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2010年12月

2010年12月29日 (水)

沢田研二 「夜の河を渡る前に」

from『チャコール・グレイの肖像』、1976

Tyakoruglay


1. ジョセフィーヌのために
2. 夜の河を渡る前に
3. 何を失くしてもかまわない
4. コバルトの季節の中で
5. 桃いろの旅行者
6. 片腕の賭博師
7. ヘヴィーだね
8. ロ・メロメロ
9. 影絵
10. あのままだよ

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まず、本題に入る前に少しだけタイムリーなネタを。

みなさま、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのDVD『僕達ほとんどいいんじゃあない』はもう御覧になられましたか?
素晴らしかったですね・・・。
カメラ割り、コーラスや演奏楽器のミックスも極上の一枚でした。
ヘッドホンでじっくり鑑賞して一番驚いたのは、加瀬さんがコーラスで大活躍していたことです。本番よりは音量レベルを上げてミックスされているのかな?
「夕陽と共に」でちょっと素っ頓狂な音を出してしまったりしているのも、加瀬さんのにこやかながら真剣な表情を観ていると感動モノです。リードギター弾きながらの、コーラスですからね~。

あと、LIVE参加段階で絶対音感の無い僕は、コードフォームだけを見て「涙がこぼれちゃう」を半音下げ、「あなたへの愛」を1音下げ、「FRIENDSHIP」を半音上げの演奏と判断していたのですが・・・。
「涙がこぼれちゃう」「FRIENDSHIP」の2曲は、オリジナル音源と同じキーでの演奏だったようです。
それぞれ、嬰ハ長調(=変ニ長調)とロ長調。
鳥塚さんや植田さんが、例えば
F#(=G♭)をローコードで弾いていたのを遠目でFだと誤認し、、いずれの曲もハ長調演奏である、と見なしてしまっていたようでした。
つくづく、絶対音感を会得していない自分が悔しいですね・・・。その場にいただけでは正しいことが解らないというのは。

でも、ジュリワンはこうしてノーカットのDVD作品が発売された。とても嬉しいことです。
ソロツアーも残してくれたらなぁ・・・。

一方、「あなたへの愛」については、見立て通り1音下げてヘ長調での演奏だったようです。
しかしこれはアレンジが原曲と全然違いますからね。声が出ないから下げた、という理由ではないでしょう。

とにかく、ジュリー達の歌唱はもちろん、ワイルドワンズ&鉄人バンドの演奏が、渾身のミックスによってそれぞれ鮮明に聴こえます。
まだ購入なさっていない方々、是非!

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それでは本題です。
お正月コンサート『BALLAD AND ROCK' N ROLL』に向けての、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ。
これが最終のお題曲となります。

僕は今回のお正月コンサート、1月16日の名古屋公演まで(15日の渋谷に落選して振替え遠征です)セットリストを知らずに過ごすことになります。
会場の誰もがセットリストを知らない初日の空気を味わえないのはとても残念ですが、鋼鉄の意志でネタバレを我慢したいと思っています。
名古屋で良いお席を頂いていますから、何とかビビッドな反応でもって名古屋のステージを見届けたい・・・そう自分に課しているのです。

我慢した分、素敵なサプライズがあるといいなぁ・・・というワケで、今日のお題はなかなか当たりにくいことを承知の上で、僕の中での「日替わり・一番好きなジュリー・ナンバー」10数曲のうち、最高にロックでカッコ良いこの曲を・・・。

アルバム『チャコール・グレイの肖像』から。
「夜の河を渡る前に」、伝授!

ポリドール時代大人買い期間・・・まずはエキゾティクス、オールウェイズ期を買い揃えた後、阿久=大野期と共に一気に踏み込んだ、”翳りある、美しきジュリー70年代”の名作群にあって。
後追いファンである僕を本当に驚愕させたナンバーこそ、「夜の河を渡る前に」でございました。

海の向こうは、”狂乱の70年代”。
演奏技術やコンセプト面で、真にロック・ミュージックの革命期です。
プログレッシヴ・ロックやハード・ロックと共に台頭してきた、グラム・ロックの大きな波。それが洋楽のみならず、日本にも完璧な形で存在していたことを知らされた・・・しかも、ジュリーのナンバーで。
そしてさらに追い撃ち・・・ジュリー自身のペンによるナンバーで!
それが、「夜の河を渡る前に」。
ヒヨッコは驚き、畏れひれ伏す以外ありませんでした。

少し、アルバムのお話からさせてください。

「夜の河を渡る前に」に限らず、アルバム『チャコール・グレイの肖像』からのLIVEセットリストは、シングルヒット「コバルトの季節の中で」以外の曲についてはなかなか可能性は低いかもしれません。
ただ、この先一生聴けないのかと問われると、そうでもないような気がしているのです。
実はお題の「夜の河を渡る前に」以外で、「片腕の賭博師」あたりがいきなり来るかも・・・と楽しく想像してはいるんですけどね。
ビリー・ジョエル好きの泰輝さんのピアノがバッチリ合いそう、と思ったり。

そう、『チャコール・グレイの肖像』は数あるジュリーのレコーディング作品の中で、抜群に演奏完成度が高い曲が詰まっているアルバムのひとつだと僕は考えているのです。
鉄人バンドの演奏で、実際生で聴いたらどんな感じになるんだろう、とワクワクさせる曲がいっぱいです。

アルバムには、1976年リリースというのが信じられないほど、特に傑出した演奏が繰り広げられているナンバーが3曲ある、と思っています。
「桃いろの旅行者」「影絵」・・・そして今回のお題「夜の河を渡る前に」の3曲です。

そしてもうひとつ僕がこのアルバムから感じること(僕だけかもしれませんが)・・・それはジョン・レノンの匂いだったりします。
以前に「あのままだよ」の記事で書かせて頂いた、ストイックなアレンジがその最たる例なんですけど、それ以外にも共通点を感じます。
それは、ジュリーの作曲手法なのです。

みなさまご承知の通り、『チャコール・グレイの肖像』は、収録曲すべてがジュリー自身による作曲作品です。
ジュリーの紡ぎ出すコード進行は斬新そのもので、ほとんどの曲に、細部にまでじっくりと構想を練っているな、と思わせるものがあります。それが謹慎期間と無関係でないならば、僕はむしろジュリーにそういう時期があったことを、ロック・アーティストとして重要な成長期間と位置づけたいところです。

僕が時折ジュリー作曲作品に見出すジョン・レノンとの共通点は、良い意味でキーが曖昧、という天性の作曲センス。
例えばジョンの曲で言うと、そういったパターンの作曲作品はアルバム『ヌートピア宣言』に多く見られ、「マインド・ゲームス」や「インチューイション」、「アウト・ザ・ブルー」といったところが挙げられます。
いつの間にか、ドミナント・コードやサブ・ドミナント・コードがそのまま楽曲の流れを支配し、螺旋のようにトニックが入れ替わり、いくつもの着地点を求めて彷徨い出すのです。
「夜の河を渡る前に」は正にそういった構成を持つ楽曲です。
堯之さんが、ジュリーは普通では考えられないようなコード進行の曲を作る、と言っていたことを以前拙ブログのコメントにて教えて頂きました。僕がその時すぐに想起したナンバーが、「夜の河を渡る前に」でした。

最先端かつ完成度の高い演奏、そして天性のセンスによる作曲。
『チャコール・グレイの肖像』から僕が受ける2つの重要な要素は、そのまま「夜の河を渡る前に」に収束するのです。
大名曲。
一般認知度は低いながら、これは邦楽ロックの歴史に残る偉大なナンバーだと、僕は初めてこの曲を聴いた時から、ずっとそう考えています。

それでは、演奏面から考察してみましょう。
編成は、CD音源ミックス左から順に、リードギター、オルガン、ドラムス、ベース、リズムギター。
楽曲を通して、すべての楽器に見せ場があります。

まずはイントロで炸裂するのが、最右にミックスされたリズムギターのカッティング・リフ。
みなさまLIVEでお馴染みの「TOKIO」同様、このカッティングが”テーマ”となり、楽曲全編を引き締めているのですね。

5小節目から、ドラムスがキックだけで噛みこんできます。
僕はこのキックの音質が最高に好きなのです。針の穴を通すような、硬い音です。
そうかと思うとフィル・インから参加のスネアドラムは柔らかめのチューニングになっていて、こちらはGSから脈々と受け継がれている昔懐かしい音質といった感じでしょうか。

そしていよいよリード・ギターとベースが一気に暴れ始めるのですが・・・。
「夜の河を渡る前に」は、イントロ他”演奏部”と呼べる箇所がいくつかあるんですけどね。
そのいずれも、ソロをとる楽器はベースなのです!このアレンジがあってこそ、このナンバーを”グラム・ロックの真髄”と呼べるわけです。

これは佐々木さんか、後藤さんか・・・。
とにかく凄まじい演奏です!

遥か後に、かのイカ天に初出場し、吉田建さんをも唸らせた邦楽グラム・ロックの雄、マルコシアス・バンプの佐藤研二さんのベースがこんな雰囲気だったんですよね。佐藤さんはジュリー・フォロワーを自認していらっしゃいましたから、「夜の河を渡る前に」は当然聴き込んでいたんじゃないかなぁ。
ちなみに僕には、ジュリー・ナンバーの中で”ベースに圧倒される曲ベスト5”というのがありまして。
酔いどれ関係」「FOXY FOX」「ジャンジャンロック」「ダメ」、そして「夜の河を渡る前に」がその5曲です(「ダメ」が入ってるのが渋いでしょ?)。

さて、そんな狂乱のベースを引き立てるように、”演奏部”のリードギターは複音突き放しでクールにキメてくれます。
ところがこのリード・ギター、ヴォーカル部に突入するやいなや派手に暴れ出してます。その徹底したハードなスタイルで、ジュリーのヴォーカルの合間をすべて埋め尽くしてしまうのです。

オルガンはミックスバランスがさほど強くなく目立ちませんが、楽曲後半の手数はかなり凄いことになっています。これは・・・ドアーズあたりを意識したのかな?

