアポケットに入ってしまっているような曲こそが選ばれるように思います。
ただ、アレンジを練り直しただけの意義、効果が無ければ意味がない。

そこで「嘆き」です。

近年のジュリー・ソロLIVEを良く知っているみなさまにとっては今さらな話なのですが・・・とにかく今のジュリーのヴォーカルは、3連符ロッカ・バラードの迫力が尋常ではないのですよ!
「嘆き」など、当時のオリジナル音源では歌謡曲や演歌の雰囲気をどうしても強く感じてしまうところですが、そういったタイプの幾多の曲が、見事にド迫力のロッカ・バラードへと昇華する瞬間を、ジュリーファンは何度も体感しています。

そこで、リズムや曲調において「嘆き」と共通する、格好の曲例があります。
「あなただけでいい」というナンバーです。
ジュリーがソロになって間もない頃にリリースされたシングル曲ですから、タイガース解散を期に音楽を離れた方々も、何となく覚えていらっしゃるのではないでしょうか。

「あなただけでいい」も、リリース当時の音源にはどことなく「嘆き」に似通った、歌謡曲・演歌っぽい雰囲気が感じられます。
それが・・・(一番激しい例で言いますと)2003年のジュリーの正月コンサート『爛漫甲申演唱会』になりますと、もう・・・バリバリのロッカ・バラード。
アレンジも重厚に練り直され、何よりジュリーのヴォーカルが凄まじく、バンドメンバーにジュリーの気迫が乗り移っていくのがヒシヒシと伝わります。

元々、ジュリーの入魂ヴォーカルがバンドメンバーに及ぼす作用というのは3連符ロッカ・バラードに限らずいくつも例があって、例えば「憎みきれないろくでなし」では、あのダンディーな井上堯之さんが、また「おまえにチェック・イン」ではいかにもクールなイメージのある吉田建さんが、それぞれ我を忘れたかのような激しいアクションを繰り出します。
(どちらの楽曲も、その辺りの話を含めて過去に記事執筆しています)
これは明らかにジュリーのヴォーカルに引っ張られて楽曲の後半に向けて急速に”イッってしまう”バンドメンバーの姿です。
そして、近年のジュリー・ヴォーカルは、特に3連符のロッカ・バラードにおいてそのマジックを炸裂させる傾向があるのです!

「嘆き」が今回のツアー・セットリストで採り上げられたとすれば・・・僕にはこんな光景が想像できます。

まずはジュリーが全開で突っ走ります。
ド迫力のヴォーカル。2番あたりになるとそんなジュリーに作用されて、会場はもちろん、ステージの雰囲気も一変することでしょう。
ピーが、タローが、腕に覚えの鉄人バンドに負けじと
「ジュリー、凄ぇな!よ~し俺も!」
と言わんばかりに、会場の誰も想像しなかったような激しいアクションを繰り出し、演奏にのめりこんでいきます。
この場合、コーラス・パートが無いというのが逆に演奏への没頭度を高めることも、大いに考えられます。

そして・・・。
みなさま、今一度オリジナル音源でご確認ください。
「嘆き」エンディングには、演奏のみのコーダ部がありますよね?そこで主役をはっている楽器にご注目ください。
2回り目から、まさに「嘆き」といった感じで高音部をむせび泣くように奏でられるベースが耳に入ってきますよね。
この、オリジナル音源だと何となく聴いてしまいそうなコーダ部が、LIVEではとてつもない見せ場になること、間違いなし!

ジュリーのヴォーカルに感化されたサリーが
「最後の仕上げは俺だ!」
とステージ前方にせり出し、汗をほとばしらせながら、大きなアクションでベースを弾きまくる・・・。
あの、冷静沈着な岸部一徳さんが”イッてしまう”姿を観られるとすれば、それはこの「嘆き」コーダ部をおいて他には考えられません。

ここは是非とも、今ツアーで「嘆き」が採り上げられることを期待しようではありませんか~!

それでは、オマケですぅ~。
今回は全部で4枚。
ますは、映画『ハーイ!ロンドン』主題歌(で、いいんだよなぁ)「嘆き」にちなんだロンドン・ロケーションのショットを2枚。

File0663


(本文抜粋)
「ハーイ!ロンドン」のロケで、サウンドの本場ロンドンを訪れたタイガース。ロンドンは不思議な都会だ。バッキンガム宮殿やトラファルガー広場のように古い歴史と伝統をそのまま遺した場所があるかと思うと、ピカデリー広場に屯ろする若者たちのビートニックな風俗は世界の流行の最先端を思わせる。静かなたたずまいの公園で、サイケな原色の氾濫する街角で、タイガースのメンバーは、まるで水を得た魚のように自由だった。この感激を日本のファンにも分けてあげたいと彼等はいう。

File0664

続きまして、『道/老虎再来』発売記念!
ピーのショット2枚をどうぞ~。

File0669


File0658

特に「道」を聴いた今になってみると、下の写真のような険しい感じのピーの表情にも無性に惹かれます・・・。

♪ こだわったのは何か
  分ってる 友よ ♪

♪ 目指したのは何か
  分ってる 友よ ♪


(瞳みのる「道」~1番、2番より~)

僕が「道」で一番好きな箇所です。
秋からのツアーを体感し、僕も「何か」
が分かる男に一歩でも近づきたい~!


♪ 夏が終わるまで・・・あと13曲!

| | コメント (23) | トラックバック (0)

2011年7月19日 (火)

ザ・タイガース 「南の国のカーニバル」

from『THE TIGERS CD-BOX』
disc-5『LEGEND OF THE TIGERS』
セットリスト的中自信度 ★☆☆☆☆

Tigersbox


1. タイガースのテーマ(モンキーズのテーマ)
2. スキニー・ミニー
3. 白いブーツの女の子
4. 愛するアニタ
5. 南の国のカーニバル
6. 涙のシャポー
7. 涙のシャポー(別テイク)
8. 傷だらけの心
9. 730日目の朝
10. 坊や祈っておくれ
11. Lovin' Life
12. 誰もとめはしない
13. 夢のファンタジア
14. ハーフ&ハーフ
15. 遠い旅人
16. タイガースの子守唄
17. あなたの世界
18. ビートルズ・メドレー(ヘイ・ジュード~レット・イット・ビー
19. 明治チョコレートのテーマ
20. あわて者のサンタ
21. 聖夜
22. デイ・トリッパー
23. アイム・ダウン
24. 雨のレクイエム
25. ギミー・シェルター

----------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

----------------------------------

5日間のご無沙汰でございます~。

まずはお知らせから。
もはや毎年恒例となりました、いてまえ隊企画・大阪シネ・ヌーヴォさんでの映画特集。
今年も決定です!
タイガースの『世界はボクらを待っている』『華やかなる招待』『ハーイ!ロンドン』3本に加えて、ジュリー主演&出演の『リボルバー』『幸福のスイッチ』『eiko』『太陽を盗んだ男』の4本、計7本の豪華ラインナップとなっています。
日程など詳細は、右上のバナーをクリックしてくださいね。

今年復活なさったピーのファンの方々も、是非!

そんなわけで。
京都でのピーの講演会も無事終了、多くの方々が詳細をブログやメールなどでお知らせくださり、加えて女子サッカーの快挙などもありまして、昨日は日本中が盛り上がりまくっていましたが・・・。
そんな中、異様に盛り下がっている男が一人。

すみません!
久々更新の今回は結局、楽曲解説抜きの記事になります・・・。

というのは。

先日ご報告させて頂いた通り、カミさんとプチ旅行に出かけてハシャいできたまでは良かったのですが・・・。
帰宅してから、どうも肩から二の腕にかけて・・・妙に痛い。

「おっかしいなぁ・・・」と思っているうち、痛みはどんどん酷くなり、遂には身体を少しでも動かすと激痛で「ぐあぁっ!」と声が出るほどに。
それはもう・・・まるで肩から鉄パイプが突き刺さってるんじゃないか、ってくらいの痛さでございまして。
無論眠れるはずもなく、明け方まで「ぐぁ~!」とか叫びまくっていたら、見かねたカミさんが病院を調べてくれ、タクシーで急患のお世話になることに。

が、まったく良くならず、医者にもなんだか適当なことを言われつつ、さらに増す痛みにほうほうの体で帰宅。
やっぱり夜間の病院はダメだね・・・。

で、今朝普通の整形外科医院に行くと、レントゲン見た先生曰く
「典型的な四十肩」
と。
問答無用とばかりに、漫画に出てくるような巨大な注射をグサリと打たれ、まぁおかげでずいぶん楽にはなりましたが・・・。

四十肩って、こんなに痛いものだったのか!
よく同年代の同僚が「四十肩かなぁ」とか言いながら腕をブンブン振り回してるのを見るけど、あんなことできるくらいなら四十肩ではないね。
本当の四十肩ってのは、腕なんて振り回そうもんなら、気絶するよ・・・。

その理屈で言うと、五十肩とか六十肩って、途方もなくないか・・・?
尊敬します・・・六十越えのタイガース!

というわけで、当然昨日はブログの下書きなどできる状況になく・・・。
でも更新日は守りたいから、今回は連休に訪ねたラベンダー園に引っ掛けて、「ラ、ラ、ラ、ラベンダ~♪」というサビが印象的なタイガースの未発表曲、「南の国のカーニバル」を一応のお題として、旅日記をupしておきます(汗)。


☆    ☆    ☆

訪れたのは、群馬県北部にある沼田市というところです。

Numata1

河岸段丘という独特の地形に街並みが点在する、のどかな土地。
あの有名な尾瀬の入り口にもあたるそうです。

どういうルートで行ったかというと、これがまたシャレこんでおりまして、まずは上越新幹線で高崎まで行きます。ここで乗り換え。

Numata3_2

高崎駅構内の土産物屋さん。
どうしてもこの2文字には反応してしまうな・・・。

で、そこから沼田市までは何と、SLで移動したのです。

Numata4

この時期、高崎-水上間を走る「SLみなかみ」を初利用。鈍行列車で50分しかかからない沼田まで、1時間半かけて蒸気機関車で行くというね。
いやぁ、マニアな鉄人達で高崎駅は大盛況でございます。

沼田駅に着きますと、SLが走っている期間の恒例行事らしいのですが、ホームでたくさんのチビッコ達とともに、ご当地キャラの「タンバリンくん」の熱烈歓迎を受けました。

Numata5

ちなみに我々夫婦の今回の目的地は沼田市の観光名所「玉原ラベンダーパーク」なのですが、「玉原」というのは「たんばら」と読みます。「タンバリンくん」は「たんばら」をもじって命名されたのでしょうね。

その「玉原ラベンダーパーク」へは、通常沼田駅からバスで50分かけての移動となります。しかし!
「日本全国、至るところにジュリーファンあり」
という格言がございます通り、沼田市にも頼れるジュリーファンがいらっしゃいます。
ドームの記事の頃から僕のブログを読んでくださっているシロップ。様がわざわざ車を出してくださり、ラベンダーパークまで楽しくおしゃべりしながらのドライブとなりました。

そして、無事に目的地に到着。

Numata6

中に入ると・・・。

Numata13

「玉原ラベンダーパーク」は冬になると「玉原スキー場」になるのですね。ですから、中腹へはリフトを使って移動できるのです。

Numata14jpg

リフトを降りると・・・。

Numata7

ラ、ラ、ラ、ラベンダ~、カ~ニバ~ル♪

一休みしていても、僕のバッグに無防備に蝶々がとまって、目の前の至近距離で何やらさかんに味見をしています。癒されます。

Numata8

そんなわけですっかりラベンダーまみれになり、堪能した後は、ラベンダーパークの真ん前にある宿泊先のペンションへ。

Numata11

カミさんが予約をとった際には「どうもカタクリ家っぽい匂いがする」とか言ってましたが、この季節でも結構繁盛していました。

夕食は写真撮り損ねましたが・・・朝食はこちら。

Numata12

で、その朝食前・・・朝6時に起床し、片道40分かけて玉原湿原まで涼しい中の朝の散歩にも出かけました。

Numata10

玉原湿原。
名前の分からない黄色い花が咲き乱れていました。もう少し早めに来ていれば、水芭蕉も観られたはずです。

ここでも、目の前に無防備にトンボがやってきてくれました。

Numata2

ちなみにこの玉原湿原の辺りは熊も生息しているようです。

Numata9

夏フェス出場を賭けた吉田Qさんへの一般WEB投票を応援するため、拙ブログで何故か「DYNAMITEが熊に襲われる物語」を執筆してから、もう1年以上が経つのですね・・・。

チェックアウト後、再びシロップ。様が車を出してくださり、お昼をご一緒しました。
地元の有名店、「そば源」さんにて、「野菜の天ぷらと蕎麦のセット」&「いわなの塩焼き」。

Numata15

ビールと塩焼きに手をつけてから写真を撮ったので・・・ごめんなさい。
沼田は川魚の塩焼きも有名のようで、カミさんは鮎を食べていました。

こうして、一泊二日のプチ旅行は楽しいままに終わり、夜になって帰宅したとたん、「ぐわぁ~っ!肩が~っ!」という天国と地獄を味わった、連休のDYNAMITEだったのでした・・・(恥)。
まぁ、旅先で発症しなくて良かったです。

