沢田研二 「いとしいひとがいる」
from『第六感』、1998
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お久しぶりでございます。
しばらくの間、記事更新できず申し訳ありませんでした~。先月末に宣言しました通り、連休中(カレンダー通りでしたので、2日と6日は普通に働きましたが)は遊びまくっておりました(汗)。
まぁ、いくら遊びまくると申しましても僕は今、生活の大部分をジュリーに満たされながら生きておりますので、あちらこちらと出かけていった先々でも、常にジュリーの名曲群に思いを馳せておりましたです。
そこで。
大変恐縮ながら、今回から数回に渡り、DYNAMITEがどのような休日を過ごしていたか、という一般的にはかなりどうでもよい話題を絡めまして、僕が連休中に思いを馳せたジュリー・ナンバーをお題に採り上げ、ゴールデンウィークを振り返ってまいりたいと思います。
まずは4月30日。
池袋東武百貨店イベントスペースで連休中に開催されていた『QUEEN and MUSIC LIFE展』に出かけました。
イベントスペースのみならず、東武デパート館内何処にいても流れていたクイーンの名曲の数々を聴きながら、ふと思い起こしたジュリー・バラードの大名曲を、今日はお題に採り上げます。
アルバム『第六感』から。
「いとしいひとがいる」、伝授です!
「いとしいひとがいる」は、『第六感』の中でも特に好きなナンバーです。
『Ballad and Rock'n Roll』セットリストおさらいシリーズの「君にだけの感情~第六感」の記事に少し書いたのですが、アルバム『第六感』のアレンジには、クイーン・サウンドを彷彿とさせるナンバーが多くあります。
中でもその印象が強い楽曲が、2曲目「エンジェル」と3曲目収録の今回のお題「いとしいひとがいる」の2曲。
タイプの異なるこの2曲がいずれもクイーンを思わせるというのが、白井良明さん渾身のアレンジ、そのセンスの凄まじいところですね。
さて、僕が出向いた日の『QUEEN & MUSIC LIFE展』では、”GUEEN”という知る人ぞ知るQUEENのコピーバンド(僕は観逃していますが、イカ天にも出演して審査員に絶賛されたこともあるそうです)のギタリストがデモ演奏を行うということで、期待して出かけました。
しかし・・・イベントスペースは本当に売り場の片隅の10メートル四方くらいの広さしかなく、普通に雑貨のお店がひしめく中の小さなエリア。爆音は出せない状況。
演奏なさっていてさぞ欲求不満だったことでしょうねぇ。
僕としては、究極のハーモニー多重録音オタクなブライアン・メイの手管解説を望んでいましたが、あのスペースの音響状態ではね・・・。
その点は、ハーモナイザーを使用してちょろっと解説なさるに留まっていました。
でも、「ボヘミアン・ラプソディー」のソロを弾いてくださった際には、マニアなお姉さま方が自然と身体を揺らすという光景も見られました。
この「ボヘミアン・ラプソディー」のソロがね・・・メロディーそれ自体の何処がどう、というのではなく、フレーズのポジション移動、ピッキング、音色・・・多くの細かい点で「いとしいひとがいる」のギターと印象が重なるんですよねぇ。
そもそも、「いとしいひとがいる」や「エンジェル」のギター・レコーディングはまさにブライアン・メイ!という演奏スタイル。
音それ自体もそうですが、まず「エンジェル」では単音のハーモニー(先に少しだけ触れた”ハーモナイザー”というエフェクターを使ったリードギターを2トラック分別録りという非常に凝った作りです)。
そして「いとしいひとがいる」ではハーモナイザーは使用せず、これもブライアン・メイのおハコ・・・まったく異なる音階の2種類のリードギター・フレーズを考案し、執拗に絡ませまくる、という素晴らしい技を炸裂させています。
まぁ、一番凄いのは「永遠に」(アルバムヴァージョンの方ね)で、”ギター・オーケストラ”などという途方もなく手間のかかることを喜んで(たぶんね)やってしまう、その志ですけど・・・。
『第六感』は、後の2001年~2004年の間に展開される「キーボードレス」スタイルのアレンジ・・・その序章のような楽曲がいくつか収録されていて、「いとしいひとがいる」もその中の1曲なんですよね。
これほどに美しいバラード、泣かせるメロディーが、キーボードはもとより、アコースティック・ギターすら編成楽器に採用されていないというのは、驚くべきことです。
その代わり、エレキギターが4トラック。
あとはベース(これもクイーンっぽい下降ラインのフレースが魅力)とドラムス。実はすごくシンプルな編成なのです。
そうそう、ドラムスと言えば、「いとしいひとがいる」で使用されているシンバル・キットは、二重のオモチャのように小ぶりなシンバルを幾重にも重ねられたタイプのもので、これは「カシャ~ン♪」という独特の鳴り方をするキットです。
これがまたまたクイーンのロジャー・テイラー風でして・・・いやぁ改めて、白井さん、徹底してますねぇ~。
あと、イントロを始めとする印象的なリード・ギター・ソロのパートは
F(ド・ファ・ラ)→C(ド・ミ・ソ)→Dm(レ・ファ・ラ)→A7(ド#・ミ・ソ・ラ)→B♭(シ♭・レ・ファ)→C(ド・ミ・ソ)→F(ド・ファ・ラ)
と和音進行しますが、この中の「A7」の響きがオイシイんですよ~。
この「A7」は歌メロには登場しないコードで、白井さんがアレンジの段階で考案したものなのかもしれません。
それにしても「いとしいひとがいる」で素晴らしいのは、何と言っても(って、毎度書いていますけどね)ジュリーのヴォーカルですよ!
