沢田研二 「Hot!Spring」
from『明日は晴れる』、2003
1. 明日は晴れる
2. 違いのわかる男
3. 睡蓮
4. Rock 黄 Wind
5. 甘い印象
6. Silence Love
7. Hot!Spring
8. ひぃ・ふぅ・みぃ・よ
9. 100倍の愛しさ
10. 夢見る時間が過ぎたら
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前回「麗人」の記事では、みなさまから頂いたコメントへのお返事がずいぶん遅れてしまい申し訳ありませんでした。
先週は久しぶりに風邪で寝込んでしまいましてね・・・。今はもう全然大丈夫なのですが。
そのような事情でしたので、本日の新たな更新記事には下書きの時間がなく・・・1日ですべてを書くという状況になっております。
そこで今日は。
いつもとは内容の趣向を変えて、僕の故郷の話を少しだけ語らせて頂きたいと思います。
BGMは・・・アルバム『明日は晴れる』から。
「Hot!Spring」、お届けいたします~!
『明日は晴れる』収録曲だと、僕が特別に好きなのは「違いのわかる男」と「夢見る時間が過ぎたら」の2曲。
「Hot!Spring」はまぁ、なんとなく流して聴く感じでいる曲なんだけど、それでもちょっとくすぐったい、懐かしい引っかかりのあるナンバーではあります。
僕の故郷のことを歌った曲なのですから。
♪ 広い空 仰 ぎ
C C(onB) C(onB♭) A7
香る熱い 春
Dm Dm(onC) Dm(onB) G7
灰が吹き上げる Cherry Island ♪
C Em Am7 A7 B♭ C
Cherry Island=桜島。
ご存知の方も多いとは思いますが、常に灰色の帽子をかぶったこの活火山に何故「桜島」と名がつけられているのかというと・・・。
元々この火山は、錦江湾(薩摩半島と大隈半島の間の湾)に浮かぶ独立した島だったんです。
ですから、「山」ではなく「島」というわけ。
大正3年にすさまじい噴火があり、流れ出た溶岩、土砂によって大隈半島と陸続きになってしまいました。それが現在の地形です。
僕の実家がある場所は、ちょうど錦江湾の付け根の位置にある海沿いの町、隼人町というところです。
今は近隣の市町村を大合併し、「霧島市」の一角となっています。
この合併により一応、鹿児島県内では、県庁所在地である鹿児島市に次ぐ人口を誇る近代都市になった・・・とされているわけですが、国分・隼人のテクノポリス・エリア以外の地域は、深刻な過疎化が進んでいるという現状もあります。
僕の故郷・隼人にしても、めざましく発展しているのはほんの僅かな区域に過ぎず、実家のある駅前を中心に、母校の宮内小学校・隼人中学校へと続く風景は、何十年経っても近代化には至らず、古くからある商店が跡継ぎの夢断たれ軒並みシャッターを下ろす状態が、今なお進行しています。
僕がよくお邪魔させて頂いているJ一郎様のブログ『新しい想い出』さんには、時々僕の故郷の現在の姿を映した素晴らしい写真がupされています。
過去には、今にも僕の実家が映りこんでしまいそうな場所のショットもあったんですよ~。
J一郎様は、霧島を挟んで向こう側の宮崎県にお住まいでいらっしゃいますが、山を越えてよく鹿児島県内に足を延ばしてくださっています。
温泉がお好きなんですね。
僕の故郷・隼人町ですと、日当山温泉が有名です。
タヌキが徘徊するという山里に囲まれた宿で、ぬるめの温泉につかるのです。
ちなみに真偽定かではありませんが、子供の頃には「誰それの家では昨夜タヌキ汁だったらしい」とよく噂になったりしていましたね・・・。
ところで、大正の大噴火の時は、それは大変な混乱だったそうですよ。
当時、町の青年団のような組織にいた曾祖父は、家族に「無事に戻ってこれるかどうか分からない」と言い残して、錦江湾に救助の船を出したそうです。
祖父から聞いた話です。
♪ 壊れたバラバラの身体は
G7 C
H o t Spring
C C(onB) C(onA) G7
その祖父のちょっとした振る舞いにつまらない理由で反抗した僕は、高校生の時に一度だけ家出をしています。
1日でお金が尽きて、戻ってきちゃったんですけどね。
隼人駅は日豊本線という路線上にあるんですけど、それとは別に、肥薩本線なる超ローカルな線への分岐点でもあります。
家出したDYNAMITE少年は、メジャーな日豊本線に乗る気にはなれず、淋しい肥薩本線を選んで、少ない本数の列車を乗り継ぎ、北へ、北へ・・・。
結局、熊本県の人吉というところまでやってきました。
何のあてもないまま、見知らぬ公園のベンチに腰を下ろし、菓子パンとコーヒー牛乳の夕食。
♪ 一人 あま りに
D D(onC#) Bm Bm(onA)
遠く 来過ぎた ♪
G Em7 A7
おっと・・・すみません。
突然、まったく別のジュリーナンバーがBGMにかかってしまいました。
しかも出だしの歌詞が微妙に違うし!