☆    ☆    ☆

今日は曲の解説ができなくてごめんなさい。
でも、「南の国のカーニバル」、大名曲です。トッポとサリーのパートが目立っていて楽しいし、ジュリーのヴォーカルや演奏もロックしているし、「シー・シー・シー」にシングルリリースを譲ってお蔵入りした曲だそうですが、この曲がシングルになっていても、充分大ヒットしたと思います。

ピーの講演会は、とても素敵なイベントだったようですね・・・。
遠方からお越しのファンの方にマイクを回すなど、随所に”先生”っぽいピーの心遣いがあったとのこと・・・。
僕の故郷・鹿児島からお越しの方もいらしたそうで・・・僕は鹿児島がどれだけ遠いか知っていますから、本当に良かったなぁ、と感動しているところです。

このような心遣いや真摯な生きざまは、きっとステージでのドラムス演奏などにも反映されるはずです。
秋からのツアーが、ますます楽しみになってまいりました。

それでは、オマケです。
初期タイガースのショット2枚です~。

File06272

File0656


♪ 夏が終わるまで・・・あと14曲! 

| | コメント (21) | トラックバック (0)

2011年7月14日 (木)

ザ・タイガース 「星のプリンス」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1967
シングル「シーサイド・バウンド」B面
セットリスト的中自信度=★★★★☆

Tigerssingle


disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

------------------------------

みなさまはもうご存知でしょう。サリーごひいきのお店で、ツアー衣装の制作が始まっているようですね~。
『ジュリー祭り』から毎回参加してきたソロツアーでは、これまでLIVE後に「はて、どんな衣装だったけ?」などという情けない状態に陥ることの多かったDYNAMITEですが、昨年のジュリワンあたりから、その辺も徐々に鍛えられてまいりました。

サリーはなんだか遠慮しちゃってるっぽいですけど、今回はね、やっぱり思いっきりヒラヒラ、フリフリの衣装を僕だって観たいですよ。
タイガースなんですからね!

後追いファンの素人考えですけど・・・ヒラヒラ、フリフリと言うとやはりタイガース初期の「プリンス」なイメージなのでしょうか?
「プリンス」と言うとすっかり別の人を思い浮かべるようになってしまった昨今ではございますが・・・やはり「王子」「プリンス」とは”タイガースのジュリー”にふさわしいフレーズなのでしょう。
いや、タイガース全員・・・デビュー間もない頃のタイガースそのもの、それが「プリンス」という表現。
当時の写真を見れば、男の僕にだってそれくらいは分かります!

今日のお題は、そんな初期タイガースのイメージを確立させた(と、後追いファンは推測しています)、とてつもなくカワイイ曲。
で、前回記事コメントにて


タイガース・ナンバーにおいて、「白いブーツの女の子」「イエロー・キャッツ」と共に、僕の中では”チーム可愛い子”を結成している曲

と予告しまして・・・。
まぁ、主観というのは恐ろしいものですね。
僕は個人的に「タイガースの中でカワイイ曲と言えば傑出してこの3曲!」と決めてかかっていたので、こりゃまたバレバレなこと書いちゃったな・・・と思っておりましたら・・・。
先輩方の間で、「真赤なジャケット」説、「ジンジン・バンバン」説が入り乱れる事態に~。
なるほど、どちらの曲もカワイイですな・・・。


でもね。
完璧なポップ・チューンであり、名曲揃いのタイガース・シングルB面群の中で、そしてすぎやまこういち先生作曲のタイガース・ナンバーの中でも、コード進行、メロディーが突出した完成度を誇るナンバー。
と言えば!

分かりにくいかもしれないけど、僕にとっては、ビートルズに例えると「ベイビー・イッツ・ユー」みたいな位置づけの曲なのです。
”大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授”として書いております、セットリスト予想シリーズ、今日は第五回。
「星のプリンス」、僭越ながら伝授~!

CD『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』(一家に一枚ですよ、みなさま~!)のライナーノーツには、「星のプリンス」についてこう書かれています。

シーサイド・バウンド」のB面曲と呼ぶには惜しいぐらいの隠れた名曲。まさに当時のタイガースのイメージそのものをタイトルにしたような作品だ

まったく、その通りだったのでしょうね~。

しかし、何というカワイイ曲でしょうか!
そして、何と完璧な作曲とアレンジでしょうか、すぎやま先生!

この曲、ツアーでやりますかねぇ・・・やって欲しいなぁ・・・でも、全体の曲数を考えると微妙なのかな・・・。
セットリスト的中自信度は僕自身の希望込みで星4つとしましたが、冷静に考えると3・5くらいなのでしょうか・・・個人的にはとても、とても期待してしまっている曲です~。
カワイイ系として並べて挙げた「白いブーツの女の子」「イエロー・キャッツ」と比較するとかなり可能性は高いように感じますが、さてどうなりますか。

では、「星のプリンス」という曲の、何処がどうカワイイのか。
・・・すべてです!
ジュリーのヴォーカルがカワイイのは当然として、他のすべてのことが、すべてカワイイ。
僕は、この曲があって初めて、後の大名曲「銀河のロマンス」「落葉の物語」の2曲が続いて生まれたのだ、と確信しているほどなのです。

まずは歌詞。
ジュリーのヴォーカルがあまりに無邪気なために、予備知識無しの初見でスッと流して聴くと
「ボクは星のプリンスだ!どんな女の子だってイチコロだ!」
という曲なのかと勘違いしてしまいそうですが・・・これはいわゆる「フラれソング」・・・なんでしょうかね。

つき合ってる女の子が、浮気しちゃうんだよねぇ。
その浮気相手というのが

♪ 遠い国からとんできた
    C       Am C      E7

  銀の瞳  の     星のプリンス ♪
   F  Fm C Am Dm7 G7    C  

銀色の目をした宇宙人に、女の子の取り合いでジュリーが負けるはずはないだろう、とか思うわけですが、どうやら女の子は、ジュリーの目を盗んで夜の浜辺でその宇宙人と踊っているらしい・・・。
これは尋常ならざるゆゆしき事態です!

男子たるもの、しかもジュリーですからね。
ここは一発
「俺の彼女に手を出すな!」
と、地球人随一のルックスに似合わぬ空手技を、先手必勝で炸裂させて頂きたいところですが・・・当のジュリーはイジイジと

♪ 星のようになりた  い     僕だって ♪
     F      Fm Em7  Am  D7     G7

・・・なんちゅう可愛らしいヤキモチですか~!!

で、このような「宇宙人ネタ」がタイガースの超越したルックス・イメージにピッタリであることが、この「星のプリンス」というナンバーで見事に証明された・・・。
それを受けて橋本先生は後に、「銀河のロマンス」へとアイデアを発展させたんじゃないかなぁ、なんて思うのですがいかがでしょうか。

続いて、もうこれは貫禄の、すぎやま先生による素晴らし過ぎる作曲です。
「星のプリンス」に限らず、すぎやま先生の作曲にはおそらく数え切れないほどの魅力や秘密があって、僕などに紐解けるのはそのほんの一握りに過ぎないのでしょうが・・・色々と考えてみました。

僕は20代の頃、それなりに作曲やらバンド演奏やらを本気で勉強していた時期があって、その頃ある著名な方に
「作曲にしろ演奏にしろ、小節の頭から始まる、というのではなく、小節の頭に向かっていく、という感覚を身につけないとダメだ」
と指導されました。
才能の無い僕にとって、それはとても難しいことでした。
でも、「大家」と言われる作曲家の作品には、才能の為せる技なのでしょうね・・・自然にそういうスタイルが組み込まれているのです。

例えば、すぎやま先生の手がけたタイガース・ナンバーですと、まずファースト・シングルの「僕のマリー」からして

「ぼくマリー逢ったの♪」
(太字が小節の頭)

となっています。
こういうのが良いメロディーだ、というお手本のような作曲なのでしょう。

そして、星のプリンスでは
「星素敵夜だか♪」
となっていますが・・・このメロディーに載った語感、すぎやま先生の中ではタイガースの代名詞として確立したのではないでしょうか。
後のこの曲

「長坂道落葉の丘♪」

そう、「落葉の物語」で完全に結実する”小節の頭へと向かっていく”王道の、それでいて独特のメロディー。
「僕のマリー」「星のプリンス」「落葉の物語」と、それぞれ音階も曲の雰囲気もまったく違うのに、こうして紐解いていくと、すぎやま先生の共通したアイデア、信念、タイガースに対する統一されたイメージなどが見えてくるのです。

しかも、どの曲もとても可愛らしいメロディーだと思うんですよね~。
小節の頭でフレーズが完結しますから、「ほしが♪」「きれいな♪」と区切って歌うようなニュアンスになるわけです。それがこの頃のジュリーのカワイイ声に合いまくっていて・・・これはもうすぎやま先生、ジュリーの声質の一番魅力的な表現を見切っての作曲ではないでしょうか。
逆に言うと、そうやって鍛えられていったジュリーが、後にすぎやま先生以外の作曲作品を歌うことで、それまで見せなかった魅力を増幅させることにもなったのでしょう。

とにかく、「カワイイ曲」をタイガースにピタリとはめこんだのは、すぎやま先生の手腕にトドメを刺す!と言えると思います。その第一章が、「星のプリンス」だったんじゃないかなぁ・・・。

そして、これもすぎやま先生のお話になりますが・・・この曲はアレンジもまたカワイイのです。
先程”区切って歌う”と挙げたAメロ、1回し目はベースとドラムスのみの伴奏で、2回し目にはヴォーカルを追いかけるようなストリングスが絡みます。
この曲のストリングスは、ヴォーカルを追いかけたかと思えば、メロディーとは全然別の音階を弾いたりしますが、その飛び回り方が・・・なんだか果てしなくカワイイ!
気合充分、という感じではなく、「待って待って~!」とか「それそれ~!」って感じの、まるで子供がはしゃいでいるような絡み方をしてくるのです。

とても”フラれソング”には聴こえないほどのウキウキ感。
タイガースの場合は、そしてこの頃のジュリーが歌う場合は、それが逆にイイんですね~。

で、サビの

♪ 星のプリンス 星のプリンス    星のプリンス ♪
   C        Em      F        Em Am Dm7 G7    C

このタイトル3連呼部。
上記のコードネームで伴奏としては合うのですが・・・すぎやま先生の作ったメロディーは本当に懐が深くて、様々なコード・アレンジの拡大解釈が可能になっているのです。
例えばこのサビ部を何か楽器1本で弾き語ろうと思った場合は

♪ 星のプリンス 星のプリ   ンス・・・・・・ ♪
  C          Em     F  F#dim Em7 A7

このように、真ん中の部分を思いっきり拡大解釈してアレンジコードをつけてあげることができます。
しかもこれは幾多のヴァリエーションの中の、ほんの一例で。

僕は「星のプリンス」が今度のツアーで採り上げられたら、下山さん(鉄人バンドのプリンス)はアコギを弾くんじゃないかなぁ、と考えていますが、サビ部で下山さんがどのようなコードを当てはめてくるのか・・・密かに楽しみにしているんですよねぇ。
でも、才能の無い僕は音だけ聴いていてそれがハッキリ分かるかどうか。
こればっかりは、近くで観ていないと確認できなさそうです。
それとも、来年DVDが出たりする・・・かな?!

さらに、カワイイポイントはコーラスにも。
シングル2枚目にしてこの完成度、というのも驚くべきことで、その点はこれまたすぎやま先生の指導があったりしたのかもしれませんが・・・何より、カワイイ!というのがポイントです。
ハモっていても、ユニゾンであっても。
ジュリーが突出していても、メンバーの声が均一であっても。
その他どんなパターンであっても、初期タイガースのコーラスはとにかくカワイイ!
「踊っている~う~、う~、う~、うう~♪」と、ダメを押すように粘らせたくなるすぎやま先生の気持ちが、分かるような気がします。


A面「シーサイド・バウンド」には、「星のプリンス」とはまた違った点で、タイガースのはかりしれない魅力のスタートとなる要素があったわけですが、コーラスということならB面「星のプリンス」こそが、タイガースの魅力が爆発した最初の曲だと言えるのではないでしょうか。

それと、イントロはまぁコーラスと呼べるほどの複雑なことはしていませんけど、歌メロから導入せずにコーラスから、という構成は個人的にも大好物で。

♪ らら、らんらんらん、らら、らんらんらん
     C                         A7

  らんらんらん、らら、らんらんらん ♪
  Dm7                     G7

ポップス王道進行に載っているのがまた、イイんですよね~。AmではなくA7というのが、イイ!
僕が「星のプリンス」を、ビートルズで言うと「ベイビー・イッツ・ユー」のような位置づけ、と言ったのは、コーラスから始まるヴォーカルの可愛らしさという共通点もあってのことです。

そして、カワイイポイント最後のひとつ。

もちろん演奏面・・・特に間奏のリード・ギターですよ!