まるで「自分が歌いたいのはこういう歌だ」と言わんばかりの渾身かつ美しくド迫力のヴォーカル。
90年代のジュリー・バラードの中でも屈指のヴォーカルだと僕は思っています。
♪ だけど過ぎた時間(とき)
F F7 B♭ B♭(onA)
それは 胸にしまえる静けさになって ♪
Gm7 C7 F Am7 Dm
この「なって~♪」の箇所が、たまらん!
この時期のジュリーのヴォーカルが覚和歌子さんの詞によって80年代のそれとはまったく異なる覚醒を遂げたことを、この曲は如実に示しているのではないでしょうか。
♪ 流れる季節は 世界ごと
F C Dm
僕を変えていった ♪
B♭ C F
この辺りの覚さん独特の表現は、いかにもジュリーが好みそうな詞の流れですし
♪ 思い出よりも いとしいひとがいる ♪
B♭ D♭ C
力強いタイトルフレーズ。
当時のジュリーの心境にも合致する詞だったからでしょうか、さほど感情を込めずに歌っているのに、ほとばしるようなヴォーカルの熱さ。
もちろん、芹澤廣明さんの手による、バラードのお手本のようなメロディーも素晴らしいんですけどね・・・。
ジュリーがこの先バラード中心のステージを時折織り交ぜていくのなら、是非とも一度はLIVEで歌って欲しい極上のバラードだと、僕は大いに期待してしまっています。
しかし・・・アルバム『第六感』は聴けば聴くほど深みのある名盤です。
白井さんのマニアックなアレンジ・アプローチのヤンチャ度の高さは『サーモスタットな夏』以上ですし、なおかつ後のハードな2000年代前半作品群の入り口。
僕がこのアルバムから生で体感できているのは、今のところ『Ballad and Rock'n Roll』で歌われた「君にだけの感情」ただ1曲だけなんですよね・・・。
「いとしいひとがいる」以外にも、是非LIVEで味わってみたいナンバーがたくさんあります。
まだいつになるか分からないけれど、次回ソロツアーの”全然当たらないセットリスト予想”シリーズでは、「グランドクロス」を書きますから!
これ、予告しときます~。
最後になりましたが。
『QUEEN & MUSIC LIFE展』、Tシャツやマグカップなどのグッズも販売されておりまして・・・。
一番ウケたのはパンツですね。ロゴ入りパンツ。
買わなかったけど。
でも、もしも「JULIE」のロゴ入りパンツがあったら買うと思う・・・。
で。
イベントスペースの目玉は、衣装やブライアン・メイ・モデルのギターの展示。
中でも目を惹いたのが、フレディ・マーキュリーが着用したレオタードなんですけど・・・。
ジュリーが着たとしても、まったく違和感が無いような。
てか、昔こんな感じの衣装があったんじゃなかったでしたっけ・・・?
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コメント
私も「第6感」というアルバムは大好きです。
「永遠に」は、ギターをいくつ重ねてあるか分からないぐらい重厚なサウンドですね。
「いとしいひとがいる」は、まだライヴでやってないとは知りませんでした。あんないい曲をプレイしないとは・・・出し惜しみしてる訳ではないとおもいますが。これからの楽しみと言う訳ですね。
投稿: まーちゃん | 2011年5月 8日 (日) 11時53分
まーちゃん様
早速のコメント、ありがとうございます!
『第六感』イイですよね~。
重厚でもあるし美しくもあるし、「誠」といったいかにもジュリーらしいキーワードもあります。
「いとしいひとがいる」・・・僕が観ていないだけで、LIVEで歌ったことはありますよ~。
でも、1度きりかな・・・。
出し惜しみしているわけではないと思いますが・・・とにかく名曲の数自体が多過ぎるんですね、ジュリーは・・・。
投稿: DYNAMITE | 2011年5月 8日 (日) 12時09分
DYさん、お邪魔します。
リアルタイムでこの曲を聴いたときから『芹澤さんが作曲したわりには、あんまり芹澤作品っぽくないなぁ』と思っていたのですが、それは良明さんのアレンジによるものだったのですね!長年の謎が解けました。クイーンですか~。ジュリーの楽曲には、ブリティッシュ・ロックにつながる要素が、本当に多いですね。ジュリーのブリティッシュ・ロックへの愛情の深さがわかります。ちなみに“GUEEN”は1度だけ、偶然、テレビで演奏を聴いたことがあります。ボーカルも完コピというのが凄いですね!その分、ヴィジュアルとの落差が強烈な印象として残るのですが…。
「いとしいひとがいる」の歌詞とボーカルは、あまりにもジュリーに近くて、聴いていて、ちょっと切なくなります。
投稿: 74年生まれ | 2011年5月 8日 (日) 14時48分
DY様 こんにちは
だ~いすきな曲です!