とまぁ語るところが多過ぎる「夜の河を渡る前に」の素晴らしい演奏をバックに、ジュリーのヴォーカルも炸裂しまくりですけど、本当に気持ち良さそうに歌っているのが伝わってきます。
シャウトにまったく無理がない、と言いますか・・・あぁ、ジュリーはこういう曲が好きなんだなぁ、と。
しかも、自作曲ですからね!

そこでいよいよ、この斬新なジュリー・天性の作曲手法について話を進めて参ります。

「夜の河を渡る前に」を譜面表記するなら、#4つのホ長調となります。
特に転調表記せずに最後まで起こすのが自然とは言え、だからといってこの曲のキーが全編「E」かと言うとそうではありません。

まず
「ん?何か感じ変わった?」
と、多くの方が気づくであろう箇所は、サビだと思います。

♪ 夜の河を渡る前に 愛が寝返りを打った ♪
        C   B7        E        C     B7         E

という、この「C」が曲者。しかしこのパターンはロックではまま見かける進行で、とりたてて斬新、というわけではなく、細かい転調の解り易い箇所として最初に挙げてみたものです。
堯之さんが「考えられない」と感じたであろう斬新な進行は、もっと気づきにくい部分に潜んでいます。
スバリ、Aメロです。

♪ 時を見過ごす夜の流れの
  E                         A

  淵に立てばおまえの寝顔 蒼ざめて浮かぶよ ♪
     D                           A          B             A

「夜の流れの♪」のコード「A」は、冒頭のトニック・コード「E」のサブ・ドミナント。ごく普通にスリーコードパターンと思わせておいて「D」に寄り道したら、何と次の「おまえの寝顔♪」の「A」は瞬時にトニック・コードに変貌しているのです。
Aメロ直後、ジュリーの「AH~!」という吐息シャウト部は参加楽器がドラムスとリード・ギターのみで和音が休みになっていますが、ここには「B7+9」というコードが隠れています。
これで自然にホ長調へと着地させるのです。

う~ん、たぶん全然伝わってないなぁ・・・(汗)。
本当は、曲が好きならば理屈つける必要なんてまるで無いのですが・・・要するに「夜の河を渡る前に」は、ホ長調とイ長調が交互に入り乱れる構成になっているんですよね。
ジュリーは普通にコードを繋ぎながら自然に作曲したのでしょうが、型にはまった作曲手法では、なかなかこうは行きません。シンプルな和音の積み立てに載っているメロディーが独創的なため、紐解いていくと複雑怪奇な理屈が後からついてくる・・・やはりこれは、天性のものと言うしかないです。

先述した通りこの曲はベースが最大の骨格ですから、今の鉄人バンドが演奏するとなれば、なかなかアレンジに苦心するところでしょう。
でも、同じように「ベースレスだとキツいなぁ・・・」と考えていた「忘却の天才」を『歌門来福』でやってくれたことを思うと、今後のLIVEで歌われる可能性を僕はあきらめていません。
まぁ、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズの名にふさわしい、しめくくりのお題であるとは思いますが・・・。

本年の記事はこれで最後となります。
1年間、本当に多くのみなさまに読んで頂けました。ありがとうございました。
多くの方はお気づきの通り、楽曲を採り上げてしょうもないウンチクを語るスタイルは隠れ蓑で、実は単純にジュリーLOVEな、結構ミーハーな心意気で執筆しているブログです。
来年もどうか叱咤・激励のほどを。

元旦には、おめでたいジュリーの画像でご挨拶させて頂く予定です。
貼る画像は決めてあります。1972年のショットなんですけど・・・珍しいものなのか、あちこちに出回っているありきたりのものなのかは、後追いの僕には解りません。
よろしくお願い申しあげます。

それではみなさま、よいお年を~。

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2010年12月23日 (木)

沢田研二 「ロンリー・ウルフ」

from『TOKIO』、1979

Tokio


1. TOKIO
2. MITSUKO
3. ロンリー・ウルフ
4. KNOCK TURN
5. ミュータント
6. DEAR
7. コインに任せて
8. 捨てぜりふ
9. アムネジア
10. 夢を語れる相手がいれば
11. TOKIO(REPRISE)

from『ROYAL STRAIGHT FLUSH 2』

Royal2


1. ス・ト・リ・ッ・パ・-
2. おまえがパラダイス
3. 恋のバッド・チューニング
4. TOKIO
5. OH!ギャル
6. ウィンクでさよなら
7. 渚のラブレター
8. 酒場でDABADA
9. ロンリー・ウルフ
10. さよならをいう気もない
11. 立ち止まるな ふりむくな
12. コバルトの季節の中で

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早いもので今年ももう残り1週間ほどになってしまいました。

お正月コンサート『BALLAD AND ROCK'N ROLL』へ向けて敢行中の”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズも、残すところ執筆はあと2曲かなぁ。
時間があれば最初期作品からもっと書きたかったのですが・・・。まぁどのみちセットリスト予想としてはいかがなものか、という感じですし、それらはいずれ機会があるでしょう。

今回含めてあと2曲。で、最後に書く1曲(たぶん年末ね)は、アルバム『チャコールグレイの肖像』の収録曲をもう決めてあります。
では今回はどのようなベクトルでお題を選ぶか・・・迷った末、”最近歌われていないヒット・シングル”の中から1曲採り上げることにしました。

僕が語るにはまだまだ早過ぎるお題かもしれませんが、僭越ながら。
「ロンリー・ウルフ」、伝授です!

間違いなく名曲。大名曲です。
お正月コンサートのタイトルにある”バラード”というフレーズから、「ひとりぼっりのバラード」と共に、すぐに連想したのがこの「ロンリー・ウルフ」。
そして僕が記事を書くにはなかなか荷が重い曲・・・「ロンリー・ウルフ」に格別の思いを持っていらっしゃる先輩方が多いことも知っていますから・・・。

そしてこの曲は、ずっと以前に3人もの先輩方から記事執筆のリクエストを頂いていたナンバーでもあります。
お3方とも、もうこちらに遊びに来て頂けていないかもしれませんし、もし来て頂けていたとしても、リクエストなさったことも忘れていらっしゃるかもしれません。
それほど、昔に頂いたリクエストです。申し訳ないことです・・・。

何故ずっと記事が書けないでいたのか。
大きく2つの要因があります。

ひとつは、詞の解釈。

この曲で歌われている「男」。果たしてジュリーはその生き様に感情移入しているのか、それとも達観しているのかが、未だに解りません。
もちろん「ロンリー・ウルフ」の詞の世界観は素晴らしく

♪ これで愛なら 抱くんじゃなかった ♪
     E♭        Cm         Fm7        B♭7

など、退廃美とも言える鋭い表現がジュリーにふさわしく、阿久さんの世界を踏襲しているようにも思えるし、全然違う世界のようにも思えます。
胸をかきむしられる、とても沁み入る歌詞なのですが、
僕のような凡人にとっては、細かい解釈が難しい。
例えば人称ひとつとっても

♪ もっ と素直に    笑ってみせろ ♪
    Fm7 B♭   E♭maj7     Cm

この部分などが、「愚かな女」「夢見る女」に対しての言葉なのか、それとも「ただ愚かな男」「汚れている男」たる歌の主人公自らに言い聞かせている言葉なのか・・・判断しかねています。
本当は何か解釈の指針を見出してから記事にしたかったのですが・・・みなさまはどのように解釈していらっしゃるのでしょうか。

書けないでいた理由、もう1点は。
「ロンリー・ウルフ」のアレンジって、何かオマージュ元があるように思えるんですよ・・・でもそれが特定できない。
でも、何かよく似た雰囲気の曲を知っているような気がして。
おそらく僕がさほど詳しくない洋楽曲ではないかと想像しているのですが、すみませんこちらの点についても何も書くことができません。

では、今回僕が書けることは何か。
これも2つございます。

まずは、独特の和音進行について。
実は、今年になって「ロンリー・ウルフ」の譜面を手に入れることができたのです。
カミさんに誘われて行った門前仲町の古物市で、何気なく覗いたなんでも屋のような露店先に、灼熱の真夏の太陽を浴びてカピカピになっていた歌本を発掘しました。

Heibon80

雑誌・平凡の1980年4月号付録、『HEIBON SONGS』です。
(表紙は、「異邦人」が大ヒットした久保田早紀さん)

「ロンリー・ウルフ」は、バラードでありながら少し焦点を暈かしたような和音が大きな魅力。しかしそれは自力で完全に採譜するのが困難、ということでもあります。
ですからこれは、貴重な譜面です(まぁ、採譜されているのはコードだけなんですけどね。同ページの「TOKIO」は見開きで五線譜も掲載されています)。

File0590_2 

File0591

この時代だから適当なコード割りかな、と思いチェックしてみるとそんなことはなくて、「おおっ!」という発見もあり、即刻購入した次第です。
500円でした。

カミさんは「ジュリー2曲載ってるだけ?高いな~」と言っていましたが、他の収載曲もなかなか珍しいものが多くて、とても良かったんですよ。
(SHOGUNの「友よ、心に風があるか」とか、ゴダイゴの「リターン・トゥ・アフリカ」とか、極めつけはポール・マッカートニー&ウィングスの「アロウ・スルー・ミー」!)