秋からのツアーでこの曲が採り上げられるなら、リードギターを弾くのは、タローか、柴山さんか。
トッポが参加していれば独壇場となったはずですけどね。今回のメンバーではどのように配置されるのか、これはなかなか予測しづらい・・・。
「星のプリンス」をBGMに、ちょっと脳内でステージの様子を想像してみました。
すると・・・。

困ったことに、加瀬さんが登場してしまう!
何故だ!

あぁ、そうか。
ジュリワンLIVEで体感した「想い出の渚」と、曲の雰囲気やテンポがシンクロしているのかもしれない。
脳内映像では、加瀬さんの後ろで柴山さんが横に揺れてオフマイクで歌いながらコード弾きしている姿も・・・(汗)。
まぁ、現実問題「星のプリンス」でそんなシーンはありえませんから、演奏楽器がどんなメンバー配置になるのか、とても楽しみにしています!

あとはやはりドラムスですね。
僕は自分でも少しだけドラムスをやりますが、未だにリムショット(太鼓の縁部とスネアを同時に叩いて「スコ~ン!」と言わせる奏法)が安定して打てないんです。
ジュリーのソロLIVEでGRACE姉さんのリムショットは聴き慣れてきましたけど、ピーのリムショットは、どんな感じの音を出すのでしょうか。
ワクワクしてきますね~。

さて、次回記事なんですが・・・。
すみません、従来のペースより2日遅れて、19日の更新になる予定です。
というのは、週末の連休を利用し、ちょっとカミさんと旅行に出かけます。初めて訪れる地なのですが、東京や埼玉よりはだいぶん涼しいらしい・・・避暑、というと贅沢のようですが、少しばかりこの猛暑から逃れ、リフレッシュしてくるつもりです。

19日からまた”3日に1曲”のペースに戻せば、ギリギリではありますが7月に10曲という予定はクリアします。
それに・・・ここで2日ずらしておくと、8月の更新日が、6日、9日、15日に当たるんですよ。
やっぱりね、タイガース・ナンバーには、そういう日に執筆するにふさわしい曲がありますから・・・。

で、次回のお題、まだ決めてないんですよ。
なにせ、書きたい曲が多過ぎますね・・・。

実は、8月に書く10曲は、よほどのことがない限りもう決まっていて動かせないんです。
最後の最後はこの曲、最後から2番目はあの曲、そして、先述した6日、9日、15日に書く曲も、決めてあります。
さらに言いますと、8月後半の5曲はすべてセットリスト自信度が星4つ以上のナンバーになるはずです。
ですから、これから7月後半の残された5曲は、よっぽど厳選しないといけないんですけど・・・。

なんだか、カミさんに週末の旅先の予定を聞くと、「高原のラベンダー園を見に行く」ということらしくて、頭の中では
「ラ、ラ、ラ、ラベンダ~♪」
という、ツアーではとても聴けそうもない曲がグルグル回っているんですが・・・そんな自信度星1つの予想記事(この曲、トッポのパートが特にオイシイ構成ですから・・・)ばかり書いていて良いものですかねぇ・・・。
この曲は、来年機会をあらためて採り上げた方がいいかな。

他に、まだ書いてないシングル曲もたくさんありますしね。
まぁ、じっくり考えるとしましょう。

それでは、オマケです~!
お題曲とは離れた後期タイガース時代の写真になってしまいますが・・・知的な王子、思案げな王子っぽいジュリーのショットを2枚。



File0650

(本文抜粋)
風にゆれる水辺の葦のように、いつまでも立っていたいのです。花束のようなメロディーに埋まって、ひっそりと静かな日々を送っていたいのです。しんな子どもじみた願いのむなしさに、人はいつ気づくのでしょうか?恋を知らぬ少年は、一茎の花のように純粋で孤独です。

File0651

(本文抜粋)
信じてほしい、僕の愛を。冬の夜空に流れる星よりも優い出会いだったけど、信じてほしい、ぼくの心は燃えている。炎に焼かれる真紅のバラのように・・・。

なんだか、これまで添付してきた他のメンバーの写真についてくる文章とは、全然雰囲気が違うぞ(笑)。

今回も原文ままなんですけど、「優い」ってのは、「優しい」の送りがな違いではない・・・よね。
「儚い」の誤植かな?
ともあれ、雑誌などでのこうしたタイガース特集においても、やはりジュリーの記事には突出したニーズがあったようですね~。


♪ 夏が終わるまで・・・あと15曲! 

| | コメント (19) | トラックバック (0)

2011年7月11日 (月)

ザ・タイガース 「つみ木の城」

from『自由と憧れと友情』、1970
セットリスト的中自信度 ★☆☆☆☆

Jiyuutoakogaretoyuujou


1. 出発のほかに何がある
2. 友情
3. 処女航海
4. もっと人生を
5. つみ木の城
6. 青春
7. 世界はまわる
8. 誰れかがいるはず
9. 脱走列車
10. 人は・・・
11. 海の広さを知った時
12. 誓いの明日

-------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

-------------------------------

ども。
ちょっと太ったせいか、例年になく「あぢぃ、あぢぃ・・・」と連呼しているDYNAMITEではございますが、元気に夏を過ごしております。

今日は、年に一度の会社の健康診断でございました。
バリウム・・・朝診療所に向かうまではイヤでイヤで仕方ないけど、いざ着いたら腹をくくってゴクゴク飲めちゃうものですね。

ただね。僕の場合、一番シンドイのは、腹部エコーなんですよ・・・。
あれって・・・みなさま、くすぐったくないんですか?
僕は毎年、散々笑い苦しんでおります。しかも僕は数年前に胆石が見つかっているので、経過を見る意味でも、ことのほか念入りにやられるわけです。
今日も笑い地獄を味わってきました・・・。

で、午後はそのまま有給休暇。
バリウムの直後に下剤飲むのを義務づけられてるから・・・。僕はたぶん飲まなくてもすぐ出てきちゃうのに、と思うのですが、その診療所では絶対その場で飲ませるように指導されてるみたいです。
これから格闘しなければなりません・・・。

あ・・・食事中の方、ごめんなさい。
まぁそんなわけで、こうしてゆっくり今回の記事更新に取り組んでいるところなのでございます~。

ところで、今ね・・・ブログ過去記事の「廃の鳩」って表記を、少しずつ「廃の鳩」に直してるところ(数が多くて結構大変)。

これまで全然気がついてなかったけど、正しくは「虚」だったんですよね、この曲。
にもかかわらず、CDの歌詞カードやライナーなど・・・多くの公式表記で「廃墟」になってしまっています。
だから多くの後追いファンの方々が、普通に「廃墟」と書いてしまう・・・。僕もそうでした。
「はいきょ」で最初に変換するのは「墟」の方ですしね・・・。

でもこの度、シングル盤の画像や『ヒューマン・ルネッサンス』の裏ジャケットなどを改めて見てみてね・・・「直そう」という気になりました。
楽曲のタイトルや歌詞の表記って・・・とても大切なものだと思うんですよね。
僕は後追いファンだし、他の曲にも不手際はあるでしょう。至らないブログなりに、その辺りはなんとか気をつけていきたいですけど・・・。


さて、それでは。
引き続きまして、『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想・・・大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授・シリーズ。
第四回の今日の記事、主役はシローです!

僕が「腹部エコーがくすぐったくてイヤだ」なんて言うのはね、贅沢な物言いなんですよね、本当に。
健康は、それほど尊い。
こうして「タイガース再結成か~!」とか盛り上がれるのも、メンバー全員が還暦を越えて生きているってことですものね。

ジュリーはもう、毎年「元気だなぁ~」って感心するほどなのですが、他のメンバーはというと・・・。
ピーは2回も倒れているそうですね・・・。
そんな状態で、一番血圧上がりそうなドラムスというポジションで、あの過酷なツアー・スケジュールに臨もうというのですから、やはり心配は心配です。
無理をせず、数曲はGRACE姉さんに任せて・・・と考えたりしますが、なんだか全曲頑張って叩いちゃいそうな雰囲気に満ち満ちているんですよね、ピー先生。
たぶん、気持ちに身体がついてくるタイプの方なのでしょう。ファンの側としては、そんな姿を必死で応援するしかありません。

ピーのように気持ちがポジティヴであれば、それなりの覚悟を持って、自分をコントロールしつつ大仕事に臨むこともできるのでしょうが・・・その点心配なのはシローですね。
今回のジュリーのツアーにも、ゲストとして名を連ねることはありませんでした。
仕方ない・・・頑張ることができなくて苦しんでいる人に「頑張って」と応援するわけにはいけませんから・・・。

そこはジュリー達が
「いざとなったら立ってるだけでいいよ。な~んも心配ない!」
と、言ってくれているはずですけどね。
できるなら、この機に僕も観てみたい・・・シローの雄姿を。

秋からのツアーで、体調さえ問題が無ければ東京近郊の会場への飛び入りがあるのではないか、と噂されているシロー。
僕にとってね、「ステージで歌う岸部シローを生で観た」というのは、なかなか自慢できる話になると思うんですよ。
僕の世代、岸部シローという人は、超・有名人なのですから・・・!

タイムリーなタイガースファンのお姉さま方と違い、僕の世代というのは、タイガースをまったく知らずにある程度の年齢まで育っているわけです。
もちろん、メンバー構成なんて知る由もありません。

物心ついた頃、”タイガースのメンバー”なんて意識はまったく無いままに、まずは”歌手・沢田研二”を知ります。
「勝手にしやがれ」という曲で、帽子を投げるカッコイイお兄さん。レコード大賞をとって泣いた人。
そんなイメージでしょうか。

そして次に、岸部シローを知ります
沙悟浄の人」として。

僕は、これまで何度か書いているように、ゴダイゴの曲が好きだったんです。
初めて自分で買ったシングル・レコードが、「ガンダーラ」。言うまでもなく、TVドラマ『西遊記』のエンディング・テーマですね。
オープニングの「モンキー・マジック」もその後すぐに買いました。B面の「ア・フール」って曲が、ユニークで大好きだったなぁ。

ドラマの『西遊記』は、最初から最後まで欠かさずタイムリーで観ていました。奇跡のようなキャスティングだったと今でも思います。
僕は幼い頃から原作の方も好きで読んでいましたから、それなりに登場人物に対するイメージというのが子供心に出来上がっていまして、楽しみにドラマを観始めた時・・・。
悟空と八戒は、まったくイメージ通りでした。

ところが、悟浄はかなり違った!
いや、「違う」という感じではなかったな・・・要は、僕が原作(子供向けでしたけどね)を読んだ段階では、悟浄には端役のイメージが強かったんです。
無論、悟空や八戒に比べて、ということですけど。

例えばですね、原作で覚えているシーンだと。
途方もなく強い化け物が現れ、八戒と悟浄が二人がかりで戦っている。それでも大苦戦。
手に負えないと踏んだ八戒が「ちょっと小便に行ってくる」とズル抜けして、一人になった哀れ悟浄は、なすすべもなく捕らえられてしまう・・・。
まぁ、強さの格が悟空や八戒に比べて一段低いキャラクター。それが悟浄でした。
黒ずんだ容姿、小柄なイメージでしたね。

ところが。
ドラマ『西遊記』の沙悟浄は一味違うわけです。

まず、デカい!
悟空よりも八戒よりもデカい、堂々たる体躯。
そして、強い!
鍬のような武器を豪快に振り回す、アブナイ奴。普段はやる気無さげにしているのに、いざノソッと動き出したら、抜群の存在感。
計算高くずるがしこい性格、それでいて情の深さもある。
それが、岸部シローの沙悟浄。何というか・・・原作に無い、しかも原作以上のハマリ役。いやぁ、本当に素晴らしかった!

シローの演技力というのも、もちろん見逃せません。
僕が最も印象に残っているのは、悟浄が恋に落ちる話。恋の相手が最後に骨だけになってしまうんです。
シロー演じる悟浄が、白骨を抱きしめて号泣するシーンがね・・・たぶんDYNAMITE少年は、泣いて観ていたと思うなぁ。

そんなわけで、「子供の頃、『西遊記』を夢中で観ていた」という僕の世代にとって、タイガースのメンバーの知名度は、ジュリーとシローが双璧なんですよ。
この感覚は、タイムリーなタイガースファンの方々には逆になかなか分かり辛いかもしれません。

まぁ、そんなシローがかつてタイガースというグループのアイドルだった、と知った時にはメチャクチャ違和感もあったわけですが(笑)。
沙悟浄のイメージが強過ぎるんですかね。

いや、今はそんなことはありませんよ。しっかり、”タイガースのシロー”と頭の中にインプットされています。
是非、ステージで歌っている姿を生で観てみたい・・・。
今日はそんな期待もこめて、でも「さすがにそれはやらんだろ」という渋~いお題を採り上げます。

アルバム『自由と憧れと友情』収録の、シローのリード・ヴォーカル曲。何ともヘンテコな進行なのに、最終的には非常に凝った美しいバラードとして光を放っている曲です。
「つみ木の城」、僭越ながら伝授~!

『自由と憧れと友情』には、シローのリード・ヴォーカル曲が3曲ありますね。

「出発のほかに何がある」
「つみ木の城」
「人は・・・」

冒頭にジュリーの台詞があり、シングル『誓いの明日』のB面にもなった「出発のほかに何がある」はともかくとして、「つみ木の城」と「人は・・・」は相当風変わりなナンバーです。
それが良い!