何日か前、唐突に
「流れる季節は世界ごと僕を変えていった」
のフレーズが頭に浮かんだんですが、題名もどのアルバムに入っているのかも出で来なくて、わかるまでに丸一日かかりました。
次の機会にリクエストしようと思っていたら連休最後の日に思わぬプレゼント。うれしかったです。
「第六感」も購入当時はあまりヘビロテした記憶がないのですが、それから何度も聴いてます。
投稿: nekomodoki | 2011年5月 8日 (日) 15時29分
私も、沢田さんの曲大好きです。
今年の、活躍を期待しています。
投稿: hiromi | 2011年5月 8日 (日) 17時07分
「第六感」はトータルでも聴いてとても楽しいです。
「夏の陽炎」みたいなナンバーもあれば
、名バラードあり、ライブの定番ありで。
そうか、QUEEN指向なんですね。
ブリティッシュ・ロックファンの友人に誘われて、
QUEENの85年日本公演を大阪城ホールに見に行きました。
音楽性とエンタティメント性を兼ね備えていたフレディ。
日の丸しょってACに出てきてくれたような記憶があります。女装もしていたっけ?
ジュリーも好きなんでしょうね。
actシェイクスピアで聴いた、「I am a Champion」は凄い迫力でした。
投稿: morie | 2011年5月 8日 (日) 18時57分
74年生まれ様
ありがとうございます。
そうか!74年生まれ様は芹澤さんの作品にはお詳しいはずですよね~。
芹澤さんはプロフェッショナルなメロディーを書く人で、僕はさほど違和感は無かったですけど、やはり仰るように「いとしいひとがいる」はアレンジの印象が強く残る曲なのかもしれません。
歌詞は本当に、ジュリーにシンクロしまくっているような…覚さんの凄さですね~。
☆
nekomodoki様
ありがとうございます。
いやぁ偶然でしたね!
「いとしいひとがいる」はジュリーバラードの中でも突出してヴォーカル覚醒が感じられる曲だと思っています。
「ロンリーウルフ」「絹の部屋」と並んで、重要な転機となったヴォーカルかと…。
『第六感』は僕も購入当初はさほど聴いていませんでしたが、今はヘビロテな1枚です!
☆
一度切ります~。
投稿: DYNAMITE | 2011年5月 9日 (月) 09時20分
「いとしいひとがいる」のレコーディングメンバーのスティング宮本さんが、3〜4年前に自身のブログで「沢田さんのレコーディングはいつまででも続けていたい、ロックが好きだと再認識できる」と、ジュリーのサインが入ったベースの写真付きでアップされていたのを思い出します。ミュージシャンが楽しんでプレーできる場所、アレンジなのかなと、DY様のアレンジ解説と併せて思える曲、アルバムだと感じました。
投稿: クリングル | 2011年5月 9日 (月) 20時34分
hiromi様
帰宅して、届いたばかりのインフォをいつまでも眺めているところです。
色々と思うところはあります・・・でも僕はジュリーの決めたことについていきます!
☆
morie様
85年の日本公演!
それは素晴らしいですね~!
高校生の僕は参加できませんでしたが、仲が悪い悪いと言われていた彼らが、新たな結束を世間に知らしめたツアーだったようで、高い評価をされていたように記憶しています。
ジュリーはクイーンをどのくらい聴きこんでいたのでしょうね・・・。
ブライアン・メイの曲が好き、とか言いそう・・・なんとなくですが。
☆
クリングル様
そうでしたか!
宮本さんはセルフ・プロデュース期のレコーディング作品ではキーパーソンですね。
特に僕は『忘却の天才』での演奏が素晴らしいと思っています。
キーボードレスという意味では、「いとしいひとがいる」のバラード性は宮本さんの演奏によるところも大きいのかもしれません。
それにしましても・・・。
「ロックが好きだと再認識できる」とは、カッコイイ言葉ですね~。
投稿: DYNAMITE | 2011年5月 9日 (月) 22時03分
「第六感」7曲目に収録されている「永遠に」のシングルver.です。
http://youtube.com/watch?v=DAtaAmDwwtQ
期間限定ものです!
投稿: 74年生まれ | 2011年5月15日 (日) 16時32分
74年生まれ様
ありがとうございます~。
僕もこのバージョンを聴くことが出来たのはアルバム購入後ずっと経ってからでした。
きっと「今回初めて聴く」という方も多いと思いますよ~。
投稿: DYNAMITE | 2011年5月15日 (日) 18時44分