「おおっ!」と身を乗り出した部分というのは

♪ 夜の ベッドの  片隅に ♪
     E♭maj7    C7 Fm  B♭13

この「C7」と「B♭13」。
軽い気持ちで採譜していると、うっかりそれぞれ「Cm7」「B♭7」と、次の1節「背中を向けた男と女♪」の部分と同じ王道なパターンで起こしてしまいそうです。

特に「B♭13」(シ♭・レ・ファ・・ラ♭)の和音は自力では考えつけていなかったと思います。
譜面を入手していなかったら、よくあるドミナントパターンとして単に「B♭7」(シ♭・レ・ファ・ラ♭)で弾いて満足していたでしょうね。
勉強になりました。


そして、もうひとつ書きたいことはですね~。
みなさま、この記事の冒頭で「んっ?」と思われたのではないでしょうか。何故「ロンリー・ウルフ」収録CDとして、アルバム『TOKIO』だけでなく、わざわざ『ROYAL STRAIGHT FLASH 2』を載せてるんだろう?・・・と。

実はこの2枚のCDは、僕にとってちょっと特別な作品です。
これまでにも何度か書かせて頂いているように、僕には30代後半に”第1期ジュリー堕ち”という大人買い期間がございます(まぁドーム直後=永遠に続く第2期ジュリー堕ち”に比べれば緩やかなものでしたが汗)。
きっかけは仕事絡みで
「沢田研二の昔のCDがリマスター再発されるらしい」
という情報が回ってきたことでした。

「沢田研二か・・・懐かしいな。ちょっと聴いてみるか」

と思い、手にとってじっくりと聴いてみた作品が、たまたま『ROYAL STRAIGHT FLASH 2』だったのです。
そして僕は、久しぶりに(と言うかヘッドホンで入念に聴いたのは初めて)味わった「ロンリー・ウルフ」の、ジュリーのヴォーカルの完成度・表現力の高さに本当に驚いたのでした。

上手い、という言葉では全然足りない・・・なんだこれは!凄いぞ!只事ではない!

それが当時の僕の、そのままの感想です。
思わず
「沢田研二が最優秀歌唱賞をとったのはこの曲だったっけ?」
と、調べてしまったほどです。
違いましたけど。

で、バンド仲間でやっているHPの掲示板に突然、
”ロンリー・ウルフの沢田研二のヴォーカルは神”
と書き込んだら、その夜YOKO君から電話がかかってきた(笑)、というのも今にしてみれば懐かしい話ですが。
(・・・ちなみに、その頃YOKO君は既に「ジュリー」と言っていましたが、僕はまだ「沢田研二」と呼んでました)

そこで、ベスト盤だけでなくアルバムも聴いてみようと考え、「ロンリー・ウルフ」が歌われた頃のヴォーカルを求めて『TOKIO』を最初に購入しました。

やはり、沢田研二というアーティストは只事ではありませんでした。
「ミュータント」「捨てぜりふ」の2曲は、僕が幼少の記憶だけで描いていたイメージを根本から覆すようなヴォーカルでしたし、また一方で、想像通りの魅力がさらに倍化したような「MITSUKO」「DEAR」にも感動しました。

そして、ポリドール時代再発CDの大人買いに至る。
その頃に一度でもLIVEに行ってさえいれば、このブログはもう少し早くじゅり風呂になっていたでしょうけどね・・・。

つまり何が言いたいのかと申しますと。
『ROYAL STRAIGHT FLASH 2』は、さほどジュリーに興味の無かった音楽好きの中年男性をオトす、最高のきっかけになる1枚だと考えるわけです。
「ロンリー・ウルフ」・・・あぁ覚えてるよ、それほど売れなかったみたいだけど、渋い名曲だよね。
その程度の事を言う男性は、まだまだ「ロンリー・ウルフ」をナメています。『ROYAL STRAIGHT FLASH 2』を聴く前の僕などはまさにそんな感じです。

これが、最初に『A面コレクション』だとおそらく駄目なんです。興味が薄い状態で聴きますから、曲数が多過ぎて、すべての曲を集中して把握しきれないと思うのです。
僕の場合でもそうだったでしょう。

『ROYAL~』で言うと、『1』は同じ初心者でも女性向き、『3』は導入編としては少し楽曲の印象が四散するでしょうか。
もちろん、『2』を聴かせておいてから『1』『3』、或いは『A面コレクション』と続けるのは大アリ、さらなる堕ちアイテムとして有力ですけどね。

まずは『2』。
中でも「ロンリー・ウルフ」のヴォーカルは、特にジュリーファンでなかった男性を虜にするきっかけになると思います。

クリスマスに、ジュリーファンでない男性に何か手ごろなプレゼントを、と考えていらっしゃる方・・・『ROYAL STRAIGHT FLASH 2』がイチオシですよ!

そして、僕は考えるのです。
加瀬さんの「TOKIO」案がありながら、何故ジュリーが「ロンリー・ウルフ」をアルバムからの最初のシングルカットに踏み切ったのか。
雰囲気のこと、時代のこと、それまでの流れ、この先のヴィジョン・・・色々あるでしょう。
でも最も大きな要因は、自身のヴォーカルには厳しいジュリーが、この「ロンリー・ウルフ」については「なかなか良い感じで歌えた!」という手応えを持っていたからではないでしょうか。

♪ いつか言い出す    さよならを
    E♭maj7     C7   Fm      B♭13

  隠して         眠る    男と   女 ♪
           E♭maj7  Cm7    Fm7  B♭7

ジュリー以外の誰が、こんなふうに歌えると言うのでしょう。

最近LIVEで歌われていないヒット・シングル群にあって、ジュリー自身が好きな曲(というのは個人的な想像ですが)「ロンリー・ウルフ」は、そろそろセットリストに加わるんじゃないか・・・と思っているのです。
演奏も、見どころが満載の曲ですしね。

前半抑え目で、2度目のサビ後の4小節のソロから、最後のサビ繰り返し部にかけて情熱的に手数が増えていくリードギターを弾くのは、柴山さんか下山さんか。
いかにも大野さんらしい、落ち着いたピアノを基調にした進行に絡むストリングス・・・泰輝さんの”神の両手”が炸裂することは間違いなし。
GRACE姉さんのドラムスは、『PLEASURE PLEASURE』での「探偵~哀しきチェイサー」や、『歌門来福』での「LOVE~抱きしめたい」のような素晴らしい熱演になることでしょう。

”全然当たらないセットリスト予想”シリーズと言いながら今回は・・・。
自信あり!
(←この表現は、解る人だけ解ってください汗)

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2010年12月20日 (月)

沢田研二 「Courage」

from『Beautiful World』、1992

Beautifulworld


1. alone
2. SOMEBODY'S CRYIN'
3. 太陽のひとりごと
4. 坂道
5. a long good-bye
6. Beautiful World
7. 懲りないスクリプト
8. SAYONARA
9. 月明かりなら眩しすぎない
10. 約束の地
11. Courage

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え~、じゅり風呂界では若手若手とみなさまに仰って頂いていますが・・・実は全然そんなことはなくて、僕も今年の12月20日をもちまして44歳でございます。
「おじさん」という呼称がいよいよ板についてまいりました。
まぁ、「働き盛りということだ」と勝手に良い方に解釈いたしまして、このじゅり風呂界でもさらに勉強していきたいと思います。

昨年の誕生日には、ジュリー43歳の年にリリースしたアルバム『パノラマ』より「BACK DOORから」を採り上げて記事を書かせて頂きました。
これは、ジュリーが自分と同じ歳にどのような楽曲を制作していたのか、という主旨でして、これは今後も年間行事として拙ブログでずっと取り組んでいこうと考えています。どうしようもないことですが、本音は、もっと若い頃からそれをやり続けていたかったなぁ、と思っていますけどね・・・。

ということで今回はジュリーが44歳になった年にリリースされたアルバム『Beautiful World』からお題を採り上げます。
現在ここではお正月コンサート『BALLAD AND ROCK'N ROLL』へ向けて”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズを開催中ですので、そちらにも見合った楽曲ということで・・・。

今のジュリーならどのように歌うのか、鉄人バンドがどのようなアレンジを披露してくれるのか、とても興味があるアルバム大トリのバラード・ナンバーです。
「Courage」、伝授!