僕は『自由と憧れと友情』が本当に好きで、このアルバムを聴くたびに、「もしもタイガースが解散していなかったら・・・」という道筋を考えてしまいます。
タイガースが、GSの王者から、邦楽ロックの王者へと転身する、その第一歩として『自由と憧れと友情』が歴史に残る1枚になった可能性は大いにあったと思っています。
これは、ロックでしかあり得ないアプローチのアルバムなんですよ。

もちろん、リード・ヴォーカルの主役は基本的にはジュリー。
しかし、アルバムの中にひっそりと収められる、実験的でアヴァンギャルドな試みを擁したナンバー、カッコイイ変態曲・・・そんな曲をシローが受け持ち、アルバムを重ねるごとにその不思議な才能を開花させていく。
そんな、ありえたかもしれないロックの歴史が、僕には想像できるんだなぁ。
ロックの王者・タイガースにシローあり!という状況がね。

ロックにおいて「変態的、変質者的」というのはかなりの褒め言葉なんですけど、実はタイガースの高音ヴォーカルを担ったトッポとシロー、二人ともにその要素があります。
お互いに、まったく方向性は違うけれど・・・。
トッポの変態性については、来年「花の首飾り」の記事で詳しく書くつもりです。「花の首飾り」については、先輩方から「あり得ない!」と怒られそうな期待を、実は僕は、秋からのツアーに向けて持っているたりするんですけどね・・・。
(ツアー後註:実現してしまいました。トッポ不参加によりジュリーが「花の首飾り」を歌う、という・・・。でも、ハッキリそう書いてたら先輩方にも実際怒られたでしょうし実現もしなかったと思う・・・そんなもんですよね。なんか複雑な気持ちです~)

ともかく、今回はシローです。
アルバム『自由と憧れと友情』には、シローの変態性を天下に証明するような2曲が収録されています。
「つみ木の城」と「人は・・・」。
この2曲の対比がまた、相当面白い。

まず「人は・・・」という曲は、純粋な作曲段階では割と普通の曲。
普通のコード進行、普通のメロディー。
しかしアレンジ段階で施されたワケのわからない装飾(褒めてます!)がこの曲を実験的なサイケデリック・ソングへと変貌させ、シローが歌うことに。
で、シローのヴォーカルに・・・これは何だろう、ディストーションかもしれない・・・とにかく普通ヴォーカルには使用しないようなエフェクターがかけられています。
つまり「人は・・・」は、普通の曲が普通でなくなった、というパターン。その最終過程にシローのヴォーカルが重要な役割を果たしていることになります。

一方の「つみ木の城」。
これは、作曲段階から明らかに変!
とにかく、特にBメロ以降は常識では考えられない転調の嵐。「あ~あ~♪」といういかにもやる気の無さそうな(褒めてます!)ジュリー達のコーラスで強引に変ホ長調に回帰するまでのメロディ-の落ち着かなさというのは、凄まじい情念のような変態性があります。

しかし、ですよ!
そんな落ち着きの無い、場合によってはあまりに斬新でとっつきにくいと思われる「つみ木の城」のメロディーが、シローの能面のような高音ヴォーカルによって、美しいバラードとして完成している・・・これは素晴らしい!

もしこの曲を、多少なりとも感情的なニュアンスが入るジュリーやトッポがヴォーカルをとっていたら、メロディーの奇抜さが浮き出てしまったのではないか、と思うのです。
ところがシローの虚無的な、感情を排除したようなヴォーカルは、楽曲全体を、言ってみれば”平面世界”へ誘ってしまう。
これこそ、シローの特性であり、「もしタイガースが継続していれば・・・」と先程僕が述べていたシローの「ロックバンドにあっての存在意義」と言えるのです。


では、「つみ木の城」の「変」なコード進行について。

♪ 愛を    二人で        築いたの に
  E♭maj7  D♭maj7   E♭maj7  D♭maj7

  なぜにこわれた       もろく ♪
  E♭maj7    D♭maj7       F7   B♭7

このAメロも、いきなり「F7」を挿入している箇所など、変と言えば変ですが・・・まだ普通な方かな。
2回し目の最後、「消えた~♪」のトコで、「B♭7」の後に「G7」を挟み、まずはハ短調に平行移調。
そこから展開されるメロディーは、明らかに変です。

♪ 愛する    ことなど ♪
  Cm  Fm  Cm   Gm

  何も幼   い         ふた         
  Fm  Fm7 Fm(onD) Fm(onD♭)

  りには・・・ ♪
  E♭m

と、思わず途中で書き起こすのを挫折してしまうほどのクリシェ連発。
結局ハ短調→ヘ短調→変ニ短調→変ロ短調と目まぐるしく展開し、

♪ 積木  細             工の      よう       に ♪
  E♭m  E♭mmaj7  E♭m7  E♭m6  B♭m  B♭7

と、強引な「あ~あ~♪」というコーラスのフォローにまぎれて、なんだかよく分からないままに元調の変ホ長調へと戻っていくのですが・・・。
これだけ斬新な進行を、まるで何事も起きていないかのように訥々と歌うシローの胸中など、凡人たる身には推し量ることすら不可能だったりするのです~。

やっぱり、「声の良さ」なんですよ。
それに加えて、あのつかみどころのないキャラクター。感情移入の無さが逆に「つみ木の城」を美しいバラードに仕立て上げているように思います。
シローの声が奇跡のように噛み合った曲と言えるのではないでしょうか。

だって、どのくらいシローの声が良いかというと、あのジュリーがラジオで絶賛するくらい!なんですからね・・・。

秋からのツアー、是非ともシローの参加を無理のない範囲で期待したいですが・・・それでもこの、「つみ木の城」を歌うことはまず無いでしょう。
タイガース・オリジナルの中でシローが今回歌うとすれば、わずかに「出発のほかに何がある」に可能性があるくらいで・・・それにしたって星2つが精一杯。
おそらくビージーズの「ジョーク」「ワーズ」のいずれかを少しだけ歌う、という形になるんじゃないかな・・・。

それでも、ステージに立つシローを観られたというだけで、先輩方の思いもかなり違ってくることでしょう。
何とかシローの体調が良好であらんことを。
シローがそこにいるだけで、先輩方にとってそれは『ビューティフル・コンサート再来』なのでしょうから・・・。

それでは、恒例のオマケですぅ~!
今回は、当然ながらシローのショットをどうぞ。

File0659


(本文抜粋)
トッポにかわって、タイガースに加入したシロークン。メンバーきっての長身だ。サッパリとしてすなおな性格はだれからも愛される。中学時代から音楽評論家を夢みていた、という音楽狂。昨年は渡辺プロの派遣社員として渡米し、アメリカの音楽を一はやくキャッチし、タイガースの影武者として活躍していた。澄んだきれいな声で唄う得意はフォーク・ロックは早くもファンの間で評判がいい。スケールの大きなタイガースとして貴重な存在になるだろう。

原文ままに書き起こしましたが・・・「得意は」のトコは「得意」の誤植だと思われます。
続いてもう1枚。
 

File0635

(本文抜粋)
6月で20歳になった。身長185センチで、メンバーの中ではいちばんノッポ。そして、その身長をテレてか、うつむきかげんに歩くのがクセ。ボブ・ディランとドノバンの信奉者で、エレキよりフォーク・ギターのほうが好きだという。メンバーに加入したころは無口だったが、最近はメンバー随一の毒舌家になった。アメリカから帰った頃の日本人には珍らしいデッカイ性格は、まだ失ってはいない。近頃、京都の親友二人がシローを訪ねてきてマンションに同居している。むだづかいのキライなシローが、なにからなにまで面倒を見ているのは、友人を大切にする性格だからだろう。

え~と、本文そのままですよ。
まぁ書き起こし作業においてところどころひるむ中、「ドノバン」って表記に一番抵抗がありましたが(笑)。

え?
オマケの画像がシローだけじゃ物足りないって?

(↑コラコラコラ)

じゃあ、これはどうですか?


File0610

「誰か差し入れ持ってこないかなぁ、わくわく♪」
って感じの、あまりに屈託の無い笑顔を見せるジュリー。

対して
「あ~腹減った・・・」
って感じの完全倦怠モードに見えてしまうシロー。

このギャップが・・・(笑)。

でもね。
これから10年くらい経ってこの二人は、僕ら後追いの世代にとっても超・有名な、テレビの向こう側のスターになるんだよね~。
そうなるのが、タイガースの中でこの二人、ってのが面白いなぁと思うんです。

是非秋からのツアーで、二人がステージで並び立ってるところをこの目で一度、観たいです!

それでは次回は・・・。
また『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』に戻ります。
一家に一枚・・・後追いのみなさまも、もう買ったかな~?


♪ 夏が終わるまで・・・あと16曲!

| | コメント (23) | トラックバック (0)

2011年7月 8日 (金)

ザ・タイガース 「坊や祈っておくれ」

from『THE TIGERS CD-BOX』
disc-5『LEGEND OF THE TIGERS』
セットリスト的中自信度 ★★★★☆


Tigersbox

1. タイガースのテーマ(モンキーズのテーマ)
2. スキニー・ミニー
3. 白いブーツの女の子
4. 愛するアニタ
5. 南の国のカーニバル
6. 涙のシャポー
7. 涙のシャポー(別テイク)
8. 傷だらけの心
9. 730日目の朝
10. 坊や祈っておくれ
11. Lovin' Life
12. 誰もとめはしない
13. 夢のファンタジア
14. ハーフ&ハーフ
15. 遠い旅人
16. タイガースの子守唄
17. あなたの世界
18. ビートルズ・メドレー(ヘイ・ジュード~レット・イット・ビー
19. 明治チョコレートのテーマ
20. あわて者のサンタ
21. 聖夜
22. デイ・トリッパー
23. アイム・ダウン
24. 雨のレクイエム
25. ギミー・シェルター

------------------------------

セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

------------------------------

まずは。
みなさま既にご存知とは思いますが、ピーのオフィシャルサイトで、CDwithDVD『道/老虎再来』の予約受注が始まっていますね。
僕はエクセルを選択し、昨夜メールを送って注文完了。

で、その際はエクセル添付という形になりますから・・・メール本文が空白だとさすがに落ち着かない。
そこで
「オフィス二十二世紀御中 CDを注文させて頂きます」
とか書くわけです。
それでもまだ何だか淋しいので、「応援しています」とか・・・やっぱり書いちゃうよね(汗)。
そうすると照れたような恥ずかしいような感覚になって、送信ボタンを押す手が震えるわけですよ。

後追いファン、しかも男性の僕ですらそうなのですから、勢い余って熱烈なメッセージを添えたお姉さま方が、なかなか送信ボタンを押せずに固まっていらっしゃるのではないか、と余計な心配をしてしまいますが・・・みなさま大丈夫でしたか~!

あ、ちなみにエクセルですが、セル内の改行は「Alt」を押しながら「Enter」です。僕も今回、カミさんに教えてもらって初めて知りました。
あと、金額のセルには計算式が入っています。うっかりダブルクリックして迷いこんでしまった場合は、「Esc」でリセットしましょう!

さて本題。
『沢田研二 LIVE2011~2012』セットリスト予想”大変な夏を元気に乗り越える、タイガース20曲伝授”シリーズ、第3回です。
”伝授”などと言いながら、その実先輩方に色々なことを教えて頂いて初めて記事成立する、というスタイルでなんとかやっておりますが・・・今日のお題については特に知らないことが多くて・・・。
どうかみなさまの助太刀を賜れますように。

セットリスト予想でタイガースの曲を20曲書く・・・先月から決めていたことです。
で、どの曲について書くか、についてはだいたい決めていたんですよ。
ところが、今日採り上げるのは・・・。
ついこの間まで、僕のような後追いファンにとっては全くのノーマークだったナンバー。それがここへ来て、セットリストの有力候補へと一気に昇りつめたのでした。
ジュリーが『ビバリー昼ズ』でこの曲を紹介してくれた、と知った時には、自分のうかつさにハッとさせられ、つくづく、新規ファンの考えの及ばないことが今まさに実現しようとしているんだなぁ、と再認識させられたものです。

「当時、こんなイイ曲があったんですよ」

ラジオでのジュリーの言葉がすべてを表していますし、今だからこそ、こんな時だからこそ、「全部タイガースの曲をやる。知らなくてもやる」というジュリーの言葉・・・僕のような後追いファンに
「この曲が目に入ってないのか!」
と痛烈に先制パンチをお見舞いしてくれた・・・改めて聴けば聴くほど、「ジュリーは今こそ、この曲を歌いたいに違いない」と思わせてくれる、これこそ隠れた名曲、しかも不朽の名曲。
的中自信度、星4つをつけさせて頂きます。

「坊や祈っておくれ」、気を引き締めて伝授!