というわけで、僕は「遠い旅」を聴くと、無性にこの時のことを思い出すんですよね・・・。
当時僕はクラスメートと組んでいたバンドメンバーの家に泊まりに行くことがままあったりしましたから、心金折れて翌日コソコソと帰宅した際も、家族は誰も家出していたとは思わなかったようです。
今にして、余計な心配をかけずに済んで良かったなぁ、と胸を撫で下ろす次第でございます。
ジュリーは、穏やかな下山さんのメロディーにどのように触発されて「Hot!Spring」の詞を書いたのでしょうか。
H o t Spring
C C(onB) C(onA) G7
アイブノヨウニしみる
G7 C
痺れにも 翼生えたみたい ♪
G7 C Fm A♭
こりゃ、まさしく温泉ですよね。
こんな詞がついて、下山さんもビックリした・・・かな?
全体の詞を通して考えると、「Hot Spring」という曲は、連れ添うと決めた人と一緒に、熱い春の地に住む、心通う友人に会いに行くという歌だ、と僕なりに解釈しています。
僕は大学入学と同時に故郷を離れ、そのまま都会で暮らしていますけど・・・鹿児島に帰れば懐かしい友がたくさん待っている、という感覚は未だに持っています。
帰省した時、例え会えなくとも、アイツらはこの地で普通に生活しているんだなぁ、という思いが大きな安心を呼んでくれます。
故郷とは、僕にとってはそういうもの。
それが「Hot!Spring」な鹿児島というわけです。
ところで。
鹿児島県北西部、薩摩川内(さつませんだい)市という町には、巨大な人造の建物・・・いや化け物かな・・・が稼動しています。
もしも、今福島県で起こっているようなことが鹿児島でも起きたら・・・間違いなく僕の懐かしい友人達は、今住んでいる場所を離れなければならなくなるでしょう。
信じられないことです。
受け入れ難いことです。
今、そんなことが現実に起こってしまっている土地があるのか、と思わずにはいられません。
そして、その範囲や、”離れているけど危険な場所”は、思わぬ遠方にまでこれから及んでくるかもしれません。
何処かに故郷を持つ人。
故郷をずっと離れずに、今でもそこで平穏に暮らしている人。
♪ 素直な 気持ち は
C C(onB) C(onB♭) A7
ねじれから 逃 れ
Dm Dm(onC) Dm(onB) G7
つなぎ止めた愛 と 君に逢いに行こう ♪
C Em Am7 A7 B♭ C B♭ C
友に、いつまでもその場所にいてほしい。
そこに帰れば会える、といつも思わせていてほしい。
すべての人の故郷に、平穏あれ。
最後になりましたが。
今回初めて「Hot!Spring」をギターで音をとって実際に弾いてみて分かったのが・・・この曲は元々、かなりサイケデリックな進行の、アコースティック・バラードとして作られていたのだ、ということ。
いかにも2000年代初期のジュリーのアルバムらしいパワーポップ的なアレンジが施されているので、純粋に下山さんの作曲アプローチの本質については、これまで気づかずにいました。
アレンジ次第では、「Beloved」のような雰囲気のナンバーになった可能性もありますね。
アコースティック・ギターとメロディーに耳を集中してお聴きになれば、みなさまにもその辺り納得して頂けるかと思いますよ。
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コメント
DYさま、こんばんは。
自然(火山)は時に災いをもたらしますが、温泉という恵みも生みますね。
一方、人造の建物は…。
学生時代、鹿児島出身の友人がいまして、灰捨て場、ラーフル、ちゃわんむしの唄、芋焼酎、甘い醤油…といろんなことを教わりました。
卒業後、友人を訪ねて一緒に回った桜島や磯庭園、知覧は楽しい思い出です。
実はDYさまと一字違いの名前で、鹿児島には多いのかしら〜、と勝手に親近感を抱いていました。
♪ムサボルヨウニ、♪アイブノヨウニといった片仮名表記は、GRACEさんがよく使われる印象があります。
けれど、この曲はジュリー作詞なんですよね。
投稿: だんぼ | 2011年4月25日 (月) 23時39分
DYさん、お邪魔します。
今までは『ジュリーが鹿児島で仕事している奥様に逢いに行ったときのことを歌った作品なんだろうなぁ…』と思っていたのですが、DYさんの伝授のおかげで、作品に対する認識が深まりました!ありがとうございます。
私も、全ての人の故郷の安寧を願っています。もちろん、いつの日か、福島県が復活することも信じています。
投稿: 74年生まれ | 2011年4月26日 (火) 00時09分
今回の地震は天災で、無事だった私たちは、日常の生活を感謝しつつ生活したいと
おもいます。ジュリーが、日常の生活を大事にしているお気持ちが、ほんのすこしわかったような気がする。
投稿: hiromi | 2011年4月26日 (火) 11時47分
だんぼ様
あぁ、そのかたはおそらく、瀬戸山さまでいらっしゃいますね!