実は僕、20代の頃に『BEAUTIFUL WORLD』『パノラマ』の2枚を聴いたらしい形跡があるんですよね・・・。
当時熱心にイカ天観てましたから、たぶん吉田建さんの影響だと思うのですが。
30代後半の第1期ジュリー堕ち時代(ポリドール時代の再発盤すべてを大人買い)に、ジュリーの曲を録ってあった古いMDを発掘したんです。

でも、2曲だけなのよ・・・。
「夜明け前のセレナーデ」と、そして「Courage」。

たぶんレンタルCD店で借りてきて、ササッと聴き流して、ちょっと引っかかりのあった曲を録音したんじゃないかなぁ。20代の頃はよくそういうことをしていましたからね。
アルバムをじっくり聴いてはいないと思う・・・もしそうなら覚えてるはずですから。今にして思えば、どうにもお恥ずかしい次第です。

ただ、どうやら「Courage」というナンバーが、トンガリまくっていた若きDYNAMITE青年の琴線に最初から触れていたことは確かのようです。

当時の僕は、ベタベタと感情を押し付ける、爆音で煽る、といったタイプの楽曲が苦手で、どちらかというと斜に構えたようなコンセプトや、クールなアレンジに惹かれていました。
「Courage」は、当時の僕の好みに合致していたナンバーだったと言えるかもしれません。
ジュリーのヴォーカルにしても、「Courage」は官能的でありながらもどこかクールで硬い感触もありますよね。それが良かったのだと思います。

”Courage”という単語は高校時代にエルヴィス・コステロの歌詞で覚えていて、僕としては「平凡な男が、大切な誰かのために腹をくくった状態」というイメージを持っています。
ジュリーの「Courage」も、そういう内容の歌詞だと言えそうです。

そこでこの『BEAUTIFUL WORLD』というアルバムの特徴を考えざるを得ないのです。
ジュリーはこの作品を「歌詞からアルバムのイメージを組み立てていく」と発言している記事を以前に読んだことがあります。
僕としては大歓迎のコンセプトですけど、ちょっとそれは吉田建さんの意向とは離れているような気がします。二人の温度に差が生じてきた、と僕などは感じてしまうのですが・・・。

ジュリーはきっと前作『パノラマ』で「Don't be afraid to LOVE」を作詞し仕上げた時点で、自らの作品制作へのスタンスを変えたのではないか、と僕は想像しています。
セルフ・プロデュース時代突入への布石。
『BEAUTIFUL WORLD』はそんなジュリーの渇望が最初にハッキリと表れたアルバムとして、重要な1枚と言えるのではないでしょうか。

そこで覚和歌子さんの全面起用となり、すべての収録曲に覚さんのクレジットが連なるわけですが、唯一この「Courage」のみ、覚さんとジュリーの共作詞曲として表記されています。
どういう形での共作だったのでしょうね。

前々作『単純な永遠』についてのインタビューを読むと、この頃はほぼ曲先で、後から詞を載せるパターンだったようです。
『BEAUTIFUL WORLD』制作にあたって、覚さんにはまとめて依頼が行ったでしょうから、「Courage」もまずは覚さんが詞をつけたと考えるのが自然です。その後、ジュリーが詞曲から何かインスパイアされて、言葉を加えたり、或いは詞の続きを書いていったのではないでしょうか。

♪ テーブル越しに 優しいアーチ ♪
    F7               Gm D7          Gm               

の辺りは、覚さんらしいフレーズのように思えますけど・・・。
ただ、この曲はジュリーの作曲作品ですからね。
覚さんに渡す段階で、いくつかのフレーズは既に存在し決まっていたのでしょう。

タイトルを連呼する

♪ oh,oh oh・・・・・・・・Courage ♪
            E♭maj7          B♭

というサビ部(「レ」の音を延々と刻み続けるストリングスアレンジが効果的です)が覚さん、ジュリーどちらのアイデアなのかは不明ですが、ひとつの根から枝が果てしなく分かれていくようなイメージが、「Courage」の作詞世界にはあると思います。

一方、ジュリーの作曲・・・クールですねぇこれは。
王道バラード進行ながら、独特の粘り(着地点に到達するまでにじらすような技が冴えています)、うねりがありますね。
「SOMEBODY'S CRYIN'」の記事で書いたように、僕はアルバム『BEAUTIFUL WORLD』収録曲の中では、ジュリーが作曲を担った3曲が特に好きなのです。他曲作家陣の豪華な顔ぶれを考えますと、作曲者としてのジュリーを確立させたそれぞれタイプの異なる3曲の収録意義は大きいですね~。

・・・と色々不安定な考察を重ねてきましたが、結局この曲は冒頭の

♪ 君と一緒に過ごすことを 神様に感謝したい ♪
  B♭                                                  E♭
                                    
という歌詞の一節がすべてを決定づけているのかもしれません。
ジュリーにとって思いを込めたい一節であったことは確かでしょうし、ファンにしてみれば”君=ジュリー”ととらえて聴くことができるわけで・・・。
ジュリーを追いかけ続け、求め続けて過ごす日常に感謝したい。そんな思いが抱ける曲なのかなぁと考えます。

もし「Courage」がお正月のセットリストで採り上げられたら・・・歌い出しからジュリーへの感謝が身体から溢れ出て、グシャグシャになりながら聴いてしまいそうです~。

LIVEの「Courage」と言えば・・・僕はDVDで観た『1999正月コンサート』のアレンジが強く印象に残っていますね。
CD音源とはまったく印象が変わり、ホットなバラードになっていました。それは、下山さんのギターの為せるところなのです。
この時の下山さんのギターは、90年代にLOSERで出していた音、アレンジなんですよ。「春夏秋冬」とかね。あのギターがあってこそ、フォークソングが”吠えるバラッド”へと転換したのです。


今の鉄人バンドだったら、どういうアレンジになるのかなぁ。
下山さんはやっぱりLOSERのような音を出すのか・・・いや、敢えてアコースティック・ギターを投入するかもしれません。
イントロですぐに”「Courage」だ!”と解らないようなことが起こるかも。それもまた楽しい驚きです。

最後に。
wikiで知ったことなんですけど、『BEAUTIFUL WORLD』のジャケットって、デザインがタケジさんではないんですね。
そして

当初のジャケットデザイン案は、新宿の大ガード下でジュリーがホームレスの格好をしている、という過激なものだった

だそうではないですか!
で・・・その案はジュリーの意向によりボツったとのこと。

結果それが良かったのかどうか、今の僕にはわかりません。
ただ、20代の、泉谷しげるさんのLIVEに行っていた頃の僕は絶対好きなはずです、それは。

もし、『BEAUTIFUL WORLD』で”ジュリー=ホームレス”ヴァージョンのジャケットが実現していたとしたら。
僕はもっと若い時に、このアルバムをジャケ買いして聴き込んでいたかもしれませんね・・・。

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2010年12月16日 (木)

来たみたいですよ!

チケット、到着したようです。
2階ですけど、ファイナルがとれたようで一安心。

で、ですね。
DYNAMITEのネタバレ禁止期間が1日延びてしまいました。
15日の渋谷を落選し、名古屋にまいります~。

地元のみなさま、おじゃまいたします。どうぞよろしくお願い申しあげます。
ビビッドな反応はお任せください!
当日まで絶対ネタバレ我慢するぞ~、名古屋ぁ!!

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2010年12月15日 (水)

沢田研二 「a・b・c・・・i love you」

from『単純な永遠』、1990

Sinpurunaeienn

1. a・b・c・・・i love you
2. 世界はUp&Fall
3. PLANET
4. プライド
5. 光線
6. New Song
7. この僕が消える時
8. 不安にさせよう
9. 気にしてない
10. ジェラシーが濡れてゆく
11. 月のギター
12. 単純な永遠

-------------------------------

気持ちも新たに更新いたします。
僕のことを「かほうもの」と仰ってくださったJ先輩がいらして・・・考えてみればその先輩が初めてこのブログを読んでくださった頃を思うと、よくここまで来たなぁ、と。
これからも続けますよ~。終わりの見えない作業を。
この先、少しでも多くのジュリーナンバーを採り上げられますように。


-----------------------------

今回のお題、まずはしょうもないお詫びから~。
この記事、下書き段階でタイトルとアルバム収録曲だけ列記した時点で、一度誤って公開しちゃいました(汗)。
12月7日の昼間ほんの15分間くらいだったのですが・・・アクセス解析してみたところ、数人のお方が閲覧なさっていた様子です。
「何これ?」とお思いになったかと・・・。申し訳ありませんでした。

さぁ、前回記事よりスタートさせた、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ第2弾です。
お正月コンサート『BALLAD AND ROCK’N ROLL』でジュリーはどんな曲を選んでくるのか・・・という主旨ですが、ソロツアー選曲予想連戦連敗中のDYNAMITE、毎回「ひょっとしたら歌ってくれる」「充分ありえる」と書いて全国に恥をさらしているわけですが・・・今回のお題は可能性高いと思うんだ~。

ズバリ、先日toko様よりコメントを頂いたことがきっかけで、当初の予定お題を変更してお届けするナンバー。
アルバム『単純な永遠』から、「a・b・c・・・i love you」(全部小文字表記だったのね)、伝授です!

僕はつい最近まで、今回のお正月コンサートのセットリスト予想ではアルバム『REALLY LOVE YA!』から「F. S. M.」を書こうと考えていました。
ファンキーなジュリーが観たい!という個人的な願望によるものです。
ただ、冷静になってみるとセットリスト予想としてこのお題は無理があるなぁ、と。まぁこの先聴く機会が無くても不思議ではない楽曲ですし、それならば別の機会にね。

同じ”ファンキーなジュリー”なら「a・b・c・・・i love you」。
この曲なら可能性は高いです。『ジュリー祭り』で演奏されていますから、鉄人バンドとしても「いつでもOK!」状態でしょう。
やっぱり今年~来年はツアー間隔が短いですから、鉄人バンドで演奏経験のあるナンバーが多く選曲されるのでは、と考えたわけです。
(と言いながら、予想を覆されることを内心では期待している)

で、お題決定のきっかけになったtoko様のコメントというのは
「この曲のエンディングで、ジュリーがXTC・・・と喘いでいる(喘いでいますよね?)のは何だろう」
というものでした。
僕は最初、確認もせずに
「xyz・・・」(エックス・ワイ・ズイ~)と言ってるのがそう聴こえるんじゃないですか~」
とレスしてしまいましたが、音源を改めて聴いてみますと・・・。

「エックス・ティ~・シ~」

と、確かに発音しています、ジュリー。

”XTC”というのはまず、僕が拙ブログにて白井良明さんのギターを考察する際にたびたび引き合いに出しているギタリスト、アンディー・パートリッジ率いるカルトなロックバンドの名前です。
このバンドのネーミングセンスとも合わせて考えますと、ベタではありますがやはりジュリーは

「エクスタシー」

の意味を持たせて発音しているのではないでしょうか。
”ABCからエクスタシー”という人類永遠のテーマです
(←コラコラ)。僕の世代ですと沖田浩之さんのデビュー曲も重ねて思い出したりしてしまうわけですが・・・。