まだ辛うじてトッポ在籍時・・・歴史的名盤『ヒューマン・ルネッサンス』に続いて、タイガースがレコーディング・アルバム第2弾の制作にとりかかっていた中で、この名曲は産声をあげたそうです。
しかも、作詞サリー・作曲タローという、メンバーの純粋なオリジナル作品として。
サリーとタローの非凡な創作センスが凝縮されたようなバラード。これこそ「タイガース」の冠にふさわしいナンバーだ!と思わずにはいられません。

まず今回のお題、ご覧のように「坊や祈っておくれ」と表記させて頂いたわけですが・・・これは、企画盤『THE TIGERS CD-BOX』に、未発表スタジオ音源として収録されている楽曲タイトル。

でも・・・。
この曲はライヴ・アルバム『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』で採り上げられているのですが、そちらでは「坊や歌っておくれ」というタイトル表記になっているんですね。
あちらこちらで調べてみますと、ライヴの段階ではタイトルが「歌って」に正式変更されていたみたいで・・・。
ですから普通に考えれば、「坊や祈っておくれ」は本来衆人に公になることのなかった、楽曲制作段階での仮題ということになり、『~コロシアム』リリースなど正規音源から、「坊や歌っておくれ」と表記されるのが正しい筋なのでしょう。

しかし僕は今回、先述したラジオでのジュリーの楽曲紹介、そして、「祈る」というフレーズが偶然にもジュリーがリストバンドに込めて被災地に向けた思いと合致することから、拙ブログでは「坊や祈っておくれ」のタイトルで記事にすることを決めました。

さて、その『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』でこの曲は「ザ・タイガース・オリジナル・メドレー」の中に組み込まれる形で歌われています。
メドレーの曲目は演奏順に

「花の首飾り」→「坊や歌って(祈って)おくれ」→「モナリザの微笑」→「青い鳥」→「坊や歌って(祈って)おくれ」。

そうです、この曲はメドレーの中に2度登場します。
レコーディングテイクの段階から、とても短い曲(演奏時間は2分もありません)。
かといって、メドレーの中で歌われたのですからね。普通だったらかなりの部分が割愛されるはず。
それを、前半部と後半部に分かれた形式とは言え、一部を除いてほぼフルコーラス歌っているのですね。
対して「花の首飾り」(リード・ヴォーカルはシロー)、「モナリザの微笑」「青い鳥」というスーパー・ヒットはほんの一部しか歌われず、まるで「坊や~」の引き立て役を買って出ているかのようですらあります。

こちらのライヴテイクでは、オルガン、エレキギター、ベース、ドラムスという構成で、『LEGEND~』で聴くことのできるスタジオテイクに比べテンポアップしています。
メドレーですし、他の有名な3曲のテンポに合わせたのでしょうね。
一方のスタジオテイク、こちらの演奏はピアノ1本。
右サイドのサリー、左サイドのタローの素晴らしいハーモニーがフィーチャーされています。

では、秋からのツアーで「坊や祈っておくれ」が採り上げられたとして、果たして演奏形態はどうなるのか。
これが今回僕の予想の最大のポイントなんですけど・・・タローがピアノを弾くのではないか、と考えています。

昨年まで、僕はタローがギター以外の楽器、特に鍵盤をどのくらい弾けるのかまったく知らずにいました。
最初に「おおっ!」と思ったのは、今年に入って、タロー・ヴァージョンの「Long Good-by」のプロモ映像を観た時です。最後にピーがはにかんだような笑顔で登場する、あの映像ですね。
これは、ピーのオフィシャル・サイトが開設されてから、多くのタイガース・ファンの方々がご覧になられたことでしょう。

もちろんPVですから音と映像は別録りなのでしょうが、この映像で、流麗な指使いでピアノを弾き語るタローの姿を観ることができます。
一応僕も下手ながら鍵盤を嗜みますから、タローの演奏する様が一定の技術レベルを超えていることは、腕の動きや指の移動などから観ていて分かるのです。
遅まきながら、「タロー、こんなに弾けるんだ」・・・と驚いた次第でした。

そして・・・これはつい先日のこと。
この度のセットリスト予想シリーズで、少しずつ紹介させて頂いているお宝雑誌『近代映画』タイガース特集号を読んでいて、とても興味深い記事を見つけました。
当時制作中のニュー・アルバム(トッポの脱退などの影響でしょうか・・・そのアルバムは遂に完成しませんでした)で4曲の作曲作品を担当し、作曲家としてまさに飛躍しようとするタローにスポットを当てた内容のものです。

さすがに全文書き起こす根性は無いので(ごめんなさい)、一部重要な箇所を書きとめながらご紹介いたしますと・・・。

まずは、作曲家としての出世作「青い鳥」についてのタローの言葉があります。


Bouya1

(本文抜粋)
「デビュー曲『青い鳥』は、ぼくが4年ほど前に、詞を書き、曲を作ったものです。この曲は、いちど京都の友だちのグループにプレゼントしたんですが世に出なかっただけで、ぼくにとっては、思い出のある曲です」

このお話は、ちょうど東京トークショーの直前くらいにコメントで教えてくださった先輩がいらっしゃいました。
ちなみにこの記事が掲載されている『近代映画』は、昭和44年6月に発行されています。

続いてタローは、将来への意欲を語ります。


Bouya2

(本文抜粋)
彼は、去年の暮れに、ピアノを買った。
作曲家としての基本的な勉強をするためにだ。
タイガースのいそがしいスケジュールの中で彼は、午前ちゅうの1時間をピアノのレッスンにあてた。
「ほんとうは、時間さえあれば作曲のために静かなところに行きたいなァ。理想かもしれないけど、たっぷり時間がほしいョ・・・」

そして、当時制作中だったという、幻のセカンド・レコーディング・アルバム(通算では4枚目となるはずだったアルバム)についての貴重な記述が続きます。

Bouya3


(本文抜粋)
ことしは作曲で大いにあばれまくろうというタロー。
彼は、この6月(予定)に発売されるタイガースの4枚めのLPのために4曲作曲したのだ。
「ことしにはいって、ざっと10曲ばかりの曲を作ったんだ。そのうちの4曲をLPに入れることになったんだ」
と、ゴキゲンなタロー。
曲目は、すでに新生タイガースの初公演だった京都公演でファンの前に披露されているものだ。
作詞はサリー、題名は「愛する坊や、歌っておくれ!」ボーカルはジュリーだ。
また、彼自身の作詞・作曲による「エンジェル」も、美しい天使の心を歌ったさわやかなメロディーの曲である。
そのほか、沢田研二の作詞によるテンポの早い曲と、サリーの作詞によるフォーク・ソングと、題名は決まっていないが、とにかく4曲を、次回のLPに組み入れられることが決定している。

このくだりを読むだけで、萌えまくり。
「坊や祈っておくれ」の話以外にも、ファン未体験の曲のエピソードが・・・!

あと、文中に出てくる「エンジェル」という曲なんですが(これはご存知の方も多いのかな・・・)『THE TIGERS CD-BOX』のライナーによると、アルバム『自由と憧れと友情』に収録されている「友情」の原型なのだそうです。
この話なんてね、凄く興味深い。
きっと、出だしの「青い~♪」という部分をタローが「エンジェ~ル♪」と歌って作曲していたんだろうなぁ。

ちなみに、「友情」はすでに過去記事で執筆済みですから今回のセットリスト予想シリーズからは外れていますけど、アルバム『自由と憧れと友情』収録曲の中では、かなり有力なセットリスト候補曲です。

それにしても、聴きたかった・・・完成しなかった幻のアルバム。
一部内容は『自由と憧れと友情』に引き継がれたようですが、この時点ではまだトッポが在籍していたわけですから(「坊や祈っておくれ」の歌録りには現れなかったとのことですが)、少なくとも企画段階では、トッポの作った作品も収録曲としてリストアップされていたはず。
もし完成していたら、メンバーの作詞・作曲作品が中心の、メッセージ性の高い本格的なロック・アルバムになっていたのではないでしょうか。


Bouya4


『近代映画』のこの記事は、作曲家としてのタローの今後に大きな可能性を見る、という主旨で締めくくられています。

これを読み、僕はタローのピアノが無性に聴いてみたくなりました。
タローのギターすら生で聴いたことのない僕が、いきなり「タローのピアノが聴きたい」なんて言うのは贅沢過ぎるのかな。
でも、もしも秋からのツアーでタローのピアノが聴けるとすれば、シンプルながら抒情味あふれる「坊や祈っておくれ」は、タロー本人の作曲ということもあり、うってつけのナンバーとは言えないでしょうか。
ピーの優しいドラムスと、サリーの穏やかなベースが、こちらもシンプルながらバックアップし、ジュリーが思いを込めて歌う・・・。
『THE TIGERS CD-BOX』のライナーノート、「坊や祈っておくれ」の項には、こう書いてあります。


ライヴでは「坊や歌っておくれ」のタイトルにしてバンドで演奏していたが、森本太郎のピアノ弾き語りで演奏されることもあった

僕の贅沢な願望、大いに望みあり!と見ましたが・・・さてどうなりますか。

セットリスト予想で多くの楽曲に、「こんなふうに鉄人バンドに噛んで欲しい」と色々な想像を今から楽しみに巡らせている僕ですが、この曲だけは、脳内に鉄人バンドの姿が浮かんできません。
レコーディング音源を聴くと、元々ピアノ1本のアイデアで作られた曲なのでしょうしね。
この曲がツアーで披露されるとしたら、鉄人バンドの4人はライトの影に隠れるようなステージングになるんじゃないかなぁ、と予想しています。
これまた、外れたらとても恥ずかしいですが・・・。

最後になりますが、「坊や祈っておくれ」の楽曲構成について個人的に思うところを少し。
この曲の構成やコード進行はね・・・偶然だとは思うけれど、あの有名な「マルセリーノの歌」にそっくりなの。映画『穢れなき悪戯』の曲、と言えばみなさまも「あぁ!」と思い出すでしょう。
僕は、「マルセリーノの歌」のコード進行って、相当に身にしみついているんです。
何故かと言うと、初めてギターを覚えた曲だから・・・。

特に、ホ短調からト長調へ王道の平行移調をする美しさを、僕は「マルセリーノの歌」で覚えましたから、その手の曲には敏感になっています。
「坊や祈っておくれ」で言うと

♪ 荒れた野原の戦場に ♪
  G                        D

の部分。
サリーの詞、重厚なコーラスとともに、メロディーの美しさが際立ちます。
あとは、Aメロの出だしも「マルセリーノの歌」と同じ進行で、やはりとても美しい。
僕にとっては「美しいメロディー」の象徴のような曲だと言えるのです。

演奏時間が短くて、しかもレコーディング・ヴァージョンではピアノ1本という薄いアレンジの曲ですが、軽さをまったく感じないのは、やはり詞・曲・ヴォーカルそしてコーラスが一体となっているからでしょう。
タイガースらしい進化の渦中に生まれたバラードの名曲と断言して良いと思っています。

でも、ジュリーがラジオで流してくれなかったら、今回のセットリスト予想で記事にはしていなかったはず・・・。
己の浅慮を恥じるのみですね。

それでは、オマケですぅ~!
今回は、不朽の名曲が秋からのツアーで復活し、今だからこそそのメッセージに光が当たることを願って・・・「坊や祈っておくれ」の作詞者・サリーと、作曲者・タローのショットです!

File0617


(本文抜粋)
”のっぽのサリー”も弟シロー君の加入で、背の高さではメンバー第二位に転落。「兄貴のぼくの口から言うのもヘンですが、弟はぼく以上にしっかり者ですから安心していますよ」と、美しい兄弟愛の一端をのぞかせていました・・・。

File0618



(本文抜粋)
いつもおだやかな微笑を絶やさないタロー。誰にも打ち明けられない悩みも、タローになら安心して相談できそうな気がします。でも、わざわざ話さなくたって、察しのいいタローはなにもかもわかってくれるんじゃないかしら。こんなにやさしいお兄さんがいたら、どんなにステキだろう!銀座を歩くタローに、ファンの少女たちのあこがれの視線が集まります・・・。

サリーとタロー。
普段物静かなイメージのあるタイガースの重鎮二人が、秋には一体どんなステージを見せてくれるのでしょうね~。
そしてこのツアーを機に、タイガースファン以外の方々にも、作詞家・サリーと作曲家・タローの素晴らしさを、是非知って欲しいところです。

さぁ次回は。
サリーを抜いてメンバー身長第一位になった、シローの話をしたいと思います!