地元では多い苗字ですよ。同級生にもいましたし。
でも、瀬戸口は更に多いです。
高校ではクラスに二人いましたから、僕は地元の同窓生には今でも下の名前で呼ばれています~。
☆
74年生まれ様
ありがとうございます。
今回書きました解釈は僕の個人的なものかと思いますが、そう仰って頂き嬉しいです。
僕にとって鹿児島は、「友が待つ」場所なんですよね…。
そして今は、すべてのふるさとに平穏があらんことを祈っています。
☆
hiromi様
本当にその通りですね…。
僕は震災直後、こんな時にブログなんて書いて良いのか、としばらく悩みました。
しかし、「日常を大事に」というジュリーやジュリーファンの先輩方の言葉が力をくれました。
いつも通りの記事を、いつも以上に頑張って更新していくことを今はやっていきたい、と考えています。
投稿: DYNAMITE | 2011年4月26日 (火) 12時27分
DY様
こんばんわ。
ここのところ更新のスピードが早くてうれしいです。
「灰が吹き上げる」で火山をイメージしたのものの「チェリーアイランド」を「さくらんぼの島」と認識した私って・・・。どうりで全体の印象が???だったわけだわ。(恥)
チェリーというと真っ先にクリームソーダに入っていた真っ赤な缶詰のチェリーが浮かぶ世代なんです・・・。
原発は福島だけじゃないんですよね。
ジュリーは日常の心象を歌いながら少し気がかりな未来に想いを向けているみたいです。
マスコミにもほとんど出ず、ネットもやらないジュリにとって新しいアルバムを創り発表し続けることが「最新の自分」を見せる最大の手段で、ある意味年1回更新するブログのようなものかなと最近思います。
ジュリワンは加瀬さんとリンクしたブログの別紙。
今年は是非フルバージョンで更新して欲しいです。
もちろんタイガースリンクの別紙も。(来年でもいいです)
投稿: nekomodoki | 2011年4月26日 (火) 22時18分
nekomodoki様
ありがとうございます~。
いやぁ本当に、ジュリーの曲や言葉って、その時は分からなくても、後になって…ということが多いのですね。
僕はファン歴が浅いですからまだまだそういう体験もタイムリーでは少ないのですが、歴史を振り返ってみると本当に凄い…驚くほどです。
鹿児島は、バラバラと音を立てて灰が降ってくるような町ですが、美味しいものもたくさんあります。
機会があれば是非ご旅行など~。
投稿: DYNAMITE | 2011年4月27日 (水) 12時28分
DYさん、今晩は。
福岡にしばらく住んだことがあり、
鹿児島にも行きました。
桜島で、頭まで埋まった鳥居も見ました。
どんな大災害だったことでしょう。
指宿の熱い砂。
大地は生きているから、謙虚になりたいです。
市内の小学校のには、「科学不信の碑」というものがあるそうですね。
前兆現象に、「大丈夫」といった測候所を信じた集落、自主避難を始めた集落…。
両者を分けるのは動物的勘?
だんぼさんの「ちゃわんむしのうた」が気になって、ようつべで聞いてきましたよ。
いや~なごみましたわ。
投稿: morie | 2011年4月28日 (木) 19時33分
morie様
おぉ、あの鳥居をごらんになられましたか~!
指宿の熱い砂…いいなぁ。僕は県内なのに指宿はまだ行ったことがないんです。
「ちゃわん虫」…映像に対訳はありましたか?
鹿児島県人以外の方々には、まったく何言ってるか分からないでしょうね、あの歌は
投稿: DYNAMITE | 2011年4月29日 (金) 18時42分
「ちゃわんむしのうた」の意味は検索ですぐわかりましたが、
ようつべの薩摩弁コメントも意味がわからず、またまた調べました。
しかし、メロディーに聞き覚えがあるのが不思議。
お国言葉は味があっていいですよね。
ジュリーも今は関西弁のお芝居だから、のびのびしていますよ。
今日の昼の部では、歌の時ピアノにぶつかってしまいましたが、
その後の♪AH~~!が、いつもより高い音まで
上昇。
挽回に燃えるジュリーの性格を再確認しました。
投稿: morie | 2011年4月29日 (金) 23時37分
morie様
地元では有名な歌で、学校でも習うんですよ~。
歌い継がれるというのは本当に凄いことです。
「探偵」…お芝居のハプニングのお話、色々ありますねぇ…。
挽回に燃えるジュリーのキャラには、いつも萌えますね!
投稿: DYNAMITE | 2011年5月 2日 (月) 12時22分