ちなみに僕は「a・b・c・・・i love you」エンディングでのヴォーカルバリエーションの中だと
「いまいまシ~!」
ってのが好きです。

さて、今回のお題「a・b・c・・・i love you」執筆にあたっては、toko様だけでなく、直前に色々な先輩方から考察内容のヒントを(偶然にも)頂いたんです。
それを順に書いていくだけで、大長文のノルマ(爆)は余裕で果たせそうです。

まずは、「ひとりぼっちのバラード」の記事コメントでnekomodoki様が語ってくださったジュリー像。


> ジュリーには昔から変態(メタモルファ)への衝動があるように感じるのです。
  自分があるイメージでくくられそうになると「やだ!」と姿を変えてしまうみたいな。

そうそう、そうですよねぇ。
「ジュリーをイメージでくくる」というのはまさに僕が拙ブログで何度となく試みていることで・・・今書いている”セットリスト予想”はその極みの行為とも言えるわけです。
さすれば、予想が当たるはずがない。
僕の浅はかなイメージなどあっけなく覆して、ジュリーは「どうや!」という楽曲をLIVEでぶつけてくれます。
結果、僕はますますジュリーから離れられなくなっていくのです。
長いファンの先輩方におかれましては、その繰り返しだったことでしょう。

ジュリーの歴史において、音源作品的に「完璧にイメージを括られて制作された時代」というのは3つあるような気がします。

最初はもちろんタイガース。
次いで、70年代後期の阿久=大野時代。
そして・・・EMI時代の吉田建さんプロデュース期。

無論そのいずれもが大成功し、ジュリーの懐の深さを証明しましたが、実は建さんプロデュース期こそ、「括り」が最も徹底されているように僕には感じられます。
イカ天の成功を機に、世を席捲した空前のバンドブーム。
新しいバンドが次々にデビューし、若者がこぞって”ロックバンド”を志した特殊な時代背景にあって、イカ天の審査員でもあった建さんや村上ポンタさんが、ジュリーとなら本物のロックをそんな世間にガツンとお見舞いすることができる!と気合充分に関わったのが、EMI期のジュリー作品なのですね。

特にアルバム『単純な永遠』は、「本物のロックを」という狙いからでしょうか、デヴィッド・ボウイのような”ロックスターの孤独”をジュリーが演じきったコンセプト・アルバムとして、制作側のセメント志向を感じずにはいられない作品に仕上がっていると思います。
(「プライド」のオープニングS.E.に、デヴィッド・ボウイの「ダイヤモンドの犬」へのオマージュを想起したのがきっかけで、僕はそう考えるようになりました)

演じきったジュリーやコンセプトそれ自体も凄いですが、このアルバムは演奏が鬼です。
例えばこの「a・b・c・・・i love you」。
グルーヴするファンキーなうねりを体現しているのは、16分音符の跳ねるリズムで寸分の狂いもなくシンクロするバスドラムとベースです。
「若いバンド諸君、できるものならやってみろ!」という吉田建さんのメッセージととらえるのは、穿った見方でしょうか。

ところが、そんな建さんとジュリーの蜜月も長くは続きません。それはジュリーが常に”変わっていく”性質だったからだったのだなぁ、とnekomodoki様のお言葉で僕は今さらながら納得しました。
その時その時のジュリーで、異なった輝きがあるというのは、僕のような後追い組にとってはジュリーの歴史を俯瞰して初めて解ることで・・・それはタイムリーになってから聴きだした『PLEASURE PLEASURE』『涙色の空』に至って、ようやく追いつけた感覚とも言えます。

こうと決めつけた途端に変わっていく・・・それがジュリー。
別のJ先輩からも、つい最近そんなお話を伺ったばかりです。今僕はようやくそれを実感できるまでには何とか追いついてきたところなのです。

では、次なる考察のヒント。
これは偶然メイ様がブログで紹介されていた『単純な永遠』についてのジュリー自身のインタビューを拝見して知ったことです。
このアルバム、「ジェラシーが濡れていく」以外の楽曲はすべて「
曲の方が先にできていた」のだそうですね。詞先か曲先か、というのは僕にとってはとても興味あるテーマで、それがハッキリしていると聴き方が少し変わってしまうほどなのです。

サエキけんぞうさんは、バリバリにロック畑のフレーズを使った詞を書く人で、中にはレコーディングの現場でフレーズのアイデアを付け足しながら制作されたナンバーもあったようです。
(ジュリーの発言内容から「PLANET」がそうであったことが推察できます)

「a・b・c・・・i love you」には

♪ ページすべてめくったというのにまだまだ
    G7

  レモンひとつ絞り切れてないみたい ♪
    D7

という官能的な詞が3番で登場しますが、この部分は1番、2番とはメロディーの載せ方が異なっていて、言葉数が多くなっています。
これが曲先というのはとても面白い。
インタビューでジュリーは「ラップにならないようにしたけどね」と語っていましたが、作曲者のDual Dreamさんにはラップの狙いがあったことが解ります。
それこそ
”佐野君がニューヨークから帰ってきた時のような”
とジュリーが語っている、佐野元春さんのアルバム『VISITORS』のような狙いです。
このアルバムが出た直後に、桑田佳祐さんのラジオ番組に佐野さんがゲストで来ていて、桑田さんが佐野さんに向かって
「イッちゃったねぇ・・・」
と語っていたことを思い出したりするのですが、ジュリーの「a・b・c・・・i love you」の場合は”イク寸前で主導権を奪い取った”と言えそうです。
楽曲解釈が変わっているのですね。
その点においても、サエキさんの作詞が果たした役割は大きかったのではないでしょうか。

ミュージック・ペン・クラブでのサエキさんの言葉は本当に嬉しかったですよね。
サエキさんは伊豆田さんとお仕事をなさっているようですし、時々お二人でジュリーの話をされているのかもしれません。

で、そのサエキさんの詞について。
これもごく最近に頂いた考察のヒントでしてね。
ちこ様が、ジュリーナンバーの中で一番エロを感じるのがこの「a・b・c・・・i love you」だと仰っておられたのです。

いや、エロいのはもちろん解っておりました。
ただ、ちこ様が挙げていらっしゃった箇所で、僕が深く考えもせずに完全に見落としていた詞があるんですよ~。
多くの先輩方はとっくにお気づきかもしれませんが、ここでその箇所を紹介しておきますと

♪ ガイドブックの矢印通りに 公園から手をつないで ♪
     G7                                D7

ココです!
ハッキリとは説明いたしませんが・・・モロじゃん。

そうしてみると、1番から3番を通してAメロはすべてこんな調子の”ソッチ系”のフレーズが連呼されているわけで。そうしておいて

♪ a・b・c・d・e-f-g-h・・・i love you ♪
    B♭7      A7              D7

と、落とします。
挙句エンディングでジュリーが悶えまくるのですから、こりゃ確かにエロ度は相当なものですね。
その辺りにつきましては、これまでの僕は過少評価をしていたようでございます。

最後になってしまいましたが、不勉強な僕はこの曲の作曲者Dual Dreamさんをまったく知りませんでした。
デビューしてさほど経たないうちに、ジュリーへの楽曲提供、そしてジュリーマニアでのコーラス参加(クリングル様情報)と、ジュリーとの繋がりにおいても大きな実績を残されているのですね。
僕は職業柄か、こうやって覚えておくと、ひょんなことでその後名前をよく見かけるようになるものなんです。
深町純さんは、そのパターンの一番大きな例でしたね・・・。

さて、次回記事ですが、畏れながら自分の誕生日更新になるでしょう。
昨年同様、ジュリーが今の自分の年齢の時にどのような作品をリリースしていたか、ということを書きます。
今年はアルバム『Beautiful World』からお題を採り上げます。
もちろん、セットリスト予想にふさわしいと思えるナンバーを選ばせて頂くつもりです。
よろしくお願い申しあげます。

そして。
今回のお題とはまったく関係ありませんが、先日発売された『週刊現代』のピーの記事にも触れておきましょう。

ジュリーと同じくらいに、気骨がありそうな人なんですねぇ。

「おうっ!」
「おうっ!」
のくだりを読んで、僕は高校時代のバンドメンバーに無性に会いたくなりましたよ・・・。

遅れてきたジュリーファンである僕にとって、ずっと芸能界と縁を断ってきたピーは、タイガースのメンバーの中で一番謎に包まれた人物であり、街中ですれ違っても気がつかない唯一の人物でした。
今回写真を見たら、やはり何かを持っているような雰囲気、オーラがあります。ただ同時に、すごく尖っているような感じも受けます。
こりゃ、ただじゃ済まない。またケンカしながらツアーだね!