♪ 夏が終わるまで・・・あと17曲!

| | コメント (15) | トラックバック (0)

2011年7月 5日 (火)

ザ・タイガース 「リラの祭り」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968
セットリスト的中自信度 ★★☆☆☆

Human


1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

--------------------------------

(註)
セットリスト的中自信度
5段階内訳

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

---------------------------------

暑いですね~。
でも、自宅ではまだエアコンを一度もつけていません。粘れるトコまで粘ってみようかな、と思っています。

先日、ジュリーの教えにしたがって、夕食にメチャクチャ暑い中でメチャクチャ熱いキムチ鍋を大汗かきながら食べました。意外とガンガン食べられるものですね~。
結果、そうするとビールがとてつもなくうまい!ということもわかりました。
ジュリーの真の狙いは、それですね・・・(笑)。

前回記事に頂いた74年生まれ様のコメントで初めて知りましたが、ツアー初日、会場の電力制限に関する心配が持ち上がっています。
でも、おそらくジュリーのツアーについては問題無いと思いますよ。
他のアーティストのように、派手な電飾演出とか無いですし・・・国際フォーラムAでこんな地味な!というステージになると思います。

それがイイんですよね。
特別な演出の仕掛けなど必要ありません。会場の熱気で勝負ですよ!
タイムリーなタイガース・ファンのみなさまの大歓声、僕は疑いひとつ持っていません。黄色い声援、絶対出ますって!大丈夫!
末席から、僕も精一杯の熱気を後押ししますからね~。

さぁ、『沢田研二LIVE 2011~2012』セットリスト予想シリーズ・・・別名「大変な夏を元気に乗り切るタイガース20曲伝授」。
前回、超有名なナンバー「シーサイド・バウンド」でスタートを切らせて頂きました。

今回は一転、これは・・・”隠れた名曲”みたいなスタンスのナンバーなのかな?
一般的な知名度は低いかもしれないけれど、にぎやかな、お祭りっぽい曲を採り上げますよ~。

「シーサイド・バウンド」の収録盤として前記事にて紹介いたしました『ザ・タイガース・シングル・コレクション』、この2枚組CDは、これからタイガースの勉強を始めようという方々にはうってつけの作品で、是非一家に一枚!って感じなんですけど、じゃあ、「シングルコレを聴いた後に、次に勉強しようと思ったら何を聴けばいいの?」
よくぞ尋ねてくださった
(←何を偉そうな汗)

そりゃあ、『ヒューマン・ルネッサンス』ですよ!

タイガースのレコーディング作品としてのアルバムは、1982年の同窓会アルバムを除くとこの『ヒューマン・ルネッサンス』と『自由と憧れと友情』の2枚しかないのですね・・・。
トッポ在籍時とシロー在籍時に、それぞれ1枚ずつ。
で、シロー在籍時の『自由と憧れと友情』の方も大名盤なのですが、こちらは現在単体での入手が非常に困難となっています。
でも、『ヒューマン・ルネッサンス』はまだ普通に買い求めることができるようですね。

秋からのツアー、演奏されるのは全曲タイガース・ナンバーということですから、アルバム収録曲もいくつかは採り上げられるでしょう。
『ヒューマン・ルネッサンス』収録曲から、『シングル・コレクション』と重複している「光ある世界」「青い鳥」「廃墟の鳩」の3曲以外に、どのナンバーが選ばれるのか・・・。

トッポがツアーに参加していれば「忘れかけた子守唄」が鉄板なのですが・・・こちらは来年の1・24武道館にささやかな期待を持つしかありません。
では他の曲だと・・・。
「生命のカンタータ」「朝に別れのほほえみを」が有力ではないでしょうか。

ただ、この夏20曲を書くと決めた以上、拙ブログでは渋~いお題も取り混ぜて書いていきたい。
今日採り上げるのは、個人的に、特に今回のツアー・メンバー構成でLIVE映えするのではないかと考えている曲です。
「リラの祭り」、僭越ながら伝授~!

セットリスト的中自信度、星2つというのは、ちょっと自己評価が辛かったかな?
僕にとって「リラの祭り」は
「是非やって欲しい・・・でも、ちょっと今回セットリストに加わるのは難しいかな・・・」
と、そんなふうに思っている1曲。

今回のツアーは、タイガースのジュリー、ピー、タロー、サリー、そしてサポートの鉄人バンドという8人のメンバーで展開されるわけですが・・・最初から最後までステージ配置が変わらない、という感じにはならないような気がします。
まず、タローがギター以外の楽器を担当するパターンが考えられますし、ピーがドラムセットから離れてリードヴォーカルをとる洋楽カヴァー曲があるかもしれません。

そうそう、ピーのリード・ヴォーカルと言えば・・・ジュリーのドラムスに期待する方々も多いと思いますが・・・さて今回、どうでしょうか。
ドラムスというのはいくら経験者でも、練習抜きにキチンとした演奏ができるものではないですからね。
ジュリーが皆と合わせて練習しているかどうか、それ次第です。
技量はともかくとして、タイガース時代にジュリーやタローがドラムスを叩いていたことの何が凄いかって・・・あの多忙な時期にキチンとドラムスの練習までこなしていた、という凄まじさですよ!
一体どのくらいの睡眠時間で過ごしていたんだろう、というね・・・。

おっと、話が逸れました。
ステージ配置、と言うか編成の話です。
あとは、タイガースのメンバー4人のみで演奏される曲があったり、逆に鉄人バンドの音がガンガン前に出てくる曲があったり・・・双方のヴァリエーションを僕は想像しているのです。
今日、そして次回更新の記事では、僕が考えるそんな2パターンのヴァリエーションから、それぞれ「これこそふさわしいナンバーだ」と思えるものを1曲ずつ採り上げようという趣向です。

まずは今回の「リラの祭り」。
この曲がセットリストに組み込まれるならば、可能であれば鉄人バンドに積極的にガンガン噛んで欲しいんですよね~。

『THE TIGERS CD-BOX』ライナーでのこの曲の解説に、大変興味深い一文があります。
曰く

”ライヴでは、ガレージ風なアレンジで演奏されていた”

ガレージ風、というのはこの場合パンキッシュで荒々しいということかな。
僕がこの解説から想像する図は・・・。

(失礼ながら)さほど演奏技術に長けていなかった当時のタイガースのメンバーが、この「リラの祭り」という相当に高度な演奏を要する楽曲を、積極的に解釈して勢いのあるライヴを展開していた

そんなシーンです。
そうです、「リラの祭り」は、タイガース・ナンバーの中で1、2を争うほどに、CD音源の演奏再現が難しい曲なんですよ~。
しかもそれは、楽器編成の話だけでなく、演奏技術の面からも言えることなのです。
もちろん素人から見て、ということですが・・・。特に跳ねながらのリズムキープが難しい。
しかしそれは、練習を重ね身体が馴染んでくると、逆にいつまでもそのリズムに身体を委ねていたい、というトランス状態をも生み出します。

だいたい、「リラの祭り」という曲自体、インド音楽のトランス感覚を狙って作曲されたんじゃないかと僕は考えているのです。
サビ部を基本、ワンコードで押すというね。

僕の友人に、北インド古典音楽を現地で学び、今はタブラ奏者として活躍する佐藤哲也君という人がいますが、彼はよく「インドっぽい曲をポップスで作ろうと思ったら、Dで作るのが一番向いている」と言っていました。
もう20年ほど前、アマチュア・バンド内で競って大量の曲作りをしていた頃の話です。
彼はギター以外にシタールを嗜んでいましたから、「Dで作曲」というのはシタール特有のチューニングから導き出した結論かと思われます。

「リラの祭り」のキーもD(=ニ長調)で、サビ部のコードはすべてD7で貫かれています。

♪ フェスタ オ フェスタ ダンツァ ベルメー ♪

  D7

インドっぽいなぁ、と思うのは、このD7で押す響きに加え、全体を変テコな音階で装飾するストリングス。
ビートルズの「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」以降、こういうストリングスの絡ませ方が、世界的に流行したのです。「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」はどちらかと言えばスローなナンバーですが、この手のストリングス・アプローチはその後アップ・テンポなロック・ナンバーで採用されることが多くなりました。
「リラの祭り」もそういったアレンジ流行の流れを汲んでいるのではないでしょうか。

そうそう、僕は2009年になってからタイガースの勉強を始めたわけですが、『ヒューマン・ルネッサンス』は当初音源のみを持っていて(もちろんその後キチンと買い直しました)、「リラの祭り」の歌詞がね・・・手ごわかったですわ・・・。
サビ部は

♪ ミスタ~、オ~、ミスタ~
  な~んだ~、かんだ~ ♪

と、歌っていました(恥)。
「ミスタ~、オ~、ミスタ~♪」ってのはね、ホントにそう聴こえたの!
で、「な~んだ~、かんだ~♪」ってのは、何て歌ってるのか皆目見当もつかなかったという・・・。
やはり歌詞カードは大事ですね。


さて、「リラの祭り」オリジナル音源の見せ場は何と言っても間奏です。
何かに憑かれたような、ギター・ソロとストリングスの熱烈な絡み合い。これは「祭り」を表現しようとしたアレンジなのかな?
ギターが凄いのはみなさま気づいていらっしゃるでしょうが、左サイドのストリングスも「何じゃこりゃ!」ってくらいにハチャメチャ、大暴れですよ~。いかにも60年代末、というアレンジ&ミックスなのです。

ギターがあれだけハチャメチャやってるのに・・・ストリングスはさらにその上を行く・・・逆に言うとこの辺りがいわゆる”タイガースの品格”なんだと感じます。
やり過ぎてなおかつ高尚というね。
これはテクニックだけに秀でているバンドでは出せない雰囲気でしょうね。

ギターは、音色が『ビトゥウィーン・ザ・バトンズ』或いは『サタニック・マジェスティーズ~』の頃のローリング・ストーンズで、指さばきがザ・バーズといった感じかな。
イエロー・キャッツ」の間奏にしてもそうですが、前期タイガースのリード・ギターはザ・バーズのようなピッキングの演奏が多いですね。
これは・・・トッポのレコーディングでしょうか。
良い意味で「グシャッ」とした音作りは、タローには無い味だと思うんですけど・・・。

で、「リラの祭り」の楽曲構成・・・さすがに最後まで「D7」コードでトランスしっ放しというわけではありません。
Aメロでは「D7→G7」というロックンロール王道の展開があり、中盤で突如メロディアスで泣き系の変化が見られます。

♪ リラの花びら摘もう ワインの河岸で
  B7              Em      B7           Em

  リラの花束君に ウノ・ドゥエ・トレェ ♪
  Am           Em    D7           A7

ここですね。
この部分、初っ端の和音が「Bm」ではなく「B7」というのがポイントです。
「Bm」だと、ニ長調からロ短調という、よくありがちな平行移調ということになるんですが、登場するコードは「B7」。これは、次に登場するコード「Em」のドミナント・コードになっています。
つまりこのブリッジ部は、ホ短調に転調しているのです。ニ長調からホ短調への転調というのは、なかなか風変わりな進行ですよ!
2行目の「Am」で、ホ短調であることが明確になります。ドの音に#がつかないからです。
「ウノ・ドゥエ・トレェ ♪」がD7→A7で、両コードともド#が登場しますから、ここで元のニ長調に回帰している理屈になりますね。
ちょっと強引なメロディーのようですが、ギターで弾いた時にとてもカッコイイ感じのするコード進行です。

あとですね。
この曲で、前回記事「シーサイド・バウンド」での勉強が早くも生かされましたよ。

♪ 今 夜こそ ♪ (ほわゃ~~~っ!!
  F  G    A7


出た-------!!
この絶叫は、ピーですね?

それにしても・・・声でかっ!(笑)
よくタイガースのショットで、コーラスパートのレコーディング風景みたいなのがあって、背の高いチームにまぎれて、しかも一番端っこでピーが歌っている、といったようなシーンがあったりするじゃないですか?
僕、あれ見てて、「あんなにマイクから離れてたら、ピーの声なんて入ってないに違いない。きっと写真撮るために立ってるだけなんだな・・・」なんて考えてました。

とんでもない勘違いでした!