それが最高。
タイガースなんだものね。

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2010年12月11日 (土)

恐縮です!(涙がこぼれちゃう篇)

”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入したばかりですが、ひとつ別記事を挟みます。

昨夜は多くのジュリーファンのみなさまが夜更かしをしたことと思います。
僕は寝てしまいました・・・。YOKO君が録ってくれてると思うので、そちらで観ます~。

さて今日は、昨夜の放映でも多くの方が熱い想いを胸に見守っていたであろう名曲、「涙がこぼれちゃう」(噂に聞く歌詞マチガイは、放映では編集されてましたか?)についてのお話です。

勤務先で秋から制作進行していた
『新・うたの大百科2011年版』
という楽譜が、昨日無事に製本されてきました。

この楽譜の143ページに、ジュリーwithザ・ワイルドワンズの「涙がこぼれちゃう」が収載されています


この本はもう20年ほど継続して、毎年12月に発刊されている年度版の歌本で、基本的には最近年(今回で言うと2010年)に大ヒットしたり話題になった楽曲を中心に、誰もが知るスタンダード・ナンバーまでを厳選した保存版です。
つまり、ぶ厚い本なのです。
定価は、2675円(本体2500円+税)。

File0586_2

ちょっと高いお値段なので、ジュリーファンのみなさまに「買ってください」と言うのは気が退けますし、こんな事をブログで喧伝するのはとても恐縮なのですが、この機に多くのジュリーwithザ・ワイルドワンズのファンの方々に、お礼を申しあげたい気持ちもあるものですから・・・。

何かと言いますと、今回この『新・うたの大百科2011年版』に「涙がこぼれちゃう」を収載できたのは、この曲を有線リクエストしてくださったみなさまのおかげなのだ、ということなんです。

年度版の歌本というコンセプト・・・収載しようという楽曲には、それだけの実績、根拠が無くてはなりません。
いくら僕がメーカー側だと言っても、例えばインディーズリリースの「涙色の空」を押し込むことなどできません。
メジャーリリースだとしても、特定ファンの大きな支持を得ていようとも、いくら「いい曲だから!」と熱弁をふるったところで、「プロフィール」や「FRIENDSHIP」を収載することはできないのです。
そんな個人的なベクトルだけに根ざした企画は、楽曲の善し悪しとは関係なく、通りません。

でも、「涙がこぼれちゃう」は違いました。
有線リクエストチャートの実績があったからこそ、僕がいきなり提議しても企画の机上に乗ったのです。あとは、自然に熱い思いを語ればそれで良かった。
僕のブログには、しょっちゅう

”涙がこぼれちゃう 楽譜”

というキーワードで検索がかかりますから、その事も話しましたし・・・あと、結構無茶も言いましたよ。
「この1曲だけで、普段この本を買わない客層を最低100人は上乗せできる!」
ってね。
まぁ正直に申しましても、その辺りが目標とするところです。

譜面はいわゆる「コード付メロディー譜」です。

File0589

歌詞も別枠にキッチリ。

File05893

譜面部分はこんな感じ。
(スキャンが汚くてズビバゼン)

ピアノのアレンジャーの先生が採譜してくださいましたので、キーが「D♭」表記です。
ギタリストにとっては「C#」表記の方が見やすいとは思うんだけど、五線譜つけるスコアなら、やっぱりD♭なのでしょうね。

D♭譜ということで、転調部の「あやまちだらけでも♪」の頭のトコに「F♭」なんてのが出てきて一瞬止まってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、これ、「E」と同じですからね。
和音で言うと「ミ・ソ#・シ」です。

僕も、今回の譜面で初めて「おおっ!」と思った箇所があります。
「水着濡れたあなたの♪」のトコ。
自力の採譜段階では強引にdimコードを振って歌ってたんだけど、「なるほど、そうかぁ!」というコード進行でした。解ってみればシンプルだけど、なかなかこれは思いつかない。
この進行は、何かお手本の曲があったりするんでしょうかねぇ、Qさま?

他に
・「G♭add9(onA♭)」の部分は、面倒だったら「A♭7」で代用すれば良い
とか
・バレエコードだらけなので、1capoの「C」で演奏すると楽です
など、付随して教えてさしあげたいこととかたくさんあるんですけど、とにかく

「解らない」
とか
「弾けない」
とか、
「1capoにした時のコード教えろ!」

という方がいらっしゃったら、拙ブログのコメントにて何なりとお尋ねくださいませ。
その際に、万が一僕がとてつもないヒドイ間違いを書いてしまったら、たまらず作曲者ご本人が
「いい加減にしろ!そこはこうだ!」
と登場してくださるでしょうから安心です(たぶんね)。

大きな楽器店さんや書店さんには、来週水曜日~木曜日には並ぶと思います。
(都心の早いトコは火曜日夕方にはあるかも)
ネットでご予約の方は・・・例えばAMAZONさんの倉庫に到着するのが水曜ですから、週末の発送になると思われます。
CDみたく一斉発売ができず、タイムラグが出てしまって申し訳ないです・・・。

とりあえず、AMAZONさんはこちら!

http://www.amazon.co.jp/%E5%85%A8%E6%9B%B2%E6%A5%BD%E8%AD%9C%E4%BB%98-%E6%96%B0%E3%83%BB%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%AE%E5%A4%A7%E7%99%BE%E7%A7%91-2011%E5%B9%B4%E7%89%88/dp/4285128470/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1291017906&sr=1-3

もうすでに、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」のコーナーがジュリーアイテムだらけになっているのが・・・嬉しくて涙がこぼれちゃう!

色々な曲が入っています。
収載はアーティスト五十音順。巻末に楽曲タイトル別・歌い出し付きの索引もついています。

File0588

ためらわず予約しなよ♪
どうぞよろしくお願い申しあげます~。

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2010年12月 7日 (火)

沢田研二 「ひとりぼっちのバラード」

from『JULIE』、1969

Julie1


1. 君を許す
2. ビロードの風
3. 誰もとめはしない
4. 愛のプレリュード
5. 光と花の思い出
6. バラを捨てて
7. 君をさがして
8. 未知の友へ
9. ひとりぼっちのバラード
10. 雨の日の出来事
11. マイ・ラブ
12. 愛の世界のために

--------------------

え~、お題に入る前に、まずは12月5日にNHK総合で放映されたジュリーwithザ・ワイルドワンズ『僕たちほとんどいいんじゃあない』CCレモンホールLIVEの感想などを少し・・・。

いくつかのじゅり風呂さんも書いていらっしゃいましたが、何の前振りもなくいきなりメンバーのステージ入場とお客さんの拍手から放映がスタートしましたね。
何の気なしにNHKをつけていた一般家庭のみなさま、「何だ何だ?」とお感じになったのでしょうか。そのまま観てくださいましたかね~。

これは、年末発売のDVDと同じ映像なのでしょうか。
撮影のあったCCレモンホール当日、そしてファイナルの五反田と参加できなかった僕にとって、DVD発売は本当に嬉しいクリスマスプレゼントです。
そんな中、一番気になっていたのはカメラワーク。
その点、この日の映像は最高でした。

ジュリーに偏ることなく、ワイルドワンズのメンバーの表情もよく分かりましたし・・・要所では鉄人バンドにもしっかりとカメラが。
その上で、ジュリーを追いかけるカメラワークも素晴らしかった。やっぱり「Oh Sandy」のLIVEは破壊力抜群ですね。

「懐かしきラブ・ソング」では感動の5分割カット。追っかけコーラスで加瀬さんがメインに・・・泣かせます。
いつかの”熱視線ギャル”」・・・放映を観た作曲者の吉田Qさんが、ジュリーのアクションに激萌えした、という情報も。
TOKIO」では、お客さんがエライ状態になっているのが伝わってきましたねぇ。
そして「FRIENDSHIP」での、ジュリーの右頬をつたう汗。
最高です!

あと、「セシリア」などで柴山さんが映りまくっていました~。
渚でシャララ」のBメロ、「傷つけあうより♪」のトコ、柴山さんのダンスは神ですね。参加したLIVEではそこまで観てなかった・・・(基本、ジュリー観ながら踊ってましたから)。

正規盤もこのくらい贅沢なカメラワークだと良いのですが・・・とても楽しみです!

さて、それでは本題です。
『秋の大運動会~涙色の空』ツアーも11月27日で終わってしまいましたが、もうあと1ケ月もすれば、正月コンサート『BALLAD AND ROCK' N ROLL』(バラード・アンド・ロック・アンド・ロール)が幕を開けます。
昨年と比べ、待つ時間が少ないのがありがたい・・・。まぁその分、セットリストはツアーと重複する曲が多くはなるでしょうが。

拙ブログでは今回から”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入いたします。
ジュリーは「バラード多めに・・・」なんてファイナルで言ってましたけど、さてどんな曲が飛び出すのでしょう。
今日は、ツアータイトル『BALLAD AND ROCK' N ROLL』の「バラード」というフレーズに着目し、記念すべきジュリーのファーストアルバム『JULIE』からお題を採り上げたいと思います。
「ひとりぼっちのバラード」、伝授!

Balladofsolitude

最近のジュリーのステージは、1曲目にノリの良い曲を配置することが多いですが、過去にはバラードでスタートさせる構成もあり、今度のお正月はそのパターンで来るのではないか、と僕は予想しています。
前半バラード中心で、後半にロックしてくれるのではないでしょうか。

そこで僕は『BALLAD AND ROCK' N ROLL』の初っ端、オープニング・ナンバー候補にこの「ひとりぼっちのバラード」を指名!(「DYNAMITEが予想すると外れるんだから、余計なこと言わんといて~!」というブーイングが聞こえてきそうです汗)

「ひとりぼっちのバラード」・・・これはなかなかLIVEでは歌われていないだろう、と何となく考えていましたが、2006年のお正月コンサート『勇気凛々』で採り上げられていたのですね!
生で観た先輩方は、感動なさったでしょうね。メチャクチャうらやましいですよ~。

ベースレスの編成となったバンドでは、ピアノ或いはキーボードが重要なパートとして大きな役割を果たします。ジュリーの頭の中で、新たなバンドスタイル対策として「ひとりぼっちのバラード」のような曲がクローズアップされてのセットリストだったのかもしれません。

『勇気凛々』の時は着替えタイムの直前でしたか~。そして後半1曲目が「PEARL HARBOR LOVE STORY」って・・・。
よだれが出ます(いや、下品な表現で大変失礼)~。
タイムリーで観ていた先輩方のお話、是非聞きたいです!

で、今回僕は「ひとりぼっちのバラード」を敢えて1曲目と予想したわけですが・・・。
これは、日頃お世話になっているあるJ先輩の言葉が強く印象に残り、そう考えたのでした。

その先輩も、お正月コンサートのタイトルが判明した時点で、「ひとりぼっちのバラード」を想起したそうです。
そして
「年齢を重ねたジュリーが歌うことを、安井かずみさんが詞に託したような曲」
との感想をお話してくださいました。
僕はそこまで考えなかった・・・ずっとジュリーを見続けてこられた先輩だからこそ、そういったことに気づくのでしょうね。

とすれば、今のジュリーが歌うにふさわしい曲。
『BALLAD AND ROCK' N ROLL』にピッタリの名曲・・・僕はそう考えてしまったのでした。

さて、「光と花の思い出」の記事でも書いたように、元々僕はアルバム『JULIE』の中でも特に「ひとりぼっちのバラード」が好きで。
いつかお題に採り上げたいと思いつつこの日まで延びてしまったのは、ジュリー・ナンバーの中でも採譜が手強そうな1曲、というイメージがあったからです。
ブリッジの転調部のメロディーなどは、一度聴いただけでは覚えられないほどに難解な進行なんですよ~。

僕は音階や和音進行、音楽理論については成人してからの完全な独学です。
色々な楽器を覚えましたが、ストリングスの経験がなく、「ひとりぼっちのバラード」をはじめ、『JULIE』収録曲の多くでアレンジの重要な肝となっているオーケストレーションの解説もできません。

第一、幼少に特に何の教育を受けていないため、絶対音感が無いのです。これは成人してから会得するには相当なハンデで、無理がありました。
ですから僕は、楽器無しで音を探し当てる際、変な方法を使うようになってしまいました。
まずビートルズの「Let It Be」のイントロを脳内再生して「ド」の音を確認した後、順次音階を辿っていく、などという非常に面倒くさいやり方。そうしないと目的の音が探せないのです・・・。

ただ、そのおかげでしょうか。
いつしか、イントロがピアノの和音で始まる長調の曲に限っては、その曲のキーが「C」であるかないか、それだけは初見で判別できるようになりました(ものすごく限定され過ぎですが・・・才能や下地の無い人にとってはそれが精いっぱいなのです汗)。
で、「ひとりぼっちのバラード」は「C」(=ハ長調)ではないワケです。

ところが。
先日先輩にお借りしたお宝本「沢田研二のすべて」掲載の譜面は、バリバリのハ長調で採譜されているんだなぁ。
前々回の記事で書いたように、この楽譜は完全にギター初心者をターゲットにしているようで、多少強引でも弾き易いコードネームだけで歌えるようにアレンジされているのですね。
当然、楽曲によっては移調も施されています。
「ひとりぼっちのバラード」はその一例。
原曲が変ロ長調(=B♭)のところ、ハ長調(=C)に移調
されて明記してあるのです。

まずはこいつをオリジナルのキーに戻す作業から!
例えば

♪ 生きて 生きていくこの命~ ♪
           C                       Dm    A+

の表記を

♪ 生きて 生きていくこの命~ ♪
           B♭                   Cm

と直してあげます。
さらに、「A+ねぇ・・・」とツッコミを入れつつ、省略されているアレンジメント・コードを加えて

♪ 生きて 生きていくこの命~ ♪
           B♭                   Cm   Cmmaj7   Cm7
(まぁ「Cmmaj7」のトコをGルートで弾け、ということかな?この場合の「A+」って)

なかなか良い感じになってまいりました。
「mmaj7」→「m7」の移行は、ストリングスの一番目立つ音を拾っているわけです。
1番と2番の間の短い2小節の間奏も、「C」を「B♭」に戻すだけでなく、2小節目に「A♭」を足してあげればグッと雰囲気が出てきます。

で、問題は転調部です。
ここはちょっと自力での採譜はかなり手こずる、と思ってた箇所。
ヒント本に明記してあるコードを原曲のキーに戻していくと・・・こうなります。

♪ たった いち  どの 人    生だから
       Fm7   B♭7 E♭   Dm7 G7     C

  力のかぎり 明日     をさ       がそう  いつも ♪
      F          Am   Gm7  Gm7onC E♭m7 A♭B♭

途中までは「おお!」って感じ。
なるほど~。
変ロ長調→変ホ長調→ハ長調→ヘ長調とガックンガックン転調してるのね!いやぁ美しい~。

でも、「明日をさがそう♪」のトコ、よく解らないよ~。
これで合ってるような気もするけど・・・うまく歌えない。直後のB♭への戻り方とか、難解ですよねぇ。
みなさま、この曲のこの部分のメロディー、伴奏無しで空で歌えます?
僕、無理かもしれない・・・。

しかも大ラスでは、主メロ部がいきなりD♭までキーが跳ね上がるんですよ、この曲!
半音上げとか1音上げは珍しくないけど、1音半のジャンプアップは、珍しいと言うより、難しい。

そう・・・この曲はやっぱり難しいんです。
ジュリー・ナンバーの中でも、メロディーの難解さではトップクラスでしょう。
実は、「ひとりぼっちのバラード」が突如採り上げられた2006年のお正月コンサート、そのタイトルともなった「勇気凛々」という曲も相当難しいメロディーを擁したナンバーなのですが、この2曲が並び立ったセットリストというのは、偶然でしょうかねぇ・・・。

タイガース期、つまりファーストアルバムリリース時のジュリーは、ヴォーカリストとしてまったく正当な評価を受けていなかったとのことで・・・ちょっと信じ難いのですが。
確かにこのアルバム『JULIE』の段階では、音程にアラも多いかもしれません。
しかしね・・・。例えば「ひとりぼっちのバラード」を、寸分の狂いもない音程で、オペラのように堂々と歌われてしまったら・・・曲の良さは果たして伝わったでしょうか?
ずいぶんデリカシーの無い「ひとりぼっちのバラード」になっていたような気がします。

ファースト・アルバムでの歌唱を一度踏まえて、年齢を重ねた声で、熟成した歌をLIVEで披露する。
そこへ辿り着く長い時間にこそ意味があったのでは、と、2006年お正月コンサートでのお客さんの反応を僕は想像するのです。

安井かずみさん&村井邦彦さんという、ジュリーの身近にあった素晴らしい作家さんがまず良い曲を作り、プロフェッショナル中のプロフェショナルである東海林修さんが仕上げ、ジュリーが歌う・・・そのシンプル過ぎるほど明快な制作手法が、ファーストアルバム『JULIE』の大きな魅力です。
良い意味で特別な装飾の無い、むき出しの原石のような作品。

やはりこれは、その後数十年進化し続けるジュリーのスタート地点としてふさわしい、素晴らしいアルバムだと思います。
「ひとりぼっちのバラード」・・・僕も一度は生で聴いてみたいですよ~。

さてさて。
年内に執筆する楽曲記事は、お正月コンサートのセットリスト予想に邁進する予定になっております。
次回のお題は、おそらく”ABCからエクスタシー”なナンバーになると思いますが・・・ひょっとしたらその前に一件、恐縮な宣伝記事が挟まるやもしれません。
どうぞよろしくお願い申しあげます~。

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2010年12月 3日 (金)

ザ・タイガース 「風は知らない」

from『人間60年 ジュリー祭り』、2008
original released on 1969 
シングル ザ・タイガース『美しき愛の掟』B面

Juliematuricd


disc-1
1. OVERTURE~そのキスが欲しい
2. 60th Anniversary Club Soda
3. 確信
4. A. C. B.
5. 銀の骨
6. すべてはこの夜に
7. 銀河のロマンス
8. モナリザの微笑
9. 青い鳥
10. シーサイド・バウンド
11. 君だけに愛を
12. 花・太陽・雨
disc-2
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなたへの愛
4. 追憶
5. コバルトの季節の中で
6. 巴里にひとり
7. おまえがパラダイス
8. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
9. 晴れのちBLUE BOY
10. Snow Blind
11. 明星
12. 風は知らない
13. ある青春
14. いくつかの場面
disc-3
1. 単純な永遠
2. 届かない花々
3. つづくシアワセ
4. 生きてたらシアワセ
5. greenboy
6. 俺たち最高
7. 睡蓮
8. ポラロイドGIRL
9. a.b.c...i love you
10. サーモスタットな夏
11. 彼女はデリケート
12. 君のキレイのために
13. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!
14. さよならを待たせて
15. 世紀の片恋
16. ラヴ・ラヴ・ラヴ
disc-4
1. 不良時代
2. Long Good-by
3. 涙
4. 美しき愛の掟
5. 護られているI Love You
6. あなただけでいい
7. サムライ
8. 風に押されぼくは
9. 我が窮状
10. Beloved
11. やわらかな後悔
12. 海に向けて
13. 憎みきれないろくでなし
14. ウィンクでさよなら
15. ダーリング
16. TOKIO
17. Instrumental
disc-5
1. Don't be afraid to LOVE
2. 約束の地
3. ユア・レディ
4. ロマンス・ブルー
5. TOMO=DACHI
6. 神々たちよ護れ
7. ス・ト・リ・ッ・パ・ー
8. 危険なふたり
9. おまえにチェック・イン
10. 君を今抱かせてくれ
11. ROCK'N ROLL MARCH
disc-6
1. カサブランカ・ダンディ
2. 勝手にしやがれ
3. 恋は邪魔もの
4. あなたに今夜はワインをふりかけ
5. 時の過ぎゆくままに
6. ヤマトより愛をこめて
7. 気になるお前
8. 朝に別れのほほえみを
9. 遠い夜明け
10. いい風よ吹け
11. 愛まで待てない