ピーをマイクの近くに配置するのは、当時のレコーディング機材のシステム上、大変危険だということが分かりました~。
勉強すればするほど、奥が深いぞ、タイガース!(違)

この絶叫、『華やかなる招待』のサントラ・ヴァージョンの「リラの祭り」には無いんですね。

『華やかなる招待』の収録曲音源は、映画のストーリーとキチンとシンクロするように作られているのが素晴らしいと思います。
ですから、先述のストリングスも登場しません。
もし映画ヴァージョンでもピー先生の絶叫があったら、せっかくラブラブ視線でジュリーを見つめるクミちゃん・・・もとい、瀬戸口久美子さんが、間違ってピーに恋しちゃうかもしれないじゃないですか!
ジュリーと瀬戸口さんの恋路のために、ピーは叫びたいのをグッと抑えて、おとなしくしていたのです
(←だから、全然違うって)

不謹慎な冗談はさておきまして、このオリジナル音源とサントラ音源の比較はとても興味深いところ。
「廃虚の鳩」もそうなんですけど、サントラ音源の方が実際のLIVE感覚に近かったのではないか、と僕には思われるんですよ。

まずはドラムスを比較してみましょう。
オリジナル音源の特徴は、何と言ってもライド・シンバル(キンキン♪って薄く聴こえる音ね)の手数が多いということです。
しかも「リラの祭り」は「シーサイド・バウンド」のようなエイト・ビートではなく、リズムが細かく跳ねるんです。ライド・シンバルは常に16分音符を意識しなければならず、これはかなり難易度の高い演奏と言えます。

一方のサントラ・ヴァージョンは
「どっぱん、どっぱん!」
とシンプルかつ前のめりな感じで演奏していますね。
ピーはどちらかと言えば突っ込むタイプのドラマーですから、このパターンは叩いていて気持ちが良いでしょう。
今回のツアーで「リラの祭り」が採り上げられるとしたら、ピーはこのサントラ・ヴァージョンに近い演奏をするのではないでしょうか。
で、GRACE姉さんがシンバルをフォローするんじゃないかなぁ。

さらに、サントラ・ヴァージョンではストリングスが抜けた分、ギターが大活躍。
曲の最初から最後まで、バリバリ・ゴリゴリのファズ・リードギターが炸裂しています。
僕は当然、生で「リラの祭り」のLIVEを体感したことはありませんが、先に引用させて頂いたライナーノートにある”ガレージっぽい”という表現は、主にこのリード・ギターを指してのことだと想像しています。

そして、今ツアーで「リラの祭り」が演奏されるなら、このリードギターを弾くのは柴山さんになるような気がしています。

先述したように、後期タイガースのLIVEを聴いていると、このグシャッとした音作りはタローには無い味なんですよ。タローの場合、激しいリードギターを弾いていても、どこか繊細で丁寧な雰囲気があります。
トッポがいれば、当然トッポが弾くんでしょうけどね・・・。
「リラの祭り」のリードギターには「ねじふせる」感じが必要で、トッポ不参加ならばこれは柴山さんが適任ではないでしょうか。
その場合下山さんが、「レ・ラ・レ・ラ・レ・ラ・・・♪」と細かいバッキングを弾くと予想しています。

ただ、僕は最近のタローのLIVEを知りませんから・・・ガレージで無鉄砲なギターを、タローがガンガンに弾くことが今ならあるのかもしれません。
考えてみますと、タローの今の音や歌を知らずに、今回のツアーの楽器編成を予想する、というのは大変な怠慢のような気がしてきました。
機会があれば、現役バリバリのタロー、そしてトッポの現在進行形の姿を見ておかなければ・・・。

「リラの祭り」に話を戻しますと・・・ギターのことはともかく、トッポがツアー不参加なのですから、タローは歌わなきゃいけませんよね~。
「リラの祭り」のヴォーカルは、3人のユニゾンで歌うのがミソですからね。タローのキレイで朴訥な声は、目立たないながらも重要になってくるはずです。

オリジナル音源だと、これが実は、トッポの声を一番目立たせるようにミックスされているんですよね。
中央にトッポ、左がジュリーで右がサリー。
ひょっとしたら当初はこの曲、トッポ単独のリード・ヴォーカルのアイデアがあったのかもしれません。

その名残りってわけじゃないんでしょうけど、とても興味深い箇所がひとつあるんですよ。
「リラの祭り」は「フェスタ~、オ~フェスタ~♪」というサビ繰り返しでフェイド・アウトしていくじゃないですか。
その、最後の最後の繰り返し部。
「フェスタ~♪」の部分が一瞬だけ、トッポのソロになってます!
左右のジュリーとサリーは、「オ~フェスタ~♪」から遅れて噛みこんできます。
楽曲全体を通してこうなる可能性も、レコーディング当初にはあったんじゃないかなぁ。

基本、サントラヴァージョンを土台にしてタイガースのメンバーが演奏し、歌い、オリジナル音源のアレンジ部を鉄人バンドが前面に出てサポート・・・これが僕の「リラの祭り」のセットリスト予想。
もちろん今回のツアーは泰輝さんがいますから、オリジナル音源のストリングスも超絶の手数で再現してくれるはず。

このように、メンバー構成上8人がバランスよく活躍する曲があったり、そうかと思うとタイガース・メンバー4人だけによる演奏があったり・・・そんなヴァリエーションでセットリスト候補の幅が広がっていくのも、僕にとっては大きな楽しみなのです。
でも、「リラの祭り」はちょっと、的中自信度は低いんですけどね・・・。
なんだか”埋もれた名曲”という感じがして。
先輩方にとってはこの曲、タイガースの中でどのくらいのウェートを占めるナンバーなのでしょうか。
僕の知らないこと、たくさん教えてくださいね・・・。

それでは、オマケですぅ~!
今日は、「リラの祭り」LIVE本番での

♪ 今夜こそ、ほわゃ~!!

のシャウトに期待しまして、ピーのショットを。

この部分はドラムスのオカズのフレーズも相当カッコイイですからね。「リラの祭り」が演奏されれば、ここがピーの見せ場になること間違い無しです。
キメのフレーズを叩きながら、勢いよく絶叫するピー・・・充分ありえるシーンかと予想しています。

当時、トッポが抜けた後、笑顔を見せることが少なくなったと言われるピー。
心配したファンも多かったでしょうが・・・どことなく淋しそうに涼やかに、辛うじて、という感じで微笑むこのショットで、今はみなさま、この暑さを吹き飛ばして!
とにかく秋になれば、ピーは間違いなくステージに帰ってくるのですから・・・。


File0611

(本文抜粋)
きかん気の強いピーは、仕事にかけては誰にも負けたくないというファイトの持ち主。楽屋でも暇さえあれば、ドラミングの練習に励んでいます。反面、遊ぶときは徹底的に遊びます。遊ぶといっても、お酒はあまり飲めないので、ゴーゴーを踊ったり、気のあう友人たちとおしゃべりしたり。気前がいいピーは、お勘定を絶対に人に払わせないから、ふところはいつもピーピー。だからピーっていうのかナ。

いや~、「いうのかナ」の「ナ」がカタカナなのが良いですね・・・。
じゃ、もう一枚行くよ!

File0613


(本文抜粋)
最近のピーは、変わった。以前の子どもっぽさやヤンチャなおもかげは、まったく残っていない。テレビ局のスタジオのかたすみで、ひとり静かに物思いにふける彼の姿には、オトナのムードが感じられる。トッポが去っていちばん悲しんだのがピー。シローが加わってまっ先に喜んだのもピー・・・近ごろはフランス語の勉強に余念がない。

まぁ、オトナのムードになった理由も、フランス語の勉強に余念がなかった理由も、今ではもうハッキリしている・・・のかな?

さて次回は、「リラの祭り」とは逆に、タイガース・オリジナル・メンバー4人だけの演奏になるのではないか、と予想している楽曲を採り上げますよ~。


♪ 夏が終わるまで・・・あと18曲!

| | コメント (11) | トラックバック (0)

2011年7月 2日 (土)

ザ・タイガース 「シーサイド・バウンド」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1967、single
セットリスト的中自信度=★★★★★


Tigerssingle

disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃墟の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

----------------------------

さぁ、それでは!
今回から『沢田研二 LIVE 2011~2012』、”セットリスト予想シリーズ”へと突入いたします。
完全タイガース・モードです!

いつものジュリー・ソロツアーでは”恒例・全然当たらないセットリスト予想”と銘うって書いてまいりましたが、今回ばかりはそうはいきませんよ~。
全曲タイガース・・・楽曲数はジュリーのソロとは違って限られてきます。
しかも僕はこれから、この夏を20曲のタイガース・ナンバーを書いて乗り越えようというのです。
宣言しますが、半分くらいは当たります

そんなわけで、今回は冒頭に「予想的中自信度」を5段階で表記することにいたしました。
内訳は

★★★★★・・・絶対やります!
★★★★☆・・・おそらくやると思います。これからタイガースの勉強を始めようという方々は、ここまでは予習必須です。
★★★☆☆・・・かなりの有力候補ではありますが、全体の曲数や演奏形態の特殊性などの事情により、オミットされる可能性もあるナンバー達です。
★★☆☆☆・・・個人的にやって欲しいと考えている、渋い選曲群です。セットリストのサプライズとして、密かに期待しています。
★☆☆☆☆・・・おそらくやりません。この機に僕が個人的に記事に書いておきたい、というナンバー達です。

自信度といっても、あくまで僕の個人的判断ですから、例えば僕が「★★☆☆☆」と記載していても
「えっ、これは★★★★★でしょ~!」
という、先輩方のツッコミ&フォローもお待ちしています。

・・・というのも、僕はまだまだタイガースについて知らないことが多いのです。
トンチンカンなことを言ったり、誤った認識のまま記述をしたり、ということも出てくるでしょう。
ジュリーのソロのお題の時もそうなのですが、特にタイガースのお題については、先輩方からコメントで感想を伺ったり、僕の知らないことを教えて頂いたりして初めて記事として成立すると考えています。
これから夏の間、どうかこの新規ファンのつたない考察に辛抱強くおつきあいくださいますよう・・・よろしくお願い申しあげます。

今回のツアーは、
「沢田研二のツアーに瞳みのる、森本太郎、岸部一徳の3人がゲストとして全会場参加・演奏し、それを鉄人バンドがサポートする」
という形になりました。
トッポの不参加は本当に残念ですが・・・こうして詳細が確定した以上、拙ブログではセットリスト予想に際し、タイガース、鉄人バンド・・・ステージに立つすべてのメンバーが楽曲に応じてどのように編成され、どのような音になっていくのか、ということにも踏み込んで、思い切った予想をしていきたいと思います。

あとは、何と言いましても今回の秋からのツアー、例年とは違って特別なものです。
ですから、これから2ケ月に渡るセットリスト予想シリーズも、いつになくスペシャルな感じで行きたいと思います。

どういうことでスペシャル感を出すかと言うと。
この「字だらけブログ」としては異例の「毎回記事にオマケ画像付き」を考えています。
添付を予定しているのは、おもに以下の2冊の本からスキャンした画像です。


File0632_3 

File0634_2

この2冊は無論、僕の所持品ではありません。
カミさんが、J先輩にお借りしているもの。
いずれも、今では神保町古書街で価格8千円が相場、という貴重な『近代映画』バックナンバー、タイガース特集号です。
皮肉というか、今回に限っては都合よくというか残念ながらというか、2冊ともシロー在籍時の発行で、後期タイガースの写真や記事が満載・・・。
トッポには来年の1・24に期待するとして、まずはシローの飛び入りが噂される東京公演に向け、ふさわしい写真もたくさんご紹介できると思います。
まぁ、長年のファンのお姉さま方にとっては、見飽きた写真なども多くなるかとは思いますが・・・楽しんで頂ければ幸いです。

さて、僕は幸運にもツアー初日・国際フォーラムの澤會さん枠、チケット抽選に当選しました。
末席から、記念すべきツアーの第一幕を観ることができます。

で、こんなところに書いても何処にも届くわけはないのですが・・・3階席最後列を希望します!

一番遠くて高いところから、「君だけに愛を」のジュリーの指差しで熱狂する会場すべてのエリアを見渡し、”黄金のひとさし指”伝説の威力を体感したい。
(「君だけに愛を」については、実際に今回のLIVEを体感してから記事を書きたいと考えておりますので、夏の”セットリスト予想”シリーズでは採り上げません。セットリストのブログ記事事前執筆率100パーセントの野望は、数年先のジュリーのソロツアーまでとっておきます)

3階席最後列・・・僕のような新規ファンには、それで充分満足。
でも。
できれば通路沿いがいいなぁ・・・。

何故かって?
そりゃあ、思いっきり踊りたい曲があるからですよ!

ということで、これは絶対に演奏される、的中自信度・星五つ・・・いや星10個か、ってくらい鉄板予想のナンバーです。
「シーサイド・バウンド」、僭越ながら伝授~!

まぁ、いくら3階席最後列の通路沿い希望、とか僕が言ったところで、そううまくはいかないでしょう。
お席が最後方から3列目くらいの密集地帯になったとして、では「シーサイド・バウンド」の間奏部でどのように身体を動かせばよいか。
参考にしたいのは、いくつかのタイガース・過去映像で見られる、トッポの動きです!

トッポは当時「シーサイド・バウンド」での演奏について、「何でこんなダンスをしなきゃいけないんだ」と漏らしていたとか。
実はちょっと分かるんですよね、その気持ち。
だって・・・トッポはタイガースのリード・ギタリストだったのですから。

初期ビートルズに、こんな逸話があります。
他3人のメンバーに比べて、ステージでの立ち振舞いが地味だ、と言われていたジョージ・ハリスンが、メディアに「何故もっとステージでアピールしないのか」と問われ、こんなふうに答えたそうです。
「ジョンやポールは、少しくらい演奏を間違ってもお客さんには気づかれない。でも僕はリードギターだから、間違うと皆に気づかれてしまう。絶対に正しく弾かなくてはいけないんです」

いかにも、ちょっと神経質なイメージのあるジョージらしい発言なのですが、トッポにそんな感じのプライドがあったとしても、不思議ではありません。

でもまぁ、結局はトッポも踊るわけです。
大変そうです。サリーやタローはあの身長ですから、身体と楽器の比率が5:1くらいに見えますが、トッポは3:1くらいに見えます。それも大変そうに見える要因かもしれないなぁ。
そのぶん大きく動いているようにも感じるんですよね。

そして、トッポの身体の使い方が他のメンバーと少し違っているように僕には思われます。
小柄ながら、上半身を大きく揺らし、腰を回して膝も大きく使って、左右への動きを強調しています。
このトッポの動きをマネすれば、狭い客席にあっても、足場の移動もステップも無しに「シーサイド・バウンド」をステージと一緒に踊れるのではないでしょうか。
みなさまも、やってみましょう!