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『人間60年 ジュリー祭り』東京ドーム公演。
僕がジュリーに本格堕ちしたあの日から、早いもので2年が経ちました
(ついでに結婚1周年だったりもします)

京セラに行かれた方々は11月29日が、そして東京ドームに行かれた方々は12月3日が・・・やっぱり特別な記念日なのではないでしょうか。
僕の場合は、12月3日がそういう日なのです。
2年前は仏滅、今年は先勝。昨年は友引でした
(そんなことまでこの先も覚え続けるのだろうか・・・)

みなさまが遊びにきてくださるこのブログも、2008年12月3日から始まった、と言っても過言ではありません。
それまでは、ず~っとバンド仲間くらいしか読んでなかったですから。
(ただお一人、『秋の大運動会~涙色の空』初日にお会いしたお姉さまが、ドーム以前から僕のブログを読んでいた、と仰ってくださいました。僕が白井良明さんのギターを考察する際にたびたび名前を挙げているバンド、XTCのファンの方だそうですが、無論ジュリー本命の先輩で、僕がいきなり『ジュリー祭り』のレポを執筆した時には大層驚かれたそうです)

じゅり風呂となって以降のブログスタイルは一応
「任意のジュリーナンバー1曲を採り上げて掘り起こす」
というもので、冷静に考えてみますと、これは大変なことを始めてしまいました。
終わりが見えないのです。

そしてそれはとても幸せなことでもあります。
もう、ライフワークと言ってもいい・・・ジュリーナンバーの全曲を記事にすることなどこれからの生涯かけてもまず無理なのですが、追いつけないことこそがジュリーの偉大さだと考えますし、それを目標にこれからもコツコツと続けていきたいと思っています。

僕は「遅れてきたファン」。特に男性ファンに僕と同世代の方々が多いことには驚くばかりで、みなさま僕にとっては年齢が近くとも、年下であろうとも、リスペクトしている先輩方。
そして、タイガース時代からジュリーを知っているお姉さま方。実際にお会いした方ばかりでなく、コメントやメールにて色々なことを教えてくださる方々・・・もうお世話になりっ放しです。

僕はまだまだ”ジュリーを表現する”作法や知識を持ちません。
不手際があった場合は、遠慮なく叱ってくださいませ。
理屈が多い割には大したことを書いていないブログですが、多くの方々に読んで頂けたり、応援して頂いている以上、「ジュリーに対する気持ちを失わずに、ずっと続ける」ことが感謝の気持ちを表すことだと考えます。

今後とも、どうぞよろしくお願い申しあげます。

さて。
ジュリーの歴史に追いつくことは夢のまた夢とは言え、いくつか現実に達成したい目標もあります。
その中のひとつ。
あの素晴らしい、宝物のような『ジュリー祭り』のセットリストだけは、いつか、何とか全曲の記事を執筆し網羅したいのです。

ドームで歌われた80曲。
現時点での記事執筆済み楽曲数を数えてみました。
26曲・・・まだ3分の1も終わってないのか!

1公演のセットリストそれだけでも途方もない目標になってしまうんだなぁ。
でも、これは実現させたい。現実味も無いわけじゃない。
そう思っています。

そこで、毎年12月3日には、『ジュリー祭り』セットリストの中からお題を選んで書いていくことにしよう、と決めました。
もちろんこの記念日だけだとあと54年(!)かかってしまう計算になりますから、通常日の記事執筆も合わせまして、まぁ毎年コンスタントに10曲ちょっとが目安でしょうか。
それだと、ジュリーの70超えの年にギリギリ間に合うかも。

決意を新たにしつつ『ジュリー祭り』2周年の今回は、来年への期待も込めて、タイガースのナンバーを採り上げたいと思います。
「風は知らない」、伝授!

個人的にタイガース・ナンバーの中でベスト5に入るくらいに好きな曲です。しかしそれは昨年初めに『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』を購入して以降の話。
ドームでの僕は「タイガースの曲・・・かな?」という情けないレベルだったわけで・・・。

のちのちになって考えますと。
『ジュリー祭り』では前半のヒットシングル連発コーナーでタイガースも何曲か歌われましたが、間を空けて独立した形でセットリストに組み込まれた「風は知らない」「朝に別れのほほえみを」のタイガース・ナンバー2曲には、特に感激した先輩方が多かったのではないでしょうか。

「風は知らない」は、「明星」「ある青春」に挟まれたアコースティック・コーナーでの選曲でしたね。
ヒヨッコながらも、「おぉっ、イイ曲だ!」くらいのことは、思って観ていたんですよ~。

タイガースのヴァージョンでは、トッポのコーラスがそのまま残っているのですね。僕はまだまだタイガースの聴き込みが甘く、ジュリーとサリー以外のコーラスパートがメンバーの誰であるかを特定できない曲が多いんです。
シングル盤の「風は知らない」のコーラスもその中のひとつで

♪ 昨日鳴る 鐘も明日はない ♪
    F                 Gm7        A7

この部分だけは
「う~ん、トッポ・・・だよな」
と、何とか思える・・・そんな状態。

「シローだ」と言われたとしたら、何の疑問も抱かずにそう思ってしまいそうです(汗)。
(いや、さすがにもうリードヴォーカルについては全曲判別できますよ!迷うのはコーラスです)
映画「ハーイ!ロンドン」採用の際にシローのヴァージョンに差し替えられた、と聞いています。

これは実はレコーディングの考察上、非常に興味深いことです。
と言うのは、ビートルズの『THE BEATLES(ホワイトアルバム)』でロック&ポップス界を席捲した”8トラック・レコーディング革命”(MTR様、ご指摘ありがとうございました)を受けて、当時のタイガースも多重録音手法に突入していたことが推察できるからです。
つまり、コーラスパートそれぞれが独立したトラックで録音された可能性を考えさせられるのですね。
まぁ、シローのパートのために他メンバーがもう一度一緒に録り直したこともあり得ますけど・・・。

そう言えば、つい1ケ月ほど前でしょうか。いきなりカミさんが「ハーイ!ロンドン」を買ってきて、初めて鑑賞できましたよ。
「風は知らない」は特に効果的で。

♪ 大空の広さ   を 風は     知らない ♪
       Gm7 Am7  Dm7   Gm7  C7    F

いや~、改めて名曲だな、と。
はだしで」もそうですが、僕は後期タイガースの、長調でありながらちょっと物悲しい雰囲気を持つ落ち着いた、それでいて魂を揺さぶられるような良い意味での「危うさ」があるナンバーが好きだなぁ。
しかも2曲ともシングルのB面ですからね!
凄いクオリティーです。

「風は知らない」は、岩谷時子さんの作詞、村井邦彦さんの作曲いずれもプロフェッショナル!
詞曲ともに、ちょっと冷静な視点から激情の人間世界を俯瞰しているイメージを僕は持っています。ベタベタしていないんです。
アコギをフィーチャーしたアレンジも素敵。
もちろん最高なのはジュリーのヴォーカルです。僕が「愛に死す」で完全堕ちしてしまった”無垢なまでに伸び上がる高音”の片鱗が既にこの曲にも存在しています。
先述した「大空の~♪」の「らの~♪」とか、

♪ 雲の波間をさまよう ♪
     G7         C7

のトコとかね。

ところで、ヒヨッコ故にタイムリーでは気づけていなかったのですが、『ジュリー祭り』の「風は知らない」はアレンジが大胆に変えて演奏されていますね。

泰輝さんはコーラスに専念。
GRACE姉さんはタンバリン(カッコイイよこれ!)。
あとはギター兄弟のアコギ2本です。
柴山さんがリズムを奏で、下山さんの素晴らしいブルーススケールのリードギターが、ジュリーのヴォーカルに絡みます。
「何故そこで下山さんにカメラが行か~ん!」とプリンストならずとも思ってしまう下山さんの名演ですよね~。
ただ、やっぱりこの曲を歌うジュリーの表情は素敵過ぎます。全然気負いがなくて・・・ス~ッと「あの頃」に戻っていくような感覚をジュリー自身が体感しているように見えてしまいます。

で。
みなさま、このドームヴァージョンの「風は知らない」の独特のリズム・・・最近聴いた何か他のジュリーナンバーを思い出しませんか?
そう、「緑色のKiss Kiss Kiss」です。
「緑色のKiss Kiss Kiss」の泰輝さんの作曲或いは鉄人バンドの演奏は、『ジュリー祭り』での「風は知らない」のアレンジが下地にあって出てきたのではないかと僕は想像したのですが、いかがでしょうか。

僕は「風」というフレーズを持つ曲が好きです。
少し前に、僕のブログのことを「いい風が吹いている」と仰ってくださった先輩がいらして、とても嬉しかった・・・。
僕にとって「大空の広さ」とはジュリーの歴史そのもの。
しかも、それは現在進行形でさらに広がっていく・・・拡がりは加速し、ただ一陣の微風に過ぎない僕のような者には、見渡すことすらままなりませんが・・・。

空にある幸せを探しながら、これからもジュリーの歴史を漂いつつ、ささやかながら風を吹かせていければ、と思っています。
(〆がかなりクサかったですか汗。ズビバゼン)

さぁ、1ケ月もすればお正月コンサート『バラード・アンド・ロック・アンド・ロール』が始まります。
そろそろ、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入しませんとね。

シングルヒット曲連打で確実に当てにいったジュリワン以外の、ジュリーのソロコンサートについて。
ブログでの僕のセットリスト予想は・・・ここまで全敗です!
素晴らしい名曲を挙げれば挙げるほど、みなさまのブーイングが聞こえてきそうですが・・・。

とりあえず初っ端は、”バラード”ってフレーズがタイトルについてる、あの大名曲を書いてみようかな(採譜のヒント本も手元にあるしね~)。

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