あと・・・これも個人的な予想なんですけど。
柴山さんや下山さんのファンの方々は「え~っ!」と仰るかと思いますが、僕は「シーサイド・バウンド」で鉄人バンドのギタリスト二人は、間奏のダンスはやらないかもしれないなぁ、と考えています。
いや・・・柴山さんはやっぱりやるかなぁ。でも、ほとんど目立たないような気がします。

というのは、見逃されがちですが「シーサイド・バウンド」の間奏って、オリジナル音源だと左右に分かれたツイン・リードなんですよね。
中央が高音、左が低音。
もちろんこれまでジュリーのソロツアーでこの曲が採り上げられた際にはそういう演奏もされてきたわけですが、今回はよりその点を徹底するのではないかと予想しました。

僕はこんなシーンを想像します。
柴山さんと下山さんが丁寧にツイン・リードに突入しようとする中、長身のサリーとタローがずずい!とステージ前方にせり出してきて、中央のジュリーと横一列になります。
ほとんど客席スレスレくらいの位置まで進み出た3人が、往年のあの動きを再現。
・・・どうでしょう?
こりゃ、例えばオケスペースのある大阪グランキューブ神席のみなさまなどは、相当な熱狂状態になりますよ~!

タローはサイド・ギターのカッティングをしながら。
サリーは「ミッミ~、シシレレ#♪」のベースラインを奏でながら。

お二人は今頃、「弾きながら踊る」練習をしているのでしょうね~。特に、あの岸部一徳さん(僕のような後追いファンにとっては、そちら名前のイメージの方が未だに強いのです)のそんな姿を想像するだけで、萌えまくりです。
「シーサイド・バウンド」のベースは、最初の間奏部以降突然手数が増える、というのがミソですからね~。
サリーもソコはバシッ!と決めたいでしょう。ダンスにつられるわけにはいきません。

まぁ、ステージの後ろの方で、想定外にノリノリになって踊っている下山さん、というのも僕としては観てみたいですけどね!

さてさて、「シーサイド・バウンド」は”超”がつく有名曲。手元にはいくつかの譜面もありますが・・・やっぱりこういうロックンロール・ナンバーは、イントロ明記が大事ですよ~。



File0638


(ドレミ楽譜出版社・刊 『グループ・サウンズ・コレクション』より)

レ~シ~、ラソ#ッソ#~♪

このシンプルながら破壊力抜群のイントロ最初の1音だけで、秋からのツアー、会場が一気に沸騰することは必至ですね~。

僕は「シーサイド・バウンド」の演奏順は、アンコール1発目ではないかと予想しています。
というのはね。
この曲の直前にピーに少し休んで欲しい、という・・・恥ずかしながらの素人考えから。
これはねぇ・・・ジュリーがラジオでピーのことを
「やり出したら止まらない人。ものすごい練習する」
と言っていましたし、たぶん余計な心配なんでしょうけど・・・。

もちろん、ピーは素晴らしいドラマーですし、「持てる力をつくす」というご自身の言葉通りの情熱で、たとえどんな演奏順であろうとも、決まったからにはすべてやり遂げるでしょう。
でも、ちょっと現実的なお話をさせて頂きますと・・・。

この長丁場のツアー、体力的に一番苦しいのは・・・間違いなくピーです。
メンバーの中で一番ブランクが長いのもピー。しかもタイガースのメンバーとの再会後に倒れている(ほんの最近、ってことですからね・・・)という体調面での不安も。
ブランクで言うとサリーもかなりキツいと思いますが、ベースやギターってね、言葉は悪いですけど、その気になれば下半身だけはサボろうと思えばサボれるんです。
その点、ドラムは全身運動ですから。

例えば、甚だ低レベルながら僕の経験で言いますと。
僕は典型的な器用貧乏タイプで、色んな楽器をひと通りは演奏することができます(全部下手なんですけどね・・・)。
ですから、仲間内でスタジオに入ると、空いているポジションの楽器を担当することになるんですよ。たまにはギター弾かせろ!と叫びつつ、結局ベースやキーボード、そしてメンツによってはドラムスに回ることがしばしば。
で、例えばスタジオでドラムスを3時間ほど演奏したとします。ただのセッションですよ。それでも翌日必ず筋肉痛になるんです。ふくらはぎとか、肩とか、ワキ腹とかね。
ベースやギターですと、そういうことは無いのです。

さらに、3時間のスタジオのうち最後の1時間でどういう現象が起こるかと言いますとね・・・。
演奏のテンポが遅くなる。
普通の曲はそうでもないんですけど、速いテンポの曲は、自分ではキッチリやってるつもりでも他のメンバーからすると「遅いよ!」ということが起こってくるのです・・・。
ただ、それは長時間連続してプレイした場合にのみ、起こってくることなんですけどね。

無論、ピーが現役バリバリの頃には、そんな心配は無かったでしょう。僕が心配してしまうのは、数十年のブランクということでもあり、そう思ってしまうこと・・・それこそがドラムスという楽器の特性でもあるのです。

僕の友人にはドラマーも多いですが、だいたいみんな年とると腰を悪くしてるし・・・。
イカ天のゲスト審査員常連だった村上ポンタさんがある時番組の中で、「いいドラマーほど腰からやられる」と語っていました。
それだけ過酷なポジションだということなのでしょう。

バンドが使用する音楽スタジオって、アマチュア向けの場合もそうなんですが、ドラムセットの横に必ず扇風機が置いてあるんです。
ドラマーは、たとえ真冬でもTシャツ1枚になって、扇風機の風を受けながら、汗だくになって演奏するんですよ。
素人のリハーサルスタジオでそうなのですから、プロのLIVE本番とくれば一体どんなことになっているのか・・・想像に難くありません。つくづく、昨年の夏を乗り切った還暦越えのジュリーwithザ・ワイルドワンズは凄かったんだ、と思い返さずにはいられませんよ~。

タイガースのドラマー、ピーは、そんな過酷なツアーに向け相当の覚悟を持って挑もうとしているはずです。

タイガース・ナンバーって、曲のテンポに限って話をすれば、メチャクチャに速い曲はそう多くありません。
すぐに思いつくところですと、「シーサイド・バウンド」「真赤なジャケット」「シー・シー・シー」「誓いの明日」くらいでしょうか。
この4曲をセットリストでどういう風に散らして配置するか、というのはピーにとってとても重要になってくると思います。
「君だけに愛を」だって速いじゃないか、と思われるかもしれませんが、あの曲の場合はアレンジの構成上、ハイハット・・・つまり右手ですけど、いざとなったら1小節に4つ打ちで大丈夫なんです。ちょっとオープン気味にして、ベースと合わせるようにすればね。
でも「シーサイド・バウンド」は、絶対に細かく8つ打ちしなければならないでしょう。

だったら、GRACE姉さんと一緒に叩いてフォローしてもらえば・・・というのも、「シーサイド・バウンド」では特にですが、そうはいかないんです。

僕は今回、GRACE姉さんは相当の割合でパーカッション&コーラスという細かいながらも重要なポジションを担うことが多くなるのではないか、と考えているからです。
オフィシャルサイトで、参加メンバーのクレジットをご覧ください。
ピーは「ドラムス」。GRACE姉さんは「ドラムス、パーカッション」と明記してありますよね。

今回のこのゲスト・・・タイガースのメンバーを鉄人バンドがサポートする意義は、大きく2つあると思います。
ひとつは、長丁場のツアーに慣れており、かつジュリーの信頼の深いメンバーゆえに、ゲスト陣の不測の事態にも瞬時に対応できる、ということ。
(泰輝さんは、キーボード下段左側の1オクターブないし2オクターブ分を、常にベース音に設定スタンバイして臨むのではないでしょうか)

もうひとつは、タイガースのオリジナル音源に忠実な楽器編成を再現すること。
タイガース音源の楽器編成における最大の肝は、ストリングスとパーカッションで、泰輝さんとGRACE姉さんにかかる比重は特に大きいのです。

このように考えると、「シーサイド・バウンド」でGRACE姉さんは、パーカッションに専念すると思うのです。
「カタカタ♪」「コンコン♪」「ドロロン♪」と。
そう、映像などでみなさまお馴染みの、ジュリーが叩くティンバレスの音をGRACE姉さんが担当する、という予想ですね。
CD音源だと、左サイドで鳴っているあの音です。
ジュリーファンの僕としましては、本当はステージに立つジュリーの前にド~ン!とティンバレスを置いて、ジュリーが叩くシーンを見てみたいですが・・・さすがにそれはナイでしょう。

File0622


(ドレミ楽譜出版社・刊 『ラテン打楽器初歩の初歩入門』より)

この本によると、ティンバレスというのは写真のような太鼓二つ組の状態の呼称で、それにカウベルやウッドストックなどを追加装着して演奏することが多いそうです。

ジュリーが「ドロロン♪」とやる時の、ちょっと頬をふくらませてグッ、と口を結んでいる表情は、男の僕から見てもドキッとしますよ~。

いや、何かって言いますと・・・「シーサイド・バウンド」がアンコール後1曲目、と僕が予想したのは、一度GRACE姉さんのセッティングを、ティンバレス音色仕様に設定し直す時間が必要なのではないか、という考えもあってのことです(・・・って、全然外れたら恥ずかしいですけど汗)。

それに、かつてバリバリのドラマーだったピーです。事前に少し一息入れれば、「シーサイド・バウンド」のテンポキープもまったく問題ないはず。
かえって猛スピードになっちゃったりしてね。
それに、ツアーを重ねていくうちに身体が慣れるものなのかもしれない・・・そう考えるとセットリストの演奏順に関することなど余計な心配のような気もしてきますが・・・。
盛り上がりを考えても、やっぱり僕はアンコール1曲目にこの曲、という配置がいいなぁ・・・。

あとは、「シーサイド・バウンド」と「真赤なジャケット」はなるべくセットリスト配置を離すだろうな、という。
これはテンポだけの話じゃなくて、ね。
その辺りについては、「真赤なジャケット」お題の記事で語ります(8月までには書きますよ!)。

さて、そんな素人考えの心配ばかりしていても仕方ない。
今回のツアーはやはり”ピーがいる”というのが最大の見所なのですから、楽しいことをもっともっと考えなくてはいけませんよね。

ピーのスティックさばきも大いに楽しみながら、「シーサイド・バウンド」にはもうひとつ大きな楽しみがあります。
ジュリーが『ビバリー昼ズ』で語ってくれた、ピーの豪快なシャウトです!

僕はこの話を知るまで、”ピーが叫ぶ”なんてまったく気づいていなかったのですからどうしようもない(汗)。
音源で言うと、右サイドから聴こえてくる甲高いシャウト・・・あれがピーの声なんですねぇ・・・。

タイムリーなタイガースファンの先輩方は、ピーがあんな感じでシャウトすることなど先刻ご承知でしょうから・・・今さら感が漂いまくりですが、ちょっとCD音源でピーの声を注目して聴いて、書き出してみましょう。
新規ファンにとって
は、何事も勉強です!

特に目立って聴こえるのが、4箇所でしょうか。
まずは最初の間奏直前に

ほわあ~~~~~~~っ!!

2度目の間奏直前では

ほぉ~っ!ちょっ!!

あとはエンディングの「シ~サ~イ、バウン、ゴ~バウ~ン♪」の繰り返し部、まずは1回し目でジュリーが「ヘイ、レッツゴ~、タイガ~ス!」と合いの手を入れますが、2回し目では右側からまたしても

ふぉあ~~~~~~~っ!!

で、そろそろフェイド・アウトというその間際にダメ押しで

ほわ~っ!へっは~っ!!

まるでその直前のジュリーの「ヘイ、もう一丁!」というのが、ピーのシャウトを促しているかのように聴こえてしまいました。
これまで「シーサイド・バウンド」の音源は何度も聴いてきましたけど、ここへきて聴こえ方がまったく違ってきて・・・楽しいことこの上なしです。

ピーのシャウト、カッコイイではありませんか!
いや、確かにちょっとクスッとしてしまいますが、真面目にカッコイイですよ、これは・・・!
ロッカーにとってとても重要な才能・・・「我を忘れて曲に入り込む」センスを、ピーが確実に持っているという証。

ジュリーも、そんなピーのイカしたシャウトが今なお健在だったのが嬉しくて嬉しくて、それでラジオで話してくれたんだと思います。
一緒にスタジオに入って、難しい顔して演奏されるよりはね・・・そりゃあジュリーは喜んだはずです。きっと、「シーサイド・バウンド」を合わせてて、間奏直前にいきなり、ドラム叩きながらピーが気合のシャウトを全員にお見舞いしたんでしょうね!

会場一体となっての「ゴ~、バウン!」
間奏のダンス。
そして、ピーの雄叫び連発に狂喜するステージと会場。
・・・見所満載の1曲ですね!本当に楽しみです。

それでは最後に、オマケですぅ~!
「シーサイド・バウンド」にちなんで、夏っぽい前期タイガースのショットを2枚。


2枚とも、サリーのポーズにかなり無理があると思う・・・。

File0614

File0612

♪夏が終わるまで・・・あと19曲!

| | コメント (27) | トラックバック (0)

« 2011年6月 | トップページ | 2011年8月 »